判例検索β > 平成30年(行ウ)第80号
源泉徴収に係る所得税の納税告知処分取消等請求事件
事件番号平成30(行ウ)80
事件名源泉徴収に係る所得税の納税告知処分取消等請求事件
裁判年月日令和2年6月25日
裁判所名大阪地方裁判所
裁判日:西暦2020-06-25
情報公開日2020-11-26 14:00:31
裁判所の詳細 / 戻る / PDF版
令和2年6月25日判決言渡
平成30年(行ウ)第80号

源泉徴収に係る所得税の納税告知処分取消等請求事件
主文12
原告の請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由

第1
1
請求
南税務署長が平成28年8月30日付けで原告に対してした次の各処分をいずれも取り消す。

(1)

平成25年1月1日から同年12月31日までの課税期間分の消費税及
び地方消費税の更正処分のうち,納付すべき消費税額につき2453万6800円を超える部分及び納付すべき地方消費税額につき613万4200円を超える部分並びにこれらに係る過少申告加算税の賦課決定処分(2)

平成26年1月1日から同年12月31日までの課税期間分の消費税及
び地方消費税の更正処分のうち,納付すべき消費税額につき1億3563
万4500円を超える部分及び納付すべき地方消費税額につき3554万7800円を超える部分並びにこれらに係る過少申告加算税の賦課決定処分
2
南税務署長が平成28年10月27日付けで原告に対してした次の各処分をいずれも取り消す。
(1)

平成24年6月,同年7月,同年10月から同年12月までの各月分の
源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分及びこれらに係る不納付加算税の賦課決定処分
(2)
平成25年1月から平成26年12月までの各月分の源泉徴収に係る所
得税及び復興特別所得税の各納税告知処分及びこれらに係る不納付加算税の賦課決定処分

第2

事案の概要

1
事案の要旨
原告は,その副社長が原告の資金を用いて購入等をした服飾品,宝飾品等の額を交際接待費等として処理し,平成25年1月1日から同年12月31日ま
での課税期間(以下平成25年12月課税期間という。)及び平成26年1月1日から同年12月31日までの課税期間(以下平成26年12月課税期間といい,
平成25年12月課税期間と併せて
本件各課税期間
という。

の消費税及び地方消費税(以下消費税等という。)の各確定申告において,上記の購入等をした額を課税仕入れに係る支払対価の額に含めて控除対象仕入
税額を計算していたところ(ただし,その後,その購入等の額の一部は副社長に対する貸付金として処理するなどして課税仕入れに係る仕入対価の額から除外して修正申告をした。),処分行政庁は,それらの購入等は,原告から副社長に対する所得税法(平成25年1月1日より前に支払うべき同法28条1項に規定する給与等については平成24年法律第16号による改正前のもの,同
日以後に支払うべき当該給与等については平成25年法律第5号による改正前のもの。以下,当該給与等に対応する法律をいう。)28条1項に規定する給与等(以下給与等という。)に該当し,課税仕入れに該当しないなどとして,本件各課税期間の消費税等の各更正処分(以下,平成25年12月課税期間の消費税等の更正処分を平成25年12月課税期間消費税等更正処分,
平成26年12月課税期間の消費税等の更正処分を平成26年12月課税期間消費税等更正処分といい,併せて本件消費税等各更正処分という。)及びそれらに係る過少申告加算税の賦課決定処分をした。
また,処分行政庁は,原告に対し,その副社長が原告の資金を用いて購入等をした服飾品,宝飾品等の額は,給与等に該当するとし,平成24年6月分,
同年7月分及び同年10月分から同年12月分までの各月分の源泉徴収に係る所得税(以下源泉所得税という。)の各納税告知処分(以下平成24年分各納税告知処分という。)並びに平成25年1月分から平成26年12月分までの各月分の源泉所得税及び源泉徴収に係る復興特別所得税(以下源泉所得税等という。)の各納税告知処分(以下平成25・26年分各納税告知処分といい,
平成24年分各納税告知処分と併せて
本件各納税告知処分
といい,本件各納税告知処分と本件消費税等各更正処分とを併せて本件各処分という。)並びにそれらに係る不納付加算税の賦課決定処分をした。本件は,原告が,①本件各処分の理由提示に不備がある,②副社長による原告の費用負担による服飾品,宝飾品等の購入等は,業務上の関係者等への贈答品のためであったなどとして,それらの購入等の額は給与等に該当しないなどと主張し,本件消費税等各更正処分のうち各申告額を超える部分,本件各納税
告知処分,本件消費税等各更正処分に係る過少申告加算税の賦課決定処分及び本件各納税告知処分に係る不納付加算税の賦課決定処分(以下,これらの各賦課決定処分を併せて本件各賦課決定処分といい,本件各処分と併せて本件各処分等という。)の取消しを求める事案である。2
関係法令の定め等
(1)

行政手続法に係る関係法令の定め
行政手続法14条1項本文は,行政庁は,不利益処分をする場合には,そ
の名宛人に対し,同時に,当該不利益処分の理由を示さなければならない旨規定している。
(2)

所得税に関する関係法令等の定め
所得税法28条1項は,給与所得とは,俸給,給料,賃金,歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(給与等)に係る所得をいう旨規定している。


所得税法36条1項は,その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済
的な利益をもって収入する場合には,その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする旨規定している。

所得税法183条1項は,居住者に対し国内において給与等の支払をする者は,その支払の際,その給与等について所得税を徴収し,その徴収の日の属する月の翌月10日までに,これを国に納付しなければならない旨
規定している。

東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成25年法律第5号による改正前のもの。以下復興財源確保法という。)28条1項は,所得税法第4編第1章から第6章までの規定等により所得税を徴収して納付すべき者は,
その徴収
(平

成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に行うべきものに限る。)の際,復興特別所得税を併せて徴収し,当該所得税の法定納期限までに,当該復興特別所得税を当該所得税に併せて国に納付しなければならない旨規定している。
(3)

消費税に関する関係法令の定め
消費税法(平成26年4月1日より前の課税仕入れについては平成24年法律第68号による改正前のもの,同日以後の課税仕入れについては平成27年法律第9号による改正前のもの。以下,各課税仕入れに対応する法律をいう。)30条1項1号は,事業者が,国内において課税仕入れを行った場合には,当該課税仕入れを行った日の属する課税期間の課税標準
額に対する消費税額から,当該課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額を控除する旨規定している。

消費税法2条1項12号は,前記アの課税仕入れとは,事業者が,事業として他の者から資産を譲り受け,若しくは借り受け,又は役務の提
供(給与等を対価とする役務の提供を除く。)を受けること(当該他の者が事業として当該資産を譲り渡し,若しくは貸し付け,又は当該役務の提
供をしたとした場合に課税資産の譲渡等に該当することとなるもので,消費税法7条1項各号に掲げる資産の譲渡等に該当するもの及び同法8条1項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるもの以外のものに限る。)をいう旨規定している。
(4)

過少申告加算税等に係る関係法令の定め
国税通則法(平成28年法律第15号による改正前のもの。)65条1項
は,期限内申告書が提出された場合において,修正申告書の提出又は更正があったときは,当該納税者に対し,その修正申告又は更正に基づき納付すべき税額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課する旨規定し,同条4項は,同条1項に規定する納付すべき税額の
計算の基礎となった事実のうちにその修正申告又は更正前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて正当な理由があると認められるものがある場合には,同項に規定する納付すべき税額からその正当な理由があると認められる事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除して,同項の規定を適用する旨規定している。

また,国税通則法67条1項本文は,源泉徴収による国税がその法定納期限までに完納されなかった場合には,税務署長は,当該納税者から,納税の告知に係る税額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する不納付加算税を徴収する旨規定し,同項ただし書は,当該告知に係る国税を法定納期限までに納付しなかったことについて正当な理由があると認められる
場合は,この限りでない旨規定している。
3
前提事実
以下の事実は,当事者間に争いがないか,掲記の各証拠(枝番のあるものは特記しない限り全枝番を含む。以下同じ。)及び弁論の全趣旨により容易に認
めることができる。
(1)

当事者等


原告は,Bが明治42年に創業した鉄鋼原料商を発祥とし,昭和33年1月10日,合資会社Cを前身として設立された株式会社であり,鋼材,古鉄,古非鉄金属等の売買,いわゆる鉄スクラップの卸売を主たる事業とする会社である(甲1,10,18,乙12)。
原告の平成26年1月1日から同年12月31日までの事業年度におけ
る従業員数は65人とされている(乙15)。

D(以下会長という。)は,創業者であるBの孫であり,昭和52年3月15日付けで原告の代表取締役に就任し,その後,本件各処分に関わる平成24年6月1日から平成26年12月31日までの間(以下本件期間という。)を含め,継続してその地位にある(甲1,乙13~1
5)。

E(以下副社長という。)は,会長の妻であり,平成3年7月20日付けで原告の取締役に就任し,その後,本件期間を含め,継続して取締役副社長の地位にある(甲1,乙12,15,16)。


原告の発行済株式総数は2万株であり,本件期間において,株式会社Fが1万2460株(62.3%),会長が2000株(10%),副社長が110株(0.55%),その他会長の親族3名が330株(1.65%),その他の企業(G株式会社,H株式会社,I株式会社)が5100株(25.5%)をそれぞれ保有していた(甲1,3,乙1)。


株式会社Fは,副社長が代表取締役を務め,原告と所在地を同じくする法人である。株式会社Fの発行済株式総数は200株であり,副社長が普通株式1株,会長及び副社長の長男(J)が株主総会の全ての事項について議決権のないA種議決権制限株式199株を,
それぞれ保有している
(乙
1,2)。

(2)

副社長の購入等
副社長は,平成24年6月7日から平成26年12月15日までの間,別
紙2本件各購入品等一覧のとおり,購入等年月日欄の日に,商品名等欄に掲げた服飾品,宝飾品等(以下本件各購入品等という。)を,税込金額欄の金額で,原告の費用負担において購入等(送料や修理費等のサービス料の支払を含む。)をした(ただし,商品名等欄に二重計上との記載があるものについては,副社長が原告名義のクレジットカードを利用してその費用負担において購入したにもかかわらず,購入の際に受領した領収書を原告に提示するなどして立替払の精算金として金員の交付を受けたものである。)。本件各購入品等の購入等の総額は,約6億7000万円である。(以上につき,甲8)

(3)

原告の確定申告及び修正申告
確定申告
原告は,平成25年1月1日から同年12月31日まで及び平成26年1月1日から同年12月31日までの各事業年度(以下,それぞれ平成25年12月期,平成26年12月期といい,併せて本件各事業年度という。)の法人税,平成25年1月1日から同年12月31日まで及び平成26年1月1日から同年12月31日までの各課税事業年度(以下,それぞれ平成25年12月課税事業年度,平成26年12月課税事業年度といい,併せて本件各課税事業年度という。)の復興特別法人税並びに本件各課税期間の消費税等について,別表1-1から
1-3までの確定申告欄のとおりの記載をして,法定申告期限までにそれぞれ確定申告をした。
原告は,本件各事業年度の法人税及び本件各課税事業年度の復興特別法人税の各確定申告において,本件各購入品等については,別紙2の当初計上科目欄のとおり,そのほとんどを交際接待費(一部は雑費,旅費交
通費)として計上していた。また,本件各課税期間の消費税等の各確定申告において,本件各購入品等の購入額の全てを課税仕入れに係る支払対価
の額に含め,控除対象仕入税額の計算上,個別対応方式の課税売上と非課税売上に共通して要するものに該当するなどとして控除対象仕入税額を計算した。(以上につき,甲3,7,8,乙4,29〔10~13頁〕)イ
修正申告
原告は,平成28年1月7日付けで,本件各事業年度の法人税,本件各課税事業年度の復興特別法人税及び本件各課税期間の消費税等について,別表1-1から1-3までの修正申告欄のとおりの記載をして,それぞれ修正申告をした。
原告は,これらの法人税及び復興特別法人税の各修正申告において,本
件各購入品等の科目について,ほとんどを交際接待費(一部は雑費,旅費交通費)としていたものを,別紙2の修正後振替科目欄のとおり,一部は交際接待費として維持したが,その多くを貸付金及び商品に
修正して計上した。
また,
原告は,
上記の本件各課税期間の消費税等の各修正申告において,

本件各購入品等のうち,上記のとおり貸付金に科目修正をしたものについては,そのほとんどを副社長に対する貸付金に該当するものとして,課税仕入れに係る支払対価の額に含めないものとしたが,交際接待費として維持したものと,商品に科目修正をしたものについては,原告の棚卸資産(商品)等に該当するものとして,課税仕入れに係る支払対価
の額に含めたまま控除対象仕入税額を計算した。
(以上につき,甲4,7,
8,乙29〔10~13頁〕)
なお,以下,本件各購入品等について,次のとおり分類して略称する。(ア)

本件服飾品等

別紙2の修正後振替科目欄において貸付金とされたもの(ただし,商品名等欄に二重計上と記載があるものを除く。)

(イ)

本件宝飾品等

別紙2の修正後振替科目欄において商品とされたもの
(ウ)

本件振替後交際費分

別紙2の修正後振替科目欄において交際接待費とされたもの

(エ)

本件二重計上分

別紙2の商品名等欄において二重計上
との記載があるもの

(4)

本件処分等
処分行政庁は,平成28年8月30日付けで,原告に対し,①別表1-1の更正処分等欄のとおり,本件各事業年度の法人税を減額する各更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分,
②別表1-2の
更正処分等
欄のとおり,本件各課税事業年度の復興特別法人税を減額する各更正処分
及び過少申告加算税の賦課決定処分,
並びに③別表1-3の
更正処分等
欄のとおり,本件消費税等各更正処分及びそれらに係る過少申告加算税の賦課決定処分をした(甲6,7)。

処分行政庁は,原告に対し,平成28年10月27日付けで,別表1-4の納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分欄のとおり,平

成24年6月分,同年7月分及び同年10月分から同年12月分までの各月分の源泉所得税並びに平成25年1月分から平成26年12月分までの各月分の源泉所得税等について,本件各納税告知処分及びそれらに係る不納付加算税の賦課決定処分をした(甲8)。
(5)

審査請求
原告は,平成28年11月30日付けで,国税不服審判所長に対し,本件
消費税等各更正処分及びそれらに係る過少申告加算税の賦課決定処分,本件各納税告知処分及びそれらに係る不納付加算税の賦課決定処分等の取消しを求めて審査請求をしたが,平成29年11月14日付けで,原告の審査請求を一部却下し,その余を棄却する旨の裁決がされ,同月24日頃,原告に通知がされた(甲9,乙36)。

(6)

本件訴えの提起
原告は,平成30年5月23日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。
4
本件各処分等の根拠及び適法性に関する被告の主張
被告が主張する本件各処分等に係る課税の根拠及び計算は,別紙1本件各処分等の根拠及び適法性記載のとおりであるところ,原告は,後記5の争点
に関する部分を除き,本件各処分等の根拠及び適法性を争っていない。5
争点
(1)

本件各処分の理由提示に本件各処分を取り消すべき違法があるか否か
(2)

副社長の本件各購入品等の各購入等の額が副社長に対する給与等に該当
するか否か

(3)

本件宝飾品等及び本件振替後交際費分の各購入等が課税仕入れに該当す
るか否か
6
争点に関する当事者の主張
(1)

争点(1)(本件各処分の理由提示に本件各処分を取り消すべき違法がある
か否か)について
(原告の主張)

処分の名宛人に対しては,その処分に至る判断過程を示すべきことを判示した最高裁判決(最高裁判所平成23年6月7日第三小法廷判決・民集65巻4号2081頁。以下平成23年最高裁判決という。),法人
税法130条2項所定の理由提示の不備の違法性が争われた事案において,更正の根拠を,更正処分の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由提示制度の目的を充足する程度に具体的に明示するものであることを要すると判示した最高裁判決(最高裁判所昭和60年4月23日第三小法廷判決・民集39巻3号850頁)等に照らせば,課税処分等の通知における
更正の理由として,①更正の原因となる事実,間接事実のほか,②適用する法律の要件,主要事実の認定に至る判断経過として,各間接事実をどの
ように評価したのか,どのような経験則を用いて課税要件となる主要事実が認められたと判断されるのかという事実の評価に至る理由又は根拠及び経験則を納税者に理解し得る程度に示す必要がある。

本件各納税告知処分に係る通知書の理由の記載
(ア)

本件各納税告知処分に係る各通知書(以下,平成24年分各納税告
知処分に係る納税告知書〔甲8の1〕を平成24年分納税告知書,平成25・26年分各納税告知処分に係る納税告知書
〔甲8の2〕平を成25・26年分納税告知書といい,併せて本件各納税告知書という。)は,①本件各納税告知書の各別紙1の修正後振替科目欄に貸付金
と記載されている支出,
②本件各納税告知書の各別紙2の
修正後振替科目欄に商品と記載されている支出,③平成24年分納税告知書の別紙3の修正後振替科目欄に交際接待費との記載が
されている支出,④平成25・26年分納税告知書の別紙3の商品名欄に二重計上と記載されている支出について,それぞれ副社長が原告から利得を得たなどとする結論の理由としての記載がある。

(イ)

しかしながら,
それらの理由として記載されているのは,
いずれも,

結論を合理的に担保する事実ではないもの,その事実を認定するに至った理由が記載されておらず意味のないもの,経験則上結論を導くことができないため意味のないものなど,理由の提示として意味がないものであるから,理由の提示があるとはいえない。


本件消費税等各更正処分に係る通知書の理由の記載
本件消費税等各更正処分に係る各通知書(以下本件消費税等各更正通知書という。)は,いずれも貸付金の額が副社長に対する給与等の額に該当すると認定した理由として,根拠となり得ない事実や,判断過程,経
験則が不明で意味をなさない事実が記載されているにすぎない。また,交際接待費として記帳されていた宝飾品等が給与等の額に該当するとした
理由として,その事実認定に至る理由の記載がないもの,意図的な誤導によるもの,
論理,
経験則の飛躍があるもの,
経験則が存在しないものなど,
不合理な理由が記載されているにすぎない。

まとめ
本件各処分については,いずれも経験則に基づき合理的に判断して法律
上の要件が認定できる事実の記載がない。いかなる判断過程で何をもって副社長が利得しているとの判断に至ったのかを合理的に検証できる事実の記載がなく,検証可能性のない理由の記載があるにすぎないから,法が要求する理由の提示があったと認めることはできない。
(被告の主張)

本件各納税告知書の理由提示に違法はないこと
本件各納税告知書においては,本件各納税告知処分の対象となった各購入等の額について,原告が経理処理において,①交際接待費等から貸付金に振り替えたもの,②交際接待費等から商品に振り替えたもの,
③交際接待費としたままのもの及び④交際接待費として二重計上していたものの4つに分類して,それぞれについて,処分の理由が説明され,これら①から④までに該当する購入等の事実については,具体的に明示されている。
その上で,本件各納税告知書においては,上記①から③までについて,
その分類ごとに,副社長に対する経済的利益の供与があったと認定した根拠となる事実が具体的に記載され,上記④については,当該金額が副社長に対する経済的利益の供与であると認定した根拠となる事実等が記載されている。そして,これらを踏まえて原告は副社長に対して経済的利益の供与を行っており,かかる支出が給与等に該当すると認められることから,
所得税及び復興特別所得税を源泉徴収すべきものである旨記載されている。

このような本件各納税告知書の記載内容からすれば,課税の根拠の基礎となる事実関係及び適用法令を記載するとともに,処分行政庁が各購入等の額が副社長に対する給与等に該当すると認定・判断するために考慮した事実関係が具体的に摘示されているということができ,処分行政庁の判断の慎重,合理性を確保する点について欠けるところはなく,行政庁の恣意
抑制及び処分の名宛人の不服申立ての便宜という理由提示制度の趣旨目的を充足する程度に具体的に明示したものということができ,理由提示に何ら違法はないというべきである。

本件消費税等各更正通知書の理由提示に違法はないこと
本件消費税等各更正通知書においては,原告が本件各課税期間の消費税等に係る各修正申告において課税仕入れに係る支払対価の額に該当するとした各購入等の額について,
原告が経理処理により①交際接待費等から
商品に振り替えたもの及び②交際接待費として課税仕入れに係る支払対価の額としているものに分類して,
それぞれについて処分の理由が説明され,

これら①及び②に該当する購入等の事実については,具体的に明示されている。
その上で,本件消費税等各更正通知書においては,上記①及び②のそれぞれについて,当該各購入等は原告から副社長に対する経済的利益の供与があったものとして給与等に該当し,事業として他の者から課税資産を譲
り受けたものではないと認定した根拠となる事実が具体的に記載され,当該各購入等の額が課税仕入れに係る支払対価の額に該当しない旨記載されている。
また,原告が本件各課税期間の消費税等に係る各修正申告において,非課税売上高に該当するとして課税売上割合の計算に含めた受取利息につい
ては,原告が経理処理により交際接待費等から貸付金に振り替えたものは,貸付金ではないから上記受取利息は生じないことが,そのように認
定した根拠となる具体的な事実とともに記載され,課税売上割合の計算に含まれない旨記載されている。
そして,本件消費税等各更正通知書においては,課税売上割合及び課税仕入れに係る支払対価の額の異動を再計算し,これに基づく控除対象仕入税額の異動を算出して記載している。

このような記載内容からすれば,本件消費税等各更正通知書における処分の理由の記載は,処分行政庁の判断の慎重,合理性を確保する点について欠けるところはなく,行政庁の恣意抑制及び処分の名宛人の不服申立ての便宜という理由提示制度の趣旨目的を充足する程度に具体的に明示したものということができ,理由提示に何ら違法はないというべきである。

まとめ
以上のとおり,本件各処分における理由提示にはいずれも何ら違法はなく,本件各処分の理由提示に法が要求する理由の提示があったとはいえない旨の原告の主張には理由がない。

(2)

争点(2)(副社長の本件各購入品等の各購入等の額が副社長に対する給与
等に該当するか否か)について
(被告の主張)

副社長が本件各購入品等の購入等により原告から利益を得たこと
(ア)

本件服飾品等について
①本件服飾品等は婦人服,呉服,婦人靴,婦人用の服飾雑貨等が多数
を占めていたこと,②原告は,当初,本件服飾品等の額を交際接待費に計上していたが,本件服飾品等の贈答年月日,贈答先名等の記載がある書類を作成しておらず,本件税務調査(原告の本件各事業年度の法人税の各更正処分,本件各課税事業年度の復興特別法人税の各更正処分,本件消費税等各更正処分,本件各納税告知処分に係る税務調査をいう。以下同じ。)を通じ,贈答先等の具体的内容を一切明らかにしなかったこ
と,③副社長は,本件の調査担当者に対し,少なくとも,マノンレスコーやシャネルで購入したもの,呉服,バッグは自分の所有物であること,本件服飾品等については自宅に保管されていること,必要なくなったものは友人に送っていることを認める供述をしており,この供述は十分信用できること,④原告は,本件服飾品等は副社長の個人的な購入によるものである旨認めていたこと,⑤原告は本件税務調査において,交際接待費等について,使用内容を福利厚生費等の経費,交際費,償却資産,非償却資産及び個人的使用の形態に分けて考えたい旨の説明をし,更にその後,内容別に6つに区分した上で,個人的使用分につい
ては5仮払金(私的分)と経理処理すべきであったなどと説明し,
貸付金に振り替えて経理処理したこと,⑥原告が副社長から金銭借用証書の提出を受けたとするのは,本件期間よりも後の平成27年12月3日であること,⑦会長は,平成27年10月以前に2回ほど,副社長が本件服飾品等や本件宝飾品等の一部を購入していた購入先の外商担当者に対し,副社長に商品を販売しないように要請していたこと,⑧本件税務調査の前回及び前々回の税務調査においても,本件服飾品等や本件宝飾品等と同様の内容を含む副社長による購入等があり,これが副社長に対する給与等に該当するものとして,源泉所得税の納税告知処分が行われたこと,がそれぞれ認められる。これに加え,原告が,本件税務
調査を受けて,交際接待費等を副社長に対する貸付金とする振替経理処理を行ったことは,給与課税を免れるための工作であったことがうかがわれることなどからすれば,本件服飾品等の購入等は,原告の事業のために行われたものとは到底認められず,いずれも副社長の個人的な購入等であって,原告から経済的利益の供与による利得を得たものというべ
きである。
(イ)

本件宝飾品等について

①本件宝飾品等には,副社長の希望するデザインや副社長のサイズに合わせて製作されたダイヤモンドリングが含まれているのであって,副社長は,自身の好みに合わせて本件宝飾品等を購入しており,しかも,少なくともその一部を着用していたこと,
②副社長は,
本件宝飾品等を,
卸売価格ではなく一般消費者に対する小売価格で百貨店から購入していたこと,③原告は,当初,本件宝飾品等の額を交際接待費に計上していたが,本件宝飾品等の贈答年月日,贈答先名等の記載がある書類を作成しておらず,本件税務調査を通じ,贈答先等の具体的内容を一切明らかにしなかったこと,④原告は,本件宝飾品等について,商品としての棚
卸等の実施や在庫表,資産管理台帳,販売に係る事業計画等の作成をしておらず,また,本件税務調査を通じ,商品として管理を行わず交際接待費として計上していたことについても合理的な理由の説明をしなかったこと,⑤本件宝飾品等の保管場所は副社長の自宅であり,また,その一部は購入時のケースには入れられておらず,引き出し内に多数を並べ
て保管されていたこと,⑥少なくとも本件各事業年度において,原告における宝石等の販売実績は1回もないこと,⑦原告のホームページにおいても,宝石等の販売については,原告の事業内容として公表されていなかったこと,⑧会長は,平成27年10月以前に2回ほど,副社長が本件服飾品等や本件宝飾品等の一部を購入していた購入先の外商担当者
に対し,副社長に商品を販売しないように要請していたこと,⑨本件税務調査の前回及び前々回の税務調査においても,本件服飾品等や本件宝飾品等と同様の内容を含む副社長による購入等があり,これが副社長に対する給与等に該当するものとして,源泉所得税の納税告知処分が行われたことが,それぞれ認められることからすれば,本件宝飾品等の購入
等は,原告の事業のために行われたものとは到底認められず,これらはいずれも,副社長の個人的な購入等であったとみるべきであり,副社長
は,
原告から経済的利益の供与による利得を得たものというべきである。(ウ)

本件振替後交際費分について

本件振替後交際費分についても,その購入の内容は本件服飾品等又は本件宝飾品等と同様であって,同様の理由により,原告の事業のために購入等がされたものではなく,いずれも副社長の個人的な購入等であっ
たとみるべきであり,副社長は,原告から経済的利益の供与による利得を得たものというべきである。
(エ)

本件二重計上分について
本件二重計上分は,副社長が原告の負担の下に行った各購入等につい
て,原告が,副社長からの領収書等の提示を受けて,副社長に対して金
員を交付し,その金額を原告の経費として計上していたものである。このような金員の給付は,前記(ア)から(ウ)までと同様に,原告が副社長による各購入等の費用を負担する前提の下に支払われたものであるから,副社長は,原告から経済的利益の供与による利得を得たものというべきである。

(オ)

以上に対し,原告は,副社長が利益を得たことについて,全ての購
入品等について副社長が私物として個人的に購入等をしたことを立証して,はじめて副社長が利益を得たという事実が認められるなどと主張するが,かかる原告の主張は,実質上,推認の前提事実の立証における証明の程度あるいは立証方法について,
税務調査権限の存在を理由に,

通常よりも高度の立証あるいは特別の証拠法則の適用を要求し,直接証拠による立証を求めるものであって,一般の証拠法則に照らして,容認し得ない。

給与等の意義及び範囲
(ア)

給与所得とは,雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指
揮命令に服して提供した労務の対価としての使用者から受ける給付をい
う(最高裁判所昭和56年4月24日第二小法廷判決・民集35巻3号672頁)。ただし,所得税法上の給与所得の概念は包括的なものであることからすれば,給与所得の対象となる給与等は,労務の直接的な対価にのみ限定されるのではなく,その勤労者たる地位に基づいて使用者から支給される金銭的給付なども含まれているものとして観念されるべきである(最高裁判所昭和37年8月10日第二小法廷判決・民集16巻8号1749頁)。また,給与所得は,金銭の形を取る必要はなく,金銭以外の資産又は経済的利益の供与も含む概念であるというべきである(最高裁判所平成27年10月8日第一小法廷判決・裁判集民事25
1号1頁。以下平成27年最高裁判決という。)。
(イ)

法人の役員の役務提供の内容が極めて包括的かつ広範で法人の業

務全般に及ぶものであり,役員に就任していること自体(地位)によって法人に貢献することも含まれ得ることなどからすると,法人の役員が実質的にその法人資産を自由に処分し得る地位及び権限を有していると認められる事情があり,当該役員がその意思に基づき,経理上,給与等の外形によらず法人から利益を得ており,かつ,当該役員がその利益を得ることについて,法人経営の実権を掌握し法人を実質的に支配している法人代表者等も容認しているような場合には,
当該役員が得た利益は,
その利益の取得が法人からみて純然たる第三者との取引ともいうべき態
様によるものであるなどの特段の事情がない限り,当該役員の地位及び権限に基づいて当該法人から当該役員に移転したものと推認することができ,所得税法28条1項に規定する給与等に該当すると解するのが相当である。
そして,この判断枠組みは,法人から利益を受けた役員が当該法人の
代表者であることや法人経営者の実権を掌握していることは必須でない。


当てはめ
(ア)

副社長は,原告の実質的な筆頭株主であり,取締役副社長でもあっ
て,かつ会長の妻でもあるなど,法律上・事実上の原告に対する支配力を有する地位を占めていたことを背景に,
その取り扱う経費については,
使途や購入品目等の具体的内容について会長を含む原告の役員及び従業員の誰からもその内容を確認されることがないままに,自由に購入品等を購入するなどして使用することができたのであって,実質的にその法人資産を自由に処分し得る地位及び権限を有していたことが認められる。

(イ)

そして,副社長がその利益を得ることについて,原告の経営の実権
を掌握し原告を実質的に支配している会長も容認していた。これは,原告が副社長の3億2732万円余りもの多額の本件宝飾品等やきもの悉皆,フランス旅行費用など,会長が交際接待費等に該当しないと容易に認識できたはずの支出についても交際接待費等として経理処理を行ってきたこと,会長又は原告の行動は,副社長による本件各購入品等の購入等の内容が原告の事業関係者への贈答として問題がないと仮定するならば,極めて不自然なものであることに加え,原告は本件服飾品等の購入額について副社長に実質的には返済をさせていないことから認められる。

(ウ)

以上のとおり,副社長は,原告が負担することを前提とした購入等
を通じて,実質的にその法人資産を自由に処分し得る地位及び権限を有しており,当該地位及び権限を利用して,その意思に基づき,原告の負担において本件各購入品等の購入等を行うことによって,経理上,給与等の外形によらず,原告から利益を得ていた。そして,副社長が当該利益を得ることについては,原告の経営の実権を掌握し原告を実質的に支配している会長も容認していた。

したがって,本件各購入品等に係る各購入等の額は,いずれも副社長の地位及び権限に基づいて原告から副社長に移転したものと推認することができ,その利益の取得が原告から見て純然たる第三者との取引ともいうべき態様によるなどの特段の事情も何ら存しないから,原告から副社長に対する給与等に該当する。

(原告の主張)

副社長が本件各購入品等の購入等により原告から利益を得たとは認めらないこと
(ア)

副社長の担当業務等
原告における副社長の職責・役割は,販路開拓及び商機獲得のための
異業種の経営者等との交流及び交際であり,異業種の経営者,役員,その親族等に対する贈答品の選定及び購入は,
副社長の担当業務であった。
原告の経営方針として,損が先,利益は後というものがあり,この経営方針のもと,長期的には異業種分野にも進出することができ,順調に売上げを伸ばしてきた。異業種の人材との交流による商機の拡大のため,目先の見返りを考えることのない贈答による交際もその一環であった。
(イ)

本件服飾品等について
副社長による本件服飾品等の購入は,原告名義のカードを使用してさ
れ,原告の支出によるものであった。そして,副社長は,上記(ア)のとおりの担当業務として,本件各購入品等の選定及び購入手続を行った。すなわち,副社長は,自らの業務として,原告の機関として,本件服飾品等の購入をしたにすぎない。
(ウ)

本件宝飾品等について
副社長は,原告のために,非常時に売却をも予定する資産性の高い棚
卸資産又は商品として,本件宝飾品等を購入した。本件宝飾品等は,副
社長が一人で使用できる量ではなく,個人のものとして購入したとすれば量が多すぎ,経験則に反する。
(エ)
a
副社長が利得を得たことの立証がされていないこと
本件各購入品等の額が副社長の給与に該当するというのであれば,その立証がされなければならず,副社長が本件各購入品等を個人的に購入したことを認定するに足りる証拠が必要となる。ところが,処分行政庁は,本件税務調査において,副社長の自宅を調査せず,本件各購入品等が存在しないことを確認しなかった。そのような確認がされれば,副社長が利益を得ていたことの認定を阻害する事実が確認されたはずである。

b
給与の源泉徴収義務は,給与の支払ごとに納税義務が成立し,それと同時に税額が確定するから,本件各購入品等については,一つ一つの事実認定がされるべきである。
被告は,本件各購入品等のうち,副社長が仕立て直しをした着物や副社長の指の大きさに合わせて加工した宝飾品の存在を間接事実とし
て本件各購入品等の全ての立証をしようとしているが,上記の着物や宝飾品は,原告がその営業及び交際のために副社長に使用することを認めていたにすぎないし,また,それらは本件各購入品等のうちのわずか100分の1以下の点数にすぎない。
そして,本件各購入品等の中には,別紙3本件各購入品等のうち個人的購入品でないもの(原告の主張)にあるように,紳士腕時計,紳士服,馬具,子供服等,明らかに副社長が個人的に使用するために購入したものではないものが含まれているが,副社長がこれらの購入により利益を得たことについての具体的な立証もされていない。
c
会長及び副社長は,本件税務調査において,本件各購入品等の贈答先を明らかにできない旨回答したが,それを明らかにすると贈答先に
多大な迷惑が生じ得ると考えたからにすぎず,副社長が利益を得ていたからではない。

給与等に該当する要件等
(ア)

給与所得を認定するためには,客観的な経済的な利益の移転では足
りず,
支払う者と支払を受ける者との間の一定の関係性が不可欠であり,利益移転の原因についての意思又は認識が必要というべきである。所得税法183条1項は,
給与等の支払をする者は,その支払の際,その給与等について所得税を徴収しなどと規定しているから,給与等の支払をする者において,支払の認識が必要であるのは当然で
ある。給与等として認定するためには,法人としての認識として,利益を供与する意思が必要であることはいうまでもない。
所得税の源泉徴収制度は,申告納税制度を補完するもので,本来の納税義務者でない源泉徴収義務者に納税義務を課すものであるから,過重な負担を課すことは合理性を欠き,かかる義務を課す前提として,納税
義務者において,徴収する金額等が予測可能であり,徴収可能であることが必要となる。よって,給与,報酬として徴収義務を課すためには,一義的にその支払金額が明らかであり,徴収義務者において支払の認識があることが必要である。
(イ)

法人の代表者が横領した事案において,代表者が得た利益が給与等
に該当するとした裁判例があるが,これは,代表者が,その意思及び行為が法人の意思及び行為として認められる程度に法人を包括的に支配している場合には,
代表者がその権限を濫用して利益を得たことをもって,
法人が代表者に利益を与えたと評価することができるからである。被告は,法人の代表者ではない役員が法人の利益を得た場合でも,代
表者が容認しているときには,その利益の給与該当性が認められると主張するが,そのような容認では足りないことは明らかであり,法人の意
思が代表者の意思と評価することができるほどの支配性と明確な利益供与の意思が必要である。

当てはめ
(ア)

原告は,本件各購入品等について,決算報告書において販売費及び一般管理費における交際接待費として計上し,株主総会で決算の承認を得ているのであって,
原告の本件各購入品等についての認識は,
交際接待費であった。そして,原告は,法人税等の確定申告において,それらの額を損金の額に算入していなかったところ,これは,原告が課税所得を軽減することを意図していなかったことを意味している。よって,原告は,本件各購入品等の購入等を通じて副社長に利益を供
与する認識はなかった。
(イ)

原告の株主には,取引先の法人も含まれており,株主総会も開催さ
れて会長が原告の代表者として質問に答えるなどしていたこと,会長が原告の代表者として経理書類について伝票類を含めてチェックしていたことからすると,副社長が原告の資産を自由に処分し得る地位を有するほど原告を支配していたとは認められず,原告が副社長に利益を供与する意思もなかった。
副社長の権限は,取引先への贈答品の購入及び会社の資産としての宝飾品の購入及びそれに関連する業務であり,原告の資金で私物を購入す
る権限を有していたものではない。
また,会長が副社長に原告の最大株主である株式会社Fの黄金株を与えたのは,妻である副社長に対する配慮をしたからであり,副社長が原告の経営に口出しすることはなかった。
したがって,副社長は,原告を支配したり,原告の資産を自由に処分
したりできる地位及び権限を有してはいなかった。
なお,会長は全ての経理書類をチェックしていたこと,副社長は会長
に対し贈答した商品の報告をしていたこと,会長からも副社長に贈答品について確認したことがあったこと,会長は贈答品が原告の業績につながっているかの検証を行っていたこと,本件宝飾品等は,副社長の私物とは区別して保管していること,副社長の私物としての購入を認めたものではないからこそ,原告が税務当局からの指摘を受けて,本件服飾品
等について貸付金として処理し,本件宝飾品等については原告の商品として処理したことからすると,会長は,副社長が個人的な私物として購入等をすることを容認していたとも認められない。
(ウ)

本件各購入品等のための支出は,使途秘匿金の支出に当たるものと
して,租税特別措置法62条に基づく使途秘匿金課税の対象として課税
がされるべきであった。処分行政庁は,本件各購入品等について,安易に給与等に該当すると認定して本件各処分をしたのである。
(エ)

以上のとおり,仮に,副社長が本件各購入品等の購入等により利益
を得ていたとしても,その利益は給与等に該当しない。
(3)

争点(3)(本件宝飾品等及び本件振替後交際費分の各購入等が課税仕入れ
に該当するか否か)について
(被告の主張)

課税仕入れとは,事業者が,事業として他の者から資産を譲り受け,若しくは借り受け,
又は役務の提供
(給与等を対価とする役務の提供を除く。

を受けることをいい(消費税法2条1項12号),本件宝飾品等及び本件
振替後交際費分の購入等が課税仕入れに該当するためには,原告が,事業として他の者から本件宝飾品等及び本件振替後交際費分に係る資産を譲り受けたもの等であると認められる必要がある。

しかしながら,前記(2)(被告の主張)で述べたとおり,本件各購入品等に係る各購入等は,副社長が原告による負担の下に行った個人的なものであり,原告が事業として他の者から資産を譲り受けたものということはで
きない。また,仮に,副社長による上記各購入等の費用が,原告が副社長から受けた役務の提供に係る対価に当たるものとしてみるとしても,消費税法の明文上,給与等を対価とする役務の提供は課税仕入れから除かれている。
したがって,いずれにしても,本件宝飾品等及び本件振替後交際費分の
購入は,課税仕入れに該当しない。
(原告の主張)
消費税等の更正処分は,副社長による本件宝飾品等及び本件振替後交際費分についての購入が副社長による利得であるとし,課税仕入れではないとしてされたものである。しかしながら,前記(2)(原告の主張)のとおり,副社
長が利益を取得したことはないし,仮に利益を取得していたとしても,原告が副社長に利益を取得させた事実は認められない。
第3
1
当裁判所の判断
争点(1)(本件各処分の理由提示に本件各処分を取り消すべき違法があるか否か)について
(1)

行政手続法14条1項本文が不利益処分をする場合に同時にその理由を
名宛人に示さなければならないとしているのは,名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み,行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される。そして,同項本文の規定に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは,上記のような同規定の趣旨に照らし,当該処分の根拠となる法令の規定の内容,当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無,
当該処分の性質及び内容,
当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきで
ある(平成23年最高裁判決参照)。
(2)

本件各納税告知処分について


本件各納税告知書(甲8)は,本件各納税告知処分の対象となった本件各購入品等の額について,①本件服飾品等(平成24年分納税告知書別紙1及び平成25・26年分納税告知書別紙1),②本件宝飾品等(平成24年分納税告知書別紙2及び平成25・26年分納税告知書別紙2),③本件振替後交際費分(平成24年分納税告知書別紙3)及び④本件二重計
上分(平成25・26年分納税告知書別紙3)ごとに,副社長に対する経済的利益の供与があったと認定し,その理由を掲げている。
そして,上記①から④までに該当する購入等の事実については,それぞれ上記各別紙の表にまとめて添付し,その対象を特定している。

上記①については,副社長に対する経済的利益の供与があったと認定した理由として,贈答先が明らかでないこと,婦人服,時計等であることなどの具体的な事実を掲げ,経済的利益の供与があったとの認定に用いた事実を記載し,上記②及び③についても,①と同様に副社長に対する経済的利益の供与があったと認定に用いた事実を具体的に記載している。

そして,上記④については,
計上済みの経費にもかかわらず,,

立替金の精算金として本件役員に金員を交付しています。などとして,

単なる当該金員の支給であると認定し,経済的利益の供与があったと認定した旨を記載している。
また,これらの経済的利益の供与が所得税法28条1項に規定する給与
等に該当するとし,同法183条1項及び復興財源確保法28条1項の規定に基づき所得税及び復興特別所得税を源泉徴収すべきであることを記載している。

以上のとおり,本件各納税告知書は,給与等と認定した対象を特定した上で,類型ごとに,経済的利益の供与があったとする認定に至った理由を記載し,上記①から③までについては,かかる認定の根拠となる事実を具
体的に掲げているから,処分行政庁がそのように認定した判断過程が具体的に摘示されているということができる。また,上記④については,精算する必要がなかった金員を立替金として金員を交付した事実があったものとして,副社長に対する単なる金員の支給であったと認めたことが摘示されており,その判断過程の摘示は明確である。

そして,本件各納税通知書は,原告から副社長に対する経済的利益の供与があったことをもって給与等に該当するとし,適用法令を摘示しているのであるのであるから,処分行政庁が処分をするに至った判断の過程が具体的に摘示されており,名宛人においてその判断過程を理解することができるものであり,その理由の提示につき,処分行政庁の慎重,合理性を確
保し,恣意を抑制し,処分の名宛人の不服申立ての便宜を図るという理由提示を求める趣旨に照らし,違法はないというべきである。
(3)

本件消費税等各更正処分について
本件消費税等各更正通知書(甲7)は,課税売上割合の異動につき,その理由として,原告が修正申告において益金の額に算入した原告の副社長
に対する貸付金に基づく受取利息の額は,当該貸付金の額が副社長に対する給与等の額に該当するため,当該貸付金の額に係る受取利息の額も生じていないと判断したとした上で,当該貸付金の額が給与等の額に該当する理由として,具体的な事実を掲げており,その判断過程を明らかにしているといえる。


また,本件消費税等各更正通知書は,いずれも,課税仕入れに係る支払対価の額の異動につき,その理由として,原告が課税仕入れに係る支払対価の額として申告したもののうち,当該支払対価の額に該当しないとしたものについて,別表によりその対象を特定した上で,①本件各事業年度の
法人税の各修正申告において交際接待費から商品に振り替えたも
のと,②交際接待費としているものに分けた上で,それぞれ具体的な
事実を列挙し,それらは課税資産を譲り受けたものではなく,副社長に対する給与等の額に該当すると認めており,その認定に至る判断過程を明らかにしている。

そして,以上を前提として,課税売上割合及び課税仕入れに係る支払対価の額の異動を明示した上で,再計算して算出した額を記載している。

そうすると,本件消費税等各更正通知書は,処分行政庁が,原告が課税仕入れに係る支払対価の額として申告したものののうち,当該支払対価の額に該当しないと認定した判断の過程が具体的に摘示されているということができ,名宛人において,その判断過程を理解することができるものであるから,その理由の提示につき,処分行政庁の慎重,合理性を確保し,
恣意を抑制し,処分の名宛人の不服申立ての便宜を図るという理由提示を求める趣旨に照らし,違法はないというべきである。
(4)

原告の主張について
原告は,本件各納税告知書及び本件消費税等各更正通知書の理由の記載について,結論を合理的に担保する事実が記載されていない,経験則上結
論を導くことができない,経験則が存在しない根拠,判断過程や経験則が不明で意味がない記載がされているにすぎない,などと主張する。しかしながら,本件各納税告知書及び本件消費税等各更正通知書は,いずれも,処分行政庁が処分をするに至った判断の過程が具体的に摘示されており,理由提示として求められる趣旨を満たすものであることは,既に
説示したとおりであって,その理由として記載された事実に意味がないなどということはできない。原告の主張は,結局のところ,処分行政庁の結論に至る過程として提示している理由が不合理である旨を主張するものであって,理由提示が違法であるとする主張として成り立つものではないから,これを採用することはできない。


また,原告は,理由として記載されている事実について,その事実を認
定するに至った理由が記載されておらず意味がない記載がされている旨も主張する。しかしながら,認定するに至った理由として,その認定のために用いた,いわゆる間接事実や補助事実について,それを裏付ける証拠関係の内容等について記載することが常に求められているとは解されない。そして,既に説示したとおり,本件各納税告知書及び本件消費税等各更正
通知書の理由の提示は,処分行政庁の慎重,合理性を確保し,恣意を抑制し,処分の名宛人の不服申立ての便宜を図るという理由提示制度の趣旨を満たすものとして,違法はないというべきである。
2
争点(2)(副社長の本件各購入品等の各購入等の額が副社長に対する給与等に該当するか否か)
及び争点(3)
(本件宝飾品等及び本件振替後交際費分の各購
入等が課税仕入れに該当するか否か)について
(1)

認定事実
前記前提事実に加え,掲記の各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事
実が認められる。

当事者等
(ア)

原告は,昭和33年1月10日に設立された,鋼材,古鉄,古非鉄
金属等の売買,いわゆる鉄スクラップの卸売を主たる事業とする株式会社であり,平成26年12月期における従業員数は65人とされている(前提事実(1)ア)。
原告の平成25年12月期の売上高は約112億3250万円,営業
利益は約3億3426万円,平成26年12月期の売上高は約115億2939万円,営業利益は約5772万円である(甲3の1の1,3の2の1,20)。
(イ)
会長は,昭和52年3月15日付けで原告の代表取締役に就任し,
その後,本件期間を含め,継続してその地位にある。副社長は,会長の妻であり,平成3年7月20日付けで原告の取締役に就任し,その後,
本件期間を含め,継続して取締役副社長の地位にある。(以上につき,前提事実(1)イ及びウ)
(ウ)

原告の発行済株式総数は2万株であり,本件期間において,株式会
社Fが1万2460株(62.3%),会長が2000株(10%),副社長が110株
(0.
55%)その他会長の親族3名が330株

(1.

65%),その他の企業(G株式会社,H株式会社,I株式会社)が5100株(25.5%)をそれぞれ保有している。株式会社Fは,副社長が代表取締役を務め,原告と所在地を同じくする法人であり,その発行済株式総数は200株で,副社長が普通株式1株,会長及び副社長の長男が株主総会の全ての事項について議決権のないA種議決権制限株式
199株を,それぞれ保有している。
(以上につき,前記前提事実(1)エ
及びオ)。

本件各購入品等の購入等における手続等
(ア)

通常の経費の支出手続
原告において,会長及び副社長以外の者が税込金額1万円以上の経費
を支出する際にとる手続は,
以下のとおりとされていた
(乙9
〔問答8〕

17)。


申請者が,事前に経費稟議書を作成し,各グループ責任者,副社長又は専務,会長の順で許可を得る。



経費を支出した後,当該経費に係る請求書,領収書等に,記帳担当者と経理担当者,副社長又は専務,会長の順で,会社経営上必要な経費であることを確認した上で検印を押す。

(イ)

副社長が購入等をする場合の経費の支出手続
副社長が原告において経費を支出する際には,経費稟議書の作成や許
可を得ることはなく,経費を支出した後,当該経費に係る請求書,領収書等に会長が検印を押すことも必要とされていなかった。副社長が取り
扱う経費について,
上限金額は定められておらず,
副社長が購入等をし,
副社長の検印があるものは,全て経費として認められていた。(以上につき,甲24,乙9〔問答10~13〕,17)。

会長の副社長の経費の支出に対する認識等
(ア)

会長は,副社長に対し,経費の取扱いを任せており,その内容を逐
一確認することはなかった。そして,会長は,この点に関し,陳述書及び本人尋問においてクレジットカードの使用明細や請求書の品目の確認まですることなく,おおよその金額を確認するというものだった,

大概のことはつかめてると思います。

と述べている。(以上につき,
甲24,原告代表者)

(イ)

会長は,平成27年10月以前において,副社長の本件服飾品等や
本件宝飾品等の購入先であるK店の外商担当者に対し,副社長に商品を販売しないよう要請をしたことがあった(乙24,25,原告代表者)。エ
副社長の本件各購入品等の購入等
副社長は,平成24年6月7日から平成26年12月15日までの間,
別紙2本件各購入品等一覧のとおり,原告の費用負担において,本件各購入品等の購入等をした。本件各購入品等の購入等の総額は,約6億7000万円である。(以上につき,前提事実(2))。
副社長は,本件各購入品等の購入等をするに当たっては,原告名義のクレジットカードを使用するか,現金又は個人名義のカードを使用して物品
を購入するなどした上で,原告から立替金として支払等を受けて精算していた。そして,原告名義のクレジットカードを使用して購入したものについて,更に立替金として金員の交付を受けたもの(本件二重計上分)もあった。(以上につき,甲8の2,乙17〔1,5~11,30~38頁〕,18~21,26)


本件各購入品等の購入等の状況

(ア)
a
本件服飾品等
本件服飾品等は,シャネル,エルメス等の高級ブランドのジャケット,スカート,パンツ,シャツ,ワンピース,ニット,カーディガン等の婦人服や,呉服,婦人靴,婦人用の服飾雑貨が多数を占めるが,紳士機械腕時計,紳士服等(本判決別紙3参照)も含まれている(甲
8の1〔別紙1〕,8の2〔別紙1〕)。
b
原告は,当初,本件服飾品等のほとんどを,贈答品に当たるものとして交際接待費(一部は雑費,旅費交通費)に計上していたが,贈答品として取り扱ったことを示す書類(贈答年月日,贈答先名等の記載がある書類)は作成していなかった。また,原告は,本件税務調査に
おいて,贈答先の具体的内容を明らかにすることはなかった。(以上につき,乙5,26,原告代表者)
c
副社長は,平成27年11月30日,本件税務調査において質問調査を受けた際,調査担当者に対し,(買い物は)ほとんど一人で行って,カードを使って購入している,

呉服は,私のために買った。マノンレスコーで買ったものは自分の物ばかり

,他の服やバックについても,私はいつもキチンとした格好をして生活するのが当たり前なので必要銀座のシャネルで購入したものは,,私の物,(バッグ,婦人服の保管場所は)(自宅)社宅のいたるところに置いてる,
必要なくなったものは,フランスの友人に段ボールに詰めて送っているなどと述べた(乙5)。(イ)
a
本件宝飾品等
本件宝飾品等には,副社長の希望するデザインや副社長のサイズに合わせて製作されたダイヤモンドリングが含まれており,副社長は,
少なくとも本件宝飾品等の一部を着用していた(乙9〔問答6〕,28〔17頁〕)。

b
副社長は,本件宝飾品等を,卸売価格ではなく,一般消費者に対する小売価格で百貨店から購入していた(乙9〔問答3,14,16〕,29〔16~21頁〕,弁論の全趣旨)。

c
原告は,本件宝飾品等について,商品としての棚卸等の実施や在庫表,資産管理台帳,販売に係る事業計画等の作成をしておらず,交際
接待費として計上していた(乙9〔問答17,21,22〕,27〔2頁〕)。
d
本件宝飾品等は,会長及び副社長が二人で居住する原告の社宅に保管されていた(乙5,9〔問答20〕,30,原告代表者)。本件宝飾品等のうちの一部は,購入時のケースには入れられておらず,専用
の引き出し内に多数を並べるような状態で保管されていた
(乙28
〔3
2~34頁〕)。
e
原告は,会社の目的として,宝石,貴金属の販売をも掲げていたが,本件各事業年度において,宝石等の販売実績はなく,原告のホームページにおいても,宝石等の販売については,原告の事業内容として公
表していなかった(甲1,10,乙9〔問答18〕)。

確定申告
原告は,本件各事業年度の法人税,本件各課税事業年度の復興特別法人税並びに本件各課税期間の消費税等について,法定申告期限までに,それ
ぞれ確定申告をした。
原告は,本件各事業年度の法人税及び本件各課税事業年度の復興特別法人税の各確定申告において,本件各購入品等については,そのほとんどを交際接待費(一部は雑費,旅費交通費)として計上し,本件各課税期間の消費税等の各確定申告において,本件各購入品等の購入額の全てを課税仕
入れに係る支払対価の額に含め,控除対象仕入税額の計算上,個別対応方式の課税売上と非課税売上に共通して要するものに該当するなどとし
て控除対象仕入税額を計算した。(以上につき,前提事実(3)ア)キ
原告の振替経理処理等
原告は,本件税務調査において調査担当者から交際接待費等の内容について指摘を受けたことから,交際接待費としていたものについて,その一
部を副社長に対する仮払金(私的分)として処理することとし,平成27年12月3日,仮払金(私的分)に相当する金額として平成25年分は1億1393万4592円を,平成26年分は2億0828万6711円を副社長に対する貸付金とする旨の取締役会決議を経て,副社長からその旨の金銭借用証書の提出を受けた上で,その分について,交際接待費等
を貸付金に振り替える経理処理を行った。また,原告は,それと同時に,それまで交際接待費等としていたものの一部を商品に振り替える経理処理を行った。(以上につき,乙7,8,9〔問答14,15〕,29〔1~3,37,38頁〕)
また,原告は,平成28年1月5日,副社長に対する貸付金の利息を0.
9%に統一する旨の取締役会決議を経た。さらに,原告は,新たに,副社長から,金額を1億9769万7008円,その内訳を平成27年分,返済として,

平成27年12月3日差入証書と合算して平成28年1月末より元利均等方式により毎月50万円返済します。なお,平成34年12月末日に残余一括返済します。

とする平成28年1月5日
付けの金銭借用証書の提出を受けた。
原告は,この平成27年分についての金銭借用証書と上記の平成25年分及び平成26年分の金銭借用証書の2つを併せた金額(5億1991万8311円)に係る返済予定表として,利率を0.9%とし,毎回の返済額を50万円として残高の推移等を記載したE氏返済予定表と題す
る書面を作成した。(以上につき,乙10,29〔4,5頁〕,34,35)


修正申告
原告は,平成28年1月7日付けで,本件各事業年度の法人税,本件各課税事業年度の復興特別法人税及び本件各課税期間の消費税等について,別表1-1から1-3までの修正申告欄のとおり記載をして,それぞれ修正申告をした。

原告は,これらの本件各事業年度の法人税及び本件各課税事業年度の復興特別法人税の各修正申告において,上記キの経理処理に対応し,本件各購入品等の科目について,ほとんどを交際接待費(一部は雑費,旅費交通費)としていたものを,一部は交際接待費として維持したが,その多くを貸付金及び商品に修正した。

また,
原告は,
上記の本件各課税期間の消費税等の各修正申告において,
本件各購入品等のうち,上記のとおり貸付金に科目修正をしたものについては,そのほとんどを副社長に対する貸付金に該当するものとして,課税仕入れに係る支払対価の額に含めないものとしたが(ただし,そのうちの一部〔甲7の2の別表3に掲げられたもの〕については,同支払対価
の額に含めるものとした。),
交際接待費として維持したもの及び商品に科目修正をしたものについては,原告の棚卸資産(商品)等に該当するものとして,課税仕入れに係る支払対価の額に含めたまま控除対象仕入税額を計算した。(以上につき,前提事実(3)イ,甲7)

副社長の役員報酬額の推移
副社長の原告における役員報酬額は,平成27年1月から平成28年2月までは月額144万円だったが,平成28年3月からは月額224万円に,平成29年3月からは月額300万円に増額された(乙46)。他方,会長の原告における役員報酬額は,平成28年3月以降,変更は
なく,その結果,平成29年1月1日から同年12月31日までの事業年度には,副社長の役員報酬額が会長の役員報酬額を上回った(乙47)。

前回の税務調査について
原告は,本件税務調査の前にも,平成22年1月分から平成25年8月分についての税務調査において,副社長が交際費等として購入等をした支出について,
副社長に対する給与に該当する旨の指摘を受けたことがあり,
その際,かかる支出について副社長に対する給与に該当するとして法人税
及び消費税に係る修正申告をし,源泉所得税等の納税告知処分を受けてその納付をした。なお,原告は,その納付について,副社長に対する立替金として処理した。(乙9〔問答23,24〕,22,23,原告代表者)(2)

事実認定の補足説明
以上のとおりの事実が認められるところ,その中には,調査担当者が,本
件税務調査の過程で作成した調査報告書(副社長との応答を記録したもの。乙5),質問応答記録書(会長との応答を記録したもの。乙9)の内容に基づいて認定した事実(認定事実イ(ア)及び(イ),オ(ア)b及びc,オ(イ)a~e)があるので,これについて,補足して説明する。

調査報告書(乙5)は,原告の顧問税理士の立会いの下に,調査担当者と副会長の間で行われた質問調査の内容を記録したものである。同報告書は問答形式で記録されており,実際の応答の結果を再現しやすい体裁が採用されており,その内容をみると,副社長の私的な内容で,本人でなければ知り得ないことがいくつも具体的に記載されており,実際にそのような
応答がされたことを十分にうかがわせるに足りるものである。これらからすると,同報告書は,副社長に対する質問調査の結果が忠実に再現された記録がされているものと認めるのが相当である。
さらに,会長は,本人尋問において,副社長から当該調査の結果の概要を聞いている旨の供述をした上で,同報告書の内容について,

おおまかな会話でこういう会話があっただろうということは想定ができます。

と供述しており(原告代表者),調査報告書が正確なものであることが裏付
けられているといえる。

また,会長との応答を記録した質問応答記録書(乙9)は,末尾に会長が回答者として署名押印しているから,会長がその内容を確認した上で署名押印したものと認められ,その内容にあるとおりの応答がされたものと推認することができ,これを覆すような事情は見当たらない。

以上より,上記の調査報告書(乙5)及び質問応答記録書(乙9)の内容のとおりの応答がされたものとして,上記のとおりの認定をした。
(3)

争点(2)(副社長の本件各購入品等の各購入等の額が副社長に対する給与
等に該当するか否か)について

副社長が,本件各購入品等の購入等により,原告から利益を得たと認められるか否かについて
(ア)

副社長の権限等について
前記認定事実イ(イ)及びウ(ア)のとおり,副社長が経費を支出する場
合には,通常必要とされる事前の許可や事後の確認の手続は必要とされず,上限金額も定められておらず,副社長が検印したものは全て経費として認められていた。
これは,
副社長が会長の妻であり,
かつ,
原告の取締役であったこと,
株式会社Fを通じて原告の支配的株主であったことから,原告の代表者である会長は副社長が本件各購入品等の購入等のために原告の経費を
自由に使用することを容認していたものと考えられる。
これに関し,会長は,K店の外商担当者に対し,副社長に商品を販売しないよう要請したことがあったところ(前記認定事実ウ(イ)),本人尋問においてその理由について問われると,交際費が多いと考えたからである旨を供述するほか,副社長にも(商品を購入しないよう)言って
いるが,感覚の違いで理解されない旨を供述していることからすると(原告代表者),会長は,副社長に対し,原告の経費の使用を制限する
ことができなかったことがうかがわれるのであって,副社長が上記のように原告の経費を自由に使用することができる立場にあったことを裏付けるものといえる。
以下,上記の前提の下で,本件各購入品等を,本件服飾品等,本件宝飾品等,本件振替後交際費分,本件二重計上分に分類して,順次検討する。
(イ)
a
本件服飾品等について
前記認定事実エのとおり,副社長は,別紙2本件各購入品等一覧
のとおり,本件各購入品等の購入等をしたものであるところ,そのう
ち,本件服飾品等の内容をみると,高級ブランドの婦人服,呉服,婦人靴,婦人用の服飾雑貨等,女性用のものがほとんどであることが認められる。これらが他人への贈答品であったとするとみるには,あまりに女性用のものに偏っていて不自然であることからすると,そのこと自体から,少なくとも本件服飾品等の多くは,副社長が自ら使用又
は所有するために購入したものとみるのが自然である。
そして,副社長は,本件税務調査における質問調査において,調査担当者に対し,本件服飾品等のうち,マノンレスコー及び銀座のシャネルで購入したものや,呉服については自分のために購入したとの供述をしているから(前記認定事実オ(ア)c),少なくともそ
れらの購入は,副社長が自ら使用又は所有するための購入であったことが明らかであるところ,本件各購入品等のうち,別紙2の購入先欄にCHANEL銀座又はマノンレスコーとの記載があるも
のや,商品名等欄に呉服との記載があるものは,本件各購入
品等のうちで相当の割合を占めており,例えば平成26年7月から同
年12月までの半年間に購入された本件服飾品等(ただし,商品名等欄に送料との記載があるものを除く。)の116点のうちの
61点が該当する。
また,副社長は,他の服やバッグについてもキチンとした格好をして生活するのが当たり前という理由で購入していることや,そのようにして購入した服やバッグを自らが居住する社宅に置いていることを認めていたこと,必要がなくなったものは,フランスの友人に送
っていたと供述していたこと,後記のとおり,本件宝飾品等も副社長が個人的な購入をしたものであったことからすると,本件各購入品等のうちの多くは自ら使用又は所有するために購入したものと認められる。
b
本件服飾品等には,紳士用の服飾品等が含まれているところ,これらは,原告が自ら使用又は所有するために購入したものとはいえず,副社長が贈答のために購入した可能性がある。しかしながら,その点数は,原告がそのように主張するものをみても,別紙3に記載するとおり30点余りであって,副社長は,平成25年及び平成26年のいずれにおいても,本件服飾品等を年間250点以上購入等をしていた
ことからすると(前記認定事実エ〔別紙2〕),全体の中で占める割合は限られている上,原告が主張するように贈答先が取引先であったことを認めるに足りる証拠もない。
こうしてみると,本件服飾品等の中に,上記の紳士用の服飾品等を含めその一部に副社長が他人への贈答のために購入したとみられるも
のがあっても,それらは,副社長の意向に基づき個人的な贈答のために購入されたものであり,自ら使用又は所有するための購入と同様,個人的な購入の範疇に含まれるものであったと評価するのが相当である。
c
原告は,前記認定事実キのとおり,本件税務調査において指摘を受けたことから,本件服飾品等の購入代金を副社長に対する貸付金とす
る処理を行い,
金銭借用証書の交付を受けるなどしているが,
他方で,
副社長の役員報酬額を増額し(前記認定事実ケ),副社長に実質的な負担をさせないようにしている。このことは,原告においても,本件訴訟において,

交際接待費による処理が認められないからやむを得ず貸付金としているにすぎないのであって,原告としても実際に副社長に返済させるつもりはない。

と主張していることからみても明らかである。このことからみても,そもそも本件服飾品等の購入費用の支出が副社長に対する貸付けの実質を具備していなかったことは明らかである。
d
以上より,本件服飾品等の購入等について,原告のための交際接待費として認められるものはなく,いずれも副社長の個人的な購入のためにされたものと認められるから,副社長は,本件服飾品等の購入等により,その分の利益を原告から得たものと認められる。

e
これに対し,原告は,社の方針として,異業種の人材との交流による商機の拡大のため,副社長による贈答交際も,原告会社の経営方針の一環であった旨主張する。しかし,上記説示のとおり,本件服飾品等の多くは,副社長が自ら使用又は所有するために購入したものであるし,一部が他人への贈答に使用されたとしてもそれが取引先への贈答であったことを認めるに足りる的確な証拠はない。そもそも,原告
の主張によれば人と人とのつながりを大切にする,ビジネスチャンスはどこから生まれてくるかわからないという姿勢で臨んでいたというのであるから,そうであるとすれば,その交際範囲は極めて広範に及び,自ずから私的な交際との区別もあいまいにならざるをえないのであって,それらを全て会社の事業のための贈答であると認め
ることは到底できないというべきである。したがって,原告の主張は採用できない。

(ウ)
a
本件宝飾品等について
前記のとおり,副社長は,原告の経費を自由に使用することができる立場にあったことが認められるから,本件宝飾品等についても,そのような立場に基づいて個人的な購入をしたとしても何ら不自然ではない。

そして,本件宝飾品等には,副社長の希望するデザインや副社長のサイズに合わせて製作されたダイヤモンドリングが含まれ,
副社長は,
少なくともその一部を着用していたことが認められる(前記認定事実オ(イ)a)。また,副社長は,本件宝飾品等を百貨店において一般の小売価格で購入し(前記認定事実オ(イ)b),いずれも副社長が会長
と二人で居住する社宅に保管しており,しかもその一部は購入時のケースから取り出して専用の引き出し内に一覧できる形で保管されていたのであり(前記認定事実オ(イ)d),これらからすると,副社長の本件宝飾品等の購入は,個人的な購入であったものと推認することができる。

b
これに対し,原告は,資産性の高い棚卸資産又は商品として本件宝飾品等を購入していた旨を主張する。
しかしながら,原告は,本件税務調査を受けるまで,本件宝飾品等の額を交際接待費に計上していた上(前記認定事実キ),原告は,本
件宝飾品等について,棚卸等の実施や在庫表,資産管理台帳,販売に係る事業計画等の作成をしていなかったのであり(前記認定事実オ(イ)c),原告が,本件宝飾品等を原告の資産又は商品として取り扱っていた形跡は全くうかがえない。そして,原告は,会社の目的としては宝石,
貴金属の販売をも掲げていたが,
本件各事業年度において,

宝石等の販売実績は1回もなく,原告のホームページにおいても,宝石等の販売については,原告の事業内容として公表されていなかった
のであり(前記認定事実オ(イ)e),原告が事業として宝飾品を取り扱っていたことはうかがえない。
c
このように,本件宝飾品等の購入等は,副社長の個人的な購入であったと推認できる一方で,原告の事業のために行われたものとみるには不自然な事情が重なっているとみざるを得ず,上記推認を覆すもの
とはいえない。
d
したがって,本件宝飾品等の購入等は,いずれも副社長の個人的な購入のためにされたものと認められるから,副社長は,それらの購入等により,その分の利益を原告から得たものと認められる。

(エ)

本件振替後交際費分について
本件振替後交際費分は,平成24年6月7日から同年10月5日まで
にK店で購入された宝飾品等4点であり(前記認定事実エ〔別紙2〕),その購入が副社長の個人的な購入としてされたことは,本件服飾品等及び本件宝飾品等と同様に認定することができるから,副社長は,それらの購入により,その分の利益を得たものと認められる。
(オ)

本件二重計上分について
本件二重計上分は,副社長が原告の負担によって購入等をしているに
もかかわらず,副社長が立て替えたとして原告から金員の交付を受けたものであるから,副社長がその分の利益を得たことは,明らかに認められる。
(カ)

原告の主張について
原告は,副社長が本件各購入品等の購入等により利得を得たことにつ
いて,一つ一つの事実認定がされるべきである旨主張するところ,本件各購入品等の全てについて,副社長がそれらの購入等により,その分の利益を得たと認められることは,前記(イ)から(オ)までで説示したとおりである。原告の上記の主張が,本件各購入品等の購入等のそれぞれに
ついて,具体的な購入の態様,目的,意図等についてまで立証する必要があるというものであれば,過度な立証を要求するものといわざるを得ず,採用することはできない。
(キ)

小括
以上により,副社長は,本件各購入品等の購入等により,その購入等
の分の利益を原告から得たと認められる。

副社長が本件各購入品等の購入等により利益を得たことをもって,給与等に該当するといえるか否かについて
(ア)

前記アで説示したとおり,副社長は,原告において,個人的な利用
も含め,経費を自由に使用することができる立場にあったのであり,その立場に基づいて,本件各購入品等の購入等をしたものである。
(イ)

そして,原告は,本件税務調査の前にも,税務調査において,副社
長が交際費等として購入等をした支出について,副社長に対する給与に該当する旨の指摘を受けたことがあり,その際,かかる支出について副社長に対する給与に該当するとして法人税及び消費税に係る修正申告をするなどしていたが(前記認定事実コ),その後においても,副社長が経費を支出する手続としては,事前の許可や事後の確認を求めることもなく(前記認定事実イ(イ)),会長においても,経費の取扱いについては副社長に任せていた(前記認定事実ウ(ア))。そして,そのような状
況のもとで,副社長による本件各購入品等の購入等がされていたものである。
(ウ)

こうしてみると,副社長が個人的な利用も含め,経費を自由に使用
することができる立場にあり,その立場に基づいて本件各購入品等の購入等をしたことは,原告によって承認されていたといえるから,原告の意思に基づくものであったというべきである。
そして,副社長が上記のとおり経費を使用して本件各購入品等の購入
等をすることができたのは,原告において取締役副社長という地位及び権限を有していたからにほかならない。また,給与所得は,金銭の形を取る必要はなく,金銭以外の資産又は経済的利益の供与をも含む概念であるというべきであるから(平成27年最高裁判決参照),副社長が本件各購入品等の購入等によりその分の利益を得たことは,原告による給
与等に該当するというべきである。
(エ)

原告の主張について
原告は,法人の認識として,利益を供与する意思が必要であり,代表
者が容認していただけでは足りないと主張するが,個人的な購入の性質を有する副社長による本件購入品等の購入等のための代金の支出を会長
が容認していた事実が認められるのであり,供与者における認識として欠けるところはないというべきである。
また,原告は,本件各購入品等の支出は,使途秘匿金の支出に当たるものとして課税がされるべきであるのに,安易に給与等に該当すると認定した旨を主張するが,副社長が本件各購入品等によりその分の利益を
得たことが給与等に該当するとされる以上,使途秘匿金と課税上の扱いを異にすることに何ら不合理な点はないというべきであり,その主張を採用することはできない。
(4)
争点(3)(本件宝飾品等及び本件振替後交際費分の各購入等が課税仕入れ
に該当するか否か)について
課税仕入れとは,事業者が,事業として他の者から資産を譲り受け,若しくは借り受け,又は役務の提供(給与等を対価とする役務の提供を除く。)を受けることをいう(消費税法2条1項12号)。
前記(3)で説示したとおり,
本件宝飾品等及び本件振替後交際費分の購入等

は,副社長が個人的に行い,その分の利益を得たものであり,給与等と認められるものであるから,それをもって,原告が事業として他の者から資産を
譲り受けるなどしたということはできない。
したがって,本件宝飾品等及び本件振替後交際費分の購入等は,課税仕入れに該当しない。
3
本件各処分等の適法性
これまで述べたところに加えて,本件全証拠及び弁論の全趣旨によれば,本
件各処分等の根拠及び適法性については,別紙1に記載のとおり認めることができるから,本件各処分等は,いずれも適法である。
第4

結論
以上の次第で,原告の請求はいずれも理由がないからこれを棄却することと
し,主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第7民事部

裁判長裁判官

松永栄治
裁判官

宮端謙一
裁判官

渡邊直樹
(別紙2省略)
(別紙3省略)
(別表1-1省略)
(別表1-2省略)
(別表1-3省略)

(別表1-4省略)
(別表2-1省略)
(別表2-2省略)
(別表2-3省略)
(別表2-4省略)
(別表3省略)

(別紙1)
本件各処分等の根拠及び適法性
1
本件消費税等各更正処分の適法性
(1)


平成25年12月課税期間(別表2-1,2-2)
課税標準額(別表2-1⑦欄)
1121億6457万4000円
上記金額は,
原告の平成25年12月課税期間の消費税等の修正申告書
(以
下平成25年12月課税期間消費税等修正申告書という。甲4の1の2・1枚目)の①課税標準額欄に記載された金額である。

課税標準額に対する消費税額(別表2-1⑧欄)
44億8658万2960円
上記金額は,原告の平成25年12月課税期間消費税等修正申告書(甲4の1の2・1枚目)の②消費税額欄に記載された金額である。

課税仕入れに係る支払対価の額(別表2-1⑪欄)
1169億6879万8120円

上記金額は,平成25年12月課税期間消費税等修正申告書における課税仕入れに係る支払対価の額1171億3833万7590円(甲4の1の2・2枚目⑧欄,別表2-2①欄)から,別表2-2の加算欄(②欄)及び減算欄(③,④欄)にそれぞれ記載した理由(ただし,前記第7の理由とあるのは,後記6(3)(被告の主張)の理由と読み替える。以下同じ。)
により,同各欄の金額に基づく差引減算額1億6953万9470円(別表2-2⑤欄)を減算した金額である。
なお,上記差引減算額1億6953万9470円は,課税資産の譲渡等と課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れに係る支払対価の額である。


課税仕入れに係る消費税額(別表2-1⑫欄)

44億5595万4214円
上記金額は,前記ウの金額に105分の4を乗じて算出した額である。オ
控除対象仕入税額(別表2-1⑯欄)
44億5560万6237円
上記金額は,平成25年12月課税期間における課税売上高が5億円を超
えるため,消費税法30条2項の規定に基づき,前記エの金額のうち課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れの税額である原告が平成25年12月課税期間消費税等修正申告書において当該税額とした金額43億2700万3172円(甲4の1の2・2枚目⑭欄,別表2-1⑬欄)に,課税資産の譲渡等と課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れの
税額1億2891万9523円(原告が平成25年12月課税期間消費税等修正申告書において当該税額とした金額1億3537万8169円〔甲4の1の2・2枚目⑮欄〕から前記ウの差引減算額1億6953万9470円の消費税額である当該金額に105分の4を乗じて算出した金額645万8646円を差し引いた金額。別表2-1⑭欄)に課税売上割合99.7545
313%(別表2-1⑥欄)を乗じて計算した金額1億2860万3065円を加算した金額である。
なお,上記課税売上割合は,原告が平成25年12月課税期間消費税等修正申告書において非課税売上額とした金額2億7815万8428円(甲4の1の2・2枚目⑥欄)から,原告の振替経理処理により貸付金とした金額
に係る受取利息の額244万9593円を減算した金額2億7570万8835円(別表2-1④欄)を非課税売上額としたところにより算定した割合である。

納付すべき消費税額(別表2-1⑰欄)
3097万6700円

上記金額は,前記イの金額から前記オの金額を差し引いた金額(ただし,
国税通則法119条1項の規定に基づき,100円未満を切り捨てた後のもの)である。

既に納付の確定した消費税額(別表2-1⑱欄)
2453万6800円
上記金額は,原告の平成25年12月課税期間消費税等修正申告書(甲4
の1の2・1枚目)の⑨差引税額欄に記載された金額である。ク
差引納付すべき消費税額(別表2-1⑲欄)
643万9900円
上記金額は,
前記カの金額から前記キの金額を差し引いた後の金額である。


納付すべき譲渡割額(別表2-1⑳欄)
774万4100円
上記金額は,地方消費税の課税標準である前記カの金額に100分の25を乗じた金額(ただし,地方税法20条の4の2第3項の規定に基づき,100円未満を切り捨てた後のもの)である。


既に納付の確定した譲渡割額(別表2-1㉑欄)
613万4200円
上記金額は,原告の平成25年12月課税期間消費税等修正申告書(甲4の1の2・1枚目)の⑳納税額欄に記載された金額である。


差引納付すべき譲渡割額(別表2-1㉒欄)
160万9900円

上記金額は,
前記ケの金額から前記コの金額を差し引いた後の金額である。

差引納付すべき消費税等の合計税額(別表2-1㉓欄)
804万9800円
上記金額は,前記クの金額と前記サの金額との合計金額である。

(2)

平成26年12月課税期間(別表2-3,2-4)
課税標準額(別表2-3⑦合計欄)

1146億3827万2000円
上記金額は,原告の平成26年12月課税期間の消費税等の修正申告書(以下平成26年12月課税期間消費税等修正申告書という。甲4の2の2・1枚目)の①課税標準額欄に記載された金額である。イ
課税標準額に対する消費税額(別表2-3⑧合計欄)65億2825万3020円
上記金額は次の(ア)及び(イ)の金額の合計額である。
(ア)

税率4%適用分

12億0688万3680円

上記金額は,原告の平成26年12月課税期間消費税等修正申告書の付表1(甲4の2の2・2枚目)の②消費税額・税率4%適用分欄
に記載された金額(別表2-3⑧税率4%適用分欄)である。(イ)

税率6.3%適用分

53億2136万9340円

上記金額は,原告の平成26年12月課税期間消費税等修正申告書の付表1(甲4の2の2・2枚目)の②消費税額・税率6.3%適用分欄に記載された金額(別表2-3⑧税率6.3%適用分欄)である。

課税仕入れに係る支払対価の額(別表2-3⑪合計欄)
1199億4178万7009円
上記金額は,次の(ア)及び(イ)の金額の合計額である。
(ア)

税率4%適用分

301億8972万9942円

上記金額は,平成26年12月課税期間消費税等修正申告書における課税仕入れに係る支払対価の額(税率4%適用分)302億9556億8377円(甲4の2の2・3枚目⑧欄,別表2-4①税率4%適用分欄)から,別表2-4の加算欄(②ないし④欄)及び減算欄(⑤ないし⑧欄)にそれぞれ記載した理由により,同各欄の金額に基づく差引
減算額1億0583万8435円(別表2-4⑨税率4%適用分欄)を減算した金額である。

なお,上記差引減算額1億0583万8435円は,課税資産の譲渡等と課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れに係る支払対価の額である。
(イ)

税率6.3%適用分

897億5205万7067円

上記金額は,平成26年12月課税期間消費税等修正申告書における
課税仕入れに係る支払対価の額(税率6.3%適用分)898億2827億7171円(甲4の2の2・3枚目⑧欄,別表2-4①税率6.3%適用分欄)から,別表2-4の加算欄(②ないし④欄)及び減算欄(⑤ないし⑧欄)にそれぞれ記載した理由により,同各欄の金額に基づく差引減算額7622万0104円(別表2-4⑨税率6.3%適用分欄)を減算した金額である。なお,上記差引減算額7622万0104円は,課税資産の譲渡等と課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れに係る支払対価の額である。

課税仕入れに係る消費税額(別表2-3⑫合計欄)
63億8562万1612円
上記金額は次の(ア)及び(イ)の金額の合計額である。
(ア)

税率4%適用分

11億5008万4950円

上記金額は,前記ウ(ア)の金額に105分の4を乗じて算出した額である。

(イ)

税率6.3%適用分

52億3553万6662円

上記金額は,前記ウ(イ)の金額に108分の6.3を乗じて算出した額である。

控除対象仕入税額(別表2-3⑯合計欄)
63億8420万4747円

上記金額は次の(ア)及び(イ)の金額の合計額である。

(ア)

税率4%適用分

11億4986万1206円

上記金額は,原告の平成26年12月課税期間における課税売上高が5億円を超えるため,消費税法30条2項の規定に基づき,前記エ(ア)の金額のうち課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れの税額である原告が平成26年12月課税期間消費税等修正申告書において当該税額とした金額11億1578万3637円(甲4の2の2・3枚目⑭税率4%適用分欄,別表2-3⑬税率4%適用分欄)に,課税資産の譲渡等と課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れの税額3428万5735円(原告が平成26年12月課税期間消費税等修正
申告書において当該税額とした金額3831万7675円〔甲4の2の2・3枚目⑮税率4%適用分欄〕から前記ウ(ア)の差引減算額1億0583万8435円の消費税額である当該金額に105分の4を乗じて算出した金額403万1940円を差し引いた金額。別表2-3⑭税率4%適用分欄)に課税売上割合99.3928501%(別表2-3⑥欄)
を乗じて計算した金額3407万7569円を加算した金額である。なお,上記課税売上割合は,原告が平成26年12月課税期間消費税等修正申告書において非課税売上額とした金額7億0717万2943円(甲4の2の2・3枚目⑥欄)から,原告の振替経理処理により貸付金とした金額に係る受取利息の額687万7910円を減算した金額7億0
029万5033円(別表2-3④欄)を非課税売上額としたところにより算定した割合である。
(イ)

税率6.3%適用分

52億3434万3541円

上記金額は,原告の平成26年12月課税期間における課税売上高が5億円を超えるため,消費税法30条2項の規定に基づき,前記エ(イ)の金額のうち課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れの税額である原告が平成26年12月課税期間消費税等修正申告書において当該税額とした
金額50億6009万1649円(甲4の2の2・3枚目⑭税率6.3%適用分欄,別表2-3⑬税率6.3%適用分欄)に,課税資産の譲渡等と課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れの税額1億7531万6325円(原告が平成26年12月課税期間消費税等修正申告書において当該税額とした金額1億7976万249
7円〔甲4の2の2・3枚目⑮税率6.3%適用分欄〕から前記ウ(イ)の差引減算額7622万0104円の消費税額である当該金額に108分の6.3を乗じて算出した金額444万6172円を差し引いた金額。別表2-3⑭税率6.3%適用分欄)に課税売上割合99.3928501%(別表2-3⑥欄)を乗じて計算した金額1億7425万189
2円を加算した金額である。
なお,課税売上割合は前記(ア)と同内容である。

納付すべき消費税額(別表2-3⑰合計欄)
1億4404万8200円
上記金額は,次の(ア)及び(イ)の金額の合計額(ただし,国税通則法11
9条1項の規定に基づき,100円未満を切り捨てた後のもの)である。(ア)

税率4%適用分

5702万2474円

上記金額は,前記イ(ア)の金額から前記オ(ア)の金額を差し引いた金額である。
(イ)

税率6.3%適用分

8702万5799円

上記金額は,前記イ(イ)の金額から前記オ(イ)の金額を差し引いた金額である。

既に納付の確定した消費税額(別表2-3⑱欄)
1億3563万4500円

上記金額は,原告の平成26年12月課税期間消費税等修正申告書(甲4の2の2・1枚目)の⑨差引税額欄に記載された金額である。

差引納付すべき消費税額(別表2-3⑲欄)
841万3700円
上記金額は,
前記カの金額から前記キの金額を差し引いた後の金額である。


納付すべき譲渡割額(別表2-3⑳合計欄)
3773万8700円

上記金額は次の(ア)及び(イ)の金額の合計額(ただし,地方税法20条の4の2第3項の規定に基づき,
100円未満を切り捨てた後のもの)
である。
(ア)

税率4%適用分

1425万5618円

上記金額は,地方消費税の課税標準である前記カ(ア)の金額に100分の25を乗じた金額である。

(イ)

税率6.3%適用分

2348万3152円

上記金額は,地方消費税の課税標準である前記カ(イ)の金額に63分の17を乗じた金額である。

既に納付の確定した譲渡割額(別表2-3㉑欄)
3554万7800円

上記金額は,原告の平成26年12月課税期間消費税等修正申告書(甲4の2の2・1枚目)の⑳納税額欄に記載された金額である。

差引納付すべき譲渡割額(別表2-3㉒欄)
219万0900円
上記金額は,
前記ケの金額から前記コの金額を差し引いた後の金額である。


差引納付すべき消費税等の合計税額(別表2-3㉓欄)
1060万4600円
上記金額は,前記クの金額と前記サの金額との合計金額である。

(3)
小括
以上のとおり,原告の本件各課税期間の消費税に係る控除対象仕入税額,納
付すべき消費税額及び納付すべき地方消費税額(譲渡割額)は,本件消費税等
各更正処分における控除対象仕入税額,納付すべき消費税額及び納付すべき地方消費税額(別表1-3の更正処分等欄)と同額であるから,本件消費税等各更正処分はいずれも適法である。
2
本件各納税告知処分の適法性
(1)

本件各納税告知処分の根拠(別表3)
別紙2の本件各購入品等に係る各購入等の額は,後記6(2)(被告の主張)の
とおり,原告から副社長に対する所得税法28条1項に規定する給与等の額に該当し,本件各購入品等の購入等により副社長に利益が移転することにより,同法183条1項の給与等の支払があったものというべきであるから,原告は,その支払の際,同項の規定による所得税及び復興財源確保法28条1項の規定による復興特別所得税額を併せた金額(ただし,復興特別所得税額についてはその徴収を平成25年1月1日以後に行うべきもののみ。)を徴収し,これを国に納付しなければならない。
また,副社長は,原告に対して平成24年ないし平成26年の各年分に係る
扶養控除申告書(乙43の1及び2)を提出しており,同人の扶養親族等は0人で,原告の同人に対する給与等の支給期は毎月と定められているものと認められる(乙44の1ないし3)。
そうすると,本件期間に係る各月分の原告の源泉所得税等の額は,平成24年12月31日までに徴収すべきものについては所得税法別表第二に掲げる所
得税額,平成25年1月1日以後に徴収すべきものについては復興財源確保法29条1項1号により定める財務大臣が定める表(以下,平成25年分以後源泉徴収税額表という。乙11〔4~11枚目〕)に掲げる所得税額及び復興特別所得税額
(上記別表第二又は平成25年分以後源泉徴収税額表における,
各月分の給与等の金額に応じた
その月の社会保険料等控除後の給与等の金額

欄の該当する行と甲欄の扶養親族等の数の0人に対応する税額)
であり,このうち,本件各購入品等に係る給与等の額について原告が副社長か
ら徴収し納付すべき額は,別表3の本件税務調査に基づくものの左記金額に係る源泉所得税等の額欄の各税額から,前回調査までのものの左記金額に係る源泉所得税等の額(前回調査までの課税済分)欄の各税額を差し引いた差引納付税額欄の各金額となる。
(2)

本件各納税告知処分の適法性
以上のとおり,原告が副社長から徴収し納付すべき本件期間に係る各月分の
源泉所得税等の額は別表3差引納付税額欄のとおりであり,本件各納税告知処分における納付すべき税額(別表1-4の納税告知処分欄)と同額であるから,本件各納税告知処分はいずれも適法である。
3
本件各賦課決定処分の適法性
(1)本件消費税等各更正処分に係る過少申告加算税の各賦課決定処分の適法性ア
平成25年12月課税期間消費税等更正処分に係る過少申告加算税の賦課決定処分の根拠
平成25年12月課税期間消費税等更正処分に伴って賦課される過少申告加算税の額は,同更正処分により納付すべき消費税等の合計税額804万円
(前記1(1)シ。
ただし,
国税通則法118条3項の規定に基づき1万円未満
の端数金額を切り捨てた後のもの。別表2-1㉔欄)に,100分の10の割合を乗じて算出した金額80万4000円(別表2-1㉕欄)である。イ
平成26年12月課税期間消費税等更正処分に係る過少申告加算税の賦課決定処分の根拠

平成26年12月課税期間消費税等更正処分に伴って賦課される過少申告加算税の額は,同更正処分により納付すべき消費税等の合計税額1060万円(前記1(2)シ)。ただし,国税通則法118条3項の規定に基づき1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。別表2-3㉔欄)に,100分の10の割合を乗じて算出した金額106万円(別表2-3㉕欄)である。

小括

以上のとおり,本件消費税等各更正処分に伴って原告に賦課されるべき過少申告加算税の金額は,本件消費税等各更正処分に係る過少申告加算税の各賦課決定処分により原告に賦課された過少申告加算税の金額
(別表1-3
更正処分等欄)と同額である。
また,前記1のとおり,本件消費税等各更正処分は適法であるところ,同
各更正処分に基づき原告が新たに納付すべき消費税等の合計税額の計算の基礎となった事実のうちに,同各更正処分前の消費税等の合計税額の計算の基礎とされていなかったことについて国税通則法65条4項にいう正当な理由があると認められるものはない。したがって,本件消費税等各更正処分に係る過少申告加算税の各賦課決定
処分は適法である。
(2)

本件各納税告知処分に係る不納付加算税の各賦課決定処分の適法性本件各納税告知処分に係る不納付加算税の各賦課決定処分の根拠
本件各納税告知処分に伴って賦課される不納付加算税の額は,同各告知処分により納付すべき源泉所得税等の額(ただし,国税通則法118条3項の
規定に基づき1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。)に,100分の10の割合を乗じて算出した金額(別表3不納付加算税額欄)の合計額である。

本件各納税告知処分に係る不納付加算税の各賦課決定処分の適法性以上のとおり,本件各納税告知処分に伴って原告に賦課されるべき不納付加算税の金額は,本件各納税告知処分に係る不納付加算税の各賦課決定処分により原告に賦課された不納付加算税の金額(別表1-4不納付加算税賦課決定処分欄)と同額である。また,前記2のとおり,本件各納税告知処分は適法であるところ,原告が
当該各納税告知処分に係る源泉所得税等の額を法定納期限までに納付しなかったことについて国税通則法67条1項ただし書にいう正当な理由があ
ると認められるものはない。
したがって,本件各納税告知処分に係る不納付加算税の各賦課決定処分は適法である。

トップに戻る

saiban.in