判例検索β > 令和1年(ワ)第26366号
著作権侵害差止等請求事件 著作権 民事訴訟
事件番号令和1(ワ)26366
事件名著作権侵害差止等請求事件
裁判年月日令和4年5月27日
法廷名東京地方裁判所
全文全文添付文書1添付文書2
最高裁判所〒102-8651 東京都千代田区隼町4番2号 Map
裁判日:西暦2022-05-27
情報公開日2022-06-21 04:00:19
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令和4年5月27日判決言渡

同日原本領収

令和元年(ワ)第26366号

著作権侵害差止等請求事件

口頭弁論終結日

令和4年3月11日
判原
裁判所書記官

決告
株式会社ゼンリン

同訴訟代理人弁護士
同弓同木村剛大同河部康弘同藤沼光太同神田秀斗同小平田慎二被告林削幸夫田博有限会社ペーパー・シャワーズ
(以下被告会社という。)

被告
A
(以下被告Aという。)

上記2名訴訟代理人弁護士

津同梅津有同栗田祐同島福田恵主1守紀太郎太文
被告会社は、別紙原告地図目録1記載1ないし58及び60の各地
図並びに同原告地図目録2記載1ないし60及び62の各地図を複製し、同地図の複製物を譲渡により公衆に提供し、自動公衆送信又は送信可能化してはならない。
2
被告らは、原告に対し、連帯して、3000万円及びこれに対する
令和元年11月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
34
訴訟費用は被告らの負担とする。

5
原告のその余の請求をいずれも棄却する。

本判決は、第1項及び第2項に限り、仮に執行することができる。事実及び理由

第1請求
1
被告会社は、別紙原告地図目録1記載1ないし58及び60の各地図並びに
同原告地図目録2記載1ないし60及び62の各地図を複製し、同地図の複製物を譲渡又は貸与により公衆に提供し、自動公衆送信又は送信可能化してはならない。
2
被告会社は、別紙原告地図目録1記載1ないし58及び60の各地図並びに
同原告地図目録2記載1ないし60及び62の各地図の複製物を廃棄せよ。3主文第2項同旨
第2事案の概要
1事案の要旨
本件は、原告が、被告らに対し、原告の作成及び販売に係る住宅地図を複写し、これを切り貼りするなどしてポスティング業務を行うための地図を作成し、同地図を更に複写したり、譲渡又は貸与により公衆に提供したり、同地図の画
像データを被告会社が管理運営するウェブサイト(以下被告ウェブサイトという。)内のウェブページ上に掲載したりすることによって、上記住宅地図に係る原告の著作権(複製権、譲渡権、貸与権及び公衆送信権(自動公衆送信の場合にあっては、送信可能化を含む。以下同じ。))を侵害したと主張して、以下の請求をする事案である。

(1)

被告会社に対し、著作権法112条1項、2項に基づき、別紙原告地図目
録1記載1ないし58及び60の各地図並びに同原告地図目録2記載1ない
し60及び62の各地図(各末尾の6桁の数字は発行年月(201902であれば、2019年2月)を表す。以下、これらを総称して差止等対象地図という。)を複製し、この複製物を譲渡又は貸与により公衆に提供し、自動公衆送信若しくは送信可能化することの差止め及び差止等対象地図の複製物の廃棄を請求するもの

(2)

被告らに対し、連帯して、被告会社については民法709条に基づく6億
3368万2840円(著作権法114条3項に基づく損害額5億6720万4400円、弁護士費用相当額6647万8440円)の一部であり、被告Aについては民法709条に基づく1076万0400円(著作権法114条3項に基づく損害額)及び会社法429条1項に基づき6億3368万
2840円(内訳は被告会社に対する請求と同じ。)の合計6億4444万3240円の一部である3000万円並びにこれに対する訴状送達日の翌日である令和元年11月15日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求するもの2
前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲各証拠(以下、書証番号は、
特記しない限り枝番を含む。
)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1)

当事者等

原告は、日本全国の地図情報を調査した上、紙媒体の住宅地図である
ゼンリン住宅地図やこの画像データをCR-ROM等に収録した電子地図ソフトウェアである電子住宅地図デジタウン(以下、発行時期を問わず、原告が作成、販売する住宅地図又はそのデータを総称してゼンリン住宅地図という。)等を作成し、販売する株式会社である。イ
被告会社は、長野県内を中心に、広告物の各家庭ポストへの投函等を業
とするまかせてグループや、住宅購入相談を業とするすまいポート21飯田等を運営する有限会社である。被告Aは、被告会社が設立された平成12年1月12日から現在まで、
被告会社の代表取締役である。
(2)

被告らが事業を行う地域

被告Aは、被告会社が設立される前の平成12年1月11日まで、別紙
配布地域等目録の番号2及び8の開店時期欄記載の各開店時期(以下、同目録の開店時期欄記載の開店時期を、同目録の番号に従い、開店時期1、開店時期2などという。)に、配布地域欄記載の各配布地域(以下、同目録の配布地域欄記載の配布地域を、同目録の番号に従い、配布地域1、配布地域2などという。)を担当する店舗名欄記載の各名称の店舗(以下、同目録の店舗名欄記載の店舗を、
同目録の番号に従い、店舗1、店舗2などという。)を運営して、ポスティング業務を行っていた。
そして、被告会社は、設立された平成12年1月12日以降、開店時期1ないし11に、配布地域1ないし11を担当する店舗1ないし11をそれぞれ運営して、ポスティング業務を行っていた。


被告会社は、開店時期12及び13に、配布地域12及び13を担当す
る店舗12及び13をそれぞれ運営して、ポスティング業務を行っていたところ、平成23年4月以降、被告会社とフランチャイズ契約を締結した株式会社ポスティングセンター沖縄が、上記各店舗を運営し、同業務を行っていた。
さらに、同社は、上記フランチャイズ契約に基づき、開店時期14に、
配布地域14を担当する店舗14を運営して、ポスティング業務を行っていた。

被告会社とフランチャイズ契約を締結したBF・H株式会社は、開店時
期15に、配布地域15を担当する店舗15を運営して、ポスティング業務を行っていた。

被告会社とフランチャイズ契約を締結した日豊輸送株式会社(以下、株
式会社ポスティングセンター沖縄及びBF・H株式会社と合わせて被告フランチャイジーという。)は、開店時期16に、配布地域16を担当する店舗16を運営して、ポスティング業務を行っていた。
(3)

原告各地図の作成

原告は、遅くとも昭和55年以降、配布地域1ないし24について、各
配布地域に係るゼンリン住宅地図(以下、媒体及び発行時期を問わず、配布地域1に係るゼンリン住宅地図を原告地図1、配布地域2に係るゼンリン住宅地図を原告地図2などといい、これらを総称して原告各地図という。)を作成し、これらを販売している(乙30の2)。原告各地図は、それぞれ、各配布地域を構成する一つ又は二つ以上の市
町村ごとに発行される複数の紙媒体であるゼンリン住宅地図及び電子地図ソフトウェアである電子住宅地図デジタウン(一つの市町村につき複数のゼンリン住宅地図及び電子住宅地図デジタウンが発行さ
れるものもある。)から成る(弁論の全趣旨)。

原告各地図は、いずれも随時改訂が行われており、差止等対象地図は原
告地図1ないし11の最新の版に係るものである。
(4)

被告らによるポスティング用地図の作成等

被告らは、各家庭に広告物を配布するポスティング業務を行うために、
ゼンリン住宅地図を含む住宅地図を購入し、これを適宜縮小して複写し、配布員がポスティングを行う領域である配布エリアごとに、複写した複数枚を切り貼りした上、集合住宅名、ポストの数、配布数、交差点名、道路の状況、配布禁止宅等のポスティング業務に必要な情報を書き込むなどした地図(以下ポスティング用地図という。)の原図を作成した。被告らは、ポスティング用地図の原図を複写して配布員に渡し、当該配布員は、
この原図を複写したものを使用して、ポスティングを行った。
被告らは、配布可能部数、空き家・廃屋の別、新築物件、新たに設置さ
れた道、家屋の入り口やポストの位置等の情報を更に得たときは、随時、ポスティング用地図の原図にこれらの情報を書き加えた上、この原図を複写して配布員に渡していた。

被告らは、原告各地図を購入し、配布地域1ないし16については遅く
とも開店時期1ないし16の各始期までに、配布地域17ないし24につ
いては現在までに、前記アの方法に従い、原告各地図を複写するなどして、配布地域1ないし24に係るポスティング用地図(以下、配布地域の番号に従い、被告地図1、被告地図2などといい、これらを総称して
被告各地図という。)の原図を作成した。

被告会社は、遅くとも平成28年2月8日までに、被告ウェブサイト内
の店舗8に係るウェブページ上に、被告地図8の一部である地図1枚の画像データを掲載した(甲13)。また、被告会社は、遅くとも平成29年9月4日までに、同店舗11に係る各ウェブページ上に、被告地図11の一部である地図3枚の各画像データを掲載した(甲9)。
さらに、被告会社は、遅くとも令和元年5月23日までに、被告ウェブ
サイト内の店舗14に係るウェブページ上に、原告地図14のうち目的とする地図を検索するための広域地図を複写し、これに書き込みをしたものの画像データを掲載した(弁論の全趣旨)。
3争点
原告各地図の著作物性(争点1)
原告各地図の著作者(争点2)

(3)

被告らによる著作権侵害行為(争点3)

(4)

被告らの故意又は過失の有無(争点4)

(5)
(1)
(2)

被告Aの任務懈怠行為(争点5)

(6)

原告による黙示の許諾の有無(争点6)

(7)

許諾料を支払うことなく出版物を複製することができる慣習の有無(争点
7)
(8)

被告らによる原告各地図の利用に対する著作権法30条の4の適用の可否
(争点8)
(9)

零細的利用であることを理由とする原告の被告らに対する著作権行使の制
限の可否(争点9)

(10)

差止等対象地図に係る原告の著作権を侵害するおそれの有無(争点10)
(11)

損害額(争点11)

4争点に関する当事者の主張
(1)
争点1(原告各地図の著作物性)について
(原告の主張)

原告各地図は、多くの調査員による詳細な現地調査によって得た正確・
精密な情報を取捨選択しつつ、地図情報としていかに正確に配列・表現するかという点と、利用者にとって、いかに見やすく、わかりやすい配列・表現にするかという点に力点を置いて、工夫・創作を施し、統一的に編集を行ったものである。

原告各地図に記載された家形枠(建物等を真上から見たときの形を表す
枠線をいう。以下同じ。)は、現地調査を行う調査員が、周辺の建物との位置関係を見ながら、目測や歩測によりおおまかな位置や長さを決めることになるので、誰が記載しても同じ形になるということはなく、調査員の推測の結果という個性が自ずと表れる。
また、家形枠の記載方法には、住宅地図作成会社の数だけバリエーションが存在し、原告各地図は、種々の選択肢(家形枠の線の太さ及び長さ、家形枠内に記載された居住者名等のフォント等)の中から特定の表現方法を採用したものである。


原告は、原告各地図を作成するに当たり、都市計画基本図を参照するこ
とはあるが、原告各地図と都市計画基本図とでは見た目の印象が全く異な
り、地形図に航空写真からの情報を追加した程度の都市計画基本図と、現地調査に赴き、原告が考える住宅地図として必要な情報を取捨選択して作成した原告各地図とでは、全く異なる地図となっている。

したがって、原告各地図には創作性が認められるから、原告各地図は地
図の著作物(著作権法10条1項6号)に該当する。
なお、原告各地図は、デジタルデータ化するための改訂作業を行った際、それまでとは異なる新たな表現内容となったものであり、原告は、この改訂作業以降に発行された原告各地図が著作物であることを主張するものである。

(被告らの主張)

地図に著作物性が認められる場合は一般的に狭く解されるところ、住宅
地図は、他の地図と比較して、著作物性が認められる場合が更に制限されるということができる。

原告の創業者は、江戸時代の古地図を参考に住宅地図の作成を開始した
ものであり(乙30の2)、原告以外の住宅地図作成会社も、既存の地図を基礎として、それぞれの地図の作成を行ってきた。原告自身、例えば、平成20年時点において、甲府都市計画図に依拠して原告各地図を作成したことを認めている(甲14)。このように、原告各地図において、創作性が発揮される余地は乏しい。


原告各地図は機械的に作成されており、原告が原告各地図の正確性・精
密性を主張していることからすると、原告各地図において創作性が発揮される部分は更に限定されている。
しかも、国土地理院は、2500分の1の縮尺の都市計画基本図について、全ての建物を忠実に描くことが可能であるため、素材の取捨選択、素材の配列、素材の表現及びレイアウトに創作性を発揮する余地がなく、著作物性が認められる可能性は低いとの見解を示しているところ(乙63)、
原告各地図の大部分の縮尺は、都市計画基本図よりも大きな1500分の1であり、その他の縮尺も3000分の1とやはり大きいといえるから、いずれも詳細な地図であって、よほどの特徴がない限り、原告各地図に著作物性が認められることはない。

過去に作成された住宅地図にも家形枠が記載されたものが存在すること
から(乙8ないし10、31、62)、家形枠を用いた表現自体、ありふれているといえ、原告各地図独自のものということはできない。
また、原告各地図における家形枠の記載のうち、84.7%が都市計画基本図に由来し、新たに記載された家形枠は1%に満たない。

原告は、住宅地図のデジタルデータ化に伴い、平成17年時点において、
地図作成業務のうち少なくとも6割を海外の会社に対して発注しており、この事実は原告各地図に独自性がないことを裏付けるというべきである。カ
以上によれば、原告各地図には創作性が認められないから、原告各地図
は地図の著作物に該当しない。
なお、原告各地図には、開店時期1ないし24の各始期以降にデジタル
データ化されたものが含まれている。
(2)

争点2(原告各地図の著作者)について
(原告の主張)
原告各地図は、住宅地図作成会社である原告の発意に基づいて作成された
ものである。
また、原告と雇用契約又は業務委託契約を締結した者が、調査員として、原告の指揮監督の下に現地調査を行い、原告各地図に反映する調査原稿を作成し、原告から労務提供の対価を受領しているから、原告の業務に従事する者が、職務上、原告各地図を作成したといえる。

さらに、原告各地図には、著作者名として原告の会社名が記載されている上、原告各地図は原告の著作物であり著作権法により保護されていることな
どが明記されていたから、原告各地図が原告の著作の名義の下に公表されたことは明らかである。
したがって、原告各地図の著作者は原告である(著作権法15条1項)。(被告らの主張)

原告各地図における地図の記載方法は、遅くとも明治26年から昭和5
9年までの間、原告以外の他社によって示されてきたものであり(乙8ないし17)、その表現に実質的な変更は加えられていないから、原告による新たな創作への発意は認められない。

原告が、現地を調査して原告各地図の基となる調査原稿を作成する調査
員と雇用契約を締結していたとしても、その契約や勤務規則の内容によっては、原告が原告各地図の著作者とならない可能性を否定できない。また、原告が外部業者と締結した現地の調査等を委託する調査業務委託基本契約書(甲124)によれば、同契約書には成果物の納入のほかに業務の遂行過程に関する規定はないから、原告が当該業者に対して指揮監督
する立場にあることが否定されるし、同契約書には著作権の譲渡に関する規定もない。

原告各地図に著作物性が認められるためには、原告各地図における家形
枠の記載等において調査員の個性が表れている必要があるところ、そうだとすると、原告と当該調査員との間で著作権譲渡に関する契約が締結されなければ、原告が原告各地図に係る著作権を主張することはできないというべきである。このことは、デジタルデータ化される前のゼンリン住宅地図においては、当該地図に調査員の名前が記載されていたことからも裏付けられる。

原告各地図の表紙には、作成者又は著作者として原告の会社名は記載さ
れておらず(乙18ないし23)、平成20年以降、国立国会図書館等のゼンリン住宅地図に係る書誌においても、出版社欄に原告の会社名が記載
されているものの、著作者欄は存在しないか空欄となっており(乙32、33)、原告が自己の著作の名義の下に原告各地図を公表したとはいえない。

したがって、著作権法15条1項の要件を欠くので、原告が原告各地図
の著作者であるとは認められない。

(3)

争点3(被告らによる著作権侵害行為)について
(原告の主張)

(ア)

被告らが原告各地図に係る原告の複製権を侵害したこと

被告各地図の原図の作成
a
被告Aは、平成10年4月から平成12年1月11日までの間に、
原告地図2及び8を複写の方法により複製し、これらの一部を切り取り、貼り合わせて、被告地図2及び8の各原図を作成した。
配布地域2及び8には合計241の配布エリアがあるところ、一つの配布エリアに係る被告地図2及び8の各原図を作成するのに、原告地図2及び8をそれぞれ少なくとも7枚(ここにいう1枚は、見開きの左右2頁のうち片側1頁分を指す。以下、原告の主張において同じ。)切り貼りする必要があるから、被告Aは、原告地図2及び8を少なくとも1687枚(7枚×241)複製したものである。
b
被告会社は、平成12年1月12日以降に、原告地図1、3ないし
7及び9ないし24を複写の方法により複製し、これらの一部を切り取り、貼り合わせて、被告地図1、3ないし7及び9ないし24の各原図を作成した。
配布地域1、3ないし7及び9ないし24には合計2737の配布エリアが存在するところ、一つの配布エリアに係る被告地図1、3な
いし7及び9ないし24の各原図を作成するのに、原告地図1、3ないし7及び9ないし24をそれぞれ少なくとも7枚切り貼りする必要
があるから、被告会社は、原告地図1、3ないし7及び9ないし24を少なくとも1万9159枚(7枚×2737)複製したものである。(イ)

配布員に渡すための被告地図1ないし13の各原図の複製
a
被告Aは、別紙原告損害額一覧表の1の期間欄記載の各期間、

同配布エリア数欄記載の各数の配布エリアを有する配布地域2及

び8において、ポスティング業務を行っていたところ、ポスティングを行う配布員に渡すために、少なくとも月1回、被告地図2及び8の各原図を複写の方法により複製した。
前記(ア)aのとおり、一つの配布エリアに係る被告地図2及び8の各原図を作成するのに、原告地図2及び8をそれぞれ少なくとも7枚切
り貼りする必要があるから、被告Aは、同枚数欄記載のとおり、
原告地図2及び8を合計2万6901枚複製したものである。
b
被告会社は、別紙原告損害額一覧表の2の期間欄記載の各期間、

同配布エリア数欄記載の各数の配布エリアを有する配布地域1な
いし13において、ポスティング業務を行っていたところ、ポスティ
ングを行う配布員に渡すために、少なくとも月1回、被告地図1ないし13の各原図を複写の方法により複製した。
前記(ア)bのとおり、一つの配布エリアに係る被告地図1ないし13の各原図を作成するのに、原告地図1ないし13をそれぞれ少なくとも7枚切り貼りする必要があるから、被告会社は、同枚数欄記載

のとおり、原告地図1ないし13を合計126万3402枚複製したものである。
(ウ)

被告地図1ないし16の各原図の修正
a
被告Aは、別紙原告損害額一覧表の3の期間欄記載の各期間、

同配布エリア数欄記載の各数の配布エリアを有する配布地域2及
び8について、少なくとも月1回、ポスティング業務に必要な新規情
報を書き込んだ新たな被告地図2及び8の各原図を前記(ア)aと同様に作成した。
前記(ア)aのとおり、一つの配布エリアに係る被告地図2及び8の各原図を作成するのに、原告地図2及び8をそれぞれ少なくとも7枚切り貼りする必要があるから、被告Aは、同枚数欄記載のとおり、

原告地図2及び8を合計2万5214枚複製したものである。
b
被告会社は、別紙原告損害額一覧表の4の期間欄記載の各期間、

同配布エリア数欄記載の各数の配布エリアを有する配布地域1な
いし16について、少なくとも月1回、ポスティング業務に必要な新規情報を書き込んだ新たな被告地図1ないし16の各原図を前記(ア)b
と同様に作成した。
前記(ア)bのとおり、一つの配布エリアに係る被告地図1ないし16の各原図を作成するのに、原告地図1ないし16をそれぞれ少なくとも7枚切り貼りする必要があるから、被告会社は、原告地図1ないし16を合計155万3461枚複製したものである。

(エ)

小括
以上によれば、被告Aは5万3802枚(1687枚+2万6901枚+2万5214枚)、被告会社は283万6022枚(1万9159枚+126万3402枚+155万3461枚)、それぞれ原告各地図を複写の方法により複製し、原告各地図に係る原告の複製権を侵害した
ものである。

被告会社が原告地図8及び11ないし24に係る原告のその他の支分権
を侵害したこと
(ア)
被告会社は、被告フランチャイジーに対し、前記ア(ア)bと同様に原告
地図12ないし16を複製して作成した被告地図12ないし16の各原図を送付してこれらを譲渡又は貸与したから、原告地図12ないし16
に係る原告の譲渡権及び貸与権を侵害した。
また、被告会社は、第三者に対し、前記ア(ア)bと同様に原告地図17ないし24を複製して作成した被告地図17ないし24の各原図を販売してこれらを譲渡したから、原告地図17ないし24に係る原告の譲渡権を侵害した。

(イ)

被告会社は、被告ウェブサイト内の店舗8及び11に係るウェブペー
ジ上に、前記ア(ア)bと同様に原告地図8及び11を複製して作成した被告地図8及び11の各原図の一部である地図の画像データを掲載することにより、原告地図8及び11について、不特定又は多数の者によって直接受信されることを目的として送信したものであるから、原告地図8
及び11に係る原告の公衆送信権を侵害した。

被告らの主張に対する反論

(ア)

被告らは、被告各地図には付票(乙67)が存在し、配布エリアを認
識しやすいように手書きでエリア枠線が引かれているから、被告各地図は、原告各地図とは異なる思想に基づき作成されたものであって、原告各地図における表現上の本質的な特徴の同一性は存在せず、原告各地図の個性は埋没していると主張する。
しかし、被告各地図は、原告各地図を単純に複写して作成されたものであり、被告らが主張する上記事情は、著作権侵害を否定する根拠とな
り得ない。また、被告らは、原告各地図自体に変更を加えていない以上、原告各地図の個性が埋没することはない。
したがって、被告らの上記主張は理由がない。
(イ)

被告らは、被告フランチャイジーが原告地図12ないし17及び20
を購入してこれを被告会社に送付し、被告会社は被告フランチャイジーの手足としてこれを複製して、被告地図12ないし17及び20を作成したにすぎないと主張する。

しかし、被告会社は、被告フランチャイジーからポスティング用地図の作成料を徴収し、ポスティング用地図の原図を作成し、被告フランチャイジーに送付していたことからすると、自ら積極的に原告地図12ないし17及び20の複製を行ったというべきである。
したがって、被告会社が被告フランチャイジーの手足であったという
ことはできず、被告らの上記主張は理由がない。
(被告らの主張)

被告各地図は原告各地図に係る原告の複製権等を侵害するものではない
こと
(ア)

被告らは、原告各地図を複写機で適宜縮小して複写し、これを切り貼
りして被告各地図を作成した後、原告各地図を複写したものをその都度廃棄しているので、これを更に複写することはない。
被告各地図には、配布する広告物や配布期間を記入する枠である付票(乙67)が存在するところ、被告らは、この付票によりポスティング用地図としての目的や用途を明らかにするとともに、地図ごとに付票の配置を工夫しているから、付票は被告らの独自の表現ということができる。
また、被告各地図を作成するに当たっては、原告各地図を必ず50ないし70%程度に縮小し、配布エリアによっては付票の配置が可能とな
るようにこれを任意の角度で回転した上で貼り合わせ、配布エリアの実際の境界より少し外側で、かつ、見開きの端から余裕のある内側に、手書きでエリア枠線を引き、配布エリアの外側には斜線を引いており、被告各地図は、配布エリアを認識しやすい表現となっている。
さらに、原告各地図と被告各地図を比較すると、原告各地図の1枚が
表現する範囲と被告各地図の1枚が表現する範囲が異なっている。このように、被告各地図においては、付票及びエリア枠線が必須であ
り、原告各地図と比較して1枚の地図が表現する範囲が異なっていることに加え、被告らによって新築物件や新しい道路等の情報が書き込まれていることからすると、被告各地図は、原告各地図とは異なる思想に基づき作成されたものであって、原告各地図における表現上の本質的な特徴の同一性は存在せず、原告各地図の個性は埋没しているというべきである。
(イ)

原告各地図と被告各地図を対比すると、①道路、建物及び両者の位置
関係(例えば、交差点から交差点までの道路の左右の建物の数及び位置関係)を示す表現並びに②家形枠の表現において、一致するように見える。
しかし、上記①については、都市計画基本図における表現と共通するものであり、原告各地図における独自の表現ということはできない。また、上記②については、平均すると、原告各地図における家形枠の表現の約84.7%は、都市計画基本図に由来するものであり、原告各
地図における独自の表現ではなく、原告各地図において新たに表現された家形枠は、1%に満たないものである。
以上のとおり、原告各地図と被告各地図の一致点は、ありふれた表現である。
(ウ)

被告ウェブサイト内の店舗8及び11に係るウェブページ上に掲載さ
れた被告地図8及び11の各一部である地図4枚は、元の地図の面積の3%程度にすぎない。
(エ)

被告フランチャイジーの配布地域に係る被告地図12ないし17及び
20については、被告フランチャイジーが原告地図12ないし17及び20を購入してこれを被告会社に送付し、被告会社は被告フランチャイジーの手足としてこれを複製するなどしたにすぎない。
(オ)

以上のとおり、被告らは被告各地図を作成したものの、被告らの行為
は原告各地図に係る原告の複製権及び公衆送信権を侵害するものではなく、原告各地図の複製物を譲渡又は貸与により公衆に提供したともいえない。

被告らが原告各地図を複製した枚数

(ア)

被告会社が平成27年1月から平成30年4月までの間に原告各地図
を複製した枚数については、次のとおり計算するのが相当である。被告会社は、自ら又はフランチャイズ契約を締結してポスティング業務を行っている配布地域1ないし17について、原告地図1ないし17を購入するごとに、必要な配布エリアのポスティング用地図の原図を作成していた。そして、被告会社は原告地図1ないし17を30冊購入し、その各冊は平均300頁であり、原告地図1ないし17のうちポスティング用地図を作成する対象となる頁の割合は約80%であることからすると、合計7200枚(30冊×300頁×0.8)を複製したと計算することができる。

また、配布地域18ないし24については、原告各地図を購入した冊数が不明であるが、配布地域18ないし24が有する配布エリア数は合計419であり、各配布エリアの地図を作成するのに原告地図18ないし24をそれぞれ3.5枚(ここにいう1枚は、見開きの左右2頁分を指す。以下、被告らの主張において同じ。)切り貼りしたとし、被告会
社は被告地図18ないし24の各原図を1度作成したのみであることからすると、合計1467枚(3.5枚×419)複製したと計算することができる。
さらに、被告会社が自らポスティング業務を行っている配布地域1ないし11には合計968の配布エリアあり、各配布エリアの地図を作成
するのに原告地図1ないし11をそれぞれ3.5枚切り貼りし、月1回複製したとすると、合計13万5520枚(3.5枚×968×40か
月)となる。
以上によれば、平成27年1月から平成30年4月までの複製枚数は、14万4187枚となる。
(イ)
原告が主張する被告らによる著作権侵害の終期である令和元年7月時
点において、配布地域1ないし24が有する配布エリア数が合計2978であることは認める。
しかし、被告らは、平成10年4月から、徐々に営業範囲を拡大してきたものであり、被告各地図の作成を開始した時点から、上記数の配布エリアが存在したわけではなく、現時点において、その配布エリア数を
確定することは困難である。
もっとも、被告らが原告各地図を複製した枚数は、被告らにおける売上げにほぼ比例すると考えられる。そうすると、平成27年1月から平成30年4月までの40か月間における複製枚数を1としたとき、①平成10年から平成16年までの毎年の売上げは、平成27年から平成3
0年までの毎年の売上げの約15%であるから、複製枚数は0.315(0.15÷40か月×84か月)、②平成17年から平成21年までの売上げは約40%であるから、複製枚数は0.6(0.4÷40か月×60か月)、③平成22年から平成26年までの売上げは約60%であるから、複製枚数は0.9(0.6÷40か月×60か月)となる。
そうすると、平成10年から平成16年までの複製枚数は4万5418枚(14万4187枚×0.315)、平成17年から平成21年までの複製枚数は8万6512枚(14万4187枚×0.6)、平成22年から平成26年までの複製枚数は12万9768(14万4187枚×0.9)枚となる。

そして、被告会社は、原告から松本営業所長名義の書面(甲16)を受領した平成30年4月頃から、他の住宅地図作成会社が作成販売する
住宅地図に切り替えていったため、平成30年5月以降、新たに原告各地図を購入しておらず、これらを複製していない。
(ウ)

以上を合計すると、被告会社が原告各地図を複製した枚数は、多くと
も40万5885枚である。

原告の主張に対する反論

(ア)

原告は、被告各地図の原図を作成するのに、原告各地図を少なくとも
7枚切り貼りする必要があると主張する。
しかし、原告各地図に著作物性が認められると仮定して、その最小単位は、区割り図、すなわち見開きの左右2頁と理解すべきであり、これを1枚として計算すべきである。そうすると、被告各地図の原図の作成
のために複製された原告各地図の枚数は4枚に満たない。
したがって、原告の上記主張は理由がない。
(イ)

原告は、被告らが、ポスティングを行う配布員に渡すために被告地図
1ないし13の各原図を少なくとも月1回複写し、被告地図1ないし16の各原図を修正して新たな原図を作成するために原告地図1ないし1
6を少なくとも月1回複写したと主張する。
しかし、原告が主張するような被告地図1ないし16の各原図を修正する工程は存在しない。また、月1回、被告地図1ないし13の各原図を複写したり、被告地図1ないし16の各原図を修正して新たな原図を作成したりしたという事実はない。

したがって、原告の上記主張は理由がない。
(4)

争点4(被告らの故意又は過失の有無)について
(原告の主張)
前記(3)(原告の主張)のとおり、被告らが原告各地図に係る原告の著作権
を侵害したことは明らかであり、被告らは、長年にわたり、原告が作成して販売するゼンリン住宅地図を無断で複製してきたことを認めている(甲1
7)。
したがって、原告各地図に係る原告の著作権を侵害したことについて、被告らに故意又は過失が認められることは明らかである。
(被告らの主張)
原告は、被告らがポスティング業務を行うために原告各地図を購入し、こ
れを複製するなどして被告各地図を作成していることを知った上で、被告らに対して原告各地図を販売したものである。また、原告以外の複数の住宅地図作成会社は、被告らが追加料金を支払うことなくポスティング用地図を複製等することを許諾していた。そのため、被告らは、平成30年4月2日頃に原告の松本営業所長名義の書面(甲16)を受領して初めて、原告が被告
らによる原告各地図の利用方法を認めないことを知り、合理的期間内である令和元年9月までに、原告各地図の利用を一切中止した。
したがって、原告各地図に係る原告の著作権を侵害したことについて、被告らには故意も過失も認められない。
(5)

争点5(被告Aの任務懈怠行為)について
(原告の主張)
被告会社の取締役は2名、従業員は39名と少数であり、被告会社の代表取締役である被告Aは、従業員に指示することにより、原告各地図を複製して被告各地図の原図を作成するなどし、さらに、これを第三者に販売するな
どの法令違反行為を行ったものであるから、被告Aには職務を行うにつき悪意又は重大な過失があったというべきである。
(被告Aの主張)
原告は、平成30年4月に至るまで、被告会社による原告各地図の利用方法を認識していたにもかかわらず、被告会社に対して複製料を請求するなど
したことはなかったから、被告Aは、被告会社の上記利用方法が違法であるとは認識し得なかった。また、被告Aは、同月に原告から警告文書を受領し
た後、合理的な期間内に原告各地図の利用を中止した。
したがって、被告Aには、職務を行うについて悪意又は重大な過失があったとはいえない。
(6)
争点6(原告による黙示の許諾の有無)について
(被告らの主張)
原告は、遅くとも平成25年には、被告会社に対して原告各地図を割引価格で販売し、これを被告会社本社に納入したところ、被告会社は、原告各地図を被告会社本社の壁に貼るなどして利用しており、原告は、被告会社内での原告各地図の利用方法を十分把握していた。

また、原告は、平成26年2月25日、被告会社本社において、被告会社の従業員3、4名に対し、電子住宅地図デジタウンのデモンストレーションを行った。原告がこのようなデモンストレーションを行ったのは、原告各地図が被告会社においてどのように利用されているかを熟知していたからであり、電子住宅地図デジタウンによっても従前どおり被告各地図を作
成することが可能であると説明したものである。
これらの事情を踏まえると、原告は、被告らが被告各地図を作成するに当たり、原告各地図を必要な範囲で複製することを許諾していたというべきである。
(原告の主張)

原告は、地図を必要とする日本中の多種多様な団体に対し、ゼンリン住宅地図を販売しており、各購入者がどのような用途でゼンリン住宅地図を使用しているかを逐一調査することなどは、到底不可能である。
また、原告が被告らによる原告各地図の無断複製を知ったのは内部告発によってであり、被告らがポスティング業務を行うために原告各地図を購入し、
これを複製するなどして被告各地図を作成することを知りながら、原告各地図を販売したということはない。

さらに、原告は、原告各地図に複製等を禁ずる旨を明記していたから、被告らから原告各地図を複製することについての許諾を求める申入れすらない段階で、これを容認することはあり得ない。
したがって、被告らが被告各地図を作成するために原告各地図を必要な範囲で複製等することについて、原告がこれを許諾したことはない。(7)

争点7(許諾料を支払うことなく出版物を複製することができる慣習の有
無)について
(被告らの主張)
住宅地図は、大きさや重さの面から持ち歩くことが困難であり、鑑賞目的ではなく実用品として販売されるものである上、官公庁等への添付資料として提出したり、希望者に頒布したりすることを目的とするものではない。また、原告以外の複数の住宅地図作成会社は、その販売する地図について、被告会社が、これを複製して、ポスティングを行う配布員のためにポスティング用地図を作成することを許諾しており、被告会社は、上記各会社から、
通常の購入価格以外に追加料金を支払うことは求められなかった。これらの事情によれば、住宅地図を正当に購入した者は、同時使用しないことを前提として、当該住宅地図を購入価格以外の対価を支払うことなく1部複製することが許諾されている、すなわち、住宅地図の出版物としての対価には、このような地図の利用許諾料も含まれているという慣習があると認
められる。
(原告の主張)
住宅地図作成会社は、いずれも、その作成する地図に、当該地図を無断で複製等することは著作権法により禁止されている旨明記している。被告らが提出する地図利用許諾証明書(乙5ないし7)は、通常は禁止されている複
製を例外的に認めるとしたものにすぎない。
したがって、被告らが主張するような慣習は存在しない。

(8)

争点8(被告らによる原告各地図の利用に対する著作権法30条の4の適
用の可否)について
(被告らの主張)
配布員は、被告各地図の背景となっている原告各地図の表現を知覚したとしても、原告各地図における家形枠又はその記載方法(家形枠の線の太さ及び長さ、家形枠内に記載された居住者名等のフォント等)を鑑賞する目的ではなく、あくまで被告各地図に記載された配布エリア、配布数、空き家・廃屋の別、新築物件、新たに設置された道、家屋の入り口やポストの位置等の情報を享受する目的で、被告各地図を使用するものである。

したがって、被告各地図にその下図である原告各地図の何らかの思想又は感情が残存していたとしても、被告らの利用方法はこれを享受することを目的とするものではないから、当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合(著作権法30条の4柱書)に該当し、被告らは、いずれの方法によるかを問わず、原告各地図
を利用することができる。
(原告の主張)
原告各地図を利用する者は、そこに記載された家形枠等を、目的となる地点の検索又は地形の把握という知的又は精神的な欲求に従って利用しており、被告らも、原告各地図に表現された家形枠等の記載を利用することを前提と
して、ポスティング用地図である被告各地図を作成しているものであるから、当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的とすることは明らかである。仮に当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合に該当するとしても、被告らは、購入した
原告各地図を全国規模で大量に複製しており、原告は、原告各地図を複製するに当たってはライセンス料を徴収していることからすると、原告に無断で
このような複製を行う被告らの行為は、著作権者の利益を不当に害することになる場合(著作権法30条の4柱書ただし書)に該当する。したがって、被告らによる原告各地図の利用について、著作権法30条の4により許されるということはない。なお、同条は、平成30年法律第30号により改正され、平成31年1月1日に施行されたものであるから、同日以前の複製については適用されない。
(9)

争点9(零細的利用であることを理由とする原告の被告らに対する著作権
行使の制限の可否)について
(被告らの主張)
重量のある住宅地図の書籍を持ちながらポスティングを行うことは非現実
的であり、配布員が原告各地図を下図とする被告各地図を持ち歩くことについて、それが原告の著作権を侵害する結果となったとしても、零細的利用として、原告の被告らに対する著作権の行使は制限されるというべきである。(原告の主張)
そもそも、零細的利用であればこれに対する著作権の行使が制限されると
いう考えは、著作権法上も裁判例上も受け入れられているものではない。これを措くとしても、被告らは、原告各地図を業として大量に複製し、利益を上げていたものであるから、被告らによる原告各地図の利用が零細的利用であると到底いえるものではない。
(10)

争点10(差止等対象地図に係る原告の著作権を侵害するおそれの有無)に
ついて
(原告の主張)
被告会社は、原告各地図を複製し、複製物を譲渡又は貸与により公衆に提供し、これを被告ウェブサイト内のウェブページ上に掲載することにより自動公衆送信又は送信可能化しているから、今後も差止等対象地図に係る原告の著作権を侵害するおそれがあるといえる。

(被告会社の主張)
被告会社は、既に原告各地図及びこれを複製して作成した被告各地図を一切使用しておらず、今後も使用する意思はないから、差止等対象地図に係る原告の著作権を侵害するおそれはない。
(11)

争点11(損害額)について
(原告の主張)

原告は、自動車保管場所証明申請や建築確認申請に添付するためにゼン
リン住宅地図の複製を許諾したことを証明する複製許諾証を、1枚200円で販売している(甲25)。この複製許諾証は、公益的見地から、原告が最低限のライセンス料を定めたものであり、原告各地図が複製されたことによる損害額は、1枚当たり200円を下ることはない。このことは、原告が、ゼンリン住宅地図出力サービスにおいて1枚当たり550円(複製許諾付きのものは770円)で、ゼンリン住宅地図プリントサービスにおいて1枚当たり400円で、それぞれ複製を許諾していること
(甲128)からも裏付けられる。
そうすると、前記(3)(原告の主張)アのとおり、被告Aは5万3802枚、被告会社は283万6022枚、それぞれ複製しているので、原告は、1076万0400円及び5億6720万4400円の各損害を被った。このほかに、原告は、弁護士費用相当額として、合計6647万844
0円の損害を被った。

これに対して、被告らは、公益社団法人日本複製権センターが複写に係
る使用料を1枚当たり4円と定めていることを損害算定の根拠として主張する。
しかし、上記の法人が許諾しているのは、小部分、少部数及び小規模の複製に限定されており、原告各地図が大部分、大部数及び大規模にて複製された本件に適用される余地はないから、被告らの上記主張は理由がない。
(被告らの主張)

公益社団法人日本複製権センターは、組織内での利用を目的とした複写
に係る使用料を1頁当たり4円と定めている(乙80)。原告各地図は、都市計画基本図を下図としており、一般的な書籍と比較して著作物性が限定されていること、原告各地図のうち家形枠の記載については、原告から業務委託を受け、現地で建物を調査した調査員に著作権が残存している可能性があることからすると、原告各地図を複製したことによる損害額は、上記使用料より更に低額になるというべきである。
また、一般社団法人学術著作権協会が定める、内部利用目的の基本複製
使用料は、1頁当たり2円である(乙81)。
さらに、原告を含む日本の主要地図業者6社のうち3社は、被告会社が同3社の販売する地図を複製することについて、追加の許諾料の支払を求めていない。
したがって、原告に生じる損害額は、1枚当たり0ないし4円とすべき
である。

これに対して、原告は、原告各地図が複製されたことによる損害額は、
複製許諾証の価格である1枚当たり200円を下回らないと主張する。しかし、本件訴訟が提起される前に上記金額が公開された事実は認められず、ましてや、被告会社を含むポスティング業界に対して原告各地図の利用料金が示されたことはない。
また、被告らは、社内利用として、ポスティング用地図を作成するために原告各地図を複製したものであり、行政庁に対する許認可申請や届出等のための複製ではないから、複製許諾証が必要とされる場合に当たらない。したがって、原告の上記主張は理由がない。

第3当裁判所の判断
1争点1(原告各地図の著作物性)について

(1)

一般に、地図は、地形や土地の利用状況等の地球上の現象を所定の記号に
よって、客観的に表現するものであるから、個性的表現の余地が少なく、文学、音楽、造形美術上の著作に比して、著作権による保護を受ける範囲が狭いのが通例である。しかし、地図において記載すべき情報の取捨選択及びその表示の方法に関しては、地図作成者の個性、学識、経験等が重要な役割を果たし得るものであるから、なおそこに創作性が表れ得るものということができる。そこで、地図の著作物性は、記載すべき情報の取捨選択及びその表示の方法を総合して判断すべきものである。
(2)

原告各地図について、証拠(甲64、65、68ないし70、73ないし
84、86ないし123、135、乙30の2)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実を認めることができる。

原告は、昭和27年頃から、住宅地図を作成販売するようになり、昭和
55年に、日本全国を網羅する住宅地図を完成させ、平成6年頃から、地域ごとに順次、住宅地図をデジタルデータ化するための改訂作業(以下本件改訂という。)を開始した(甲135、乙30の2)。
本件改訂は、最新の2500分の1の都市計画図等を基図としてデータ化し、これに、それまでに作成していた住宅地図における居住者名や建物名、地形情報等を記載し、また、調査員が現地を訪れて家形枠の形状等を調査して調査原稿に記入した情報を書き加えるなどし、最終的に販売可能
な住宅地図に完成させることによって行われた。配布地域1ないし24の各配布地域を構成する別紙本件改訂時期等一覧表の市町村欄記載の各市町村に係るゼンリン住宅地図については、同本件改訂時期欄記載の各時期に、本件改訂が行われた。(甲64、65、68ないし70、73ないし84、86ないし95及び100ないし123の各枝番1、甲96
ないし99、135、弁論の全趣旨)
本件改訂より後に更に改訂された原告各地図は、調査員による調査結果
を踏まえ、本件改訂により発行された原告各地図から、順次、改訂される前の原告各地図を基にして、道路や建物等の記載に修正を加えたものである(甲64、65、68ないし70、73ないし84、86ないし95、100ないし123、弁論の全趣旨)。

本件改訂により発行された原告各地図は、以下の特徴を備えている(甲
64、65、68ないし70、73ないし84、86ないし95及び100ないし123の各枝番1、甲96ないし99、弁論の全趣旨)。(ア)

一つ又は複数の市町村ごとに発行され、基本的に1500分の1の縮
尺で、道路や住宅、宅地の区画等の客観的な状況を表した地図である。発行の単位となる市町村の区域を複数に分割し、見開きの左右2頁を
用いて一枚の地図が収められており、当該地図の上辺及び下辺に左からAないしJと、右辺及び左辺に上から1ないし5と、それぞれ目盛りが振られている。
見開きの左の頁の左上に、当該地図の番号が振られており、右の頁の右上に、当該地図の上、右上、右、右下、下、左下、左及び左上の各位置にある地図の番号が記載されている。
(イ)

地図には、道路又は歩道と宅地との境界線が実線で、道路と歩道との
境界線が破線で、それぞれ記載されており、そのほかに、河川、線路、道路の中央分離帯等が記載されている。
また、信号機やバス停、橋、歩道橋、階段等は、イラストを用いて記
載されている。
さらに、道路や交差点、バス停、鉄道、河川等の各名称が書き込まれており、国道や一方通行の道路には、道路標識を模したマークが付されている。
山間部については、等高線が記載されている。

(ウ)

地図上の敷地には、当該敷地上にある建物等を真上から見たときの形
を表す枠線である家形枠が記載されており、当該枠線の中に収まるように、当該建物等の居住者名、店舗名、建物名等が記載されている。また、駐車場や公園等として利用されている土地については、駐車場名や公園名等が記載されている。
土地については、その境界が記載されていることもある。

さらに、住居表示が記載されており、各建物等の上記枠線に地番が記載されているものもある。
(3)

前記(2)アの配布地域1ないし24に係るゼンリン住宅地図につき本件改訂
が行われた時期に関する事実認定について、補足して説明する。
配布地域1ないし11について、別紙本件改訂時期等一覧表の書証1
欄記載の各書証によれば、各配布地域を構成する同市町村欄記載の各市町村に係るゼンリン住宅地図につき、同本件改訂時期欄記載の各時期に、本件改訂が行われたと認められる(一つの市町村につき複数のゼンリン住宅地図が発行されている場合は、そのうち最も遅い時期を指す。)。そして、配布地域12ないし24については、本件改訂が行われた時期を
示す的確な証拠は見当たらないが、前記(2)アのとおり、本件改訂は、平成6年頃に始まり、地域ごとに順次行われていることからすると、遅くとも、配布地域1ないし11を構成する市町村(ただし、証拠(甲53の2、甲54の2、甲55の2、甲56、96ないし99)によれば、伊那市、南箕輪村及び箕輪町については、平成30年12月31日まで、原告と提携関係にあったJ・P・エージェンシーが住宅地図を発行しており、原告は、令和元年11月に至るまで、これらの市町村に係るゼンリン住宅地図を発行していなかったと認められるので、これらの市町村は除く。)のうち最も遅く本件改訂が行われた

富士河口湖町、鳴沢村

と同じ時期である平成18年3月に、
それぞれ本件改訂が行われたと認めるのが相当である。
(4)

前記(2)によれば、本件改訂により発行された原告各地図は、都市計画図等
を基にしつつ、原告がそれまでに作成していた住宅地図における情報を記載し、調査員が現地を訪れて家形枠の形状等を調査して得た情報を書き加えるなどし、住宅地図として完成させたものであり、目的の地図を容易に検索することができる工夫がされ、イラストを用いることにより、施設がわかりやすく表示されたり、道路等の名称や建物の居住者名、住居表示等が記載されたり、建物等を真上から見たときの形を表す枠線である家形枠が記載されたりするなど、長年にわたり、住宅地図を作成販売してきた原告において、住宅地図に必要と考える情報を取捨選択し、より見やすいと考える方法により表示したものということができる。したがって、本件改訂により発行された
原告各地図は、作成者の思想又は感情が創作的に表現されたもの(著作権法2条1項)と評価することができるから、地図の著作物(著作権法10条1項6号)であると認めるのが相当である。
また、前記(2)アのとおり、本件改訂より後に更に改訂された原告各地図は、いずれも本件改訂により発行された原告各地図の内容を備えるものであるか
ら、同様に地図の著作物であると認めるのが相当である。
なお、本件改訂より前に発行された原告各地図については、原告は、本件訴訟において、被告らにより著作権が侵害された対象として主張していないので(前記第2の4(1)(原告の主張)エ)、著作物性についての検討を要しない(以下においては、原告各地図という場合、特に断らない限り、本
件改訂以降に発行されたものを指す。)。
(5)

これに対して、被告らは、①地図に著作物性が認められる場合は一般的に
狭く、住宅地図は他の地図と比較して著作物性が認められる場合が更に制限される、②原告各地図は、江戸時代の古地図や既存の地図、都市計画図に依拠して作成されたものであり、創作性が発揮される余地は乏しい、③原告各地図は機械的に作成され、正確・精密であるとされることからすると、創作性が発揮される部分は更に限定され、国土地理院は、2500分の1の縮尺
の都市計画基本図について、著作物性が認められる可能性は低いとの見解を示している、④過去に作成された住宅地図には家形枠が記載されたものがあり、家形枠を用いた表現自体ありふれている、⑤原告は地図作成業務のうち少なくとも6割を海外の会社に対して発注しており、原告各地図には独自性がないとして、原告各地図には著作物性が認められないと主張する。しかし、上記①については、前記(1)のとおり、地図の著作物性は、記載すべき情報の取捨選択及びその表示の方法を総合して判断すべきものであるところ、前記(4)のとおり、原告各地図は、その作成方法、内容等に照らして、作成者の個性が発現したものであって、その思想又は感情を創作的に表現し
たものと評価できるから、地図の著作物であると認められる。
上記②については、原告が古地図や都市計画図等を参照して原告各地図を作成したものであったとしても、前記(2)アのとおり、原告各地図は、本件改訂によって、都市計画図等をデータ化したものに、居住者名や建物名、地形情報、調査員が現地を訪れて調査した家形枠の形状等を書き加えるなどして
作成されたものであり、その結果、前記(2)イの特徴を備えるに至ったものであって、このような原告各地図の作成方法、特徴等に照らせば、原告各地図は、都市計画図等に新たな創作的表現が付加されたものとして、著作物性を有していると認められる。
上記③については、原告各地図が正確・精密であるとしても、前記(1)のと
おり、記載すべき情報の取捨選択及びその表示の方法等において創作性を発揮する余地はある。また、被告らの指摘する国土地理院の見解(乙63)は、都市計画基本図について述べたものであり、住宅地図作成会社が作成する住宅地図一般について述べたものではないし、上記②について説示したとおり、原告各地図は、都市計画図等を基図としてデータ化した上、これに種々の情
報を書き加えるなどすることで、住宅地図として完成させたものであるから、国土地理院の上記見解は原告各地図に当てはまるものではない。さらに、前
記(2)イのとおり、原告各地図は、地図の4辺に目盛りが振られ、当該地図の上、右上、右、右下、下、左下、左及び左上の各位置にある地図の番号が記載されており、目的とする地図を検索しやすいものとなっている上、信号機やバス停等がイラストを用いてわかりやすく表示されたり、建物等の居住者名や店舗名等を記載することにより住居表示についてもわかりやすくする工夫がされているなどの特徴を有するのに対し、証拠(乙70ないし73)によれば、都市計画基本図にはこのような特徴が全くないことが認められ、原告各地図と都市計画基本図とでは、そもそも性質が異なることから、同列に論じることはできない。
上記④については、住宅地図において家形枠を記載することがよくあると
しても、原告各地図における家形枠の具体的な表現がありふれていることを認めるに足りる証拠はないから、直ちに原告各地図の著作物性を否定することはできないというべきである。
上記⑤については、原告が原告各地図の作成業務を海外の会社に発注していることのみをもって、原告各地図の独自性を否定し、ひいては、その著作物性を否定することはできないというべきである。
以上のとおり、被告らの上記各主張はいずれも採用することができない。2争点2(原告各地図の著作者)について
(1)

前記前提事実(1)ア及び(3)アのとおり、原告は、日本全国の地図情報を調
査し、住宅地図であるゼンリン住宅地図を作成して販売することを業としており、原告各地図は、ゼンリン住宅地図のうち配布地域1ないし24に係るものとして作成されたものである。
そして、証拠(甲134)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、①第三者に対し、ゼンリン住宅地図を作成するために、居住者名や番地、詳細な家形
枠等の現地調査の業務を委託する場合があること、②同業務の受託者に対し、調査を行うに当たっての注意事項をまとめた調査マニュアルを交付し、原告
が支給した制服を着用させ、原告の社員証又は調査員証の携帯を義務付けるとともに、番地、名称、地形、地物、交通情報、建物、ビル、マンション等により定めた記載方法に従って、調査結果を調査原稿に記載するよう指示していること、③同業務を原告の従業員に対して行わせることもあるが、調査方法は第三者に業務を委託する場合と異なるところはないことが認められる。これらの①ないし③の事情を総合すれば、上記受託者及び従業員による調査及びその結果の原告各地図への記載は、原告の指揮監督の下、原告における職務の遂行として行ったものと認めるのが相当である。
さらに、証拠(甲8の1、甲12、14、26、32、41、42、甲6
4ないし123)及び弁論の全趣旨によれば、原告各地図の表紙又はパッケージには原告の会社名が記載され、その末尾又はパッケージに「ゼンリン住宅地図(本商品)は当社の著作物であり、著作権法により保護されています。」と記載されていることが認められる。このような記載に照らせば、原告は、自己の著作の名義の下に、原告各地図を公表したと認めるのが
相当である。
したがって、原告各地図は、原告の発意に基づき、原告の業務に従事する従業員及び業務受託者がその職務上作成したものであり、原告が自己の著作の名義の下に公表したものであるから、著作権法15条1項により、原告各地図の著作者は原告であると認められる。

(2)

これに対して、被告らは、①原告各地図における地図の記載方法は原告以
外の他社によって示されてきたものであるから、原告による新たな創作への発意は認められない、②原告と調査員との間の雇用契約や勤務規則の内容によっては、原告が原告各地図の著作者とならない可能性が否定できないし、調査業務委託基本契約書(甲124)には、業務の遂行過程に関する規定はないから、原告が外部業者に対して指揮監督する立場にあることが否定される上、同契約書には著作権の譲渡に関する規定もない、③原告各地図に著作
物性が認められるためには、家形枠の記載等において調査員の個性が表れている必要があり、そうだとすると、原告と調査員との間で著作権譲渡に関する契約が締結されなければ、原告が原告各地図に係る著作権を主張することはできない、④原告各地図の表紙には原告の会社名が作成者又は著作者として記載されておらず、原告が自己の著作の名義の下に原告各地図を公表したとはいえないと主張する。
しかし、上記①については、前記(1)のとおり、原告は、日本全国の地図情報を調査し、住宅地図であるゼンリン住宅地図を作成して販売することを業とし、そのゼンリン住宅地図のうち配布地域1ないし24に係るものとして
原告各地図を作成したものであるから、原告各地図が原告の意思に基づき作成されたものであることは明らかである。
上記②については、前記前提事実(1)アのとおり、原告が、日本全国の地図情報を調査し、住宅地図であるゼンリン住宅地図を作成して販売することを業としていることからすると、原告と調査員との間の雇用契約や勤務規則に、
原告各地図の著作者に関する別段の定めはないと認めるのが相当であり、この認定を覆すに足りる証拠はない。また、調査業務委託基本契約書において、原告の受託者に対する指揮監督に関する規定がなかったとしても、前記(1)のとおり、当該受託者は原告の指揮監督下にあったということができるし、同契約書に著作権の譲渡に関する規定がないことは、著作権法15条1項の要
件とは関係がない。
上記③について、著作権法15条1項は、所定の要件を満たす場合に、法人等が著作者となることを定めたものであるから、原告が原告各地図に係る著作権を主張するために、原告と調査員との間で著作権譲渡に関する契約が締結される必要があるとは解されず、独自の見解であるといわざるを得ない。
上記④について、原告各地図の表紙等に原告の会社名が記載され、その末尾等に「ゼンリン住宅地図(本商品)は当社の著作物であり、著作
権法により保護されています。」と記載されていることに基づき、原告が自己の著作の名義の下に原告各地図を公表したといえることは、前記(1)で説示したとおりである。
以上のとおり、被告らの上記各主張はいずれも採用することができない。3争点3(被告らによる著作権侵害行為)について
(1)

認定事実
証拠(甲1、2、10、15ないし21、23、34、乙4、34ないし57、64、67、69、82)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実を認めることができる。


被告会社は、平成12年1月12日の設立以降、配布地域1ないし24
におけるポスティング用地図である被告各地図の各原図を作成するために、本件改訂より前に発行された原告各地図又は本件改訂以降に発行された原告各地図を購入した(甲10、乙64、82、弁論の全趣旨)。

被告会社は、配布地域1ないし24の各配布地域を複数の配布エリアに
分割し、一つの配布エリアにつき1枚のポスティング用地図の原図を作成した。各配布地域を構成する別紙本件改訂時期等一覧表の市町村欄記載の各市町村に存在する配布エリアの数は、同配布エリア数欄記載の各数のとおりである(ただし、配布エリア数の記載のない市町村については配布エリアが存在しないという意味ではない。)。(甲21、弁論の全
趣旨)

被告会社は、一つの配布エリアのポスティング用地図の原図がA3サイ
ズ1枚に収まるように、前記アの原告各地図の該当頁を適宜縮小して複写し、これらのうち必要な部分を切り取り、道路や建物等にずれが生じないようにつなぎ合わせた。そして、配布エリアを構成する部分を太線で囲み、当該配布エリアを表す番号及び地名を記載し、登録No.や氏名、当該配布エリアにおいてポスティング業務を実施した期間及びその内容等を記載
することができる付票を貼付し、さらに、集合住宅であればポスト数、配布してはならない場所であればその旨、住宅等に変更があればその旨等、ポスティング業務を行う上で必要となる情報を加筆して、被告各地図の原図を完成させた。(甲1、2、15、乙4、34ないし57、67、69、82)

被告会社は、自らポスティング業務を行う配布地域1ないし13(配布
地域12及び13については、平成23年3月までに限る。)について、被告地図1ないし13の各原図を複写してこれを配布員に交付し、当該配布員は、複写された地図を使用して、広告物のポスティングを行い、ポスティングを行った住宅等には印を付け、ポスティング終了後、被告会社に対し、これを返却していた(甲2、乙82)。

被告会社は、被告地図1ないし16の各原図を作成した後、定期的に、
新築物件、空き家、道路、ポストの位置、出入口等の新たに得た情報を書き込むなどし、被告地図1ないし16の各原図を修正して新たな原図を作成していた(甲2、23)。

被告会社は、被告フランチャイジーがポスティング業務を行う配布地域
12ないし16について、被告フランチャイジーに対して被告地図12ないし16の各原図を送付し、被告フランチャイジーは、これらを使用して、ポスティングを行った(甲1、2、34、乙82)。
さらに、被告会社は、配布地域17ないし24について、第三者からの
依頼を受け、被告地図17ないし24の各原図を作成し、当該第三者に対し、これらを販売した(甲1、2、弁論の全趣旨)。

原告の松本営業所長は、平成30年3月20日、店舗2を訪れ、ゼンリ
ン住宅地図の利用方法について質問し、被告会社による利用方法が原告の著作権を侵害する旨説明した(甲15)。
原告は、その後、被告会社に対し、ゼンリン住宅地図の複製利用の目的、
複製利用したゼンリン住宅地図の地区名、頁数、地区ごとのエリア数、部数等を書面で問い合わせた。これに対して、被告会社は、被告会社のようにポスティング業務を行う会社が日本全国に300ないし400あり、いずれも被告会社と同様にゼンリン住宅地図等を使用している、被告会社は原告からの問合せに対して困惑している、被告会社における地図の利用方
法は、長年の経験及びノウハウにより築き上げてきた業務上の重要な営業秘密であり、これらの情報を原告に全て開示する義務があるとは考えられないなどとして、これに回答しなかった(甲16ないし20)。

原告は、前記アの原告各地図及びこれを複写したもの、被告各地図等を
あらかじめ検証することを求める2件の証拠保全(長野地方裁判所飯田支
部令和元年(モ)第4号及び同松本支部令和元年(モ)第9号)を申し立て、令和元年7月5日に、店舗2及び7において検証(以下本件証拠保全という。)が実施された(甲1、2)。
(2)
原告各地図に係る複製権侵害の成否

被告らによる複製権侵害

(ア)

前記前提事実(2)アのとおり、被告Aは、被告会社が設立される前の平
成12年1月11日まで、配布地域2及び8において、個人でポスティング業務を行っていたが、原告地図2及び8につき本件改訂が行われたのは、別紙本件改訂時期等一覧表記載のとおり、被告会社が設立された後の平成14年9月以降である。
そして、原告が著作権侵害を主張しているのは、本件改訂以降に発行された原告各地図についてのみである。
したがって、被告Aが個人でポスティング業務を行うために使用した原告地図2及び8については、本件において、著作権侵害の対象として
主張されていないので、被告Aによる不法行為責任は問題とならない。(イ)

前記(1)アないしカのとおり、被告会社は、本件改訂より前に発行され
た原告各地図又は本件改訂以降に発行された原告各地図を購入し、一つの配布エリアがA3サイズ1枚に収まるように、これらの原告各地図の該当頁を適宜縮小して複写し、これらのうち必要な部分を切り取り、道路や建物等にずれが生じないようにつなぎ合わせるなどして、被告各地図の原図を作成したこと、被告会社は、広告物のポスティングを行う配布員に対し、被告地図1ないし13の各原図を複写してこれを交付したこと、被告会社は、新たに得た情報を書き込むなどして被告地図1ないし16の各原図を修正して新たな原図を作成したことが認められる。そして、前記1(4)のとおり、本件改訂以降に発行された原告各地図は、
地図の著作物と認められる。
したがって、被告会社の上記各行為のうち本件改訂以降に発行された原告各地図に係るものは、原告の複製権を侵害するものと認めるのが相当である。
(ウ)

これに対して、被告らは、①被告各地図を作成した後、原告各地図を
複写したものをその都度廃棄している、②被告各地図においては、付票及びエリア枠線が必須であり、原告各地図と比較して1枚の地図が表現する範囲が異なっていることからすると、原告各地図の個性は埋没している、③原告各地図と被告各地図との一致点は、都市計画基本図における表現と共通し、原告各地図において新たに表現された家形枠はほとん
どないから、ありふれたものである、④被告地図12ないし17及び20は、被告フランチャイジーが原告地図12ないし17及び20を購入して被告会社に送付し、被告会社は被告フランチャイジーの手足としてこれを複製したにすぎないと主張する。
しかし、上記①については、原告各地図を複写したものを廃棄したと
ころで、原告各地図を複製した事実に変わりはないし、原告各地図を複写したものを切り貼りして作成した被告各地図の原図を更に複写すれば、
原告各地図を複製したことになり得るというべきである。
上記②について、前記(1)ウのとおり、被告各地図は、原告各地図を適宜縮小して複写し、これをつなぎ合わせたものである以上、両者の創作的表現が同一であることは明らかであって、被告各地図において、付票が貼付され、配布エリアを構成する部分が太線で囲まれており、原告各
地図と比較して1枚の地図で表現する範囲が異なっているとしても、それらの点のみをもって、原告各地図の個性が埋没していると評価することはできない。
上記③について、前記1(5)のとおり、原告各地図は都市計画基本図に新たな創作的表現が付加されたものであって、直ちに、原告各地図と被
告各地図との一致点が都市計画基本図における表現と共通するものであるとは認められず、原告各地図の記載がありふれていることを認めるに足りる証拠はない。
上記④については、証拠(甲10、乙64)によれば、被告会社が少なくとも原告地図12ないし17の全部又は一部を購入したものと認め
られ、他方、被告フランチャイジーが原告地図12ないし17及び20を購入して被告会社に送付したことを認めるに足りる証拠はない。また、証拠(甲34)によれば、被告会社は、ポスティング業務を行うフランチャイジーを募集し、フランチャイジーに対してポスティング用地図を有償で提供することを提案していると認められることからすると、被告
会社が被告フランチャイジーの手足として原告地図12ないし17及び20を複製したと評価することはできず、他にそのような評価を基礎付ける事実を認めるに足りる証拠はない。
以上のとおり、被告らの上記各主張はいずれも採用することができない。


被告会社が原告各地図を複製した枚数

(ア)

原告の主張の骨子について
原告は、被告会社が、①一つの配布エリアに係る被告各地図の原図を作成するために、原告各地図を少なくとも7枚複写する方法により複製した(以下複製①という。この点について、原告は、前記第2の4(3)(原告の主張)ア(ア)aのとおり、被告Aが原告地図2及び8に係る
複製①を行ったと主張しているが、被告Aの不法行為責任が問題とならない場合は、被告会社が原告地図2及び8に係る複製①を行ったと主張する趣旨であると解される。)、②ポスティングを行う配布員に渡すために、被告地図1ないし13の各原図を少なくとも月1回複写する方法により複製した(以下複製②という。)、③ポスティング業務に必
要な新たな情報を書き込んだ被告地図1ないし16の各原図を作成するために、被告地図1ないし16の各原図を少なくとも月1回複写する方法により複製した(以下複製③という。)と主張する。そこで、以下、本件改訂以降に発行された原告各地図が被告会社の上記の行為により何枚複製されたかを検討する。

(イ)

被告会社が原告各地図を購入した時期について
a
前記1(4)のとおり、原告各地図のうち著作物であると認められるも
のは、本件改訂以降に発行されたものであるところ、本件改訂が行われた時期は、別紙本件改訂時期等一覧表の本件改訂時期欄記載の
とおりである。そして、被告会社が、前記ア(イ)の態様により、原告各地図に係る原告の複製権を侵害したと認められるのは、被告会社が本件改訂以降に発行された原告各地図を最初に購入した時期以降に限られる。
b
別紙本件改訂時期等一覧表の書証2欄記載の各書証によれば、

被告会社が配布地域1ないし17の各配布地域を構成する同市町村欄記載の各市町村に係るゼンリン住宅地図のうち本件改訂以降に発行
されたものを最初に購入した時期は、同購入時期欄記載の各時期
であると認められる。
上記時期の記載のない市町村については、前記(1)ア及びウのとおり、被告会社がゼンリン住宅地図を購入し、これの該当頁を適宜縮小して複写し、切り貼りするなどして被告各地図の原図を作成したことは認
められるものの、複写したゼンリン住宅地図が本件改訂以降に発行されたものであることを認めるに足りる証拠がない。
したがって、別紙本件改訂時期等一覧表に上記時期の記載のある市町村に係るゼンリン住宅地図のみが複製枚数の検討対象となる。
(ウ)

複製①について
前記(1)イのとおり、被告会社は、一つの配布エリアにつき1枚のポスティング用地図の原図を作成したところ、証拠(甲2の2、甲44ないし52、58ないし63)及び弁論の全趣旨によれば、被告各地図の原図1枚を作成するのに、原告各地図を7頁分複写する必要があると認めるのが相当である。

したがって、被告会社は、複製①として、原告各地図を別紙本件改訂時期等一覧表の頁数1欄記載の各頁数(貼り合わせ頁数×配布エリア数)のとおり、合計1万4252頁を複写して複製したと認められる(配布エリア数が明らかでない市町村(別紙本件改訂時期等一覧表の配布エリア数欄に記載のない市町村)及び本件改訂以降に発
行されたゼンリン住宅地図を購入したとは認められない市町村(同購入時期欄に記載のない市町村)については、複写した頁数は0である。)。
(エ)
複製②及び③について
a
前記(1)ウないしオのとおり、被告会社は、原告地図1ないし13を
複写して作成した被告地図1ないし13の各原図を更に複写する複製
②及び原告地図1ないし16を複写して新たな被告地図1ないし16の各原図を作成する複製③をそれぞれ行ったところ、これらの複製がそれぞれ何回行われたかを示す的確な証拠は見当たらないが、証拠(甲1、2)及び弁論の全趣旨によれば、被告会社においては、配布地図準備作業として、毎月、ポスティング用地図の原図を複写し、配布地図修正作業として、毎月、ポスティング用地図の原図を訂正し、追加記入をする取決めがされていたこと、本件証拠保全時に、店舗7において、被告各地図を1か月ごとに紐で縛った束が多数存在したが、これらが、配布地図準備作業としてポスティング用地図の原図を複写
したものか、配布地図修正作業としてポスティング用地図の原図を訂正したものかは明らかでないことが認められる。
そうすると、被告会社は、自らポスティング業務を行う配布地域1ないし13に関して、少なくとも1か月に1回、複製②又は③を行い、原告地図1ないし13を複製したと認めるのが相当である(配布地域
12及び13に関しては、前記前提事実(2)イのとおり、被告会社がポスティング業務を行っていたのは平成23年3月までであるが、原告が主張する複製②及び③に係る損害も同月までのものに限られている。)。また、被告会社は、被告フランチャイジーがポスティング業務を行う配布地域14ないし16に関して、少なくとも2か月に1回、
複製③を行い、原告地図14ないし16を複製したと認めるのが相当である。
b
そして、被告会社が複製②又は③を行った期間の始期は、開店時期
1ないし16の各始期と被告会社が本件改訂以降に発行された原告地図1ないし16を購入した各時期のいずれか遅い方と認めるのが相当であり、別紙本件改訂時期等一覧表の複製期間欄記載の各始期の
とおりとなる。

c
また、被告会社が複製②又は③を行った期間の終期について、前記
(1)キのとおり、原告の松本営業所長は、平成30年3月20日、店舗2を訪れ、被告会社によるゼンリン住宅地図の利用方法が原告の著作権を侵害する旨説明しており、証拠(甲2)によれば、被告会社は、上記説明を受けて、本件証拠保全当時、ポスティング用地図の原図を作成するために使用する住宅地図を、ゼンリン住宅地図から別のものに切り替えつつあったことが認められる。
しかし、前記(1)ウのとおり、被告会社は、ポスティング用地図の原図を作成するに当たり、原告各地図を単に複写するのではなく、配布
エリアごとに、原告各地図の該当頁を適宜縮小して複写した上で必要な部分を切り取り、ずれが生じないようにつなぎ合わせるなどしており、配布地域1ないし24の配布エリア数は合計2978に上ることからすると、松本営業所長の上記訪問から本件証拠保全まで約1年4か月の期間があったものの、必ずしも全ての配布エリアのポスティン
グ用地図の原図を作成し直すだけの十分な期間とはいえず、他に上記切替えが終了した配布エリアを示す的確な証拠は見当たらないことを合わせ考慮すると、被告会社が複製②又は③を行った期間の終期は、開店時期1ないし16の各終期と本件証拠保全が行われた令和元年7月のいずれか早い方と認めるのが相当であり(配布地域12及び13
に関しては、前記前提事実(2)イのとおり、平成23年3月までである。)、別紙本件改訂時期等一覧表の複製期間欄記載の各終期の
とおりとなる。
d
以上によれば、被告会社は、複製②及び③として、原告地図1ない
し16を別紙本件改訂時期等一覧表の複製期間欄記載の各期間に、頁数2欄記載の各頁数(貼り合わせ頁数×配布エリア数
×月数又は貼り合わせ頁数×配布エリア数×月数×

0.5)のとおり、合計95万5549頁を複写して複製したと認められる(配布エリア数が明らかでない市町村(別紙本件改訂時期等一覧表の配布エリア数欄に記載のない市町村)及び本件改訂以降に
発行されたゼンリン住宅地図を購入したとは認められない市町村(同購入時期欄に記載のない市町村)については、複写した頁数は0

である。)。
e
これに対して、被告らは、本件証拠保全当時の配布エリア数が合計
2978であることは認めるが、被告らは平成10年4月から徐々に営業範囲を拡大してきたものであり、被告各地図の作成を開始したときから上記数の配布エリアが存在したわけではないと主張する。

しかし、配布エリア数の推移を示す的確な証拠はないこと、前記dの頁数は、開店時期1ないし16の各始期以降で、かつ、被告会社が本件改訂以降に発行された原告各地図を購入した時期以降のものに限っていることからすると、被告らが指摘する点は、前記dのとおり認定した頁数を減ずべき合理的な理由には当たらないというべきである。
したがって、被告らの上記主張は採用することができない。
(オ)

小括
以上によれば、原告各地図について、別紙本件改訂時期等一覧表の小計欄記載の各頁数の複製がされ、その合計は96万9801頁となる。

(3)

原告各地図に係るその他の著作権侵害の成否

前記(1)カのとおり、被告会社は、被告フランチャイジーに対し、被告地
図12ないし16の各原図を送付し、また、第三者に対し、被告地図17ないし24の各原図を販売したところ、前記(2)によれば、これらの原図には、別紙本件改訂時期等一覧表の頁数1及び頁数2欄記載のとお
り、本件改訂以降に発行された原告地図12ないし17の一部を複製した
ものが含まれているから、この限りにおいて、被告会社による上記各行為は、原告地図12ないし17に係る原告の譲渡権を侵害するものと認められる。
他方で、被告会社が被告地図12ないし16の各原図の複製物を貸与により公衆に提供したことを認めるに足りる証拠はないから、被告会社が原
告地図12ないし16に係る原告の貸与権を侵害したとは認められない。イ
前記前提事実(4)ウのとおり、被告会社は、被告ウェブサイト内の店舗8
及び11に係る各ウェブページ上に、被告地図8の一部である地図1枚及び被告地図11の一部である地図3枚の各画像データを掲載したところ、前記(2)のとおり、被告地図8及び11の各原図又はこれを複写したものは、
原告地図8及び11の複製物であるから、被告会社による上記掲載行為は、原告地図8及び11に係る原告の公衆送信権を侵害するものと認められる。これに対して、被告らは、被告ウェブサイト内の店舗8及び11に係るウェブページ上に掲載された被告地図8及び11の各一部である地図4枚は元の地図の面積の3%程度にすぎないと主張するが、前記(2)のとおり、
被告地図8及び11は原告地図8及び11の複製物であるから、たとえ原告地図8及び11の一部であったとしても、これらの画像データをインターネット上のウェブページに掲載する行為が原告地図8及び11に係る原告の公衆送信権を侵害することは明らかであり、被告らの上記主張は採用することができない。

4争点4(被告らの故意又は過失の有無)について
(1)

証拠(甲8、12、14、26、32、41、42、64ないし123)
及び弁論の全趣旨によれば、遅くとも平成10年4月以降、ゼンリン住宅地図には、末尾に、「ゼンリン住宅地図(本商品)は当社の著作物であり、著作権法により保護されています。」、法律で特に定める場合を除き、当社の許諾なく本商品又は本商品に含まれるデータの全部若しくは一部を複製、転記、抽出、その他の利用をした場合、著作権法違反や不法行為となり、刑事上や民事上の責任を追及されることがあります。などと記載されていること、電子住宅地図デジタウンのパッケージにも、遅くとも平成19年5月以降、上記と同趣旨の記載がされていることが認められる。上記認定事実によれば、被告会社には、前記3(2)の各行為により原告各地
図に係る原告の複製権を侵害したことについて、故意があったと認めるのが相当である。
他方で、前記3(2)ア(ア)のとおり、本件において、被告Aによる権利侵害は問題とならないから、被告Aの故意又は過失について検討する必要はない。(2)

これに対して、被告らは、原告が、被告会社による原告各地図の利用方法
を知りながら、被告会社に対して原告各地図を販売しており、原告以外の複数の住宅地図作成会社は、被告会社が追加料金を支払うことなくポスティング用地図を複製等することを許諾していたことから、被告会社は、平成30年4月2日頃に原告の松本営業所長名義の書面(甲16)を受領して初めて、原告が被告会社による原告各地図の利用方法を認めないことを知ったものであって、被告会社に原告各地図に係る著作権侵害についての故意は認められないと主張する。
しかし、原告が、被告会社による前記3(2)の複製権侵害行為があることを知りながら、被告会社に対して原告各地図を販売したことを認めるに足りる
証拠はなく、むしろ、前記(1)のとおり、原告各地図には、当該地図が著作物であること、原告の許諾なく複製等をした場合は著作権法違反となることなどが記載されていたものである。
また、証拠(乙5ないし7)によれば、被告会社は、平成30年11月5日から令和元年6月19日までの間に、原告以外の住宅地図作成会社3社か
ら、同3社が作成販売する住宅地図を複写し、切り貼りするなどしてポスティング用地図を作成することについて許諾する旨の証明書を取得したことが
認められるものの、その取得の時期は、原告の松本営業所長が店舗2を訪れて被告会社によるゼンリン住宅地図の利用方法が原告の著作権を侵害する旨を説明した平成30年3月20日(前記3(1)キ)よりも後であるから、上記の証明書の取得は被告会社の故意を否定する事情にはならないというべきである。
そうすると、被告会社が原告の松本営業所長名義の書面を受領するまで原告が被告会社による原告各地図の利用方法を認めないことを知らなかったということはできないというべきであり、他にそのような事実を認めるに足りる証拠はない。
したがって、被告らの上記主張は採用することができない。

5争点5(被告Aの任務懈怠行為)について
(1)

被告会社は、前記3(1)ア及びウのとおり、平成12年1月12日の設立以
降、原告各地図について本件改訂が行われる前から、原告各地図を購入してこれを適宜縮小して複写し、これらを切り貼りしてポスティング用地図の原図を作成しており、前記3(2)のとおり、本件改訂以降に発行された原告各地図を合計96万9801枚複製したものである。そして、前記前提事実(1)イ、(2)ア及び(4)アのとおり、被告Aは、被告会社が設立されるまで、個人で、被告会社において行われているのと同様の方法により、ポスティング業務を行い、被告会社が設立されてからは、被告会社の代表取締役を務めてきたも
のであって、証拠(甲3)によれば、被告会社は、資本金500万円の有限会社であり、従業員数は39名とさほど大きくはないことが認められる。そうすると、被告Aは、被告会社が前記3(2)のとおり原告の著作権を侵害したことについて、被告会社の代表取締役として阻止すべき任務を負っていたにもかかわらず、これを悪意により懈怠したと認めるのが相当である。
(2)

これに対して、被告Aは、①原告が、平成30年4月に至るまで、被告会
社が、ポスティング業務を行うために原告各地図を購入し、これを複製する
などして被告各地図を作成していることを認識していたにもかかわらず、被告会社に対して複製料を請求するなどしたことはなかったから、被告Aは、被告会社の上記行為が違法であると認識し得なかったものであり、②被告Aは、同月に原告から警告文書を受領した後、合理的な期間内に原告各地図の使用を中止したから、職務を行うについて悪意又は重大な過失があったとはいえないと主張する。
しかし、上記①については、原告が、被告会社による前記3(2)のとおりの複製権侵害行為があることを知りながら、被告会社に対して複製料を請求することはなかったことを認めるに足りる証拠はないし、被告Aがそのような
事実を認識していたことを認めるに足りる証拠もない。
また、上記②については、被告会社が原告各地図の複製を完全に中止したことを認めるに足りる証拠はないし、被告Aが合理的な期間内に原告各地図の使用を中止したところで、被告Aがそれまでに生じた任務懈怠責任を免れることにはならない。

したがって、被告Aの上記主張は採用することができない。
6争点6(原告による黙示の許諾の有無)について
被告らは、原告が、被告会社に対して原告各地図を割引価格で販売し、これを被告会社本社に納入しており、被告会社内での原告各地図の利用方法を十分把握していたこと、原告が、被告会社の従業員3、4名に対して電子住宅地図デジタウンのデモンストレーションを行い、電子住宅地図デジタウンによっても従前どおりにポスティング用地図を作成することは可能であると説明したことからすると、原告は被告会社がポスティング用地図を作成するに当たって原告各地図を必要な範囲で複製することを許諾していたというべきであると主張する。

この点、証拠(甲10、乙64)によれば、原告は、平成23年4月以降、被告会社に対し、原告各地図を定価より安い価格で販売したことがあり、これ
を被告会社本社に納入したことがあると認められるものの、そのような事実をもって、被告会社が原告各地図を複製して被告各地図を作成していたことを原告が知っていたと認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。また、原告が被告会社の従業員に対して電子住宅地図デジタウンのデモンストレーションを行ったことがあったとしても、電子住宅地図デジタウンによっても従前どおりにポスティング用地図を作成することができると説明したとの事実を認めるに足りる証拠はない。
そして、本件全証拠によっても、被告会社がポスティング用地図を作成するに当たって原告各地図を必要な範囲で複製することについて、原告が許諾して
いたと認めることはできない。
したがって、被告らの上記主張は採用することができない。
7
争点7(許諾料を支払うことなく出版物を複製することができる慣習の有無)
について
被告らは、住宅地図が、その大きさや重さの面から持ち歩くことが困難であり、鑑賞目的のものではなく実用品である上、官公庁等への添付資料として提出したり、希望者に配布したりするものではないこと、原告以外の複数の住宅地図作成会社は、被告会社が追加料金を支払うことなくポスティング用地図を複製等することを許諾していることからすると、住宅地図を正当に購入した者は、同時使用しないことを前提として、当該住宅地図を購入価格以外の対価を
支払うことなく1部複製することが許諾されており、住宅地図の出版物としての対価にはこのような地図利用許諾が含まれているという慣習が存在すると主張する。
しかし、住宅地図を購入した者がこれを外に持ち出して使用することがあるとしても、そのような事実から、著作権法が定める著作権の制限規定が適用さ
れる場合以外に、被告らが主張するような複製を許容する慣習の存在が認められるとするのは、論理の飛躍があるといわざるを得ない。また、証拠(乙5な
いし7)によれば、住宅地図作成会社3社は、平成30年11月、被告会社に対し、同3社が販売した住宅地図について、追加の使用料等を支払うことなくこれをポスティング用地図として使用するために複製したり、加工したりすることを許諾したことが認められるものの、このような事実によっても、住宅地図作成会社一般について、販売した住宅地図の複製等を追加の使用料の支払を受けることなく許諾するといった慣習が存在すると認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。
したがって、被告らの上記主張は採用することができない。
8
争点8(被告らによる原告各地図の利用に対する著作権法30条の4の適用
の可否)について
被告らは、原告各地図の利用について、被告各地図に原告各地図の何らかの思想又は感情が残存していたとしても、これを享受することを目的とするものではないから、当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合(著作権法30条の4柱書)に該当す
ると主張する。
しかし、前記前提事実(4)のとおり、被告らは、各家庭に広告物を配布するポスティング業務を行うために、原告各地図を複写し、これらを切り貼りしてポスティング用地図である被告各地図の原図を作成し、ポスティングを行う配布員は、上記原図を更に複写したものを受け取り、これに記載された建物の位置、
道路等の情報を基に、ポスティングを行ったものである。したがって、被告会社は、原告各地図に記載された建物の位置、道路等の情報を利用するために、原告各地図を複写の方法により複製したものであるから、被告会社による複製行為は、原告各地図に表現された思想又は感情を自ら享受し、又は配布員に享受させることを目的としたものであることは明らかである。

また、被告会社が、前記3(3)アのとおり、原告地図12ないし17の複製物を譲渡したり、前記前提事実(4)ウのとおり、原告地図8及び11の複製物を被
告ウェブサイト内のウェブページ上に掲載したりしたことについても、同様である。
以上によれば、著作権法30条の4は適用されないから、被告らの上記主張は採用することができない。
9
争点9(零細的利用であることを理由とする原告の被告らに対する著作権行
使の制限の可否)について
被告らは、重量のある住宅地図の書籍を持ち歩きながらポスティングを行うことは非現実的であるから、零細的利用として、原告の被告らに対する著作権の行使は制限されると主張する。
しかし、原告各地図に係る原告の著作権の行使が制限される法的根拠は明ら
かではないが、仮に被告らが原告による権利の濫用を主張する趣旨であったとしても、前記3(2)のとおり、被告会社は、本件改訂以降に発行された原告各地図を合計96万9801頁も複製したものであり、本件全証拠によっても、そのような被告会社に対する原告の著作権行使が権利の濫用であるとの評価を根拠付け得る事実を認めることはできない。
したがって、被告らの上記主張は採用することができない。
争点10(差止等対象地図に係る原告の著作権を侵害するおそれの有無)につ
いて
(1)
前記前提事実(2)のとおり、被告会社は、自らポスティング業務を行い、ま
た、ポスティング業務に係るフランチャイザーとしてフランチャイズ契約を締結している。そして、前記3(2)及び(3)のとおり、被告会社は、平成15年9月以降、本件改訂以降に発行された原告各地図を購入した上で、合計96万9801頁複製し、被告フランチャイジー及び第三者に対し、原告地図12ないし17を複製して作成した被告地図12ないし17の各原図を譲渡
し、原告地図8及び11を複製して作成した被告地図8及び11の各一部の画像データを被告ウェブサイト内に掲載し、原告の原告各地図に係る複製権、
原告地図12ないし17に係る譲渡権並びに原告地図8及び11に係る公衆送信権を侵害したものである。そして、前記前提事実(3)アのとおり、差止等対象地図は、原告地図1ないし11の最新の版に係るものである。上記事情によれば、被告会社は、引き続きポスティング業務又はこれに係るフランチャイザーとしての業務を行うに当たり、ポスティング用地図を作成する必要があり、これまで、原告各地図を購入してはこれを大量に複製するなどしており、現在、差止等対象地図を保有していなかったとしても、一般に販売されている差止等対象地図を取得してこれを複写することは容易であるといえることからすると、被告会社が将来的に差止等対象地図に係る原
告の複製権、譲渡権及び公衆送信権を侵害するおそれがあると認めるのが相当である。
他方で、前記3(3)アのとおり、これまで被告会社が原告地図12ないし16に係る原告の貸与権を侵害したとの事実が認められないことに照らせば、将来的に被告会社が差止等対象地図に係る原告の貸与権を侵害するおそれが
あると認められず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。
(2)

被告会社がゼンリン住宅地図を購入した履歴(甲10、乙64)によって
も、被告会社が差止等対象地図を購入したとは認められず、他に被告会社が差止等対象地図を保有していることを認めるに足りる証拠はない。したがって、被告会社が差止等対象地図を保有しているとは認められず、その複製物を所有しているとも認められないから、被告会社に対する差止等対象地図の廃棄請求は認められない。
11争点11(損害額)について
(1)

証拠(甲25、127、128、131、136)によれば、原告は、自
動車保管場所証明申請や建築確認申請等にゼンリン住宅地図の写しを添付する際に貼付するものとして、ゼンリン住宅地図を複製することを許諾したことを証する複製許諾証を販売していること、複製許諾証は、1申請又は1届
出につき1枚貼付するものとし、1枚200円(税抜き)で販売されていること、原告は、ゼンリン住宅地図のうち任意の部分をダウンロードし、これを自宅でプリントアウトすることができるゼンリン住宅地図出力サービスを行っており、1500分の1の縮尺でA3、B4又はA4サイズの住宅地図を1枚550円(税込み。複製許諾付きのもので1枚770円(税込み)。)で販売していること、原告は、ゼンリン住宅地図のうち任意の部分をコンビニエンスストアでプリントアウトすることができるゼンリン住宅地図プリントサービスを行っており、1500分の1の縮尺でA3サイズの住宅地図を1枚400円(税込み)で販売していることが認められる。上記認定事実に基づいて原告が受けるべき金銭の額に相当する額を検討す
るに、複製許諾証は、1申請又は1届出につき1枚貼付するものとされているものの、見開きの片側1頁を複製するごとに1枚貼付することを要するのか、見開きの左右2頁を複製したとしても1枚貼付することで足りるのかは明らかでないため、これのみに基づいて額を算定することはできないが、ゼンリン住宅地図出力サービス及びゼンリン住宅地図プリントサービスでは、ゼンリン住宅地図の見開きの左右2頁と同じかこれより狭い任意の部分を1枚550円又は400円で販売していること等に加え、本件訴訟に現れた全ての事情を考慮すると、原告各地図の著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額につき、1頁当たり200円と認めるのが相当で
ある。
(2)

これに対して、被告らは、①公益社団法人日本複製権センターは組織内で
の利用を目的とした複写に係る使用料を1頁当たり4円と定め、一般社団法人学術著作権協会は内部利用目的の基本複製使用料を1頁当たり2円と定めている、②原告を含む日本の主要地図業者6社のうち3社は被告会社が同3社の販売する地図を複製することにつき追加の許諾料を求めていない、③原告の販売する複製許諾証の価格は公開されておらず、ポスティング業界に対
して示されたこともない、④被告らは社内利用としてポスティング用地図を作成するために原告各地図を複製したものであるから、行政庁に対する許認可申請や届出等のための複製ではなく、複製許諾証が必要とされる場合に当たらないと主張する。
しかし、上記①について、著作権法114条3項の著作権…の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額とは、当該著作権の実際の使用許諾契約における使用料等を考慮して認定すべきであると解されるところ、原告は、前記前提事実(1)アのとおり、日本全国の地図情報を調査した上、紙媒体であるゼンリン住宅地図や電子地図ソフトウェアである電子住宅地図デジタウンを作成販売し、前記(1)のとおり、ゼンリン住宅地図を複製することを許諾したことを証する複製許諾証を1枚200円で販売し、ゼンリン住宅地図のうち任意の部分をゼンリン住宅地図出力サービス又はゼンリン住宅地図プリントサービスとして1枚550円又は400円で販売しているものであり、本来、原告から原告各地図を複製することの許諾を得るため
にはこれらの料金を支払う必要があった。他方で、公益社団法人日本複製権センターや一般社団法人学術著作権協会が定めた複製に係る使用料は、原告が定める上記料金と比較して極めて低廉であるばかりか、同使用料は両法人が管理する著作物について適用されるものであるところ、両法人が原告各地図を管理していることを認めるに足りる証拠はない。そうすると、両法人が
定めた上記使用料を採用することが相当であるとはいえない。
上記②について、原告における原告各地図に係る使用許諾の実績は前記(1)のとおりであり、上記①について説示したとおり、この実績は、原告自身が受けるべき金銭の額に相当する額を算定する上で、当然に重視されるべき事情であるから、他の業者の価格設定の存在により、この事情が直ちに考慮で
きなくなると解することはできない。
上記③について、証拠(甲131)によれば、原告は、平成14年10月
21日から、1枚200円で複製許諾証の販売を開始し、これ以前は、1申請当たり1200円で個別に複製の許諾を行っていたことが認められるから、複製許諾証の価格は公開されており、ポスティング業界を含め、一般的にこれを知り得たというべきである。
上記④について、前記3のとおり、被告会社は、自らの事業であるポステ
ィング業務を行うために、原告各地図を複製し、被告各地図を作成していたものであり、それ自体は原告が想定する複製許諾証の利用目的には該当しないとしても、前記(1)で説示したとおり、原告が受けるべき金銭の額に相当する額を算定するに当たって、考慮すべき一事情となり得ることが否定されるものではない。
したがって、被告らの上記各主張はいずれも採用することができない。(3)

前記3(2)イのとおり、被告会社は、別紙本件改訂時期等一覧表記載のとお
り、原告各地図を合計96万9801頁複製したものである。そして、前記(1)のとおり、原告各地図の著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額は1頁当たり200円と認められるので、原告は、被告会社の著作権侵害行為により、1億9396万0200円の損害を被ったと認められる。そして、被告会社の不法行為と相当因果関係の認められる弁護士費用相当額は、1900万円と認めるのが相当である。
したがって、原告に生じた損害額の合計は2億1296万0200円であ
る。
第4結論
以上によれば、原告の請求は、被告会社が差止等対象地図を複製し、同地図の複製物を譲渡により公衆に提供し、自動公衆送信又は送信可能化してはならず、被告らが原告に対して連帯して3000万円及びこれに対する令和元年1
1月15日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるから認容し、その余は理由がないからいずれも棄却することとして、
主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第29部

裁判長裁判官
國分小隆川文
裁判官

裁判官矢野紀夫は、差支えにつき、署名押印することができない。
裁判長裁判官

國分隆文
(別紙)

原告地図目録1

1
ゼンリン住宅地図

長野県

長野市北

201902(全534頁)

2
ゼンリン住宅地図

長野県

長野市南

201902(全498頁)

3
ゼンリン住宅地図

長野県

長野市3(戸隠・鬼無里)

201804

(全160頁)
4
ゼンリン住宅地図

長野県

長野市4(信州新町・中条)・小川村

20

1804(全238頁)
5
ゼンリン住宅地図

長野県

須坂市・小布施町・高山村・長野市若穂

2
01903(全394頁)
6
ゼンリン住宅地図

長野県

中野市

201910(全224頁)

7
ゼンリン住宅地図

長野県

松本市1(松本)

長野県

松本市2(奈川・安曇)

長野県

松本市3(四賀)

長野県

松本市4(梓川・波田)

201910(全570

頁)
8
ゼンリン住宅地図

201610(全

266頁)
9
ゼンリン住宅地図

201709(全100

頁)
10

ゼンリン住宅地図

201810(全

242頁)
11

ゼンリン住宅地図

長野県

塩尻市

201909(全482頁)

12

ゼンリン住宅地図

長野県

山形村・朝日村

13

ゼンリン住宅地図

長野県

安曇野市南(豊科・堀金・三郷)

201801(全156頁)
2018

12(全310頁)
14

ゼンリン住宅地図

長野県

安曇野市北(明科・穂高)

201812

(全292頁)
15

ゼンリン住宅地図

長野県

大町市

201909(全382頁)

16

ゼンリン住宅地図

長野県

17

ゼンリン住宅地図

長野県

上田市1

201905(全496頁)

18

ゼンリン住宅地図

長野県

上田市2

201905(全418頁)

19

ゼンリン住宅地図

長野県

東御市

20

ゼンリン住宅地図

長野県

千曲市・坂城町

21

ゼンリン住宅地図

長野県

佐久市東(佐久・臼田)

201906(全

長野県

佐久市西(望月・浅科)

201807(全

池田町・松川村

201802(全270頁)

201902(全250頁)
201908(全378頁)

444頁)
22

ゼンリン住宅地図
208頁)

23

ゼンリン住宅地図

長野県

小諸市

201812(全232頁)

24

ゼンリン住宅地図

長野県

御代田町

201907(全88頁)

25

ゼンリン住宅地図

長野県

軽井沢町

201907(全176頁)

26

ゼンリン住宅地図

長野県

諏訪市

27

ゼンリン住宅地図

長野県

201805(全264頁)

岡谷市・下諏訪町

201904(全426

頁)
28

ゼンリン住宅地図

長野県

茅野市

201804(全350頁)

29

ゼンリン住宅地図

長野県

飯田市西(飯田)

長野県

飯田市東(上・南信濃)

201907(全374

頁)
30

ゼンリン住宅地図

201807(全

150頁)
31

ゼンリン住宅地図

長野県

松川町・高森町・喬木村・豊丘村・大鹿村

201802(全514頁)
32

ゼンリン住宅地図

長野県

駒ヶ根市・飯島町・中川村・宮田村

903(全558頁)

201

33

ゼンリン住宅地図

長野県

伊那市1(伊那)

201911(全430

長野県

伊那市2(高遠・長谷)

頁)
34

ゼンリン住宅地図

201911(全

148頁)
35

ゼンリン住宅地図

長野県

南箕輪村

201911(全106頁)

36

ゼンリン住宅地図

長野県

箕輪町

37

ゼンリン住宅地図

山梨県

甲府市北(甲府)

山梨県

甲府市南(中道・梯・古関)

中央市・昭和町

201911(全154頁)
201902(全384

頁)
38

ゼンリン住宅地図

201802

(全96頁)
39

ゼンリン住宅地図

山梨県

201903(全244頁)

40

ゼンリン住宅地図

山梨県

笛吹市

41

ゼンリン住宅地図

山梨県

市川三郷町

42

ゼンリン住宅地図

山梨県

富士川町

43

ゼンリン住宅地図

山梨県

山梨市1(山梨)

山梨県

山梨市2(牧丘・三富)

201812(全416頁)
201906(全166頁)
201910(全142頁)
201905(全192

頁)
44

ゼンリン住宅地図

201805(全

136頁)
45

ゼンリン住宅地図

山梨県

北杜市

201811(全474頁)

46

ゼンリン住宅地図

山梨県

身延町

201908(全354頁)

47

ゼンリン住宅地図

山梨県

南部町

201911(全192頁)

48

ゼンリン住宅地図

山梨県

韮崎市

201810(全338頁)

49

ゼンリン住宅地図

山梨県

甲斐市

201907(全264頁)

50

ゼンリン住宅地図

山梨県

南アルプス市

51

ゼンリン住宅地図

山梨県

富士吉田市

52

ゼンリン住宅地図

山梨県

201910(全386頁)
201903(全224頁)

富士河口湖町・鳴沢村

201908(全2

36頁)
53

ゼンリン住宅地図

山梨県

都留市・道志村・西桂町

201808(全

330頁)
54

ゼンリン住宅地図

山梨県

大月市

55

ゼンリン住宅地図

山梨県

上野原市

56

ゼンリン住宅地図

山梨県

201806(全264頁)
201904(全262頁)

山中湖村・忍野村

201709(全182

頁)
57

ゼンリン住宅地図

岐阜県

多治見市

201906(全422頁)

58

ゼンリン住宅地図

岐阜県

可児市

201907(全372頁)

59

(欠番)

60

ゼンリン住宅地図

岐阜県

土岐市

201812(全334頁)
以上
(別紙)

原告地図目録2

1
ゼンリン電子住宅地図デジタウン

長野市・小川村

2
ゼンリン電子住宅地図デジタウン

長野市1・2

3
ゼンリン電子住宅地図デジタウン

201902
201902

長野市3(戸隠・鬼無里)

2018

04
4
ゼンリン電子住宅地図デジタウン

長野市4(信州新町・中条)
・小川村

201804
5
ゼンリン電子住宅地図デジタウン

須坂市・小布施町・高山村・長野市若

201903

6
ゼンリン電子住宅地図デジタウン

中野市

201910

7
ゼンリン電子住宅地図デジタウン

松本市1(松本)

8
ゼンリン電子住宅地図デジタウン

201910

松本市2(奈川・安曇)

20161

09
ゼンリン電子住宅地図デジタウン

10

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

松本市3(四賀)

201709

松本市4(梓川・波田)

20181

0
11

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

塩尻市

12

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

山形村・朝日村

13

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

安曇野市

14

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

大町市

15

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

池田町・松川村

16

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

上田市

17

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

上田市1

201909
201801

201812
201909
201802

201905
201905

18

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

上田市2

201905

19

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

東御市

20

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

千曲市・坂城町

21

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

201902
201908

佐久市東(佐久・臼田)

20190

6
22

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

佐久市

201807

23

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

小諸市

201812

24

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

御代田町

201907

25

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

軽井沢町

201907

26

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

諏訪市

27

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

岡谷市・下諏訪町

28

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

茅野市

29

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

飯田市西(飯田)

30

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

飯田市

31

ゼンリン電子住宅地図デジタウン
鹿村

32

201805
201904

201804
201907

201807

松川町・高森町・喬木村・豊丘村・大

201802

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

駒ヶ根市・飯島町・中川村・宮田村

201903
33

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

伊那市

201911

34

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

南箕輪村

35

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

箕輪町

36

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

甲府市北(甲府)

37

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

甲府市

38

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

201911
201911
201902

201802

甲府市南(中道・梯・古関)

802
39

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

中央市・昭和町

201903

201

40

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

笛吹市

201812

41

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

市川三郷町

42

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

富士川町

43

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

山梨市1(山梨)

44

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

201906
201910
201905

山梨市2(牧丘・三富)

20180

5
45

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

46

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

北杜市

201811

北杜市西(長坂・小淵沢・白洲・武川)

201611
47

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

北杜市東

201511

48

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

身延町

201908

49

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

南部町

201611

50

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

韮崎市

201810

51

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

甲斐市

201907

52

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

南アルプス市

53

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

富士吉田市

54

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

富士河口湖町・鳴沢村

55

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

201910
201903
201908

都留市・道志村・西桂町

20180

8
56

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

大月市

57

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

上野原市

58

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

山中湖村・忍野村

59

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

多治見市

60

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

可児市

201907

61

(欠番)

62

ゼンリン電子住宅地図デジタウン

土岐市

201812

201806
201904
201709

201906

以上
(別紙)

配布地域等目録

番号

店舗名

開店時期

配布地域

まかせて長野

平成12年1月~

長野市、須坂市、中野市

まかせて松本

平成10年4月~

松本市、塩尻市、山形村、朝日村

まかせて安曇野

平成27年6月~

安曇野市、大町市、池田町、松川村

まかせて上田

平成14年3月~

上田市、東御市、坂城町、丸子町

まかせて佐久

平成27年6月~

佐久市、小諸市、御代田町、軽井沢町

まかせて諏訪

平成15年5月~

岡谷市、諏訪市、茅野市、下諏訪町
飯田市、高森町、松川町、飯島町、駒ヶ根市、

まかせて飯田

平成26年4月~

宮田村、中川村、豊丘村、喬木村、伊那市、南
箕輪村、箕輪町
甲府市、中央市、昭和町、笛吹市、市川三郷

まかせて甲府

平成11年6月~

町、富士川町、山梨市、北杜市、身延町、南部

まかせて韮崎

平成24年7月~

まかせて富士吉田

平成29年9月~

韮崎市、甲斐市、南アルプス市
富士吉田市、富士河口湖町、都留市、大月市、
上野原市、忍野村、山中湖村、鳴沢村

平成28年10月~
まかせて多治見

多治見市、可児市、土岐市

令和2年1月31日
那覇市、豊見城市、糸満市、南風原町、与那原

まかせて那覇

平成16年7月~

まかせて沖縄

平成20年8月~

沖縄市、うるま市、北谷町、嘉手納町、読谷

村、北中城村

まかせて宜野湾

平成30年5月~

まかせて郡山

宜野湾市、浦添市、西原町、中城村

平成27年8月~
郡山市、須賀川市、白河市、西郷村

令和2年9月30日
平成21年4月~
まかせて宮崎

宮崎市

平成28年10月
都城市

浜松市中区

焼津市

名護市

静岡市清水区

浜松市東区

藤枝市

袋井市

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