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文化財保護法違反、道路交通法違反、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
事件番号令和3(わ)92
事件名文化財保護法違反,道路交通法違反,銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
裁判年月日令和3年5月26日
裁判所名・部奈良地方裁判所
裁判日:西暦2021-05-26
情報公開日2021-06-10 16:00:47
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令和3年5月26日宣告
令和3年(わ)第92号,第102号

文化財保護法違反,道路交通法違反,銃砲刀

剣類所持等取締法違反被告事件

判決主文
被告人を懲役10月に処する
この裁判確定の日から3年間その刑の執行を猶予し,その猶予の期間中被告人を保護観察に付する。

理由
【罪となるべき事実】
被告人は,
第1

令和3年2月7日午前2時頃,奈良市a町b番地c南側路上において,天然
記念物である奈良のシカ1頭に対し,斧様のものを使用して,同シカに前頭骨貫通を伴う創傷の傷害を負わせ,よって,同シカを死に至らしめ,もってその保存に影響を及ぼす行為をして,天然記念物を滅失し
第2

酒気を帯び,呼気1リットルにつき0.26ミリグラムのアルコールを
身体に保有する状態で,令和3年2月10日午後11時50分頃,三重県松阪市d町e番地f付近道路において,普通乗用自動車を運転し
第3

法定の除外事由がないのに,令和3年3月2日,三重県松阪市g町h番
地i被告人方において,刀剣類である刃渡り約45.7センチメートルの刀1振を所持した
ものである。
【法令の適用】


判示第1の行為

文化財保護法196条1項

判示第2の行為

道路交通法117条の2の2第3号,65条1項,同法施行
令44条の3

判示第3の行為

銃砲刀剣類所持等取締法31条の16第1項1号,3条1項

刑種の選択

判示第1ないし第3

いずれも懲役刑

併合罪加重

刑法45条前段,47条本文,10条(最も重い判示第1
の罪の刑に法定の加重)

刑の全部の執行猶予

刑法25条1項

保護観察

刑法25条の2第1項前段

訴訟費用の不負担

刑事訴訟法181条1項ただし書

【量刑の理由】
本件は,①天然記念物である奈良のシカ(以下単にシカという。)1頭を斧様のものを用いて死に至らしめたという文化財保護法違反の事案,②酒気帯び運転をしたという道路交通法違反の事案,③刀1振を所持したという銃砲刀剣類所持等取締法違反の事案である。
①文化財保護法違反の事案についてみると,奈良公園内に生息する野生動物であるシカが被告人の自動車に頭突きをしたことに腹を立てたという動機に特段の酌むべき事情はない。被告人は,シカを殺そうと考え,シカの前頭骨を貫通させるほどの力を込めて斧様のものをシカの頭部に振り下ろして殺害したものであり,動物の生命を軽視した残忍で悪質な犯行態様である。天然記念物の滅失という結果も重大である。
②道路交通法違反の事案についてみると,コンビニに買い物に行こうと思ったという動機に酌むべき余地はない。被告人は,飲酒終了後比較的短時間しか経過しておらず,体内にアルコールが残っていると認識していたにもかかわらず,自動車の運転をし,実際に自損事故を起こしており,場合によっては重大な人身事故につながりかねない危険な運転態様である。本件犯行には常習性が認められる。③銃砲刀剣類所持等取締法違反の事案についてみると,頑丈で本格的な日本刀を
所持してみたいという安易な動機に酌むべき余地はない。被告人が所持していた刀は刃渡り約45センチメートルに及び,十分な殺傷力を有する危険なものである。これら一連の事情を併せ考えると,被告人の刑事責任を軽視することはできない。一方で,被告人が反省の言葉を口にしていること,被告人の雇用主が出廷し,今後の更生を援助する旨述べていること,被告人の母が今後の更生を援助する旨述べていること,被告人が自動車を処分したこと,被告人には懲役刑又は禁錮刑に処せられた前科がないことなど,被告人のために酌むべき事情もある。そこで,被告人を主文掲記の刑に処した上,今回に限り,その刑の執行を猶予するのが相当である。また,被告人に対しては,公的機関の指導監督の下で更生を促す必要があると判断し,併せて保護観察に付すこととした。
(求刑

懲役10月)

令和3年5月26日
奈良地方裁判所刑事部

裁判官

石川理紗
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