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商標権侵害差止請求事件 商標権 民事訴訟
事件番号平成31(ワ)11130
事件名商標権侵害差止請求事件
裁判年月日令和3年6月17日
裁判所名東京地方裁判所
権利種別商標権
訴訟類型民事訴訟
裁判日:西暦2021-06-17
情報公開日2021-06-29 12:00:43
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令和3年6月17日判決言渡

同日原本交付

平成31年(ワ)第11130号
口頭弁論終結日

裁判所書記官

商標権侵害差止請求事件

令和3年3月9日
判決原告
同訴訟代理人弁護士

A小山智弘玉井信人
同補佐人弁理士

三田大智被告富
同訴訟代理人弁護士

橋本小倉杉田同指定代理人山伴県勇秀夫聡義人田俊之
大川内

康郎川口恭子社浦
万由美

高嶋祐島被告
同訴訟代理人弁護士


株式会社JAライフ富山

田哲郎名生越秀夫高辰巳島英輔浦洋一文
原告の請求をいずれも棄却する。

2野吉1二寺主隆佐橋
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由

第1
当事者の求める裁判

1
請求等


被告らは,その販売する精米につき,別紙被告標章目録記載1から4の各標章(以下,同目録記載の各標章について,番号に応じ被告標章1等という。)を使用してはならない。



被告らは,飲食料品の小売サービスの提供において,被告標章5から8を使用してはならない。



被告株式会社JAライフ富山(以下被告JAライフ富山という。)は,その所有しかつ占有する被告標章1,2,4を付した精米の包装を廃棄せよ。


被告らは,被告標章1,2,4から8を付したパンフレット,ちらし等の広告物を廃棄せよ。



被告富山県は,別紙ウェブサイト目録記載のインターネットウェブサイト(以下本件ウェブサイトという。)から被告標章1から8の表示を削除せよ。



被告富山県は,その占有する被告標章4,8の画像データを廃棄せよ。


被告らは,原告に対し,連帯して5850万円及び令和元年5月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。



仮執行宣言

2
被告富山県の答弁


原告の請求をいずれも棄却する。



仮執行免脱宣言

3
被告JAライフ富山の答弁
原告の請求をいずれも棄却する。

第2

事案の概要
本件は,原告が,①被告富山県による被告標章1から8の使用及び被告JAライフ富山による被告標章1,2,4の使用は,原告の有する商標登録第5458965号の商標権(以下本件商標権という。)を侵害する等と主張して,商標権による差止請求権(商標法36条1項)に基づき,被告らに対し,
その販売する精米につき被告標章1から4を使用すること,飲食料品の小売サービスの提供において被告標章5から8を使用することの差止めを求め,廃棄請求権(同条2項)に基づき,被告JAライフ富山に対し,被告標章1,2,4を付した精米の包装の廃棄を,被告らに対し,被告標章1,2,4から8を付したパンフレット,ちらし等の広告物の廃棄を,被告富山県に対し,本件ウ
ェブサイトからの被告標章1から8の表示の削除,その占有する被告標章4,8の画像データの廃棄を求めるとともに,②被告らは一体となって被告標章1から8を使用するものであり,これによって原告は損害を被った等と主張して,不法行為による損害賠償請求権に基づき,被告らに対し,連帯して5850万円及びこれに対する不法行為より後の日である令和元年5月17日(訴状送達
の日)から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1
前提事実(当事者間に争いのない事実及び証拠上容易に認められる事実。証拠は文末に括弧で付記した。なお,書証は特記しない限り枝番を全て含む。以
下同じ。)


当事者

原告は,食品の製造,卸売,販売及び輸出入等を目的とする株式会社ふふふの代表取締役を務める者である。(甲1)
被告JAライフ富山は,米穀及び米麦豆類加工食品の販売及び精米業務等を目的とする株式会社である。(甲4)


本件商標権
原告は,次の本件商標権を有している(以下,本件商標権に係る商標登録を本件商標登録という。)。(甲2,45)
登録番号
出願年月日

平成23年6月14日

登録年月日

平成23年12月22日

商標

商標登録第5458965号

別紙商標目録記載のとおり(以下本件商標とい
う。)

商品及び役務の区分

第35類

指定役務

飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧
客に対する便益の提供



被告富山県の行為等

被告富山県は,平成28年度に新品種の米(OryzasativaL.
以下

本件米という。)を育成し,その名称を富富富と決定した。

被告富山県は,平成29年3月26日,本件米の名称等を発表する発表会を行い,その際に被告標章3を使用し,同年中に実証栽培によって収
穫された本件米の精米を,被告標章3を付した包装(以下本件米袋1という。)に詰めて無償配布するなどした。また,被告富山県が出資する富山県いきいき物産株式会社(以下いきいき物産という。)は,本件米袋1に詰めた本件米の精米を限定的に販売した。(原告と被告富山県の間で争いがない事実のほか,甲7,弁論の全趣旨)


被告富山県は,平成29年7月28日,本件米を広告,宣伝するため,
インターネット上に「富富富(ふふふ)ホームページ」を開設することを発表し,本件ウェブサイトを開設した。(原告と被告富山県の間で争いがない事実のほか,甲9,弁論の全趣旨)
また,被告富山県は,本件米をはじめ富山県の食の魅力についての広報活動を行う者を選任して,それらの者にとやま食の王国大使ふふふと
いう名称を付し,これらの者(以下本件広報担当者という。)に被告標章7の文字列(とやま食の大国大使ふふふ)を記載したたすきを使用させている。(原告と富山県の間で争いがない事実のほか,甲12,14,21~23,26,27,乙33,弁論の全趣旨)
被告富山県は,平成29年10月,富山市内において,本件米の販売を
記念するイベントを開催し,来場者に対し,知事や被告標章7の文字列を記載したたすきを着用した本件広報担当者等をして,本件米袋1に詰めた本件米を手渡し,本件米について説明するなどしたほか,被告標章3を構成する3つの富の字を横一列に並べた画像を含む映像を放映するなどした。(甲12,弁論の全趣旨)

被告富山県は,本件米について,平成30年以降の一般栽培開始に向けて栽培基準を定め,登録を経た生産者に本件米の種もみを提供した。(甲7,10)

被告富山県は,平成30年2月22日,本件米について,被告標章3に代えて,被告標章4,8や,

うまみ。あまみ。ふと香る。

ほほえむうまさ,富山から。

という広告文等を定めて発表し,富富富デザインマニュアル及び「富富富デザイン等使用管理要綱」(以下本件要綱等という。)を策定し,希望する者に対しそれらの使用を許可することとした。被告富山県は,同日,富山市内において,上記の発表を記念
するイベントを開催し,同イベント会場に被告標章4を付した立て看板やのぼり等を設置し,また,被告標章7の文字列を記載したたすきを着用し
た本件広報担当者等をして,本件米を宣伝した。また,被告富山県は,本件ウェブサイトに,被告標章4,8を表示した。被告富山県は,本件要綱等に基づき,被告標章4,8の画像データを保有,管理し,その使用を許可した者に対して提供している。(原告と富山県の間で争いがない事実のほか,甲8,12~16,弁論の全趣旨)

平成30年10月11日,表面に別紙本件米袋2表面のとおりの記載がされ(ただし米袋の上下の縁に富富富(ふふふ)2kg等の記載もある。),その裏面に被告標章4等を付した包装の米袋(以下本件米袋2といい,本件米袋1及び2を併せて本件各米袋という。)に詰めた一般栽培に係る本件米の精米の本格販売が開始された。(原告と
富山県の間で争いがない事実のほか,甲17,24,弁論の全趣旨)オ
被告富山県は,本件米の本格販売に先立つ平成30年9月頃には,鉄道会社が作成,配布する情報誌に,本件米の名称として富富富と記載し,本件米袋2の表面の写真を表示した本件米の広告を掲載し,また,
広告代理店をして,同月,富山市民球場において野球の試合が開催された際に,同スタジアムに被告標章8を付した広告を掲示するなどした。(甲20,弁論の全趣旨)
また,被告富山県は,平成30年10月11日から同月31日まで,東京都内において開催された「富富富グルメフェスタ」という名称の
イベント(以下本件イベント1という。)において,本件イベントふふふ
1のパンフレットとして,「富富富グルメフェスタ」との名称の上にFUFUFUGOURMETFESTAと記載するなどした

パンフレット(甲19,以下本件パンフレット1という。)を作成し,配布するなどした。(原告と被告富山県の間で争いがない事実のほか,甲18,19)
さらに,被告富山県は,平成30年10月27日及び同月28日,富山
県内において,越中とやま食の王国フェスタ2018~秋の陣~という名称のイベント(以下本件イベント2という。)を開催した。富山県は,本件イベント2について被告標章5の文字列を含む「#fufufu!」と食べたい
とやま極上の味」という語句を使用して,

本件米を宣伝した。本件イベント2では,本件米の名称として富富富
と記載し,また,被告標章4を付し,被告標章5,6の文字列を記載したパンフレット(甲25,以下本件パンフレット2といい,本件パンフレット1と併せて本件各パンフレットという。)が作成され,配布された。(原告と被告富山県の間で争いがない事実のほか,甲25,26,弁論の全趣旨)

被告富山県は,上記の各イベント会場等において,来場者に対し,知事,被告標章7の文字列を記載したたすきを着用した本件広報担当者等をして,本件米袋2に詰めた本件米の精米を手渡し,本件米について説明するなどした。また,被告富山県は,イベント会場等に,被告標章4,8を付した掲示物,立て看板,のぼり等を設置した。(原告と被告富山県
の間で争いがない事実のほか,甲14,17,18,22,24,26,86,87,弁論の全趣旨)
このほか,被告富山県は,平成31年から令和2年にかけて開催したイベントや試食会等において被告標章4を付したのぼり等を設置したり,イベント会場や富山県内の宿泊施設等において被告標章4を付した包装に詰
めた本件米やその加工品等を無償配布したりした。(原告と被告富山県の間で争いがない事実のほか,甲27,88,89,弁論の全趣旨)カ
いきいき物産は,富山県内及び東京都内において3店舗を運営しており,同各店舗において,本件米袋2に詰めた本件米の精米を販売している。(原告と被告富山県の間で争いがない事実のほか,甲75~79)


被告JAライフ富山の行為等


被告JAライフ富山は,仕入れた本件米の玄米を搗精(玄米を搗いて白くすること)して精米にし,精米を本件米袋2に詰め,小売業者に対して販売するほか,販売数量全体の数%程度の割合を,富山県内において運営する3店舗等において一般消費者に対し直接販売している。(原告と被告JAライフ富山の間で争いがない事実のほか,甲24,75~7
9,弁論の全趣旨)

被告JAライフ富山は,各店舗における本件米の精米の販売(前記ア)に際し,商品である本件米の精米の表示として,同各店舗のちらしに富・富・富と記載したほか,同各店舗内の陳列棚に貼付した商品札にふふふと読み仮名を付して富富富と表示し,陳列棚の周辺に,

本件米袋2の表面の写真を表示したポスターや被告標章4を表示したのぼりを設置した。(甲69,70)
また,被告JAライフ富山は,インターネット上のウェブサイトにおいて,富山県産の米を紹介するに当たり,本件米について,本件米袋2の表面の写真とともに富富富と表示し,上記各店舗における小売販売
の広告として,上記のちらしの電子データを表示した。(甲68)⑸

権利関係に係る事実経過等

被告富山県は,平成29年3月8日,被告標章2について,商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務を第30類茶,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,みそ,穀物の加工品,食用酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,第31類あわ,きび,ごま,そば(穀物),とうもろこし(穀物),ひえ,麦,籾米,もろこし,飼料,種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草,盆栽,第33類泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒として商標登録出願をし,平成30年1月5日,これに基づき商
標権の設定の登録がされた(商標登録第6007642号)。(甲43)被告富山県は,令和2年10月30日,後記イの品種登録に先立ち,第30類米,第31類籾米,種子類,草,苗に係る上記商

標権を放棄した。(乙51)

被告富山県は,平成29年3月31日,本件米について,品種の名称を富富富として品種登録出願をし,令和2年11月25日,これに基づき品種登録がされ(第28233号),同年12月8日,農林水産省令で定める事項が公示された。(乙50)


被告富山県は,平成29年4月3日,被告標章1,6について,商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務を商標登録第6007642号(前記ア)と同じものとして商標登録出願をした(商願2017-51509,商願2017-51510)。(甲64,65)
また,原告も,平成29年4月3日,本件商標と同様の商標について,商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務を第29類乳製品,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,最中を使用した即席みそ汁,最中を使用した即席すまし汁,最中を使用した即席スープ,即席味噌汁・即席味噌汁のもと,即席すまし汁・即席すまし汁のもと,即席豚汁・即席豚汁のもと,即席スープ・即席スープのもと,カレー・シチュー又はスープのもと,即席カレー,即席シチュー,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,第30類スパゲッティのめん・マカロニ・その他の穀物の加工品,米,精米,玄米,もち米,玄米を使用してなる穀物の加工品,米粉,米又は米粉を使用した穀物の加工品,米粉を用いたマカロニ,米粉を用いたスパゲッティのめん,米又は米粉を使用してなるパン,米又は米粉を使用してなる菓子,米粉を使用した麺類,ゆであずき,最中の皮,最中アイス,最中の皮を使用してなる菓子として商標登録出願をした(商願2017-52163)。(甲46)
上記各商標登録出願について,被告富山県と原告の協議により商標登録を受けることができる者を原告と定めた(商標法8条2項)ことから,平成30年6月22日,原告の上記商標登録出願に基づき,商標権の設定の登録がされた(商標登録第6053897号)。(甲46,64,65)エ
被告富山県は,平成30年2月20日,被告標章4について,商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務を第30類茶,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,みそ,穀物の加工品,すし,弁当,食用酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,第31類あわ,きび,ごま,そば(穀物),とうもろこし(穀物),ひえ,麦,籾米,もろこし,飼料,種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草,盆栽,第33類泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,みりん,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒,第35類市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,第40類43類食料品の加工,第飲食物の提供として商標登録出願をし,平成31年3月15日,
これに基づき商標権の設定の登録がされた(商標登録第6130868号)。(甲44)


原告は,平成31年4月23日,本件商標に類似する商標であって,本件商標登録に係る指定役務又はこれに類似する商品若しくは役務について使用をするものであるとして,商標登録第6007642号に係る商標登録(前記ア)の無効の審判を請求した(無効2019-890028)が,
令和元年12月25日,上記審判の請求は成り立たない旨の審決がされた。(甲53,乙42)


被告JAライフ富山は,令和元年7月9日,継続して3年以上使用をしていないとして,本件商標登録の取消しの審判の請求をし(取消2019-300528),高橋隆二(被告JAライフ富山訴訟代理人弁護士)は,同年8月2日,同様に,第35類米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,第35類豆,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,あわ,きび,ごま,そば(穀物),とうもろこし(穀物),ひえ,麦,籾米,もろこし,食用粉類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供に係る本件商標登録の取消しの審判の請求をした(取消2019-300603)。(丙3,4)上記の各審判事件は,特許庁に係属している。(丙20,21)

2
争点及び争点に関する当事者の主張
本件の争点は,以下のとおりである。


被告富山県が業として被告標章1から8を商品並びに小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供(以下,小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供を小売等役務という。)
に使用しているか。


被告JAライフ富山が被告標章1,2,4を商品及び小売等役務に使用しており,また,被告標章3,5から8を使用するおそれがあるか。

被告標章1から8が本件商標と同一又は類似のものであるか。



被告富山県が被告標章1から8を使用する商品又は小売等役務,被告JAライフ富山が被告標章1,2,4を使用し,被告標章3,5から8を使用するおそれがある商品又は小売等役務が本件商標の指定役務と同一であり又は類似するか。


被告富山県による被告標章1から8の使用が,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様によりされていないか。



被告JAライフ富山によるちらし等における被告標章1,2,4の使用が,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様によりされていないか。




廃棄の必要性



被告らが共同して原告の商標権を侵害したか。


原告の各請求が権利濫用か。


本件商標登録が無効審判により無効にされるべきものと認められるか。
損害の発生及び額


争点①(被告富山県が業として被告標章1から8を商品及び小売等役務に使用しているか。)について
(原告の主張)

被告富山県は,本件ウェブサイトなどにおいて,商品である本件米の精米に関する広告に被告標章1,2,4を付して,展示するなどした(商標法2条3項8号)。


被告富山県は,商品である本件米の精米について,知事等をして,本件イベント1及び2を含む各イベント会場等において来場者に対し,被告標章1から4を付した本件各米袋に詰めて販売したり,その出資するいきいき物産をして,被告標章1,2,4を付した本件米袋2に詰めて販売したりした(商標法2条3項1号,2号)。

被告富山県は,上記の各イベント会場等において,被告標章1から4を付した立て看板等を設置したり,本件イベント1について被告標章1,2,4,6を付した本件各パンフレットを作成配布し,本件イベント2について被告標章5を使用し,被告標章1,2,4から6を付した本件パンフレット2を作成配布したり,被告標章7を付したたすきを着用し
た本件広報担当者等をして本件米の精米を販売するなどしており,これらによって,飲食料品の小売等役務の提供に当たりその提供を受ける者
の利用に供する物に被告標章1から7を付し,これらの物に被告標章1から7を付したものを使用して役務を提供し,これらの物に被告標章1から7を付したものを役務の提供のために展示し(同項3号から5号),商品又は役務に関する広告等に被告標章1から7を付して展示し,又は,これらを内容とする情報に被告標章1から7を付して電磁的方法により
提供した(同項8号)。

被告富山県は,本件米の名称を被告標章1,2と定め,これについて被告標章4,8を定めて発表し,その使用を本件要綱等によって管理し,希望する者に対し使用を許可している。そして,商品である本件米の精米について,被告標章1,2,4,8を表示した本件各パンフレットを販売促
進用に作成し,配布するなどしており,これらによって,商品について使用をし又は使用をさせるために被告標章1,2,4を表示する物を製造し(商標法37条7号),商品について使用をさせるためにこれを譲渡し,引き渡し,又は譲渡若しくは引渡しのために所持した(同条6号)。また,本件米袋2等に付すために被告標章1,2,4,8の画像データ等を製造
し,譲渡し,引き渡しており,これらによって,被告標章1,2,4,8を表示する物を製造するためにのみ用いる物を業として,製造し,譲渡し,引き渡した(同条8号)。
(被告富山県の主張)

被告富山県は,被告標章1を,被告標章2等から独立して単独で使用していない。


被告富山県は,本件米を生産,製造,販売しておらず,小売及び卸売の業務,小売等役務の提供を行っていない。被告富山県は,被告標章1から8を商品及び小売等役務について使用していない。

なお,いきいき物産の運営する店舗における本件米の精米の販売についても,同各店舗において陳列,販売する商品のうちその包装に被告標章
1,2,4を付したのは本件米の精米のみであり,被告標章1,2,4は本件米袋2に直接印刷されているのであるから,小売等役務の商標として用いられているとはいえない。

被告富山県は,本件パンフレット2を作成,配布していない。
また,被告標章1,2,4,8の画像データは有体物ではないから,商
標法37条8号の製造するためにのみ用いる物には該当しない。


争点②(被告JAライフ富山が被告標章1,2,4を商品及び小売等役務に使用しており,また,被告標章3,5から8を使用するおそれがあるか。)について

(原告の主張)

被告JAライフ富山は,本件米を精米し,被告標章1,2,4を付した本件米袋2に詰めて商品として販売している(商標法2条3項1号,2号)。
本件米袋2の表面の標章は,被告標章4と

うまみ。あまみ,ふと香る。

及び

ほほえむうまさ,富山から。

という広告文等とから成り
立っており,被告標章4の部分と上記広告文の部分は容易に分離できること,富山県産という部分等は本件米の産地等を記載したにすぎないことなどから,この標章の使用は実質的に被告標章4の使用である。イ
被告JAライフ富山は,本件米の精米の販売に当たり,ちらし,商品札,ポスター,のぼり,インターネット上のウェブサイトに,本件商標と同一の被告標章1や,本件商標と類似の被告標章2,4を表示しており,飲食料品の小売等役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に被告標章1,2,4を付し,これらの物に被告標章1,2,4を付したものを用いて小売等役務を提供し,これらの物に被告標章1,2,
4を付したものを小売等役務の提供のために展示し(商標法2条3項3号から5号),商品又は小売等役務に関する広告等に被告標章1,2,
4を付して展示し,又は,これらを内容とする情報に被告標章1,2,4を付して電磁的方法により提供している(同項8号)。
(被告JAライフ富山の主張)

被告JAライフ富山は,被告標章1,2を使用していない。被告JAライフ富山の運営する各店舗のちらしに記載したのは富・富・富で
あり被告標章2ではない。
被告JAライフ富山は,本件米袋2の表面には,別紙本件米袋2表面のとおりの標章を付しているのであり,裏面に小さく被告標章4を付しているにすぎない。

被告JAライフ富山は,被告標章4を付した本件米袋2に詰めた本件米の精米を譲渡して使用しているが,被告標章1,2,4を,小売等役務,すなわち,商品の品揃え,陳列,接客サービスなど商品の小売等業務において行われる総合的な便益の提供の提供主体を表すものとして使用していない。



争点③(被告標章1から8が本件商標と同一又は類似のものであるか。)について
(原告の主張)
被告標章1は本件商標と同一のもの,被告標章6は本件商標と社会通念上同一のもの,被告標章2から5,7,8は本件商標と類似のものである。

本件商標について
本件商標は,ふふふの平仮名文字によって成り,フフフの称呼
を生じ,口を開かずに軽く笑う様子に関する観念を生じ,また,食品分野においては「おいしさや満足感に関する観念も生じる。

被告標章1について
被告標章1は,本件商標と同一の平仮名文字によって成り,本件商標と外観,称呼,観念を全く同じくする。したがって,被告標章1は本件商
標と同一のものである。

被告標章2について
被告標章2は,富富富の漢字によって成り,本件商標と外観を異にする。しかし,被告標章2は,本件商標と同一のフフフの称呼を生じるところ,被告標章1と共に用いられることによりトミトミトミ
などフフフ以外の称呼が排除されている。そして,フフフの称
呼から本件商標と同一の観念を生じる。したがって,被告標章2は本件商標と類似のものである。

被告標章3について
被告標章3は,富富富を斜め書きにしたものにふふふの平仮名

文字を振って成り,本件商標と外観を異にする。しかし,被告標章3は,本件商標と同一のフフフの称呼を生じ,同称呼から本件商標と同一の観念を生じる。したがって,被告標章3は本件商標と類似のものである。

被告標章4について
被告標章4は,富富富を縦書きにしたものの左右を稲穂の図柄によって囲い,その下にふふふを横書きにしたものを配置して成り,本件商標と外観を異にする。しかし,稲穂の図柄は,商品である精米を説明するものであって識別力がないか極めて弱く,被告標章4の要部は富富富及びふふふの文字部分である。そして,被告標章4は,

本件商標と同一のフフフの称呼を生じ,同称呼から本件商標と同一の観念を生じる。したがって,被告標章4は本件商標と類似のものである。

被告標章5について
被告標章5は,ハッシュ記号と感嘆符の間にfufufuの欧文字を配置して成り,本件商標と外観を異にする。しかし,ハッシュ記号は
キーワードの前に付すタグすなわち識別のための情報として使用されるものであり,感嘆符はその直前の語を強調する記号であることから,被告標章5の要部は,本件商標と社会通念上同一のfufufuの文字部分である。そして,被告標章5は,本件商標と同一のフフフの称呼を生じ,同称呼から本件商標と同一の観念を生じる。したがって,
被告標章5は本件商標と類似のものである。

被告標章6について
被告標章6は,FUFUFUの欧文字から成り,本件商標と外観を異にする。しかし,被告標章6は,ふふふを欧文字で表記したものであり,本件商標と同一のフフフの称呼を生じ,同称呼から本件商
標と同一の概念を生じる。したがって,被告標章3は本件商標と社会通念上同一のものである。

被告標章7について
被告標章7は,とやま食の広告大使ふふふと一連に表記して成り,本件商標と外観を異にする。しかし,被告標章7のうちとやま食の王国大使とふふふの部分は容易に分離解釈できるものであり,とやま食の王国大使の部分は,富山県産の飲食料品の広告,宣伝を行う立場や職責を示すものであり,このような立場等にある者の名称がふふふなのであって,被告標章7の要部はふふふの文字部分である。そして,同部分は,本件商標と同一のフフフの称呼を生じ,同称呼
から本件商標と同一の観念を生じる。したがって,被告標章7は本件商標と類似のものである。

被告標章8について
被告標章8は,富富富を横書きにしたものの左右を稲穂の図柄によ
って囲い,その下にふふふを横書きにしたものを配置して成り,本件商標と外観を異にする。しかし,稲穂の図柄は,商品である精米を説
明するものであって識別力がないか極めて弱く,被告標章8の要部は富富富及びふふふの文字部分である。そして,被告標章8は,
本件商標と同一のフフフの称呼を生じ,同称呼から本件商標と同一の観念を生じる。したがって,被告標章8は本件商標と類似のものである。

(被告富山県の主張)

本件商標について
本件商標は,ふふふというものであり,それ自体では何らの意味を持たず,特定の文脈,場面において用いられることによって初めて修飾する文などに一定の意味を添えるものであり,実際にも多義的に用いら
れている。本件商標が,人が軽く笑う様子,ひいては,おいしさや満足感などの観念を生じることはない。

被告標章1について
被告標章1は,本件商標と外観及び称呼を同じくする。しかし,被告標章1自体からは特定の観念は生じないし,被告標章1は,被告標章2の
読み仮名としての意味しか有しておらず,漢字から成る語の意味を離れた独自の意味,観念を生じ得ない。

被告標章2について
被告標章2は,富の漢字3つを並べたものであり,本件商標と外観を異にする。被告富山県は,被告標章2についてフフフ以外の読み
方を排除したことはない。仮に,被告標章2にフフフという称呼が生じたとしても,富富富という外観から強い印象が生じることからすれば,被告標章2から,人が軽く笑う様子,おいしさや満足感などの観念を生じることはない。したがって被告標章2は本件商標と類似のものではない。


被告標章3について

被告標章3は,本件商標と外観を異にし,称呼において共通する。もっとも,被告標章3の観念は,その漢字部分から想起され,富が3つ並んでいるだけで意味のない造語であること(被告富山県が開発した新種の本件米の名称であることから富山県の富を3つ並べたものであること)が一見して明らかである。したがって,被告標章3は本件商標
と類似のものではない。

被告標章4について
被告標章4は,本件商標と外観を異にし,称呼において共通する。しかし,被告標章4は富富富との漢字部分及び稲穂の図柄部分の印象が強く,また,袋詰めされた精米の取引においては品種や産地を記載した
視覚的情報に依存するのが取引の実情であり,被告標章4の要部は,上記の部分の外観である。したがって,被告標章4は本件商標と類似のものではない。

被告標章5について
被告標章5は,本件商標と外観を異にし,国際音声記号で表すと称呼に
おいても共通しない。ハッシュタグは通常視覚的に把握されるべきものであるから,被告標章5の要部は外観である。また,被告標章5から,人が軽く笑う様子,おいしさや満足感などの観念を生じることはない。したがって,被告標章5は本件商標と類似のものではない。

被告標章6について
被告標章6は,本件商標と外観を異にし,国際音声記号で表すと称呼においても共通しない。また,被告標章6から,人が軽く笑う様子,おいしさや満足感などの観念を生じることはない。被告標章6は,本件商標と社会通念上同一のものでもなければ類似のものでもない。


被告標章7について
被告標章7は,本件商標と外観を異にする。そして,被告標章7は本件
広報担当者に与えられる名称であるから,これをとやま食の王国大使とふふふに分離して理解することに何ら意味はないし,要部はとやま食の王国大使という取引者の目を引く部分である。したがって,被告標章7は本件商標と類似のものではない。

被告標章8について
被告標章8は,被告標章4と同様に本件商標と類似のものではない。
(被告JAライフの主張)

本件商標について
本件商標は,ふの平仮名文字3つの単なる羅列であり,それ自体では何らの意味もなさず,特定の観念を生じるものではない。本件商標が,
笑い声,ましてや,おいしさや満足感などの観念を生じることはあり得ない。

被告標章2について
被告標章2は,富の漢字3つから成り,本件商標と外観を異にする。そして,被告標章2は,フフフのほかトミトミトミの称呼を生

じる点で本件商標の称呼と異なる。また,本件商標からは何らの観念も生じないのに対し,富富富からは富が重なり非常に豊かなさまという観念が生じるほか,富山県産の米に用いられた場合には富山県産の米という観念が生じる。なお,被告標章2から人が軽く笑う様子やおいしさや満足感に関する観念は生じない。したがって,被
告標章2は本件商標と類似のものではない。

被告標章4,8について
被告標章4,8は本件商標と類似のものではない。なお,被告JAライフ富山が本件米袋2に付しているのは別紙本件米袋2表面記載のとおり
の標章である。
被告標章4,8は,それぞれに字体の異なる赤色の富の漢字3つを
縦方向又は横方向に描き,その左右に各3本の金色の稲穂を楕円を描くように配置し,中央下部にふふふという赤色の文字が横方向に表示されているものである。別紙本件米袋2表面記載の標章は,それぞれに字体の異なる赤色の大きな富の漢字3つを縦方向に描き,その左右に各3本の金色の稲穂を楕円を描くように配置し,富富富の文字と
稲穂の図形の間に,赤色で,

うまみ。あまみ,ふと香る。

ほほえむうまさ,富山から。

との広告文が表示され,中央下部にふふふという赤色の文字が横方向に,左下部に四角で囲った富山県産という文字が縦方向に表示されているというものであり,その要部は富富富の文字部分である。被告標章4,8からは,富富富の部分から
トミトミトミ及びフフフの称呼が生じ,ふふふの部分から
フフフの称呼が生じる。被告標章4,8の付された商品は精米
であり,稲穂は米を表現する表示として一般的であること,米と3つ連なった富が結びつくことで大豊作ひいては繁栄といった観念が生じ,また,新品種の富山県産の本件米の名称として採用されたものであるこ
とから,富山県産の米との観念も生じる。被告標章4,8は,上記のとおり複数の要素が結合したものであり,その一部であるふふふの文字部分だけを抽出する理由はない。このように,被告標章4,8は,外観,称呼,観念のいずれも本件商標と異なっている。さらに,富富富は本件米の品種の名称であって,消費者は日本人の主食である米に
ついて品種,産地に注意して購入するものであり,被告富山県は本件米について大々的に広告,宣伝を行って販売開始から1年足らずで周知性を獲得したことなどを踏まえると,被告標章4,8が本件商標と同一又は類似の商品等に使用された場合に商品等の出所につき誤認混同が生じるような取引の実情も何ら存在しない。



争点④(被告富山県が被告標章1から8を使用する商品又は小売等役務,
被告JAライフ富山が被告標章1,2,4を使用し,被告標章3,5から8を使用するおそれがある商品又は小売等役務が本件商標の指定役務と同一であり又は類似するか。)について
(原告の主張)
本件商標の指定役務は,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供である。
被告らは被告標章1から8を使用して,商品である本件米の精米,すなわち,飲食料品を販売している。そして,飲食料品の製造,販売と,その飲食料品の小売等役務の提供を同一事業者が行うのは極めて一般的であり,
飲食料品の販売場所と飲食料品の小売等役務の提供場所,飲食料品の販売相手と飲食料品の小売等役務の対象者はいずれも一致している。したがって,被告らの商品である本件米の精米は,本件商標の指定役務と類似する。また,被告らは,イベント会場や店舗において,被告富山県の知事をして,来場者に対し本件米を手渡すなど,商品である精米の販売において顧客に便
益を提供しているから,被告らの小売等役務は,本件商標の指定役務と同一である。
(被告富山県の主張)
本件商標の指定役務は飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供であり,その役務において販売される飲食料品
は商品であるから,この両者が同一ということはあり得ない。そして,小売等役務商標と商品商標は,使用目的,態様が異なることから,原則として出所の混同は生じないとされるものであり,商品である飲食料品が本件商標の指定役務に類似するものとはいえない。飲食料品であるあらゆる商品について本件商標の指定役務と類似するとすれば不当である。また,精米を製造,
販売する事業者がその販売に際して小売等役務を提供することは一般的ではないから,精米について同一又は類似の商標を使用したとしても,小売等役
務提供者と同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれはない。精米という商品は,本件商標の指定役務と類似するものではない。(被告JAライフ富山の主張)
本件商標の指定役務と,被告JAライフ富山による本件米の精米の販売は同一ではなく,また,類似もしない。

日本国内においては,主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律により,米は,生産者によって届出出荷事業者に玄米が販売され,届出出荷事業者によって,精米された上,品種と産地が特定される米についてはこれらを明らかにして届出販売事業者に販売され,届出販売事業者によって消費者に販売されており,届出出荷事業者と届出販売事業者は明確に区別されており,本
件米についても,生産者から被告JAライフ富山を含む卸売業者に玄米が販売され,卸売業者が精米し(被告JAライフ富山は,他の卸売業者からも搗精を委託されている。),卸売業者が小売業者に精米を販売し,小売業者が消費者にこれを販売している。したがって,精米の製造,販売が,通常,小売等役務提供者と同一営業主により行われているとは到底いえない。加えて,
富富富は,本件米の品種の名称であり,その用いられた種苗を特定する機能を有するものである。以上から,消費者が,本件米の精米について小売等役務の提供者が製造,販売していると誤認することはあり得ない。⑸
争点⑤(被告富山県による被告標章1から8の使用が,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様によりされていないか。)について
(被告富山県の主張)
被告標章1から8は,商品の原材料たる米の品種が本件米であることを示すものとして包装等に付されているもの,イベント名の構成要素として使用
されているもの等であり,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様により使用されていない(商標法26条6
号)。
すなわち,被告標章2は,コシヒカリやササニシキと同様,品種
登録された本件米の名称であり,被告標章1はその読み仮名,被告標章6はその称呼の1つをローマ字表記したものにすぎず,被告標章4,8は,本件米を用いた精米,加工品に係る商品又は役務であることを対外的に表示する
もの,被告標章5は,公衆がインスタグラムのハッシュタグとしてインターネット上に写真をアップロードする際に不特定多数人により時間を隔ててされた投稿を集約して表示させるために用いるもの,被告標章7は,本件米に関連する商品等の宣伝等をする本件広報担当者の名称として用いるものであり,いずれも,特定の商品又は役務の出所を示すものとして用いられていな
いから,商標的使用がされていない。
実際,本件米の精米は,被告JAライフ富山のみならず,なのはな農業協同組合,米蔵やごう,全農パールライス株式会社,幸南食糧株式会社等によっても製造,販売されており,米の品種名は商標としての出所表示機能は持ち得ない。

(原告の主張)
需要者は,被告標章1から8が付された商品又は小売等役務について,本件米に関連する商品又は小売等役務であることを認識するから,本件各商標は出所識別機能を発揮する態様により使用されている。被告標章2が本件米の品種の名称であるからといって被告標章1から8について商標的使用がさ
れていないとはいえない。


争点⑥(被告JAライフ富山によるちらし等における被告標章1,2,4の使用が,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様によりされていないか。)について

(被告JAライフ富山の主張)
JAライフ富山が,その運営する各店舗のちらし,商品札,ポスター,の
ぼり,インターネット上のウェブサイトに被告標章1,2,4を使用した(前記⑵(原告の主張)イ)としても,これらの使用は,商品の原材料たる米の品種が本件米であることを示してその売り場を表示しているものであり,商標として使用されていない。
(原告の主張)

需要者は,被告標章1,2,4が付された小売等役務について,本件米に関連する小売等役務であることを認識するから,本件各商標は出所識別機能を発揮する態様により使用されている。被告標章2が本件米の品種の名称であるからといって被告標章1,2,4について商標的使用がされていないとはいえない。



争点⑦(本件商標登録が無効審判により無効にされるべきものと認められるか。)について
(被告富山県の主張)
本件商標は,商標登録を受けることができないものであるから,本件商標
登録は無効の審判により無効にされるべきものである(商標法46条1項1号,4条1項11号)。すなわち,本件商標は,本件商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標であるふふふあんの文字列から成る商標登録第2095385号の登録商標(以下乙2商標という。)及びしゃぶ亭,ふふふの文字を含む商標登録第4158268号の登録
商標(以下乙5商標という。)に類似する商標である。そして,本件商標登録に係る指定役務と全ての飲食料品又は飲食料品の販売とが商品又は役務として類似しているのであれば,本件商標登録に係る指定役務と乙2商標の商標登録に係る指定商品は類似し,また,本件商標登録に係る指定役務と乙5商標の商標登録に係る指定役務は類似する。

(原告の主張)
本件商標は,商標登録を受けることができないものであるとはいえない。
すなわち,乙2商標は,ふふふあん全体が一体のものであり,本件商標とは,外観,称呼,観念において異なる。また,乙5商標は,指定役務を飲食物の提供とし,ここでいう飲食物は提供された場で消費されるものであるのに対し,本件商標は,指定役務を飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供とし,ここでいう飲食料品はまさに商品であって流通性を有するものであるから,これらの役務は取り扱う物が異なっており,本件商標に係る指定役務は,乙5商標に係る指定役務に類似するものではない。


争点⑧(廃棄の必要性)について
(原告の主張)

本件商標権の侵害を予防するためには,侵害行為組成物である被告JAライフ富山が所有し占有する本件米袋2,被告らが使用する被告標章1,2,4から8を付したパンフレット,ちらし等の広告物,被告富山県が本件ウェブサイトに表示する被告標章1から8,被告富山県が占有する被告標章4,8の画像データを廃棄,削除等する必要がある。

(被告らの主張)
否認ないし争う。


争点⑨(被告らが共同して原告の商標権を侵害したか。)について(原告の主張)

被告富山県は,本件米について被告標章1から8を用いて販促活動を行い,被告JAライフ富山をして本件米袋2に詰めた本件米の精米を販売するなどし,被告JAライフ富山は,本件米を精米し,本件米袋2に詰めて販売したものであるから,被告らは一体となって,本件米の販売企画,販促活動を実施し,共同して原告の商標権を侵害したものである。

(被告らの主張)
否認ないし争う。


争点⑩(原告の各請求が権利濫用か。)について
(被告富山県の主張)
米穀類,米,もみ米などに関する被告富山県の被告標章1から8の使用について,原告の本件商標権に基づく差止請求は,権利濫用であって許されない。すなわち,本件商標は,株式会社ふふふにより,麩の中に味噌と具が入
った商品及び乾燥パスタに使用されるにとどまり,米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供や豆,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,あわ,きび,ごま,そば(穀物),とうもろこし(穀物),ひえ,麦,籾米,もろこし,食用粉類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供には使用されていない。高橋隆二は
上記役務に係る本件商標登録の取消しの審判の請求をしており,上記役務に係る本件商標登録は取り消されるべきことが明らかである。
(被告JAライフ富山の主張)
原告の本件商標権に基づく各請求は,権利濫用であって許されない。すなわち,本件商標は,指定役務である飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供に使用されていない。被告JAライフ富山は本件商標登録の取消しの審判の請求をしており,本件商標登録は取り消されるべきことが明らかである。
(原告の主張)
原告の本件商標権に基づく各請求が権利濫用であるとはいえない。原告は,
株式会社ふふふに対し本件商標権について通常使用権を許諾し,株式会社ふふふは,被告JAライフ富山等による審判の請求の登録前3年以内に,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,米の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供について本件商標の使用をしている。


争点⑪(損害の発生及び額)について

(原告の主張)
被告らは,少なくとも,平成30年に,1kg当たり600円の本件米を250万kg販売し15億円を売り上げたところ,相当な使用料率は3.9%であるから,原告は,本件商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額として5850万円を請求することができる(商標法38条3項)。
【計算式】600円×2,500,000×3.9%=58,500,000円(被告富山県の主張)
否認ないし争う。なお,被告富山県は,本件米の生産,販売をしておらず,その売上げを得ていない。
(被告JAライフ富山の主張)

否認ないし争う。
第3

当裁判所の判断

1
認定事実


被告富山県は,平成15年頃から,県農業試験場等において米の新品種の開発を進め,平成28年度に新品種(OryzasativaL.
本件米)を育成し

た。被告富山県は,その名称を公募し,その名称を富富富と決定し,平成29年3月,名称を決定したことなどを発表する発表会を行った。本件米の名称を富富富とし,平成30年からその販売が開始されることなどは,平成29年3月に北日本新聞等の新聞で報道されたほか,被告富山県の広報誌の同年6月号にも記載された。被告富山県等は,本件米について,同年3月
31日,名称を富富富とする品種登録出願をした。(前記第2の1⑶ア,甲6,7,18,乙50,弁論の全趣旨)


被告富山県は,平成29年3月の上記発表会で被告標章3を使用したほか,同年中に実証栽培によって収穫された本件米の精米を,被告標章3を付した
本件米袋1に詰めて無償配布したりした。
被告富山県は,本件米の名称の富富富はふふふと読まれるもので

あるとして上記発表を行い,その後も富富富をその読み方とするふふふと共に使用することがあったが,本件米の名称等としてふふふのみを使用したことはない。
(本項につき,前記第2の1⑶イ,甲7)


被告富山県は,登録を経た生産者に本件米の種もみを提供している。(前記第2の1⑶ウ)
また,被告富山県は,平成30年以降,本件米について,これを全国に広く発信するため,被告標章3に代えて,被告標章4,8のほか,

うまみ。あまみ。ふと香る。

ほほえむうまさ,富山から。

という文言を広告,宣伝等に統一的に使用すること等を定め,本件要綱等を策定し,希望する者
に対し使用を許可することにした。被告富山県は,本件要綱等に基づき,被告標章4,8,上記文言の画像データを保有,管理し,その使用を許可した者に対して提供している。被告標章4,8と,上記文言とは,これらを組み合わせて用いられている場合もあるが,それぞれ単体で用いられることも想定されている。(前記第2の1⑶エ,甲15)



平成30年10月11日,本件米袋2に詰めた本件米の精米の本格販売が開始された。本件米袋2は,表面に別紙本件米袋2表面のとおりの標章等が付され(ただし,上下の縁にも富富富(ふふふ)2kg等の記載がある。),裏面に被告標章4が付されている。本件米袋2の表面の中央の部分
は,被告標章4の中央の富富富の縦書きの文字列と左右の稲穂の図柄の間に,それぞれ

うまみ。あまみ。ふと香る。

ほほえむうまさ,富山から。

という縦書きの文字列を加えた上,左下の部分に枠で囲った富山県産という縦書きの文字列を,右下の部分に2kgという横書きの文字列を加えたものである。(前記第2の1⑶エ,甲24)
主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律は,米穀の出荷又は販売の事業を行おうとする者は届出をしなければならないこと等を定める(同法47
条)。本件米についても,各生産者は,被告富山県から種もみの提供を受けて本件米を生産し,農業協同組合を介して,被告JAライフ富山を含む届出出荷事業者である卸売業者に対し,その玄米を販売している。同卸売業者には,被告JAライフ富山のほか,なのはな農業協同組合,米蔵やごう,全農パールライス株式会社,幸南食糧株式会社等がある。被告JAライフ富山は自ら,他の卸売業者は自ら又は被告JAライフ富山に委託して,この玄米を搗精して精米にし,統一した体裁の包装である本件米袋2に詰め,届出販売事業者である小売業者に販売している。各卸売業者は,被告富山県から画像データの提供を受け,本件米袋2を製造している。被告JAライフ富山の製
造,販売する本件米の精米を詰めた本件米袋2の裏面の原料玄米の産地/品種欄には単一原料米/富山県/富富富と,販売者欄には㈱JAライフ富山米穀事業部と表示されている。(前記第2の1⑶エ,甲24,丙15,18,弁論の全趣旨)
また,被告JAライフ富山は,本件米の精米を,小売業者に対して販売す
るほか,販売数量全体の数%程度の割合を,富山県内において運営する3店舗等において一般消費者に対し直接販売している。被告JAライフ富山は,同各店舗の特売の商品等を記載したちらしに,

お米がお得です。

として,富山県産コシヒカリ5kg及び10kgの販売と並べて,本件米2kg及び5kgの販売について,本件米を富山県産富・富・富と記載したことが
あった。同各店舗においては,米の陳列棚には,コシヒカリなどの商品札と並んで,本件米の陳列場所にふふふと読み仮名を付して富富富と表示された商品札が貼付され,陳列棚の周辺に,本件米袋2の表面の写真が表示されたポスター,被告標章4を表示したのぼりが設置されていた。さらに,被告JAライフ富山は,インターネット上に開設したウェブページにおいて,
富山県産の米の種類を紹介するに当たり,てんたかく,てんこもり等他の品種の米と並べて,本件米について,本件米袋2の表面の写真ととも
に富富富と表示している。このウェブページにおいては,上記各店舗の上記ちらしの電子データを閲覧することができた。(前記第2の1⑷ア,イ,甲24,68~70,丙16,弁論の全趣旨)
被告富山県が出資するいきいき物産は,その運営する店舗において,本件各米袋に詰めた本件米の精米を販売しているが,被告富山県は,本件米を生
産したり,その精米等を製造,販売したりしていない。(前記第2の1⑶イ,カ,弁論の全趣旨)


被告富山県は,本件米を広告,宣伝するため,富富富(ふふふ)と称する本件ウェブサイトを開設したり,各種イベント等において設置した掲示
板等において,富富富という文字列を使用し,被告標章3,4,8を表示したりしたほか,富富富をふふふという表示とともに用いたりした。(前記第2の1⑶ウ~オ)
また,被告富山県は,平成30年10月に東京都内において開催された三井不動産商業マネジメント株式会社に係る三井ショッピングパークアーバン
主催に係る「富富富グルメフェスタ」という名称の本件イベント1において,パンフレットとして,富富富の部分にふふふと読み仮名を付して被告標章6の文字列を含む本件イベント1の名称を記載し,被告標章4,8を付した本件パンフレット1を作成し,配布するなどした。本件パンフレふふふ
ット1の「富富富グルメフェスタ」との名称の上には,その名称の記載よりも小さな字でFUFUFUGOURMETFESTAと記載さ
れていた。本件イベント1は,三井ショッピングパークアーバンの管理する施設に所在する一定数の飲食店が,期間中,一斉に本件米を使った料理を提供するというものであった。本件パンフレット1には,本件イベント1について富山のお米「富富富を使ったメニューが大集合!」と紹介され,開催期間,開催場所等が記載されていたほか,本件米について,富山県において育成された新品種の米として,名称に込めた意味やそのおいしさの理由な
どが説明された上,本件イベント1に当たり本件米を使った料理を提供する飲食店と提供する料理の紹介がされ,その全体の様々な箇所にRICE,SUSHIROLLS,FUFUFUなど,本件イベント1に関

係しイベントの趣旨を表すような語句が模様化されて記載されていた。(前記第2の1⑶オ,甲19,弁論の全趣旨)
また,被告富山県は,平成30年10月に,越中とやま食の王国フェスタ2018~秋の陣~と称する本件イベント2を開催した。本件イベント2は,被告富山県が,富山県の食の魅力を食材の販売や食文化の紹介を通じて県内外に発信するために不定期に実施している企画の一環であった。被告
富山県は,本件イベント2について被告標章5の文字列を含む「♯fufufu!と食べたい
とやま極上の味」との文言を使用し,また,会場に

おいて,富山県において育成された新品種の米として本件米を広告,宣伝した。
本件イベント2の実行委員会は,本件イベント2に際し,本件パンフレット2を作成,配布した。本件パンフレット2の表面には,インターネット上で写真を投稿することができるサービスであるインスタグラムの表示画面を模した体裁の写真等が複数表示され,そこには,FUFUFUgram,♯fufufu!との記載があった。また,本件パンフレット2の表面には,インスタグラムにおいて♯fufufu!と記載した投稿やその
検索をすることを促す記載等もされていた。本件パンフレット2の裏面には,本件イベント2について,

毎年,富山の旬の幸をお届けする食の王国フェスタ。今年は「富富富

のデビューや新企画盛りだくさん!富山の極上の味をお楽しみください!」と紹介され,「富富富を使用したとやま牛握りの販売と,…富富富ます寿司の食べ比べ」,富山米新品種「富富富
の販売・PR/富富富の販売と美味しさの秘密をご紹介」等の企画が催されることが記載されていた。(前記第2の1⑶オ,甲25,26,弁論の
全趣旨)
上記に照らせば,本件イベント2において被告富山県が使用した「♯fufufu!と食べたい
とやま極上の味」との文言は,インスタグラム

を含む投稿サイト等において,ハッシュ記号(♯)を付した言葉を記載することにより特定の内容の投稿を検索して集めやすくすることが行われている
ことを踏まえたものと認められる。
被告富山県は,本件米をはじめ富山県の食の魅力についての広報活動を行う者として,とやま食の王国大使ふふふの名称で本件広報担当者を選任し,上記名称を記載したたすきを着用させ,本件米等の広告,宣伝を行っている。(前記第2の1⑶ウ,オ)

このほか,被告富山県は,平成30年秋頃以降,俳優,スポーツ選手等を起用し,テレビ放送や新聞,インターネット等,各種媒体において,本件米について積極的に広告,宣伝した。(甲18,20,36~38,丙5~7,弁論の全趣旨)


令和2年11月25日,本件米について,品種の名称を富富富とする品種登録がされた。(前記第2の1⑸イ)

2
被告富山県による標章の使用について


後記4の本件商標と被告標章1から8の類否の判断に先立ち,被告富山県は被告標章1を被告標章2等から独立して単独で使用していない旨主張する
ので検討する。
⑵ア

被告富山県は,被告標章1と同一のふふふを富富富の読み仮名
として富富富と共に使用することがあるが,本件米の名称としてふふふのみを使用したことはない(前記1⑵)。具体的には,被告富山県は,本件ウェブサイトを富富富(ふふふ)ふ
と称したり,本件パンフレット1に本件イベント1の名称として「富ふふ富富グルメフェスタ」という名称を記載し,富富富の上にふふふと読み仮名を付して表示したりした(前記1⑸)。イ
ここで,富富富(ふふふ)という表示や,ふふふと読み仮名を
付した富富富という表示は,富の漢字がふと読めることや
富富富とふふふの配置から,ふふふの部分は富富富の部
分の読み仮名を記したものと自然に理解できる。これを見る者は富富富
とふふふを一体のものとして認識するといえ,これらの文字列は分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているといえる。
したがって,上記の富富富(ふふふ)等において,富富富(ふふふ)等の文字列の一部である被告標章1(ふふふ)が単独で標章とし
て使用されているとは認められず,ふふふは,富富富と一体と
して使用されていると認められる(これらについての本件商標との類否は後記4⑺において検討する。)。
なお,被告標章4には,中央の富富富の文字列と左右の稲穂の図柄の下にふふふの文字があり,本件米袋2の被告標章4にもふふふ

の文字が使用されているが,そのふふふは,その配置や文字の字体,色等からも富富富の文字列及び左右の稲穂の図柄と一体の標章と認められる。


被告富山県は,本件米の名称を被告標章2と同一の富富富に決定したほか,被告標章3,4,8を用いたり,被告標章5から7の文字列を用いた
りした。(前記第2の1⑶ア~オ)
3
被告JAライフ富山による標章の使用について


後記4の本件商標と被告標章1から8の類否の判断に先立ち,被告JAライフ富山は被告標章1,2を使用していない旨や本件米袋2の表面に付した
のは別紙本件米袋2表面のとおりの標章である旨主張するので検討する。⑵ア

被告JAライフ富山は,別紙本件米袋2表面のとおりの標章等が付され
(ただし,上下の縁にも富富富(ふふふ)2kg等の記載がある。),裏面の原料玄米の品種欄に富富富との記載がされた本件米袋
2を製造し,本件米の精米をこれに詰めて販売している(前記1⑷)。また,本件米袋2の表面の写真を,運営する店舗の陳列棚の周辺に設置したポスター,ウェブサイトに表示した(同前)。


本件米袋2の表面の中央に記載されているのは,被告標章4の中央の富富富の文字列と左右の稲穂の図柄の間に,それぞれ

うまみ。あまみ。ふと香る。

ほほえむうまさ,富山から。

という縦書きの文字列を加えた上,左下の部分に枠で囲った富山県産という縦書きの文字列を加え,右下の部分に2kgという横書きの文字列を加え
たものである(甲24)。
このうち,

うまみ。あまみ。ふと香る。

ほほえむうまさ,富山から。

という縦書きの文字列は,それが商品の説明ともいえることや被告標章4を構成する文字列,図柄に比べて相当に小さい文字で記載されていることから,本件米袋2の表面にも被告標章4が使用されている
と認められる。
他方,本件米袋2の上下左右に記載されている富富富(ふふふ)2kgとの文字列は,本件米袋2が本件米の精米の包装として製造されており,それらが普通に用いられる方法で表示されていることなどからも,商品である本件米の精米の産地,量,品種等を示すものとして付加され
たものであるとも理解できるものであり,被告標章4を構成する上記部分等とは別に,富富富(ふふふ)2kg等の文字列を使用したということもできると認められる。

そして,本件米袋2の表面の上下左右の縁に記載された富富富(ふふふ)2kgという文字列のうち,富富富(ふふふ)の部分は,富の漢字がふと読めることから,富富富の部分とその読み仮名を括

弧内に付記した(ふふふ)の部分が結合したものであると自然に理解できるものであり,これを見た者はこれらを一体のものとして認識するといえ,これらの文字列は分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているといえる。
したがって,被告JAライフ富山は富富富(ふふふ)2kgの文字
列を使用したといえるが,その一部である被告標章1(ふふふ)が,単独で標章として使用されているとは認められず,ふふふは,富富富と一体として使用されているといえる(これについての本件商標との類否については,後記4⑺において検討する。)。⑶

被告JAライフ富山が運営する店舗の本件米の陳列場所に貼付された商品札のふふふと読み仮名を付した富富富の表示(

は,富

の漢字がふと読めることや各部分の配置から,ふふふの部分は富富富の部分の読み仮名を記したものと自然に理解できるものであり,これを見た者はこれらを一体のものとして認識するといえ,これらの文字列は分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているといえる。
したがって,上記のふふふと読み仮名を付した富富富の表示のう
ち,その一部である被告標章1(ふふふ)が,単独で標章として使用されているとは認められず,ふふふは,富富富と一体として使用されてい
るといえる。これについての本件商標との類否については,後記4⑺において検討する。
また,被告JAライフ富山は,本件米の精米の販売に当たり,被告標章2の文字列と同一の富富富という表示(ちらしにおける富・富・富の表示も実質的には富富富の表示であると認められる。)を使用した。
なお,被告標章4には,中央の富富富の文字列と左右の稲穂の図柄の下にふふふの文字があり,本件米袋2の被告標章4にもふふふの
文字が使用されているが,そのふふふは,その配置や文字の字体,色等からも富富富の文字列及び左右の稲穂の図柄と一体の標章と認められる。⑷

以上から,被告JAライフ富山は,被告標章4及び被告標章2の文字列を付して本件米袋2を製造し,これに本件米の精米を詰めて商品として販売するなどして,被告標章2,4を商品に使用したと認められる。他方,被告J
Aライフにおいて,被告標章1は単独で使用されておらず,富富富と一体として使用されていると認められる。被告JAライフ富山が,従前,被告標章5,6を使用したことはうかがわれず,今後使用する具体的なおそれを認めるに足りる証拠もない。
4
争点③(被告標章1から8が本件商標と同一又は類似のものであるか。)について
上記のとおり,被告標章1は被告富山県においても被告JAライフ富山においても単独で使用されていないこと,被告富山県は,被告標章5について写真をアップロードする際に投稿を集約して表示させるために用いるものであると
主張し,被告標章6について被告標章2の称呼の一つをローマ字表記したにすぎないと主張していることを考慮し,まず,被告標章2から4,7,8について,本件商標と類似するかについて検討する(後記⑵~⑹)。次に,富富富(ふふふ)等という態様で使用された被告標章1について,本件商標と同一又は類似といえるかについて検討し(後記⑺),その後,被告標章5及び6に
ついて本件商標と同一又は類似であるかについて検討する(後記⑻,⑼)。⑴

本件商標について
本件商標は,ふふふの平仮名文字によって成り,フフフの称呼を
生じ,口を開かずに軽く笑う声,口を閉じぎみにして低く笑うときの笑い声の様子,いたずらっぽく,少々ふざけて,含み笑いをするときの様子等といった観念を生じ得る。(甲28~32,乙1,丙1)



被告標章2について


被告標章2は,富富富の漢字によって成り,フフフ,トミトミトミの称呼を生じる。そして,富の漢字に,

とむ。物がゆたかにある。とみ。財産。

という意味があること(弁論の全趣旨)から,被告標章2は,これらの意味や3つの富という漠然とした意味合いを想起させることがあるとしても,何らかの具体的な観念を生じるとまではい
えない。

被告標章2と本件商標を比較すると,これらは外観において明らかに異なる。他方,被告標章2と本件商標は,フフフの称呼を共通にする場合がある。もっとも,被告標章2は特定の観念を生じないのに対し,本件商標は軽く笑う声等の観念を生じ,これらは観念において異なる。
そうすると,被告標章2と本件商標は,称呼において類似する場合があるとしても,外観,観念において相違しており,その出所について誤認混同を生じさせるような取引の実情があるとは認められず,同一又は類似の商品等に使用された場合に,商品等の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるとは認められない。

したがって,被告標章2は本件商標と同一又は類似のものではない。なお,富富富は,被告富山県によって育成された本件米の品種名であり(前記1⑴,⑹),被告富山県は,特に,平成30年秋頃以降,本件米について積極的に広告,宣伝しており(同⑸),富富富が米の品種名であることは相当程度知られていたと認められる。被告標章2は,
この品種名を普通に用いられる方法で表示したものである。


被告標章3について

被告標章3は,字体のやや異なる薄緑色の富を3つ斜め縦書きに並べ,各富の右に比較的小さな同色のふをそれぞれ付して成る。そ

して,被告標章3のこれらの構成のうち,特徴のある字体や大きさ,配置等から富富富の部分が圧倒的にこれを見た者の注意をひくのに対して,
富の漢字がふと読めることや配置から,ふふふの部分は富富富の部分の読み仮名を付記したものであることが自然に理解できるものである。したがって,被告標章3のうち中心的な識別機能を有する部分は富富富の部分であり,また,ふふふの部分の識別機能は弱いと
いうべきである。

そして,富富富の部分はフフフ,トミトミトミの称呼を生
じ得るものの,フフフの称呼を生じるふふふの部分と結合してい
ることによって,被告標章3は,全体としてフフフの称呼を生じるというべきである。
また,富富富の部分は,何らかの具体的な観念が生じるとまではい
えず(前記⑵ア),ふふふの部分は軽く笑う声等の観念を生じ得る(前記⑴)が,これと結合することによっても,中心的な識別機能を有する富富富の部分ひいては被告標章3全体に,何らかの具体的な観念が付加されるとはいえない。

被告標章3と本件商標を比較すると,これらは外観において明らかに異なる。被告標章3の一部のふふふの部分は,富富富の部分の読み
仮名を付記したものであることが自然に理解できるものであり,識別機能は弱い。他方,被告標章3と本件商標は,フフフの称呼を共通にする。もっとも,被告標章3は特定の観念を生じないのに対し,本件商標は軽く
笑う声等の観念を生じ,これらは観念において異なる。
そうすると,被告標章3と本件商標は,称呼において類似する場合があるとしても,外観,観念において相違しており,その出所について誤認混同を生じさせるような取引の実情があるとは認められず,同一又は類似の商品等に使用された場合に,商品等の出所につき誤認混同を生ずるおそれ
があるとは認めるに足りない。
したがって,被告標章3は本件商標と同一又は類似のものではない。


被告標章4について

被告標章4は,中央に字体の異なる赤色の富を3つ縦書きに並べ,その左右を金色の稲穂の図柄によって囲い,その下に比較的小さな赤色の文字でふふふを横書きに配置して成る。そして,被告標章4のこれらの構成のうち,特徴のある字体や大きさ,配置等から,富富富
の部分がこれを見た者の注意を引くものであるのに対し,富の漢字がふと読めることから,ふふふの部分は富富富の部分の読
み仮名を付記したものであると自然に理解できるものである。したがって,被告標章3のうち中心的な識別機能を有する部分は富富富の部分であり,ふふふの部分の識別機能は弱いというべきである。

そして,富富富の部分はフフフ,トミトミトミの称呼を生
じ得るものの,フフフの称呼を生じるふふふの部分と結合して
いることによって,被告標章4は,全体としてフフフの称呼を生じるというべきである。
また,富富富の部分は,何らかの具体的な観念が生じるとまではい
えず(前記⑵ア),稲穂の図柄の部分は稲や米の観念が生じ,ふふふの部分は軽く笑う声等の観念を生じ得る(前記⑴)が,これらと結合することによっても,富富富や被告標章4全体に,何らかの具体的な観念が付加されるとはいえない。

被告標章4と本件商標を比較すると,これらは外観において明らかに異なる。被告標章4の一部のふふふの部分は,富富富の部分の読
み仮名を付記したものであることが自然に理解できるものであり,識別機能は弱い。他方,被告標章4と本件商標は,フフフの称呼を共通にする。もっとも,被告標章4は特定の観念を生じないのに対し,本件
商標は軽く笑う声等の観念を生じ,これらは観念において異なる。そうすると,被告標章4と本件商標は,称呼において類似する場合があ
るとしても,外観,観念において相違しており,その出所について誤認混同を生じさせるような取引の実情があるとは認められず,同一又は類似の商品等に使用された場合に,商品等の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるとは認めるに足りない。
したがって,被告標章4は本件商標と同一又は類似のものではない。


被告標章7について

被告標章7は,とやま食の王国大使ふふふという平仮名及び漢字の標準文字を横書きして成り,通常トヤマショクノオウコクタイシフフフの称呼を生じる。そして,被告標章7は,日本語の通常の読み方からとやま,食の王国,大使,ふふふが結合したものであること
が一見して了解可能である。上記各部分の文字の大きさ及び書体は同一であって,その全体が等間隔に1行でまとまりよく表されているものであるから,上記各部分のうちの一部が独立して見た者の注意をひくように構成されているとはいえない。また,上記各部分は,日本語の通常の読み方から,とやまは富山県や富山市等の日本の北陸地方の富山という地名を
意味すると理解され,富山を食の王国と表現して,それについての広報活動をする者としての大使であるふふふという名称の者といっ
た意味合いが生じ,一連一体のものとして,被告標章7全体に,食の王国と表現された富山についての広報活動をするふふふという名称の者という観念が生ずるといえる。したがって,被告標章7は全体として識
別機能を有するというべきである。

被告標章7と本件商標を比較すると,これらは外観において明らかに異なる。他方,被告標章7は,本件商標のフフフの称呼を一部に含むものの,全体の称呼は全く異なり,被告標章7は食の王国と表現された
富山についての広報活動をする者としての大使であるふふふとい
う名称の者という観念を生じるのに対し,本件商標は軽く笑う声等の観念
を生じ,これらは観念において異なる。
そうすると,被告標章7と本件商標は,外観,称呼,観念において相違しており,その出所について誤認混同を生じさせるような取引の実情があるとは認められず,同一又は類似の商品等に使用された場合に,商品等の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるとは認めるに足りない。
したがって,被告標章7は本件商標と同一又は類似のものではない。⑹

被告標章8

被告標章8は,中央に字体の異なる赤色の富を3つ横書きに並べ,その左右を金色の稲穂の図柄によって囲い,その下に比較的小さな赤色の文字でふふふを横書きに配置して成る。そして,被告標章8のこ
れらの構成のうち,特徴のある字体や大きさ,配置等から富富富の部分がこれを見た者の注意を引くのに対し,富の漢字がふと読
めることから,ふふふの部分は富富富の部分の読み仮名を付記
したものであることが自然に理解できる。したがって,被告標章8のうち中心的な識別機能を有する部分は富富富の部分であり,ふふふ

の部分の識別機能は弱いというべきである。
そして,富富富の部分はフフフ,トミトミトミの称呼を生
じ得るものの,フフフの称呼を生じるふふふの部分と結合して
いることによって,被告標章8は,全体としてフフフの称呼を生じるというべきである。

また,富富富の部分は,何らかの具体的な観念が生じるとまではいえず(前記⑵ア),稲穂の図柄の部分は稲や米の観念が生じ,ふふふの部分は軽く笑う声等の観念を生じ得る(前記⑴)が,これらと結合することによっても,中心的な識別機能を有する富富富や被告標章8全体に,何らかの具体的な観念が付加されるとはいえない。


被告標章8と本件商標を比較すると,これらは外観において明らかに異
なる。被告標章8のうちふふふの部分の識別機能は弱いというべきである。他方,被告標章8と本件商標は,フフフの称呼を共通にする。もっとも,被告標章8は特定の観念を生じないのに対し,本件商標は軽く笑う声等の観念を生じ,これらは観念において異なる。
そうすると,被告標章8と本件商標は,称呼において類似する場合があ
るとしても,外観,観念において相違しており,その出所について誤認混同を生じさせるような取引の実情等があるとは認められず,同一又は類似の商品等に使用された場合に,商品等の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるとは認めるに足りない。
したがって,被告標章8は本件商標と同一又は類似のものではない。


富富富(ふふふ)や,ふふふという読み仮名が付された富富富
について

被告富山県及び被告JAライフ富山は,被告標章1を単独で標章として使用しているとはいえない一方,富富富(ふふふ)という標章,又
は,ふふふという読み仮名を付した富富富という標章において,
ふふふを使用している(前記2,3⑴イ



)。

これらについて,富富富の部分はフフフ,トミトミトミの
称呼を生じ得るものの,フフフの称呼を生じる(ふふふ),
ふふふの部分と結合していることによって,富富富は,全体と
してフフフの称呼を生じるというべきである。そして,ふふふ
の部分は,富富富の部分の読み仮名を付記したものであると自然に理解できるものであり,識別機能は弱い。
また,富富富の部分は,何らかの具体的な観念が生じるとまではいえず(前記⑵ア),(ふふふ),ふふふの部分は,富富富
の読み仮名であることが明らかであるから,富富富に,何らかの具体的な観念が付加されるとはいえない。


富富富(ふふふ)という標章や,ふふふと読み仮名を付した

富富富の標章と本件商標を比較すると,これらは外観において明らかに異なる。これらの標章のうちふふふの部分の識別機能は弱い。他方,上記各標章と本件商標は,フフフという称呼を共通にする。もっとも,上記各標章は特定の観念を生じないのに対し,本件商標は軽
く笑う声等の観念を生じ,これらは観念において異なる。
そうすると,上記各標章と本件商標は,称呼において類似する場合があるとしても,外観,観念において相違しており,その出所について誤認混同を生じさせるような取引の実情があるとは認められず,同一又は類似の商品等に使用された場合に,商品等の出所につき誤認混同を生ずる
おそれがあるとは認めるに足りない。
したがって,上記各標章は本件商標と同一又は類似のものではない。⑻

被告標章5について
被告富山県は,富山県内で開催された本件イベント2に関し,被告標章5
の文字列を含む「♯fufufu!と食べたい

とやま極上の味」との

文言を使用した(前記1⑸)。
本件イベント2は,被告富山県が,富山県の食の魅力を県内外に発信するために不定期に実施している企画の一環として開催されたものである。本件イベント2は,特に本件米の新発売等を踏まえた特色があることが明らかにされ,会場において,本件米の広告,宣伝がされ,本件米を紹介する企画等が催されていた(前記1⑸)。これらから,上記文言も,本件米についてインスタグラムに投稿してもらい,本件米を一層広く発信することにつなげることへの期待も含めて,本件米の名称である富富富を欧文字で表示したものとハッシュ記号を組み合わせたという観点も込めて定められたものとい
え,上記語句を見た需要者は,その♯fufufu!の部分は,富富富という名称の本件米の名称である富富富を欧文字で表示したという
意味を有すると理解すると認められる。
本件においては,被告富山県による被告標章5の使用は,本件イベント2における使用が問題となるところ(他に,被告富山県が被告標章5を使用したことを認めるに足りる証拠はない。),そこにおける被告標章5の使用の態様に鑑みれば,その被告標章5は,本件米の名称である富富富の欧文
字による表記にハッシュタグ等を組み合わせたものといえることが明らかであって,そこからは本件米の名称であるとの観念が生じるのであり,これは,本件商標の観念と類似しない。そうすると本件商標と被告標章5の称呼は一致するといえるが,その外観が異なるほか,その観念は一致せず,被告標章5の使用の態様に鑑みると,本件商標と上記の使用による被告標章5は類似
しない。


被告標章6について
被告富山県は,東京都内で開催された本件イベント1に関し,本件パンフレット1を作成,配布したところ,本件パンフレット1には,中央に,ふふふふふふと読み仮名を付した「富富富」とグルメフェスタとの文字が2段にわたり大きく記載され,その上にやや小さな文字で,FUFUFUとGOURMETFESTAと2段にわたり記載されている。そして,
これらの本件イベント1の名称の表記の下に,富山のお米「富富富を使ったメニューが大集合!」と紹介されているほか,開催期間,場所や,本件米についての紹介等がされ,その全体の様々な箇所にRICE,SUSHIROLLS,FUFUFUなど,本件イベント1に関係しイ
ベントの趣旨を表すような語句が模様化されて記載されていた(前記1⑸,甲19)。本件イベント1は,参加する飲食店が一斉に,富富富という名称の本件米を使った料理を提供するというものであり(前記1⑸),イベントの名称も,富富富という名称(品種名)でありふふふと読むことがある本件米(前記⑴,⑹)を使った料理に関するイベントであることが
明らかになるよう,本件米の名称を冠して,「富富富グルメフェスタ」とされたものといえる。
本件パンフレット1におけるFUFUFU,GOURMETFESTAの上記の記載方法によれば,ここにおける被告標章6(FUFUFU)の文字列の記載は,本件イベント1の名称である「富富富グルメフ
ェスタ」の富富富の欧文字による表記と理解することができるものである。また,本件イベント1の上記の性格によれば,需要者は,本件パンフレット1におけるFUFUFUは,本件米の名称である富富富を欧文字で表記したものと理解すると認められる。
本件においては,被告富山県による被告標章6の使用は,本件イベント1
の本件パンフレット1における使用が問題となるところ,そこにおける被告標章6の使用の態様に鑑みれば,その被告標章6は,本件米の名称である富富富の欧文字による表記であるといえることが明らかであって,そこからは本件米の名称であるとの観念が生じるのであり,これは,本件商標の観念と類似しない。そうすると本件商標と被告標章6の称呼は一致するとい
えるが,その外観が異なるほか,その観念は一致せず,被告標章6の使用の態様に鑑みると,本件商標と上記の使用による被告標章6は類似しない。なお,本件イベント2の実行委員会が作成した本件パンフレット2には,FUFUFUgram等の表示があるところ,前記⑻で検討した本件イベント2の性格等に照らせば,これを見た者は,そこにおけるFUFUFUは,本件米の名称である富富富を欧文字で表示したという意味も有すると理解すると認められ,その表示と本件商標の観念は一致せず,上記のFUFUFUの使用の態様に鑑みると,上記表示は本件商標と類似しない。

小括
以上のとおり,被告標章2から4,7,8は本件商標と類似のものではな
く(前記⑵~⑹),富富富(ふふふ)やふふふという読み仮名が付された富富富についても本件商標と同一又は類似のものではない(前記⑺)。また,被告富山県による被告標章5,6の使用は,本件商標と類似する標章の使用ということはできない(前記⑻,⑼)。第4

結論
以上のとおり,被告らが被告標章1を単独で使用しているとは認められず(前記第3の2⑵,同3⑴),被告標章2から4,7,8,富富富(ふふふ)やふふふという読み仮名が付された富富富は本件商標と同一又は類似のものではない(同4⑵~⑺)。また,被告富山県による被告標章5,
6の使用は本件商標と類似の標章の使用ということはできず(同⑻,⑼),被告JAライフ富山が被告標章5,6を使用するおそれがあるとは認められない(同3⑵)。
そうすると,その余の争点について判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないから,棄却すべきである。

よって,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第46部

裁判長裁判官

柴田義明
裁判官

佐伯良子
裁判官

棚井啓
別紙
商標目録

以上
別紙
被告標章目録
1
ふふふ

2
富富富

345
♯fufufu!

6
FUFUFU

7
とやま食の王国大使ふふふ

8
別紙
本件米袋2表面

以上
別紙
ウェブサイト目録(省略)

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