判例検索β > 令和2年(行コ)第133号
保有個人情報不開示決定処分取消請求控訴事件
事件番号令和2(行コ)133
事件名保有個人情報不開示決定処分取消請求控訴事件
裁判年月日令和3年4月8日
裁判所名・部大阪高等裁判所  第6民事部
結果破棄自判
原審裁判所名大阪地方裁判所
原審事件番号令和1(行ウ)159
判示事項の要旨大阪刑務所が保有する控訴人(同所被収容者)の診療情報は,行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律45条1項所定の保有個人情報に該当せず,同法12条1項による開示請求の対象になると解されるから,控訴人がした当該診療情報の開示請求につき同法45条1項を適用してされた不開示決定が違法であるとして取り消された事例。
裁判日:西暦2021-04-08
情報公開日2021-05-10 12:00:37
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主文1
原判決を取り消す。

2
大阪矯正管区長が控訴人に対して令和元年5月7日付けでした,平成31年4月4日受付の控訴人からの開示請求に係る保有個人情報を開示しない旨の決定(大管発第1号)を取り消す。

3
訴訟費用は,1,2審とも,被控訴人の負担とする。

第1

実及び理由
控訴の趣旨
主文1,2項と同旨。

第2

事案の概要
本件は,大阪刑務所収容中の控訴人が,行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律13条に基づき,処分行政庁に対し,別紙1の保有個人情報目録記載の保有個人情報(以下本件情報という。)の開示を請求したところ,処分行政庁から,本件情報は同法45条1項により開示請求の規定の適用が除
外されている情報に該当するとして,
その全部を開示しない旨の決定
(以下
本件決定という。)を受けたことから,本件決定は同項の解釈を誤ったものであるなどと主張して,本件決定の取消しを求めるものである。
原判決は控訴人の請求を棄却したので,控訴人が,不服であるとして,控訴を提起した。

1


関係法令
平成15年5月30日に制定公布された個人情報の保護に関する法律・
(以
下個人情報保護法という。)は,その第1章から第3章までの規定(1条から14条までの規定)が個人情報保護の基本理念等を定めた部分であり,第4章以下で民間事業者を対象とした個人情報保護に関する規律がされてい
る。個人情報保護法と同時に,独立行政法人等を対象とした独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(以下独立行政法人個人情報保護法という。)及び国の行政機関を対象とした行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(以下法という。以下,本判決において行政機関という場合にはいずれも国の行政機関を指す。)が制定された。


個人情報保護法及び法には別紙2のとおりの規定が置かれている。法8条,法12条及び法14条と同趣旨の規定が独立行政法人個人情報保
護法9条,12条及び14条に置かれているが,法45条1項の適用除外規定は法に特有の規定である(以下,法45条1項所定の保有個人情報を刑事関連情報という。また,逮捕や勾留がされた経歴を検挙歴といい,罰金刑や懲役刑などの刑罰の宣告を受けたり,その執行を受けたりした経歴を受刑歴という。)。



医療従事者が診療の過程で取得した個人情報
(以下
診療情報
という。

の取扱いを定めた単一の実施法は制定されていない。そのため,民間の医療機関が保有する診療情報には個人情報保護法が,公立病院(地方公共団体や地方独立行政法人の医療機関)
が保有する診療情報には条例が,
国立病院
(独
立行政法人国立病院機構法所定の医療機関)が保有する診療情報には独立行
政法人個人情報保護法が,行政機関が保有する診療情報には法が,それぞれ適用されることになる。
2
前提事実(争いのない事実,掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)



控訴人(昭和32年▲月▲日生)は,平成25年6月6日,京都地方裁判所において,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反並びに恐喝の各罪により,懲役8年の有罪判決を受けた。その刑は,上訴等を経て平成27年7月1日に確定した。


控訴人は,保釈中の平成26年7月8日,京都府立医科大学附属病院において,妹から提供された腎臓を移植する手術を受け,その後,同病院に入通院しながら免疫抑制療法(免疫抑制剤の服用)を続けていた。腎移植とは,腎臓の機能が低下し,体内の余分な水分や尿毒素を体外に排斥することができなくなって尿毒症という状態になるのを改善するために,他人から提供を受けた腎臓を移植する手術である。手術後も,拒絶反応を予防するため免疫抑制療法を継続する必要がある。また,腎移植後の合併症は非常に多彩であるが,感染症や他の合併症が重症化した場合には,生命に危
険が及ぶこともある。
控訴人の場合,
腎移植後にBKウイルス腎症となった。
BKウイルス腎症は,腎臓に腎炎を起こすことで知られており,その発症例では移植腎生着率は非発症例に比べ明らかに不良であり,約50%の症例が5年以内に移植腎を喪失するとされている。それを予防するためには,免疫抑制剤を減量することが有効とされており,その際,どのように免疫抑制剤
の量を調整するかが診療上の重要な問題である。(甲13,17)⑶

刑確定から1年半以上が経過した平成29年2月14日,検察官の執行指揮により控訴人に対する刑の執行が開始され,控訴人は,以後,受刑者として大阪刑務所に収容されている。



控訴人は,平成29年8月24日,大阪刑務所の衛生環境の悪さが腎移植後の合併症を引き起こす危険が大きいと主張し,控訴人を処遇する上での衛生環境を改善するよう求める人身保護請求事件(相手方は被控訴人)を大阪地方裁判所堺支部に申し立てた(同支部平成29年(人)第2号。甲4)。被控訴人は,上記の人身保護請求事件において,刑務所内診療施設での診療経過を立証する証拠として,平成30年5月25日,控訴人の診療記録及
び各種検査結果報告書を同支部に提出した(甲7,16)。証拠提出されたものは,平成29年9月26日から平成30年2月20日までの間の診療記録,平成29年9月27日から平成30年2月14日までの間に行われた血液検査,
尿検査及び細胞診検査の検査結果報告書の合計49枚の文書である。別紙3(添付省略)は,証拠提出された診療記録の1枚目である。


控訴人は,大阪刑務所に収容された後も毎日免疫抑制剤を服用しており,平成29年9月26日以降,刑務所内診療施設において,概ね週1回程度の頻度で,医師の診察を受けており,診察医は,各診療日ごとに診療内容を所定の用紙に記録(以下診療記録という。)している。また,控訴人は,同月27日以降,概ね月1回の頻度で血液検査,尿検査及び細胞診検査を受けている。大阪刑務所医務部は,上記の診療記録並びに血液検査,尿検査及
び細胞診検査の検査結果報告書を保管している。
控訴人は,診察医から口頭で診療に関する説明を受けているが,文書交付の方法による説明を受けたことはない(甲13)。


控訴人は,平成31年4月4日,法12条1項に基づき,処分行政庁に対し,本件情報の開示を請求した(甲8)。控訴人は,免疫抑制療法を継続し
ているため,自分の健康状態を正確に知る必要があり,そのためには刑務所内医療施設における診療情報の全てを把握することが是非とも必要であると考えたことから,本件情報の開示請求をしたものである(甲13)。⑺

処分行政庁は,令和元年5月7日付けで,開示請求の対象となる保有個人情報は,刑の執行に係る保有個人情報(当該裁判又は執行を受けた者に係るものに限る。)であることから,法第45条第1項の規定に該当し,開示請求等の規定の適用から除外されているためとの理由で,法18条2項に基づき,
全部を開示しない旨の本件決定をし,
控訴人にその旨を書面
(甲10)
により通知した。


控訴人は,令和元年10月26日,大阪地方裁判所に本件決定の取消しを求めて本件訴訟を提起した。

3
争点及び争点に対する当事者の主張
本件の争点は,
①憲法13条に自己情報開示請求権が含まれるので,法45条
1項は合憲限定解釈しなければならず,本件情報は刑事関連情報に当たらない
といえるか(争点1),②法45条1項の解釈として,本件情報は刑事関連情報に当たらないといえるか(争点2),というものである。⑴
争点1(憲法13条に自己情報開示請求権が含まれるので,法45条1項は合憲限定解釈しなければならず,本件情報は刑事関連情報に当たらないといえるか)について

(控訴人の主張)

憲法13条はいわゆる
新しい人権
を導く根拠となる。
新しい人権
としてプライバシー権が憲法13条の保障に含まれると理解されているが,プライバシー権の内実は自己に関する情報をコントロールする権利(自己情報コントロール権)であり,自己情報コントロール権は憲法13条により保障されている。そして,自己情報コントロール権の中核となるのが自己情報開示請求権であり,法は憲法13条が定める自己情報コントロール
権を具体化した法律と位置づけることができる。

法45条1項の趣旨は,刑事関連情報が他人に発覚して社会復帰や更生を妨げる事態を防止するためとされている。すなわち,刑事関連情報を開示請求権の対象とした場合,例えば雇用主が採用予定者の検挙歴や受刑歴
の有無を確認する目的で採用予定者本人に刑事関連情報の開示請求をするよう求めることが想定されるが,そうなった場合,検挙歴や受刑歴が発覚して就職ができなくなったり,受刑歴の発覚を恐れて就職を断念することになったりして,受刑者の社会復帰が妨げられる。法45項1項はそのような弊害を防止することにあるとされている。

しかし,雇用主が上記のような行為を要求することは違法とされているのであって,想定される弊害は抽象的・観念的なものにすぎず,上記のような事態が生じる可能性は極めて低い。刑事関連情報の全てを一律に開示請求の対象外とする法45条1項は,その規制目的(社会復帰や更生の助成)を大きく超え,不必要に開示請求権を制限する不合理な規定であり,
個人情報保護法制における極めて異例の規定であるといわざるを得ない。自己情報コントロール権
(自己情報開示請求権)
を制約する法45条1項が憲法13条と抵触することを避けるためには,同項の適用を適正な範囲に制限すること,すなわち,その規制目的を実現するために必要な限度で刑事関連情報の開示請求を制限するにすぎないものと解釈する合憲限定解釈を採ることが必要となる。

そうすると,刑事関連情報の全てを一律に開示請求の対象外とする法45条1項は,その規制目的(社会復帰や更生の助成)を大きく超え,不必要に開示請求権を制限する不合理な規定であり,同項は限定的に解釈しなければならず,同項に診療情報は含まれないと解釈することは可能であり,これにより違憲となることを回避できるのである。
したがって,診療情報の開示を認めなかった本件決定を是認した原判決
は取り消されなければならない。
(被控訴人の主張)

行政機関が保有する個人情報の開示請求権は,憲法によって直接具体的
権利として保障されたものではなく,立法によって初めて具体的権利となるものであり,その外延は法の規定を離れてこれを論じることはできな
い。

刑事関連情報が開示請求の対象外とされているのは,開示請求権それ自体が,検挙歴・受刑歴のある者の社会復帰や更生の妨げとなることが危惧されるからであり,例えば,採用予定者の前科の有無を知らない雇用主から前科のないことの証明として開示請求結果の提出を求められる場合
を想定しているのである。そして,このようなないことの証明等に用いられる弊害に対処するため,法45条1項は,刑事関連情報全般について開示請求の対象外としているのである。

そうすると,法45条1項の趣旨に照らせば,診療情報についても例外ではなく,同項の適用除外に該当する。



争点2(法45条1項の解釈として,本件情報は刑事関連情報に当たらないといえるか)について(控訴人の主張)

法は個人情報を開示することを原則としているが,法45条1項は,同項の対象となる刑事関連情報について開示請求の仕組みが一切存在せず,行政情報に関する法制において極めて異例の規定である。

そうすると,本人の利益保護という法の目的や法45条1項の趣旨からすると,①現に収容されている者については同項の適用除外は及ばないと解釈するか,②診療情報については同項の対象に含まれないと解釈すべきである。

①については,法45条1項において,当該裁判,処分若しくは執行を受けた者…に係るものに限ると規定しているが,ここにいう執行を受けた者とは,執行を受けたことがある者を意味し,現に執行を受けている者は含まれないとの解釈をすることができる。この見解を採用すれば,本件情報には法45条1項の制限が及ばないことになる。

②については,規制目的との関係での論理解釈により,法45条1項にいう刑事関連情報の中に診療情報は含まれないと解釈すべきである。すなわち,社会復帰や更生を助成するためには過去の検挙歴や受刑歴が他人に知られないようにすることが強く要請されることから法45条1項が立法されたのであるが,実際には検挙歴・受刑歴秘匿の要請は絶対的なものと
は考えられていない。例えば,刑事施設に収容されていた者が自動車運転免許証の更新や児童扶養手当の申請等をする場合など,法令の規定により身体の自由を拘束されていることを証明する必要があるときは,刑事施設長の裁量により,個別の申請に応じて在所(在監)証明書が本人に作成・交付されているのであり,検挙歴・受刑歴秘匿の要請は,本人の便益との
兼ね合いでその重みも変わるものである。
他方,診療情報は人が生命や健康を維持するために必要な情報であり,例えば,腎移植を受けた控訴人の場合には,合併症の重症化を防止するため日常的に血液検査の結果や診察結果等を知る必要があり,刑務所内診療施設の診療情報を知ることなしに刑務所外の専門医に意見を聞くことも不可能となるのであって,診療情報の開示を受けることは生命・健康を維持するために不可欠である。生命や健康を維持する要請は受刑歴秘匿の要請
に優越することが明らかである。
もともと,診療情報は刑の執行に関する中核的な情報でもないし,被収容者の診療記録の取扱い及び診療情報の提供に関する訓令平成19年(
2月14日矯医訓816法務大臣訓令。以下診療情報訓令という。)は,原則的には口頭により,事情に応じて文書により,刑務所内診療施設
の診療情報を本人に提供するものとしているのであるから(乙7),診療情報まで刑事関連情報であるとして一律に開示請求対象外とすることは,規制目的との関係で論理的に検討してみても相当ではない。
以上のとおりであって,控訴人の診療情報について開示を受ける利益は法45条1項による開示しない利益よりも優越することは明らかであって,同項は,刑務所内診療施設の診療情報には適用されないと解釈しなければならず,診療情報の開示を認めなかった本件決定を是認した原判決は取り消されなければならない。
(被控訴人の主張)


控訴人は,法45条1項につき,①現に収容されている者については同項の適用除外は及ばないと解釈するか,②診療情報については同項の対象に含まれないと解釈すべきである旨主張する。


まず,①については,法45条1項の趣旨は,刑事関連情報には本人の前科や収容歴等の高度のプライバシー情報が含まれており,開示請求の対
象とすると,雇用主が採用予定者の前科の有無等を採用予定者本人に開示請求させる場合などが想定され,本人の前科等が本人以外の者に明らかになる危険性があり,本人の社会復帰や更生保護を図る上で本人の不利益になる可能性があるため,このような弊害を防止することにある。
このような法45条1項の適用除外の趣旨は,開示請求する本人が,過去に刑の執行を受けたものであるか,あるいは現に刑の執行を受けている者であるかにかかわらず妥当する。すなわち,現に収容されている受刑者
については,
社会復帰後の雇用主から開示請求結果の提出を求められれば,
収容中に開示請求をすることもあり得ることであり,前科の有無等のチェックに用いられるなどの弊害が想定されることに変わりはない。
また,法45条1項に定める執行を受けた者とは,いまだ執行を受けていない者以外の者を意味することは文理上明らかであり,現に収
容中の受刑者は,刑の全部の執行を受け終わっていないにすぎず,執行を受けた者に該当する。執行を受けた者をその文言によりも狭く解釈しようとする控訴人の主張は失当である。
以上のとおり,現に収容されている者を法45条1項の適用除外の対象から除外する解釈は,同項の文言及び立法目的に反するから採用すること
はできない。

次に,②についても,次に述べるとおり理由がない。まず,控訴人は,刑務所内の診療情報は刑事関連情報に含まれないと解釈すべきであると主張するが,受刑者に対する健康診断その他の医療上の措置
は,刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(以下刑事収容施設法という。)に基づく処遇として行われるものであり,法45条1項の刑…の執行…に係る保有個人情報に該当する。また,在所(在監)証明書は,刑事施設に収容されていた者が自動車運転免許証の更新,児童扶養手当の申請,生活保護の申請,国民健康保険料の減免等をする場合など,法令の規定
により身体の自由を拘束されていることを証明する必要があるときは,刑事施設長の裁量により,個別の申請に応じて作成・交付されているにすぎないのであり,このことを診療情報に対する開示請求権の根拠とすることは困難である。
さらに,法が定める開示請求書の記載事項が形式なものにとどまり,本人確認書類以外の書類の提示も求められておらず(法13条),法は保有個人情報の開示を求める理由すらこれを明らかにすることを求めていない。すな
わち,法は,保有個人情報の開示請求がどのような動機あるいは必要に基づくものであるのか行政機関側が審査することは予定していないから,開示請求がされた刑事関連情報について,これを開示することによって得られる利益と受刑歴秘匿の要請を比較し,法45条1項の適用の可否を個別具体的に審査することを予定していない。

以上のとおり,診療情報を刑事関連情報から除外することは法の仕組みと相容れないものであり,法45条1項を限定的に解釈すべきとする控訴人の主張は採用することはできない。
第3
1
当裁判所の判断
争点1(憲法13条に自己情報開示請求権が含まれるので,法45条1項は合憲限定解釈しなければならず,本件情報は刑事関連情報に当たらないといえるか)について,検討する。
控訴人は,
本件情報につき,
法45条1項を根拠として不開示とすることは,
憲法13条が保障する自己情報コントロール権(その中に自己情報開示請
求権が含まれる。)を不当に侵害するものであるから,少なくとも診療情報は法45条1項の制限に含まれないと解釈しなければ,同項は違憲無効となる旨主張する。
しかし,自己情報コントロール権は,情報化の進展した社会において,個人情報の保護を十分なものとするため,従来消極的な権利とされてきたプラ
イバシー権を,より能動的,積極的に理解しようとするためのものであるが,その権利利益の内容,対象範囲等は明らかではなく,確立した権利として憲法上保障されているとまではいえない。また,法は,法制定に当たり,自己情報コントロール権は論者によって様々な考え方がみられることから,自己情報コントロール権という文言を用いずに,あくまで個人情報の取扱いに伴い生ずるおそれのある個人の人格的,財産的な権利利益に対する侵害を未然に防止することを目的として,個人情報の取扱いに関する規律と本人関与の仕組
みを具体的に規定したものであること(総務省行政管理局監修『行政機関等個人情報保護法の解説(増補版)』9頁)からしても,自己情報コントロール権が明確な権利として確立しているとはいえないものである。そうすると,自己情報コントロール権が憲法13条によって保障されていることを前提とする控訴人の主張は,採用できない。

2
争点2(法45条1項の解釈として,本件情報は刑事関連情報に当たらないといえるか)について,検討する。



法は第4章において保有個人情報の開示請求権
(法12条)
などを規定し,
法45条1項は別紙2の該当部分のとおり規定している。
控訴人は,①法45条1項において当該裁判,処分若しくは執行を受けた者…に係るものに限るとされており,執行を受けたことがある者を意味し,現に執行を受けている者は含まれないと解釈すべきである,②診療記録は,同項の対象となる刑事関連情報には該当しないとの解釈をすべきであると主張する。


まず,現に執行を受けている者

の処遇に関する情報には法45条1項
の適用除外は及ばないとの主張について検討する。
受刑者に対する健康診断,診療その他の医療上の措置は,刑事収容施設法に基づく被収容者の処遇として行われるものである(刑事収容施設法第2編第2章第6節参照)から,このような受刑者の個人情報は,法45条1項の
刑…の執行…に係る保有個人情報に当たると解される。
この点につき,控訴人は,法45条1項において当該裁判,処分若しくは執行を受けた者…に係るものに限るとされており,執行を受けたことがある者を意味し,現に執行を受けている者は含まれないと解釈すべきである旨主張する。
しかし,法45条1項において執行を受けた者…に係るものに限ると規定しているのは,刑の執行等に係る保有個人情報の中に,刑の執行等を受
けた者以外の第三者の個人情報が含まれることもあり得るが,その場合を同項の適用除外としない趣旨であると考えられる。例えば,刑事施設収容中の受刑者に弁護士が面会をした場合には,弁護士が面会した事実も当該刑事施設が保有する個人情報に含まれることになるが,弁護士が自己を本人として受刑者と面会したことの開示請求をしたときは,同項の適用除外の規定
は適用されず,開示請求の対象となるものである。このように,同項の執行を受けた者とは,第三者を除外する趣旨であって,現に収容されている者を除外する趣旨ではないと考えられる。
さらにいえば,法45条1項に定める執行を受けた者とは,被控訴人が述べるとおり,いまだ執行を受けていない者以外の者を意味すること
は文理上明らかであり,現に収容中の受刑者は,刑の全部の執行を受け終わっていないにすぎず,執行を受けた者に該当する。
したがって,控訴人の現に執行を受けている者は法45条1項の適用がない旨の主張は,採用できない。


次に,②診療情報は法45条1項の対象となる刑事関連情報には該当しないとの解釈を採るべきである,という点について検討する。

診療情報は生命と健康に直結する個人情報であり,
次に述べるとおり,
近時,我が国の医療現場においては,診療情報を患者に提供する(開示する)ことの必要性や重要性が強く意識されるようになった。

まず,証拠(甲18)によれば,厚生労働省は,診療情報の提供等に関する指針を策定し,平成15年9月12日付け通知書により,これを都道府県知事に通知したことが認められる。この指針は,医療従事者等が診療情報を積極的に提供することにより,患者等が疾病と診療内容を十分理解し,医療従事者と患者等が共同して疾病を克服するなど,医療従事者等と患者等とのより良い信頼関係を構築することを目的とするものであり(指針1項),診療情報の提供に関する一般原則として医療従事者等は,患者等にとって理解を得やすいように,懇切丁寧に診療情報を提供するよう努めなければならないと定め(指針3項),診療記録の開示に関し医療従事者等は,患者等が患者の診療記録の開示を求めた場合には,原則としてこれに応じなければならない(指針
7項⑴)と定めていることが認められる。この指針は,疾病の克服は患者と医療従事者とが共同して行うものであること,そのためには診療情報の積極的な提供が必要であることを明らかにするものである。
次に,現在まで,診療情報に関する個別のガイドライン(個人情報保護法8条の指針)は定められていないが,証拠(甲11,12)及び弁
論の全趣旨によると,国は,診療情報の取扱いに関する手引きとして,平成16年12月に医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンスを公表し,その後改正が行われ,最終改正が平成29年4月14日であることが認められる。この手引きは,民間の医療機関が保有する診療情報の取扱いに関するものであり,患者本人
から医療情報の開示請求を受けた場合には,個人情報保護法28条1項の規定に従い,患者本人に対し遅滞なく保有診療情報を開示すべきであるとし,個人情報保護法28条2項1号の不開示要件に該当する場合として,①患者の状況について,家族や関係者が医療従事者に情報提供を行っている場合に,情報提供者の同意を得ずに患者に当該情報を提供す
ることにより,患者と家族や関係者との人間関係が悪化するなど,情報提供者の利益を害するおそれがある場合,②病状や予後,治療経過等について患者に十分な説明をしたとしても,患者に重大な心理的影響を与え,その後の治療効果等に悪影響を及ぼす場合を例示している。この手引きは,国公立病院や行政機関が保有する診療情報に適用されるものではないが(個人情報保護法2条5項),医療・介護分野における個人情報保護の精神や考え方は設立主体を問わず同一であることから,国
立病院及び公立病院の設置者も本ガイダンスに十分配慮することが望ましいとしている。さらに,刑事収容施設法56条は,刑事施設では社会一般の保健衛生及び医療の水準に照らし適切な保健衛生上及び医療上の措置を講ずるとするところ,証拠(乙7)によれば,医療上の措置のうち診療情報
の提供に関しては診療情報訓令が発出されていることが認められる。診
療情報訓令は,
刑事施設内医療施設の医療従事者が患者である被収容者
に対し,現在の症状及び診断傷病名,処置及び治療の方針,処方する薬剤に関する情報,手術や侵襲的な検査を行う場合にはその情報を提供するよう求めていること(14条1項),診療情報の提供は原則として口
頭によるが,
診療情報の内容の難易度と患者の理解力を勘案して特に必
要と認めるときは文書に記載して交付するものとしていること
(15条)
が認められている。

このようにみると,個人情報保護法が施行された後の我が国の医療現場においては,診療情報を患者本人に開示することの必要性及び重要性の認識は浸透しているものと考えられる。そして,前提事実⑵及び⑸の事実に照らせば,本件情報は,控訴人の健康状態に関する客観的情報であって,腎移植後の合併症の予防に腐心しなければならない控訴人にとって極めて有用な情報であるということができる。

また,刑事施設においては必ずしも自己の症状に合う専門医の診察を受けることが保障されているわけではないから,控訴人のような特別な健康状態にある被収容者にとって,適宜の時期に外部の専門医の意見を尋ねることも必要であり,そのためには診療記録及び各種検査結果の報告書の写しの交付を受ける形で刑事施設内診療施設における診療情報の開示を受ける必要がある。なぜなら,医師が患者に対し別紙3(添付省略)のような診療記録の内容を正確に口頭で伝えることなど事実上不可能であり,不十
分な医療情報の口頭伝授を受けただけでは,被収容者が外部の専門医の意見を尋ねることは困難だからである。
しかしながら,控訴人は,法45条1項所定の刑の執行を受けた者に該当するのであり,かつ,本件情報は,控訴人に対する懲役刑の執行の過程で行政機関が得た診療情報であるから,法45条1項の刑…の執行…に係る保有個人情報として,刑事関連情報に該当する。したがって,
法45条1項を形式的に適用する限り,
本件情報のように,
刑事施設の被収容者にとって有用であり必要でもある診療情報は,そもそも開示請求の対象とならず,一切を開示することができないという結果となる。

この結果がやむを得ないものかどうかを検討するため,法45条1項の規制目的が何か,その規制目的との関係で規制手段が合理的なものかについて検討する。

法45条1項が立法されたのは,刑事関連情報を開示請求の対象とすること自体が,検挙歴や受刑歴がある者の社会復帰や更生の妨げとなる可能性があるため,
そのような弊害を避けるためであった。
例えば,
雇用主が,
採用予定者の検挙歴や受刑歴の有無を確認する目的で,採用予定者に刑事関連情報の開示請求をさせることが想定され,そうなった場合,検挙歴や受刑歴が発覚して就職できなくなったり,受刑歴の発覚を恐れて就職を断
念することになったりして,その者の社会復帰や更生が妨げられる可能性があり,法45条1項は,そのような弊害を防止することを目的として立法されたのである。しかしながら,情報通信が高度に発達した現代社会においては,インターネットを通じて検挙歴や受刑歴といった個人情報が大量に伝播流通しており,しかも,それらは公共の利害に関する情報でもあることから,それらの情報がインターネット上で伝播流通することは一定の限度でやむを得ないこととして法的に容認されている(最高裁判所平成29年1月31日決定・民集71巻1号63頁参照)。そうすると,刑事関連情報の開示請求権を否定したところで,社会復帰や更生が妨げとなりかねない個人情報の伝播流通がなくなるわけではなく,したがって法45条1項の目的が実
現されるというわけではない。
そうすると,法45条1項は,権利の制限が目指した目的が必ずしも実現できないにもかかわらず,有用かつ必要な個人情報であっても刑事関連情報である限りは一切の開示が認められないという不合理な事態を発生させることになる。

また,法45条1項を形式的に適用することは,かえって,社会復帰や更生の妨げとなる場合がある。例えば,刑事施設から出所した者が自動車運転免許証の更新,生活保護の申請,国民健康保険料の減免等の申請をする場合があるが,法45条1項を形式的に適用するとその証明ができず,
その者が社会生活を送る上での障害が発生し,
社会復帰や更生が妨

げられることになる。
さらに,刑事関連情報の中には,検挙歴や受刑歴のみならず,医療情報その他の様々な個人情報が含まれるが,法45条1項は,情報の種別や内容にかかわりなく,刑事関連情報一切をおよそ開示請求の対象外とする。そのため,医療情報に関しては,刑事施設の被収容者(あるいは被収容者
であった者)は,一般の医療施設で診療を受けた者ならば当該診療に係る診療情報の開示を受けられるのと異なり,刑事施設内医療施設で診療を受けざるを得ないがゆえに,当該診療の診療情報の開示を一切受けることができないという不利益を受けることになる。
以上のとおり,刑事関連情報全てを一律に開示請求の対象から除外しようとする法45条1項は,刑事施設に収容されていた者にとって社会復帰や更生に寄与するのかが明らかでないばかりか,有用かつ必要な個人情報の提供を受けることを阻害する可能性がある。すなわち,法45条1項の規制目的は理解できるとしても,その目的を達成するため刑事関連情報全てを一律に開示請求の対象から除外することは,規制目的と規制手段との合理的な均衡を欠いているといわざるを得ない。

なお,弁論の全趣旨によれば,上記

の不都合を解消するため,国(刑

事施設長)は,刑事施設から出所した者からの求めに応じて被収容歴を開示する在所(在監)証明書の交付をする取扱いをしていることが認められる。この取扱いの法的根拠は明らかではないが,法8条2項1号に基づく取扱いであるならば,権利として在所(在監)証明書の交付を受けることができない(交付の可否は刑事施設長の裁量に委ねられる)ということになるから,不都合解消手段として不完全であり,法12条1項に基づく取扱いであるならば,国(刑事施設長)は,個人の権利利益を保護する観点から法45条1項の適用範囲を一定範囲で制限していることになる。いずれにせよ,上記取扱いは,法45条1項の一律除外措置が,規制目的との
関係で合理的な均衡を欠くことを示すものであることは否定し難い。また,被控訴人は,法45条1項の適用の可否を個別具体的に審査することは,法の予定していないところである旨主張する。しかし,問題になっているのは,診療情報が法45条1項の適用除外となるかというものであり,その情報自体から診療情報とその他の情報とを区別することは可能
であって,
診療情報を法45条1項の適用の対象外とする解釈を採っても,
法45条1項の適用に支障が生じるとは考えられない。エ

診療情報は,前述のとおり,生命と健康に直結する個人情報である。生命と健康の維持は最も重要な人格的利益であるから,個人の人格尊重という個人情報保護法制の基本理念
(個人情報保護法3条)
に照らせば,
診療情報を得る利益は合理的な理由なしに制限を受けるべきではない。ま
た,
法45条1項を刑事関連情報中の診療情報にも無制限に適用すると,
刑事施設の被収容者(あるいは被収容者であった者)と
一般国民との間において,
合理的に説明しにくい不平等が生じることになる。
したがって,法45条1項を無制限に適用することは,医療情報の取扱いに関して,規制目的との関係で合理的な均衡を欠く事態を招来し,個人情報保護法制の基本理念と整合しないということができるから,法45条1項は
診療情報には適用されないと解釈すべきである。すなわち,刑事施設において保有する診療情報は法12条1項による開示請求の対象となるから,刑事施設の被収容者
(又は被収容者であった者)
からその開示請求がされた場合,
当該診療情報の全部又は一部に法14条所定の不開示情報があるかを検討した上でその開示の可否が検討されなければならない。

第4

結論
以上のとおりであって,本件情報が開示請求の対象外であることを理由としてされた本件決定は,法45条1項の解釈適用を誤った違法があるから取消しを免れない。

よって,これを適法として控訴人の請求を棄却した原判決は相当ではないから,原判決を取り消し,控訴人の請求を認容することとし,主文のとおり判決する。
大阪高等裁判所第6民事部

裁判長裁判官

大島眞一
裁判官

橋詰均
裁判官佐藤克則は転勤のため署名押印できない。
裁判官

大島眞一
(別紙1)
保有個人情報目録
1
大阪刑務所において控訴人が受けた血液検査等の検査結果が記載された書面
2
大阪刑務所において控訴人が受けた血液検査の採血の日時及び時刻が記録された書面

3
大阪刑務所において控訴人に処方された薬,並びに,投薬の日時及び時刻が記載された書面

4
大阪刑務所に収容されてから現在までの控訴人の診療録
以上
(別紙2)
1
個人情報の保護に関する法律

(目的)
第1条
この法律は,高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大
していることに鑑み,個人情報の適正な取扱いに関し,基本理念及び政府による基本方針の作成その他の個人情報の保護に関する施策の基本となる事項を定め,国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに,個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めることにより,個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現
に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ,個人の権利利益を保護することを目的とする。
(基本理念)
第3条

個人情報は,個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきもので
あることにかんがみ,その適正な取扱いが図られなければならない。(国の責務)
第4条

国は,この法律の趣旨にのっとり,個人情報の適正な取扱いを確保するた
めに必要な施策を総合的に策定し,及びこれを実施する責務を有する。(法制上の措置等)
第6条
政府は,個人情報の性質及び利用方法に鑑み,個人の権利利益の一層の保
護を図るため特にその適正な取扱いの厳格な実施を確保する必要がある個人情報について,保護のための格別の措置が講じられるよう必要な法制上の措置その他の措置を講ずるとともに,国際機関その他の国際的な枠組みへの協力を通じて,各国政府と共同して国際的に整合のとれた個人情報に係る制度を構築するために必要な措置を講ずるものとする。

第7条

政府は,個人情報の保護に関する施策の総合的かつ一体的な推進を図るた
め,個人情報の保護に関する基本方針(以下基本方針という。)を定めなければならない。
≪2項ないし4項は省略≫

(地方公共団体等への支援)
第8条

国は,地方公共団体が策定し,又は実施する個人情報の保護に関する施策
及び国民又は事業者等が個人情報の適正な取扱いの確保に関して行う活動を支援するため,情報の提供,事業者等が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図
るための指針の策定その他の必要な措置を講ずるものとする。
(開示)
第28条

本人は,個人情報取扱事業者に対し,当該本人が識別される保有個人デ
ータの開示を請求することができる。
2
個人情報取扱事業者は,
前項の規定による請求を受けたときは,
本人に対し,
政令で定める方法により,遅滞なく,当該保有個人データを開示しなければならない。ただし,開示することにより次の各号のいずれかに該当する場合は,その全部又は一部を開示しないことができる。

本人又は第三者の生命,身体,財産その他の権利利益を害するおそれがある場合


当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合

三2
他の法令に違反することとなる場合

≪3項及び4項は省略≫

行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の定め

(目的)
第1条

この法律は,
行政機関において個人情報の利用が拡大していることに鑑み,

行政機関における個人情報の取扱いに関する基本的事項及び行政機関非識別加工情報(行政機関非識別加工情報ファイルを構成するものに限る。)の提供に関する事項を定めることにより,行政の適正かつ円滑な運営を図り,並びに個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ,個人の権利利益を保護することを目的とする。
(利用及び提供の制限)
第8条

行政機関の長は,法令に基づく場合を除き,利用目的以外の目的のために
保有個人情報を自ら利用し,又は提供してはならない。

2
前項の規定にかかわらず,行政機関の長は,次の各号のいずれかに該当すると認めるときは,利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し,又は提供することができる。ただし,保有個人情報を利用目的以外の目的のために自ら利用し,又は提供することによって,本人又は第三者の権利利益を不当
に侵害するおそれがあると認められるときは,この限りでない。

本人の同意があるとき,又は本人に提供するとき。


行政機関が法令の定める所掌事務の遂行に必要な限度で保有個人情報を内部で利用する場合であって,当該保有個人情報を利用することについて相当な理由のあるとき。


他の行政機関,独立行政法人等,地方公共団体又は地方独立行政法人に保有個人情報を提供する場合において,保有個人情報の提供を受ける者が,法令の定める事務又は業務の遂行に必要な限度で提供に係る個人情報を利用し,かつ,当該個人情報を利用することについて相当な理由のあるとき。

前三号に掲げる場合のほか,専ら統計の作成又は学術研究の目的のために保有個人情報を提供するとき,本人以外の者に提供することが明らかに本人の利益になるとき,その他保有個人情報を提供することについて特別の理由のあるとき。

≪3項及び4項は省略≫

(開示請求権)
第12条
何人も,この法律の定めるところにより,行政機関の長に対し,当該行
政機関の保有する自己を本人とする保有個人情報の開示を請求することができる。

≪2項は省略≫(保有個人情報の開示義務)
第14条

行政機関の長は,開示請求があったときは,開示請求に係る保有個人情
報に次の各号に掲げる情報(以下不開示情報という。)のいずれかが含まれている場合を除き,開示請求者に対し,当該保有個人情報を開示しなければならない。

開示請求者…の生命,健康,生活又は財産を害するおそれがある情報

開示請求者以外の個人に関する情報…であって,
当該情報に含まれる氏名,
生年月日その他の記述等により開示請求者以外の特定の個人を識別することができるもの…若しくは個人識別符号が含まれるもの又は開示請求者以外の特定の個人を識別することはできないが,開示することにより,なお開示請
求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし,次に掲げる情報を除く。

≪イないしハは省略≫

法人その他の団体(国,独立行政法人等,地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。以下この号において法人等という。)に関する情報又は開示請求者以外の事業を営む個人の当該事業に関する情報であって,次に掲げ
るもの。ただし,人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,開示することが必要であると認められる情報を除く。

≪イ及びロは省略≫

開示することにより,国の安全が害されるおそれ,他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある
情報

開示することにより,犯罪の予防,鎮圧又は捜査,公訴の維持,刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報


国の機関,独立行政法人等,地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議,検討又は協議に関する情報であって,開示することにより,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ,不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの

国の機関,独立行政法人等,地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって,開示することにより,次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの

≪イないしホは省略≫

(適用除外等)
第45条
第四章の規定は,
刑事事件若しくは少年の保護事件に係る裁判,
検察官,

検察事務官若しくは司法警察職員が行う処分,刑若しくは保護処分の執行,更生緊急保護又は恩赦に係る保有個人情報(当該裁判,処分若しくは執行を受けた者,更生緊急保護の申出をした者又は恩赦の上申があった者に係るものに限る。)については,適用しない。

≪2項は省略≫
以上
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