判例検索β > 平成31年(ワ)第784号
商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟
事件番号平成31(ワ)784
事件名商標権侵害差止等請求事件
裁判年月日令和3年4月26日
裁判所名大阪地方裁判所
権利種別商標権
訴訟類型民事訴訟
裁判日:西暦2021-04-26
情報公開日2021-05-24 16:02:30
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令和3年4月26日判決言渡
平成31年(ワ)第784号
口頭弁論終結の日

同日判決原本交付

裁判所書記官

商標権侵害差止等請求事件

令和3年3月8日
判決
原告
原告補助参加人

株式会社山福

被告

株式会社三光食品

同訴訟代理人弁護士

坂田吉郎

同訴訟復代理人弁護士

土屋悟

同訴訟代理人弁理士

P1

安達友和

主1文
被告は,原告に対し,116万5027円並びにうち74
万8940円に対する平成31年2月24日から支払済みま

で年5%の割合による金員,うち35万8284円に対する
令和2年8月13日から支払済みまで年5%の割合による金
員及びうち5万7803円に対する令和2年8月13日から
支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。
2
原告のその余の請求をいずれも棄却する。

3
訴訟費用のうち原告補助参加人の参加によって生じた費用
は,これを50分し,その1を被告の負担とし,その余は原
告補助参加人の負担とし,その余の訴訟費用は,これを50
分し,その1を被告の負担とし,その余は原告の負担とする。

4
この判決は,第1項に限り仮に執行することができる。
事実及び理由
第1
1
請求
被告は,たこ焼きに関する広告,たこ焼きの価格表及びたこ焼きに関する取
引書類に別紙被告標章目録記載の標章を付して展示し,又は頒布してはならない。2
被告は,たこ焼きに関する看板,ショウウインドウ等の広告物及びウェブサ
イトから別紙被告標章目録記載の標章を削除せよ。
3
被告は,原告に対し,4534万9030円並びにうち620万2000円
に対する平成31年2月24日から支払済みまで年5%の割合による金員,うち3612万3761円に対する令和2年8月13日から支払済みまで年5%の割合による金員及びうち302万3269円に対する令和2年8月13日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。
第2
1
事案の概要
本件は,別紙商標権目録記載の商標権(以下本件商標権といい,本件商
標権に係る商標を本件商標という。)を有する原告が,別紙被告標章目録記載の標章(以下被告標章という。)を包装等に付してたこ焼きを販売する被告の行為は本件商標権の侵害に当たるとして,被告に対し,商標法36条に基づき,たこ焼きに関する広告等に被告標章を付して展示等することの差止め並びにたこ焼きに関する看板等の広告物及びウェブサイトからの被告標章の削除を求めると共に,民法709条に基づく損害賠償として4534万9030円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事案である。
2
前提事実(証拠を掲げていない事実は争いのない事実である。)

(1)

当事者等

原告は,たこ焼きの製造販売等を業とする者である。また,原告補助参加人は,飲食店の経営等を業とする株式会社であるところ,原告との間で本件商標権に係る商標使用許諾契約を締結している者であり,その代表取締役は原告である。被告は,平成6年5月30日に設立された,たこ焼きを主とする軽食の製造販売等を業とする株式会社である。より具体的には,被告は,たこ焼き,たい焼き等の
和風ファーストフードの製造販売やたこ焼き専門店蛸焼工房のチェーン及びフランチャイズ展開を,その事業内容とする(乙1,2)。
(2)

本件商標権

原告は,別紙商標権目録記載のとおりの商標権(本件商標権)を有する。(3)

被告の行為


被告は,平成11年1月頃から,被告標章を付した看板及びショウウィンド
ウを使用する店舗においてたこ焼きを製造,販売し,又は販売のために展示しているところ,その際,被告標章を商品の包装に付して使用していた(以下,被告店舗とは,このような店舗を指す。)。また,被告は,その運営するウェブサイトにおいて,被告標章を付した商品の広告を掲載していた。

本件商標の指定商品(第30類たこ焼き)と,包装に被告標章の付され
た被告の商品(たこ焼き)とが同一であること,及び本件商標と被告標章が類似することは,いずれも当事者間に争いがない。
3
(1)

先使用権(商標法32条1項)の成否(争点1)


不正競争目的の有無(争点1-1)


被告標章の周知性の有無(争点1-2)

(2)

争点

無効の抗弁の成否

被告標章の周知性(商標法4条1項10号)の有無(争点2)
権利濫用の成否(争点3)
差止等の必要性の有無(争点4)

(5)

損害の発生及び額(争点5)

4
当事者の主張

(1)
(3)
(4)

先使用権の成否(争点1)


不正競争目的の有無(争点1-1)

(被告の主張)

被告による被告標章の使用には,不正競争の目的はない。被告は,原告が雑誌等で取り上げられる以前である平成11年1月から,原告の存在を知らないまま,店舗ごとに,被告標章を付した看板を掲げ,これを付した制服を着た従業員がたこ焼き等のファーストフードを作り,被告標章のロゴが入ったパッケージに商品を入れ,被告標章を付したビニール袋に入れて,顧客に販売してきた。すなわち,被告は,真摯に事業を行ってきただけであって,そこに不正競争の目的はない。(原告の主張)
否認ないし争う。原告の店舗は,平成11年~平成12年頃の時点で取引者間では著名となっていたものであり,被告は,取引者を通じて原告及び本件商標を知っ
ていた。また,被告は,大阪府内に店舗を持たず,発祥も愛知県であるにもかかわらず,本場大阪の味を謳い文句に,平成12年頃から,周知ないし著名な本件商標の信用に便乗して,被告標章を使用する店舗を急激に増やした。さらに,被告は,その有する商標権に係る登録商標の特徴的な筆書き風の大きな円弧を店舗の看板や幟等に敢えて使用しておらず,本件商標を模倣することによって需要者に出所
を混同させる意図を有する。

被告標章の周知性の有無(争点1-2)

(被告の主張)
(ア)

被告代表者は,昭和50年9月にえび,いかせんべいの催事販売を業とし
て創業し,昭和63年7月からはドレミの屋号でたこ焼き専門店を経営するようになった。平成6年5月に法人成りして被告が設立されたところ,被告は,平成11年1月,経営する店舗の屋号を蛸焼工房(被告標章)に変更し,以後,全ての店舗の屋号をこれに変更し,たこ焼きを始めとするファーストフードを販売し続けている。
被告の各店舗は大型のショッピングセンター(以下SCという。)内の一角
を借りて店舗を置き,たこ焼き等を販売するものであるが,たこ焼きを買う目的のみで来店する顧客も当然に含まれる。被告店舗においては,開店当初より,被告標
章の看板を掲げて営業を行い,被告標章を用いてたこ焼きを始めとするファーストフード商品を販売していた。販売に当たっては,被告標章を付した制服を着た従業員がたこ焼き等のファーストフードを作り,商品を被告標章のロゴを付したパッケージに入れ,これを被告標章を付したビニール袋に入れていた。
被告は,フランチャイズ契約も取り入れて毎年のように新規店舗を出店し,平成15年頃までには,愛知県,岐阜県,三重県,静岡県及び滋賀県に合計29店舗を,平成17年頃には,これに加えて京都府にも出店するなどして合計34店舗となった。その後,被告店舗数は42店舗に達したが,平成30年度(平成30年5月21日~平成31年2月末日)時点では,37店舗(愛知県29店舗,岐阜県2店舗,
三重県3店舗,静岡県2店舗,京都府1店舗)である。このように,被告は,本件商標の登録出願前から,愛知県だけでなく,岐阜県,三重県,静岡県,滋賀県,京都府にも店舗を有し,それぞれの県で10年以上店舗を維持している。さらに,年間の被告の全店舗における来客総数は約300万人であり,これまでの被告の全店舗の来客数は少なくとも3000万人を超える。

被告の売上は,平成15年に年間10億円を突破し,直近5年間の売上の平均は年間約14億円であり,全国及び愛知県いずれのレベルでも料理品小売業として高順位の売上を上げている。また,1店舗の平均売上は月額平均310万円程度であり,たこ焼き店としては高水準である。
加えて,被告は,平成10年から平成29年までの間に広告宣伝費用として27
40万1523円を支出しており,この種の業態における広告宣伝費用としては高額である。他方,被告は,求人広告にも力を入れ,これを多数行っていた。このほか,被告は,岡崎商工会議所会報や中部経済新聞に掲載されたり,エフエム岡崎やエフエム愛知に出演して宣伝を行ったりしていた。
また,被告店舗は,SC内の著名なチェーン店と並んでたこ焼きを販売している。
被告店舗に係るインターネット上の口コミや個人のブログに取り上げられることも多い。

これらの事情によれば,被告標章は,本件商標登録出願前から使用されていた結果,本件商標の登録出願の際,現に被告の業務に係る商品等を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものといえる。
(イ)
したがって,被告は,被告標章について先使用権(商標法32条1項)を
有する。
(原告の主張)
本件商標の登録出願時における被告店舗数は,主要展開地域である愛知県内のたこ焼き店の約10%程度である。しかも,被告店舗は,愛知県以外の県では2,3店舗しかなく,三重県及び岐阜県の主要都市にはないし,愛知県でも,東三河地方
や知多半島南部にはない。
また,たこ焼きの需要者は全日本国民及び訪日外国人であるところ,たこ焼きの本場である大阪府や,大阪府と並んでたこ焼きの購入を主目的として訪日外国人が訪れる観光地である東京都及び千葉県に,被告店舗はない。
さらに,被告店舗の客の多くはスーパーマーケットでの買い物を主目的とし,つ
いでに被告店舗を訪れていると推測されるから,来店客には相当多数の重複があり,実質的には年間20万人~30万人程度であると考えられる上,たこ焼き以外の取扱商品を目的として訪れる客も相当数いるものと考えられ,たこ焼きを目的とする需要者は更に少ない。しかも,被告のビジネスモデルから,広範囲からの来客は想定されていない。

広告宣伝費については,有力企業の平均は総売上高の約5%であるのに対し,被告は1%程度しか支出していない。求人広告については,その需要者はたこ焼きの需要者ではなく,掲載スペースも非常に狭い。岡崎商工会議所会報及びエフエム岡崎でのたった1回の掲載等により愛知県岡崎市全体に根付くものではなく,また,被告標章が記載されていないことから,被告標章の周知性の根拠となるものではな
い。中部経済新聞の発行部数は愛知県,静岡県,岐阜県及び三重県の新聞発行数の2%強程度にとどまる上,当該記事は三河・静岡版に掲載されたものであり,
かつ,購読者層も限られたビジネスパーソンのみである。さらに,エフエム愛知での放送は本件商標の登録出願の約1年4か月後である。
被告店舗は,地域密着型の総合スーパー内の出入り口付近に存在するところ,こうしたスーパーは近隣住民しか利用せず,しかも,客はスーパーでの買い物や著名なチェーン店での食事を主目的としていることから,スーパーの出入り口付近に店舗があるとはいえ,買い物ついでにたこ焼きを購入した客にとって,被告標章は需要者に強い印象を与えない。被告店舗について,営業年数が長いにもかかわらず口コミ数が非常に少ないのは,こうした被告のビジネスモデルに起因するものと考えられる。

以上より,被告標章は,本件商標の登録出願の際,被告の業務に係る商品等を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたとはいえない。(2)

被告標章の周知性(商標法4条1項10号)の有無(争点2)

(被告の主張)
前記((1)イ(被告の主張)(ア))のとおり,被告標章は,本件商標の登録出願時において,被告の業務に係る商品等を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものといえる。
したがって,本件商標は,商標登録を受けることができないものであるにもかかわらず,商標法4条1項10号に違反して商標登録がされたものであり,商標登録無効審判により無効にされるべきものであるから(同法46条1項1号),原告は,
被告に対し,本件商標権を行使することができない(同法39条,特許法104条の3第1項)。
(原告の主張)
否認ないし争う。前記(1)イ(原告の主張)のとおり,被告標章は,本件商標の登録出願時において,被告の業務に係る商品等を表示するものとして需要者の間に
広く認識されていたとはいえない。
(3)

権利濫用の成否(争点3)

(被告の主張)

被告は,別紙被告商標目録記載の商標(以下被告商標という。)につき,
平成14年4月22日に商標登録出願を行い,平成15年3月14日に登録されている。この際,被告が第43類の役務のみを指定役務として出願し,第30類の商品を指定商品として出願しなかったのは出願手続の代理人である弁理士の助言に従ったためであるところ,当該弁理士が法令の解釈又は判断を誤った疑いが濃い。他方,原告は,平成20年2月15日,指定商品を第30類(たこ焼き,たこ焼きソース,たこ焼き用の粉)としてたこ焼工房/Sea&Sun/シーアンドサン(/は改行部分を示す。以下同じ。)の商標登録出願を行い,平成21年11
月6日に登録されているところ,その後に本件商標の登録出願をした。しかし,原告の営業は,大阪市内に1店舗を構えるものの,キッチンカーによる移動販売が主である。しかも,本件商標の用い方は,たこ焼工房とSea&Sunが常に一連一体の態様で表示され,むしろ後者が強調され,この名称には特別な意味が込められており,たこ焼工房を単体では使用していない。また,原告のホームペー
ジでは伊たこ焼という言葉が前面に押し出されており,これを定着させようという狙いがわかる上,ベジたこという言葉も使用されている。このように,原告には,たこ焼工房という商標にこだわりがない。にもかかわらず,原告は本件商標の登録出願を行ったものであるところ,通常,商標登録出願の際には類似の商標の有無を調査すること,原告が本件商標の登録出願の際に被告標章の存在を問
題にして早期審査を求めたことを踏まえると,原告は,被告の出店エリアや事業規模を把握し,登録後の被告への損害賠償請求を見据えて敢えてSea&Sunを外して登録出願を行ったものである。
仮に,被告が被告標章を使用し得なくなれば,被告の店舗は看板,制服,パッケージ等を変更せざるを得なくなる上,20年以上取引を続けてきた取引先にも混乱
を招き,多大な損失を生じることとなり,被告の不利益は極めて大きい。これに対し,原告の事業は,上記のとおり大阪府内で行われており,他県への出店はない。
このため,被告が被告標章を使用することにより原告が受ける不利益はない。これらの事情から,原告は,被告に対し損害賠償請求をするという不当な目的によって本件商標の登録出願を行い,本件訴訟を提起したといえるから,原告の被告に対する本件商標権の行使は権利の濫用に当たり,許されない。

原告の主張について

本件商標の商標登録から現在まで原告の店舗は1店舗しかなく,また,原告主張に係るフランチャイズ計画には具体性が伴っていないことに鑑みると,原告は,フランチャイズ計画も直営の店舗を増やす計画も有していない。
(原告の主張)
否認ないし争う。
原告は,創業当時からブランド戦略を適切に取っており,たこ焼工房とSea&Sunを併記して使用し続けている。本件商標の登録出願は,フランチャイズ計画の本格化のためであり,被告への損害賠償を目的にしたものではない。早期審査を申請したのは,被告が本件商標を模倣して使用している事実を知ったため
である。また,被告のビジネスモデルによれば,総合スーパーとそのテナントさえあればどこへでも出店が容易であるから,原告の主な営業エリアである大阪府に進出することも可能である。他方,原告の移動販売車での営業は全国各地で行われ,被告の営業エリアも含まれるから,被告が被告標章を使用し得ることになると,原告やそのフランチャイジーは,当該エリアでは独占的なブランド展開が不可能とな
る。このように,被告の先使用権が認められると,本件商標のブランド価値は低下し,ブランド戦略が大きく崩れることとなる。
重要な店舗ブランドについて管理を怠ったのは被告自身であるし,被告商標に係る商標権の存続期間の更新の際に見直す機会もあったはずである。こうした機会を自ら放棄した被告につき,法が保護する必要はない。

さらに,原告は,伊たこ焼を前面に出しているが,伊たこ焼は商品名であり,商品名を大きく前面に出すことは不自然なことではない。原告は,いずれの
商標もこだわりをもって適切に使用している。
(4)

差止等の必要性の有無(争点4)

(原告の主張)
被告は,平成11年1月頃から,被告標章を付した看板及びショウウィンドウを使用する店舗においてたこ焼きを製造,販売し,又は販売のために展示しているところ,その際,被告標章を商品の包装に付して使用し,また,運営するウェブサイトにおいて,被告標章を付した商品の広告を掲載していたものであり(前記第2の2(3)ア),そのまま現在に至る。したがって,被告による広告等における被告標章の使用を差し止めると共に,広告物及びウェブサイトからの被告標章の削除の必
要がある。
(被告の主張)
否認ないし争う。被告は,令和2年5月17日~同年7月1日の間に,順次被告の各店舗の屋号を変更し,被告標章の使用を取り止めた。したがって,被告標章の使用差止等の必要性はない。

(5)

損害の発生及び額(争点5)

(原告の主張)

原告の損害額

(ア)

被告店舗の売上

被告標章を使用してたこ焼きを販売していた被告店舗における平成28年10月~令和2年6月末までのたこ焼き粉の仕入れケースの個数は,別表記載のとおり,合計2万8401.5ケースである。なお,令和元年の合計個数は,同年1月~9月の間の合計個数に基づく推計であり((平成31年1月~令和元年9月の間の合計個数)*4/3),令和2年1月~6月の合計個数は,上記推計に係る令和元年の合計個数に基づく推計である((令和元年の合計個数)*1/2)。
1個の仕入れケースにはたこ焼き粉が合計10㎏入っており,たこ焼き粉1㎏でたこ焼きが100個製造できる。また,被告におけるたこ焼きの平均単価は1個62.25円である。もっとも,製造されたたこ焼きの5%は廃棄されている。そうすると,被告標章を使用していた被告の店舗における平成28年10月~令和2年6月末の間のたこ焼きの売上は,16億7959万3706円となる。28,401.5ケース*10kg/ケース*100個/kg*―62.25*0.95=―1,679,593,706また,被告標章はテイクアウトに係るたこ焼きの包装に付されているところ,被告店舗においては,フードコート内のものとテナントの入り口付近にあるものとを問わず,いずれもテイクアウトの割合は90%と考えられる。
(イ)

使用料率

被告がフランチャイジーから受領しているロイヤリティが売上高の約3.65%であることを考慮すると,被告が支払うべき使用料率は,テイクアウトに係るたこ焼きの売上の3%とするのが相当である。
(ウ)

使用料相当額

以上によれば,使用料相当額(商標法38条3項)は,4534万9030円となるから,これが原告の被告に対して請求し得る損害額となる。
―1,679,593,706*0.9*0.03=―45,349,030
このうち,①620万2000円が本件訴訟提起当初の請求に係る損害額である。また,請求拡張に係る損害のうち,②3612万3761円が令和2年3月までの,③302万3269円が同年4月以降の損害である。②―45,349,030/45*42-―6,202,000=―36,123,761③―45,349,030/45*3=―3,023,269
そこで,遅延損害金については,①につき平成31年2月24日(訴状送達の日の翌日)から,②につき令和2年8月13日(請求拡張申立書送達の日の翌日)から,それぞれ平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5%の割合により,また,③につき令和2年8月13日から民法所定の年3%の割合により,その支払を求める。

被告の主張について
(ア)

損害の発生

以下のとおり,本件商標は大きな顧客吸引力を有するものであり,被告標章は被告の売上に大きく寄与している。
すなわち,原告は,平成19年に店舗及び移動販売車が焼失するまでは,ほとんど本件商標を単体で使用しており,現在も,単体でも使用しているほか,2段表記の上段に本件商標を使用するなど,需要者の目につきやすい構成としている。43,Sea&Sun,シーアンドサンは,本件商標と併記しても一体的に結合している印象を与えるものではなく,需要者に強い印象を与えるのは語頭に使用されている本件商標である。また,これらの語は支店名を示しており,店舗ブラン
ドである本件商標と併記して使用するのは当然である。他方,伊たこ焼,ベジたこは商品名であり,これらの店舗ブランドである本件商標と併記して使用するのは当然である上,伊たこ焼は原告の看板メニューであるから,本件商標と組み合わせることで,互いのブランドを高め合う相乗効果を有している。また,商品に工房の語を付した商標の登録例は多数あることから,こうした
構成を持つことを根拠に自他識別力がないとはいえない。
さらに,原告は,自ら広告宣伝活動をほとんどしていないにもかかわらず,新聞,雑誌,テレビで取り上げられ,知名度の高いお台場たこ焼きミュージアムの出店店舗にも選出されている。雑誌等の記事には原告の店舗のみが紹介されている例も多く,本件商標の登録出願の2~3年前にもテレビ番組に出演している。
これらの事情によれば,本件商標は大きな顧客吸引力を有するものといえる。他方,被告標章は,被告店舗における看板,のれん等の表示により,被告店舗の需要者である近隣住民には周知となったと考えられる。被告がフランチャイジーからロイヤリティ収入を得ていることからも,被告標章の使用が被告の売上に大きく寄与していることがうかがわれる。

商圏については,たこ焼きの商品としての流通性が低いことは商圏が異なることの理由とはならない。原告は被告店舗の主要地域である愛知県及び岐阜県でも営業を行っているし,中日新聞でも大阪で有名なたこ焼き屋として紹介されたことが示すとおり,原告の店舗及び本件商標は,東海地方においても周知ないし著名であったといえる。
しかも,被告は,本場大阪の味とのキャッチフレーズを使用すると共に,被告商標から特徴ある円弧を外した標章である被告標章を看板やのれんに使用するなどして,大阪を本拠地とする原告を連想させる態様で被告標章を使用していた。加えて,被告の売上も原告のメディア露出の大小により変動していることから,被告の売上は本件商標の顧客吸引力に支えられていたといえる。営業当初より被告はこのような本件商標の顧客吸引力により売上を増大させたのであって,出願時期に関
わりなく,本件商標は,被告の売上に寄与しているといえる。
(イ)

使用料率

被告のフランチャイジーは,被告標章を使用してたこ焼きを販売しており,その売上の一部をロイヤリティとして被告が得ている以上,これらのロイヤリティは原告の得べかりし利益であり,使用料相当額に当たる。
(被告の主張)

損害の不発生

以下のとおり,本件商標には顧客吸引力が全く認められず((ア)~(オ)),被告において被告標章を使用することが被告の商品の売上に全く寄与していないから((オ),(カ)),原告には,得べかりし利益としての使用料相当額の損害は発生していない。
(ア)

本件商標は,単体では使用されておらず,たこ焼工房43,たこ焼工房Sea&Sun,たこ焼工房43「伊たこ焼」,たこ焼工房シーアンドサンとして,別の言葉と一体的に結合して使用されている。(イ)
原告の店舗においては伊たこ焼が,移動販売車においてはSea&Sun,伊たこ焼が,それぞれ需要者からよく見えるよう設計されている。原告の店舗に関する口コミにおいても,顧客からは,伊たこ焼,シーアンドサン又はSea&Sunの名称で呼ばれている。すなわち,顧客が原告を認識している標章は,Sea&Sun又は伊たこ焼であって,本件商標ではない。(ウ)

本件商標は,指定商品たこ焼きを意味する一般名詞であるたこ焼

と製造場所,販売場所を意味する工房のみからなり,たこ焼きの製造場所,販売場所の意味しかない。(エ)

原告がマスメディアの記事で紹介された時期は,本件商標の登録日より8
年~10年以上前のものばかりである上,その多くは他のたこ焼き店も紹介され又はされ得る情報誌である。このため,原告の知名度は高いとはいえない。仮に知名度があったとしても,それは本件商標ではなく,Sea&Sunや伊たこ焼の標章によるものである。
(オ)

原告及び被告が販売するたこ焼きは,できたての商品を対面販売する商品
であり,よほどの著名店でない限り,販売店舗から20分~30分程度で移動できる範囲の周辺住民が顧客の中心となる。このため,原告の商圏と被告の商圏は重ならない。
(カ)

原告は,大阪市内に1店舗を構えるほか,キッチンカー数台を利用してた
こ焼きを販売しているが,被告の商圏において本件商標の知名度は全くない。他方,被告の販売形態は,SCのフードコート内に店舗を構えるというものであり,この販売形態を維持して営業努力を重ねることで,被告は,平成18年から現在まで,大幅な増減なく13億円~14億円の売上水準を維持している。本件商標の登録出願の時期には既に被告の売上は安定していることに鑑みれば,被告標章の使用は,被告の上記売上の要因とはなっていない。

原告の損害額について

(ア)

被告店舗におけるテイクアウト販売の割合は,平均値としては70%であ
る。
(イ)

使用料率について

SC内に被告のフランチャイズ店が出店する場合,まず,被告がSC運営者との間で定期出店契約を締結し,これに基づき被告とフランチャイジーとの間で,被告が賃借した店舗をフランチャイジーに使用させる旨の定期建物SYSTEMOFFER契約を締結する。定期建物SYSTEMOFFER契約によりフランチャイジーが被告に支払うロイヤリティ(使用料(純売上高の11%相当額)等)と,定期出店契約により被告がSC運営者に支払う賃料(純売上高の8%相当額)等とを差し引きすると,フランチャイジーの純売上高の3%相当額の使用料が被告の下に残ることになる。
被告は,定期建物SYSTEMOFFER契約に基づき,フランチャイジーに対し,たこ焼きの材料供給,調理法その他のノウハウの提供,メニュー開発やポップ,張
り紙等の販促グッズの提供等を行う義務を負うところ,その対価は全て被告の下に残る上記使用料に含まれている。他方,被告において,被告標章を使用させる場合とさせない場合とで,フランチャイジーに支払わせるロイヤリティの額に差異はない。このことから,被告の下に残る上記使用料には,被告標章を使用することの対価はほとんど含まれていないといえる。

そもそも,蛸焼工房(被告標章)は,たこ焼きを作る場所を意味する一般名詞に過ぎず,フランチャイジーは,被告が提供するたこ焼きの味やたこ焼き店経営のノウハウ等を重視して被告と契約しているのであって,店名には全く重きを置いていない。そうである以上,たとえ低額でも,被告標章の使用につきフランチャイジーが使用料を支払うことはおよそ考えられない。

したがって,本件商標の使用料相当額は,ほとんど零に近いのであって,売上額の0.1%に満たないものと評価されるべきである。
第3
1
(1)

当裁判所の判断
被告標章の周知性の有無(争点1-2,2)について
当事者間に争いのない事実,証拠(甲3,10,26,乙1,2,4,
5,6の1~5,8~19,22の2,23。なお,枝番号のある証拠は,特に示さない限り,全ての枝番号を含む。以下同じ。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。

被告の事業展開及び被告標章の使用に係る経緯等

被告代表者は,昭和50年9月頃,えび,いかせんべいの催事販売を行う個人事業を創業し,昭和63年7月頃,愛知県内にドレミの屋号により最初の店舗を開店した。更にドレミを3店舗開店した後,被告代表者は,平成6年5月,被告を設立し,被告代表者の個人事業を承継させた。その後,被告は,スーパーマーケットの店内を中心にドレミの新規店舗を出店し,その数は,平成10年1月頃には10店舗に達した。
被告は,テイクアウト需要に加えて食事の需要を広く取り込むという観点から,
平成11年1月以降,既存店舗のドレミの屋号を順次蛸焼工房の屋号に変更すると共に,フランチャイズ契約も取り入れて,上記屋号の新規店舗の出店を進めた。この屋号変更に合わせ,被告は,たこ焼き専門店と称して,たこ焼き,たい焼き等和風ファーストフードの製造販売を行う業態に移行した。合わせて,被告は,平成14年4月22日,被告商標について登録出願し,平成15年3月14
日,その商標登録を受けた。
被告は,平成15年度(平成15年5月21日~平成16年5月20日)の時点で,愛知県,岐阜県,三重県,静岡県及び滋賀県に合計28店舗を展開し,その売上は10億円を超えるに至った。その後も被告は店舗数及び売上を伸ばし,本件商標の登録出願日(平成28年4月22日)を含む平成27年度(平成27年5月2
1日~平成28年5月20日)の時点では,被告は,合計42店舗(愛知県28店舗,岐阜県3店舗,三重県,滋賀県及び京都府各2店舗,静岡県5店舗)を展開し,その売上は14億を超えた。
なお,平成30年5月期における被告の売上高は13億6800万円余であり,帝国データバンクの業種別売上高ランキングの料理品小売業部門において,全国3
543社中270位,愛知県の171社中22位であった。また,飲食店口コミサイト食べログ(https://tabelog.com/)掲載に係るたこ焼き店は,令和元年6月22日時点で愛知県502件,岐阜県169件,三重県119件,静岡県118件であった。

店舗の状況等

被告は,被告店舗において,被告標章を付した看板を掲げるとともに,被告標章を付した制服を着た従業員がたこ焼き等のファーストフードを作り,被告標章を付したパッケージに商品を入れ,これを被告標章を付したビニール袋に入れて販売していた。
このような被告店舗は,基本的にはSC(多くは地域密着型の総合スーパーマーケットである)内に出店しているところ,単独で又は他のファーストフード店その
他の飲食店と共に,専門店として1階に位置し,店舗出入り口付近又はフードコートに配置されていた。その主要な取扱商品は,たこ焼き,お好み焼き,たい焼き,焼きそば,フライドポテト,杵つき団子,ソフトクリーム等である。平成27年12月21日~平成28年1月20日の1か月間における被告の直営店26店舗への来客者数は,合計約14万0673人(最多1万0048人,最少
3123人)であった。

被告による広告宣伝等の状況

(ア)

被告における平成10年度(平成10年5月21日~平成11年5月20
日)~平成29年度(平成29年5月21日~平成30年5月20日)における広告宣伝費は,合計2700万円余(最多は平成17年度の340万円余,最少は平成11年度の48万円余。なお,平成15年度は82万円余,平成27年度は200万円余である。)である。
(イ)

被告は,平成19年3月6日付け中部経済新聞の三河・静岡版のキラリ地元企業欄において紹介された。当該記事では,被告標章に言及があるほか,被告の1店舗の写真が掲載され,被告標章の付された看板等が写されている。なお,中部経済新聞は,愛知,岐阜,三重及び静岡の経済情報を掲載するブロック経済紙であり,その発行部数は9万4700部(令和元年6月22日時点)である。(ウ)

被告は,岡崎商工会議所会報平成21年3月号の特集ページに取り上
げられた。ただし,当該記事では被告標章に関する言及はなく,事業内容としてはたこやき屋のチェーン展開を手がけている旨が記載されているにとどまる。(エ)
被告の取締役は,平成22年6月17日,FMおかざきのラジオ番組に
出演した。ただし,その放送内容は不明である。なお,同局の放送区域は,愛知県の岡崎市(一部山間部を除く。),安城市,刈谷市及び知立市の全域並びに豊田市,西尾市,高浜市及び幸田町の一部である。
(オ)

このほか,被告は,本件商標の登録出願前から,出店先であるSCの折込チ
ラシに被告標章を付した広告を掲載し,配布されており,また,被告標章を掲載した求人広告も作成,配布している。
(カ)

蛸焼工房と題する被告のウェブページ(甲3)においては,平成31
年2月19日時点で,平成12年7月18日以降の総閲覧者数が15万1300人であることが示されている。

その他

(ア)

本件商標の登録出願前後を通じ,前記食べログを含む各種の口コミサ
イトや複数の第三者のブログ等において,被告店舗に関する言及がある(乙17添付の資料のうち,本件商標の登録出願前のものは,資料2,6~9,11,15~21)。また,前記食べログにおける被告の33店舗に関する口コミ数は,令和元年6月時点で,合計85件であった。
(イ)

被告は,平成29年8月23日,エフエム愛知のラジオ番組に被告代表者
が出演するなどして宣伝を行った。なお,同局のサービスエリアは,愛知県を中心とした中部圏である。
(2)

検討
被告標章の周知性の有無(争点1-2)について

(ア)

需要者の間に広く認識されている(商標法32条1項)といえるため
には,全国的に知られている必要はないものの,商品又は役務の性質等を踏まえつつ,取引の実情を考慮して,一定の地理的範囲において広く知られているものといえることを要すると解される。本件においては,たこ焼きの需要者はたこ焼きを購入しようとする一般の消費者であると見られること,たこ焼きは,通常,加熱調理されて温かい状態で食べられる食品であることなどを考慮すると,被告標章が需要者の間に広く認識されているといえるためには,被告店舗が多数存在する愛知県及びその近隣県の需要者の多くに認識されていることを要するといえる。(イ)

前記認定事実((1)ア)によれば,被告は,本件商標の登録出願まで15年
以上にわたって被告標章を使用し,店舗を展開してきたものであり,また,被告の売上,愛知県内の店舗数,各店舗の総来店者数のいずれも,決して少ないとはいえない。
しかし,本件商標の登録出願当時における愛知県を除く隣接県の店舗数は,各県とも数店舗にとどまる(前記(1)ア)。愛知県においても,本件商標の登録出願後の数ではあるものの愛知県内に500店舗を超えるたこ焼き店が存在すること(前記(1)ア)に鑑みれば,被告店舗数は,それ自体をもって被告標章が需要者の多く
に認識されていることを裏付けるに足りるほど多数であるとまではいえない。しかも,基本的にはSC内,しかも多くは地域密着型の総合スーパーマーケットに出店し,単独で又は他のファーストフード店その他の飲食店と共に,専門店として1階に位置し,店舗出入り口付近又はフードコートに配置され,たこ焼き,お好み焼き,たい焼き,焼きそば,フライドポテト,杵つき団子,ソフトクリーム等を主要
な取扱商品とするという被告店舗の出店態様等(前記(1)イ)を考慮すると,その来店客は,基本的にはスーパーマーケットを中心とするSC内の他店での買い物を目的とする買い物客のうち,買い物の合間の食事や持ち帰りの軽食として手軽に食べられる飲食物を購入するために来店する者が多数を占め,被告店舗での購入を主要な目的として来店する者は必ずしも多くないものと推察される。さらに,被告店
舗において,被告標章は来店客により容易に認識され得る態様で表示されているといえるものの,こうした来店客が被告標章に払う注意の程度は必ずしも高くないと思われる。
また,上記出店態様等に鑑みると,出店先のSCがその商圏内で配布する広告宣伝用の折込チラシ等に被告店舗の広告も掲載される例が多いことが推察され,現にその例も認められるものの(前記(1)ウ(オ)),そのような折込チラシの性質上,被告の店舗に関する広告は,SC内に出店する専門店の1つとして掲載されるにとどまり,その掲載スペースも大きくはないものと推察される(乙23添付の資料3及び4では,被告店舗に割り当てられているスペースは全体の1/16程度である。)。求人広告においても被告標章が表示されていることが認められるものの,これに触れる者は求職中の者に自ずと限定されることに鑑みると,これをもって需要者に広
く認識されていることを裏付ける事情としては必ずしも考慮し得ない。広告宣伝費としての支出額(前記(1)ウ(ア))も,売上及び店舗数を踏まえると,被告と同じ業種ないし業態の事業者に比して顕著な額を投下していることが明らかとまではいい難い。
本件商標の登録出願までに被告店舗がマスコミ等に取り上げられた状況(前記
(1)ウ(イ)~(エ))を見ても,その回数はむしろ少なく,かつ,その影響が及ぶ範囲も限定的である。他方,上記時期に限らず,その後も含めた被告のウェブサイトの総閲覧者数,口コミサイトや第三者のブログ等での掲載状況(前記(1)ウ(カ),エ(ア))を見ても,その掲載数等が多いとはいえない。
これらの事情を総合的に考慮すると,被告標章は,本件商標の登録出願の際,被
告の業務に係る商品又は役務を表示するものとして,愛知県及びその隣接県の需要者の多くに認識されていた,すなわち需要者の間に広く認識されていたとは認められない。これに反する被告の主張は採用できない。
(ウ)

したがって,本件においては,被告につき被告標章に係る先使用権(商標
法32条1項)の成立を認めることはできない。

被告標章の周知性の有無(争点2)について

前記アと同様の理由から,被告標章は,本件商標の登録出願時において,被告の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものということはできない。そうである以上,原告は,商標法4条1項10号違反を理由として被告に対する本件商標権の行使を制限されることはない。これに反する被告の主張は採用できない。
2
(1)

権利濫用の成否(争点3)について
当事者間に争いのない事実,証拠(甲1,5,6,7,8,9,25,2
8,29,32,34,35,37,乙18,19,21の1,24,27)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。

原告は,平成9年頃,たこ焼工房43の屋号によりたこ焼きの移動販売
の事業を開始し,その後,これと併せて,大阪市内に店舗を構えてたこ焼きの製造販売も行うようになった。大阪府以外での原告による移動販売は,主としてイベントへの出店又はパチンコ店での営業として行われたものであるが,その活動地域(都道府県単位)は,大阪府のほか,京都府,兵庫県,奈良県,滋賀県,岐阜県,三重県,東京都,愛知県,長野県に及ぶ。

なお,原告は,平成30年1月11日,自らを代表取締役として原告補助参加人を設立し,原告補助参加人との間で本件商標権に係る商標使用許諾契約を締結した。原告補助参加人は,これに基づき,原告の事業を承継して,たこ焼きの製造販売を行っている。

本件商標の登録出願前において原告が保健所から営業許可を得るに当たって
使用した営業所の名称(屋号又は商号)は,たこ焼工房43,たこ焼工房43「伊たこ焼」,たこ焼工房シーアンドサン,たこ焼工房Sea&Sunシーアンドサン,たこ焼工房Sea&Sunである。また,原告のウェブサイ
ト(本件商標の登録出願前のもの)においては,伊たこ焼と共に,たこ焼工房/Sea&Sun,たこ焼工房/シーアンドサン/Sea&Sunとの営業表示が使用されている。
さらに,本件商標の登録出願前において,原告によるたこ焼きの製造販売事業を取り上げた新聞及び書籍やインターネット上の口コミ等においても,基本的には上記営業表示のいずれかが原告を示す名称として使用されているが,ほかに,シーアンドサン,Sea&Sunなどとする例もある。ウ
原告は,平成20年2月15日,たこ焼工房/Sea&Sun/シーアンドサンの三段の文字列からなる商標の登録出願をし,平成21年11月6日にその商標登録を受けた。

原告は,平成28年4月22日,本件商標の登録出願をした上で,同年6月
9日,特許庁に対し,被告による被告標章の使用を理由に早期審査を求め,これが認められて,同年9月16日,本件商標が登録された。

原告は,平成30年2月9日,被告に対して警告書を送付し,被告標章の使
用が本件商標権の侵害に当たる旨指摘した上で,ライセンス契約締結による解決を提案した。しかし,被告は,同年3月6日,これを拒否した。そこで,原告は,同年5月17日,特許庁に対し,被告標章が本件商標権の効力の範囲に属するとの判定を求めて判定請求をしたが,被告はこれに対し何ら答弁せず,特許庁は,同年8月21日,その旨の判定をした。これを受けて,原告は,同年9月11日及び同年10月1日,被告に対し,改めてライセンス契約の締結又は業務提携の交渉を求めたが,被告は,同月15日,これを拒否した。その後の平成31年1月30日,原告は,被告に対し,本件訴訟を提起した。
(2)

被告は,本件訴訟における原告の本件商標権の行使につき,原告は,被告
に対し損害賠償請求をするという不当な目的で本件商標の登録出願を行い,本件訴訟を提起したものであるから,原告の被告に対する本件商標権の行使は権利濫用に当たると主張する。
確かに,本件商標の登録出願は,被告が売上額及び店舗数とも大きく伸ばした段階でされたものであり(前記1(1)ア),また,被告による被告標章の使用を理由
として本件商標の登録出願に関する早期審査を求めながら,その商標登録後被告に対する最初の警告書送付まで1年半近くの期間を要した(前記(1)エ,オ)といった経緯は認められる。
しかし,前記(1)ア~ウのとおり,原告は,たこ焼工房に43,Sea&Sun等を結合させた標章をその屋号として主に使用しているところ,たこ焼工房と組み合わせる表示が複数存在することに鑑みると,原告としては,たこ焼工房の表示それ自体も自己を示すものとして使用しているものとうかがわれる。また,原告は,たこ焼工房/Sea&Sun/シーアンドサンの商標につき登録出願し,商標登録を得ている。原告によるこうした営業表示の使用状況等を踏まえると,原告が,既に商標登録を受けた商標たこ焼工房/Sea&Sun/シーアンドサンの一部であるたこ焼工房につき商標権として権利化を図ったこと自体を
不当ということはできない。このことは,原告が被告ないし被告標章の存在等を知って本件商標権を取得したといった事情があったとしても異ならない。さらに,本件商標の登録から最初の警告書送付までの期間,更には本件訴訟提起までの期間の点も,原告が賠償請求し得る損害額をより多額とする意図を有していたと認めるべき具体的な事情はない。

その他被告が縷々指摘する事情を考慮しても,本件における原告の被告に対する本件商標権の行使をもって権利の濫用というべき事情があるとはいえない。したがって,この点に関する被告の主張は採用できない。
3
(1)

差止等の必要性の有無(争点4)について
本件商標権侵害の成立

前記(第2の2(3))のとおり,本件商標の指定商品と,包装に被告標章の付された被告の商品とが同一であること及び本件商標と被告標章が類似することについては当事者間に争いがないこと,被告は,本件商標権が登録された平成28年9月16日以降も被告標章を付した看板等を使用していたことに鑑みると,被告による上記被告標章の使用は,原告の有する本件商標権を侵害するものとみなされる(商
標法37条1項1号,2条3項8号)。また,前記1及び2のとおり,被告には被告標章に係る先使用権の成立は認められず,また,原告の被告に対する本件商標権の行使につき権利濫用とはいえない。
(2)

差止等の必要性の有無

証拠(乙32,33,40)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,令和2年5月17日~同年7月1日の間に順次,被告店舗全部につき屋号を蛸焼工房から蛸家くるりに変更し,その看板等から被告標章を削除したことが認められる。また,看板等の変更工事には相応の費用を要したことがうかがわれること(乙29),被告標章の使用を廃止した店舗と,もともと被告標章を使用していない店舗とで,被告標章の使用廃止前後の時期における売上の傾向に大きな相違は見られないこと(乙42~44)などに鑑みると,将来的に,更に費用を掛けて被告が再度
被告標章を使用することは考え難い。
したがって,被告による被告標章の使用につき差止を認める必要性はもはやなく,また,看板等からの被告標章の削除を認める必要性も失われたものというべきである。そうである以上,原告の被告に対する本件商標権に基づく差止及び侵害予防措置の請求は認められない。これに反する原告の主張は採用できない。4
損害の発生及び額(争点5)について

(1)

前記3(1)のとおり,被告による被告標章の使用は,本件商標権を侵害する
ものである。また,当該行為につき被告の過失が推定される(商標法39条,特許法103条)。したがって,被告は,原告に対し,本件商標権侵害の不法行為により発生した損害につき,これを賠償すべき義務を負う。
(2)

損害の発生の有無について

被告は,本件商標には顧客吸引力が全く認められないなどとして,原告には損害が発生していない旨主張する。
商標法38条3項によれば,商標権者は,損害の発生について主張立証する必要はなく,権利侵害の事実と受けるべき金銭の額を主張立証すれば足り,侵害者は,損害の発生があり得ないことを抗弁として主張立証して,損害賠償の責めを免れることができるものと解される(最高裁平成9年3月11日第三小法廷判決・民集51巻3号1055頁参照)。
前記2(1)のとおり,原告は,平成9年頃以降,たこ焼工房43その他たこ焼工房の語句を含む屋号を使用してたこ焼きの製造販売の事業を行っており,その活動地域も,店舗を構える大阪市内のほか,移動販売によるイベントへの出店又はパチンコ店での営業が主であるものの,大阪府,京都府,兵庫県,奈良県,滋賀県,岐阜県,三重県,東京都,愛知県,長野県に及ぶ。また,原告によるたこ焼きの製造販売事業は,マスメディアによりしばしば掲載ないし放送されると共に,インターネット上の口コミでも取り上げられている(甲9,25,34,乙27)。

他方,前記(1(1)ア,イ)のとおり,被告は,被告標章を看板等に付した被告店舗を愛知県,岐阜県,三重県,静岡県及び京都府等に出店してたこ焼きの製造販売を行っており,一部店舗の閉店等はあるものの,現在もその状況は基本的に異ならない(甲3,乙5)。
これらの事情を踏まえると,原告につき,被告の本件商標権侵害行為による損害
の発生があり得ないということはできない。この点に関する被告の主張は採用できない。
(3)

損害額について


商標法38条3項による損害は,原則として,侵害品ないし侵害行為による
売上高を基準とし,そこに,実施に対し受けるべき料率を乗じて算定すべきである。また,同項所定のその登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額については,通常の使用料率に比べて自ずと高額になるであろうものといえ,より具体的には,当該商標の実際の使用許諾契約における使用料率や,それが明らかでない場合には業界における使用料の相場等も考慮に入れつつ,当該商標自体の価値,当該商標を当該商品ないし役務に用いた場合の売上及び利益への貢献や侵害
の態様,商標権者と侵害者との競業関係や商標権者の営業方針等訴訟に現れた諸事情を総合的に考慮して,合理的な使用料率を定めるべきである。

本件商標につき,原告が実際に締結した使用許諾契約において定められた使
用料率に関する主張立証はない。原告と原告補助参加人とは,本件商標権に係る商標使用許諾契約を締結しているものの,その使用料率は明らかでない。また,原告補助参加人の代表者は原告であることに鑑みると,仮にその使用料率が明らかとなったとしても,それをもって直ちに商標法38条3項の合理的な使用料率とすることは必ずしもできない。
他方,被告は,被告標章を付した看板等を使用した被告店舗を,直営のみでなくフランチャイズ方式によっても展開している。フランチャイズ方式による場合,被告は,出店先のSC運営者との間で定期出店契約(定期建物賃貸借契約)を締
結し,これにより,純売上高に対する8%相当額を賃料として支払うほか,共益費及び駐車場負担金等を支払うこと及び出店時の屋号が定められる(乙36)。他方,被告は,フランチャイジーとの間で定期建物SYSTEMOFFER契約を締結し,これにより,純売上高に対する11%相当額を賃料として受領するほか,共益費及び駐車場負担金等の受領及び出店時の屋号が定められる(乙35)。ここで,
金銭的給付に関し,定期出店契約と定期建物SYSTEMOFFER契約とでは,賃料の点で純売上高に対する3%相当額の差があるほかは異ならないことから,この差額部分が被告の手元に残ることになる。もっとも,被告は,フランチャイズ契約に基づき,フランチャイジーに対し,被告標章を使用させることのほか,定期建物SYSTEMOFFER契約において具体的に明記されてはいないものの,
被告標章を使用して行う事業に関するノウハウ,メニュー開発その他の様々な役務を提供すると共に,SC運営者に対し火災その他の事故の責任を直接的に負うこととなる(乙33,39,弁論の全趣旨)。また,そもそも,フランチャイジーは,被告とフランチャイズ契約を締結することによって当該SCに出店し得るという利益を得ることとなる。そうすると,上記差額部分は,こうした役務提供等に対する
対価というべき部分を含むものといえる。他方,被告の展開するフランチャイズ事業においては被告標章以外の屋号も使用されているところ,その定期出店契約及び定期建物SYSTEMOFFER契約においても,被告標章を屋号とする場合と同様に,被告の手元に残るのは両契約所定の賃料の差額である純売上高に対する3%相当額である。これらの事情に加え,前記1(2)のとおり,被告標章は被告の業務に係る商品又は役務の表示として需要者に広く知られているとまではいえないことをも考慮すると,上記差額部分に含まれる被告標章を使用し得ることについての対価に相当する部分の割合は,零ではないとしても,ごく限られるものと見るのが相当である。
さらに,原告がマスメディアにより取り上げられた状況(前記(2))につきより子細に見ると,平成13年12月~平成22年5月までは,原告によるたこ焼きの
製造販売事業が新聞や書籍に掲載されたり,テレビ番組で取り上げられたりする例が比較的数多く見受けられ,主に近畿地方において,周知といえるかはさておき,原告の事業ないし本件商標が一定の知名度を有していたことがうかがわれるものの,それ以降は,原告の営業活動は,平成25年~平成27年の3年間で各年1回テレビ番組にて取り上げられたことがあるにとどまる(甲34)。加えて,原告の
活動地域(前記(2))と被告店舗の展開地域(前記1(1)ア)が重なり合うのは原告が移動販売に赴いた地域に限られる上,パチンコ店での営業(平成24年5月~平成30年6月の間に104回)を除くと,原告の大阪府以外での主な営業活動は,各都県において1回~数回程度にとどまる(甲37)。これらの事情に加え,たこ焼工房を含むもののほか,これを含まない伊たこ焼も原告の営業表示とし
て使用されていること(前記2(1)イ)などをも考慮すると,被告店舗の展開地域における原告の事業ないし本件商標の知名度は低いと見るのが相当である。他方,前記1(2)のとおり,被告標章は,被告の業務に係る商品等を表示するものとして広く需要者に知られたものとはいえず,また,被告の出店形態等からは,被告の店舗への来店客が被告標章に払う注意の程度は必ずしも高くない。
これらの事情を踏まえると,本件商標に類似する被告標章の使用が被告の売上及び利益に貢献する程度は,かなり低いと見るのが相当である。現に,被告の全店舗の令和2年1月~同年6月の間の売上が合計5億7587万8343円であったのに対し,被告の店舗の屋号が蛸焼工房から蛸家くるりに変更された後である同年7月~同年11月の間の売上は合計4億3656万2122円であったところ(対上半期比約75.8%),屋号が蛸焼工房ではない被告の店舗における同年1月~6月の間の売上は合計3246万2803円であったのに対し,同年7月~11月の間の売上は合計2371万3939円であった(対上半期比約73%)ことが認められる(乙43,44)。すなわち,屋号として被告標章を使用することの有無による売上の顕著な変動はうかがわれない。
しかも,原告と被告の事業は,たこ焼きの製造販売という点では競業関係にある
ものの,上記活動地域等の違いのほか,移動販売を主とする原告と店舗での販売を主とする被告という業態の違いを踏まえると,その競業の程度も,必ずしも高くないと見られる。

以上の事情を総合的に考慮すると,侵害行為後に事後的に定める使用料率で
あることを考慮しても,本件について被告が原告に支払うべき合理的な使用料率は,被告の被告標章を付した看板等を使用していた被告店舗におけるたこ焼きの売上の0.1%とするのが相当である。これに反する原告及び被告の主張は,いずれも採用できない。

(ア)

算定対象とすべき被告の売上額について
別表記載の被告店舗がいずれも看板等に蛸焼工房すなわち被告標章を
使用する店舗であり,本件商標登録の日から閉店又は屋号変更までの間に,当該店舗においてたこ焼きの販売を行っていたことは,当事者間に争いがない。また,被告店舗におけるたこ焼き粉の仕入れケースには1個当たりたこ焼き粉が10㎏入っていること,たこ焼き粉1㎏当たり100個のたこ焼きが製造されるが,うち5%は廃棄されること,被告店舗におけるたこ焼き1個の平均単価が62.25円であ
ることについても,当事者間に争いがない。
さらに,証拠(乙25の1~4)によれば,別表記載の被告店舗におけるたこ焼き粉の仕入れケースの数は,平成28年10月~平成30年12月の間に合計1万8092個であったこと,平成31年1月~令和元年9月の間に合計5193個であったことが認められる(なお,乙25の4記載のいく(いくわ店)については,原告の請求に含まれていない。)。
そうすると,別表記載の被告店舗におけるたこ焼きの売上は,以下のとおりと認められる。
・平成28年10月~平成30年12月の間

10億6991万5650円

18,092ケース*10kg/ケース*100個/kg*0.95*―62.25/個=―1,069,915,650・平成31年1月~令和元年9月の間

3億0710万1037円

5,193ケース*10kg/ケース*100/kg*0.95*―62.25/個=―307,101,037
(イ)

令和元年10月以降の被告の売上について,原告は,平成31年1月~令
和元年9月の売上に基づく推計を主張しているところ,証拠(乙25の4,乙43)によれば,平成31年(令和元年)の被告の店舗におけるたこ焼き粉のケースの仕入れ数は,月単位の総数でみれば大きな変動がなく,前年以前の同期比で見ても,月ごとの変動の傾向に顕著な相違はないこと,平成31年~令和2年にかけて,被告の全店舗における売上につき,年単位で見ても,また,各年における上半期と下半期との相違の傾向を見ても,著しい変動がないことが認められることに鑑みると,原告の上記主張には一定程度の合理性があるといえる。もっとも,原告の主張は四半期単位での平均値を基礎とするものであるが,月単位での平均値による
のがより合理的と思われる。そうすると,令和元年10月以降の被告の売上については,平成31年1月~令和元年9月の間の売上に基づく月当たりの平均値3412万2337円(=―307,101,037/9)により推計するのが相当である。また,前記3(2)のとおり,被告は,令和2年5月17日~同年7月1日の間に被告標章を使用していた全店舗において看板等を変更し,被告標章の使用を順次廃
止したことが認められるところ,同年5月17日及び同年7月1日に屋号を変更した店舗が各1店であり,32店舗は同年6月中に変更したこと(乙40),これらの店舗における同年6月の売上7577万8018円のうち,屋号変更前のものが3190万1974円,変更後のものが4387万6044円であること(乙42)から,売上の計算においては,これらの店舗の平均として,令和2年6月中に被告標章の使用を止めたものと見て,同月の売上のうち0.42月分(=―31,901,974/―75,778,018)をもって,屋号変更前の売上として推計するのが相当である。そうすると,令和元年10月から被告標章の使用廃止時までの被告の売上は,以下のとおりと認められる。
・令和元年10月~令和2年3月

2億0473万4022円

―34,122,337/月*6月=―204,734,022
・令和2年4月~同年6月

8257万6055円

―34,122,337/月*2.42月=―82,576,055(ウ)

原告は,被告店舗で販売されたたこ焼きのうち,テイクアウト販売の分の
売上を算定対象として損害賠償を請求するところ,テイクアウト販売の割合につき,被告の全店舗において9割である旨を主張する。他方,被告は,この割合について,平均値は7割であると主張する。もっとも,原告,被告いずれも,これを的確に裏付ける証拠は提出していない。
この点について,SC(特にスーパーマーケット)内に出店するという被告の店舗の出店態様等(前記1(1)イ)に鑑みると,基本的には,買い物客が買い物のついでにたこ焼きを購入し,テイクアウトする例が多いものと推察される。もっと
も,証拠(甲30,31,乙5,15~17)によれば,被告店舗のうち少なくとも11店舗はフードコート内にあり,また,飲食店に関する口コミサイトの被告店舗に係る口コミにおいても,店内で飲食したことがうかがわれる記載が散見される。これらの事情を踏まえると,被告店舗におけるたこ焼きのテイクアウト販売の割合については,被告主張のとおり7割と見ることにもなお合理性があるといえ
る。
そうすると,被告店舗におけるたこ焼きの売上については,以下のとおりと認められる。
・平成28年10月~平成30年12月の間

7億4894万0955円

―1,069,915,650*0.7=―748,940,955・平成31年1月~令和2年3月の間

3億5828万4541円

(―307,101,037+―204,734,022)*0.7=―358,284,541
・令和2年4月~被告標章使用廃止の間

5780万3238円

―82,576,055*0.7=―57,803,238

以上より,本件において被告が原告に対し支払うべき使用料相当額は,以下
のとおりと認められる。
・平成28年10月~平成30年12月の間につき
・平成31年1月~令和2年3月の間につき
・令和2年4月~被告標章使用廃止まで間につき

74万8940円
35万8284円
5万7803円

また,原告主張に係る遅延損害金の起算日は,いずれも対応する損害に係る本件商標権侵害の不法行為後の日である。
第4

結論

以上より,原告の請求は,被告に対し,116万5027円の損害賠償及びうち74万8940円に対する平成31年2月24日から,うち35万8284円に対する令和2年8月13日から,各支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払,うち5万7803円に対する令和2年8月13日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金支払を求める限度で理由があるから,その限度でこれを認容し,その余は理由がないから,これを棄却することとする。
よって,主文のとおり判決する。

大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官

杉浦正樹杉浦一輝
裁判官
裁判官

布目真利子
別紙
商標権目録
登録商標(標準文字)
登録番号

商標登録第5883054号

出願日

平成28年4月22日

登録日

たこ焼工房

平成28年9月16日

商品及び役務の区分
第30類
第41類
たこ焼き,たこ焼きソース,たこ焼き用の粉
たこ焼きに関する知識の教授,たこ焼きに関するセミナー・研

修会・講習会の企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供別紙
被告標章目録
蛸焼工房
別紙
被告商標目録
登録商標

登録番号

商標登録第4653322号

出願日

平成14年4月22日

登録日

平成15年3月14日

商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務
第43類

宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲

食物の提供,動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育,老人の養護,会議室の貸与,展示施設の貸与,布団の貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用食器乾燥機の貸与,業務用食器洗浄機の貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,タオルの貸与
別表
(省略)
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