判例検索β > 平成31年(受)第427号
遺言無効確認請求本訴、死因贈与契約存在確認等請求反訴事件
事件番号平成31(受)427
事件名遺言無効確認請求本訴,死因贈与契約存在確認等請求反訴事件
裁判年月日令和3年1月18日
法廷名最高裁判所第一小法廷
裁判種別判決
結果破棄差戻
原審裁判所名名古屋高等裁判所
原審事件番号平成30(ネ)464
原審裁判年月日平成30年10月26日
判示事項自筆遺言証書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているからといって同証書による遺言が無効となるものではないとされた事例
裁判日:西暦2021-01-18
情報公開日2021-01-18 16:00:04
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平成31年(受)第427号,第428号

遺言無効確認請求本訴,死因贈与契

約存在確認等請求反訴事件
令和3年1月18日

第一小法廷判決

主文
原判決を破棄する
本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。
理由
平成31年(受)第427号上告代理人菊地隆太ほかの上告受理申立て理由及び同第428号上告代理人後藤武夫ほかの上告受理申立て理由(ただし,いずれも排除された部分を除く。)について
1
本件の本訴請求は,亡Aが作成した平成27年4月13日付け自筆証書(以
下本件遺言書という。)による遺言(以下本件遺言という。)について,被上告人らが,本件遺言書に本件遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているなどと主張して,上告人らに対し,本件遺言が無効であることの確認等を求めるものである。
2
(1)

原審の確定した事実関係の概要は,次のとおりである。
被上告人らはAの妻であるX1及び同人とAとの間の子らであり,平成3
1年(受)第428号上告人ら(以下上告人Y2らという。)はAの内縁の妻であるY2及び同人とAとの間の子らである。
(2)

Aは,平成27年4月13日,入院先の病院において,本件遺言の全文,
同日の日付及び氏名を自書し,退院して9日後の同年5月10日,弁護士の立会いの下,押印した。本件遺言の内容は,第1審判決別紙遺産目録記載の財産を上告人Y2らに遺贈し,又は相続させるなどというものであった。
(3)
3
Aは,平成27年5月13日,死亡した。
原審は,上記事実関係の下において,次のとおり判断して,被上告人らの本訴請求を認容すべきものとした。
自筆証書によって遺言をするには,真実遺言が成立した日の日付を記載しなければならず,本件遺言書には押印がされた平成27年5月10日の日付を記載すべきであった。自筆証書である遺言書に記載された日付が真実遺言が成立した日の日付と相違しても,その記載された日付が誤記であること及び真実遺言が成立した日が上記遺言書の記載その他から容易に判明する場合には,上記の日付の誤りは遺言を無効とするものではないと解されるが,Aが本件遺言書に平成27年5月10日と記載する積もりで誤って平成27年4月13日と記載したとは認められず,また,真実遺言が成立した日が本件遺言書の記載その他から容易に判明するともいえない。よって,本件遺言は,本件遺言書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているから無効である。
4
しかしながら,本件遺言を無効とした原審の上記判断は是認することができ
ない。その理由は,次のとおりである。
自筆証書によって遺言をするには,真実遺言が成立した日の日付を記載しなければならないと解されるところ(最高裁昭和51年(オ)第978号同52年4月19日第三小法廷判決・裁判集民事120号531頁参照),前記事実関係の下においては,本件遺言が成立した日は,押印がされて本件遺言が完成した平成27年5月10日というべきであり,本件遺言書には,同日の日付を記載しなければならなかったにもかかわらず,これと相違する日付が記載されていることになる。しかしながら,民法968条1項が,自筆証書遺言の方式として,遺言の全文,日付及び氏名の自書並びに押印を要するとした趣旨は,遺言者の真意を確保すること等にあるところ,必要以上に遺言の方式を厳格に解するときは,かえって遺言者の真意の実現を阻害するおそれがある。
したがって,Aが,入院中の平成27年4月13日に本件遺言の全文,同日の日付及び氏名を自書し,退院して9日後の同年5月10日に押印したなどの本件の事実関係の下では,本件遺言書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているからといって直ちに本件遺言が無効となるものではないというべきである。
5
以上によれば,本件遺言を無効とした原審の前記判断には,判決に影響を及
ぼすことが明らかな法令の違反がある。この点に関する論旨は理由があり,原判決中本訴請求に関する部分は破棄を免れず,本件遺言のその余の無効事由について更に審理を尽くさせるために,これを原審に差し戻すのが相当である。そして,本件の反訴請求は,上告人Y2らが,被上告人らに対し,本訴請求において本件遺言が無効であると判断された場合に,予備的に,死因贈与契約の成立の確認等を求めるものであるところ,本訴請求について原判決が破棄差戻しを免れない以上,反訴請求についても当然に原判決は破棄差戻しを免れない。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官
木澤克之

深山卓也

裁判官

山口

裁判官

池上政幸

厚)
裁判官

小池


裁判官

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