事件番号 | 令和3(許)8 |
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事件名 | 間接強制決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件 |
裁判年月日 | 令和4年6月21日 |
法廷名 | 最高裁判所第三小法廷 |
裁判種別 | 決定 |
結果 | 棄却 |
原審裁判所名 | 大阪高等裁判所 |
原審事件番号 | 令和3(ラ)259 |
原審裁判年月日 | 令和3年4月14日 |
判示事項 | ハーグ条約実施法134条に基づく間接強制の方法による子の返還の強制執行の申立てが不適法であるとされた事例 |
全文 | 全文 |
最高裁判所 | 〒102-8651 東京都千代田区隼町4番2号 Map |
裁判日:西暦 | 2022-06-21 |
情報公開日 | 2022-06-25 04:00:05 |
間接強制決定に対する抗告審の取消決定に対する 許可抗告事件 令和4年6月21日 第三小法廷決定 主文 本件抗告を棄却する。 抗告費用は抗告人の負担とする。 理1由 本件は、抗告人が、その夫である相手方に対し、国際的な子の奪取の民事上 の側面に関する条約の実施に関する法律(以下実施法という。)134条に基づき、両名の子らのフランスへの返還を命ずる終局決定(以下本件返還決定という。)を債務名義として、間接強制の方法による子の返還の強制執行の申立てをした事案である。 2 職権をもって調査すると、記録によれば、本件申立ての後、抗告人が実施法 134条に基づき本件返還決定を債務名義として申し立てた子の返還の代替執行により子の返還が完了したことによって、本件返還決定に係る強制執行の目的を達したことが明らかであるから、本件申立ては不適法になったものといわなければならない。そうすると、その余の点について判断するまでもなく、本件申立てを却下した原決定は、結論において是認することができる。 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。なお、裁判官長嶺安政、同渡 惠理子の補足意見がある。 裁判官長嶺安政、同渡 惠理子の補足意見は、次のとおりである。 私達は、法廷意見に賛同するものであるが、原決定の理由につき思うところを述べておきたい。 原決定は、本件返還決定が子らの常居所地国であるフランスの第1審裁判所がした子の監護に関する裁判(本件本案判決)に反することを理由として、本件申立ては本件本案判決が仮の執行力を有する間は権利を濫用するものとして許されないという。しかしながら、外国における子の監護に関する裁判(しかも、いまだ確定もしていない。)がされたことのみを理由として子の返還の強制執行を許さないとすることは、仮に原決定が指摘するように上記裁判が適正な審理の下に行われたものであったとしても、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)の目的、同条約17条及びこれを受けて定められた実施法28条3項の趣旨に反するおそれがあるものと思料する。 (裁判長裁判官 長嶺安政 戸倉三郎 裁判官 渡 裁判官 宇賀克也 惠理子) 裁判官 林 道晴 裁判官 |