判例検索β > 平成31年(う)第791号
業務上過失致死
事件番号平成31(う)791
事件名業務上過失致死
裁判年月日令和2年7月28日
裁判所名・部東京高等裁判所  第6刑事部
結果破棄自判
原審裁判所名長野地方裁判所  松本支部
原審事件番号平成26(わ)260
裁判日:西暦2020-07-28
情報公開日2020-08-26 16:00:19
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令和2年7月28日宣告

東京高等裁判所第6刑事部判決

平成31年

業務上過失致死被告事件

791号

主文
原判決を破棄する
被告人は無罪

理由
第1罪となるべき事実の要旨及び本件控訴の趣意
1原判決が認定した罪となるべき事実の要旨
被告人は,長野県安曇野市所在の特別養護老人ホームaに准看護師として勤務し,同施設の利用者に対する看護及び介護業務に従事していたものであるが,平成25年12月12日午後3時15分頃,前記a1階食堂において,同施設の利用者に間食を提供するに当たり,間食を含む同施設の利用者の食事形態については身体機能等を勘案して決められ,決められた形態と異なる食事を利用者に提供して摂取させれば,これを摂取した利用者に窒息事故等を引き起
こすおそれがあったのであるから,各利用者に提供すべき間食の形態を確認した上,これに応じた形態の間食を利用者に配膳して提供し,窒息等の事故を未然に防止すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り,ゼリー系の間食を提供するとされていた被害者(当時85歳)に対し,同人に提供すべき間食の形態を確認しないまま,漫然と常菜系の間食であるドーナツを配膳して提供した
過失により,同人にドーナツを摂取させ,喉頭ないし気管内異物による窒息に起因する心肺停止状態に陥らせ,よって,平成26年1月16日,同県松本市内の病院において,前記心肺停止に起因する低酸素脳症等により,同人を死亡させた。
2本件訴訟の経緯及び本件控訴の趣意

原判決は,被告人に被害者の食事中の動静を注視して食物による窒息事故を未然に防止すべき業務上の注意義務を怠った過失があるとの主位的訴因(二度の訴因変更後のもの)を排斥し,追加請求を許可した予備的訴因に沿う原判示の過失を認定して被告人を有罪とし,これに対して,被告人のみが控訴を申し立てた。
本件控訴の趣意は,弁護人(主任)藤井篤ら作成の控訴趣意書,同弁護人作成の控訴趣意補充書

(訂正申立書で訂正されたもの),同

及び意る書面各記載のとおりであり,これに対する答弁は,検察官神田浩行作成の答弁書記載のとおりである。論旨は,訴訟手続の法令違反(主位的訴因の各訴因変更を許可し,予備的訴因の追加を許可した原判決の訴訟手続の違法をいうもの)及び事実誤認の主張である。第2事実誤認について1論旨論旨は,要するに,原判決には,①被害者の心肺停止がドーナツによる窒息に起因すると認定した点,②被告人に原判示の過失があるとした点において,判決に影響を及ぼすことの明らかな事実誤認がある,というのである。2原判決の判断の概要前提事実(以下,略称の記載については,特に断りのない限り原判決に従う。)ア本件施設には,食事,入浴,排泄等で介護が必要な要介護1ないし5の高齢者を対象とした入所者の居住区としてA棟(17名),B棟(21名)及びC棟(27名)があり,それぞれに食堂が設置されていた。本件施設には,職員として看護業務と一部介護業務を行う看護職(看護師又は准看護師)及び介護業務を行う介護職がいた。看護職は,本件当時,看護師長及び被告人(准看護師)を含めて6名であり,日勤の場合,看護業務のほか,昼食介助と,優先すべき看護業務のない場合には間食介助にも入ることになっていたが,どの棟の間食介助に入るかは定められていなかった。なお,看護職は,早番及び遅番の勤務の際には介護業務だけを行うとされていた。介護職は,本件当時,棟ごとのチーム(Aチーム,Bチーム及びCチーム)として編成され,Cチームには8名が配置されていた。イ被害者は,アルツハイマー型認知症で要介護4の認定を受けており,平成25年10月23日,本件施設のC棟に入所した。C棟の入所者は主として認知症の進行が比較的軽度な者とされていた。被害者は,以前に本件施設をショートステイで利用したことがあり,その際の資料では食事の際の詰め込み等が指摘され,今回の入所に際して管理栄養士によって作成された栄養ケア計画書でも,短期目標(以下の括弧内は栄養ケアの内容)として,適切な食事と間食の摂取による現体重の維持(食事:義歯がないため全粥(主食)及びキザミ食(副食),おやつ:禁物特になし),安定した体調の維持(食事摂取量の確認),誤嚥防止(食事摂取状態の確認,食形態の評価)が挙げられていた。本件施設での間食には,常菜系のほかゼリー系の形態があり,副食がキザミ食の利用者には,基本的に常菜系の間食が提供されていたため,被害者にも常菜系の間食が提供されることになった。ウ被害者の入所後の状況について,看介護記録には,①おやつのサンドパン提供するも義歯ないため咀嚼不可,口腔より出してもらうと形のまま出てくる,形態によっては誤嚥の危険ある,提供前に形態の確認をとの記載(同年10月24日),②被害者が,夕食時,食事をかき込むことがあり,ゆっくり食べるよう声掛けしたとの記載(同年11月7日),③前記②の夕食後に嘔吐を繰り返したことについて「食べ過ぎ?丸飲み傾向・・との看護記録のはりつけ(同月8日),④被害者が,食事をスプーンですくってかなり大盛
りを口に入れ,飲み込んでしまうため,配膳前にほぐして食事を提供すること,箸をつけること,ゆっくり食べるように声掛けすることとの記載(同年12月1日),⑤昼食について食事,丸飲みする様子あり,

寿司提供は,窒息のリスクあり。見守りのもと,慎重な判断が必要

との記載(同月4日)などがある。

同年12月4日に開かれたCチームの会議で被害者の間食の形態

変更が議論され,同月6日からゼリー系の間食に変更されることになった(以下本件形態変更という。)。

Cチームの介護士であるbは,本件当日(同月12日),間食の

ため被害者を含むC棟の利用者をC棟食堂に集め,利用者用の飲物を用意していた。被告人は,同日,日勤で看護業務を行っていたところ,午後3時10分頃,間食の介助を手伝うため同食堂を訪れた。なお,本件当日,同食堂には,食事の介助が必要であったり,動静に注意することが必要であったりする利用者が複数いた。
被告人は,bに手伝えることはないか聞いたところ,間食の配膳をするように頼まれた。本件当日の間食は,常菜系の本件ドーナツ(直径約7cm,厚さ約
3cm)及びゼリーであり,厨房担当者が食堂内に運んできていたワゴンに置かれていた。
本件施設では,主食及び副食について配膳の際に食札による確認が行われていたが,間食の配膳については,食札は利用されず,配膳する者の記憶により行われていたところ,bは被告人に配膳を頼むに当たって,誰にゼリーを配膳
するか伝えず,被告人からbに尋ねることもなかった。
被告人は,上記ワゴンを押しながら,各利用者のテーブルを回り,間食を配膳したが,本件形態変更の認識がなかったため,常菜系の間食である本件ドーナツ(1個)を被害者に提供した。

被告人は,食事の全介助が必要な別の利用者の介助に入り,被害

者に背を向ける形で同利用者にゼリーを食べさせていた。Cチーム介護士cは,午後3時15分頃,C棟食堂に入り,その後食堂内を見たところ,被害者が,いすの背もたれに寄りかかり,体を左に傾け,左手を下げ,あごが上がった状態でいるのを発見した。その際,本件ドーナツの置かれていた皿は空になっており,併せて置かれていた牛乳も減っていた。

被告人らは,窒息を疑って被害者の背中を強く複数回たたき,被

害者を居室のベッドに移動させると,口腔内からドーナツ片(おおよそ長さ約3.5cm,横約1.5cm,高さ約1cm)を指でかき出した。看護師長のdが居室に到着した時点では,被害者に呼吸及び脈はなく,末梢チアノーゼも生じた状態であった。dは,口腔内からドーナツ片を指で2回かき出し(1回目に取り出したものは,ぼろぼろになり湿り気を帯びた長さ約
3cm,横約2cm,高さ約1.5cmのものであり,2回目に取り出したものは,口の中にばらばらと広がっていたものであり,おおよそ1回目の半分の量であった。),さらに吸引器を使用したものの,ドーナツは吸引されなかった。dらが,被害者に対し心臓マッサージ及び酸素吸入をすると,被害者は一度息を吐き出した。なお,被害者に数回AEDを使用しても除細動の適応はなかった。
その後救急隊員が到着したが,被害者は心肺停止状態となっていた。救急隊員は,窒息の疑いを告げられ,口腔内を確認したところ,声門手前の複数箇所にドーナツ片の付着が認められたものの,声門の閉塞はなかった。被害者は,気管挿管及びアドレナリン投与を受け,病院搬送の途中で心拍が一旦再開したが再び停止し,病院搬送後に心拍再開,弱い自発呼吸が確認され
た。

被害者は,平成26年1月16日,搬送先の病院で心肺停止に起

因する低酸素脳症等により死亡した。
心肺停止の原因に関する判断
e医師の証言(①被害者が認知症であり,食事をかきこむ癖を有し,被害者の異変に気付いた被告人を含む本件施設の職員等がその原因として窒息を疑って適切な処置をし,被害者の声門手前でドーナツの残渣が発見された,②本件ドーナツは,喉頭,声門(直径7ないし10mm),気管を閉塞させることが可能な大きさ,量である,③被害者が窒息に対する処置を受けて一度息を吐き出し,末梢チアノーゼが回復した経緯は,本件ドーナツの一部による窒息が生じたものの,後にそれが取り除かれ,空気の通り道ができたと考えることと整合する,④突然の心肺停止は急性心筋梗塞や致死性不整脈等の心疾患,あるいは脳梗塞等の脳血管障害によっても生じ得るが,急性心筋梗塞は,自己心拍が再開した後の心電図において認められるはずのST波形がないことから否定され,致死性不整脈は,蘇生措置の間に脈が触れておりパルスオキシメーターの値が測定できたことと矛盾する上,致死性不整脈のうち心室細動及び無脈性心室性
頻拍もAEDによる除細動の適応がなかったことから否定され,脳梗塞等の脳血管障害により心肺停止が生じた場合には本件のように短時間で呼吸再開が生じるとは考え難く,被害者の死後のCT検査で脳底動脈に梗塞像があることを踏まえても,脳梗塞等の脳血管障害が心肺停止の原因であることは否定される,⑤したがって,心肺停止の原因は本件ドーナツによる窒息である。)は信用で
きる。異変発生の際,被害者に咳嗽反射による咳き込みや窒息したことを周囲に知らせるような言動がなかったとしても,被害者が高齢であることなどからすれば,窒息と矛盾しない。
前記e証言によれば心肺停止の原因は本件ドーナツによる窒息と認められる。さらに窒息部位を検討すると,鼻腔の閉塞はうかがわれず,口腔内のみの閉塞
で窒息が生じるとは考えられないから,その奥に位置する喉頭ないし気管に閉塞が生じたと認められる。
過失についての判断(以下では,原判示の過失の理解に必要な限度で主位的訴因を排斥した判断も摘示する。)

主位的訴因について

本件形態変更は窒息防止もその理由の一つであり,被害者の介護を担当する者においては,被害者が食物を詰め込むことがあることなどから窒息の危険があると認識されていたと認められる。被告人が早番及び遅番としてCチームの介護業務を担当していたことなどからすれば,被害者が本件ドーナツを摂取することにより窒息が生じる危険性があることを予見することは可能であった。しかし,被害者は,入所から本件までの2か月弱の間,ドーナツを含む常菜系の間食を食べており,丸飲み傾向等の窒息につながり得る事情はあるが,嚥下障害は確認されておらず,実際の食事,間食の場面において,誤嚥や食物が詰まるなどといった窒息の危険が高いといえるような事態は生じていなかったことからすれば,本件当時,窒息の危険が高かったとまでいうことはできない。加えて,食事介助が必要であったり,動向に注意を要する利用者が他にも多数
いるという状況で,bから被害者の見守りについて注意を受けたわけでもない被告人が他の利用者に比べて被害者を特別注視しなければならない存在であると認識し,異変に気付くことのできる程度の注視を求めることは困難である。被告人には,被害者の食事中の動静を注視して,食物による窒息の事故を未然に防止すべき業務上の注意義務を怠った過失があるとはいえない。

予備的訴因について
本件施設の利用者には様々な身体機能を有する者がおり,身体

機能等によっては配膳する間食の形態により誤嚥や窒息等により生命,身体に危険が生じる可能性があること,本件施設において間食を含む食事の形態は利用者の身体機能等により決定されていたこと,本件施設の利用者の身体機能等は変化することがありそれに応じて間食を含む食事の形態が変更される可能性があることが認められ,被告人は,本件施設の利用者に間食の形態を誤って提供した場合,特にゼリー系の間食を配膳することとされている利用者に常菜系の間食を提供した場合,誤嚥,窒息等により,利用者に死亡の結果が生じることは十分に予見できた。

本件施設では,介護士のチームごとに作成される申し送り・利
用者チェック表が介護業務を行った介護士等により毎日記載され,チームごとのカウンターで保管されていた。
日勤の看護師(准看護師を含む。
)は,療養棟全体のサービスステーション
において,利用者全体の療養棟日誌を確認し,その後,看護職の詰所である診察室において,看護送りノート及び看護の申し送り簿を確認して各利用者の情報を収集した上,各チームの夜勤の介護士から,申し送り・利用者チェック表等に基づいて各利用者の健康状態等について報告を受けていた。また,夜間連絡担当の看護師1名は,夕方に日勤の介護士から利用者の健康状態について申し送りを受け,その看護師が申し送り・利用者チェック表に押印することとなっていた。

看護師が介護資料全てを確認することが求められていたとはいえないが,介護士から看護師への日々の申し送りは,申し送り・利用者チェック表に基づいて行われていたから,これに基づいて看護師に引き継がれる記載内容は看護師において把握すべきであって,少なくとも勤務に当たる際には同表の確認が求められていたというべきであり,被告人においては,自身の勤務しない日があ
る以上,勤務の度に各チームの申し送り・利用者チェック表を遡って確認し,間食を含めた食事の形態変更の有無を確認する義務があり,さもなくば,間食介助の現場において間食の形態変更を介護士に確認すべきである。本件形態変更は,平成25年12月5日の申し送り・利用者チ
ェック表に記載されており,被告人は,翌6日以降の日勤勤務の際に遡って同
表を確認していれば,その変更を知り得たのであり,義務違反と結果との因果性も認められる。被告人には,前記義務を怠った過失があり,それにより被害者を死亡させたといえるから,業務上過失致死罪が成立する。被害者に提供される予定のゼリーによる窒息の危険性は本件ドーナツの窒息の危険性より低いと認められるから,確認義務を認めることに問題はない。

3当裁判所の判断
原判決は,本件ドーナツが喉頭ないし気管内を閉塞したため窒息が生じ,被害者はこの窒息により心肺停止状態に陥り,これに起因する低酸素脳症等により死亡したとの機序を認定した上で,被告人には業務上過失致死罪における過失が認められるとしたが,原判決が原判示の過失を認めたことは是認できない。以下,その理由を説明する。
原判決の問題点


原判決は,結果の予見可能性を検討し,その上で注意義務を検討

するという判断枠組みに基づき,予備的訴因に沿う過失を肯定しているところ,原判決は予見可能性を適切に捉えていない。
すなわち,原判決が検討した予見可能性の内容は,被害者自身に対する窒息の危険性を抽象化し,本件施設の利用者に間食の形態を誤って提供した場合,特にゼリー系の間食を配膳することとされている利用者に常菜系の間食を提供した場合,誤嚥,窒息等により,利用者に死亡の結果が生じることとされている。これは,本件施設の利用者の状況は様々で,各利用者の間食の形態が常に誤嚥,窒息の防止だけを目的として決められているわけではないのに,
特別養護老人ホームにおける利用者一般という概括的な存在を対象に,常菜の中でも,どのような種類の間食かを特定しないまま,死因についても誤嚥,窒息の例示はあるが

等(この点について,検察官は,人の生理的機能に障害を与えること,又は健康状態を不良に変更すること一般と釈明する。原判決5頁)

を付して包括性の高いものにした上で,利用者が死亡することについて
の予見可能性を問題にしたものであり,要するに,特別養護老人ホームには身体機能等にどのようなリスクを抱えた利用者がいるか分からないから,ゼリー系の指示に反して常菜系の間食を提供すれば,利用者の死亡という結果が起きる可能性があるというところにまで予見可能性を広げたものというほかない。しかし,具体的な法令等による義務(法令ないしこれが委任する命令等による
義務)の存在を認識しながらその履行を怠ったなどの事情のない本件事実関係を踏まえるならば,上記のような広範かつ抽象的な予見可能性では,刑法上の注意義務としての本件結果回避義務を課すことはできない。原判決は,被告人には本件形態変更を確認する職務上の義務があったとした上で,これを法令等による義務と同視したもののように解されるが,一定の科学的知見や社会的合意を伴わない単なる職務上の義務を法令等による義務と同列に扱うのは形式的に過ぎるというべきである。本件では,被告人が間食の形態変更を確認しないまま本件ドーナツを被害者に提供したことが過失であるとされ,この過失によって被害者に本件ドーナツによる窒息が生じ,その死亡という結果を引き起こしたことについて行為者を非難するという過失責任が問われているのであるから,被害者に対する本件ドーナツによる窒息の危険性ないしこれによる死亡の
結果に対する具体的な予見可能性を検討すべきであるのに,原判決はこの点を看過している。
これに対し,検察官は,予備的訴因では本件施設の利用者一般に間食を提供する際に被告人が負うべき結果回避義務が問題になったのであるから,本件施設の利用者一般の予見可能性を検討するのは当然であり,原判示の予見可能性
に係る判断に誤りはないと主張するが,過失の内容を的確に捉えないものであり,失当である。
なお,検察官は,原判決が主位的訴因の排斥に際し,本件ドーナツによる窒息の危険性(被害者が本件ドーナツを摂取することにより窒息が生じる危険性)について予見可能性がある旨説示していることを捉えて,原判示の過失に
ついて被害者が本件ドーナツにより窒息する危険性の具体的予見可能性を肯定しているとも主張する。しかし,原判決は,主位的訴因と予備的訴因の各判断において前提となる予見可能性の内容が異なり,予備的訴因においては,本件ドーナツによる被害者の窒息の危険性ないしこれによる死亡の結果の予見まで要しないことを明示した上,実際に被告人が被害者に本件ドーナツを提供した
ことは間食の形態を確認すべき義務の違反から結果に至る因果の流れの中に位置付けたと考えられ,検察官の主張は原判決を正解するものではない。イ
また,原判決は,主位的訴因の検討において,被害者に窒息の危

険が高かったとまではいえず,被害者が窒息等をした場合にむせ等周囲の者が窒息に気付き得る言動をとれないことを予測するのは困難とした上で(原判決27~28頁),被害者を注視して窒息事故を未然に防止すべき義務を否定している。どの程度の予見可能性があれば過失が認められるかは問われている結果回避義務との関係で個別的に判断されるべきであるから,原判決の上記判断には当該結果回避義務を課すに足りる程度の具体的予見可能性を否定する趣旨も包含していると解される。そうであるとすると,主位的訴因よりも時系列的に前の予備的訴因ではなおさら,結果回避義務を課すに相応しい内容,程度の結
果に対する具体的予見可能性が認められるかを自覚的に検討する必要があったはずである。しかし,原判決は,予備的訴因で求められた具体的予見可能性の内容を前記アのとおり誤って捉えたためか,上記検討をしていない。ウ
さらに,原判決は,主位的訴因の検討においてさえ,看護職は常に介助に入るものではなく,介助の主体は介護士とされており,被告人は間食を配膳することを介護士であるbから頼まれ,配膳を開始した時から被害者の異変が発見されるまでbから被害者の見守り等について何ら注意をされたわけでもな(い)という事情も考慮して主位的訴因の過失を認めることができないとしながら,予備的訴因の検討においては上記事情を考慮した様子はない。しかし,予備的訴因の検討においても上記事情,より具体的には,本件施
設における看護職と介護職の介護業務の分担状況,本件形態変更の経緯・目的,介護の際に把握しておくべき利用者の健康状態についての情報共有の仕組み,本件当日の状況を踏まえて実質的に判断すべきであった。

以上のとおり,原判決は,過失犯について予見可能性から検討す

る判断枠組みを採用し,この枠組みに従って主位的訴因を排斥する一方,予備的訴因に関する判断においては,主位的訴因の判断と大きく異なる誤った予見可能性の捉え方をした上で,本件施設における被告人の立場等についても実質的な検討をしないまま原判示の過失を肯定したもので,この点だけをみても,原判示の過失に係る判断には重大な問題があり,これをそのまま是認することはできない。
予備的訴因に対する判断
原判決の過失判断が抱える問題点は既述のとおりであるが,本件における具体的な事実関係に基づき,予備的訴因で示された業務上の注意義務違反がなお認められるかについて改めて検討を加える。
原判決は,注意義務の内容として,被害者に提供すべき間食の形態を確認すべきこと(以下間食形態確認義務という。)と,本件ドーナツの提供を回
避すること(以下ドーナツ提供回避義務という。)を要求している。本件過失の中核(非難の重点)はドーナツ提供回避義務違反と解されるが,原判決は,間食形態確認義務が尽くされれば,その後の因果の流れとして被害者に対する本件ドーナツの提供も回避されたはずであるから,間食の形態を確認しなかったこと自体を捉えて過失責任を問えると判断したものと解される。
しかし,上記のような流れで間食の形態を確認しなかったことを業務上過失致死罪における過失とするためには,遅くとも被害者に本件ドーナツを提供するまでの間に本件ドーナツによって被害者が窒息することの危険性ないしこれによって死亡する結果についての具体的予見可能性がどのような内容,程度であったかを十分に検討する必要がある。この点を含めて,以下,具体的に検討
する。

まず前提として,被告人において間食の形態を確認することが職務
上の義務であったかをみることとする。もとより職務上の義務であっても直ちに業務上過失致死罪における刑法上の注意義務となるものではないが,検討の際の重要な考慮要素となり得るし,原判決が前記
アで指摘したような広範か

つ抽象的な予見可能性で足りるとした背景事情とも関連すると考えられるからである。この点,本件形態変更は介護資料にしか記載されていなかったものであるが,原判決は,介護士から看護師への日々の申し送りは,申し送り•利用者チェック表に基づいて行われていたから,これに基づいて看護師に引き継がれる記載内容は看護師において把握すべきで,勤務に当たる際には同表の確認が求められており,被告人も,自身の勤務しない日がある以上,勤務の度に各チームについて同表を遡って確認する義務があり,平成25年12月5日付けの同表には本件形態変更に係る記載があったから,同月6日以降の日勤勤務の際にその義務を履行していれば,本件形態変更を知り得た,という。
しかし,申し送り•利用者チェック表は,介護士の詰所である各チームのカ
ウンターで保管される介護資料であり,その記載の体裁に照らし,日付の前日夜から当日の夕食終了頃までの間にその都度記載されていたと認められるが,その記載が日勤の看護師に対する引継ぎのためのものであったとは認められない。同表は,介護職間の情報共有のためのものであり,各利用者の健康状態等に直接関係しない親族面会や物品購入等の記載もあり,そこに記載される事項
全てが看護師において把握しておく必要があるものではない。また,本件施設においては,日勤の看護師に対し,その勤務に当たり,既に申し送りがされた過去の日付の同表を確認するよう求める業務上の指示があったことを認めるに足りる証拠はなく,休日明けを含め日勤看護師がそのような確認を実際に行っていたと認めるに足りる証拠もない。本件施設のような特別養護老人ホームに
おいて,本件施設の療養棟日誌のように看護職と介護職で共有されていた文書とは別に,介護職の詰所に保管される介護資料を看護師が自ら,しかも遡って確認することが通常行われていると認めるに足りる証拠もない。そうすると,申し送り•利用者チェック表を用いて看護師への申し送りがされていることなどから,被告人が日勤勤務の際に同表を遡って確認することが求められていた
とする原判決の判断には飛躍があり,検察官が答弁書で主張するところを踏まえても,被告人に職務上そのような義務があったとはいえず,もとより本件施設の全利用者65名分を併せると相当の量となる看介護記録(利用者ごとに編成された介護資料で看護記録とは別のもの)についてそのような確認義務を肯定することもできない。被告人の検察官に対する供述調書(原審乙3)を考慮してもこの判断を左右しない。
なお,検察官は,保健師助産師看護師法の規定を援用して,原判示の注意義務が導かれると主張する。すなわち,同法は傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話を看護師(准看護師を含む。)の業務と定めており(同法5条,6条),傷病者等に対する食事(間食を含む。)の介助(配膳を含む。)は同法にいう療養上の世話に当たるから,病院のみならず特別養護老人ホーム
においても,摂食嚥下障害者を含む傷病者等に対する食事の介助は看護師の業務に含まれ,被告人は,看護師の業務として間食の介助を行ったのであるから,被告人に原判示の義務がある,という。
しかし,本件施設では,配膳を含む間食の介助は,基本的に介護職の業務であって看護師の関与なしにも行われていた。検察官の援用する上記法律の規定
から本件施設における間食介助の主体や間食配膳の際に遵守すべき内容が導けるものではなく,本件において問題となるような具体的な間食の形態確認義務,すなわち,申し送り•利用者チェック表等を遡って確認すべき義務が導かれるものでもない。検察官の主張は採用できない。
したがって,被告人が事前に自ら介護資料を確認して本件形態変更を把握し
ていなかったことが職務上の義務に反するものであったとはいえない。イ
次に,過失の成否を判断するために,①本件ドーナツによる窒息の
危険性,②本件形態変更の経緯及び目的,③本件施設における看護職と介護職が利用者の健康情報等を共有する仕組み,④被告人が事前に本件形態変更を把握していなかった事情,⑤本件当日の状況,⑥食品提供行為が持つ意味を検討する。
①本件ドーナツによる窒息の危険性本件は,本件ドーナツが被害者の喉頭ないし気管内を閉塞して窒息が生じたとの原判決の認定を前提としても,上記閉塞に至る具体的機序を確定できない事案であり,被害者について指摘されている摂食,嚥下の問題点(詰込みあるいは丸飲み)も誤嚥による肺炎等の感染症の原因となるという意味で問題視されるものであることにも照らすと,上記窒息の危険性の現実化にどのような影響を及ぼしたかは不明である。そして,原審証拠によれば,被害者には窒息の要因の一つである嚥下障害は認められず,入所から本件に至るまで食事(主食及び副食)の形態に変化はなかった上,本件の1週間前まで本件と同様の,ドーナツを含む常菜系の間食(おやき,いももち,今川焼,ロールケーキ,まん
じゅう,どら焼き等)を食べていたが,窒息を招き得るような事態が生じたことはなく,平成25年12月4日に指摘された窒息のリスクは,主食が全粥と指定されていた被害者に対し,特別食として用意された握りずしの提供を控えたことの理由として記載されたものにすぎず,翌5日に提供された常菜系の間食で問題が生じたとはうかがわれない。また,本件ドーナツの包装には,こん
にゃくゼリーや餅等に通常付されるような,高齢者や幼児等の窒息等に関する警告や注意書等も表示されていなかった。このように,被害者の死亡については,窒息に至る機序等が特定できないもので,その危険性の程度を格別示すような事実関係はうかがわれず,本件ドーナツで被害者が窒息する危険性の程度は低かったといえる(この点,原判決は窒息の危険が高かったとまでいうことはできないとしており(原判決27頁),当審の判断と同旨か判然としないが,仮に同旨でないとするならば,その判断は上記事実関係に照らして合理的とはいえず,賛同できない。)。
②本件形態変更の経緯及び目的
平成25年12月4日にCチームの介護士らによる会議が開かれたが,その
会議録の感染症対策についての項目には,被害者につき

量が多くないか。食後すぐに動くのはどうか。おやつ変更→ゼリー系へ。

との記載があり(原審甲113),翌5日の看介護記録には

おやつは刻みトロミ対応のものに変更(ゼリー系に変更の趣旨である。),「食事内容,量については明日,f栄養士が来棟して下さるので検討します。

との記載がある(原審甲6)。これらの記載内容からすると,Cチームの介護士らは,上記会議で,感染症対策に関連して,被害者について食事の量を減らすことと間食の形態をゼリー系に変更することについて意見交換をし,まず本件形態変更を決定したが,食事の量を減らすことについては最終的には管理栄養士の意見を聞いて決定するとしたことが認められる。
そして,被害者は,本件施設で同年11月7日と上記会議3日前の同年12
月1日の夕食後に嘔吐し,いずれもその後,感染症対策の措置が講じられ,このうち前者の嘔吐は,被害者が夕食の際に食事をかき込み,その後に嘔吐を繰り返した事案であり,そのアセスメントとして同年11月8日の介護記録に食べ過ぎ?丸飲み傾向・・との看護記録が貼付されていた(原審甲6)。感染症対策の措置が必要となる被害者の嘔吐の原因としては丸飲み傾向が指摘さ
れており,本件後の同年12月20日に開催された臨時Cチーム会議の報告書においても本件形態変更について丸飲み傾向を理由とする旨の記載があること(原審甲113)を踏まえれば,前記の食事量の変更と本件形態変更は,bの原審証言のとおり,まず感染症対策のため嘔吐防止を図ることを目的としていたと認められる。ただし,その措置がどの程度必要であったかは明らかではな
い。
その上で,本件形態変更が他の目的を伴っていたかを検討すると,本件施設において,被害者の丸飲み傾向は,嘔吐だけでなく,誤嚥の原因ともなり得るものとして把握されており,誤嚥は場合によっては窒息につながる可能性もあることからすれば,嘔吐防止に併せて誤嚥を防止し,さらには窒息の防止も副
次的に目的としていたものと認められる。しかし,これは,Cチームの介護士らが医師等の専門的知見に基づかないまま,主目的の嘔吐防止に併せて誤嚥,さらには窒息の危険性をより低減させる判断をしたにすぎず,間食について窒息につながる新たな事態が生じたために行われたものではない。
③本件施設における看護職と介護職が利用者の健康情報等を共有する仕組み
日勤勤務の看護師は,出勤後,サービスステーションで利用者全員の療養棟日誌を見るほか,看護師の詰所で看護送りノート及び看護の申し送り簿(看護師が介護士から朝夕の後記申し送りの際に口頭で報告を受けた情報を記入したもの)を見て,各利用者の発熱や体調の変化等の健康状態に関する情報を把握し,さらに各チームの夜勤介護士からの朝の申し送りで,申し送り•利用者チ
ェック表等に基づいて各利用者の健康状態について口頭で報告を受けていた。また,夜間に連絡を受ける担当の看護師は,各チームの日勤介護士からの夕方の申し送りで,申し送り•利用者チェック表等に基づいて各利用者の健康状態について口頭で報告を受けていた。
④被告人が事前に本件形態変更を把握していなかった事情
本件施設での配膳を含む間食の介助は基本的に介護職の業務であり,本件形態変更は,Cチームの介護士らが会議で決定し,会議の翌日以降にCチーム内で再度確認されていた(原審甲6,b原審証言)。
しかし,本件施設では,当時,頻度は高くないものの,日勤の看護師が看護業務の合間にいずれかの棟の間食の介助に加わることがあったから,間食につ
いて利用者に常菜系あるいはゼリー系のどちらを配膳するかが担当者の記憶により行われていたという当時の手順を前提とするならば,介護職の責任者において,間食の配膳を確実にするため本件形態変更に関する情報を看護職にも周知させるべきであるが,看護師と介護士の双方が職務開始に当たり確認を行うベきものとされていた入居者の特記事項等を記載する療養棟日誌(原審弁18
7)に本件形態変更の記載はなく,その他の方法も含めて看護職に対してその情報が周知された形跡はない。被告人に対して個別的に本件形態変更が伝達されたとも認められない。そして,本件当時,被害者の間食について窒息につながる新たな事態は生じておらず,本件形態変更が被害者の課題であった嘔吐防止のために当然行うべきものであったとも認め難いから,本件形態変更が決められてから本件までの1週間余りの間に,被害者の間食について形態変更の有無を確認するベく被告人において動機付けられる事情があったとはいえない。このように,被告人が日勤の看護業務を続ける中で本件形態変更を知ることが容易であったとはいえない。
⑤本件当日の状況
被告人は,優先すべき看護の仕事がなかったため,C棟食堂での間食の介助
に入ることとし,その際,たまたま介護士のbから配膳の手伝いを頼まれ(bの相勤介護士のcは,別の仕事で同食堂に来るのが遅れていた。),これを引き受けたが,bから本件形態変更を伝えられず,従前と変わりないものと考えて被害者に本件ドーナツを提供した(C棟食堂に来なかった利用者の分も含めた間食が同食堂に運び込まれており,被害者以外の利用者には定められたとお
りの形態の間食が配膳されたと認められる。)。
⑥食品提供行為が持つ意味
e医師が,あらゆる食品が窒息の原因になってもおかしくない旨指摘し(原審105),g教授が,ゼリーについても窒息の危険性を完全に排除できるわけではないと述べている(原審甲108)ことを踏まえるならば,被害者につ
いて窒息の危険性を否定しきれる食品を想定するのは困難である。そして,窒息の危険性が否定しきれないからといって食品の提供が禁じられるものでないことは明らかである。他方で,間食を含めて食事は,人の健康や身体活動を維持するためだけでなく精神的な満足感や安らぎを得るために有用かつ重要であることから,その人の身体的リスク等に応じて幅広く様々な食物を摂取するこ
とは人にとって有用かつ必要である(この点,被害者に対しても,管理栄養士のfが平成25年10月23日に作成した栄養ケア計画書で食欲を損なわないように体重の維持身体状況に配慮しながら本人の意向を尊重し良好な栄養状態を維持と記載していた(原審甲73)。)。したがって,餅等のように窒息の危険性が特に高い食品の提供は除くとしても,食品の提供は,身体に対する侵襲である手術や副作用が常に懸念される医薬品の投与等の医療行為とは基本的に大きく異なる。

以上のとおり,被害者については,食品によっては丸飲みによる誤
嚥,窒息のリスクが指摘されていたとはいえ,ドーナツは被害者が本件施設に入所後にも食べていた通常の食品であり,本件ドーナツによる窒息の危険性の程度は低かったこと(前記イ①),本件形態変更はあったものの,その経緯,目的に窒息の危険を回避すべき差し迫った兆候や事情があって行われたわけではなく,間食について窒息につながる新たな問題は生じていなかったこと(同②),看護職と介護職の間には各利用者の健康状態についての情報を共有する一定の仕組みがあったが,本件形態変更は被告人の通常業務の中では容易には知り得えない程度のものとして取り扱われ(同③④⑤),被告人が事前に本件
形態変更を把握していなかったことが職務上の義務に反するとの認識は持ち得なかったこと(前記ア)に照らせば,本件ドーナツで被害者が窒息する危険性ないしこれによる死亡の結果の予見可能性は相当に低かったといえる。このような予見可能性の内容,程度に加えて,被害者に対して食品を提供する行為が持つ意味(前記イ⑥)も併せ考えるならば,本件において被告人が間食の形態
を確認せず本件ドーナツを提供したことが刑法上の注意義務に反するとはいえない。
そうすると,本件事実関係の下では,被告人において,自ら被害者に提供すべき間食の形態を確認した上,これに応じた形態の間食を被害者に提供し,本件ドーナツによる被害者の窒息等の事故を未然に防止する注意義務があったと
いうことはできない。
4結論したがって,原判示の過失の成立を認めた原判決の結論は是認することはできない。弁護人は,被害者が喉頭ないし気管内閉塞による窒息に起因する心肺停止状態に陥ったことについて重大な疑義があると主張し,詳細な主張立証を尽くす努力をしたが,平成26年12月に本件公訴が提起されてから既に5年以上が経過し,現時点では控訴審の段階に至っている上,有罪の判断を下した原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな前記事実誤認がある以上,上記疑義や他の控訴趣意についての検討に時間を費やすのは相当ではなく,速やかに原判決を破棄すべきである。
第3破棄自判

よって,刑訴法397条1項,382条により原判決を破棄し,同法400条ただし書を適用して当裁判所において更に判決する。
主位的訴因については,原判決によって,被告人の犯罪の証明がないとされ,それに対して検察官が控訴の申立てをしなかった以上,控訴審が職権判断により主位的訴因について有罪の自判をすることはできず(最一小決平成25年3
月5日・刑集67巻3号267頁参照)
予備的訴因については(なお,原審
がその追加請求を許可したことに違法があるとはいえない。,既に説示してき)
たところから明らかなように,本件の事実関係の下では,被告人において,自ら被害者に提供すべき間食の形態を確認した上,これに応じた形態の間食を被害者に配膳して提供する業務上の注意義務があったとはいえず,犯罪の証明が
ないことになるから,刑訴法336条により被告人に対し本件公訴事実につき無罪の言渡しをすることとし,主文のとおり判決する。
令和2年7月30日
東京高等裁判所第6刑事部
裁判長裁判官

大熊
裁判官

奥山
裁判官

浅香一之豪竜太
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