判例検索β > 令和3年(わ)第2139号
出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律違反
事件番号令和3(わ)2139
事件名出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律違反
裁判年月日令和4年3月17日
法廷名名古屋地方裁判所
全文全文
最高裁判所〒102-8651 東京都千代田区隼町4番2号 Map
裁判日:西暦2022-03-17
情報公開日2022-06-04 04:00:11
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主文
被告人を懲役1年2月及び罰金80万円に処する
その罰金を完納することができないときは,金1万円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判が確定した日から3年間その懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,岡山県赤磐市ab番地cに本店を置き,農作物の生産販売等を業とする株式会社A(以下Aという。)の本部長として,同社の青果物等の販売代理契約に係る保証金の名目で同社に金銭を支払うよう不特定かつ多数の者を勧誘させ,受け入れた保証金の管理等をしていたもの,Bは,同社の実質的経営者として,同社の業務全般を掌理していたもの,C,D,E,F及びGは,同名目で同社に金銭を支払うよう不特定かつ多数の者を勧誘するなどしていたものであるが,いずれも法定の除外事由がないのに
1
前記B,同C,同D,同E及び同Fと共謀の上,別表(添付省略)記載のとおり,平成30年12月11日から同月26日までの間,3回にわたり,同市de番地fの株式会社H銀行I支店に開設されたA名義の普通預金口座に振込入金させる方法により,不特定かつ多数の相手方であるJほか1名から,同名目で支払を受ける金銭の全額に相当する元本を保証するとともに月利2ないし3.3パーセントの金銭を支払うことを約して,合計700万円を受け入れ,
2
前記B及び同Gと共謀の上,同月25日,前記普通預金口座に振込入金させる方法により,不特定かつ多数の相手方であるKから,同名目で支払を受ける金銭の全額に相当する元本を保証するとともに月利3.3パーセントの金銭を支払うことを約して,400万円を受け入れ,

もって業として預り金をした。

(法令の適用)
罰条

包括して刑法60条,出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下出資法という。)8条3項1号,2条1項

刑種の選択

懲役刑及び罰金刑を併科

労役場留置

刑法18条(金1万円を1日に換算)

懲役刑の執行猶予

刑法25条1項

(量刑の理由)
本件は,Aの幹部(統括本部長)であった被告人が,同社の実質的経営者や顧客を勧誘する勧誘役といった共犯者らと共謀の上,同社の事業の一環として,顧客3名から合計1100万円を受け入れた出資法上の預り金禁止違反の事案である。被告人らは,本件犯行の数年前から,それぞれ役割を分担した上,多数の顧客に対し,予め勧誘役の間で共有されている説明内容,すなわち,Aが果物の農園を営むなど果物に関するビジネスを展開している会社であってその事業資金が必要であり,金銭を預ければ元本を保証するとともに月利数パーセントの金銭を支払うといった説明を用いるなどして同様の預り金禁止違反を繰り返していたのであるから,本件は,組織的に敢行された職業的な犯行である。また,Aは,上記1100万円の預り金等を返還しないまま現在破産手続中というのであるから,一般市民の財産を保護し,社会の信用制度ないし経済秩序を維持しようとした出資法の趣旨を大きく損なっている。
こうした犯行において,被告人は,本件犯行を主導した実質的経営者を補佐する幹部という立場において,顧客情報のほか預り金や支払金の状況を管理したり,勧誘役に対して勧誘の仕方等を指示したりして4000万円以上の報酬を得ている。したがって,被告人の刑事責任は重いが,例えば上記勧誘役への指示についてみると,主として実質的経営者からの指示内容を勧誘役に伝達するにとどまっているなど本件犯行における被告人の役割は,検察官が指摘するような主導的なものとま
では認め難い。加えて,被告人に前科前歴がないこと,一貫して罪を認め,Aによる一連の犯行の被害者に対して被告人なりに誠実に対応していくことを固く誓約していること,現在は正業に就いていること等被告人に有利に斟酌すべき事情も認められる。
そこで,こうした事情を踏まえ,被告人に対し,主文の懲役刑及び罰金刑を科した上,今回に限っては,懲役刑の執行を猶予するのが相当と判断した。
(求刑-懲役1年2月及び罰金80万円)
令和4年3月23日
名古屋地方裁判所刑事第1部

裁判官

岩見貴博
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