判例検索β > 令和2刑年(わ)第3186号
詐欺被告事件
事件番号令和2刑(わ)3186
事件名詐欺被告事件
裁判年月日令和3年5月31日
裁判所名・部東京地方裁判所  刑事第13部
裁判日:西暦2021-05-31
情報公開日2021-07-20 12:00:26
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令和3年5月31日
令和2年刑

東京地方裁判所刑事第13部宣告

3186号,令和3年刑

191号,第843号

判決主
詐欺被告事件


被告人を懲役6年に処する
未決勾留日数中100日をその刑に算入する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,東京都港区(住所省略)所在の株式会社A(以下被害会社という。
)のB局に所属し,テレビCM枠の買い付けや売却,イベントのスポンサー提供業務,これらに付随する製作業務等に従事していたもの,Cは,被害会社の媒体社として登録されている株式会社Dの社員であったもの,Eは,被害会社の媒体社として登録されている株式会社Fの代表取締役,Gは,株式会社Hの代表取締役であるが,被害会社からインフォマーシャル制作費名目で金銭をだまし取ろうと考え,
第1(令和2年12月28日付け起訴状記載の公訴事実第1)
被告人は,前記C及び前記Gと共謀の上,真実は,平成30年3月にI株式会社において放送されたテレビ番組甲に関し,前記Dにインフォマーシャルの制作を発注した事実はなく,同インフォマーシャルの納品を受けていないにもかかわらず,これらがあるように装い,被告人が,同月30日,被害会社内において,被害会社で使用している経理ソフトQに架空のインフォマーシャル制作費の請求金額を入力し,その頃,被害会社が媒体支払,照合業務を委託している情を知らない株式会社J業務1部媒体課の担当者らを介して同社業務1部媒体課長Kに対し,前記Cが作成した前記D名義のインフォマーシャル制作費にかかる虚偽の請求書を提出し,同年4月27日,前記Kをして同請求が正当なものであると誤信させてインフォマーシャル制作費の支払を承認させ,よって,同年5月31日,株式会社L銀行M部に開設された被害会社名義の当座預金口座から株式会社L銀行N支店に開設された前記D名義の普通預金口座に1836万円を振込送金させ,
第2(令和2年12月28日付け起訴状記載の公訴事実第2)
被告人は,前記C及び前記Gと共謀の上,真実は,同年11月2日に株式会社Oにおいて放送されたテレビ番組乙に関し,前記Dにインフォマーシャルの制作を発注した事実はなく,同インフォマーシャルの納品を受けていないにもかかわらず,これらがあるように装い,被告人が,同月29日,被害会社内において,前記経理ソフトQに架空のインフォマーシャル制作費の請求金額を入力し,同年12月5日頃,情を知らない前記株式会社J業務1部媒体課の担当者らを介して前記Kに対し,前記Cが作成した前記D名義のインフォマーシャル制作費にかかる虚偽の請求書を提出し,同年12月27日,前記Kをして同請求が正当なものであると誤信させてインフォマーシャル制作費の支払を承認させ,よって,平成31年1月31日,前記被害会社名義の当座預金口座から前記D名義の普通預金口座に1620万円を振込送金させ,
第3(令和2年12月28日付け起訴状記載の公訴事実第3)
被告人は,前記E及び前記Gと共謀の上,真実は,前記テレビ番組乙に関し,前記Fにインフォマーシャルの制作を発注した事実はなく,同インフォマーシャルの納品を受けていないにもかかわらず,これらがあるように装い,被告人が,平成30年11月29日,被害会社内において,前記経理ソフトQに架空のインフォマーシャル制作費の請求金額を入力し,同年12月5日頃,情を知らない前記株式会社J業務1部媒体課の担当者らを介して前記Kに対し,前記Eが作成した前記F名義のインフォマーシャル制作費にかかる虚偽の請求書を提出し,同年12月27日,前記Kをして同請求が正当なものであると誤信させてインフォマーシャル制作費の支払を承認させ,よって,平成31年1月31日,前記被害会社名義の当座預金口座から株式会社L銀行P支店に開設された前記F名義の普通預金口座に1620万円を振込送金させ,
第4(令和2年12月28日付け起訴状記載の公訴事実第4)
被告人は,前記E及び前記Gと共謀の上,真実は,平成30年12月に株式会社Oにおいて放送されたテレビ番組丙に関し,前記Fにインフォマーシャルの制作を発注した事実はなく,同インフォマーシャルの納品を受けていないにもかかわらず,これらがあるように装い,被告人が,同年12月26日,被害会社内において,前記経理ソフトQに架空のインフォマーシャル制作費の請求金額を入力し,平成31年1月9日頃,情を知らない前記株式会社J業務1部媒体課の担当者らを介して前記Kに対し,前記Eが作成した前記F名義のインフォマーシャル制作費にかかる虚偽の請求書を提出し,同年1月31日,前記Kをして同請求が正当なものであると誤信させてインフォマーシャル制作費の支払を承認させ,よって,同年2月28日,前記被害会社名義の当座預金口座から前記F名義の普通預金口座に583万2000円を振込送金させ,
第5(令和3年2月3日付け追起訴状記載の公訴事実第1)
被告人は,前記C及び前記Gと共謀の上,別表1記載のとおり,真実は,別表1テレビCM枠欄記載のテレビ番組に関し,前記Dにインフォマーシャルの制作を発注した事実はなく,同インフォマーシャルの納品を受けていないにもかかわらず,これらがあるように装い,被告人が,別表1欺罔期間欄記載の平成30年4月27日から同月29日までの間,被害会社内において,前記経理ソフトQに架空のインフォマーシャル制作費の請求金額を入力し,同月30日頃,情を知らない前記株式会社J業務1部媒体課の担当者らを介して前記Kに対し,前記Cが作成した前記D名義のインフォマーシャル制作費にかかる虚偽の請求書を提出し,同年5月30日,前記Kをして同請求が正当なものであると誤信させてインフォマーシャル制作費の支払を承認させ,よって,同年6月29日,前記被害会社名義の当座預金口座から前記D名義の普通預金口座に4158万円を振込送金させ,
第6(令和3年2月3日付け追起訴状記載の公訴事実第2)
被告人は,前記C,前記E及び前記Gと共謀の上,別表2記載のとおり,真実は,別表2テレビCM枠欄記載のテレビ番組に関し,前記Fにインフォマーシャルの制作を発注した事実はなく,同インフォマーシャルの納品を受けていないにもかかわらず,これらがあるように装い,被告人が,別表2欺罔期間欄記載の平成31年3月27日から同月30日までの間,被害会社内において,前記経理ソフトQに架空のインフォマーシャル制作費の請求金額を入力し,その頃,情を知らない前記株式会社J業務1部媒体課の担当者らを介して前記Kに対し,前記Eが作成した前記F名義のインフォマーシャル制作費にかかる虚偽の請求書を提出し,同年4月25日,前記Kをして同請求が正当なものであると誤信させてインフォマーシャル制作費の支払を承認させ,よって,令和元年5月31日,前記被害会社名義の当座預金口座から前記F名義の普通預金口座に3456万円を振込送金させ,第7(令和3年4月6日付け追起訴状記載の公訴事実第1)
被告人は,前記C及び前記Gと共謀の上,別表3記載のとおり,真実は,別表3テレビCM枠欄記載のテレビ番組に関し,前記Dにインフォマーシャルの制作を発注した事実はなく,同インフォマーシャルの納品を受けていないにもかかわらず,これらがあるように装い,被告人が,別表3欺罔期間欄記載の平成29年5月30日から平成30年7月31日までの間,被害会社内において,前記経理ソフトQに架空のインフォマーシャル制作費の請求金額を入力し,平成29年5月30日頃から平成30年7月31日頃までの間,情を知らない前記株式会社J業務1部媒体課の担当者らを介して前記Kに対し,前記Cが作成した前記D名義のインフォマーシャル制作費にかかる虚偽の請求書を提出し,別表3被欺罔日欄記載の平成29年6月23日から平成30年8月29日までの間,前記Kをして同請求が正当なものであると誤信させてインフォマーシャル制作費の支払を承認させ,よって,別表3振込送金日欄記載の平成29年7月31日から平成30年9月28日までの間,10回にわたり,前記被害会社名義の当座預金口座から前記D名義の普通預金口座に合計2億433万6000円を振込送金させ,第8(令和3年4月6日付け追起訴状記載の公訴事実第2)
被告人は,前記E及び前記Gと共謀の上,別表4記載のとおり,真実は,別表4テレビCM枠欄記載のテレビ番組に関し,前記Fにインフォマーシャルの制作を発注した事実はなく,同インフォマーシャルの納品を受けていないにもかかわらず,これらがあるように装い,被告人が,別表4欺罔期間欄記載の平成31年4月27日から令和元年5月31日までの間,被害会社内において,前記経理ソフトQに架空のインフォマーシャル制作費の請求金額を入力し,同年5月7日頃から同年6月10日頃までの間,情を知らない前記株式会社J業務1部媒体課の担当者らを介して前記Kに対し,前記Eが作成した前記F名義のインフォマーシャル制作費にかかる虚偽の請求書を提出し,別表4被欺罔日欄記載の同月30日から同年6月26日までの間,前記Kをして同請求が正当なものであると誤信させてインフォマーシャル制作費の支払を承認させ,よって,別表4振込送金日欄記載の同年6月28日から同年7月31日までの間,2回にわたり,前記被害会社名義の当座預金口座から前記F名義の普通預金口座に合計1350万円を振込送金させ
もって人を欺いて財物を交付させた。
(量刑の理由)
本件各犯行による被害総額は3億5000万円余りと極めて多額であり,結果は重大である。犯行態様についてみても,被告人は,インフォマーシャル制作費については成果物の確認がなされないことを悪用し,経理ソフトに架空の経費を計上した上,共犯者に虚偽の請求書を作成させて,被害会社に提出するなどして現金を詐取していたのであって巧妙で悪質である。しかも,本件各犯行は,2年間にわたり繰り返しなされた常習的な犯行でもある。
このような犯行において,被告人は,本件各犯行を首謀し,共犯者らに架空請求を持ち掛けるなどしているのであって,本件各犯行において最も重い責任を負うべき立場にある。これらのことからすると,被告人の刑事責任は重大であり,相当期間の実刑を免れない。
しかし,内部監査がきっかけとなっているとはいえ,被告人が自首しているほか,捜査公判を通じて事実を素直に認めた上で,反省と謝罪の言葉を述べていること,犯罪歴のないことなど,被告人に有利に考えるべき事情もあるので,これらも考慮し,主文の刑を定めた。
(求刑-懲役7年)
令和3年5月31日
東京地方裁判所刑事第13部

裁判官


(別表省略)

田雄一
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