事件番号 | 令和3(ネ)2839 |
---|---|
裁判年月日 | 令和3年11月18日 |
法廷名 | 東京高等裁判所 |
全文 | 全文 |
最高裁判所 | 〒102-8651 東京都千代田区隼町4番2号 Map |
裁判日:西暦 | 2021-11-18 |
情報公開日 | 2022-02-06 19:20:06 |
上記の部分につき一審原告らの請求をいずれも棄却する。 3 一審被告の控訴に基づき,原判決中一審被告敗訴部分を取り消す。 一審原告らの控訴及び当審における謝罪文掲載請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,第一,二審とも一審原告らの負担とする。 事実及び理由 第1控訴の趣旨 1一審原告らの控訴の趣旨 原判決を次のとおり変更する。 ア 一審被告は,一審原告A及び一審原告Bに対し,それぞれ330万円及びこれに対する平成30年7月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 イ 一審被告は,その発行する静岡新聞に,別紙1記載の謝罪文を,別紙2記載の掲載条件で掲載せよ。 2一審被告の控訴の趣旨 原判決中一審被告敗訴部分を取り消す。 一審原告らの請求を棄却する。 第2事案の概要 1本件は,一審原告らが,一審被告に対し,一審被告が発行する日刊新聞である 静岡新聞(以下本件新聞という。)の平成30年7月5日付け朝刊における原判決別紙4記載の記事(以下本件記事①という。)の掲載により一審原告らのプライバシー権が侵害された旨,また,同月6日付け朝刊における原判決別紙5記載の記事 (以下 本件記事② といい, 本件記事①と併せて 本件各記事 という。)の掲載により一審原告らの名誉が毀損された旨主張して,不法行為に よる損害賠償請求として慰謝料等各330万円及びこれらに対する最後の不法行為の日(本件記事②の掲載日)である同月6日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに, 名誉回復措置として本件新聞上に原判決別紙2記載の謝 罪文を原判決別紙3の掲載条件で掲載することを求める事案である。原審が,一審原告らの請求のうち,本件記事①の掲載により一審原告らのプライバシー権が侵害されたと認め, 不法行為による損害賠償請求として慰謝料等各 33万円及びこれに対する平成30年7月6日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で認容し,その余の請求をいずれも棄却したので,一審原告ら及び一審被告の双方がこれを不服として控訴した。一審原告らは,当審においては,名誉回復措置として本件新聞上への掲載を求める謝罪文 について, 別紙1記載の謝罪文を別紙2の掲載条件で掲載することを求めている。2前提事実並びに争点及び争点に対する当事者の主張は,次のとおり補正するほかは,原判決の事実及び理由欄の第2事案の概要の1から3まで(原判決2頁9行目から11頁20行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する(以下,住居表示上の番地も含め,地番という。)。 原判決2頁24行目の次に改行して次のとおり加える。 「なお,一審原告らの逮捕に関する警察発表が行われたのは同月4日であった(乙7)。」 原判決3頁1行目及び4頁13行目の各違法性阻却事由の前にいずれも名誉毀損のを加える。 原判決3頁5行目から4頁12行目までを次のとおり改める。 争点(本件記事①が一審原告らのプライバシーを違法に侵害するか。)について(一審原告らの主張)ア報道の自由は,個人のプライバシーに当然優先するものではなく,報道の自由とプライバシー保護との利益衡量によってその優劣が決せられるべきものである。一審被告は,本件記事①において,逮捕された被疑者である一審原告らの氏名,年齢,職業に加え,住所について,町名(何丁目など)にとどまらず地番まで掲載した。しかし,住所は,みだりにこれを公表されたくないと考えるのが自然なプライバシーに係る情報として法的保護の対象になる。犯罪報道において,被疑者が特定されれば,事実上,有罪が確定していると受け止められることも少なくなく,広がった消極的な風評を事後的に回復するのは容易ではないのであるから,氏名,年齢を公表することは慎重でなければならないが,ましてや,これに加えて,住所の地番まで公表する必要は一般には存在せず,同じ町内で混同されて風評被害を受ける別人がいることを防ぐ機能があるということは現実的でない。それにもかかわらず,住所の地番まで公表されれば,不特定者からの嫌がらせの郵便物がそのまま届くなど,加害行為の可能性が生じたりして,対象者の私生活上の平穏が甚だしく侵害されるおそれがある。実際,ほとんどの新聞では,犯罪報道において,被疑者の住所として地番までは公表していない。一審被告は,本訴提起後も,漫然と多数の被疑者の住所の地番を公表してきたが,令和3年5月20日付け朝刊から,事件・事故報道に関する当事者の住所につき原則として「丁目までとすることを決めたのであり,本件記事①の掲載に責任がないという主張は許されない。 イ 一審被告の主張する後記アの判断基準は,私人に対する権利侵害を対象とするものではない。表現の自由の優越的地位は,権力に敵対し,市民 の自由・民主主義を確保する防衛の論理として成立したものであり,営利 の論理が是認される企業が対立する市民の利益に当然に優越する理由にはならない。 報道機関の表現の違法性が否定される範囲は, 報道とそれに より侵害される人権との間で利益衡量により定める必要がある。 (一審被告の主張) ア 民主主義の根幹を支える表現の自由は,一般的には個人のプライバシーに対して優越的地位を有し,表現行為が許容される限度を逸脱するものでない限り保護されるべきである。特に,本件記事①のような純粋な逮捕報道は,表現行為一般の中でも,警察等による逮捕権の行使を監視し国民の知る権利に応えるというその意義に鑑み最大限保護されるべきであることからすると,表現内容や方法が不当なものでない限り,表現 行為の違法性が阻却されるという判断基準を採るべきである。本件記事①は,犯罪捜査の進捗という社会の正当な関心事に関するもので,その内容は,被疑者である一審原告らの人定(特定)に関する事項と,被疑事実の内容に関わる事項のみで,それ以外の私的領域に踏み込んだ部分がなく,表現方法としても被疑者の特定に必要な客観的情報や被疑事実の 内容を報じたものにすぎないから,違法性が阻却される。 イ 仮に, プライバシーの侵害について, その事実を公表されない法的利益 とこれを公表する理由とを比較衡量し,前者が後者に優越する場合に不法行為が成立するとしても,本件記事①ではこれが否定される。 犯罪報道, とりわけ逮捕報道には, 国民の権利や自由に対する重大な制 約となり得る国家による警察権の行使を広く国民に知らしめ, それが適正 に行使されているかを国民による監視下に置くことにより, 捜査の適正を 確保し, 国民の権利を擁護するという重要な意義がある。 こうした逮捕報 道に当たっては, どこの誰がいかなる容疑で逮捕されたかを間違いや誤解 が生じる余地のないように報じる必要があるところ, 被逮捕者の特定に当 たり最も間違いが生じないのは, 被疑者の住所を全て報道することである。 仮に住所の報道を一部にとどめた場合, 同じ地域内の同姓同名・類似姓名 の第三者に対する風評被害等が懸念され, こうした被害を防止する点から も,逮捕された被疑者の氏名,年齢,職業に加えて,住所の全てを報道す ることは,被疑者の特定として基本かつ重要な事項である。他方,一審原告らにとって,その年齢,職業,住所等は,元々必要に応じて自ら公表等し,また,第三者からもアクセス可能な機密性の乏しい情報であって,これらの情報が公表されることによる具体的被害は考え難い。 また, 本件記事①に関しては, 名誉毀損に関するいわゆる真実性の抗弁 が成立するところ, このような場合には, プライバシー侵害を理由とする 不法行為も成立しないと考えるべきである。 なお,一審被告は,令和3年5月20日付け朝刊から,事件・事故報道に関する当事者の住所につき原則として丁目までとすることを決めたが,これは,インターネットの普及や不起訴率の上昇といった時流を踏まえ,前向きかつ主体的な判断をしたものであり,本件記事①が掲載された時点での違法性との論理的関連性はない。 以上のとおり,一審原告らが逮捕された事実をその氏名,年齢,職業,住所等とともに報道した本件記事①の意義は,これを公表されない一審原告らの法的利益に優越し,本件記事①は,適法な逮捕報道として許容されるというべきである。」 第3当裁判所の判断 当裁判所は,一審原告らの請求は,いずれも理由がないと判断する。その理由は,以下のとおりである。 1認定事実 認定事実は,次のとおり補正するほかは,原判決の事実及び理由欄の第3争点に対する判断の1(原判決11頁23行目から26頁1行目まで)に 記載のとおりであるから,これを引用する。 原判決14頁3行目の乙8の65~8の73を乙8の40,8の65~8の73,8の126~8の133と改め,8行目の165の次に,8の205~8の207を加える。原判決18頁10行目の2936番地1を削る。 原判決18頁23行目の乙の次に8の126~8の133,を加える。 原判決22頁22行目の 本件公訴事実⑥本件公訴事実⑤ を と改める。 原判決26頁1行目の次に改行して次のとおり加える。 一審被告は,令和3年5月20日付け朝刊から,事件・事故報道に関する当事者の住所につき原則として「丁目までとすることを決めた。」 2争点(本件記事①が一審原告らのプライバシーを違法に侵害するか。)について 本件記事①は,一審原告らの氏名,年齢,職業,住所,国籍,営利目的で本件覚せい剤及び本件大麻を所持していたとの被疑事実で逮捕されたことを記載しており,住所については,市町村名や町名だけではなく,地番まで記載している。 本件記事①をプライバシーとの関連でみると,上記のとおり,一審原告らであることを特定した上,一審原告らが上記被疑事実で逮捕されたことを記載しており,その内容はその名誉や信用に直接関わり,一般に知られていない事項 であるから,一審原告らのプライバシーに係る情報として法的保護の対象となることは明らかである。このうち,個人の住所は,個人識別等を行うための単純な情報であって,その限りにおいては,秘匿されるべき必要性が必ずしも高いものではないが,このような個人情報であっても,一審原告らの逮捕事実とともにその住所を公表されたくないと考えることは自然なことであって,その 期待は保護されるべきものであるから,上記住所は,一審原告らのプライバシーに係る情報として法的保護の対象となるというべきである(最高裁平成14年 第1656号同15年9月12日第二小法廷判決・民集57巻8号973 頁参照)。 また,プライバシーの侵害については,その事実を公表されない法的利益とこれを公表する理由とを比較衡量し,前者が後者に優越する場合に不法行為が成立する。そして,本件記事①の本件新聞への掲載が一審原告らのプライバシーを侵害したものとして不法行為法上違法となるか否かは,公表されたプライバシー情報の性質及び内容,本件記事①掲載の当時における一審原告らの社会的地位や影響力,本件記事①掲載の目的や意義,本件記事①において当該プライバシー情報を開示する必要性,本件記事①掲載によって当該プライバシー情報が伝達される範囲と一審原告らが被る具体的被害の程度,本件記事①における表現媒体の性質など,当該プライバシー情報に係る事実を公表されない法的利益とこれを公表する理由に関する諸事情を比較衡量し,当該プライバシー情報に係る事実を公表されない法的利益がこれを公表する理由に優越するか否かによって判断すべきものである(最高裁平成元年 第1649号同6年2月8 日第三小法廷判決・民集48巻2号149頁,最高裁平成12年 第1335 号同15年3月14日第二小法廷判決・民集57巻3号229頁,最高裁令和元年 第878号同2年10月9日第二小法廷判決・民集74巻7号1807 頁参照)。 以上を前提に,本件記事①に一審原告らの住所の地番を掲載したことが,一審原告らのプライバシーを違法に侵害するものであるかを検討する。前記のとおり,本件記事①は,一審原告らが覚せい剤及び大麻の営利目的所持の被疑事実で逮捕された事実を氏名,年齢,職業,国籍に加え,住所を町名だけではなく地番まで掲載している。住所それ自体は,秘匿されるべき必要性は必ずしも高いものではないが,本件記事①の住所記載は,覚せい剤及び大麻 の営利目的所持の被疑事実により逮捕されたという一審原告らの名誉や信用に直接関わる事項とともに公表されるのであるから,プライバシー保護の観点からは秘匿される必要性は相応に高い。一審原告らは,本件記事①が本件新聞に掲載された当時,いずれも,住所記載地の自宅建物において自営業を営み,子らと生活する外国籍を有する一般の成人夫婦である(前提事実 ア,認定事実 )。本件新聞は主に静岡県内で相当数の発行部数を有する日刊新聞であり,一審原告らの住所を含む被疑者特定情報が掲載されることにより,本件新聞 (朝 刊)の読者を中心として広範に伝達されて,一審原告らの私生活上の平穏が害されるおそれもある。 他方で,本件記事①は,一審原告らが覚せい剤及び大麻の営利目的所持の被疑事実で逮捕されたことを報道するものであり,その掲載の目的は,重要な公益を図ることにあったと認められる。また,上記被疑事実は,社会一般の関心又は批判の対象となるべき刑事事件の中でも重大犯罪に当たり,被疑事実としての日時,場所や犯行態様等とともに,被疑者の特定は,公共の利害に関する重要な事項として報道される必要性が高く,これによって,報道内容の真実性が担保され,捜査機関による捜査の適正を確保されることが期待されるのであ り,周辺地域における無用な犯人捜しや風評被害を防止する効果があることも否定し難い。したがって,本件記事①に一審原告らを特定する事項を記載して逮捕事実を報道することは,一審原告らのプライバシーの保護に優越するものとして,表現の自由の保障が及び,プライバシーを違法に侵害した不法行為には該当しないものと解される。 ところで,被疑者の特定は,一般には,氏名,年齢,職業,住所,容貌等が基本的な要素となっているところ,本件記事①においては,氏名,年齢,職業,国籍に加え,住所を町名だけではなく地番まで記載している。この点で,一審原告らは,住所の地番まで公表する必要は一般には存在しないにもかかわらず,本件記事①は,住所の地番まで記載しており,不特定者からの嫌がらせの郵便物がそのまま届くなど,被疑者の私生活上の平穏が甚だしく侵害されるおそれがあるから,プライバシーを違法に侵害した。旨を主張する。この住所の地番の公表に関する利害得失の諸事情をみると,被疑者の特定の明確化という観点からは,住所は地番まで掲載する方がより目的に適い,周辺地域における無用な犯人捜しや風評被害を防止する効果があることも否定し難 い一方,被疑者の特定としては住所の地番以外の上記基本的な要素によることで十分な場合が多く,その場合には住所の地番が不可欠であるとまではいえない。また,周辺地域の住民であれば住所の地番にまで関心が強いといえるが,遠隔地の住民には関心が強いとまではいえない。住所の地番まで公表すれば,被疑者の私生活上の平穏が害される可能性が一般的に高まるともいえるが,近時社会問題化しているインターネット上の風評被害の側面からは,容貌,家族関係を含む身上,勤務先,経歴,交友関係等の各種情報にも重要性があるのであり,住所の地番に限られるものではない。さらに,住所に関連する要素として,地番の公表の可否のみならず,自宅の外観等の写真や映像を公表することの可否も問題となり得る。 この点に関する報道機関の動きをみると,証拠(甲14,15,19)及び 弁論の全趣旨によれば,プライバシー保護をより求める社会の意識の変化,インターネット等を通じての風評被害の拡大,逮捕された被疑者が不起訴となる事例が増えてきていることなどの事情を踏まえ,新聞の逮捕記事において,原則として町名までを掲載するにとどめる新聞社も増えつつあるが,各社の方針は一定ではなく,原則として地番まで記載する社,原則として町名まで記載し ない社,個別判断によるとする社などがあるようであり,他方,テレビの逮捕報道等においては,近所を含めて自宅の映像を出す場合や,近所はマスキングをして自宅のみの映像を出す場合など,一定していないようであり,事案ごとに判断が異なることも考えられる。一審被告においては,本件記事①が掲載された当時を含め令和3年5月20日より前には, 本件新聞に住所を掲載する際, 静岡県内の事件では原則として地番まで掲載し,県外の事件では字まで掲載する方針を採っていたが,同日以降は,事件・事故報道に関する当事者の住所につき原則として 丁目 までとすることに方針を変更した (認定事実 ) 。 このように住所の地番を公表することの利害得失の諸事情や報道機関の取扱いの方針が一定ではないことなどをみてくると,プライバシー保護をより求める社会の意識の変化,インターネット等を通じての風評被害の拡大,逮捕された被疑者が不起訴となる事例が増えてきているなど社会状況が変化していることや,今後もそのような動きが進展していくことが考えられることから社会的な議論が期待されるところではあるが,少なくとも本件記事①の掲載時点において,逮捕された被疑者を特定して報道する場合に,住所について地番を公表することが一律に許されないとする社会通念があるとまではいえないというべきである。また,報道において,プライバシー情報を公表した行為が不法行為となるか否かは,報道の時が基準になるのであり,逮捕報道等においては,速報性も重要となり,取材時間が限られている中で事実の正確性の確保やプライバシーへの配慮が求められていることも考慮に入れる必要がある。これらの事情を踏まえて本件記事①をみると,被疑事実が覚せい剤及び大麻 の営利目的所持という重大犯罪であり,被疑者の特定として,上記のとおり,一審原告らの氏名,年齢,職業,国籍及び住所という被疑者を特定する基本的な要素のみを記載している。住所につき町名まででなく地番を記載している点についても,地番の記載の有無により,私生活上の平穏が害されるおそれに格段の違いがあったかは,本件全証拠によっても必ずしも明らかとはいえない。 一審原告らは,地番を公表することは,不特定者からの嫌がらせの郵便物がそのまま届くことになるから格段の違いがあると指摘するが,そのことが違法か否かの分水嶺となるとは即断できない。なお,事後的な事情となるが,現実には,本件記事①の掲載後,一審原告らの住所記載地である自宅宛てに嫌がらせの郵便物が届いたことはなく,第三者が薬物を売って欲しいと言って自宅を訪 問してきたことが1回あるのみであることが認められる(原審における一審原告A本人)。 そうすると,本件記事①において,一審原告らを被疑者として特定するプライバシー情報を公表することが許容される中で,一審原告らの住所の地番が公表されない法的利益が,これを公表する理由に優越しているとまではいえず, 本件記事①の掲載によって,一審原告らのプライバシーを違法に侵害したことによる不法行為は成立しないというべきである。 3争点(本件記事②につき名誉毀損の違法性阻却事由,故意・過失の有無)について 争点 の判断については,次のとおり補正するほかは,原判決の事実及び理由欄の第3争点に対する判断の3(原判決29頁7行目から34頁 8行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 原判決29頁7行目,30頁4行目,6行目,17行目及び31頁7行目の各適示をいずれも摘示と改める。 原判決29頁7行目及び34頁8行目の各名誉棄損をいずれも名誉毀損と改める。 原判決31頁24行目の警察関係者がその疑いを持っているを警察関係者がその疑いを持って捜査していると改める。原判決33頁3行目の不合理な点から12行目末尾までを 「不合理な点は見当たらない。」 と改める。原判決33頁24行目の相当な理由があることがを相当な理由があると担当裁判官が判断したことがと改める。4結論以上によれば,その余について判断するまでもなく,一審原告らの請求は,いずれも理由がないから全部棄却すべきところ,これらを一部認容した原判決は失当であり,一審原告らの控訴は理由がなく,一審被告の控訴は理由があるから, 原判決中,一審被告の敗訴部分を取り消した上,当該取消部分につき一審原告らの請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第2民事部 裁判長裁判官 渡部勇次 裁判官 藤 裁判官 齋澤田久文 (別紙1) 謝大罪文 弊社は,平成30年7月5日付け及び同月6日付け静岡新聞の各記事において,覚せい剤取締法違反,大麻取締法違反の疑いで逮捕された原告らに関する記載をしたところ,5日においては原告らの住所を地番まで掲載して原告らのプライバシーを侵害し,6日においては,原告らが薬物密売グループのリーダーであるとする記事を掲載し,原告らの名誉を毀損しました。 よって,原告らのプライバシー及び名誉を毀損したことを心から深く反省し,お詫び申し上げます。 (別紙2) 掲載条件 1 使用する活字 (1) 謝罪文という見出し 12ポイントのゴシック体 (2) 本文 12ポイントの明朝体 2 掲載する場所 静岡新聞 3 掲載日 本判決確定の日から30日以内 |