事件番号 | 令和1(あ)1843 |
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事件名 | 殺人,窃盗,住居侵入,会社法違反被告事件 |
裁判年月日 | 令和2年12月7日 |
法廷名 | 最高裁判所第一小法廷 |
裁判種別 | 決定 |
結果 | 棄却 |
原審裁判所名 | 大阪高等裁判所 |
原審事件番号 | 平成31(う)373 |
原審裁判年月日 | 令和元年10月29日 |
判示事項 | 捜査機関への申告内容に虚偽が含まれていた事案につき刑法42条1項の自首が成立しないとされた事例 |
裁判日:西暦 | 2020-12-07 |
情報公開日 | 2020-12-10 10:00:05 |
令和2年12月7日 殺人,窃盗,住居侵入,会社法違反被告事件 第一小法廷決定 主文 本件上告を棄却する。 当審における未決勾留日数中280日を本刑に算入する。 理由 弁護人吉田誠及び被告人本人の各上告趣意は,いずれも,事実誤認,単なる法令違反の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,原判決及びその是認する第1審判決の認定並びに記録によれば,被告人は,自宅で,被害者をその嘱託を受けることなく殺害した後,この事実が捜査機関に発覚する前に,嘱託を受けて被害者を殺害した旨の虚偽の事実を記載したメモを遺体のそばに置いた状態で,自宅の外から警察署に電話をかけ,自宅に遺体があり,そのそばにあるメモを見れば経緯が分かる旨伝えるとともに,自宅の住所を告げ,その後,警察署において,司法警察員に対し,嘱託を受けて被害者を殺害した旨の虚偽の供述をしたことが認められる。 以上の事実関係によれば,被告人は,嘱託を受けた事実がないのに,嘱託を受けて被害者を殺害したと事実を偽って申告しており,自己の犯罪事実を申告したものということはできないから,刑法42条1項の自首は成立しないというべきである。これと同旨の第1審判決を是認した原判決は,正当である。 よって,刑訴法414条,386条1項3号,181条1項ただし書,刑法21条により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官 木澤克之 山口 裁判官 厚 裁判官 池上政幸 深山卓也) 裁判官 小池 裕 裁判官 |