判例検索β > 令和2年(行ケ)第10032号
特許取消決定取消請求事件 特許権 行政訴訟
事件番号令和2(行ケ)10032
事件名特許取消決定取消請求事件
裁判年月日令和3年3月30日
裁判所名知的財産高等裁判所
権利種別特許権
訴訟類型行政訴訟
裁判日:西暦2021-03-30
情報公開日2021-03-31 18:01:55
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令和3年3月30日判決言渡
令和2年(行ケ)第10032号
口頭弁論終結日

特許取消決定取消請求事件

令和3年2月18日
判決原株
同訴訟代理人弁理士

新被告特
同指定代理人

小池正彦同清水正一同告梶尾誠哉主1式会川許庁社リコ圭長ー二官文特許庁が異議2018-700196号特許異議申立事件について令和2年1月31日にした決定のうち,特許第6191928号の請求項1,3,4,6,7に係る部分を取り消す。

2
訴訟費用は被告の負担とする。

第1

実及び理由
請求
主文同旨

第2
1
事案の概要
特許庁における手続の経緯等(当事者間に争いがない。

(1)

原告は,平成19年10月27日を出願日とする特許出願(特願2007
-279727号。優先権主張番号特願2007-243138号。優先権主張日平成19年9月19日(以下本件優先日という。)の一部を,平)

成24年7月17日を出願日とする特許出願(特願2012-158646号)同年11月16日を出願日とする特許出願

(特願2012-25274
9号)平成25年11月20日を出願日とする特許出願

(特願2013-2
39614号)の各分割を経て,平成28年1月4日,発明の名称を撮像装置とする発明について特許出願(以下本件出願という。)をし,平成

29年8月18日,特許権の設定登録を受けた(特許第6191928号。請求項の数7。以下,この特許を本件特許という。。

(2)

本件特許について,平成30年3月5日,キャノン株式会社から特許異議
の申立て(異議2018-700196号事件)がされた。
原告は,平成30年5月25日付けで取消理由通知を受けたため,同年7
月27日付けで,請求項1ないし7を一群の請求項として,特許請求の範囲及び本件出願の願書に添付した明細書(以下本件明細書という。
)の記載
について訂正請求(以下本件訂正請求という。
)をした。
その後,特許庁は,令和2年1月31日,本件訂正請求を認めた上で,

特許第6191928号の請求項1,3,4,6,7に係る特許を取り消す。特許第6191928号の請求項2及び5に係る特許についての異議申立てを却下する

旨の決定(以下本件決定という。)をし,その謄本は,同年
2月12日,原告に送達された。
(3)

原告は,令和2年3月13日,本件決定のうち,特許第6191928号
の請求項1,3,4,6,7に係る部分の取消しを求める本件訴訟を提起し
た。
2
特許請求の範囲の記載
本件訂正請求後の特許請求の範囲の請求項1ないし7の記載は,以下のとおりである(甲20。以下,請求項の番号に応じて,本件訂正請求後の請求項1
に係る発明を本件発明1などという。。

【請求項1】

撮像素子と,前記撮像素子により撮像された画像を表示する画像表示部と,ロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部と,前記画像表示部に前記傾き検出部により検出されたロール方向の傾き情報を表示し,撮像装置のロール方向の傾きに応じてロール方向の傾き情報の表示位置を前記画像表示部の長手方向または短手方向の端辺部に沿った位置に切り替える表示制御手段と,を有する撮像装置において,
前記表示制御手段は,前記傾き検出部により検出されたピッチ方向の傾きが所定の範囲内のときは,ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替え,ピッチ方向の傾きが所定の範囲を超えたときは,ロール方向の傾き情報の表
示位置を切り替えないことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
前記傾き情報は,ロール方向の傾き量に応じた傾きを示すロール角傾き情報
であり,
前記表示制御手段は,前記ロール角傾き情報に対応する表示である傾きガイドを表示することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記傾きガイドは,前記撮像装置のロール方向の傾き量が小さい状態から大
きくなった際には,表示スケールの色を変える構成としたことを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
(削除)
【請求項6】

前記表示制御手段は,ピッチ方向の傾き量が所定の範囲を超えたとき前記傾きガイドの表示形態を変更することを特徴とする請求項3または請求項4に記
載の撮像装置。
【請求項7】
前記ロール方向の傾きは60度であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
3
本件決定の要旨
(ただし,
請求項1,4,
3,6及び7に関する部分に限る。

(1)

本件決定の要旨は,
①請求項1,
3及び7の特許に係る各発明は,(特
甲1

開2007-74077号公報)に記載された発明(以下甲1発明という。
)及び甲2(特開2004-343476号公報)に記載された発明(以下甲2発明という。
)に基づいて当業者が容易に発明することができたも
のであるから,特許法29条2項の規定に違反してされたものである,②請求項4及び6の特許に係る各発明は,甲1発明,甲2発明並びに甲3(特開2006-324948号公報)及び甲5(特開2001-74450号公報)に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから,同項の規定に違反してされたものである,③したがって,
本件特許の請求項1,3,4,6及び7に係る特許は,いずれも特許法113条2項に該当し,取り消されるべきものである,というものである。(2)

本件発明1,本件決定が認定した甲1発明及び甲2発明,並びに同決定が
認定した本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は,次のとおりである(なお,分説は本件決定による。。


本件発明1

(1A)撮像素子と,
(1B)前記撮像素子により撮像された画像を表示する画像表示部と,(1C)ロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部と,(1D-1)前記画像表示部に前記傾き検出部により検出されたロール方向の傾き情報を表示し,
(1D-2)撮像装置のロール方向の傾きに応じてロール方向の傾き情報の
表示位置を前記画像表示部の長手方向または短手方向の端辺部に沿った位置に切り替える
(1D)表示制御手段と,
(1E)を有する撮像装置において,
(1F)前記表示制御手段は,前記傾き検出部により検出されたピッチ方向の傾きが所定の範囲内のときは,ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替え,
(1G)ピッチ方向の傾きが所定の範囲を超えたときは,ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替えないこと

(1H)を特徴とする撮像装置。

甲1発明

(1a)撮像素子と,
(1b)撮像時に,撮像対象の画像が逐次表示される表示部と,
(1c)2軸の重力加速度センサーであって,第1軸(方向D401)と水平面とが成す角度である第1傾斜度および第2軸(方向D402)と水平面とが成す角度である第2傾斜度を測定する傾斜測定部と,
(1d)前記第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて,前記画像撮像装置の天地方向の算出を行う制御部と,
(1e)前記第1傾斜度および第2傾斜度のデータである傾斜度データと,
前記画像撮像装置の天地方向を示すデータである天地方向データとを記憶する傾斜情報記憶部と,
(1f)を有する前記画像撮像装置において,
(1g)前記制御部は,前記第1傾斜度および第2傾斜度のいずれかが,所定値以上であるか否かを判定し,前記判定においてYESならば,
(1g-1)前記第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて,前記画像撮像装置の天地方向の算出を行い,

(1g-2)前記天地方向の算出結果に基づく天地方向の情報を表示した報知画像を生成し,前記報知画像を表示部に表示させ,
(1g-3)前記報知画像は,前記画像撮像装置が右に30度傾いた状態である場合の,天地方向の情報を示す矢印512を表示した報知画像600Aであり,

(1g-4)前記傾斜度データと前記天地方向データを,傾斜情報記憶部に記憶し,
(1h-1)前記判定においてNOならば,前記第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて,前記画像撮像装置の天地方向の算出を行い,
(1h-2)画像撮像装置が水平面に対し平行である場合,前記傾斜情報記憶部に記憶されている傾斜度データおよび天地方向データの少なくとも一方に基づいて,前記画像撮像装置の天地方向の判定を行い,
(1h-3)前記天地方向の算g出結果に基づく天地方向の情報を表示した報知画像を生成し,前記報知画像を表示部に表示させ,

(1i)天地方向に対応する画像撮像装置の正対方向を決定するために,ユーザがシャッターボタン押下操作を行うまで,当該動作を繰り返す(1j)画像撮像装置。

甲2発明
撮像素子と,

前記撮像素子の撮像結果を取得して表示する表示部と,
X方向及びY方向を基準軸とする加速度センサからなる傾きセンサと,傾き検出センサによるX方向,Y方向の傾き検出結果に基づいて,撮像結果の傾きを表示部で表示し,
傾き検出センサの出力信号により,縦長の構図による撮像結果か,横長
の構図による撮像結果かを判定し,これら縦長及び横長の構図に対応するように表示を切り換えて,傾きを表示するシステム制御回路と,

を有する電子スチルカメラ。

本件発明と甲1発明との一致点及び相違点
(一致点)
撮像素子と,
前記撮像素子により撮像された画像を表示する画像表示部と,

ロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部と,
前記画像表示部に前記傾き検出部により検出されたロール方向の傾き情報を表示する表示制御手段と,
を有する撮像装置。
(相違点1)

表示制御手段が,
本件発明1においては,
撮像装置のロール方向の傾きに応じてロール方向の傾き情報の表示位置を前記画像表示部の長手方向または短手方向の端辺部に沿った位置に切り替えるものであるのに対し,甲1発明においては,
撮像装置のロール方向の傾きに応じてロール方向の傾き情報の表示位置を前記画像表示部の長手方向または短手方向の端辺部に沿った位置に切り替えるものではない点(相違点2)
表示制御手段が,
本件発明1においては,
前記傾き検出部により検出されたピッチ方向の傾きが所定の範囲内のときは,ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替え,ピッチ方向の傾きが所定の範囲を超えたときは,ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替えないものであるのに対し,甲1発明においては,
前記傾き検出部により検出されたピッチ方向の傾きが所定の範囲内のときは,ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替え,ピッチ方向の傾きが所定の範囲を超えたときは,ロール方向の傾き情報の表示位置を切り替えないものでない点
第3

当事者の主張

1
取消事由1(本件発明1の容易想到性の判断の誤り)
(1)

原告の主張
一致点の認定の誤り及び相違点の看過が存在すること
本件決定は,①

甲1発明の制御部は,構成1g-1,1g-2に

よると,第1傾斜度及び第2傾斜度に基づいて画像撮像装置の天地方向の算出を行い,前記天地方向の算出結果に基づく報知画像を生成し,前記報知画像を表示部に表示させるものであり,また,構成1g-3によると,報知画像は天地方向を示す矢印である,

表示部に天地方向を示す矢印で

ある報知画像を表示させるためには,表示部の基準となる位置において天地方向がどの向きであるのかを計算することが必要であり,天地方向の向きは,表示部の回転した角度である,

表示部は画像撮像装置に固定され

ているから,表示部の回転した角度は,画像撮像装置の回転した角度,すなわちロール方向の傾きである,

そうすると,構成1c,1d,1g-

1ないし1g-3における傾斜測定部及び制御部は,
ロール方向の傾きを検出するといえる,②甲1発明において,カメラを横向きにした状態から,カメラを下方向に傾けると,第1傾斜度がピッチ方向の傾きとなり,カメラを縦向きにした状態からカメラを下方向に傾けると,第2傾斜度がピッチ方向の傾きとなるから,
傾斜測定部及び制御部は上
記状態のピッチ方向の傾きを検出しているといえる,③したがって,
構成1c,1d,1gないし1iの傾斜測定部及び制御部は,構
成要件1Cのロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部と一致する旨判断した。しかし,本件決定の上記判断は,以下のとおり誤りである。
(ア)

a
ロール方向の傾きの認定(上記①

ないし

)について

甲第1号証(書証については,以下,単に甲1などという。
)の
【0076】【0077】【0087】ないし【0089】の各記載,


及び【図5】によれば,甲1発明の天地方向とは,図5に示され
る方向D401軸の方向又は方向D402の軸の方向,すなわち,画像撮像装置を横置きした場合又は縦置きした場合の画像撮像装置の上下方向を意味するものである。
他方で,甲1の【0101】には図9は,水平面P302に対し,画像撮像装置1000を斜めに傾けた場合の表示部150に表示される画像510の一例を示す。図9を参照して,画像510には,記号として矢印512が表示される。矢印512が示すのは,画像撮像装置1000の天地方向の「天となる。画像510には,撮像対象となる画像と,矢印512とが同時に表示される。
」との記載があり,矢

印512が示す天地方向は,図9を参照すると,画像撮影装置を
横置きした場合又は縦置きした場合の画像撮像装置の上下方向とは異なり,鉛直方向を示すものであるようにも見受けられるが,いずれにしても,甲1には,図9の矢印512の向きがどのように定義され,算出されるのかについて記載はない。

それにもかかわらず,本件決定は,上記①

及び

のとおり判断し

て,
甲1発明の
天地方向の向き
を根拠もなく
ロール方向の向き
であるとして一致点として認定しており,誤りである。
b
仮に,甲1の【図13】等の記載に基づいて,天地方向の情報を示すとされる矢印512が画像撮像装置の傾きに関連する情報を示すものであると仮定しても,甲1の【0067】ないし【0073】【0,
076】【0083】ないし【0085】【0108】の各記載,,

【図
4】【図5】及び【図9】によれば,甲1において報知画像に表示さ,
れる傾斜度は,第1傾斜度又は第2傾斜度であるが,これらは,

それぞれ2軸の重力加速度センサーの第1軸の方向と水明面とが成す角度2軸の重力加速度センサーの第2軸の方向と水平面とが成,す角度である。このように,甲1の報知画像として表示される画像撮影装置の傾斜度は,
【0072】の式(3)に基づき,2軸の重力加
速度センサーの1つの軸方向の出力値のみから算出される。これに対して,本件発明1のロール方向の傾きであるロール角は,本件明
細書の【0043】で示されるように,加速度センサの2軸のX,Yのデータから式(1)により算出されるものであり,軸D401,軸D402の傾斜度のいずれか一方しか算出しない甲1の傾斜度第1(の傾斜度第2の傾斜度,
)は,本件発明1のロール方向の傾き
とは異なるものであることは明らかである。

また,請求項1(本件発明1)のロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部との文言からすれば,ロール方向の傾きとピッチ方向の傾きは互いに相関関係にあることが明らかである。すなわち,上記のとおり,本件発明1のロール方向の傾き,ピッチ方向の傾きは,いずれも加速度センサのX軸,Y軸を用いて算出される

【0043】【0062】

)ところ,カメラをピッチ方向に傾けた状
態でロール方向に傾けると,加速度センサのX軸,Y軸の出力値が変動し,
【0062】
の(2)式で得られるピッチ方向の傾きも変動し,
カメ
ラをロール方向に傾けた状態でピッチ方向に傾けると,加速度センサのX軸,
Y軸の出力値が変動し,
【0043】
の(1)式で得られるロール

方向の傾きが変動する関係にある。
そうすると,上記のとおり,矢印512が画像撮像装置の傾き(例えば,図13の画像撮像装置1000が右に30°傾いた状態であること)に関連する情報を示すものであると仮定しても,同矢印512が示す情報は,本件発明1のロール方向の傾きのような画像

撮像装置の3次元に関する情報ではない。
それにもかかわらず,本件決定は,上記①

及び

のとおり,ピッ

チ方向を固定してロール方向に傾けた場合とロール方向を固定してピッチ方向に傾けた場合という極めて限られた条件のときのみを抜き出して認定しており,誤りである。
c
以上によれば,甲1発明の天地方向の向きはロール方向の傾きであり,構成1c,1d,1g-1~1g-3における傾斜測定部及び制御部は,ロール方向の傾きを検出すると判断した
本件決定は誤りである。
(イ)

ピッチ方向の傾きの認定(上記②)について
甲1発明の第1傾斜度又は第2傾斜度は,甲1の【0072】

の式(3)に基づき,
2軸の重力加速度センサーの1つの軸方向の出力値の
みから算出されるものであることは,前記(ア)bのとおりである。これに対し,本件発明1のピッチ方向の傾きであるピッチ角は,本件明細書の【0062】の式(2)で定義されているように,加速度センサの2軸X軸,Y軸のデータから算出されるものであって,甲1の傾斜度

第1の傾斜度や第2の傾斜度
)は,本件発明1のピッチ方向の傾きとは相違するものである。
本件決定は,上記②のとおり,
カメラを横向きにした状態から,カメラを下方向に傾けると,第1傾斜度がピッチ方向の傾きとなり,カメラを縦向きにした状態からカメラを下方向に傾けると,第2傾斜度がピッチ方向の傾きとなるといった特定の使用形態において第1傾斜角又は第2傾斜角の値が本件発明1のピッチ方向の傾きと一致す
ることがあることに基づいて第1傾斜角と第2傾斜角はピッチ方向の傾きと一致すると判断しているが,甲1発明でピッチ方向の傾きを説明するためにカメラの最初の向きに応じた場合分けをした後知
恵的な判断であるし,例えば,ロール方向に傾けた上でピッチ方向に傾けた場合に甲1発明ではどのようにピッチ方向の傾きを読み取るの
か説明することができない。また,前記(ア)bのとおり,ロール方向の傾きとピッチ方向の傾きは相関関係にあり,ピッチ方向を固定してロール方向に傾けた場合とロール方向を固定してピッチ方向に傾けた場合という極めて限られた条件のときのみを抜き出して判断することは誤りである。

したがって,
第1傾斜度又は第2傾斜度が本件発明1のピッチ方向の傾き
に相当し,
傾斜測定部
及び
制御部
は上記状態の
ピッチ方向の傾きを検出しているといえるとの本件決定の判断は,誤りである。
(ウ)

小括
以上によれば,甲1発明は,本件発明1のロール方向の傾きやピッチ方向の傾きを検出するものではないから,本件発明1の構成要件1Cロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部を一致点として認定した本件決定は誤りである。また,甲1発明がロール方向の傾きを検出するものではない以上,ロール方向の傾き情報

を表示しないことは明らかであるから,本件発明1の構成要件1D,1D-1の前記画像表示部に前記傾き検出部により検出されたロール方向の傾き情報を表示する表示制御手段を一致点として認定した本件決定は誤りである。

被告の主張について
(ア)

被告は,後記(2)ア(ア)のとおり,
ロール方向とは,撮像装置を光

軸まわりに回転させる方向であることが技術常識であるから,甲1発明においては,表示部の回転した角度である天地方向の向き
,すなわち
天地方向の示す矢印の角度がロール方向の傾きであり,本件決
定の認定に誤りはない旨主張する。
被告の上記主張は,甲1の天地方向を示す矢印の角度を本件発明

1の
ロール方向の傾き
と認定するために,
甲1の
天地方向の向き
は表示部の回転した角度であるとの解釈を加えるものであるが,甲1によれば,
画像撮像装置1000の上部が天地方向の天で,下部が天地方向の地である【0077】【図5】(

)との記載のとおり,
天地方向との向きとは,文言上,
天方向と地方向の向きのことであり,
表示部の回転した角度ではないことは明らかであり,甲1には,
天地方向の向きを表示部の回転した角度と読み替える具体的な示唆もない。
また,甲1には,
矢印512について第1傾斜度や第2傾斜度から

天地方向の向きを算出するための式はもとより,一方の傾斜度のみを用いて算出するのか,あるいは両方の傾斜度を用いて算出するのかの具体的な算出方法等について記載がないから,
天地方向を示す矢印の角度
を読み取ることができない。
さらに,甲1の水平に置かれた撮像対象の天地方向を正確に算出可能な画像撮像装置を提供すること【0021】(
)との記載によれば,甲
1発明は,あくまで撮像対象の天地方向を算出することを目的とするものであり,こうした甲1が解決しようとする課題に鑑みると,甲1の表示形態である矢印512は,天地方向の向きを指し示すことのみであり,例えば,
撮像装置のロール方向の傾きに応じて表示される

ロール方向の傾きの情報まで読み取る必然性はなく,そのような具体的な示唆もない。
したがって,被告の上記主張は理由がない。
(イ)

被告は,後記(2)ア(イ)のとおり,甲1発明は,画像撮像装置が水平面
に対して平行であるか否かを第1傾斜度及び第2傾斜度の両方に基づいて画像撮像装置の前後方向の傾き,すなわち,ピッチ方向の傾きを検出するものといえる旨主張する。

しかし,後記(ウ)のとおり,本件発明1のピッチ方向の傾きは,加速度センサの出力値を用いて算出されるカメラの水平軸周りの傾きであることは技術常識であるから,甲1の画像撮像装置が水平面に対して平行であるか否かがピッチ方向の傾きであるとする被告の主張は失当である。その点を措くとしても,特定の使用形態において第1傾斜角又は第2傾斜角の値が本件発明1のピッチ方向の傾きと一致することがあることに基づいて第1傾斜角と第2傾斜角は
ピッチ方向の傾きと一致すると判断していることが後知恵的な判断で誤りであることについては,前記ア(イ)のとおりである。

また,甲1には,
【図13】の状態から【図16】の状態に変化するこ
とは説明されていないし,甲1の【0014】によると,画像撮像装置10000が水平面に対して平行の状態を示すものが
【図17】
であり,
所定値Aにはある程度の幅
(30~60)
が設けられている【0105】


ことから,所定値A未満は水平面に対して平行になったときであるとは
定義することはできず,所定値A未満となって水平面に対して平行となったと判定された【図16】の状態をいうとの被告の主張は誤りである。すなわち,甲1の【0109】の記載によると,
【図11】は,所定
値A以上の状態と説明される一方で,
【0120】の記載によると,
【図
14】は,水平面に対して平行である状態と説明されている(
所定値A未満の状態とは説明されていない。
)ことからも明らかであるように,
甲1発明では,
所定値A以上か所定値A未満かを判断しているにすぎず,
【図14】【図16】は,あくまで水平面に対して平行になった状態を,
図示するものであって,所定値A未満となったときを図示するものではない。また,甲1の【図10】のフローチャートによれば,30~60
の範囲の値である所定値A未満と判定された場合,即座にS120でNOとなるため,甲1発明では画像撮像装置が水平面に対して平行になっ
たと判定することはしていない。
そうすると,甲1の画像撮像装置が水平面に対して平行であるか否かがピッチ方向の傾きであるとしても,その前提となる画像撮像装置が水平面に対して平行であるか否かの判定が甲1には記載されていないから,
ピッチ方向の傾き
については甲1には記載されていな

い。
したがって,被告の上記主張は理由がない。
(ウ)

被告は,後記(2)ア(イ)のとおり,本件発明1においては,
ロール方向及びピッチ方向の傾きをそれぞれどのように検出(算出)するかは何ら特定されておらず,加速度センサにおけるX軸,Y軸の出力値
やそれらを用いた算出結果等により傾き検出することに限定して解釈する原告の主張は,特許請求の範囲に基づくものではない旨主張する。しかし,本件優先日前に頒布された刊行物である甲34(特開2006-080932号公報)及び甲35(特開2003-280785号公報)からも明らかなように,ロール方向の傾きを算出するためには,
加速度センサの出力値X,Yの両方を用いて算出されることは技術常識であったから,本件発明1(請求項1)のロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部という記載に接した当業者であれば,
ロール方向の傾きの文言から本件明細書の【0043】の式(1)で表されるカメラの光軸周りの傾きであると当然に理解し,この式(1)は,三
角関数と三平方の定理といった数学的な考えに基づくものであり,当業者であればその意味するところを理解することができる。
したがって,被告の上記主張は理由がない。

まとめ
前記アのとおり,本件決定は,一致点の認定を誤り,相違点を看過するものであって,この相違点についての容易想到性の判断をせずに,本件発
明1の進歩性を否定した判断の誤りがある。
したがって,本件決定は取り消されるべきである。
(2)

被告の主張
一致点の認定の誤り及び相違点の看過は存在しないこと
(ア)

ロール方向の傾きの認定について
本件発明1における傾き検出部は,
ロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部
というものであって,
ロール方向の傾きをどのように検出(算出)するかについて特定されていない。甲1には,水平面に対し,画像撮像装置を光軸まわりに回転させて斜めに傾けた場合に,画像撮像装置の天地方向の情報を示す矢印512を表示した報知画像を表示部に表示させる実施形態が記載されている【0(
101】【0107】【01018】【0112】【図9】【図13】,





ところ,甲1発明においては,例えば,
【図13】で示される位置に矢印
512を表示するために,第1傾斜度及び第2傾斜度に基づいて画像撮
像装置の天地方向の向きが算出されるものと理解することができる。すなわち,画像撮像装置が水平面P302に置かれた状態から,画像撮像装置の回転に伴い,表示部(別紙2の左図の緑枠で囲んだ部分)が回転した角度を算出し,その算出結果を天地方向の情報を示す矢印の角度に反映させなければ,矢印512が画像撮像装置の回転に追従して右に30°回転と表示された文字画像610の傾きと同じ傾きで表示されてしまう(別紙2の右図)ことから,そのような不都合が生じないために,画像撮像装置の回転した角度を算出(検出)する必要があることが理解できる。
そして,本件発明1や甲1発明が属する撮像装置の技術分野における
ロール方向とは,撮像装置を光軸まわりに回転させる方向であることが技術常識であるから,表示部の回転した角度である天地方向の向き,すなわち天地方向の情報を示す矢印の角度がロール方向の傾きである。したがって,甲1発明における傾斜測定部及び制御部は,
ロール方向の傾きを検出する傾き検出部を備えているということができ,その結果(矢印512)を表示しているから,
前記表示部に前記傾き検出部により検出されたロール方向の傾き情報を表示する表示制御手段を備えているということができる。以上によれば,
表示部に天地方向を示す矢印である報知画像を表示させるためには,表示部の基準となる位置において天地方向がどの向きであるのかを計算することが必要であり,天地方向の向きは,表示部の回転した角度である。表示部は画像撮像装置に固定されているから,表示部の回転した角度は,画像撮像装置の回転した角度,すなわちロール方向の傾きであると判断した本件決定に誤りはない。(イ)

ピッチ方向の傾きの認定について
本件発明1における傾き検出部は,
ロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部
というものであって,
ピッチ方向の傾きをどのように算出するかについて特定されていない。甲1発明は,第1傾斜度及び第2傾斜度に基づいて,画像撮像装置の天地方向の傾きを算出するものであることは,前記(ア)のとおりである。そして,甲1の【図10】によれば,その過程(S120)において,第1傾斜度及び第2傾斜度のいずれかが所定値A以上であるか否かを判定しているところ,その判定がNOとなるのは,第1傾斜度及び第2傾斜度の両方が所定値A未満の場合である。甲1発明において,第1傾斜度は第1軸と水平面とが成す角度であり,第2傾斜度は第2軸と水平面
とが成す角度である(
【0077】【0085】【図5】


)から,その両
方が所定値A未満であると判定した状態とは,例えば,画像撮像装置が
水平面に対して平行でない状態(
【図13】
)から,その前後方向に徐々
に傾いて,第1傾斜度及び第2傾斜度がそれぞれ減少し,最終的に両方が所定値A未満となって水平面に対して平行になったと判定された状態(
【図16】をいうものである【0119】



【0120】

【0126】

【図14】【図16】。



そうすると,甲1には,第1傾斜度及び第2傾斜度の両方が所定値A未満となって水平面に対して平行になったことを判定することが記載されているから,甲1発明は,第1傾斜度及び第2傾斜度の両方に基づいて画像撮像装置の前後方向の傾き,すなわち,ピッチ方向の傾きを検出するものといえる。

したがって,
甲1発明において,カメラを横向きにした状態から,カメラを下方向に傾けると,第1傾斜度がピッチ方向の傾きとなり,カメラを縦向きにした状態からカメラを下方向に傾けると,第2傾斜度がピッチ方向の傾きとなるから,「傾斜測定部及び制御部は上記状態のピッチ方向の傾きを検出しているといえる」と判断した本件決定に
誤りはない。

原告の主張について
(ア)

原告は,前記(1)ア(ア)b及び(イ)のとおり,甲1の傾斜度第1(の傾斜度第2の傾斜度,
)は,本件発明1のロール方向の傾き

ピッチ方向の傾きとは相違する旨主張する。
しかし,本件発明1における傾き検出部は,
ロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部
というものであり,
ロール方向及びピッチ方向の傾きをそれぞれどのように検出(算出)するかは何ら特定されていない。
そして,
ロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部とは,その文言どおり,ロール方向及び
ピッチ方向の傾きを検出するものであればそれでよいと解すべきと
ころ,撮像装置の技術分野における技術常識としてのロール方向とは,本件明細書の【図3】【図4】に記載されているように,撮像装置,
を光軸まわりに回転させる方向であり,また,撮像装置の技術分野における技術常識としてのピッチ方向とは,本件明細書の【図7】の状態から【図9】の状態のように撮像装置を前後に傾ける方向である。
そうすると,本件発明1におけるロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部とは,撮像装置の光軸まわりの回転や前後の変位により傾きを検出できればよく,本件明細書に記載された一実施例にすぎない加速度センサにおけるX軸,Y軸の出力値やそれらを用いた算出結果等により傾き検出することに限定して解釈することはできな
い。
したがって,原告の上記主張は理由がない。
(イ)

また,原告は,前記(1)ア(ア)bのとおり,ロール方向の傾きとピッチ
方向の傾きは互いに相関関係があるにもかかわらず,
本件決定は,
ピッチ方向を固定してロール方向に傾けた場合及びロール方向を固定してピッチ方向に傾けた場合という極めて限られた条件のみを抜きだして認定しており誤りであると主張する。
しかし,
ロール方向及びピッチ方向は上記(ア)のとおりそれぞ
れ別方向であることが技術常識であるから,その傾きについて互いに相関関係があるとはいえないし,本件発明に係る特許請求の範囲において
それらに相関関係があることは何ら記載されていない。
したがって,原告の上記主張も理由がない。

まとめ
以上のとおり,本件決定には,原告主張の一致点の認定の誤り及び相違
点の看過はないから,原告の主張は理由がなく,本件発明1の進歩性を否定した判断に誤りがあるとはいえない。

したがって,原告主張の取消事由は,理由がない。
2
取消事由2(本件発明3,4,6及び7の容易想到性の判断の誤り)(1)

原告の主張
本件特許の請求項3,4,6及び7は,直接又は間接的に請求項1を引用
しているところ,請求項1(本件発明1)に係る本件決定の容易想到性の判
断に誤りがあるから,本件発明3,4,6及び7に関する本件決定の容易想到性の判断も誤りである。
したがって,本件決定は取り消されるべきである。
(2)

被告の主張
前記1(2)のとおり,
本件決定の本件発明1に関する容易想到性の判断に誤

りはないから,原告の主張は理由がない。
第3
1
当裁判所の判断
本件明細書の記載事項
甲21の記載によれば,本件明細書(ただし,本件訂正後のもの。)には次の

ような開示があるものと認められる。
(1)

近年,ディジタルカメラを含む撮像装置は,小型化及び軽量化が図られ,
しかも,人が保持するものであるため,必ずしも安定した姿勢において撮影されるものとは限らず,そのため撮影時には従来にも増して気づきにくい傾きが画像に生じがちであり,一方で,撮像装置の撮影手法として,意図的に傾けた構図により撮影するような場合もあり,また,撮像姿勢についても横長の,いわゆる横位置ばかりとは限らず,縦長に構えた,いわゆる縦位置の構図が用いられる場合もあり,撮像装置には,撮影時には装置本体の傾きを認知させるための機能を備えることが望ましいが,例えば,特許文献1(特開2004-343476号)に開示された撮像装置の場合,表示画面では
棒状の表示部を用いて傾きを表示しているが,傾き検出の精度が固定されており,傾き検出の精度を高くしても,それに応じた表示をすることができな
いという難点があり,また,特許文献2(特開2007-174156号)及び特許文献3(特許第3896505号)にそれぞれ開示された撮像装置の場合,撮像画像や合成画像の傾きを認知させることによって撮像装置の姿勢を認知させる構成になっており,直観的に把握するには便利であるが,撮像装置の傾きの大きさを高い精度で表示することができないという難点があ
る(
【0002】【0004】。


本発明は,こうした事情に鑑みてされたもので,撮像装置のロール方向の傾きに応じて傾き情報の表示位置や表示形態を切り替えて,使い勝手を良くし,操作性を向上させるユーザインタフェースを実現し得る撮像装置を提供することにある(
【0004】。


(2)本発明によれば,撮像装置のロール方向の傾きに応じて傾き情報の表示位置を見やすい位置に変化させ,操作性を向上させ得る撮像装置を提供することができる(
【0016】。

2
引用文献(甲1)の記載事項
(1)

本件優先日前に頒布された刊行物である甲1(特開2007-74077
号公報。
公開日平成19年3月22日)
には,
別紙1のとおりの記載があり,
この記載によれば,甲1には次のような開示があるものと認められる。ア
近年,デジタルカメラを始めとした電子的に画像を撮像する画像撮像装置が普及しており,利用者は,撮像対象を縦長画像に撮像したいか,横長
画像に撮像したいかによって画像撮像装置を正対,あるいは左又は右に90°回転させて撮像しているが,電子的に撮像した多数の画像データを縮小して一覧表示した場合,撮影時の画像装置の状態が同じでないときは一覧表示した画像も天地方向が統一されておらず,利用者にとって見やすい一覧とならないため,デジタルカメラの撮像時の傾きに応じて内蔵された
傾斜計により記録する画像の天地方向を決定し,決定した天地方向に対応させた画像ファイルを生成して記録する従来技術があるが,例えば,水平
に設置されている撮像対象物701を撮像する場合,画像撮像装置10000の撮像部が撮像対象物701の真正面にあると,軸方向DI401,DI402にかかる重力加速度の大きさはほぼ0となり,内蔵された傾斜計では撮像対象物701の天地方向を判定することができず,画像撮像装置10000に内蔵されている傾斜計が僅かな重力加速度(傾斜)を検出
できる非常に高性能なものであったとしても,手ぶれなどにより正確な天地方向の判定ができないなどの問題があった(
【0002】【0005】


【0006】【0014】【0015】【0016】。





本発明は,こうした問題を解決するために,水平に置かれた撮像対象の天地方向を正確に算出可能な画像撮像装置を提供することにあり(【00

21】,この問題を解決するために,本発明の画像撮像装置は,撮影対象)
を撮像する画像撮影手段と,画像撮像装置の傾斜の角度を示す傾斜度を測定する傾斜度測定手段と,傾斜度測定手段により測定された傾斜度に基づいて,画像撮像装置の天地方向を算出する天地方向算出手段と,傾斜度測定手段により測定された傾斜度及び天地方向算出手段により算出された
天地方向の少なくとも一方の情報を記憶する傾斜情報記憶手段と,撮像対象に対する画像撮像装置の正対方向を決定する正対方向決定手段とを備え,傾斜度測定手段による画像撮像装置の傾斜度の測定処理と,測定された傾斜度が所定値以上の場合に,傾斜度及び天地方向算出手段により算出された天地方向の少なくとも一方の情報が傾斜度情報記憶手段に記憶さ
れる処理とが,正対方向決定手段により正対方向が決定されるまでの期間,繰り返し行われ【0024】,

)これにより水平に置かれた撮像対象の天地
方向を正確に算出することができるという効果を奏する(
【0038】。

(2)

そして,別紙1の開示事項を総合すれば,甲1発明は,本件決定が認定し
た前記第2の3(2)イのとおりの発明であると認められる。

3
取消事由1(本件発明1の容易想到性の判断の誤り)について

(1)

本件発明1は,
ロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する検出部と,前記画像表示部に前記傾き検出部により検出されたロール方向の傾きを表示(構成要件1C,1D-1)する表示制御手段
(構成要件1D)と
の発明特定事項を有する。
本件決定は,甲1発明の構成1c,1d,1g1ないし1iの傾斜測定部及び制御部は,本件発明1の構成要件1Cのロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部と一致し,構成要件1D,1D-1と構成1g-1ないし1g-3とは前記画像表示部に前記傾き検出部により検出されたロール方向の傾きを表示する制御手段として一致する旨判
断するので,以下検討する。
ア(ア)

撮像装置の技術分野における技術常識としての
ロール方向
とは,

撮像装置を光軸まわりに回転させる方向であることは当事者間に争いがない。
前記のとおり,本件発明1はロール方向の傾きを検出する傾き検出部を有する撮像装置(構成要件1C)との発明特定事項を有するものであるところ,ロール方向の傾きを検出する傾き検出部に関して,本件明細書には,

撮影光学系の光軸をZ軸とするとともに,このZ軸に直交する平面をX-Y平面とする。(

【0038】,)傾き検出部としての加速度センサ111は,前述した各部を構成したプリント回路基板(PCB)上に実装され,2軸X,Yのデータ(X,Y)と,温度Tのデータを検知してプロセッサ104の12Cブロック10411に送出する。プロセッサ104は,I2Cブロック10411を介して加速度センサ111から与えられたデータを基に,表示すべきロール角等の傾き情報を,例えばCPUブロック1043により演算し(傾き算出手段)・・・

【0042】,
)X0およびY0を2軸X,Yのデータ(X,Y)の各々の重力ゼロ時の出力データとする時,加速度センサ111の水平に対するロール角θは次の(1)式で示される。θ[deg]=180/π*arctan{(Y-Y0)/(X-X0)}…(1)(【0043】)との記載があ

り,これらの記載によれば,
ロール方向の傾きを検出する傾き検出部は,光軸Z軸に直交する2軸のX,Yのデータにより算出されるデータを基にロール方向の傾きを検出しているものということができ,こうした算出方法は,ロール方向が撮像装置を光軸まわりに回転させる方向であるとの技術常識を前提としたものであるといえる。
そうすると,本件発明1におけるロール方向の傾きを検出する傾き検出部は,光軸まわりに回転させる方向の傾き度合いを検出する
傾き検出部であると解することができる。
(イ)

これに対し,甲1は,
2軸の重力加速度センサーであって,第1軸(方向D401)水平面とが成す角度である第1傾斜度および第2軸(方向D402)と水平面とが成す角度である第2傾斜度を測定する傾斜測定部と,(構成1c)「前記第1傾斜度および第2傾斜度に基づい,
て,前記画像撮像装置の天地方向の算出を行う制御部と,(構成1d)」
を有する画像撮像装置
(構成1f)であるところ,第1傾斜度及び第
2傾斜度をそれぞれ測定する2軸の重力加速度センサーである第1軸(方向D401)と第2軸(D402)は,直交する軸であり(
【006
6】【0076】【0077】【図5】,画像撮像装置に内蔵された2,




軸の重力加速度センサーである傾斜測定部250は,
【0072】
の式(3)
により求められる重力加速度センサーと水平面とが成す角度θ(D301,303と同じ軸上にある重力加速度センサーと水平面P302とが成す角度)
の値を算出することによって傾斜度を測定する【0067】

ないし【0074】【図4】

)ものであるから,甲1で測定される第1傾

斜度及び第2傾斜度は,光軸が水平面と平行である場合を除き,撮像装置を光軸まわりに回転させる方向の傾きの角度とは異なるものである。
そして,甲1発明における天地方向の判定をする天地方向算出手
段222は,傾斜度測定部250が算出した重力加速度の方向および大きさに基づいて判定するものである(
【0079】【0087】【008


8】【0107】。


そうすると,甲1発明で測定される第1傾斜度及び第2傾斜度は,撮
像装置の分野における技術常識であるところのロール方向の傾きとは異なるものであり,第1傾斜度及び第2傾斜度に基づいて判定される天地方向は,本件発明1のロール方向の傾きとは異なるものと
いえるから,甲1発明は,
ロール方向の傾きを検出するものであると
も,表示するものであるともいえない。
イ(ア)

また,
撮像装置の技術分野における技術常識としての
ピッチ方向

とは,原告は,
撮像装置の技術分野における当業者であれば「ピッチ方向の傾きとの文言から加速度センサの出力値を用いて算出するカメラの水平軸周りの傾きであると当然に理解する」と主張し(原告準備書面(第2回),被告は,

本件発明1における「ロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部とは,撮像装置の光軸まわりの回転や前後の変位により傾きを検出できればそれでよく,被告準備書面(

(第
1回)と主張していることを踏まえると,撮像装置の水平軸周りに前後に回転(変位)させる方向であると解される。

前記のとおり,本件発明1は,
ピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部を有する撮像装置(構成要件1C)との発明特定事項を有するものであるところ,ピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部に関して,本件明細書には,

撮影光学系の光軸をZ軸とするとともに,このZ軸に直交する平面をX-Y平面とする。(

【0038】,)傾き検出部としての加速度センサ111は,前述した各部を構成したプリント回路基板(PCB)上に実装され,2軸X,Yのデータ(X,Y)と,温度Tのデータを検知してプロセッサ104の12Cブロック10411に送出する。(【0042】,)X0およびY0を2軸X,Yのデータ(X,Y)の各々の重力ゼロ時の出力データとする時,加速度センサ111の水平に対するロール角θは次の(1)式で示される。θ[deg]=180/π*arctan{(Y-Y0)/(X-X0)}…(1)。同様に,撮像装置のピッチング方向の傾きを検出し得るように設置された,他の加速度センサ111は,表示すべきピッチ角を検出し,そのデータをプロセッサ104に送出する。プロセッサ104は,加速度センサ111から送出されたデータを基に,表示する撮像装置の傾き(ピッチ角)を,例えば,CPUブロック1043に演算し(傾き角算出手段)・・・【0043】(

加速度センサ111の水平に対するロール角θは,先に述べた(1)式であらわされ,ピッチ角φは,次の(2)式であらわされる。[deg]φ=180/π*arctan(Gz/Gxy)Gz=sqrt(Gxyz2-Gxy2)Gxy=sqrt{(X-X0)2+(Y-Y0)2}…(2)ここでGxyzは,1Gの時の出力値,X0およびY0は,各々重力ゼロ時の出力である。(【0062】)との記載があり,これらの記載によれ
ば,
ピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部は,光軸Z軸に直交
する2軸のX,Yのデータにより算出されるデータを基にピッチ方向の傾きを検出しているものということができ,こうした算出方法は,ピッ
チ方向が撮像装置の水平軸周りの傾きであるとの技術常識を前提としたものであるといえる。
そうすると,本件発明1におけるピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部は,撮像装置の水平軸周りの傾き度合いを検出する傾き検出部であると解することができる。
(イ)

これに対し,前記ア(イ)のとおり,甲1発明において,第1傾斜度及
び第2傾斜度をそれぞれ測定する2軸の重力加速度センサーである第1
軸(方向D401)と第2軸(D402)は,直交する軸であり,画像撮像装置に内蔵された2軸の重力加速度センサーである傾斜測定部250は,
【0072】の式(3)により求められる重力加速度センサーと水平面とが成す角度θ(D301,303と同じ軸上にある重力加速度センサーと水平面P302とが成す角度)の値を算出することによって傾斜
度を測定するものであるから,甲1で測定される第1傾斜度及び第2傾斜度は,撮像装置の水平軸が水平面と平行である場合を除き,撮像装置を水平軸周りの傾き度合いであるピッチ方向の傾きを算出するものではない。

以上によれば,
甲1発明は,
ロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部と,(構成要件1C)「前記画像表示部に前記傾き検出,
部により検出されたロール方向の傾き情報を表示」
(構成要件D-1)する
表示制御手段
(構成要件1D)の構成を備えるものではないから,これ
らの点は本件発明1との一致点ではなく相違点である。

(2)ア

これに対し,被告は,前記第3の1(2)ア(ア)のとおり,甲1発明におい
ては,撮像装置を光軸まわりに回転させる方向がロール方向の傾きであることは技術常識であるから,表示部の回転した角度である天地方向の向き,すなわち天地方向の情報を示す矢印の角度がロール方向の傾きであると主張する。しかし,画像撮像装置1000が,
右に30度傾いた状態である場合の,報知画像600Aを示す図である図13の矢印512は,天地方向の情報を示す【0112】

)ものであるところ,
天地方向算出手段222は,傾斜測定部250が算出した重力加速度の方向と大きさに基づいて天地方向を判定し(
【0079】【0087】【0088】【0107】,





傾斜測定部250は,直交する2軸の重力加速度センサーが,
【007
2】
の式(3)で求められる,
方向D303と水平面P302とが成す角度


【0069】
)であるθの値を算出し,平面P302の傾斜度を測定する

【0073】

【0074】
)ものである。そして,前記(1)ア(イ)のとおり,
こうした直交する2軸の重力加速度センサーと水平面との角度がなす傾斜度により判定される角度は,光軸が水平面と平行である場合を除き,撮像装置を光軸まわりに回転させる方向の傾きの角度とは異なるから,矢印512で示される天地方向の情報を示す矢印の角度がロール方向の傾きであるということはできない。イ
また,被告は,前記第3の1(2)ア(イ)のとおり,甲1発明は,第1傾斜度及び第2傾斜度の両方に基づいて画像撮像装置の前後方向の傾き,すな
わち,ピッチ方向の傾きを検出するものといえる旨主張する。
確かに,甲1には,①天地方向算出手段222は,第1傾斜度及び第2傾斜度のいずれかが所定値A(例えば,30~60の範囲の値)以上であるか否かを判定(ステップS120)し(
【0105】,所定値A以上であ

れば,天地方向算出手段222が,傾斜測定部250が測定した第1傾斜
度及び第2傾斜度に基づいて画像撮像装置1000の天地方向の算出を行い【0107】,

)制御部が画像撮像装置1000の天地方向の算出結果
に基づく情報を表示した報知画像を生成し,
表示部150に表示する【0

108】,②ステップS120において,所定値A未満であれば,天地方)
向算出手段222が傾斜測定部250が測定した第1傾斜度及び第2傾
斜度に基づいて,
画像撮像装置1000の天地方向の算出を行う【011

8】ところ,

図14のように画像撮像装置1000が水平面に対して平行
である場合,天地方向算出手段222は,傾斜測定部250が測定した第1傾斜度及び第2傾斜度に基づいて画像撮像装置の天地方向の判定はできない(
【0119】
)が,画像撮像装置が図14の状態になる前に必ず第

1傾斜度及び第2傾斜度のいずれかが所定値A以上(ステップS120においてYESの場合)の状態にあり,天地方向が判定できる状態にあって

【0121】,傾斜度及び天地方向が記憶(ステップS126)する処理)
が行われており【0122】,

)こうした場合,
天地方向算出手段222は,
記憶されている傾斜度データ及び天地方向のデータの少なくとも一方に基づいて画像撮像装置1000の天地方向の判定を行い【0123】,(
)こ
の算出結果に基づく情報を報知した報知画像を表示部150に表示させ
る(
【0124】,③【図16】は,画像撮像装置1000が水平面P30)
2に対し平行である場合の報知画像を示す図である(
【0126】
)ことが
それぞれ開示されている。
しかし,天地方向算出手段222は,傾斜測定部250が算出した重力加速度の方向を大きさに基づいて天地方向を判定し【0079】


【008

7】【0088】【0107】,画像撮像装置に内蔵された2軸の重力加,


速度センサーである傾斜測定部250は,
【0072】の式(3)により求め
られる重力加速度センサーと水平面とが成す角度θ(D301,303と同じ軸上にある重力加速度センサーと水平面P302とが成す角度)の値を算出することによって傾斜度を測定するものであるから,甲1で測定さ
れる第1傾斜度及び第2傾斜度は,撮像装置の水平軸が水平面と平行である場合を除き,撮像装置を水平軸周りの傾き度合いであるピッチ方向の傾きを算出するものではないことは前記(1)イ(イ)のとおりである。また,
【図16】について,画像撮像装置の水平軸が水平面と平行であることを前提として,画像撮像装置を水平軸周りに前後に回転(変位)させ
て画像撮像装置が水平面P302に平行になった状態であると仮定したとしても,
上記の開示事項からは,
画像撮像装置が水平面に対し平行である場合かどうかの判定に際し,第1傾斜度及び第2傾斜度が用いられることは読み取ることができるものの,ピッチ方向の傾きを検出し,判定に用いることを開示しているとはいえない。


したがって,被告の前記ア及びイの各主張は,いずれも理由がない。
(3)

以上によれば,本件発明1においては,①ロール方向の傾きとピッチ方向の傾きを検出する傾き検出部を備えているのに対し,甲1発明はこうした構成を有しない点,
②本件発明1においては,
前記傾き検出部により検出されたロール方向の傾き情報を表示する表示制御手段を備えているのに対し,甲1発明はこうした構成を有しない点で相違するから,本件決定は,本
件発明1と甲1発明の一致点の認定を誤り,
相違点を看過している。
そして,
本件決定はこのように誤って認定した一致点及び相違点を前提として,本件発明1は,甲1発明及び甲2発明に基づいていずれも当業者であれば容易に想到し得たものと判断したのであるから,このような認定の誤りが本件発明1の容易相当性の判断の結論に影響を及ぼすものであることは明らかである。
したがって,原告主張の取消事由1は理由があり,本件決定のうち,請求項1に係る部分は取り消されるべきである。
4
取消事由2(本件発明3,4,6及び7の容易想到性の判断の誤り)について
本件発明3に係る請求項3及び本件発明7に係る請求項7は,本件発明1に係る請求項1を直接的に引用するものであり,本件発明4に係る請求項4は請求項3を,本件発明6に係る請求項6は請求項4をそれぞれ引用するものであるから,本件発明1に係る請求項1を間接的に引用するものである。本件決定は,本件決定が認定した本件発明1と甲1発明の一致点及び相違点
を前提とし,本件発明3,4,6及び7について,甲1発明及び甲2発明に加えて,甲3及び5に記載された周知技術に基づいていずれも当業者であれば容易に想到し得たものと判断したものであるところ,前記3のとおり,本件決定は,本件発明1と甲1発明の一致点の認定を誤り,相違点を看過しており,この相違点の看過は,本件発明1の容易相当性の判断の結論に影響を及ぼすもの
であることは明らかであって,これを前提とした,本件発明1を直接的又は間接的に引用する本件発明3,4,6及び7の容易想到性の判断の結論にも影響
を及ぼすことは明らかである。
したがって,原告主張の取消事由2は理由があり,本件決定のうち,請求項3,4,6及び7に係る部分は取り消されるべきである。
5
結論
以上によれば,原告主張の取消事由はいずれも理由があるから,本件決定のうち,請求項1,3,4,6及び7に関する部分は取り消されるべきである。よって,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第4部

裁判長裁判官
菅野中村岡山雅之
裁判官

裁判官

忠広
(別紙1)
1
【技術分野】
【0001】
本発明は,画像撮像装置,プログラムおよび記録媒体に関し,特に,撮像した
画像をデジタルデータとして処理する画像撮像装置,プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,デジタルカメラを始めとした電子的に画像を撮像する画像撮像装置が普
及している。画像撮像装置では,電子的に画像を保存する利点を生かし,これまでのフィルムカメラにはない新しい機能の付与や,様々な応用が行なわれている。【0005】
従来のフィルムカメラと同様に,デジタルカメラ,あるいは,カメラ付き携帯電話等の電子的画像撮像装置も,多くの場合,撮像画像は,縦横比1:1ではな
く,縦長,あるいは,横長の長方形である。そのため,利用者は,撮像対象を縦長画像に撮像したいか,
横長画像に撮像したいかによって,
画像撮像装置を正対,
あるいは,左または右に90°回転させて撮像している。
【0006】
電子的に撮像した多数の画像データを,縮小して一覧表示した場合,上述した
ように,撮像時の画像撮像装置の状態(正対,90°回転)が同じでない場合,一覧表示した画像も天地方向が統一されておらず,利用者にとって見やすい一覧とならない。
【0007】
もし,撮像時に自動的に天地方向判定が行われていれば,画像保存時に天地方
向に沿って画像の表示が行われるよう必要であれば回転させて保存する,あるいは,天地方向の情報を画像データに付与し表示の際天地方向に沿って表示する,
といったことが可能である。これにより,上述した一覧表示の際,画像の天地方向が統一されないといった問題を解決することが可能である。
【0008】
この問題を解決するために,撮像時に天地方向を自動判定する方法として,たとえば,特開2004-229260号公報(特許文献1)では,デジタルカメ
ラ(画像撮像装置)の撮像時の傾きに応じて,内蔵された傾斜計により,記録する画像の天地方向を決定し,決定した天地方向に対応させた画像ファイル生成して記録する技術(以下,従来技術Aともいう)が開示されている。2
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら,特開2004-229260号公報(特許文献1)に開示されている技術では,図17のように,水平に設置されている撮像対象物701を撮像する場合,画像撮像装置10000の撮像部が,撮像対象物701の真正面にあると,軸方向DI401,DI402にかかる重力加速度の大きさは,ほぼ0
となり,内蔵された傾斜計では,撮像対象物701の天地方向を判定することができない。ここで,撮像対象物701は,
XYZ株式会社の文字が縦方向に印
刷された紙である。
【0015】
なお,画像撮像装置10000に内蔵されている傾斜計が,僅かな重力加速度
(傾斜)を検出できる程,非常に高性能なものであったとする。この場合,画像撮像装置10000の左端を,撮像対象物701から遠くするために方向D701に上げ,画像撮像装置10000の右端を,撮像対象物701に近くするために方向D702に下げる。これにより,撮像対象物701の撮像結果に影響がない程度に,画像撮像装置10000は,撮像対象物701に対し僅かな傾斜を生
じることができる。その結果,傾斜計は,天地方向が判定可能となる。【0016】

しかしながら,このように僅かな傾斜で天地判定を行うには,以下の問題点がある。
(1)画像撮像装置10000を固定せずに,
ユーザが手で持って撮像を行う場
合,図17のように,水平に近い状態を保持しようとすると,画像撮像装置10000にユーザの手ぶれが伝わる可能性がある。この場合,画像撮像装置10000の傾斜方向がふらつき,傾斜計は,正確な天地判定ができないという問題が生じる。
(2)撮像対象物701の撮像結果に影響がない程度に,
撮像対象物701の天
地方向が正しく判定されるよう,ユーザが画像撮像装置10000を手で持って
傾斜させたとする。この場合,ユーザが画像撮像装置10000のシャッターボタンを押す操作により手ぶれが生じ,画像撮像装置10000の傾斜方向が変わってしまう可能性がある。この場合,傾斜計は,正確な天地判定ができないという問題が生じる。
【0017】

また,水平に置かれた撮像対象物701に対し,画像撮像装置10000を僅かに傾けて撮像しなければならないため,ユーザに心理的負担を与えることも考えられる。
【0018】
さらに,コストの面等で,常に,画像撮像装置10000に僅かな重力加速度
を検出できる高性能な傾斜計を取り付けることが可能とは限らない。この場合,僅かな傾斜では,傾斜計は,天地方向を判定できない。そのため,図17のように,ほぼ水平状態で撮像し,かつ,撮像対象物の天地方向を判定することは不可能となる。
【0021】

本発明は,
上述の問題点を解決するためになされたものであって,
その目的は,
水平に置かれた撮像対象の天地方向を正確に算出可能な画像撮像装置を提供す
ることである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上述の課題を解決するために,この発明のある局面に従う画像撮像装置は,撮像対象を撮像する画像撮像手段と,画像撮像装置の傾斜の角度を示す傾斜度を測
定する傾斜度測定手段と,傾斜度測定手段により測定された傾斜度に基づいて,画像撮像装置の天地方向を算出する天地方向算出手段と,傾斜度測定手段により測定された傾斜度および天地方向算出手段により算出された天地方向の少なくとも一方の情報を記憶する傾斜情報記憶手段と,撮像対象に対する画像撮像装置の正対方向を決定する正対方向決定手段とを備え,傾斜度測定手段による画像撮
像装置の傾斜度の測定処理と,測定された傾斜度が所定値以上の場合に傾斜度および天地方向算出手段により算出された天地方向の少なくとも一方の情報が傾斜情報記憶手段に記憶される処理とが,正対方向決定手段により正対方向が決定されるまでの期間,繰返し行なわれる。
3
【発明の効果】
【0037】
本発明に係る画像撮像装置は,画像撮像装置の傾斜度の測定処理と,測定された傾斜度が所定値以上の場合に傾斜度および天地方向の少なくとも一方の情報が記憶される処理とが,撮像対象に対する画像撮像装置の正対方向が決定されるまで,繰返し行なわれる。

【0038】
したがって,水平に置かれた撮像対象の天地方向を正確に算出することができるという効果を奏する。
4
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
<第1の実施の形態>

図1は,
本実施の形態における画像撮像装置1000の外観図を示す図である。図1(A)は,画像撮像装置1000の正面を示す図である。図1(A)を参照して,画像撮像装置1000は,筐体100と,レンズ群110と,シャッターボタン120とを備える。レンズ群110は,筐体100の正面に設けられる。シャッターボタン120は,
筐体100の上部に設けられる。
レンズ群110は,
複数の光学レンズを含む。
【0045】
図1(B)は,画像撮像装置1000の背面を示す図である。図1(B)を参照して,画像撮像装置1000は,表示部150を備える。表示部150は,ユ
ーザに各種情報を,文字や画像等で表示する機能を有し,報知手段として動作する。表示部150は,液晶ディスプレイ(LCD(LiquidCrystalDisplay),F)
ED(FieldEmissionDisplay)有機ELディスプレイ(OrganicElectro,
luminescenceDisplay)
,ドットマトリクス等その他の画像表示方式の表示機器
のいずれであってもよい。表示部150には,撮像時に,撮像対象の画像が逐次
表示される。
【0046】
図2は,本実施の形態における画像撮像装置1000の内部構成を示すブロック図である。図2を参照して,画像撮像装置1000は,画像撮像部210と,データバス280とを備える。

【0047】
画像撮像手段としての画像撮像部210は,被写体像をデジタル画像データに変換する撮像処理を行なう。画像撮像部210は,データバス280に接続されている。
【0048】

図3は,本実施の形態における画像撮像部210の構成を示すブロック図である。図3を参照して,画像撮像部210は,レンズ群110と,撮像素子212
と,A/D変換部214と,撮像制御部216と,一時記憶部217と,入出力インターフェース部218とを含む。
【0049】
撮像素子212は,レンズ群110を介して,入力された撮像対象の像をアナログ信号に変換する機能を有する。
撮像素子212は,
たとえば,
CCD
(Charge
CoupledDevice)
,CMOS(ComplementaryMetal-OxideSemiconductor)等の撮像素子である。撮像素子212は,変換したアナログ信号を,A/D変換部214へ送信する。
【0056】

再び,図2を参照して,画像撮像装置1000は,さらに,制御部220と,入力部230と,一時記憶部240と,記憶部245と,傾斜測定部250とを備える。
【0057】
データバス280には,制御部220,入力部230,一時記憶部240,記
憶部245,表示部150,傾斜測定部250,傾斜情報記憶部260および記録媒体アクセス部270が接続されている。
【0059】
制御手段としての制御部220は,記憶部245に記憶されたプログラム246に従って,画像撮像装置1000内の各部に対する各種処理や,演算処理等を
行なう機能を有する。制御部220は,前述の撮像制御部216と同様なものである。
【0061】
制御部220は,天地方向算出手段222,正対方向決定手段224および認識手段226として動作する。天地方向算出手段222は,後述する傾斜測定部
250が算出した重力加速度の方向および大きさに基づいて,画像撮像装置1000の天地方向を算出する。

【0065】
傾斜測定手段としての傾斜測定部250は,2方向の重力加速度を検出することにより,画像撮像装置1000の傾斜を測定する機能を有する。傾斜測定部250は,重力加速度センサーである。
【0066】

重力加速度センサーは,重力加速度を検出する1以上の方向を有する。この検出方向を軸と呼ぶ。1個の軸を有する重力加速度センサーを,1軸の重力加速度センサーと呼ぶ。
2個および3個の軸を有する重力加速度センサーを,
それぞれ,
2軸の重力加速度センサーおよび3軸の重力加速度センサーと呼ぶ。重力加速度センサーが有する2個以上の軸は,互いに直交する。本実施の形態における傾斜
測定部250は,2軸の重力加速度センサーである。
5
【0067】
次に,傾斜測定部250による傾斜測定方法について説明する。
図4は,平面P301の傾斜度の測定方法を説明するための図である。傾斜度
とは,傾斜の角度を示す。図4を参照して,方向D301,D302は,平面P301の傾斜度を測定するために用いる重力加速度センサーの軸方向を表す。方向D303は方向D301の正反対の方向を表す。また,方向D304は,方向D302の正反対の方向を表す。なお,重力加速度センサーの軸としては,方向D301と,方向D303とは同じ軸上にある。また,方向D302と,方向D
304とは同じ軸上にある。
【0068】
ベクトルV301は,方向と大きさを持つ重力加速度ベクトルである。重力加速度の大きさ(の標準値)は,9.8m/s2である。以下においては,重力加速度を,一般的な記号g(g=9.8m/s2)で表すことにする。
【0069】
P302は,水平面を表す。方向D303と水平面P302とが成す角度をθ
(シータ)とする。
【0070】
方向D303と,重力加速度ベクトルV301とが成す角度をλ(ラムダ)とする。また,重力加速度ベクトルV301の先端から,平面P301上の方向D303への垂線を,L301とする。また,重力加速度ベクトルV301の平面P301上の方向D303への射影ベクトルをV302とする。また,重力加速度ベクトルV301と,垂線L301とが成す角度をA303とする。【0071】
射影ベクトルV302は,方向D301,D303の軸方向にかかる重力加速
度ベクトルを表す。したがって,以下の式(1)が成立する。
sin(角度A303の大きさ)=|V302|/|V301|

・・・
(1)

なお,式(1)の|x|は,ベクトルxの大きさを表す。
【0072】
角度A303は,180̶90̶λよりθとなる。また,|V301|は定数gであるので,式(1)は,以下の式(2)となる。
sinθ=|V302|/g

・・
・(2)

式(2)を変形すると,以下の式(3)となる。
θ=sin-1(|V302|/g)

・・・
(3)

重力加速度センサー(傾斜測定部250)は,軸方向にかかる重力加速度の大きさを測定することが可能である。
すなわち,
図4では,
重力加速度センサーは,
重力加速度ベクトルV302の大きさを測定することができる。
【0073】
したがって,式(3)より,θの値を算出することができる。すなわち,重力加速度センサーは,平面P301の傾斜度を測定することができる。そのため,
θの値が90未満の場合,方向D301が天地方向の天であり,方向D303が天地方向の地であると判定できる。また,この場合の水平面P302と,平面P
301との傾斜度も算出可能となる。
【0074】
また,図4の例とは,逆に,方向D301が天地方向の地であり,方向D303が天地方向の天となる場合でも,上記の方法により,天地判定および傾斜度の算出が可能となる。
【0075】
次に,画像撮像装置1000に内蔵された傾斜測定部250による,画像撮像装置1000の天地方向の判定方法について説明する。
【0076】

図5は,画像撮像装置1000に内蔵された2軸の重力加速度センサーである傾斜測定部250の2軸の方向を示す図である。図5を参照して,傾斜測定部250の2軸の各々の方向は,方向D401および方向D402であるとする。【0077】
天地方向を判定する場合,方向D401にかかる重力加速度が重力加速度定数
gに近く,方向D402にかかる重力加速度がほぼ0であれば,天地方向算出手段222は,画像撮像装置1000の上部が天地方向の天で,下部が天地方向の地であることを判定する。
以下においては,図5の方向D401の軸を第1軸という。また,方向D402の軸を第2軸という。

【0078】
また,方向D401にかかる重力加速度がほぼ0であり,方向D402にかかる重力加速度が重力加速度定数gに近い値であれば,画像撮像装置1000の状態は図6のようになっていると判定できる。
【0079】

すなわち,天地方向算出手段222は,傾斜測定部250が算出した重力加速度の方向および大きさに基づいて,画像撮像装置1000の天地方向を判定する。
【0081】
傾斜情報記憶手段としての傾斜情報記憶部260は,データを一時的に記憶する機能を有する。傾斜情報記憶部260は,一時記憶部217と同様なものである。傾斜情報記憶部260は,傾斜測定部250が算出した重力加速度の方向および大きさ,天地方向算出手段222が判定した天地方向の情報を一時的に記憶する。
【0082】
図7は,傾斜情報記憶部260に記憶されるデータを示す図である。図7を参照して,傾斜情報記憶部260には,重力加速度方向データDT10と,重力加
速度大きさデータDT20と,
傾斜度データDT30と,
天地方向データDT4
0とが記憶される。
【0083】
重力加速度方向データDT10は,図5の第1軸の重力加速度の方向および第2軸の重力加速度の方向のデータである。たとえば,図5において,方向D40
1に重力加速度がかかっていたら,重力加速度の方向は,正である。また,図5において,方向D401と逆の方向に重力加速度がかかっていたら,重力加速度の方向は,負である。
【0084】
重力加速度大きさデータDT20は,第1軸の重力加速度の大きさおよび第
2軸の重力加速度の大きさのデータである。第1軸の重力加速度の大きさおよび第2軸の重力加速度の大きさは,前述したように,第1および第2軸にかかる大きさである。単位は,g(g=9.8m/s2)である。
【0085】
傾斜度データDT30は,第1軸と水平面とが成す角度および第2軸と水平面
とが成す角度のデータである。以下においては,第1軸と水平面とが成す角度を第1傾斜度ともいう。
また,
第2軸と水平面とが成す角度を第2傾斜度ともいう。

第1軸と水平面とが成す角度および第2軸と水平面とが成す角度の各々は,前述したように,重力加速度の方向と,重力加速度の大きさとから算出可能である。【0087】
天地方向データDT40は,画像撮像装置1000の天地方向を示すデータである。天地方向算出手段222は,第1軸と水平面とが成す第1傾斜度が所定の
閾値(たとえば,10度)以上であれば,第1軸の方向が天地方向と判断する。また,天地方向算出手段222は,第2軸と水平面とが成す第2傾斜度が所定の閾値以上であれば,第2軸の方向が天地方向と判断する。
【0088】
また,天地方向算出手段222は,軸のどの方向が天地方向の天または地であ
るかを,軸に沿った重力加速度の方向により判定する。
【0089】
したがって,天地方向データDT40は,第1軸の方向が天地方向,第2軸の方向が天地方向および第1および第2軸の方向は天地方向でないといった3つの状態のいずれかを示す。

6
【0098】
表示部150には,詳細は後述するが,傾斜測定部250により算出された第1傾斜度,第2傾斜度または天地方向についての情報が表示される。【0099】

図8は,画像撮像装置1000を右に90度回転させた場合の表示部150に表示される画像500の一例を示す。図8を参照して,画像500には,天地方向算出手段222による画像撮像装置1000の天地方向の算出結果が,上,下,左,右の文字で表示されている。また,画像500の上,下,左,右の文字は,画像撮像装置1000の天地方向の算出結果に応じて,回転して表示され
ている。画像500の上が,天地方向の天に対応し,画像500の下が,天地方向の地に対応する。
したがって,
ユーザは,
画像500を参照することで,

画像撮像装置1000の天地方向を容易に知ることができる。画像500には,撮像対象となる画像と,
上,下,左,右の文字とが同時に表示される。
【0100】
なお,水平面に対し,画像撮像装置1000を斜めに傾けた場合,天地方向の判定結果を,文字ではなく,記号等で表した方が,ユーザが直感的に天地方向を判別できる。
【0101】
図9は,水平面P302に対し,画像撮像装置1000を斜めに傾けた場合の表示部150に表示される画像510の一例を示す。図9を参照して,画像51
0には,記号として矢印512が表示される。矢印512が示すのは,画像撮像装置1000の天地方向の天となる。画像510には,撮像対象となる画像と,矢印512とが同時に表示される。
【0104】
図10は,画像撮像装置1000で行なわれる処理のフローチャートである。
図10を参照して,ステップS110では,傾斜測定部250が,前述したように,画像撮像装置1000の傾斜度を示す第1傾斜度および第2傾斜度を測定する。その後,ステップS120に進む。
【0105】
ステップS120では,天地方向算出手段222が,第1傾斜度および第2傾
斜度のいずれかが,
所定値A以上であるか否かを判定する。
ここで,
所定値Aは,
傾斜測定部250(重力加速度センサー)の性能,ユーザにとっての適切な傾斜度等を考慮して決定される値である。所定値Aは,たとえば,30~60の範囲の値である。
【0106】

ステップS120において,YESならば,ステップS122に進む。一方,ステップS120において,NOならば,ステップS132に進む。
【0107】
ステップS122では,天地方向算出手段222が,傾斜測定部250が測定した第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて,画像撮像装置1000の天地方向の算出を行なう。
すなわち,撮像対象の天地方向が算出される。その後,ステップS124に進む。
【0108】
ステップS124では,制御部220が,画像撮像装置1000の天地方向の算出結果に基づく情報を表示した画像(以下,報知画像ともいう)を生成し,報
知画像を,表示部150に表示させる。報知画像は,たとえば,図9の画像500である。報知画像には,撮像対象となる画像と,傾斜度としての第1傾斜度または第2傾斜度の情報および天地方向の情報の少なくとも一方とが表示される。【0109】
図11は,一例としての報知画像520を示す図である。図11を参照して,
報知画像520は,
上,下,左,右の文字により,天地方向の情報を表示して
いる。報知画像520には,撮像対象となる画像と,
上,下,左,右の文字と
が同時に表示される。
また,図11は,第1傾斜度または第2傾斜度が,所定値A以上の場合の画像撮像装置1000の状態を示す。

【0110】
図12は,画像撮像装置1000が,右に30度傾いた状態である場合の,報知画像600を示す図である。図12を参照して,報知画像600には,文字列を表示する文字画像610が配置されている。文字画像610には,画像撮像装置1000が水平面P302に対し右に30度傾いている旨を示す文字列が表
示されている。なお,報知画像600には,撮像対象となる画像と,文字画像610とが同時に表示される。

【0111】
図12のように表示部150に報知画像600を表示することにより,画像撮像装置1000を傾きのない状態にするように,ユーザに注意を促すことが可能となる。そのために,さらに,
左へ30度傾けて,傾きのない状態にしてくださいといった,ユーザへの指示を報知画像に表示するようにしてもよい。【0112】
図13は,画像撮像装置1000が,右に30度傾いた状態である場合の,報知画像600Aを示す図である。図13を参照して,報知画像600Aには,報知画像600に,さらに,天地方向の情報を示す矢印512が表示された画像で
ある。
【0113】
再び,図10を参照して,ステップS124の処理が終了すると,ステップS126に進む。
【0114】

ステップS126では,天地方向算出手段222が,ステップS110により測定された第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて,前述した傾斜度データDT30を,傾斜情報記憶部260に記憶させる。なお,既に,傾斜情報記憶部260に傾斜度データDT30が記憶されている場合,天地方向算出手段222は,最新の傾斜度データDT30を傾斜情報記憶部260に上書き記憶させる。
【0115】
また,天地方向算出手段222は,ステップS122により算出された天地方向の情報に基づいて,前述した天地方向データDT40を,傾斜情報記憶部260に記憶させる。
なお,既に,傾斜情報記憶部260に天地方向データDT40が記憶されてい
る場合,天地方向算出手段222は,最新の天地方向データDT40を傾斜情報記憶部260に上書き記憶させる。その後,ステップS150に進む。
【0116】
ステップS150では,正対方向決定の指示があるか否かが判定される。具体的には,正対方向決定手段224が,入力部230から,押下検知信号を受信したか否かを判定する。ステップS150において,YESならば,後述するステップS152に進む。ステップS150において,YESと判定されるのは,以下の場合である。すなわち,ユーザが,表示部150に表示された報知画像の天地方向の情報を参照し,当該天地方向に対応する画像撮像装置1000の正対方向を決定するために,ユーザがシャッターボタン120の押下操作を行なった場合である。

【0117】
一方,ステップS150において,NOならば,再度,ステップS110の処理が行なわれる。
【0118】
前述のステップS120において,NOならば,ステップS132に進む。
ステップS132では,ステップS122と同様に,天地方向算出手段222が,傾斜測定部250が測定した第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて,画像撮像装置1000の天地方向の算出を行なう。すなわち,撮像対象の天地方向が算出される。
【0119】

なお,画像撮像装置1000が,水平面に対し平行である場合,天地方向算出手段222は,傾斜測定部250が測定した第1傾斜度および第2傾斜度に基づいて,画像撮像装置1000の天地方向の判定はできない。
【0120】
図14は,画像撮像装置1000が,水平面P302に対し平行である状態を
示した図である。図14を参照して,水平面P302上には,撮像対象物701が置かれている。

【0121】
なお,画像撮像装置1000が図14の状態になる前に,必ず1度は,ステップS120において,YESと判定される。すなわち,画像撮像装置1000の電源オン時に,画像撮像装置1000が図14の状態となっていることは,ユーザが意図的にしない限り発生しない。なぜなら,ユーザは撮像処理の前に,画像撮像装置1000の調整(フォーカス等)などの操作を行なうのが一般的であるからである。このとき,画像撮像装置1000は,天地方向が判定できる状態であり,画像撮像装置1000が全くの水平状態でユーザが操作を開始することは,あまりないと考えられる。この後,ユーザは,水平に置かれた撮像対象物701
を撮像するために,画像撮像装置1000を水平状態に持っていく。【0122】
そのため,画像撮像装置1000が図14の状態になる前に,必ず1度は,ステップS126の処理が行われる。したがって,傾斜情報記憶部260には,傾斜度データDT30および天地方向データDT40が記憶されている。
【0123】
この場合,天地方向算出手段222は,傾斜情報記憶部260に記憶されている傾斜度データDT30および天地方向データDT40の少なくとも一方に基づいて,画像撮像装置1000の天地方向の判定を行なう。その後,ステップS134に進む。

【0124】
ステップS134では,制御部220が,画像撮像装置1000の天地方向の算出結果に基づく情報を表示した報知画像を生成し,報知画像を,表示部150に表示させる。
【0126】

図16は,
画像撮像装置1000が,
水平面P302に対し平行である場合の,
一例としての報知画像700Aを示す図である。図16を参照して,報知画像7
00Aには,画像撮像装置1000の天地方向の情報を示す矢印710と,画像撮像装置1000が撮像対象物701(水平面P302)に対し平行である旨が文字により表示されている。なお,報知画像700Aには,さらに,撮像対象物701の画像も表示される。
【0127】
再び,図10を参照して,ステップS134の処理が終了すると,前述したステップS150に進む。ステップS150において,YESならば,ステップS152に進む。

【図2】

【図3】

【図4】

(別紙2)

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