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不指定取消請求事件
事件番号令和2(行ヒ)68
事件名不指定取消請求事件
裁判年月日令和2年6月30日
法廷名最高裁判所第三小法廷
裁判種別判決
結果破棄自判
原審裁判所名大阪高等裁判所
原審事件番号令和1(行ケ)7
原審裁判年月日令和2年1月30日
判示事項ふるさと納税制度に係る平成31年総務省告示第179号2条3号のうち,平成31年法律第2号の施行前における寄附金の募集及び受領について定める部分は,地方税法37条の2第2項の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効である
裁判日:西暦2020-06-30
情報公開日2020-06-30 18:00:04
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令和2年(行ヒ)第68号
令和2年6月30日


不指定取消請求事件

第三小法廷判決

文1
原判決を破棄する

2
被上告人が令和元年5月14日付けで泉佐野市に対
してした地方税法37条の2第2項及び314条の
7第2項の規定による指定をしない旨の決定を取り
消す。

3
訴訟の総費用は被上告人の負担とする。
理由
上告代理人阿部泰隆ほかの上告受理申立て理由(ただし,排除されたものを除く。)について
1
平成31年法律第2号(以下本件改正法という。)による地方税法の一
部改正により,いわゆるふるさと納税として個人の道府県民税及び市町村民税(以下個人住民税という。)に係る特例控除の対象となる寄附金について,所定の基準に適合する都道府県,市町村又は特別区(以下地方団体と総称する。)として総務大臣が指定するものに対するものに限られるという制度(以下本件指定制度という。)が導入された。本件は,被上告人が上記の指定の申出をした泉佐野市に対して当該指定をしない旨の決定(以下本件不指定という。)をしたことについて,上告人が,本件不指定は違法な国の関与に当たると主張して,地方自治法251条の5第1項に基づき,被上告人を相手に,本件不指定の取消しを求める事案である。
2
原審の適法に確定した事実関係等の概要(公知の事実を含む。)は,次のと
おりである。
(1)

ふるさと納税制度の概要平成20年法律第21号による地方税法の一部改正により,個人住民税の納税義務者の地方団体に対する寄附金(以下,単に寄附金という。)のうち一定額を超える額について,所得税の所得控除(所得税法78条1項)及び10%相当額の個人住民税の税額控除がされることに加えて,個人住民税の税額控除の金額に所定の上限額の範囲内で特例控除額の加算(以下特例控除という。)がされるという制度(以下ふるさと納税制度という。)が設けられた(上記改正後の地方税法37条の2第1項,2項及び314条の7第1項,2項。なお,市町村民税に係る地方税法314条の7に規定する内容は,道府県民税に係る同法37条の2に規定するところと同様であるため,以下,同法314条の7に関する記載は,特に必要がない限り省略する。)。これにより,上記上限額の範囲内であれば,寄附金のうち上記一定額を超える部分の全額が,所得税及び個人住民税から控除されることとなった。
(2)

地方団体による返礼品の提供の状況等
ふるさと納税制度の創設当時,地方団体が寄附金の受領に伴い当該寄附金を
支出した者に対して提供する物品,役務等(以下返礼品と総称する。)について特に定める法令上の規制は存在しなかった。

その後,返礼割合(寄附金の額に対する返礼品の調達価格の割合をいう。以
下同じ。)の高い返礼品を提供する地方団体が多くの寄附金を集める事態が生じたこと等から,総務大臣は,地方団体に対する地方自治法245条の4第1項の技術的な助言として,平成27年4月1日付け通知(総税企第39号)及び同28年4月1日付け通知(総税企第37号)を発した。上記各通知は,返礼品について,換金性の高いものや高額な又は返礼割合の高いものの送付を行わないようにすること等を求めるものであった。

しかし,平成28年度には,返礼割合が3割を超える返礼品を提供する地方
団体の数は,全体の64.7%に当たる1156に上った。そして,総務省が平成29年3月頃に行った全国的連合組織(全国知事会,全国市長会及び全国町村会)や有識者等からの意見聴取においては,地方団体間での返礼品の提供競争が過熱していることへの懸念のほか,国において返礼品に係る一定の基準やルールを設けるべきであるとする意見等が示された。

このような状況を受けて,総務大臣は,地方団体に対する地方自治法245
条の4第1項の技術的な助言として,平成29年4月1日付け通知(総税市第28号。以下平成29年通知という。)及び同30年4月1日付け通知(総税市第37号。以下平成30年通知といい,前記イの各通知及び平成29年通知と併せて本件各通知という。)を発した。平成29年通知は,返礼割合を3割以下とすることを求めるものであり,平成30年通知は,これに加えて,返礼品をいわゆる地場産品(当該地方団体の区域内で生産されたものや同区域内で提供されるサービス)に限ることを求めるものであった。
平成29年通知及び平成30年通知を受けて,多くの地方団体は返礼品の内容を見直したが,総務省の調査によれば,平成30年11月1日時点において,25地方団体(全体の1.4%)が3割を超える返礼割合の返礼品を提供し,73地方団体(同4.1%)が地場産品以外の返礼品を提供していた。
(3)

本件指定制度を導入する法改正の経緯
平成30年11月20日に開催された地方財政審議会において,依然として
一部の地方団体が過度な返礼品を送付して多額の寄附金を得る状況が継続しているため,制度的な対応を講ずることが必要であるとした上で,本件各通知の内容も踏まえ,返礼割合が3割超又は地場産品以外の返礼品を送付し制度の趣旨をゆがめているような地方団体に対する寄附金については,特例控除が行われないこととすること等が考えられるとの意見が取りまとめられた。

平成30年12月14日に与党(自由民主党及び公明党)により取りまとめ
られた平成31年度税制改正大綱(以下与党税制改正大綱という。)では,過度な返礼品を送付し,制度の趣旨を歪めているような地方公共団体については,ふるさと納税の対象外にすることができるよう,制度の見直しを行うとの基本的な考え方と共に,総務大臣が寄附金の募集を適正に実施する都道府県等等の所定の基準に適合する地方団体を特例控除の対象として指定することとし,指定をした地方団体が基準に適合しなくなったと認める場合等には指定を取り消すことができることとするとの方針が示された。また,同月21日に閣議決定がされた平成31年度税制改正の大綱(以下政府税制改正大綱という。)においても,同様の方針が示された。

これらを踏まえて,総務省は,本件指定制度の導入等を内容とする地方税法
等の一部を改正する法律案(以下本件法律案という。)を作成し,本件法律案は,平成31年2月8日に閣議決定された後,内閣から国会に提出された。総務省が本件法律案の作成に際して内閣法制局に提出した説明資料には,特例控除の対象としない地方団体を指定することは,過度な返礼品の送付を行っている地方団体に対するペナルティとして制度を設計することとなり,手続保障の面から課題が多いため,一定のルールの中で寄附金の募集を適正に行う地方団体を総務大臣が指定する方式により,特例控除の対象を限定することとする旨の記載がある。また,総務省が作成した本件法律案の要綱には,寄附金の募集を適正に実施すること等の基準に適合する地方団体として総務大臣が指定するものに対する寄附金を,特例控除の対象とする旨の記載がある。

総務大臣等は,国会での審議において,本件指定制度を導入する趣旨につ
き,過度な返礼品の提供や宣伝広報をする一部の地方団体にふるさと納税が集中している状況を是正するため,寄附金の募集を適正に行う地方団体をふるさと納税の対象とするよう,制度の見直しを行う旨の答弁をした。また,上記審議において,指定に当たり地方団体の過去の募集実績を考慮するか否かについて,積極及び消極の両方の立場から質問がされたが,同大臣等は,指定については,改正後の法律の規定に基づき,募集の適正な実施に係る基準に適合する地方団体として認められるかどうかをできる限り客観的な情報を基に判断した上で行う必要があるとした上,指定の基準の具体的内容については検討中であり,他の既存の寄附金控除の仕組みも参考としつつ,その検討をしたい旨の答弁をした。オ
本件法律案は,上記のような審議を経て,平成31年3月27日,平成31
年法律第2号(本件改正法)として成立した。本件改正法のうち,本件指定制度の導入等を内容とする地方税法37条の2及び314条の7の改正規定(以下本件改正規定という。)は,令和元年6月1日から施行された。(4)

本件指定制度の概要
地方税法(本件改正規定による改正後のもの。以下同じ。)37条の2は,
概要次のとおり規定する。
(ア)

個人住民税の納税義務者が特例控除対象寄附金を支出した場合には,特例
控除をするものとする(1項)。
(イ)

1項の特例控除対象寄附金とは,同項1号に掲げる地方団体に対する寄附
金(以下第1号寄附金ということがある。)であって,次の①の基準(地方団体が返礼品等(地方団体が第1号寄附金の受領に伴い当該第1号寄附金を支出した者に対して提供する物品,役務その他これらに類するものとして総務大臣が定めるものをいう。以下同じ。)を提供する場合には,次の①~③の基準)に適合する地方団体として同大臣が指定するものに対するものをいう(2項柱書き)。①

地方団体による第1号寄附金の募集の適正な実施に係る基準として総務大臣
が定める基準(2項柱書き。以下募集適正基準という。)


地方団体が個別の第1号寄附金の受領に伴い提供する返礼品等の調達に要す
る費用の額として総務大臣が定めるところにより算定した額が,いずれも当該地方団体が受領する当該第1号寄附金の額の100分の30に相当する金額以下であること(2項1号)


地方団体が提供する返礼品等が当該地方団体の区域内において生産された物
品又は提供される役務その他これらに類するものであって,総務大臣が定める基準に適合するものであること(2項2号。以下,上記②の基準と併せて法定返礼品基準という。)(ウ)
2項の規定による指定(以下,単に指定という。)を受けようとする
地方団体は,総務省令で定めるところにより,所定の事項を記載した申出書に,同項に規定する基準に適合していることを証する書類を添えて,これを総務大臣に提出しなければならない(3項。以下,同項に規定する申出書を単に申出書ということがある。)。
(エ)

総務大臣は,指定をした地方団体に対し,第1号寄附金の募集の実施状況
その他必要な事項について報告を求めることができる(5項)。
(オ)

総務大臣は,指定をした地方団体が2項に規定する基準のいずれかに適合
しなくなったと認めるとき,又は上記報告をせず,若しくは虚偽の報告をしたときは,指定を取り消すことができる(6項)。同項の規定により指定を取り消され,その取消しの日から起算して2年を経過しない地方団体は,指定を受けることができない(4項)。

地方税法37条の2第3項に規定する総務省令である地方税法施行規則1条
の16は,指定を受けようとする地方団体は,指定対象期間(毎年10月1日から翌年9月30日までの期間)の初日の属する年の7月1日から同月31日までの間に,同項に規定する申出書及び書類を総務大臣に提出すべきものと規定する。ただし,令和元年6月1日から同2年9月30日までの期間(以下初年度という。)に係る指定については,指定対象期間は原則として同元年6月1日から同2年9月30日まで,上記の申出書及び書類の提出期間は平成31年4月1日から同月10日までとされた(平成31年総務省令第38号附則2条2項)。なお,これに関連して,本件改正規定の施行の日(令和元年6月1日)前においても,申出書の提出及びこれに対する指定をすることができ,この場合において,その指定を受けた地方団体は同日において指定を受けたものとみなすものとされた(本件改正法附則2条5項,6項)。
(5)

本件告示の概要

総務大臣は,平成31年4月1日,地方税法37条の2第2項に基づき,募集適正基準等を定める告示(平成31年総務省告示第179号。以下本件告示という。)を発し,令和元年6月1日から適用することとした。
本件告示のうち,募集適正基準に係る部分の概要は,次のとおりである。ア
本件告示は,ふるさと納税制度が,ふるさとやお世話になった地方団体に感
謝し,若しくは応援する気持ちを伝え,又は税の使いみちを自らの意思で決めることを可能とすることを趣旨として創設された制度であることを踏まえ,その適切な運用に資するため,指定に係る基準等を定めるものとする(本件告示1条)。イ
地方税法37条の2第2項に規定する第1号寄附金の募集の適正な実施に係
る基準は,次の各号のいずれにも該当することとする(本件告示2条柱書き)。(ア)

第1号寄附金の募集として,特定の者に経済的利益の供与を行うことを約
して寄附者を紹介させる方法その他の不当な方法による募集,返礼品等を強調した寄附者を誘引するための宣伝広告,適切な寄附先の選択を阻害するような表現を用いた情報提供及び当該地方団体の区域内に住所を有する者に対する返礼品等の提供を行わないこと(1号)
(イ)

各年度において第1号寄附金の募集に要した費用の合計額が,原則とし
て,当該各年度において受領した第1号寄附金の合計額の5割以下であること(2号)
(ウ)

平成30年11月1日から申出書を提出する日までの間に,本件告示1条
に規定する趣旨に反する方法により他の地方団体に多大な影響を及ぼすような第1号寄附金の募集を行い,当該趣旨に沿った方法による第1号寄附金の募集を行う他の地方団体に比して著しく多額の第1号寄附金を受領した地方団体でないこと(3号)
(6)

泉佐野市による寄附金の募集の態様及び本件不指定の経緯
泉佐野市における寄附金の受領額は,平成23年度までは年間1000万円
前後にとどまっていたが,寄附金の受入れのための取組が進められた結果,同27年度に約12億円,同28年度に約35億円,同29年度に約135億円,同30年度に約498億円と,大幅に増加した。このうち平成29年度及び同30年度の受領額は,いずれも全地方団体の中で最も多かった。

泉佐野市の申出(後記ウ)によれば,平成30年11月1日から同31年3
月31日までの期間において,同市の寄附金の受領額は約332億円であったところ,同市が提供した1026品目の返礼品の返礼割合はいずれも3割を超え(平均43.5%),そのうち745品目は地場産品ではないものであった。泉佐野市は,上記期間中の平成30年12月及び同31年2月から同年3月までの間,100億円還元キャンペーン等と称し,従来の返礼品に加えて寄附金額の3~20%相当のアマゾンギフト券(電子商取引サイトであるアマゾンにおいて取り扱われる商品等の購入に利用できるもの)を交付するとして,寄附金の募集をした。また,同市は,同年4月2日から令和元年5月31日までの間においても,300億円限定キャンペーン,泉佐野史上,最大で最後の大キャンペーン等と称し,従来の返礼品に加えて寄附金額の10~40%相当のアマゾンギフト券を交付するとして,寄附金の募集をした。

泉佐野市は,平成31年4月5日付けで,被上告人に対し,初年度に係る指
定の申出(以下本件指定申出という。)をした。その申出書には,返礼品等の提供の有無につき返礼品等を提供しないの欄にチェックがされており,指定対象期間に提供する返礼品等の内容に関する書類は添付されていなかった。エ
泉佐野市は,平成31年4月11日,記者会見を開き,返礼品の改善につい
て日程的に事業者との調整ができず,一旦返礼品を送付しないという申出をしたが,返礼品を送らないわけではない旨や,時間的に間に合わなかったため返礼品のリストを提出しなかったが,これを後から提出することもできると聞いている旨等を説明した。

被上告人は,本件指定申出につき,令和元年5月14日付けで本件不指定を
した。本件不指定の通知書には,本件不指定の理由として次の3点が記載されていた。①

泉佐野市から提出された地方税法37条の2第3項に規定する申出書及び添
付書類の内容が同条2項の基準に適合していることを証するとは認められないこと(以下不指定理由①という。)


平成30年11月1日から申出書を提出する日までの間に,返礼割合が3割
超又は地場産品以外の返礼品を提供することにより寄附金の募集を行い,著しく多額の寄附金を受領しており,本件告示2条3号に該当しないこと(以下不指定理由②という。)③

現に泉佐野市が実施している寄附金の募集の取組の状況に鑑み,地方税法3
7条の2第2項各号に掲げる基準に適合する団体としては認められないこと(以下不指定理由③という。)
(7)

本件訴えに至る経緯
上告人は,令和元年6月10日,本件不指定に不服があるとして,地方自治
法250条の13第1項に基づき,国地方係争処理委員会に対し,被上告人を相手方とする審査の申出をした。

上記委員会は,令和元年9月3日付けで,地方自治法250条の14第1項
に基づき,被上告人に対し,不指定理由①及び②は指定をしないことの根拠とならず,不指定理由③については更に検討を要する状況にあるとして,本件指定申出について再度の検討を行った上でその結果を理由と共に上告人に通知することを勧告した。

被上告人は,令和元年10月3日付けで,上告人に対し,上記の勧告を受け
て本件指定申出について再度の検討を行った結果,不指定理由①については独立した理由としては扱わないこととするが,不指定理由②及び③については判断を維持するとして,本件不指定の判断を維持することとした旨の通知をした。エ
上告人は,被上告人の上記の措置に不服があるとして,令和元年11月1
日,地方自治法251条の5第1項2号に基づき,本件訴えを提起した。3
原審は,上記事実関係等の下において,本件告示2条3号の規定は地方税法37条の2第2項の委任の範囲内で定められた適法なものであると判断した上で,泉佐野市は本件告示2条3号に定める基準を満たさず指定の要件を欠くから,不指定理由②には理由があり,これによれば本件不指定は適法であるとして,上告人の請求を棄却した。
4
しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
(1)ア

地方税法37条の2第2項は,指定の基準のうち都道府県等による第1号寄附金の募集の適正な実施に係る基準の策定を総務大臣に委ねており,同大臣は,この委任に基づいて,募集適正基準の一つとして本件告示2条3号を定めたものである。また,地方自治法245条の2は,普通地方公共団体は,その事務の処理に関し,法律又はこれに基づく政令によらなければ,普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与(同法245条)を受け,又は要することとされることはないとする関与の法定主義を規定するところ,本件告示2条3号は,普通地方公共団体に対する国の関与に当たる指定の基準を定めるものであるから,関与の法定主義に鑑みても,その策定には法律上の根拠を要するというべきである。そうすると,本件告示2条3号の規定が地方税法37条の2第2項の委任の範囲を逸脱するものである場合には,その逸脱する部分は違法なものとして効力を有しないというべきである。
イ(ア)

本件告示2条3号は,本件指定申出のように初年度について本件改正規
定の施行の日(令和元年6月1日)より前に申出書が提出される場合についてみれば,本件改正規定の施行前の一定期間において同号に定める寄附金の募集及び受領をした地方団体について,一律に指定の基準を満たさないこととするものである。また,同号は,当該期間における寄附金の募集の方法及び寄附金の受領額を,他の地方団体への影響又は他の地方団体との比較という観点から問題とするものである。
このような内容に照らせば,本件告示2条3号(ただし,本件改正規定の施行前における寄附金の募集及び受領について定める部分をいう。以下,特に断らない限り同じ。)は,被上告人が主張するとおり,本件指定制度の導入に当たり,その導入前にふるさと納税制度の趣旨に反する方法により寄附金の募集を行い,著しく多額の寄附金を受領していた地方団体について,他の地方団体との公平性を確保しその納得を得るという観点から,特例控除の対象となる寄附金の寄附先としての適格性を欠くものとして,指定を受けられないこととする趣旨に出たものと解される。言い換えれば,そのような地方団体については,本件改正規定の施行前における募集実績自体を理由に,指定対象期間において寄附金の募集を適正に行う見込みがあるか否かにかかわらず,指定を受けられないこととするものといえる。そして,本件告示2条3号にいう本件告示1条に規定する趣旨に反する方法とは,本件指定制度の導入の経緯等に照らし,主として返礼品の提供の態様を指すものと解されるから,同号は,地方団体が本件改正規定の施行前における返礼品の提供の態様を理由に指定の対象外とされる場合があることを定めるものといえる。(イ)

ところで,本件改正規定の施行前においては,返礼品の提供について特に
定める法令上の規制は存在せず,総務大臣により地方自治法245条の4第1項の技術的な助言である本件各通知が発せられていたにとどまる。同法247条3項は,国の職員は普通地方公共団体が国の行政機関が行った助言等に従わなかったことを理由として不利益な取扱いをしてはならないと規定するところ,その趣旨は,普通地方公共団体は助言等に従って事務を処理すべき法律上の義務を負わず,これに従わなくても不利益な取扱いを受ける法律上の根拠がないため,その不利益な取扱いを禁止することにあると解される。しかるに,本件告示2条3号は,上記のとおり地方団体が本件改正規定の施行前における返礼品の提供の態様を理由に指定の対象外とされる場合があることを定めるものであるから,実質的には,同大臣による技術的な助言に従わなかったことを理由とする不利益な取扱いを定める側面があることは否定し難い。そのような取扱いであっても,それが法律上の根拠に基づくものである場合,すなわち,同号が地方税法の委任の範囲内で定められたものである場合には,直ちに地方自治法247条3項に違反するとまではいえないものの,同項の趣旨も考慮すると,本件告示2条3号が地方税法37条の2第2項の委任の範囲を逸脱したものではないというためには,前記(ア)のような趣旨の基準の策定を委任する授権の趣旨が,同法の規定等から明確に読み取れることを要するものというべきである。
(2)

そこで,このような観点から,本件告示2条3号の効力について検討す
る。

まず,法文の文理をみると,地方税法37条の2第1項及び2項柱書きは,
都道府県等による第1号寄附金の募集の適正な実施に係る基準として総務大臣が定める基準に適合する地方団体として同大臣が指定するものに対する寄附金が,特例控除対象寄附金として特例控除の対象となるものと規定しており,上記の都道府県等による第1号寄附金の募集とは,指定を受けることによって特例控除の対象となる寄附金の募集(すなわち,指定対象期間における寄附金の募集)を意味し,また,募集の適正な実施に係る基準とは,その寄附金の募集の実施の態様が適正か否かについての基準を意味するものと解するのが自然である。これによれば,募集適正基準とは,文理上,指定対象期間における寄附金の募集の態様に係る基準であって,指定対象期間において寄附金の募集を適正に実施する地方団体か否かを判定するためのものであると解するのが自然である。このような解釈は,①同条2項1号及び2号において募集適正基準と並ぶ指定の基準として規定されている法定返礼品基準が,その文理上,いずれも指定対象期間における返礼品等の提供に関する基準であると解されることや,②同条6項では,同大臣は指定をした地方団体が同条2項に規定する基準のいずれかに適合しなくなったと認めるときは指定を取り消すことができると規定されており,同項に規定する基準が,指定の際にはこれに適合すると認められても指定対象期間中に適合しなくなることがあるという内容のものとして想定されていると解されることとも整合的である。他方,地方税法37条の2第2項柱書きの募集適正基準について,同項の文理上,他の地方団体との公平性を確保しその納得を得るという観点から,本件改正規定の施行前における募集実績自体をもって指定を受ける適格性を欠くものとすることを予定していると解するのは困難であり,同法の他の規定中にも,そのように解する根拠となるべきものは存在しない。かえって,上記募集実績自体をもって指定を受ける適格性を欠くものとすることは,地方団体が本件改正規定の施行後の行為を理由に指定を取り消されても,その取消しの日から2年を経過すれば指定を受けられるようになること(同条4項,6項)と,均衡を欠くものといわざるを得ない。

次に,委任の趣旨についてみると,地方税法37条の2第2項が総務大臣に
対して指定の基準のうち募集適正基準等の内容を定めることを委ねたのは,寄附金の募集の態様や提供される返礼品等の内容を規律する具体的な基準の策定については,地方行政・地方財政・地方税制や地方団体の実情等に通じた同大臣の専門技術的な裁量に委ねるのが適当であることに加え,そのような具体的な基準は状況の変化に対応した柔軟性を確保する必要があり,法律で全て詳細に定めるのは適当ではないことによるものと解される。
他方,本件指定制度の導入に当たり,その導入前にふるさと納税制度の趣旨に反する方法により著しく多額の寄附金を受領していた地方団体について,他の地方団体との公平性を確保しその納得を得るという観点から,特例控除の対象としないものとする基準を設けるか否かは,立法者において主として政治的,政策的観点から判断すべき性質の事柄である。また,そのような基準は,上記地方団体について,本件指定制度の下では,新たに定められた基準に従って寄附金の募集を行うか否かにかかわらず,一律に指定を受けられないこととするものであって,指定を受けようとする地方団体の地位に継続的に重大な不利益を生じさせるものである。そのような基準は,総務大臣の専門技術的な裁量に委ねるのが適当な事柄とはいい難いし,状況の変化に対応した柔軟性の確保が問題となる事柄でもないから,その策定についてまで上記の委任の趣旨が妥当するとはいえず,地方税法が,総務大臣に対し,同大臣限りでそのような基準を定めることを委ねたものと当然に解することはできないというべきである。

さらに,本件法律案の作成の経緯(前記2(3)ア~ウ)をみると,本件指定
制度は,過度な返礼品を送付しふるさと納税制度の趣旨をゆがめているような地方団体を特例控除の対象外にすることができるようにするとの基本的な考え方に基づいて,制度設計がされたものであるが,与党税制改正大綱及び政府税制改正大綱においては,総務大臣は寄附金の募集を適正に実施する都道府県等という基準に適合する地方団体を特例控除の対象として指定することとされており,内閣法制局にも同様の説明がされ,本件法律案の要綱においても寄附金の募集を適正に実施することを指定の基準とするとされている。これらのことからすれば,本件法律案は,具体的には,新制度の下においては,寄附金の募集を適正に実施する地方団体のみを指定の対象とし,指定対象期間中に基準に適合しなくなった場合には指定を取り消すことができるものとすることにより,当該制度の趣旨をゆがめるような返礼品の提供を行う地方団体を特例控除の対象外とするという方針を採るものとして作られ,国会に提出されたものといえる。他方,本件法律案について,過去に制度の趣旨をゆがめるような返礼品の提供を行った地方団体を新制度の下で特例控除の対象外とするという方針を採るものとして作られ,国会に提出されたことはうかがわれない。
そして,国会における本件法律案の審議の過程(前記2(3)エ)をみても,総務大臣等の答弁において,寄附金の募集を適正に行う地方団体をふるさと納税の対象とするよう制度の見直しを行うと説明する一方で,指定に当たり地方団体の過去の募集実績を考慮するか否かが明確にされたとはいい難く,少なくとも,募集適正基準の内容として,他の地方団体との公平性を確保しその納得を得るという観点から,本件改正規定の施行前における募集実績自体をもって指定を受ける適格性を欠くものとすることを予定していることが明示的に説明されたとはいえない。そうすると,本件法律案につき,国会において,募集適正基準が上記観点から本件改正規定の施行前における募集実績自体をもって指定を受ける適格性を欠くものとする趣旨を含むことが明確にされた上で審議され,その前提において可決されたものということはできない。

以上によれば,地方税法37条の2第2項につき,関係規定の文理や総務大
臣に対する委任の趣旨等のほか,立法過程における議論をしんしゃくしても,前記(1)イ(ア)のような趣旨の基準の策定を委任する授権の趣旨が明確に読み取れるということはできない。そうすると,本件告示2条3号の規定のうち,本件改正規定の施行前における寄附金の募集及び受領について定める部分は,地方税法37条の2第2項及び314条の7第2項の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効というべきである。
(3)

したがって,初年度に係る本件指定申出につき,不指定理由②,すなわち
泉佐野市が本件告示2条3号に該当しないことを理由として指定をしないものとすることはできない。
5
(1)

そこで,更に不指定理由③について検討する。
地方団体が指定の申出の際に返礼品等を提供すると申述したか否かにかか
わらず,これに対する指定の効果は同一であり,返礼品等を提供しない旨申述して指定を受けた地方団体が実際には返礼品等を提供して寄附金を受領しても,当該寄附金が特例控除の対象となることに変わりはない。そうすると,地方団体が指定の申出の際に返礼品等を提供しない旨申述した場合であっても,総務大臣は,客観的に当該地方団体が返礼品等を提供する場合に当たるか否かを審査することができ,これが認められる場合には,更に法定返礼品基準への適合性を審査の対象とすることができると解するのが相当である。
これを本件指定申出についてみると,泉佐野市は,記者会見において,返礼品等を提供しない旨申述したのは事業者との調整等が時間的に間に合わなかったためであるなどと説明していたのであって(前記2(6)エ),同市には客観的に返礼品等を提供する予定があったといい得るから,被上告人が法定返礼品基準への適合性を審査の対象としたことに違法があるとはいえない。(2)

不指定理由③は,現に泉佐野市が実施している寄附金の募集の取組の状況
に鑑み,法定返礼品基準に適合するとは認められないとしたものである。確かに,泉佐野市は,多くの地方団体が自律的に返礼品の見直しを進める中で,返礼割合が高くかつ地場産品以外のものを含む返礼品の提供を続けた上,本件改正法が成立した後も,本件改正規定の施行直前までの予定で,キャンペーンと称し,従来の返礼品に加えてアマゾンギフト券を交付するとして,返礼品を強調した寄附金の募集をエスカレートさせたものであり,このような本件不指定に至るまでの同市の返礼品の提供の態様は,社会通念上節度を欠いていたと評価されてもやむを得ないものである。
しかし,従前は返礼品の提供について特に定める法令上の規制が存在しなかったのに対し,本件改正規定により,法定返礼品基準が法定され,指定を受けた地方団体がこれに反した場合には指定の取消しの対象となり,その後2年間は指定を受けられなくなるという法令上の規制が設けられたことからすれば,本件改正規定の施行の前後では地方団体の行動を評価する前提を異にしており,同施行前における泉佐野市の返礼品の提供の態様をもって,同施行後においても同市が同様の態様により返礼品等の提供を継続するものと推認することはできない。また,本件不指定当時,同市が本件改正規定の施行後において法定返礼品基準に適合しない返礼品等を提供する予定があることを示す具体的な事情があったともうかがわれない。そうすると,本件不指定当時の事情の下では,本件指定申出につき,同市が法定返礼品基準に適合するとは認められないと判断することはできないというべきである。(3)

したがって,本件指定申出につき,不指定理由③,すなわち泉佐野市が法
定返礼品基準に適合するとは認められないことを理由として指定をしないものとすることはできない。
6
以上によれば,不指定理由②及び③を理由としてされた本件不指定は違法と
いうべきである。なお,不指定理由①は,被上告人により独立した理由として扱わないこととされたから,これをもって本件不指定を適法ということはできない。7
以上と異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違
反がある。論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,以上に説示したところによれば,上告人の請求は理由があるから,これを認容すべきである。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。なお,裁判官宮崎裕子,同林景一の各補足意見がある。
裁判官宮崎裕子の補足意見は,次のとおりである。
私は,法廷意見に賛成するものであるが,その理由を,本件の背景にあるいくつかの問題を俯瞰しつつ補足しておきたい。
ふるさと納税制度は,ふるさとやお世話になった地方団体に感謝し,若しくは応援する気持ちを伝え,又は税の使いみちを自らの意思で決めることを可能とすることを趣旨として創設された制度であることは本件告示の中でも触れられているとおりであるが,ふるさとやお世話になった地方団体に感謝し,若しくは応援する気持ちを伝えという部分は,この制度に基づいて地方団体が受け取るものは寄附金であることを前提としたものとして理解できるのに対して,税の使いみちを自らの意思で決めることを可能とすることという部分は,この制度に基づいて地方団体が受け取るものは実質的には税であることを前提として,一定の限度で税の配分を納税者の意思で決められるようにするというものであるから,前者の趣旨とは前提を異にしていることになる。
もし地方団体が受け取るものが税なのであれば,地方団体がその対価やお礼を納税者に渡す(返礼品を提供する)などということは,税の概念に反しており,それを適法とする根拠が法律に定められていない限り,税の執行機関の行為としては違法のそしりを免れないことは明らかであろう。他方で,地方団体が受け取るものは寄附金であるとなれば,地方団体が寄附者に対して返礼品を提供したとしても,返礼品は,提供を受けた個人の収入金額と認識すべきものにはなるが,納税の対価でも納税のお礼でもなく,直ちに違法の問題を生じさせることにはならない。本件改正規定は,ふるさと納税制度の創設以来の趣旨をそのまま維持し,同制度に基づいて地方団体が受け取るものは寄附金であるという前提も維持したまま,返礼品の提供を法令上正面から適法なものとして容認し,指定対象期間ごとに指定を受けた地方団体に対する寄附金のみを特例控除の対象とする本件指定制度を導入することを定めるものである。この法改正は,立法府としては,本件改正規定の施行前後を問わず,地方団体が受け取るものは寄附金であるから,返礼品の提供自体が,例えば税の対価であるなどとして違法視されるべき理由はないと考えていたことを確認し,明確化したものといえるであろう。そして,本件改正規定は,ふるさと納税制度の創設当初から掲げられていた,寄附金であることを前提とする制度趣旨と実質的に税であることを前提とする制度趣旨が,共にバランスよく達成されるために不可欠と考えられる返礼品の提供に係る調整の仕組みを,初めて導入したものである。それが本件指定制度であり,今後更に改善が必要となる可能性もあるかもしれないとしても,そのような仕組みが初めて法律に定められたことに大きな意味がある。逆からいえば,本件改正規定の施行前のふるさと納税制度を定める法律は,そのような調整の仕組みを欠いていたということになり,そのために,地方団体が受け取るのは寄附金であるという前提で行われていた返礼品の提供が,地方団体間の実質的な税配分の公平を損なう結果を招くことになるのではないかという問題を顕在化させることになったのである。
そもそも寄附金と税という異質なものが制度の前提にあることを考慮すると,上記の調整の仕組みを欠いた状態で本件改正規定の施行前に地方団体が行なった寄附金の募集態様や返礼品の提供という行為を,制度の趣旨に反するか否か,あるいは制度の趣旨をゆがめるような行為であるか否かという観点から評価することには無理がある。また,ふるさと納税制度の趣旨は本件改正規定の施行前後を通じて同じであるものの,本件改正規定によって同制度における寄附金の募集態様や返礼品の提供に適用される規範が新しく定められたのであるから,本件改正規定の施行前の行為が制度の趣旨に反するか否かを,本件改正規定の施行後の行為に適用されるべき規範によって評価することはできない。本件改正法又は他の法令に別段の規定があればその限りではないが,そのような規定は見当たらない。
そして,本件が,国と私人の関係に関する問題ではなく,国と地方団体の関係に関する問題であることを考慮しても,法廷意見で指摘されている関与の法定主義に鑑みて,上記の分析が妥当しないと考えるべき理由は見当たらない。以上の諸点を踏まえると,法廷意見の第4項は本件改正規定の解釈(地方税法37条の2第2項による委任の範囲の解釈)として妥当であると思料する。裁判官林景一の補足意見は,次のとおりである。
私は,法廷意見に同調するものであるが,本件の経緯に鑑み,上告人の勝訴となる結論にいささか居心地の悪さを覚えたところがあり,その考え方を以下のとおり補足しておきたい。
居心地の悪さの原因は,泉佐野市が,殊更に返礼品を強調する態様の寄附金の募集を,総務大臣からの再三の技術的な助言に他の地方団体がおおむね従っている中で推し進めた結果,集中的に多額の寄附金を受領していたことにある。特に,同市が本件改正法の成立後にも返礼割合を高めて募集を加速したことには,眉をひそめざるを得ない。また,ふるさと納税制度自体が,国家全体の税収の総額を増加させるものではなく,端的にいってゼロサムゲームであって,その中で,国と一部の地方団体の負担において他の地方団体への税収移転を図るものであるという,制度に内在する問題が,割り切れなさを増幅させている面もある。そして,その結果として,同市は,もはやふるさと納税制度から得られることが通常期待される水準を大きく上回る収入を得てしまっており,ある意味で制度の目的を過剰に達成してしまっているのだから,新たな制度の下で,他の地方団体と同じスタートラインに立って更なる税収移転を追求することを許されるべきではないのではないか,あるいは,少なくとも,追求することを許される必要はないのではないかという感覚を抱くことは,それほど不当なものだとは思われない。それは,被上告人が他の地方団体との公平と呼ぶ観点と同種の問題意識である。しかしながら,それは,本件改正規定の施行前のふるさと納税制度においては,当不当のレベルの問題である。被上告人において,法的な問題として,そのような不当な状態を,将来のみならず過去の行為をも考慮に入れて解消することを目指すのであれば,制度改正に際し,その旨の明示的な規定を設けることを,法律レベルで追求すべきであったといえる。それは,本件改正規定の施行前においては,返礼品の内容や返礼割合を含む募集の態様について特段の法的規制がなく,寄附金をいかに増やすかについては,いわばアイディアの自由競争に委ねられており,泉佐野市は,そのような競争を,主務官庁の助言を無視して最大限追求したとはいえ,あくまでも法律の枠内にとどまる行動をとったにすぎないと評価できるため,主務官庁の目から見ればどれほど不適切に思えても,そのことの故に不利益な処分を行うことを当然には正当化できないからである。しかるに,本件告示2条3号のように,過去の実績を遡及的に問題とし,あたかもその時点においても既に違法であったかのごとく取り扱うような基準を設けることについては,明示的にその旨を法律案に書くことはもとより,法律案の審査や審議においてその趣旨が明確に読み取れるような説明をすることも困難であったため,これがされなかったのではないかとうかがわれる。
被上告人は,地方税法37条の2第2項につき,総務大臣が基準を定める定め方について格別の制約をしていないとも主張するが,法廷意見が指摘する関与の法定主義や技術的な助言に従わなかったことを理由とする不利益な取扱いの禁止など,地方自治法等の関連法の規定と整合することが必要という意味での制約があることはいうまでもなく,仮に本件告示2条3号のような基準を法律より下位の形式で定めるのであれば,これらの規定との整合性が問題となるため,少なくとも,法律において,その旨の明示的な委任,授権がされていることが必要であることは明らかであるから,たとえ結論に居心地の悪さがあったとしても,法的には法廷意見のとおりと考えざるを得ないのである。(裁判長裁判官
宇賀克也

宮崎裕子

裁判官


裁判官

戸倉三郎

道晴)
裁判官


景一

裁判官

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