判例検索β > 平成28年(行ウ)第238号
固定資産評価審査決定取消等請求事件
事件番号平成28(行ウ)238
事件名固定資産評価審査決定取消等請求事件
裁判年月日令和2年6月18日
裁判所名大阪地方裁判所
裁判日:西暦2020-06-18
情報公開日2020-11-26 16:00:27
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令和2年6月18日判決言渡
平成28年(行ウ)第238号

固定資産評価審査決定取消等請求事件

主文12
原告の請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。

第1

実及び理由
請求

1(1)

高槻市固定資産評価審査委員会が平成28年7月7日付けで原告に対し
てした別紙物件目録1-1記載の各土地に係る土地課税台帳に登録された平成27年度の価格についての審査の申出に対する決定を取り消す。
(2)

高槻市固定資産評価審査委員会が平成28年7月7日付けで原告に対し
てした別紙物件目録2記載の各土地に係る土地課税台帳に登録された平成27年度の価格についての審査の申出に対する決定を取り消す。
2
地方税法433条12項後段の規定により高槻市固定資産評価審査委員会がしたものとみなされる,別紙物件目録1-2及び同2記載の各土地に係る土地
課税台帳に登録された平成28年度の価格についての原告の平成28年7月12日付け審査の申出を却下する旨の決定を取り消す。
3
高槻市固定資産評価審査委員会が平成30年4月18日付けで原告に対してした別紙物件目録1-2及び同2記載の各土地の土地課税台帳に登録された平成29年度の価格についての審査の申出に対する決定を取り消す。
4
第2
1
被告は,原告に対し,200万円を支払え。
事案の概要
本件訴えの概要
原告は,平成27年度における別紙物件目録1-1記載の各土地(以下本件各土地1-1という。)及び別紙物件目録2記載の各土地(以下本件各土地2という。)の固定資産税の納税義務者であり,平成28年度及び平成29年度における別紙物件目録1-2記載の各土地
(以下
本件各土地1-2
といい,本件各土地1-1及び本件各土地2と併せて本件各土地という。)及び本件各土地2の固定資産税の納税義務者であった(以下,本件各土地を構成する土地部分については,各物件目録記載の記号番号を用いT1部分などという。)。

原告は,土地課税台帳に登録された本件各土地の平成27年度,平成28年度及び平成29年度の各登録価格(以下,それぞれ平成27年度登録価格などといい,これらを併せて本件各登録価格という。)を不服として,高槻市固定資産評価審査委員会(以下本件委員会という。)に対し,それぞれ審査の申出をしたところ,本件委員会から,平成27年度に係る審査の申出
については平成28年7月7日付けでこれを棄却する旨の各決定(以下,併せて平成27年度決定という。)を受け,平成29年度に係る審査の申出については平成30年4月18日付けで本件各土地1―2に係る審査の申出を棄却し,同2記載の各土地に係る審査の申出を却下する旨の決定(以下平成29年度決定という。)を受けたが,平成28年度に係る審査の申出について
は,同申出の日から30日以内に本件委員会による決定がなかった。本件は,原告が,被告を相手に,平成27年度決定及び平成29年度決定の各取消しを求めるとともに,地方税法433条12項後段の規定により本件委員会がしたものとみなされる,原告の平成28年度に係る審査の申出を却下する旨の決定(以下平成28年度みなし決定といい,平成27年度決定及び
平成29年度決定と併せて本件各決定という。)の取消しを求め,併せて,被告に対し,本件各登録価格の決定には国家賠償法上の違法があるとして,同法1条1項に基づき,損害賠償として,本件訴訟に係る弁護士費用相当額200万円の支払を求める事案である。
2
関係法令等の定め
別紙関係法令等の定めに記載のとおり(同別紙中で定義した略称等は,以下,同様に用いる。)。
3
前提事実(当事者間に争いがないか,掲記の証拠等により容易に認定することができる事実。以下,書証番号は特記しない限り各枝番を含む。)(1)


α町の土地
原告は,平成27年1月1日当時,高槻市α町(以下,単にα町という。)所在の以下の3筆の宅地(以下α町の土地と総称することがある。)の各持分10分の9を有していた(甲1~3)。
(ア)α町(住所省略)の土地(T1部分及びT2部分から成る土地。以下α町1土地という。)
(イ)α町(住所省略)の土地(T3部分,T4部分及びT5部分から成る
土地。以下α町2土地という。)
(ウ)α町(住所省略)の土地(T6部分から成る土地。以下α町6土地ともいう。)

α町6土地(T6部分)の西側には,α町(住所省略)の土地(以下α町3土地という。)が,東側には(住所省略)の土地(以下α町4土地という。)が接しており,いずれの所有者も,平成27年1月1日以前から高槻市土地開発公社(以下公社という。)であった。

平成27年1月1日当時の本件各土地1-1,α町3土地及びα町4土地の位置関係等は,概ね,別紙土地概要図1-1のとおりである。すなわ
ち,
α町1土地の東側部分及びα町2土地の北東側部分には住宅
(以下
α町東側住宅といい,その敷地(ただし,後記本件通路は含まない。)をα町東側住宅の敷地という。)があり,α町2土地の東端及びα町4土地の東端には南側の市道(B。以下α町の市道という。)からα町東側住宅に通じる幅2m程度の通路(以下本件通路といい,そのうち
α町2土地に係る部分を本件通路①部分といい,α町4土地に係る部分を本件通路②部分という。別紙本件通路概要図1及び同2参照。)が設けられていた。また,T5部分及びT6部分上には住宅(以下α町中央住宅という。)があった。α町1土地及びα町2土地のその余の部分は,駐車場(以下α町駐車場という。)として利用されていた(以下,
α町1土地及びα町2土地のうち駐車場として使用されていた部分(平
成27年度におけるT2部分及びT4部分並びに平成28年度及び平成2
9年度におけるT2部分及びT7部分)α町駐車場の敷地

という。。


被告は,平成27年4月28日,収用により原告及びC(以下原告等という。)からα町6土地(T6部分)の所有権を取得した(甲3)。また,被告は,同年9月30日,α町3土地及びα町4土地の所有権を公社から取得した。


α町中央住宅は,平成27年中に取り壊され,同住宅の敷地のうち,α町2土地の部分(T5部分)はα町駐車場の一部として使用されるようになり,α町6土地の部分(T6部分)は更地となった(乙3,8)。

原告は,平成28年1月1日当時及び平成29年1月1日当時,α町1土地(T1部分及びT2部分から成る。)及びα町2土地(T3部分及び
T7部分から成る。)の各持分10分の9を有していた(甲1,2)。本件各土地1-2,α町3土地及びα町4土地の位置関係等は,平成28年1月1日当時は,概ね,別紙土地概要図1-2のとおり,平成29年1月1日当時は,概ね,別紙土地概要図1-3のとおりである。

α町3土地,α町4土地及びα町6土地は,平成28年1月1日以降に都市計画道路として整備され,同年9月6日からα町の市道の一部としてその供用が開始された(甲78,乙71,弁論の全趣旨)。

(2)

β町の土地
原告は,平成27年1月1日当時,高槻市β町(以下,単にβ町という。)所在の以下の2筆の宅地(以下β町の土地と総称することがある。)の各持分10分の9を有していた(甲4,5)
(ア)β町〇丁目〇番1の土地(A1部分及びA2部分から成る土地。以下β町1土地という。)
(イ)β町〇丁目〇番2の土地(A3部分から成る土地。以下β町2土地ともいう。)

平成27年1月1日当時,平成28年1月1日当時及び平成29年1月1日当時の本件各土地2の位置関係等は,いずれも,概ね,別紙土地概要図2のとおりであり,A1部分上に住宅(以下β町住宅という。)があり,A2部分及びA3部分は駐車場(以下β町駐車場という。)として利用されていた。

(3)

平成27年度登録価格に関する審査の申出等の経緯
高槻市長は,本件各土地1-1及び本件各土地2の平成27年度登録価格を別紙登録価格表(平成27年度)のとおり決定した上,これを土地課税台帳に登録し,原告に対し,平成27年5月1日付けで,上記各登録価格を記載した納税通知書を送付した(甲6)。


原告は,平成27年6月28日,本件委員会に対し,本件各土地1-1及び本件各土地2の平成27年度登録価格について不服があるとして審査の申出をしたところ,本件委員会は,平成28年7月7日付けで,同各申出を棄却する旨の各決定(平成27年度決定)をした(甲8,9)。
(4)

平成28年度登録価格に関する審査の申出等の経緯
高槻市長は,本件各土地1-2及び本件各土地2のうち,T2部分及びT7部分については平成28年度登録価格を別紙登録価格表(平成28年度)のとおり決定した上でこれを土地課税台帳に登録し,その余の土地については,登録価格の据置きを行い,原告に対し,平成28年5月1日付けで,上記各登録価格を記載した納税通知書を送付した(甲7)。
なお,T2部分の平成28年度登録価格は同土地の平成27年度登録価格と同額であるが,これは登録価格の据置きを行った結果ではなく,改めて登録価格の決定をした結果として同額になったものである(弁論の全趣旨)。

原告は,平成28年7月12日,本件委員会に対し,本件各土地1-2及び本件各土地2の平成28年度登録価格について不服があるとして審査の申出をしたが,
本件委員会は,
同日から30日以内に決定をしなかった。

(5)

本件訴えの提起
原告は,平成28年10月28日,平成27年度決定及び平成28年度み
なし決定の各取消しを求める(前記請求1及び2)とともに,平成27年度登録価格及び平成28年度登録価格の決定が違法であることを理由として200万円の損害賠償金の支払を求めて(前記請求4),本件訴えを提起した(顕著な事実)。
(6)

平成29年度登録価格に関する審査の申出等の経緯
高槻市長は,本件各土地1-2については,平成29年度登録価格を別紙登録価格表(平成29年度)のとおり決定した上でこれを土地課税台帳に登録し,本件各土地2については,登録価格の据置きを行い,原告に対
し,平成29年5月1日付けで,上記各登録価格を記載した納税通知書を送付した(弁論の全趣旨)。

原告は,平成29年7月18日,本件委員会に対し,本件各土地1-2及び本件各土地2の平成29年度登録価格について不服があるとして審査の申出をしたところ,本件委員会は,平成30年4月18日付けで,本件
各土地1-2に係る審査の申出を棄却し,本件各土地2に係る審査の申出を却下する旨の決定(平成29年度決定)をした(甲59)。
(7)

訴えの変更
原告は,平成30年8月31日,平成29年度決定の取消しを求める請求
(前記請求3)を追加する旨の訴えの変更をし,その後,国家賠償請求の請求原因として平成29年度登録価格の決定の違法を追加した
(顕著な事実)

4
主な争点
本件においては,高槻市長がした,本件各登録価格の決定の適法性が問題となるところ,被告の主張する本件各登録価格の算定の根拠は,概ね,別紙登録価格の算定根拠に記載のとおりである(同別紙中で定義した略称等は,以
下,同様に用いる。)。
これに対して原告が主張する違法事由等に照らせば,本件各決定の取消請求に係る具体的な争点は,次の(1)及び(2)のとおりとなる。
また,国家賠償請求に係る争点は,(3)のとおりである。
(1)


α町の土地の登録価格に係る争点
画地認定の適否
(ア)本件通路(ただし,平成29年度については本件通路①部分のみをいう。以下同じ。)をα町東側住宅の敷地と合わせて一画地とすることの適否(争点1)
(イ)平成27年度及び平成28年度においてα町駐車場出入口をα町駐車場の敷地と合わせて一画地とすることの適否(争点2)


T1部分及びT2部分の地積認定の適否(争点3)


α町東側住宅画地及びα町駐車場画地に係る奥行価格補正割合法及び不整形地,無道路地,間口が狭小な宅地等評点算出法の適否(争点4)

(2)

平成29年度に評価替えを行うことの適否(争点5)
β町の土地の登録価格に係る争点
β町1土地をA1部分とA2部分とに分け,A1部分を一画地,A2部分及びA3部分を一画地とすることの適否(争点6)



本件各土地2の地積認定の適否(争点7)
A2部分及びA3部分に係る二方路線影響加算法の適否(争点8)

A2部分及びA3部分に係る奥行価格補正割合法及び不整形地,無道路地,間口が狭小な宅地等評点算出法の適否(争点9)

A2部分及びA3部分につき広大地であることを理由とする減価の要否等(争点10)

(3)

国家賠償請求に係る争点
本件各登録価格を決定したことの国家賠償法上の違法性及び高槻市長その他の高槻市職員の過失(争点11)

イ5
損害の有無及び額(争点12)

争点に関する当事者の主張
(1)

争点1(本件通路をα町東側住宅の敷地と合わせて一画地とすることの
適否)について
(原告の主張)

α町東側住宅の住人は,本件通路①部分を賃借しているわけではなく,D(原告の父でα町の土地の前所有者)との間の和解(甲17)に基づき単に通行が認められているにすぎない(本件通路をα町東側住宅と共に売却することはできないし,上記和解の当事者以外の第三者がα町東側住宅
を取得したとしても,当然に本件通路を通行する権利が認められるものでもない)こと,本件通路はα町駐車場出入口よりもJR高槻駅に近いことなどからα町東側住宅の住人だけでなく,α町駐車場の利用者も通行・使用する通路であるのに対し,α町東側住宅の敷地はその住人のみが使用しているのであり,両者の利用状況は異なること,本件通路①部分は有限会
社E(以下Eという。)に賃貸され同社により駐車場と一体としてアスファルト舗装されて管理・利用されていること,α町東側住宅の敷地は門扉,ブロック塀,フェンスで囲まれ,同敷地と本件通路の間は高さ約1.6mの門扉等により区切られているのに対し,本件通路①部分とα町駐車場との間には高さ約20cmのコンクリート製ブロックが駐車車両が本件
通路に掛かることを防ぐ目的で設置されているにすぎないこと等に照らせば,
α町東側住宅の敷地と本件通路とが,
被告の固定資産事務取扱要領
(土
地)(取扱要領)にいう同一利用であるとか,同一使用者が一体的に利用しているとかということはできず,むしろ,α町駐車場の敷地と合わせて一体として画地認定すべきである。したがって,本件通路をα町東側住宅の敷地と合わせて一画地と認定することは取扱要領に違反するものであって,そのような画地認定をすることはできない。


また,本件通路②部分については,争点2においてα町駐車場出入口について主張するところと同様の理由によっても,α町東側住宅の敷地と合わせて画地認定することはできない。

(被告の主張)

画地認定については,宅地の形状や利用状況等の外形的,客観的状況により判断すべきところ,α町駐車場部分と本件通路①部分との間には,車止めのブロックとは別に,駐車場と通路とを区切るために高さ20ないし30cmのブロックが設置されていること,α町東側住宅には本件通路を使ってしか出入りができないこと,α町東側住宅については建築基準法上
本件通路なくしては建築することが困難であると考えられること,同住宅の生活排水管等が本件通路に埋設されていること,α町駐車場の利用者が本件通路を通って出入りをしているとは必ずしも考えられないこと等に照らせば,本件通路はα町東側住宅の敷地と一体として用いられていたというべきである。したがって,本件通路は,α町東側住宅の敷地と合わせて
一画地とするのが相当である。
なお,以上によれば,本件通路については,取扱要領が2筆以上の土地を合わせる場合として規定する数筆の土地にわたり,1個の建物が存する場合,又は同一利用の場合に該当し,そうでないとしても,数筆の土地で,建物の有無又はそのあり方に関係なく,塀その他の囲いにより,同一使用者が一体的に利用している場合に該当するか,又はこれに準じたものであるということができるが,そもそも,取扱要領の上記各定めは一画地とする場合を例示したものにすぎないから,上記該当性を論ずる実益はないというべきである。

争点2においてα町駐車場出入口について主張するとおり,本件通路②部分をα町東側住宅の敷地と合わせて画地認定することはできないとの原告の主張も理由がない。

(2)

争点2(α町駐車場出入口をα町駐車場の敷地と合わせて一画地とする
ことの適否)について
(原告の主張の要旨)

α町駐車場出入口は,都市計画道路(α町の市道)を拡幅するために公社が原告から収用して所有する土地(α町3土地及びα町4土地)の一部である。同土地は,平成27年7月から平成28年6月にかけて,道路拡幅のための工事(水道新設工事,ガス新設工事,下水新設工事,NTT桝移設工事,電線共同溝工事,歩道・車道舗装工事,NTT既設管移設工事)が継続的に行われ,一時的に仮設道路が設置されるなど公的に利用されて
いたのであり,原告がα町駐車場の一部として私的に利用していたとはいえないし,2か所あるα町駐車場出入口のうちのどちらか一方が工事のために利用することができないという事態が頻繁に発生するなどその利用に支障がなかったともいえない。したがって,α町駐車場出入口はα町駐車場の敷地として一体的に利用されていたとはいえない。

平成27年度において,α町駐車場出入口を含め,α町3土地及びα町4土地は,それぞれ全体として土地開発公社が直接その本来の事業の用に供する固定資産で政令で定めるもの(地方税法348条2項2号)に該当するとして非課税とされているところ,このことからも,同土地が公社の事業のために公的に利用されていることは明らかであり,非課税であ
る土地を,それとは異なる用途で私的に利用されているα町駐車場の敷地と一体として画地認定することはできない。

工事用地については,計画に基づく将来的な敷地の利用状況等を前提に画地認定をすべきである
(東京地方裁判所平成22年11月12日判決
(乙
40)参照)から,α町3土地及びα町4土地も,近い将来,道路として利用される予定であることを前提に画地認定すべきであり,その一部であるα町駐車場出入口がα町駐車場の敷地と一体を成すものとはいえない。

土地の評価は,固定資産税の課税標準である価格を決定するプロセスであり,画地認定は評価の一プロセスであるから,地方税法349条の適用がない非課税地について画地認定すること自体が想定されない。現に,α町3土地及びα町4土地の土地課税台帳兼評価調書(甲29,30)において,何ら評価せずに全体が非課税とされている。そうである以上,α町
1土地及びα町2土地の評価に当たって,α町3土地及びα町4土地の一部であるα町駐車場出入口をα町駐車場の敷地と合わせて一画地とすることは考えられない。

所有者を異にする複数の土地を一体として取引の対象とするのが社会通念に照らして合理的であるとまで認めることができない場合には別個に評
価するのが相当である(高松高等裁判所平成23年12月20日判決(甲47)参照)。T2部分及びT4部分又はT7部分とα町駐車場出入口とで所有者が異なること,α町駐車場出入口を含むα町3土地及びα町4土地は道路拡幅事業のためにα町2土地から分筆して買収された道路予定地であること等に照らせば,両者を一体として取引の対象とすることが合理
的でないことは明らかであるから,α町駐車場出入口をα町駐車場の敷地と合わせて一画地とすることはできない。
(被告の主張)

平成27年1月1日及び平成28年1月1日当時,
α町駐車場出入口は,
α町駐車場への進入路等としてα町駐車場の敷地と一体として利用されていた。α町の市道の道路拡幅のための工事は平成27年1月1日時点においては行われていなかったし,その後に行われた同工事も,α町駐車場への進入路が確保された状態で進められていたのであり,その利用に支障はなかった
(一時的に駐車場への進入路の利用が制限されたことはあったが,その期間は短いもので1日,長いもので3日程度の比較的短期間の制限であった。)。したがって,α町駐車場出入口はα町駐車場の敷地と合わせ
て一画地とするのが相当である。
なお,α町駐車場出入口部分につき道路予定地として一定の利用制限を受けることについては,公法上の影響補正を行うことにより,登録価格の算定に適正に反映されている。

所有者の同異又は当該土地が課税地であるか非課税地であるかは,土地の客観的交換価値に当然に影響するものではないから,画地認定においては,これらの事情にかかわらず,外形的状況から見て,一体を成していると認められる部分をもって一画地と認定するのが相当である。原告が引用する高松高等裁判所の裁判例は本件とは事案を異にするものであるし,非課税地を含めた画地認定が許されないというのは原告独自の見解であり
(上記東京地方裁判所平成22年11月12日判決(乙40)参照),評価基準にもそのような定めはない。

原告は,α町3土地及びα町4土地は,近い将来,道路として利用される予定であることを前提に画地認定すべきである旨主張するが,画地認定に当たっては,飽くまで賦課期日時点の現況における客観的な利用状況等
を基に判断するのが原則であるし,高槻市長は,市道の拡幅後にα町の土地がどのように利用されるかを把握することはできなかったのであるから,将来的な利用状況を前提とすべきとの原告の主張は失当である。(3)
争点3(T1部分及びT2部分の地積認定の適否)について

(原告の主張)
T1部分(α町1土地のうちα町東側住宅の敷地部分)の面積は,被告も主張するとおり,実測により246.88㎡である。α町1土地の面積は登記簿により519㎡であるから,同土地のうちα町駐車場の敷地部分であるT2部分の面積は519㎡から246.88㎡を控除した272.12㎡である。
被告は,高槻市固定資産管理システム(本件システム)を用いてα町1土地の実測地積を612㎡と認定しているが,地方税法408条の趣旨からすれば,固定資産の評価に当たって実地調査を行わなければならないことが原則であるのに,高槻市長は,実地調査を行うことなく,本件システムを用いて地積を認定しており,違法である。

また,①α町1土地の北側及び西側の境界が確定していないこと,②本件システムは職員がマウスを操作するという手作業で航空写真上に測点を決め,その測点の座標値も後に検証することができないなど本件システムには不備があること,③本件システムは,α町東側住宅の敷地について,実測地積は252.68㎡であるにもかかわらず,230.21㎡と9%も過小に
計測し(甲31別紙4),また,同敷地の一部がα町2土地に含まれることを判別できない(甲31・3枚目)など,その精度が地積測量図よりも低いことからすれば,同システムによって算出された地積を採用することはできないというべきである。
(被告の主張)

実地調査による計測は,評価対象地の位置や形状,境界確定の有無等により,技術的・費用的な観点から困難を伴うことが当然に想定されることからすると,現況地積による場合に,必ず実地調査による地積によらなければならないとは解されない。α町の土地については,現地での実測が困難であることから,関係する各種図面を参照した上で,本件システムを用いて地積を
算出することが合理的であると判断したものである。
なお,
被告においては,
α町の土地につき地方税法が求める範囲の実地調査は行っている。本件システムは,航空写真や地番参考図,家屋図,各種補正レイヤ,路線価図といった様々な地理空間情報を重ね合わせて表示し,地理情報の管理や分合筆異動,画地計算等の評価を支援するためのシステムである。本件システム上の航空写真については,測量法に規定する基準に適合していることを国土地理院が承認しており,また航空写真に重ね合わせる地番参考図は,法務局が所管する分筆や地積更正等の図面及び公図並びに現況等を基に作成していることから,上記システムを用いた計測は一定の精度を有している。本件システムによる地積の算出の過程にマウスを使ってポイントをクリックするという手作業が含まれるが,そのことのみによって同システムによって算
出された地積が採用できないことにはならない。また,α町1土地の北側及び西側の境界が確定していないからといって,上記地積が採用できないということもない。
原告は,T1部分については実測地積を主張し,T2部分については登記地積から現況の地積を控除した地積であると主張するが,α町1土地全体の
登記地積が現況の地積よりも小さい以上,原告の上記主張によれば,T2部分が不当に小さい地積となるのであり,このような登記地積と現況の地積が混合された主張は不当である。
(4)

争点4(α町東側住宅画地及びα町駐車場画地に係る奥行価格補正割合
法及び不整形地,無道路地,間口が狭小な宅地等評点算出法の適否)について
(原告の主張)

奥行距離及び蔭地割合
(ア)評価基準によれば,不整形地における奥行距離は,これに近似する整形地(以下近似整形地という。)を求め,その近似整形地を基に奥
行距離を計測し,蔭地割合は,想定整形地を求め,その想定整形地の地積から評価対象画地の地積を控除し,想定整形地の地積で除して算出することとされている。この点に関し,被告は,本件システム上に近似整形地や想定整形地を表示させた上で奥行距離の計測や蔭地割合の算出を行っている旨主張するが,本件システムを用いて的確に奥行距離の計測や蔭地割合の算出をすることができることは立証されておらず,
むしろ,
以下の事情からすれば,その正確性は極めて疑わしい。

a
本件システムには蔭地割合や奥行距離の計測に当たりシステム上に近似整形地や想定整形地を表示する機能がないこと

b
本件システムの距離計測機能には正面路線から垂直な直線を引
く機能がないこと

c
本件システムの航空写真は,その縮尺が500分の1であり,地積測量図や官民有地確定図(縮尺・250分の1)よりも精度が劣っている上,職員による手作業において誤差が生じること

(イ)したがって,高槻市においては,本件システム上に近似整形地や想定整形地を表示せずに奥行距離や蔭地割合が計測されているというほかないところ,このような方法は,評価基準に反して違法である。また,こ
のような方法による上記各画地の評価には,奥行価格補正率及び不整形地補正率を誤った違法があるというべきである。

無道路地補正の要否
争点1において主張したとおり,本件通路はα町東側住宅の敷地に係る
画地に含まれないから,同敷地に係る画地(T1部分及びT3部分のうち本件通路①部分を除いた部分から成る画地)は,無道路地(公図等の図面上直接道路に接しない画地)である。したがって,無道路地の評点算出法を適用し,取扱要領別表10の通行可の場合として,奥行価格補正率と無道路地の補正率(0.70)を乗じて補正すべきである。

被告は,α町東側住宅の住人は本件通路を介してα町の市道まで通行することができるなどとして無道路地補正の対象ではない旨主張するが,このような事情は,通路開設補正率の適用の有無に関わる事情ではあるが,無道路地であるかどうかの判断には関係しないというべきである(最高裁判所平成19年1月19日第二小法廷判決・裁判集民事223号35頁参照)。
(被告の主張)

奥行距離及び蔭地割合
被告は,被告提出の各証拠(乙29~31,33~35,59~64,74,75,77)のとおり,本件システム上に近似整形地や想定整形地を表示させた上で,α町東側住宅画地及びα町駐車場画地の奥行距離の計測や蔭地割合の算出を行っており,その数値は的確である。


無道路地補正の要否
評価基準が定める無道路地補正の趣旨に照らせば,公簿上の無道路地が全て無道路地補正の適用対象となるものではなく,直接路線に接しない場合で,出入りが判然としない画地又は出入口が全くない画地だけが対象となる。実際の利用上,何らかの通路が開設されている場合に無道路地補正
の適用とすることは,かえって不相当な減価をもたらすことになるから,上記適用対象とならない。そうであるところ,争点1で主張したとおりの利用状況等に照らせば,α町東側住宅の住人は本件通路を介してα町の市道まで通行することができるといえる。したがって,仮に,本件通路をα町東側住宅の敷地と合わせて画地認定をすることができないとしても,同
住宅の敷地に係る画地につき無道路地補正をする必要はない。
(5)

争点5(平成29年度に評価替えを行うことの適否)について

(原告の主張)

争点1及び争点2について,被告の画地認定が認められたとしても,昭和34年7月23日自丁固第55号固定資産税務管理官回答
(甲65参照)
にいう単なる分筆の場合に該当するから,平成29年度の評価額は,基準年度(平成27年度)の価格を据え置くべきである。

仮に,地方税法349条3項ただし書に基づき当該土地に類似する土地の基準年度の価格に比準する価格により算出する場合でも,高槻市長は,
平成29年度の固定資産税・都市計画税の課税標準額の算定に当たり,同法附則17条7号の類似土地としてα町の土地そのものを選定して
おり,同号に規定する類似土地は上記当該土地に類似する土地と
同義であるとされているから,平成29年度の評価額についても,当該土地に類似する土地としてα町の土地そのものを選定して,その基準年度の価格により算定すべきである。
そうすると,
平成29年度の評価額は,
基準年度である平成27年度の評価額を地積に応じてあん分すべきであ
り,評価単価は据え置くべきである。

したがって,いずれにせよ,平成29年度に評価替えを行ったことは違法である。

(被告の主張)

平成28年度において,α町東側住宅画地及びα町駐車場画地の一部であった部分が,その後に,歩道及び車道の整備が完了し,道路としての利用が始まったものであって,現況の地目が宅地から公衆用道路へと地目変換したことは明らかである。したがって,地方税法349条2項1号に掲げる事情が認められる。
そして,α町駐車場画地については間口距離が大きく変化し,また,同
画地及びα町東側住宅画地のいずれも,その画地形状が変化していることなどからすると,α町1土地及びα町2土地について,平成28年度価格を据え置くことは,固定資産税の課税上著しく均衡を失するものであり,不適当であると認められる。

原告は,高槻市長が平成29年度の固定資産税等の課税標準額の算定に当たり,地方税法附則17条7号の類似土地としてα町の土地そのものを選定していることを根拠として,評価替えをすることができない旨主張するが,課税標準額の算定と評価替えの可否とは何ら関係がないから,原告の上記主張は失当である。

したがって,高槻市長が,本件各土地1-2について,平成29年度に評価替えをしたことは,地方税法349条3項に適合するものであり,適
法である。
(6)

争点6
(A1部分を一画地,
A2部分及びA3部分を一画地とすることの

適否)について
(原告の主張)
β町1土地(A1部分及びA2部分)は,原告がEに一体として賃貸し,同社が同地上に建物を建築して他者へ賃貸し,建物以外の部分を駐車場として利用している。また,A2部分の一部(駐車番号31及び32)からは南側市道を通ってしか進入することができず,その他の部分とは異なる。評価基準によれば,一画地は,原則として,1筆の宅地によるものとされ
ているところ,上記のような現況に加え,A1部分がβ町1土地全体の地積の約8%と僅少であるにもかかわらず,これを一画地としたのでは,いたずらに画地を細分化することになることなどからすれば,あえて,1筆であるβ町1土地をA1部分とA2部分とに分け,A2部分をA3部分と合わせる理由はない。β町2土地は,東側市道よりも南側市道に面している部分が多
いにもかかわらず,その評価単価は,南側市道の路線価(9万5300点)よりも15%も高い11万0049円となっており,
被告主張の画地認定は,
客観的な交換価値への接近方法として不合理である。むしろ,β町1土地は家屋の敷地及び駐車場としての利用,A3部分は駐車場としてのみの利用がされているとして,それぞれ1筆を一画地と認定するのが,客観的な交換価
値への接近方法として合理的である。
また,β町の土地は,平成26年度までは,一筆一画地とされていたところ,その利用状況は,平成26年度と平成27年度とで変化はないから,画地認定を変更する理由もないというべきである。
(被告の主張)
争点1における主張のとおり,画地認定は客観的状況を基に判断すべきところ,賃貸区分は直接画地認定に影響しない。
β町1土地は,A1部分(住宅敷地)とA2部分(駐車場敷地)とで全く異なる用途で利用され,A2部分とβ町2土地(A3部分)は,全体が駐車場として利用されており,上記各土地の東側市道を通って車両が出入りをするなど,
筆界に関係なく駐車場として一体を成しているというべきである
(以

下,この画地をβ町駐車場画地という。)。A2部分の一部(駐車番号31及び32)は南側市道が出入口となるが,利用実態はその他の駐車場部分と同様に駐車場であること,車両以外であれば,A2部分のその余の部分に通り抜けることが可能であること,続きの駐車番号が付されていることなどからすると,一体を成しているといえる。したがって,客観的な交換価値
への接近方法としては,被告主張の画地認定が適当である。
β町の土地については,平成24年度から平成26年度までの間に利用状況の変化があったが,地方税法349条2項各号に掲げる事情までは認められなかったため,平成26年度においても,それ以前と同様に,一筆一画地とされていたにすぎない。平成27年度は基準年度であるから,平成27年
1月1日の現況に基づき画地認定を変更することに何ら問題はない。(7)

争点7(本件各土地2の地積認定の適否)について

(原告の主張)
被告は,本件システムを用いてA1部分(β町住宅の敷地)の地積を57.85㎡と認定しているが,争点3における主張のとおり,実地調査を行わずにされた地積認定は違法である。本件システムの精度が低いこと等も,争点3で主張したとおりである。
また,被告は,隣接する東側市道及び南側市道との境界が確定していないことを前提として,本件システムを用いて上記地積を算出しているが,実際には上記各境界は確定しており(甲14),この点においても,上記地積は信用できない。
(被告の主張)
争点3における主張のとおり,本件システムを用いた計測は一定の精度を有しているから,同システムによって算出された地積を採用することに何ら問題はない。
東側市道及び南側市道との境界が確定していないことを前提としていたか
らといって,
高槻市長による地積認定に誤りがあるということにはならない。
(8)

争点8(β町駐車場画地に係る二方路線影響加算法の適否)について
(原告の主張)
β町駐車場画地は,分割利用をすることが合理的であり,画地内の道路を敷設しない場合には,南側部分は南側市道を活用することになるが,東側市道を正面路線価とすると,南側市道に面する他の画地と評価の均衡が取れないこととなるので,このような場合には,必ずしも路線価の高い方を正面路線とする必要はない。相続税等の場面では,財産評価基本通達(昭和39年4月25日付け直資56,直審(資)17国税庁長官通達)の定める広大地補正(平成29年の同通達改正後は地積規模の大きな宅地に係る規模格差補
正率による補正。以下同じ。)により大幅に減額されるのであるから,二方路線価(裏路線価)の一定割合を加算する二方路線影響加算法では評価の均衡が取れない。
そこで,β町駐車場画地については,甲第73号証のとおり,間口距離に応じて,東側市道を正面路線とする部分と南側市道を正面路線とする部分と
に区分して,それぞれに算定した評価額の和をもって,上記画地の評価額とするのが相当である。
(被告の主張)
評価基準によれば,正面路線とは,二方以上の路線地において,原則として路線価が大きい方の路線をいうとされているところ,相続税における財産評価において広大地補正がされ,同評価額との間に差が生じるという事情をもって,正面路線を変更すべき事情に当たるとはいえない。また,β町駐車場画地について,東側市道に面している部分が相当程度少ないなどといった事情もないのであるから,原則どおり,東側市道を正面路線とすべきであって,原告が主張するように二つの部分に区分するのが適当な例外的な場合に該当するとはいえないし,原告が主張する区分の方法が合理的であるとも到
底いえない。
(9)

争点9
(β町駐車場画地に係る奥行価格補正割合法及び不整形地,
無道路

地,間口が狭小な宅地等評点算出法の適否)について
(原告の主張)

β町駐車場画地については,
評価基準別表第3の7(1)②イの方法
(不整
形地の地積をその間口距離で除して得た計算上の奥行距離(ただし,想定整形地の奥行距離を限度とする。)を用いる方法)によるべきである。同画地の上記計算上の奥行距離は37.9mであるから,同画地の奥行距離は,想定整形地の奥行距離である36.0m(甲41参照)とすべきである。

被告が主張する
間口と奥行の関係が概ね均衡のとれた状態の不整形地
の意味は不明瞭であり,β町駐車場画地について上記計算上の奥行距離の採用が排除される理由はない。
評価基準別表第3の7(1)②ウの方法
(近似
整形地の奥行距離による方法)よりも同イの方法の方が原告に有利である以上,こちらを採用すべきである。現に,被告は,平成29年度のα町駐
車場画地について,上記イの方法により奥行距離を算出しているが,同画地(被告算出の蔭地割合は47%。)とβ町駐車場画地(被告算出の蔭地割合は37%)とを比較すると,後者の方が間口と奥行の均衡がとれているというべきであり,この点からしても,β町駐車場画地に上記イの方法を採用することに何ら問題はないというべきである。

争点4において主張したところと同様に,上記画地の登録価格の決定には,本件システム上に近似整形地や想定整形地を表示せずに奥行距離や蔭
地割合を計測している点において評価基準に反する違法があるほか,奥行価格補正率及び不整形地補正率を誤った違法がある。
(被告の主張)

β町駐車場画地については,
評価基準別表第3の7(1)②ウの方法
(近似
整形地の奥行距離による方法)を適用して奥行距離を求めるのが適当であ
り,同画地の奥行距離は32.0mとなる。
間口と奥行の関係が概ね均衡のとれた状態の不整形地については,原告が主張する同イの計算上の奥行距離を用いるべきであるが,β町駐車場敷地は,間口に対して奥行が北から南に向けて徐々に長くなる形状をしており,上記関係が概ね均衡のとれた状態にあるとはいい難く,上記計算上の
奥行距離を用いるべき場合に該当しない。

被告は,被告提出の各証拠(乙37,38,65,66)のとおり,本件システム上に近似整形地や想定整形地を表示させた上で,β町駐車場画地の奥行距離の計測や蔭地割合の算出を行っており,その数値は的確である。

(10)

争点10(β町駐車場画地につき広大地であることを理由とする減価の
要否等)について
(原告の主張)

適正な時価を算出する方法としての一般的な合理性について
β町駐車場画地は,その主要な街路に係る標準宅地(β町〇丁目〇番4土地)の地積(121.33㎡)の約6.6倍の地積を有する,開発許可を要する土地であり,その最有効利用の方法は戸建住宅用地として分割利用すること(分割・造成して区画内道路を敷設し,複数の戸建住宅の敷地として開発・分譲すること)である。このような広大地については,一般的に相当の減価(需要面からの減価,潰れ地・開発造成費等による減価)が生じることから,国土交通省が公表している不動産鑑定評価基準に
おいては開発法による評価の方法が定められ,財産評価基本通達においても広大地補正が行われることとなっている。これらの事情に照らせば,分割利用をすることが合理的な広大地の価格の決定に当たって,所要の補正をすることなく,評価基準を用いることは,上記画地の適正な時価を算出する方法として一般的な合理性を有しないというべきである。

規模が大きいことによる減価は,現行の評価において,既に奥行価格補正率に織り込まれて運用されているとの一般財団法人資産評価システム研究センターの調査研究の結論(甲54,乙52,82)は極めて疑わしく,信用することができない。

適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情について
β町駐車場画地については,正面路線である東側市道の路線価は12万1000点であり,これに奥行価格補正率0.96を乗ずると11万6160点となるが,二方路線(裏路線)である南側市道の路線価は9万5300点となっており,裏地を含むことによる減価が奥行価格補正率を大き
く上回っている。このように,上記画地の裏地を含むことによる減価は奥行価格補正率では十分に考慮することができない。また,調査報告書(甲61)のとおり,上記画地を最有効利用しようとすると,道路,隅切り,中心線後退,ごみ収集施設を設ける必要があり,約26%の減価要因が存在する。これに対し,β町駐車場画地の登録価格においては,奥行価格補
正率と不整形地補正率とを併せても9%程度しか減価されていない。そうすると,β町駐車場画地については,評価基準の定める評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情(最高裁判所平成25年7月12日第二小法廷判決・民集67巻6号1255頁参照)があり,適正な時価を上回る違法があるというべきである。
(被告の主張)

適正な時価を算出する方法としての一般的な合理性について
評価基準において,土地の地積が広大であることによって生じる減価要因は,奥行価格補正率によって反映されることが予定されており,広大地の価格の決定に当たって,所要の補正をすることなく評価基準を用いることには一般的な合理性がある。広大地であっても評価基準の定める評価方法によって適正な時価を適切に算定することができることは一般財団法
人資産評価システム研究センターの調査研究結果(乙82等)からも明らかである。現に,所要の補正の中で奥行価格補正とは別に広大地補正に係る基準を設けている市町村は限られており,大阪北摂地方においては,豊中市が1万㎡以上の非住宅用地について所要の補正を設けるほかには,広大地を理由とする所要の補正は行われていない。


適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情について
β町駐車場画地がJR高槻駅から徒歩圏内にあることなどからすれば,共同住宅敷地としての利用も十分に見込めるのであって,必ずしも,その最有効利用の方法が戸建住宅用地として分割利用することであるとはい
えない。
また,
仮に最有効利用の方法が原告主張のとおりであるとしても,
上記画地は,東側及び南側でいずれも建築基準法42条2項所定の指定を受けた市道に接しており,原告が主張する引込道路の設置は必要がないか,必要があるとしても相当に少なくて済むし,有効宅地部分がそれほど減少するとは限らない。

原告提出の調査報告書(甲61)をもって,上記画地につき評価基準の定める評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情が立証されたとはいえない。
(11)

本件各登録価格を決定したことの国家賠償法上の違法性及び高槻市長そ
の他の高槻市職員の過失(争点11)について
(原告の主張)
高槻市長による本件各登録価格の決定には,以下の点につき,国家賠償法
上の違法があり,高槻市長その他の高槻市職員には過失が認められる。ア
取扱要領に基づかずに,本件通路をα町東側住宅の敷地と合わせて一画地としたこと


α町3土地及びα町4土地はそれぞれ一体として非課税としておきながら,両土地の一部であるα町駐車場出入口をα町駐車場の敷地と合わせて
一画地としたこと

必要な機能を備えない本件システムを用いて奥行距離や蔭地割合を算出したこと


α町東側住宅の敷地に関し,評価基準及び取扱要領に違反して,無道路地補正を行わなかったこと


α町の土地につき,地方税法349条2項各号に掲げる事情が認められないにもかかわらず,平成29年度に評価替えを行ったこと


β町駐車場画地につき,適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情があるにもかかわらず,所要の補正を行わなかったこと

(被告の主張)
争う。仮に,本件各登録価格が適正な時価を上回るなどとして本件各決定の取消請求が認容されるとしても,そのことから直ちに本件各登録価格を決定したことが国家賠償法上違法であるとの評価を受けるものではない。本件各登録価格を決定したことについて,職務上通常尽くすべき注意義務を果た
すことなく漫然と判断を行ったとの評価を受けるものでないことは,争点1から10までで主張したところから明らかである。
(12)

損害の有無及び額(争点12)について

(原告の主張)
原告は,上記違法行為により弁護士に依頼して本件訴えを提起せざるを得なくなったが,その損害額は200万円が相当である。
(被告の主張)

争う。
第3
1
当裁判所の判断
登録価格の決定が違法となる場合について
(1)ア

地方税法は,土地に対して課する基準年度の固定資産税の課税標準を,
当該土地の基準年度に係る賦課期日における価格で土地課税台帳等に登録
されたもの(以下,土地課税台帳等に登録された価格を登録価格という。)とし(349条1項),上記の価格とは適正な時価をいうと定めている(341条5号)ところ,上記の適正な時価とは,正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格,すなわち,客観的な交換価値をいうと解される。したがって,土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格
が同期日における当該土地の客観的な交換価値を上回れば,その登録価格の決定は違法となる(最高裁判所平成15年6月26日第一小法廷判決・民集57巻6号723頁,同裁判所平成25年7月12日第二小法廷判決・民集67巻6号1255頁参照)。

また,地方税法は,固定資産税の課税標準に係る固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続を総務大臣(平成13年1月5日以前は自治大臣。以下同じ。)の告示に係る評価基準に委ね(388条1項),市町村長は,評価基準によって,固定資産の価格を決定しなければならないと定めている(403条1項)。これは,全国一律の統一的な評価基準
による評価によって,各市町村全体の評価の均衡を図り,評価に関与する者の個人差に基づく評価の不均衡を解消するために,固定資産の価格は評価基準によって決定されることを要するものとする趣旨であると解され(上記最高裁判所平成15年6月26日第一小法廷判決参照),これを受けて全国一律に適用される評価基準が定められ,その後数次の改正が行われている。これらの地方税法の規定及びその趣旨等に鑑みれば,固定資産税の課税においてこのような全国一律の統一的な評価基準に従って公平な
評価を受ける利益は,適正な時価との多寡の問題とは別にそれ自体が地方税法上保護されるべきものということができる。したがって,土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格が評価基準によって決定される価格を上回る場合には,同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るか否かにかかわらず,その登録価格の決定は違法とな
るものというべきである。

そして,地方税法は固定資産税の課税標準に係る適正な時価を算定するための技術的かつ細目的な基準の定めを総務大臣の告示に係る評価基準に委任したものであること等からすると,評価対象の土地に適用される評価基準の定める評価方法が適正な時価を算定する方法として一般的な合理性
を有するものであり,かつ,当該土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格がその評価方法に従って決定された価格を上回るものでない場合には,その登録価格は,その評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情の存しない限り,同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るものではないと推認する
のが相当である(最高裁判所平成15年7月18日第二小法廷判決・裁判集民事210号283頁,同裁判所平成21年6月5日第二小法廷判決・裁判集民事231号57頁参照)。

以上に鑑みると,土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格の決定が違法となるのは,当該登録価格が,①当該土地に適用される評価基準の定める評価方法に従って決定される価格を上回るとき(上記イの場合)であるか,あるいは,②これを上回るものではないが,その評価方法が適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものではなく,又はその評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情が存する場合(上記ウの推認が及ばず,又はその推認が覆される場合)であって,同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適
正な時価を上回るとき(上記アの場合)であるということができる(上記最高裁判所平成25年7月12日第二小法廷判決参照)。

以上に述べたところは,本件における取扱要領のように,市町村長が評価基準によって固定資産の価格を決定する場合の要領等が定められている場合でも異なるところはない。したがって,当該要領等に違反して登録価
格が決定されたとしても,そのことのみによって直ちに当該登録価格の決定が違法となることはなく,その違反があることにより上記エの①又は②の場合に該当するといえるとき(例えば,当該要領等が評価基準を具体化する趣旨で定められたものであって,当該要領等に違反することをもって評価基準違反と同視することができるような場合)に限り,違法となるも
のと解される。
(2)

また,
以上の理は,
第二年度又は第三年度における評価替えを行うべき場


(地方税法349条2項ただし書又は3項ただし書の場合に該当する場合)の登録価格にも同様に妥当するということができる。
2
α町の土地に係る画地認定の適否(争点1及び争点2)について
(1)

画地認定についての判断枠組み
別紙関係法令等の定めのとおり,評価基準の定める市街地宅地評価法においては,路線価を基礎として,一画地の宅地ごとに画地計算法を適用して評点数を付設して算定するものとされているところ,評価基準別表
第3の2は,画地計算法を適用する前提となる画地の認定について,一画地は,原則として,土地課税台帳等に登録された1筆の宅地によるものとし,ただし,1筆の宅地又は隣接する2筆以上の宅地について,その形状,利用状況等からみて,
これを一体を成していると認められる部分に区分し,
又はこれらを合わせる必要がある場合においては,その一体を成している部分の宅地ごとに一画地とする旨規定している。
これは,市町村長において評価すべき固定資産が極めて多数に及び,その全てについて現実の利用状況に従った画地の認定をすることは事務的,技術的に困難であることから,土地の価格が1筆ごとに土地課税台帳に登録されることや同一所有者に属する筆の分合はその利用状況に関係なく所有者の自由意思でできること等に鑑み,原則として,土地課税台帳等に
登録された1筆の宅地をもって一画地とすることとするが,その形状や現実の利用状況等によっては,上記の一筆一画地の原則により画地認定し,画地計算法を適用したのでは,適正な時価,すなわち客観的な交換価値への接近方法として合理性を欠き,各筆の宅地の評価額に不均衡を招来する場合も考えられることから,このような場合にあっては,上記一筆一画地
の原則の例外として,その形状,利用状況等からみて,これを一体を成していると認められる部分をもって一画地とすることとしたものと解される。
以上のような評価基準の趣旨に照らすと,評価基準別表第3の2ただし書の一筆の宅地又は隣接する二筆以上の宅地について,その形状,利用状況等からみて,これを一体をなしていると認められる部分に区分し,又はこれらを合わせる必要がある場合に該当するのは,その形状,利用状況等に照らして,一筆一画地の原則を適用して画地計算法を適用したのでは,各筆の客観的な交換価値を合理的に算定することができず,その評価額に不均衡を生ずる場合をいうと解するのが相当である。そして,上記の
とおり,客観的な交換価値とは,正常な条件の下において成立する取引価格を意味することからすれば,上記のような場合に該当するか否かや,その場合の一画地の範囲については,1筆の宅地の一部又は隣接する2筆以上の宅地がその具体的な形状,利用状況等に照らして通常一体として取引対象とされるものかという観点から,社会通念に照らして判断すべきである。

取扱要領が第1編第7章第2節2(7)②において,画地認定について定め
るところも,以上と同様の趣旨であり,そこに示された例は,一筆一画地の原則によらずに画地認定をする場合の具体例を示したものにすぎないものと解される。したがって,画地認定に関し,評価基準に違反するかどうかと別に,独立して取扱要領に違反するかどうかが問題となることはないというべきであり,その旨をいう原告の主張は,それ自体として失当とい
うほかない。
(2)

認定事実
前記前提事実に加え,証拠(甲13,17~20,23,26,68,7
6,79,80,乙3,4,8,9,24,27,67~69,83)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる(時点を特記せずに認定している事実は,平成27年1月1日時点において認められ,その後も現在まで変化のない事実である。)。

本件通路の形状及び利用状況等
(ア)本件通路は幅約2mの通路であり,別紙本件通路概要図1のとおり,
平成27年1月1日及び平成28年1月1日の当時は本件通路①部分及び本件通路②部分から成っていたが,本件通路②部分については,後記ウのとおり,平成28年中にα町の市道の拡幅工事が行われ(同年9月6日供用開始),別紙本件通路概要図2のとおり,平成29年1月1日当時は,本件通路①部分のみが通路となっていた。
(イ)本件通路①部分はα町2土地の一部であり,その所有者は原告等であるのに対し,本件通路②部分はα町4土地の一部であり,平成27年1月1日当時の所有者は公社,同年9月30日以降の所有者は被告(高槻市)である。
(ウ)本件通路は,α町駐車場の敷地と併せてアスファルト舗装がされている(ただし,上記(ア)のとおり,本件通路②部分はα町の市道の拡幅工事によりα町の市道に含まれることとなった。)。

(エ)本件通路①部分の東側にはコンクリート製ブロック及び金網フェンスが設置されており,その東側には建物が建っている。本件通路①部分の西側には高さ20ないし30cmのコンクリート製ブロックが若干の間隔を空けて並べて設置されており,その西側(α町東側住宅の南側)に2台分の駐車スペースが設けられている。同スペースには,上記コン
クリート製ブロックとは別に,
タイヤ止めのブロックが設けられている。
(オ)本件通路②部分の東側及び西側には,平成27年1月1日当時は金網フェンスが設置されていたが,平成28年1月1日当時は鉄パイプ等によるバリケードが設置されていた。
(カ)α町東側住宅の敷地の出入口は本件通路以外になく,同住宅の住人は
専ら本件通路を利用して出入りをしている。
α町東側住宅の敷地と本件通路との間にはブロック塀及び門扉が設置されている。
(キ)α町駐車場に自動車を駐車する利用者の中には,本件通路を利用して出入りをする者もある。


α町駐車場出入口の形状及び利用状況等
(ア)α町駐車場出入口は,
いずれも,
α町駐車場とα町の市道とをつなぐ,
幅約5mの出入口であった。
(イ)α町駐車場出入口は,α町3土地又はα町4土地の各一部であり,平
成27年1月1日当時の所有者は公社,同年9月30日以降の所有者は被告(高槻市)であった。
(ウ)α町駐車場出入口は,α町駐車場の敷地と合わせてアスファルト舗装がされていたが,その後,平成28年中にα町の市道の拡幅工事が行われ(同年9月6日供用開始),同市道に含まれることとなった。
(エ)α町駐車場出入口の間には,α町6土地があり,平成27年1月1日当時はα町中央住宅が建っていたが,同住宅は同年中に取り壊され,同
土地は更地となった。平成28年1月1日当時,同土地の周囲は,鉄パイプ等によるバリケードで囲われていた。
なお,α町中央住宅の敷地のうちα町2土地に係る部分(T5部分)は,同住宅の取り壊し後,α町駐車場の一部として使用されるようになっている。

(オ)α町3土地及びα町4土地のα町駐車場入口以外の部分は,平成27年1月1日及び平成28年1月1日当時のいずれも,金網フェンスや鉄パイプ等によるバリケードで囲われたり,α町の市道の拡幅工事が行われたりしており,自動車や歩行者は進入できない状態であった。
(カ)平成27年1月1日及び平成28年1月1日当時,α町駐車場への自
動車の出入口はα町駐車場出入口しかなかったが,利用者(歩行者)は,これら出入口を利用するほか,本件通路を利用して出入りをする者もあった。

α町の市道の拡幅工事の経緯等
(ア)公社は,α町の市道の拡幅工事のため,平成25年2月に原告等からα町3土地及びα町4土地を取得した後,α町駐車場出入口以外の部分を,金網フェンスや鉄パイプ等によるバリケードで囲って管理していた(上記イ(エ)参照)。
なお,平成27年度において,上記各土地は,地方税法348条2項
2号の土地開発公社が直接その本来の事業の用に供する固定資産で政令で定めるものに該当するとして非課税とされた。(イ)被告は,平成27年4月28日,収用により原告等からα町6土地の所有権を取得し,さらに,同年9月30日,α町3土地及びα町4土地の所有権を公社から取得した。
(ウ)α町の市道(α町の土地の前面部分)の拡幅工事は,平成27年7月頃から平成28年6月頃の間に行われた。その間,工事施工のためにα
町駐車場出入口の一方が利用できなくなったことが複数回あったが,その期間はそれぞれ1日ないし3日間程度であり,出入口の双方を全く利用できない状態となったことはなかった。平成28年5月13日から27日までの間には,α町駐車場の敷地とα町の市道との段差を解消するための工事(すり付け舗装工事)が行われ,その間,同駐車場の一部に
自動車を駐車することができない状態となったが,その分の自動車(9台)は,道路予定地内の仮設駐車場に駐車することとされた。
(エ)上記工事の施工により,本件通路が通行できない状態になったことはなかった。
(オ)上記工事の終了後,平成28年9月6日から,α町3土地,α町4土
地及びα町6土地は,α町の市道の一部としてその供用が開始された。(3)

本件通路についての判断
本件通路については,その両側がコンクリート製ブロックや金網フェンスにより区分されていること,α町東側住宅の敷地の出入口は本件通路以
外になく,同住宅の住人は専ら本件通路を利用して出入りをしていることなど,上記認定のα町東側住宅の敷地及び本件通路の各形状及び利用状況等に照らせば,本件通路は,社会通念上,α町東側住宅の敷地と一体として利用されているとみるのが自然かつ合理的というべきである。
イ(ア)これに対し,原告は,α町東側住宅の敷地と本件通路との間には門扉
等が設置されているのに対し,本件通路①部分とα町駐車場との間には高さ約20cmのコンクリート製ブロックが設置されているにすぎないことや,平成16年当時,α町東側住宅の南側(α町4土地を含む。)に可動式の門扉で区切られた5台分の駐車スペースがあり,本件通路と一体として利用されていたこと(甲26参照),本件通路はα町東側住宅の住人だけでなく,α町駐車場の利用者も通行する通路であることなどを指摘して,本件通路が上記敷地と一体として利用されているとはいえず,本件通路①部分はα町駐車場の敷地と合わせて画地認定すべきである旨主張する。
しかしながら,一般に,住宅の敷地として一体として利用されている土地のうち道路に通ずるための通路部分と玄関先との間には門扉等が設
けられることも少なくないことからすれば,α町東側住宅の敷地と本件通路との間に門扉等が設置されていることをもって,上記アの評価を左右する事情ということはできない。
また,基準年度の土地に対して課する基準年度の固定資産税の課税標準は,当該土地の基準年度に係る賦課期日における価格によるものとさ
れている(地方税法349条1項)ことからすると,画地認定の判断も,原則として,上記賦課期日における事実関係に基づき行われるべきところ,平成27年1月1日当時には,上記住宅の南側にはα町2土地上に2台分の駐車スペースがあるにすぎず,原告が指摘する可動式の門扉も既に撤去され,上記2台分の駐車スペースは他の駐車場部分と一体とし
て利用されていたということができる。加えて,上記認定の本件通路①部分の西側に設置されたコンクリート製ブロックの設置状況や本件通路の利用状況等からすれば,少なくとも平成27年1月1日当時以後は,その設置の経緯や目的のいかんにかかわらず,同ブロックは,本件通路①部分とα町駐車場の敷地とを区分する役割を果たしているとみるのが
社会通念に照らして相当というべきであり,同ブロックの高さが20ないし30cmの高さにすぎず,容易にまたぐことができることを踏まえても,本件通路①部分とα町駐車場の敷地とが一体的に利用されているとみるのは困難である。
確かに,上記認定のとおり,α町駐車場の利用者の中に本件通路を利用して出入りをする者があることは認められるものの,α町駐車場の敷地の規模及び形状,個々の駐車スペースの配置状況,α町駐車場出入口の位置等に照らせば,本件通路を利用することがα町駐車場出入口を利用するよりも便利な場合というのは,α町東側住宅の南側に設けられている2台分の駐車スペースの利用者が東方向に出入りをするときくらいであると考えられ,同駐車場に出入りをするために,あえてα町駐車場
出入口を利用せずに本件通路を利用する者がそれほど多いとは考え難い。そして,少なくとも自動車の出入りは,α町駐車場出入口によるほかない。他方で,上記認定のとおり,α町東側住宅の敷地の出入口は本件通路以外になく,同住宅の住人は専ら本件通路を利用して出入りをしていることなどに照らせば,本件通路を主に利用しているのは同住宅の
住人であるということができるのであり,α町駐車場の利用者の中に本件通路を利用して出入りをする者があるからといって,上記アの評価が左右されることはないというべきである。
以上によれば,原告の上記主張は,採用することができない。
(イ)原告は,本件通路①部分はα町駐車場の敷地と合わせてEに賃貸さ
れ,同社が管理・利用していること,α町東側住宅の住人は和解に基づいて本件通路①部分の通行を認められているにすぎないことなどを指摘して,本件通路が上記敷地と一体として利用されているとはいえない旨主張する。
しかしながら,上記(1)で説示したとおり,評価基準は,土地の形状や
現実の利用状況等に照らして画地認定をすることとしているのであり,また,α町東側住宅の住人による通路としての利用が違法なものであるということもできないことからすれば,原告の主張する土地の利用に関する法律関係によって上記判断が左右されることはないというべきである。
したがって,原告の上記主張は,採用することができない。
ウ(ア)原告は,α町4土地が地方税法348条2項2号に該当するとして非課税とされていることを根拠に,
同土地の一部である本件通路②部分は,
公社が直接その本来の事業の用に供する固定資産であって,α町東側住宅の住人が私的に利用するものではない旨主張するが,公社がその事業の用に供することと私人が通路等として利用することは必ずしも両立し
ないものではないから,同土地が地方税法348条2項2号に該当するとして非課税とされているからといって,α町東側住宅の住人が本件通路②部分をα町東側住宅の敷地と一体として利用していないということにはならない。そして,同住宅の住人が本件通路を主に利用しているといえることは,既に認定・説示したとおりであるところ,上記認定事実
によれば,α町の市道の拡幅工事によっても,本件通路の利用にはほとんど影響がなかったといえるから,原告の上記主張は,採用することができない。
(イ)また,原告は,地方税法349条の適用がない非課税地を含めた画地認定をすることはできない旨主張する。
しかしながら,
上記(1)のとおり,

固定資産(土地)の評価における適正な時価とは,正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格,
すなわち,
客観的な交換価値をいうところ,
固定資産税の非課税の範囲を定めた地方税法348条は,固定資産の所有者の属性(同条1項)若しくは固定資産それ自体の性質又は用途(同条2項各号)を根拠として非課税とするものであるから,ある土地が課
税地であるか非課税地であるかは,当該土地の客観的な交換価値に当然に影響を与えるものではないと考えられる。そうすると,評価基準の定める画地計算法の適用に当たり,非課税地を含めた画地認定をすることができないというべき合理的な根拠は見いだし難いといわざるを得ない。したがって,上記(1)で説示したとおり,一筆一画地の原則によらずに画地認定をする場合には,土地の形状,利用状況等からみて,一体を成していると認められる部分をもって一画地と認定するのが合理的であり,このことは,当該部分に非課税地を含む場合も異ならないというべきである。
以上によれば,原告の上記主張は,採用することができない。
(ウ)さらに,原告は,工事用地については,計画に基づく将来的な敷地の
利用状況等を前提に画地認定をすべきである旨主張する。
しかしながら,
上記イ(ア)で説示したとおり,画地認定の判断は,原則として,上記賦課期日における事実関係に基づき行われるべきであることからすると,工事用地であるからといって,一般的に,計画に基づく将来的な敷地の利用状況等を前提とすべきということはできない。

そして,上記認定事実によれば,α町の市道の拡幅工事は,基準年度に係る賦課期日である平成27年1月1日時点ではいまだ着工されておらず,同年7月頃から平成28年6月頃までの間に施工されたというのであるから,上記賦課期日時点で上記工事が予定されていたことのみをもって,同工事完了後に道路として利用されることを前提として画地認
定すべき根拠とすることはできない。また,平成28年1月1日時点では,上記工事が施工されていたものの,上記のとおり,同工事によっても本件通路の利用にはほとんど影響がなく,同日時点においても,α町東側住宅の住人が本件通路を主に利用していたといえること,本件通路②部分が現に道路(市道)として利用されるようになったのは上記日か
ら8か月以上が経過した後であって,近い将来に利用状況が変化することが見込まれていたとまではいい難いことからすると,上記工事が施工されていたからといって,平成27年1月1日時点から利用状況等に変化があったということはできない。
したがって,原告の上記主張は,採用することができない。

原告は,本件通路②部分は平成27年1月1日当時は公社の,平成28年1月1日当時は被告の所有であったところ,α町東側住宅の敷地と所有者が異なるにもかかわらず,これらを一体として取引の対象とするのが社会通念に照らして合理的であるとは認められないとして,本件通路②部分を上記敷地と合わせて一画地とすることはできない旨主張するところ,確かに,
上記(1)のとおり,
一筆一画地の原則によらずに画地認定をする場合

には,土地の具体的な形状,利用状況等に照らして通常一体として取引対象とされるものかという観点から,
社会通念に照らして判断すべきであり,
各土地の所有者が異なる場合には,法的には,当該当事者ごとに当該各土地を処分することができるから,所有者の同異も,上記判断に当たって考慮すべき要素の一つであるということはできる。

しかしながら,上記認定事実によれば,本件通路以外にα町東側住宅の敷地の出入口はないというのであり,その他,上記認定のα町の土地の形状や利用状況等に照らしても,α町の市道への出入口が確保されない状態のままα町東側住宅の敷地のみが独立して取引の対象とされるとは通常考え難い。すなわち,平成27年1月1日時点及び平成28年1月1日時
点において,α町東側住宅の敷地が取引の対象となった場合には,その後も,α町東側住宅の敷地と本件通路(本件通路②部分を含む。)とは一体として利用されることとなるものと考えられるのであって,取引の前後で,既に認定・説示したところの形状や利用状況等に変化が生じるとは考え難い。

また,本件のように,都市計画道路の整備のために市町村等が私有地を収用ないし買収する場合,その所有権取得の時期は,当該事業に係る手続の進捗や買収に係る交渉状況等のいかんによって左右されるものと考えられる。したがって,場合によっては,具体的な工事開始の相当前から,従前一体として利用されていた土地の一部を分筆して,市町村等が所有権を取得しつつ,土地の利用状況は従前から何らの変化もないということもあり得る(本件通路②部分及びα町駐車場出入口はこのような場合に該当する。)ところ,そのような場合に,収用ないし買収が完了しているかどうかによって,土地の客観的交換価値が異なるとは考え難い。また,そのような事情の違いのみによって画地認定を変えるとすると,周辺の土地との間の均衡を欠く結果となりかねない(本件においても,平成27年1月
1日の時点において,本件通路②部分がα町東側住宅の敷地と一体として利用されていたことは既に認定・説示したとおりであるところ,そのこと自体は,T6部分がα町中央住宅の敷地としてT5部分と一体的に利用されていたことと何ら異なるところはなく,また,T6部分も本件通路②部分も,都市計画道路の予定地であるということに変わりはない。それにも
かかわらず,本件通路②部分は平成27年1月1日時点で既に公社が所有していたのに対し,T6分はなお原告等が所有していたという違いがあることのみを根拠に,本件通路部分はα町東側住宅の敷地と合わせて一画地とすべきではないが,T6部分はT5部分と合わせて一画地とすべきであるというのは,いかにも両者の間の均衡を欠く結果となるものといわざる
を得ない。)。
以上に述べたところからすれば,平成27年1月1日及び平成28年1月1日時点において,本件通路②部分とα町東側住宅の敷地とで所有者が異なり,同敷地と本件通路②部分とが合わせて取引の対象となることが現実には考え難いからといって,そのことのみによって,本件通路②部分と
上記敷地とを合わせて画地認定することが妨げられることはないというべきである。したがって,原告の上記主張は,採用することができない。オ
以上のとおり,α町東側住宅の敷地及び本件通路の各形状及び利用状況等を総合すると,これらの土地は,社会通念に照らして通常一体のものとして取引の対象となるとみることが適切であり,本件通路とα町東側住宅の敷地とを合わせて一画地とするのが,客観的な交換価値への接近方法として合理的であるということができる。

(4)

α町駐車場出入口についての判断
α町駐車場出入口については,それぞれ,α町3土地又はα町4土地のその余の部分と金網フェンスや鉄パイプ等によるバリケードで区分されていたこと,上記その余の部分は自動車や歩行者が進入できない状態になっ
ていたこと,α町駐車場出入口の間のα町6土地は,平成27年1月1日当時はα町中央住宅の敷地として利用され,平成28年1月1日当時は更地とされて鉄パイプ等によるバリケードで囲われていたこと,α町駐車場の自動車の出入口はα町駐車場出入口しかなかったこと,α町駐車場出入口はα町駐車場の敷地と併せてアスファルト舗装がされていたことなど,
上記認定のα町駐車場の敷地及びα町駐車場出入口の各形状及び利用状況等に照らせば,同駐車場出入口は,社会通念上,同駐車場の敷地と一体として利用されていたとみるのが自然かつ合理的というべきである。イ(ア)これに対し,原告は,α町駐車場出入口の利用については,α町の市道の拡幅工事により支障があったのであり,α町駐車場出入口をα町駐
車場の敷地として一体的に利用されていたとはいえない旨主張する。しかしながら,上記認定事実によれば,α町の市道の拡幅工事は,基準年度に係る賦課期日である平成27年1月1日時点ではいまだ着工されていなかったのであるから,上記日の時点で,上記工事による支障がなかったことは明らかである。また,平成28年1月1日時点について
みても,上記認定事実によれば,拡幅工事の期間(平成27年7月頃から平成28年6月頃まで)において,工事施工のためにα町駐車場出入口の一方が利用できなくなったことが複数回あったが,その期間はそれぞれ1日ないし3日間程度であり,出入口の双方を全く利用できない状態となったことはないというのであり,また,平成28年1月1日以後の事情であるが,約2週間に渡りα町駐車場の一部に自動車を駐車することができない状態となったものの,その分の自動車は,道路予定地内
の仮設駐車場に駐車することとされたというのである。そうすると,上記拡幅工事の施工によりα町駐車場の利用に一定の制約が加えられたことは否定できないが,それは,α町駐車場出入口のみに係る制約ではなく,また,その程度も必ずしも著しいものとはいい難い。そして,上記認定事実によれば,上記工事期間中も,α町駐車場出入口は,同駐車場
に駐車される自動車及びその利用者の出入口として利用されていたのであるから,上記拡幅工事によりα町駐車場の利用に一定の制約があったからといって,α町駐車場出入口が同駐車場の敷地と一体として利用されていたという評価を妨げる事情にはならないというべきである。したがって,原告の上記主張は,採用することができない。

(イ)その他,原告は,α町駐車場出入口についても,本件通路②部分についての主張
(上記(3)ウ(ア)から(ウ)まで及び同エの主張)
と同様の主張を
するが,
本件通路②部分について説示したところに加え,
上記(ア)で認定
・説示したところに照らせば,上記同様に,これを採用することはできない。


以上のとおり,α町駐車場の敷地及びα町駐車場出入口の各形状及び利用状況等を総合すると,これらの土地は,社会通念に照らして通常一体のものとして取引の対象となるとみることが適切であり,α町駐車場出入口とα町駐車場の敷地とを合わせて一画地とするのが,客観的な交換価値への接近方法として合理的であるということができる。

(5)

小括
したがって,高槻市長のしたα町の土地に係る画地認定は合理的であり,評価基準違反の違法はないというべきである。
3
争点3(T1部分及びT2部分の地積認定の適否)について
(1)

本件システムにより算出された地積の精度について

ア(ア)

証拠(甲31,44,乙12,20,23,44,45,53)及び
弁論の全趣旨によれば,
本件システムは,
地理情報の管理や分合筆異動,
画地計算等の評価を支援するための電算システムであり,航空写真や地番参考図,家屋図,路線価図といった様々な地理空間情報を重ね合わせて表示することができ,面積を測るべき土地の範囲の外周にマウスのポインタを合わせて順次クリックしながら多角形を作図すると,電算処理により,その多角形の面積を算出することができる機能を備えていること,本件システムに登録されている航空写真については測量法に規定する基準に適合していることを国土地理院が承認しており,また,航空写真に重ね合わせる地番参考図は法務局が所管する分筆や地積更正等の図
面及び公図並びに現況等を基に作成されていること,本件システムに地積測量図等によって判明している座標を入力することもでき,これを入力すると当該地点を示す印が表示され,これらの点を上記のとおりマウスを使って順につなぐことで,測量図と同等の精度をもって地積を算出することができることが認められる。

そうすると,本件システムは画面上で形成・表示した多角形の面積を電算処理により正確に算出することができるものの,この方法により特定の範囲の土地の現況の地積を正確に算出するためには,多角形の頂点を正確に特定する必要があり,地積測量図等による座標が判明していない頂点については,人の視覚により航空写真上で実際の境界上の頂点を
特定することとならざるを得ないほか,マウスを使って手作業で頂点にポインタを合わせる際にも一定のずれが生じることもあり得るから,作業の正確性には一定の限界があることは否定することができない。もっとも,本件システムを利用する際の上記のような作業内容からすれば,実際の境界線と画面上の外周との間に乖離が生じる可能性や乖離の程度は,通常は一定の範囲にとどまるものと考えられることからすれば,上記のような限界があるからといって,本件システムにより算出された現
況の地積が,一般的に,必要な精度を欠き,信用することができないとはいえない。
(イ)ところで,評価基準は,現況の地積を用いて土地の評価額を求めることを予定している(評価基準第1章第1節二1及び2の場合のほか,本件のように,一筆一画地の原則によらずに1筆の宅地を区分して画地認
定する場合も,計算上,現況の地積を用いざるを得ない。)ところ,現地測量を行うについては,当該土地の形状や利用状況,隣地との境界画定の有無等により事務的,技術的に困難を伴うことが当然に想定されることからすると,評価基準が,現況の地積を用いるべき場合には常に現地測量による実測地積を用いることまでを求める趣旨とは解されず,社
会通念に照らして合理的と認められる他の方法により算出された現況の地積を用いることも許容する趣旨と解するのが相当である。
(ウ)以上に述べたところからすれば,本件システムにより算出された地積について,一般的に,固定資産評価に用いることが許容されないということはなく,上記のような現況との乖離の有無及び程度を個別に検証し
た上で,固定資産評価に用いることができるだけの正確性ないし合理性を有するかどうかを判断するのが相当である。

以上に対し,原告は,平成26年度の当初の固定資産評価において,α町東側住宅の敷地の地積として,本件システムにより算出された230.
21㎡を用いているところ,これは実測図による地積と大きく乖離しているとして,本件システムにより算出された地積は一般的に採用することができない旨主張する。確かに,T1部分(α町1土地のうちα町東側住宅の敷地部分)の実測図(乙16,17)による地積は246.88㎡であると認められるから,上記の地積の算出過程には一定の誤りが生じていたものといわざるを得ない。しかしながら,本件全証拠によっても,上記のような乖離が本件システムを利用することの構造的原因によって生じたものであるか否かは明らかでないし,また,このような一つの例があるからといって,直ちに本件システムにより算出された地積が一般的に採用することができないとまではいえない。
また,原告は,上記固定資産評価の過程において,α町東側住宅の敷地
の一部がα町2土地に含まれることを判別できていなかったことを指摘し,本件システムの精度が低い旨主張する。しかしながら,原告が主張するのは,被告の職員がα町東側住宅の敷地の一部がα町2土地に含まれることを認識せずに本件システムを利用したことをいうにすぎない。そして,被告の主張によれば,その原因は,α町1土地とα町2土地との境界
付近の利用状況の確認が不十分であったことによるというのであるから,原告が主張するような事情があるからといって,一般的に,本件システムの精度が低いということはできない。
さらに,原告は,本件システムには,職員が固定資産評価の際に実際に特定した測点の座標値を後に検証することができない点に不備がある旨
主張するが,
本件システムにおいて一度行った作業を,
システムによって,
電磁的にそのまま再現することができないとしても,航空写真等の資料が保存されていれば改めて本件システムによって地積を算出すること等によって,
その正確性を検証することは可能であるから,
上記事情をもって,
本件システムに不備があるということはできない。

したがって,原告の上記各主張は,いずれも採用することができない。なお,原告は,地方税法408条は固定資産の評価に当たっては年1回の実地調査を行わなければならない旨を定めているにもかかわらず,高槻市長は,実地調査を行うことなく本件システムを用いて地積を認定しており,違法である旨主張する。しかしながら,同条に基づく実地調査は適正な評価を確保するための一つの方途として規定されているものにすぎず,実地調査に基づかない評価であるからといって,そのことのみによってそ
の評価が適正であるか否かが左右されることはないというべきである。したがって,原告の上記主張は,それ自体として失当というべきである。(2)

T1部分及びT2部分の地積について
証拠(乙3,4,8,9,12~15,53)及び弁論の全趣旨によれば,本件システムにより算出されたα町1土地の現況の地積は約612㎡であること,
同土地の東側境界
(別紙土地概要図1-1における(a)-(f)の
境界),南側境界(同(e)-(f)の境界)及び西南側の境界(同(d)-(e)の境界)については,隣地との境界が確定していることから,本件システムを利用した上記算出過程においては,上記境界確定の際に作成された現地再
現性のある測量図(地積測量図及び境界確定図)により座標が判明している六つの頂点が採用されたこと,他方,その余の北東側境界(同(a)-(b)の境界),西北側の境界(同(b)-(c)の境界)及び北西側の境界(同(c)-(d)の境界)上の頂点については,航空写真上で特定されたこと,隣地との間で確定していない上記各境界も,現況としてはブロック塀で区切られてお
り利用上の境界は明確であること(なお,本件全証拠によっても,隣地所有者との間で境界に関する具体的な紛争が生じていることはうかがわれない。),いずれの境界も,1本の直線か,いくつかの直線が組み合わさったものであって,境界が入り組むなど複雑な形状ではないことが認められるところ,本件システムの表示と航空写真とを比較して見ても,画面上表
示された多角形と航空写真上でα町1土地の範囲と認められる土地の範囲との間に目立った乖離があるとはうかがわれず,原告も具体的に乖離があることを主張していない。以上のような事情を総合すれば,本件システムにより算出された約612㎡という数値は,α町1土地の現況の地積として合理的なものであると認められる(特に,本件では,後記イのとおり,現況の地積を計算上用いるのみであり,土地全体の地積については現況の地積を下回る登記地積によるのであるから,仮に612㎡という数値と現
況の地積との間に一定の乖離があったとしても,結果として,評価額が時価を上回ることは考え難いということができ,この点からしても,上記612㎡を採用することは,何ら不合理ではないということができる。)。イ
以上のとおり,
本件システムにより算出された約612㎡という数値は,
α町1土地の現況の地積として合理的なものであると認められる。この地積は,登記地積(519㎡)よりも大きいものの,登記地積によることが著しく不適当であるとまでは認められないから,同土地の評価額を求めるに当たっては,同土地の登記地積(519㎡)を用いるべきであり(評価基準第1章第1節二),このことについては,当事者間にも争いがない。
そして,争点1及び争点2で説示した画地認定によれば,α町1土地はT1部分とT2部分とに分けるべきこととなるところ,このような場合には,各部分ごとの登記地積がないから,各部分の現況の地積の比により,登記地積をあん分するのが最も合理的であるということができる。そうすると,別紙登録価格の算定根拠第1の1(2)イ及びウのとおり,T1部
分の地積を209㎡,T2部分の地積を310㎡として評価額を算定するのが合理的である。
これに対し,原告は,T1部分については,現地測量に基づく実測地積である246.88㎡によるべきであり,T2部分については,α町1土地の登記地積である519㎡から上記246.88㎡を控除した272.
12㎡とすべきである旨主張する。しかしながら,証拠(乙11,50)及び弁論の全趣旨によれば,そもそも,α町1土地は,大正12年にα町〇丁目〇番の土地をα町1土地及びα町2土地に分筆されたことにより生じたものであるところ,その際に,α町2土地については測量がされたものの,α町1土地の登記地積は,残地として分筆前の登記地積からα町2土地の登記地積を減じたものとされたにすぎない。農地であったα町〇目〇番の土地につき分筆前の登記地積がいわゆる縄伸び等で不正確であ
った可能性は高いから,α町1土地の登記地積である519㎡も正確な数値とはいえない可能性が高い。これに対し,上記のとおり,本件システムにより算出された約612㎡という数値は,その算出過程からしてα町1土地の現況の地積として合理的なものであるから,α町1土地の登記地積が現況地積を相当程度下回っていることが明らかであるのに,T1部分に
ついては実測地積を採用し,T2部分については土地全体の登記地積から上記部分の実測地積を控除した地積とするとすれば,T2部分の地積が現況の地積に比べて著しく下回ることとなり,そもそもα町1土地について登記地積を用いることと整合性を欠くものといわざるを得ない。したがって,原告の上記主張は,採用することができない。


以上のとおり,T1部分の地積を209㎡,T2部分の地積を310㎡として評価額を算定するのが合理的である。

(3)

小括
したがって,高槻市長のしたT1部分及びT2部分の地積認定は合理的で
あり,評価基準違反等の違法はないというべきである。

4
争点4(α町東側住宅画地及びα町駐車場画地に係る奥行価格補正割合法及び不整形地,無道路地,間口が狭小な宅地等評点算出法の適否)について(1)

証拠(乙29~31,33~35,59~64,74,75,77)及び
弁論の全趣旨によれば,別紙登録価格の算定根拠第1の1(3)イ及びウ,同第2の1(3)イ及びウ並びに同第3の1(3)イ及びウに各記載の,前提となる事実の認定(奥行距離の測定等)やその評価基準への当てはめに特段の誤認・過誤があるとは認められない。
(2)

これに対し,
原告は,
本件システムには近似整形地や想定整形地を表示す

る機能や正面路線から垂直な直線を引く機能がない旨主張するが,被告は,少なくとも前者については,システム上に表示することができる旨主張しており,これが虚偽の主張であるとは考え難い。この点を措くとしても,上記
(1)で摘示した被告提出の各証拠によれば,
上記算出過程においては,
適切に
蔭地割合や奥行距離が計測されているものと認められるのであって,仮に本件システムに上記各機能が備わっていなかったとしても,そのことのみによって,上記算出過程に誤認ないし過誤があるということはできない。また,原告は,本件システムの航空写真は,地積測量図や官民有地確定図
よりも精度が劣っている旨主張するが,このような事情のみによって,本件システム上で奥行距離等を測定することが不合理であるということはできない。そして,本件において,α町2土地については現地再現性のある地積測量図(甲42,乙14)があるものの,α町1土地については現地再現性のある測量図はなく,また,官民有地確定図(甲21・乙41)は飽くまで官
有地と民有地の境界を示したもので,他の情報の正確性が担保されたものとはいえず,現に,α町2土地についての地積測量図(甲42,乙14)と誤差が生じているというのであるから,これらの図面を用いて奥行距離の計測等をするよりも,本件システムの航空写真を用いて奥行距離等を計測する方が合理的であるとする被告の主張には相当の理由がある。

したがって,原告の上記各主張は,いずれも採用することができない。(3)

以上によれば,
α町東側住宅画地及びα町駐車場画地について,
高槻市長

がした,奥行価格補正割合法及び不整形地,無道路地,間口が狭小な宅地等評点算出法の適用に,評価基準違反等の違法はないというべきである。5
争点5(平成29年度に評価替えを行うことの適否)について
(1)ア

争点1及び争点2で認定・説示したところによれば,
α町3土地及びα
町4土地は,平成28年1月1日の時点では,その一部(本件通路②部分及びα町駐車場出入口)がα町東側住宅画地又はα町駐車場画地の一部として利用されていたところ,同年中にα町の市道の拡幅工事が行われ,同年9月6日から同市道の一部としてその供用が開始され,α町駐車場出入口及び本件通路②部分は,その利用状況等から,上記各画地に含まれない
こととなったものである。このような上記各画地の現況及び利用目的等からすれば,α町3土地及びα町4土地の地目は,平成28年1月1日には宅地であったものが,平成29年1月1日の時点では公衆用道路に変換していたものと認められる。そして,上記のとおり,画地認定の変更に伴い,画地の形状が従前から大きく異なることとなり,その結果,α町駐車場画
地及びα町東側住宅画地の評価額がいずれも相応に増加していることも踏まえると,上記各画地については,地方税法349条3項ただし書の第三年度の固定資産税の賦課期日において地目の変換その他これに類する特別の事情があるため,基準年度の固定資産税の課税標準の基礎となった価格によることが不適当であると市長村長が認める場合に該当する事情が
あるというべきである。
なお,上記画地認定から離れて,本件各土地1-2だけをみれば,平成28年1月1日時点の状況と平成29年1月1日時点の状況に変化はないということができるが,評価基準において,画地計算法は一画地の宅地ごとに適用することとされている以上,当該画地の現況及び利用状況等に
変化が生じた場合には,その一部について変化がないとしても,評価替えをすべき上記の場合に該当し得るものと解するのが相当である。
したがって,高槻市長が,本件各土地1-2について,平成29年度に評価替えをしたことは,地方税法349条3項に適合するものであり,適法というべきである。


これに対し,原告は,昭和34年7月23日自丁固第55号固定資産税務管理官回答にいう単なる分筆の場合に該当する旨主張するが,上記アで認定したとおり,平成28年1月1日から平成29年1月1日までの間に,上記各画地の現況等が変化していることは明らかであって,それにもかかわらず,単なる分筆の場合に当たるなどということはできない。したがって,原告の上記主張は採用することができない。

(2)ア

そうすると,
本件各土地1-2については,
平成29年度におけるα町

東側住宅画地及びα町駐車場画地につき,画地計算法を適用して,当該土地に類似する土地の基準年度の価格に比準する価格を算出することとなるところ,別紙登録価格の算定根拠第3の1記載の算出過程に,特段の誤認・過誤があるとは認められない。


これに対し,原告は,平成29年度の登録価格は,当該土地に類似する土地としてα町の土地そのものを選定して,その基準年度の価格により算定すべきであるから,基準年度である平成27年度の評価額を地積に応じてあん分すべきであり,評価単価は据え置くべきであるなどと主張する。しかしながら,上記のとおり,α町東側住宅画地及びα町駐車場画地
の形状は,平成27年1月1日時点と平成29年1月1日時点とで相当に異なるのであるから,同日の現況における上記各画地が仮に平成27年1月1日に所在したものとした場合におけるその比準価格の単価と,上記各画地の平成27年度の登録価格の単価とが同一であるなどとは到底考えられないから,原告の上記主張が結論として合理性を欠くことは明らかであ
る。そもそも,原告の主張によるとしても,当該土地に類似する土地としてα町の土地そのものを選定するからといって,なぜ基準年度である平成27年度の評価額を地積に応じてあん分すべきこととなるのかについて理論的な根拠が明らかでないといわざるを得ない。したがって,原告の上記主張は,採用することができない。

6
争点6(A1部分を一画地,A2部分及びA3部分を一画地とすることの適否)について
(1)

認定事実
前記前提事実に加え,証拠(甲61,乙5~7,10,25,26,72,
73,79)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる(いずれも,平成27年1月1日において認められ,その後も現在まで変化のない事実である。)。

β町の土地は,いずれも原告等が所有する土地である。


β町の土地の位置関係等は,概ね,別紙土地概要図2のとおりであり,A1部分上にβ町住宅があり,A2部分とA3部分は,ほぼ全面にアスファルトが敷かれ,駐車場(β町駐車場)として利用されている。


A1部分とA2部分との間には,コンクリート製ブロック及び金網フェンスが設置されており,直接行き来することはできない。


A2部分とA3部分との間(β町1土地とβ町2土地との筆界)には,両者を区分するためのブロック等は設置されておらず,筆界にかかわらず駐車スペースが設けられている。また,駐車スペースには,β町駐車場全
体として続きの駐車番号が付されている(全部で約30台分)。

β町駐車場は東側及び南側で市道に接している。
同駐車場のうちA2部分の南西角にある2台分の駐車スペースは,他の部分と金網フェンスで区切られており,南側市道から出入するようになっ
ている。ただし,金網フェンスには一定幅の隙間があり,歩行者は他の部分と行き来することができる。
その他の駐車スペースについては,東側市道から出入りをするようになっており,南側市道との間にはコンクリート製ブロック及び金網フェンスが設置されており,同市道から出入りをすることはできない。そして,東
側市道への出入口付近に設置された金網フェンスには「Fす。」などと記載された看板が設置されている。月極駐車場で

(2)

β町の土地についての判断
A1部分とA2部分とがコンクリート製ブロック等で区分されており,両者の間を直接行き来することはできないこと,A1部分は住宅の敷地として利用されているのに対し,A2部分とA3部分とは全体として約30
台分の月極駐車場として利用されていることなど,上記認定のβ町の土地の形状及び利用状況等に照らせば,A1部分とA2部分とは異なる用途に用いられているのに対し,A2部分とA3部分とは駐車場として一体的に利用されているということができる。そうすると,β町1土地及びβ町2土地については,一筆一画地の原則を適用して画地計算法を適用したので
は,各筆の客観的な交換価値を合理的に算定することができず,その評価額に不均衡を生ずるものというべきであり,A1部分はそれのみで,A2部分及びA3部分はそれらを併せた土地として,それぞれ,社会通念に照らして通常一体のものとして取引の対象となるとみるのが適切である。したがって,
A1部分を一画地,
A2部分及びA3部分を一画地とするのが,

客観的な交換価値への接近方法として合理的であるということができる。イ(ア)以上に対し,原告は,A1部分を一画地としたのでは,いたずらに画地を細分化することになる旨主張するが,A1部分は57.85㎡と相応の地積を有していることなどからすれば,A1部分が取引の対象となる土地として特別に僅少であるなどということはなく,これを一画地と
したからといって,いたずらに画地を細分化することになるなどということはできない。したがって,原告の上記主張は,採用することができない。
(イ)また,原告は,β町2土地は東側市道よりも南側市道に面している部分が多いにもかかわらず,上記画地認定の結果,同土地の評価単価が南
側市道の路線価よりも15%も高くなっており,客観的な交換価値への接近方法として不合理である旨主張する。しかしながら,この主張は,β町2土地(A3部分)を一画地とした場合の接道条件を前提として想定される評価額が,A2部分とA3部分とを合わせて画地認定した場合の評価額よりも低くなることをいうにすぎない。
そして,
上記2(1)で説
示した画地認定の判断枠組みの下において,A2部分及びA3部分を併せた土地を一画地とするのが相当であることは,上記アで認定・説示し
たとおりであるから,
原告の上記主張は,
その前提を誤るものであって,
採用することができない。
(ウ)さらに,原告は,平成26年度までは,一筆一画地とされていたところ,β町の土地の利用状況は,平成26年度と平成27年度とで変化はないとして,平成27年度も一筆一画地とすべき旨主張する。しかしな
がら,平成27年1月1日時点におけるβ町の土地の形状及び利用状況等に照らし,A1部分を一画地,A2部分及びA3部分を一画地とするのが相当であることは,上記アで認定・説示したとおりであって,過去に,それとは異なる画地認定がされていたからといって,直ちに上記画地認定が不合理であるということにはならない。したがって,原告の上
記主張は,採用することができない。
(エ)また,原告は,A2部分の南西の2台分の駐車スペースからは南側市道を通ってしか進入することができないとして,上記画地認定が不合理である旨主張する。しかしながら,上記認定のA2部分及びA3部分の形状及び利用状況等に照らせば,上記2台分の駐車スペースも含めて,
一体として駐車場として利用されているとみるのが相当であって,そのうち2台分が区切られているからといって,その部分のみが社会通念に照らして通常一体のものとして取引の対象となるとは考え難い。したがって,原告の上記主張は,採用することができない。

以上のとおり,A1部分を一画地,A2部分及びA3部分を一画地とするのが合理的であるということができ,高槻市長がした画地認定に,評価基準違反等の違法はないというべきである。
7
争点7(本件各土地2の地積認定の適否)について
(1)

争点3で説示したとおり,本件システムにより算出された地積について
は,一般的に固定資産評価に用いることが許容されないということはなく,現況との乖離の有無及び程度を個別に検証した上で,当該地積を用いることができるかどうかを判断するのが相当である。
(2)ア

証拠(甲4,5,14,31,乙20~23)及び弁論の全趣旨によれ
ば,β町1土地の登記地積は657.85㎡であり,β町2土地の登記地積は204.33㎡であるから,β町の土地全体の登記地積は862.18㎡であること,これに対し,本件システムにより算出されたβ町の土地
の現況の地積は861.93㎡であること,同土地の実測地積を示す図面として,道路明示指令図及び昭和49年作成の官民有地確定図があるところ,その地積は,前者においては854.81㎡とされ,後者においては864.67㎡とされていること,本件システムにより算出されたA1部分の現況の地積は57.85㎡であることが認められる。

以上のとおりβ町の土地の登記地積及び各現況の地積の相互の差はいずれも僅少であること,本件システムの表示と航空写真とを比較して見ても,画面上表示された多角形と航空写真上でβ町の土地ないしA1部分の範囲と認められる土地の範囲との間に乖離があるとはうかがわれないこと,A1部分が整形地であって特に複雑な形状をしているものでもなく,
隣地との利用上の境界も明確であることなどからすると,本件システムにより算出された57.85㎡という数値は,A1部分の現況の地積として合理的なものであると認められる。

そして,β町の土地の登記地積及び各現況の地積の相互の差がいずれも僅少であることなどからすると,β町の土地の評価額を求めるに当たっては,同土地の登記地積を用いるべきであり,このことについては,当事者間にも争いがない。
争点6で説示した画地認定によれば,β町1土地はA1部分とA2部分とに分けるべきこととなるところ,このような場合には,既にα町の土地について説示したところと同様に,各部分の現況の地積の比により登記地積をあん分するのが最も合理的であるということができるが,β町の土地
については,登記地積と本件システムにより算出された現況の土地の地積の誤差が0.25㎡と極めて小さいことからすると,A1部分の地積については,本件システムにより算出された現況の地積である57.85㎡とし,A2部分の地積をβ町1土地の登記地積である657.85㎡から上記57.85㎡を控除した600㎡とし,A3部分についてはβ町2土地
の登記地積である204.33㎡として評価額を算定するのが合理的である。

以上に対し,原告は,本件システムによる算出結果は,β町の土地と隣接する市道との境界が確定しているにもかかわらず,これが確定していないことを前提としている点で,前提に誤りがある旨主張する。しかしなが
ら,既に認定・説示したとおり,本件システムの表示と航空写真とを比較して見ても,画面上表示された多角形とA1部分の範囲と認められる土地の範囲との間に乖離があるとはうかがわれないことなどに照らせば,本件システムにより算出された57.85㎡という数値はA1部分の現況の地積として合理的なものと認められるから,原告の上記主張は採用すること
ができない。
(3)

以上によれば,高槻市長のした本件各土地2の地積認定は合理的であり,
評価基準違反等の違法はないというべきである。
8
争点8(β町駐車場画地に係る二方路線影響加算法の適否)について(1)

前記前提事実のとおり,β町駐車場画地の形状等は別紙土地概要図2の
とおりであり,東側及び南側で市道に接しているから,同画地は,評価基準別表第3の5の二方路線地に該当し,二方路線影響加算法が適用される。評価基準は,
二方路線地に二方路線影響加算法を適用する場合においては,
路線価の高い方の路線を正面路線とし,路線価の低い方の路線を裏路線とするものとしているところ,別紙登録価格の算定根拠のとおり,上記画地が接する東側市道の路線価は12万1000点であり,南側市道の路線価は9万5300点であるというのであるから,東側市道が正面路線であり,南側市道が裏路線であるということとなる。
(2)

これに対し,原告は,β町駐車場画地については,上記(1)のように,評
価基準が定めるとおりに二方路線影響加算法を適用するのは適当ではなく,間口距離に応じて東側市道を正面路線とする部分と南側市道を正面路線とする部分とに区分すべき旨主張する。
評価基準が二方路線地に二方路線影響加算法を適用するものとしているのは,
二方路線地については,
一方においてのみ路線に接している画地に比べ,
もう一方の路線も利用することができることにより,通常,宅地の利用価値
が増大することに基づくものであり,
路線価の高い方の路線を正面路線とし,
路線価の低い方の路線を裏路線とするものとしているのは,通常は,路線価の高い方の路線の路線価によって土地の価格が形成されることによるものと解される。そうすると,二方路線地であっても,例えば,路線価の高い方の路線の間口が路線価の低い方の路線の間口に比べて著しく狭いとか,路線価
の高い方の路線への出入りが路線価の低い方の路線への出入りに比べ物理的に不便であるとかといった特段の事情があり,その形状,利用状況,接道条件等に照らして,路線価の高い方の路線を正面路線として二方路線影響加算法を適用したのでは,客観的な交換価値を合理的に算定することができず,その評価額に大きな不均衡を生ずる場合には,その適用について,所要の補
正をすべきものと解される。そして,その場合の補正の方法としては,路線価の低い方の路線を正面路線としたり,当該画地を区分し,それぞれの路線価を基礎として計算した評点の和をもって当該画地の評点としたりすることが考えられる。
もっとも,これをβ町駐車場画地についてみると,既に認定・説示したとおり,同画地は,月極駐車場として一体として利用され,その大部分が東側市道から出入するようになっているほか,東側市道の間口と南側市道の間口
とに大きな差はなく,その形状も,同画地を東側市道に接する部分と南側市道に接する部分とに区分するのが相当なものとはいい難い。これらの事情からすれば,同画地については,東側市道の利用価値によってその交換価値が形成され,更に,南側市道と接していることによる利用価値の増大も認められるというべきである。したがって,同画地について,正面路線として二方
路線影響加算法を適用したのでは,客観的な交換価値を合理的に算定することができず,その評価額に大きな不均衡を生ずるような特段の事情があるということはできない。
原告は,同画地は分割利用をすることが合理的であり,また,相続税等における財産評価の場面では広大地補正により大幅に減額されるなどと主張す
るが,既に認定・説示したところからすれば,このような事情のみをもって,少なくとも,二方路線影響加算法の適用の場面において所要の補正をすべき特段の事情があるということはできない。
したがって,原告の上記主張は採用することができない。
(3)

以上によれば,
高槻市長のした,
β町駐車場画地に係る二方路線影響加算

法の適用に,原告主張の違法はないというべきである。
9
争点9
(β町駐車場画地に係る奥行価格補正割合法及び不整形地,
無道路地,
間口が狭小な宅地等評点算出法の適否)について
(1)

評価基準別表第3の7(1)②は,不整形地について,奥行価格補正割合法
を適用するに当たっては,その画地の不整形の程度,位置及び地積の大小に応じ,同アからウまでのいずれかの方法によって求めることとしているところ(別紙関係法令の定め第2の5(5)ウ参照),原告は,β町駐車場画地については,評価基準別表第3の7(1)②イの方法(別紙関係法令の定め第2の5(5)ウ(イ))により奥行を計測すべきである旨主張する。しかしながら,不整形地の地積をその間口距離で除して得た計算上の奥行距離を基礎として評点数を求める上記方法は,地積を間口距離で除するとい
う,その計算方法からすれば,間口と奥行の関係が概ね均衡のとれた状態の不整形地に適する方法であると解される。そうであるところ,β町駐車場画地の形状をみると,同画地は,一部(南東部分)が欠けた扇形のような形をしており,東側市道の間口に対して,北から南に向けて奥行が徐々に長くなる形状をしていることからすれば,同画地が上記イの方法によるのが適切な
不整形地ということはできない。
上記イの方法によった場合の上記画地の奥行距離は,想定整形地の奥行距離と同一となるのであるが,上記画地のうち東側市道からの距離が想定整形地の奥行距離と同一となっている部分は,南西端の部分のみである。それにもかかわらず,上記画地全体について,想定整形地の奥行距離に応じた補正
を行うことが,評価基準が,奥行価格補正割合法を採用し,奥行距離に応じた補正を行うこととしている趣旨に合致しないことは明らかである。以上によれば,β町駐車場画地については,上記ウの方法によるべきであり,原告の上記主張は,採用することができない。
(2)

そして,証拠(乙64,65)及び弁論の全趣旨によれば,別紙登録価格の算定根拠第1の2(3)ウ記載の,前提となる事実の認定(奥行距離の測定,蔭地割合の算出等)やその評価基準への当てはめに特段の誤認・過誤があるとは認められない。25

争点10(β町駐車場画地につき広大地であることを理由とする減価の要否等)について
(1)

認定事実等
既に認定・説示したところに加え,証拠(甲9,49,50,53~57,61,64,乙52,81,82)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実等が認められる。

近隣地域の標準的使用の建物の敷地の地積に比して相対的に地積の大きい宅地(広大地)については,①規模が大きいことにより,取引総額が高
額化し需要が減退すること(市場性による減価),②異なる価格水準にまたがっている場合には,価格水準の高い部分(表地)を基準として考えれば,表地の価格水準が及ばない価格水準の低い部分(裏地)が含まれること(裏地を含むことによる減価),③分割して売却しようとすると引込道路等のための潰地が生じ,また,分割のための工事費用や宅建業者に卸売
りをすることによる諸費用が発生すること(利用効率が劣ることによる減価)などにより,市場減価が生じることがある。もっとも,地積規模が大きい土地(広大地)の価格形成は,特定の市町村における特定の用途地区内であっても,立地条件により多様であるとの指摘や,規模のまとまった土地の方が効用が増し,
増額要因となる場合もあるとの指摘がされており,

減価の有無や程度は,個別的要因によるところが大きいとされている。イ
不動産鑑定評価基準は,更地の鑑定評価額は,更地並びに配分法が適用できる場合における建物及びその敷地の取引事例に基づく比準価格並びに土地残余法による収益価格を関連づけて決定するものとする。再調達原価が把握できる場合には,積算価格をも関連づけて決定すべきである。とした上で,当該更地の面積が近隣地域の標準的な土地の面積に比べて大きい場合等において,分割利用することが合理的と認められるときは,価格時点において,当該更地を区画割りして,標準的な宅地とすることを想定し,販売総額から通常の造成費相当額及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を控除して得た価格(開発法による価格)を比較考量して決定するとしている。

相続税等における財産評価に関する財産評価基本通達は,地積規模の大きな宅地(三大都市圏においては500㎡以上の地積の宅地,それ以外の地域においては1000㎡以上の地積の宅地をいい,市街化調整区域に所在する宅地などを除く。)で,普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区として定められた地域に所在するものの価額は,同通達15(奥行価格補
正)から同20(不整形地の評価)の定めにより計算した価額に,その宅地の地積の規模に応じて算出される規模格差補正率を乗じて計算した価額によって評価するものとしている(同通達20-2)。上記規模格差補正率は,三大都市圏に所在する宅地で500㎡のものの場合は0.8,同じく1000㎡のものの場合は0.78となる。

なお,財産評価基本通達における上記規模格差補正は,平成29年の同通達の改正により,従前の広大地補正(同改正前の同通達24-4)に代わって導入されたものであるところ,
同改正前にあっては,
同通達15
(奥
行価格補正)から20(不整形地の評価)まで等の定めを適用せず,正面路線価,広大地補正率及び地積の3要素を用いて評価することとしてい
た。

評価基準別表第3(画地計算法)には,地積規模が大きいことに着目して独立の補正をすることは規定されておらず,被告(高槻市)においても,そのような補正は行われていない(取扱要領もその旨の定めを設けていな
い。)。
全国の市町村の中には,地積規模が大きいことを理由として所要の補正をすることとしているところがあり,平成27年度においては,1719市町村のうち259市町村で,上記のような補正が行われている。具体的な補正の方法としては,それほど大きくない画地規模から一律の減価を行
う例(300㎡以上で0.90など),比較的大きい画地規模から一律の減価を行う例(5000㎡以上から0.90など),一定幅で地積を区分し,画地規模が大きくなるに従い大きく減価する例(1万㎡以上の画地につき0.81から0.97など),算式により画地規模が大きくなるに従い大きく減価する例などがある。
平成27年度において,大阪府内で上記のような補正をすることを定めているのは,43市町村のうち15市町村であるが,高槻市周辺(大阪北
摂地方)においては,豊中市が1万㎡以上の非住宅用地について所要の補正をすることとしているのみである。

総務省においては,上記のとおり平成29年に財産評価基本通達が改正されたこと等を踏まえ,評価基準に規模が過大な土地に係る補正を導入することの適否について,取引事例を分析することにより市場の実態を把握
する方法による検討が行われた。もっとも,調査の結果,全国的に普遍性のある分析結果は得られず,結果として評価基準に上記のような補正は規定しないこととされた。

β町駐車場画地の地積は804.33㎡であり,主要な街路に係る標準画地(β町〇丁目〇番4土地)の地積(121.33㎡)の約6.6倍で
あるところ,
これを戸建住宅用地として分割するには,
開発許可を要する。
β町駐車場画地は,JR高槻駅の西方約900m(道路距離)付近に位置し,上記画地の近隣地域は中小規模(100㎡前後)の一般戸建住宅が立ち並ぶ住宅地域である。同地域内に分譲マンションはないが,二,三階建ての賃貸用共同住宅も散見される。

上記画地に接する東側市道の路線価は12万1000点であり,南側市道の路線価は9万5300点である。
(2)

β町駐車場画地につき広大地であることを理由とする減価の要否等
ア(ア)評価基準は,宅地の価額は通路からの奥行が長くなるにしたがって漸減することを根拠として,奥行価格補正割合法を採用しているところ,画地の間口と奥行の比率が概ね一定であるという前提に立てば,奥行距離が長くなるにしたがい土地の規模は大きくなるのであり,
換言すれば,
特に間口が広いといった事情がない限り,地積規模の大きい土地は,通常,相応の奥行を有するということができる。そうすると,一定の規模の地積を有するからこそ奥行価格補正割合法が適用されるということができるのであり,広大地であることによる減価要因の多くは,正に評価基準が奥行価格補正割合法を採用する根拠とするところに含まれるものと解される。すなわち,広大地であることによる減価は,通常は,奥行価格補正率による補正によって,相応に考慮されているということができ,評価基準が地積規模の大きいことに着目した独立の補正を設けてい
ないのも,そのような理解に基づくものと考えられる。
以上に加え,広大地の価格形成が特定の市町村における特定の用途地区内であっても立地条件により多様であるとの指摘や,規模のまとまった土地の方が効用が増し,増額要因となる場合もあるとの指摘がされていること,地積規模が大きいことを理由として所要の補正をすることと
している市町村が一定数見受けられるものの,必ずしも大勢を占めているものではなく,また,採用されている補正の方法も様々であること,総務省の調査・検討によっても,広大地であることによる減価について全国的に普遍性のある分析結果は得られなかったとされていることなども併せ考慮すれば,評価基準が奥行価格補正割合法とは別に,地積規模
が大きいことに着目した独立した補正を設けていないことには合理性があるものというべきである(その他,全体として不整形であっても,地積規模が大きい場合には,これを分割することにより整形の画地とすることができるから,広大地が不整形地である場合に不整形補正がされているときは,これによって広大であることによる減価が考慮されている
側面があるということもできる。)。
(イ)これに対し,原告は,財産評価基本通達においては規模格差補正が採用され,不動産鑑定評価基準において開発法による評価の方法が定められていることに照らせば,評価基準が地積規模の大きいことに着目した補正を設けていないことには合理性がない旨主張する。
この点については,確かに,相続税法22条は,相続等により取得した財産の価額は当該財産の取得の時における時価による旨を定めているところ,ここにいう時価とは,課税時期である被相続人の死亡時における当該財産の客観的交換価値,すなわち,不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいうものと解される(最高裁判所平成29年2月28日第三小法廷判決・民集71巻
2号296頁,財産評価基本通達1(2)参照)。そうすると,固定資産税における適正な時価と相続税等における時価とは同義であるか
ら,同一の土地について,評価基準に定める評価方法に従って決定される価格と,財産評価基本通達の定めによって決定される価格とは,本来的に同一となるべきものとも解される。

しかしながら,客観的な交換価値といっても評価的な概念であり,客観的な交換価値への合理的な接近方法にも複数のものがあり得るものと考えられる。また,相続税は人の死亡を契機として富の再配分を行おうとする性格のものであるほか,いわゆる申告納税方式が採用されているのに対し,固定資産税は資産の保有と市町村の行政サービスとの間に存
在する受益関係に着目し,その保有の継続を前提に毎年経常的に賦課される賦課課税方式の税であり,かつ,市町村長において評価すべき固定資産は極めて多数に及ぶものであるところ,このような各税の性格や課税方式等を踏まえて,客観的な交換価値への接近方法として異なる評価方法が定められることも,法が予定し,あるいは,少なくとも許容する
ところということができる(土地基本法16条参照)。そして,財産評価基本通達の定める規模格差補正は,広大地を戸建住宅用地として分割利用することに伴う減価を反映させるものであるところ,このような分割利用を前提とする補正は,現実に土地を処分する際に初めて具体化する減価要因を重視する評価方法であり,上記のような相続税の性格に合致するものである。他方で,固定資産税が資産の保有の継続を前提としていることに照らせば,上記のような評価方法を採用することは必ずしも固定資産税の性格に沿わないものということができる。そうすると,財産評価基本通達が規模格差補正を定める一方で,評価基準がこれと同様の補正を定めていないことにも,一定の根拠があるということができる。

加えて,評価基準も,財産評価基本通達も,上記客観的な交換価値への合理的な接近方法として定められているものではあるが,
その性質上,
これらに従って決定される価格が時価を超えることは許されないことからすれば,いずれも,特段の事情のない限り時価を下回るような評価方法が定められているものと考えられること,相続税における路線価は地
価公示価格の8割が目安とされているのに対し,固定資産税における路線価は地価公示価格の7割が目安とされており,同一の目安が採用されていないこと等に鑑みれば,同一の土地について,評価基準の定める補正率が,財産評価基本通達の定める補正率より小であるからといって,直ちに,評価基準による補正が客観的な交換価値への接近方法として不
合理ないし不十分であるということはできないというべきである。以上に述べたところからすれば,財産評価基本通達に規模格差補正が定められているからといって,評価基準が地積規模の大きいことに着目した補正を設けていないことに合理性がないということはできない。また,不動産鑑定評価基準は,個別の不動産鑑定に用いられるもので
ある上,同基準が定める開発法による価格は,他の評価方法により得られた価格と比較考量すべきものとされており,無条件にこれを採用するものとされていないことなどに照らせば,不動産鑑定評価基準に開発法による評価の方法が定められているからといって,評価基準が地積規模の大きいことに着目した補正を設けていないことに合理性がないということはできない。
したがって,原告の上記主張は,採用することができない。
(ウ)以上によれば,評価基準に地積規模の大きいことに着目した補正が設けられていないからといって,評価基準の定める評価方法が適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を欠くということはできない。イ(ア)もっとも,上記のとおり,一般的に,広大地であることにより減価が
生じること自体は否定することができず,また,その有無及び程度は個別的要因によるところが大きいとされていることからすると,その個別的要因の内容及び程度等によっては,評価基準の定める奥行価格補正率による補正等のみでは,広大地による減価を十分に考慮することができない場合もあり得るものと考えられる。したがって,広大地であること
による減価をもたらす個別的要因が特に著しいものであると認められ,評価基準の定める奥行価格補正率等による補正のみでは,客観的な交換価値を合理的に算定することができず,その評価額に大きな不均衡を生ずる場合には,その適用等について,所要の補正をすべきものと解される(なお,被告の取扱要領には地積規模の大きいことに着目した補正を
することは定められていないが,そうであるからといって,高槻市長において,このような補正をすることができないものでないことは,所要の補正を定めた評価基準の趣旨等に照らし明らかというべきである。。)
(イ)この点について,原告は,上記画地については,正面路線である東側市道の路線価は12万1000点であり,これに奥行価格補正率0.9
6を乗ずると11万6160点となるが,二方路線(裏路線)である南側市道の路線価は9万5300点となっており,裏地を含むことによる減価が奥行価格補正率を大きく上回っているとして,所要の補正が必要である旨主張する。しかしながら,争点8で説示したとおり,二方路線地の価格は,通常,路線価の高い方の路線(正面路線)の路線価によって形成されるところ,当該画地の裏地部分も,正面路線を利用することができることには変わりはなく,ただ,奥行距離が長い場合には正面路線の効用を十全に享受できない側面があることから,裏地を含むことが画地全体として減額要因となるというにすぎない。他方で,裏路線の路線価は,別途,当該街路の状況を総合的に考慮して付設されているものであるから,正面路線価に奥行価格補正率による補正をすれば,裏路線
の路線価になるという関係にあるものではない。したがって,南側市道の路線価が東側市道の路線価に比べて特に低いことと,β町駐車場画地に適用される奥行価格補正率(0.96)が補正として十分であるか否かとは何ら関係がないというべきであるから,原告の上記主張は採用することができない。

また,原告は,不動産鑑定士作成の調査報告書(甲61)を根拠に,上記画地の最有効利用の方法は分割利用であり,同報告書記載の開発想定図によると,分割利用するに当たり約26%の減価要因が存在するとして,所要の補正が必要である旨主張する。しかしながら,同画地の近隣地域は,中小規模(100㎡程度)の一般戸建住宅が立ち並ぶ地域で
はあるが,JR高槻駅から徒歩圏内にあり,現に,同地域内には二,三階建ての賃貸用共同住宅も散見されるというのであるから,β町駐車場画地の最有効利用の方法が戸建て住宅用地として分割利用することであるといえるかについては,疑問の余地があり得るところである。この点について,原告は,近隣の標準宅地の鑑定評価書において共同住宅の建設想定は現実性に乏しく,また戸建住宅の賃貸市場は未成熟であるためとか投資採算性等の観点から収益物件の建築想定は非現実的であり,賃貸想定をすることが困難であるためとかといった記載がされていること(甲64の1から6まで)や,収益還元法による収益価格が,取引事例比較法による比準価格より低く算出されていること(甲64の7,8)をもって,β町駐車場画地の最有効利用の方法が分割利用である旨主張する。しかしながら,甲第64号証の1から6までに係る標準宅地は,いずれも,地積規模が200㎡以下と,必ずしも大きくないことから,共同住宅を建築することが現実に想定し難いと考えられるのであって,鑑定評価書における上記各記載のみから,β町駐車場画地に賃貸用共同住宅を建設することが想定できないということはできない。ま
た,甲第64号証の7及び8に係る標準宅地については,自用の戸建住宅と賃貸アパート等が混在する住宅地域である,戸建住宅,共同住宅のほか店舗等も見られる住宅地域であるなどと記載され,収益還元法による収益価格も関連付けた上で鑑定評価額が決定されているほか,これらの標準宅地の地積も約203㎡ないし約297㎡であって,
β町駐車場画地に比べると必ずしも大きくないことなどからすると,上記各標準宅地に係る鑑定評価書をもって,β町駐車場画地の最有効利用の方法が分割利用であることの根拠とすることはできないというべきである。
また,上記報告書の開発想定図においては,上記画地の中央部分を横
断するように通路を設けることが想定されているところ,同報告書の記載によっても,このように,東側市道と南側市道とを結ぶ理由として,二方に接面する市道を有する場合,敷地内通路はこの二つの市道を結ぶ形で敷設するのが望ましいという高槻市審査指導課のコメントが引用されているのみであって,必ずそうしなければならない必要性がある
のかは判然としない。また,上記開発想定図においては,1区画を除いては100㎡を下回る7区画に区分することが想定されているが,このように細分化するのが合理的であるかは必ずしも判然としない。そうすると,道路の位置や1区画の地積を工夫すること等によって,上記想定図によるよりも,道路による潰地を減少させる余地もあるものと考えられ,上記開発想定図がβ町駐車場画地の価値を最大化するものとはいえない可能性を否定することができない。
さらに,分割された画地については,開発通路の敷設等により,環境条件が周辺の既存住宅地に比べて向上するのが通常であるにもかかわらず,上記報告書においては,そのような検討が十分にされていないことがうかがわれる。

以上に述べたところからすれば,仮に,β町駐車場画地の最有効利用の方法が分割利用であり,その場合に,一定の潰地が生じることがあるとしても,それにより,26%の減価要因があるとする上記報告書の結論をそのまま採用することはできないといわざるを得ない。
(ウ)むしろ,上記認定によれば,β町駐車場画地の地積は804.33㎡
であり,主要な街路に係る標準画地の約6.6倍であるというのであるが,その地積規模の大きさは,絶対的にも,相対的にも著しく大きいとまではいい難い。また,平成27年度の登録価格は8800万円余りであり,いわゆる割戻しをしたとしても,1億2600万円余りであるというのであるから,市場性による減価があるとしても,その個別要因の
程度が著しいとまではいい難い。さらに,上記説示のとおり,上記画地は二方路線地であることからすると,道路等による潰地が特に大きくなるということもできない。
以上に述べたところを総合すれば,仮に,β町駐車場画地の最有効利用の方法が分割利用であり,その場合に一定の潰地が生じることがある
としても,それにより生じる減額の程度は,一定の範囲にとどまるものと考えられる。そうすると,β町駐車場画地について,評価基準の定める奥行価格補正率等による補正のみでは,客観的な交換価値を合理的に算定することができず,その評価額に大きな不均衡を生ずるものということはできず,
その趣旨をいう原告の主張は,
採用することができない。

以上に認定・説示したところからすれば,β町駐車場画地の地積が大きいからといって,評価基準の定める評価方法によっては適正な時価を適切
に算定することのできない特別の事情があるということもできず,その趣旨をいう原告の主張は,採用することができない。
小括
以上によれば,高槻市長がした本件各登録価格の決定について,原告が主張する違法事由はいずれも認められず,本件全証拠によっても,他に,上記決定
を違法というべき事情は見当たらない。
したがって,原告の本件各決定の取消請求は,理由がない。
そうすると,高槻市長が本件各登録価格を決定したことに国家賠償法上の違法性があるとも認められず,原告の国家賠償請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。

結論
よって,原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第7民事部

裁判長裁判官

松永栄治
裁判官

宮端謙

裁判官


(別紙(物件目録1-1)省略)
(別紙(物件目録1-2)省略)
(別紙(物件目録2)省略)
(土地概要図等(図6枚)省略)
(別紙(登録価格表平成27年度)省略)
(別紙(登録価格表平成28年度)省略)

(別紙(登録価格表平成29年度)省略)
田亮
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