判例検索β > 令和2年(行ケ)第10036号
審決取消請求事件 特許権 行政訴訟
事件番号令和2(行ケ)10036
事件名審決取消請求事件
裁判年月日令和3年3月29日
裁判所名知的財産高等裁判所
権利種別特許権
訴訟類型行政訴訟
裁判日:西暦2021-03-29
情報公開日2021-03-31 12:01:36
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令和3年3月29日判決言渡
令和2年(行ケ)第10036号
口頭弁論終結日

審決取消請求事件

令和3年2月1日
判決原
株式会社サンセイアールアンドディ


訴訟代理人弁理士

嶋冬木郁代吉告田福被山和寛田元治亨
特許庁長官

指定代理人

鷲井哲瀬津太朗樋口宗彦小出浩子文1
原告の請求を棄却する。

2
訴訟費用は原告の負担とする。

第1

亮石主崎実及び理由
請求
特許庁が不服2019-9250号事件について令和2年2月12日にした審決を取り消す。

第2

事案の概要

1


特許庁における手続の経緯等
原告は,平成28年11月25日,発明の名称を遊技機とする発明について,特許出願(特願2016-228517号。以下本願という。
甲3)をした。
原告は,
平成30年2月27日付けの拒絶理由通知
(甲4)
を受けたため,
同年4月25日付けで特許請求の範囲について手続補正
(以下
第1次補正
という。甲6)をした後,平成30年9月11日付けの拒絶理由通知(以下本件拒絶理由通知という。甲7)を受けたため,同年11月9日付けで特許請求の範囲について手続補正(以下第2次補正という。甲9)をした。
特許庁は,平成31年4月10日付けで,第2次補正を却下する決定(以下第2次補正の却下決定という。甲10)をするとともに,第1次補正後の請求項1に係る発明の新規性及び進歩性を否定して拒絶査定(以下本件拒絶査定という。甲11)をした。⑵

原告は,令和元年7月10日,

原査定を取り消す。本願は特許すべきものである。との審決を求める拒絶査定不服審判

(不服2019-9250号事
件。甲12)を請求するとともに,特許請求の範囲について手続補正(以下本件補正という。甲13)をした。なお,本件補正は,第2次補正と同じ内容である。
特許庁は,令和2年2月12日,本件補正を却下する決定をした上で,

本件審判の請求は,成り立たない。

との審決(以下本件審決という。)を
し,その謄本は,同月25日,原告に送達された。



原告は,令和2年3月20日,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。

2
特許請求の範囲の記載


第1次補正後のもの
第1次補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおりである(以下,同請求項1に係る発明を本願発明という。甲6)

【請求項1】

それぞれが複数種の識別図柄を含む複数の識別図柄群が変動表示され,全ての識別図柄群の変動が停止または擬似停止することで生じる図柄組み合わせが全て同じ識別図柄によって構成される当たり組み合わせとなることで当否判定結果が当たりであることが報知される遊技機であって,
前記複数の識別図柄群として,第一識別図柄群および第二識別図柄群と,これらの識別図柄群よりも後に変動が停止または擬似停止する第三識別図柄群が設定され,
前記第一識別図柄群および前記第二識別図柄群の変動が停止または擬似停止することによって表示される識別図柄が同じとなる態様であって,未だ当否判定結果が当たりとなる可能性が残されている態様がリーチ態様として設定されており,
前記複数種の識別図柄のそれぞれには,前記当たり組み合わせを構成するものとなった場合に前記遊技者が享受する利益を示唆する価値要素が設定されており,
前記リーチ態様が構成されていない状態から,前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄による第一リーチ態様と,前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄による第二リーチ態様が構成された状態に変化するリーチ変化演出が実行可能であることを特徴とする遊技機。


本件補正後のもの
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおりである(以下,同請求項1に係る発明を本件補正発明という。下線部は,本件補正による補正箇所である。甲13)

【請求項1】
それぞれが複数種の識別図柄を含む複数の識別図柄群が変動表示され,全ての識別図柄群の変動が停止または擬似停止することで生じる図柄組み合わ
せが全て同じ識別図柄によって構成される当たり組み合わせとなることで当否判定結果が当たりであることが報知される遊技機であって,
前記複数の識別図柄群として,第一識別図柄群および第二識別図柄群と,これらの識別図柄群よりも後に変動が停止または擬似停止する第三識別図柄群が設定され,
前記第一識別図柄群および前記第二識別図柄群の変動が停止または擬似停止することによって表示される識別図柄が同じとなる態様であって,未だ当否判定結果が当たりとなる可能性が残されている態様がリーチ態様として設定されており,
前記複数種の識別図柄のそれぞれには,前記当たり組み合わせを構成するものとなった場合に前記遊技者が享受する利益を示唆する価値要素が設定されており,
前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄と前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄とが一致せず前記リーチ態様が構成されていない状態で,前記第三識別図柄群の変動が停止または擬似停止して特殊組み合わせが構築されたときには,前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄による第一リーチ態様と,前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄による第二リーチ態様が構成された状態に変化するリーチ変化演出が実行可能であることを特徴とする遊技機。
3
本件審決の理由の要旨


本件審決の理由は,別紙審決書(写し)記載のとおりである。
その要旨は,①本件補正発明は,本願出願前に頒布された刊行物である特
開2002-200260号公報(以下引用文献1という。甲1)に記載された発明(以下引用発明という。)及び特開2013-17525号公報(以下引用文献2という。甲2)に記載された事項(以下引用文献2記載の事項という。)に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから,本件補正は,却下すべきものである,②本願発明は,引用発明と同一の発明であるから,同条1項3号の規定により特許を受けることができないというものである。
なお,本件審決は,本件補正発明の構成を次のとおり分説した。
A
それぞれが複数種の識別図柄を含む複数の識別図柄群が変動表示され,全ての識別図柄群の変動が停止または擬似停止することで生じる図柄組み合わせが全て同じ識別図柄によって構成される当たり組み合わせとなることで当否判定結果が当たりであることが報知される遊技機であって,
B
前記複数の識別図柄群として,
第一識別図柄群および第二識別図柄群と,
これらの識別図柄群よりも後に変動が停止または擬似停止する第三識別図柄群が設定され,

C
前記第一識別図柄群および前記第二識別図柄群の変動が停止または擬似停止することによって表示される識別図柄が同じとなる態様であって,未だ当否判定結果が当たりとなる可能性が残されている態様がリーチ態様として設定されており,

D
前記複数種の識別図柄のそれぞれには,前記当たり組み合わせを構成するものとなった場合に前記遊技者が享受する利益を示唆する価値要素が設定されており,

E
前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄と前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄とが一致せず前記リーチ態様が構成されていない状態で,前記第三識別図柄群の変動が停止または擬似停止して特殊組み合わせが構築されたときには,前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄による第一リーチ態様と,前記第二識別図柄群から選択されて停止または
擬似停止した識別図柄による第二リーチ態様が構成された状態に変化するリーチ変化演出が実行可能であることを特徴とする遊技機。
(2)

本件審決が認定した引用発明,本件補正発明と引用発明の一致点及び相
違点,引用文献2記載の事項は,次のとおりである。

引用発明
a,b遊技盤面12上には,複合装置14,第1種始動口30が配置され(【0013】),複合装置14には特別図柄表示器20が設けられ(【0016】),特別図柄表示器20の表示画面21に3つの図柄表示列(左図柄表示列110,中図柄表示列130,右図柄表示列150)が形成され,図柄表示列110,130,150に表示される特別図柄はいずれも「0~9の計10種類であり(【0017】),
第1種始動口30にパチンコ球が入賞すると,遊技制御部では,大当たり判定乱数が取得され,大当たり判定乱数は大当たりにするか否かの決定に用いられ(【0019】),
パチンコ球が第1種始動口30に入賞すると,特別図柄表示器20の表示画面21の3つの図柄表示列110,130,150は,変動を開始し,左図柄表示列110,右図柄表示列150,中図柄表示列130の順で図柄の変動を停止し(【0018】),停止には,
所定の位置で完全に変動が止まっている場合以外に,所定の位置で小刻みに微動や揺動しているような場合も含み(【0020】),
図柄表示列110,130,150に表示された特別図柄の配列によって,遊技者に大当たり遊技を付与する大当たりか否かを報知し,特別図柄によって大当たり図柄配列(同じ図柄が3つ揃った場合)を形成した場合が大当たりである(【0017】),パチンコ機1
0であって(【0013】),

c,
d,
e
表示画面21において,
左図柄表示列110の図柄
3

および右図柄表示列150の図柄
7
が一旦停止して表示された後,
左図柄表示列110および右図柄表示列150に,各構成面に図柄が配置された多面体120,160をそれぞれ表示し,当該多面体120,160を回転変動させて,左図柄表示列110の図柄および右図柄表示列150の図柄を再変動させ,再変動の過程において,左図柄表示列110では,回転変動開始前に表示されていた図柄3に加
えて図柄7が表示され,右図柄表示列150では,回転変動開始
前に表示されていた図柄7に加えて図柄3が表示され,左図
柄表示列110および右図柄表示列150に同じ図柄
3
と図柄
7
が表示される場合があり,この場合,図柄3によるリーチ図柄配
列と図柄7によるリーチ図柄配列とが形成され(認定事項サ),
左図柄表示列110の図柄および右図柄表示列150の図柄が,一旦停止して表示された後,再変動し,リーチ図柄配列を形成する過程において,中図柄表示列130は変動し続け(認定事項シ),
回転変動時に増える図柄に確率変動図柄(奇数)を用いる(【0027】),パチンコ機10(【0013】)。」
(判決注・認定事項サは【0020】ないし【0022】,【0
024】,
【0025】及び図4ないし7に基づいて,
認定事項シ
は,0018】

及び図4ないし7に基づいて認定された事項である。


本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点
[一致点]
Aそれぞれが複数種の識別図柄を含む複数の識別図柄群が変動表示され,全ての識別図柄群の変動が停止または擬似停止することで生じる図柄組み合わせが全て同じ識別図柄によって構成される当たり組み合わせとなることで当否判定結果が当たりであることが報知される遊技機であって,B前記複数の識別図柄群として,第一識別図柄群および第二識別図柄群と,これらの識別図柄群よりも後に変動が停止または擬似停止する第三識別図柄群が設定され,C前記第一識別図柄群および前記第二識別図柄群の変動が停止または擬似停止することによって表示される識別図柄が同じとなる態様であって,未だ当否判定結果が当たりとなる可能性が残されている態様がリーチ態様として設定されており,D前記複数種の識別図柄のそれぞれには,前記当たり組み合わせを構成するものとなった場合に前記遊技者が享受する利益を示唆する価値要素が設定されており,E’前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄と前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄とが一致せず前記リーチ態様が構成されていない状態で,前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄による第一リーチ態様と,前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄による第二リーチ態様が構成された状態に変化するリーチ変化演出が実行可能である遊技機。である点。[相違点](構成Eに関して)
本件補正発明が,前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄と前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄とが一致せず前記リーチ態様が構成されていない状態で,前記第三識別図柄群の変動が停止または擬似停止して特殊組み合わせが構築されたときには,リーチ変化演出が実行可能であるのに対し,引用発明は,左図柄表示列110(第一識別図柄群)の図柄および右図柄表示列150(第二識別図柄群)の図柄が,一旦停止して表
示された後,再変動し,リーチ図柄配列を形成する過程において,中図柄表示列130(第三識別図柄群)は変動し続けるものであり,中図柄表示列130の変動が停止または擬似停止して特殊組み合わせが構築されたときに,リーチ変化演出が実行可能なものではない点。

引用文献2記載の事項
変動表示装置35では,特図変動表示ゲームに対応して,複数の識別情報(飾り図柄)を変動表示する飾り特図変動表示ゲームが実行され,特図変動表示ゲームの結果が大当りとなる場合には,飾り特図変動表示ゲームの結果態様は特別結果態様となり(【0052】,「)飾り特図変動表示ゲームが,変動表示装置35における左,中,右の変動表示領域の各々で複数の識別情報を変動表示した後,左,右,中の順で変動表示を停止して結果態様を表示するものであり,左,右の変動表示領域において同一の識別情報で変動表示が停止した状態がリーチ状態となり(【0071】,)1回の特図変動表示ゲーム中において,変動表示装置35に変動表示される飾り図柄を特別結果態様以外の停止態様で仮停止させて複数回の変動表示ゲームが連続して行われているかのような疑似連続演出を実行し(【0228】,)特殊リプレイ図柄は,疑似連続演出の継続を報知可能な識別情報であり(【0384】,)疑似連続演出が実行されない場合においても,特殊リプレイ図柄が表示されることがあり,左右2つの飾り図柄が一致しないはずれ態様を形成した後に,中央の飾り図柄が特殊リプレイ図柄に制御され仮停止し,特殊リプレイ図柄の仮停止直後に,左右2つの飾り図柄がリーチ態様を形成するように変化させる(【0408】,図43(A-1)~(C-1),)遊技機(【0007】。)
第3

当事者の主張

1
取消事由1(手続違背)


原告の主張
ア(ア)

特許庁が本件拒絶査定とともにした第2次補正の却下決定は,第2
次補正後の請求項1に係る発明(本件補正発明と同じ内容)は,特許法29条2項の規定により,独立特許要件を満たしていないというものであるが,第2次補正の却下決定の理由中には,①出願人(原告)は,意見書(甲8)において,
引用文献1においては,図7に示されるダブルリーチが構成された状態の前の状態である図6に示される状態においては,左図柄は「36
7であり,右図柄は2
3
7であ
ることから,
左図柄と右図柄の一部が一致しているといえる。と主張す

るが,図6に示される状態(左図柄に3
6
7
,右図柄に2
3
7が表示された状態)は,回転変動による再変動を示すもので
あるから,
補正後の請求項1で特定される,
前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄と前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄とが一致せず前記リーチ態様が構成されていない状態と差異があるものとは認められず,出願人の主張は採用することができない。(以下第1の判断という。,②な)
お,
仮に,
その点が相違するとしても,
引用文献1の段落0036には,
図柄が再変動する変動態様は回転変動や展開変動に限定されず,必要に応じて種々変更可能であることが記載されており,補正後の請求項1に記載されたようなリーチ変化演出とすることは,当業者が容易に想到し得ることである。(以下第2の判断という場合がある。

)との記載が
ある。
第1の判断は,引用文献1の図6に示される状態が前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄と前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄とが一致せず前記リーチ態様が構成されていない状態(以下構成Epという場合
がある。が同一であることが,

原告の主張を退けた理由として記載され
ているものと解される。
(イ)

本件審決は,
①第1の判断に関し,引用発明における
左図柄表示列110の図柄「3および右図柄表示列150の図柄7が一旦停止して表示された」状態(引用文献1の図4に示される状態)が,本件補正発明の上記リーチ態様が構成されていない状態に相当するのであって,引用文献1の図6に示される状態が,本件補正発明の上記リーチ態様が構成されていない状態に相当するものではなく,本件拒絶査定の理由(本件拒絶理由通知記載のもの)の説示に照らすと,第1の判断は,引用文献1の図4に示される状態ではなく,引用文献1の図6に示される状態が,本件補正発明の上記リーチ態様が構成されていない状態に相当するとの認定の基で判断がされたと解することもできない,②第2の判断に関し,引用発明は,本件補正発明の構成Epに相当する構成を具備しており,本件補正発明と引用発明とは,第2次記補正の却下決定におけるその点
(構成Ep)で相違するものではないから,第
2次記補正の却下決定において示された予備的な見解は,その前提を欠くものであり,当該予備的な見解の妥当性は,第2次記補正の却下決定の上でされた本件拒絶査定における判断の妥当性に影響を及ぼすものでもない旨判断した。
しかるところ,第2次補正の却下決定の第1の判断は,引用文献1の図6に示される状態と構成Epとが同一であることを理由とするものであることは明らかであるから,第2次補正の却下決定と本件審決とは,構成Epと対応付けられる事項が,第2次補正の却下決定では図6に示される状態であるのに対し,
本件審決で
図4に示される状態

である点で異なるから,
本願についての拒絶理由が異なるものといえる。
また,本件審決が第2次補正の却下決定の第2の判断を不要としている点においても,第2次補正の却下決定と本件審決とは,拒絶理由が異なるものといえる。

このように,第2次補正の却下決定を前提とする本件拒絶査定と本件審決とでは,
拒絶理由が異なるから,
本件審判手続において,
審判合議体は,
原告に対し,引用文献1の記載と構成Epとの明確な対応関係を示した上で,新たに拒絶理由通知をし,反論の機会(特許法159条において準用する同法50条本文)を与えるべきであったのに,これを怠った手続違背の違法がある。



被告の主張

原告は,第2次補正の却下決定と本件審決とは,構成Epと対応付けられる事項が,第2次補正の却下決定では図6に示される状態であるのに対し,本件審決で図6に示される状態である点で異なり,第2次補正の却下決定を前提とする本件拒絶査定と本件審決とでは,拒絶理由が異なる旨主張する。
(ア)

しかしながら,第2次補正の却下決定は,①引用文献1に記載され
た発明について,具体的に,特に【0020】ないし【0027】,図4
ないし7を示した上で,
引用文献1…には,左図柄表示列に「3
,右
図柄表示列に7が停止し,中図柄表示列が変動している状態から,左図柄表示列と右図柄表示列とが,六面の立方体が回転変動する再変動を行い,
左図柄表示列に停止した
3右図柄表示列に停止した
と,
7
とが,改めて左図柄表示列と右図柄表示列の両方に表示されて,
3と
7のダブルリーチを形成する遊技機が記載されている。
」と認定し,
②上記認定を前提に,引用文献1における左図柄表示列と右図柄表示列,

中図柄表示列,確率変動図柄は,補正後の請求項1における第一識別図柄群と第二識別図柄群,第三識別図柄群,価値要素に相当する。,

してみると,補正後の請求項1においては,第三識別図柄群の変動が停止または擬似停止して特殊組み合わせが構築されたときに,リーチ変化演出が実行されることが特定されているのに対して,引用文献1においては,中図柄表示列が変動している状態から,ダブルリーチを形成する点で相違する。との第2次補正後の請求項1に係る発明と引用発明との一致点及び相違点を認定し,第1の判断は,上記一致点及び相違点の認定を前提とするものである。
①の左図柄表示列に「3
,右図柄表示列に7が停止し,中図柄
表示列が変動している状態」が引用文献1記載の図4の状態に対応し,この状態から,
左図柄表示列と右図柄表示列とが,六面の立方体が回転変動する再変動する状態が引用文献1記載の図5及び6の状態に対応することは明らかである。また,図5及び6に対応する(左図柄表示列に「3,右図柄表示列に7が停止し,中図柄表示列が変動している
状態から,左図柄表示列と右図柄表示列とが,

六面の立方体が回転変動
する再変動」する状態とは,中図柄表示列のみが変動している状態を起点として,当該中図柄表示列に加え,停止していた左右図柄表示列も再び(回転)変動する,即ち3列すべてが変動する状態である。
したがって,
再変動
は3つの図柄表示列がすべて変動している状態
であるから,第2次補正の却下決定は,左右の図柄表示列が停止又は仮停止した構成Epの状態を,
引用文献1の図5及び6に当たる
再変動
する状態のうち,図6の状態のみと対応付けているとの原告の解釈は,不合理である。
そうすると,
第2次補正の却下決定の第1の判断は,
引用文献1の
図6に示される状態と構成Epとを対応付けたことを前提とするものではないから,原告の前記主張は,その前提において失当である。

(イ)

また,本件拒絶理由通知は,図4ないし7を挙げて,引用文献1に
は,左図柄に3
,右図柄に7が停止し,中図柄が変動している状
態から,
3と7のダブルリーチを形成する遊技機が記載されてい
る,
【0027】には,確率変動図柄に,例えば,奇数の図柄を用いることが記載されていると認定した上で,第1次補正後の請求項1に係る発明と引用文献1に記載された発明とは,発明を特定する事項に差異はない旨認定判断している。
そうすると,少なくとも本件拒絶理由通知において,図4の状態が第1次補正後の請求項1に係る発明の前記リーチ態様が構成されていない状態との構成に対応することを読み取ることができるから,
原告は,
本件拒絶理由通知を受けた時点で,上記構成を限定した構成Epと引用文献1の図4の状態とが対応付けられ得る可能性について理解し,防御する機会を与えられたということができ,本件審判段階においても当然に当該可能性について想定することができたものといえる。

以上によれば,第2次補正の却下決定を前提とする本件拒絶査定と本件審決とでは,
拒絶理由が異なるものではないから,
本件審判手続において,
新たに拒絶理由通知をし,反論の機会(特許法159条において準用する同法50条本文)を与えることを怠った手続違背の違法があるとの原告の主張は,その前提において,理由がない。

2
取消事由2(引用文献1を主引用例とする本件補正発明の進歩性の判断の誤り)


原告の主張

一致点の認定の誤り
本件審決が認定した本件補正発明と引用発明の一致点のうち,
E’前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄と前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄とが一致せず前記リーチ態様が構成されていない状態で,前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄による第一リーチ態様と,前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄による第二リーチ態様が構成された状態に変化するリーチ変化演出が実行可能であるとの構成(以下E’の構成という。)が一致点であると
認定したのは,以下のとおり誤りである。
(ア)

引用文献1の記載(
【0020】ないし【0022】【0024】な


いし【0026】及び図4ないし7)の記載から,引用文献1に接した当業者は,①図4に示されている状態から図7に示されている状態に至る演出(以下対象演出という場合がある。
)は,左図柄表示列110
に表示される左図柄及び右図柄表示列150に表示される右図柄がそれぞれ1つである状態(図4に示される状態)から,2つである状態(図5に示す状態)を経て,3つである状態(図6に示される状態)に変化し,3つの左図柄と3つの右図柄とで共通する図柄がリーチ図柄となるリーチが構成される状態(図7に示される状態)に至る演出」であること,②図6に示される状態において表示される左右それぞれの3つの図柄のうち,共通図柄が1種であればシングルリーチ,2種であればダブルリーチ,3種であればトリプルリーチとなるリーチ状態を構成するものであって,対象演出において,どのようなリーチ状態が構成されるかは,図6に示される状態が基準となり,図4に示される状態において表示される1つの左図柄と1つの右図柄は,最終的にリーチ図柄となるとは限らないこと,③【0026】
」の記載に照らせば,対象演出は,
図4→図5→図6というように変化していくに従い,左右で共通図柄が増えること(リーチラインが増えること)で遊技者の期待感を増加させることを目的とするものであり,
途中で共通図柄が増える
ということ
が遊技者の期待感を増加させるために必要な本質的部分であるから,対
象演出から図5や図6に示される途中の状態が排除されることは想定できないことを認識するものといえる。
(イ)

前記(ア)によれば,
図4に示される状態において表示される1つの左

図柄と1つの右図柄は,最終的にリーチ図柄となるとは限らないから,図4に示される状態はリーチ図柄となり得る候補が左右1つずつ表示されたにすぎず,図5や図6に示される途中の状態に応じてリーチ図柄となるものが決まるものであり,図5や図6に示される途中の状態がなければ図7に示す状態に至らず,リーチ図柄が決まらない。
そうすると,E’の構成を本件補正発明と引用発明との一致点と認定することは,引用文献1記載の対象演出の成立に必須である図5や図6に示される途中の状態を無視するものであるから,妥当性を欠くものである。
したがって,本件審決が認定した本件補正発明と引用発明の一致点のうち,E’の構成を一致点であると認定したことは誤りである。

相違点の容易想到性の判断の誤り
本件審決は,引用文献1の図4に示される状態に対し,引用文献2記載の事項を適用した上で,図4に示される状態から図7に示される状態に移行するようにして,相違点に係る本件補正発明の構成(構成E)とすることは当業者が容易に想到し得たことである旨判断した。
しかしながら,前記ア(イ)のとおり,引用文献1記載の図4に示される状態での1つの左図柄と1つの右図柄は,図7に示される状態で必ずリーチ図柄となるとは限らないから,図4に示される状態に対し,引用文献2記載の事項を適用しようとする動機付けはない。
かえって,引用文献1に接した当業者であれば,対象演出とは,図6に示される状態の共通図柄がリーチ図柄となり,図4に示される状態はリーチ図柄となりうる候補が左右1つずつ表示されたにすぎないと理解する
から,図4に示される状態に対し,
リーチ態様への変更のきっかけに関
する技術である引用文献2記載の事項を適用することには阻害要因がある。
また,前記ア(ア)のとおり,引用発明においては,対象演出は,途中で共通図柄が増えるということが遊技者の期待感を増加させるという目的のために必要な本質的部分であるから,図4に示される状態から図5や図6に示される状態を経由せずに,図7に示される状態に移行する演出を想定することは通常ではないのみならず,図4に示される状態に対し,引用文献2記載の事項を適用することは,対象演出における図5や図6に示される途中の状態を不要なものとする操作であって,引用発明の目的に反するものとなるから,阻害要因がある。
したがって,本件審決の上記判断は誤りである。

小括
以上によれば,本件審決は,本件補正発明と引用発明の一致点の認定及び相違点の容易想到性の判断を誤り,本件補正発明の進歩性を否定した判断の誤りがあり,この誤りは,本件審決の結論に影響を及ぼすというべきである。



被告の主張

一致点の認定の誤りの主張に対し
(ア)

本件補正発明の構成Eの記載及び本願の願書に添付した明細書(以
下,図面を含めて本願明細書という。甲3)の記載(【0045】,【0046】)によれば,本件補正発明は,
前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄と前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄とが一致せず前記リーチ態様が構成されていない状態(非リーチ状態)で,前記第三識別図柄群の変動が停止または擬似停止して特殊組み合わせが構築されたときに,
前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄による第一リーチ態様と,前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄による第二リーチ態様が構成された状態に変化するリーチ変化演出が実行可能,すなわち,実行される場合が
あれば足りると解すべきである。
(イ)

引用文献1には,図4の37がそれぞれ停止した非リーチ


状態から,図5及び6の遷移を経て図7の37についてのダブ

ルリーチ状態(2つのリーチ状態)に変化する演出が行われる場合があることが実施例として記載されているから,
引用発明と本件補正発明は,
非リーチ状態から,遷移(示唆)演出を経て,ダブルリーチ状態に変化する演出が実行可能である点で共通するものといえる。
そうすると,本件審決が,E’の構成を本件補正発明と引用発明との一致点と認定した点に誤りはない。

相違点の容易想到性の判断の誤りの主張に対し
(ア)

本件審決が説示したとおり,①引用発明と引用文献2記載の事項と
は,遊技機という共通の技術分野に属し,図柄変動表示における興趣を向上させるという共通の課題を解決するものであり,また,リーチ態様が構成されていない状態から,リーチ態様が構成された状態に変化するリーチ変化演出という共通の演出技術に関するものであり,②引用発明におけるリーチ変化演出における興趣を向上させるために,リーチ変化演出が実行可能となる契機として,引用文献2記載の事項のリーチ態様が構成されていない状態で,前記第三識別図柄群の変動が擬似停止して特殊組み合わせが構築されたとき
を採用し,
前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄と前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄とが一致せず前記リーチ態様が構成されていない状態で,前記第三識別図柄群の変動が
擬似停止して特殊組み合わせが構築されたときには,リーチ変化演出が実行可能であるようにして,相違点に係る本件補正発明の構成(構成E)とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
(イ)

これに対し原告は,①引用文献1記載の図4に示されている状態から図7に示されている状態に至る演出(対象演出)においては,図6
に示される状態での共通図柄がリーチ図柄となり,図4に示される状態はリーチ図柄となりうる候補が左右1つずつ表示されたにすぎないと理解するから,図4に示される状態に対し,
リーチ態様への変更のきっ
かけに関する技術である引用文献2記載の事項を適用することについては阻害要因がある,②引用発明においては,対象演出は,途中で共通図柄が増えるということが遊技者の期待感を増加させるという目的のために必要な本質的部分であるところ,図4に示される状態に対し,引用文献2記載の事項を適用することは,対象演出における図5や図6に示される途中の状態を不要なものとする操作であって,引用発明の目的に反するものとなるから,阻害要因がある旨主張する。
しかしながら,①については,引用文献1には,非リーチ状態から,中間演出に当たる停止した2つの図柄によるダブルリーチへと変化する構成のみが開示されているのであるから,少なくともそのように制御される場合があるということが開示されていること,引用発明では,奇数の識別図柄が有利度の高い確率変動図柄とされていること【0028】(

に照らせば,確率変動図柄のみからなる37の組み合わせとな

っていることと,その際に左右図柄表示列が再変動する中間演出が発生し,結果的に,さらに有利な状態となる期待度が大きい確率変動図柄によるダブルリーチとなることとには,遊技機において期待度を高めるための演出の流れとして,一定の技術的意味合い(自然さ,必然性)があり,当業者にとって,引用文献1の図4と図7とで3
7の組み合

わせが一致していることが単なる偶然(の一例)と理解されるものとはいえないから,①の阻害要因は存在しない。
次に,②については,本件審決は,引用発明におけるリーチ変化演出が実行可能となる契機として,引用文献2記載の事項のリーチ態様が構成されていない状態で,前記第三識別図柄群の変動が擬似停止して特殊組み合わせが構築されたときを採用したのであって,原告が主張する引用発明の図5や図6に示される途中の状態を不要なものとする操作を行うものではなく,引用発明に引用文献2記載の事項を採用しても,当該契機の後に,引用発明の図5や図6に示される演出が実行されて図7の状態に至ることは明らかであるから,②の阻害要因は存在しない。
したがって,原告の上記主張は理由がない。

小括
以上のとおり,本件審決における本件補正発明と引用発明との一致点の認定及び相違点の容易想到性の判断に誤りはないから,原告主張の取消事由2は理由がない。

第4

当裁判所の判断

1
本願明細書の記載事項について


本願明細書(甲3)には,次のような記載がある(下記記載中に引用する図1ないし4については別紙1を参照)


【技術分野】
【0001】
本発明は,遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1等に記載されるように,多くの遊技機では,複数の図柄
群の一部から選択された図柄が同じ図柄となることがリーチとして設定されている。一般的には,複数の図柄群の一部から選択された図柄が同じ図柄とならなかった時点でリーチ非成立となり,当否判定結果が当たりとなる可能性がなくなってしまう。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は,リーチに関する演出により遊技の趣向性を向上させることが可能な遊技機を提供することにある。

【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は,それぞれが複数種の識別図柄を含む複数の識別図柄群が変動表示され,全ての識別図柄群の変動が停止または擬似停止することで生じる図柄組み合わせにより当否判定結果が報知される遊技機であって,前記複数の識別図柄群の一部である所定数の識別図柄群の変動が停止または擬似停止することによって生じる中途組み合わせのうち,未だ当否判定結果が当たりとなる可能性が残されている態様がリーチ態様として設定されており,前記所定数の識別図柄群の変動が停止または擬似停止した時点で前記リーチ態様が構成されなかったとき,未だ変動している特定識別図柄群の変動が停止または擬似停止することによって生じる組み合わせが特殊組み合わせとなった場合に,前記リーチ態様に変化するリーチ変化演出が実行可能であることを特徴とする。
【0006】
上記本発明によれば,リーチ態様が構成されなかったときにも,特殊組み合わせとなることを経由してリーチ態様に変化することがある。つまり,
リーチ態様が構成されなかった時点ではずれが確定してしまうことがなく
なるため,単調な遊技性となることを抑制することが可能である。【0007】
前記特定識別図柄群は,前記識別図柄に加えて特殊図柄を含み,前記特定識別図柄群の変動が停止または擬似停止することによって生じる前記特殊組み合わせを構成する図柄に前記特殊図柄が含まれるようにするとよい。【0008】
このような構成とすることで,特殊図柄がリーチ態様への変化をもたらすということが分かりやすくなる。
【0009】
前記リーチ変化演出は,前記リーチ態様が構成されていない状態から,前記所定数の識別図柄群のいずれかから選択されて停止または擬似停止した識別図柄によるリーチ態様が構成された状態に変化するようにするとよい。
【0010】
このような構成とすることで,リーチ変化演出後に生じるリーチ態様はリーチ変化演出前に停止または擬似停止した識別図柄によって構成されることとなるから,リーチ変化演出前に識別図柄が停止または擬似停止することに意味をもたせることが可能である。
【0011】
前記複数の識別図柄群として,
第一識別図柄群および第二識別図柄群と,
これらの識別図柄群よりも後に変動が停止または擬似停止する前記特定識別図柄群である第三識別図柄群が設定され,前記リーチ態様は,前記第一識別図柄群および前記第二識別図柄群の変動が停止または擬似停止することによって表示される識別図柄が同じとなる状態であり,前記リーチ変化演出は,前記リーチ態様が構成されていない状態から,前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄による第一リーチ態様
と,前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄による第二リーチ態様が構成された状態となるものであるとよい。【0012】
このように,リーチ変化演出後には,第一リーチ態様と第二リーチ態様という二つのリーチ態様が構成された状態(いわゆるダブルリーチ状態)に変化するようにすることで,リーチ変化演出の発生が遊技者にとってより有利な状況への変化であるということを認識させることが可能である。ウ
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば,リーチに関する演出により遊技の趣向性を向上させることが可能である。


【発明を実施するための形態】
【0015】
以下,本発明にかかる遊技機1の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず,図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0016】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は,ほぼ正方形の合板により成形されており,発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0017】
遊技領域902には,表示装置91,始動入賞口904,大入賞口906,アウト口などが設けられている。かかる表示装置91の表示領域911は,遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお,表示領域911の形状等は適宜変更可能である(開口901
の形状や大きさ,表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)

【0019】
このような遊技機1では,発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。
遊技領域902を流下する遊技球が,
始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると,所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0020】
大当たりの抽選は,図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口は複数設けられていてもよい)具体的には,

始動入賞口904へ
の遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(以下,当否判定情報と称することもある)が取得され,当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり,異なる場合にははずれとなる。本実施形態では,当該数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが,ある数値が取得されたときに,それより前に取得された数値に基づく当否判定結果が報知されている際には,当該ある数値に基づく当否判定結果が開始されるまで,図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。未だ当否判定の報知が開始されていない数値(以下単に保留(保留情報)と称することもある)の最大の記憶数(最大保留数)は適宜設定することができる。本実施形態における記憶手段が記憶できる最大保留数は,一種の始動入賞口904につき四つである。図示しないが,記憶手段に記憶されている保留情報は,保留表示20として表示領域911に表示される。
なお,
本実施形態では,
当否判定の報知が開始される時点で,取得された数値が大当たりとなる数値か否かが判断されることとなるが,数値が取得されたときに当否判定を
行い,当否判定結果自体を記憶させておく構成としてもよい(この場合には当否判定結果自体が,当否判定情報に相当することとなる)
。また,取得
された数値は,当否判定結果を報知する演出の具体的な内容を決定するための数値としても利用される。
【0021】
当否判定手段が行う当否判定結果は,公知の遊技機と同様に,表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄10(図2参照)の組み合わせによって遊技者に報知される。具体的には,複数種の識別図柄10含む識別図柄群10g(左識別図柄群10gL,中識別図柄群10gC,右識別図柄群10gR)
(図2(a)参照)が変動を開始し,最終的に各識別図
柄群10gから一の識別図柄10が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各識別図柄群10gから選択されて停止した識別図柄10の組み合わせは所定の組み合わせとなる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。なお,各図においては,識別図柄10を構成する数字(文字)のみを図示するが,当該数字とキャラクタ等が組み合わされた図柄を識別図柄10として設定することができる。本実施形態における各識別図柄群10gが含む複数種の識別図柄10は,数字の1~8のいずれかを含む八種である(図
2(b)参照)
。ただし,後述するように,リーチ変化演出の発生時には特
殊図柄20(図2(b)参照)が含まれることもある。
【0023】
上述したように,当否判定結果は,識別図柄10の組み合わせによって報知される。本実施形態では,当否判定結果が大当たりであることを示す識別図柄10の組み合わせとして,三つの識別図柄群10gから選択された識別図柄10が全て同じ識別図柄10によって構成される組み合わせ(同じ識別図柄10の三つ揃い)が設定されている。

【0024】
本実施形態では,基本的には,最初に左識別図柄群10gLから一の識別図柄10が選択されて停止または擬似停止し,次いで右識別図柄群10gRから一の識別図柄10が選択されて停止または擬似停止し,最後に中識別図柄群10gCから一の識別図柄10が選択されて停止または擬似停止する。なお,当該停止または擬似停止する順は,あくまで基本的な停止または擬似停止の順であり,このような順で停止または擬似停止が発生しない演出が発生するようにすることを否定するわけではない。ここで,
擬似停止とは,遊技者には図柄の変動が停止しているようにみえるものの,完全には停止していないような状態をいう。
擬似停止の一例とし
ては,識別図柄10がわずかに揺れ動いているような状態とすることが挙げられる。このように擬似停止させるのは,将来的に識別図柄10の種類が変化する可能性を残すための措置である。ただし,
停止した場合
であっても将来的に識別図柄10の種類が変化する可能性がある設定とするのであれば,
停止させるようにしてもよい。本実施形態では,とりあ
えず全ての識別図柄群10gから選択された識別図柄10を擬似停止させ,当否判定結果が大当たりであるかはずれであるかを報知するように設定されている。つまり,基本的には,
停止させるか擬似停止させ
るかは単なる形式的な違いに過ぎず,遊技者の視点では停止しているということに変わりはない。
【0025】
本実施形態では,同じ識別図柄10によって構成される組み合わせが大当たりを示す組み合わせとして設定されているのであるから,複数の識別図柄群10gのうちの一部,具体的には,左識別図柄群10gLおよび右識別図柄群10gRから選択されて停止または擬似停止することによって生じる中途組み合わせを構成する識別図柄10が同じ図柄である場合,未
だ当否判定結果が大当たりとなる可能性が残っていることになる。かかる状態をリーチ(態様)と称する。大当たりとなる場合,リーチ態様が構成され,その後中識別図柄群10gCから選択されて停止または擬似停止した識別図柄10がリーチ態様を構成する識別図柄10と同じとなる。【0026】
各識別図柄10は,遊技者にとっての価値が異なる。当該価値は,種々の観点から設定することができる。本実施形態では,大当たりとなったときに遊技者が享受する利益の大小,および,ある当否判定結果が報知される演出においてリーチ態様が構成されたときに,当該当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(いわゆる大当たり信頼度。以下単に信頼度と称することもある)の高低が,当該価値として設定されている。
【0027】
大当たりとなったときに遊技者が享受する利益の観点でいえば,偶数の数字を含む図柄が相対的に価値の低い識別図柄10として,奇数の数字を含む図柄が相対的に価値の高い識別図柄10として設定されている。具体的には,偶数の数字を含む識別図柄10(通常図柄)の三つ揃いにより大当たりが報知されたときには,当該大当たり遊技終了後の遊技状態は当否判定抽選に当選する確率が低い低確率状態となる一方,奇数の数字を含む識別図柄10(確変図柄)の三つ揃いにより大当たりが報知されたときには,当該大当たり遊技終了後の遊技状態は当否判定抽選に当選する確率が高い高確率状態となるように設定されている(図3(a)参照)
。つまり,
大当たり遊技終了後の遊技状態という遊技者にとっての価値が,大当たりであることを示す組み合わせを構成する識別図柄10の種類によって示されるものである。なお,大当たり遊技それ自体によって得られる価値(例えば,大当たり遊技中に獲得できる遊技球(いわゆる出玉)の期待値)が識別図柄10の種類によって示される構成としてもよい。

【0028】
リーチ態様が構成されたときの信頼度という観点でいえば,
7
の識別
図柄10によってリーチ態様が構成されたときの信頼度は,他の識別図柄10によってリーチ態様が構成されたときの信頼度よりも高くなるように設定されている
(図3
(b)
参照)つまり,

信頼度
(大当たりする蓋然性)
という遊技者にとっての価値が,リーチ態様を構成する識別図柄10の種類によって示されるものである。
【0029】
大当たりとなったときに遊技者が享受する利益の観点とリーチ態様が構成されたときの信頼度という観点の両方からいえば,本実施形態における7の識別図柄10は,遊技者にとって一番有利な図柄である。

【0030】
本実施形態では,基本的には,左識別図柄群10gL,右識別図柄群10gRの順で変動が停止または擬似停止してリーチ態様が成立する(通常のリーチ成立の流れ)ことになる。その例外として,リーチ変化演出を経由したリーチ態様の成立が生じることがあるように設定されている。以下,リーチ変化演出について詳細に説明する。
【0031】
リーチ変化演出は,所定数の識別図柄群10g,具体的にはリーチ態様を構成する対象の識別図柄10を含む識別図柄群10g(本実施形態では左識別図柄群10gLおよび右識別図柄群10gR)の変動が停止または擬似停止した時点でリーチ態様が構成されなかったとき(図4(a)(b)
参照)に,リーチ態様に変化するというものである。当該リーチ変化演出を体験した遊技者は,左識別図柄群10gLと右識別図柄群10gRから選択されて停止または擬似停止した識別図柄10が同じ図柄とならなかった場合であっても,リーチ成立の可能性はあるということを認識すること
になる。
【0032】
リーチ変化演出が発生する場合には,各識別図柄群10gから選択されて停止または擬似停止した識別図柄10の組み合わせが特殊組み合わせとなる(図4(c)参照)
。本実施形態における特殊組み合わせは,中の識別
図柄10が特殊図柄20となる組み合わせである。特殊図柄20の具体的な態様はどのようなものであってもよい。本実施形態では,リーチ変化演出が発生する可能性があることを示す場合,中識別図柄群10gCに特殊図柄20が含まれた状態で変動表示される(図4(b)参照)
。常に中識別
図柄群10gCに特殊図柄20が含まれる構成としてもよいし,リーチ変化演出が発生する可能性がある場合に限り,
(いわゆる煽りとして)中
識別図柄群10gCに特殊図柄20が含まれる構成としてもよい。図示しないが,特殊組み合わせが構築されなかった場合には,そのまま対象の当否判定結果がはずれであることが報知される。左の識別図柄10と右の識別図柄10によってリーチ態様が構成されなかったのであるから,中の識別図柄10をどのようなものとしても,これらの識別図柄10によって構成される組み合わせははずれを示すものとなる。
【0033】
このように,左識別図柄群10gLから選択されて停止または擬似停止した識別図柄10(左の識別図柄10)と右識別図柄群10gRから選択されて停止または擬似停止した識別図柄10(右の識別図柄10)が同じとはならなかった(図4(b)参照)ものの,中識別図柄群10gCから選択されて停止または擬似停止した識別図柄10(中の識別図柄10)が特殊図柄20となる特殊組み合わせとなった場合(図4(c)参照),リー
チ変化演出が発生する。本実施形態では,リーチ変化演出の発生前に停止または擬似停止していた左の識別図柄10による第一リーチ態様と,右の
識別図柄10による第二リーチ態様とが構築される。例えば,特殊組み合わせが,左から2の識別図柄10・特殊図柄20・
7の識別図柄1
0であった場合には,リーチ変化演出として,
2の識別図柄10による
第一リーチ態様と,
7
の識別図柄10による第二リーチ態様が発生する
(図4(d)参照)
。なお,第一リーチ態様と第二リーチ態様が構成された
後は,中識別図柄群10gCは再び変動を開始する。遊技者の視点でいえば,
中識別図柄群10gCから選択される識別図柄10が
2
または
7
の識別図柄10であれば大当たりとなる,いわゆるダブルリーチの状態が発生したとみることができる。
【0034】
このように,本実施形態にかかる遊技機1によれば,リーチ態様が構成されなかったときにも,特殊組み合わせとなることを経由してリーチ態様に変化することがある。つまり,リーチ態様が構成されなかった時点ではずれが確定してしまうことがなくなるため,単調な遊技性となることを抑制することが可能である。
【0035】
また,リーチ変化演出後には,第一リーチ態様と第二リーチ態様という二つのリーチ態様が構成されたいわゆるダブルリーチ状態に変化するものであるから,リーチ変化演出の発生が遊技者にとってより有利な状況への変化であるということを認識させることが可能である。
【0036】
左の識別図柄10と右の識別図柄10が同じとなることによってリーチ態様が構成された場合(通常の流れでリーチ態様が構成された場合)よりも,リーチ変化演出を経てリーチ態様が構成された場合の方が,信頼度が高くなるように設定されているとよい。このように構成すれば,リーチ変化演出を経て構成されるダブルリーチ状態が,形式的なもの(視覚的に好
機であるようにみえるが,好機ではない構成)ではなく,現実的な好機である演出とすることが可能である。さらに好ましくは,リーチ変化演出を経た場合二つのリーチ態様が構成されるのであるから,その場合の信頼度を,左の識別図柄10と右の識別図柄10が同じとなることによってリーチ態様が構成された場合の信頼度の二倍となる(
リーチ一つ(1ライン)当たりの信頼度×リーチが成立した(リーチライン)数となる)ように設定されているとよい。
【0037】
以上説明したように,本実施形態にかかる遊技機1では,リーチ態様が構成されなかったときにも,特殊組み合わせとなることを経由してリーチ態様に変化することがある。つまり,リーチ態様が構成されなかった時点ではずれが確定してしまうことがなくなるため,単調な遊技性となることを抑制することが可能である。
【0038】
また,本実施形態は,特殊図柄20が停止または擬似停止することにより特殊組み合わせが構築されるものであるため,特殊図柄20がリーチ態様への変化をもたらすということが分かりやすくなる。
【0039】
また,本実施形態では,リーチ変化演出後に生じるリーチ態様はリーチ変化演出前に停止または擬似停止した識別図柄10によって構成されることとなるから,リーチ変化演出前に識別図柄10が停止または擬似停止することに意味をもたせることが可能である。
【0040】
特に,本実施形態における各識別図柄10は,上述したように遊技者にとっての価値が異なるものである。中識別図柄群10gCの変動が停止または擬似停止する前は,常にリーチ変化演出発生の可能性があることにな
るから,それよりも前に停止または擬似停止する識別図柄10の種類(左識別図柄群10gLおよび右識別図柄群10gRから選択される識別図柄10の種類)にも注目させることが可能である。例えば,本実施形態に則していえば,遊技者にとっての価値が高い図柄として7の識別図柄10が設定されているため,左の識別図柄10または右の識別図柄10として7の識別図柄10が選択された場合には,
(左の識別図柄10と右の
識別図柄10によりリーチ態様が構成されなかった場合であっても)その後の展開に遊技者が注目する遊技性とすることが可能である。
【0041】
また,本実施形態は,リーチ変化演出後には,第一リーチ態様と第二リーチ態様という二つのリーチ態様が構成された状態(いわゆるダブルリーチ状態)に変化するものであるため,リーチ変化演出の発生が遊技者にとってより有利な状況への変化であるということを認識させることが可能である。

【0045】
・第二変形例
上記実施形態では,特殊組み合わせが表示されたとき,それよりも前に停止または擬似停止していた左の識別図柄10と右の識別図柄10によるダブルリーチ状態が構成されることを説明したが,このような構成としなくてもよい。すなわち,特殊組み合わせが表示される前に停止または擬似停止していた複数の識別図柄10のうちの一つによっていわゆるシングルリーチ
状態が構成されるものとしてもよい
(図6参照)また,

当否判定結果を示す識別図柄10の数(識別図柄群10gの数)が四つ以上であれば,構成されるリーチ態様(リーチライン)の数が三つ以上である設定
(いわゆる
トリプルリーチ
以上のリーチ態様が構成される設定)
としてもよい。

【0046】
また,
ダブルリーチ状態が構成されることもあれば,
シングルリーチ状態が構成されることもある設定としてもよい。この場合,リーチ変化演出を経てダブルリーチ状態が構成された場合の方が,リーチ変化演出を経てシングルリーチ状態が構成された場合よりも信頼度が高くなるような設定とするとよい。このようにすれば,特殊組み合わせが表示された後,どのような態様のリーチが構成されるのかということにも注目させる遊技性を実現することが可能である。
トリプルリーチ
以上のリー
チ態様が構成される可能性がある設定とするのであれば,リーチラインの数が多くなればなるほど,信頼度が高くなるように設定すればよい。キ
【0051】
以上,本発明の実施の形態について詳細に説明したが,本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく,本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。



前記⑴の記載事項によれば,本願明細書には,本件補正発明に関し,次のような開示があることが認められる。

複数種の識別図柄を含む複数の識別図柄群が変動表示され,全ての識別図柄群の変動が停止又は擬似停止することで生じる図柄組み合わせにより当否判定結果が報知される遊技機では,多くの遊技機において,複数の図柄群の一部から選択された図柄が同じ図柄となることがリーチとして設定されており,一般的には,複数の図柄群の一部から選択された図柄が同じ図柄とならなかった時点でリーチ非成立となり,当否判定結果が当たりとなる可能性がなくなってしまうという問題があったことから,本発明は,リーチに関する演出により遊技の趣向性を向上させることが可能な遊技機を提供することを課題とするものである(
【0002】【000

4】【0005】。




本発明は,上記課題を解決するための手段として,複数種の識別図柄を含む複数の識別図柄群の一部である所定数の識別図柄群の変動が停止又は擬似停止した時点で,停止又は擬似停止した図柄が同じ図柄とならず,リーチ態様が構成されていない状態において,未だ変動している特定識別図柄群の変動が停止または擬似停止することによって生じる組み合わせが特殊組み合わせとなった場合に,上記リーチ態様が構成されていない状態から,上記停止又は擬似停止した各図柄によるリーチ態様(第1リーチ態様及び第2リーチ態様の2つのリーチ態様)が構成された状態に変化するリーチ変化演出を実行可能とする構成を採用し,これにより,遊技の趣向性を向上させることを可能にするという効果を奏する(
【0005】

【0011】ないし【0013】。


2
取消事由1(手続違背)について


引用文献1の記載事項

引用文献1(甲1)には,次のような記載がある(下記記載中に引用する図1ないし8については別紙2を参照)

(ア)

【0001】

【発明の属する技術分野】
本発明は,遊技機に関し,特に遊技機の表示画面に図柄を変動させて表示する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
遊技機の一つであるパチンコ機では,所定領域(例えば,第1種始動口)にパチンコ球(遊技球)が入球または通過した際に各種の乱数を読み込むことで抽選を行い,この抽選結果に基づいて大当たりかはずれかを判別する。また,前記乱数に基づいて遊技盤面上に設けられた図柄表示装置(例えば,特別図柄表示器)の図柄の変動を開始する。そして,
この図柄表示装置において,所定の図柄配列,例えば3つの同じ図柄が1つのライン上に揃った大当たり図柄配列が形成されることで,大当たり遊技
(特典)
が遊技者に付与されたことを報知する。
大当たり遊技は,
具体的には,大入賞口を一定期間だけ開放する等の処理を行い,ほぼ一定数の出球が払い出される。大当たり図柄配列以外の図柄配列(はずれ図柄配列)を形成した場合には,大当たり遊技は付与されない。また,例えば3つの図柄表示列(左,中,右)のうちの2つが停止した時,各図柄表示列の図柄によって少なくとも1つの有効ライン上に大当たり図柄配列を形成する可能性がある場合をリーチ状態と呼ぶ。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のパチンコ機(遊技機)では,図柄が変動を開始してからリーチ状態になるまでの一連の動作が単純である。
例えば,右,
左,
中の順で変動を停止する3つの図柄表示列を備えたパチンコ機において,リーチ状態を形成するためには,最初に左図柄表示列に表示される図柄によって,次に右図柄表示列に表示される図柄は一義的に特定される。従って,例えばすべり等の特殊な動作によって図柄表示列の変動態様を種々変化させても,遊技者の抱くリーチや大当たりに対する期待感を今一歩増加させることができなかった。
【0004】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,表示画面に図柄を変動させて表示する遊技機において,表示画面の図柄が変動を開始してから特定の表示態様を形成するまでの遊技過程に新規な興趣を与え,遊技者の期待感を増加させることができる技術を提供することである。
(イ)

【0005】

【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために,本発明における遊技機は請求項1~6に記載した通りに構成されている。なお,本発明の遊技機は,表示画面に特定の表示態様が形成されない場合,表示画面に表示されている所定図柄を種々の変動態様によって再変動させることで,画面表示による演出効果を高めるものである。
【0006】
請求項1に記載した遊技機では,特典の付与に関する情報を表示する図柄が表示画面において変動する。そして,変動する図柄が予め定められた停止態様を形成した場合に,遊技者は特典が付与されることを認識することができる。例えば,パチンコ機において,表示画面に大当たり図柄配列(予め定められた停止態様)が形成されると,遊技者は大当たり遊技(特典)が付与されたことを認識することとなる。なお,本発明でいう図柄には,特別図柄や普通図柄等のように抽選に関与する抽選表示用図柄のみならず,遊技に関係して表示画面に表示する全ての図柄(英数字,漢字,仮名等の文字,記号,絵柄,図形,静止画,動画等の画像など)が含まれる。従って,例えばキャラクタや背景図柄等の装飾図柄も本発明でいう図柄に含まれるものとする。また,図柄の個数は一つのみならず,複数の場合も含む。また,本発明でいう表示画面は,1つの表示画面のみならず複数の表示画面も含むものとし,例えば液晶表示器が好適に用いられる。表示画面に特定の表示態様が形成されない場合,この表示画面に表示されている所定図柄を再変動させる。ここでいう特定の表示態様には,例えばパチンコ機において,大当たり遊技が遊技者に付与される大当たり図柄配列や,大当たり図柄配列を形成する一歩手前の状態であるリーチ図柄配列等が含まれるものとする。従って,
表示画面に特定の表示態様が形成されない場合と

は,例えばパチンコ機において,図柄変動後にリーチ図柄配列が形成されない(リーチ状態にならない)場合や大当たり図柄配列が形成されない(大当たりにならない)場合をいう。そして,表示画面に特定の表示態様が形成されない場合,例えば,表示画面に一旦停止して表示されている図柄を,所定のタイミングで再変動させる。ここでいう再変動とは,回転変動,展開変動,スクロール変動等種々の変動態様を広く含むものとする。そして,再変動によって図柄の表示数が変更されることとなる。例えば,再変動後の図柄の表示数が,再変動前の図柄の表示数よりも増えるように構成することができる。
このように構成することで,
遊技者は,再変動後に所望する図柄が表示されることに対する期待感を抱くこととなる。とりわけ,図柄の表示数が増えると特定の表示態様が形成される確率が見かけ上高くなる。なお,再変動によって図柄の表示数が増加する以外に,図柄の表示数が減少する場合であってもよい。また,再変動中の図柄の表示態様としては,図柄の表示数が順次増加していく態様,順次減少していく態様,増減を組み合わせた態様等がある。そして,再変動終了後に,特定の表示態様,例えばパチンコ機におけるリーチ図柄配列(特定の表示態様)が形成される。これにより,一旦はずれ図柄配列を形成した場合でも,再変動後に例えば図柄の表示数が増えることでリーチ図柄配列が形成されることとなり,画面表示に今までにない新規な面白さをもたらすことができる。以上のように,請求項1に記載した遊技機によれば,表示画面の図柄が変動を開始してから特定の表示態様を形成するまでの画面表示において演出効果を高め,遊技者の期待感を増加させることができる。
【0007】
請求項2に記載した遊技機では,表示画面に特定の表示態様が形成されない場合,所定図柄が再変動しているときに図柄の表示数が可変とな
るように設定されている。ここでいう可変には,図柄の表示数が順次増加していく態様,順次減少していく態様,増減を組み合わせた態様等がある。例えば,図柄の表示数が1~3の間で増加したり減少したりするように構成することで,遊技者は,図柄が増減する度に緊迫感が高まるとともに,再変動中に所望する図柄が表示されることに対する期待感を抱くこととなる。従って,表示画面の図柄が変動を開始してから特定の表示態様を形成するまでの画面表示において更なる演出効果が期待できる。
【0008】
また,請求項3に記載した遊技機において,表示画面に特定の表示態様が形成されない場合,所定図柄が再変動しているときに,この表示画面に,構成面に所定図柄を含む複数の図柄が配置された多面体を表示する。そして,この多面体を回転変動させることで,多面体の構成面に配置された複数の図柄が表示され,図柄の表示数が可変となる。これにより,多面体の構成面の数や,多面体を回転させる方向を種々選択することによって,画面表示に今までにない新規な面白さをもたらすことができる。なお,ここでいう多面体は,方形体,錐状体,柱状体等の複数の構成面を有するものであればよい。また,ここでいう回転変動とは,所定の方向へ一方的に回転する態様以外に,例えば左右方向に揺動する態様等も含むものとする。
【0009】
ここで,請求項3に記載した多面体は,請求項4に記載のように,複数の回転軸で回転変動するように構成されているのが好ましい。このように構成すれば,多面体の回転軸の数を種々変更することによって,例えば所定の回転軸で回転変動させた多面体を今度は別の回転軸で回転変動させることで,多面体を複数の方向へ回転させることができる。この
ように,多面体の回転変動態様を種々変更することで,画面表示に新規な面白さをもたらすことができる。
【0010】
また,請求項5に記載した遊技機において,表示画面に特定の表示態様が形成されない場合,所定図柄が再変動しているときに,この表示画面に,構成面に所定図柄を含む複数の図柄が配置された多面体を表示する。そして,この多面体を順次展開変動させることで,多面体の構成面に配置された複数の図柄が表示され,図柄の表示数が可変となる。これにより,多面体の構成面の数や,多面体を展開させる方向を種々選択することによって,画面表示に今までにない新規な面白さをもたらすことができる。なお,ここでいう展開変動とは,例えば立方体のような立体の構成面を平面に表示させる変動態様をいう。したがって,多面体は,その構成面が表示上視認できる場合はもちろん,表示上視認できなくても,構成面が展開されるときに多面体を意識させるような場合であってもよい。これにより,多面体の構成面の数や,多面体を順次展開させる方向を種々選択することによって,画面表示に今までにない新規な面白さをもたらすことができる。
【0011】
また,請求項6に記載した遊技機において,例えば所定図柄が再変動するときに表示される図柄の配列は,図柄の本来の順列とは異なるようになっている。すなわち,例えば,表示画面に複数の図柄表示列を表示するパチンコ機において,各図柄表示列を変動する図柄は本来連続した数字の配列であるが,本発明によれば,再変動時,例えば回転変動や展開変動する際に表示される図柄
(数字)
は連続していない。
これにより,
回転変動や展開変動する際に増える図柄に意外性を持たせることで,遊技者の期待感を増加させることができる。

(ウ)

【0012】

【発明の実施の形態】
以下,本発明における第1および第2実施の形態のパチンコ機を図1~図14に基づいて説明する。なお,本実施の形態では,パチンコ機の特別図柄表示器の表示画面に表示される図柄の表示態様について説明する。
〔第1実施の形態〕
まず,第1実施の形態は,本発明をいわゆる第1種パチンコ機に適用したものであって,図1~図8を参照しながら説明する。ここで,図1は第1種パチンコ機10の外観を示す正面図である。図2は複合装置14を拡大して表した正面図である。また,図3~図8は,いずれも第1実施の形態の表示画面21に表示される表示態様を示す図である。【0013】
図1において,本発明の遊技機としてのパチンコ機10の遊技盤面12上には,複合装置14,装飾ランプ16,第1種始動口30,中ゲート32,大入賞口34,下部第1種始動口62,一般の入賞口等が適宜に配置されている。第1種始動口30は始動口センサ56を有し,パチンコ球が入賞すると通常の入賞口と同様に賞球(賞品球)を払い出す。中ゲート32はゲートセンサ54を有し,パチンコ球が通過しても賞球を払い出さない。大入賞口34は蓋66を有し,当該蓋66はソレノイド50によって開閉される。
また,
大入賞口34はVゾーン52を有し,
そのVゾーン52はVゾーンセンサ48を有する。大入賞口開放期間内にパチンコ球がVゾーン52に入賞すると,
大当たり遊技を所要回数
(例
えば16回)内で継続することができる。上記大入賞口開放期間としては,例えば大入賞口34にパチンコ球が10個入賞するか,開放してから30秒間を経過するまでのいずれか早いほうが該当する。さらに蓋6
6の下部には,第1種始動口30と同等の機能を備えた下部第1種始動口62を配置している。下部第1種始動口62は始動口センサ56と同様の機能を備えた始動口センサ60を有する。
【0016】
次に,図2を参照しながら複合装置14の構成について説明する。図2に示すように,複合装置14には,天入賞口14a,特別図柄表示器20等が設けられている。
天入賞口14aは一般の入賞口の一つである。
特別図柄表示器20には,例えば液晶表示器が用いられ,この特別図柄表示器20の表示画面21には特別図柄等が表示される。なお,特別図柄として用いる図柄は,数字,文字(英数字や漢字等)
,記号,図形,絵
柄等がある。また,背景図柄には,例えば動画(映像,アニメーション等)
や静止画等がある。
また,
特別図柄表示器20は液晶表示器以外に,
CRT,LED表示器,プラズマ表示器等のように特別図柄等が表示可能な表示器を用いてもよい。表示画面21の下方位置には,特別図柄用の保留球ランプ28が表示されている。保留球ランプ28は,ほぼ水平状に並べて複数(例えば4個)設けられ,特別図柄の図柄変動中に第1種始動口30に入賞したパチンコ球の個数を表示する。
【0017】
特別図柄表示器20の表示画面21は方形に形成され,この表示画面21に3つの図柄表示列(左図柄表示列110,中図柄表示列130,右図柄表示列150)が形成されるように構成されている。そして,図柄表示列110,
130,
150に表示された特別図柄の配列によって,
遊技者に大当たり遊技を付与する大当たりか否かを報知する。具体的には,表示画面21の図柄表示列110,130,150に表示された特別図柄によって大当たり図柄配列
(例えば,
同じ図柄が3つ揃った場合)
を形成した場合が大当たりであり,それ以外の図柄配列が形成され
た場合がはずれである。なお,本実施の形態では,図柄表示列110,130,150に表示される特別図柄はいずれも0~9の
計10種類である。
【0018】
次に,第1実施の形態の特別図柄表示器20の表示画面21に表示される態様について,図3~図8を参照しながら詳細に説明する。なお,これらの図において,変動している図柄表示列を図中下向きの矢印で示している。遊技盤面12に打ち出されたパチンコ球が第1種始動口30に入賞すると,特別図柄表示器20の表示画面21の3つの図柄表示列110,130,150は,図3に示すように順変動方向(図2中の矢印40方向)にほぼ一斉に変動(例えば,図柄が認識できない程度の高速で)
を開始する。
そして,
左図柄表示列110,
右図柄表示列150,
中図柄表示列130の順で図柄の変動を停止する。
【0019】
なお,パチンコ機の遊技制御部では4[msec]毎に各種乱数が更新されており,第1種始動口30にパチンコ球が入賞すると,この入賞球を検知したタイミングで大当たり判定乱数,大当たり図柄用乱数が取得される。大当たり判定乱数は大当たりにするか否かの決定に用いられ,大当たり図柄用乱数は大当たりが決定した場合に大当たりの特別図柄の停止態様を決定する乱数である。また,はずれ図柄や,図柄の変動態様の決定には,左特別図柄乱数,中特別図柄乱数,右特別図柄乱数,リーチ判定用乱数,変動パターン用乱数が使用される。これらの乱数は,変動に先立って取得される。左特別図柄乱数,中特別図柄乱数,右特別図柄乱数は,はずれが決定している場合の,特別図柄の停止態様を決定する乱数である。リーチ判定用乱数は,はずれが決定している場合の,はずれリーチの演出を行うか否かを決定する乱数である。はずれリーチの
演出を行うと決定された場合,左特別図柄乱数,中特別図柄乱数,右特別図柄乱数の中から1種類の乱数を捨て,はずれリーチが形成される特別図柄の停止態様を決定する。変動の態様を決定する際は,大当たりの場合,はずれリーチの演出を行う場合,単なるはずれの場合,それぞれについて,変動パターン用乱数を参照し,演出の種類,変動の態様を示す変動パターン番号を決定する。このようにして,パチンコ機の遊技制御部で決定された左,右特別図柄の停止態様,
中,
変動パターン番号は,
特別図柄表示制御部にコマンドとして送信される。特別図柄表示制御部では,この左,中,右特別図柄の停止態様と変動パターン番号に従って図柄の変動や再変動を行う。
【0020】
表示画面21に,例えば図4に示すような図柄配列3,↓,7が
表示されると,中図柄表示列130が変動を停止して表示する図柄に関わらずはずれ図柄配列を形成することとなる。そこで,本実施の形態では,左図柄表示列110および右図柄表示列150が順に変動を停止して,はずれ図柄配列を形成するような図柄配列が一旦表示されても,遊技制御部から送信された変動パターン番号に従って表示されている図柄を再変動させる。なお,ここでいう停止には,所定の位置で完全に変動が止まっている場合以外に,所定の位置で小刻みに微動や揺動しているような場合も含むものとする。このような場合,一旦停止して表示された左図柄表示列110の図柄3および右図柄表示列150の図柄7を,遊技制御部から送信された変動パターン番号に従って再変動させる。そして,この再変動によって表示画面21にリーチ図柄配列や大当たり図柄配列を形成させることができる。なお,この図柄3および図柄7が本発明における所定図柄に対応している。
【0021】

以下,第1実施の形態における左図柄表示列110および右図柄表示列150に表示されている図柄が再変動する際の変動態様について説明する。図4に示すように,再変動する際に,各構成面に図柄が配置された多面体120,160,本実施の形態では全構成面が六面である立方体が表示される。変動開始時には,まず一旦変動を停止した図柄がこれら多面体120,160の第1面121,161に表示される。すなわち,多面体120の構成面の一つに図柄3が表示され,多面体160の構成面の一つに図柄7が表示されている。そして,これら多面体120,160が回転軸110aおよび回転軸150aを回転中心として所定の方向,例えば左回り方向へ回転変動(再変動)して表示される。このような回転変動では,多面体120,160の構成面(六面)のうち最大で二面が表示されることとなる。すなわち,六面のうちの一面あるいは二面が表示されることとなる。また,これら多面体120,160の構成面には,10種類の図柄のうちの例えば6種類が配置されている。
【0022】
具体的には,多面体120,160が回転変動する過程において例えば図5に示すような図柄が表示される。すなわち,左図柄表示列110では,回転変動開始前に第1面121に表示されていた図柄3に加え,回転変動開始後に第2面122に図柄7が表示される。また,右図柄表示列150では,回転変動開始前に第1面161に表示されていた図柄7に加え,回転変動開始後に第2面162に図柄2が
表示される。また,多面体120,160の各構成面に配置され,これら多面体120,160が所定の方向へ回転変動する際に表示される図柄の配列は,
本来の図柄の順列とは異なるようになっている。
すなわち,
左図柄表示列110および右図柄表示列150における図柄の配列は,
例えば0,1,2…7,8,9といった連続した配列ではなく,本来の図柄の順列とは異なる配列で表示されることとなる。
【0023】
このような場合,左図柄表示列110と右図柄表示列150に同じ図柄
7
が表示されており,
この図柄
7
を用いてリーチ図柄配列
7,↓,7を形成させることができる。なお,本実施の形態では,図5に示す状態から更に,左図柄表示列110および右図柄表示列150の立方体が回転変動する場合について説明する。今度は,左図柄表示列110および右図柄表示列150の多面体120,160が,回転軸110bおよび回転軸150bを回転中心として所定の方向,例えば前回り方向へ回転変動する。このような回転変動では,多面体120,160の構成面(六面)のうち最大で三面が表示されることとなる。
【0024】
具体的には,多面体120,160が回転変動する過程において例えば図6に示すような図柄が表示される。すなわち,左図柄表示列110では,従前に第1面121に表示されていた図柄3および第2面122に表示されていた図柄7に加え,第3面123に図柄6が
表示される。また,右図柄表示列150では,従前に第1面161に表示されていた図柄
7
および第2面162に表示されていた図柄
2
に加え,第3面163に図柄3が表示される。
【0025】
そして,このような場合,左図柄表示列110および右図柄表示列150に,同じ図柄3と図柄7が表示されており,この図柄3
と図柄7を改めて左図柄表示列110および右図柄表示列150に表示させることで,図7に示すようにいわゆるダブルリーチを形成させることができる。
この場合,
リーチラインL11上にリーチ図柄配列
7,↓,7が形成され,リーチラインL12上にリーチ図柄配列3,↓,3が形成されることとなる。そして,その後図8に示すように中図柄表示列130に例えば図柄
7
が停止すると大当たり図柄配列となり,
遊技者は引き続き大当たり遊技を行うこととなる。また,中図柄表示列130に図柄3あるいは図柄7以外の図柄が停止するとはずれ
図柄配列となり,大当たり遊技は付与されない。
【0026】
なお,本実施の形態では,図6に示す状態において,多面体120,160が回転軸110b,150bを回転中心として回転変動する場合について記載したが,多面体120を第2面122に直交する回転軸を回転中心として回転変動させ,多面体160を第1面161に直交する回転軸を回転中心として回転変動させることもできる。このようにすれば,回転変動の変動態様に関わらず,常に多面体120の第2面122および多面体160の第1面161に表示された図柄7が表示されることとなる。すなわち,図5に示す状態で,左図柄表示列110および右図柄表示列150に表示された図柄7によって,いわゆるシングルリーチが確定したこととなる。従って,悪くてもシングルリーチとなり,遊技者は,次なる回転変動における,いわゆるダブルリーチやトリプルリーチに対する期待感が高まる。また,本実施の形態では,多面体120,
160が所定の方向へ回転変動する場合について記載したが,
多面体の形状,回転変動の回数,回転方向等はこれに限定されない。また,回転変動後に3つのリーチラインが形成される場合(いわゆるトリプルリーチ)であってもよい。
【0027】
以上のように,第1実施の形態のパチンコ機によれば,表示画面21に一旦はずれ図柄配列を形成した場合でも,多面体120,160を回
転変動させることで図柄の表示数を増加させリーチ図柄配列を形成させることができる。とりわけ,各多面体120,160を回転方向が異なる2つの回転軸を用いて回転変動させるため,図柄数の変更における自由度が増す。これにより,画面表示に今までにない新規な面白さをもたらすことができる。また,第1実施の形態のパチンコ機によれば,図柄が回転変動する際に表示される図柄(数字)が連続していなため,回転変動する際に増える図柄に意外性を持たせ,遊技者の期待感を増加させることができる。また,回転変動時に増える図柄にいわゆる確率変動図柄(例えば奇数)を用いることで,遊技者の抱く期待感を更に高めることができる。
(エ)【0035】
〔他の実施の形態〕上述したパチンコ機(遊技機)にお
いて,他の部分の構造,形状,材質,個数,配置及び動作条件等については,上記実施の形態に限定されるものでなく,必要に応じて種々変更可能である。また,上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0036】
(A)上記実施の形態では,図柄が再変動する変動態様とし
て回転変動や展開変動について記載したが,図柄が再変動する変動態様はこれらに限定されず,必要に応じて種々変更可能である。また,上記実施の形態では,再変動中に,図柄の表示数が増減する場合や,図柄の表示数が順次増加していく場合について記載したが,例えば図柄の表示数が順次減少していく場合であってもよい。
(オ)

【0041】

【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,表示画面に図柄を変動させて表示する遊技機において,表示画面の図柄が変動を開始してから特定の表示態様を形成するまでの遊技過程に新規な興趣を与え,遊技者の期待
感を増加させることができる技術を実現することができる。

前記(1)の記載事項によれば,
引用文献1には,
次のような開示があるこ
とが認められる。
(ア)

表示画面に図柄を変動させて表示する従来の遊技機においては,図
柄が変動を開始してからリーチ状態になるまでの一連の動作が単純であるため(例えば,左,右,中の順で変動を停止する3つの図柄表示列を備えたパチンコ機で,リーチ状態を形成するためには,最初に左図柄表示列に表示される図柄によって,次に右図柄表示列に表示される図柄は一義的に特定される。,遊技者の抱くリーチや大当たりに対する期待感)
を今一歩増加させることができないという問題があった(
【0002】

【0003】。

本発明は,このような問題点に鑑みてされたものであり,表示画
面の図柄が変動を開始してから特定の表示態様を形成するまでの遊技過程に新規な興趣を与え,遊技者の期待感を増加させることができる技術を提供することを目的とする(
【0004】。

(イ)

本発明は,上記課題を解決するための手段として,表示画面に

特定の表示態様(例えば,リーチ図柄配列や大当たり図柄配列)が形成されない場合,表示画面に表示されている所定図柄を種々の変動態様によって再変動させることで,画面表示による演出効果を高める構成を採用し,これにより表示画面の図柄が変動を開始してから特定の表示態様を形成するまでの遊技過程に新規な興趣を与え,遊技者の期待感を増加させることができる技術を実現することができるという効果を奏する(
【0006】【0041】。




手続違背の有無について
原告は,本件拒絶査定とともにした第2次補正の却下決定の理由は,引用文献1の図6に示される状態が第2次補正後の請求項1に係る発明(本
件補正発明と同じ内容)の前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄と前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄とが一致せず前記リーチ態様が構成されていない状態構(
成Ep)に相当することを前提に,第2次補正後の請求項1に係る発明は,独立特許要件を満たしていないと判断したのに対し,本件審決は,引用文献1の図4に示される状態が本件補正発明の構成Eのうち,
前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄と前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄とが一致せず前記リーチ態様が構成されていない状態(構成Ep)に相当することを前提に,本件補
正発明は,独立特許要件を満たしていないと判断したものであり,第2次補正の却下決定と本件審決とでは構成Epと対応付けられる事項が異なるため,第2次補正の却下決定を前提とする本件拒絶査定と本件審決とでは,本願の拒絶理由が異なるものといえるから,
本件審判手続において,
審判合議体は,
原告に対し,引用文献1の記載と構成Epと対応付けられる事項との明確な対応関係を示した上で,新たに拒絶理由通知をし,反論の機会(特許法159条において準用する同法50条本文)を与えるべきであったのに,これを怠った手続違背の違法がある旨主張するので,以下において判断する。ア(ア)

本件拒絶査定(甲11)の理由は,本願については,本件拒絶理由
通知(甲7)に記載した理由1及び2によって拒絶をすべきというものである。
本件拒絶理由通知には,下記のような記載がある。

●理由1(新規性),●理由2(進歩性)について・請求項1・引用文献等1引用文献1(特に,段落0020~0027,図4~図7)には,左図柄に「3,右図柄に7が停止し,中図柄が変動している状態から,3と7のダブルリーチを形成する遊技機が記載されてい
る。また,段落0027には,確率変動図柄に,例えば,奇数の図柄を用いることが記載されている。
したがって,請求項1に係る発明と,引用文献1に記載された発明とは,発明を特定する事項に差異はない。
また,少なくとも,請求項1に係る発明は,引用文献1に記載された発明に基いて,当業者が容易に想到し得たものである。」
(イ)

前記(ア)のとおり,本件拒絶理由通知は,引用文献1に,左図柄に「3,右図柄に7が停止し,中図柄が変動している状態から,3

7
のダブルリーチを形成する遊技機が記載されている。と認定し,

その認定の根拠として図4ないし7を引用しているが,このうち,左図柄に「3,右図柄に7が停止し,中図柄が変動している状態」を示した図面は,図4のみである。また,引用文献1の【0020】の表示画面21に,例えば図4に示すような図柄配列「3,↓,7が表示されると,中図柄表示列130が変動を停止して表示する図柄にかかわらず,はずれ図柄配列を形成することとなる。そこで,本実施の形態では,左図柄表示列110および右図柄表示列150が順に変動を停止して,はずれ図柄配列を形成するような図柄配列が一旦表示されても,遊技制御部から送信された変動パターン番号に従って表示されている図柄を再変動させる。」との記載は,図4が左図柄に「3,右図柄に7が停止し,
中図柄が変動している状態」を示した図面であることに対応する記載である。
一方,引用文献1には,図6が,左図柄に「3,右図柄に7が
停止し,中図柄が変動している状態」を示した図面であることを示した記
載はない。かえって,引用文献1には,図6に関し,なお,本実施の形態では,図5に示す状態から更に,左図柄表示列110および右図柄表示列150の立方体が回転変動する場合について説明する。今度は,左図柄表示列110および右図柄表示列150の多面体120,160が,回転軸110bおよび回転軸150bを回転中心として所定の方向,例えば前回り方向へ回転変動する。このような回転変動では,多面体120,160の構成面(六面)のうち最大で三面が表示されることとなる。(【0023】),

具体的には,多面体120,160が回転変動する過程において例えば図6に示すような図柄が表示される。すなわち,左図柄表示列110では,従前に第1面121に表示されていた図柄「3

および第2面122に表示されていた図柄
7
に加え,
第3面123に図柄
6
が表示される。また,右図柄表示列150では,従前に第1面161に表示されていた図柄7および第2面162に表示されていた図柄2
に加え,第3面163に図柄3が表示される。」(【0024】)との記載があり,上記記載及び図6によれば,図6は,多面体120,160の左図柄表示列110及び右図柄表示列150が図面中の矢印の前回り方向に回転変動していることを示した図面であり,左図柄表示列110に表示された図柄3,7及び6,右図柄表示列150に表示
された図柄7,2及び3は,いずれも回転変動中に表示され
た図柄であって,左図柄に3,右図柄に7が停止した状態を示し
たものでないことは明らかである。
したがって,本件拒絶理由通知の拒絶理由が,本件引用文献1の図6に示される状態が第2次補正後の請求項1に係る発明(本件補正発明と同じ内容)の前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄と前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄とが一致せず前記リーチ態様が構成されていない状態(構成Ep)に相当することを前提とするものと認めることはできない。イ(ア)

次に,第2次補正の却下決定(甲10)の理由は,第2次補正後の請
求項1に係る発明は,特許法29条2項の規定により,特許出願の際に独立して特許を受けることができないというものである。
第2次補正の却下決定には,下記のような記載がある。

●特許法第29条第2項について・請求項1・引用文献等1~2引用文献1(特に,段落0020~0027,図4~図7)には,左図柄表示列に「3,右図柄表示列に7が停止し,中図柄表示列が変動している状態から,左図柄表示列と右図柄表示列とが,六面の立方体が回転変動する再変動を行い,左図柄表示列に停止した3と,右図柄表示列に停止した7とが,改めて左図柄表示列と右図柄表示列の両方に表示されて,3と7のダブルリーチを形成する遊技機が記載されて
いる。また,段落0027には,確率変動図柄に,例えば,奇数の図柄を用いることが記載されている。
引用文献1における左図柄表示列と右図柄表示列,中図柄表示列,確率変動図柄は,
補正後の請求項1における第一識別図柄群と第二識別図柄群,
第三識別図柄群,価値要素に相当する。
してみると,補正後の請求項1においては,第三識別図柄群の変動が停止または擬似停止して特殊組み合わせが構築されたときに,リーチ変化演出が実行されることが特定されているのに対して,
引用文献1においては,
中図柄表示列が変動している状態から,ダブルリーチを形成する点で相違する。

この点について,引用文献2(特に,段落0404~0416,図42~図43)には,左右2つの飾り図柄がリーチ態様を形成しない状態で,中央の飾り図柄が特殊リプレイ図柄で仮停止すると,左右2つの飾り図柄がリーチ態様を形成するように変化する遊技機が記載されている。そして,停止した2つの図柄がリーチを形成していない状態から,リーチ状態への変化を,どのようなタイミングで行うかは適宜設計し得る事項であるから,引用文献1において,中図柄表示列が変動している状態に代えて,引用文献2に記載された中央の飾り図柄が特殊リプレイ図柄で仮停止したときを採用することは,当業者が容易に想到し得ることである。」出願人は,平成30年11月9日付け意見書において,「引用文献1において「3と7のダブルリーチが形成される変化は,中図柄が変動している状態(本願発明でいう第三識別図柄群が変動している状態)で発生するものであるから,引用文献1は上記本願発明が特定する事項を開示するものであるとはいえない。」と主張するが,当該事項は,引用文献2に記載ないしは示唆されているから,出願人の主張は採用することができない。
また,出願人は,同意見書において,引用文献1においては,図7に示されるダブルリーチが構成された状態の前の状態である図6に示される状態においては,左図柄は「36
7であり,右図柄は2
3
7
であることから,
左図柄と右図柄の一部が一致しているといえる。

と主張するが,図6に示される状態(左図柄に367,右図
柄に237が表示された状態)は,回転変動による再変動を
示すものであるから,補正後の請求項1で特定される,前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄と前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄とが一致せず前記リーチ態様が構成されていない状態と差異があるものとは認められず,出願人の主張は採用することができない。
なお,仮に,その点が相違するとしても,引用文献1の段落0036には,図柄が再変動する変動態様は回転変動や展開変動に限定されず,必要に応じて種々変更可能であることが記載されており,補正後の請求項1に記載されたようなリーチ変化演出とすることは,当業者が容易に想到し得ることである。
したがって,補正後の請求項1に係る発明は,引用文献1~2に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。」
(イ)

前記(ア)のとおり,第2次補正の却下決定は,引用文献1に,
左図柄表示列に「3
,右図柄表示列に7が停止し,中図柄表示列が変動して
いる状態から,左図柄表示列と右図柄表示列とが,六面の立方体が回転変動する再変動を行い,左図柄表示列に停止した3と,右図柄表示列に停止した7とが,改めて左図柄表示列と右図柄表示列の両方に表示されて,
37

のダブルリーチを形成する遊技機が記載されている。

と認定し,その認定の根拠として図4ないし7を引用しているが,このうち,
左図柄表示列に「3
,右図柄表示列に7が停止し,中図柄表示
列が変動している状態」を示した図面は,図4であって,図6は,多面体120,160の左図柄表示列110及び右図柄表示列150が図面中の矢印の前回り方向に回転変動していることを示した図面であり,左図柄表示列に3
,右図柄表示列に7が停止した状態を示したものでないこ
とは,前記ア(イ)で説示したとおりである。
もっとも,第2次補正の却下決定は,出願人(原告)の主張について,図6に示される状態(左図柄に「3
6
7
,右図柄に2
3
7が表示された状態)は,回転変動による再変動を示すものであるから,
補正後の請求項1で特定される,
前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄と前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄とが一致せず前記リーチ態様が構成されていない状態(構成Ep)と差異があるものとは認められず,出願人の
主張は採用することができない旨判断しているが,
この判断は,
図6に示される状態が,構成Epの前記リーチ態様が構成されていない状態と差異がないとの判断を示したものであって,図6が,
左図柄表示列に「3
,右図柄表示列に7が停止し,中図柄表示列が変動している状
態」を示した図面であることを認定したものとはいえない。
以上によれば,第2次補正の却下決定の理由が,本件引用文献1の図6に示される状態が構成Epに相当することを前提とするものと認めることはできない。

以上のとおり,
本件拒絶理由通知及び第2次補正却下決定のいずれにおい
ても,引用文献1記載の図6に示される状態が構成Epに相当することを前提とするものと認めることはできず,かえって,引用文献1記載の図4に示される状態が構成Epに相当することを示したものと認められ,一方で,本件審決においても,引用文献1記載の図4に示される状態が構成Epに相当すると判断していること(23頁8行目ないし12行目)からすると,
第2次補正の却下決定と本件審決とでは構成Epと対応付けられる事項が異なることを前提に本件拒絶査定と本件審決とでは本願の拒絶理由が異なるとして,新たに拒絶理由通知をし,反論の機会を与えるべきであったのに,これを怠った手続違背の違法があるとの原告の前記主張は,その前提において採用することができない。
その他原告は,本件審判手続に手続違背がある旨を縷々主張するが,いずれも理由がない。
したがって,原告主張の取消事由1は,理由がない。

3
取消事由2(引用文献1を主引用例とする本件補正発明の進歩性の判断の誤
り)について


一致点の認定の誤りの有無について
原告は,
本件審決が認定した本件補正発明と引用発明の一致点のうち,
E’前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄と前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄とが一致せず前記リーチ態様が構成されていない状態で,前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄による第一リーチ態様と,前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄による第二リーチ態様が構成された状態に変化するリーチ変化演出が実行可能であるとの構成(E’の構成)が一致点であると認定したのは,誤りである旨主張するので,以下において判断する。
ア(ア)

本件補正発明の構成Eは,
前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄と前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄とが一致せず前記リーチ態様が構成されていない状態で,前記第三識別図柄群の変動が停止または擬似停止して特殊組み合わせが構築されたときには,前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄による第一リーチ態様と,前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄による第二リーチ態様が構成された状態に変化するリーチ変化演出が実行可能であることを特徴とする遊技機。というものである。構成Eは,その文理上,前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄と前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄とが一致せず,リーチ態様が構成されなかった状態において,第三識別図柄群の変動が停止または擬似停止して特殊組み合わせが構築されたときに,前記停止または擬似停止した識別図柄のそれぞれによるリーチ態様(第一リーチ態様及び第二リーチ態様の2つ
のリーチ態様)が構成された状態に変化するリーチ変化演出が実行可能であることを規定したものと解される。次に,本願明細書には,①リーチ変化演出の実施形態として,このように,左識別図柄群10gLから選択されて停止または擬似停止した識別図柄10(左の識別図柄10)と右識別図柄群10gRから選択されて停止または擬似停止した識別図柄10(右の識別図柄10)が同じとはならなかった(図4(b)参照)ものの,中識別図柄群10gCから選択されて停止または擬似停止した識別図柄10(中の識別図柄10)が特殊図柄20となる特殊組み合わせとなった場合(図4(c)参照),リーチ変化演出が発生する。本実施形態では,リーチ変化演出の発生前に停止または擬似停止していた左の識別図柄10による第一リーチ態様と,右の識別図柄10による第二リーチ態様とが構築される。例えば,特殊組み合わせが,左から「2の識別図柄10・特殊図柄20・7の識別図柄10であった場合には,リーチ変化演出として,
2
の識別図柄10による第一リーチ態様と,
7
の識別図柄10による第
二リーチ態様が発生する(図4(d)参照)
。なお,第一リーチ態様と第
二リーチ態様が構成された後は,中識別図柄群10gCは再び変動を開始する。遊技者の視点でいえば,中識別図柄群10gCから選択される識別図柄10が2または7の識別図柄10であれば大当たりと
なる,
いわゆる
ダブルリーチ
の状態が発生したとみることができる。


【0033】
)との記載があり,②リーチ変化演出の技術的意義に関し,
このように,本実施形態にかかる遊技機1によれば,リーチ態様が構成されなかったときにも,特殊組み合わせとなることを経由してリーチ態様に変化することがある。つまり,リーチ態様が構成されなかった時点ではずれが確定してしまうことがなくなるため,単調な遊技性となることを抑制することが可能である。(【0034】,)また,リーチ変化演出後には,第一リーチ態様と第二リーチ態様という二つのリーチ態様が構成されたいわゆるダブルリーチ状態に変化するものであるから,リーチ変化演出の発生が遊技者にとってより有利な状況への変化であるということを認識させることが可能である。(【0035】)との記載が
ある。
(イ)

本件補正発明の構成Eと本件審決が認定したE’の構成とを対比

すると,リーチ態様が構成されていない状態からリーチ態様が構成された状態に変化するリーチ変化演出を実行可能なものとするには,構成Eは,リーチ態様が構成されていない状態において特殊組み合わせが構築されたときを要件としているのに対し,E’の構成は,このような要件による限定がない点で相違する。

引用発明は,前記第2の3(2)アのとおり,
表示画面21において,左図柄表示列110の図柄「3および右図柄表示列150の図柄7が一旦停止して表示された後,左図柄表示列110および右図柄表示列150に,各構成面に図柄が配置された多面体120,160をそれぞれ表示し,当該多面体120,160を回転変動させて,左図柄表示列110の図柄および右図柄表示列150の図柄を再変動させ,再変動の過程において,
左図柄表示列110では,
回転変動開始前に表示されていた図柄
3
に加えて図柄7が表示され,右図柄表示列150では,回転変動開始前に表示されていた図柄7に加えて図柄3が表示され,左図柄表
示列110および右図柄表示列150に同じ図柄3と図柄7が表
示される場合があり,この場合,図柄3によるリーチ図柄配列と図柄7によるリーチ図柄配列とが形成され」左図柄表示列110の図柄,および右図柄表示列150の図柄が,一旦停止して表示された後,再変動し,リーチ図柄配列を形成する過程において,中図柄表示列130は変動し続けるとの構成(構成c,d,e)を有する。
引用文献1には,
第1実施の形態に関し,①表示画面21に,例えば図4に示すような図柄配列「3,↓,7が表示されると,中図柄表示列130が変動を停止して表示する図柄に関わらずはずれ図柄配列を形成することとなる。そこで,本実施の形態では,左図柄表示列110および右図柄表示列150が順に変動を停止して,はずれ図柄配列を形成するような図柄配列が一旦表示されても,遊技制御部から送信された変動パターン番号に従って表示されている図柄を再変動させる。…そして,この再変動によって表示画面21にリーチ図柄配列や大当たり図柄配列を形成させることができる。(
」【0020】,②以下,第1実施の形態における)左図柄表示列110および右図柄表示列150に表示されている図柄が再変動する際の変動態様について説明する。図4に示すように,再変動する際に,各構成面に図柄が配置された多面体120,160,本実施の形態では全構成面が六面である立方体が表示される。変動開始時には,まず一旦変動を停止した図柄がこれら多面体120,160の第1面121,161に表示される。すなわち,多面体120の構成面の一つに図柄「3が表示され,
多面体160の構成面の一つに図柄
7
が表示されている。
そして,これら多面体120,160が回転軸110aおよび回転軸150aを回転中心として所定の方向,
例えば左回り方向へ回転変動
(再変動)
して表示される。このような回転変動では,多面体120,160の構成面(六面)のうち最大で二面が表示されることとなる。(
」【0021】,③

具体的には,多面体120,160が回転変動する過程において例えば図5に示すような図柄が表示される。すなわち,左図柄表示列110では,回転変動開始前に第1面121に表示されていた図柄「3

に加え,回転変動開始後に第2面122に図柄7が表示される。また,右図柄表示列150では,
回転変動開始前に第1面161に表示されていた図柄
7
に加え,
回転変動開始後に第2面162に図柄
2
が表示される。
また,

多面体120,160の各構成面に配置され,これら多面体120,160が所定の方向へ回転変動する際に表示される図柄の配列は,本来の図柄の順列とは異なるようになっている。【0022】,このような場合,(
)④
左図柄表示列110と右図柄表示列150に同じ図柄7が表示されており,この図柄7を用いてリーチ図柄配列7,↓,7を形成させ
ることができる。なお,本実施の形態では,図5に示す状態から更に,左図柄表示列110および右図柄表示列150の立方体が回転変動する場合について説明する。今度は,左図柄表示列110および右図柄表示列150の多面体120,160が,回転軸110bおよび回転軸150bを回転中心として所定の方向,例えば前回り方向へ回転変動する。このような回転変動では,多面体120,160の構成面(六面)のうち最大で三面が表示されることとなる。(
」【0023】,⑤

具体的には,多面体12)0,160が回転変動する過程において例えば図6に示すような図柄が表示される。すなわち,左図柄表示列110では,従前に第1面121に表示されていた図柄「3

および第2面122に表示されていた図柄7に加え,第3面123に図柄6が表示される。また,右図柄表示列150では,従前に第1面161に表示されていた図柄7および第2面162に表示されていた図柄2に加え,第3面163に図柄3が
表示される。(
」【0024】,⑥そして,このような場合,左図柄表示列)110および右図柄表示列150に,同じ図柄「3と図柄7が表示されており,この図柄3と図柄7を改めて左図柄表示列110お
よび右図柄表示列150に表示させることで,図7に示すようにいわゆるダブルリーチを形成させることができる。この場合,リーチラインL11上にリーチ図柄配列7,↓,7が形成され,リーチラインL12上にリーチ図柄配列3,↓,3が形成されることとなる。そして,その後図8に示すように中図柄表示列130に例えば図柄7が停止すると大
当たり図柄配列となり,遊技者は引き続き大当たり遊技を行うこととなる。また,中図柄表示列130に図柄3あるいは図柄7以外の図柄が
停止するとはずれ図柄配列となり,
大当たり遊技は付与されない。【00


26】,⑦以上のように,第1実施の形態のパチンコ機によれば,表示)画面21に一旦はずれ図柄配列を形成した場合でも,多面体120,160を回転変動させることで図柄の表示数を増加させリーチ図柄配列を形成させることができる。(【0027】)との記載がある。
そして,
引用文献1の上記記載及び図4ないし7から,
引用文献1には,
表示画面21において,
図4に示すように,
左図柄表示列110の図柄
3
および右図柄表示列150の図柄7が一旦停止して表示された後,図5及び6に示すように,各構成面に図柄が配置された多面体120,160を左回り方向又は前回り方向に回転変動させて,左図柄表示列110の図柄および右図柄表示列150の図柄を再変動させ,再変動の過程において,図7に示すような,左図柄表示列110では,回転変動開始前に表示されていた図柄3に加えて図柄7が表示され,右図柄表示列15
0では,回転変動開始前に表示されていた図柄7に加えて図柄3
が表示され,左図柄表示列110および右図柄表示列150に同じ図柄3と図柄7が表示される場合があり,この場合,図柄3によ
るリーチ図柄と図柄7によるリーチ図柄のダブルリーチの図柄配列が形成されることが開示されていることが認められる。
そして,引用文献1記載の上記開示事項を踏まえると,引用発明の構成c,d,eにおける左図柄表示列110の図柄「3および右図柄表示列150の図柄7が一旦停止して表示された」状態(図4に示された状態)は,E’の構成のうちの前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄と前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄とが一致せず前記リーチ態様が構成されていない状態(構成Ep)に,引用発明の構成c,d,eにおける左図柄表示列110および右図柄表示列150に,各構成面に図柄が配置された多面体120,160をそれぞれ表示し,当該多面体120,160を回転変動させて,左図柄表示列110の図柄および右図柄表示列150の図柄を再変動させ(図5及び6に示された状態)

再変動の過程において,左図柄表示列110では,回転変動開始前に表示されていた図柄「3に加えて図柄7が表示され,右図柄表示列150では,回転変動開始前に表示されていた図柄7に加えて図柄3が表示され,左図柄表示
列110および右図柄表示列150に同じ図柄3と図柄7が表示
される場合」
(図7に示された状態)があり,
この場合,図柄「3によ
るリーチ図柄配列と図柄7によるリーチ図柄配列とが形成され」た状態は,E’の構成のうちの前記リーチ態様が構成されていない状態で,前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄による第一リーチ態様と,前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄による第二リーチ態様が構成された状態に変化するリーチ変化演出が実行可能であるとの構成に相当するものと認められる。したがって,引用発明は,E’の構成を有するものといえるから,E’の構成を本件補正発明と引用発明の一致点と認定した本件審決に誤りはない。

これに対し原告は,
引用文献1に接した当業者は,
引用文献1の記載【0

020】ないし【0022】【0024】ないし【0026】及び図4な,
いし7)の記載から,①図4に示されている状態から図7に示されている状態に至る演出
(対象演出)
は,
左図柄表示列110に表示される図柄
(左
図柄)及び右図柄表示列150に表示される図柄(右図柄)がそれぞれ1つである状態(図4に示される状態)から,2つである状態(図5に示す状態)を経て,3つである状態(図6に示される状態)に変化し,3つの
左図柄と3つの右図柄とで共通する図柄(共通図柄)がリーチ図柄となるリーチが構成される状態(図7に示される状態)に至る演出であること,②図6に示される状態において表示される左右それぞれの3つの図柄のうち,共通図柄が1種であればシングルリーチ,2種であればダブルリーチ,3種であればトリプルリーチとなるリーチ状態を構成するものであって,対象演出において,どのようなリーチ状態が構成されるかは,図6に示される状態が基準となり,図4に示される状態において表示される1つの左図柄と1つの右図柄は,最終的にリーチ図柄となるとは限らないこと,③【0026】の記載に照らせば,対象演出は,
図4→図5→図6とい
うように変化していくに従い,左右で共通図柄が増えること(リーチラインが増えること)で遊技者の期待感を増加させることを目的とするものであり,
途中で共通図柄が増える
ということが遊技者の期待感を増加させ
るために必要な本質的部分であるから,対象演出から図5や図6に示される途中の状態が排除されることは想定できないことを認識することからすると,図4に示される状態において表示される1つの左図柄と1つの右図柄は,最終的にリーチ図柄となるとは限らず,図5や図6に示される途中の状態に応じてリーチ図柄となるものが決まるものであり,図5や図6に示される途中の状態がなければ,リーチ図柄が決まらず,図7に示す状態に至らないから,E’の構成を本件補正発明と引用発明との一致点と認定することは,対象演出の成立に必須である図5や図6に示される途中の状態を無視するものであるから,妥当性を欠くものであるとして,本件審決がE’の構成を一致点であると認定したことは誤りである旨主張する。しかしながら,引用文献1の上記記載に照らすと,図5及び6は,図4に示されている状態から再変動を開始し,その再変動の過程の態様を示したものであり,図5及び6に示された図柄は,変動中の多面体(構成面が六面である立方体)の各面を例示したものであり,停止又は疑似停止した
図柄ではない。
また,引用文献1には,図5や図6に示される途中の状態に応じてリーチ図柄となるものが決まることを述べた記載はない。
さらに,引用文献1の【0023】の図5に示す状態から更に,左図柄表示列110および右図柄表示列150の立方体が回転変動する場合について説明する。今度は,左図柄表示列110および右図柄表示列150の多面体120,160が,回転軸110bおよび回転軸150bを回転中心として所定の方向,例えば前回り方向へ回転変動する。及び【0024】の

具体的には,多面体120,160が回転変動する過程において例えば図6に示すような図柄が表示される。との記載に鑑みると,

図6
に示す状態は,図5に示す状態から更に変化する場合の一例にすぎず,図4に示す状態から図7に示す状態に至るには,必ず図6に示された図柄の表示を経由しなければならないことを開示したものとはいえない。したがって,原告の上記主張は,その前提において採用することができない。


相違点の容易想到性の判断の誤りの有無について

引用文献2の記載事項
引用文献2(甲2)には,次のような記載がある(下記記載中に引用する図2,
15,
17,
35,
37,
42及び43については別紙3を参照)

(ア)

【技術分野】

【0001】
本発明は,遊技の進行状態に応じて所定の演出を実行する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技機,例えばパチンコ遊技機では,遊技盤に設けられた始動
入賞口への遊技球の入賞に基づいて,変動表示装置に表示される複数の識別情報(飾り図柄)が変動する変動表示ゲームを開始する。変動表示ゲームにおいて所定時間経過後に停止した複数の識別情報の結果態様が予め定められた特別結果態様であった場合には,遊技者に多くの賞球を払い出す特別遊技状態(大当り状態)となり,遊技者は多くの利益を獲得することが可能になる。
【0003】
特許文献1には,1回の変動表示ゲーム中において識別情報を疑似的に停止(仮停止)させて複数回の変動表示ゲームが行われているかのような疑似連続演出を実行することで,特別遊技状態が発生する期待度を高めるようにした遊技機が開示されている。
【0004】
また,近年では,疑似連続演出における複数回の変動表示ゲーム(疑似変動表示ゲーム)のうち,先行する疑似変動表示ゲームの実行中に,当該疑似変動表示ゲームの後に再び疑似変動表示ゲームが開始されることを示す特定の識別情報を表示し,疑似連続演出が継続することを報知する遊技機もある。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら,上記した特定の識別情報は単に疑似連続演出における疑似変動表示ゲームが連続的に実行されることを報知するものであり,特定の識別情報と実行中の変動表示ゲームの結果との間には関連性はなかった。このような遊技機では,疑似連続演出が実行されることによって特別遊技状態が発生する期待度は高まるが,特定の識別情報の表示自体によって特別遊技状態が発生する期待度が高まるものではなく,遊技の興趣を高めきれていなかった。

【0007】
そこで,本発明は上記した問題点に鑑みなされたものであり,疑似連続演出の継続を報知する特定の識別情報の表示により遊技の興趣を向上可能な遊技機を提供することを目的とする。
(イ)

【課題を解決するための手段】

【0008】
本発明は,始動入賞領域への遊技球の入賞に基づき遊技者に有利な特別遊技状態を発生させるか否かを決定するための抽選を実行する抽選手段と,前記始動入賞領域への遊技球の入賞に基づき前記抽選の実行権利を始動記憶として所定上限数まで記憶する始動入賞記憶手段と,1つの始動記憶に基づき,表示装置において複数の識別情報を変動表示させた後に停止表示して当該複数の識別情報の停止結果態様により前記抽選の結果を報知する変動表示ゲームを1回実行する変動表示ゲーム制御手段と,を備える遊技機において,前記変動表示ゲーム制御手段は,前記特別遊技状態を発生させる場合に,前記変動表示ゲームにおける前記複数の識別情報の停止結果態様を特別結果態様に制御する特別結果態様制御手段と,1回の前記変動表示ゲームにおいて,前記複数の識別情報の変動表示開始から停止表示までの間に,変動表示されている前記複数の識別情報を疑似停止表示させる疑似変動表示ゲームを所定回数行って疑似連続演出を実行する疑似連続演出実行手段と,を備え,前記疑似連続演出実行手段は,所定回数実行される前記疑似変動表示ゲームのうち先の疑似変動表示ゲームにおいて,
前記複数の識別情報の少なくとも一つを,
後の疑似変動表示ゲームが実行されることを示す特定識別情報に制御する特定識別情報制御手段と,前記特別結果態様が導出される信頼度がそれぞれ設定された複数の前記特定識別情報のうちの一つを,前記特定識別情報制御手段で制御される前記特定識別情報として選択する特定識別
情報選択手段と,を備えることを特徴とする。
(ウ)

【発明の効果】

【0009】
本発明によれば,特定識別情報が疑似連続演出が継続すること及び実行中の特図変動表示ゲームの結果に対する期待度を報知するように構成されているため,疑似連続演出の継続のみを報知する従来のものと比較して,遊技の興趣を高めることが可能となる。
(エ)

【発明を実施するための形態】

【0026】
図2を参照して,
遊技機1に配設される遊技盤30について説明する。
図2は,遊技機1に備えられる遊技盤30の正面図である。
【0070】
なお,リーチ(リーチ状態)とは,変動表示装置35が時期を異ならせて複数の表示結果を導出表示し,複数の表示結果が予め定められた特別結果態様となった場合に,遊技状態が遊技者にとって有利な特別遊技状態となる遊技機1において,複数の表示結果の一部がまだ導出表示されていない段階で既に導出表示されている表示結果が特別結果態様となる条件を満たしている表示状態,例えば最後に停止する識別情報を除く複数の識別情報が特別遊技状態となる特別結果を発生可能な識別情報で停止し,最後に停止する識別情報が変動表示している状態をいう。別の表現をすれば,リーチ状態とは,変動表示装置35の変動表示制御が進行して表示結果が導出表示される前段階にまで達した時点でも,特別結果態様となる表示条件からはずれていない表示態様をいう。そして,例えば,特別結果態様が揃った状態を維持しながら複数の変動表示領域による変動表示を行ういわゆる全回転リーチもリーチ状態に含まれる。また,リーチ状態とは,変動表示装置35の表示制御が進行して表示結果
が導出表示される前段階にまで達した時点での表示状態であって,表示結果が導出表示される以前に決定されている複数の変動表示領域の表示結果の少なくとも一部が特別結果態様となる条件を満たしている場合の表示状態をいう。
【0071】
よって,例えば特図変動表示ゲームに対応して変動表示装置35に表示される飾り特図変動表示ゲームが,
変動表示装置35における左,
中,
右の変動表示領域の各々で所定時間複数の識別情報を変動表示した後,左,右,中の順で変動表示を停止して結果態様を表示するものである場合,左,右の変動表示領域において特別結果態様となる条件を満たした状態,すなわち同一の識別情報で変動表示が停止した状態がリーチ状態となる。この他にも,すべての変動表示領域の変動表示を一旦停止した時点で,左,中,右のうち何れか二つの変動表示領域で特別結果態様となる条件を満たした状態,例えば同一の識別情報となった状態(但し特別結果態様は除く)をリーチ状態とし,このリーチ状態から残りの一つの変動表示領域を変動表示するようにしてもよい。
【0219】
図15に示す特図1変動開始処理1は,特図1変動表示ゲームの開始時に実行される処理である。特図1変動開始処理1が開始されると,遊技制御装置600は,第1特図変動表示ゲームの結果が大当りであるか否かを判定するための大当りフラグ1に,はずれ情報又は大当り情報を設定する大当りフラグ1設定処理を実行する(S801a)
。そして,遊
技制御装置600は,第1特図停止図柄の設定に係る特図1停止図柄設定処理を実行する(S802a)

【0224】
第1特図変動表示ゲームの変動パターンは図15のS809a及びS
810aにおいて設定され,第2特図変動表示ゲームの変動パターンは図16のS809b及びS810bにおいて設定される。設定される変動パターンの内容について,図17(A)及び図17(B)を参照して説明する。図17(A)は,はずれ時の変動パターンの一例を示すはずれ変動パターンテーブルである。図17(B)は,大当り時の変動パターンの一例を示す大当り変動パターンテーブルである。なお,遊技機1は,図17(A)及び図17(B)の変動パターン以外にも,各種遊技状態(時短状態等)に対応する変動パターンを設定可能に構成されている。
【0225】
特図変動表示ゲームの結果がはずれである場合には,
変動パターンは,
図17(A)のはずれ変動パターンテーブルに基づいて,リーチなし変動(変動パターン1)
,ノーマルリーチ変動(変動パターン2)
,変動時
間の異なるSP1リーチ変動
(変動パターン3~5)変動時間の異なる

SP2リーチ変動
(変動パターン6~8)及び変動時間の異なるSP3

リーチ変動(変動パターン9~11)の中から1つの変動パターンに設定される。
【0228】
期待度が高く,
変動時間が長めに設定される変動パターン4,7,
5,
8,10,11では,1つの始動記憶を使用して実行される1回の特図変動表示ゲーム中において,変動表示装置35に変動表示される飾り図柄
(識別図柄)
を特別結果態様以外の停止態様で疑似的に停止
(仮停止)
させて複数回の変動表示ゲームが連続して行われているかのような疑似連続演出を実行する。疑似連続演出では,飾り図柄の仮停止を伴う疑似変動表示ゲームが所定回数連続して行われる。
変動パターン4,7,
5,
8,10,11における疑似連続回数は1回の特図変動表示ゲーム中に
おける疑似変動表示ゲームの回数であり,変動パターン4,7,10では疑似連続回数が2回に設定され,変動パターン5,8,11では疑似連続回数が3回に設定される。
【0230】
一方,特図変動表示ゲームの結果が大当りである場合には,変動パターンは,図17(B)の大当り変動パターンテーブルに基づいて,ノーマルリーチ変動
(変動パターン2)変動時間の異なるSP1リーチ変動

(変動パターン3~5)変動時間の異なるSP2リーチ変動

(変動パタ
ーン6~8)変動時間の異なるSP3リーチ変動

(変動パターン9~1
1)
,及びプレミアムリーチ変動(変動パターン12)の中から1つの変動パターンに設定される。
【0232】
期待度が高く,
変動時間が長めに設定される変動パターン4,7,
5,
8,
10~12では,
疑似連続演出が実行される。
変動パターン4,
7,
10では疑似連続回数が2回に設定され,変動パターン5,8,11では疑似連続回数が3回に設定される。プレミアムリーチ変動を伴う変動パターン12では,疑似連続回数が4回に設定される。このように,遊技機1は,疑似変動表示ゲームの実行回数が増加するほど,特図変動表示ゲームの結果が大当りとなる期待度
(特別遊技状態が発生する期待度)
が高くなるように構成されている。
(第3実施形態)
【0374】
〔リプレイ図柄設定処理〕
図35は,第3実施形態による遊技機1の演出制御装置700が実行するリプレイ図柄設定処理のフローチャートである。図35の第3実施形態におけるリプレイ図柄設定処理は,図31の第2実施形態におけるリプレイ図柄設定処理にS1311~S1318の処理を追加したもの
である。なお,図35のリプレイ図柄設定処理のS1301~S1310の処理は,
図31のS1301~S1310の処理と同じであるので,
説明を省略する。
【0384】
図37は,特殊リプレイ図柄の種類を示す図である。図37に示す特殊リプレイ図柄1~4(予告対応識別情報)は,疑似連続演出の継続及び特図変動表示ゲームの期待度を報知可能な識別情報である。
【0395】
図35のS1316又はS1317の処理で特殊リプレイ図柄の表示タイミングを決定した後,演出制御装置700は,特殊リプレイ図柄の表示タイミングや,疑似連続回数,図40のはずれ用特殊リプレイ図柄選択テーブル,図41の大当り用特殊リプレイ図柄選択テーブルに基づいて,特殊リプレイ図柄表示演出パターンを設定し(S1318),リプ
レイ図柄設定処理を終了する。
【0404】
なお,本実施形態では,疑似連続演出を実行しない場合(疑似連続回数が1回の場合)にも,所定の選択率に基づいて特殊リプレイ図柄1~4のうちの1つが選択される。これは,図42(A)及び図43(A-1)~(C-1)を参照して後述するように,疑似連続演出が実行されると見せかけてリーチ後予告演出を実行するためである。
【0405】
〔画面遷移例〕
図42及び図43を参照して,遊技制御装置600及び演出制御装置700による処理に基づいて実行される演出内容の一例について説明する。
【0406】

まず,図42(A)及び図43(A-1)~(C-1)を参照して,図17(A)の変動パターン3における特殊リプレイ図柄表示演出及びリーチ後予告演出について説明する。
図17
(A)
の変動パターン3は,
疑似連続演出が実行されないように設定されている。
【0407】
図42(A)は,飾り図柄の変動状態及び各種演出の状態を示すタイミングチャートである。図43(A-1)~(C-1)は,図42(A)に対応する図であり,特殊リプレイ図柄表示演出及びリーチ後予告演出を説明する画面遷移図である。
【0408】
本実施形態における遊技機1では,疑似連続演出が実行されない場合においても,リーチ後予告演出が実行される時に特殊リプレイ図柄が表示されることがある(S1315→S1316→S1318)
。例えば,
変動パターンが図17(A)の変動パターン3である場合には,図42(A)及び43(A-1)に示すように,左右2つの飾り図柄がはずれ態様を形成した後に,中央の飾り図柄が特殊リプレイ図柄(例えば特殊リプレイ図柄2)に制御され仮停止する。疑似連続演出が実行されないパターンである場合には,
特殊リプレイ図柄2の仮停止直後に図43
(B
-1)に示すように特殊リプレイ図柄2からイカの図柄が飛び出し,図43(C-1)に示すように左右2つの飾り図柄がリーチ態様を形成するように変化するとともに,飛び出したイカの図柄がリーチ後予告演出2を構成するように変化する。
【0409】
図42(A)及び図43(C-1)に示すように,特殊リプレイ図柄2の仮停止直後に,左右2つの飾り図柄がリーチ態様を形成して中央の飾り図柄が再変動を始め,実行中の特図変動表示ゲームの期待度が低い
ことを報知するリーチ後予告演出2が実行される。リーチ後予告演出2の後にはSP1リーチ演出が実行され,3つの飾り図柄が所定のはずれ態様を形成して,特図変動表示ゲームが終了する。
【0410】
本実施形態では,特殊リプレイ図柄を一旦表示して疑似連続演出が実行されると見せかけた後に,特殊リプレイ図柄を変化させて特殊リプレイ図柄と関連する表示態様のリーチ後予告演出に移行するように構成した。これにより,特殊リプレイ図柄が表示された場合に疑似連続演出が継続する演出パターンと,疑似連続演出が継続せずにリーチ後予告演出に発展する演出パターンとを実現でき,遊技に意外性を持たせることができ,遊技の興趣をより高めることが可能となる。

相違点の容易想到性について
(ア)

前記⑴イ認定のとおり,引用発明の構成c,d,eは,E’の構成に
相当する構成を含むものと認められる。
また,前記2⑴イ認定のとおり,引用文献1には,引用文献1記載の遊技機の発明(
本発明
)は,表示画面に図柄を変動させて表示する従
来の遊技機において,表示画面の図柄が変動を開始してから特定の表示態様を形成するまでの遊技過程に新規な興趣を与え,遊技者の期待感を増加させることができる技術を提供することを目的とし(
【0004】,

その課題を解決するための手段として,表示画面に特定の表示態様(例えば,リーチ図柄配列や大当たり図柄配列)が形成されない場合,表示画面に表示されている所定図柄を種々の変動態様によって再変動させることで,画面表示による演出効果を高める構成を採用し,これにより表示画面の図柄が変動を開始してから特定の表示態様を形成するまでの遊技過程に新規な興趣を与え,遊技者の期待感を増加させることができる技術を実現することができるという効果を奏する【0006】


【004

1】
)との開示がある。
(イ)

引用文献2記載の事項は,
変動表示装置35では,特図変動表示ゲームに対応して,複数の識別情報(飾り図柄)を変動表示する飾り特図変動表示ゲームが実行され,特図変動表示ゲームの結果が大当りとなる場合には,飾り特図変動表示ゲームの結果態様は特別結果態様となり,飾り特図変動表示ゲームが,変動表示装置35における左,中,右の変動表示領域の各々で複数の識別情報を変動表示した後,左,右,中の順で変動表示を停止して結果態様を表示するものであり,左,右の変動表示領域において同一の識別情報で変動表示が停止した状態がリーチ状態となり,1回の特図変動表示ゲーム中において,変動表示装置35に変動表示される飾り図柄を特別結果態様以外の停止態様で仮停止させて複数回の変動表示ゲームが連続して行われているかのような疑似連続演出を実行し,特殊リプレイ図柄は,疑似連続演出の継続を報知可能な識別情報であり,疑似連続演出が実行されない場合においても,特殊リプレイ図柄が表示されることがあり,左右2つの飾り図柄が一致しないはずれ態様を形成した後に,中央の飾り図柄が特殊リプレイ図柄に制御され仮停止し,特殊リプレイ図柄の仮停止直後に,左右2つの飾り図柄がリーチ態様を形成するように変化させる,遊技機というものであり,引用文献2記載の事項のうち,疑似連続演出が実行されない場合においても,特殊リプレイ図柄が表示されることがあり,左右2つの飾り図柄が一致しないはずれ態様を形成した後に,中央の飾り図柄が特殊リプレイ図柄に制御され仮停止し,特殊リプレイ図柄の仮停止直後に,左右2つの飾り図柄がリーチ態様を形成するように変化させる構成は,本件補正発明の構成Eの前記リーチ態様が構成されていない状態で,前記第三識別図柄群の変動が停止または擬似停止して特殊組み合わせが構築されたときには,前記第一識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄による第一リーチ態様と,前記第二識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄による第二リーチ態様が構成された状態に変化するリーチ変化演出が実行可能であるとの構成に相当するものと認められる。
したがって,引用文献2記載の事項は,相違点に係る本件補正発明の構成を開示するものと認められる。
また,引用文献2には,①1回の変動表示ゲーム中において識別情報を疑似的に停止(仮停止)させて複数回の変動表示ゲームが行われているかのような疑似連続演出を実行することで,特別遊技状態が発生する期待度を高めるようにした従来の遊技機には,先行する疑似変動表示ゲームの実行中に,当該疑似変動表示ゲームの後に再び疑似変動表示ゲームが開始されることを示す特定の識別情報を表示し,疑似連続演出が継続することを報知する遊技機もあったが,特定の識別情報は単に疑似連続演出における疑似変動表示ゲームが連続的に実行されることを報知するものであり,特定の識別情報と実行中の変動表示ゲームの結果との間には関連性はなかったため,疑似連続演出が実行されることによって特別遊技状態が発生する期待度は高まるが,特定の識別情報の表示自体によって特別遊技状態が発生する期待度が高まるものではなく,遊技の興趣を高めきれていなかったという課題があったこと,②本発明は,上記問題点に鑑み,疑似連続演出の継続を報知する特定の識別情報の表示により遊技の興趣を向上可能な遊技機を提供することを目的とすること,③本発明によれば,特定識別情報が疑似連続演出が継続すること及び実行中の特図変動表示ゲームの結果に対する期待度を報知するように構成されているため,疑似連続演出の継続のみを報知する従来のものと比較して,遊技の興趣を高めることが可能となる効果を奏することの開示がある(
【0003】ないし【0007】【0009】。



(ウ)

前記(ア)及び(イ)によれば,
引用発明と引用文献2記載の事項
(技術)

とは,表示画面に図柄を変動させて表示する遊技機において,表示画面の図柄が変動を開始してから特定の表示態様を形成するまでの図柄変動表示における興趣を向上させ,遊技者の期待感を増加させることを目的とする点で課題が共通し,その課題を解決するための手段が,リーチ態様が構成されていない状態からリーチ態様が構成された状態に変化するリーチ変化演出を実行可能にするという共通の演出技術に関するものであることが認められる。
そうすると,引用文献1及び2に接した当業者は,引用発明において,表示画面の図柄が変動を開始してから特定の表示態様を形成するまでの遊技過程の興趣をより向上させ,遊技者の期待感をより増加させるため,引用文献2記載の事項の左右2つの飾り図柄が一致しないはずれ態様を形成した後に,中央の飾り図柄が特殊リプレイ図柄に制御され仮停止し,特殊リプレイ図柄の仮停止直後に,左右2つの飾り図柄がリーチ態様を形成するように変化させる構成を適用して,リーチ態様が構成されない状態において特殊組み合わせが構築されたときに,リーチ態様が構成されていない状態からリーチ態様が構成された状態に変化するリーチ変化演出が実行可能な構成とする動機付けがあるものと認められるから,引用文献1及び2に基づいて,相違点に係る本件補正発明の構成とすることを容易に想到することができたものと認められる。

原告の主張について
(ア)

原告は,①引用文献1記載の図4に示される状態での1つの左図柄
と1つの右図柄は,図7に示される状態で必ずリーチ図柄となるとは限らないから,図4に示される状態に対し,引用文献2記載の事項を適用しようとする動機付けはないし,かえって,引用文献1に接した当業者は,図6に示される状態の共通図柄がリーチ図柄となり,図4に示され
る状態はリーチ図柄となりうる候補が左右1つずつ表示されたにすぎないと理解するから,図4に示される状態に対し,
リーチ態様への変
更のきっかけに関する技術である引用文献2記載の事項を適用することには阻害要因がある,②引用発明においては,対象演出は,途中で共通図柄が増えるということが遊技者の期待感を増加させるという目的のために必要な本質的部分であるから,図4に示される状態から図5や図6に示される状態を経由せずに,図7に示される状態に移行する演出を想定することは通常ではないのみならず,図4に示される状態に対し,引用文献2記載の事項を適用することは,対象演出における図5や図6に示される途中の状態を不要なものとする操作であって,引用発明の目的に反するものとなるから,阻害要因がある旨主張する。
しかしながら,①については,引用文献1記載の図4に示される状態での1つの左図柄と1つの右図柄が,図7に示される状態で必ずリーチ図柄となるとは限らないことは,表示画面の図柄が変動を開始してから特定の表示態様を形成するまでの遊技過程の興趣をより向上させ,遊技者の期待感をより増加させるため,引用発明に引用文献2記載の事項を適用する動機付けを否定する根拠となるものではなく,また,上記事項を適用することの阻害要因になるものではない。
次に,②については,引用発明において,引用文献2記載の事項を適用した場合,図4に示される状態において,変動中の中図柄表示例130の図柄が停止して特殊組み合わせが構築されたときに,リーチ態様が構成されていない状態からリーチ態様が構成された状態に変化するリーチ変化演出が実行可能な構成となるというものであって,このときに多面体の回転運動による左図柄表示例110及び右図柄表示例150の各図柄の再変動が開始するから,上記事項の適用により,図5や図6に示される状態が不要なものになるものではない。

したがって,原告の上記主張は採用することができない。


小括
以上によれば,本件補正発明は,引用発明及び引用文献2記載の事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから,本件補正発明は,進歩性が欠如し,独立特許要件を満たさないとした本件審決の判断に誤りはない。
したがって,原告主張の取消事由2は理由がない。

第5

結論
以上のとおり,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。本件審決にこれ
を取り消すべき違法は認められない。
したがって,原告の請求は棄却されるべきものである。

知的財産高等裁判所第1部

裁判長裁判官

大鷹一郎
裁判官

小林康彦
裁判官

高橋彩
(別紙1)
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

(別紙2)
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

(別紙3)
【図2】

【図15】

【図17】

【図35】

【図37】

【図42】

【図43】

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