判例検索β > 令和2年(わ)第1727号
道路交通法違反、暴行
事件番号令和2(わ)1727
事件名道路交通法違反,暴行
裁判年月日令和3年5月17日
裁判所名・部さいたま地方裁判所
裁判日:西暦2021-05-17
情報公開日2021-06-01 12:00:47
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事件番号

第1727号
第300号

事件名

:道路交通法違反,暴行被告事件

裁判年月日:令和3年5月17日
裁判所名

:さいたま地方裁判所


:第4刑事部

判示事項の要旨
自転車の運転者が,他の自動車の通行を妨害する目的で,後続車両の直前に自車を進出させたり,対向車両に自車を接近させたりした行為について,令和2年法律第42号(道路交通法の一部を改正する法律)によって創設された道路交通法117条の2の2第11号チ,70条(妨害運転の罪)が適用された事例。
主文
被告人を判示第1の罪について罰金20万円に,判示第2な
いし第5の罪について懲役8月に処する。
未決勾留日数中90日をその懲役刑に算入する。
その罰金を完納することができないときは,金5000円を
1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,
第1

平成30年9月26日午後7時45分頃,埼玉県桶川市(以下略)路上において,A(当時70歳)に対し,石を同人に向けて投げつけてその左腰部に当てる暴行を加え

第2

令和2年3月18日午後7時9分頃,自転車を運転し,埼玉県上尾市(以下
略)付近道路を桶川市方面からさいたま市方面に向かい進行するに当たり,同道路の車道を後方から時速約49ないし51キロメートルで同一方向に進行してきたB(当時49歳)運転の普通乗用自動車に対し,同道路左側から右に急転把して時速約21ないし22キロメートルで同車の直前の車道に進出し,前記B運転車両に自車を接近させ,もって他人に危害を及ぼすような速度と方法で運転し
第3

自転車を運転し,C(当時40歳)運転の準中型貨物自動車の通行を妨害する目的で,

1
同年9月27日午後5時5分頃,千葉県流山市(以下略)付近道路を千葉県野田市方面から千葉県柏市方面に向かい進行するに当たり,同道路の車道を後方から時速約23キロメートルで同一方向に進行してきた前記C運転車両に対し,同道路左側から右に急転把して時速約20ないし27キロメートルで同車の直前の車道に進出し,同車に自車を接近させ,他人に危害を及ぼすような速度と方法で運転し,

2
前記日時頃,千葉県流山市(以下略)付近道路を千葉県野田市方面から千葉県柏市方面に向かい進行するに当たり,同道路の車道を後方から時速約23キロメートルで同一方向に進行してきた前記C運転車両に対し,同道路左側から右に急転把して時速約20キロメートルで同車の直前の車道に進出し,同車に自車を接近させ,他人に危害を及ぼすような速度と方法で運転し,
3
前記日時頃,千葉県流山市(以下略)付近道路を千葉県野田市方面から千葉県柏市方面に向かい進行するに当たり,同道路の車道を後方から時速約31キロメートルで同一方向に進行してきた前記C運転車両に対し,同道路左側から右に急転把して時速約20キロメートルで同車の直前の車道に進出し,同車に自車を接近させ,他人に危害を及ぼすような速度と方法で運転し,
もって同人運転車両に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法により運転し

第4

同年10月5日午後2時3分頃,自転車を運転し,埼玉県桶川市(以下略)付近道路を北本市方面から伊奈町方面に向かい進行するに当たり,D(当時32歳)運転の普通乗用自動車の通行を妨害する目的で,同道路対向車線上を時速約39ないし43キロメートルで対向進行してきた同車に対し,その直前で右に急転把して時速約19ないし20キロメートルで同道路中央線上に進出し,前記D運転車両に自車を接近させ,他人に危害を及ぼすような速度と方法で運転し,もって同人運転車両に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法により運転し

第5

同日午後2時5分頃,自転車を運転し,埼玉県桶川市(以下略)付近道路を川島町方面から伊奈町方面に向かい進行するに当たり,E(当時44歳)運転の普通乗用自動車の通行を妨害する目的で,同道路対向車線上を時速約25ないし27キロメートルで対向進行してきた同車に対し,その直前で右に急転把して時速約17ないし18キロメートルで同道路中央線上に進出し,前記E運転車両に自車を接近させ,他人に危害を及ぼすような速度と方法で運転し,もって同人運転車両に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法により運転し

たものである。
(証拠の標目)省略
(確定裁判)省略
(法令の適用)


判示第1の行為につき

刑法208条

判示第2の行為につき

道路交通法119条1項9号,70条

判示第3の1ないし3の行為につき
包括して道路交通法117条の2の2第11号
チ,70条

判示第4及び第5の各行為につき
それぞれ道路交通法117条の2の2第11号
チ,70条
刑種の選択
判示第1の罪につき

罰金刑を選択

判示第2ないし第5の各罪につき
それぞれ懲役刑を選択
併合罪の処理
判示第1の罪につき

刑法45条後段,50条

判示第2ないし第5の罪につき
刑法45条前段,47条本文,10条(刑及び
犯情の最も重い判示第3の罪の刑に法定の加重)
未決勾留日数の算入

刑法21条(懲役刑に算入)


刑法18条

役場留置
訴訟費用の不負担

刑事訴訟法181条1項ただし書

(量刑の事情)
まず,自転車による妨害運転の各犯行についてみると,被告人は,自転車を運転中,自動車の通行を妨害する目的で,急転把して後続車両の直前に自車を進出させたり,車道の中央線上に進出して対向車両に自車を接近させたりしたもので,重大な交通事故を引き起こしかねない危険で悪質な犯行である。犯行の動機は,自動車の運転者に嫌がらせをすることによる快感を味わいたいなどというもので,身勝手極まりない。しかも,被告人は,本件と同じ自転車の妨害運転による道路交通法違反罪を含む罪で,令和2年2月に,懲役2年,4年間執行猶予,付保護観察に処されたのであるから,いかなる罪も犯さず,まして同種犯行を繰り返さないことを強く求められる立場にあったのに,わずか1か月余りで判示第2の犯行に及び,その後も判示第3ないし第5の犯行を繰り返したものであり,強く非難される。次に,
暴行の犯行は,被告人の自転車の運転方法を注意した被害者に対し,立腹して石を投げつけたというもので,甚だ危険な犯行であり,動機も身勝手というほかない。以上によれば,被告人の刑事責任を軽く見ることはできず,被告人が各公訴事実を認めた上,今後は二度とこのような犯罪を繰り返さない旨述べるなど反省の態度を示していること,本件により勤務先を解雇されるなど一定の社会的制裁を受けたこと,前刑の執行猶予が取り消され本刑と併せて執行されることなど被告人のために酌むべき事情を考慮しても,主文の刑は免れない。
(求刑

判示第1に罪につき罰金20万円,判示第2ないし第5の罪につき懲役1
0月)
(裁判官

中桐圭一)

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