判例検索β > 令和3年(行ケ)第10070号
審決取消請求事件 特許権 行政訴訟
事件番号令和3(行ケ)10070
事件名審決取消請求事件
裁判年月日令和4年6月28日
法廷名知的財産高等裁判所
全文全文
最高裁判所〒102-8651 東京都千代田区隼町4番2号 Map
裁判日:西暦2022-06-28
情報公開日2022-07-08 04:00:19
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令和4年6月28日判決言渡
令和3年(行ケ)第10070号
口頭弁論終結日

審決取消請求事件

令和4年4月26日
判原決告
ファミリーイナダ株式会社

同訴訟代理人弁理士

本同坂丹羽被告寛愛深
オシム・インターナショナル・
ピーティーイー・リミテッド

(審決書記載の名称

オシム・インターナショナル・リミテッド)

同訴訟代理人弁理士

治同阿部達彦同高橋史生同松尾直樹同野村同丹淺野主1彰進耕一朗文特許庁が無効2020-800056号事件について令和3年4月20日にした審決を取り消す。

2
訴訟費用は被告の負担とする。

3
この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。事実及び理由
第1

請求
主文第1、2項同旨

第2
事案の概要

1
特許庁における手続の経緯等
被告は、平成25年(2013年)6月3日を国際出願日として、発明の名称をマッサージ関連サービスを提供するシステムおよび方法とする発明について特許出願(以下、その明細書と図面を併せて本件明細書等という。)
をし、令和2年2月17日、特許権(特許第6662767号。請求項の数17。
以下、
この特許を
本件特許
という。の設定登録を受けた

(甲14の1、

甲30)

原告は、令和2年5月29日、本件特許について特許無効審判(無効2020-800056号、以下本件無効審判という。
)を請求し(甲31)
、特
許庁は、令和3年4月20日、結論を

本件審判の請求は、成り立たない。

とする審決(以下本件審決という。別紙1のとおり。
)をし、その謄本は、同

年5月6日、原告に送達された。
原告は、令和3年5月28日、本件審決の取消しを求めて本件訴訟を提起した。
2
特許請求の範囲の記載
本件特許の請求項1ないし17の記載は次のとおりである(以下、請求項1
ないし17に記載された発明を、
請求項の番号に応じてそれぞれ
本件発明1
ないし本件発明17といい、これらをまとめて本件各発明という。甲14の1)


請求項1(本件発明1)
マッサージ装置であって、
マッサージ部と、
リモートコントローラと、
前記マッサージ部の運動を駆動するように機能する駆動部と、
前記駆動部と接続された、縮小命令セットコンピュータであるマイクロコトローラとを備え、前記マイクロコントローラは、
外部装置と接続し、

前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードと、前記マッサージプログラムと関連付けられたアイコンのグラフィカルコンテンツとを、暗号化された形式で前記外部装置から受信して前記マッサージプログラムをメモリに保存し、
前記外部装置から受信した前記マッサージプログラムと前記アイコンの
前記グラフィカルコンテンツとを復号し、
前記アイコンを前記リモートコントローラに保存させ、
一連のマッサージ動作を身体に施すために前記マッサージ部を介して前記復号されたマッサージプログラムを実行する
ように構成される、マッサージ装置。



請求項2(本件発明2)
前記マイクロコントローラは前記外部装置から受信した前記マッサージプログラムを保存するための内部メモリを含む、請求項1に記載のマッサージ装置。



請求項3(本件発明3)
前記内部メモリは電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリを含む、請求項2に記載のマッサージ装置。



請求項4(本件発明4)
前記マッサージ装置が無線通信インターフェースをさらに含み、前記マイ
クロコントローラが前記無線通信インターフェースを経由して前記マッサージプログラムを前記外部装置から受信する、請求項1に記載のマッサージ装置。


請求項5(本件発明5)
前記無線通信インターフェースはブルートゥースインターフェースおよび/またはWi-Fiインターフェースを含む、請求項4に記載のマッサージ装置。


請求項6(本件発明6)
前記マイクロコントローラが前記マッサージプログラムを前記外部装置から受信する際に経由するユニバーサルシリアルバスインターフェースをさらに含む、請求項1に記載のマッサージ装置。



請求項7(本件発明7)
前記マイクロコントローラは、

前記アイコンを前記リモートコントローラの第2のメモリに保存するように構成された、請求項1に記載のマッサージ装置。


請求項8(本件発明8)
前記アイコンは、ビットマップファイルとして定義されている、請求項7に記載のマッサージ装置。



請求項9(本件発明9)
前記リモートコントローラは、前記マッサージプログラムを実行するために選択可能な、前記第2のメモリに保存された前記アイコンを表示するように機能するディスプレイ画面を有する、請求項7に記載のマッサージ装置。

請求項10(本件発明10)
マッサージチェアとして構成された、請求項1に記載のマッサージ装置。

請求項11(本件発明11)
マッサージ関連サービスを提供するシステムであって、
請求項1に記載のマッサージ装置と、

第1および第2のサーバコンピュータと、
前記マッサージプログラムを購入するために前記第1のサーバコンピュータと取引を実施し、
前記マッサージプログラムを前記第2のサーバコンピュータからダウンロードし、
前記マッサージプログラムを前記マッサージ装置に転送する
ように機能する端末装置と

を備える、システム。

請求項12(本件発明12)
前記端末装置は、インターネット接続を介して前記第2のサーバコンピュータから前記マッサージプログラムをダウンロードし、ブルートゥース接続を介して前記ダウンロードされたマッサージプログラムを前記マッサージ装
置に転送するように機能する、請求項11に記載のシステム。

請求項13(本件発明13)
前記マッサージプログラムは、前記マッサージ装置により復号可能な暗号化された形式で、前記端末装置にダウンロードされる、請求項11に記載のシステム。


請求項14(本件発明14)
マッサージ装置を動作させるための方法であって、
サーバコンピュータから端末装置へ、前記マッサージ装置のマイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムと、前記マッサージプロ
グラムと関連付けられたアイコンのグラフィカルコンテンツとを転送するステップであって、前記マイクロコントローラは縮小命令セットコンピュータである、ステップと、
前記端末装置と前記マッサージ装置との間の接続を、前記端末装置によって、確立するステップと、

1つまたは複数の暗号化されたファイルに含まれる前記マッサージプログラムと前記アイコンの前記グラフィカルコンテンツとを前記端末装置から前記マッサージ装置に、前記端末装置によって、転送するステップと、前記マッサージプログラムと前記アイコンの前記グラフィカルコンテンツとを復元するために前記1つまたは複数の暗号化されたファイルを、前記マッサージ装置の前記マイクロコントローラによって、復号するステップと前記マッサージプログラムに関連付けられた前記アイコンの前記復号され
たグラフィカルコンテンツを前記マッサージ装置のリモートコントローラに、前記マッサージ装置の前記マイクロコントローラによって、保存するステップと、
前記アイコンを前記マッサージ装置の前記リモートコントローラに、前記マッサージ装置の前記マイクロコントローラによって、
表示するステップと、

前記復号されたマッサージプログラムを、前記マッサージ装置の前記マイクロコントローラによって、実行するステップと、
を含む、方法。

請求項15(本件発明15)
前記マッサージプログラムは、インターネット接続を介して前記サーバコ
ンピュータから前記端末装置に転送される、請求項14に記載の方法。⒃
請求項16(本件発明16)
前記マッサージプログラムは、無線接続を介して前記端末装置から前記マッサージ装置に転送される、請求項14に記載の方法。


請求項17(本件発明17)
前記無線接続は、ブルートゥース接続を含む、請求項16に記載の方法。
3
本件無効審判において主張された無効理由の概要


無効理由1(サポート要件違反)
本件発明1及び14において、
受信ないし転送されているのは、
縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコード、すなわち、機械が実行可能なプログラム(機械語のプログラム)であるのに対して、本件特許の発明の詳細な説明において、
受信ないし転送されているのは、機械が実行可能な形式に変換」
されていないマッサージプログラムのプログラムコード、すなわち、機械が実行できない形式のプログラム(高水準言語のプログラム)である。したがって、本件発明1及び14のように、受信ないし転送されているのが、「縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコード、すなわち、機械が実行可能なプログラム(機械語のプログラム)であることは、発明の詳細な説明には記載されておらず、サポート要件違反である。
本件発明1の発明特定事項を包含する本件発明2ないし13並びに本件発
明14の発明特定事項を包含する本件発明15ないし17についても、同様の理由によってサポート要件違反である。
したがって、本件発明1ないし17は、発明の詳細な説明に記載したものではなく、特許法(以下、単に法という。
)36条6項1号に規定する要
件(サポート要件)を満たしていないものであるから、それらの特許は法1
23条1項4号に該当し、無効とすべきものである。


無効理由2(実施可能要件違反)
無効理由1(前記⑴)に示したように、
機械が実行可能な形式に変換す
る前のプログラムは機械が実行できないことは技術常識(甲10参照)であ
り、それにもかかわらず、
機械が実行可能な形式に変換する前において受
信ないし転送されているプログラムが実行可能なものであるとすると、それが一体どのようなものであるのかは、発明の詳細な説明には一切記載されていない。そのため、発明の詳細な説明と技術常識とに基づいて、本件発明1ないし17を実施しようとした場合に、どのように実施するかを当業者は理
解することができず、発明の詳細な説明は、本件発明1ないし17を当業者が実施することができる程度に記載されておらず、
実施可能要件違反である。
したがって、本件特許の発明の詳細な説明は、本件発明1ないし17を当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものではなく、法36条4項1号に規定する要件を満たしていないものであるから、それらの特許は法123条1項4号に該当し、無効とすべきものである。⑶

無効理由3(原文新規事項の追加)
本件特許の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲及び図面(WO2014/196922A2、甲14の2、以下本件原文明細書等という。)
の段落[0037]から[0039]には、その翻訳文である甲14の3(特表2016-523111号公報)の段落【0029】から【0031】に
示されるとおりの記載があり、この記載は本件明細書等(甲14の1)の段落【0029】から【0031】までの記載と同様である。この記載によれば、受信ないし転送されているのは、
機械が実行可能な形式に変換されて
いないマッサージプログラムのプログラムコードであり、受信ないし転送されているのが、
縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードであることは、本件原文明細書等(甲14の2)には一切記載されていない。被請求人(特許権者)は、本件特許に係る拒絶査定不服審判の手続中に提出された令和元年11月1日提出の意見書(甲16)の2頁において、本件明細書等の段落【0009】及び【0016】を根拠として挙げるが、本件
明細書等の段落【0009】及び【0016】を参照しても、マッサージ装置において、マッサージプログラムを実行するのは、縮小命令セットコンピュータであることが記載されているだけであり、段落【0032】に記載されている機械が実行可能な形式に変換する前において、受信ないし転送されているプログラムが、縮小命令セットコンピュータによって実行可能で
あることは、本件原文明細書等には記載も示唆もされていない。
そのため、
本件発明1及び14のように、
受信ないし転送されているのが、
縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードであることは、本件原文明細書等に記載した事項の範囲内にないから、
原文新規事項追加の違反があり、
本件特許は、法184条の18の規定によって読み替える法123条1項5号に該当し、無効とすべきものである。



無効理由4(進歩性欠如)
本件発明1ないし17は、本件特許の国際出願日前に頒布又は利用可能となった甲1の1に記載された発明及び甲2ないし甲13、甲18ないし甲29から把握される公知技術、技術常識ないしは周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、法29条2項の規定により特
許を受けることができないものであるから、それらの特許は、法123条1項2号に該当し、無効とすべきものである。


無効理由5(明確性要件違反)
本件発明1における縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラ及び前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコード並びに本件発明14におけるマイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラム及び前記マイクロコントローラは縮小命令セットコンピュータであるは、多義的な解釈が可能であり、不明確である。特に、
縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラという限定の存在を前提とすると、本件各発明における前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムは、何を包含し、何を包含しないのか、多義的な解釈が可能であり、本件特許の特許請求の範囲の記載は、
第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確である。
したがって、本件発明1及び14並びにこれらを引用する本件発明2ない
し13、15ないし17は明確性要件違反であり、法36条6項2号に規定する要件を満たしていないものであるから、それらの特許は、法123条1項4号に該当し、無効とすべきものである。
4
本件審決の判断の要旨
無効理由に対する本件審決の判断の要旨は、次のとおりである。なお、本件審決は、無効理由5、無効理由1ないし4の順で判断した。



無効理由5(明確性要件違反)について

本件発明1の縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラ及び前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードという発明特定事項は、技術思想として明確に理解できるものであるから、このことによって本件発明1が不明確になっているとはいえない。
(本件審決第5、2⑶〔本件審決21~22頁〕



本件発明14のマイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラム及び前記マイクロコントローラは縮小命令セットコンピュータであるという発明特定事項は、技術思想として明確に理解できるものであるから、このことによって本件発明14が不明確になっているとはいえない。
(本件審決第5、2⑷〔本件審決23頁〕



そうすると、本件発明1ないし17は、法36条6項2号に規定する要件を満たしているから、それらの特許は、法123条1項4号に該当しない。
(本件審決第5、2⑸〔本件審決23頁〕



無効理由1(サポート要件違反)について

本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明で、その発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。そして、本件発明1の発明特定事項を包含する本件発明2ないし13についても当然に、当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。

また、本件発明14は、発明の詳細な説明に記載された発明で、その発明の詳細な説明の記載に基づいて当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。そして、本件発明14の発明特定事項を包含する本件発明15ないし17も当然に、上記課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。
(本件審決第5、3⑸〔本件審
決26頁〕


そうすると、本件発明1ないし17は、法36条6項1号に規定する要件を満たしているから、それらの特許は、法123条1項4号に該当しない。
(本件審決第5、3⑻〔本件審決28頁〕




無効理由2(実施可能要件違反)について

本件明細書等の発明の詳細な説明には、当業者が過度の試行錯誤を要することなく、本件発明1ないし10のマッサージ装置、本件発明11ない
し13のシステムを製造し、使用することができる程度の記載があるといえ、また、本件発明14ないし17のマッサージ装置を作動させるための方法についても、当該発明を使用することができる程度の記載があるといえる。したがって、本件明細書等の発明の詳細な説明は、当業者が本件各発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているという
ことができる。
(本件審決第5、4⑴〔本件審決29頁〕


そうすると、本件明細書等の発明の詳細な説明の記載は法36条4項1号に規定する要件を満たしているから、本件特許は、法123条1項4号に該当しない。
(本件審決第5、4⑶〔本件審決29~30頁〕




無効理由3(原文新規事項の追加)について

本件原文明細書等(甲14の2)の段落[0024]には、
Inoneembodiment,themicrocontroller130canexemplarybea32-bitReducedInstructionSetComputing(RISC)microcontroller.と記載されており、これに対応する本件明細書等の段落【0016】には、

一実施形態において、マイクロコントローラ130は典型的な例として、ビットの縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロコントローラであり得る。

と記載されている。したがって、本件原文明細書等には、マイクロコントローラ130が縮小命令セットコンピュータであることが記載されていると認められる。
また、本件原文明細書等(甲14の2)の段落[0040]には、Instep608,inresponsetoanactivationsignal,themicrocontroller130thencanexecutethenewmassageprogramthroughthemassageunit120toapplyasequenceofmassageactionsonthebodyoftheuser.と記載されており、これに対応する本件明細書等の段落【0032】には、

ステップ608で、起動信号に応じてマイクロコントローラ130は、一連のマッサージ動作をユーザの身体に施すため、マッサージ部120を介して新しいマッサージプログラムを実行し得る。と記載されており、

マッサージプログ
ラムは、マイクロコントローラ130によって実行可能であることが記載されていると認められる。
したがって、本件発明1に記載の縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラ

前記マイクロコントローラによって実行可能な、マッサージプログラム

という事項は、本件原文明細書等に記載した事項の範囲内のものである。また、本件発明1に係るその余の発明特定事項についても本件原文明細書等に記載した事項の範囲内のものである。(本件
審決第5、5⑴〔本件審決30頁〕


原告(請求人)は、【0009】
【0016】を参照しても、マッサージ装置において、マッサージプログラムを実行するのは、縮小命令セットコンピュータであることが記載されているだけであり、【0032】に記載されている『機械が実行可能な形式に変換』する前において、受信ないし転送されているプログラムが、縮小命令セットコンピュータによって実行可能であることは、本件原文明細書等には記載も示唆もされていないから、本件発明1及び14のように、受信ないし転送されているのが、『縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラによって実行可能な』マッサージプログラムのプログラムコードであることは、本件特許の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にないから、原文新規事項追加の違反がある。(上記の【0009】、
【0016】及び【0032】は、本件明細書等の段落を指す。
)と主張す

る。
しかしながら、マッサージプログラムが変換される前の受信ないし転送されている状態については、マイクロコントローラによって実行する段階ではないことから、この状態においてマッサージプログラムをどのような形式のものとしておくかは当業者が適宜に設定し得るものと理解できる。
一方、
請求人が主張する『機械が実行可能な形式に変換』

する前において、受信ないし転送されているプログラムが、縮小命令セットコンピュータによって実行可能であること

は、
請求人独自の解釈に基づく理解であって、
本件特許の特許請求の範囲、本件明細書等に記載した事項を正解したものとはいえない。

したがって、原告(請求人)の主張は当を得たものではなく、採用することはできない。

そうすると、本件特許の特許請求の範囲、本件明細書等に記載した事項は、本件原文明細書等に記載した事項の範囲内のものであるから、本件特許は、法184条の18の規定によって読み替えた法123条1項5号に
は該当しない。
(本件審決第5、5⑶〔本件審決31頁〕



無効理由4(進歩性欠如)について

主引用発明の認定
本件特許の国際出願日前に頒布又は利用可能となった甲1の1(米国特
許出願公開第2011/0055720号明細書)に記載された発明(主引用発明)は、次のとおりである。
(ア)

甲1発明1

治療用健康装置100であって、治療機構260、265とタブレットコンピュータまたはスマートフォン190と、前記治療機構260、265と接続された主データ処理装置200とを備え、前記主データ処理装置200は、外部計算装置と接続し、プログラミング言語に類似するテキストベースの治療用健康装置の指示言語からなる治療プログラムまたはシーケンスであって、パスワードを用いてタグ付けされた治療プログラムまたはシーケンスを前記外部計算装置からパスワードを入力してダウンロードし、前記治療用健康装置100を動作させるための前記治療プログラムまたはシーケンスを使用する、治療用健康装置100。(本件審決第5、6⑴ア(ウ)〔本件審決53
頁〕

(イ)

甲1発明2

タブレットコンピュータまたはスマートフォン190及び主データ処理装置200を備える治療用健康装置100を動作させるための方法であって、電子設備から外部計算装置へ、治療プログラムまたはシーケンスを転送するステップと、前記外部計算装置と前記治療用健康装置100との間の接続を、前記外部計算装置によって、確立するステップと、前記治療プログラムまたはシーケンスを前記外部計算装置から前記治療用健康装置100に、前記外部計算装置によって、転送するステップと、前記治療プログラムまたはシーケンスを、前記治療用健康装置100の前記主データ処理装置200によって、使用するステップと、を含む、方法。(本件審決第5、6⑴ア(エ)〔本件審決53頁〕)

本件発明1の容易想到性について
(ア)
a
本件発明1と甲1発明1の対比
一致点
マッサージ装置であって、マッサージ部と、リモートコントローラと、前記マッサージ部の運動を駆動するように機能する駆動部と、前記駆動部と接続されたマイクロコントローラとを備え、前記マイクロコントローラは、外部装置と接続し、前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードを、前記外部装置から受信して、一連のマッサージ動作を身体に施すために前記マッサージ部を介してマッサージプログラムを実行するように構成される、マッサージ装置。(本件審決第5、6⑵イ〔本件審決82頁〕


b
相違点1
駆動部と接続されたマイクロコントローラによる処理に関し、本件発明1は、マッサージプログラムのプログラムコードと、前記マッサージプログラムと関連付けられたアイコンのグラフィカルコンテンツ
とを、暗号化された形式で外部装置から受信して前記マッサージプログラムをメモリに保存し、前記外部装置から受信した前記マッサージプログラムと前記アイコンのグラフィカルコンテンツとを復号し、前記アイコンを前記リモートコントローラに保存させており、マッサージ部を介して実行される前記マッサージプログラムが復号された
ものであるのに対し、甲1発明1は、マッサージプログラムのプログラムコードと、マッサージプログラムと関連付けられたアイコンのグ
ラフィカルコンテンツとを、暗号化された形式で前記外部装置から受信しているかは明らかでなく、マッサージプログラムをメモリに保存しているかも明らかでなく、外部装置から受信したマッサージプログラムとアイコンのグラフィカルコンテンツとを復号しているかも明らかでなく、アイコンをリモートコントローラに保存させているかも明
らかでなく、したがって、マッサージ部を介して実行されるマッサージプログラムが復号されたものであるかも明らかでない点。
(本件
審決第5、6⑵イ〔本件審決82~83頁〕

c
相違点2
マイクロコントローラに関し、本件発明1は、縮小命令セットコン
ピュータであるのに対し、甲1発明1は、縮小命令セットコンピュータであるかは明らかでない点。
(本件審決第5、6⑵イ〔本件審決83
頁〕

(イ)
相違点についての判断
相違点1における本件発明1のマッサージプログラムのプログラムコードと、マッサージプログラムと関連付けられたアイコンのグラフィカルコンテンツとを、暗号化された形式で外部装置から受信してマッサージプログラムをメモリに保存し、外部装置から受信したマッサージプログラムとアイコンのグラフィカルコンテンツとを復号し、アイコンをリモートコントローラに保存させるという一連の処理を駆動部と接続したマイクロコントローラによって行うことは、
甲2ないし甲13、
甲18ないし甲29のいずれにも記載されていない。
(本件審決83頁)
甲2において、
制御端末110は、
テレビ100、
テレビ電話101、
オーディオコンボ102と例示される複数の家電機器を制御対象とするものであるが、当該家電機器がその装置内部において当該機器の各種機能を駆動する駆動部と当該駆動部の制御を行う制御部を備えるものであることが技術常識であるところ、上記制御端末110から複数の家電機器に対する制御命令は、家電機器の制御部に対して実行されるものと解される。そうすると、上記制御端末110は、家電機器の駆動部に接続して制御する装置ではないから、本件発明1の駆動部に接続されたマイクロコントローラに相当するものではない。(本件審決84頁)
したがって、甲2に記載のシステムにおいて、制御端末110が被制御端末の操作実行ファイル及びその操作に対応するアイコンを受信し、リモコン端末140に対して上記アイコンなどの識別子を送信しているとしても、上記相違点1における駆動部に接続されたマイクロコントローラによる処理に関するものではなく、上記相違点1における本件発明1に係る構成を開示するものとはならない。
(本件審決84頁)
甲3において、AV用集中制御装置(12)は、CDプレーヤ等と例示される複数のAV用機器(14)を制御対象とするものであるが、当該AV用機器がその装置内部において当該機器の各種機能を駆動する駆動部と当
該駆動部の制御を行う制御部を備えるものであることが技術常識であるところ、上記AV用集中制御装置(12)から複数のAV用機器(14)に対する制御命令は、家電機器の制御部に対して実行されるものと解される。そうすると、上記AV用集中制御装置(12)は、AV用機器の駆動部に接続して制御する装置ではないから、本件発明1の駆動部に接続されたマイクロコントローラに相当するものではない。(本件審決84頁)
したがって、
甲3に記載のシステムにおいて、
AV用集中制御装置(12)
が被制御端末のコマンド及びそのコマンドに対応するアイコンソースを受信し、
リモコンに対して上記アイコンソースを送信しているとしても、
上記相違点1における駆動部に接続されたマイクロコントローラによる処理に関するものではなく、上記相違点1における本件発明1に係る構成を開示するものとはならない。
(本件審決84頁)
したがって、甲2及び甲3から共通して

制御装置が、プログラムと当該プログラムと関連づけられたアイコンとを併せて受信し、当該アイコンはリモートコントローラ等の操作手段に保存させる

という技術的事項が把握し得るとしても、当該制御装置が、本件発明1の駆動部に接続されたマイクロコントローラに相当するものでない以上、上記相違点1における
駆動部に接続されたマイクロコントローラによる処理
に適用しようとする動機は生じ得ない。
(本件審決84~85頁)
甲4において、アイコン情報を保存する対象は、携帯電話装置1が有するアイコン情報記憶領域13cであって、リモートコントローラでは
ない。
(本件審決85頁)
したがって、甲4に記載のシステムにおいて、携帯電話装置1がMIDletアプリケーション及びアイコンをダウンロードし、ダウンロードしたアイコン情報をアイコン情報記憶領域13cに上書き保存しているとしても、上記相違点1におけるアイコンをリモートコントローラに保存していないことから、上記相違点1における本件発明1に係る構成を開示するものとはならない。
(本件審決85頁)
甲5ないし甲7には、プログラムをダウンロードするシステムにおいて、購入手続き用のサーバコンピュータと、プログラムダウンロード用のサーバコンピュータとを利用することが記載されているものと認めら
れるが、上記相違点1における本件発明1に係る構成に相当するものではない。そのほか甲8ないし甲12、甲18ないし甲29についてみても、いずれにも上記相違点1における本件発明1に係る構成の記載や示唆は見当たらない。
(本件審決85頁)
そうすると、相違点1における本件発明1に係る構成は、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。
(本件審決85頁)
(以上につき、本件審決第5、6⑵ウ)

したがって、本件発明1は、相違点2について検討するまでもなく、甲1発明1及び甲2ないし甲12、甲18ないし甲29の記載事項から把握される公知技術、技術常識ないしは周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(本件審決86頁)
(以上につき、本件審決第5、6⑵オ)


本件発明2ないし13の容易想到性について
本件発明2ないし13は、本件発明1を直接あるいは間接に引用したものであり、本件発明1を発明特定事項に含むものであるところ、甲1発明1と対比すると、少なくとも相違点1及び相違点2を含むものとなる。したがって、本件発明2ないし13も、本件発明1と同様に、甲1発明1及
び甲2ないし甲12、甲18ないし甲29の記載事項から把握される公知技術、技術常識ないしは周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(本件審決第5、6⑶〔本件審決8
6頁〕


本件発明14の容易想到性について
(ア)
a
本件発明14と甲1発明2の対比
一致点
マッサージ装置を動作させるための方法であって、サーバコンピュータから端末装置へ、前記マッサージ装置のマイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムを転送するステップと、前記端末装置と前記マッサージ装置との間の接続を、前記端末装置によって、確立するステップと、前記マッサージプログラムを前記端末装置から前記マッサージ装置に、前記端末装置によって、転送するステップと、前記マッサージプログラムを、前記マッサージ装置の前記マイクロコントローラによって、実行するステップと、を含む、方法。(本件審決第5、6⑷イ〔本件審決87頁〕)
b
相違点3
マッサージ装置のマイクロコントローラでの処理に関し、

本件発明14は、サーバコンピュータから端末装置を介してマッサージ装置に転送される情報が、マッサージ装置のマイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムと当該マッサージプログラムと関連づけられたアイコンのグラフィカルコンテンツとが1つまたは複数の暗号化されたファイルに含まれるようにして転送されて、
前記マッサージプログラムと前記アイコンのグラフィカルコンテンツとを復元するために前記1つまたは複数の暗号化されたファイルを、前記マッサージ装置の前記マイクロコントローラによって復号するステップと、前記マッサージプログラムに関連付けられた前記アイコンの前記復号されたグラフィカルコンテンツを前記マッサージ装置のリ
モートコントローラに、前記マッサージ装置の前記マイクロコントローラによって保存するステップと、前記アイコンを前記マッサージ装置の前記リモートコントローラに、前記マッサージ装置の前記マイクロコントローラによって表示するステップと、前記復号されたマッサージプログラムを、前記マッサージ装置の前記マイクロコントローラ
によって実行するステップと、を有しているのに対し、
甲1発明2は、マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムと当該マッサージプログラムと関連づけられたアイコンのグラフィカルコンテンツとが、1つまたは複数の暗号化されたファイルに含まれるようにして転送されているかは明らかでなく、したがって、前記マッサージプログラムと前記アイコンのグラフィカルコンテンツとを復元するために前記1つまたは複数の暗号化されたファイ
ルを、前記マッサージ装置の前記マイクロコントローラによって復号するステップと、前記マッサージプログラムに関連付けられた前記アイコンの前記復号されたグラフィカルコンテンツを前記マッサージ装置のリモートコントローラに、前記マッサージ装置の前記マイクロコントローラによって保存するステップと、前記アイコンを前記マッサ
ージ装置の前記リモートコントローラに、前記マッサージ装置の前記マイクロコントローラによって表示するステップと、前記復号されたマッサージプログラムを、前記マッサージ装置の前記マイクロコントローラによって実行するステップと、を有しているかも明らかでない点。
(本件審決第5、6⑷イ〔本件審決87~88頁〕)

c
相違点4
マイクロコントローラに関し、本件発明14は、縮小命令セットコンピュータであるのに対し、甲1発明2は、縮小命令セットコンピュータであるかは明らかでない点。
(本件審決第5、6⑷イ〔本件審決8
8頁〕


(イ)

相違点についての判断
相違点3は、その内容からみて、本件発明1と甲1発明1との相違点
1に実質上対応するものであるところ、相違点3における本件発明14のマッサージ装置のマイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムと当該マッサージプログラムと関連づけられたアイコンのグラフィカルコンテンツとが1つまたは複数の暗号化されたファイルに含まれるようにして転送されて、前記マッサージプログラムと前記アイコンのグラフィカルコンテンツとを復元するために前記1つまたは複数の暗号化されたファイルを復号するステップと、前記マッサージプログラムに関連付けられた前記アイコンの前記復号されたグラフィカルコンテンツを前記マッサージ装置のリモートコントローラに保存するステッ
プと、前記アイコンを前記マッサージ装置の前記リモートコントローラに表示するステップと、前記復号されたマッサージプログラムを実行するステップとからなる一連のステップを、マッサージ装置のマイクロコントローラで行うことは、甲2ないし甲13、甲18ないし甲29のいずれにも記載されておらず、
相違点1についての判断に示したとおり、

当業者が容易に想到し得るものとはいえない。
したがって、
本件発明14は、
相違点4について検討するまでもなく、
甲1発明2及び甲2ないし甲12、甲18ないし甲29の記載事項から把握される公知技術、技術常識ないしは周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(本件審決第5、
6⑷

ウ〔本件審決88~89頁〕


本件発明15ないし17の容易想到性について
本件発明15ないし17は、本件発明14を直接あるいは間接に引用したものであり、本件発明14を発明特定事項に含むものであるところ、甲1発明2と対比すると、少なくとも相違点3及び相違点4を含むものとな
る。したがって、本件発明15ないし17も、本件発明14と同様に、甲1発明2及び甲2ないし甲12、甲18ないし甲29の記載事項から把握される公知技術、技術常識、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(本件審決第5、6⑸〔本件審
決89頁〕



小括
本件発明1ないし17に係る特許は、法29条2項に違反してされたものではないから、法123条1項2号には該当しない。
(本件審決第5、6
⑹〔本件審決89頁〕

5
原告主張の取消事由


取消事由1
請求項1の原文新規事項の判断の誤りないし理由不備(無効理由3関係)


取消事由2
請求項14の原文新規事項の判断遺脱(無効理由3関係)



取消事由3
本件発明1ないし13のサポート要件の判断の誤り(無効理由1関係)


取消事由4
本件発明14ないし17のサポート要件の理由不備(無効理由1関係)


取消事由5
明確性要件の判断の誤り(無効理由5関係)



取消事由6
実施可能要件の判断の誤り(無効理由2関係)



取消事由7
進歩性の判断の遺脱ないし審理不尽(無効理由4関係)



取消事由8
甲2及び甲3の記載事項から把握される技術の認定の誤り(無効理由4関
係)


取消事由9
相違点の判断の誤り(無効理由4関係)

第3
1
当事者の主張
取消事由1(請求項1の原文新規事項の判断の誤りないし理由不備〔無効理由3関係〕
)について
〔原告の主張〕


本件発明1におけるマイクロコントローラが受信するプログラムコードの意味
本件発明1には、前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサー

ジプログラムのプログラムコード(中略)を、暗号化された形式で(中略)受信し

という工程(以下受信工程という。)がある。受信工程において
用いられている実行可能という語は、技術用語であって、

コンピュータの中央処理装置(CPU)が、直ちに『実行』できる形になったもの、そのための準備が完了したものについて用いられる。(英和コンピュータ用語大

辞典第3版executableの項、438頁~439頁、甲48)のであって、
プログラムが
実行可能
な段階になる前の
実行不可能(non-executable)
(英和コンピュータ用語大辞典第3版executableprogramの項、439頁、甲48)な段階にあるプログラムとは区別される概念である。そして、本件特許の請求項1(本件発明1)には、
縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラという記載があるから、受信工程でいう前記マイクロコントローラは、縮小命令セットコンピュータである。したがって、本件発明1の前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードとは、プログラムの形式について、受信したときにおいて、機械語に変換するようなことを要せず直ちに縮小命令セットコンピュータによって実行可能なマッサージプログラムのプ
ログラムコードであることを意味する。


本件原文明細書等の記載

本件原文明細書等(甲14の2)の段落[0040]には、themicrocontroller130thencanexecutethenewmassageprogram・・
(マイクロコントローラ130はマッサージプログラムを実行し得る・・)との記載があるだけであって、単に、マッサージプログラムを実行する時点において、最終的に、マッサージプログラムを実行し得る(canexecute)ことが記載されているにすぎず、本件発明1の受信工程において受信したときのプログラムコードの形式についての記載は全く存在せず、受信したときにプログラムコードが実行可能
(executable)であることを意味する
ものではない。


本件原文明細書等の段落[0039]には、受信した後のマッサージプログラムコードに関し、

・・復号し、マッサージプログラムのコードを機械が実行可能な形式に変換

(…decrypt…、convertthecodeofthemassageprogramintoamachineexecutableform)することが記載されており、この記載は、プログラムコードの受信・復号の後に、そのプログ
ラムコードを機械が実行可能な形式に変換することで、機械が実行可能な形式のプログラムコードになることを示しているから、本件原文明細書等に記載されているのは、受信・復号の後に、実行可能形式に変換して、実行することだけであり、受信したときに既に実行可能形式であるものは、記載されていない。


そうすると、本件原文明細書等の全ての記載を総合することにより導かれるマイクロコントローラは、受信・復号した後に、マッサージプログラムのプログラムコードを、機械が実行可能な形式に変換する変換機能を備えるマイクロコントローラだけである。そのため、受信されるプログラムコードは、機械が実行可能な形式にマイクロコントローラによって変
換される前の形式のものであり、機械語に変換するようなことを要せず直ちに縮小命令セットコンピュータによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードではない。

原文新規事項の追加の有無
そうすると、本件発明1の前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードは、受信されるプログラムコードの形式について、機械語に変換するようなことを要せず直ちに縮小命令セットコンピュータによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードであることを意味するところ、このようなプログラムコードは、本件原文明細書等には記載されていない。
本件審決は、本件発明1を構成する各事項を総合して導かれる受信工程の
技術的意義から離れ、
単に受信工程に含まれる
前記マイクロコントローラ
(=縮小命令セットコンピュータ)マッサージプログラム実行可能、

という事項を、本件原文明細書等の段落[0040]に記載された

microcontroller(マイクロコントローラ)、

massageprogram(マッサージプログラム)、

canexecute(実行し得る)という用語と形式的に対比し
たにすぎず、本件原文明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、受信工程が新たな技術的事項を導入するものであるか否かという判断を示しておらず、理由不備であるとともに、原文新規事項の追加の判断を誤ったものである。


被告の主張に対し
被告が指摘する本件原文明細書等の段落[0017]のapluralityofmassageprogramsthatareexecutableonthemassageapparatus106(マッサージ装置106上において実行可能な複数のプログラム)という記載は、当業者にとって、マッサージプログラムが実行可能となる場所が、マッサージ装置106上においてであることを説明した記載であるとしか理解できないから、このような記載に接しても、当業者は、マッサージプログラムの言語の形式について、機械語に変換するようなことを要せず直ちにマイクロコントローラによって実行可能なプログラムであることを説明したものと理解することはできない。

また、被告の指摘する本件原文明細書等の段落[0024]の記載は、マイクロコントローラの機能・種類を説明したものにすぎず、当業者は、マッサージプログラムの言語の形式を説明したものと理解することはできない。被告の主張は、マッサージプログラムが実行可能となる場所の説明、及びマイクロコントローラの機能・種類の説明から、これらとは別の技術的事項であるマッサージプログラムのプログラムコードの言語の形式という技術的事項を作出するものであって、失当である。
被告は、本件原文明細書等の段落[0039]に関し、

復号、変換、保存のそれぞれが『行われ得る』ことを開示しているものであるから、プログラムコードを機械が実行可能な形式に変換する以外の態様を排除する記載ではない。

と主張しているが、仮に、排除する記載ではないとしても、
縮小命令セットコンピュータによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードという言語の形式が、本件原文明細書等に記載されているわけではないから、被告の主張は失当である。
〔被告の主張〕
本件原文明細書等の段落[0017]及び[0024]本件明細書等の段落(
【0

009】及び【0016】
)の記載から、本件原文明細書等の段落[0017]に
いうマッサージ装置106で実行可能な複数のマッサージプログラムは、マッサージ装置106のマイクロコントローラ130によって実行されるプログラムを意味することは明らかである。そして、本件原文明細書等の段落[0024](本件明細書等の段落【0016】
)の記載から、マッサージ装置106の動作を

制御し監視するマイクロコントローラ130は、RISCマイクロコントローラ(縮小命令セットコンピューティングマイクロコントローラ)であり得るから、サーバコンピュータ103に保存されるマッサージ装置106で実行可能な複数のマッサージプログラムは、マッサージ装置のマイクロコントローラ130が縮小命令セットコンピューティングマイクロコントローラである場合には、縮小
命令セットコンピュータであるマイクロコントローラで実行可能な(executable)プログラムである。
また、本件原文明細書等の段落[0025]及び[0034](本件明細書等の段落【0017】及び【0026】
)には、このマッサージプログラムのファイ
ルは、サーバコンピュータ103から、端末装置104にダウンロードされ、端末装置104からマッサージ装置106に転送されることが記載され、さらに、マッサージプログラムのファイルは、マッサージ装置106でのみ復号可能な暗号化
された形式で端末装置104にダウンロードされ得ることが記載されている。さらに、本件原文明細書等の段落[0039](本件明細書等の段落【0031】
)には、
themicrocontroller130candecryptthefile(s)torecoverthemassageprogramcodeandthegraphicalicons(theiconsmaybedefinedasbitmapfiles),convertthecodeofthemassageprogramintoamachineexecutableform,andthenrespectivelystorethemassageprogramcodeandtheiconsinthememory136andtheremotecontroller150.と、復号、変換、保存のそれぞれが行われ得ることを開示しているものであるから、プログラムコードを機械が実行可能な形式に変換する以外の態様を排除する記載ではない。

以上によれば、本件原文明細書等には、請求項1の縮小命令セットコンピュータである前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムを、暗号化された形式でサーバコンピュータ103(外部装置)から端末装置104にダウンロード(受信)することが記載されているから、本件発明1について、本件審決による原文新規事項の追加の判断に誤りはない。
原告は、本件発明1の前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードとは、プログラムの形式について、受信したときにおいて、機械語に変換するようなことを要せず直ちに縮小命令セットコンピュータによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードであることを意味すると主張するが、その主張は根拠がない。
2
取消事由2(請求項14の原文新規事項の判断遺脱〔無効理由3関係〕)につ
いて
〔原告の主張〕


本件特許の請求項14の原文新規事項の追加の有無の判断
本件発明1では受信しとされている事項が、本件発明14では転送するとして特定されているから、本件発明1と本件発明14は、共通する事項があるとしても、異なる事項を含んでおり、本件特許の請求項1と請求項14は、それぞれ独立項であり、引用関係にあるわけでもないから、本件特許の請求項14(本件発明14)の原文新規事項の追加の有無は、請求項1(本件発明1)の原文新規事項の追加の有無とは別個に判断されるべきで
あるが、本件審決がこれらを別個に判断していないのは誤りである。なお、原文新規事項の追加の判断が実質的にされていると評価するには、転送するを含む特許請求の範囲の請求項14(本件発明14)が、本件原文明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるか否かという判断がさ
れていることが必要であるところ、本件審決は、そもそも、請求項1(本件発明1)とともに、そのような手法による判断を欠いている。仮にそのような判断をしていると解したとしても、本件発明14の前記マッサージ装置のマイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムとは、プログラムの形式について、受信したときにおいて、機械語に変換するよう
なことを要せず直ちに縮小命令セットコンピュータによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムであることを意味するにもかかわらず、本件審決の判断は、本件発明14の前記マッサージ装置のマイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムは、直ちに縮小命令セットコンピュータによって実行可能なマッサージプログラムに限られないことを前
提とするものであり、本件発明1の原文新規事項の追加の判断と同様に誤っている。


被告の主張に対し
転送することが本件原文明細書等に記載されているとしても、単にそれだけでは、請求項14が本件原文明細書等に記載されていることにはならないから、被告の主張は失当である。

〔被告の主張〕
本件原文明細書等にはマッサージプログラムDMPは、サーバコンピュータ(例、サーバコンピュータ103)から端末装置104にダウンロードされ、次いでメモリ136に保存するために端末装置104からマッサージ装置106に転送され得ることが記載されている。したがって、
本件発明14について、
縮小命令セットコンピュータである

マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムを転送することが本件原文明細書等に記載されているから、本件審決における原文新規事項の追加の判断に誤りはない。
原告は、本件発明14の前記マッサージ装置のマイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムとは、プログラムの形式について、受
信したときにおいて、機械語に変換するようなことを要せず直ちに縮小命令セットコンピュータによって実行可能なマッサージプログラムであることを意味すると主張するが、その主張は根拠がなく、採用することができない。3
取消事由3(本件発明1ないし13のサポート要件の判断の誤り〔無効理由1関係〕
)について

〔原告の主張〕


本件発明1のサポート要件の判断の誤り
前記1の〔原告の主張〕⑴のとおり、本件発明1の前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードとは、

プログラムの形式について、受信したときにおいて、機械語に変換するようなことを要せず直ちに縮小命令セットコンピュータによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードであることを意味するところ、これは、
本件原文明細書等には記載されておらず、そのため、本件原文明細書等の翻訳である本件明細書等にも記載されていない。
本件明細書等の発明の詳細な説明の

・・復号し、マッサージプログラムのコードを機械が実行可能な形式に変換

(段落
【0031】という記載は、


プログラムコードの受信・復号の後に、そのプログラムコードを機械が実行可能な形式に変換することで、機械が実行可能な形式のプログラムコードになることを示しているから、
発明の詳細な説明に記載されているのは、
受信・
復号の後に、実行可能形式に変換して実行することだけであって、受信したときに既に実行可能形式であるプロググラムコードは、記載されていない。
そうすると、
本件発明1の受信工程

前記マイクロコントローラによって(実行可能なマッサージプログラムのプログラムコード(中略)を、暗号化された形式で(中略)受信し

という工程)は、本件明細書等の発明の詳細な説明に記載されたものではない。
したがって、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明で、その
発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえるとする本件審決の判断は誤りである。⑵

本件発明2ないし13のサポート要件の判断の誤り
本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明で、その発明の詳細な
説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえず、サポート要件を充足しないから、本件発明1の発明特定事項を包含する本件発明2ないし13も、発明の詳細な説明に記載された発明で、その発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえず、
サポート要件を充足しない。

したがって、本件発明2ないし13は、発明の詳細な説明に記載された発明で、その発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえるとする本件審決の判断は誤りである。
〔被告の主張〕
取消事由1に関して述べたように、本件原文明細書等には、請求項1の縮小命令セットコンピュータである前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラム暗号化された形式でサーバコンピュータ103を、
(外部装置)から端末装置104にダウンロード(受信)することが記載されており、本件原文明細書等の翻訳文である本件明細書等についても同様である。そのため、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明で、その発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる
範囲のものであり、サポート要件を充足する。
したがって、本件発明1がサポート要件を充足するという本件審決の判断に誤りはない。
また、本件発明1の発明特定事項を包含する本件発明2ないし13も、発明の詳細な説明に記載された発明で、その発明の詳細な説明の記載により当業者
が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであり、サポート要件を充足する。
したがって、本件発明2ないし13がサポート要件を充足するという本件審決の判断にも誤りはない。
原告は、本件発明1の前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードとは、プログラムの形式について、受信したときにおいて、機械語に変換するようなことを要せず直ちに縮小命令セットコンピュータによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードであることを意味すると主張するが、その主張には根拠がない。4
取消事由4(本件発明14ないし17のサポート要件の理由不備〔無効理由1関係〕
)について
〔原告の主張〕


本件発明14ないし17のサポート要件の判断
本件発明1では受信しとされている事項が、本件発明14では転送するとして特定されているから、本件発明1と本件発明14は、共通する事項があるとしても、異なる事項を含んでおり、本件特許の請求項1と請求
項14は、それぞれ独立項であり、引用関係にあるわけでもないから、本件発明14のサポート要件違反の有無は、本件発明1のサポート要件違反の有無とは別個に判断されるべきであるが、本件審決がこれらを別個に判断していないのは誤りである。
また、仮に本件審決が、本件発明14についてサポート要件の充足の判断
をしていると解したとしても、その判断は、本件発明14の前記マッサージ装置のマイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムは、直ちに縮小命令セットコンピュータによって実行可能なマッサージプログラムに限られないことを前提とするものであり、このような本件審決の判断は誤っている。



被告の主張に対し
転送することが本件原文明細書等に記載されているとしても、単にそれだけでは、請求項14が本件原文明細書等に記載されていることにはならないから、被告の主張は失当である。

〔被告の主張〕
取消事由2に関して述べたように、
本件原文明細書等には、
縮小命令セットコンピュータである
マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムを転送することが記載されており、本件原文明細書等の翻訳文である本件明細書等についても同様である。そのため、本件発明14は、発
明の詳細な説明に記載された発明で、その発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであり、サポート要件を充足する。
したがって、本件発明14がサポート要件を充足するという本件審決の判断に誤りはない。
また、本件発明14の発明特定事項を包含する本件発明15ないし17も、発明の詳細な説明に記載された発明で、その発明の詳細な説明の記載により当
業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであり、サポート要件を充足する。
したがって、本件発明15ないし17がサポート要件を充足するという本件審決の判断に誤りはない。
原告は、本件発明14の前記マッサージ装置のマイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムとは、プログラムの形式について、受信したときにおいて、機械語に変換するようなことを要せず直ちに縮小命令セットコンピュータによって実行可能なマッサージプログラムであることを意味すると主張するが、その主張には根拠がない。
5
取消事由5(明確性要件の判断の誤り〔無効理由5関係〕
)について

〔原告の主張〕
本件発明1の縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラ及び前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードという発明特定事項は、取消事由1において主張したように、受信したプログラムが(暗号化された形式であること以外に)、受信したと
きにおいて、機械語に変換するようなことを要せず直ちに縮小命令セットコンピュータによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードであることを意味すると解される。しかし、本件審決は、本件明細書等における発明の詳細な説明を参酌することにより、
上記の発明特定事項について、
暗号化された形式でマイクロコントローラが受信している状態においても、マッサージプログラムのプログラムコードがマイクロコントローラで実行可能な状態にあることまで特定するものと解すべきではないし、そのような必然性はないと認定しているから、上記の発明特定事項は、多義的であり、あるいはどのように解釈すべきであるかが不明であって、第三者は、本件発明1の技術的範囲に含まれるものと含まれないものを明確に区別できない。そのため、本件発明1は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であり、明確性要件を充足しない。
また、本件発明14も、本件発明1と同様に第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であり、明確性要件を充足しない。
そうすると、請求項1を引用する請求項2ないし13に係る本件発明2ない
し13、請求項14を引用する請求項15ないし17に係る本件発明15ないし17も同様に明確性要件を充足しない。
したがって、本件発明1ないし17は明確性要件を充足するとした本件審決は誤りである。
〔被告の主張〕

本件発明1の縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラ及び前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードという発明特定事項は、
明確に理解できるものであるから、
本件発明1は明確性要件を充足する。
原告は、本件発明1の前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードとは、プログラムの形式について、受信したときにおいて、機械語に変換するようなことを要せず直ちに縮小命令セットコンピュータによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードであることを意味するという主張を前提として、本件発明1は明確性要件を充足しないと主張するが、その前提とする主張は根拠がないし、本件発明1
が多義的であると解する余地もない。
また、本件発明14も、本件発明1と同様に明確性要件を充足する。そして、請求項1を引用する請求項2ないし13に係る本件発明2ないし13、請求項14を引用する請求項15ないし17に係る本件発明15ないし17も明確性要件を充足する。
したがって、本件発明1ないし17は明確性要件を充足するとした本件審決の判断に誤りはない。

6
取消事由6(実施可能要件の判断の誤り〔無効理由2関係〕
)について

〔原告の主張〕
本件明細書等の発明の詳細な説明には、受信した後のマッサージプログラムコードに関し、

・・復号し、マッサージプログラムのコードを機械が実行可能な形式に変換

(段落【0031】
)することが記載されており、この記載は、
プログラムコードの受信・復号の後に、そのプログラムコードを機械が実行可能な形式に変換することで、機械が実行可能な形式のプログラムコードになることを説明しているものと、当業者であれば理解する。しかし、他方で、取消事由1の〔原告の主張〕のとおり、本件発明1の前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードとは、プログラムの形式について、受信したときにおいて、機械語に変換するようなことを要せず直ちに縮小命令セットコンピュータによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードであることを意味し、本件発明1の受信工程は、マッサージプログラムのプログラムコードを受信したときに、そのプログラム
コードが実行可能な形式のプログラムコードであり、そのようなプログラムコードを暗号化された形式で受信していることを特定している。そうすると、プログラムコードの受信・復号の後に、そのプログラムコードを機械が実行可能な形式に変換することで、機械が実行可能な形式のプログラムコードになることを説明していると理解される段落【0031】を前提として、本件発明1の
ように実行可能な形式のプログラムを暗号化された形式で受信するというのは、一体どのような技術を意味しているのか、当業者は、理解することはできない。そのため、当業者は、本件発明1に係る物をどのように製造し、使用すればよいか理解することができないから、本件明細書等の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を充足しない。
また、本件発明14に関しても同様に、プログラムコードの受信・復号の後に、そのプログラムコードを機械が実行可能な形式に変換することが説明され
た段落【0031】を前提とすると、実行可能な形式のプログラムを暗号化された形式で転送するというのは一体どのような技術を意味しているのか、当業者は理解することができない。そのため、当業者は、本件発明14に係る方法をどのように使用すればよいか理解することができないから、本件明細書等の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を充足しない。

したがって、本件明細書等の発明の詳細な説明が実施可能要件を充足するとする本件審決の判断は誤りである。
〔被告の主張〕
当業者は、本件明細書等の発明の詳細な説明及び出願当時の技術常識に基づいて、本件発明1ないし13に係る物を製造、使用し、本件発明14ないし1
7に係る方法を使用することができる。
したがって、本特発明1ないし17について、実施可能要件を充足するとした本件審決の判断に誤りはない。
原告は、本件発明1の前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードとは、プログラムの形式について、受
信したときにおいて、機械語に変換するようなことを要せず直ちに縮小命令セットコンピュータによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードであることを意味するという主張を前提として、本件発明1は実施可能要件を充足しないと主張し、本件発明14についても同様な主張をするが、その前提とする主張は根拠がない。

7
取消事由7(進歩性の判断の遺脱ないし審理不尽〔無効理由4関係〕)について
〔原告の主張〕


本件発明1ないし13についての進歩性の判断の誤り
本件審決は、
本件発明1と甲1発明1との一致点として、
駆動部に接続されたマイクロコントローラを含めて認定している一方で、相違点1の冒頭において駆動部と接続されたマイクロコントローラによる処理に関しと
して、
一致点として認定された
駆動部に接続されたマイクロコントローラ
が、相違点1の一部に形式的に含まれるように特定している。ここで、相違点1における実質的な相違点は、
駆動部と接続されたマイクロコントローラによる処理に関しの後に続いて記載されている処理内容にあることが明らかであるにもかかわらず、
本件審決では、
一貫して、
一致点である
駆動部と接続されたマイクロコントローラに着目して判断しており、相違点1における実質的な相違点である処理内容についての容易想到性の判断は存在しない。そのため、本件審決では、相違点1に関する判断が、形式的には存在するが、相違点1として認定された実質的な相違点についての判断が存在せず、
相違点2についての判断も存在しないから、
結局、
本件審決は、

実質的には、本件発明1の相違点についての判断を何ら示していないものである。
したがって、本件審決には、本件発明1の進歩性の判断に誤りがある。また、請求項1を引用する請求項2ないし13に係る本件発明2ないし13の進歩性の判断にも誤りがある。



本件発明14ないし17についての進歩性の判断の誤り
本件審決は、
本件発明14と甲1発明2との一致点として、
前記マッサージ装置のマイクロコントローラを含めて認定している一方で、相違点3の冒頭においてマッサージ装置のマイクロコントローラでの処理に関しと
して、一致点として認定された前記マッサージ装置のマイクロコントローラが、相違点3の一部に形式的に含まれるように特定している。ここで、相違点3における実質的な相違点は、
マッサージ装置のマイクロコントローラでの処理に関しの後に続いて記載されている処理内容にあることが明らかであるにもかかわらず、
本件審決では、
一貫して、
一致点である
前記マッサージ装置のマイクロコントローラに着目して判断しており、相違点3における実質的な相違点である処理内容についての容易想到性の判断は存在しない。そのため、本件審決では、相違点3に関する判断が、形式的には存在するが、相違点3として認定された実質的な相違点についての判断が存在せず、相違点4についての判断も存在しないから、結局、本件審決は、実質的には、本件発明14の相違点についての判断を何ら示していない
ものである。
したがって、本件審決には、本件発明14の進歩性の判断に誤りがある。また、請求項14を引用する請求項15ないし17に係る本件発明15ないし17の進歩性の判断にも誤りがある。
〔被告の主張〕

本件審決は、相違点1に関し、本件発明1と甲1発明1とが共通に備える一致点として認定した前記駆動部と接続されたマイクロコントローラが相違するとして、
相違点1の認定を行っているのではなく、
マイクロコントローラによる処理に関し

暗号化された形式で外部装置から受信して前記マッサー、ジプログラムをメモリに保存

前記マッサージプログラムと前記アイコンし、のグラフィカルコンテンツとを復号

前記アイコンを前記リモートコントし、ローラに保存させ


前記マッサージプログラムが『復号された』ものである
か否かという点が相違すると認定していることは、本件審決の文言上明らかである。
また、本件審決は、相違点3に関し、本件発明14と甲1発明2とが共通に
備える一致点として認定したマッサージ装置のマイクロコントローラが相違するとして、
相違点3の認定を行っているのではなく、
マイクロコントローラでの処理に関しマッサージ装置のマイクロコントローラによって実行可、能なマッサージプログラムと当該マッサージプログラムと関連づけられたアイコンのグラフィカルコンテンツとが1つまたは複数の暗号化されたファイルに含まれるようにして転送

前記1つまたは複数の暗号化されたファイし、ルを、前記マッサージ装置の前記マイクロコントローラによって復号

し、

前記マッサージプログラムに関連付けられた前記アイコンの前記復号されたグラフィカルコンテンツを前記マッサージ装置のリモートコントローラに、前記マッサージ装置の前記マイクロコントローラによって保存

前記アイコンし、を前記マッサージ装置の前記リモートコントローラに、前記マッサージ装置の前記マイクロコントローラによって表示

前記復号されたマッサージプロし、グラムを、前記マッサージ装置の前記マイクロコントローラによって実行する

か否かという点が相違すると認定していることは、本件審決の文言上明らかである。
したがって、本件審決の相違点の認定及びそれに基づく進歩性の判断に誤りはなく、取消事由7に理由はない。

8
取消事由8(甲2及び甲3の記載事項から把握される技術の認定の誤り〔無効理由4関係〕
)について

〔原告の主張〕

本件審決は、
甲2に関して、
当該家電機器がその装置内部において当該機器の各種機能を駆動する駆動部と当該駆動部の制御を行う制御部を備えるものであることが技術常識であるところ、上記制御端末110から複数の家電機器に対する制御命令は、家電機器の制御部に対して実行されるものと解される。(本件審決第5、6⑵ウ〔本件審決84頁〕)と認定しているが、証拠
に基づかずに技術常識を認定しており、さらに、証拠に基づかない技術常識
を前提に、

上記制御端末110から複数の家電機器に対する制御命令は、家電機器の制御部に対して実行されるものと解される。という解釈を、

やはり
証拠に基づかず導いており、理由不備の瑕疵がある。
甲2の段落【0035】の記載によれば、甲2の制御端末110は、家電機器である被制御端末を操作するものであるから、その被制御端末(家電機器)が備える駆動部には、制御端末110からの信号が伝わるのが当然である。そうすると、甲2の制御端末110は、駆動部に信号が伝わるように駆
動部に接続されているといえるから、
甲2の制御端末110は、
駆動部に接続されたマイクロコントローラといえる。本件審決が認定した、証拠に基づかない技術常識及び解釈は、甲2の記載自体から導かれる理解に反するものであり、誤っている。
仮に、本件審決が認定した制御部を考慮した場合であっても、甲2の
制御端末110は、少なくとも、制御部を介して駆動部に間接的に接続されているといえるところ、本件発明1では

駆動部に、直接、接続されたマイクロコントローラ

と限定されているわけではないから、制御部を介した間接的な接続であっても、
駆動部に接続されたマイクロコントローラ
といえ
ることは明らかである。本件審決は、かかる点においても誤っている。
しかも、

上記制御端末110から複数の家電機器に対する制御命令は、家電機器の制御部に対して実行されるものと解される。

との本件審決の解釈は、
甲2の
上記制御端末110から複数の家電機器に対する制御命令
が、
駆動部に対して実行されるものではないという解釈を示すことを意図していると解されるところ、甲2の上記制御端末110から複数の家電機器に対する制御命令が、駆動部に対して実行されるものではないとい
う解釈は、甲2の記載自体に反する。


さらに、本件審決は、甲3に関し、甲2と同様に、証拠に基づかず、当該AV用機器がその装置内部において当該機器の各種機能を駆動する駆動部と当該駆動部の制御を行う制御部を備えるものであることが技術常識である(本件審決第5、6⑵ウ〔本件審決84頁〕
)として、技術常識を認定してお
り、理由不備の瑕疵がある。


そうすると、本件審決が甲2及び甲3の記載事項から認定した技術事項は、証拠に基づかないものであって、誤りである。

〔被告の主張〕
甲2及び甲3に記載された技術事項に関して、本件審決の認定(前記第2、
4⑸イ(イ)、本件審決第5、6⑵ウ〔本件審決83~84頁〕)に誤りはない。
本件審決では、相違点1に係る本件発明1の構成に関して、

甲2~甲13、甲18~甲29のいずれにも記載されていない

(本件審決第5、6⑵ウ〔本件
審決83頁〕
)と各証拠による認定をしていることは明らかである。また、甲2及び甲3に関して原告が指摘する本件審決の記載は、甲2及び甲3に相違点1に係る本件発明1の構成が記載されていないことについて、より詳細に検討した部分であり、甲2又は甲3に相違点1に係る本件発明1の構成が記載されていることについては、
無効審判請求人である原告に主張立証責任があるところ、
原告は、各証拠にそれが記載されていることについて具体的な主張立証を行っ
ていない。
そうすると、
本件審決においては、
証拠に基づく判断がされており、
進歩性の判断に誤りはないから、取消事由8は理由がない。
9
取消事由9(相違点の判断の誤り〔無効理由4関係〕
)について

〔原告の主張〕


本件発明1と甲1発明1との相違点について
取消事由7の〔原告の主張〕のとおり、本件審決では、相違点1における
実質的な相違点について容易想到性の判断を行っていないが、本件審決が行った相違点の判断についても、次のとおり誤りがある。

相違点1の判断について
(ア)

甲1の1には、
治療用健康装置
(マッサージチェア)
のプログラムを

ユーザが選択するために、対話型グラフィカルユーザインターフェースが利用されることが開示されているから、甲1の1のプログラムは、アイコンによって選択されることが予定されているものであり、プログラムが治療用健康装置
(マッサージチェア)
にダウンロードされる際には、
プログラムとともにアイコンのグラフィカルコンテンツも併せてダウンロードされていると考えるのが当業者の自然な理解であり、プログラムとともにアイコンのグラフィカルコンテンツを併せてダウンロードしていることは、甲1の1に記載されているに等しい事項といえる。仮に、アイコンが併せてダウンロードされていなければ、ユーザは、ダウンロードしたプログラムを選択することができず、技術的にみて、そのようなことをすることはあり得ない。
このことは、
プログラムを装置の外部からインターネット等を通じて受信し実行する装置において、当該プログラムだけでなく、それと関連づけられたアイコンのグラフィカルコンテンツも併せて受信し、前記アイコンを操作手段に保存させることが、
周知技術として、
周知技術1と定義されていること(本件無効審判の
審判請求書
(甲31)
51頁)
(このような技術は、
甲2~甲4、
甲42、

甲43に記載されている。
)からも裏付けられる。また、これは、プログ
ラムが格納されるファイルにはプログラムと関連付けられたアイコンのグラフィカルコンテンツも併せて格納されることが、周知慣用技術であって、当業者にとって常套手段であることによっても裏付けられる(甲44、甲45)


したがって、本件審決が認定した相違点1のうち、マッサージプログラムのプログラムコードを、
暗号化された形式で受信する際に、

前記マッサージプログラムのプログラムコードと関連付けられたアイコンのグラフィカルコンテンツも、暗号化された形式で受信する

ことは、実質的な相違点ではない。

仮に、上記の点が、甲1の1に記載されているに等しい事項でないとしても、アイコンによって選択されることが予定されているプログラムをダウンロードする際にアイコンも併せて受信しなければ、ダウンロードしたプログラムを選択することができなくなるから、アイコンによって選択されることが予定されているプログラムをダウンロードする際に、そのプログラムがアイコンによって選択できるように対処すべきことは、当業者が当然考慮すべき普遍的な課題であり、その普遍的課題の解決の手段として、プログラムをダウンロードする際にアイコンも併せて受信すること自体が周知技術であるから、プログラムをダウンロードする際にアイコンも併せて受信することは、当業者であれば容易になし得たことである。

(イ)

さらに、甲1発明1の治療用健康装置は、マッサージプログラムの
プログラムコードを、インターネット等を通じて受信するものであるところ、インターネット等の通信では、情報保護のために、SSLなどの暗号化/復号技術が広く行われている(甲28、甲29)
。したがって、
甲1発明1のインターネット通信において、情報保護のために、広く行われている暗号化/復号技術を採用することは、当業者の設計的事項にすぎない。そして、甲1発明1において、プログラムの受信に用いられるインターネット通信を暗号化すると、プログラム等の受信側である治療用健康装置では、
必然的に、
プログラム等を暗号化した形式で受信し、
復号することになる。そのような暗号化/復号をすることにより格別な
効果を奏するものでもない。
しかも、装置の外部からプログラム等を受信する際に、プログラム等を暗号化された形式で受信し、受信した装置で復号すること(暗号化/復号技術)も、コンピュータ(コンピューティング)技術ないしデータ通信技術の技術分野において周知性の高い技術である
(甲26、
甲27)


そうすると、甲1発明1において、ダウンロードに際して、周知性の高い暗号化/復号技術を採用することも、
当業者の設計的事項にすぎず、
それにより格別な効果を奏するものでもない。
(ウ)

また、ダウンロードしたプログラムをメモリに保存することは、通
常行う事項であり、甲1発明1においても当然実行しているものであり、この点は実質的な相違点ではない。
(エ)

そして、相違点1においては、
アイコンをリモートコントローラに保存させることが特定されているが、アイコンはプログラム選択という操作に利用されるものであり、甲1発明1においては、操作手段としてリモートコントローラを有しているのであるから、アイコンによって選択されることが予定されているプログラムをダウンロードした後、そのプログラムがアイコンによって選択できるように対処すべきことは、当業者が当然考慮すべき普遍的な課題であり、その普遍的課題に照らして、甲1発明1に操作手段として備わっているリモートコントローラにアイコンを保存させることは、
当然に必要とされることであるとともに、
アイコンをリモートコントローラに保存しなければ、プログラムを選択
できないことになるから、当業者であれば当然に考慮する設計的事項にすぎず、当業者であれば、容易に想到することができる。しかも、ダウンロードしたアイコンを、リモートコントローラに保存することは、周知の技術である(甲2、甲3、甲42)から、上記の普遍的課題を考慮して、当業者であれば、容易に採用することができる。

(オ)

さらに、上記のとおり、主データ処理装置200が受信した治療プ
ログラム等を復号することは、当業者が適宜なし得ることである。すなわち、暗号化されたものを利用するために復号するのは、当業者にとって当然であるので、マッサージ部を介して実行されるマッサージプログラムを復号されたものとすることも、当業者が当然なし得ることである。
(カ)

そうすると、本件審決が認定した相違点1に係る本件発明1の構成は、甲1発明1及び甲2ないし甲12、甲18ないし甲29記載の周知技術に基づいて、当業者が容易に想到することができたものである。イ
相違点2の判断について
相違点2に関し、甲1発明1では、マッサージプログラムのプログラム
コードを実行するマイクロコントローラがどのようなコンピュータであるのか明らかでないが、コンピュータのプロセッサアーキテクチャは、RISC(縮小命令セットコンピュータ)とCISC(複合命令セットコンピュータ)との二種類であることが技術常識(甲8、甲9)である。マッサージ装置の技術分野の当業者は、マッサージ装置を設計・製造するに当
たり、マッサージ装置を構成する部品であるマイクロコントローラを選択する必要があるところ、マイクロコントローラはRISCとCISCのいずれかであり、二つの選択肢から一つの選択肢である縮小命令セットコンピュータを選択することに、およそ困難性はない。二者択一の選択は、当業者が容易に適宜選択し得る事項であり、そのような選択をすることによ
り、格別な効果を奏するものでもない。
また、プロセッサアーキテクチャの一種としてのRISC(縮小命令セットコンピュータ)マッサージ装置の技術分野において周知の技術は、
(甲
8、甲9、甲21の1、甲21の2、甲25の1、甲25の2、甲25の3)であり、さらに甲8にはRISCが主流となっているという記載があ
るから、甲1発明1において、治療プログラムを実行する主データ処理装置200(マイクロコントローラ)として、周知技術のRISCを採用することは、当業者が容易になし得ることであるし、それにより、格別な効果を奏するものでもない。
そうすると、相違点2に係る本件発明1の構成は、甲1発明1及び甲2
ないし甲12、甲18ないし甲29記載の周知技術に基づいて、当業者が容易に想到することができたものである。

相違点の判断の誤りの有無
したがって、本件発明1と甲1発明1との相違点についての本件審決の判
断には誤りがある。


本件発明14と甲1発明2との相違点について
相違点1について述べたのと同様に、本件審決が認定した相違点3に係る
本件発明14の構成は、甲1発明2及び甲2ないし甲12、甲18ないし甲29記載の周知技術に基づいて、当業者が容易に想到することができたものであり、相違点4に係る本件発明14の構成は、甲1発明1及び甲2ないし甲12、甲18ないし甲29記載の周知技術に基づいて、当業者が容易に想到することができたものである。

したがって、本件発明14と甲1発明2との相違点についての本件審決の判断には誤りがある。


被告の主張に対し

被告は、相違点1の容易想到性に関する原告の主張は、相違点1を細かく分断したそれぞれの要素について個別に容易である旨を主張するもので
あるから、本件審決の相違点1の判断に誤りがあることを理由づけるものとはいえないと主張する。
しかし、本件発明1においては、細かく分断される事項それぞれの有機的な組み合わせが、何らかの格別の技術的効果を生じさせているわけではなく、
本件発明1は、
細かく分断された事項
(周知技術ないし設計的事項)

の寄せ集めにすぎないから、相違点1全体を一体としてのみ判断すべきとはいえない。しかも、本件審決自体が、相違点1を細かく分断して認定している。
したがって、原告の上記主張は、本件審決が相違点1を細かく分断して認定していることに照らしても、正当である。


被告は、相違点2の実質的な内容として後記相違点2’を主張するものの、相違点2の存在自体を否定するものではないから、相違点2’について検討するまでもなく、進歩性の判断としては、相違点2が容易想到であるかどうかを検討すれば足りる。そして、相違点2は、甲1発明1及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到することができたものであるから、本件発明1は進歩性を欠くものである。

なお、念のため、相違点2’について検討しても、甲12(特開2000-334011号公報)の段落【0107】及び【0108】には、マッサージ情報としてCPUが直接実行可能な形式のプログラムが記載されており、
当業者であれば、
甲1発明1に甲12のプログラムを適用し、
相違点2’に係る構成を容易に想到することができる。相違点2’に関し
被告の主張する阻害事由は、甲1発明1に甲12のプログラムを適用することを阻害するほどのものではない。
〔被告の主張〕


相違点1の容易想到性に関する原告の主張は、相違点1を細かく分断したそれぞれの要素について個別に容易である旨を主張するものであるから、本
件審決の相違点1の判断に誤りがあることを理由づけるものとはいえない。⑵

本件審決が判断するとおり、相違点1に係る本件発明1の構成は、甲1発明1及び甲2ないし甲12、甲18ないし甲29の記載事項から把握される技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないか
ら、本件発明1は、相違点2について検討するまでもなく、進歩性の要件を充足する。本件発明2ないし13は、本件発明1を発明特定事項に含むものであるから、本件発明2ないし13も進歩性の要件を充足する。
また、
本件審決が判断するとおり、
相違点3に係る本件発明14の構成は、
甲1発明2及び甲2ないし甲12、甲18ないし甲29の記載事項から把握
される技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明14は、相違点4について検討するまでもなく、進歩性の要件を充足する。本件発明15ないし17は、本件発明14を発明特定事項に含むものであるから、本件発明15ないし17も進歩性の要件を充足する。

本件審決は、甲1発明1の治療プログラムまたはシーケンスをプログラミング言語に類似するテキストベースの治療用健康装置の指示言語からなる治療プログラムまたはシーケンスと認定しているから、本件審決の認定した相違点2は、
実質的に以下の相違点2’
として認定したものといえる。
(相違点2’

マイクロコントローラに関し、本件発明1は、縮小命令セットコンピュータであり、外部装置からダウンロードし、実行するプログラムが、前記縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードであるのに対し、甲1発明1は、縮小命令セットコンピュータであるかは明らかでなく、外部装置からダウンロードし、使用するプログラムが、プログラミング言語に類似するテキストベースの治療用健康装置の指示言語からなる治療プログラムまたはシーケンスである点。そして、
相違点2’
について検討すると、
甲1の1に記載されているのは、
一般のユーザ又はオペレータや、医療提供者が、外部コンピューティングデバイスを使用して、特定のユーザのプリセットまたはプリファレンスに応じ
た比較的複雑な操作または一連の操作を実施することであり、このような操作は、有線リモートコントローラのコマンドボタンと同程度の高レベルのコマンドアプローチによって実現されているところ、コンピュータプログラムを作成する知識を有することが期待されない一般のユーザや治療者が、縮小命令セットコンピュータの命令などの低レベルのプロセッサ固有の命令を用
いて治療用プログラムを作成することは想定されない。
そして、仮に低レベルの命令でプログラムを構成することを考えるとすると、このような命令で構成されたプログラムは、プロセッサや機器の構成に固有のものであり、そのプログラムの対象となる機器以外で動作するものではない。そうすると、他の種類の機器で、類似のコマンドを見つけて置き換えるようなことはできないから、甲1発明1において、低レベルのプロセッサ固有の命令で構成されたプログラムをダウンロード可能にサーバーに格納
する構成とすることには阻害事由が存在するというべきである。
さらに、他の種類の機器が、同じプロセッサを用いていることは全く期待できないから、甲1の1の記載に基づいて、

縮小命令セットコンピュータ(RISCプロセッサ)のプログラムなど、

プロセッサごとに異なる命令体
系で作成された治療用プログラムを用いることは、何ら示唆されるものでは
ない。
以上により、いかに当業者といえども、甲1の1の記載によっては、本件発明1の相違点2’に係る

前記駆動部と接続された、縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラを備え

る構成とし、縮小命令セットコンピュータである前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコード

前記マッサージプログラムと関連と、付けられたアイコンのグラフィカルコンテンツ

とを、暗号化された形式で」
前記外部装置から受信する構成を容易に想到することはできない。第4当裁判所の判断1本件各発明の技術的意義⑴本件明細書等の記載本件明細書等には、次のような記載がある。ア技術分野「本発明は、マッサージ装置を使用したマッサージ関連サービスを提供するシステムおよび方法に関する。(段落【0001】)


背景技術、発明が解決しようとする課題
現在市場で利用可能なマッサージ装置には、ユーザの身体に様々な形態のマッサージを施し得るマッサージ部材を備えたマッサージチェアが含まれる。必要に応じてユーザは、ある種の好ましいリラックス効果を生み出す、マッサージ部材の動きや圧力を加える動作の所定の組み合わせに対応したマッサージプログラムを選択し得る。しかし、既存のマッサージ装置は通常、変更できない一連の所定のマッサージプログラムを含み、そのためマッサージ装置を柔軟に使用することができず、マッサージの効果を限定してしまうことがある。(段落【0002】)

したがって、少なくとも前述の問題を解決し、改善されたマッサージ体験を提供できるマッサージ装置が求められている。(段落【0003】




課題を解決するための手段
本出願は、マッサージ装置を使用したユーザ体験を強化し得る、マッサージ関連サービスを提供するシステムと方法を説明する。一実施形態において、マッサージ装置は、マッサージ部と、マッサージ部の運動を駆動するように機能する駆動部と、駆動部と接続されたマイクロコントローラとを含む。マイクロコントローラは、外部装置と接続し、外部装置からマッサージプログラムのプログラムコードを受信してマッサージプログラムをメモリに保存し、一連のマッサージの動作を身体に施すためにマッサージ部を介してマッサージプログラムを実行するように構成される。(段落
【0004】

特定の実施形態において、マッサージ装置はさらに、マッサージ装置で利用可能なマッサージプログラムと関連付けられた1つまたは複数のアイコンを表示するように機能するリモートコントローラを含む。新しいマッサージプログラムがダウンロードされると、リモートコントローラに表示されるグラフィカルインターフェースも、新しくダウンロードされたマッサージプログラムを実行するためにユーザが選択可能なグラフィカルアイコンにより更新される。(段落【0005】)
他の実施形態において、マッサージ関連サービスを施行する方法が説明される。方法は、マッサージ装置を提供するステップと、端末装置とサーバコンピュータとの間の接続を確立するステップと、マッサージ装置で実行可能なマッサージプログラムをサーバコンピュータから端末装置に転送するステップと、端末装置とマッサージ装置との間の接続を確立するステップと、マッサージプログラムを端末装置からマッサージ装置に転送するステップとを含む。(段落【0006】)

発明を実施するための形態
図1は、マッサージ関連サービスを提供するシステム100の一実施形態を描写する概略図である。システム100は、台のサーバコンピュータ102と103、端末装置104、およびマッサージ装置106を含み得る。サーバコンピュータ102は、端末装置104が多様なアプリケーションプログラムを閲覧してダウンロードし、様々な取引を実施できるようにする、デジタルアプリケーション配信プラットフォーム112をホストし得る。サーバコンピュータ102にホストされるデジタルアプリケーション配信プラットフォームの例は、AppleInc.が開発したiOSオペレーティングシステムが実行されている端末装置向けのAppleAppStoreや、GoogleInc.が開発したAndroidオペレーティングシステムが実行されている端末装置向けのGooglePlayStoreを含み得る。(段落【0008】)
サーバコンピュータ103は、マッサージ装置106で実行可能な複数のマッサージプログラムを保存し、端末装置104を介してマッサージ装置106に1つまたは複数のマッサージプログラムを転送するために端末装置104に接続し得る。一実施形態において、サーバコンピュータ103は、マッサージプログラムの販売元により維持され運用され得る一方で、サーバコンピュータ102は取引のプラットフォームとしての機能を果たし得る。マッサージプログラムは、端末装置104とサーバコンピュータ102との間で実施される購入取引の結果として、サーバコンピュータ103から端末装置104に転送され得る。(段落【0009】)
端末装置104は、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、パーソナルコンピュータなどを含み得る。端末装置104は、マッサージ関連サービスを提供するために端末装置104にサーバコンピュータ102および103、ならびにマッサージ装置106と交信させ得るアプリケーションプログラム114を実行し得る。より具体的には、端末装置104で実行されたアプリケーションプログラム114は、新しいマッサージプログラムのリリースに関する通知の受信、新しいマッサージプログラムを取得するための購入取引の実施、マッサージプログラムのサーバコンピュータ103からのダウンロードなどを含む、様々な取引を実施するために、サーバコンピュータ102および103と接続し得る。アプリケーションプログラム114はまた、マッサージ装置106の現在の設定の表示、購入済みマッサージプログラムのマッサージ装置106への転送、マッサージ装置106の特定の機能の制御など、様々な役割を実施するためにマッサージ装置106と接続し得る。(段落【0010】)
マッサージ装置106は、身体にマッサージを施し得るあらゆる種類の装置であり得る。一実施形態において、マッサージ装置106はマッサージチェアであり得る。他の実施形態において、マッサージ装置106はまた、マッサージベルト、フットマッサージ装置などであり得る。マッサージ装置106は、マッサージを施し、音楽を再生し、対話型コンテンツを提供し、端末装置104などの外部装置から新しいマッサージプログラムの更新を受信し得る。一実施形態において、マッサージ装置106は、操作を容易にするためにリモートコントローラ150を備え得る。特に、リモートコントローラ150は、ユーザが選択するためのマッサージプログラムのリストを表示可能なディスプレイを含み得る。(段落【0011】)
図2は、マッサージ装置106の一実施形態を描写する簡略化されたブロック部である。マッサージ装置106は、マッサージ部120、マッサージ部120と関連付けられた駆動部122、制御インターフェース124、無線通信インターフェース126、マイクロコントローラ130およびリモートコントローラ150を含み得る。マッサージ部120は、揉むおよび/または叩く動作、擦る動作など様々な形態のマッサージ動作を施し得る、1つまたは複数の機械部品を含み得る。マッサージ部120の部品の例は、モータ、アクチュエータ、ポンプ、ソレノイドなどを含み得る。(段落【0012】)

駆動部122は、マイクロコントローラ130とマッサージ部120との間のインターフェースを提供する電気回路であることができ、マイクロコントローラ130が出力する制御信号に従ってマッサージ部120の部品の動作を駆動するように機能し得る。(段落【0013】)
制御インターフェース124は、センサと接続され、マッサージ装置106に配置されたスイッチを制御し、ユーザの身体的な高さ、動きの限界、モータの回転などの情報を提供するために、マイクロコントローラ130に様々な検出信号を伝達し得る。(段落【0014】)
無線通信インターフェース126は、マッサージ装置106のマイクロコントローラ130と他の外部装置との間の無線によるデータ交換を可能にする、ブルートゥースインターフェースおよび/またはWi-Fiインターフェースを含み得る。(段落【0015】)
マイクロコントローラ130は、マッサージ装置106の動作を制御し監視し得る。一実施形態において、マイクロコントローラ130は典型的な例として、ビットの縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロコントローラであり得る。マイクロコントローラ130は、内部に保存された複数のマッサージプログラムのうち1つを選択し、ユーザの身体に一連のマッサージ動作を施すためにマッサージ部120を介してマッサージプログラムを実行し、無線通信インターフェース126を介して端末装置104と交信し得る。一実施形態において、マイクロコントローラ130は、処理装置132、マッサージプログラムコードを保存するための第1のメモリ134と第2のメモリ136、処理装置132がマッサージ部120の駆動部122および制御インターフェース124と信号を交換する際に経由する入力/出力(I/O)ポート138、通信インターフェース130とのデータ交換のための送受信機140、およびユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェース142を含み得る。(段落【0016】


メモリ134は、マッサージ装置106で最初から利用可能なマッサージプログラムIMPのプリセットプログラミングコードを保存し得る。別のメモリ136は、ユーザにより外部装置からマッサージ装置106に読み込まれるマッサージプログラムDMPのプログラミングコードを保存し得る。一実施形態において、メモリ134は典型的な例として、フラッシュ読み取り専用メモリ(ROM)であることができ、メモリ136は典型的な例として、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)であり得る。マッサージプログラムDMPは、サーバコンピュータ(例、サーバコンピュータ103)から端末装置104にダウンロードされ、次いでメモリ136に保存するために端末装置104からマッサージ装置106に転送され得る。マッサージプログラムDMPは、無線通信インターフェース128またはUSBインターフェース142を介して、マッサージ装置106に外部装置から転送され得る。(段落【0017】

送受信機140は、データがマイクロコントローラ130の処理装置132に受信され、マイクロコントローラ130外の構成要素に送信される際に経由する汎用非同期送受信機であり得る。(段落【0018】


リモートコントローラ150は、マイクロコントローラ130と接続され得る。リモートコントローラ150は、表示制御部152に駆動される表示画面と、リモートコントローラ150へのユーザの入力を受信し、リモートコントローラ150の表示画面に表示されるグラフィカルコンテンツを制御し、マイクロコントローラ130と交信するように機能し得るマイクロコントローラ154を含み得る。一実施形態において、リモートコントローラ150のマイクロコントローラ154は、マッサージプログラムIMPとDMPと関連付けられているグラフィカルアイコンを保存する内部メモリ156を含み得る。これらのグラフィカルアイコンは、ユーザによるマッサージ装置106の設定、制御および操作を容易にするため、リモートコントローラ150の画面上に表示され得る。(段落【0019】)
図1および図2と関連して、図3はサーバレベルでの新しいマッサージプログラムを提供するための方法のステップを描写するフローチャートである。第1のステップ302で、新しいマッサージプログラムはサーバコンピュータ103にアップロードされ得る。新しいマッサージプログラムは、悪意のあるエージェントによる破損を防止するため、1つまたは複数の暗号化されたファイルの形式でアップロードされ得る。マッサージプログラムに加えて、暗号化されたファイルはまた、マッサージプログラムと関連付けられたグラフィカルアイコンを定義するグラフィカルコンテンツを含み得る。(段落【0020】)

ステップ304で、サーバコンピュータ103は、新しいマッサージプログラムのリリースについての通知を送信し得る。この通知は、サーバコンピュータ102を介して端末装置104に中継され得る。端末装置104は、アプリケーションプログラム114を介して新しいマッサージプログラムのリリースについて通知され得る。(段落【0021】)

ステップ306で、サーバコンピュータ102は、端末装置104から購入依頼を受信し、支払手続きを開始し、サーバコンピュータ103に購入済みマッサージプログラムのダウンロードの要求を送信し得る。(段落【0022】

サーバコンピュータ102からのダウンロード要求に応じて、サーバコンピュータ103はステップ308で、購入済みマッサージプログラムの1つまたは複数のファイルを端末装置104に送信し得る。購入済みマッサージプログラムは、例として、インターネット接続を介してサーバコンピュータ103から端末装置104にダウンロードされ得る。(段落【0023】)
図1および図2と関連して、図6は、マッサージ装置106が実行する方法のステップを描写するフローチャートである。ステップ602で、マッサージ装置106のマイクロコントローラ130は、端末装置104から受信した、端末装置104とマッサージ装置106との間の接続を確立する要求に応じて、無線通信インターフェース128を起動し得る。無線通信インターフェース128の切換えはシステムにより自動で実行することもできるし、リモートコントローラ150を使用して手動で実行することもできる。(段落【00
29】

ステップ604で、マッサージ装置106は、1つのマッサージプログラムのプログラムコードとそれに関連付けられたアイコンのグラフィカルデータを含む、1つまたは複数の暗号化されたファイルを受信し得る。ファイルの転送は、無線通信インターフェース128、例としてブルートゥース接続を介して実施し得る。(段落【0030】)
ステップ606で、マイクロコントローラ130は、マッサージプログラムコードとグラフィカルアイコン(アイコンはビットマップファイルとして定義し得る)を復元するためにファイルを復号し、マッサージプログラムのコードを機械が実行可能な形式に変換し、次いでマッサージプログラムコードとアイコンをそれぞれ、メモリ136とリモートコントローラ150に保存し得る。リモートコントローラ150のグラフィカルユーザインターフェースはこのようにして、ダウンロード済みマッサージプログラムと関連付けられたアイコンを表示するように更新され得る。(略)(段落【0031】

ステップ608で、起動信号に応じてマイクロコントローラ130は、一連のマッサージ動作をユーザの身体に施すため、マッサージ部120を介して新しいマッサージプログラムを実行し得る。ユーザは、例として端末装置104またはリモートコントローラ150を使用して新しいマッサージプログラムを実行するために、マッサージ装置106を起動し得る。(段落【0032】


発明の効果
本明細書で説明されているシステムと方法の少なくとも1つの利点は、新しいマッサージプログラムをダウンロードし、マッサージ装置のリモートコントローラのグラフィカルユーザインターフェースの更新を実行し、マッサージ装置で新しくダウンロードされたマッサージプログラムを実行するためにリモートコンローラーまたは外部装置を使用する能力を含む。したがって、マッサージ装置はより柔軟な仕方で使用することができ、ユーザはマッサージ装置の強化されたマッサージ体験を楽しむことができる。(段落【0034】)


本件各発明の技術的意義
本件明細書等の記載からすると、本件各発明の技術的意義は、次のとおり
認められる。

既存のマッサージ装置は、通常、変更できない一連の所定のマッサージプログラムを含み、そのためマッサージ装置を柔軟に使用することができず、マッサージの効果を限定してしまうことがある。本件各発明は、上記

通常、変更できない一連の所定のマッサージプログラムを含み、そのためマッサージ装置を柔軟に使用することができず、マッサージの効果を限定してしまう

という問題を解決し、改善されたマッサージ体験を提供できるマッサージ装置によって課題を解決しようとするものである。(段落【0002】及び【0003】


本件各発明は、上記の課題を解決する手段として、
マッサージ装置は、マッサージ部と、マッサージ部の運動を駆動するように機能する駆動部と、駆動部と接続されたマイクロコントローラとを含む。マイクロコントローラは、外部装置と接続し、外部装置からマッサージプログラムのプログラムコードを受信してマッサージプログラムをメモリに保存し、一連のマッサージの動作を身体に施すためにマッサージ部を介してマッサージプログラムを実行するように構成される(段落
【00
04】
)こと、

マッサージ装置はさらに、マッサージ装置で利用可能なマッサージプログラムと関連付けられた1つまたは複数のアイコンを表示するように機能するリモートコントローラを含む

(段落【0005】
)こ
と、
マッサージ関連サービスを施行する方法は、
マッサージ装置を提供するステップと、端末装置とサーバコンピュータとの間の接続を確立するステップと、マッサージ装置で実行可能なマッサージプログラムをサーバコンピュータから端末装置に転送するステップと、端末装置とマッサージ装置との間の接続を確立するステップと、マッサージプログラムを端末装置からマッサージ装置に転送するステップとを含む(段落【0006】
)こ

と、

マイクロコントローラ130は典型的な例として、32ビットの縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロコントローラであり得る

(段落【0016】
)こと、

マッサージ装置106は、1つのマッサージプログラムのプログラムコードとそれに関連付けられたアイコンのグラフィカルデータを含む、1つまたは複数の暗号化されたファイルを受信し得る

(段落【0030】
)こと、
マイクロコントローラ130は、マッサージプログラムコードとグラフィカルアイコン(アイコンはビットマップファイルとして定義し得る)を復元するためにファイルを復号し、マッサージプログラムのコードを機械が実行可能な形式に変換し、次いでマッサージプログラムコードとアイコンをそれぞれ、メモリ136とリモートコントローラ150に保存し得る(段落【0031】
)こと、

リモートコントローラ150のグラフィカルユーザインターフェースはこのようにして、ダウンロード済みマッサージプログラムと関連付けられたアイコンを表示するように更新され得る

(段落【0031】
)こと、

起動信号に応じてマイクロコントローラ130は、一連のマッサージ動作をユーザの身体に施すため、マッサージ部120を介して新しいマッサージプログラムを実行し得る

(段落【0032】
)こととした。


そして、当該マッサージ装置は、
新しいマッサージプログラムをダウンロードし、マッサージ装置のリモートコントローラのグラフィカルユーザインターフェースの更新を実行し、マッサージ装置で新しくダウンロードされたマッサージプログラムを実行するためにリモートコンローラーまたは外部装置を使用する能力を含むものとなり、

より柔軟な仕方で使用することができ、ユーザはマッサージ装置の強化されたマッサージ体験を楽しむことができる

という効果を奏するものとなった(段落【0034】

2
取消事由1(請求項1の原文新規事項の判断の誤りないし理由不備〔無効理由3関係〕
)について


原文新規事項の追加の判断手法
法184条の4第1項の外国語特許出願に係る特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(本件特許の特許請求の範囲、本件明細書等、甲14の1)に記載された事項が、同項の国際出願日における国際出願の明
細書、請求の範囲又は図面(本件原文明細書等、甲14の2)に記載した事項の範囲内にあるかどうか(法184条の18、法123条1項5号)は、当業者によって、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(本件原文明細書等)の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるかどうかにより判断されるべきである。


原文新規事項の追加の有無
本件原文明細書等(甲14の2)の段落[0024]には、Inoneembodiment,themicrocontroller130canexemplarybea32-bitReducedInstructionSetComputing(RISC)microcontroller.と記載されており、これに対応する本件明細書等(甲14の1)の段落【0016】には、

一実施形態において、マイクロコントローラ130は典型的な例として、ビットの縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロコントローラであり得る。

と記載されている。したがって、本件原文明細書等には、マイクロコントローラ130が縮小命令セットコンピュータであることが記載されていると認められる。

また、本件原文明細書等の段落[0040]には、
Instep608,inresponsetoanactivationsignal,themicrocontroller130thencanexecutethenewmassageprogramthroughthemassageunit120toapplyasequenceofmassageactionsonthebodyoftheuser.と記載されており、これに対応する本件明細書等の段落【0032】には、

ステップ608で、起動信号に応じてマイクロコントローラ130は、一連のマッサージ動作をユーザの身体に施すため、マッサージ部120を介して新しいマッサージプログラムを実行し得る。

と記載されており、本件原文明細書等には、マッサージプログラムは、
マイクロコントローラ130によって実行可能であることが記載されていると認められる。

そうすると、本件発明1の縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラ

前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージ、プログラム

という事項は、本件原文明細書等に記載した事項の範囲内のものであると認められ、本件原文明細書等(甲14の2)
、本件原文明細書等の
翻訳文(甲14の3)
、本件明細書等(甲14の1)によれば、本件発明1に
係るその余の発明特定事項についても本件原文明細書等に記載した事項の範囲内のものであると認められる。

したがって、本件特許の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(本件発明1)は、本件原文明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであると認められ、原文新規事項の追加があるとは認められない。


原告の主張に対する判断

原告は、本件発明1の前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードとは、プログラムの形式について、受信したときにおいて、機械語に変換するようなことを要せず直ちに縮小命令セットコンピュータによって実行可能なマッサージプログラム
のプログラムコードであることを意味する(
〔原告の主張〕⑴)という主張
を前提として、そのようなプログラムコードは本件原文明細書等に記載されていないから原文新規事項の追加がある旨主張し〔原告の主張〕⑶)(
⑵、、
被告の主張は失当である旨主張する(
〔原告の主張〕⑷)

イ(ア)

しかし、本件特許の請求項1(本件発明1)の記載から、
マッサージプログラムのプログラムコード

縮小命令セットコンピュータでは、あるマイクロコントローラによって実行可能な

ものであることが理解されるところ、これは、少なくともマッサージプログラムのプログラムコードがマイクロコントローラで実行される際に実行可能な状態となっていればよいと解されるものであり、マッサージプログラムのプログラ
ムコードとそれに関連付けられたアイコンのグラフィカルコンテンツとを暗号化された形式でマイクロコントローラが受信している時点において、マッサージプログラムのプログラムコードがマイクロコントローラで実行可能な状態にあることまで特定するものと解すべき根拠はない。むしろ、
マッサージプログラムは、
受信ないし転送されている段階では、
マイクロコントローラによって実行される段階にはないから、その段階においてマッサージプログラムをどのような形式のものとしておくかは当業者が適宜に設定し得るものと理解される。
(イ)

このことは、
補正の経過によっても裏付けられる。
すなわち、縮小命

令セットコンピュータ(RISC)とは、コンピュータのハードウェアの命令を、頻繁に使われるものだけに限定し、プロセッサー(CPU)の構造を簡単にして、
より高速な処理を実現しようとするものをいい
(甲
46、甲49)
、命令セットとは、コンピュータのハードウェアで用意さ
れている命令(インストラクション)
、つまり、機械語の組(セット)を
いう
(甲49)そして、

令和元年11月1日付けの手続補正書
(甲17)
により、
本件特許の請求項1において、
前記駆動部と接続されたマイクロコントローラが

前記駆動部と接続された、縮小命令セットコンピュータであるマクロコントローラ

と補正され、
マッサージプログラムのプログラムコードが前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードと補正されたところ、同日付けの意見書(甲16)によれば、これは、拒絶理由通知書(甲15)
で引用された引用文献1(甲1の1)に記載されたマッサージチェア等の治療用健康装置が、プログラミング言語に類似のテキストベースの治療健康デバイス命令言語を使用するために、命令言語の簡易さゆえにマッサージ部の複雑な運動を定義できないものであるのに対して、本件発明1のマイクロコントローラは縮小命令セットコンピュータであり、
何の制約もなくマッサージ部の運動を定義できることを明らかにしたものであり、プログラムコードの言語の種類
(簡易な定義しかできない
か複雑な定義ができるか)が違うことを特定するために補正されたと認められるものであって、プログラムの形式について、機械語に変換することなくマイクロコントローラによって実行可能な形式であることを特定するために補正されたものとは認められない。
(ウ)

さらに、本件明細書等には、実施形態の記載ではあるものの、段落
【0030】及び【0031】に次の記載がある。
ステップ604で、マッサージ装置106は、1つのマッサージプログラムのプログラムコードとそれに関連付けられたアイコンのグラフィカルデータを含む、1つまたは複数の暗号化されたファイルを受信し得る。ファイルの転送は、無線通信インターフェース128、例としてブルートゥース接続を介して実施し得る。(段落【0030】。)
ステップ606で、マイクロコントローラ130は、マッサージプログラムコードとグラフィカルアイコン(アイコンはビットマップファイルとして定義し得る)を復元するためにファイルを復号し、マッサージプログラムのコードを機械が実行可能な形式に変換し、次いでマッサージプログラムコードとアイコンをそれぞれ、メモリ136とリモートコントローラ150に保存し得る。(段落【0031】。)
上記各記載より、マイクロコントローラ130がファイルを受信している状態では、マッサージプログラムコード」グラフィカルアイコンととが、1つまたは複数の暗号化されたファイルの状態となっていることが把握され、この暗号化されたファイルを復号した後、マッサージプログラムのコードは機械が実行可能な形式に変換されて、マイクロコントローラのメモリに保存されていることが把握される。そのため、マッサージプログラムのプログラムコードは、マイクロコントローラで実行される際に実行可能な状態となっているものの、受信された段階では、機械語に変換することなく「マイクロコントローラによって実行可能な形式となっておらず、
上記の実施形態の記載は、
前記(ア)の解釈に沿うも
のである一方、原告主張の解釈(前記ア)には沿わないものである。ウ
そうすると、本件発明1の前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードとは、プログラムの形式について、受信したときにおいて、機械語に変換するようなことを要せず
直ちに縮小命令セットコンピュータによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードであることを意味する(
〔原告の主張〕⑴)という
原告の主張を採用することはできず、そのような主張を前提とする原文新規事項の追加に関する原告の他の主張も採用することはできない。⑷

小括
したがって、取消事由1は理由がない。

3
取消事由2(請求項14の原文新規事項の判断遺脱〔無効理由3関係〕)につ
いて


原文新規事項の追加の有無
前記2⑵と同様の理由により、本件発明14の前記マッサージ装置のマイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラム

前記マイ、クロコントローラは縮小命令セットコンピュータである

という事項は、本件原文明細書等に記載した事項の範囲内のものであると認められ、本件原文明細書等(甲14の2)
、本件原文明細書等の翻訳文(甲14の3)
、本件明

細書等(甲14の1)によれば、本件発明14に係るその余の発明特定事項についても本件原文明細書等に記載した事項の範囲内のものであると認められる。
したがって、
本件特許の特許請求の範囲の請求項14に記載された事項
(本
件発明14)は、本件原文明細書等の全ての記載を総合することにより導か
れる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであると認められ、原文新規事項の追加があるとは認められない。


原告の主張に対する判断

原告は、本件発明1では受信しとされている事項が、本件発明14では転送するとして特定されているから、本件発明1と本件発明14は、共通する事項があるとしても、異なる事項を含んでおり、本件特許の
請求項1と請求項14は、それぞれ独立項であり、引用関係にあるわけでもないから、本件特許の請求項14(本件発明14)の原文新規事項の追加の有無は、請求項1(本件発明1)の原文新規事項の追加の有無とは別個に判断されるべきであるが、本件審決がこれらを別個に判断していないのは誤りであると主張する。

しかし、前記⑴のとおり、本件発明1についてと同様の理由により、本件発明14について、原文新規事項の追加があるとは認められない。そして、本件発明1と本件発明14は、物の発明と方法の発明というカテゴリーの相違はあるものの、いずれも、
外部装置(端末装置)とマッサージ
装置のマイクロコントローラとを接続して、
マッサージプログラム

の受け渡しを行うものであり、この受け渡しの態様について、本件発明1はマイクロコントローラ側からみて受信しと特定し、本件発明1
4は外部装置(端末装置)側からみて転送すると特定したものであって、その技術的内容は本質的に相違するものではない。原告(審判請求人)も、本件無効審判において、
本件発明1及び14のように、受信ないし転送されているのが、『縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラによって実行可能な』マッサージプログラムのプログラムコードであることは、本件特許の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にないから、原文新規事項追加の違反がある。(本件審決第3、〔本件審決9頁〕審判請求書
4⑶

(甲31)

21~22頁)として、本件発明1と本件発明14とをひとまとまりの技術と捉えた主張をしており、本件審決は、このような主張に対して、マッサージプログラムが変換される前の受信ないし転送されている状態については、マイクロコントローラによって実行する段階ではないことから、この状態においてマッサージプログラムをどのような形式のものとしておくかは当業者が適宜に設定し得るものと理解できる一方、請求人が主張する

『機械が実行可能な形式に変換』する前において、受信ないし転送されているプログラムが、縮小命令セットコンピュータによって実行可能であること

は、原告(審判請求人)独自の解釈に基づく理解であって、特許請求の範囲、明細書、又は図面に記載した事項を正解したものとはいえないと判断しているから(前記第2、4⑷イ、本件審決第5、5⑵〔本件審決30~31頁〕、この点に関する本件審決の判断に誤りはない。)


また、原告は、本件審決は、本件特許の請求項1(本件発明1)及び請求項14(本件発明14)について、本件原文明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるか否かという判断を欠いていると主張するが、本
件審決は、本件原文明細書等(甲14の2)の段落[0024]及び[0040]等の記載に基づいて、
本件発明1及び本件発明14の発明特定事項が本
件原文明細書等に記載した範囲内のものであると判断しているから(本件審決第5、5⑴〔本件審決30頁〕、本件原文明細書等の全ての記載を総)
合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事
項を導入するものであるか否かという判断をしているものと認められ、原告の上記主張は採用することができない。
さらに、原告は、本件発明14の前記マッサージ装置のマイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムとは、プログラムの形式について、受信したときにおいて、機械語に変換するようなことを要
せず直ちに縮小命令セットコンピュータによって実行可能なマッサージプログラムであることを意味すると主張するが、前記2⑶のとおり、本件発明1のマッサージプログラムのプログラムコードは、直ちに縮小命令セットコンピュータによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードに限られず、同様の理由により、本件発明14のマッサージプログラムも、直ちに縮小命令セットコンピュータによって実行可能なマッサージプログラムに限られないから、その点に関する本件審決の判断に
誤りはなく、原告の上記主張は採用することができない。


小括
したがって、取消事由2は理由がない。

4
取消事由3(本件発明1ないし13のサポート要件の判断の誤り〔無効理由1関係〕
)について


サポート要件の判断手法
特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである
か否か、また、発明の詳細な説明に記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものと解される。

本件明細書等に記載された課題とその解決手段

本件各発明が解決しようとする課題は、
既存のマッサージ装置が、
通常、
変更できない一連の所定のマッサージプログラムを含み、そのためマッサージ装置を柔軟に使用することができず、マッサージの効果を限定してしまうという問題を解決し、改善されたマッサージ体験を提供できるマッサージ装置を提供することである(前記1⑵ア、本件明細書等の段落【0002】及び【0003】。



このような課題を解決する手段として、本件明細書等には、次の構成が記載されている。
(ア)

マッサージ装置は、マッサージ部と、マッサージ部の運動を駆動す
るように機能する駆動部と、駆動部と接続されたマイクロコントローラとを含むこと。また、マイクロコントローラは、外部装置と接続し、外部装置からマッサージプログラムのプログラムコードを受信してマッサージプログラムをメモリに保存し、一連のマッサージの動作を身体に施すためにマッサージ部を介してマッサージプログラムを実行するように構成されること。
(以下構成aという。(前記1⑵イ、本件明細

書等の段落【0004】


(イ)

マッサージ装置はさらに、マッサージ装置で利用可能なマッサージ
プログラムと関連付けられた1つまたは複数のアイコンを表示するように機能するリモートコントローラを含むこと。
(以下構成bとい
う。(前記1⑵イ、本件明細書等の段落【0005】)

(ウ)
マッサージ関連サービスを施行する方法は、マッサージ装置を提供
するステップと、端末装置とサーバコンピュータとの間の接続を確立するステップと、マッサージ装置で実行可能なマッサージプログラムをサーバコンピュータから端末装置に転送するステップと、端末装置とマッサージ装置との間の接続を確立するステップと、マッサージプログラムを端末装置からマッサージ装置に転送するステップとを含むこと。(以

下構成cという。(前記1⑵イ、本件明細書等の段落【0006】)

(エ)

マイクロコントローラの典型例として、32ビットの縮小命令セット
コンピューティング(RISC)マイクロコントローラを用い得ること。(以
下構成dという。(前記1⑵イ、本件明細書等の段落【0016】)

(オ)
マッサージ装置は、1つのマッサージプログラムのプログラムコー
ドとそれに関連付けられたアイコンのグラフィカルデータを含む、1つまたは複数の暗号化されたファイルを受信し得ること。
(以下
構成e
という。(前記1⑵イ、本件明細書等の段落【0030】)

(カ)

マイクロコントローラは、マッサージプログラムコードとグラフィ
カルアイコンを復元するためにファイルを復号し、マッサージプログラムのコードを機械が実行可能な形式に変換し、次いでマッサージプログラムコードとアイコンをそれぞれ、マイクロコントローラのメモリとリ
モートコントローラに保存し得ること。
(以下構成fという。(前記

1⑵イ、本件明細書等の段落【0031】

(キ)

リモートコントローラのグラフィカルユーザインターフェースはこ
のようにして、ダウンロード済みマッサージプログラムと関連付けられたアイコンを表示するように更新され得ること。
(以下構成gとい

う。(前記1⑵イ、本件明細書等の段落【0031】)

(ク)

起動信号に応じて、マイクロコントローラは、一連のマッサージ動
作をユーザの身体に施すため、マッサージ部を介して新しいマッサージプログラムを実行し得ること。
(以下構成hという。(前記1⑵イ、

本件明細書等の段落【0032】




特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明であるかについて

本件発明1の発明特定事項のうちマッサージ装置が、

マッサージ部と、リモートコントローラと、前記マッサージ部の運動を駆動するように機能する駆動部と、前記駆動部と接続された、縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラとを備え

る点は、構成a、b及びdに記載されている。

本件発明1の発明特定事項のうち

前記マイクロコントローラは、外部装置と接続

する点は、構成aに記載されている。

本件発明1の発明特定事項のうち前記マイクロコントローラが、
前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードと、前記マッサージプログラムと関連付けられたアイコンのグラフィカルコンテンツとを、暗号化された形式で前記外部装置から受信して前記マッサージプログラムをメモリに保存する点は、構成a及びeに記載されている。

本件発明1の発明特定事項のうち前記マイクロコントローラが、

前記外部装置から受信した前記マッサージプログラムと前記アイコンの前記グラフィカルコンテンツとを復号し、前記アイコンを前記リモートコントローラに保存させ

る点は、構成f及びgに記載されている。

本件発明1の発明特定事項のうち前記マイクロコントローラが、
一連のマッサージ動作を身体に施すために前記マッサージ部を介して前記復号されたマッサージプログラムを実行する点は、構成hに記載されている。


したがって、
本件発明1は、
発明の詳細な説明に記載された発明である。
特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明の記載により当業
者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かについて
本件各発明が解決しようとする課題は、前記⑵アのとおりであるところ、本件発明1は、
前記マイクロコントローラが、
外部装置と接続し前、記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードと、前記マッサージプログラムと関連付けられたアイコンのグラフィカルコンテンツとを、暗号化された形式で前記外部装置から受信して前記マッサージプログラムをメモリに保存し

前記外部装置から受信した前、記マッサージプログラムと前記アイコンの前記グラフィカルコンテンツとを復号し、前記アイコンを前記リモートコントローラに保存させ

一連のマ、ッサージ動作を身体に施すために前記マッサージ部を介して前記復号されたマッサージプログラムを実行するように構成される

という発明特定事項を有することにより、発明の詳細な説明に記載された新しいマッサージプログラムをダウンロードし、マッサージ装置のリモートコントローラのグラフィカルユーザインターフェースの更新を実行し、マッサージ装置で新しくダウンロードされたマッサージプログラムを実行するためにリモートコンローラーまたは外部装置を使用する能力を含むものとなり、

より柔軟な仕方で使用することができ、ユーザはマッサージ装置の強化されたマッサージ体験を楽しむことができる

という効果を奏すること(前記1⑵ウ、本件明細書等の段落【0034】、すなわち、既存のマッサージ装置が、通常、変更で)
きない一連の所定のマッサージプログラムを含み、そのためマッサージ装置を柔軟に使用することができず、マッサージの効果を限定してしまうという
問題を解決し、改善されたマッサージ体験を提供できるマッサージ装置を提供してするという課題を解決していることを、当業者であれば十分理解できると認められる。


サポート要件の充足の有無
以上によれば、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明で、そ
の発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであると認められる。そして、本件発明1が、発明の詳細な説明に記載された発明で、その発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえるものであることから、本件発明1の発明特定事項を包含する本件発明2ないし13
についても、当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであると認められる。


原告の主張に対する判断
原告は、本件発明1の前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードとは、
プログラムの形式について、
受信したときにおいて、機械語に変換するようなことを要せず直ちに縮小命令セットコンピュータによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードであることを意味するという原告の主張を前提とし、本件発明1は本件明細書等の発明の詳細な説明に記載したものではないとして、サポート要件違反を主張する。
しかし、本件発明1の前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードに関する原告の上記主張を採用できないことは前記2⑶のとおりであるから、原告の上記主張を前提とするサポート要件違反の主張も採用することができない。


小括
したがって、取消事由3は理由がない。

5
取消事由4(本件発明14ないし17のサポート要件の理由不備〔無効理由1関係〕
)について


特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明であるかについて
本件明細書等に記載された課題とその解決手段は、前記4⑵のとおりであ
る。

本件発明14の発明特定事項のうちマッサージ装置を作動させるための方法であること、サーバコンピュータから端末装置へ、前記マッサージ装置のマイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムと、前記マッサージプログラムと関連付けられたアイコンのグラフィカルコンテンツとを転送するステップ構成aないしcに記載されており、は、
マイクロコントローラが縮小命令セットコンピュータであることは、構成dに記載されている。

本件発明14の発明特定事項のうち

前記端末装置と前記マッサージ装置との間の接続を、前記端末装置によって、確立するステップ

は、構成cに記載されている。

本件発明14の発明特定事項のうち

1つまたは複数の暗号化されたファイルに含まれる前記マッサージプログラムと前記アイコンの前記グラフィカルコンテンツとを前記端末装置から前記マッサージ装置に、前記端末装置によって、転送するステップ

は、構成a、c及びeに記載されている。


本件発明14の発明特定事項のうち

前記マッサージプログラムと前記アイコンの前記グラフィカルコンテンツとを復元するために前記1つまたは複数の暗号化されたファイルを、前記マッサージ装置の前記マイクロコントローラによって、復号するステップ

構成fに記載されている。は、


本件発明14の発明特定事項のうち前記マッサージプログラムに関連付けられた前記アイコンの前記復号されたグラフィカルコンテンツを前記マッサージ装置のリモートコントローラに、前記マッサージ装置の前記マイクロコントローラによって、保存するステップは、構成fに記載されている。


本件発明14の発明特定事項のうち

前記アイコンを前記マッサージ装置の前記リモートコントローラに、前記マッサージ装置の前記マイクロコントローラによって、表示するステップ

は、構成gに記載されている。

本件発明14の発明特定事項のうち

前記復号されたマッサージプログラムを、前記マッサージ装置の前記マイクロコントローラによって、実行するステップ

は、構成hに記載されている。

したがって、本件発明14は、発明の詳細な説明に記載された発明である。



特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かに
ついて
本件各発明が解決しようとする課題は、前記4⑵アのとおりであるところ、本件発明14は、

前記端末装置と前記マッサージ装置との間の接続を、前記端末装置によって、確立するステップ

1つまたは複数の暗号化されたフ、ァイルに含まれる前記マッサージプログラムと前記アイコンの前記グラフィカルコンテンツとを前記端末装置から前記マッサージ装置に、前記端末装置によって、転送するステップ

前記マッサージプログラムと前記アイコ、ンの前記グラフィカルコンテンツとを復元するために前記1つまたは複数の暗号化されたファイルを、前記マッサージ装置の前記マイクロコントローラによって、復号するステップ前記マッサージプログラムに関連付けら、れた前記アイコンの前記復号されたグラフィカルコンテンツを前記マッサージ装置のリモートコントローラに、前記マッサージ装置の前記マイクロコントローラによって、保存するステップ

前記アイコンを前記マッサージ、装置の前記リモートコントローラに、前記マッサージ装置の前記マイクロコントローラによって、表示するステップ

前記復号されたマッサージプロ、グラムを、前記マッサージ装置の前記マイクロコントローラによって、実行するステップ

という発明特定事項を有することにより、発明の詳細な説明に記載された新しいマッサージプログラムをダウンロードし、マッサージ装置のリモートコントローラのグラフィカルユーザインターフェースの更新を実行し、マッサージ装置で新しくダウンロードされたマッサージプログラムを実行するためにリモートコンローラーまたは外部装置を使用する能力を含むものとなり、

より柔軟な仕方で使用することができ、ユーザはマッサージ装置の強化されたマッサージ体験を楽しむことができる

という効果を奏すること
(前記1⑵ウ、
本件明細書等の段落
【0034】、
)すなわち、
既存のマッサージ装置が、通常、変更できない一連の所定のマッサージプログラムを含み、そのためマッサージ装置を柔軟に使用することができず、マ
ッサージの効果を限定してしまうという問題を解決し、改善されたマッサージ体験を提供できるマッサージ装置を提供するという課題を解決していることを、当業者であれば十分理解できると認められる。


サポート要件の充足の有無
以上によれば、本件発明14は、発明の詳細な説明に記載された発明で、その発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであると認められ、サポート要件を充足するものであ
ると認められる。そして、本件発明14が、発明の詳細な説明に記載された発明で、その発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえるものであることから、本件発明14の発明特定事項を包含する本件発明15ないし17についても、当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであると認められ
る。


原告の主張に対する判断

原告は、本件発明1では受信しとされている事項が、本件発明14では転送するとして特定されているから、本件発明1と本件発明14
は、共通する事項があるとしても、異なる事項を含んでおり、本件特許の請求項1と請求項14は、それぞれ独立項であり、引用関係にあるわけでもないから、本件特許の請求項14(本件発明14)のサポート要件違反の有無は、請求項1(本件発明1)のサポート要件違反の有無とは別個に判断されるべきであるが、本件審決がこれらを別個に判断していないのは
誤りであると主張する。
しかし、前記⑴ないし⑶のとおり、本件発明14はサポート要件を充足するものである。そして、本件発明1と本件発明14は、物の発明と方法の発明というカテゴリーの相違はあるものの、いずれも、
外部装置(端末装置)とマッサージ装置のマイクロコントローラとを接続して、マッサージプログラムの受け渡しを行うものであり、この受け渡しの態様について、本件発明1はマイクロコントローラ側からみて受信し
と特定し、
本件発明14は
外部装置(端末装置)側からみて
転送する
と特定したものであって、その技術的内容は本質的に相違するものではない。そして、原告(審判請求人)も、本件無効審判において、
本件発明1及び14において、受信ないし転送されているのは、『縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラによって実行可能な』マッサージプログラムのプログラムコードである、すなわち、機械が実行可能なプログラムであるのに対して、本件特許の発明の詳細な説明において、受信ないし転送されているのは、『機械が実行可能な形式に変換』されていないマッサージプログラムのプログラムコードである、すなわち、機械が実行できない形式のプログラムである。換言すると、本件発明1及び14において、受信ないし転送されているのは、機械語のプログラムであるのに対して、本件特許の発明の詳細な説明において、受信ないし転送されているのは、高水準言語のプログラムである。したがって、本件発明1及び14のように、受信ないし転送されているのが、『縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラによって実行可能な』マッサージプログラムのプログラムコードであることは、発明の詳細な説明には記載されておらず、サポート要件違反である。(本件審決第3、4⑴ウ〔本件審決8頁〕、審判請
求書(甲31)19~20頁)として、本件発明1と本件発明14とをひとまとまりの技術と捉えた主張をしており、本件審決は、このような主張に対して、『本件発明1及び14において、受信ないし転送されているの

は、機械語のプログラムである』と限定的に解すべき余地はない。(本件

審決第5、3⑺〔本件審決27頁〕
)とし、『本件特許の発明の詳細な説明

において、受信ないし転送されているのは、高水準言語のプログラムである』と限定的に解すべき余地はない。と判断しているから

(本件審決第5、
3⑺〔本件審決28頁〕、この点に関する本件審決の判断に誤りはない。)


また、原告は、本件発明14の前記マッサージ装置のマイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムとは、プログラムの形式について、受信したときにおいて、機械語に変換するようなことを要せず直ちに縮小命令セットコンピュータによって実行可能なマッサージプログラムであることを意味するという原告の主張を前提とし、本件発明14は本件明細書等の発明の詳細な説明に記載したものではないとして、サポ
ート要件違反を主張する。
しかし、本件発明1の前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードに関する原告の上記主張を採用できないことは、前記2⑶のとおりであるから、原告の上記主張を前提とするサポート要件違反の主張も採用することができない。



小括
したがって、取消事由4は理由がない。

6
取消事由5(明確性要件の判断の誤り〔無効理由5関係〕
)について


明確性要件の判断手法
請求項に係る発明が明確に把握されるためには、請求項に係る発明の範囲
が明確であること、すなわち、ある具体的な物や方法が請求項に係る発明の範囲に入るか否かを当業者が理解できるように記載されていることが必要である。

本件発明1ないし17の明確性
本件特許の請求項1の縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラという記載から、マイクロコントローラは、
縮小命令セットコンピュータであることが把握され、
縮小命令セットコンピュータは、
本件特許の出願時に公知となっているプロセッサアーキテクチャであることから(甲46、甲49)

縮小命令セットコンピュータであるマイクロコン、トローラ

という発明特定事項は、当業者が十分理解し得るものである。また、請求項1の前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードという記載から、マッサージプログラム
は、マイクロコントローラによって実行可能な」

ものであることが把握され、「マッサージプログラム

が、マイクロコントローラによって実行される
ものであることを勘案すれば、
マッサージプログラムのプログラムコード
が、
マイクロコントローラによって実行可能な
ものであることは当業者が

十分理解し得るものである。
したがって、本件発明1の縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラ及び前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードという発明特定事項は明確であり、本件発明1は、具体的な物や方法が請求項に係る発明の範囲に入るか否かを当
業者は理解することができ、発明の範囲は明確であって、明確性要件を充足する。
また、本件発明14のマイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラム及び前記マイクロコントローラは縮小命令セットコンピュータであるという発明特定事項についても、上述したような技術的思想
として明確に理解できるものであるから、本件発明14は明確性要件を充足する。
そうすると、請求項1を引用する請求項2ないし13に係る本件発明2ないし13、請求項14を引用する請求項15ないし17に係る本件発明15ないし17も同様に明確性要件を充足する。

したがって、本件発明1ないし17は明確性要件を充足する。


原告の主張に対する判断
原告は、本件発明1の縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラ及び前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードという発明特定事項は、受信したプログラムが(暗号化された形式であること以外に)
、受信したときにおいて、機械語
に変換するようなことを要せず直ちに縮小命令セットコンピュータによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードであることを意味するという主張を前提として、本件発明1は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であり、明確性要件を充足せず、また、本件発明14も、本件発明1と同様に第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であり、明確性要
件を充足しないと主張する。
しかし、本件発明1の前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードに関する原告の上記主張を採用できないことは、前記2⑶のとおりであるから、上記主張を前提として、本件発明1が明確性要件を充足しないという主張は採用することができず、また、

本件発明14が明確性要件を充足しないという主張も同様に採用することができない。


小括
したがって、取消事由5は理由がない。

7
取消事由6(実施可能要件の判断の誤り〔無効理由2関係〕
)について


実施可能要件の判断手法
本件発明1ないし10は
マッサージ装置本件発明11ないし13は

システムという物の発明であるところ、発明の詳細な説明が物の発明について実施可能要件を満たすためには、当業者が発明の詳細な説明の記載及び出
願当時の技術常識とに基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を製造し、使用することができる程度の記載があることを要するものと解される。
また、本件発明14ないし17はマッサージ装置を動作させるための方法という方法の発明であるところ、発明の詳細な説明が方法の発明につい
て実施可能要件を満たすためには、当業者が発明の詳細な説明の記載及び出
願当時の技術常識とに基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その方法を使用することができる程度の記載があることを要するものと解される。⑵

本件各発明の実施可能性
本件各発明について、本件明細書等の発明の詳細な説明には、①マイクロコントローラ130が、縮小命令セットコンピュータであること(段落【00
16】、②マッサージ装置106が、1つのマッサージプログラムのプログラ)
ムコードとそれに関連付けられたアイコンのグラフィカルデータを含む、1つ又は複数の暗号化されたファイルを受信すること(段落【0030】、③)
マイクロコントローラ130は、マッサージプログラムコードとグラフィカルアイコンを復元するためにファイルを復号し、マッサージプログラムのコー
ドを機械が実行可能な形式に変換し、次いでマッサージプログラムコードとアイコンをそれぞれ、
メモリ136とリモートコントローラ150に保存するこ
と(段落【0031】、④マイクロコントローラ130は、一連のマッサージ)
動作をユーザの身体に施すため、マッサージ部120を介して新しいマッサージプログラムを実行し得ること(段落【0032】
)が記載されている。

そうすると、本件明細書等の発明の詳細な説明には、当業者が過度の試行錯誤を要することなく、本件発明1ないし10のマッサージ装置、本件発明11ないし13のシステムを製造し、使用することができる程度の記載があると認められ、また、本件発明14ないし17のマッサージ装置を作動させるための方法についても、これらの発明を使用することができる程度の記載
があると認められる。
したがって、本件明細書等の発明の詳細な説明は、当業者が本件各発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されており、明確性要件は充足されていると認められる。


原告の主張に対する判断
原告は、本件発明1の縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラ及び前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードという発明特定事項は、受信したプログラムが(暗号化された形式であること以外に)
、受信したときにおいて、機械語
に変換するようなことを要せず直ちに縮小命令セットコンピュータによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードであることを意味する
という主張を前提として、本件発明1は実施可能要件を充足せず、本件発明14も同様に実施可能要件を充足しないと主張する。
しかし、本件発明1の前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコードに関する原告の上記主張を採用できないことは、前記2⑶のとおりであるから、上記主張を前提として、本件
発明1が実施可能要件を充足しないという主張は採用することができず、本件発明14が実施可能要件を充足しないという主張も同様に採用することができない。


小括
したがって、取消事由6は理由がない。

8
取消事由7(進歩性の判断の遺脱ないし審理不尽〔無効理由4関係〕、取消)
事由8(甲2及び甲3の記載事項から把握される技術の認定の誤り〔無効理由4関係〕
)及び取消事由9(相違点の判断の誤り〔無効理由4関係〕
)について


本件発明1及び本件発明14
本件発明1及び本件発明14は、前記第2の2⑴及び⒁のとおりである。


主引用発明
甲1の1
(米国特許出願公開第2011/0055720号明細書)
には、
図面とともに別紙2のとおりの記載がある。
別紙2の甲1の1の記載によれば、甲1の1には、本件審決が認定したと
おり、甲1発明1、甲1発明2が記載されているものと認められる。(前記第
2、4⑸ア(ア)、(イ)、甲1の1に甲1発明1及び甲1発明2が記載されていることは、当事者間に争いがない。



公知文献に記載された技術事項

甲2(特開2005-332070号公報)
(ア)

甲2の記載
甲2には、次のとおりの記載がある。

a現時点において、LANなどのネットワークを通じて操作可能なテレビ、テレビ電話、オーディオコンポを一般的な市販品として購入するのは困難であるが、UPnPやECHONETなどといった家電を含む端末機器を相互接続するための通信プロトコルやミドルウェアや規格が検討されており、それらを家電の実装することにより当該家電機器のネットワークを通じた操作は可能である。本実施形態例における、テレビ100、テレビ電話101、オーディオコンボ102は、上記のようなネットワークを通じた操作が可能な端末であることを想定している。(段落【0025】)

図3に示された制御端末110は、図1における端末情報収集部11と端末制御部14を、端末操作検索装置120は端末操作部12を、端末操作データベース130は端末操作データベース部13を、リモコン端末140は表示部15及び端末操作部16を、それぞれ含む。各装置問は、イーサケーブルなどの有線で連絡しても、赤外線や無線LANなどの無線で連絡してもよい。以上のように、本実施形態例では、制御端末110と端末操作検索装置120と端末操作データベース130とリモコン端末140とにより一つの端末操作システムとして実現している。(段落【0026】)

図7のフローチャートを参照しながら本実施例のシステムの動作例について説明する。(段落【0027】



ステップS1では、ネットワークに接続された各被制御端末100~103は、制御端末110に対して、端末の識別子とともに、操作可能な機能や性質、デバイスや自端末上で動作するアプリケーションなどのタスクの状態などを含む端末情報を、変更や変化があるたびに送信する。(段落【0028】)

ステップS2では、制御端末110は、ステップS1で収集された各被制御端末の情報を集約し、被制御端末の構成情報とともに端末操作検索装置120に送信する。(略)(段落【0029】


ステップS3では、ステップS2において被制御端末の構成情報及び各端末の情報を受け取った端末操作検索装置120は、端末操作データベース130を参照し、当該データベースに含まれる操作一つ一つについて実行可能かどうかを判定する。(略)(段落【0030】)
ステップS4では、端末操作検索装置120が実行可能と判定した操作全てを制御端末110に送信する。この時、各操作に対応するリモコン表示用のアイコンなどの識別子及び、当該操作を実行するためのファイル(以下、操作実行ファイルと称する)等が送られる。(段落【0031】

ステップS5では、制御端末110はリモコン端末140に対して、実行可能な各操作に対応するアイコンなどの識別子を送信する。(段


落【0033】

ステップS6では、ユーザは所望する操作に対応したアイコンなどの識別子をリモコン端末上で選択することにより、制御端末110に対して当該操作の実行を指示する。(略)(段落【0034】


ステップS7では、制御端末110は、ユーザにより選択された操作の識別子に対応する操作実行ファイルを解釈し、関係する被制御端末に対して制御命令を順番に実行することにより、端末の操作を行う。(略)(段落【0035】)
b
図3から、
制御端末110に対して、
各被制御端末100~103、
端末操作検索装置120及びリモコン端末140がそれぞれ接続されていることを見て取ることができる。

(イ)

甲2記載の技術的事項
前記(ア)によれば、甲2には次の技術的事項が記載されていると認め
られる。
制御端末に対して、各被制御端末、端末操作検索装置及びリモコン端末がそれぞれ接続されたシステムにおいて、端末操作検索装置から制御端末に、被制御装置の操作に対応するリモコン表示用のアイコンなどの識別子及び当該操作を実行するための操作実行ファイルを送るステップ制御端末がリモコン端末に対して、各操作に対応するアイコンな、どの識別子を送信するステップ、ユーザが所望する操作に対応したアイコンなどの識別子をリモコン端末上で選択することにより、制御端末に対して当該操作の実行を指示するステップ、及び

制御端末が、ユーザにより選択された操作の識別子に対応する操作実行ファイルを解釈し、関係する被制御端末に対して制御命令を順番に実行することにより、端末の操作を行うステップ

を順次行うこと。イ
甲3(特開2003-339084号公報)
(ア)

甲3の記載
甲3には、次のとおりの記載がある。

a

【発明の属する技術分野】この発明は、複数のAV(オーディオ・ビデオ)用機器を有するAVシステムに適用することができる集中制御装置に関する。(段落【0001】


【従来の技術】AVシステムにおいて、CDプレーヤ等の複数のAV用機器がアンプにAVケーブルで接続され、例えば、CDの音楽をカセットテープにダビングする場合、ユーザは、アンプ、CDプレーヤ、及びカセットテープレコーダをオンにし、CDプレーヤのプレイスイッチ及びカセットテープレコーダの録音スイッチを操作している。この場合、ユーザは、各AV用機器の所で操作を行う必要があり、操作が繁雑になる。(段落【0002】)

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため、この発明のAV用集中制御装置(12)は、AV用機器(14)の適宜接続及び切離しが自在で、AVデータ及び制御データの伝送に共用されるデータ伝送路(16)に接続された各AV用機器(14)からアイコンソース及びコマンドをダウンロードし、ダウンロードしたアイコンソースをリモコンに送り、そのAV用機器(14)、コマンド、及びそのアイコンソースに係るリモコンの上のアイコンの位置を対応させて記憶したアイコンテーブルを作成し、送ったアイコンソースに基づきリモコン(26)において行われるアイコンの選択に応じてリモコン(26)から送られる位置情報に対応するアイコンテーブル中のコマンドを、対応するAV用機器(14)に出力することを特徴とする。アイコンソースに基づいてリモコン上に表示されるアイコンについて、リモコンから位置の修正指示を受け取ったとき、受け取った修正位置に基づきアイコンテーブル中のアイコンの位置を更新するようにしてもよい。(段落【0006】)
b
図2から、
AV用集中制御装置(12)に対して、
各AV用機器(14)及び
リモコン(26)が接続されていることを見て取ることができる。
(イ)

甲3記載の技術的事項
前記(ア)によれば、甲3には次の技術的事項が記載されていると認め
られる。
AV用集中制御装置に対して、各AV用機器及びリモコンが接続されたシステムにおいて、AV用集中制御装置は、各AV用機器からアイコンソース及びコマンドをダウンロードし、ダウンロードしたアイコンソースをリモコンに送り、送ったアイコンソースに基づきリモコンにおいて行われるアイコンの選択に応じてリモコンから送られるコマンドを、対応するAV用機器に出力すること。


本件発明1、本件発明14と主引用発明の対比

本件発明1と甲1発明1の対比
本件発明1と甲1発明1を対比すると、本件審決が認定したとおりの一致点、相違点1及び相違点2(前記第2、4⑸イ(ア))が認められる。

本件発明14と甲1発明2の対比
本件発明14と甲1発明2対比すると、本件審決が認定したとおりの一
致点、相違点3及び相違点4(前記第2、4⑸エ(ア))が認められる。⑸

相違点に関する容易想到性の判断

本件発明1について
(ア)

a
相違点1について
アイコンとは、

コンピューターに与える指示・命令やファイル・プログラムなどをわかりやすく記号化した図形。絵文字。(広辞苑第

7版、株式会社岩波書店)を意味するところ、甲1の1には、図形が記されたボタン1967を選択すると、ユーザは個別の治療又はマッサージプログラム画面1828であるエスプレッソショットと呼

ばれる画面に移動することが記載されているから(図18A、段落[0125])
、甲1の1のプログラムは、アイコンによって選択され
ることが予定されているものであるといえる。
そして、甲1の1には、プログラムと関連付けられたアイコンのグラフィカルコンテンツをどのように入手するかは記載されていないが、
リモコン端末に表示されたアイコンによってプログラムを選択するシステムにおいて、制御装置がプログラムコードを受信する際に、当該プログラムと関連付けられたアイコンのグラフィカルコンテンツを合わせて受信して、当該アイコンを制御装置からリモコン端末に送るようにすることは、甲2及び甲3に記載されているように周知の技術的事項であり、甲1発明1にこのような周知技術を適用することは、当業者が容易に想起し得たものと認められる。

b
甲28(特開2000-276457号公報)には、
なお、インターネットを安価な通信媒体として利用する場合には、通信経路からのデータ漏洩から守るために、送信データを暗号化して送信することが行なわれているが、このようなデータの暗号/復号化は、システムのいろいろなレベルで行なわれている。例えば、通信ソケットレベルで行なわれる暗号化サービスとしてSSL(securetssockelayer)が知られて(略)いる。(段落【0007】)と記

載され、甲29(特開2006-191189号公報)には、
パスワードはセッション記述プロトコル(SDP)に暗号化された文字列として記載される。インターネットにおけるデータ通信の暗号方式として広く使われているSSL(SecureSocketLayer)プロトコルを使ってセッション記述を暗号化することでより安全にデータ送信を行うことも可能である。(段落【0027】)と記載さ
れており、これらの記載から、インターネット等の通信では、情報保護のために、SSL(secure

sockets

layer)

などの暗号化/復号技術が広く行われていることが認められる。
また、甲26(特開2007-233426号公報)には、
このようなプログラム配信サービスにおいて、配信されるプログラムはそのプログラムの開発者の知的財産権で保護されており、これを悪意のある攻撃者が盗聴することは防がなくてはならない。また、悪意のある攻撃者により改ざんされたプログラムが、利用者やアプリ製作者の意図しない動作をすることを防がなくてはならない。これらを実現するために、従来の電子機器は以下のような機能を備えている。(段落
【0
003】、

暗号化したプログラムをダウンロードし、端末内部で復号することにより、通信途中の盗聴、改ざんを防止する。(段落【00

04】
)と記載され、甲27(特開2008-017462号公報)に
は、
さらに、家電機器用ソフトウェアの更新を行うには、配信されるソフトウェアに対するセキュリティも重要である。例えば、悪意の第三者の操作により、配信されるソフトウェアに不正なコードが混入されてソフトウェアが改ざんされたり、配信される情報の中からその家電機器に関するノウハウやアルゴリズムなどの秘密情報が解読されたりすることは、確実に防止されなければならない。そのためには、ソフトウェアおよびそれに付随する情報は、配信の際に暗号化する必要がある。(段落【0006】、(略)暗号鍵で暗号化されたダウンロ)

ードモジュールを受信して(略)暗号鍵でダウンロードモジュールを復号化する。(略)(段落【0007】

)と記載されており、これらの
記載から、装置の外部からプログラム等を受信する際に、プログラム等を暗号化された形式で受信し、受信した装置で復号すること(暗号化/復号技術)も、コンピュータ(コンピューティング)技術ないしデータ通信技術の技術分野において極めて周知の技術であることが認
められる。
そうすると、甲1発明1の治療用健康装置は、マッサージプログラムのプログラムコードを、インターネット等を通じて受信するものであるところ(段落[0029])
、上記のとおり、インターネット等の通
信では、情報保護のために、SSL(secure

sockets

layer)などの暗号化/復号技術が広く行われており、しかも、上記のとおり、装置の外部からプログラム等を受信する際に、プログラム等を暗号化された形式で受信し、
受信した装置で復号すること
(暗
号化/復号技術)も、コンピュータ(コンピューティング)技術ないしデータ通信技術の技術分野において極めて周知の技術であるから、甲1発明1において、ダウンロードに際して、当該周知の暗号化/復号技術を採用することは、当業者が適宜なし得た設計的事項にすぎな
いというべきである。
c
さらに、ダウンロードしたプログラムをメモリに保存することは、通常行う事項であり、甲1発明1においても当然実行しているものと認められるから、この点は実質的な相違点ではない。

d
そして、
本件発明1において、
アイコンをリモートコントローラに保存させることが特定されているが、アイコンはプログラム選択という操作に利用されるものであり、甲1発明1においては、操作手段としてリモートコントローラを有しているのであるから、アイコンによって選択されることが予定されているプログラムをダウンロードした後、そのプログラムがアイコンによって選択できるように対処す
べきことは、当業者が当然考慮すべき普遍的な課題であるところ、その普遍的課題に照らして、甲1発明1に操作手段として備わっているリモートコントローラにアイコンを保存させることは、当然に考慮する設計的事項にすぎず、しかも、ダウンロードしたアイコンをリモートコントローラに保存することも周知の技術である(甲2、甲3)か
ら、
当業者であれば、
アイコンをリモートコントローラに保存させることは、容易に想到し得たものと認められる。e
そうすると、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、甲1発明1並びに甲2及び甲3に記載された周知技術、甲26ないし甲2
9に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に想到することが
できたものであり、そのことにより、格別な効果を奏するものではないと認められる。
(イ)

相違点2について
甲8エンサイクロペディア情報処理2000-2001

情報処理

学会)には、

RISC(ReducedInstructionSetComputer)とは、現在主流となっているプロセッサ設計思想である.(490頁)と記載されて

おり、これによれば、本件特許の出願時において、プロセッサアーキテクチャとしてはRISC(縮小命令セットコンピュータ)が主流となっていたことが認められる。

また、甲21の1(特表2009-520506号公報)には、

本発明は、マッサージ装置…に関する

(段落【0001】、

本発明の各種構成要素を制御するために使用される制御システムは、略)(たとえば(略)TexasInstruments社製のプログラマブルマイクロコントローラMSP430である

(段落
【0078】と記載されており、

甲21の2(MSP430入門セミナー2007資料)によれば、MSP430は16ビットRISCCPU
(2頁)である。また、甲25

の1(特表2004-535844号公報)には、
本発明は…マッサージ装置に関する
(段落
【0001】、

マイクロコントローラ328は、例えば、HoltekHT49R50のような(略)標準的な自蔵式の素子であっても良い

(段落【0037】
)と記載されており、甲25
の2(ChipWorksTechnologyLimited社ウェブページ)によれば、HT49R50は

8ビットRISCプロセッサ(8-bitRISCprocessor)(1頁)であり、これらの記載によれば、マッサージ装置の

技術分野においてRISCを用いることも周知の技術であったと認められる。
このように、本件特許の出願時において、プロセッサアーキテクチャとしてはRISC
(縮小命令セットコンピュータ)
が主流となっており、
また、マッサージ装置の技術分野においてRISCを用いることも周知の技術であったから、甲1発明1において、治療プログラムを実行する主データ処理装置200(マイクロコントローラ)としてRISCを採用し、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に
なし得たものであり、そのことにより、格別な効果を奏するものでもないと認められる。
そうすると、甲1発明1において、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、
甲1発明1並びに甲8、
甲21の1、
2及び甲25の1、
2に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に想到することがで
きたものであり、そのことにより、格別な効果を奏するものではない。(ウ)

容易想到性
以上のとおり、本件発明1は、甲1発明1並びに甲2及び甲3に記載
された周知技術、甲26ないし甲29に記載された周知技術、甲8、甲21の1、2及び甲25の1、2に記載された周知技術に基づいて、当
業者が容易に発明をすることができたものと認めるのが相当である。イ
本件発明14について
(ア)

相違点3について
相違点3は、その内容からみて、本件発明1と甲1発明1との相違点
1に実質上対応するものであるところ、相違点1に係る本件発明1の構成は、甲1発明1並びに甲2及び甲3に記載された周知技術、甲26ないし29に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に想到することができたものであることは前記ア(ア)eのとおりであるから、相違点3に係る本件発明14の構成も、甲1発明2並びに甲2及び甲3に記載
された周知技術、甲26ないし29に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に想到することができたものである。
(イ)

相違点4について
相違点4は、その内容からみて、本件発明1と甲1発明1との上記相
違点2に実質上対応するものであるところ、相違点2に係る本件発明1の構成が、甲1発明1並びに甲8、甲21の1、2及び甲25の1、2に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に想到することができ
たものであることは前記ア(イ)のとおりであるから、相違点4に係る本件発明14の構成も、甲1発明2並びに甲8、甲21の1、2及び甲25の1、2に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に想到することができたものである。
(ウ)

容易想到性
そうすると、本件発明14は、甲1発明1並びに甲2及び甲3に記載
された周知技術、甲26ないし甲29に記載された周知技術、甲8、甲21の1、2及び甲25の1、2に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認めるのが相当である。⑹

取消事由7の理由の有無

原告は、取消事由7について、本件発明1と甲1発明1の相違点1における実質的な相違点は、駆動部と接続されたマイクロコントローラによる処理に関しの後に続いて記載されている処理内容にあることが明らかであるにもかかわらず、本件審決は、一貫して、一致点である駆動部と接続されたマイクロコントローラに着目して判断しており、相違点1における実質的な相違点である処理内容についての容易想到性の判断を何ら示していないとして、本件発明1の進歩性の判断に誤りがあると主張し、また、請求項1を引用する請求項2ないし13に係る本件発明2ないし13の進歩性の判断にも誤りがあると主張する。

しかし、本件審決は、本件発明1と甲1発明1とが共通に備えることにより一致点として認定した前記駆動部と接続されたマイクロコントローラが相違するとして相違点1の認定を行っているのではなく、共通に備えるマイクロコントローラについて、その具体的な処理内容が両者で相違するとして認定していることは、本件審決の文言上明らかであるから(本件審決第5、6⑵ウ〔本件審決83~85頁〕、原告の上記主張は採)
用することができない。


また、原告は、取消事由7について、本件発明14と甲1発明2の相違点3における実質的な相違点は、マッサージ装置のマイクロコントローラでの処理に関しの後に続いて記載されている処理内容にあることが明らかであるにもかかわらず、本件審決は、一貫して、一致点であるマッサージ装置のマイクロコントローラに着目して判断しており、相違点
1における実質的な相違点である処理内容についての容易想到性の判断を何ら示していないとして、本件発明14の進歩性の判断に誤りがあると主張し、また、請求項14を引用する請求項15ないし17に係る本件発明15ないし17の進歩性の判断にも誤りがあると主張する。
しかし、本件審決は、本件発明14と甲1発明2とが共通に備えること
により一致点として認定したマッサージ装置のマイクロコントローラが相違するとして相違点3の認定を行っているのではなく、共通に備えるマイクロコントローラについて、その具体的な処理内容が両者で相違するとして認定していることは、本件審決の文言上明らかであるから(本件審決第5、6⑷ウ〔本件審決88~89頁〕、原告の上記主張は採用す)

ることができない。



取消事由8の理由の有無

したがって、取消事由7は理由がない。

被告は、取消事由8について、甲2及び甲3についての本件審決の認定(前記第2、4⑸イ(イ)、本件審決第5、6⑵ウ〔本件審決83~84頁〕
)には誤りはないと主張する。
本件審決は、甲2において、制御端末110から複数の家電機器に対する制御命令は、家電機器の制御部に対して実行されるものであるから、制御端末110は家電機器の駆動部に接続して制御する装置ではなく、また、甲3において、AV用集中制御装置(12)から複数のAV用機器(14)に対する制御命令は、家電機器の制御部に対して実行されるものであるから、A
V用集中制御装置(12)はAV用機器の駆動部に接続して制御する装置ではないので、いずれも、本件発明1の駆動部に接続されたマイクロコントローラに相当するものではないと解釈した。しかし、甲2及び甲3に記載された技術的事項は、前記⑶ア(イ)、イ(イ)のとおり認定されるものであって、本件審決のように、制御端末110が家電機器の駆動部に接続して
制御する装置ではないこと、AV用集中制御装置(12)がAV用機器の駆動部に接続して制御する装置ではないことと限定的に解釈すべき根拠はなく、本件審決による甲2及び甲3の記載事項から把握される技術の認定には誤りがある。
したがって、被告の上記主張は採用することはできない。


以上のとおり、
甲2及び甲3に記載された技術的事項は、
前記⑶ア(イ)、
イ(イ)のとおり認定されるものであって、本件審決による認定は誤りであるから、取消事由8は理由がある。


取消事由9の理由の有無
ア(ア)

被告は、本件審決が判断するとおり、相違点1に係る本件発明1の
構成は、甲1発明1及び甲2ないし甲12、甲18ないし甲29の記載事項から把握される技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1は、相違点2について検討するまでもなく、進歩性の要件を充足し、本件発明2ないし13は、本件発明1を発明特定事項に含むものであるから、本件発明2ないし13も進歩性の要件を充足すると主張する。また、本件審決が判断するとおり、相違点3に係る本件発明14の構成は、甲1発明2及び甲2ないし甲12、甲18ないし甲29の記載事項から把握される技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明14は、相違点4について検討するまでもなく、進歩性の要件を充足し、本件発明15ないし17は、本件発明14を発明特定事項に含むもので
あるから、本件発明15ないし17も進歩性の要件を充足すると主張する。
しかし、前記⑸アのとおり、本件発明1は、甲1発明1並びに甲2及び甲3に記載された周知技術、甲26ないし甲29に記載された周知技術、甲8、甲21の1、2及び甲25の1、2に記載された周知技術に
基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、進歩性の要件を充足せず、前記⑸イのとおり、本件発明14は、甲1発明1並びに甲2及び甲3に記載された周知技術、甲26ないし甲29に記載された周知技術、甲8、甲21の1、2及び甲25の1、2に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであ
るから、進歩性の要件を充足しないと解するのが相当であるから、被告の上記主張は採用することはできない。
(イ)

また、被告は、相違点2に関して、独自の相違点2’を挙げて、容易
想到でないと主張するものの、その主張は、本件審決による相違点2の認定自体が誤っているとするものではなく、また、相違点2’について
の被告の主張を考慮しても、相違点2が容易想到であるという上記判断を覆すに足りるものではない。

前記ア(ア)のとおり、本件発明1及び本件発明14はいずれも進歩性の要件を充足しないから、本件発明1及び本件発明14は容易に想到するこ
とができないとした本件審決の判断は誤りである。
したがって、取消事由9は理由がある。
9
結論
以上によれば、取消事由8及び取消事由9は理由があるから、本件審決に
は取り消すべき違法がある。
よって、原告の請求を認容することとし、主文のとおり判決する。知的財産高等裁判所第3部

裁判長裁判官
東林保中平健都海野
裁判官
裁判官
(別紙1審決書写し省略)

道紀
別紙2
(甲1の1
(米国特許出願公開第2011/0055720号明細書)
の記載事項)
([0029]から[0073]までの翻訳は審決により、その余の翻訳は甲1の1添付の翻訳による。

[0029]図1に示す本発明の一実施形態は、治療用健康装置100を備え、治療用健康装置100は、マッサージチェア、マッサージオットマン、または他の独立型治療装置であるかどうかにかかわらず、接続できる装置を備え、接続できる装置は、例えば有線接続102を介してパーソナルコンピュータなどの外部計算装置170に接続でき、有線接続104を介してLAN・携帯電話ネットワーク・インタネットなどのパブリック又はプライベートローカル又はワイドエリアデータネットワーク180に接続でき、又はタブレットコンピュータ又はスマートフォン190などの無線トランシーバを含むデバイスへの無線接続を介して接続できる。多数の方法と有線および無線データ通信接続のタイプは、関連するコンピューティングおよびデータネットワーキング技術の当業者にはよく知られている。[0030]治療用健康装置への接続は、例えば、周辺装置としての治療用健康装置によって構成され、治療用健康装置に組み込まれたユニバーサルシリアルバスすなわちUSBポートなどの有線ポート105、110または他の適切な接続を使用して確立することができる。他の使用可能な有線接続方式には、イーサネットポート、FireWire(IEEE1394)ポート、標準の電話接続ポートなどがある。そのような有線接続は、銅、光ファイバー、または他の任意の物理的伝送媒体を使用して実装することができる。[0031]上記のように、治療用健康装置へのデータ通信接続はハードワイヤードである必要はなく、代わりにまたは追加でワイヤレスであってもよく、治療用健康装置の内部または接続されたトランシーバーを特徴とし、Bluetooth、Wi-Fi(IEEE802.11)ZigBee(IEEE802.15.4)、、またはGSM(2G)、IMT-2000(3G)、またはIMTAdvanced(4G)モバイルテレフォニーなどのワイヤレスRF標準を実装する。その他の使用可能なワイヤレス接続には、光学または赤外線トランシーバーが含まれる。同様に、有線、赤外線、光、RFワイヤレスなどのその他のデータ通信システムも将来開発される可能性が高く、データ通信またはネットワーキングに適したそれらのいずれも、本発明の実施形態で使用できる。このような通信接続は、着信データまたは発信データのいずれかのみを処理する単方向の場合もあれば、着信データと発信データの両方を処理する双方向の場合もある。[0037]治療用健康装置および補助デバイスが、ワイヤードネットワークの図1に示されている。本明細書に記載されているすべてのデータ接続と同様に、治療用健康装置と補助デバイスとの間のすべての接続は、無線だけでなく有線でもよい。したがって、図10は、本発明の別の実施形態を示し、治療用健康装置1000、無線外部計算装置1090、および補助デバイス1040から1052は、ブルートゥース接続規格の下で確立され、無線ピコネットを形成する無線トランシーバ1032を介して一緒に接続される。そのような構成では、治療用健康装置のワイヤレストランシーバは、治療用健康装置1000自体の内部に収容されるか、または接続された外部ドングル1030に含まれ得る。このようなピコネットでは、どのデバイスもマスターまたはスレーブとして動作する。治療用健康装置の内部装置[0038]図2に示すように、本発明の1つまたは複数の実施形態による治療用健康装置は、外部計算装置またはデータ通信ネットワークから着信データを受信するとともに、発信データを送信するための、主要データ通信接続またはアンテナ210および一次データ通信処理装置215を備える。それは、さらに、入力データを処理、変換、または解釈して治療用健康装置の動作に関連する構成と動作に変換し、コマンド接続230を介した信号によって治療機構260、265と位置決め機構270にそのような構成と動作を実行させる主データ処理装置200を備える。例えば、マッサージ機構および位置決め機構などのアイテムはマッサージ装置に最も関連しているが、他のタイプのウェルネス療法を実施するための他の同等のメカニズムを、他のタイプの治療用ウェルネス装置に加えて、またはそれらの代わりに使用することができる。主データ処理装置200はまた、データ接続240を介してセンサ250、255からのデータ、ならびに治療用健康装置および治療使用情報および構成を処理および解釈し、それを出力データに変換する。本発明による治療用健康装置は、外部データ通信接続またはアンテナ220と、外部データを外部補助デバイスまたはデイジーチェーン治療用ウェルネスデバイスから受信および送信データを送信するための二次データ通信処理装置225とをさらに備え得る。二次データ通信処理装置225は、一次データ通信処理装置215および/またはメインデータ処理装置200と直接通信することができる。[0039]治療用健康装置内の通信装置および/またはデータ処理装置は、データ通信接続自体をサポート、維持、または強化するために使用することもできる。そのような装置は、接続でセルフテストを実行して、正しく動作していることを確認する。また、USBまたはBluetooth接続を特徴とする実施形態では、装置またはソフトウェアは、『プラグアンドプレイ』または照会/ページング構成でそのような接続をそれぞれサポートして、治療用健康装置の外部計算システムへの統合を自動化することができ、ユーザーやオペレーターが手動で接続したり、個別のソフトウェアデバイスドライバーを指定してインストールしたりする必要がなくなる。[0040]治療用健康装置内の通信装置およびデータ処理装置は、例えば、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、プログラマブルロジックデバイス、または特定用途向け集積回路によって制御され得る。このようなデータ処理装置は、不揮発性メモリをさらに特徴として、デバイスから電力が除去された場合でも、プログラムおよびデータが治療用ウェルネスデバイスに存続できるようにすることができる。本発明の一実施形態では、通信装置210、215、220および225は、主データ処理装置200と統合され、すべての装置は、共通のハードウェアおよび/またはソフトウェアを使用して一緒に実装され得る。対照的に、別の実施形態では、通信装置210、215、220、および225は、主データ処理装置200とは別個に設計および/または実装され、別個に存在していた既存のユニットまたは以前に設計または製造された治療用健康装置のモデルに統合または改造することができる。そのような既存の治療用ウェルネスデバイスは、ハードワイヤードのリモートコントロールボックスで機能するように設計されている可能性があり、そのような製品構成は、本発明の実施形態によって効果的に使用できる。[0041]本発明の一実施形態では、治療用健康装置内の通信装置および/またはデータ処理装置内のソフトウェア機能は、製造時に永続的に固定および制限されず、データ通信接続自体を介してリモートで交換またはアップグレードされ得る。そのようなリモートファームウェアまたはソフトウェアのアップグレードまたは交換のための特定のメカニズムおよび手順は、関連するコンピューティングおよびデータ通信技術の当業者にはよく知られている。このようなアップグレードまたは交換は、ユーザーやオペレーターが手動で開始したり、ユーザーまたはオペレーターの制御下にあるプライベートまたはパブリックデータネットワークを介してリモートで開始したり、メーカー、ディストリビューター、またはその他のソフトウェアソースによって自動的に実行したりできる。デバイスのコマンド、および既存の治療用健康装置シグナリングの模倣[0042]外部計算装置は、データ通信リンクを介してそれにコマンドを渡すことにより、治療用健康装置を制御し、これらのコマンドは、様々なレベルで治療用健康装置のデータ処理装置によって解釈され得る。本発明の一実施形態では、処理装置の内部プロセッサアーキテクチャを外部計算装置に「エクスポートすることができ、
低レベルの基本コマンドは、個々のマイクロコントローラの命令と同じように、治療用健康装置の処理装置に受け渡すことができ、データ処理装置内のマイクロコントローラまたはロジックチップにより直接実行される。別の実施形態では、対照的
に、より高いレベルまたは『マクロ』コマンドを治療用健康装置の処理装置に渡すことができ、それにより単一のコマンドが治療用健康装置に比較的複雑な操作または一連の操作を実行させることができる。コマンドは、中間レベルの複雑さでもよい。
[0043]データリンク用の通信処理装置と治療用健康装置の主処理装置との間のコマンドレベルのマッチングは、データ通信リンクへのインターフェースが、治療用健康装置のメインエレクトロニクスの一部として製造されておらず、治療用健康装置とは別に、またはその改造として製造された状況では、非常に価値がある。データ通信リンクで高レベルのコマンドアプローチを使用すると、有線リモートコントロールボックスで使用するように設計およびプログラムされた治療用健康装置との便利で効率的なインターフェースが可能になる。このような治療用健康装置の処理装
置は通常、定義された上位レベルのコマンドのセットに応答するようにプログラムされており、有線リモートコントロールボックスの個々のボタンは通常、これらのコマンドを押すとトリガーされるように配線されている。そのようなより高いレベルのコマンドアプローチを使用する実施形態では、データ通信処理装置を、治療用健康装置内の既存の事前にプログラムされたメイン処理ユニットに追加または改造
することができる。このような改造された装置は、有線リモートコントロールボックスのボタンプレスをシミュレートする高レベルのコマンドを主処理装置に渡すことができるが、有線リモートコントロールボックスを介して達成されるものを超えて装置の機能を向上させることもできる。そのような装置は、有線リモートコントロールボックスに通常は配線されていない又は関連付けられていない高レベルのコ
マンドを渡すことができ、あるいは、リモートコントロールボックスの個々のボタンを押して実際に生成できるものを超えた高レベルの『ボタンシミュレーション』コマンドの組み合わせ又はシーケンスを渡すことができる。

外部計算装置による治療用健康装置の制御[0047]図1に示すように、ローカルまたはリモートのいずれかの外部計算装置170、190とデータ通信する治療用健康装置は、従来の手持ちリモートコントロールボックス160に加えて、またはその代わりに、その外部計算装置から制御され得る。そのような外部計算装置は、あらゆる種類の計算装置を含むことができる。それは、例えば、適切なソフトウェアがロードされた汎用コンピュータを含み、キーボード175、マウス176、または音声認識装置174などのユーザーインターフェースデバイスによって操作されて、治療用健康装置のモードを設定したり、コマンドを発行したりできる。手持ちリモートコントロールボックスと同じモード及びコマンドであっても追加のモード又はコマンドであっても、それらの一部は、手持ちリモートコントロールボックスから簡便に発行するには複雑すぎることがある。それは、他の種類の計算装置をも含み得るものであり、例えば、パーソナルコンピュータまたはビデオゲームコンソール170、またはスマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ポータブル、ラップトップ、またはタブレットコンピュータ、デジタルメディアプレーヤー、メディアリーダー、パーソナルデジタルアシスタント、プログラム可能なワイヤレスリモートコントロール、または同様の手持ちデバイスまたはモバイルデバイス190である。そのようなワイヤレスデバイスの例としては、カリフォルニア州クパチーノにあるAppleInc.のiPod、iPad、iPhone製品、イリノイ州ショームバーグのMotorola、Inc.のDroidまたはMilestoneまたは韓国のSamsungGroupのi7500などのAndroidオペレーティングシステムを実行している製品、SamsungGroupのi8910などのSymbianオペレーティングシステムを実行している製品、またはResearchinMotionofCanadaのBlackBerryがある。有線または無線のデータ接続を使用して、治療用健康装置の制御用に特別に設計されたハードウェアデバイスも使用できる。そのような外部計算装置は、マイクロプロセッサまたはマイクロコントローラベースのデバイスに限定されず、プログラム可能な論理デバイス、特定用途向け集積回路、または他の任意の装置に基づくかどうかにかかわらず、計算が可能な任意のデバイスを含み得る。[0049]外部計算装置170または190を介した制御は、ハードワイヤードの手持ちリモートコントロールボックス160を置き換えることができるが、治療用健康装置は、両方の制御ソースからのコマンドを受け入れるように構成することもできる。治療用健康装置は、たとえば、いずれかのユニットから発行された最新のコマンドに応答するか、一方の制御ソースにのみ応答して一定期間または他の指示があるまで他のソースを『ロックアウト』するように指示するか、または他の方法またはスキームで両方のソースからのコマンド入力を組み合わせる。同様に、外部計算装置とリモートコントロールボックスはそれぞれ、他の制御ソースによって実行されるアクションを認識して対応でき、たとえば、他の制御ソースによって実行されるコマンドまたはアクションが変更する。このような表示の更新は、治療用健康装置における装置から生じたり、他の制御ソースから流れるコマンドデータをサンプリングまたは『スニッフィング』する各制御ソースから生じたり、または2つの制御ソース間を直接流れるデータから生じる。2つの制御ソース間のデータ接続により、追加タイプの機能とそれらの間の調整も可能になる。[0052]一実施形態では、図14に示すように、ユーザーがグラフィックディスプレイと対話して選択を行うと、アプリケーションは、グラフィックオブジェクトの選択またはドラッグなどのユーザー入力を受け入れ(1402)そのような入力に、よって表される、ディスプレイ上のグラフィックオブジェクトの新しい値または位置を決定する(1404)。アプリケーションは、スカラ、ベクトル、または他の用語であるかどうかにかかわらず、新しいグラフィカルオブジェクト値と古いグラフィカルオブジェクト値の違いを決定する(1406)。アプリケーションは、グラフィカルオブジェクトの違いを、治療用健康装置の現在の構成と、グラフィカルオブジェクトのユーザーの操作に対応するデバイスの新しい構成との間の構成の違いに変換する(1408)。そのような変換は、例えば、ルックアップテーブルまたはプログラムされた式を介して達成され得るものであり、現在の構成を決定するために治療健康装置に問い合わせをするアプリケーションを含み得る。アプリケーションは、要求された構成変更を可能な構成と比較し(1410)、たとえば、加熱パッドに200度まで加熱するように命令する場合のように、要求された変更が治療用健康装置の能力を超える場合、構成の変更を修正又は制限(1412)する。一般に、アプリケーションは変更を変更して、デバイスで可能な要求された変更に最も近い可能な変更にする。アプリケーションは、必要に応じて変更された構成変更を、治療用健康装置で認識可能な1つまたは複数のコマンドに変換する(1414)。この変換は、たとえばルックアップテーブルまたはプログラムされた式を使用して実行することもできる。アプリケーションは、治療用健康装置に1つ以上のコマンドを発行し(1416)、グラフィック表示も更新する。ディスプレイがデバイスの現在の構成に依存するように構成されていない場合(1418)アプリケーションは、、必要に応じて変更されたユーザーの入力に対応するように、ディスプレイ上のグラフィックオブジェクトを更新するだけである(1420)。一方、ディスプレイがデバイスの現在の構成を反映するように構成されている場合、デバイスの構成変更が完了するまで(1422)アプリケーションは変更の最中にデバイスの現在の構成、を取得し(1424)、現在のデバイス構成を反映するディスプレイを更新する(1426)。このようにして、ディスプレイは、治療用健康装置の動きまたはその他の変化を、発生時にリアルタイムで示す。
リモートおよび複数の外部コンピューティング装置と治療用健康装置[0063]治療用健康装置の制御は、特定の外部コンピューティング装置から直接、またはマルチホップ、デイジーチェーン、または他のデータ通信トポロジを使用して間接的に、異なる外部コンピューティング装置からの制御を可能にすることができる。たとえば、スマートフォンまたは同様のポータブル外部コンピューティング装置は、Bluetoothワイヤレス接続などを介して治療用健康装置を直接制御するとともに、直接または他のコンピューティングデバイスと直接またはパブリックまたはプライベートデータネットワークを介して他のコンピューティング装置と接続できます。そのような構成では、別のコンピューティング装置を使用して、ポータブル外部コンピューティング装置を介して間接的に治療用健康装置を制御することができる。また、外部のコンピューティング装置は、間接的に制御するデバイスから治療用健康装置にコマンドとデータを直接中継するか、または治療用健康装置の派生されたまたは変換されたコマンドとデータに送信する前にフォーマット間で解釈、変換、または処理するために使用できる。同様の複数の無線または有線接続は、外部コンピューティング装置がより大型のデスクトップコンピューターである場合に、間接制御にも使用できる。[0068]特定の治療用健康装置を使用する以外に、ユーザーは定義済みの治療プリセットを取得するか、以下で説明するように、定義済みの治療プログラムまたはシーケンスを取得して、ホテル、空港のラウンジ、公共のマッサージやセラピー施設、キオスク、飛行機、その他の移動手段にある公共施設の治療用健康装置を含む他の場所で使用できる他の治療用健康装置に転送できる。このような転送は、CD、データカード、USBフラッシュドライブなどのデータ保持メディアの使用、またはカードスワイプまたは近接キーチェーンデバイスによって開始されるネットワークデータ転送などのハイブリッド転送デバイスまたはプロセスによって、プライベートまたはパブリックデータネットワーク全体で直接行われる場合がある。外部計算装置は、そのような公的に利用可能な治療用健康装置の使用に対するユーザーの支払いを支援することもできる。[0071]マッサージや関連する活動や構成など、さまざまな治療のための治療用健康装置コマンドのプログラムまたはシーケンスが定義され、外部計算装置に関連付けて使用される。このプログラムまたはシーケンスは、さまざまな活動や構成を治療用健康装置に順次指令するために外部計算装置によって使用されてもよいし、その治療用健康装置又は他の治療用健康装置による事後的な実行のために一度にその治療用健康装置にダウンロードされてもよい。そのような治療プログラムまたはシーケンスは、外部計算装置で構成または定義することができる。そのような構成は、プログラミング言語に類似したテキストベースの治療ウェルネスデバイスのコマンド言語を使用することによって達成することができる。この言語は、プロのプログラマーではないユーザーが自分の治療プログラムまたはシーケンスを作成するのに十分なほどシンプルでよい。そのような構成は、代替的又は追加的に、グラフィカルコンパイラーを使って構成される。治療用健康装置のモデル、マップ、グラフィック描画が、所望の治療プログラム又はシーケンスを組みたてるためグラフィカルコンパイラーにおいて操作される。そのような治療プログラムまたはシーケンスはまた、時系列で様々な構成および活動を想定し、保持および共有または後で使用するためにそのようなシーケンスを同時に『記録』または『取得』するように治療用健康装置に命令するユーザーによって定義されてもよい。そのようなシーケンスまたはプログラムは、外部計算装置を介して、パブリックまたはプライベートデータネットワークを介して他のユーザーと共有できる。たとえば、健康をテーマにしたブログやフォーラム、またはMySpaceまたはTwitterのようなソーシャルネットワーキングサイトなどに投稿することで、他の治療用健康装置のユーザーや友人とのソーシャル目的で共有できる。[0072]プログラムまたは治療用健康装置コマンドのシーケンスは、外部計算装置にダウンロードすることも、遠隔地から治療用健康装置に直接ダウンロードすることもできる。それらは、ユーザーの要求によって『プル』される場合と、遠隔地から発信された送信で『プッシュ』される場合がある。遠隔地には、治療用健康装置の製造業者や販売業者、またはサードパーティの治療プログラムの開発者やプロバイダーによって管理されているWebサイトや電子設備が含まれてもよい。複数の治療用健康装置の制御と組み合わせることで、視聴覚プログラムや治療プログラムの配布は、たとえば、販売促進において、治療用健康装置や、複数の異なる小売サイトで同時に実施される治療セッションがマーケティングの誘因として提供される他の製品の視聴覚販売デモを可能にするアプリケーションを見つける。複数の治療用健康装置の制御と連携したこのような分散型の視聴覚プログラムは、共有のコンピュータ画面の形をとることができ、制御された治療用健康装置を使用または関連する人々は、指令又はまたは他の目的のための中央制御サイトで操作画面が操作されていることを確認できるようになっている。そのような『分散型スクリーン』はさらに、他のサイトにいる人々がそのようなスクリーンの制御に参加することを可能にし、したがって、1つまたは複数の治療用健康装置の制御に参加することを可能にする。[0073]このようなプログラムまたはシーケンスは、一般に公開される可能性があり;例えば、フィットネス、治療、またはリラクゼーションのコミュニティの著名人が好むまたは採用するマッサージシーケンスの『スクリプト』は、一般に公開されてもよい。他方、特定のプログラムまたはシーケンスは、特定のユーザーまたは複数のユーザーのために特に構築されてもよい。一実施形態では、図15に示すように、患者は、特定の症状または状態を医療提供者に報告する(1502)医療提供者は、。特にその患者に対して、報告された症状または状態に対応するための治療用健康装置の最適な専門プログラムまたはシーケンスを決定する(1504)。もし(1506)そのようなプログラムまたはシーケンスがすでに存在する場合、、医療提供者はそれを選択する(1508)そのようなプログラムまたはシーケンスが存在しない。場合、医療提供者はそれを構築する(1510)新しいプログラムが構築された後、。または、もし(1512)既存のプログラムがコードまたはパスワードでタグ付けされておらず、医療提供者、治療用健康装置の製造業者または販売業者、外部計算装置アプリケーションの製造業者または販売業者に属するWebサイトなどの公的にアクセス可能なデータリポジトリに配置されている場合、医療提供者(1514)は、プログラムをWebサイトまたは他の公的にアクセス可能なデータリポジトリに配置し、プログラムにコードまたはパスワードを割り当てる(1516)。医療提供者は、プログラムまたはシーケンスのコードまたはパスワードを患者に提供する(1518)。患者はウェブサイトにアクセスし(1520)、コードまたはパスワードを入力し(1522)、治療プログラムまたはシーケンスをダウンロードし(1524)、プログラムまたはシーケンスを使用して(1526)、治療用健康装置を操作する。
外部計算装置上のソフトウェアアプリケーションのフロートGUI画面の例[0114]治療用健康装置を制御する外部計算装置のソフトウェアアプリケーションからのグラフィカルユーザインタフェース画面のチャートとフロー図が図18A-18Dに示されている。・・・・・[0125]ホーム画面1814又は他の画面からユーザーが選択できる別の項目は、ユーザーがカスタム療法又はマッサージ動作を迅速かつ容易に実行できるようにするモードであり、混合可能な個別のマッサージ構成要素に基づいてカスタム療法又はマッサージセッションを組み立てることができる。ホーム画面のボタン1967を選択すると、ユーザーは個別の療法又はマッサージプログラム画面1828、ここでは『エスプレッソショット』と呼ばれる画面に移動する。第1画面1828では、ユーザーは、病気又はユーザーが注意を望む身体の部分を選択することによって、単一の療法又はマッサージ活動を選択することができる。この選択スキャンは、人体図1968などのグラフィカル模様から作成される。あるいは、治療用健康装置の図又は他の図を使用して、様々な治療またはマッサージ活動を示す様々な場所を選択するために用いられ得る。これに関連して、人体部分の図又は他の図は、ユーザーが選択を行うのを支援するために、色又は他のグラフィカル模様でコード化されてもよい。・・・・・
図18A

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