判例検索β > 平成29年(行ウ)第371号
事件番号平成29(行ウ)371
裁判年月日令和2年1月30日
裁判所名東京地方裁判所
分野行政
裁判日:西暦2020-01-30
情報公開日2020-07-02 16:00:18
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令和2年1月30日判決言渡
平成29年(行ウ)第371号

法人税更正処分等取消請求事件

主文12
原告の請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は,原告の負担とする。
事実及び理由

第1
1
請求
春日部税務署長が平成27年12月11日付けで原告に対してした,平成22年8月1日から平成23年7月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち,所得金額105万6669円及び納付すべき税額14万7600円を超
える部分並びにこれに伴う過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。2
春日部税務署長が平成27年12月11日付けで原告に対してした,平成23年8月1日から平成24年7月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち,所得金額1億5860万1656円及び納付すべき税額4659万2900円を超える部分並びにこれに伴う過少申告加算税の賦課決定処分を取り消
す。
3
春日部税務署長が平成27年12月11日付けで原告に対してした,平成24年8月1日から平成25年7月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち,所得金額1億5890万3914円及び納付すべき税額3947万2100円を超える部分並びにこれに伴う過少申告加算税の賦課決定処分のうち3
万5000円を超える部分を取り消す。
4
春日部税務署長が平成27年12月11日付けで原告に対してした,平成25年8月1日から平成26年7月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち,所得金額3611万2565円及び納付すべき税額813万8800円
を超える部分並びにこれに伴う過少申告加算税の賦課決定処分のうち1万7000円を超える部分(ただし,いずれも平成29年4月25日付け国税不服審判所長の裁決による一部取消し後のもの。
)を取り消す。
5
春日部税務署長が平成27年12月11日付けで原告に対してした,平成26年8月1日から平成27年7月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち,所得金額1079万4037円及び納付すべき税額121万9600円を超える部分並びにこれに伴う過少申告加算税の賦課決定処分(ただし,いず
れも平成29年4月25日付け国税不服審判所長の裁決による一部取消し後のもの。
)を取り消す。
6
春日部税務署長が平成27年12月11日付けで原告に対してした,平成24年8月1日から平成25年7月31日までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分のうち,課税標準法人税額3968万0265円及び納付すべき税
額396万7100円を超える部分並びにこれに伴う過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。
7
春日部税務署長が平成27年12月11日付けで原告に対してした,平成25年8月1日から平成26年7月31日までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分のうち,課税標準法人税額836万8560円及び納付すべき税額
83万1900円を超える部分並びにこれに伴う過少申告加算税の賦課決定処分(ただし,いずれも平成29年4月25日付け国税不服審判所長の裁決による一部取消し後のもの。
)を取り消す。
第2
1
事案の概要等
事案の概要
自動車の輸出入事業等を目的とする内国法人である原告は,平成23年7月期(平成22年8月1日から平成23年7月31日までの事業年度をいい,他の事業年度又は課税事業年度も同様に表記する。)から平成27年7月期までの各事業年度(以下本件各事業年度という。)の法人税並びに平成25年
7月期及び平成26年7月期の各課税事業年度(以下本件各課税事業年度という。)の特別復興法人税について,原告の代表取締役の一人であるA(以下本件代表者という。)に支給した当該年度に係る給与(退職給与以外のもの。以下本件役員給与という。)の全額を損金の額に算入して申告した。これに対し,春日部税務署長(処分行政庁)は,本件役員給与の額には法人税法34条2項に規定する不相当に高額な部分があり,同部分の額を損金の額に算入することはできないなどとして,平成27年12月11日付けで,原告に
対し,本件各事業年度に係る法人税の各更正処分(以下本件法人税各更正処分という。)及びこれに伴う過少申告加算税の各賦課決定処分(以下本件法人税各賦課決定処分という。)並びに本件各課税事業年度に係る復興特別法人税の各更正処分(以下本件復興特別法人税各更正処分といい,本件法人税各更正処分と併せて本件各更正処分という。)及びこれに伴う過少申
告加算税の各賦課決定処分(以下本件復興特別法人税各賦課決定処分といい,本件法人税各賦課決定処分と併せて本件各賦課決定処分という。)をした。
本件は,原告が,本件役員給与の額に不相当に高額な部分はないなどと主張して,被告を相手に,本件各更正処分及び本件各賦課決定処分(平成26年7
月期及び平成27年7月期の法人税並びに平成26年7月期の復興特別法人税に係る各更正処分及び各賦課決定処分については,国税不服審判所長の裁決による一部取消し後のもの。)の一部取消しを求める事案である。
2
関係法令の定め
本件に関する法人税法
(平成28年法律第15号による改正前のもの。
以下,
単に法人税法という。)の定めは別紙2-1,法人税法施行令(平成29年政令第106号による改正前のもの。
以下,法人税法施行令
単に
という。

の定めは別紙2-2のとおりである。
法人税法34条2項は,
内国法人がその役員に対して支給する給与
(以下
役員給与という。)の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は,その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入しない旨規定する。そして,同項の委任を受けた法人税法施行令70条1号は,上記不相当に高額な部分の金額の判定について二つの基準を設け,その一方として,①当該役員の職務の内容,当該内国法人の収益及び使用人に対する給与の支給の状況,当該内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するもの(以下同業類似法人という。)の役員給与の支給状況等に照ら
し,当該役員の職務に対する対価として相当であると認められる金額を超えるか否かによって判定するものとし(同号イ。以下実質基準という。),他方として,②定款の規定又は株主総会等の決議により定められた役員給与の限度額を超えるか否かによって判定するものとし(同号ロ。以下形式基準という。),実質基準において相当な金額を超える部分及び形式基準において限
度額を超える金額のうちいずれか多い金額が,不相当に高額な部分の金額に含まれるものとしている。
3
前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)

(1)

原告
原告は,平成9年9月11日に設立された,自動車等の輸出入等を目的とする株式会社(設立当初は有限会社)であり,マレーシアへの中古自動車の輸出を主たる事業としている(乙1,7,14)。


本件代表者は,
原告の設立以来,
原告の代表取締役を務めており,
また,
原告の発行済株式の総数(株式会社への移行前は,出資口数の全て)を保
有している。本件各事業年度における原告の役員は,本件代表者,その妻である取締役B(以下Bという。)及びBの妹である代表取締役C(本件訴訟における原告代表者。以下Cという。)の3名であった。(乙1,7,14)
(2)

本件代表者に対する役員給与の支給
原告は,平成21年から平成26年までの各9月に開催された定時株主総会において承認可決された役員給与の月額(承認された月額はそれぞれ翌10月から支給。)に基づき,本件各事業年度において,本件代表者に対し,別表1の本件代表者欄(区分平成23年7月期から平成27年7月期まで)記載の役員給与(本件役員給与)を法人税法34条1項1号に定める定期同額給与として支給した。本件役員給与に形式基準の金額(株主総会の決議等により定められた役員給与の限度額)を超える部分は存在しない。(乙2~6,8~12,弁論の全趣旨)
(3)

本件訴訟に至る経緯
原告は,本件各事業年度の法人税について,本件代表者に対して支給した本件役員給与の全額を損金の額に算入して,別表11の確定申告欄
記載のとおり,法定申告期限までに申告を行った(乙2~6)。
また,原告は,本件各課税事業年度の復興特別法人税について,上記申告に係る平成25年7月期及び平成26年7月期の法人税額を課税標準として,別表12の申告欄記載のとおり,法定申告期限までに申告した(乙19,20)。


春日部税務署長(処分行政庁)は,原告が損金の額に算入した本件役員給与には法人税法34条2項に規定する不相当に高額な部分の金額があり,同金額は損金の額に算入することができないなどとして,平成27年12月11日付けで,原告に対し,本件各事業年度の法人税について,別表11の
更正処分等
欄記載のとおり,
各更正処分
(本件法人税各更正処分)

及びこれらに伴う過少申告加算税の各賦課決定処分(本件法人税各賦課決定処分)
を行うとともに,
本件各課税事業年度の復興特別法人税について,
別表12の更正処分等欄記載のとおり,各更正処分(本件復興特別法人税各更正処分)及びこれらに伴う過少申告加算税の各賦課決定処分(本件復興特別法人税各賦課決定処分)を行った(甲1~7)。


原告は,上記イの各処分(本件各更正処分及び本件各賦課決定処分。以下,併せて本件各処分という。)を不服として,平成28年2月12日,異議申立てをした。これに対し,春日部税務署長は,同年4月11日付けで,異議申立てを棄却する旨の決定をした。(甲8)

原告は,上記ウの決定を不服として,平成28年5月12日,審査請求をした。
これに対し,
国税不服審判所長は,
平成29年4月25日付けで,

別表11及び12の各審査裁決欄記載のとおり,本件各処分のうち,平成26年7月期及び平成27年7月期の法人税の各更正処分及びこれらに伴う過少申告加算税の各賦課決定処分並びに平成26年7月期の復興特別法人税の更正処分及びこれに伴う過少申告加算税の賦課決定処分の各一部を取り消す旨の裁決をし,原告は,同年5月1日,同裁決に係る裁決書
の謄本の送達を受けた。(甲9,10)
オ4
原告は,平成29年8月9日,本件訴えを提起した。

争点
本件の争点は,本件役員給与のうち不相当に高額な部分(法人税法34条2項)の有無及びその金額である。本件役員給与については,形式基準の金
額を超える部分が存在しないため(前提事実(2)),実質基準の金額(同業類似法人の役員給与の支給状況等に照らして相当と認められる金額)を超える部分の有無及びその金額が問題となる。
5
争点に関する当事者の主張等
争点に関する当事者の主張の要旨は,別紙3のとおりである(同別紙で定義した略語は本文においても用いる。)。
また,被告が本件に関して主張する課税の根拠及び計算は,主位的主張(同業類似法人における役員給与の平均額に基づくもの)が別紙4記載第1のとおりであり,予備的主張(同役員給与の最高額に基づくもの)が同別紙記載第2
のとおりであるところ,予備的主張による場合であっても,本件各更正処分における所得金額,課税標準法人税額及び納付すべき税額(ただし,前提事実(3)エのとおり国税不服審判所長の裁決により一部取り消されたものは,その取消し後の額)を下回るものではない。なお,原告は,被告の別紙4記載の各主張につき,その主位的主張において同業類似法人の役員給与の平均額に基づき算定している点を争うほかは,上記4において争点となっている点を除き,これを争うことを明らかにしていない。

第3

当裁判所の判断
当裁判所は,本件役員給与には法人税法34条2項に規定する不相当に高額な部分があり,原告の同業類似法人と認められる本件各抽出法人の役員給与の最高額を超える部分がその金額に当たるため,同部分を損金の額に算入することはできず,このことを前提に計算された本件各事業年度及び本件各課税
事業年度の納付すべき法人税及び復興特別法人税の額は,いずれも本件各更正処分における納付すべき税額を上回るから,本件各更正処分及びこれらに伴ってされた本件各賦課決定処分は適法であり,原告の請求はいずれも理由がなく棄却すべきものと判断する。その理由の詳細は,以下のとおりである。1
認定事実
前提事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
(1)

原告の組織
原告は,平成9年に本件代表者の全額出資により設立された自動車等の輸出入等を目的とする株式会社であり,本件各事業年度の当時,埼玉県α
市に本店を置いていた。本件代表者はマレーシア出身であり,原告における主な事業は,日本国内市場において仕入れた中古自動車をマレーシアなどの海外の自動車販売業者へ輸出販売するというものであった。本件代表者は,原告の設立以来,その一人株主かつ代表取締役として,原告の業務の全般的な指揮監督を行っている。(前提事実(1),甲54,乙1,C)

本件各事業年度における原告の役員は,常勤の代表取締役である本件代表者及びC並びに常勤の取締役であるBの3名である。本件代表者及びBは,マレーシアに居住して業務を行い,Cは,日本に居住して業務を行っている。
Cは,平成18年頃まで,金融機関において中間管理職として勤務していたが,日本国内の信頼のおける人物に管理業務を任せたいとの本件代表
者の意向を受け,原告の監査役に就任し,さらに,平成21年には,金融機関等とやり取りをする上で代表権を有していた方が便宜であるとの本件代表者の意向を受け,原告の代表取締役に就任した。Cは,監査役に就任して以降,原告の財務,経理,人事,総務等に係る管理業務を行っており,代表取締役就任の前後で同人の業務内容に大きな変化はない。
(以上につき,前提事実(1),甲54,乙1,C)

本件各事業年度における原告の従業員数は,
平成23年7月期が12名,
その他の事業年度が9名である。原告の従業員の就業場所は,いずれも日本国内である。(乙2~6,13,C)

(2)

原告の収益等の概況
収益等
原告が平成21年7月期(本件各事業年度のうち最も早い平成23年7月期の前々年度)から平成27年7月期(本件各事業年度の最終年度)までの間に計上した①売上金額,②売上総利益,③営業利益,④本件代表者
に支給された役員給与及び⑤改定営業利益(営業利益〔③〕に上記役員給与〔④〕を加算した金額)は,別表2記載のとおりである(甲55,乙2~6,13)。
売上金額〔①〕及び売上総利益〔②〕は,平成22年7月期をピークに減少傾向にあり,年度ごとに多少の増減はあるものの,本件各事業年度を
通じて約2~3割の減少となっている(平成27年7月期の売上金額及び売上総利益は,それぞれ,平成22年7月期の67.1%及び70.0%である。)。改定営業利益〔⑤〕も減少傾向にあるが,売上金額や売上総利益よりは小さな下げ幅となっている(なお,平成23年7月期に限ってみると,平成22年7月期の49.3%まで減少しているが,これには,原告が東日本大震災に係る義援金として1億円を寄付したことが影響しており〔甲11〕,上記1億円を改定営業利益に加算すると,平成22年
7月期の64.2%となる。)。
一方,改定営業利益から本件代表者に支給した役員給与を減算した金額である営業利益〔③〕は,減少傾向という点では,売上金額,売上総利益及び改定営業利益と共通するものの,その下げ幅はこれらと比べて格段に大きく,本件各事業年度において最も高額であった平成25年7月期をみ
ても,平成22年7月期の30.3%(約1億6700万円)にすぎず,平成27年7月期に至っては,平成22年7月期の1.3%(約730万円)にまで落ち込んでいる。

役員給与の支給状況
原告が平成21年7月期から平成27年7月期において,本件代表者,B及びCに対して支給した役員給与の額は,別表1記載のとおりである(甲55,乙2~6,13)。
本件役員給与は,平成22年7月期に本件代表者に対して支給された役員給与1億2000万円と比較すると,本件各事業年度を通じて約2~4
倍,金額にして4億円増加している(平成27年7月期の本件役員給与は5億2000万円であり,平成22年7月期の約4.3倍である。)。一方,B及びCに係る役員給与は,最も高額である平成27年7月期においてもそれぞれ3400万円と2200万円であり,Cの平成23年7月期及び平成24年7月期の役員給与は1000万円に満たなかった。な
お,B及びCに係る役員給与の増加幅は,それぞれ1.4倍(1000万円)及び3.1倍(1500万円)である(Cについては,平成21年7月期及び平成22年7月期に役員報酬が支払われていないため,平成23年7月期と比較した数値である。)。
なお,
改定営業利益に占める本件代表者に支給された役員給与の割合は,平成22年7月期が17.8%であったのに対し,本件各事業年度では,最低値が平成25年7月期の73.7%,最高値が平成27年7月期の9
8.6%と極めて高い数値を示している。

使用人(従業員)に対する給与の支給状況
原告が,平成22年7月期から平成27年7月期において,使用人(従業員)
に対して支給した給与の額
(合計額及び平均額。
退職金を含まない。

は,別表3記載のとおりである(乙2~6,13)。

原告が支給した使用人に対する給与の平均額
(使用人1人当たりの金額)
は,年度ごとに増減はみられるものの,本件各事業年度を通じて横ばいないし緩やかな減少傾向にある(本件各事業年度における最高額は平成24年7月期の約280万円であり,最低額は平成25年7月期の約206万円である。)。

(3)

原告の業務体制等(甲54,60,C〔なお,被告は,裏付けとなる証拠がないなどとしてCの供述の信用性を争うが,同供述の内容は下記の認定事実に関して自然かつ合理的なものといえるから,その信用性を肯定することができる。〕)


原告は,日本国内で開催されるオークションにおいて中古自動車を落札し,
マレーシアの自動車販売業者に輸出することを主たる業務としている。取り扱う中古自動車は高額なものが多く,取引相手となるマレーシアの自動車販売業者(以下クライアントという。)は大手の業者が大半であるが,中小業者も含まれる。


原告は,①中古自動車の購入を希望するクライアントに接触してその意向を聴取し(以下意向聴取業務という。),②その意向に沿う中古自動車を日本国内のオークションで落札した上で
(以下
落札業務
という。,

③クライアントとの間で,落札した中古自動車に係る売買契約を締結する(以下販売業務という。)という流れで業務を行っている。
(ア)

意向聴取業務
意向聴取業務は,クライアントに営業を行い,原告から中古自動車を
購入することを前提に,購入を希望する中古自動車の車種,色,年式等を聴取するという,事実上の受注獲得業務である。意向聴取業務は,マレーシアで行う必要があるため,同国に居住する本件代表者,B及びD(本件代表者の弟であり,原告から業務委託を受けている。以下,上記3名を併せて本件代表者らということがある。)において行っているところ,全受注の8~9割は,本件代表者が獲得している。本件代表者は,クライアントへの営業の一環として,クライアントが開催するプロモーションイベントの企画を発案するなどしてその開催を支援し,クライアントにおける販売の促進に協力することで,原告への発注を増加
させるという効果を得ていた。
(イ)

落札業務
落札業務は,日本国内で開催される中古自動車のオークションにおい
て,インターネット経由等で入札を行い,本件代表者らが聴取してきたクライアントの意向に沿う中古自動車を落札する業務である。
同業務は,
オークション担当の従業員が行うが,入札に関する概括的な指示(入札する中古自動車の車種,色,年式等のほか,予算額,落札時期など)は本件代表者が出すことが多く,また,担当の従業員が入札の可否や入札限度額について悩んだ場合などには,本件代表者が電話やモバイル端末を通じて個別に指示を出している。このような個別の指示は,Dが行う
こともあるが,Dが指示を出した場合でも,本件代表者が重ねて指示を出すことがある。なお,本件各事業年度における中古自動車の落札台数は,平均して年間200台を超える規模であった。
(ウ)

販売業務
販売業務は,オークションにおいて落札した中古自動車をクライアン
トに販売する業務である。意向聴取業務と同様に,マレーシアに居住する本件代表者らがこれを行っている。
上記(ア)のとおり,意向聴取業務が事実上の受注獲得業務となっており,かつ,クライアントの意向に沿って中古自動車を落札していることから,落札した中古自動車は,特段の問題がない限り,当該クライアントに対して販売される。クライアントの意向に沿わない中古自動車を誤
って落札してしまった場合などには,本件代表者らが他のクライアントに営業をかけて販売したり,日本国内のオークションで売却したりするなどして対応している。なお,販売までに発見することのできなかった不具合が販売後に発見されたとしてクライアントからクレームを受けることもあったが,日頃からクライアントとの信頼関係を築いている本件
代表者が当該クレームに迅速かつ適切に対応したため,クライアントの原告に対する信頼は一層強固なものとなった。
(エ)

その他の業務
上記(ア)~(ウ)のほかに,
①クライアントとの各種書類のやり取りや,

クライアントからの事務的な問合せについては,クライアント対応担当の従業員が,②販売の際に必要な自動車部品の調達については,部品担当の従業員が,③販売に伴い必要となる陸運局での手続については,書類担当の従業員が,④自動車の船積みについては,船積み担当の従業員が,⑤経理については,経理担当の従業員がそれぞれ行っている。従業員が行うこれらの業務は,全てCが管理している。

また,売掛金の回収に関しては,本件代表者が小まめに売掛金のチェックを行い,売買代金の支払が滞っているクライアントに対しては,自ら直接出向いて支払の督促を行うなどしており,その結果,ほとんどの売掛金を早期に回収することができた(本件各事業年度において,貸倒れ損失が生じたのは平成24年7月期の約260万円のみであり,また,
長期間回収することができない債権もほとんどなかった。)。
(4)

本件各抽出法人に係る抽出過程等
被告は,実質基準の判断要素である原告の同業類似法人(同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するもの〔法人税法施行令70条1号イ〕

として,合計10法人(本件各抽出法人)を抽出している。

抽出基準等
被告は,原告の同業類似法人を抽出するに当たり,以下(ア)の区域を抽出対象区域として,(イ)~(エ)の抽出基準(本件抽出基準)を用いている(乙15の1~7,17の1~8)。
(ア)

抽出対象区域
原告の所在する埼玉県下各署の管轄区域

a
第1次対象区域
春日部税務署(原告所在地を管轄する税務署)並びにその隣接署である川口,浦和,大宮,行田,上尾及び越谷の各税務署の管轄区域
b
第2次対象区域
川越,熊谷,西川口,秩父,所沢,本庄,東松山及び朝霞の各税務署の管轄区域

(イ)

業種
日本標準産業分類における大分類
I-卸売業,小売業
の中分類
54-機械器具卸売業の小分類542自動車卸売業を基幹の事業

としていること。
(ウ)

売上金額
次の事業年度(原告の本件各事業年度と半年以上事業期間を同じくする事業年度。例えば,原告の平成23年7月期に対応するのは,後記aの平成23年2月1日から平成24年1月31日までに終了する事業年度である。)のうちのいずれかに,売上金額が次の範囲(当該事業年度における原告の売上金額の2分の1から2倍までの範囲)内である事業年度(調査対象事業年度)があり,かつ,その事業年度が,設立,解散,休業,業種目の変更又は決算期の変更があった事業年度に該当しないこと。
a
平成23年2月1日から平成24年1月31日までに終了する事業年度(原告の平成23年7月期に対応)
売上金額が44億6832万1546円以上,178億7328万
6184円以下
b
平成24年2月1日から平成25年1月31日までに終了する事業年度(原告の平成24年7月期に対応)
売上金額が37億8002万1730円以上,151億2008万6918円以下

c
平成25年2月1日から平成26年1月31日までに終了する事業年度(原告の平成25年7月期に対応)
売上金額が41億3839万4035円以上,165億5357万6138円以下

d
平成26年2月1日から平成27年1月31日までに終了する事業年度(原告の平成26年7月期に対応)
売上金額が38億8714万1138円以上,155億4856万4552円以下

e
平成27年2月1日から平成28年1月31日までに終了する事業年度(原告の平成27年7月期に対応)
売上金額が34億8379万6233円以上,139億3518万4932円以下
(エ)
a
その他
調査対象事業年度において,代表取締役に対して役員給与の支給があること。

b
調査対象事業年度について,国税通則法又は行政事件訴訟法所定の不服申立て又は訴訟が係属していないこと。


抽出結果等
被告は,
平成29年11月9日付けで,
第1次対象区域
(上記ア(ア)a)
を管轄する各税務署に対し,本件抽出基準に基づく法人の抽出を指示したところ,同各署における機械的な作業によって,5法人が抽出された。被
告は,適切な検討を行うためには,より多くの同業類似法人が必要であると考え,同月21日付けで,第2次対象区域(上記ア(ア)b)を管轄する各税務署に対して,本件抽出基準に基づく法人の抽出を指示したところ,同各署における機械的な作業によって,更に5法人が抽出された。これらの合計10法人が本件各抽出法人である。

本件各抽出法人の役員給与の支給状況
(代表取締役が複数いる場合には,
その最高額。)は,別表4-1から4-5までの各役員給与額欄記載のとおりである。
その平均額は,
別表5の
役員給与の平均額③(①/②)欄記載のとおりであり,約2200万円から約3400万円の範囲で推移している。また,その最高額は,別表8の役員給与の最高額①欄記載
のとおりであり,4500万円から7725万円の範囲で推移している。(以上につき,乙15及び16の各1~7,17及び18の各1~8)ウ
春日部税務署長による抽出法人との異同
春日部税務署長(処分行政庁)は,本件各処分を行うに際し,被告と同
様に同業類似法人の抽出を行っている。春日部税務署長が用いた抽出基準は,抽出対象区域が被告における第1次対象区域に限定されている以外は,本件抽出基準と同様であった。(甲8,9)
春日部税務署長が抽出した法人(以下行政庁抽出法人という。)は,合計9法人であり,そのうちの4法人が本件各抽出法人と同法人であった(本件抽出法人1,3,4及び5)。行政庁抽出法人には含まれるが,本件各抽出法人には含まれない5法人が存在する理由は,うち4法人につい
ては,被告による抽出段階で,同4法人が前記ア(イ)の業種要件(小分類542自動車卸売業を基幹の事業としていること。)を満たさない
ことが判明したからであり,その余の1法人については,納税地の異動があったからである。他方,本件各抽出法人には含まれるが,行政庁抽出法人には含まれない6法人が存在する理由は,うち5法人(本件抽出法人6
~10)については,抽出対象地域が異なる(上記イのとおり第2次対象区域が追加された。)からであるが,残り1法人(本件抽出法人2)については,明らかとなっていない。(乙23)
なお,本件抽出法人1の代表取締役に対する役員給与支給額(別表4-1から4-3までの順号1の役員給与額欄記載の額)は,春日部税務
署長が認定した支給額と一致しておらず,前者が後者よりも少額となっているが,これは,前者(被告の認定)では損金に算入された役員給与の額の限度で支給額を認定しているのに対し,後者(春日部税務署長の認定)では損金の額に算入されていない部分も含めて支給額として認定しているからである(乙21)。

2
争点(本件役員給与のうち不相当に高額な部分の有無及びその金額)について
(1)

法人税法22条3項2号は,内国法人の各事業年度の所得の金額の計算
上,当該事業年度の販売費,一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。は,

別段の定め
があるものを除き,
当該事業年度の損金の額に算入する旨規定する。
そして,
その別段の定めとして,同法34条1項は,内国法人がその役員に対して支給する給与(役員給与)のうち,所定の例外として定める給与に該当しないものの額は,損金の額に算入しない旨規定する。さらに,上記例外に係る役員給与
(例えば,
同項1号に定める定期同額給与)
についても,
同条2項は,
不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は損金の額に算入しない旨規定する。役員給与は,同法22条3項2号に規定された費用の一種ではあるものの,法人と役員との関係に鑑みると,役員給与の額を無制限に損金の額に算入することとすれば,法人において役員給与の支給額をほしいままに決定し,法人の所得の金額を殊更に少なくすることにより,法人税の
課税を回避するなどの弊害が生ずるおそれがある。そこで,法人税法34条は,上記別段の定めを設け,損金の額に算入される役員給与を上記のような弊害がないと考えられるものに限定することにより,役員給与の金額決定における恣意性の排除を図り,
もって課税の公平性を確保したものと解される。
そして,
法人税法34条2項の委任を受けた法人税法施行令70条1号は,
同項にいう不相当に高額な部分の金額につき,①内国法人が各事業年度において役員に対して支給した役員給与の額が,(a)当該役員の職務の内容,(b)当該内国法人の収益及び使用人に対する給与の支給の状況,(c)当該内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するもの
(同業類似法人)
の役員給与の支給状況等に照らし,当該役員の職務に対する対価として相当
であると認められる金額(実質基準の金額。同号イ)を超える額又は②同号ロに定める形式基準の金額(株主総会の決議等により定められた役員給与の限度額)を超える額のうち,いずれか多い金額とするものと規定している。そこで,
形式基準の金額を超える額が存在しない本件役員給与については,法人税法施行令70条1号イの規定する実質基準に従って,同基準の金額を
超える場合に当たるか否か,これに当たる場合の超える部分の金額はいくらであるかが問題となる。
(2)

本件代表者の職務の内容について
本件代表者は,
原告の一人株主であり,
設立当時から代表取締役として,
原告の業務の全般的な指揮監督を行っている(認定事実(1)ア)。その業務
内容を具体的にみると,本件代表者は,中古自動車の輸出先国であるマレ
ーシアに居住して,クライアントに対する事実上の受注獲得業務である意向聴取業務を行い,原告における受注の8~9割を獲得しているところ,このような受注の獲得は,本件代表者がクライアントのプロモーションイベントの企画を発案するなどしてその販売促進に協力することによって可能となったものであり,原告が本件各事業年度において60億円を超える
売上げを得ることができた大きな要因となったものといえる
(認定事実(1)
イ,(3)ア,イ(ア))
。また,販売に必要な中古自動車のオークションにお
ける落札業務は,オークション担当の従業員が行っているが,本件代表者はこれらの従業員に対して必要な指示を行い,これにより,クライアントの意向に沿った中古自動車をできるだけ利益の出る価格で落札することが
可能となったといえる(認定事実(3)イ(イ))
。さらに,本件代表者は,こ
のように落札した中古自動車を販売するほか,販売後にクライアントから寄せられたクレームに対応し,売買代金の支払が滞っているクライアントに対して支払の督促をするなどの業務も行っているところ,本件代表者の迅速かつ適切なクレーム対応によりクライアントの原告に対する信頼は一
層強固なものとなり,
また,
本件代表者による小まめな売掛金回収により,
貸倒れ損失等の発生を防ぐことができたといえる(認定事実(3)イ(ウ),(エ))。
これらの事実関係からすれば,本件代表者は,原告のオーナー経営者として,原告の主たる業務(マレーシアへの輸出業務)全般を差配するとと
もに,クライアントに対する営業を行って受注の大半を自ら獲得するなどして原告の収益に多大な貢献をしたと評価することができる(なお,本件代表者の妻であるB及び本件代表者の弟であるDも意向聴取業務や販売業務等を行っているが,上記の事実に照らせば,原告の業務における両名の役割は限定的なものにとどまると考えられるから,両名の業務活動をもって,本件代表者の職務内容に係る上記の評価が左右されるものではない。)。


他方,原告の本社は日本国内にあり,原告の従業員は,その全員が日本国内において,中古自動車のオークションにおける落札業務のほか,クライアントとの書類のやり取り,自動車部品の調達,中古自動車の輸出に係る各種の手続,
経理処理といった業務に従事している
(認定事実(1)ウ,
(3)
イ(イ),(エ))。

そして,①本件代表者はマレーシアに居住しており,本件各事業年度において日本に入国したのは,
3~6か月に1回程度であり,
夏季を除くと,
日本における滞在期間もそれほど長くはないこと(乙32~34),②本件代表者が,自己と姻戚関係を有するもの(妻の妹)であり,金融機関の中間管理職という職歴を有しているCを代表取締役として迎え入れ,財務,
経理,人事,総務等の管理業務を任せていること(認定事実(1)イ)等の事実関係に照らせば,原告の日本国内における業務は,上記アで触れた落札業務の点を除き,専らCが差配していると認めるのが相当である。ウ
以上のとおり,本件代表者は,マレーシアにおいて原告の業務の全般的な指揮監督を行い,クライアントに対する営業を行って受注の大半を自ら獲得するなどしていた一方,原告の日本国内における業務の多くを,Cや従業員に委ねていたものであるところ,このような本件代表者の職務の内容は,中古自動車販売業を目的とする法人において,営業や販売を担当する役員について一般的に想定される職務の範囲内にあるものであって,こ
れと質的に異なるものとはいえない。本件代表者が,受注の大半を自ら獲得していた点についても,原告のような小規模の同族会社においては,必ずしも珍しいことではない。
もっとも,本件各事業年度における原告の売上金額が,約69億円から約89億円に及んでいたこと(別表2)や,各業務において本件代表者が行っていた具体的な活動の内容(上記ア)に鑑みれば,原告の売上げを得るために本件代表者が果たした職責及び達成した業績は,中古自動車販売
業を目的とする法人において一般的に想定される職務の範囲内でも,相当高い水準にあったということができる。
(3)

原告の収益及び使用人等に対する給与の支給の状況について
本件各事業年度における原告の収益は,売上金額が約69億円から約89
億円,売上総利益が約8億9000万円から約10億円であったが,本件各事業年度を通じて減少傾向にあり(平成22年7月期と比較すると,約2~3割の減少),営業利益に本件代表者への役員給与を加算した改定営業利益も,
下げ幅こそ少ないものの,
やはり減少傾向となっている
(認定事実(2)ア,
別表2)。

次に,使用人(従業員)に対する給与の支給額についてみると,本件各事業年度を通じて横ばいないし緩やかな減少傾向となっており,その平均支給額(使用人1人当たりの金額)は,最も高額なときでも年間300万円に満たない(認定事実(2)ウ)。また,他の役員であるB及びCに係る役員給与をみても,最も高額となった平成27年7月期で,それぞれ3400万円と2
200万円であり,
本件各事業年度を通じた増加幅も,
それぞれ1.
4倍
(1
000万円)
と3.(1500万円)
1倍
にとどまっている
(認定事実(2)イ)

一方で,本件役員給与は,本件各事業年度の最初の年度(平成23年7月期)が2億7200万円であったのを除き,いずれの年度も4億円を超えており,
最後の年度
(平成27年7月期)
に至っては5億2000万円に達し,

平成22年7月期の1億2000万円と比べても,本件各事業年度を通じて約2~4倍,金額にして4億円増加している(認定事実(2)イ,別表1)。このように,売上金額及び売上総利益が減少傾向にある一方で,本件役員給与が増加していることから,
改定営業利益に占める本件役員給与の割合は,
平成22年7月期が17.
8%であったのに対し,
平成25年7月期が73.
7%,平成27年7月期は98.6%と急伸している。その結果,原告の営業利益は大きく圧迫され,平成22年7月期が約5億5000万円であったのに対し,本件各事業年度では,最も高額であった平成25年7月期ですら約1億6700万円(平成22年7月期の30.3%)にすぎず,最も低額であった平成27年7月期に至っては約730万円
(平成22年7月期の1.
3%)となっている(認定事実(2)ア,イ)。
以上のとおり,本件役員給与は,他の役員に支給された役員給与と比べて
著しく高額であるばかりでなく,原告の収益が,本件各事業年度を通じて減少傾向にあり,使用人に対する給与の支給額も横ばいないし緩やかな減少傾向にある中で,これに逆行する形で急増しており,その結果,原告の改定営業利益の大部分を占めることとなって,原告の営業利益を大きく圧迫するに至っているのである。
このことに鑑みると,
上記(2)のような本件代表者の職
務内容や原告の売上げを得るために本件代表者が果たした職責等に照らしても,本件役員給与の額の高さ及び増加率は著しく不自然であると評価せざるを得ない。
(4)


同業類似法人の役員給与の支給状況等について
本件各抽出法人について
被告は,
原告の同業類似法人同種の事業を営む法人でその事業規模が(類似するもの)として,合計10法人(本件各抽出法人)を抽出している
ため,まず,その抽出過程及び結果の合理性について検討する。
(ア)

本件抽出基準等について
被告は,本件抽出基準等に基づいて本件各抽出法人を抽出していると
ころ,その概要は,①埼玉県内の各税務署の管轄区域(春日部税務署及びこれに隣接する6つの税務署の管轄区域である第1次対象区域のほか,それ以外の埼玉県内の8つの税務署の管轄区域である第2次対象区域を含む。)を対象に,②日本標準産業分類における大分類I-卸売業,小売業の中分類54-機械器具卸売業の小分類542自動車卸売業を基幹の事業とし,③売上金額が原告の売上金額の2分の1から2倍までの範囲にある法人で,④代表取締役に対して役員給与の支給があり,かつ,争訟の係属していないものであることを要するというものである(認定事実(4)ア)。
そこで,本件抽出基準等の合理性を検討すると,①原告は,埼玉県α
市に本店を置く株式会社であるところ(認定事実(1)ア),原告と所在地域を同じくする埼玉県内の各税務署の管轄区域を対象に同業類似法人を抽出することは合理的といえる(なお,認定事実(4)イのとおり,被告は当初第1次対象区域のみを対象として抽出したところ,5法人しか抽出されなかったため,更に第2次対象区域を対象に加えて抽出した結果,
新たに5法人が抽出されたのであるから,
このような経緯に照らしても,
抽出対象区域の選定は合理的なものであったといえる。)。また,②原告は中古自動車の輸出販売を主な事業とする株式会社であるところ(認定事実(1)ア),日本標準産業分類は,統計の正確性と客観性を保持し,統計の相互比較性と利用の向上を図ることを目的として設定された統計
基準であり,全ての経済活動を産業別に分類したものであるから(乙24)同分類において原告と同種の事業と考えられる小分類

542自動車卸売業を基幹の事業とする法人を抽出の対象とすることは合理的といえる。さらに,③事業規模を測るに当たっては,売上金額が一つの指標となると考えられるから,売上金額が原告の売上金額の2分の1から2倍までの範囲にある法人を抽出の対象とすることは合理的といえる。加えて,④原告の同業類似法人を抽出する目的は,代表取締役である本件代表者の役員給与に不相当に高額な部分があるか否かを判断する際の比較対象を得る点にあるのだから,代表取締役に対して役員給与の支給があり,かつ,争訟によって比較対象に係る事実関係が変動する可能性のない法人を抽出の対象とすることは合理的といえる。
以上のとおりであるから,本件抽出基準等は,原告の同業類似法人を
抽出する基準及び抽出対象区域として合理的なものである。
(イ)

抽出過程及び結果について
被告は,埼玉県内の15の税務署(第1次対象区域及び第2次対象区
域を管轄する各税務署)に対し,本件抽出基準に基づく法人の抽出を依頼し,同各署における機械的な抽出作業の結果,合計10法人(本件各抽出法人)が抽出されている(認定事実(4)イ)。そして,その抽出過程において,本件抽出基準への当てはめを誤ったり,何らかの恣意が介在したりした様子はうかがわれないから,本件各抽出法人は,本件抽出基準に基づいて適正に抽出されたものと認められる。

なお,
春日部税務署長
(処分行政庁)
は,
本件各処分を行うに当たり,
抽出対象区域を第1次対象区域に限定した以外は,本件抽出基準と同様の基準を用いて,原告の同業類似法人を抽出しているところ(行政庁抽出法人),本件各抽出法人(10法人)と行政庁抽出法人(9法人)とでは,4法人が共通する一方,その余の法人は異なっている(認定事実
(4)イ)。このような差異が生じた理由については,上記の抽出対象地域の違い(5法人),行政庁抽出法人について抽出条件への当てはめに誤りがあったこと(4法人),納税地の異動があったこと(1法人)など,そのほとんどについて合理的な説明が可能であり(認定事実(4)イ),行政庁抽出法人のみに含まれる1法人についても,その理由は明らかでは
ないものの,これが本件各抽出法人に含まれていないことが誤りであるとは証拠上うかがわれないのであるから,本件各抽出法人と行政庁抽出法人とが一致しないことは,本件各抽出法人の抽出過程及び結果の合理性を揺るがすものではないというべきである。
(ウ)
a
原告の主張について
原告は,本件各抽出法人のうち,本件抽出法人1~4及び7~10が,それぞれ,①E,②F,③G,④H,⑦J,⑧K,⑨L及び⑩Mであることを前提に,
本件各抽出法人は,
(a)従業員数が原告よりも大
幅に多い,
(b)改定営業利益について原告の半額以下である法人が含ま
れている,(c)従業員単位売上等が原告よりも大幅に少ない,(d)主たる事業の内容が原告と異なる法人が含まれている,
(e)原告と異なり他

の企業からの独立性を有していない法人が含まれている等の理由により,原告とは事業の規模ないし性質を異にしているから,本件各抽出法人は原告の同業類似法人に当たらず,また,その抽出に用いられた本件抽出基準の内容自体も不合理であると主張する(別紙3の第2の3)。

しかしながら,同業類似法人の役員に対する給与の支給状況は,法人税法施行令70条1号イが規定する当該役員の職務に対する対価として相当であると認められる金額を超えるか否か等を判断するための比較対象の一つにすぎないものであるし,同業類似法人の抽出に当たって,
事業の規模ないし性質の厳格な同一性を要求する場合には,

事業の内容や規模等に特徴的な要素がある法人について,比較に十分な数の同業類似法人を抽出することが困難になり,法人税法34条及び法人税法施行令70条1号イが法人の役員給与の金額決定における恣意性の排除を図り,もって課税の公平性を確保しようとした趣旨を没却するおそれがある。上記の規定が同種の事業,事業規模が類似との文言を用いているのも,上記の相当であると認められる金額を判断するための比較対象に用いられる法人の抽出に当たり,事業の規模ないし性質の厳格な同一性までは要求されないことを前提としたものと解される。
そして,上記(a)~(c)において原告が主張する,従業員数,改定営業利益及び従業員単位売上等は,それぞれ,事業規模の類似性を判断する一要素となり得るものであるが,他方で,売上金額も事業規模を図るのに有用で明確な経済指標であり,これのみでも事業規模の類似性を判断するのに足りるものであって,上記のとおり同業類似法人の抽出に当たって事業の規模ないし性質の厳格な同一性まで要求されるものではない以上,事業規模の類似性を判断するために上記(a)~(c)
の主張に係る各要素について重ねて考慮しなければならないものとはいえず,これらが考慮されていないことをもって,本件抽出条件が不合理であるということはできない(原告は,被告が別件訴訟において改定営業利益を同業類似法人の抽出条件として用いていたことを指摘するが,同業類似法人の抽出基準は,検討の対象となる内国法人の業
種,業態,規模,収益等に応じて個別に検討されるべきものであり,改定営業利益を抽出条件として用いるか否かについても,事案に応じて個別に判断すべきものである。なお,本件において,原告の改定営業利益が本件各抽出法人のそれと比べて特に突出していたような事情はうかがわれない〔別表2,4の1~5〕。)。

また,
上記(d)において原告が主張する主たる事業の内容については,本件抽出基準が依拠した日本標準産業分類は,上記(ア)で説示したとおり,その内容につき十分な合理性が担保されたものであるから,その小分類である542自動車卸売業を基幹の事業としているこ

とを抽出条件とした本件抽出基準は合理的である。そして,本件各抽出法人はいずれも上記条件に合致するものと認められるから,抽出された本件各抽出法人が原告と同種の事業を営む法人に当たらないということはできない。
さらに,
上記(e)において原告が主張する他の企業からの独立性につ
いては,事業の性質を判断する要素として相当であるかどうかにそもそも疑義が残る上,仮に相当であるとしても,これを考慮しなければ事業の性質の類似性を判断し得ないというものではないから,同要素
が考慮されていないことをもって,本件抽出条件が不合理であるということはできない。
以上に説示したところに照らせば,本件抽出法人1~4及び7~10が原告の主張する各法人であるか否かを判断するまでもなく,原告の上記主張は採用することができない。

b
原告は,インターネット経由で中古自動車を落札してマレーシアに輸出するという原告の業態に照らせば,日本国内における地域的な影響は無視することができる上,埼玉県内には原告と同様の中古自動車の輸出業を営む法人は少ないのであるから,抽出対象区域を埼玉県内に限るのは合理的ではなく,更に拡大すべきである旨主張する。しか
しながら,原告は,埼玉県内に本社事務所を有し,使用人に給与を支給して事業を行っているのだから,事務所の維持管理に係る費用や人件費等の点で地域的な影響を受けていることは否定できず,また,上記のとおり合理的な本件抽出基準をもって,第1次対象区域及び第2次対象区域における抽出を行った結果,比較に必要かつ十分な数の法
人が現に抽出できている以上,抽出対象地域を拡大しないことが合理性を欠くものとはいえない。したがって,原告の上記主張は採用することができない。
(エ)
小括
以上のとおりであるから,本件各抽出法人の抽出過程及び結果は,合
理的なものであり,本件各抽出法人は原告の同業類似法人に当たるものと認められる。

本件各抽出法人の役員給与の支給状況等について
原告の同業類似法人である本件各抽出法人の役員給与の支給状況は,別表4-1から4-5までの各役員給与額欄記載のとおりである(認定
事実(4)イ)本件役員給与の支給状況と本件各抽出法人の役員給与の支給。
状況とを比較すると,平成23年7月期に係る本件役員給与の額は,これに対応する調査対象事業年度における本件各抽出法人の最高額と比較しても約4倍,金額にして約2億円高額となっている。しかも,本件役員給与は本件各事業年度を通じて2~4倍増加したため,両者の較差は年度ご
とに拡大し,平成27年7月期に係る本件役員給与の額は,本件各抽出法人の最高額の約10倍,金額にして約4億7000万円高額となるに至っている。
このような役員給与の支給状況の較差は,
上記(2)のような本件代
表者の職務内容や原告の売上げを得るために本件代表者が果たした職責等を踏まえても,合理的な範囲を超えるものといわざるを得ない。
なお,原告は,本件抽出法人1の代表取締役に対する役員給与支給額として認定された額(別表4-1から4-3までの順号1の役員給与額欄記載の額。平成23年7月期から平成25年7月期までに対応する調査対象事業年度における本件各抽出法人の役員給与の最高額である。)に,損金の額に算入されていない役員給与の額が含まれていないこと(認定事
実(4)ウ)について,不相当である旨主張する。しかしながら,原告の同業類似法人を抽出する目的は,代表取締役である本件代表者の役員給与のうちに損金の額に算入することができない不相当に高額な部分があるか否かを判断する際の比較対象を得る点にあるのだから,同業類似法人の役員給与支給額として認定すべき額は,損金の額に算入された役員給与の額
とするのが相当である。したがって,原告の上記主張は採用することができない。
(5)

本件役員給与のうち不相当に高額な部分の有無及びその金額
以上検討したところによれば,
原告における本件代表者の職務の内容は,
中古自動車販売業を目的とする法人において営業や販売を担当する役員について一般的に想定される職務の範囲内にあるとはいえ,
原告の売上げ

を得るために本件代表者が果たした職責及び達成した業績は相当高い水準にあったということができる(上記(2))。
しかしながら,
原告の収益が,
本件各事業年度を通じて減少傾向にあり,
使用人に対する給与の支給額も横ばいないし緩やかな減少傾向にある中で,本件役員給与は,これに逆行する形で急増し,原告の改定営業利益の
大部分を占め,原告の営業利益を大きく圧迫するに至っており,その額の高さ及び増加率は著しく不自然であるし
(上記(3))合理的な抽出過程に

より抽出された原告の同業類似法人である本件各抽出法人の役員給与の最高額と比較しても,
その較差は合理的な範囲を超えるものとなっている
(上記(4))そして,

このように不自然に高額な本件役員給与によって,

原告が本件各事業年度において納付した法人税の額は,
本来よりも大きく
圧縮されることとなっているのであるから,
原告が本件役員給与の全額を
損金の額に算入したことにより,
課税の公平性は著しく害されているとい
うほかない。
以上によれば,本件役員給与に不相当に高額な部分があることは明
らかというべきである。そして,その部分の金額は,上記のとおり原告の売上げを得るために本件代表者が果たした職責及び達成した業績が相当高い水準にあったことに鑑み,
当該調査対象事業年度における本件各抽出
法人の役員給与の最高額を超える部分がこれに当たると認めるのが相当である。

イ(ア)

この点,被告は,その主位的主張として,本件役員給与のうち不相当に高額な部分に当たるのは,本件各抽出法人の役員給与の平均額を超える部分であると主張する。しかしながら,本件抽出基準等による原告の同業類似法人の抽出が必ずしも厳密な事業の規模ないし性質の同一性の要求の下にされたものでないことは,
上記(4)アに説示したとおり
であるところ,原告の売上げを得るために本件代表者が果たした職責及び達成した業績等の本件における事情に鑑みると,上記の平均額を超える部分を全て不相当に高額な部分に当たるものとした場合,本件代表者の職務に対する対価として不相当と認めるべきでない部分が含まれることになってしまうおそれがある。そうすると,上記のような本件の事情の下では,本件各抽出法人の役員給与の最高額を超える部分をもっ
て不相当に高額な部分に当たると認めるのが相当であるから,被告の上記主張は採用することができない。
(イ)

一方,原告は,その予備的主張として,本件各事業年度における売
上金額や改定営業利益が,平成21年7月期及び平成22年7月期(本件各事業年度のうち最も早い平成23年7月期の前年度及び前々年度)の平均額(売上金額83億3560万3292円,改定営業利益4億4567万7524円)とおおむね同水準又は同水準以上であることに鑑みれば,役員給与として相当と認められる金額は,上記各事業年度において本件代表者に支給された役員給与の平均額(1億2800万円)を下回るものではないから,不相当に高額な部分の金額は,上記平均
額を超える部分に限られると主張する。
しかしながら,原告が主張する1億2800万円という金額は,上記各事業年度に対応する本件各抽出法人の役員給与の最高額を大幅に上回るものであることが推認される。原告の上記主張は,上記各事業年度において本件代表者に支給された役員給与の額に不相当に高額な部分
がないことを前提にするものであるところ,上記各事業年度に係る法人税について更正処分がされていないことをもって,これらの年度において本件代表者に支給された役員給与の額に不相当に高額な部分がないと認めることはできない。そして,そのほかに,これを認めるに足りる証拠はないのであるから,原告の予備的主張はその前提を欠くものであって,採用することができない。
3
本件各処分の適法性について
(1)

本件各更正処分について
上記2の判断によれば,本件各更正処分について被告が予備的に主張する
課税の根拠及び計算(別紙4記載第2の1)は相当であって,本件各事業年度における原告の所得金額及び納付すべき法人税額は,別表9記載のとおりとなり,本件各課税事業年度における原告の課税標準法人税額及び納付すべ
き復興特別法人税額は,別表10記載のとおりとなる。そして,これらの金額は,いずれも本件各更正処分における金額(平成26年7月期及び平成27年7月期の法人税並びに平成26年7月期の復興特別法人税に係る各更正処分については,国税不服審判所長の裁決による一部取消し後のもの。)を下回るから,本件各更正処分は適法である。

(2)

本件各賦課決定処分について
上記(1)のとおり,
本件各更正処分が適法であることからすれば,
本件各賦

課決定処分について被告が主張する課税の根拠及び計算(別紙4記載第1の3)は相当であって,本件各更正処分に伴って原告に課される過少申告加算税の額は,
いずれも本件各賦課決定処分における金額
(上記(1)のとおり一部

取消しされた各更正処分に伴うものについては,国税不服審判所長の裁決による一部取消し後のもの。)と同額となるから,本件各賦課決定処分は適法である。
第4
結論
以上によれば,本件各処分の一部取消しを求める原告の請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。東京地方裁判所民事第51部

裁判長裁判官

清水知恵子
裁判官

村松悠史
裁判官

松原平学
(別紙1省略)
(別表1省略)
(別表2省略)
(別表3省略)
(別表4-1省略)
(別表4-2省略)
(別表4-3省略)
(別表4-4省略)

(別表4-5省略)
(別表5省略)
(別表6省略)
(別表7省略)
(別表8省略)

(別表9省略)
(別表10省略)
(別表11省略)
(別表12省略)
(別表13-1省略)
(別表13-2省略)
(別表13-3省略)
(別表13-4省略)
(別表13-5省略)
(別表13-6省略)
(別表13-7省略)

(別表13-8省略)
(別表13-9省略)
(別表13-10省略)
(別表13-11省略)

(別紙2-1)

度そ所支期一のにいける給定
支月上以の金)定額当期算ごしでい
額とでいあうにい

での入のその該他事額に度準

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3

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(別紙2-2)

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1
判断要素
(1)

本件代表者の職務の内容
原告における本件代表者の職務の内容は,
原告の常勤の代表取締役として,

業務の全般的な指揮監督を行うとともに,マレーシアに在留して,同国において,自動車販売事業者の新規取引先の開拓営業などを行うというものである。なお,上記の開拓営業に,原告が主張するマレーシアの顧客から受けた注文を従業員に伝え,落札した自動車を顧客に販売する業務が含まれることは,特段争わない。
(2)

原告の収益並びに役員及び使用人に対する給与の支給状況
収益
原告が平成22年7月期(本件各事業年度のうち最も早い平成23年7月期の前年度)以降の各事業年度において計上した①売上金額,②売上総利益,③営業利益,④本件代表者に支給した役員給与,⑤営業利益(③)に上記役員給与(④)を加算した金額(以下改定営業利益という。)は,別表2記載のとおりである。


役員給与の支給状況
原告が平成22年7月期以降の各事業年度において支給した役員給与(本件役員給与を含む。)の額は,別表1記載のとおりである。

使用人(従業員)に対する給与の支給状況
原告が平成22年7月期以降の各事業年度において支給した使用人(従業員)に対する給与の額は,別表3記載のとおりである。

(3)

同業類似法人の役員給与の支給状況等
抽出基準等
被告は,以下の(ア)の区域を抽出対象区域として,(イ)~(エ)の抽出基準(以下本件抽出基準といい,上記の抽出対象区域と併せて本件抽出基準等という。)に基づいて,原告の同業類似法人を抽出した。(ア)

抽出対象区域
原告の所在する埼玉県下各署(春日部,川口,浦和,大宮,行田,上
尾,越谷,川越,熊谷,西川口,秩父,所沢,本庄,東松山及び朝霞の各税務署)の管轄区域
(イ)

業種
日本標準産業分類における大分類
I-卸売業,小売業
の中分類
54-機械器具卸売業の小分類542自動車卸売業を基幹の事業

としていること。
(ウ)

売上金額
次の事業年度のうちいずれかに,売上金額が次の範囲内である事業年
度(以下調査対象事業年度という。)があり,かつ,その事業年度が,設立,解散,休業,業種目の変更又は決算期の変更があった事業年度に該当しないこと。
a
平成23年2月1日から平成24年1月31日までに終了する事業年度
売上金額が44億6832万1546円以上178億7328万6184円以下
b
平成24年2月1日から平成25年1月31日までに終了する事業年度
売上金額が37億8002万1730円以上151億2008万6918円以下

c
平成25年2月1日から平成26年1月31日までに終了する事業年度
売上金額が41億3839万4035円以上165億5357万6138円以下

d
平成26年2月1日から平成27年1月31日までに終了する事業年度
売上金額が38億8714万1138円以上155億4856万4552円以下

e
平成27年2月1日から平成28年1月31日までに終了する事業年度
売上金額が34億8379万6233円以上139億3518万4932円以下

(エ)
a
その他
調査対象事業年度において,代表取締役に対して役員給与の支給があること。

b
調査対象事業年度について,国税通則法又は行政事件訴訟法所定の不服申立て又は訴訟が係属していないこと。


本件抽出基準の合理性
上記アのとおり,被告が採用した本件抽出基準は,①その抽出対象地域につき原告の所在する埼玉県下各署の管轄区域を対象とし,②事業の類似性を判断する要素である業種につき,原告と同種の事業である日本標準産業分類における大分類I-卸売業,小売業の中分類54-機械器具卸売業の小分類542自動車卸売業とし,③事業規模の類似性を
判断する要素である売上金額を原告の本件各事業年度の売上金額の2分の1から2倍までの範囲内(いわゆる倍半基準)とし,④代表取締役に対して役員給与の支給があることとしており,その業種の同一性,事業規模の類似性等が確保されているから,抽出基準として合理的なものである。なお,
原告は,
同業類似法人の抽出に当たっては,
上記①~④のほかに,
(a)従業員数,
(b)改定営業利益,
(c)従業員1人当たりの売上金額及び改定
営業利益,(d)他の企業からの独立性,(e)主たる事業の内容等の点についても厳密な類似性が求められるなどと主張する。しかしながら,法人税法施行令70条1号イは,その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものと規定するのみであって,これ以上に要件を付していないのであるから,原告が主張する上記各事項についてまで厳密な類似性が求められているとはいえないというべきである。

同業類似法人の役員給与の支給状況及び本件役員給与との比較
上記アの基準に基づき抽出した合計10法人の同業類似法人の代表取締役に対する役員給与の支給状況(代表取締役が複数いる場合には,その最高額。)は,別表4-1から4-5までの各役員給与額欄記載のとおりである(これらの別表に共通の順号1~10がそれぞれの法人に対応する。以下,各法人をそれぞれの順号に応じて本件抽出法人1などといい,これらを併せて本件各抽出法人という。)。また,本件各抽出法人における役員給与の平均額と本件役員給与との比較結果は,別表5の役員給与の平均額③
欄及び
本件役員給与④
欄記載のとおりであり,
本件各抽出法人における役員給与の最高額と本件役員給与との比較結果は,別表8の役員給与の最高額①欄及び本件役員給与②欄記載のとおりである。

2
不相当に高額な部分の有無及びその金額
(1)

本件役員給与には不相当に高額な部分があること
原告における本件代表者の職務の内容は,業務の全般的な指揮監督を行う
とともに,マレーシアにおいて自動車販売事業者の新規取引先の開拓営業などを行うといったものであるから(前記1(1)),中古自動車販売等を目的とする一般的な法人の役員において想定される職務の範囲内にあるということができる。
また,別表2のとおり,原告の売上金額,売上総利益,営業利益は,いずれも減少傾向にあり,平成22年7月期と平成27年7月期を比較すると,売上金額は約3分の2に,売上総利益は約7割に,営業利益は約75分の1にそれぞれ大きく減少している。
さらに,別表3のとおり,原告の使用人に対する給与も減少傾向にあり,平成22年7月期と比較すると,平成27年7月期は2分の1以下に大きく減少しており,他方で,別表2のとおり,本件代表者に対する役員給与は,大幅な増加傾向にあり,平成22年7月期と比較すると,平成23年7月期は2倍以上,平成27年7月期は4倍以上となっている。本件役員給与は,使用人給与の合計額と比較すると,平成23年7月期は約8倍,平成27年7月期は約23倍と大きな差があり,また,本件各抽出法人の役員給与の平均額と比較すると,約9倍から約23倍,本件各抽出法人の役員給与の最高額と比較しても,約4倍から約11倍というやはり大きな差があることが認められる(別表5及び8参照)。
以上の諸点に鑑みれば,本件代表者が現実に果たした役割,使用人との職務の違い,同業類似法人における役員の職務の内容等と多少の差異があり得ること等を考慮しても,本件役員給与に不相当に高額な部分があることは明らかである。
(2)

不相当に高額な部分の金額
主位的主張(同業類似法人における役員給与の平均額に基づく算定)役員給与として相当と認められる金額の算定に当たっては,本件各抽出法人の役員給与が参考となるところ,一般に,①職務執行の対価としての相当性を確保し,役員給与の金額決定の背後にある恣意性を排除することによって適正な課税を実現するという法人税法34条2項の趣旨や,②当該同業類似法人に存在する諸要素の差異やその個々の特殊性を捨象し,より平準化された数値を得るのが望ましいこと,③更には上記(1)で検討した諸要素をも併せ考慮すれば,同業類似法人における役員給与の平均額を超える部分が不相当に高額な部分の金額に当たると解するのが相当である。
そうすると,本件各抽出法人の代表取締役に対する役員給与(以下本件各抽出法人の役員給与という。)の平均額を超える部分が不相当に高額な部分の金額に当たることになるから,本件における不相当に高額な部分の金額は,別表5の差引(④-③)欄記載のとおりとなる。イ
予備的主張(同業類似法人における役員給与の最高額に基づく算定)仮に,本件各抽出法人の役員給与の最高額を超える部分が不相当に高額な部分の金額に当たると解した場合には,本件における不相当に高額な部分の金額は,別表8の差引(②-①)欄記載のとおりとなる。
第2
1
原告の主張の要旨
被告は,実質基準に基づいて検討すると,本件役員給与には不相当に高額な部分(法人税法34条2項)があると主張する。しかしながら,被告は,その検討過程において,①後記2のとおり,本件代表者の職務の内容が中古自動車販売等を目的とする一般的な法人の役員において想定される職務の範囲内にあるとの事実誤認をしており,また,②後記3のとおり,原告の同業類似法人とは認められない本件各抽出法人を比較の対象としているのであるから,被告の検討結果が合理的な根拠を欠くものであることは明らかであって,本件役員給与の額に不相当に高額な部分があるとは認められない(主位的主張)。
仮に,本件役員給与の額に不相当に高額な部分があるとしても,本件各事業年度における売上金額や改定営業利益が,平成21年7月期及び平成22年7月期(本件各事業年度のうち最も早い平成23年7月期の前年度及び前々年度)の平均額(売上金額83億3560万3292円,改定営業利益4億4567万7524円)とおおむね同水準又はそれ以上であることに鑑みれば,役員給与として相当と認められる金額は,平成21年7月期及び平成22年7月期において本件代表者に支給された役員給与の平均額(1億2800万円)を下回るものではないから,不相当に高額な部分の金額は,上記平均額を超える部分に限られるというべきである(予備的主張)。
2
本件代表者の職務の内容が中古自動車販売等を目的とする一般的な法人の役員において想定される職務の範囲内にあるとはいえないこと
被告は,本件代表者の職務の内容が中古自動車販売等を目的とする一般的な法人の役員において想定される職務の範囲内にあることを前提に,本件役員給与の額のうち不相当に高額な部分の金額として認められる部分の有無及びその金額を検討している。
しかしながら,本件代表者の職務の内容について検討すると,原告の顧客の大半はマレーシアの中古自動車販売業者であるところ,本件代表者は,マレーシアに在留し,①顧客の意向把握,②把握した意向に沿う中古自動車をオークションで落札するための使用人への指示,③落札した自動車の顧客への売却等の中古自動車販売に必要な業務を一手に行うとともに,④広告宣伝活動,⑤顧客との信頼関係構築活動,⑥顧客から寄せられたクレームへの対応,⑦顧客に対する支払の催促といった附随業務についても自ら行っていた。また,マレーシアに在留している原告の役員ないし使用人は,本件代表者のほかはBのみであった。このように,本件代表者は,原告の事業面における業務全般を1人で担当していたのであって,その結果,原告は,上場企業等と資本関係が一切ないにもかかわらず,本件各事業年度において,極めて高い業績(売上金額が約69億6000万円~約89億3000万円,改定営業利益が約3億3000万円~約6億3000万円)を達成したのであるから,本件代表者の職務の内容が,中古自動車販売等を目的とする一般的な法人の役員において想定される職務の範囲を大きく超えるものであったことは明らかである。このことは,売上金額が原告と同規模である同地域・同業種の法人の一般的な従業員数(92名~118名程度)に比べ,原告の従業員数(9名~12名)が著しく少ないことからもうかがわれるというべきである。
したがって,本件代表者の職務の内容が中古自動車販売等を目的とする一般的な法人の役員において想定される職務の範囲内にあることを前提に行われた被告の検討結果は,合理的な根拠を欠くものというべきである。3
本件各抽出法人が原告の同業類似法人であるとは認められないこと被告は,
原告と
同種の事業を営む法人でその事業規模が類似する
として,
全10社の法人(本件各抽出法人)を抽出している。本件各抽出法人を個別に見ると,
本件抽出法人1~4及び7~10は,
原告の調査によれば,
それぞれ,
〔1〕(抽出法人の番号。以下同じ)株式会社E(以下Eという。),〔2〕F株式会社(以下Fという。),
〔3〕G株式会社(以下Gという。),
〔4〕H販売株式会社(以下Hという。),〔7〕株式会社J(以下Jという。),〔8〕株式会社K商会(以下Kという。),〔9〕Lサービス株式会社
(以下
L
という。
)及び
〔10〕
Mサービス販売株式会社
(以下
M
という。)であると考えられる。なお,本件抽出法人5及び6については,いずれの法人であるかを特定することができなかった。
そうであるところ,
本件各抽出法人は,
後記(1)~(5)のとおり,
①従業員数,
②改定営業利益,
③従業員1人当たりの売上金額及び改定営業利益額(以下
従業員単位売上等という。),④他の企業からの独立性,⑤主たる事業の内容等の点で,原告とは事業の規模ないし性質を異にしているのであるから,本件各抽出法人が,
原告と
同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するもの
に当たらないことは明らかである。また,本件各抽出法人の抽出に用いられた本件抽出基準の内容自体も不合理というべきである。
(1)

従業員数が著しく異なること
従業員数は,事業規模の比較における重要な指標の一つであると解されて
おり,このことは,中小企業基本法が中小企業者の範囲を従業員数で画していることや(同法2条1項参照),財産評価基本通達が取引相場のない株式の発行会社を区分する指標として従業員数を用いていること(同通達178)からも明らかである。しかるに,原告と本件各抽出法人の各従業員数は,
別紙13の1~11の各
従業員数
欄記載のとおりであって
(ただし,
別紙13の6及び7〔本件抽出法人5及び6〕に係る数値は原告による推計値である。),その人数は大きく異なっているから(例えば,原告が9~12人であるのに対し,本件抽出法人1は385人である。),本件各抽出法人が原告と事業規模を異にすることは明らかというべきである。
(2)

改定営業利益が著しく異なること(本件抽出法人2及び4~10につい
て)
改定営業利益が,
事業規模の比較における重要な指標の一つであることは,
論をまたないところ,原告と本件抽出法人2及び4~10の各改定営業利益は,別紙13の1,3及び5~11の各改定営業利益欄記載のとおりであって,その金額は大きく異なっているから(例えば,原告が約4億3000万円~約6億4000万円であるのに対し,本件抽出法人5は,約600万円~約3800万円である。),上記の各抽出法人が原告と事業規模を異にすることは明らかというべきである。少なくとも,改定営業利益が原告の0.5倍未満の法人を原告の同業類似法人として抽出すべきではない。(3)

従業員単位売上等が著しく異なること
従業員単位売上等は従業員1人当たりの生産性の指標であるところ,かかる生産性が異なる企業はその事業内容や役員の職務の内容等が異なるものと考えられるから,従業員単位売上等は,事業の性質の比較における重要な指標の一つとなり得るものと考えられる。しかるに,原告と本件各抽出法人の各従業員単位売上等は,別紙13の1~11の各売上金額/従業員数欄及び改定営業利益/従業員数欄記載のとおりであって(ただし,別紙13の6及び7〔本件抽出法人5及び6〕に係る数値は,上記(1)のとおり原告が推計した従業員数に基づいて算出された値である。),その金額は大きく異なっているから(例えば,原告における従業員1人当たりの改定営業利益が約3億5000万円~約7億円であるのに対し,
本件抽出法人2のそれは,
約24万円~約46万円である。),本件各抽出法人が原告と事業の性質を異にすることは明らかというべきである。
(4)

他の企業からの独立性を欠くこと
(本件抽出法人2~4,
9及び10につ

いて)
下図のとおり,原告は,他の企業から独立しているのに対し,本件抽出法人2~4,9及び10は,他の企業からの独立性を有していない。上記の各抽出法人は,実質的には,企業グループの一部門にすぎないというべきであって,代表取締役の職務は,独立性を有する企業のそれと比べれば非常に限定的な内容のものにとどまるから,上記の各抽出法人が原告と事業の性質を異にすることは明らかというべきである。
法人の区分
原告

他の企業との関係
他の企業から独立している。
N株式会社の完全子会社。同社の営業本部担当部

本件抽出法人2
長が本件抽出法人2の代表取締役を兼務してい
(F)
る。
本件抽出法人3

O株式会社
(現在の株式会社P)
の完全子会社。

(G)

社からの出向者が本件抽出法人2の代表取締役を
務めている。

本件抽出法人4
(H)

Q株式会社の関連会社であり,
資本関係としては,
株式会社Rの子会社である。

本件抽出法人9

いずれもSの関連会社であり,本件抽出法人10

(L)

は,同9の子会社である。本件抽出法人9及び1

本件抽出法人10

0の代表取締役は同一人物であり,他の関連会社

(M)
(5)

の代表取締役を兼務している。

主たる事業の内容が異なること(本件抽出法人2~4及び7~10につ
いて)
原告と本件抽出法人2~4及び7~10とは,下図のとおり,主たる事業の内容(仕入れ方法,商品,販売先等)に差異があるから,事業の性質を異にすることは明らかというべきである。
法人の区分

事業の内容
オークションで落札した中古自動車をマレーシア



へ輸出販売。

本件抽出法人2
(F)

親会社から仕入れた車載用機器を国内の自動車メ
ーカー等に販売。

本件抽出法人3
自動車の純正部品や汎用品を親会社に販売。
(G)
本件抽出法人4
(H)
本件抽出法人7
(J)
本件抽出法人8

自動車の純正部品や汎用品をQ系列のディーラー
に販売。
自動車の中古部品や金属スクラップを国内外の事
業者に販売。
自動車の純正部品や中古部品を主に国内の事業者

(K)
本件抽出法人9
(L)
本件抽出法人10
(M)
(6)

に販売。
主要株主から仕入れたバッテリー等を国内の自動
車メーカー等に販売。
主要株主等から仕入れたバッテリー等を国内の事
業者に販売。

小括
以上のとおり,本件各抽出法人は,原告と事業の規模ないし性質を異にす
るものであるから,本件各抽出法人を比較の対象として行われた被告の検討結果は,合理的な根拠を欠くというべきである。
以上

(別紙4)
課税の根拠及び計算
第1
1
主位的主張
本件各更正処分の根拠及び計算
(1)

本件法人税各更正処分の根拠及び計算
平成23年7月期の法人税の更正処分
(ア)

所得金額(別表6・順号⑥)

2億4392万5727円

上記金額は,下記aの金額に同bの金額を加算した金額である。
a
申告所得金額(別表6・順号①)

105万6669円

上記金額は,原告が平成23年9月29日に春日部税務署長に提出した平成23年7月期の法人税の確定申告書(乙2。以下平成23年7月期法人税確定申告書という。)に記載された所得金額である。b
役員給与の損金不算入額(別表6・順号②)
2億4286万9058円
上記金額は,別紙3記載第1の2(2)アで述べたとおり,原告が,平成23年7月期において,本件代表者に対して支給した役員給与として損金の額に算入した金額のうち,不相当に高額であると認められるから,原告の損金の額に算入されない金額である。

(イ)

所得金額に対する法人税額(別表6・順号⑦)
7221万7500円
上記金額は,前記(ア)の所得金額2億4392万5000円(ただし,国税通則法(以下通則法という。)118条1項の規定によ
り1000円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。以下同じ。)に法人税法66条(平成23年法律114号による改正前のもの)1項及び2項並びに租税特別措置法(以下措置法という。)42条の
3の2第1項(平成23年法律114号による改正前のもの)の各規定に基づき,800万円以下の部分に100分の18の税率を,800万円を超える部分に100分の30の税率を乗じて計算した金額の合計額である。
(ウ)

控除所得税額等(別表6・順号⑧)

4万2438円

上記金額は,法人税法68条(平成23年法律114号による改正前のもの)1項の規定により法人税の額から控除される所得税額であり,平成23年7月期法人税確定申告書に記載された金額と同額である。
(エ)

納付すべき法人税額(別表6・順号⑨)

7217万5000円

上記金額は,
前記(イ)の金額から同(ウ)の金額を差し引いた金額
(た
だし,通則法119条1項の規定により100円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。以下同じ。)である。

平成24年7月期の法人税の更正処分
(ア)

所得金額(別表6・順号⑥)

5億0789万1581円

上記金額は,下記aの金額に同bの金額を加算し,同cの金額を減算した金額である。
a
申告所得金額(別表6・順号①)

1億5860万1656円

上記金額は,原告が平成24年10月1日に春日部税務署長に提出した平成24年7月期の法人税の確定申告書(乙3。以下平成24年7月期法人税確定申告書という。)に記載された所得金額である。b
役員給与の損金不算入額(別表6・順号②)
3億7235万5725円
上記金額は,別紙3記載第1の2(2)アで述べたとおり,原告が,平成24年7月期において,本件代表者に対して支給した役員給与として損金の額に算入した金額のうち,不相当に高額であると認められるから,原告の損金の額に算入されない金額である。
c
事業税の損金算入額(別表6・順号⑤)

2306万5800円

上記金額は,平成23年7月期において増加した所得金額に対応する事業税相当額の損金の額に算入される金額である。
(イ)

所得金額に対する法人税額(別表6・順号⑦)
1億5140万7300円
上記金額は,前記(ア)の所得金額5億0789万1000円に法人税法66条(平成23年法律114号による改正前のもの)1項及び2項並びに措置法42条の3の2(平成23年法律114号による改正前のもの)1項の各規定に基づき,800万円以下の部分に100分の18の税率を,800万円を超える部分に100分の30の税率を乗じて計算した金額の合計額である。

(ウ)

控除所得税額等(別表6・順号⑧)

2万7305円

上記金額は,法人税法68条(平成23年法律第114号による改正前のもの)1項の規定により法人税の額から控除される所得税額であり,平成24年7月期法人税確定申告書に記載された金額と同額である。
(エ)

納付すべき法人税額(別表6・順号⑨)1億5137万9900円上記金額は,前記(イ)の金額から同(ウ)の金額を差し引いた金額である。


平成25年7月期の法人税の更正処分
(ア)

所得金額(別表6・順号⑥)

5億6118万8193円

上記金額は,下記aの金額に同b及び同cの金額を加算し,同dの金額を減算した金額である。
a
申告所得金額(別表6・順号①)

1億5749万2729円

上記金額は,原告が,平成25年9月27日に春日部税務署長に提出した平成25年7月期の法人税の確定申告書(乙4。以下平成25年7月期法人税確定申告書という。)に記載された所得金額である。
b
役員給与の損金不算入額(別表6・順号②)
4億3579万1679円
上記金額は,別紙3記載第1の2(2)アで述べたとおり,原告が,平成25年7月期において,本件代表者に対して支給した役員給与として損金の額に算入した金額のうち,不相当に高額であると認められるから,原告の損金の額に算入されない金額である。

c
受取配当等の益金不算入額(別表6・順号③)
141万1185円
上記金額は,平成25年7月期の法人税の更正処分(甲3)において,法人税法23条(平成27年法律第9号による改正前のもの。以下同じ。)1項の規定に基づき,正当額により再計算した受取配当等の益金不算入額の過大額であり,原告の所得金額に加算される金額である。

d
事業税の損金算入額(別表6・順号⑤)

3350万7400円

上記金額は,平成24年7月期において増加した所得金額に対応する事業税相当額の損金算入額である。
(イ)

所得金額に対する法人税額(別表6・順号⑦)
1億4226万2940円
上記金額は,前記(ア)の所得金額5億6118万8000円に法人税法66条(平成27年法律第9号による改正前のもの)1項及び2項並びに措置法42条の3の2(平成27年法律9号による改正前のもの)1項の各規定に基づき,800万円以下の部分に100分の15の税率を,800万円を超える部分に100分の25.5の税率を乗じて計算した金額の合計額である。
(ウ)

控除所得税額等(別表6・順号⑧)

20万8153円

上記金額は,法人税法68条(平成29年法律第4号による改正前のもの)
1項の規定により法人税の額から控除される所得税額であり,
平成25年7月期法人税確定申告書に記載された金額と同額である。(エ)

納付すべき法人税額(別表6・順号⑨)1億4205万4700円上記金額は,前記(イ)の金額から同(ウ)の金額を差し引いた金額である。


平成26年7月期の法人税の更正処分
(ア)

所得金額(別表6・順号⑥)

4億5557万0975円

上記金額は,下記aの金額に同b及び同cの金額を加算し,同dの金額を減算した金額である。
a
申告所得金額(別表6・順号①)

3544万3375円

上記金額は,原告が,平成26年9月24日に春日部税務署長に提出した平成26年7月期の法人税の確定申告書(乙5。以下平成26年7月期法人税確定申告書という。)に記載された所得金額である。
b
役員給与の損金不算入額(別表6・順号②)
4億5804万9610円
上記金額は,別紙3記載第1の2(2)アで述べたとおり,原告が,平成26年7月期において,本件代表者に対して支給した役員給与として損金の額に算入した金額のうち,不相当に高額であると認められるから,原告の損金の額に算入されない金額である。

c
受取配当等の益金不算入額の過大額(別表6・順号③)80万4490円
上記金額は,平成26年7月期の法人税の更正処分(甲4)において,法人税法23条の規定に基づき,正当額により再計算した受取配当等の益金不算入額の過大額であり,原告の所得金額に加算される金額である。
d
事業税の損金算入額(別表6・順号⑤)

3872万6500円

上記金額は,平成25年7月期において増加した所得金額に対応する事業税相当額の損金の額に算入される金額である。
(イ)

所得金額に対する法人税額(別表6・順号⑦)
1億1533万0350円
上記金額は,上記(ア)の所得金額4億5557万0000円に法人税法66条(平成27年法律9号による改正前のもの)1項及び2項並びに措置法42条の3の2(平成27年法律9号による改正前のもの)1項の各規定に基づき,800万円以下の部分に100分の15の税率を,800万円を超える部分に100分の25.5の税率を乗じて計算した金額の合計額である。

(ウ)

控除所得税額等(別表6・順号⑧)

22万9667円

上記金額は,法人税法68条(平成29年法律第4号による改正前のもの)
1項の規定により法人税の額から控除される所得税額であり,
平成26年7月期法人税確定申告書に記載された金額と同額である。(エ)

納付すべき法人税額(別表6・順号⑨)1億1510万0600円上記金額は,前記(イ)の金額から同(ウ)の金額を差し引いた金額である。


平成27年7月期の法人税の更正処分
(ア)

所得金額(別表6・順号⑥)

4億6835万0257円

上記金額は,下記aの金額に同bの金額を加算し,同cの金額を減算した金額である。
a
申告所得金額(別表6・順号①)

1079万4037円

上記金額は,原告が,平成27年9月29日に春日部税務署長に提出した平成27年7月期の法人税の確定申告書(乙6。以下平成27年7月期法人税確定申告書という。)に記載された所得金額である。
b
役員給与の損金不算入額(別表6・順号②)
4億9785万9120円
上記金額は,別紙3記載第1の2(2)アで述べたとおり,原告が,平成27年7月期において,本件代表者に対して支給した役員給与として損金の額に算入した金額のうち,不相当に高額であると認められるから,原告の損金の額に算入されない金額である。

c
事業税の損金算入額(別表6・順号⑤)

4030万2900円

上記金額は,平成26年7月期において増加した所得金額に対応する事業税相当額の損金の額に算入される金額である。
(イ)

所得金額に対する法人税額(別表6・順号⑦)
1億1858万9250円
上記金額は,上記(ア)の所得金額4億6835万0000円に法人税法66条(平成27年法律9号による改正前のもの)1項及び2項並びに措置法42条の3の2(平成27年法律9号による改正前のもの)1項の各規定に基づき,800万円以下の部分に100分の15の税率を,800万円を超える部分に100分の25.5の税率を乗じて計算した金額の合計額である。

(ウ)

控除所得税額等(別表6・順号⑧)

69万2832円

上記金額は,法人税法68条(平成29年法律4号による改正前のもの)1項の規定により法人税の額から控除される所得税額であり,平成27年7月期法人税確定申告書に記載された金額と同額である。(エ)

納付すべき法人税額(別表6・順号⑨)1億1789万6400円上記金額は,前記(イ)の金額から同(ウ)の金額を差し引いた金額である。
(2)

本件復興特別法人税各更正処分の根拠及び計算
平成25年7月期の復興特別法人税の更正処分
(ア)

法人税額(別表7・順号①)

1億4226万2940円

上記金額は,前記(1)ウ(イ)の金額である。
(イ)

課税標準法人税額(別表7・順号②)

1億4226万2000円

上記金額は,東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(以下復興財源確保法と
いう。44条1号及び同法47条1項により規定された金額であり,)
前記(ア)の金額と同額(ただし,通則法118条1項の規定により1000円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。以下同じ。)である。(ウ)

復興特別法人税額(別表7・順号③)

1422万6200円

上記金額は,前記(イ)の金額に復興財源確保法48条の規定に基づき,100分の10を乗じて計算した金額である。
(エ)

控除税額(別表7・順号④)

807円

上記金額は,復興財源確保法49条1項の規定により復興特別法人税の額から控除される復興特別所得税額であり,平成25年7月期の復興特別法人税の確定申告書(乙19)に記載された金額と同額である。
(オ)

納付すべき復興特別法人税額(別表7・順号⑤)
1422万5300円
上記金額は,
前記(ウ)から同(エ)の金額を差し引いた金額
(ただし,
通則法119条1項の規定により100円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。以下同じ。)である。


平成26年7月期の復興特別法人税の更正処分
(ア)

法人税額(別表7・順号①)
1億1533万0350円

上記金額は,前記(1)エ(イ)の金額である。
(イ)

課税標準法人税額(別表7・順号②)

1億1533万0000円

上記金額は,復興財源確保法44条1号及び同法47条1項により規定された金額であり,前記(ア)の金額と同額である。
(ウ)

復興特別法人税額(別表7・順号③)

1153万3000円

上記金額は,前記(イ)の金額に復興財源確保法48条の規定に基づき,100分の10を乗じて計算した金額である。
(エ)

控除税額(別表7・順号④)

4806円

上記金額は,復興財源確保法49条1項の規定により復興特別法人税の額から控除される復興特別所得税額であり,平成26年7月期の復興特別法人税の確定申告書(乙20)に記載された金額と同額である。
(オ)

納付すべき復興特別法人税額(別表7・順号⑤)
1152万8100円
上記金額は,前記(ウ)から同(エ)の金額を差し引いた金額である。
2
本件各更正処分の適法性
(1)

本件法人税各更正処分の適法性
被告が本件訴訟において主張する原告の本件各事業年度の納付すべき法人税額は,平成23年7月期が7217万5000円(前記1(1)ア(エ)),平成24年7月期が1億5137万9900円(前記1(1)イ(エ)),平成25年7月期が1億4205万4700円(前記1(1)ウ(エ)),平成26年7月期が1億1510万0600円(前記1(1)エ(エ)),平成27年7月期が1億1789万6400円(前記1(1)オ(エ))であるところ,これらの金額は,いずれも本件法人税各更正処分における納付すべき法人税額(ただし,
平成26年7月期及び平成27年7月期については,
国税不服審
判所長の裁決による一部取消し後のもの。別表11参照。)を上回るから,本件法人税各更正処分は適法である。
(2)

本件復興特別法人税各更正処分の適法性
被告が本件訴訟において主張する原告の本件各課税事業年度の納付すべき復興特別法人税額は,
平成25年7月期が1422万5300円
(前記1
(2)ア(オ))平成26年7月期が1152万8100円

(前記1(2)イ(オ))
であるところ,
これらの金額は,
いずれも本件復興特別法人税各更正処分に
おける納付すべき復興特別法人税額
(ただし,
平成26年7月期については,
国税不服審判所長の裁決による一部取消し後のもの。別表12参照。)を上回るから,本件復興特別法人税各更正処分は適法である。

3
本件各賦課決定処分の根拠及び計算
上記2のとおり,本件各更正処分は適法であるところ,原告は,納付すべき法人税額及び復興特別法人税額を過少に申告していたものであり,また,納付すべき税額を過少に申告していたことについて通則法65条4項に規定する正当な理由があるとは認められない。
したがって,本件各更正処分により新たに納付すべき法人税額及び復興特別法人税額については,通則法65条の規定に基づき,以下のとおり,過少申告加算税が賦課されることになる。
(1)

本件法人税各賦課決定処分の根拠及び計算
平成23年7月期の法人税に係る過少申告加算税の賦課決定処分
平成23年7月期の法人税の更正処分に伴って原告に課される過少申告加算税の額は,上記更正処分により新たに納付すべき法人税額5427万円(ただし,通則法118条3項の規定により1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。以下同じ。)に100分の10の割合を乗じて算出した金額542万7000円に,上記更正処分により新たに納付すべきこととなった税額5427万6700円のうち,期限内申告税額に相当する金額(中間申告分の法人税額8450万4700円に控除税額の金額4万2438円を加算し,還付金額計8435万7100円を差し引いた金額19万0038円。乙2)と50万円とのいずれか多い金額を超える部分に相当する税額5377万円(同法118条3項の規定により1万円未満の端数金数を切り捨てた後のもの。以下同じ。)に100分の5の割合を乗じて算出した金額268万8500円を加算した金額811万5500円である(甲1)。

平成24年7月期の法人税に係る過少申告加算税の賦課決定処分
平成24年7月期の法人税の更正処分に伴って課される過少申告加算税の額は,上記更正処分により新たに納付すべき法人税額8810万円に100分の10を乗じて算出した金額881万円に,上記更正処分により新たに納付すべき法人税額8810万7600円のうち,期限内申告税額に相当する金額(差引所得に対する法人税額4659万2900円に控除税額2万7305円を加算した金額4662万0205円。乙3)と50万円とのいずれか多い金額を超える部分に相当する税額4148万円に100分の5の割合を乗じて算出した金額207万4000円を加算した金額1088万4000円である(甲2)。


平成25年7月期の法人税に係る過少申告加算税の賦課決定処分
平成25年7月期の法人税の更正処分に伴って課される過少申告加算税の額は,上記更正処分により新たに納付すべき法人税額8689万円に100分の10の割合を乗じて算出した金額868万9000円に,上記更正処分により新たに納付すべき法人税額8689万0200円のうち,期限内申告税額に相当する金額(差引所得に対する法人税額1581万5900円に控除税額20万8153円と中間申告分の法人税額2329万6400円を加算した金額3932万0453円。乙4)と50万円とのいずれか多い金額を超える部分に相当する税額4756万円に100分の5の割合を乗じて算出した金額237万8000円を加算した金額1106万7000円である(甲3)。

平成26年7月期の法人税に係る過少申告加算税の賦課決定処分
平成26年7月期の法人税の更正処分に伴って課される過少申告加算税の額は,上記更正処分(ただし,国税不服審判所長の裁決による一部取消し後のもの。以下本項及びオにおいて同じ。)により新たに納付すべき法人税額9046万円に100分の10の割合を乗じて算出した金額904万6000円に,上記更正処分により新たに納付すべき法人税額9046万4400円のうち,期限内申告税額に相当する金額(中間申告分の法人税額1955万6100円に控除税額22万9667円を加算し,還付金額計1158万7900円を差し引いた金額819万7867円。乙5)と50万円とのいずれか多い金額を超える部分に相当する税額8226万円に100分の5の割合を乗じて算出した金額411万3000円を加算した金額1315万9000円である(甲9)。


平成27年7月期の法人税に係る過少申告加算税の賦課決定処分
平成27年7月期の法人税の更正処分に伴って課される過少申告加算税の額は,上記更正処分により新たに納付すべき法人税額1億0034万円に100分の10の割合を乗じて算出した金額1003万4000円に,上記更正処分により新たに納付すべき法人税額1億0034万6800円のうち,期限内申告税額に相当する金額(中間申告分の法人税額398万4000円に控除税額69万2832円を加算し,還付金額計276万4400円を差し引いた金額191万2432円。乙6)と50万円とのいずれか多い金額を超える部分に相当する税額9843万円に100分の5の割合を乗じて算出した金額492万1500円を加算した金額1495万5500円である(甲9)。

(2)

本件復興特別法人税各賦課決定処分の根拠
平成25年7月期の復興特別法人税に係る過少申告加算税の賦課決定処分
平成25年7月期の復興特別法人税の更正処分に伴って課される過少申告加算税の額は,上記更正処分により新たに納付すべき復興特別法人税額868万円(ただし,通則法118条3項の規定により1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。以下同じ。)に100分の10の割合を乗じて算出した金額86万8000円に,上記更正処分により新たに納付すべき復興特別法人税額868万9000円のうち,期限内申告税額に相当する金額(納付すべき復興特別法人税額393万1100円に控除税額807円を加算した金額393万1907円。乙19)と50万円とのいずれか多い金額を超える部分に相当する税額475万円(同法118条3項の規定により1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。以下同じ。)に100分の5の割合を乗じて算出した金額23万7500円を加算した金額110万5500円である(甲6)。

平成26年7月期の復興特別法人税に係る過少申告加算税の賦課決定処分
平成26年7月期の復興特別法人税の更正処分に伴って課される過少申告加算税の額は,上記更正処分(ただし,国税不服審判所長の裁決による一部取消し後のもの。以下本項において同じ。)により新たに納付すべき復興特別法人税額904万円に100分の10の割合を乗じて算出した金額90万4000円に,上記更正処分により新たに納付すべき復興特別法人税額904万6500円のうち,期限内申告税額に相当する金額(納付すべき復興特別法人税額81万4800円に控除税額4806円を加算した金額81万9606円。乙20)と50万円とのいずれか多い金額を超える部分に相当する税額822万円に100分の5の割合を乗じて算出した金額41万1000円を加算した金額131万5000円である(甲9)。
4
本件各賦課決定処分の適法性
(1)

本件法人税各賦課決定処分の適法性
被告が本件訴訟において主張する本件法人税各更正処分に伴って課されるべき本件各事業年度の過少申告加算税の額は,前記3(1)のとおりであるところ,
これらの金額は,
いずれも本件法人税各賦課決定処分における過少
申告加算税の額
(ただし,
平成26年7月期及び平成27年7月期について
は,国税不服審判所長の裁決による一部取消し後のもの。別表11参照。)と同額であるから,本件法人税各賦課決定処分は適法である。

(2)

本件復興特別法人税各賦課決定処分の適法性
被告が本件訴訟において主張する本件復興特別法人税各更正処分に伴って課されるべき本件各課税事業年度の過少申告加算税の額は,前記3(2)のとおりであるところ,
これらの金額は,
いずれも本件復興特別法人税各賦課
決定処分における過少申告加算税の額
(ただし,
平成26年7月期について
は,国税不服審判所長の裁決による一部取消し後のもの。別表12参照。)と同額であるから,本件復興特別法人税各賦課決定処分は適法である。
第2
1
予備的主張
本件各更正処分の根拠及び計算
(1)

本件法人税各更正処分の根拠及び計算
平成23年7月期の法人税の更正処分
(ア)

所得金額(別表9・順号⑥)

2億0375万6669円

上記金額は,下記aの金額に同bの金額を加算した金額である。
a
申告所得金額(別表9・順号①)

105万6669円

上記金額は,平成23年7月期法人税確定申告書(乙2)に記載された所得金額である。
b
役員給与の損金不算入額(別表9・順号②)
2億0270万0000円
上記金額は,別紙3記載第1の2(2)イで述べたとおり,原告が,平成23年7月期において,本件代表者に対して支給した役員給与として損金の額に算入した金額のうち,不相当に高額であると認められるから,原告の損金の額に算入されない金額である。
(イ)

所得金額に対する法人税額(別表9・順号⑦)
6016万6800円
上記金額は,前記(ア)の所得金額2億0375万6000円に法人税法66条(平成23年法律第114号による改正前のもの)1項及び2項並びに措置法42条の3の2第1項(平成23年法律第114号による改正前のもの)の各規定に基づき,800万円以下の部分に100分の18の税率を,800万円を超える部分に100分の30の税率を乗じて計算した金額の合計額である。

(ウ)

控除所得税額等(別表9・順号⑧)

4万2438円

上記金額は,法人税法68条(平成23年法律第114号による改正前のもの)1項の規定により法人税の額から控除される所得税額であり,平成23年7月期法人税確定申告書に記載された金額と同額である。
(エ)

納付すべき法人税額(別表9・順号⑨)

6012万4300円

上記金額は,前記(イ)の金額から同(ウ)の金額を差し引いた金額である。

平成24年7月期の法人税の更正処分
(ア)

所得金額(別表9・順号⑥)

4億6553万9356円

上記金額は,下記aの金額に同bの金額を加算し,同cの金額を減算した金額である。
a
申告所得金額(別表9・順号①)

1億5860万1656円

上記金額は,平成24年7月期法人税確定申告書(乙3)に記載された所得金額である。
b
役員給与の損金不算入額(別表9・順号②)
3億2615万0000円
上記金額は,別紙3記載第1の2(2)イで述べたとおり,原告が,平成24年7月期において,本件代表者に対して支給した役員給与として損金の額に算入した金額のうち,不相当に高額であると認められるから,原告の損金の額に算入されない金額である。

c
事業税の損金算入額(別表9・順号⑤)

1921万2300円

上記金額は,平成23年7月期において増加した所得金額に対応する事業税相当額の損金の額に算入される金額である。
(イ)

所得金額に対する法人税額(別表9・順号⑦)
1億3870万1700円
上記金額は,前記(ア)の所得金額4億6553万9000円に法人税法66条(平成23年法律第114号による改正前のもの)1項及び2項並びに措置法42条の3の2(平成23年法律第114号による改正前のもの)1項の各規定に基づき,800万円以下の部分に100分の18の税率を,800万円を超える部分に100分の30の税率を乗じて計算した金額の合計額である。

(ウ)

控除所得税額等(別表9・順号⑧)

2万7305円

上記金額は,法人税法68条(平成23年法律第114号による改正前のもの)1項の規定により法人税の額から控除される所得税額であり,平成24年7月期法人税確定申告書に記載された金額と同額である。
(エ)

納付すべき法人税額(別表9・順号⑨)1億3867万4300円上記金額は,前記(イ)の金額から同(ウ)の金額を差し引いた金額である。

平成25年7月期の法人税の更正処分
(ア)

所得金額(別表9・順号⑥)

5億2220万9414円

上記金額は,下記aの金額に同b及び同cの金額を加算し,同dの金額を減算した金額である。
a
申告所得金額(別表9・順号①)

1億5749万2729円

上記金額は,平成25年7月期法人税確定申告書(乙4)に記載された所得金額である。
b
役員給与の損金不算入額(別表9・順号②)
3億9275万0000円
上記金額は,別紙3記載第1の2(2)イで述べたとおり,原告が,平成25年7月期において,本件代表者に対して支給した役員給与として損金の額に算入した金額のうち,不相当に高額であると認められるから,原告の損金の額に算入されない金額である。

c
受取配当等の益金不算入額(別表9・順号③)
141万1185円
上記金額は,平成25年7月期の法人税の更正処分(甲3)において,法人税法23条1項の規定に基づき,正当額により再計算した受取配当等の益金不算入額の過大額であり,原告の所得金額に加算される金額である。

d
事業税の損金算入額(別表9・順号⑤)

2944万4500円

上記金額は,平成24年7月期において増加した所得金額に対応する事業税相当額の損金算入額である。
(イ)

所得金額に対する法人税額(別表9・順号⑦)
1億3232万3295円
上記金額は,前記(ア)の所得金額5億2220万9000円に法人税法66条(平成27年法律第9号による改正前のもの)1項及び2項並びに措置法42条の3の2(平成27年法律第9号による改正前のもの)1項の各規定に基づき,800万円以下の部分に100分の15の税率を,800万円を超える部分に100分の25.5の税率を乗じて計算した金額の合計額である。
(ウ)

控除所得税額等(別表9・順号⑧)

20万8153円

上記金額は,法人税法68条(平成29年法律第4号による改正前のもの)
1項の規定により法人税の額から控除される所得税額であり,
平成25年7月期法人税確定申告書に記載された金額と同額である。(エ)

納付すべき法人税額(別表9・順号⑨)1億3211万5100円上記金額は,前記(イ)の金額から同(ウ)の金額を差し引いた金額である。


平成26年7月期の法人税の更正処分
(ア)

所得金額(別表9・順号⑥)

4億3626万0565円

上記金額は,下記aの金額に同b及び同cの金額を加算し,同dの金額を減算した金額である。
a
申告所得金額(別表9・順号①)

3544万3375円

上記金額は,平成26年7月期法人税確定申告書(乙5)に記載された所得金額である。
b
役員給与の損金不算入額(別表9・順号②)
4億3500万0000円
上記金額は,別紙3記載第1の2(2)イで述べたとおり,原告が,平成26年7月期において,本件代表者に対して支給した役員給与として損金の額に算入した金額のうち,不相当に高額であると認められるから,原告の損金の額に算入されない金額である。

c
受取配当等の益金不算入額の過大額(別表9・順号③)80万4490円
上記金額は,平成26年7月期の法人税の更正処分(甲4)において,法人税法23条1項の規定に基づき,正当額により再計算した受取配当等の益金不算入額の過大額であり,原告の所得金額に加算される金額である。
d
事業税の損金算入額(別表9・順号⑤)

3498万7300円

上記金額は,平成25年7月期において増加した所得金額に対応する事業税相当額の損金の額に算入される金額である。
(イ)

所得金額に対する法人税額(別表9・順号⑦)
1億1040万6300円
上記金額は,上記(ア)の所得金額4億3626万0000円に法人税法66条(平成27年法律第9号による改正前のもの)1項及び2項並びに措置法42条の3の2(平成27年法律第9号による改正前のもの)1項の各規定に基づき,800万円以下の部分に100分の15の税率を,800万円を超える部分に100分の25.5の税率を乗じて計算した金額の合計額である。

(ウ)

控除所得税額等(別表9・順号⑧)

22万9667円

上記金額は,法人税法68条(平成29年法律第4号による改正前のもの)
1項の規定により法人税の額から控除される所得税額であり,
平成26年7月期法人税確定申告書に記載された金額と同額である。(エ)

納付すべき法人税額(別表9・順号⑨)1億1017万6600円上記金額は,前記(イ)の金額から同(ウ)の金額を差し引いた金額である。


平成27年7月期の法人税の更正処分
(ア)

所得金額(別表9・順号⑥)

4億4434万3637円

上記金額は,下記aの金額に同bの金額を加算し,同cの金額を減算した金額である。
a
申告所得金額(別表9・順号①)

1079万4037円

上記金額は,平成27年7月期法人税確定申告書(乙6)に記載された所得金額である。
b
役員給与の損金不算入額(別表9・順号②)
4億7200万0000円
上記金額は,別紙3記載第1の2(2)イで述べたとおり,原告が,平成27年7月期において,本件代表者に対して支給した役員給与として損金の額に算入した金額のうち,不相当に高額であると認められるから,原告の損金の額に算入されない金額である。

c
事業税の損金算入額(別表9・順号⑤)

3845万0400円

上記金額は,平成26年7月期において増加した所得金額に対応する事業税相当額の損金の額に算入される金額である。
(イ)

所得金額に対する法人税額(別表9・順号⑦)
1億1246万7465円
上記金額は,上記(ア)の所得金額4億4434万3000円に法人税法66条(平成27年法律第9号による改正前のもの)1項及び2項並びに措置法42条の3の2(平成27年法律第9号による改正前のもの)1項の各規定に基づき,800万円以下の部分に100分の15の税率を,800万円を超える部分に100分の25.5の税率を乗じて計算した金額の合計額である。

(ウ)

控除所得税額等(別表9・順号⑧)

69万2832円

上記金額は,法人税法68条(平成29年法律第4号による改正前のもの)
1項の規定により法人税の額から控除される所得税額であり,
平成27年7月期法人税確定申告書に記載された金額と同額である。(エ)

納付すべき法人税額(別表9・順号⑨)1億1177万4600円上記金額は,前記(イ)の金額から同(ウ)の金額を差し引いた金額である。
(2)

本件復興特別法人税各更正処分の根拠
平成25年7月期の復興特別法人税の更正処分
(ア)

法人税額(別表10・順号①)

1億3232万3295円

上記金額は,前記(1)ウ(イ)の金額である。
(イ)

課税標準法人税額(別表10・順号②)1億3232万3000円上記金額は,復興財源確保法44条1号及び同法47条1項により規定された金額であり,前記(ア)の金額と同額である。

(ウ)

復興特別法人税額(別表10・順号③)

1323万2300円

上記金額は,前記(イ)の金額に復興財源確保法48条の規定に基づき,100分の10を乗じて計算した金額である。
(エ)

控除税額(別表10・順号④)

807円

上記金額は,復興財源確保法49条1項の規定により復興特別法人税の額から控除される復興特別所得税額であり,平成25年7月期の復興特別法人税の確定申告書(乙19)に記載された金額と同額である。
(オ)

納付すべき復興特別法人税額(別表10・順号⑤)1323万1400円
上記金額は,前記(ウ)から同(エ)の金額を差し引いた金額である。

平成26年7月期の復興特別法人税の更正処分
(ア)

法人税額(別表10・順号①)

1億1040万6300円

上記金額は,前記(1)エ(イ)の金額である。
(イ)

課税標準法人税額(別表10・順号②)1億1040万6000円上記金額は,復興財源確保法44条1号及び同法47条1項により規定された金額であり,前記(ア)の金額と同額である。

(ウ)

復興特別法人税額(別表10・順号③)
1104万0600円

上記金額は,前記(イ)の金額に復興財源確保法48条の規定に基づき,100分の10を乗じて計算した金額である。
(エ)

控除税額(別表10・順号④)

4806円

上記金額は,復興財源確保法49条1項の規定により復興特別法人税の額から控除される復興特別所得税額であり,平成26年7月期の復興特別法人税の確定申告書(乙20)に記載された金額と同額である。
(オ)

納付すべき復興特別法人税額(別表10・順号⑤)1103万5700円
上記金額は,前記(ウ)から同(エ)の金額を差し引いた金額である。
2
本件各更正処分の適法性
(1)

本件法人税各更正処分の適法性
被告が本件訴訟において予備的に主張する原告の本件各事業年度の納付すべき法人税額は,平成23年7月期が6012万4300円(前記1(1)ア(エ)),平成24年7月期が1億3867万4300円(前記1(1)イ(エ))平成25年7月期が1億3211万5100円

(前記1(1)ウ(エ))

平成26年7月期が1億1017万6600円(前記1(1)エ(エ)),平成27年7月期が1億1177万4600円(前記1(1)オ(エ))であるところ,
これらの金額は,
いずれも本件法人税各更正処分における納付すべき法
人税額(ただし,平成26年7月期及び平成27年7月期については,国税不服審判所長の裁決による一部取消し後のもの。別表11参照。)を上回るから,本件法人税各更正処分は適法である。

(2)

本件復興特別法人税各更正処分の適法性
被告が本件訴訟において予備的に主張する原告の本件各課税事業年度の納付すべき復興特別法人税額は,
平成25年7月期が1323万1400円
(前記1(2)ア(オ)),平成26年7月期が1103万5700円(前記1(2)イ(オ))であるところ,これらの金額は,いずれも本件復興特別法人税各更正処分における納付すべき復興特別法人税額
(ただし,
平成26年7月
期については,
国税不服審判所長の裁決による一部取消し後のもの。
別表1
2参照。)を上回るから,本件復興特別法人税各更正処分は適法である。以上

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