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不正競争防止法違反被告事件
事件番号平成30(あ)10
事件名不正競争防止法違反被告事件
裁判年月日令和3年3月1日
法廷名最高裁判所第一小法廷
裁判種別決定
結果棄却
原審裁判所名大阪高等裁判所
原審事件番号平成28(う)598
原審裁判年月日平成29年12月8日
判示事項不正競争防止法(平成27年法律第54号による改正前のもの)2条1項10号にいう技術的制限手段の効果を妨げることにより影像の視聴を可能とする機能を有するプログラムに当たるとされた事例
裁判日:西暦2021-03-01
情報公開日2021-03-03 12:00:05
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平成30年(あ)第10号
令和3年3月1日

不正競争防止法違反被告事件

第一小法廷決定

主文
本件各上告を棄却する
理由
被告人両名の弁護人壇俊光ほかの上告趣意は,憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
所論に鑑み,職権で判断する。
1
原判決が是認する第1審判決が認定した犯罪事実の要旨は,次のとおりであ
る。
被告人Aは,横浜市内に本店を置きコンピュータのソフトウェアの開発及び販売等を業とする株式会社Cの代表取締役(当時)として,その業務全般を統括する者,被告人Bは,同社にプログラムソフト販売責任者として勤務する者であるが,被告人両名は,同社のプログラマーと共謀の上,株式会社Dが,E形式ファイルにより電子書籍の影像を配信するに当たり,営業上用いている電磁的方法により上記影像の視聴及び記録を制限する手段であって,視聴等機器が,同社が提供する影像表示・閲覧ソフトであるD電子書籍ビューア(以下本件ビューアという。)による変換を必要とするよう,上記影像を変換して送信する方式によるもの(以下本件技術的制限手段という。)により,ライセンスの発行を受けた特定の視聴等機器にインストールされた本件ビューア以外では視聴ができないように上記影像の視聴及び記録を制限しているのに,不正の利益を得る目的で,法定の除外事由がないのに,平成25年9月10日頃及び同年11月23日頃,顧客2名に対し,Windows対応版の本件ビューアに組み込まれている影像の記録・保存を行うことを防止する機能を無効化する方法で本件技術的制限手段の効果を妨げることにより,ライセンスの発行を受けた特定の視聴等機器にインストールされた本件ビューア以外でも上記影像の視聴を可能とする機能を有するプログラムであるF3を,上記の用途に供するため,東京都内のサーバコンピュータから電気通信回線を通じて上記顧客らのパーソナルコンピュータにそれぞれダウンロードさせて提供し,もって不正競争を行った。
2
不正競争防止法(平成27年法律第54号による改正前のもの。以下法
という。)2条7項は,電磁的方法により影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像,音若しくはプログラムの記録(以下影像の視聴等という。)を制限する手段であって,視聴等機器が特定の反応をする信号を影像,音若しくはプログラムとともに記録媒体に記録し,若しくは送信する方式又は視聴等機器が特定の変換を必要とするよう影像,音若しくはプログラムを変換して記録媒体に記録し,若しくは送信する方式によるものを技術的制限手段と定め,同条1項10号は,営業上用いられている技術的制限手段により制限されている影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為等を不正競争としている。所論は,本件技術的制限手段は,視聴等機器が特定の変換(復号)を必要とするよう影像を変換して送信する暗号化の方式によるものであるところ,F3は復号の機能を有しないから技術的制限手段の効果を妨げるプログラムではないと主張する。
3
そこで検討すると,原判決が是認する第1審判決の認定及び記録によれば,
以下の各事実が認められる。
本件技術的制限手段は,ライセンスの発行を受けた特定の視聴等機器にインストールされた本件ビューアによる復号が必要となるよう,電子書籍の影像を暗号化して送信し,影像の視聴等を制限するものであった。
Windows対応版の本件ビューアには,復号後の影像の記録・保存を防止する機能を有し,本件ビューア以外で上記影像の視聴ができないよう影像の視聴等を制限するプログラムであるGが組み込まれていた。Gは,本件ビューアを構成するプログラムの一つとして,本件ビューアと同時にインストールされ,Gのない状態では,本件ビューアは起動せず,ライセンスの発行を受けることも送信された影像の視聴もできないようにされていた。
F3は,Gの上記機能を無効化し,復号後の電子書籍の影像を記録・保存することにより,本件ビューア以外での上記影像の視聴を可能とする機能を有するプログラムであった。
4
以上の事実関係によれば,Gの上記機能により得られる効果は本件技術的制
限手段の効果に当たり,これを無効化するF3は,技術的制限手段の効果を妨げることにより影像の視聴を可能とする機能を有するプログラムに当たると認められる。したがって,F3を提供した被告人両名の行為は,法2条1項10号の不正競争に当たり,法21条2項4号に該当する。同号の罪の成立を認めた第1審判決を是認した原判断は,結論において正当である。
よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官
木澤克之

山口

裁判官


裁判官

池上政幸

深山卓也)
裁判官

小池


裁判官

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