判例検索β > 令和3年(行ケ)第10113号
審決取消請求事件 商標権 行政訴訟
事件番号令和3(行ケ)10113
事件名審決取消請求事件
裁判年月日令和4年1月25日
法廷名知的財産高等裁判所
全文全文
最高裁判所〒102-8651 東京都千代田区隼町4番2号 Map
裁判日:西暦2022-01-25
情報公開日2022-02-13 09:44:17
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令和4年1月25日判決言渡

令和3年(行ケ)第10113号

審決取消請求事件

口頭弁論終結日令和3年12月1日
判決原告
一般社団法人睡眠栄養指導士協会

同訴訟代理人弁理士

被告特
同指定代理人

杉本克治同小山田啓之主1許清庁長官文
原告の請求を棄却する。

2川
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由

第1請求
特許庁が不服2020-7812号事件について令和3年7月26日にした審決を取り消す。
第2事案の概要
1
特許庁における手続の経緯等


原告は,平成30年10月23日,睡眠コンサルタントの文字を横書きしてなる商標(以下本願商標という。)について,商標登録出願(商願2018-131727号)をした。

令和元年10月27日付け手続補正書による補正の後の本願商標に係る指定役務(以下本願指定役務という。)は,第41類

技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)

である。⑵

原告は,令和2年3月6日(発送日)付けで拒絶査定(以下本件拒絶査定という。)を受けたので,同年6月7日,拒絶査定不服審判を請求した
(不服2020-7812号)。


特許庁は,令和3年7月26日,

本件審判の請求は,成り立たない。

との審決(以下本件審決という。)をし,その謄本は,同年8月14日,原告に送達された。



原告は,令和3年9月11日,本件審決の取消しを求めて本件訴訟を提起した。

2
審決の理由
本件審決の理由は,別紙審決書写しのとおりである。その概要は,本願商標である睡眠コンサルタントの語は,睡眠の事柄について相談・助言・指導を行う専門家の意味合いを容易に推認させる語であり,また,本願商標の指定役務を取り扱う業界においては,睡眠に関する専門的な知識を有する睡眠コンサルタントと称する又は睡眠コンサルタントの語を含む名称の資格を与える団体が複数存在し,当該団体が睡眠に関する専門的な知識の教授を行っていること,及び,睡眠に関する専門的な知識を有する者が,自らを睡眠コンサルタントと称して,睡眠に関する知識の教授,及び睡眠に関するセミナーの企画・運営又は開催を行っている実情が複数認められ,さらに,知識の教授及びセミナーの企画・運営又は開催を行う業界においては,講義内容に関するテキスト,問題集及びDVD等が製作されている実情があることからすれば,本願商標は,これを本願指定役務に使用した場合,これに接する取引者,
需要者をして,睡眠に関する専門的な知識を有する者による,睡眠に関する役務であるという役務の質(内容)を表示するものと認識させるにすぎないから,単に役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認められ,商標法3条1項3号に該当する,というものである。3
原告の主張する審決取消事由



商標法3条1項3号該当性の判断の誤り(取消事由1)
審判手続の法令違背(取消事由2)

第3当事者の主張
1
取消事由1(商標法3条1項3号該当性の判断の誤り)について

〔原告の主張〕

役務の質の解釈の誤り

本件審決は,本願商標は単に役務の質を表示するにすぎないものであると認定して,商標法3条1項3号に該当すると判断した。睡眠コンサルタントが,普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であることは明らかであるので,本件審決の判断は,睡眠コンサルタントが単に役務の質を表示する標章,単に役務の質を表示するにすぎないものに該当するか否かにかかっている。
原告は,審査及び審判を通じて,質という言葉の一般的解釈についての具体的証拠を挙げ,特許庁がこれと違う意味に解釈するのであれば,特許庁の解釈を明らかにすべきである旨主張した。しかるに,本件審決においても,また本件訴訟の被告の主張においても,特許庁はそれに一度も答えておらず不当である。


質という言葉の一般的解釈について,各種文献には次のとおりの記載がある。
(ア)


質の定義に関しては,次のとおりの記載がある。
ISO9000における品質の定義
本来備わっている特性の集まりが,要求事項を満たす程度



JISZ8101における品質の定義
品物又はサービスが,使用目的を満たしているかどうかを決定するための評価の対象となる固有の性質・性能の全体③

品質工学における品質の定義

品物が出荷後,社会に与える損失である。ただし,機能そのものによる損失は除く




ウィキペディアの品質の項
ISOやJISの定義する狭義の品質という意味であれば,提供者が定めた仕様から逸脱していないという事である。広義の品質(quality)は非常に広範な概念を含む語であり,一概に定義づけることは難しいが,おおよそ,提供される製品やサービスについて,買い手側である顧客(消費者)が求める特性との合致度と考えられる(合致度が高ければ品質が高いといわれる)。また,上質,すばらしい,高級と消費者が感じれば品質が高いと考えられる。⑤

保田勝通著ソフトウェア品質保証の考え方と実際(日科技連出
版)

品質は,ユーザーの満足度である。



国語辞典大辞林(三省堂)の質の項

内容の良否。価値。「質より量

,どのようなという問いに対応する事物の在り方。判断が肯定判断か否定判断かということ。判
断の質。」
⑦デジタル大辞典(小学館)の質の項

そのものの良否・疎密・傾向などを決めることになる性質。論理学で,判断が肯定判断か否定判断かということ。物の本体。根本。本質。


⑧gooの国語辞書の質の項
そのものの良否・疎密・傾向などを決めることとなる性質
(イ)

上記各文献の記載から明らかなとおり,①②③の定義内容は同じこ
とを言っており,④はそれらの定義に基づいた解説である。また,商品についての品質と役務についての質は同じ意味なので,⑤の定義を役務に当てはめれば,役務の質とは提供される役務に対するユーザーの満足度を意味し,ISO及びJISの定義と同旨である。
さらに,⑥⑦⑧の辞典・辞書の解説も,ISO及びJISの定義と同旨である。
上記のとおりの質という言葉についての世間の一般的解釈から判
断すると,睡眠コンサルタントは,指定役務の質を表示する標
章に該当しない。なぜなら,役務の買い手側である顧客(消費者)が求
める特性との合致度を表わす言葉ではないからであり,また,提供される役務についてのユーザーの満足度を表わしている言葉ではないからである。睡眠コンサルタントは,単に睡眠に関する専門家を意味
しているにすぎない。
したがって,本件審決が

本願商標は,単に役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認めるのが相当である。

と判断したことは誤りである。

上記の原告の主張が正当であり,本件審決の判断が誤りであることは,原告代理人が過去に代理した次の各案件との対比からも明らかである。
①スポーツ栄養コンサルタント(商願2017-158544号)(指定役務

第41類セミナーの企画・運営又は開催等)

役務の質を表示するにすぎないとする拒絶査定に対して不服審判を請求し,上記イの主張をしたところ,拒絶査定が取り消されて登録された。②栄養睡眠コンサルタント(商願2020-42362号)(指定役務

第41類技芸・スポーツ又は知識の教授等)

拒絶理由通知もなく登録査定がされた。
③睡眠美容コンサルタント(商願2018-75102号)(指定役務

第41類技芸・スポーツ又は知識の教授等)

役務の質を表示するにすぎないとする拒絶理由に対して意見書を提出し,上記イの主張をしたところ,登録査定がされた。


本件審決の理由不備
本願商標が単に役務の質を表示するにすぎないと判断するのであれば,5個の指定役務のうちいずれの役務を指してそのように判断するのかを明確にすべきところ,本件審決は,役務を特定せずに睡眠の事柄について相談・助言・指導を行う専門家に係る役務として,係るという暖味な言葉を使用して誤魔化している。例えば,本願の指定役務中の技芸・スポーツ又は知識の教授という役務についての役務の質と,書籍の制作という役務についての役務の質とは同じではないはずであるから,指定役務ごとに,本願商標がその役務のどのような質を普通に表示しているかを述べるべきである。
このように,本件審決がその役務を明示することなく,睡眠の事柄について相談・助言・指導を行う専門家に係る役務に使用してもと暖昧に述べて,本願商標が単に役務の質を表示するにすぎないとして商標法3条1項3号に該当すると判断したことは,違法である。

他の登録例との不均衡
第41類の役務を指定した〇〇〇コンサルタントという商標の登録例は別掲のとおり多数ある。また,専門分野を表す〇〇〇の次に専門家を意味する言葉を付加した商標の登録例も多数ある(審判請求書には200余りを記載した。)。専門分野が異なるだけで,商標の構成は全く同じ本願商標睡眠コンサルタントだけが登録されないのは全く理解できない。
原告が審査段階から一貫してこの旨主張してきたのに対し,本件拒絶査定は,これらの登録例と本願商標とが構成を異にすることを理由として原告の主張を採用せず,本件審決も同様に判断したが,商標の構成は全く同一であるから,この判断は言い逃れにすぎない。
特許庁は行政機関であり,法律に基づく均一なサービスを国民に提供すべきである。第41類を指定役務とする〇〇〇コンサルタントという商標出願を行なった多数の出願人に対しては上記各登録例のように登録を認める
一方,同じような出願を行なった原告に対して登録を認めないという不公平な行政処理は,違法である。
〔被告の主張〕


原告の主張⑴(役務の質の解釈の誤り)について
役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である
というためには,審決がされた時点において,本願商標が本願指定役務との関係で役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり,本願商標の取引者,需要者によって本願商標が本願指定役務に使用された場合に,将来を含め,役務の質を表示したものと一般に認識されるものであれば足りる。

本件審決は,かかる判断基準に従って,本件審決が認定した睡眠コンサルタントに関する取引の実情を考慮し,本願商標は,これを本願指定役務に使用した場合,これに接する取引者,需要者をして,睡眠に関する専門的な知識を有する者による,睡眠に関する役務であるという役務の質(内容)を表示するものと認識させるにすぎないから,単に役務の質を普通に用
いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認められると適正に認定判断をしており,原告主張の誤りはない。


原告の主張⑵(本件審決の理由不備)について
上記⑴で主張したとおり,本願商標をその指定役務に使用した場合,本願
商標は,睡眠に関する専門的な知識を有する者による,睡眠に関する役務であるという役務の質と一般に認識されるため,商標法3条1項3号に該当する。これと同旨の認定判断をした本件審決の記載や範囲は明確であるから,取り消されるべき違法はない。


原告の主張⑶(他の登録例との不均衡)について
本願商標の登録適格性は,商標の構成や取引の実情など,個別具体的な実情に基づき判断すべきものであって,過去の審査例や登録例により影響を受
けるものではない。なお,本願商標は,睡眠コンサルタント等と称する資格や称号に係る取引の実情などを登録適格性の判断の前提とするところ,原告の提示する審査例や登録例は,いずれも本願商標とは構成文字を異にしており,必然的にそれぞれの取引の実情も相違すると考えられるから,互いに事案を異にする。

2
取消事由2(審判手続の法令違背)について

〔原告の主張〕


本件拒絶査定における理由の記載は次のとおりである。

本願商標は,……『睡眠の事柄について相談・助言・指導を行う専門家』の意味合いを容易に認識させます。


そうすると,これを本願指定役務中,睡眠の事柄について相談・助言・指導を行う専門家に係る役務に使用しても,前記意味合いを認識させるにとどまり,単に役務の質を表示するにすぎないものと認めます。


本件審決における理由の記載は次のとおりである。

本願商標は,……『睡眠の事柄について相談・助言・指導を行う専門家』の意味合いを容易に認識させるものである。

本願商標は,これをその指定役務……に使用した場合,これに接する取引者,需要者をして,『睡眠に関する専門的な知識を有する者による,睡眠に関する役務である』という役務の質(内容)を表示するものと認識させるにすぎないから,本願商標は,単に役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認めるのが相当である。⑶

本件審決にいう睡眠に関する専門的な知識を有する者による睡眠に関する役務の者によるは,者が指導する,者が提供する,者が引き受ける等の意味と解釈される。本願指定役務に即していえば,各役務が,睡眠に関する専門的な知識を有する者が指導する知識の教授,睡眠に関する専門的な知識を有する者が指導するセミナーの開催,
睡眠に関する専門的な知識を有する者が引き受ける書籍の制作,
睡眠に関する専門的な知識を有する者が引き受けるビデオの制作,睡眠に関する専門的な知識を有する者が執筆する書籍の制作,睡眠に関する専門的な知識を有する者が制作するビデオの制作,等の役務であることを意味する。

これらは,本件拒絶査定の,本願商標は専門家という意味合いを認識させるから登録できない,とする理由とは全く相違している。本件審決は,指導する,提供する,引き受ける,執筆する,制作する等の形で専門家が関与する役務を意味しているから登録できないとしているのに対して,本件拒絶査定は,商標の言葉が単に専門家を意味して
いるにすぎないから登録できないとしているのであって,それぞれの理由は明らかに異なる。
このように,本件審決は,拒絶査定の理由とは異なる新たな拒絶の理由によるものであるから,審判において,商標法55条の2第1項で準用する同法15条の2の規定に従い,原告に対し,拒絶の理由を通知し意見書を提出
する機会が与えられるべきであった。本件審決は,この手続を経ずにされた点で違法である。
〔被告の主張〕

本件拒絶査定と本件審決との間において,認定及び判断の内容は,形式的にも実質的にも何ら相違せず,本件審決は新たな拒絶理由に基づくものとはいえないから,商標法55条の2で準用する同法15条の2の規定の適用はない。


なお,本件の審判手続においては,上記⑴のとおり新たな拒絶理由通知は不要であったものの,審理の充実を図るため,令和3年3月8日(起案日)付け審尋において暫定的見解(商標法3条1項3号該当性)を通知して意見書提出の機会を与えたから,原告が新たな拒絶理由と主張する事項に関する
原告の反論の機会も実質的に与えられており,本件審決が原告にとって不意打ちとなるような状況にはなかった。
第4当裁判所の判断
1
取消事由1(商標法3条1項3号該当性の判断の誤り)について


商標法3条1項3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くと規定されているのは,このような商標は,指定役務との関係で,その役務の提供の場所,質,提供の用に供する物,効能,用途その他の特性を表示記述する標章であって,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,
一般的に使用される標章であって,多くの場合自他役務の識別力を欠くものであることによるものと解される(最判昭和54年4月10日同53年(行ツ)第129号参照)。そうすると,出願に係る商標が,その指定役務について役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには,本件審決がされた令和3年7月26日の時点において,
当該商標が当該役務との関係で役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり,当該商標の取引者,需要者によって当該役務に使用された場合に,将来を含め,役務の質を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される。そして,当該商標の取引者,需要者によって当該役務に使用された場合に役務の質を表示したものと一般に認識される
かどうかは,当該商標の構成やその指定役務に関する取引の事情を考慮して判断すべきである。


本願商標及び本願指定役務に関する取引の実情
証拠(乙3~19)によれば,次の事実が認められる。

一般社団法人日本能力教育促進協会(JAFA)のウェブサイト

において,睡眠コンサルタントの見出しの下,資格概要の項に

睡眠に関わる脳の科学的な働きから夢の秘密,快適な眠りのための環境作りなど,睡眠に関わるあらゆる知識を持ち,自分自身や周囲の人の理想の睡眠をサポートできるプロを目指す資格です。

の記載が,受験資格の項に

当協会指定の認定機関が行う講座において,認定機関指定の方法で受験を申し込んだ者を対象とします。

の記載がある(乙3)。イ
妊婦と子どもの睡眠コンサルタント資格取得コースのウェブサイ

トにおいて,睡眠コンサルティングのユニークな総合的なアプローチの見出しの下IPHIの睡眠コンサルタントは,ご家庭へのコンサルテーション,子どもが生まれることによって変化する環境に向けての心構え,子どもの授乳に関する問題,妊娠中の睡眠の役割や精神面と生活に関係するすべての要因の大切さを重視しています。の記載が,『妊婦と乳幼児睡眠コンサルタント』の資格の見出しの下,

IPHI『妊婦と乳幼児の睡眠コンサルタント』資格取得プログラムは2部構成の講義になります。

の記載がある(乙4)。ウ
滋賀医科大学の発行するSHIGAIDAINEWSVol.9において,多角的・包括的な睡眠問題解決をめざす『眠りの森』健康サービス事業の見出しの下,

睡眠にかかわる種々の問題を解決するため,睡眠コンサルタントの養成・・・を事業の最終的な目的としている。

人材育成・教育事業では,初級(スリープマスター),中級(睡眠コンサルタント)という2段階のコースと資格を設定して睡眠コンサルタントの養成に取り組んでいく。

の記載がある(乙5)。

formieのウェブサイトの睡眠コンサルタント資格取得講座の項において,睡眠コンサルタントとはの見出しの下,

睡眠に関わる脳の科学的な働きから夢の秘密,快適な眠りのための環境作りなど,睡眠に関わるあらゆる知識を持ち,自分自身や周囲の人の理想の睡眠をサポートできるスペシャリスト,それが睡眠コンサルタントです。

の記載がある(乙6)。


睡眠コンサルタント『まつみつ』公式サイトのウェブサイトにおいて,睡眠講義の見出しの下,

睡眠の重要性や睡眠によって得られる効果・・・などの内容につきまして,1時間程度の講義をさせていただきます。

の記載とともに,講師(A)のプロフィールの項に睡眠コンサルタント(JAFA)の記載がある(乙7)。

ISETANンサルタント新宿店のウェブサイトにおいて,【乳幼児睡眠コBさんによる睡眠講座】の見出しの下,内容の項に

乳幼児睡眠コンサルタントBさんによる睡眠講座と参加者の皆さまからの質疑応答コーナーを行います。

の記載がある(乙8)。キ
スキルマーケットcoconalaのウェブサイトにおいて,

coucouLuna(40代前半,女性)のプロフィールの項に妊婦と乳幼児の睡眠コンサルタント,

夜泣きや寝ぐずり,早起きなどお子さまの睡眠のお悩みの改善や予防のためのコンサルテーションや講座を開いています。

の記載がある(乙9)。ク
mominessのねんね講座/赤ちゃんの夜泣き・寝かしつけ専門家ねんねママのブログのウェブサイトにおいて,ねんね講座
の見出しの下,

赤ちゃんの睡眠の基本,寝かしつけのノウハウについて,たった500円で学べるオンライン講座。

の記載があり,講師(D)のプロフィールの項に乳幼児睡眠コンサルタント,

睡眠コンサルタントとは,乳幼児の健康的な睡眠習慣の確立を目的として,家庭環境やお子様の状況に合わせながら提案し改善を目指すものです。

の記載がある(乙10,乙11)。

朝日新聞(2019年6月15日)における情報/青森県の見出

しの記事情報に,講座,

睡眠コンサルタントのEさんが『健康寿命を延ばす正しい眠り方』と題し,睡眠による体質改善や快眠のコツなどについて話す。

の記載がある(乙12)。

東京読売新聞(2014年4月7日)における[Eさんのくらし本]良い眠りで健康も美もの見出しの記事情報に,

睡眠コンサルタントとして活動する著者が,睡眠の取り方を変えることで眠りの質を高め,痩せやすい体質に変えていくコツを紹介する。

の記載がある(乙13)。

化学工業日報(2007年12月7日)における睡眠ストレス保有者,5人に1人,味の素セミナーからの見出しの記事情報に,

同事業では『翌日,すっきりした生活を送るための快眠サービスが主流』(F睡眠コンサルタント)を占めつつある。味の素の『睡眠事情』と題するセミナーで報告された。

の記載がある(乙14)。

朝日新聞(2006年7月14日)における専門店員が枕選びの健康枕が人気天満屋岡山店7種/岡山県の見出しの記事情報に,

岡山市本町の朝日カルチャーセンター岡山・・・で15日午前10時から,日本睡眠科学研究所睡眠コンサルタントのGさんを講師に,『健やかな眠りのための枕セミナー』が開かれる。

の記載がある(乙15)。ス
日刊工業新聞のウェブサイトにおいて,

【眠れないあなたへ】睡眠コンサルタントによる睡眠環境セミナー開催【眠るは,生きる。】

の見出しの記事情報(2017年11月29日)に,

ライフデザイン・カバヤGRANZ『SLEEPFIRSTHOUSING』を監修したH氏が岡山へやってくる。上質な睡眠を実現する家づくりの重要性語ります。

の記載がある(乙16)。

快眠デザイン研究所のウェブサイトにおいて,睡眠コンサルとして起業した理由の見出しの下,

睡眠指導士・睡眠コンサルタントのIです。

の記載がある(乙17)。ソ
BetterrSleepSleepのウェブサイトにおいて,Bette事業理念の見出しの下,代表プロフィールの項に
保有資格:・・・睡眠コンサルタント・・・の記載がある(乙18)。

CISAのウェブサイトにおいて,講師の紹介(J)の項に,

小児睡眠コンサルタント。

2018年より小児睡眠コンサルタントとして活動を開始。

現在,乳幼児の睡眠問題についてのカウンセリングや,育児支援者・医療従事者向け講座などを行う。

の記載がある(乙19)。



上記認定事実によれば,睡眠コンサルタントが,睡眠の事柄について相談・助言・指導を行う専門家の意味合いを容易に認識させることは,その構成から明らかである。そして,上記認定事実によれば,睡眠コンサルタントと称する資格又は睡眠コンサルタントの文字を含む名称を冠する資格を与える団体が存在し,当該団体が睡眠に関する専門的な知識の教授等を行っている例が複数あること(上記ア~エ),これらの団体により認定資格を得た者が睡眠コンサルタントと名乗り,睡眠に関する知識の教授,及び睡眠に関するセミナーの企画・運営又は開催を行っている例が複数あること(上記オ~ク),それ以外にも,睡眠に関する専門的な知識を有す
る睡眠コンサルタントと称する者が,睡眠に関する知識の教授,及び睡眠に関するセミナーの企画・運営又は開催等を行っている例が複数あること(上記ケ~タ)が認められる。また,知識の教授及びセミナーの企画・運営又は開催を行う業界において,講義及びセミナー等の内容に関する書籍(テキスト,問題集等)及びビデオ等が制作されている実情があることは,顕著
な事実である。
以上からすると,本願商標は,本願指定役務である

技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)

との関係で,本件審決がされた令和3年7月26日の時点において,睡眠に関する専門的な知識を有する者による,睡眠に関する役務であるという役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり,本願商標の取引者,需要者によって本願商標が本願指定役務に使用された場合に,役務の質を表示したものと一般に認識されるものであるから,本願商標は,本願指定役務について役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であると認めるのが相当である。したがって,本願商標は,商標法3条1項3号に該当する。これと同旨の
本件審決の認定判断に誤りはない。


原告の主張について

原告の主張⑴(役務の質の解釈の誤り)について
原告は,本件拒絶査定においても本件審決においても質の語の定義
が明確にされていないのは不当である旨主張する。
しかしながら,商標法3条1項3号の役務の質を原告が主張するような意味に限定して解釈する必要はなく(広辞苑第7版の質の項には

②内容。中味。価値。③(quality)物がそれとして存在するありかた。性質。⇔量。

と記載されている。),本件審決も質(内容)と記載
し,質という文言を内容と言い換えることによってその意味を明
らかにしようとしたものと解されるから,質の定義が全くされていないとはいえない。
また,原告は,役務の質という語の一般的解釈は,ISOやJISの品質に関する定義等に照らして,役務の買い手側である顧客(消費
者)が求める特性との合致度や提供される役務についてのユーザーの満足度であり,単に睡眠に関する専門家を意味する睡眠コンサルタントの語は,役務の質を表示する標章に当たらない旨主張する。しかしながら,上記⑵及び⑶のとおり,睡眠コンサルタントの語の取引の実情を考慮すれば,本願商標が本願指定役務に用いられることによって,当該役務が,睡眠に関する専門家によって指導,提供,制作等されることを表し,ひいては当該役務の取引者,需要者が求める特性に合致し
満足を与えることを含意するものともいえるから,仮に役務の質の解釈に関する原告の主張を前提としても,本願商標は役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章に当たるというべきである。
したがって,原告の上記各主張は上記⑶の認定判断を左右するものでなく,採用することができない。


原告の主張⑵(本件審決の理由不備)について
原告は,本件審決が,本願商標の指定役務のうちどの役務を対象に判断しているのかを具体的に明らかにしていないことは違法である旨主張する。しかしながら,本件審決の理由の記載(特に第5当審の判断の1

⑷ウ)に照らすと,本件審決が,本願商標を本願指定役務のいずれに使用
したとしても,その役務の提供主体が睡眠に関する専門的な知識を有する者であり役務の内容が睡眠に関するものであることを認識させる,と判断したこと,すなわち,判断の対象とした役務は本願指定役務の全てであることが明らかである。
したがって,原告の主張は前提に誤りがあり,採用することができない。

原告の主張⑶(他の登録例との不均衡)について
原告は,○○〇コンサルタントという商標の登録例が多数あること,専門分野を表す〇〇〇の次に専門家を意味する言葉を付加した商
標の登録例も多数あることを挙げて,これらの登録例と構成を同じくする
本願商標は登録されて然るべきである旨主張する。
しかしながら,商標登録の可否は,商標の構成,指定役務,取引の実情等を踏まえて,具体的な実情に基づき商標ごとに個別に判断すべきものであって,原告が指摘するような他の商標登録事例が多数あるからといって本願商標の登録の可否が影響を受けるものではないから,本願商標が本願指定役務について役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であることを否定する理由にはならない。

したがって,原告の上記主張も採用することができない。
2
取消事由2(審判手続の法令違背)について
原告は,本願の拒絶の理由について,本件拒絶査定では『睡眠の事柄について相談・助言・指導を行なう専門家』の意味を認識させるにすぎないと記
載されたのに対し,本件審決では『睡眠に関する専門的な知識を有する者による,睡眠に関する役務である』という役務の質(内容)を表示するものと認識させるにすぎないと記載されたことについて,査定の理由と異なる拒絶の理由であるにもかかわらず商標法55条の2第1項で準用する同法15条の2の規定に従った手続がとられなかったことは違法である旨主張する。
しかしながら,商標法55条の2第1項にいう査定の理由と異なる拒絶の理由に当たるか否かは,適用される法条が異なっているか否かも含め,理由の内容を実質的に検討して判断すべきであり,その結果,拒絶査定と審決の判断内容が実質的に相違するものではなく,その審理の内容も同一といえるときは,査定の理由と異なる新たな拒絶の理由があったとはいえない。
これを本件について検討するに,本件拒絶査定と本件審決の判断は,いずれも拒絶の根拠条文(商標法3条1項3号)を共通にし,いずれも本願商標である睡眠コンサルタントの語は,睡眠の事柄について相談・助言・指導を行う専門家の意味合いを容易に推認させる語であることを前提として,取引の実情を考慮して,本願商標は,これを本願指定役務に使用した場合,これに
接する取引者,需要者をして,役務の質を表示するものと認識させるにすぎないと判断したものであるから,実質的に相違するものでなく,本件審決は本件拒絶理由とは異なる新たな拒絶理由を示したということはできない。したがって,原告の上記主張は採用することができない。
3
結論
以上のとおり,本件審決の認定判断に誤りはなく,原告主張の取消事由はい
ずれも理由がない。
よって,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第3部

裁判長裁判官
東海林保
裁判官
上田卓哉都野道紀
裁判官
別掲

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(別紙審決書の写し省略)

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