判例検索β > 令和3年(わ)第690号
強盗傷人被告事件
事件番号令和3(わ)690
事件名強盗傷人被告事件
裁判年月日令和4年7月8日
法廷名札幌地方裁判所
全文全文
最高裁判所〒102-8651 東京都千代田区隼町4番2号 Map
裁判日:西暦2022-07-08
情報公開日2022-08-10 04:00:09
裁判所の詳細 / 戻る / PDF版
令和4年7月8日宣告
令和3年(わ)第690号
判決
上記の者に対する強盗傷人被告事件について、当裁判所は、裁判員の参加する合議体により、検察官大友隆及び同下村陸博並びに国選弁護人小林加弥(主任)及び同野田晃弘各出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役6年に処する
未決勾留日数中200日をその刑に算入する。
札幌地方検察庁で保管中のコンビネーションレンチ1本(令和3年領第977号符号3)を没収する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、金品を強取しようと考え、令和3年9月19日午前11時10分頃、北海道苫小牧市a町b丁目c番d号B方南側敷地内において、徒歩で通行中のA(当時73歳)に対し、いきなりAの左肩付近を手で押して転倒させ、Aが所持していたトートバッグをつかんで引っ張り、持っていたコンビネーションレンチ(令和3年領第977号符号3)で、抵抗するAの右手等を複数回殴る暴行を加え、その反抗を抑圧し、Aから前記トートバッグを奪い取ろうとしたが、通行人に発見されたため、その目的を遂げず、その際、前記暴行により、Aに対し、加療約1か月間を要する右第4中手骨骨折等の傷害を負わせた。
(証拠の標目)省略
(争点に対する判断)
1
争点
本件の争点は、被告人が本件の犯人であるか否かである。

2
前提事実



判示の本件犯行現場は、南西方向から北東方向に延びる線路沿いの道(以下
線路沿いの道という。)と、本件犯行現場付近から北西方向に延びる路地(以下3本目の路地という。)との交差点の北側角付近に位置する。線路沿いの道の南側が線路であり、北側には住宅等がある。Aは、令和3年9月19日、線路沿いの道を北東に向けて歩いていたところ、本件犯行現場に差し掛かって、本件被害に遭った。
3本目の路地には別事件の捜査のためのカメラ(以下捜査用カメラという。)が設置されており、捜査用カメラには、同日午前11時10分頃、北西方向に走り去る人物が映っていた(以下人物①という。)。3本目の路地を北西方向に進むと、南西方向から北東方向に延びる路地に突き当り、同路地を突き当りから南西側に建物3軒分ほど進んだ場所にある四叉路(犯行現場からみると北西)に面して、施設Cがある。施設Cに設置された防犯カメラ(以下Cカメラという。)には、同日午前11時11分頃、前記四叉路から線路沿いの道に通じる路地(以下2本目の路地という。)を線路沿いの道に向けて歩く人物が映っており(以下人物②という。)、さらに、同日午前11時12分頃、2本目の路地を、自転車に乗り、線路沿いの道方向から前記四叉路に戻り、左折して走り去る人物が映っていた(以下人物③という。)。


被告人は、同日午後0時58分頃、本件犯行現場の南東方向に位置するD公園
付近において、警察官から職務質問を受け、その後任意同行された。被告人の年齢は当時67歳、身長は161センチメートルであった。職務質問時の被告人は、茶色のつば付き帽子、白色マスク、左上腕部分に白のロゴマーク、前面にファスナーの付いたフード付き紺色長袖ジャンパー、ナイロン製の暗い緑色系長ズボン、側面に青と赤のラインが入った白色運動靴を着用し、緑色のトートバッグ、サングラス、片側がスパナになっているコンビネーションレンチ(全長約29センチメートル、重量約249グラム。以下本件レンチという。)を所持していた。また、被告人は自転車に乗っており、自転車は、前後にかごがあり、前かご
に丸みがあり、後ろかごは白色メッシュ状であった。スタンドはU字型で、サドルは後ろかごの上部とほぼ同じ高さであり、タイヤの大きさは20インチであった。被告人の同月16日時点での月の収支残高は4502円、任意同行時の所持金は1597円であり、支払未了の公共料金等の額は合計4万7952円であった。3
犯人の特徴と被告人の特徴について
犯人の特徴等から被告人の犯人性を推認できるかどうかについて、検討する。


捜査用カメラ及びCカメラに映った人物と犯人の同一性について
犯人の特徴を確定するためには、前記の捜査用カメラに映った人物①、Cカメラ
に映った歩いている人物②及び同カメラに映った自転車に乗った人物③が、いずれも同一人物であるかどうか、そして、Aが証言するAを襲った犯人(以下、単に犯人という。)と同一人物であるかどうかを検討する必要がある。ア
人物①、人物②及び人物③の同一性について人物①、人物②及び人物③について比較すると、いずれもつば付き帽子と黒色系
の長袖上着・長ズボンを着用している。特に、人物①と人物②は、トートバッグを持っている点でも一致しており、人物③も自転車の前かごに何かを入れている様子が見て取れる。そして、本件犯行現場、捜査用カメラ及びCカメラはいずれも約100メートル圏内に存在しており、映った時間も全体を通して2分以内と近接している。その上、犯行現場周辺は閑静な住宅街であり、犯行当時人や自転車の通りは少なかったと認められる。このような時間的・場所的にかなり限定され、人や自転車の通りも少ない中で、前記のような服装や所持品について類似した特徴を持つ人物が複数存在するとは考え難い。
なお、後述するAの証言によれば、犯人は、自転車を置いて、徒歩でAを襲って本件被害を加え、徒歩でその場から逃走したことがうかがわれ、このような事情を前提とすれば、人物①と人物②が徒歩であり、人物③が自転車に乗っていることは、その同一性を否定する理由にはならない。
したがって、人物①ないし③は同一人物であると認められる。

人物①ないし③と犯人との同一性についてAは、犯人の特徴等について、線路沿いの道を通行中、自転車に乗った男性に追
い抜かれ、その男性は2本目の路地に入っていったようだった、そのまま本件犯行現場付近を歩いていると、その男性にスパナではたかれてバッグをとられそうになった、その男性は、60歳代、身長165センチメートルくらいで、白色マスク、サングラス、フード付きの黒色ジャンパー、黒色系ズボンを着用しており、スパナの長さは30センチメートルくらいだった、男性は自分が歩いていた方向とは逆の方向に逃げて行ったと証言する。この証言は、Aが被害直後の110番通報において、自転車に乗っていた男性にスパナではたかれた、犯人は50歳か60歳くらいの男性であり、身長は165センチメートルくらい、白色マスク、サングラス風の黒い眼鏡、紺色ジャンパー、黒っぽいズボンを着用していた、自分の進行方向と反対の方向に逃げて行ったと話していたこととほぼ整合しており、信用できる。Aが110番通報した時刻は午前11時22分であり、通報の中で、10分くらい前に被害に遭ったと述べていること、午前11時に本件犯行現場から500メートル程度離れていると認められる郵便局においてAが郵送手続をした記録が残っていたことから、前記各カメラの映像の撮影時刻頃にAが被害に遭ったと認められる。そして、捜査用カメラに映った人物①が後ろを振り返るなどして走っていることは、振り返った方向がすぐ近くの本件犯行現場であることからして、人物①が逃走した直後の犯人であることを強く推認させる。また、その後の人物②及び人物③の行動は、一度2本目の路地に入って止めた自転車を回収しに行き、それに乗って逃げたという犯人の一連の自然な行動として理解できる。さらに、両者の特徴について比較すると、両者は、黒色系のフード付き長袖上着及び黒色系長ズボン、白色マスクを着用している点や、自転車に乗っている点が合致する。
なお、Aの証言からは犯人が捜査用カメラのある3本目の路地ではなく線路沿いの道を逃走したかのように理解できなくもないが、Aは110番通報では明確に見たわけではない旨述べ、公判廷においても、逃走した犯人は前の方にはおらず後ろ
の方へ逃げて行ったことを覚えていると証言しているから、Aのこの証言内容は、犯人が3本目の路地に逃げたことを否定する趣旨ではなく、人物①ないし③が犯人でないとの疑いを生じさせるものではない。
したがって、人物①ないし③は、本件の犯人であると認められる。⑵

犯人の特徴と被告人の特徴の同一性について
犯人の特徴から被告人との同一性を検討するに当たっては、犯人の特徴と被告人
の特徴が合致する必要があることは当然であるが、それだけでは足りず、捜査用カメラ等やAの証言によって認められる犯人の特徴が、これらを充足する人物は1人しかいない、といえる程に特定する力が強いものであることが論証される必要がある。そこで、以下、このような観点から検討を進める。
人物①や人物③の映像からは、犯人が、黒色系のフード付きであり一定の厚みのある長袖上着、黒色系長ズボンを着用していることが認められる。人物③の映像からは、犯人が、茶色のつば付き帽子、白色マスク、側面に2本ラインの入った白色の靴(ただし、ラインの色は不分明である。)を着用していることが認められる。また、人物③が乗っている自転車は、車体の色は不分明なもののピンク様と見え、タイヤが比較的小さく、その側面は白色のもので、前後にかごがあり、前かごは丸みがあること、後ろかごは白色メッシュ状であること、スタンドはU字型であること、サドルは後ろかごの上部と同じ程度の高さであることが認められる。人物①及び人物②の映像からは、犯人がトートバッグ(色は明確ではないが白色でも黒色でもないもの)を所持していることが認められる。そして、A証言からは、犯人が、中肉の男性であり、サングラスを着用していたこと、長さ30センチメートル程度のスパナを所持していたことが認められる。また、A証言のうち、犯人が60歳代で、身長約165センチメートルであるとの点も、マスクやサングラス越しの短時間の目撃で正確性に限界はあるものの、大まかな特徴になるといえる。そこで、まず、犯人の服装について検討すると、当時の苫小牧市は、気温が20度以上ある暖かい気候であり、犯行があった同月19日午前11時台の苫小牧市内
の気温は21.7度であり、午後0時台の気温が23.4度であった。このような気温の下では、犯人のように、フード付きで厚みのある長袖の上衣を着用している者が、一定割合いることは否定できないとしても、多数存在するとは考え難い。このような服装に加えて、帽子、サングラス、靴、トートバッグの特徴の全てを充足することは、犯人を特定する強い要素となる。
次に、人物③の自転車についてみても、他にはない特徴とまではいい難いが、普段の生活で自動車を利用する者が多いと思われる地域において、タイヤが小さいもの、後ろかごが付いているもの、サドルを高くしているものはそれぞれ数が多くはないことからすれば、犯人を特定する要素となる。
さらに、犯人がスパナを所持していたことについて検討すると、スパナを所持する人物としては、これを修理や整備の作業で使用する業者や工員が考えられるが、そのような業者や工員は、多数の工具の一部としてスパナを自動車に載せて所持していることが通常である。スパナを単体で所持していては用途が限られてしまうのであり、自転車に乗り、かごやトートバッグに入る程度のわずかなスパナ等の工具だけを持ち歩いている者は少ないと考えられる。護身用等に使うために所持することも考えられなくはないが、そのような者自体少なく、さらに、典型的な武器ではないスパナをそのような用途のために持ち歩く者がいる可能性は考えられない。また、約30センチメートルというスパナの大きさからすれば、何らかの理由でバッグに入れた後、忘れてそのまま入れっぱなしにしていることも考え難い。したがって、自転車に乗るなど人物①ないし③のような態様でスパナを所持する者は少ないと考えられ、自転車で犯人がスパナを所持していたことは、犯人を特定する強い要素となる。
以上の各要素を総合して検討すると、犯人が、犯行後被告人が職務質問を受けるまでの間に自転車で移動できる範囲を、広く、例えば苫小牧市内と想定してみた場合、犯人の年代や体形、前記検討の服装や所持品等、自転車といった特徴のみをもってしても、同市内においてこのような特徴を兼ね備える者は少ないといえる。し
かも、前記のとおり、自転車に乗り、スパナを所持していることが犯人を特定する強い要素となることからすれば、常識的に考えて、前記検討のとおりの服装や所持品等、自転車の特徴の全てを充足し、かつスパナを所持している人物は、当時の苫小牧市内には犯人を除いて他には存在しないと考えられる。
そして、被告人の特徴について検討すると、被告人は、茶色のつば付き帽子、白色マスク、薄手でない黒色系長袖上着、暗い色のズボン、側面に2本のラインの入った白色の靴を着用し、サングラスとトートバッグを所持している点で犯人の特徴と合致している(なお、光の加減によって、被告人の着用していた暗い緑色系長ズボンは黒色系に、所持していた緑色トートバッグは灰色等に見えるから、犯人の長ズボンやトートバッグの色と矛盾するものではない。)。被告人の自転車は、前後にかごがあることやかごの形状、スタンドがU字型であること、サドルの位置が高いことなどが犯人の自転車と合致している。さらに、被告人は、片側がスパナになっている全長約29センチメートルの本件レンチを所持していた。たまたま警察官が犯人と特徴が合致しているとして本件犯行現場から遠くない場所で職務質問をした被告人が、凶器であるスパナと合致する本件レンチを単体でトートバッグに入れて所持していたという事実は、被告人が犯人でなければ説明が困難である。弁護人は、被告人のジャンパーの前面にはファスナーが付いているところ、人物①ないし③の服にはファスナーがないと主張する。確かに、人物①ないし③の映像からは、ファスナーの存在を確実に見て取ることはできないが、光の当たり具合や解像度からして、付いていたファスナーが映り込まなかったと考えられる。以上のとおり、前記のとおりの犯人の特徴等を充足する人物は犯人以外には存在しないと考えられるところ、被告人の特徴等は、犯人の特徴等にほぼ合致しており、矛盾がない。したがって、被告人が犯人であることが強く推認される。4
本件レンチからAのDNA型が検出されなかったことについて
弁護人は、Aの服には血痕が複数箇所に付着していることからすれば、凶器であ
るスパナにも血液が付着する可能性が高いのに、被告人が所持していた本件レンチ
からはAのDNA型が検出されていないから、本件レンチは凶器に使われたスパナではなく、被告人が犯人でないことをうかがわせると主張する。
そこで検討すると、Aは左手に2か所擦過傷を負っており、これらから出血したと考えられる。前記けがは、Aが押し倒された際に地面等に手をついたことや、スパナが当たったことによって生じたと考えられる。もっとも、血液の服への付着状況やけがの状況からすれば、出血量は多くなかったと考えられ、けがをしてすぐ出血するとも限らないから、スパナに血が付かないことが考えられる。また、既に出血していた状態で殴打行為があったとしても、スパナがけがの部位に触れるとは限らないし、けがが服の袖で覆われていたことにより、スパナに血が付着しなかったことも考えられる。
したがって、本件レンチからAのDNA型が検出されていないからといって、本件レンチが凶器に使われたスパナではないとの疑いは生じず、被告人が犯人であるとの推認に疑いを容れるものとはいえない。
5
被告人の供述
被告人は、本件発生時は自宅でテレビを見ていたと供述する。
しかし、本件犯行現場から600メートル付近の距離にあると認められるパチン
コ店であるEやFの防犯カメラには、茶色のつば付き帽子、白色マスク、サングラス、左腕に白色のマークが付いたフード付き黒色系ジャンパー、黒色系長ズボン、側面に青と赤のラインが入った白色靴を着用し、緑色系トートバッグを所持した男性が、同日午前10時14分頃から午前10時47分頃にかけて、複数回、EやFに入店し、その間前後にかごのついた自転車で移動する様子等が映っている。前記特徴や移動状況からすれば、防犯カメラに映った各男性は同一人物であると認められる。そして、前記特徴は被告人の特徴と細部にわたって合致していること、服装の珍しさや自転車通りの少なさから、防犯カメラに映った男性は被告人と同一人物であると推認される。なお、ジャンパーのファスナーが映っていないように見えることは、前記検討と同様、光の当たり具合等による説明が可能であり、前記推認を
妨げる事情ではない。また、防犯カメラに映ったバッグには白いラインがあるように見えるものの、これは被告人のバッグの形状のために光の当たり具合によって白く見えたり、バッグの内容物がはみ出して映っていたりするものと考えられるから、前記推認を妨げる事情ではない。したがって、パチンコ店の防犯カメラに映った人物と被告人が同一人物であり、被告人が自宅にいたと供述する時間帯に被告人は前記パチンコ店にいたことが認められるから、被告人の供述は信用できない。なお、仮に、パチンコ店の防犯カメラに映った人物が被告人でなかったとしても、被告人の述べるテレビ番組の内容は、実際に番組を見ていなくても供述できる程度のものであり、被告人が供述する外出経緯も不自然であるから、被告人の供述は信用性に乏しく、前記3で検討した被告人の犯人性の推認には、疑いを容れない。6
動機について
弁護人は、被告人に金銭的余裕がないとはいえ、これまでも所持金が少ないとき
には食費を節約するなどしてやりくりしており、今回も強盗をしてまで金を必要としていた事情はないと主張する。
前記前提事実のとおり、被告人の資産は少なく、公共料金等の支払を滞納するなど、経済的に困窮していたことが認められる。このような経済状態において、公共料金等の支払原資等として金を欲し、ひったくりをして財物を得ようと考えることはあり得ることである。したがって、弁護人が主張する事情は、被告人が犯人であると認める上で支障になる事情とはいえない。
7
結論
以上のとおり、犯人の特徴と被告人の特徴から、被告人が犯人であると強く推認
され、その推認を覆す事情もないから、被告人が本件の犯人であると認められる。(法令の適用)省略
(量刑の理由)
被告人は、高齢女性である被害者をいきなり押し倒した上、バッグを引っ張り合いになり、固いコンビネーションレンチで被害者の右手を複数回殴打している。被
告人はコンビネーションレンチを持って外出しているが、その後パチンコ店周辺をうろついておりすぐには強盗に及んでいないことなどからすれば、本件犯行が計画的であるとまでは認められず、被告人が被害者を見かけて突発的に本件犯行に及んだ可能性が否定できない。しかし、それを踏まえても、前記のような態様からすれば、本件犯行は危険で短絡的である。
被害者は、本件犯行により加療約1か月間を要する骨折という重いけがを負っている上、被害の恐怖から本件犯行現場付近を通行できないなど多大な精神的苦痛を受けており、結果は重い。
被告人は、生活保護や年金を受給していたが、経済的に困窮し、公共料金等の支払原資等を得るために本件犯行に及んだと考えられる。被告人が支出を記録するなどして金銭管理に意を用いていたことはうかがわれるが、そうであるからといって、短絡的に強盗に及んだことを正当化するものとはいえず、動機は身勝手であり、酌量の余地はない。
以上を踏まえると、本件の犯情は、強盗は未遂に終わったが、凶器を用いて1か月以内程度の傷害を負わせたという他の多くの強盗致傷(強盗傷人も含む)事案に比肩しうるものと評価でき、被告人の刑事責任は相当に重い。
その上で、被告人が不合理な弁解に終始し、反省の態度に欠けること、20年余り前科がなく、この間は平穏に生活してきたこと、高齢であることなどの事情も併せ考慮して、被告人を主文の刑に処するのが相当と判断した。
よって、主文のとおり判決する。
(求刑

懲役8年、主文同旨の没収)

令和4年7月19日
札幌地方裁判所刑事第3部

裁判長裁判官

井下田

英樹
裁判官

加島
裁判官

後藤一十紺
トップに戻る

saiban.in