判例検索β > 令和3年(行ク)第64号
執行停止申立事件
事件番号令和3(行ク)64
事件名執行停止申立事件
裁判年月日令和3年7月9日
裁判所名・部大阪地方裁判所  第2民事部
判示事項の要旨展示会開催を目的とする府立労働センターのギャラリーの利用承認について条例が取消事由として定める「センターの管理上支障があると認められるとき」に該当するとしてこれを取り消す処分がされたところ,同取消処分の執行停止(効力停止)が認められた事例
裁判日:西暦2021-07-09
情報公開日2021-08-18 12:00:27
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令和3年(行ク)第64号

執行停止申立事件

(本案・令和3年(行ウ)第76号

処分取消請求事件)

決主1定文
相手方が令和3年6月25日付けで申立人に対してした大阪府立労働センター9階ギャラリー1及び大阪府立労働センター9階ギャラリー2の利用承認の取消処分の効力は,
本案事件の第1審判決の言渡しまでの間,
これを停止する。

2
申立人のその余の申立てをいずれも却下する。

3
申立費用は,これを2分し,その1を申立人の負担とし,その余を相手方の負担とする。

第1
1由
申立ての趣旨
相手方が申立人に対して令和3年6月25日付けでした大阪府立労働センター9階ギャラリー1及び大阪府立労働センター9階ギャラリー2の利用承認の取消処分の効力を停止する。

2
相手方が申立人に対して令和3年6月25日付けでした大阪府立労働センター本館707号室
(利用日時は令和3年7月16日午前9時から午後9時まで,
同月17日午前9時から午後5時まで及び同月18日午前9時から午後5時まで)大阪府立労働センター本館708号室

(利用日時は令和3年7月17日午
後6時から午後9時まで)及び大阪府立労働センター南館南75号室(利用日時は令和3年7月17日午後6時から午後9時まで)の利用不承認処分の効力を停止する。

第2

事案の概要
本件は,申立人が,相手方から,大阪府立労働センター(エル・おおさか)(以

下本件センターという。)のギャラリーの利用承認(以下本件利用承認という。
)を受けた後,本件利用承認の取消処分(以下本件取消処分という。)及び本件センターの会議室の利用不承認処分(以下本件利用不承認処分という。)を受けたが,本件取消処分及び本件利用不承認処分は違法であるとして,本件取消処分及び本件利用不承認処分の取消しの訴え(以下本件本案の訴えという。)を提起するとともに,これを本案として,本件取消処分及び本件利用不承認処分の効力の停止を求める事案である。
1
前提事実
後記の疎明資料及び審尋の全趣旨によれば,以下の事実を一応認めることができる。
(1)

当事者(疎甲1から3まで)
申立人は,組合員と全ての労働者の経済的・社会的・政治的地位の向上を
図り,全ての人々が平和のうちに民主的で平等に生きていける社会の建設を目指すことを目的とする労働組合である。
相手方は,一般財団法人大阪労働協会を代表者とする共同事業体であり,大阪府知事(以下,単に知事という。)から本件センターの管理を行わせる旨の指定を受けた指定管理者
(地方自治法244条の2第3項)
として,
本件センターの利用の承認,その取消しその他の利用に関する業務等を行っている(行政事件訴訟法11条2項参照)。
(2)

本件センター(疎甲3から5まで,10から12まで,疎乙8,9,23,
27,28(枝番号を含む。以下,枝番号があるものについて,特に明記しない限り,同じ。))
本件センターは,大阪府が,大阪府立労働センター条例(昭和53年大阪府条例第29号。以下本件条例という。)に基づき,労働組合の健全な発展並びに労働者の教養の向上及び福祉の増進に資する集会,催物等の場を提供することを目的として,大阪市(住所省略)に設置した施設である。本件センターは,京阪電気鉄道のa駅とb駅の中間地点の中心市街地に幹線道路に面して位置している。
本件センターは,本館(地上1階から11階まで,地下1階及び2階)と南館(地上1階から12階まで)から成る。本館と南館にはそれぞれに出入口があるが,本館と南館の1階から3階までは通路でつながっている。本館10階には宴会場等が,本館9階にはギャラリー1(床面積126㎡,壁面長38.7㎡,天井高2.5m)及びギャラリー2(床面積78㎡,壁面長30.6m,天井高2.5m)が,本館5階から7階までには会議室等(本館7階に707号室(以下,単に707号室という。)及び708号室(以下,単に708号室という。)がある。)がそれぞれ設けられ,南館10階及び7階に講習室等(南館7階に南75号室(以下,単に南75号室という。)がある。)が,南館5階に南ホールがそれぞれ設けられるなどしている。
また,本件センターには,約30の団体が入居しており,例えば,本館11階に大阪府商工労働部雇用促進室就業促進課が,本館8階に大阪府労働委員会が,本館4階に公益財団法人大阪社会運動協会が,本館3階にOSAKAしごとフィールドが,本館2階に大阪東ハローワークコーナーがそれぞれ入居し,南館12階に公益財団法人介護労働安定センター大阪支部が,南館9階に大阪同和・人権問題企業連絡会が,南館4階に公益社団法人大阪労働基準連合会が,南館3階に大阪府商工労働部雇用促進室労働環境課(労働相談センター)が,南館2階に社会福祉法人吹田みどり福祉会保育ルーム・キッズもみの木(以下本件保育ルームという。)がそれぞれ入居している。入居団体の職員数は,本館で合計261名(最大290名)であり,南館で合計166名(最大196名)である。また,本件保育ルームは,園児の定員が19名とされ,月曜日から土曜日まで開園し,10名の園児が在籍している。
(3)

本件条例(疎甲3)
本件条例は,本件センターの設置及び管理について定めているところ,その主要な内容は以下のとおりである。

設置目的等
1条は,労働組合の健全な発展並びに労働者の教養の向上及び福祉の増進に資する集会,催物等の場を提供するため,本件センターを大阪市(住所省略)に設置するとし,2条は,1条の目的の達成に支障のない限り,本件センターを府民の健全で文化的な集会,催物等の用に供することができるとしている。


利用の承認
3条1項は,本件センターを利用しようとするもの(以下利用申込者という。)は,あらかじめ知事の承認を受けなければならないとし,同条2項は,知事は,上記の利用の承認を受けようとするものが,以下のいずれかに該当するときは,本件センターの利用を承認しないことができるとしている。


利用申込者が本件センターの建物又は設備を損傷し,又は汚損するおそれがある場合(1号)



利用申込者が本件センターを引き続き7日を超えて利用し,又は同じ月に7日を超えて利用しようとする場合(2号)



本件センターの利用が集団的,又は常習的に暴力的不法行為を行うおそれがある組織の利益になる場合(3号)



上記①から③までのほか,本件センターの管理上知事が適当でないと認める場合(4号)


利用の承認の取消し等
4条は,知事は,上記の利用の承認を受けたものが,以下のいずれかに該当するときは,施設の利用の承認を取り消し,又はその利用を制限し,若しくは停止させることができるとしている。


本件センターの利用の申込みに偽りがあったとき(1号)


他の利用者に危害を加え,若しくは不快の念を起こさせ,又はそのおそれがあるとき(2号)



本件センターの建物又は設備を損傷し,若しくは汚損し,又はそのおそれがあるとき(3号)



本件センターの利用が暴力団の利益になり,又はなるおそれがあると認められるとき(4号)



本件条例若しくは本件条例に基づく規則の規定又は利用の承認に係る条件に違反したとき(5号)



上記①から⑤までのほか,本件センターの管理上支障があると認められるとき(6号)


指定管理者による管理
5条1項は,
知事は,
法人その他の団体であって知事が指定するもの
(指
定管理者)に,本件センターの管理に関する業務のうち,本件センターの利用の承認,その取消しその他の利用に関する業務(1号)等を行わせることができるとし,同条2項は,3条及び4条の規定は,5条1項の規定により指定管理者に同項各号に掲げる業務を行わせる場合について準用し,この場合において,3条及び4条中知事とあるのは指定管理者と読み替えるものとするとしている。

(4)

本件利用承認等(疎甲6から8まで)
申立人は,令和3年3月6日,相手方に対し,利用日を同年7月16日から同月18日までとし,利用施設をギャラリー1及びギャラリー2とし,催物の名称を表現の不自由展かんさいとする利用申込書を提出して,ギャラリー1及びギャラリー2に係る利用の承認の申込みをし(以下本件利用承認申込みという。),その際,ギャラリー1の利用料金6万5000円及びギャラリー2の利用料金4万0400円を支払った。本件利用承認申込みを受けて,相手方は,同年3月6日,申立人に対し,次の記載のある利用承認書を交付して利用の承認をした(本件利用承認)。利用日
利用施設

ギャラリー1及びギャラリー2

催物の名称

表現の不自由展かんさい

搬入日時

同月15日(水曜日)午前9時から午後5時まで

搬出日時

同年7月16日(金曜日)から同月18日(日曜日)

同月18日(日曜日)午後5時まで

申立人は,相手方に対し,上記催物の控室に利用するとして707号室(利用日時は同年7月16日午前9時から午後9時まで,同月17日午前9時から午後5時まで及び同月18日午前9時から午後5時まで)及び南75号室(利用日時は同月17日午後6時から午後9時まで)について,また,トークイベント開催のために利用するとして708号室(利用日時は同月17日午後6時から午後9時まで)について,それぞれ仮の利用申込みをした(以下本件仮申込みという。)。

(5)

表現の不自由展かんさい(以下本件催物という。)(疎甲6,9,1
6から20まで,27,疎乙1,4,11,30)
愛知県で令和元年8月1日から同年10月14日までの間に開催された国際芸術祭あいちトリエンナーレ2019において,企画展表現の不自由展・その後が開催されたが,同企画展における平和の少女像等の展示内容等に強い抗議等があったため,同企画展は,同年8月1日に開催されて3日が経過した同月3日に一旦中止となったが,その後,同年10月8日に再開され,同日から同月14日まで開催された。
本件催物は,上記企画展と同様の展示会を,東京,名古屋,大阪で開催する巡回展の一環であり,令和3年6月25日から同年7月4日までの間は東京都新宿区で,同月6日から同月11日までの間は名古屋市で,同月16日から同月18日まで間は大阪市(本件催物)で,それぞれ予定されていた,又は予定されている。このうち東京都での展示会(以下東京展という。)については,抗議活動等を受け,東京展の実行委員会が,同年6月10日に会場の変更を発表し,同月24日に開催の延期を発表し,東京展の開催は延期された。名古屋市での展示会私たちの「表現の不自由展・その後」(以
下名古屋展という。)は,上記の予定のとおり,同年7月6日から名古屋市(住所省略)所在の中区役所ビルの市民ギャラリー栄8階展示室で開催されていたが,同月8日朝に会場である名古屋市の施設に不審な郵便物が届き,開封したところ,中に入っていた爆竹のようなものが破裂し,けが人は出なかったものの,名古屋市は,上記施設を同月11日まで臨時休館することとし,これに伴い,名古屋展は中止となった。
本件催物の主催者は,表現の不自由展かんさい実行委員会(以下本件実行委員会という。)であり,申立人は,本件実行委員会の構成員である。本件催物は,同年7月16日(午前10時から午後8時まで),同月17日(午前10時から午後8時まで)及び同月18日(午前10時から午後4時まで)にギャラリー1及びギャラリー2において開催されることが予定されている。また,本件催物の開催に伴い,トークイベントわたしたちの「表現の不自由」が同年17日(午後6時30分から午後8時まで)に708号室において開催されることが予定されている。
(6)

本件取消処分等(疎甲9)
相手方は,
令和3年6月25日付けで,
書面により,
申立人に対し,



件利用承認に係る利用が,以下のアからウまでの事由により,本件条例4条6号にいう本件センターの管理上支障があると認められるときに該当するとして,本件取消処分をし,また,②

本件仮申込みに係る利用が,同様

の事由により,本件条例3条2項4号にいう本件センターの管理上知事が適当でないと認める場合に該当するとして,今後,申立人から正式に利用の承認の申込みがされたとしても,利用の承認をすることができない旨の通知をした。

本件利用承認申込みは,申立人を利用団体とするものであった。また,本件利用承認申込みの際の催物の名称は表現の不自由展かんさいとなっており,利用の目的及び内容欄には美術展と記載されていたところ,申立人から,本件利用承認申込みの際に,催物の名称変更はいつまでなら可能であるかという質問があり,警備面で事前に大阪府警察に相談に行くつもりであるという話があった。
ところが,令和3年6月4日に本件センターにおいて直接話を聞いたところ,本件催物の実際の主催は,本件実行委員会であり,本件利用承認申込みをした申立人は,本件実行委員会の一構成団体であり,本件実行委員会の名簿,規約の提出を求めたが,名簿,規約は存在しないとのことであった。実際,主催者として打合せに参加した6名のうち,申立人の組合員はA執行委員長のみであった。
また,本件催物は,愛知県で令和元年に開催された国際芸術祭あいちトリエンナーレ2019で激しい抗議を受け,一時中止した企画展表現の不自由展・その後を令和3年度に東京,名古屋,大阪で開催する巡回展の一環であることが判明した。
大阪での展示(本件催物)に先駆け,令和3年6月25日から同年7月4日までの間は東京都で,同月6日から同月11日までの間は愛知県で開催される予定だったが,東京都での開催については,電話やメールでの抗議のほか,会場となるギャラリー前で場所を貸すな反日展示会を中止しろといった激しい抗議活動が相次いだため,東京展の実行委員会から,同年6月10日に会場の変更が発表され,同月24日に開幕を当面延期すると発表された。


同年6月15日から,本件実行委員会が本件催物の広報をフェイスブック等で開始したところ,東京と同様に同月16日から本件センターにも既に抗議の電話,メール,玄関前での大音量での抗議が寄せられており,さらに,街宣車による大音量での抗議活動が既に行われている。今後,こうした動きが激化することが予想される。そうなれば,一般の施設利用者の会議や研修等への多大なる支障が想定され,また,本館・南館入居団体の業務,執務等への影響が著しいと考えられる。
また,実際に同年7月16日から3日間本件催物が開催されれば,本件催物に反対する団体の構成員や不快の念を持った多くの者が行動を起こし,本件センター内に押し掛け,本件実行委員会メンバーとの衝突,混乱が起こることが想定される。器物破損や暴力行為も起こりかねない。そうなった場合,同年6月4日に聞いた警備の内容等を踏まえても,本件センター本館・南館1階ロビー等における一般の施設利用者や入居団体の職員,さらに南館2階の保育所に通う乳幼児や保護者の安全を確保することは極めて困難である。

本件催物は,一旦利用承認をした(本件利用承認)が,前記ア及びイのその後に判明した状況を鑑みれば,本件催物が実施されることで,本件センターの管理上多大の支障が生じることは明らかである。
したがって,ギャラリー1及びギャラリー2を利用した本件催物については,本件条例4条6号にいう本件センターの管理上支障があると認められるときに該当するものと判断する。
(7)

申立人は,令和3年6月30日,本件本案の訴えを提起するとともに,本
件申立てをした。
2
本件の争点は,①

本件申立てのうち本件利用不承認処分の効力の停止を求

める部分が適法といえるか,
②重大な損害を避けるため緊急の必要がある
(行政事件訴訟法25条2項)といえるか,③

公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき(同条4項)に当たるか,④がないとみえるとき」(同条4項)に当たるかである。
3
当事者の主張
本案について理由申立人の主張は,別紙1(執行停止申立書写し)及び別紙2(申立人意見書写し)記載のとおりであり,相手方の主張は,別紙3(意見書写し)及び別紙4(補充意見書写し)記載のとおりである。第31当裁判所の判断認定事実後記の疎明資料及び審尋の全趣旨によれば,以下の事実を一応認めることができる。(1)警備に関する協議(疎甲5,13,22,26,疎乙13,18,20,22)ア本件実行委員会は,令和3年5月24日,大阪府東警察署において,警察官と本件催物の開催中の警備方針について協議し,警察官に対し,本件実行委員会において自主的な警備態勢を採ること,妨害等があれば,本件センターと警察と連携を取りながら,対応するつもりであること等を説明するとともに,警察の警備を依頼した。イ大阪府警察本部及び大阪府東警察署の警察官は,同年6月2日,本件催物の会場であるギャラリー1及びギャラリー2の現地確認をした。ウ本件実行委員会は,同月4日,相手方の担当者と警備に関する協議をし,その中で,大阪府東警察署と協議をしたこと,本件催物の開催中,本件実行委員会において,自主的な警備態勢を採り,弁護士が会場に常駐する予定であること等を説明した。一方,相手方の担当者は,本件実行委員会からの本件センター側で警備ができるかという質問に対し,利用者側の自主警備が基本であり,このことは大阪府立労働センター管理運営要綱第26(3)に記載されていると回答するなどした。なお,同要綱第26(3)は,本件センターの利用に当たっての条件として,会議等の開催に係る来館者整理や警備は,利用申込者の責任において行うものとする旨規定する。エ本件実行委員会は,同月14日,大阪府東警察署の警察官と警備について協議するとともに,同日,同年7月12日午前8時から同月18日午後8時までの本件センター前の歩道の道路使用許可の申請を行い,同月14日,道路使用許可を受けた。オ本件実行委員会は,同年6月15日,大阪府東警察署及び本件センターに対し,本件催物の広報活動を開始することを伝えた上で,本件催物についてチラシやSNSで広報を開始した。(2)ア本件催物に対する抗議活動(疎甲14,疎乙6,10,16,19,21)本件実行委員会が広報を始めた翌日の同月16日以降,本件センター等に対し,本件催物に対する抗議活動が行われた。本件センターに対しては,本件センターに電話やメール等でクレームが寄せられ,本件センターの職員がそのクレームに対応するなどした。また,複数の者が,同月17日及び同月19日,本件センター前等の路上において,拡声器を使って,本件催物に対する抗議や本件センターへの主張の演説をするなどした。さらに,同月20日,同月27日及び同年7月4日,本件センター付近の道路で,街宣車による街宣活動が行われ,複数の車両が連なって走行しながら,乗員が拡声器を使って大音量で「エル・おおさかは,表現の不自由展に会場を貸すなー。などと連呼するなどした。大阪府に対しても,クレームが寄せられたり,同年6月17日,同月22日及び同月25日に街宣車による街宣活動が行われたりした。


本件実行委員会は,同年6月25日,本件取消処分がされた後,相手方の担当者に対し,本件取消処分の理由の説明を求め,相手方の担当者がこれに応じた。その際,相手方の担当者は,本件センターに対する抗議活動として,抗議が電話とメールで同日までに70件程度あり,街宣活動が3回あったことを把握していると説明した。

(3)

本件センターの利用予定者及び本件保育ルームの状況(疎乙7,27)ア
本件センターの会議室等は,複数の団体の利用予約が既にされており,本件催物の開催予定日とされる同年7月16日から同月18日までにおいても,各種の講習,研修,会議等が予定され,また,同月18日午前には,本件センター南館の南ホールで交通信号工事等技能検定試験が予定されている。


本件保育ルームの運営法人の担当者は,相手方に対し,本件催物の警備態勢に懸念を有しているところ,本件保育ルームとして保護者に安心してもらうための対応が必要であり,実際に本件催物が開催されるのであれば,開催期間中の園児の受入れの停止も考えており,通常業務は難しいので何とかしてもらいたい旨の申入れをした。

2
争点①(本件申立てのうち本件利用不承認処分の効力の停止を求める部分が適法といえるか)について
前記前提事実(4)イ及び(6)のとおり,申立人は,本件仮申込みをしたが,これは,707号室,南75号室及び708号室について,仮の利用申込みをしたものにすぎず,相手方も,今後,申立人が正式に上記会議室の利用の承認の申込みをしたとしても,利用の承認をすることができないことを通知したにすぎないのであって,相手方が上記会議室の利用を承認しない旨の処分をしたとは認められない。
したがって,本件申立てのうち本件利用不承認処分の効力の停止を求める部分は,そもそも,効力を停止すべき処分が存在しないので,執行停止の手続的要件を満たさない。
なお,相手方が上記会議室の利用を承認しない旨の処分をしたと認められるとしても,当該処分は,いわゆる拒否処分であり,その効力を停止しても,本件利用不承認処分をしていない状態に戻るだけである。その承認をする旨の処分がされた状態に至るものではなく,申立人が上記会議室を利用することができるようになるわけではない。申立人の損害の発生の防止等に直接役立つわけではないので,上記の部分は,申立ての利益が認められず,執行停止の手続的要件を満たさない。
3
争点②(重大な損害を避けるため緊急の必要がある(行政事件訴訟法25条2項)といえるか)について
(1)

行政事件訴訟法25条1項から3項までの文言,
趣旨等に鑑みると,
同条

2項本文にいう重大な損害を避けるため緊急の必要があるといえるか否かについては,処分の効力,処分の執行又は手続の続行(以下処分の執行等という。)により維持される行政目的の達成の必要性を踏まえた処分の内容及び性質と,これによって申立人が被ることとなる損害の性質及び程度とを,損害の回復の困難の程度を考慮した上で比較衡量し,処分の執行等による行政目的の達成を一時的に犠牲にしてもなおこれを停止して申立人を救済しなければならない緊急の必要性があるか否かの観点から判断すべきものと解される。
(2)

前記前提事実(4)から(6)まで並びに前記認定事実(1)オ及び(2)によれば,
本件催物は,申立人が令和3年3月6日に本件利用承認を受けた当時から,既に,同年7月15日に展示物等を搬入した上で,同月16日から同月18日の3日間,
ギャラリー1及びギャラリー2で開催する予定であったところ,
本件実行委員会は,上記予定を前提に準備を進めてきており,同年6月15日,開催場所を含めて本件催物の広報を開始したこと,本件取消処分がされたのは,同月25日であり,本件催物の開催予定日のわずか3週間前であること,本件催物を別の場所で開催しようとしても,本件催物の会場となる施設が相応の反発や抗議を受ける蓋然性があることから,ギャラリー1及びギャラリー2に相当するような別の場所を確保することは困難な面があることを踏まえると,現時点において,申立人ないし本件実行委員会が,本件催物の開催予定日までに他の適切な代替会場を確保し,開催場所を変更して本件催物を開催することは,事実上不可能であるといえる。
また,
前記前提事実(5)の本件催物の内容及び性格等に照らすと,
本件催物
を開催できないことによる不利益は,その性質上,事後的に金銭的賠償によって回復することは困難である。
したがって,相手方が主張する新型コロナウィルスの感染拡大に対する取組の必要性等を勘案しても,本件取消処分については,処分の執行等による行政目的の達成を一時的に犠牲にしてもなおこれを停止して申立人を救済しなければならない緊急の必要性があると一応認められ,重大な損害を避けるため緊急の必要があるといえる。(3)

この点に関し,相手方は,本件催物の主催者は,本件実行委員会であり,
本件利用承認申込みの実質的な申込者は,労働組合ではない本件実行委員会であるから,本件催物は,本件条例1条の本件センターの設置目的に適う催物ではなく,同条の催物の利用に支障のない範囲で本件センターを利用することができる本件条例2条の催物であって,本件実行委員会は,本件催物の開催予定日とされる令和3年7月16日から同月18日にかけて予定されている本件条例1条の各種催物の開催に支障のない範囲で本件センターを利用できる立場にとどまるなどと主張する。
しかし,申立人は,前記前提事実(5)のとおり,本件催物の主催者である本件実行委員会の構成員であり,本件催物の主催者の一部といえ,本件利用承認申込みのために本件実行委員会に名義を貸したわけではない。本件利用承認申込みに当たり,法人格の有無が判然としない本件実行委員会ではなく,法人である労働組合の申立人が申込みをすることにより,本件催物の性格が変わるわけでもなく,本件センターの設置目的による制限を潜脱するとの法的評価に至ることとなるわけでもない。
したがって,本件催物は,本件条例1条に規定する本件センターの設置目的に反するものではなく,上記の相手方の主張は採用することができず,前記(2)の判断を左右しない。
4
争点④(本案について理由がないとみえるとき(行政事件訴訟法25条4項)に当たるか)について
(1)

判断枠組み
公の施設の利用についての地方自治法及び本件条例の定め
本件センターは,地方自治法244条にいう公の施設に当たるから,これを設置した大阪府から指定管理者として管理を委ねられた相手方は,正当な理由がない限り,これを利用することを拒んではならず(同条2項),また,その利用について不当な差別的取扱いをしてはならない(同条3項)。
このように,地方自治法が,公の施設の利用を広く認めるのは,設置者である地方公共団体等による不当な利用制限が,住民に対する集会の自由や表現の自由の不当な制限につながりかねないからであると解される。したがって,設置者である地方公共団体等が公の施設の利用を拒むことができる正当な理由があるといえる場合は,当該公の施設を利用させることにより,他の基本的人権が侵害されたり,公共の福祉が損なわれたりする危険がある場合に限られるというべきである。
本件条例は,同法244条の2第1項に基づき,公の施設である本件センターの設置及び管理について定めるものであるから,本件条例は,地方自治法が公の施設の利用を広く認めた同法244条2項及び3項の趣旨に沿って解釈されることとなる。


利用承認の取消事由
本件条例4条6号(指定管理者が管理している場合につき5条2項により準用)は,本件センターの利用承認の取消事由として,本件センターの管理上支障があると認められるときと定める。上記のとおり,本件条例は,公の施設の利用を広く認めた地方自治法244条2項及び3項の趣旨に沿って解釈されるべきであるから,本件条例の上記条項は,公の施設である本件センターの利用を拒み得る上記の正当な理由を具体化したものであると解される。また,住民等は,本件センターのような集会や催物等の場を提供するための公の施設が設けられている場合,その施設の設置目的に反しない限りその利用を原則として認められることになるので,管理者が正当な理由もないのにその利用を拒否するときは,憲法の保障する集会の自由,表現の自由の不当な制限につながるおそれがある。
そして,基本的人権たる集会の自由,表現の自由を制限することができるのは,公共の安全に対する明白かつ現在の危険があるといえる場合に限られると解されるから,本件条例4条6号,5条2項にいう本件センターの管理上支障があると認められるときとは,本件センターの管理上支障が生ずるとの事態が,承認権者の主観により予測されるだけでなく,客観的な事実に照らして具体的に明らかに予測される場合をいうものと解するのが相当である。
そして,相手方が主張する本件センターの管理上支障があると認められる事態とは,本件催物に反対する者による抗議活動等に起因するものであって,本件催物それ自体に起因するものではない。本件催物それ自体は,前記3(3)のとおり,
本件センターの設置目的に反しないものであり,
その
内容等に照らすと,憲法上の表現の自由等の一環として,その保障が及ぶべきものといえる。そして,本件催物の主催者は,本件催物を平穏に開催しようとしていることが認められる。そうすると,本件催物に反対する者による抗議活動等を理由に本件センターの利用を拒み得るのは,前記のような公の施設の利用関係の性質に照らせば,警察の適切な警備等によってもなお混乱を防止することができないなど特別な事情がある場合に限られるものというべきである。(最高裁平成7年3月7日第三小法廷判決・民集49巻3号687頁,最高裁平成8年3月15日第二小法廷判決・民集50巻3号549頁各参照。以下,平成7年判例などといい,まとめて本件各判例という。)
なお,相手方は,本件各判例は,他の利用者等に対する危険が主張されていなかった事案(平成7年判例),当該事案で使用不許可とされていた部分(斎場)とは別の部分(結婚式場)の使用申込みがなかった事案(平成8年判例)に関するものであり,本件とは事案が異なると主張する(なお,相手方は,最高裁平成18年2月7日第三小法廷判決・民集60巻2号401頁(以下平成18年判例という。)は,休日であるため生徒の登校が予定されていなかった事案であり,本件とは事案が異なると主張するところ,確かに,平成18年判例は,公立学校施設の目的外使用の許否に関する判例であり,本件とは事案が異なるものであるが,そもそも申立人は平成18年判例に依拠した主張をしていないので,これ以上論ずることをしない。)が,具体的な当てはめはともかく,地方自治法及びこれを受けた条例の解釈の方法が本件に妥当しないという趣旨であれば,本件各判例の趣旨を正解しないものであって,採用することができない。(2)

検討
相手方の主張の要旨
相手方は,


令和元年の国際芸術祭
あいちトリエンナーレ2019

における企画展表現の不自由展・その後及び令和3年に予定されていた東京展に係る混乱状況や,本件センターへの実際の抗議活動の態様を踏まえ,本件催物の開催が近づくにつれ,本件催物に対する抗議活動や街宣運動がエスカレートしていくことが確実であること等に照らせば,本件催物の開催当日には,本件催物に反対する団体や個人が押し掛け,本件実行委員会のメンバーとの間で衝突や混乱が起こり,器物損壊暴行事件が発生するなどし,本件催物の参加者,本件センターの利用者及び入居者等に危険が及ぶことが容易に予想できるのみならず,本件センターの入居団体の業務や執務への多大な影響が生じ,一般の施設利用者の会議,研修,試験の実施等への多大な支障が生じることが具体的に想定され,上記の者らの生命,身体又は財産が侵害される明らかに差し迫った危険の発生が具体的に予見でき,②

本件センターは,数多くの様々な団体が入居している

という特殊性があり,単なる市民会館や公民館とは全く異なる性質を有し,入居団体や利用者が平穏に業務を行い,利用することができることが強く求められる公益性の強い施設であるところ,本件催物の警備について,警察の協力には限界があり,相手方の警備態勢にも限界があり,本件実行委員会の警備態勢が極めて不十分であるから,本件センターの利用者や入居者への差し迫った危険を回避し防止することはできず,本件センターの入居団体と利用者の安全と正常で平穏な環境で執務を行う権利の侵害を回避し防止することはできないのであって,相手方が本件センターの管理上支障があると認められるときに該当するとして,本件取消処分をしたことに裁量権の濫用はなく,本案について理由がないとみえるときに当たる旨主張する。イ
相手方の主張①についての検討
相手方の主張①は,要するに,本件催物が開催されると,これに反対する団体や個人により,本件催物の主催者等に危害を加えるなどの危険が発生することが明らかであるというものである。
そこで,検討するに,前記前提事実(5)のとおり,前記企画展(国際芸術祭あいちトリエンナーレ2019における企画展表現の不自由展・その後)は,展示内容等に強い抗議等があり,一旦中止となったが,再開され,実際に1週間にわたって開催され,東京展は,抗議活動等を受けて開催が延期されるに至り,名古屋展は,予定のとおり,開催されたが,会場である施設に届いた郵便物の中身が破裂したため,施設が臨時休館となったことに伴い,中止となった。このように,上記企画展,東京展及び名古屋展の状況をみると,抗議活動等により開催が中止になることもある一方,実際に一部開催されることもあり,本件催物は,上記企画展,東京展及び名古屋展とは開催する場所等の諸条件が異なることもあって,上記企画展,東京展及び名古屋展の開催状況から,直ちに,警察による適切な警備等によっても防止することができないような重大な事態が発生する具体的な危険性があるとまではいえない。
また,
前記認定事実(2)のとおり,
実際に本件センターに対するクレーム
や抗議活動が行われ,
そのため,
本件センターの職員の対応が必要になり,
街宣車による街宣活動等により本件センター及びその周辺の静謐な環境が害される事態が生じたことが認められる。
しかし,
前記認定事実(2)アのクレーム,
街頭演説及び街宣車による街宣
活動については,その内容(疎乙6,19)に加え,相手方の主張によっても令和3年6月16日から同月30日までの間の本件催物に関するクレームの数は対応困難なほど多いものとはいい難く,街頭演説や街宣活動も長時間に及んでいるわけではないことに照らすと,本件催物の開催に対する反対意見の表明にとどまっているというべきであって,本件催物が開催されれば,より激化することが想定されるとはいえ,警察による適切な警備等や本件センター等の職員による適切なクレーム対応等によっても防止ないし回避することができないような重大な事態が発生する具体的な危険性があるとまではいえない。なお,相手方は,同月16日から同月30日までの間の本件センターの職員がクレーム対応に要した時間が延べ100時間程度にも及び,業務に支障があった旨主張するが,疎明資料(疎乙10)によれば,上記の100時間程度という時間は,個々のメール,電話,ファックス等への対応時間をそれぞれ45分間,来館の場合の対応時間をそれぞれ90分間とするなどして積算したものであるところ,電話はともかく,個々のメールないしファックスの各1通に,それぞれ45分もの対応が必要である理由が明らかではない。それぞれに適切かつ合理的に対応すれば,それほど長い時間を要するとは考え難く,上記の時間の積算方法には疑問がある。また,本件センターへのクレームには相手方が本件取消処分をしたことに対するクレームもあり,これらのクレームに対する対応をもって取消事由を基礎づけるものではない。そもそも,住民が多様な価値観を持ちながら共存している以上,広く住民に開かれている公の施設において,本件催物に限らず,何らかの表現活動や集会をするについては,常に反対意見が存在することは避けられない。かといって,その反対意見の表明そのものを禁止することは,逆の意味で表現の自由の制限となり得る。クレーム対応に対する応答の負担を過度に強調することは相当とはいい難い。
以上によれば,前記アの相手方の主張①は採用することができない。ウ
相手方の主張②についての検討
相手方の主張②は,要するに,本件催物が開催されると,これに反対する団体や個人により,本件センターの入居者や利用者らに静謐な環境の悪化その他の危害が及ぶことが明らかであるというものである。
前記前提事実(2)及び前記認定事実(3)によれば,本件センターには,約30の団体が入居し,
日中は多数の職員や利用者がいると考えられ,
また,
本件センターの会議室等では,各種の講習,研修,会議等のほか,本件催物の開催予定日の同年7月18日午前には交通信号工事等技能検定試験が予定されており,さらに,本件センター南館2階に入居する本件保育ルームの運営法人の担当者は,相手方に対し,本件催物の警備態勢の懸念や本件催物が開催されることへの不安を申し入れるなどしている。
本件催物が開催されれば,本件催物に反対する者による抗議活動等が行われ,街宣車による街宣活動等により,上記の職員や利用者,各種の講習等への参加者や受験者にとっての静謐な環境が害され,その活動等に一定程度の支障が生じることが想定される。また,本件保育ルームの運営法人の担当者の懸念や不安は,幼い園児を預かる立場としては,もっともな面がある。
しかし,本件センターは,前記前提事実(2)のとおり,大阪市内の中心市街地に幹線道路に面して位置しているのであって,閑静な住宅地などに立地しているわけではないから,少なくとも日中の時間帯は,平日であろうと休日であろうと,相当数の車両通行や人通りが絶えることはなく,これらに伴う一定の喧騒は避けられない。また,本件センターは,労働組合の健全な発展並びに労働者の教養の向上及び福祉の増進に資する集会,催物等の場を提供することを目的として設置された施設であるから,その集会や催物に伴い,多数の参加者が集うことで一定の騒音が日常的に発生しているといえる。また,その設置目的からすれば,本件センターで行われる集会や催物等の内容等によっては,これに反対する者による抗議活動等により,本件センターの入居団体の職員や利用者等,さらには周辺の施設の利用者や居住者に,騒音の被害等が生じ,その活動等に一定程度の支障が生じることは,やむを得ない面がある。そもそも,本件センターで行われる集会や催物等に対する抗議活動には,表現の自由の一環として保障されるべきものもあるのであるから,一定の限度では受忍するしかないともいえる。
なお,本件催物は,本件センターの本館9階のギャラリー1及びギャラリー2で開催される予定であるところ,本件催物に反対する者が,本件催物の開催場所とは建物も階も異なる,本件センターの南館2階の本件保育ルームや,前記試験の会場となる本件センターの南館5階の南ホールに,直接訪れるなどして危害を加えることや,その趣旨に沿った使用を不可能ならしめるほどの支障をもたらすことは,直ちには想定し難い。
さらに,前記認定事実(1)によれば,本件実行委員会は,大阪府東警察署において,警察官と本件催物の警備方針等について具体的な協議を行い,また,警察の警備を依頼しているのであり,その際,警察官から本件実行委員会に対して,警備が必要な状態に至っても,警備ができないとか,警備が困難であるというような意思表明がされたとは認められない。確かに,
前記認定事実(2)アによれば,
本件催物の開催に反対する団体が大音量
を発しながら街宣車により本件センター前等を走行したことが一応認められるが,仮にその程度が著しく,業務妨害等として看過し得ない状態に至れば,警察による検挙その他の適切な対応を期待することができるというべきである。
なお,相手方は,本件各判例は,他の利用者等に対する危険が主張されていなかった事案(平成7年判例),当該事案で使用不許可とされていた部分(斎場)とは別の部分(結婚式場)の使用申込みがなかった事案(平成8年判例)であることを指摘するが,本件における具体的な事実関係を踏まえた判断は上記のとおりであり,その指摘を踏まえても上記判断は左右されない。
しかも,相手方は,令和3年3月6日の段階で,少なくとも本件催物の名称が表現の不自由展かんさいであることを知っており,本件催物が国際芸術祭あいちトリエンナーレ2019における企画展表現の不自由展・その後に関連する催物であることを十分に認識し得たのであって,そうである以上,相当程度の反対活動が行われることも想定し得たにもかかわらず,本件利用承認をしており,この段階では,相手方においても,本件催物をギャラリー1及びギャラリー2において開催することについて,本件条例3条2項4号,5条2項にいう本件センターの管理上指定管理者(相手方)が適当でないと認める場合に該当しないという判断をしていたのである。そうであるにもかかわらず,本件取消処分に至った合理的理由は明らかとはいえない。
以上によれば,前記アの相手方の主張②は採用することができない。エ
まとめ
以上の検討を踏まえれば,本件催物を開催するには,これに反対する者による抗議活動等が想定されることについて,本件センターの職員等による適切なクレーム対応のほか,
本件実行委員会,
相手方及び大阪府警察が,
相互に協力した上で,本件実行委員会による自主警備,相手方ないし大阪府による警備,大阪府警察による警備等が適切に行われることが必要となるが,本件において,警察の適切な警備等によってもなお混乱を防止することができないなど特別な事情があるとはいえず,本件センターの管理上支障が生ずるとの事態が,客観的な事実に照らして具体的に明らかに予測されるとはいえない。
そうすると,
本件条例4条6号,
5条2項にいう
本件センターの管理上支障があると認められるときに該当するとは一応も認められない。
したがって,本件が本案について理由がないとみえるときに当たるとはいえない。

5
争点③(
公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき
(行政事件訴
訟法25条4項)に当たるか)について
前記4のとおり,本件において,警察の適切な警備等によってもなお混乱を防止することができないなど特別な事情があるとはいえないので,本件取消処分の効力の停止が,
公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき
に当
たるとはいえない。

6
執行停止の期間について
前記4の本案について理由がないとみえるときに該当するか否かの判断は,事柄の性質上,本案事件の第1審判決の結論によって影響を受けるものであり,この点については,本案事件の第1審判決の結論を踏まえて改めて判断するのが相当である。
したがって,本件取消処分の執行停止(効力停止)の期間は,本案事件の第1審判決の言渡しまでの間とするのが相当である。
なお,本件本案の訴えのうち本件取消処分の取消しを求める部分は,本件利用承認の期間が令和3年7月16日から同月18日までであるから,同日の経過をもって,訴えの利益が消滅するものと解される。
第4

結論
よって,本件申立てのうち本件利用不承認処分の効力の停止を求める部分は,
不適法であるからこれを却下し,本件取消処分の効力の停止を求める申立ては,主文1項の限度で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないからこれを却下することとし,主文のとおり決定する。
令和3年7月9日
大阪地方裁判所第2民事部

裁判長裁判官

森鍵
裁判官

田辺暁志
裁判官

豊臣亮輔一
※別紙1から4は掲載省略

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