判例検索β > 平成24年(行ウ)第345号
住民訴訟事件
事件番号平成24(行ウ)345
事件名住民訴訟事件
裁判年月日令和2年7月21日
裁判所名東京地方裁判所
判示事項中央卸売市場の移転先用地を取得するため複数筆の土地を正常価格の目安となる価格の約1.37倍から約1.41倍の価格で買い取る各売買契約を締結した都の財務局長の判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとして違法であるとはいえないとされた事例
裁判要旨中央卸売市場の移転先用地を取得するため複数筆の土地を正常価格の目安となる価格の約1.37倍から約1.41倍の価格で買い取る各売買契約を締結した都の財務局長の判断は,①中央卸売市場施設の狭隘・過密化・老朽化に対処するため,都が中央卸売市場を移転する方針としていたが,上記複数筆の土地の所在する地区以外に移転候補地が見当たらない状態であったこと,都が中央卸売市場を現在地において再整備する具体案を採用せず,移転を推進したことがそれ自体不合理とはいえないこと,上記複数筆の土地には相当程度の土壌汚染が存在したが,多額の費用は要するものの,一定程度の土壌汚染対策をすることが可能であったこと,中央卸売市場の移転先用地の一部として既に取得した土地の活用も考慮する必要があったことから,中央卸売市場の移転先用地を取得する必要があると判断して,上記各売買契約を締結したこと自体が不合理であるということはできないこと,また,②上記各売買契約の締結の一方で,都がその売主との間で,売主が上記複数筆の土地を含む中央卸売市場移転予定地の土壌汚染対策費用の一部を負担する協定を締結していることなど,判示の事情の下では,その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとして違法であるとはいえない。
裁判日:西暦2020-07-21
情報公開日2020-11-11 10:00:27
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令和2年7月21日判決言渡
平成24年(行ウ)第345号

同日原本領収

裁判所書記官

住民訴訟事件

口頭弁論終結日令和元年12月10日
判主決文1
原告らの請求を棄却する。

2
訴訟費用(補助参加によって生じた費用を含む。)は原告らの負担とする。
事実及び理由

第1請求
被告は,被告補助参加人(以下参加人という。)に対し,578億1427万8000円及びこれに対する平成24年6月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を請求せよ。
第2事案の概要

本件は,東京都が東京都中央卸売市場築地市場(以下築地市場という。)の移転先用地を取得するため土地の売買契約を締結したところ,東京都の住民である原告らが,上記売買契約の締結は違法であり,当時の東京都知事であった参加人は,東京都を代表して上記売買契約を締結したことから損害賠償責任を負い,上記売買契約を締結したものでなかったとしてもその締結につ
き指揮監督義務違反があることから損害賠償責任を負うなどとして,東京都の執行機関である被告を相手に,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,参加人に対して上記土地の取得価格である578億1427万8000円(予備的に,順次,土地の取得価格と正常価格との差額であると主張する①541億7475万円,②220億2180万円,③156億5650万円)の損害
賠償及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成24年6月15日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払の請求をすることを求める事案である。
1関係法令等の定め
関係法令等の定めは,別紙2―1から2-6までに記載のとおりである(なお,上記各別紙中で定義した略称等は,以下の本文においても同様に用いる。また,上記各別紙中で改正前のものを掲げている条文は,以下の本文においても特に断りのない限り当該改正前のものを指す。)。
2前提事実(証拠等を掲げていない事実は当事者間に争いがない。)当事者等

原告らは,いずれも東京都の住民である。


参加人は,平成11年4月,東京都知事に就任し,以後継続して東京都知事の任にあり,平成23年4月当時も東京都知事であった者である(甲45,弁論の全趣旨)。

築地市場再整備問題の経緯等

築地市場は,昭和10年2月に開場式が行われた。


東京都は,平成13年12月,東京都卸売市場整備計画(第7次)を策定し,中央区に所在する築地市場を江東区豊洲地区へ移転する方針を決定した(乙21)。


東京都は,平成14年7月31日,豊洲地区の地権者である①A,②B,③C,④Dの4社(以下,①及び②を併せてA等といい,①から④ま
でを併せて民間地権者という。)との間で,築地市場の豊洲地区への移転,土地区画整理事業及び防潮護岸整備事業等を行うに当たっての確認として,豊洲地区開発整備に係る合意を締結した。同合意においては,豊洲地区内の汚染土壌対策について,都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(以下環境確保条例という。)に基づき対応を行うことと
された(以上につき,乙1)。
同時に,東京都及び民間地権者の各関係者の間で,『豊洲地区開発整備に係る合意』に当たっての確認と題する書面が取り交わされ,新市場用地の譲渡の時期については,同書面添付の事業スケジュールを基本とし,今後,協議の上決定し,また,売買価額については,売買契約締結時の適正な時価とすること,各地権者は,条例に基づき,従前の所有地に対して,責任を持って土壌汚染に関わる調査を行い,調査の結果,汚染が判明した
場合には,必要な処理対策を実施し,措置完了の届出を行い,従後の地権者に記録の承継を行うことなどが確認された(乙2。以下,この確認と前記豊洲地区開発整備に係る合意を併せて14年合意等という。)。エ
東京都は,平成17年5月31日,A等との間で,豊洲地区における築地市場移転予定地(以下豊洲新市場予定地という。)であるA等の所
有地における汚染土壌の処理の方法等について,A等が環境確保条例117条に基づき平成14年11月に東京都宛てに提出した汚染拡散防止計画書に記載する計画を実施することに加え,都民の健康と安全を確保する環境に関する条例施行規則別表第12に規定する汚染土壌処理基準(以下処理基準という。)を超えるA等の操業由来の汚染土壌については,道路(幹線街路及び補助線街路)の区域の下となる箇所及び一定の基準面より下部に存するものを除き,除去するか又は原位置での浄化等により処理基準以下となる対策を行うことなどを確認した(以下,この確認を17年確認という。)。

東京都は,平成19年4月,豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議(以下専門家会議)を設置し,同会議は,豊洲新市場予定地の調査を行った。専門家会議は,平成20年7月,豊洲新市場予定地について,①表層土壌及び地下水の汚染物質はベンゼン及びシアン化合物が中心であり,他にヒ素,鉛,水銀,六価クロム及びカドミウ
ムによる汚染が確認されたこと,②表層土壌では,ベンゼンが最高で処理基準の4万3000倍,シアン化合物が最高で処理基準(定量下限値)の860倍検出されたが,処理基準を1万倍以上超過した地点はベンゼンの1地点であり,100倍以上超過した地点はベンゼンで3地点,シアン化合物で1地点であったこと,③表層土壌で処理基準を超過した地点の全調査地点に占める割合は,ベンゼンが0.8%,シアン化合物が2.2%であったこと,④地下水では,ベンゼンが最高で地下水環境基準の1万倍,
シアン化合物が最高で地下水環境基準(定量下限値)の130倍検出されたが,処理基準を1万倍以上超過した地点はベンゼンの1地点であり,100倍以上超過した地点の全調査地点に占める割合はベンゼンが1.3%,シアン化合物が0.1%未満であったこと,⑤地下水で地下水環境基準を超過した地点の全調査地点に占める割合は,ベンゼンが13.6%,シア
ン化合物が23.4%であったこと,⑥地下水管理において,揚水した際に処理を行うことなく下水に放流できる濃度レベルを超過した地下水調査地点の割合は,ベンゼンが4.6%,シアン化合物が3.1%であったことなどを報告し,東京都に対し,土壌汚染に起因する汚染物質を暴露する経路を遮断することによってリスク低減を図るだけではなく,食の安全・
安心という観点を考慮し,揮発ガス成分(ベンゼン,シアン化合物)が隙間や亀裂から建物内に侵入することによる生鮮食料品への影響を防止する観点から,さらに上乗せ的な安全策を行うことなどを提言した(以上につき,甲19,丙4,弁論の全趣旨)。

東京都は,豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議
(以下技術会議という。)を設置し,技術会議は,平成21年2月,一般的な技術・工法を用いて専門家会議の提言を実現するための経費を試算すると973億円であったが,技術会議において策定した技術・工法を基に算定した土壌汚染対策費用は586億円になると報告した(甲23)。キ
その後,東京都議会において,築地市場現在地再整備について検討が行われるなどしたが,参加人は,平成22年10月22日の東京都知事定例記者会見において,築地市場の豊洲地区への移転を推進することを決断したことを明らかにした(甲42)。


土地売買契約等の締結
東京都は,平成23年3月31日から同年4月20日にかけて,いずれも
買主を東京都とする以下のアからエまでの4件の土地売買契約(以下順に本件契約1,本件契約2,本件契約3,本件契約4といい,
これらを併せて本件各契約という。)を締結するとともに,オの豊洲地区用地の土壌汚染対策の費用負担に関する協定(以下23年協定という。)を締結した(甲1~5)。

契約締結日

平成23年3月31日

売買価額

32億2650万円

売A主
対象土地

東京都市計画事業豊洲土地区画整理事業施行地区内第
6-1街区豊六21-5(以下本件土地1とい
う。)


契約締結日

平成23年3月31日

売買価額

527億2756万4000円

売B主
対象土地

東京都市計画事業豊洲土地区画整理事業施行地区内第
5街区豊六21-3外3筆(以下本件土地2とい

う。)

平成23年4月5日

売買価額

17億2584万8000円


契約締結日

C主
対象土地

東京都市計画事業豊洲土地区画整理事業施行地区内第
5街区豊六10-3(以下本件土地3という。)

契約締結日

平成23年4月20日

売買代金額

1億3436万6000円

売国主
対象土地

東京都市計画事業豊洲土地区画整理事業施行地区内第
5街区豊二10-16外1筆(以下本件土地4とい

い,本件土地1から本件土地4までを併せて本件各土地という。)オ
協定提携日
協定相手

A等

協定内容

平成23年3月31日

①豊洲新市場予定地に係る土壌汚染対策費用のうちAの負担額は2億4000万円,Bの負担額は75億60
00万円とする(3条)。
②A等は,今後,豊洲新市場予定地の土壌汚染に係る費用負担をしないことを確認する(6条)。
③協定に定めのない事項又は協定に関して疑義が生じ
た場合あるいは社会経済状況等の大幅な変化により合意
内容を見直す必要が生じた場合は,お互いに誠意を持っ
て協議し,解決を図る(7条)。

本件各契約の締結についての監査請求

原告X37,原告X38,原告X39及び原告X40を除く原告らは,平成24年3月2日,地方自治法242条1項に基づき,東京都監査委員に対し,本件各契約を締結し,公金を支出したことについて,本件各土地における土壌汚染を価格に反映させず,著しく高い価格で購入したものであり,同法2条14項,地方財政法4条1項及び東京都公有財産規則47
条に反し,違法であるなどとして,東京都が参加人に対して損害賠償請求をすることを求め,監査請求をした(甲6の1・2,弁論の全趣旨)。イ
東京都監査委員は,上記アの原告らに対し,平成24年4月26日付けで,上記アの監査請求には理由がない旨の監査の結果の通知をした(甲6の2,弁論の全趣旨)。



23年協定についての監査請求

原告X1,原告X2,原告X3,原告X4,原告X5,原告X7,原告X37,原告X38,原告X39及び原告X40は,平成24年3月28日,地方自治法242条1項に基づき,東京都監査委員に対し,豊洲地区の新市場予定地の汚染除去費用の大半を免除するものである23年協定は,同法2条14項,地方財政法4条1項及び東京都公有財産規則47条に反し,違法であるなどとして,東京都が参加人に対して損害賠償請求をする
ことを求め,監査請求をした(甲7の1,弁論の全趣旨)。

東京都監査委員は,原告X1,原告X2,原告X3,原告X4,原告X5及び原告X7に対し,平成24年4月26日付けで,上記アの監査請求は,前記⑷アの監査請求と同一の財務会計上の行為について重ねて監査請求をするものであり,不適法であるとして,監査を実施しない旨の通知を
した(甲7の2,弁論の全趣旨)。


本件訴えの提起
原告らは,平成24年5月24日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。


東京都中央卸売市場豊洲市場(以下豊洲市場という。)の開場
築地市場は閉場し,平成30年10月11日,本件各土地を含む豊洲地区
において,豊洲市場が開場した(丙3,弁論の全趣旨)。
3争点


参加人が本件各契約の締結をしたか否か
本件各契約の締結が違法か否か



本件各契約を締結した参加人の過失の有無



参加人の指揮監督義務違反の有無


東京都の損害額

4争点に関する当事者の主張


争点⑴(参加人が本件各契約の締結をしたか否か)について(原告らの主張)
本件各契約の締結については,東京都知事の権限を委任された財務局長に
よる決裁を受けているが,支出負担行為としての本件各契約の締結そのものは参加人が行っている。
(被告の主張)
争う。
(参加人の主張)

東京都においては,東京都事案決定規程4条及び別表に基づき,本件各契約の締結権限は,財務局長に分配されており,参加人は,これらに係る決裁文書の確認・押印をする立場になかった。本件各契約の締結の際に,契約書等の書面に東京都知事の公印が押印されたとしても,それは対外的に東京都を代表する東京都知事の印を押印したという以上の意味はなく,これをもっ
て支出負担行為としての本件各契約の締結を参加人が行ったことにはならない。


争点⑵(本件各契約の締結が違法か否か)について(原告らの主張)


判断枠組み
地方公共団体は,その事務を処理するに当たっては,住民の福祉の増進に努めるとともに,最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない(地方自治法2条14項)。また,地方公共団体の経費は,その目的を達成するための必要かつ最少の限度をこえて,これを支出してはなら
ない(地方財政法4条1項)。
そして,地方公共団体が土地を取得するに当たっては,購入の必要性やその土地の代替可能性,交渉経過等をも考慮した上で,地方公共団体が土地を適正な価格に比して著しく高額な対価で土地を取得した場合には,地方公共団体の財政の適正確保の見地から,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に反し,違法となると解すべきである。

本件各契約による本件各土地の売買価格は本件各土地の正常価格より著しく高額であること
土壌汚染の存在する本件各土地は,中央卸売市場の移転予定地として購入された土地である。地方公共団体が土地収用法により土地を収用することができる事業の用に供するため,公示区域内の土地を取得する場
合において,当該土地の取得価格を定めるときは,公示価格を規準としなければならないとされている(地価公示法9条)。したがって,地方公共団体が本件各土地のような財産を正常価格に比して著しく高額な対価で取得することは,地方公共団体の財政の適正確保の見地から看過し得ないものである。ここでいう正常価格とは,土地について,自由な取
引が行われるとした場合におけるその取引において通常成立すると認められる価格をいう(同法2条2項)。
そして,土壌汚染が存在する土地の価格は,汚染がない場合の価値から土地利用における健康リスク等の心理的嫌悪感による価格形成への影響を減じて,さらに土壌汚染対策費用を減じたものとなる。

土壌汚染を考慮しない本件各土地の価格は,本件各契約の売買代金額が土壌汚染を考慮しない価格であるため,その合計である578億1427万8000円と同額と考えることができる。そして,東京都は,本件各土地を含む豊洲新市場予定地に関する土壌汚染対策費用として,本件訴え提起時に少なくとも541億7475万円を支出する
ことにつき契約済みであり,本件各土地の面積は豊洲新市場予定地全体の約28.9%に当たるから,面積比で案分すると,本件各土地の土壌汚染対策費用は約156億5650万円となる。以上を前提とすると,本件各土地の正常価格は,心理的嫌悪感による価格形成への影響を除いても,421億5777万8000円(=578億1427万8000円-156億5650万円。以下正常価格①という。)となる。

また,本件各土地を含む豊洲新市場予定地の土壌汚染対策費用は,土壌汚染対策の実施後に増加し,平成25年決算時点で762億円となった。これを面積比で案分すると,本件各土地の土壌汚染対策費用は220億2180万円となる。したがって,土壌汚染対策費用の増加分を考慮して本件各土地の正常価格を求めると,357億9247
万8000円(=578億1427万8000円-220億2180万円。以下正常価格②という。)となる。
さらに,東京都は,本件各土地を除く豊洲新市場予定地の購入に際しても,A等との間で,土壌汚染を考慮しない価格で購入した。そのため,最後に購入した本件各土地の売買価格の決定に際して,既に購
入した土地の土壌汚染対策費用も考慮して購入価格を検討することもできたはずである。正常価格①と異なり,土壌汚染対策費用を面積比で案分しない場合,本件各土地の正常価格は36億3952万8000円(=578億1427万8000円-541億7475万円。以下正常価格③という。)となる。

原告らは,本件各土地の正常価格について,主位的に正常価格③を主張し,仮に主位的主張が認められない場合に正常価格②,正常価格①を順次予備的に主張する。
b
東京都の本件各土地の売買価格と正常価格との差額は,正常価格③の場合には541億円以上(較差約15.9倍)となる。正常価格②の場合でも,差額は220億円以上(較差約1.6倍),正常価格①の場合でも,差額は156億円以上(較差約1.4倍)にもなる。東京都の本件各土地の売買価格が正常価格よりも著しく高額であることは明白である。

本件各契約の締結は裁量権の範囲の逸脱又は濫用に当たること
上記イのとおり,東京都の本件各土地の売買価格は正常価格よりも著しく高額であるところ,以下の諸事情からすれば,本件各契約の締結は,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してされたものである。
国土交通省の不動産鑑定評価基準及び不動産鑑定評価基準運用上の留意事項によれば,土壌汚染の有無及びその状態は,土地価格を
形成する重大な要素である。また,土壌汚染対策法上の形質変更時要届出区域に指定される場合,通常の不動産取引では,土壌汚染の価格に与える影響は大きくなる。すなわち,土壌汚染対策法では,汚染地は要措置区域と形質変更時要届出区域に分類されるところ,前者は対策措置を要するが,後者は形質変更の届出をするだけでよい。そのため,売買の
当事者からすると,後者は汚染を残したままのリスク管理を要求されることになり,買主は,後者の場合には,土地売買価格を合意する際に,かなりの減額を要求することが多いとされている。
本件各土地は,A等の工場跡地であるところ,A等は,本件各土地の土壌汚染対策を行ったものの,汚染を完全に除去するのではなく,拡散
防止対策を行っただけであって,専門家会議の調査により,本件各土地には上記土壌汚染対策後も環境基準を超える有害物質が大量に存在することが明らかになっていた。このため,本件各土地は,土壌汚染対策法に基づき,形質変更時要届出区域に指定されており,これを全く考慮しないで売買価格を決定するということは,通常の不動産取引では考えら
れない。
被告は,本件において,当初は,14年合意等によって,東京都に本件各土地を汚染のない土地の価格で購入する法的義務が生じていたと主張していた。被告は後にこの主張を撤回したものの,東京都が14年合意等により本件各土地を汚染のない土地の価格で購入する法的義務が生じていたとの認識の下で,A等との間で本件各土地の価格に関して交渉してきたことは明らかである。しかしながら,14年合意等には,そのような法的義務を基礎付けるような合意はなく,客観的にみても,そのような法的義務があると誤信する余地もなかった。東京都がこのような認識を前提として本件各土地の売買価格を決定したことは,明らかに不合理である。

また,平成14年当時,あるいはA等から汚染拡散防止措置完了届出書が提出された平成19年4月27日の時点では,東京都はA等が土壌汚染対策を行うことで汚染が除去されて本件各土地が安全になると考えていたにもかかわらず,その後,全く想定していない深刻な汚染が発見されたのであるから,東京都の14年合意等に関する上記の誤った認識
を前提としても,14年合意等の事情変更条項に基づいて,交渉により汚染の実態を考慮した適正な売買価格を定める余地が十分にあったのであり,それすらも漫然と怠ったことは,不合理であることを超えて不可解ですらある。
東京都公有財産規則は,普通財産の管理及び処分に係る予定価格並び
に財産の取得に係る予定価格は,適正な時価により評定した額をもって定めなければならない(47条1項)とし,その決定に際しては,東京都財産価格審議会の議を経なければならないとしている(48条)。本件各契約の締結に際し,東京都は,東京都財産価格審議会に対し,本件各土地の土壌汚染の処理費用の負担について,従前地権者との間で協議
の上別途取り扱うこととしているから,本件各土地の土壌汚染については,評価に当たって考慮外とする旨の評価条件を付した。一方で,東京都は,本件契約1及び2において,本件土地1及び2の土壌汚染に関しては23年協定に基づくものとし,同協定に基づき定められた金額を控除して,本件契約1及び2の代金を支払った。このような契約形態を俯瞰すれば,本件契約1及び2は,23年協定に基づき,本件各土地の価格の合意をしているとみるべきである。にもかかわらず,東京都は,土壌汚染に関しては,本件各契約とは別の23年協定という形式を採ることによって,東京都財産価格審議会の議を経なかった。また,土壌汚染は,土地の価格形成に多大な影響を与える要素であるにもかかわらず,東京都は,その価格への影響について東京都財産価格審議会に諮ること
をしなかった。このような手法によって本件各契約を締結したことは,東京都公有財産規則を潜脱するものであり,地方財政の適正確保の観点から許されない行為である。
平成11年4月に参加人が都知事に就任した際の知事事務引継書には,築地市場を豊洲地区に移転する旨の文言はなく,また,同
年5月13日付けの中央卸売市場の事業説明の概要には,中央卸売市場としては,現在地で整備するより,移転すべきと考えているとの記載があるものの,築地市場がどこにあるべきかについては,E副知事をトップとした検討会で議論をしてきていると記載され,そして,E副知事は,(知事に向けて)この問題については,移転で腹を決めても,中央区は反対しているし,関係の議員も反対している。また,移転跡地の売却を考えているが難しい面があるし,公園整備など一般会計の持ち出しが必要になることも考えられ,慎重な判断が必要であると発言したと記載されている。したがって,この時点では,東京都において,築地市場を豊洲地区に移転することが決
まっておらず,新しく東京都知事になった参加人が決める立場にあったことは明らかであり,その後,参加人が築地市場の豊洲地区への移転を決裁したことは明らかである。
次に,土壌汚染の深刻な本件各土地を含むA等の工場跡地に築地市場を移転することに対して,汚染原因者のA等自身が懸念を表明していた。にもかかわらず,参加人と東京都幹部は,土壌汚染の問題を軽視し,豊洲地区を移転先に選んだ場合にどのような土壌汚染対策が必
要かという具体的な検討を行わなかった。仮に,参加人が食の安全・安心が確保されることや土壌汚染を考慮して移転先候補地を選定するように検討を指示していれば,本件各土地を含む豊洲地区は市場移転先の候補地として真っ先に不適格になったはずである。したがって,平成13年時点においても,本件各土地を取得する必要はなかった。
b
東京都は,A等が約100億円をかけた土壌汚染対策を実施すれば,汚染物質は存在せず,安全が確認された土地を取得することができるかのように東京都議会で説明してきた。その説明自体が,汚染を過小に見せかけるものであり,かつ虚偽を含むものであったが,A等が土壌汚染対策を実施した後の平成20年に,専門家会議の調査によって,
本件各土地に環境基準の4万3000倍のベンゼン等が存在するなど高濃度の汚染があることが発覚した。本来であれば,それまでの東京都の説明と異なることが明白になったのであるから,この時点で本件各土地を含めた豊洲地区への築地市場の移転を見直すべきであり,本件各土地を取得する必要はなかった。

c
平成22年度東京都中央卸売市場会計予算の付帯決議においては,東京都議会として築地市場の現在地再整備の可能性について検討し,東京都知事は議会における検討結果を尊重することが明記された。また,平成21年9月25日に東京都議会において設置された東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会(以下築地市場特別委員会という。)は,平成22年10月5日,調査報告書を取りまとめ,築地市場現在地再整備に関する四つの具体案を提示した。
このように,築地市場の豊洲地区への移転の有力な代替案として築地市場現在地再整備の案が存在しており,平成29年6月13日に小池百合子東京都知事に手交された市場問題プロジェクトチームの

第一次報告書では,民間的手法を用いた場合には,営業しながらの改修で7年,一旦移転する方法では3年半の工期で築地市場現在地再整備が可能とされていたにもかかわらず,参加人は,現在地再整備が順調に進んでも10数年かかり,工期が長いのが致命的であるという誤った認識の下,東京都知事として,築地市場現在地再整備計画を策定
し,比較検討させることを行わなかった。これは意図的な不作為である。
これらのことからすれば,平成23年の時点において,高濃度の汚染が発覚していた本件各土地をあえて取得する必要はなかった。
d
参加人は,A等が土壌汚染対策をした後も,本件各土地において高濃度の土壌汚染が確認されたにもかかわらず,平成22年10月22日の記者会見で,築地市場の豊洲地区への移転を決断した旨明らかにした。このような土壌汚染が確認されている状況下で参加人が築地市場の豊洲地区への移転を決断したのは,築地市場には災害時に閉鎖と
なるなどの問題があり,築地市場の再整備という政策課題を解決するために,築地市場現在地再整備という選択ができないという偏見に参加人が囚われており,かつ,土壌汚染を過小に見せる先端技術への過剰な期待があったからである。
したがって,平成23年当時,築地市場の再整備という政策課題を
解決するために,本件各土地の取得の必要性があったとは到底認められない。また,平成23年3月11日の東日本大震災によっても,築地市場は壊れることなく,全部閉鎖になることもなかったことからみても,築地市場の老朽化,防災上の問題から移転が必要という理由は根拠のないものであり,この観点からも本件各土地の取得の必要性はなかった。

小括
以上によれば,本件各契約の締結は,地方自治法2条14項及び地方財政法4条1項に反し,違法である。
なお,本件各土地のうち,本件土地3及び4の従前の所有者は,それぞれC及び国であり,本件各土地の汚染の原因となったA等ではない。しかし,土壌汚染が地下において移動すること,本件各土地が土地区画整理事
業による仮換地であって従前の占有者と必ずしも一致しないことなどから,本件各土地の土壌汚染は,本件土地1及び2に限られるものではなく,本件土地3及び4にも広がっている。したがって,本件土地3及び4についても,東京都が土壌汚染を考慮しない価格で購入したことは違法である。オ
被告及び参加人の主張について
参加人は,原告らの主張する正常価格①から③について,市場としての安全・安心確保の見地から,東京都が専門家会議及び技術会議の報告に基づいて実施することとした,土壌汚染対策法や関連法令により求められる対策を上回る内容の手厚い土壌汚染対策に係る経費の総額を計算
の基礎とした点で,出発点を誤っており,計算の基礎とされるべきは,A等が本件土地1及び2を第三者に譲渡するとした場合に要求されたであろう,一般的な土壌汚染対策費用でなければならない旨主張する。不動産鑑定においては,市場参加者の市場を代行するという観点から評価がされ,不動産鑑定評価基準及び不動産鑑定評価基準運用上の留意事項によれば,土壌汚染が存する場合の不動産鑑定評価においては,当該汚染の除去,当該汚染の拡散の防止その他の措置に要する費用の発生(すなわち,拡散防止の措置を講じたからといって土壌汚染がないものと評価することはできず,汚染の除去のための費用も考慮しなければならない。)のほか,土壌汚染対策法に規定する有害物質使用特定施設に係る工場若しくは事業場の敷地又はこれらの敷地であった履歴の有無,形質変更時要届出区域の指定がされている土地を含むか否かなどについても十分に考慮した上で,価格を評価する必要があるとされる。参加人が主張する一般的な土壌汚染対策費用は,土壌汚染対策法や関連法令の求める土壌汚染対策費用のことを指すものと考えられる。しかしながら,A等が行った当時の環境確保条例に基づく土壌汚染対策は,
基本的に拡散防止措置にすぎないから,土壌汚染が除去されるわけではない。そして,土壌汚染対策法は,国民の健康保護を目的とする法律であり(1条),土地の売買価格を直接に規律するものではないから,同法の要求する措置は,人の健康被害を防止するため必要な限度に限定される。そのため,一般的には,土地の買主側としては,同法の要求する
最低レベルでの汚染除去等の措置ではなく,完全浄化を求めて要措置区域又は形質変更時要届出区域の指定解除及び台帳からの抹消を要求する
は,汚染を残したままリスク管理を要求されることになるため,買主は,土地売買価格を合意する際に,かなりの減額を要求することが多いとされている。そもそも,形質変更時要届出区域は,要措置区域とは異なり,採るべき対策については規定されていないが,それは土壌汚染がないことを意味するものではなく,土壌汚染の程度は様々であり,土壌汚染の程度により不動産鑑定評価額が変動することは明らかである。したがって,同法や関連法令の求める土壌汚染対策費用と,不動産鑑定評価にお
いて汚染のない土地の価格から控除されるべき土壌汚染対策費用とは異なる。
加えて,A等が行ってきた土壌汚染対策は,拡散防止対策が基本であり,汚染物質が完全に除去される対策ではなく,しかも,上記土壌汚染対策は,平成13年に制定された東京都土壌汚染対策指針に基づくものであり,本件各契約当時に適用されていた平成19年改正の東京都土壌汚染対策指針よりも調査密度が粗く,汚染状況を十分に把握することができないものであった。その結果,上記汚染対策の実施後,専門家会議の調査によって,環境基準を大幅に上回る有害物質が大量に存在することが明らかとなっており,東京都の本件各土地取得前に行われた土壌汚染対策は,十分なものではなかった。

そして,技術会議において策定した技術・工法を基に算定した土壌汚染対策は,その項目をみると,汚染の除去等のために行われるものであるから,その費用586億円は,本件各土地の評価に当たり,当該汚染の除去,当該汚染の拡散の防止その他の措置に要する費用として考慮されるべきものである。

したがって,参加人の主張は理由がない。
参加人は,A等が支出することになる78億円及び既出分である約100億円の負担を考慮すれば,本件各土地の売買価格が正常価格とは大きく乖離していないと推測される旨主張する。また,被告も,23年協定に基づき,A等が78億円を負担していることを指摘する。

しかしながら,A等が約100億円を投じて土壌汚染対策をしたにもかかわらず,専門家会議の調査で本件各土地に環境基準の4万3000倍のベンゼンが存するなど高濃度の汚染が残されていることが発覚しており,約100億円を投じた土壌汚染対策で予定していた効果は全く達成できていない。本件各契約が締結されたのは平成23年であり,同年
当時の本件各土地の客観的価値を検討する際に,上記調査の前に土壌汚染対策に費やした約100億円を売買価格の要素として考慮すべきではない。
また,本件各契約の締結の時点で,技術会議の提言した586億円の土壌汚染対策を実施する必要があったところ,本件において追加の土壌汚染対策が必要となったのは,環境確保条例に基づく措置を一応実施した後のことであったこと,本件各土地は,形質変更時要届出区域であるから2年間のモニタリング調査が必要であったこと等からすれば,本件各土地については,今後も新たに汚染が発覚し,追加費用が生じ得るおそれが具体的に存在していたといえる。本件契約1及び2の締結当時,A等の責任を免除するような瑕疵担保責任免責条項を積極的に挿入し,
土壌汚染対策費用のうち僅か78億円のみをA等に負担させるにとどめたことは,明らかに不合理である。
したがって,A等の土壌汚染対策費用の負担をもって,本件各土地の売買価格が正常価格と大きく乖離していないということはできない。被告は,A等は,新市場予定地の売買の準備行為として,14年合意
等及び17年確認の一連の取決めに基づき,多額の費用を投じて汚染対策工事を実施し,東京都はそれに基づく措置完了の届出を受理しているのであるから,東京都が14年合意等の基本的枠組みに基づく適正な時価(汚染のない土地としての市場価格)で売買契約を締結しないとすれば,信義則に反するものとして,A等から相当額の損害賠償請求を
受ける可能性があったことは否定し得ない旨主張する。
しかしながら,14年合意等に係る合意書において,将来の売買価格について指示している文言は,売買契約締結時の適正な時価のみであり,汚染のない土地としての市場価格で売買契約を締結するという14年合意等の基本枠組みがあった旨の被告の主張は,文言解釈を超えて
自己に都合の良い解釈をするものにすぎない。
また,A等が土壌汚染対策を実施した後,本件各土地において環境基準を大幅に超える有害物質の存在が確認されている。この汚染を考慮して土地価格を算定することは,社会通念に適合するものであり,当事者間の信頼関係を不当に破壊するものではない。
被告は,東京都が実施した土壌汚染対策について,あくまで東京都が食の安全・安心の観点から法令の基準を上回る調査・対策を実施したことにより生じる費用であるとして,この費用をA等に請求する権利はないから,土壌汚染を考慮しない価格で本件各土地を取得したことは違法ではない旨主張する。
しかしながら,土壌汚染対策法も環境確保条例も公法上の規制であり,
土壌汚染が存在する土地の売買を直接規制しておらず,また売買価格も規制していないのであって,どのような対策を行えば,土地の売買価格の決定に際して土壌汚染を考慮しなくてよいと定めているわけではない。そもそも土壌汚染が存在する土地の売買価格を交渉して決定する際に,買主の売主に対する何らかの請求権が存在するか否かが問題となるわけ
ではない。したがって,法令の基準を上回る調査・対策を行ったのだから,東京都はA等に請求権を有しないという被告の主張は,主張自体失当である。
また,本件各土地の購入時点では,既に環境基準の4万3000倍ものベンゼン等が存在するなど深刻な土壌汚染の存在が明らかになってい
たところ,東京都のした対策は,土壌汚染対策法に基づく形質変更時要届出区域の指定解除を受けるために必要な対策にすぎず,これにより同法11条2項の指定解除の要件を満たすにすぎないから,これをもって法令の基準を上回る対策とまではいえない。
以上のとおり,被告の主張する法令の基準を上回る調査・対策は,本
件各土地の売買価格を決定する上で何ら意味のないものである。
被告は,専門家会議の調査の結果判明した汚染に対し,東京都が独自に実施する法令の基準を上回る手厚い対策費について,東京都がA等に対してその負担を請求できる法的根拠は存在しないから,東京都が本件各土地の評価において,土壌汚染を考慮外として東京都財産価格審議会に諮ったことは,東京都公有財産規則を潜脱するものではない旨主張する。

被告の主張は,土壌汚染については法令の基準を満たしているから,本件各土地の評価の際に考慮外としてよいとするものと思われるが,社団法人日本不動産鑑定協会の土壌汚染に関わる不動産鑑定評価上の運用指針Ⅰでは,価格形成に大きな影響がある土壌汚染には,自然に由来するものが含まれ,法令等による調査等の義務がないことをもって,
土壌汚染がないということはできないとされ,不動産鑑定評価実務上,被告の主張は明確に否定されている。さらに,上記運用指針においては,土壌汚染は価格形成に大きな影響を与える事項と考えられるので,原則として価格形成要因から除外して鑑定評価することはできないとされている。以上のように,法令等による調査義務の問題と不動産の価格形成
における土壌汚染の取扱いとは,全く次元の異なる問題であり,これを混同した被告の主張は失当である。
(被告の主張)

土壌汚染がある土地の売買価格をどのように決定するかについては,土壌汚染対策法や環境確保条例等の法令により一義的に定まっているわけではなく,当事者が,いかなる前提条件の下に,いかなる合意をするかという問題であり,その価格の決定方法が著しく合理性を欠いたものではない限り,適法である。
東京都は,民間地権者との間で,14年合意等を締結し,豊洲地区内
の土壌汚染対策については,従前の地権者が環境確保条例に基づき土壌汚染に関する調査を行い,調査の結果汚染が判明した場合には必要な処理対策を実施すること,また,新市場用地の譲渡における売買価格については,契約締結時の適正な時価とすることを合意した。14年合意等は,平成13年策定の東京都卸売市場整備計画(第7次)において築地市場の豊洲地区への移転が決定されたことに基づき,本件各土地を新市場用地とすることも含めて合意し,東京都と民間地権者との間で締結されたものである。すなわち,東京都と民間地権者との間では,以前から本件各土地の売買契約に向けた協議が進められてきており,売買契約の締結までにはなお協議を重ねる必要があったところ,14年合意等は,売買契約の基本的枠組みを定め,売買契約締結の前提となる各種事
項に関する合意内容を確認するため締結されたものである。これにより,東京都は,本件各土地を買い受けなければならない法的義務を負担したものではなく,また,売買価格が一義的に定まったわけではないものの,東京都及び民間地権者は,本件各土地の売買契約の締結に向けて誠実に協議・交渉をする関係に立った。

さらに,このような基本的枠組みの下において,民間地権者のうちA等は,東京都との間で,本件各土地が市場用地であることを十分考慮して,自己の費用負担において,14年合意等による対策に加え,追加の対策を行うことを内容とする17年確認を締結した。そして,A等は,多額の費用を投じて土壌汚染対策工事を完了させた。

土地の売買契約の締結交渉に際し,当事者間での交渉の結果,一定の土壌汚染対策を行えば,汚染のない土地と同様の条件で売買契約を締結するという取決めを行うことは何ら不合理ではないところ,上記のとおり,A等は,豊洲新市場予定地の東京都への売買の準備行為として,14年合意等及び17年確認の一連の取決めに基づき,多額の費用を投じ
て土壌汚染対策工事を実施し,東京都はそれに基づく措置完了の届出を受理しているのであるから,それにもかかわらず,その後,東京都が14年合意等の基本的枠組みに基づく適正な時価(汚染のない土地としての市場価格)で売買契約を締結しないとすれば,地権者の信頼を裏切り,信義則に反するものとして,A等から相当額の損害賠償請求を受ける可能性があったことは否定し得ない。
築地市場の豊洲地区移転は,次のとおり不可欠のものであった。すなわち,従前検討されていた築地市場の現在地再整備については,かつて工事に着手したものの,業務を継続しながら工事を行うためのスペースの確保ができないことに加え,工事期間の長期化や営業活動への深刻な影響,時代のニーズに対応した施設整備ができないなど多くの課題があ
り,中断した経緯がある。その後,平成11年には,東京都と業界で構成する築地市場再整備推進協議会において,築地市場の再整備は困難であり,移転整備に方向転換すべきであるとの結論に至り,平成12年から,40haの敷地の必要性,良好な交通アクセス,築地の商圏との継続性等の条件の下に,晴海,有明北等の5地区を移転候補地として比較
検討した結果,豊洲地区以外に全ての条件を満たす場所はなく,平成13年に,東京都は築地市場の豊洲地区への移転を決定したのである。東京都は,築地市場の移転先の用地を順次取得してきたのであり,東京都が本件各土地を取得することに何ら問題はない。
仮に,東京都が本件各土地を取得しなければ,豊洲新市場予定地とし
て平成16年5月及び平成18年11月に民間地権者であるDから先行的に取得していた土地及び同年2月及び同年11月に取得していた保留地が,使途を失った無用の土地となる可能性があるなど,東京都には,多額の損失が発生する可能性があった。
A等は,14年合意等による対策に加え,17年確認に基づく追加の
対策を実施し,平成19年4月までに汚染拡散防止措置完了届出書を提出し,東京都はこれを受理した。これにより,A等は,14年合意等及び17年確認における土壌汚染対策について,環境確保条例上の手続を全て完了したことになる。したがって,その後に東京都が食の安全・安心の確保の観点から独自に実施した専門家会議の調査の結果判明した汚染に対して,東京都が独自に実施する法令の基準を上回る手厚い対策の費用について,東京都がA等に対してその負担を請求することができる法的根拠は存在しない。東京都は,本件各土地の売買価格を決定するに当たり,上記対策の費用を考慮しないこととしたが,この決定方法は合理的なものである。
東京都は,専門家会議の調査の結果判明した新たな汚染に関しては,
A等との間で別途協議することとし,協議の結果,23年協定を締結し,A等から78億円の負担額の拠出を受けている。
原告らは,土壌汚染の本件各土地の価格への影響について,東京都財産価格審議会に諮ることをしなかったことは,東京都公有財産規則を潜脱するものである旨主張する。
しかしながら,A等は,平成19年4月までに環境確保条例上の手
続を完了しており,その後に東京都が,食の安全・安心の確保の観点から,市場の生鮮食料品を扱うことの重要性に鑑み,環境確保条例の調査規定をも上回る厳格な調査を実施した結果判明した汚染に対して,東京都が独自に実施する法令の基準を上回る手厚い対策費について,東京都がA等に対してその負担を請求できる法的根拠は存在しないか
ら,本件各土地の評価において,土壌汚染を考慮外として東京都財産価格審議会に諮ったことは,東京都公有財産規則を潜脱するものではない。
b
原告らは,社団法人日本不動産鑑定協会の土壌汚染に関わる不動産鑑定評価上の運用指針Ⅰを引いて,不動産鑑定評価上の価格形成に大きな影響がある土壌汚染には,自然に由来するものが含まれ,法令等による調査等の義務がないことをもって土壌汚染がないとはいえないとされていること,土壌汚染は原則として価格形成要因から除外して鑑定評価することができないとされていることなどを主張する。しかしながら,国土交通省から発出された不動産鑑定評価基準
においては,依頼目的に応じ対象不動産に係る価格形成要因のうち地域要因又は個別要因について想定上の条件を付加する場合があるが,この場合には,依頼により付加する想定上の条件が実現性,合法性,関係当事者及び第三者の利益を害するおそれがないか等の観点から妥当なものでなければならない。とされており,不動産鑑定評価基準運用上の留意事項の対象不動産について土壌汚染が存することが判明している場合等の鑑定評価についてにおいては,原則として汚染の分布状況,汚染の除去等の措置に要する費用等を他の専門家が行った調査結果等を活用して把握し鑑定評価を行うものとする。ただし,この場合でも〔中略〕条件設定に係る一定の要件を満たすときは,依頼者の同意を得て汚染の除去等の措置がなされるものとしてという条件を付加して鑑定評価を行うことができる。旨が明記されている。東京都の土壌汚染対策事業の遂行能力は技術的にも経済的にも確実であり,公法上及び私法上の規制違反もなく,A等の関係当事者及び第三者の利益を害することもないため,上記条件設定に係る一定の要件を充足していることが明らかであるから,東京都財産価格
審議会が不動産鑑定評価基準の定めに従って土壌汚染による減価がないものという想定上の条件を付加して本件各土地の価格評定を行った点には,何らの違法性もない。
c
原告らは,本件各土地が,土壌汚染対策法に基づき,形質変更時要届出区域に指定されており,これを全く考慮しないで売買価格を決定することはできない旨主張する。
しかしながら,形質変更時要届出区域とは,要措置区域とは異なり,土壌汚染の摂取経路がなく健康被害が生ずるおそれがないため,本来,汚染の除去等の措置が不要とされる区域である(土壌汚染対策法6条,11条)。しかも,A等は,本件各土地につき,既に環境確保条例117条の汚染拡散防止措置を完了している。したがって,原告らの主
張は理由がない。
以上によれば,東京都が独自に実施した専門家会議の調査の結果判明した新たな汚染に関しては,東京都とA等との間で別途協議することとし,協議の結果,A等から78億円の拠出を受ける一方で,本件各土地の取得に係る売買については,14年合意等の基本的枠組みに基づく
適正な時価で契約を締結したことについて,何ら裁量権の範囲の逸脱又は濫用は認められず,違法ではない。
(参加人の主張)

地方公共団体が土地を正常価格に比して著しく高額な対価で取得することは,地方公共団体の財政の適正確保の見地から看過し得ないものとして地方自治法2条14項等の趣旨に照らし違法と評価される場合があるが,その取得価格が正常価格を超えるからといって,直ちに違法となるものではなく,取得価格と正常価格との差のほか,購入の必要性やその土地の代替可能性,交渉経過等をも考慮した上で,その適法性を判断すべきもので
ある。
本件契約1及び2では,土地の土壌汚染に関して,23年協定に基づくものとするとする一方,23年協定においては,東京都が実施する土壌汚染対策に要する費用のうち,A等が78億円を追加負担することが合意され,その支払についても,本件契約1及び2に基づく土
地代金から控除して支払われること,本件契約1及び2が履行完了前に失効した場合には,23年協定も失効することとされている。このように,本件契約1及び2と23年協定は,密接に関連するものとして締結され,内容的にも相互に強い関連性がある。また,本件契約1及び2についての東京都の決裁文書においても,契約相手方への支払金額は,土地売買価額から地下埋設費用負担額及び土壌汚染対策費用負担額を控除した金額となる旨明示されている。さらに,本件各契約
の締結に先立ち,平成23年3月22日頃,中央卸売市場から当時の東京都知事である参加人に対する説明が行われたが,ここでも,新市場の用地取得の取得価格と,土壌汚染対策費及びA等の負担額とが,一対として説明され,東京都の実施する土壌汚染対策費用総額586億円のうち,A等の負担額が78億円であり,その負担額は,既に支
出した100億円を含め,約180億円になると説明された。
以上から,東京都が新市場用地取得のための売買契約を締結して代金を支出するに際し,土壌汚染対策費用を支出しなければならないこと及びその一部は汚染原因者であるA等が負担すべきことを当然の前提として,A等と交渉し,その結果,A等が総額約180億円を負担
するとの内容で合意されたことが明らかである。そして,A等が合計約180億円を負担することを約束しなかったならば,東京都は,本件各契約の売買代金額を支払って本件各土地を購入することを判断し難かったものと想定される。したがって,本件において,取得価格と正常価格との乖離の程度を検討するに当たっては,本件各契約の各契
約金額のみならず,A等による合計約180億円の負担を併せて考慮しなければならない。
b
本件における正常価格とは,仮に本件各土地を第三者である民間企業に売却するとした場合に売買代金額から控除されるべき,適正・妥
当な土壌汚染対策費用相当額を想定した上で,これを土壌汚染を考慮しない本件各土地の時価額から差し引いた価格であるはずである。また,本件各土地の土壌汚染を考慮しない価格の評定については,東京都財産価格審議会に諮られ,鑑定評価額が決定されたところ,同審議会においては,複数の不動産鑑定士を含む委員らにより,適切,妥当な審議及び評定が行われており,当該鑑定評価額は,土壌汚染を考慮しない価格として妥当なものである。

c
これに対し,原告らは,本件各土地の正常価格として,正常価格①から③までのとおりであると主張する。
しかしながら,これらの価格は,いずれも市場としての安全・安心の確保の見地から,東京都が専門家会議及び技術会議の報告に基づいて実施することとした,土壌汚染対策法や関連法令により求められる
対策を上回る内容の,手厚い土壌汚染対策に係る経費の総額(平成23年当時の586億円,又は平成25年決算時点での762億円)を計算の基礎としている点で,出発点を誤っている。すなわち,原告らは,本件各土地の売主は,第三者に本件各土地を譲渡する際,東京都が予定した土壌汚染対策のメニューの全部を実施する義務(その相当
額の費用負担の義務)を負うことを主張していることになるが,かかる主張は明らかに過剰なものを求めるものであり,誤りである。本来,ここで計算の基礎とされるべきは,A等が本件土地1及び2を第三者に譲渡することとした場合に要求されたであろう,一般的な土壌汚染対策費用でなければならないところ,原告らは,かかる一般的な土壌
汚染対策費用を主張立証していない。
したがって,正常価格①から③までについては,いずれも本件における正常価格として採用する余地はなく,結局,本件各土地についての正常価格は特定されていないものといわざるを得ない。
d
以上のとおり,本件においては,A等の負担した土壌汚染対策費用合計約178億円を考慮した取得価格も,一般的な土壌汚染対策費用を控除した正常価格も,いずれも金額の特定が困難であり,両者の間の乖離を厳密に認定することは不可能である。そうではあるものの,A等が約100億円を投じて17年確認に基づく環境確保条例上の手続を一旦完了していたことに加えて,その後の専門家会議の調査により判明した土壌汚染について,17年確認で定めた水準の処理を追加実施し,A等が78億円の追加費用を負担することを合意したこと(23年協定)からすれば,これらの費用負担を考慮に入れた本件各土地の取得価格が,平成23年3月時点における客観的な正常価格と大きく乖離するものではなかったであろうことが十分に推測される。
築地市場については,昭和の時代から,施設の老朽化,狭隘化により再整備が課題となっており,現地再整備及び移転整備の2案で意見が分かれていた。参加人が東京都知事に就任した平成11年4月頃には,現地再整備が極めて困難かつ再整備として不十分であるとの認識が業界団体を含めて有力となっており,東京都中央卸売市場は,築地市場の再整
備を移転再整備の方針で進める必要があると判断するに至っていた。また,平成10年頃までに,築地市場との近接性等の理由から,事実上,豊洲地区が唯一の移転先候補地となっており,平成11年頃,他地区との比較検討を行うペーパーが作成されているものの,豊洲地区以外は立地に適しないと判断されていた。すわなち,平成11年頃の時点で,既
に築地市場の移転先の用地を確保する必要性があり,かつ,移転先の候補地として,事実上,本件各土地を含む豊洲地区以外に候補がない状況であった。
こうした状況は,平成23年3月頃の時点においても何ら解消せず,むしろ,施設の老朽化の問題は深刻化しており,また,低温流通,IT
化,高度な衛生管理等の要請もより強いものとなっていた。したがって,この時点において,築地市場の移転先の用地を確保する必要性があったことは明らかである。また,平成10年頃以降,東京都は,豊洲地区を移転先の候補地として準備を積み重ね,この間,平成13年12月には,東京都卸売市場整備計画(第7次)で築地市場を豊洲地区に移転することを決定する一方,豊洲地区に代替し得るその他の移転先候補地は一切ない状況で,平成23年3月を迎えていた。したがって,同月時点においては,本件各土地を取得する極めて高度の必要性が生じており,本件各土地の取得を中止して新たな候補地を一から探すことなど,およそ考え難い状況に至っていた(その後,小池百合子現東京都知事就任以降,豊洲地区移転の是非が再検討されたが,豊洲地区以外の移転先が検討さ
れることはなかった。)。
東京都とA等は,14年合意等により,A等が環境確保条例に基づく土壌汚染対策を講じることについて合意した。しかし,その後,東京都は,14年合意等の内容を超える追加の土壌汚染対策を要請し,A等はこれを受け入れて,17年確認が成立した。A等は,法令で要求される
水準を上回る一定の範囲で,自らの費用負担で,土壌汚染対策を実行し,平成19年までにこれを完了した。しかるに,その後,専門家会議の調査により,新たに土壌汚染が発見され,専門家会議が法令で要求される水準を上回る対策の提言を行ったことから,東京都は,平成21年2月頃以降,A等に対し,更なる土壌汚染対策費用の一部の追加負担を求め
て交渉を開始し,具体的な算定根拠を積み上げつつ,追加負担額について交渉を行った。また,東京都は,将来の更なる追加負担の余地を残すか否かについても並行して粘り強く交渉したが,A等はこれを拒絶した。こうした厳しい交渉の結果として,東京都は,A等が78億円を追加負担するという一定の譲歩を引き出して合意に達し,23年協定が締結さ
れた。さらに,交渉の過程において,東京都は,法律の専門家である弁護士に相談した際,瑕疵担保責任や債務不履行責任を追及するのは難しいとの見解を示されており,A等に対して法的責任を追及することは困難であり,あくまで協議をベースとして負担を求めざるを得なかった。上記の交渉経過によれば,地権者であるA等には用地買収に応じないという選択肢が常に残されている状況において,東京都による交渉の内容は,合理的かつ十分なものであったと評価されるべきである。仮に,東京都が,A等に対してこれ以上の追加負担を要求したとすれば,A等は本件土地1及び2を売却しないとの結論に至るだけのことであり,築地市場再整備の問題が振出しに戻ることになったと考えられる。
東京都議会においても,豊洲地区の移転先用地に土壌汚染が存在する
ことが認識され,これを前提とした上で,長年にわたり,築地市場を豊洲地区に移転することの是非が激しく議論されてきたが,その都度,東京都議会が予算の可決・承認をするなどし,一歩ずつ計画が進捗してきた。本件各契約に係る平成22年度当初予算では,公営企業会計の中央卸売市場会計に,本件各土地の取得費用を含め,豊洲新市場への移転関
連経費1281億円等が計上されていた。予算特別委員会において,土壌汚染対策等について詳細な議論が行われた末,一部議員からこれら予算の削除を求める修正案が提出されたが,当該修正案は否決され,平成22年3月28日,予算案が決定され,次いで,同月30日,東京都議会本会議において予算が可決され,決定された。このように,本件各土
地を含む用地の取得は,民意の裏付けを得ていたものである。
本件各契約は,東京都の中央卸売市場,建設局,環境局ほかの各専門部署の長年の検討・協議を経た成果として締結に至ったものであり,土壌汚染対策については専門家会議及び技術会議,土地価格については東京都財産価格審議会等の専門的知見が取り入れられていた。加えて,当
然ながら,検討や交渉の過程で,東京都及びA等の双方で,法務担当部署や弁護士の見解も得ながら進められていたものである。
平成30年10月11日,豊洲市場が開場した。これは,築地市場の老朽化の問題,低温流通,IT化,高度な衛生管理等の要請といった都民の食生活に関連する重要課題の解決に向けた取組が,一つの目に見える成果として結実したものといえる。こうして成果に結び付いたことは,豊洲市場用地取得のための本件各契約の締結が,東京都の合理的な裁量
の範囲内に属する適切な契約であったことを裏打ちする,極めて重要な事実である。
以上によれば,本件各契約を締結するとの判断が明らかに合理性を欠くものとは到底いえず,本件各契約の締結は,財務局長の裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用するものとして違法となるものではない。


争点⑶(本件各契約を締結した参加人の過失の有無)(原告らの主張)
築地市場の豊洲地区への移転は東京都政における重大な事案であり,また,本件各土地の取得は数百億円という対価を伴い,東京都の財政に大きな影響
を及ぼす事案であるところ,本件各土地を含むA等の工場跡地への市場移転を決断したのは参加人であり,かつ,本件各土地に深刻な汚染が存在するにもかかわらず,これらを軽視し,移転を決断したのも参加人である。そして,本件各土地の取得価格の決定についてみると,参加人は,①少なくとも平成11年11月17日には本件各土地に深刻な汚染が存在している
ことを十分認識していたこと,②平成19年8月23日には専門家会議による土壌汚染に係る追加調査の内容について説明を受けていたこと,③平成22年の東京都議会の予算特別委員会において,参加人は,豊洲地区の土壌汚染が腰を抜かすレベルであり,これに対処する必要性があると述べていたこと,④平成23年3月22日には,東京都が行う汚染除去費用全体の総額が
586億円となり,そのうちA等が78億円を負担することになることについて説明を受けている。これらのことからすれば,参加人は,本件各土地に深刻な土壌汚染が存在し,本件各土地の売買価格は土壌汚染対策費用を考慮することなく決定されたことを認識しており,また東京都がその汚染除去のために586億円を支出しなければならないにもかかわらず,A等には78億円のみを負担させる内容で,本件各契約及び23年協定を締結したのであるから,参加人は,本件各契約の締結について,優に過失が認められる。
(被告及び参加人の主張)
争う。


争点⑷(参加人の指揮監督義務違反の有無)について
(原告らの主張)

築地市場は,長く都民の食生活を支えてきた都内最大の中央卸売市場であり,その再整備は東京都の重要課題であった。さらに,本件各土地は,土壌汚染を考慮しない価格が578億円とされるなど極めて高額であり,その取得は東京都の財政に大きな影響を及ぼすものであった。
本件各土地の取得は,その直接的な決裁権限こそ財務局長に委任されていたとはいえ,築地市場の再整備の重要性や,本件各土地の価格が高額で
あることから,参加人は,本件各土地の取得が適法に行われるよう,十分な検討と必要な監視・監督を行うべき義務を有していた。
また,参加人は,築地市場の豊洲地区への移転を決断しているところ,自ら移転の判断を行ったのであれば,実施されるべき土壌汚染対策とその費用,そして,これらを前提とした本件各土地の売買価格やA等が負担す
べき土壌汚染対策費用について,十分な検討を行い,本件各土地の取得に当たって,適法な価格で取得するよう指揮監督権限を行使すべき義務を有していた。

参加人は,少なくとも平成11年には,本件各土地上に深刻な土壌汚染が存在していることを認識しており,平成19年8月23日には,専門家会議による土壌汚染に係る追加調査の内容について説明を受け,平成22年の予算特別委員会において,豊洲地区の土壌汚染が腰を抜かすレベルであり,これに対処する必要性がある旨述べていた。
以上の土壌汚染問題に対する認識の下,参加人は,平成21年8月28日,中央卸売市場長から資料を示され,説明を受けた。当該資料には,A等による土壌汚染対策費用の負担の考え方として,A等が環境確保条例に基づく手続を完了していること,その後検出された汚染について対策費用の一部の負担をA等に求めるが,法令に基づく請求が困難であるため,17年確認に基づき対策費用合計586億円のうち80億円の負担を求めるべく協議していきたいことが記載されていた。参加人は,この説明を10
分から15分程度受けたが,何の指示も行わなかった。
また,参加人は,本件各契約締結の直前である平成23年3月22日,中央卸売市場長から資料を示され,説明を受けた。当該資料には,A等との負担合意として,東京都が実施する土壌汚染対策の費用総額586億円のうち78億円をA等が負担することとした旨記載され,本件各土地につ
いては,これを考慮しない金額である約578億円で取得する旨記載されている。これに対しても,参加人は,何の指示も行わなかった。
これら以外にも,中央卸売市場長は,参加人に対し,都議会で築地市場の豊洲地区移転問題に関する質問がある度に,現在の状況と答弁の内容の説明を行った。

以上のように,参加人は,本件各土地に深刻な土壌汚染が存在していること,土壌汚染対策費用として586億円を要すること,中央卸売市場がこの費用をA等に負担させることはできないという誤った認識に基づいてA等に80億円の負担を求める協議を開始したこと,協議の結果,A等は78億円を負担するとの合意に至ったことについて,資料を示された上で
十分な報告を受けていた。したがって,参加人は,指揮監督権限を行使すべき機会をふんだんに有していた。
ところが,参加人は,上記の各説明を了承し,本件各土地の売買価格やA等の土壌汚染対策費用負担額を是正すべく必要な指揮監督権限を行使することを怠った。

以上によれば,参加人は,違法な行為を是正すべき指揮監督権限の行使を故意又は過失により怠ったというべきである。

(被告の主張)
裁判所の公正かつ公平な判断を求める。
(参加人の主張)

築地市場の豊洲地区移転は,元々,参加人が東京都知事に就任する以前から,中央卸売市場が築地市場の再整備に関する方針として検討し,立案
してきた。参加人としては,東京都庁の担当部署が立案・推進をする施策が実現するよう,東京都知事として求められた適切な役割を果たしたが,それ以上の介入・干渉を行ったことはない。
参加人が東京都の本件各土地の取得に至る一連の経緯の中で,東京都知事として築地市場の豊洲地区への移転を推進することに関し,何度か,政
治的な判断・決断を行ったことは事実である。ただし,それらの判断・決断は,中央卸売市場を始めとする東京都庁内の各実務部署による長年の対応の歴史や調査・検討・判断を踏まえたことであり,決して参加人の独断によるものではなかった。ましてや,参加人が本件各土地の土壌汚染を軽視したことはない。専門家会議及び技術会議による専門的,詳細かつ極め
て慎重な調査・検討等や,中央卸売市場等の実務部署の検討・判断も踏まえて,参加人が慎重に政治的な決断を下したものである。

参加人は,本件各契約の締結に際して,専門的・技術的な内容については個別的な指揮監督を期待されていなかったし,その能力もなかった。参
加人は,自ら東京都財産価格審議会の評価結果を検証したり,A等の土壌汚染対策費用の負担金額の適否を検証したり,本件各契約の条項の妥当性を検証したりすべき役割・立場を期待されていなかった。

中央卸売市場から参加人に対し,平成21年8月28日,A等に求める土壌汚染対策費用の負担に関し,求めるべき負担金額について80億円と試算されており,今後協議していきたい旨報告されていた。その後,土壌汚染に関する費用負担額について,東京都の担当部署がA等との間で盛ん
に交渉を行っていたが,参加人は,交渉の途中経過について報告を受ける立場になく,実際にも,報告を受けていなかったし,当然ながら,これについて特段の指示等をしたこともなかった。
また,平成23年3月22日,本件各契約の締結についての説明の機会として,中央卸売市場による参加人に対するブリーフィングが行われた模
様である。この報告に対しても,参加人は格別の指示等をしなかった。その他,中央卸売市場長から参加人に対する直接の報告の機会として,東京都議会からの築地市場の豊洲地区移転に関する質問に対する答弁の説明の機会が何回かあった模様であるが,そうした機会において,中央卸売市場長から参加人に対し,A等との交渉経過について説明したことはあっ
たが,具体的な数字について説明したり,相談したりすることはなかった模様である。
結局,追加費用負担金額78億円に関しては,中央卸売市場において,専門家会議及び技術会議の検討結果や17年確認等を踏まえて,内部で計算し,A等と厳しい交渉を行い,合意の段階では財務局等の他部署にも説
明し,了解を得て,判断・決定をしたものであって,参加人が具体的な金額を検討すべき場面は存在しなかった。

平成23年3月頃,本件各契約及び23年協定の締結に至る時期において,参加人から担当各部署に対し,これらの契約等の締結の中止を命じるべき事情は一切なかった。


以上によれば,万一,本件各契約の締結に何らかの違法が観念し得るとしても,平成23年3月頃,参加人が本件各契約の締結を違法であると認識することはできなかったし,参加人が指揮監督者として,補助職員たる財務局長による本件各契約締結を承認したことは,何ら不当ではなかった。参加人が,故意又は過失により,財務局長による違法行為を阻止すべき指揮監督上の義務を懈怠し,又はこれに違反したとは到底認められない。


争点⑸(東京都の損害額)について
(原告らの主張)

本件各土地の売買価格は,本来考慮すべき土壌汚染を考慮しない価格であって,その価格決定過程に重大な瑕疵があり,地方公共団体の財政の適正確保の見地から看過し得ないものであるから,地方自治法2条14項及
び地方財政法4条1項の趣旨に照らして,本件各契約全体が違法,無効である。これにより,東京都は,本件各土地の売買価格の全額である578億1427万8000円の損害を被った。

仮に,本件各土地の売買価格の全額が損害にならないとしても,少なくとも正常価格を超えた分については契約が違法,無効となり,これによる
損害額は,本件各土地の正常価格が正常価格③,正常価格②,正常価格①であった場合の順に,541億7475万円,220億2180万円,156億5650万円である。

土壌汚染に対する心理的嫌悪感は,土壌汚染対策費用と共に汚染地の価格形成要因となるところ,その算定は容易ではなく,上記正常価格には含まれていない。また,570億円を上回る規模の土地で,かつ,深刻な土壌汚染の存在した本件各土地の不動産鑑定評価の実施は極めて困難である。土壌汚染を考慮しない価格で本件各土地を購入したことが違法であると認められれば,東京都に損害が生じたことは明らかであるから,損害額に関
する前記ア及びイの主張がいずれも認められない場合には,民訴法248条を適用して,裁判所において相当な損害額を認定すべきである。(被告及び参加人の主張)
争う。
第3当裁判所の判断
1認定事実
前記前提事実,後掲各証拠等によれば,以下の事実が認められる。⑴ア

築地市場は,昭和10年に開場したが,昭和59年頃までに,駐車場や荷捌き場所が不足し,渋滞により作業効率が低下するなど,施設が狭隘・過密化していたほか,施設の老朽化も問題となっていた(前記前提事実⑵ア,乙5,丙1,3)。


東京都は,昭和59年,築地市場の一部機能を移転する計画を発表したが,市場業界の反対を受けて,昭和61年,東京都卸売市場整備計画(第4次)を策定し,現在地における築地市場の再整備を決定した。そして,平成3年に再整備工事が着工されたものの,工期の遅れ,整備費の膨張,業界調整の難航等の問題が顕在化し,平成7年に工事が中断した。その後,市場業界においては,築地市場の今後について,移転再整備と現在地再整
備とで意見が分かれる状況となったが,次第に,移転再整備の意見が有力となってきた(以上につき,争いのない事実)。

東京都とAは,平成13年7月6日,同社が築地市場の豊洲地区への移転に協力すること等を内容とする基本合意を締結した(乙27)。

東京都は,平成13年12月,東京都卸売市場計画(第7次)を策定し,築地市場を豊洲地区へ移転する方針を決定した(前記前提事実⑵イ)。
⑵ア

A等は,豊洲地区内の所有土地について,環境確保条例117条1項に基づく土地利用の履歴等の調査を実施し,平成14年6月17日,東京都知事に対し,土壌汚染の可能性があるとする土地利用の履歴等調査届出書を提出した(乙13)。


東京都は,平成14年7月31日,A等ほか民間地権者との間で,14年合意等をした(前記前提事実⑵ウ)。

A等は,豊洲地区内の所有土地について,環境確保条例117条2項に基づく土地の汚染状況の調査を実施し,平成14年10月4日,東京都知事に対し,土壌汚染状況調査報告書を提出した。同報告書には,汚染土壌があるため,拡散防止処置を実施する旨記載されている(以上につき,乙
14)。

A等は,豊洲地区内の所有土地について,環境確保条例117条3項に基づき,汚染拡散防止措置の開始及び終了の期間を平成13年2月1日から平成19年3月31日(土地区画整理事業期間中)とする汚染拡散防止計画書を作成し,平成14年11月1日,東京都知事に対し,これを提出
した。東京都は,同計画書に係る汚染拡散防止計画について,東京都土壌汚染対策指針に従って策定されており,適正な計画であると認めた(以上につき,乙15)。
⑶ア

東京都は,平成15年3月26日,Aに対し,豊洲地区が市場移転の候補用地であること,東京都の区画整理事業の中で,操業由来に係る汚染土
壌の処理を同社で行うとされていることから,同社が東京都の用地取得以前に全ての操業由来に係る汚染土壌の対策を実施するよう申し入れ,その後,協議を経て,平成17年5月31日,A等との間で,17年確認を締結した(前記前提事実⑵エ,乙80,81,92,103,104,106,107,109,110,114,116,118,119,121,
123)。

A等は,14年合意等及び17年確認に基づく土壌汚染対策を実施し,平成18年3月23日及び平成19年4月27日,東京都知事に対し,それぞれ汚染拡散防止措置完了届出書を提出し,同日までに上記対策の実施
を完了した(乙16,33,弁論の全趣旨)。A等は,これらの土壌汚染対策のため,約100億円を支出した(乙148,150)。


東京都は,豊洲新市場予定地の一部として,平成16年5月及び平成18年11月,Dから土地を取得し,同年2月及び同年11月,保留地を買い受けた(甲27,乙3,31,32,146,弁論の全趣旨)。

⑸ア

東京都が平成19年4月に設置した専門家会議は,豊洲新市場予定地の調査を行い,平成20年7月,東京都に対し,土壌汚染に起因する汚染物
質を暴露する経路を遮断することによってリスク低減を図るだけではなく,食の安全・安心という観点を考慮し,揮発ガス成分(ベンゼン,シアン化合物)が隙間や亀裂から建物内に侵入することによる生鮮食料品への影響を防止する観点から,さらに上乗せ的な安全策を行うことなどを提言した(前記前提事実⑵オ)。専門家会議の報告書は,提言に盛り込まれた対策を
行うことによって,たとえ地下水からベンゼンやシアン化合物等が土壌中を気化・上昇してきたとしても,大気中ベンゼン濃度は環境基準値を下回り,一生涯豊洲の地に住んでも健康影響の生じることはないことが暴露量評価により説明されており,さらに,これら大気に含まれるベンゼンやシアン化合物が生鮮食品の表面に付着している水分に溶け込んでも,その濃
度は飲料水の水質基準に比べてベンゼンで1000分の1未満,シアン化合物で10分の1未満と十分に低い値であり,地下水中のベンゼン及びシアン化合物濃度が地下水環境基準に適合する状態になることで更に低い値となることが示されているとしている(丙4)。

東京都が設置した技術会議は,平成21年2月,一般的な技術・工法を用いて専門家会議の提言を実現するための経費を試算すると973億円であったが,技術会議において策定した技術・工法を基に算定した土壌汚染対策費用は586億円になると報告した(前記前提事実⑵カ)。

東京都とA等との平成21年2月頃以降の交渉経過は,以下のとおりである。

東京都は,平成21年2月頃以降,A等に対し,上記⑸イの土壌汚染対策費用586億円の一部の負担を求めて交渉を開始した。なお,東京都は,あらかじめ弁護士から,条例上の手続は済んでいるため法的責任について言及することはできないとの助言を受けていた(以上につき,乙140,141,229,証人F)。

平成21年8月28日,当時の中央卸売市場長は,東京都知事であった参加人に対し,土壌汚染対策費用586億円のうち土壌処理費用は338億円であり,A等に求める負担は法令に基づく請求が困難であるため,17年確認を基本とし,これに基づいてA等が負担するとした経費を推定し,80億円の負担を求めるべく協議を進めたい旨説明した(乙148,229,証人F)。


東京都は,A等に対し負担を求める経費額を改めて精査した上で,平成21年11月9日,86億円の負担を求める旨提示した(乙152,229,証人F)。


A等は,平成21年11月17日の協議において,東京都に対し,東京都の求める負担に応じる条件として,今後一切の負担をAグループに請求
しないことを求めた(乙154,155)。

東京都は,平成21年12月25日の協議において,A等に対し,A等の負担額は,豊洲新市場予定地において東京都が実施する土壌汚染対策工事の終了後,同工事の実績額に基づいて決定する旨の提案をした。これに対し,A等は,この内容では合意は到底無理である旨回答した(乙15
6)。

その後,東京都とA等との間で,費用負担額の根拠や費用負担協定書の文面等について協議が重ねられた(乙157~160,163,167~173)。そして,A等は,平成23年1月31日の協議において,費用
負担協定書の文面について,将来の費用負担を匂わすような文言は一切入れられないこと,今回で負担等を終わりにするというのが協定書の主目的になるので,この点が入らなければ協定を結ぶ意味がないことを主張した(乙174)。

A等は,平成23年2月18日の協議において,東京都に対し,A等が72億円を負担するとの提示をした。また,東京都は,同日の協議において,今まで見つかった汚染については決着という整理でもいいが,今後何
が起こるか分からないので,この合意で最終決着というのは難しい旨主張したところ,A等は,今後一切負担はできないという条項がないと今回合意を結ぶ必要がない旨主張した(以上につき,乙177)。

平成23年2月28日の協議において,A等の負担額について,東京都は80億円を上回る額を,A等は80億円を切る額を主張し,引き続き調
整することになった(乙178)。

A等は,平成23年3月4日の協議において,東京都に対し,東京都による土壌汚染対策完了後に何かのタイミングで問題が生じたときに協議する旨の条項を入れることについて,了解をした(乙179)。


東京都とA等は,平成23年3月22日までに,A等の負担額を78億円とすることで合意した(乙183)。

⑺ア

東京都議会は,平成21年9月25日,築地市場特別委員会を設置した
(乙225,226,弁論の全趣旨)。

東京都議会において,平成22年3月28日,平成22年度東京都中央卸売市場会計予算について,民主党,自由民主党及び公明党から共同提案として築地市場の老朽化を踏まえると,早期の新市場の開場が必要であるが,これを実現するためには,なお解決すべき課題が多いことから,予算の執行に当たっては,以下の諸点に留意すること。①議会として現在地再整備の可能性について,大方の事業者の合意形成に向け検討し,一定期間内に検討結果をまとめるものとする。知事は議会における検討結果を尊重すること。(以下略)とする付帯決議案が提案され,上記予算案は,この提案に係る付帯決議を付して可決された(乙222)。

築地市場特別委員会は,平成22年10月5日,築地市場現在地再整備に関する四つの具体案を示した調査報告書を取りまとめた。そのうち二つの案は,築地市場の全ての機能を晴海地区に一時移転し,その上で更地となった築地に新市場を建設し,晴海地区から全機能を築地に再移転するも
のであり,他の二つの案は,一部の市場機能を晴海地区に恒久的に移転し,さらに一部機能を晴海地区に一時移転し,築地に生じた空き地を利用し,市場の整備を行うというものであった。また,東京都が同年8月,民間の設計事務所に委託した結果,築地市場現在地再整備は,整備期間が最も短いものでも,汚染対策や,文化財及び埋蔵文化財の対策を除いて11年以
上を要するとの試算結果を得た(以上につき,甲48,乙226,証人F,弁論の全趣旨)。

参加人は,平成22年10月22日の東京都知事定例記者会見において,築地市場の豊洲地区への移転を推進することを決断したことを明らかにした(前記前提事実⑵キ)。



東京都が平成13年12月に築地市場を豊洲地区へ移転する方針を決定した後,豊洲地区以外に築地市場の具体的な移転候補地が浮上したことはなかった(弁論の全趣旨)。


東京都は,本件各土地の買収価格について,東京都財産価格審議会の議に付したが,その際,土地の土壌汚染については,処理費用の負担について,東京都と従前地権者との間で協議の上,別途取り扱うこととしていることから,評価に当たっては考慮外とするとの評価条件を付した。同審議会は,平成23年3月10日,本件各土地の買収価格を本件各契約の売買価額や売買代金額と同額で評定した(乙3)。

⑽ア

東京都は,平成23年3月30日,本件契約1及び2の締結に係る決裁を行った。同決裁に係る決裁文書の決定権者欄には,いずれも当時の財務局長が押印し,参加人は押印していない(乙211,212,証人G)。イ
東京都は,平成23年4月4日,本件契約3の締結に係る決裁を行った。同決裁に係る決裁文書の決定権者欄には,当時の財務局長が押印し,参加人は押印していない(乙213,証人G)。


東京都は,平成23年4月19日,本件契約4の締結に係る決裁を行った。同決裁に係る決裁文書の決定権者欄には,当時の財務局長が押印し,参加人は押印していない(乙214,証人G)。


東京都は,平成23年3月31日から同年4月20日にかけて,本件各契約を締結するとともに,23年協定を締結した(前記前提事実⑶)。本件契約1及び2においては,代金の支払につき,23年協定等におけるA等の負
担額を控除した残額を支払うものとされた(甲1,2)。

本件各土地の大半は,平成23年11月28日,土壌汚染対策法11条1項に基づき,形質変更時要届出区域に指定された(甲28〔25頁〕)。

東京都は,本件訴え提起の時点において,本件各土地を含む豊洲新市場予定地の土壌汚染対策として,総額541億7475万円の費用を要する対策に係る契約を既に締結していた(争いのない事実)。

2争点⑴(参加人が本件各契約の締結をしたか否か)について本件各契約に係る土地売買契約書及び国有財産売買契約書には,いずれも東京都代表者東京都知事として参加人の記名押印がされている(甲1~4)。しかしながら,東京都事案決定規程においては,予定価格が6000万円以上の物件の買入れは,知事ではなく,局長が決定すべき事案とされている(4条,別表)。そして,本件各契約の締結に係る東京都の各決裁文書の決定権者欄には,いずれも当時の財務局長が押印しており,参加人は押印していない。以上によれば,支出負担行為としての本件各契約の締結は,参加人ではなく,
参加人から権限の委任を受けた当時の財務局長がしたものと認めるのが相当である。
3争点⑵(本件各契約の締結が違法か否か)について⑴

判断枠組み
正常価格とは,市場性を有する不動産について,現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう(不動産鑑定評価基準。甲20の2〔14
頁〕)。
そして,地方公共団体が土地を正常価格に比して著しく高額な対価で取得することは,地方公共団体の財政の適正確保の見地から看過し得ないものとして地方自治法2条14項等の趣旨に照らし違法と評価される場合があるが,その取得価格が正常価格を超えるからといって,直ちに違法となるものでは
なく,取得価格と正常価格との差のほか,購入の必要性やその土地の代替可能性,交渉経過等をも考慮した上で,その適法性を判断すべきである(最高裁平成26年(行ヒ)第321号同28年6月27日第一小法廷判決・裁判集民事253号1頁参照)。
したがって,地方公共団体による土地の取得に係る契約の締結については,
上記の判断基準に照らして,当該取得価格により取得することが,当該地方公共団体において契約を締結する権限を有する者に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又は濫用するものと認められる場合に,違法となるものと解するのが相当である。


本件各土地の取得価格と正常価格との差について

不動産の正常価格の意義については,上記⑴のとおりであるところ,
不動産鑑定評価基準において,不動産に個別性を生じさせ,その価格を個別的に形成する要因の一つとして,土壌汚染の有無及びその状態が挙げられていること(甲16,20の2),不動産鑑定評価基準運用上の留意事項において,土地に関する個別的要因について,土壌汚染が存する場合には,当該汚染の除去,当該汚染の拡散の防止その他の措置に要する費用の発生や土地利用上の制約により,価格形成に重大な影響を与えることがあるとされ,土壌汚染対策法に規定する土壌の特定有害物質による汚染に関して,同法に基づく手続に応じて留意事項が挙げられていること(甲17)からすれば,土壌汚染のある土地の正常価格については,原則として,土壌汚染を考慮しない土地の価格から,一般の市場参加者が求めると考えられる土壌汚染対策のための費用を控除したものをいうものと解すべきである。
原告らは,本件各土地の正常価格について,順次,正常価格③,②及び①のとおりであると主張しているので,以下検討する。
正常価格③について
原告らの主張する正常価格③は,土壌汚染を考慮しない土地の価格578億1427万8000円から,本件訴え提起時点で東京都が締結済みの契約に係る土壌汚染対策費用541億7475万円全額を控除した結果である36億3952万8000円を,本件各土地の正常価格とす
るものである。
しかしながら,上記土壌汚染対策費用は,本件各土地以外の土地を含む豊洲新市場予定地の土壌汚染対策費用である。豊洲新市場予定地全体の面積は約37万3185㎡であるのに対し,本件各土地の合計面積は約10万7941㎡であり,豊洲新市場予定地全体の面積の約28.
9%にすぎない(争いのない事実)。したがって,本件各土地の正常価格を算定するために,土壌汚染を考慮しない土地の価格から上記土壌汚染対策費用全額を控除するのは,不合理といわざるを得ない。
したがって,本件各土地の正常価格として,正常価格③を採用することはできない。

正常価格②について
原告らの主張する正常価格②は,土壌汚染を考慮しない土地の価格578億1427万8000円から,平成25年決算時点での土壌汚染対策費用762億円(甲24,弁論の全趣旨)を豊洲新市場予定地における本件各土地の面積の割合(28.9%)で案分した220億2180万円を控除した結果である357億9247万8000円を,本件各土地の正常価格とするものである。
しかしながら,本件各契約が締結されたのは,平成23年3月から同年4月にかけてであるところ,この時点で判明していた土壌汚染対策費用は,前記1⑸イのとおり,技術会議での検討を経た586億円であり,762億円に上るということが判明したのは事後のことであって,本件
各契約が締結された時点において,同額となることを想定することができたとする事情は見当たらない。本件各契約の締結時点で想定することができなかった土壌汚染費用額を当該時点での本件各土地の正常価格の算定において考慮するのは不合理といわざるを得ず,本件各土地の正常価格として,正常価格②を採用することはできない。
正常価格①について
a
原告らの主張する正常価格①は,土壌汚染を考慮しない土地の価格578億1427万8000円から,本件訴え提起の時点で東京都が締結済みであった契約に係る土壌汚染対策費用541億7475万円を豊洲新市場予定地における本件各土地の面積の割合(28.9%)
で案分した約156億5650万円を控除した結果である421億5777万8000円を,本件各土地の正常価格とするものである。正常価格①については,本件各土地の価格から控除する土壌汚染対策費用を面積割合で案分したものとすることについては,一般に合理性が認められるものの,本件各土地を含む豊洲新市場予定地の
土壌汚染の程度は必ずしも均一ではないこと(甲19)からすると,その相当性について疑問の余地がないとまではいえない。


また,専門家会議の提言に基づいて東京都が行うとした,本件各
土地を含む豊洲新市場予定地についての土壌汚染対策は,A等が14年合意等及び17年確認に基づき環境確保条例に従った土壌汚染対策を一応完了した後に実施する,土壌汚染防止法や環境確保条例等の法令により求められる土壌汚染対策の基準を上回るもので,食
の安全・安心という観点も考慮して安全対策を行うものであった
(なお,専門家会議の提言内容やその提言を実現するための技術会議の試算内容が,その提言や試算がされた当時,明らかに不合理であったといえる事情はない。)。
確かに,一般の市場参加者が土地を購入するに当たり,土壌汚染

防止法,環境確保条例等の法令の限度内での土壌汚染対策がされればそれ以上は土壌汚染の対策を求めないとは考えにくく,ましてや本件各土地は,本件各契約の締結から半年余りで形質変更時要届出区域に指定される程度にまで土壌が汚染されていたことからすれば,本件各土地の正常価格を算定するに当たり,土壌汚染防止法,環境
確保条例等の法令により求められる以上の土壌汚染対策費用を控除することについては,一応の合理性が認められるというべきである。しかしながら,上記東京都の土壌汚染対策は,一生涯豊洲の地に住んでも健康影響が生じることはないと説明されるほどの手厚いものであること(前記1⑸ア)を考慮すると,正常価格の算定に当たっ
て,東京都が行う上記土壌汚染対策に係る費用全額を控除することが必要であるとまでいい切るのは躊躇されるところである。


おり,原告らの主張する正常価格①は,これを
もって本件各土地の正常価格とすることになお疑問の余地がないと
まではいえないものであるが,本件各土地の正常価格の目安として相応の合理性があることも否定し難いところであるから,以下,正常価格①が本件各土地の正常価格であることを前提として検討をする。
c
なお,技術会議は,平成21年2月,専門家会議の提言を実現するための経費について,技術会議において策定した技術・工法を基に算定すると,586億円になると報告しているところ(前記前提事実⑵
カ),本件各土地の土壌汚染を考慮しない価格から,上記586億円を豊洲新市場予定地における本件各土地の面積割合(28.9%)で案分した169億3540万円を控除すると,408億7887万8000円となる。この金額についても,本件各土地の正常価格の目安として相応の合理性があるものと考えられるので,以下,正常価格①
と併せて検討する(以下,この408億7887万8000円を正常価格④という。)。ウ
正常価格①が本件各土地の正常価格であるとすると,東京都の本件各土地の取得価格は578億1427万8000円であるから,その取得価格は正常価格を156億5650万円超えることになる。もっとも,較差に
すると,取得価格は正常価格の約1.37倍にとどまる。
次に,正常価格④が本件各土地の正常価格であるとすると,東京都の本件各土地の取得価格は正常価格を169億3540万円超えることになる。もっとも,較差にすると,取得価格は正常価格の約1.41倍にとどまる。そうすると,本件各土地の取得価格は正常価格より高額ではあるものの,
その較差を考慮したときは,著しく高額とまでいうことには疑義がある。⑶

東京都による本件各土地の取得の必要性について

築地市場については,施設の狭隘・過密化・老朽化という問題が発生していたところ,東京都は,これに対処するため,平成13年12月に東京
都卸売市場計画(第7次)を策定し,築地市場を豊洲地区へ移転する方針を決定し,その後,一貫して築地市場の豊洲地区への移転を目指していたのであり,築地市場の移転候補地として,本件各土地の所在する豊洲地区以外には見当たらない状態であったものである(前記1⑴,⑻)。もっとも,築地市場の上記アの問題への対処を巡っては,現在地再整備の方法も唱えられており,東京都議会においては,平成22年3月28日,築地市場の老朽化を踏まえると,早期の新市場開場が必要であるが,これを実現するためには,なお解決すべき課題が多いことから,予算の執行に当たっては,以下の諸点に留意すること。①議会として現在地再整備の可能性について,大方の事業者の合意形成に向け検討し,一定期間内に検討結果をまとめるものとする。知事は議会における検討結果を尊重すること。(以下略)とする付帯決議を付して平成22年度東京中央卸売市場会計予算が可決され,また,東京都議会の築地市場特別委員会は,同年10月5日,築地市場現在地再整備に関する四つの具体案を示した調査報告書を取りまとめていたにもかかわらず,参加人は,同月22日,築地市場の豊洲地区への移転を推進することを決断し
たことを明らかにし,東京都は,平成23年3月から4月にかけて本件各契約を締結したものである(前記1⑺イ~エ,⑾)。しかしながら,築地市場現在地再整備は,東京都が委託した民間の設計事務所の試算結果によれば,整備期間が一番短いものでも,汚染対策や文化財及び埋蔵文化財の対策を除いて11年以上を要するとされてい
たのであり(前記1⑺ウ),相当長期間を要するものであった。また,築地市場については,現在地における再整備が試みられたこともあったが,工期の遅れ,整備費の膨張,業界調整の難航という問題が発生し,平成7年に再整備工事は中断に追い込まれていた(前記1⑴イ)。そうすると,築地市場特別委員会の取りまとめた築地市場現在地再整備に関
する四つの具体案を採用せず,築地市場の豊洲地区への移転を推進するとしたことが,それ自体不合理であるとはいえない。
これに対し,原告らは,市場問題プロジェクトチームの第一次報
告書では,民間的手法を用いた場合には,営業しながらの改修で7年,一旦移転する方法では3年半の工期で築地市場現在地再整備が可能とされており,築地市場現在地再整備は不可能又は極めて困難ではなかったにもかかわらず,工期が長いのが致命的であるという誤った認識の下,
築地市場の豊洲地区への移転が推進された旨主張する。
しかしながら,上記市場問題プロジェクトチームの第一次報告書
が東京都知事に手交されたのは,平成29年6月13日であり(甲43),本件各契約締結時点においては,築地市場現在地再整備が同報告書に記載された工期で可能と考えられることは明らかではなかったとい
うべきである。そして,東京都は,上記のとおり民間の設計事務所に委託した結果,整備期間が一番短いものでも,汚染対策や文化財及び埋蔵文化財の対策を除いて11年以上を要するとの試算を得たものであり,その内容が不合理であったことをうかがわせる事情もないから,その整備期間を前提として築地市場の豊洲地区への移転を推進するという判断
をし,本件各契約を締結したことが不合理であるとはいえない。

さらに,本件各土地には相当程度の土壌汚染が存在したが,前記1⑸のとおり,多額の費用は要するものの,専門家会議の提言に盛り込まれた対策を行うことによって,一生涯豊洲の地に住んでも健康影響の生じることはないとされる程度に土壌汚染対策をすることが可能であったということ
ができる。

加えて,東京都は,本件各契約に先立ち,平成16年及び平成18年,豊洲新市場予定地の一部として,民間地権者から土地を既に取得し,保留地を買い受けており(前記1⑷),その活用も考慮する必要があったことは否定し難い。


以上の諸事情を踏まえると,築地市場の豊洲地区への移転のため,本件各土地を取得する必要があると判断し,本件各契約を締結したこと自体が不合理であるということはできない。


A等の土壌汚染対策費用について

A等は,23年協定において,東京都が専門家会議の提言を受け,技術会議の検討も経て行おうとしていた土壌汚染対策の費用586億円のうち,
び2においては,代金の支払につき,当該78億円を控除した残額を支払
の負担も,本件各土地の取得価格と正常価格との較差を検討する際に考慮されるべきであり,具体的には,当該78億円を豊洲新市場予定地における本件各土地の面積割合(28.9%)に応じて案分した22億5420万円を取得価格から控除すべきである。
本件各土地の売買代金額は578億1427万8000円であるところ,これから22億5420万円を控除すると,その取得価格は555億60
07万8000円となる。そうすると,本件各土地の取得価格は,正常価格①(421億5777万8000円)を134億0230万円,正常価格④(408億7887万8000円)を146億8120万円それぞれ超えることになるが,較差にすると,それぞれ約1.32倍,約1.36倍にとどまるのであって,いずれにせよ,前記⑵ウより,価格差も較差も
縮小する。
23年協定においては,A等の土壌汚染対策費用の負担額が78億円とされる一方,A等は,今後,豊洲新市場予定地等の土壌汚染に係る費
この点について,原告らは,A等の責任を免除するような瑕疵担保責任免責条項を積極的に挿入し,A等に土壌汚染対策費用のうち僅か78億円のみを負担させるにとどめたことは明らかに不合理である旨主張する。
そこで,23年協定の締結に至る経緯について検討する。
A等は,平成19年4月までに,約100億円を支出し,14年合意等及び17年確認に基づく土壌汚染対策を完了していた。しかし,専門家会議の調査により,新たに本件各土地を含む豊洲新市場予定地に土壌
汚染が発見されたことから,東京都は,平成21年2月頃以降,技術会議の報告に基づく土壌汚染対策費用586億円の一部の負担を求めて交渉を開始したが,弁護士から,条例上の手続は済んでいるため法的責任について言及することはできないとの助言を受けていた。そして,A等は,将来の更なる追加負担の余地を残すことを拒絶し,負担額について
も72億円とすることを提案するなどしていたが,交渉を重ねた結果,23年協定を締結するに至ったものである(以上につき,前記1⑶イ,⑹)。
A等が土壌汚染対策費用約100億円を既に支出していたことに加え,以上のような交渉経緯に鑑みれば,東京都がA等に対し,78億円以上
の土壌汚染対策費用の負担を求めることや将来の更なる追加費用の負担の余地を残すことに固執した場合,A等の間で合意が成立せず,本件各土地の取得をすることが困難となっていた可能性も否定することができず,その結果,築地市場の狭隘・過密化・老朽化等の問題への対処が遅れたり,既に取得した豊洲地区の土地の活用といった問題が生じたりす
ることは否定し難い。このようなことからすれば,東京都がA等の土壌汚染対策費用の負担額を78億円とする一方,A等が今後対象用地の土壌汚染に係る費用負担をしないことを内容とする23年協定を締結したことが不合理であるということはできない。


東京都財産価格審議会への付議について
東京都は,本件各土地の買収価格について,東京都財産価格審議会の議に付したが,その際,土地の土壌汚染については,処理費用の負担について,東京都と従前地権者との間で協議の上,別途取り扱うこととしていることから,評価に当たっては考慮外とするとの評価条件を付しているところ(前記
議会に諮らず,東京都公有財産規則を潜脱するものである旨主張する。
しかしながら,東京都財産価格審議会へ本件各土地の買収価格の付議においては,土地の土壌汚染の処理費用の負担を考慮外とする理由が明示されており,その上で,同審議会は,本件各土地の買収価格について,付された条件に異議をとどめず評定している(乙3)。したがって,同審議会への本件各土地の買収価格の付議において,土地の土壌汚染の処理費用の負担を考慮
外とするとの条件を付したことは,東京都公有財産規則を潜脱するものとはいえない。


小括
以上のとおり,本件各土地の取得価格は,正常価格①及び④より高額では
あるものの,その較差でみると差が著しいものとまではいえず,A等による土壌汚染対策費用の負担額78億円を考慮すれば,較差は更に縮小する。その上,東京都が築地市場の豊洲地区への移転を推進するために本件各土地を取得することが不合理であったとはいえず,本件各土地の取得に際し,23年協定を締結し,A等に更に負担させる土壌汚染対策費用を78億円とし,
今後,A等が土壌汚染対策費用を負担しないものとしたことも不合理であったとはいえないことなどからすれば,本件各契約を締結した財務局長の判断が,その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとして違法であるということはできない。
なお,本件各土地に土壌汚染があることから,心理的瑕疵があるとされ,
本件各土地の正常価格が正常価格①又は④を下回ることがあったとしても,専門家会議の提言を受けた土壌汚染対策により,一生涯豊洲の地に住んでも健康影響の生じることはないことを達成することができるとされていたことを踏まえれば,心理的瑕疵による本件各土地の正常価格の下落の程度が著しいものとなることは考えにくく,心理的瑕疵の点は上記結論に影響を及ぼさないというべきである。
4参加人の責任について
以上検討したところによれば,その余の点について判断するまでもなく,参加人は,本件各契約の締結につき,東京都に対し損害賠償責任を負わないというべきである。
5結論

以上によれば,原告らの請求は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第2部

裁判長裁判官


裁判官


裁判官

三英明川弘持納有子貫
(別紙1)は記載を省略

(別紙2-1)
14
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2第
~二
13条
〔〔
略略
〕〕


地方自治法
(別紙2-2)

2

〔度
略を
〕こ

















以上
第(
四予
条算

地執
方行
公等
共)







その目的を達成するための必要且つ最少の

地方財政法
(別紙2-3)












































当該土地の形質の変更をしようとするとき
























その土地が特定有害

十(
一形
条質

都更
道時
府要
県届
知出
事区
は域
、の
土指
地定
が等
第)













同項第二号
5




























43
































当該要措置区域の全部又は一部について



要措置区域





の全部又は一部について同項の指定の事





















第一項の指定に係る区域



























2








































環境省令で定めるところに






























































































調





当該土地の土壌の特定有害物質による汚染状
















































汚染の除去等の措置
とい


































4




















































前項において準用する


















































当該形質変更時要届出区域の全部又は






















第六条第一項の規定に












その土地が特定有害物質によって汚染されてお

六(
条要

都置
道区
府域
県の
知指
事定
は等
、)
土地が次の各号のいずれにも該当すると認める場合

土壌汚染対策法
3























第一項の指定及び前項の解除につい
2





























































当該形質変更










形質変更時要届出区域





の全部又は一





























前項の
(別紙2-4)



都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(平成12年東京都条例第215号。平成30年条例第120号による改正前のもの)
117条(土地の改変時における改変者の義務)
11項

規則(注:東京都規則。以下同じ。)で定める面積以上の土地において行う土地の切り盛り,掘削等規則で定める行為(以下土地の改変という。)を行う者(以下土地改変者という。)は,土壌汚染対策指針に基づき,当該土地の改変を行う土地における過去の有害物質の取扱事業場の設置状況等規則で定める事項について調査し,その結果を知事に届け出なければならない。
22項
知事は,前項の調査の結果,当該土地の土壌が汚染され,又は汚染されているおそれがあると認めるときは,土地の改変者に対し,土壌汚染対策指針に基づき,規則で定めるところにより当該土壌の汚染状況を調査し,その結果を報告するよう求めることができる。

33項
土地改変者は,前項の調査の結果,当該土地の土壌の有害物質の濃度が汚染土壌処理基準を超えていることが判明したときは,土地の改変に伴う汚染の拡散等を防止するため,土壌汚染対策指針に基づき,規則で定めるところにより,汚染拡散防止計画書を作成し,知事に提出しなければならない。

44項
前項により汚染拡散防止計画書の提出をした土地改変者は,前項の汚染拡散防止計画書の内容を誠実に実施し,汚染の拡散の防止の措置が完了したときは,その旨を知事に届け出なければならない。
以上

(別紙2-5)

○東京都公有財産規則(昭和39年東京都規則第93号)
147条(価格または料金の決定)1項
普通財産の管理及び処分に係る予定価格並びに財産の取得に係る予定価格は,適正な時価により評定した額をもって定めなければならない。
248条(東京都財産価格審議会付議)
局長等は,前2条の予定価格(中略)の決定に際しては,東京都財産価格審議会の議を経なければならない。(以下略)
以上

(別紙2-6)



東京都事案決定規程(昭和47年東京都訓令甲第10号。平成27年訓令第1号による改正前のもの)
14条(決定対象事案)1項
前条の規定に基づき,知事又は局長,部長若しくは課長の決定すべき事案は,
おおむね別表に定めるとおりとする。
2別表(抄)
知事
7
局長

物件の買入れ等に関

1
すること。

予定価格が6000
万円以上(中略)の物
件の買入れ,売払い,
借入れ及び貸付けに関
すること。
以上

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