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執行停止申立についてした決定に対する抗告事件
事件番号令和3(行ス)36
事件名執行停止申立についてした決定に対する抗告事件
裁判年月日令和3年7月15日
裁判所名・部大阪高等裁判所  第14民事部
結果棄却
原審裁判所名大阪地方裁判所
原審事件番号令和3(行ク)64
判示事項の要旨「表現の不自由展かんさい」の開催を目的とする大阪府立労働センターのギャラリーの利用承認を同センターの指定管理者が取り消す旨の処分をしたところ,原審において上記の取消処分の執行停止(効力停止)が認められ,これに対して申し立てられた即時抗告が棄却された事例
裁判日:西暦2021-07-15
情報公開日2021-08-16 12:00:23
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主文1
本件抗告を棄却する

2
抗告費用は抗告人の負担とする。

第1


抗告の趣旨

1
原決定中主文第1項を取り消す。

2
上記部分につき相手方の申立てを却下する。

第2

事案の概要(以下特記しない限り,略語は原決定の例による。


1⑴

相手方は,抗告人から,令和3年3月6日に,大阪府立労働センター(エル・おおさか,本件センター)のギャラリーの利用承認(本件利用承認)を受けたものの,
同年6月25日付けで本件利用承認の取消処分
(本件取消処
分)及び本件センターの会議室の利用不承認処分(本件利用不承認処分)を受けた。



相手方は,本件取消処分及び本件利用不承認処分が違法であるとして,これらの処分の取消しの訴え(本件本案の訴え)を提起するとともに,本件取消処分及び本件利用不承認処分の効力の停止を申し立てた
(以下
本件申立てという。。




原審は,本件申立てについて,本件取消処分の効力を停止し,その余を却下する旨の決定をした。



抗告人が,原決定のうち本件取消処分の効力を停止した部分について,これを不服として本件抗告を申し立てた。

2
前提事実(各項略記の疎明資料及び審尋の全趣旨によって,一応認められる事実)
原決定3頁2行目から10頁13行目までのとおりであるから,これを引用する(なお,同8頁9行目同年を同月に改める。。


3
本件の争点及びこれについての当事者の主張

本件取消処分の効力の停止につき,①重大な損害を避けるため緊急の必要がある(行政事件訴訟法25条2項)といえるか,②公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき(同条4項)に該当し,執行停止が許されな
い場合に当たるか,③本案について理由がないとみえるとき(同条4項)
に該当し,執行停止が許されない場合に当たるかであり,これらについての当事者の主張は,
後記4のとおり,
当事者の当審における主張を補充するほかは,
原決定10頁20行目から同22行目までのとおりであるから,
これを引用す
る。
4
当事者の当審における主張
抗告人の主張は別紙即時抗告理由書及び即時抗告理由補充書のとおりであり,相手方の主張は別紙即時抗告答弁書(意見書)及び抗告相手方意見書のとおりである。

第3

当裁判所の判断
当裁判所も,本件申立てについて本件取消処分の効力を停止した部分は理由が
あり,本件抗告は理由がないと判断する。
1
疎明資料及び審尋の全趣旨によって一応認めることができる事実(以下認定事実という。)
次のとおり補正するほかは,原決定11頁1行目から13頁3行目までのとおりであるから,これを引用する。
原決定11頁1行目の疎甲5,13,22,26,を疎甲5,6,13,22,26,34に,同21行目の同月を同年6月にそれぞれ改め,同25行目末尾に

なお,上記チラシには,「※コロナ感染予防のため入場制限があります。そのため整理券の配付もあります。

との記載がされており,本件実行委員会は,同年7月13日の抗告人との協議において,本件催物の会場への入場者数を50人までとし,50分毎の入替え制を採用して入場者を制限する方式をとる旨を説明した。
」を加える。



原決定13頁3行目に改行して次のとおり加える。
拡声機による暴騒音の規制に関する条例
(平成5年大阪府条例第1号。
以下暴騒音規制条例という。
)について(疎乙39)
大阪府においては,街頭宣伝車両に搭載された拡声機等による暴力的な騒音が,
通常の政治活動,
労働運動,
企業活動等を妨害するなどして,
府民の日常生活を脅かし,人の身体の安全,業務の円滑な遂行等に重大な支障を及ぼしていることにかんがみ,拡声機の使用について必要な規制を行うことにより,地域の平穏を保持し,もって公共の福祉の確保に資することを目的として暴騒音規制条例が設けられている。
暴騒音規制条例では,何人も,拡声機を使用して当該拡声機から10メートル以上離れた地点において測定したものとした場合における音量が85デシベルを超えることとなる暴騒音を生じさせてはならない旨定められ(4条)
,警察官は4条に違反する行為をしている者に対し
て,当該違反行為の停止命令をすることができ,警察署長は停止命令を受けた者が更に継続し,又は反復して違反行為をしたときは,その者に対し,
24時間を超えない範囲内で時間を定め,
かつ,
区域を指定して,
拡声機の使用の停止その他の違反行為を防止するために必要な措置をとるべきことを命ずることができるとされている(5条)

そして,5条の警察官の命令又は警察署長の命令に違反した者に対しては,6月以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する旨が定められている(11条)」


2
争点①(
重大な損害を避けるため緊急の必要がある
(行政事件訴訟法25
条2項)といえるか)について
この点についての当裁判所の判断は,次のとおり補正するほかは,原決定13頁24行目から15頁19行目までのとおりであるから,これを引用する。原決定14頁19行目末尾にこの点につき,抗告人は,開催予定日までに3週間の期間があれば,相手方が大阪市内において代替施設を探すことは十分に可能であったと主張するが,本件催物の展示等に要する準備期間等を考慮すれば,3週間という期間で,代替施設を確保した上で本件催物を開催することを相手方に求めるのは事実上不可能を強いるのに等しいこと,同期間に相手方が代替施設を確保し得る旨を示す疎明資料は抗告人から何ら提出されていないことなどからすれば,上記抗告人の主張は採用できない。を加える。


原決定14頁22行目末尾に改行してさらに,抗告人は,相手方が新型コロナウイルスの感染拡大防止対策に関して,収容定員が設定されていない場合は,十分な人と人との距離(1m)を確保することが政府から求められているが,相手方はその対策に何ら言及していないと主張する。しかしなが本件実行委員会は,本件催物の会場について入場制限及び整理券の交付を想定してその旨をチラシに記載し,抗告人に対しても具体的な入場制限の内容を説明しているのであるから,抗告人の上記主張は前提を欠くというべきである。を加え,同23行目から24行目にかけての相手方が主張する新型コロナウイルスの感染拡大に対する取組の必要性等を勘案しても,を削る。原決定15頁15行目の変わるわけでもなく,の後に本件条例1条に規定する労働組合の健全な発展並びに労働者の教養の向上及び福祉の増進に資する集会,催物等の場を提供するというを加える。3
争点③(
本案について理由がないと見えるとき
(行政事件訴訟法25条4
項)に該当し,執行停止が許されない場合に当たるか)について
この点についての当裁判所の判断は,次のとおり補正するほかは,原決定15頁22行目から24頁8行目までのとおりであるから,これを引用する。原決定20頁9行目のいうべきであって,から13行目の

まではいえない。

までをいうべきである。この点,本件催物の開催が迫り,実際に開催された場合には街頭演説や街宣活動がより激化することが想定されるが,主催者が催物を平穏に行おうとしているのに,その催物の目的や主催者の思想,信条に反対する他のグループ等がこれを実力で阻止し,妨害しようとして紛争を起こすおそれがあることを理由に公の施設の利用を拒むことは憲法21条の趣旨に反すると解されるところ(平成7年判例参照),街頭演説や街宣活動が激化したとしても,の内容に照らせば,一定の音量を超えた街頭演説や街宣活動等に対しては,警察官や警察署長が暴騒音規制条例所定の命令を発することなどによって対応することが可能であること,警察により本件催物に対する適切な警備等がされること及び本件実行委員会との協議等を踏まえて本件センターの管理権を有する抗告人による安全確保に向けた対応も想定できることからすれば,これらによって防止又は回避することができない重大な危険が生ずることが具体的に予測されるとまではいえない。に,同15行目の主張するが,から同24行目のそもそも,までを

主張する。しかしながら,

にそれぞれ改める。


原決定22頁9行目の

やむを得ない面がある。から12行目末尾までを

避けられないというべきである。

に改める。原決定22頁23行目の

認められない。

を認められない(なお,抗告人は,所轄の警察署が本件催物の開催によって,これまで経験したことがないような警備が必要になるとの見解を示した旨の報告書(疎乙33)を提出する。しかしながら,上記内容を前提としても,警察官から警備ができないとか,警備が困難であるという意思表明がされたとは認められないとの上記判断は左右されない。。)に改める。原決定22頁26行目の仮にその程度が著しく,を前述のとおり,警察官又は警察署長による暴騒音規制条例所定の命令の発出等のほか,を加える。

原決定23頁9行目冒頭から19行目末尾まで及び同23行目から24行目にかけての本件センターの職員等による適切なクレーム対応のほかをいずれも削り,
同25行目から26行目の
相手方ないし大阪府による警備を抗告人による安全確保に向けた対応に改める。4
争点②(
公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき
(行政事件訴
訟法25条4項)に該当し,執行停止が許されない場合に当たるか)についてこの点についての当裁判所の判断は,原決定24頁11行目から14行目までのとおりであるから,これを引用する。

5
結論
以上によれば,本案事件の第1審判決の言渡しまでの間と定めて本件取消処分の執行停止(効力停止)を認めた原決定は相当であって,本件抗告は理由がないので棄却することとして,主文のとおり決定する。

令和3年7月15日

大阪高等裁判所第14民事部

裁判長裁判官

本多
裁判官

小堀
裁判官

松本久美子悟展幸
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