判例検索β > 令和3特年(わ)第2235号
著作権法違反
事件番号令和3特(わ)2235
事件名著作権法違反
裁判年月日令和4年8月5日
法廷名東京地方裁判所
全文全文
最高裁判所〒102-8651 東京都千代田区隼町4番2号 Map
裁判日:西暦2022-08-05
情報公開日2022-09-23 04:00:07
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令和4年8月5日宣告
令和3年特

東京地方裁判所刑事第16部宣告

第2235号

著作権法違反被告事件
主文
被告人を懲役2年及び罰金100万円に処する
その罰金を完納することができないときは、金1万円を1日に
換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から3年間、その懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、Aと共謀の上、法定の除外事由がなく、かつ、著作権者の許諾を受けないで、別表(添付省略)記載のとおり、平成29年1月中旬頃から平成30年12月中旬頃までの間、奈良県大和郡山市(住所省略)所在の株式会社B工房作業所内において、Cほか6名が著作権を有する美術の著作物である版画Dほか4作品につき、リトグラフ技法により紙に印刷するなどして合計7枚を複製し、もって前記各著作権者の著作権を侵害した。
(量刑の理由)
本件は、版画の制作、修復作業等の職人であった被告人が、美術商として美術品の売買等を行っていた共犯者とともに、Eの作品5点について合計7枚(以下、本件各作品」という。を著作権者に無断で複製したとい)う著作権法違反の事案である。被告人らは、平成20年以降、長期間にわたって著作権者に無断で絵画作品等の複製を行うようになり、本件犯行に及んだものである。本件各作品は、真作と判別がつかないほど精巧に作成されており、著作権者の複製権を大きく侵害している。被告人は、共犯者から著作権者の許諾がないことを明確に伝えられていなかったとして、必的認識があったに過ぎない旨述べている。っとも、未も証拠によれば、別紙番号1の「Dについて見ると、額面の裏には、E復刻画D監修F制作
新アトリエGとの記載があるシール(共シ

ール)が付されており、Fの記載の下には押印がされている。これによれば、アトリエGが複製し、Fが監修をしたものであることが理解できるところ、被告人は、複製した業者や著作権者が監修を示す趣旨で貼付された共シールはコピーするようなものではないとしつつも、共犯者に依頼されるまま共シールの作成依頼に応じていた旨述べている。結局、被告人は、著作権者侵害となることを黙認していたといえる。版画制作の職人でありながら、著作権に意を払わずに犯行を及んだものであり、規範意識に欠けており、非難を免れない。
共犯者との関係をみると、本件は、版画職人である被告人の高度な技術によってこそ実現可能となったものであり、実行犯である被告人が果たした役割は大きい。本件各犯行を発案し、複製作品の決定や複製の基となる真作の入手等を行ったのは共犯者であり、被告人が受動的立場にあったことを考慮しても、被告人の刑事責任には相応に重いものがある。同種事案と比較してみても、被告人に対しては、懲役刑及び罰金刑を選択するのが相当であり、罰金刑を選択すべきとの弁護人の主張は採用できない。その上で、告人が事実関係を概ね認め、省の態度を示していること、被

情状証人として出廷した妻が今後の監督等を誓っていること、被告人に前科前歴がないこと等の事情も踏まえ、被告人に対しては、主文のとおりの懲役刑を科した上で、その執行は猶予し、また、この種事犯が経済的にも不合理であることを示すため、主文のとおりの罰金刑を併科するのが相当と判断した。
(求刑

懲役2年及び罰金100万円)

令和4年8月5日
東京地方裁判所刑事第16部

裁判長裁判官

小林謙介
裁判官

向井志穂
裁判官

足立洋平
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