判例検索β > 平成30年(ワ)第6029号
意匠権 民事訴訟
事件番号平成30(ワ)6029
裁判年月日令和2年5月28日
裁判所名大阪地方裁判所
権利種別意匠権
訴訟類型民事訴訟
裁判日:西暦2020-05-28
情報公開日2020-06-16 16:00:43
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令和2年5月28日判決言渡

同日原本交付

平成30年(ワ)第6029号

裁判所書記官

意匠権侵害差止等請求事件

口頭弁論終結日令和2年3月2日
判原告決
株式会社バッファロー

同訴訟代理人弁護士


威一郎

同松本響子同柴田和彦
同訴訟代理人弁理士

松井宏記
同補佐人弁理士

山鈴木行大
旧商号
被告
MARSHAL株式会社

FFFSMARTLIFECONNECTED株式会社

同訴訟代理人弁護士
同補佐人弁理士

水野同井出真同萬幸須澤洋主1男勝文文
被告は,別紙物件目録記載の製品を製造し,販売し,輸出し,若しくは
輸入し,又は販売の申出をしてはならない。
2
被告は,別紙物件目録記載の製品を廃棄せよ。

3
被告は,原告に対し,3528万1382円及びうち別紙損害一覧表(裁判所の認定)の原告の損害額欄記載の各金員に対する起算日欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4
原告のその余の請求を棄却する。

5
訴訟費用は,これを3分し,その2を被告の負担とし,その余を原告の
負担とする。
6
この判決は,第3項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由

第1請求
1主文第1項及び第2項と同旨
2
被告は,原告に対し,5407万0857円及びうち以下の各項記載の金員
に対する同記載の日付から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。(1)金109万3991円に対する平成29年6月30日から
(2)金75万2130円に対する平成29年7月31日から
(3)金99万0832円に対する平成29年8月31日から
(4)金160万5909円に対する平成29年9月30日から
(5)金90万6046円に対する平成29年10月31日から
(6)金185万8559円に対する平成29年11月30日から(7)金257万6966円に対する平成29年12月31日から
(8)金161万7564円に対する平成30年1月31日から
(9)金242万0051円に対する平成30年2月28日から
(10)金328万1797円に対する平成30年3月31日から(11)金257万7285円に対する平成30年4月30日から(12)金239万1248円に対する平成30年5月31日から
(13)金252万2285円に対する平成30年6月30日から(14)金268万1445円に対する平成30年7月31日から(15)金226万9939円に対する平成30年8月31日から(16)金340万9289円に対する平成30年9月30日から(17)金250万5746円に対する平成30年10月31日から
(18)金295万9797円に対する平成30年11月30日から(19)金371万7356円に対する平成30年12月31日から
(20)金190万4923円に対する平成31年1月31日から(21)金237万8405円に対する平成31年2月28日から(22)金309万4892円に対する平成31年3月31日から(23)金207万1392円に対する平成31年4月30日から(24)金189万4081円に対する令和元年5月31日から
(25)金58万8929円に対する令和元年6月7日から
第2事案の概要等
1
本件は,意匠に係る物品をデータ記憶機とする意匠権(以下本件意匠権といい,その意匠を本件意匠という。)を有する原告が,被告の製造,販売に係る別紙物件目録記載のデータ記憶機(以下,併せて被告製品といい,同別紙1~4記載の各製品をそれぞれ被告製品1などという。)及びそのケースの意匠は本件意匠に類似するなどとして,被告に対し,本件意匠権に基づき,被告製品の製造,販売等の差止め(意匠法37条1項)及び被告製品の廃棄(同条2項)を請求するとともに,上記各行為につき,本件意匠権侵害の不法行為(民法709
条)に基づく損害賠償金及びこれに対する不法行為の日ないしその後の日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求する事案である。なお,上記不法行為に基づく損害賠償請求につき,原告は,意匠法39条2項に基づき算定した場合(損害額の推定覆滅がされる場合は,覆滅部分につき更に同条3項)と同条3項に基づき算定した場合のうち,より大きな金額となるものを損害
額とする旨主張する。
2
前提事実(証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。なお,本判
決において書証を掲記する際には,枝番号の全てを含むときはその記載を省略することがある。)
(1)当事者

原告は,デジタル家電及びコンピュータ周辺機器の開発,製造,販売及
びデータ復旧サービスを業とする法人である。


被告は,パソコン,パソコンパーツ及びパソコン関連商品の企画,開発
及び販売並びにパソコン関連プロダクトデザインの企画,設計及び製作を業とする法人である。
(2)本件意匠権
原告は,以下の意匠権(本件意匠権)を有する。
登録番号
出願日

平成22年8月3日

登録日

平成23年2月10日

意匠に係る物品
第1409214号

データ記憶機

図面

別紙本件意匠の図面のとおり

(3)被告製品の製造,販売等

遅くとも平成29年6月以降における被告製品及びそのケースに関する
取引の流れは,以下のとおりである。
被告は,被告製品のケースのデザインを決定し,そのケースをケース製造業者に委託して製造し,その全数量をフィールドスリー株式会社(以下フィールドスリーという。)に対して販売する。フィールドスリーは,そのケースに,ハードディスクドライブ(HDD)メーカーから仕入れたHDD等のパーツを組み込み,外付け型HDD製品として完成させ,その全数量を被告に対して販売する。

被告は,フィールドスリーから仕入れた被告製品を楽天,アマゾン等のインターネット通販モールで自ら販売するとともに,フィールドスリーに対して販売する。通販モールでの販売分については,通販モール業者が,エンドユーザからの注文に応じて回収した代金から販売手数料を控除した残額を被告に支払う。フィールドスリーへの販売分については,同社が,株式会社ノジマ(以下ノジマという。),アプライド株式会社(以下アプライドという。)及び株式会社MOASTORE(以下MOASTOREという。)に対して転売する。
ノジマ,アプライド及びMOASTOREは,それぞれ,これらをプライベートブランド製品として販売する(別紙物件目録2~4記載の型番はフィールドスリーが付したものである。また,ノジマへの販売分が被告製品2に,アプライドへの販売分が被告製品3に,MOASTOREへの販売分が被告製品4に相当する。)。イ
被告製品1~4の形態は,それぞれ別紙被告製品説明書のとおりであり,
同一である(以下,被告製品の意匠を被告意匠という。)。

被告製品は,本件意匠に係る物品であるデータ記憶機に相当する。
すなわち,被告意匠に係る物品と本件意匠に係る物品は同一である。(4)原告による原告製品の製造,販売
原告は,本件意匠の意匠登録出願後,本件意匠の実施品として,データ記憶機(現在販売中のものは,「HD-LBU3/YD」,「HDX-LSU2/VC」及び「HD-LXU3D」の各シリーズである。「HD-LBU2」,「HD-LBU3/YC」,「HD-LBU3」,「HD-LBU3-C」,「HDX-LSU2/V」,「HD-LXU3C」及び「HD-LXU3」の各シリーズは,販売を終了している。以下,これらを併せて原告製品という。)を製造,販売した。なお,原
告製品の形態は,別紙原告製品説明書のとおりである。
3争点
(1)本件意匠と被告意匠の類否(争点1)
(2)被告製品のケースの製造,販売による侵害の成否(争点2)(3)原告の損害の有無及び額(争点3)

第3争点に関する当事者の主張
1争点1(本件意匠と被告意匠の類否)
(原告の主張)
(1)本件意匠の構成態様
本件意匠の構成態様は,別紙本件意匠の構成態様の原告の主張欄記載
のとおりである(併せて,別紙本件意匠の構成の説明図も参照)。基本的構成態様とは,意匠を大つかみに捉えた際の骨格的態様であるところ,本
件意匠は縦置きされることを主としてデザインされたものであること,購入時に需要者が注目して観察するのは使用時に目につきやすい箇所であり,縦置きを主として観察することに鑑みると,側面の底面側及び背面側並びに正面の底面側の構成は基本的構成態様とされるべきではない。
(2)被告意匠の構成態様
被告意匠の構成態様は,別紙被告意匠の構成態様の原告の主張欄記載のとおりである(併せて別紙被告意匠の構成の説明図も参照)。
(3)本件意匠と被告意匠の共通点,差異点

共通点

本件意匠と被告意匠は,基本的構成態様(A1)~(C1)と(a1)~(c1)が共通しているほか,具体的構成態様(H1)及び(I1)と(h1)及び(i1)も共通している。なお,本件意匠の基本的構成態様(B1)の前段の構成を(B2)のように捉えたとしても,被告製品は,平面及び正面にのみ鏡面加工が施されており,側面,背面及び底面とは質感を異にするから,なお本件意匠と被告意匠とは上記構成に係る基本的構
成態様を共通にする。

差異点

本件意匠と被告意匠は,基本的構成態様において差異点はない。
具体的構成態様の差異点は,(D1)~(G1)及び(J1)~(L1)と(d1)~(g1)及び(j1)~(l1)である。
(4)本件意匠の要部

意匠は全体が有機的なつながりをもって結合されたものであり,各形態
を個別に評価することは妥当でないところ,本件意匠の基本的構成態様(A1)~(C1)を全て有する公知意匠は存在しない。また,基本的構成態様(C1)は,本件意匠の輪郭形状を構成する要素であり,本件意匠に係るデータ記憶機を縦置きにして,真上又は斜め上から見た場合に明確に視認できる形状である。
したがって,本件意匠の要部は基本的構成態様(A1)~(C1)を兼ね備えた形状にあ
る。

被告は,後記乙1意匠~乙6意匠の存在を指摘して,基本的構成態様
(A1)~(C1)は本件意匠の要部になり得ないと主張する。
しかし,乙1意匠~乙6意匠には,いずれもプレートと呼ぶべき部分は存在せず,また,平面から正面へと繫がる角が側面視円弧上に湾曲し,平面から背面に繫がる角が直角に折れ曲がっている状態のものも存在しない。したがって,これらの先行意匠は,いずれも基本的構成態様(A1)~(C1)の全てを具備するものではなく,これらの構成態様が本件意匠の要部であることを否定するものではない。また,被告は,具体的構成態様(E1)も本件意匠の要部である旨を主張する。しか
し,この構成態様は機能上必要な形態であって,要部となるものではない。被告のその余の主張は否認し,争う。
(5)本件意匠と被告意匠の類否

本件意匠と被告意匠は,本件意匠の要部である基本的構成態様(A1)~
(C1)と(a1)~(c1)が全て共通している。この共通点から,

全面に渡って略平坦で『のっぺり』感が強調されているプレートが,平面及び正面に設けられており,その平面及び正面の角は大きく円弧を描いている。

という共通の特徴ある美感が,本件意匠及び被告意匠の両者から生じている。
なお,被告が主張する底面側及び背面側の溝部の有無を考慮したとしても,需要者において目につきにくく重要視されない底面側及び背面側における差異は,意匠
の美感に影響を与える差異ということはできない。
また,本件意匠と被告意匠は,具体的構成態様(H1)及び(I1)と(h1)及び(i1)においても共通している。これらも意匠全体の印象を大きく左右する点であって,美感に影響を与える。
以上より,本件意匠と被告意匠は,全体として共通の美感を起こさせるものであ
る。

本件意匠と被告意匠の差異点は,いずれも些細な差異であって,両意匠
が有する共通の美感に影響を与えるものではない。
すなわち,まず,具体的構成態様(D1)及び(E1)と(d1)及び(e1)について,データ記憶機の設置方法としてはその底面を下にする方法が一般的であるから,データ記憶機の使用に当たっては,その底面の形状は隠れ,正面の底面側付近の形状は目につきにくくなる。そのため,需要者の使用態様を考慮したとしても,これらの差異は,需要者において重要視されない。また,具体的構成態様(E1)と(e1)の差異は,ごく微細な部分での差異であって,全体的な意匠の美感に影響を与えるものではない。具体的構成態様(F1)と(f1)の差異については,小さい部分での差異であり,全体的な意匠の美感に影響を与えるものではない。

具体的構成態様(G1)と(g1)の差異についても,被告意匠の斜線状の筋は目立つものではなく,意匠の美感に影響を与えるほどのものではない。
具体的構成態様(J1)及び(K1)と(j1)及び(k1)の差異については,需要者が通気口の位置や形態にまで関心を示すとは考えられない。また,通気口はデータ記憶機内の温度の上昇抑制のために必要不可欠な構造であるが,目立たないように配置される
ものであり,被告意匠の通気口の箇所及び形状も,特段,美感を生じさせる特徴的なものではないため,需要者の注意を惹く部分には含まれず,むしろ目につきにくい配置になっている。したがって,この点も意匠の美感に影響を与えない。ウ
以上より,被告意匠は,本件意匠と類似するものであり,本件意匠権の
効力が及ぶ。
(被告の主張)
(1)本件意匠の構成態様

本件意匠の構成態様は,別紙本件意匠の構成態様の被告の主張

欄記載のとおりである。

このうち,構成態様(B2)は,原告主張に係る具体的構成態様(L1)を含む。
その上で,データ記憶機の設置方法としては縦置きだけでなく横置きもあり,本件意匠の実施品である原告製品がそのいずれでも使用できることも考慮すると,
意匠を観察する上では,縦置き及び横置きの両方を総合的に考慮すべきである。そうすると,横置きした場合はもちろん,縦置きの場合も,本件意匠の側面の底面側及び背面側並びに正面の底面側も,目につきやすい部分といえることから,これは基本的構成態様と位置付けられる。
また,原告主張の構成態様(C1)のうちプレートの平面から背面に繋がる角は直角に折れ曲がっている点は,需要者(データ記憶機を購入又は使用する一般消費者)の目に付きにくいことから,基本的構成態様とはならない。
原告主張の構成態様(D1)については,データ記憶機を横置きに設置した場合,データ記憶機の底面側付近の形状も需要者の目につきやすくなる。このような需要者
による本件意匠の観察状態を踏まえると,これは具体的構成態様ではなく,基本的構成態様である。
原告主張の構成態様(E1)も,デザイナーが需要者の購入心理を念頭に入れてデザイン設計したことを考慮すると,同様に,具体的構成態様ではなく,基本的構成態様である。

さらに,本件意匠では,のっぺり感がある平面のプレートに横筋が設けられているため,需要者は,この横筋に注意を惹かれることになる。そうすると,原告主張の構成態様(F1)も基本的構成態様というべきである。
(2)被告意匠の構成態様
被告意匠の構成態様は,別紙被告意匠の構成態様の被告の主張欄記載
のとおりである。
このうち,構成態様(b2)は,原告主張に係る具体的構成態様(l1)を含む。また,原告主張の具体的構成態様(d1)~(f1)に相当する構成態様(d2)~(f2)は,いずれも基本的構成態様である
(3)本件意匠と被告意匠の共通点,差異点

本件意匠と被告意匠は,基本的構成態様(A2)及び(C2)と(a2)及び(c2)並びに具体的構成態様(H2)及び(I2)と(h2)及び(i2)において共通する。
他方,基本的構成態様(B2)と(b2)並びに構成態様(D2)~(G2),(J2)及び(K2)と(d2)~(g2),(j2)及び(k2)が異なる。
(4)本件意匠の要部

本件意匠の基本的構成態様(A2)~(C2)は,いずれも本件意匠の意匠登録
出願前に公知であり,本件意匠の要部にはなり得ない。
すなわち,別紙乙1意匠~同乙6意匠記載の意匠(以下,それぞれ乙1意匠などという。)は,いずれも,本件意匠の意匠登録出願前に公知になった意匠であるところ,乙1意匠~乙4意匠は,いずれも略扁平直方体状であって,本体,溝部及びプレートから構成されているため,基本的構成態様(A2)を有する。
基本的構成態様(B2)は,乙3意匠に開示されている。原告主張の基本的構成態様(B1)を前提としても,乙1意匠~乙4意匠は,いずれも,平面及び正面の各面の全幅に渡りプレートが形成され,溝部がプレートと本体の間に設けられているため,この構成態様を有する。
さらに,乙3意匠,乙5意匠及び乙6意匠は,いずれも,プレートの平面から正
面へと繋がる角が側面視円弧状に湾曲しているため,基本的構成態様(C2)を有する。イ
原告主張の具体的構成態様(D1)(ただし,基本的構成態様(D2)とされる
べきである。)も,乙1意匠~乙4意匠を踏まえると,ありふれた態様にすぎず,視覚を通じて起こさせる美感への影響は小さい。

他方で,本件意匠の基本的構成態様(B2)及び原告主張の具体的構成態様
(E1)(ただし,これは基本的構成態様(E2)とされるべきである。)は,乙1意匠~乙6意匠にない態様であり,視覚を通じて起こさせる美感に最も影響を与えるものである。
すなわち,データ記憶機の発熱は寿命に直結するため,需要者は,通気口を単なる開口部ではなく,データの長期保存に寄与する構造として重大な関心を持って観
察し,デザイン上の特徴として見る。また,本件意匠の実施品である原告製品の正面にある縦筋にはLEDが設けられており,アクセス時やシャットダウン時に点灯,
消灯するところ,使用状態において,需要者の注意を惹く。

したがって,本件意匠の要部は,

平面及び正面だけには,各面の全幅に渡りプレートが形成されている。また,溝部は,プレートと本体の間に設けられている点

(基本的構成態様(B2))とプレートの正面側の正面視における下端よりもやや上の位置に開口部が設けられ,開口部の上に縦筋が設けられている点(基本的構成態様(E2))を兼ね備えた形態にあるというべきである。(5)本件意匠と被告意匠の類否

前記(4)アのとおり,本件意匠の基本的構成態様(A2)~(C2)は,本件意匠
の要部になり得ない。

基本的構成態様(B2)と(b2)について,本件意匠では,平面及び正面のプレ
ートと本体の間にだけ溝部が設けられ,本体側面において,背面及び底面に沿った溝部が設けられていないため,この溝部が設けられていない部分については,開放的な印象を与える。他方,被告意匠では,本体側面において,平面,底面,正面及び背面のそれぞれに沿って溝部が設けられており,この溝部は,各本体側面において矩形状として視認されるため,本体側面が溝部で囲まれた閉鎖的な印象を与える。ウ
また,構成態様(D2),(E2),(G2),(J2)及び(K2)と(d2),(e2),(g2),(j2)
及び(k2)(前記のとおり,(D2)及び(E2)と(d2)及び(e2)は基本的構成態様とされるべきである。)は,以下のとおり,大きな差異であって,意匠の美感に影響を与える。(ア)データ記憶機を使用するときには,その正面が需要者側を向くようにデータ記憶機が配置されるのが一般的であるから,需要者は,その購入に際し,このような使用態様を考慮してデータ記憶機を選択する。これを踏まえると,本件意匠では,正面側に開口部及び縦筋が設けられているため(基本的構成態様(E2)),開口部及び縦筋が需要者の注意を惹くことになる。また,これに伴い,需要者は,本件意匠の基本的構成態様(D2)にも気付くことになる。

そもそも,データ記憶機を縦置きで設置したとしても,設置場所によっては,データ記憶機の底面側付近の形状も目に付きやすくなる。また,これを横置きに設置
した場合には,データ記憶機の底面側付近の形状も目に付きやすくなる。(イ)被告意匠では,本体側面に斜線状の筋が設けられている(具体的構成態様(g2))。これらの筋があることによって,本件意匠と被告意匠とは,形状の差異があることに加えて,本体側面の見え方に差異が発生する。すなわち,本件意匠の本体側面は,平坦な面で構成されているために滑らかな印象を与える。これに対し,被告意匠の本体側面は,複数の筋で構成されているためにざらざらとした印象を与える。また,被告意匠では,本体側面における光の反射状態が変化すること,斜線状の筋が本体側面のほぼ全面に形成されていることによっても,本体側面の見え方は大きく異なる。
(ウ)さらに,データ記憶機が使用中に発熱することは需要者にとって周知の
事実であり,需要者の多くは,データ記憶機の温度上昇の抑制に関心を示す。被告製品においては,そのパッケージから,本体側面に形成された2種類の通気口(具体的構成態様(j2)及び(k2))によってデータ記憶機の温度上昇が抑えられることが理解でき,需要者は,被告製品の性能に基づいて,上記通気口にも注意を惹かれることになる。他方,このような通気口は本件意匠にはないため,この点は大きな差異になる。
(エ)このため,構成態様(D2),(E2),(G2),(J2)及び(K2)と(d2),(e2),(g2),(j2)及び(k2)は大きな差異であり,意匠の美感に影響を与える。ウ
具体的構成態様(H2)と(h2)については,データ記憶機(すなわち外装ケ
ース)の外形寸法は,その内部に収納されるHDDの外形寸法に依存するだけであるため,幅:高さ:奥行きのサイズ比が需要者の注意を惹く程度は極めて低い。具体的構成態様(I2)と(i2)については,本件意匠の意匠登録出願よりも前に公知となっているし(乙3意匠),側面視におけるデータ記憶機の4つの角のうち,1つの角だけが湾曲していることが需要者の注意を惹くことになるから,製品の高さ方向に占
める湾曲部の割合が意匠の美感に与える影響の程度は極めて低い。エ
以上より,本件意匠と被告意匠との差異点の印象は,共通点の印象を凌
駕しており,全体として異なる美感を与えるものというべきである。2争点2(被告製品のケースの製造,販売による侵害の成否)
(原告の主張)
(1)直接侵害

被告製品のケースの形態は,被告製品の形態と同一である。したがって,
本件意匠と被告意匠が類似するのと同様に,被告製品のケースの意匠は,本件意匠と類似する。

被告製品のケースの意匠は,データ記憶機の外装の意匠であるとこ
ろ,データ記憶機とデータ記憶機の外装とは,内部機構の有無のみが相違点であって,外装は同じである。また,両物品は,データ記憶という用途のためにデータ記憶機能を発揮して用いられる物品である点で,物品の機能及び用途が同一又は類似といえ,意匠に係る物品が類似する。
物品の類似を決するための用途及び機能の同一又は類似とは,詳細な機能までを比較するのではなく,物品の形態の価値を評価する範囲において比較するものであ
る。両者はデータ記憶機及びその外装という点において,図面は同じであるから,形態の価値は共通しており,ほとんど同一の物品である。

被告は,ケースメーカーとして,被告製品のケースの製造,販売を行っ

以上より,被告は,業として,本件意匠と類似する意匠を有する物を製
た。

造,譲渡することにより,本件意匠権を直接侵害した。
(2)間接侵害
仮に,被告が本件意匠と類似する意匠の物を製造,譲渡したとはいえないとしても,被告製品のケースを製造,販売する行為は,間接侵害(意匠法38条1号)に該当する。

すなわち,被告意匠は,本件意匠と意匠に係る物品が同一であり,本件意匠と類似する。また,被告製品のケースは,被告製品以外の用途はなく,被告製品の製造
のみに用いるものである。さらに,被告は,ケースメーカーとして,被告製品のケースの製造,販売を行った。
したがって,被告は,業として本件意匠と類似する意匠に係る物品のみに用いる物を生産,譲渡したものであり,本件意匠権を侵害したものとみなされる。(被告の主張)
事実につき争うことを明らかにしない。
3争点3(原告の損害の有無及び額)
(原告の主張)
(1)意匠法39条2項と同条3項は,それぞれ別個の算定手法であるため,各々
の基準で算定した金額のうち,より大きな金額となる方が原告の被った損害額と認定されるべきである。
以下のとおり,本件では,同条3項に基づく相当実施料の額が,同条2項における被告の利益額よりも大きな額となっているが,仮に同条3項に基づく額が同条2項に基づく額を下回った場合には,後者の金額をもって原告の損害額とすべきであ
る。その際,仮に推定の一部覆滅が認められた場合には,覆滅部分に関しても,相当実施料額の損害が発生していたといえるから,覆滅部分に関しては,同条3項が重畳適用されると解すべきである。
(2)意匠法39条2項に基づく損害について

被告製品の売上額

被告が平成29年6月1日~令和元年6月7日の間に製造,販売した被告製品の個数は,5万2708台を下らない。
また,被告製品の売上総額は,乙15の1の売単価欄記載の売却単価に受注数欄記載の受注数を乗じたものの合計4億5514万1899円(税抜)を下らない。

加えて,消費税法基本通達5-2-5(2)によれば,本件で原告が被告に対して請求する損害賠償金は消費税の課税対象になる。そうである以上,本件の損害額
算定に当たっては消費税を加算すべきである。
そうすると,本件における被告製品の売上総額(税込)は,4億9155万3251円を下らない。

被告製品のケースの売上額

被告が平成29年6月1日~令和元年6月7日の間に製造,販売した被告製品のケースの個数は,5万2708個を下らない。また,ケース1個当たりの売上額は0.801米ドル(税抜)である。
そうすると,ケースの売上総額(税抜)は,462万7636円(為替レートは$1=―109.61(令和元年12月13日時点))となる。

これに消費税を加算すると,被告製品のケースの売上総額(税込)は,499万7847円を下らない。

被告製品の製造,販売に要した経費の額
(ア)被告製品の製造原価
被告製品の製造原価が侵害製品の製造,販売のために追加的に要した費用
として意匠法39条2項の利益額の算定に当たって控除すべき経費であることは争わない。
その総額は,前記アと同様に,乙15の1の実原価欄記載の原価に受注数欄記載の受注数を乗じたものの合計4億1013万5936円となる。また,売上額と同様に消費税を加算すべきであるとすると,被告製品の製造原価
(税込)は合計4億4294万6811円となる。
(イ)被告主張の販売手数料等
販売手数料等の売上額からの控除については,否認し,争う。
被告主張に係る販売手数料等は,その支払の根拠が不明であり,被告製品の販売との関連性も不明であるほか,被告製品の発売より前に被告が取り扱う他の製品を
販売する際に必要になった経費や,被告製品の製造・販売数量に比例関係がなく要する経費が含まれており,被告製品を製造,販売することによりその製造,販売に
直接関連して追加的に必要となったものとはいえない。

被告製品のケースの販売に要した経費の額

被告製品のケースの仕入額(1個当たり0.8米ドル)が,その売上額から控除すべき経費であることは争わない。したがって,ケース(5万2708個)の販売に要した経費の額は462万1859円である。

推定覆滅事由の有無等

意匠法39条2項の推定覆滅に関する被告の主張は,否認し,争う。まず,本件意匠と被告意匠とが類似する以上,本件意匠の実施品である原告製品と被告製品の意匠(被告意匠)は,美感を共通にする。
また,購入製品の選択に当たり,データ記憶機を購入する需要者が価格や記憶容量を考慮することはあり得るが,被告製品の記憶容量は一般的なものにすぎず,需要者が記憶容量に惹かれて被告製品を購入することはあり得ない。被告製品の販売価格は原告製品よりも若干安いようであるが,この点も推定覆滅事由に当たらない。さらに,データ記憶機の技術分野では技術が成熟してきており,原告製品と被告
製品の性能の差異はほとんどない。このため,需要者は製品のデザインに惹かれて製品を購入することになり,本件意匠が顧客の製品選択に与える影響は大きい。被告主張に係る競合品ないし代替品である他社の製品の中に,本件意匠に類似する意匠の製品は存在しないし,これらの会社がどのような製品を販売しているのかも不明である。

原告製品のうちHD-LXU3Dシリーズの製品は,自動暗号化機能を実装したデータ記憶機であるが,そのような付加的な機能があるからといって,需要者が当該機能の有無のみに着目して製品を購入するとはいえず,ましてや,対象とする需要者層が異なるなどとはいえない。
その他も含め,被告が主張する事情は,いずれも意匠法39条2項の推定を覆滅
する根拠になるものではない。

原告の損害額

以上より,被告が被告製品の製造,販売により得た利益額は,その売上額(税込)から製造原価(税込)を差し引いた4860万6440円を下らない。また,被告が被告製品のケースの販売により得た利益額は,その売上額(税込)から仕入額を差し引いた37万5988円を下らない。
したがって,被告製品及びそのケースの製造,販売等により被告が得た利益の総額は,両者の合計4898万2428円である。この金額が,原告が被った損害額と推定される(意匠法39条2項)。
さらに,原告は,本件訴訟に関し,弁護士費用及び弁理士費用の負担を余儀なくされているところ,被告の侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用及び弁理士費
用は,上記損害額の10%に当たる489万8243円を下らない。そうすると,原告の損害額は,5388万0671円を下らない。加えて,被告製品の月別の売上額,経費額をもとに計算をした月ごとの損害額及び遅延損害金の起算日は,別紙意匠法39条2項に基づく損害一覧表(原告の主張)記載のとおりである。
(3)意匠法39条3項に基づく損害について

被告製品の売上額

前記(2)アのとおり,被告製品の売上額は,4億9155万3251円(税込)である。

相当実施料率

本件意匠の価値,代替可能性,被告の売上及び利益への貢献,被告による侵害の態様に加え,原告と被告が市場で完全な競合関係にあり,原告から被告に対し安価なライセンスをすることは到底考えられないこと等を踏まえると,被告製品の製造,販売に対し,原告が受けるべき相当な実施料の料率は10%を下らない。ウ
原告の損害額

被告製品の売上額(税込)に上記料率を乗じた金額は,4915万5325円を下らない。したがって,意匠法39条3項により,この額が原告の受けた損害
の額となる。
また,被告の侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用及び弁理士費用は,上記損害額の10%に当たる491万5532円を下らない。
そうすると,原告の損害額は,5407万0857円を下らない。加えて,被告製品の月別の売上額をもとに計算をした各月ごとの損害額及び遅延損害金の起算日は,別紙意匠法39条3項に基づく損害一覧表(原告の主張)記載のとおりである。
(被告の主張)
(1)意匠法39条2項に基づく損害について


被告製品及びそのケースの販売数量,ケースの1台当たりの売上額が0.
801米ドルであり,その仕入額が0.8米ドルであることは認める。原告のその余の主張は否認し,争う。

被告製品1の売上額

平成29年6月1日(被告製品1の受注開始日)~平成31年6月5日(最終販売日)の売上額は,4億3200万4386円(乙15の1の売単価欄記載の額の合計額)である。なお,被告が製造,販売し,又は販売申出をしている製品は,被告製品1に限られる。

被告製品1のケースの売上額

被告製品1のケースの売上額は,合計458万3728円(為替レートは$1=―108.57(令和元年11月20日時点))である。

被告製品1の製造,販売に要した経費の額
(ア)被告製品1の製造原価(フィールドスリーからの仕入値)は,合計3億
8927万7210円(乙15の1の実原価欄記載の額の合計額)である。(イ)被告製品1の総変動費は,インターネット通販モールの運営会社等への販売手数料合計3886万9632円(乙15の1の販売手数料欄記載の額の合計額)である。なお,いずれの通販モールも被告が販売する全製品について一括
して手数料を請求することから,この金額は,被告製品の販売期間内に販売した被告の全製品総数に対して請求された手数料総額を,被告の全製品総数で除し,これに被告製品の販売数を乗じたものである。
被告製品1が販売された通販モールの運営会社ないしその管理委託先業者は,それぞれに独自の販売手数料の費目内訳を設定しており,これらはいずれも被告製品1の販売ないし販売量によって変動することから,変動費に該当する。オ
被告製品1のケースの製造,販売に要した経費の額

被告製品1のケースの製造,販売に要した経費の額につき,前記ウと同様に計算すると,合計457万8006円となる。

被告の利益額

以上より,被告製品1に係る利益額は385万7544円,そのケースに係る利益額は5722円であり,被告の利益額は合計386万3266円である。キ
推定覆滅事由・損害の不発生

実際の商取引において,原告製品と被告製品は,美感及び印象が全く異なり,需要者がこれらを混同することはあり得ず,代替可能性もない。
また,仮に需要者がこれらを混同したとしても,需要者は,被告製品の購入に当たり,価格や記憶容量に重点を置き,被告意匠に注目することはないことなどから,被告意匠は,被告製品の購入動機の形成に寄与していない。
さらに,被告製品が販売されていた時期に,被告製品と同種のデータ記憶機が原
告及び被告以外の他社により数多く販売されており,これらは競合品ないし代替品といえる。上記のとおり,データ記憶機の購入動機の形成に当たって価格及び記憶容量に重点が置かれることから,仮に被告製品が販売されなかった場合,需要者は,被告製品と同種で単位記憶容量当たりの価格がより廉価なデータ記憶機を代替品として購入するはずである。特に被告製品の市場占有率(0.66%)は原告製品の市場占
有率(40.76%)に比較して極めて低く,競合他社の市場占有率が相当割合を占めていることからも,このことは妥当する。

加えて,本件意匠の実施品であるHD-LXU3Dシリーズは,自動暗号化機能を実装したデータ記憶機であり,この自動暗号化機能を強調した宣伝広告がされている。他方,被告製品には自動暗号化機能が実装されていない。このため,少なくとも上記シリーズの原告製品と被告製品とでは,対象とする需要者が異なり,仮に被告製品が販売されなかったとしても,それに代えて上記シリーズの原告製品が購入されるという関係にない。
以上より,被告製品がなければ原告製品が販売できたとはいえず,本件意匠の被告製品の売上(利益)に対する貢献や寄与度は相当限定的に見ざるを得ない。したがって,原告に意匠法39条2項に基づく損害は発生しておらず,仮に発生したと
しても,原告の損害額算定に際しては,被告の利益額につき,少なくともその95%を控除するのが相当である。
(2)意匠法39条3項に基づく損害について
原告の主張は否認し,争う。
HDDの技術分野における意匠権に関する実施料率の相場は販売価格の2%であ
り,侵害者に対して事後的に定められるべき,実施に対し受けるべき料率が,通常の実施料率に比べて自ずと高額になることを考慮したとしても,意匠権に起因する実施料率は4%未満と考えるのが妥当である。
また,被告製品は,原告製品を模倣したものではないし,これらが混同されるものでもないから,本件意匠権の価値に何ら影響を与えるものではなく,被告製品と
原告製品は実質的な競合関係にはない。
さらに,原告製品はグッドデザイン賞を受賞したところ,その際本件意匠が評価された特徴は,ケースの正面に形成されたエアフロー用の開口部にある。しかし,被告製品は本件意匠のようにケースの正面にエアフロー用の開口部を備えていない。このため,被告製品の販売は,原告製品の売上及び利益に何ら影響を与えない。
以上より,原告に意匠法39条3項に基づく損害は発生しておらず,仮にこれが発生したとしても,同項に基づく損害額の算定に当たっての実施料率は限りなく0
%に近い値になり,少なくとも1%を上回らない。
第4当裁判所の判断
1争点1(本件意匠と被告意匠の類否)について
(1)登録意匠とそれ以外の意匠との類否の判断は,需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行う(意匠法24条2項)。この判断に当たっては,両意匠の基本的構成態様及び具体的構成態様を全体的に観察するとともに,意匠に係る物品の用途や使用態様,公知意匠等を参酌して,需要者の最も注意を惹きやすい部分,すなわち要部を把握し,要部において両意匠の構成態様が共通するか否か,差異がある場合はその程度や需要者にとって美感を異にするものか否かを重視して,両意
匠が全体として美感を共通にするか否かによって判断するのが相当である。(2)本件意匠の構成態様

本件意匠権に係る意匠公報(甲2。以下本件意匠公報という。)及
び弁論の全趣旨によれば,本件意匠の基本的構成態様及び具体的構成態様は,それぞれ,別紙本件意匠の構成態様の裁判所の認定欄記載のとおり認めるのが相当である(なお,面の特定については,便宜上,縦置き・横置きいずれの場合かを問わず,別紙本件意匠の図面記載の名称に合わせて正面などという。)。イ
補足説明
(ア)プレートについて
本件意匠の構成態様に含まれるプレートとは,より具体的かつ詳細に
は,その表面が別紙本件意匠の図面記載の平面図及び正面図において示される面をなすものであり,平面及び正面の表面部分と本体との間に溝部が設けられること(基本的構成態様(B3))によって,平面及び正面の表面部分側に,略全面に渡って一定の厚みで形成された薄い1枚の板状の部分であって,略全面に渡って平坦であるとともに,背面図,左側面図及び右側面図(さらに,本件意匠公報の各参考斜
視図も)から明らかなとおり,平面から正面へと繫がる角は側面視円弧状に湾曲している(基本的構成態様(C3)の前半部分)。このプレート部分は,上記のような配
置及び形状から,本件意匠を視認する者において本体や溝部とは明瞭に区別して把握されるものである。
このことに鑑みると,プレート部分は,独立の構成として特定するのが相当であるとともに,本件意匠の骨格的な形態をなすものとして基本的構成態様に位置付けるべきである。
(イ)具体的構成態様(D3)について
具体的構成態様(D3)について,原告及び被告は,それぞれ別紙本件意匠の構成態様の原告の主張及び被告の主張各欄記載のとおり主張する。この点について,本件意匠公報記載の図面は,各面の名称等から,本件意匠に係
るデータ記憶機を縦置きすることを前提とするものと理解されるものの,本件意匠の構成そのものからは縦置きに限定すべき要素は見当たらない。また,後記((5)ア(ウ))のとおり,本件意匠に係る物品であるデータ記憶機においては,縦置きのみならず横置きでの使用も一般的に行われていると見られる。そうである以上,本件意匠の構成態様の認定に当たっては,横置きの場合をも念頭に置き,側面視により認
められる形態についても具体的に認定するのが適当である。
もっとも,正面下端から底面への湾曲の程度等は,平面及び正面の接続部に形成されている湾曲と異なり,必ずしも大きくはない上,本件意匠公報が縦置きを前提としていること,後記((5)ア(ウ))のとおり,本件意匠の実施品である原告製品のほか,被告製品の宣伝広告等における商品画像及び宣伝文句は,縦置きがより一般的
な使用態様であることを念頭に置いたものと理解されることなどに鑑みると,本件意匠の正面下部から底面へかけての部分の構成は,本件意匠における骨格的な形態として位置付けるべきものとまではいえない。
したがって,本件意匠の構成態様のうち上記部分に関しては,基本的構成態様ではなく具体的構成態様と位置付けた上で,具体的構成態様(D3)のとおり認定するの
が相当である。これに反する原告及び被告の各主張は,いずれも採用できない。ウ
その他の被告の主張について

(ア)基本的構成態様(B3)について
被告は,溝部の形成される部分とも関連して,プレートが形成されている部分につき平面及び正面ではなく平面及び正面だけとすべきであり,これには,本体側面の背面及び底面に接する辺に溝部が設けられていないこと(具体的構成態様(L3))が含意されている旨を主張する。
しかし,被告が主張するように背面及び底面に接する本体側面の辺に溝部が設けられていないことを構成態様として取り上げるべきであるとすれば,だけとの表現にこれを含意させるのではなく,それ自体を構成態様として明示的に位置付けるのが相当である。

本件意匠において,被告意匠との対比の前提として構成態様を把握するに当たり,本体側面の背面及び底面に接する辺に溝部が設けられていないことを取り上げることは相当である。もっとも,溝が設けられていないことにより,本体側面は,背面及び底面に接する辺に至るまで平坦な面として連続していることになるから,この点をもって特徴的な構成とまではいえない。このことと,プレートが平面及び正面に形成されていることが基本的構成態様(B3)として位置付けられることとを併せ考えると,本体側面の背面及び底面に接する辺に溝部が設けられていないことは,本件意匠における骨格的な形態とまではいえず,具体的構成態様として位置付けるのが相当である。この点に関する被告の主張は採用できない。(イ)基本的構成態様(C3)について

被告は,プレートの平面から背面へと繋がる角は直角に折れ曲がっている点(構成態様(C3)の後半部分)は,基本的構成態様に含まれないと主張する。しかし,上記構成態様は,背面に関わる形態であると同時に平面にも関わる形態であり,かつ,基本的構成態様に位置付けられるプレートの一端に関わる形態でもあること,平面から正面へと繋がる角が側面視円弧状に湾曲していることと対にな
る関係にある形態であること,左右の側面視及び正面左右の斜め方向から見ることにより容易に把握し得るものであることを踏まえると,本件意匠における骨格的な
形態と見ることができる。
したがって,上記部分は基本的構成態様と認めるのが相当である。この点に関する被告の主張は採用できない。
(ウ)具体的構成態様(E3)について
被告は,構成態様(E3)につき,具体的構成態様ではなく基本的構成態様と位置付けるべき旨を主張する。
しかし,構成態様(E3)は,本件意匠の正面下端側やや上部の位置に設けられた構成にすぎず,その形状及び大きさも併せ考えると,本件意匠における骨格的な形態とまではいえない。被告は,当該部分に関するデザイナーの意図を指摘するけれど
も,本件意匠における骨格をなす形態か否かとデザイナーの意図とは必ずしも直接関係するものではない。
したがって,構成態様(E3)は,基本的構成態様ではなく具体的構成態様として位置付けるのが相当である。この点に関する被告の主張は採用できない。(エ)具体的構成態様(F3)について

被告は,構成態様(F3)につき,具体的構成態様ではなく基本的構成態様と位置付けるべき旨を主張する。
しかし,構成態様(F3)は,本件意匠の平面の平面視後方側(背面側)の位置に設けられた構成にすぎず,その形状も,平面の全幅に渡り形成された細い1本の横筋にすぎないことに鑑みると,本件意匠における骨格的な形態とまではいえない。被
告は,平面のプレートののっぺり感という質感との関係を指摘するけれども,のっぺりすなわち

起伏がなく平らなさま。変化に乏しいさま。

という形容が主観的抽象的であることは措くとしても,上記形状に鑑みると,平面のプレート部分に係る構成の全体的な印象を左右するほどのものとはいえない。したがって,構成態様(F3)は,基本的構成態様ではなく具体的構成態様として位
置付けるのが相当である。この点に関する被告の主張は採用できない。(3)被告意匠の構成態様


証拠(甲5~7,9,10,12,15,17,乙16の別紙8)及び
弁論の全趣旨によれば,被告意匠の基本的構成態様及び具体的構成態様は,それぞれ,別紙被告意匠の構成態様の裁判所の認定欄記載のとおり認めるのが相当である。

被告の主張について

被告は,被告意匠の構成態様(b2)として,

平面,正面,背面及び底面の全てには,各面の前面に渡りプレートが形成されている。

ことが基本的構成態様であると主張する。
被告意匠において,底面及び背面に,その表面部分と本体との間に溝部が設けられていることによって,平面及び正面に形成されたプレートと接続されたプレートと形容し得る部分が形成されていることは,その通りである。しかし,本件意匠において平面及び正面に形成されたプレートが基本的構成態様とされる理由は前記((2)イ(ア))のとおりである。また,被告意匠の背面及び底面に形成されたプレートは,その配置及び形状に加え,これらのプレートに対応する溝
部の幅の狭さと相まって,被告意匠を視認する者において本体や溝部とは必ずしも明瞭に区別して把握されるものとはいえない。
そうすると,被告意匠の背面及び底面のプレート及びこれに対応する溝部は,基本的構成態様ではなく,具体的構成態様とするのが相当である。
その他被告が縷々主張する点も含め,この点に関する被告の主張は採用できない。
(4)本件意匠と被告意匠との共通点・差異点
本件意匠及び被告意匠の各構成態様を対比すると,本件意匠の基本的構成態様(A3)~(C3),具体的構成態様(H3)及び(I3)と,被告意匠の基本的構成態様(a3)~(c3),具体的構成態様(h3)及び(i3)が共通点であり,それ以外の構成態様が差異点であると認められる。

(5)本件意匠の要部

本件意匠に係る物品の需要者,用途及び使用態様

(ア)証拠(甲3,21,乙10,11,17,20)及び弁論の全趣旨によれば,本件意匠に係る物品であるデータ記憶機は,テレビ番組の録画やパソコンのデータ保存の用途に用いられるものであり,その需要者は,データ記憶機の購入者・使用者であると認められる。
(イ)その購入に当たり,需要者は,店頭であれば店頭に置かれた製品サンプルないし製品パッケージに付された製品画像等を視認すること,インターネット上で商品検索及び購入をする際には,ウェブページに掲載された製品画像等を視認することはいうまでもない。他方,使用に当たっては,その用途に鑑みると,需要者は,製品をテレビやパソコン等の付近に設置し,一旦設置した後は頻繁に置き場所
ないし置き方を変更するようなことはなく,それを手にとって見る機会もそれほど多くないと考えられる。
(ウ)使用時におけるデータ記憶機の一般的な置き方(縦置き・横置き)については,前記((2)イ(イ))のとおり,本件意匠公報記載の図面は縦置きを前提とするものといえる。また,本件意匠の実施品である原告製品のみでなく被告製品も,そ
の製品パッケージやウェブの製品紹介ページ等では,製品を縦置きした画像等を掲載している例が多い(甲3,5,7,8,10,11,15,16,21,22,乙7,10,11,20)。
他方で,前記((2)イ(イ))のとおり,本件意匠の構成そのものからは縦置きに限定すべき要素は見当たらない。

また,原告製品のパッケージやウェブページには,その特長の1つとして,

置き方が選べる。タテ置き・ヨコ置き両対応

(甲3。乙10にも同旨の記載がある。),タテヨコ自由自在!!,縦・横両用タイプ(いずれも甲21)
などといった宣伝文句が記載されるとともに,縦置き・横置きいずれの場合の画像ないしイラストも掲載されている(甲3,21,乙10)。加えて,原告自身,グッドデザイン賞の受賞の際に,応募対象が達成しようとした目標として,

パソコン周りは縦置きが多いのに対し,AV周辺の使用では…横置きのニーズが高く,…これらのニーズを一つにまとめ上げることによる周辺機器としての新たな価値の創造。

を挙げている(乙11)。さらに,被告製品を紹介するウェブページには,

従来まで付属していたスタンドをなくし,スタンドレスでも縦置き横置きに対応できるようにしました。

と記載されている(甲5)。家電量販店での同種製品の展示状況を見ても,縦置きと横置きが混在していることがうかがわれる(乙16)。
これらの事情を総合的に考慮すると,需要者の観点からは,データ記憶機の使用態様につき,縦置きがより一般的であることを念頭に置きつつ,横置きもなお一般的といえることを踏まえて,本件意匠の要部を検討すべきである。これに反する原
告の主張は採用できない。

需要者が注目する部分
(ア)前記(ア(イ),(ウ))のとおり,需要者は,データ記憶機の使用に当たり,
通常,これを接続するテレビやパソコンの付近に設置すると思われるところ,その際の置き方としては縦置き,横置きいずれも一般的といえる。
また,原告製品及び被告製品のパッケージ等の画像等のほか,他のHDD製品等のパッケージ画像等(乙1~3,5,35)に鑑みると,需要者は,その購入ないし使用に当たり,縦置き・横置きを問わず,データ記憶機を正面側から視認するほか,正面の左方,右方ないし上方いずれかの斜め方向ないし左右いずれかの斜め上方から視認することが多いと考えられる。さらに,データ記憶機を設置した位置の高さ
等によっては,平面(縦置きの場合)ないし側面(横置きの場合)を視認することもあり得る。他方,縦置きの場合に左右の真横から側面を視認する機会や,縦置き・横置きを問わず背面及び底面を視認する機会は,需要者にとって必ずしも多くなく,視認した場合もさほど強く注意を惹かれないと思われる。
加えて,使用に当たりテレビ等と設置台ないし壁等との隙間に収納するようにデ
ータ記憶機を設置した場合には,その位置関係ゆえに,正面のほかは,縦置きの場合は平面を比較的容易に視認し得るものの,その他の面は,需要者にとって視認し
難い状態となると思われる(横置きの場合,省スペースのためにテレビ等の直下の隙間に設置されることが多く,側面は正面に近い部分がせいぜい視認し得るにとどまると推察される。)。
(イ)もっとも,前記のとおり,需要者にとって,データ記憶機の使用態様としては縦置きがより一般的であることに鑑みると,需要者の注意を惹く程度については,縦置き・横置き両場合の正面に加え,縦置きの場合の平面並びに平面及び正面を斜め方向から視認する場合の左右の側面がより強く,横置きの場合に上面となる側の側面並びに正面及び上記側面を斜め方向から視認する場合の平面はこれらよりやや弱いものと考えるのが相当である。


データ記憶機に係る公知意匠

被告は,本件意匠の意匠登録出願前に公知となった意匠として,乙1意匠~乙6意匠を指摘する。そこで,これらの意匠について検討する(なお,乙4及び6を除き,面の特定については本件意匠に準ずる。)。
(ア)証拠(乙1~6)及び弁論の全趣旨によれば,乙1意匠~乙3意匠及び乙5意匠に係る製品は,外付け型HDDないしDVDドライブ(正確には,乙5意匠に係る製品はハードディスクケース)であるところ,これらはいずれも,データ記憶機に相当するとともに,本件意匠の意匠登録出願前に販売が開始されるなどして公知になったこと,乙4意匠は外付け型ハードディスクボックスを,乙6意匠は携帯型HDDを,それぞれ意匠に係る物品とするところ,これらはいずれも,データ記憶機に相当するとともに,前者の設定登録が2008年(平成20年)5月6日,後者の公告日が2004年(平成16年)11月24日であることに鑑みると,それぞれ,遅くともその頃には公知になったことが認められる。したがって,これらの意匠は,いずれも本件意匠に先行する公知意匠である。(イ)乙1意匠

証拠(甲18の1,乙1,8)及び弁論の全趣旨によれば,乙1意匠は,以下のとおりのものと認められる。

すなわち,乙1意匠は,本件意匠と同じく,略扁平直方体状のデータ記憶機(外付け型HDD)に関する意匠である。
しかし,乙1意匠には,平面及び正面のみならず背面及び底面にも,一定の厚みの薄い1枚の板に見える形状の部分は認められない。このため,乙1意匠は,本件意匠のプレートに相当する構成を有しない。なお,乙1意匠の左右の側面には,これらが正面,平面,背面及び底面に各接続する四辺に沿う形で略矩形状の凹部が設けられている。これをもって本件意匠の溝部に相当する構成ということはできるとしても,その形状及び側面の各辺との間隔等から,正面,平面,背面及び底面にプレートというべき部分が形成されているとの認識を生じさせるものとはい
えない。
また,乙1意匠の平面には,広範囲にわたり,通気口と見られる多数の穴が開口しており,平坦とはいえない。
さらに,乙1意匠の平面から正面へと繋がる角は,側面視円弧状に湾曲しているものの,これのみならず,平面から背面も側面視円弧状に湾曲している(背面から
底面及び正面から底面へと繋がる角も,ともに側面視円弧状に湾曲している。)。なお,乙1意匠の正面上部の幅方向中央部には,POWER/ACCESSとの表示の直下に横筋(電源ランプ部分)が設けられている。
(ウ)乙2意匠
証拠(甲18の2,乙2)及び弁論の全趣旨によれば,乙2意匠は,以下
のとおりのものと認められる。
すなわち,乙2意匠は,本件意匠と同じく,略扁平直方体状のデータ記憶機(外付け型DVDドライブ)に関する意匠である。また,平面及び正面のほか,背面及び底面にも,側面との段差の存在により,一定の厚さの薄い板に見える形状の部分が存在するように見受けられる。

さらに,左右の側面の略全面には平板状の部材が設けられているところ,これと平面,正面及び底面の上記板状部分とが接する部分は,上記平板状部材との質感の
相違もあって,溝部ともいい得る形状となっている(なお,背面の上記板状部分との関係では,左右側面の平板状部材の存在しない部分が他と比較して幅広であることなどから,溝部とはいえない。)。
もっとも,乙2意匠の正面上端部分には,全幅に渡る細い横筋(電源ランプ部分)が見られる。また,平面から正面へと繋がる角部にはイジェクトボタンが設けられているところ,平面の正面側付近には,当該ボタンの設置による溝部が設けられている。このため,平面及び正面の上記板状部分をもって1枚の板と見ることはできないし,平坦であるともいえない。したがって,これをもって,本件意匠のプレートに相当する構成ということはできない。

さらに,乙2意匠の平面から正面へと繋がる角は,側面視円弧状に湾曲しているものの,これのみならず,平面から背面も側面視円弧状に湾曲している(背面から底面及び正面から底面へと繋がる角も,ともに側面視円弧状に湾曲している。)。(エ)乙3意匠
証拠(甲18の3,乙3,9)及び弁論の全趣旨によれば,乙3意匠は,
以下のとおりのものと認められる。
すなわち,乙3意匠は,本件意匠と同じく,略扁平直方体状のデータ記憶機(外付け型DVDドライブ)に関する意匠である。
しかし,乙3意匠において,平面及び正面に,一定の厚みの薄い1枚の板に見える形状の部分がないことは明らかである。このため,乙3意匠は,本件意匠のプレートに相当する構成を有しているとはいえない。なお,乙3意匠の左右の側面には,これらが正面及び底面に各接続する二辺に沿う形で凹部が設けられている。これをもって本件意匠の溝部に相当する構成ということはできるとしても,その形状及び側面の各辺との間隔等から,正面及び底面にプレートというべき部分が形成されているとの認識を生じさせるものとはいえない。

また,平面には,右側に上下方向全体に及ぶ凹部が直線状に形成されている。他方,正面には,右側に上下方向全体に及ぶ凹部が直線状に形成されているとともに,
右上端に矩形状の突起部(イジェクトボタン)が存在する。このため,平面及び正面は,いずれも平坦であるとはいえない。
さらに,平面から正面へと繋がる角は略直角である。他方,平面から背面へと繋がる角は,側面視円弧状に湾曲している(なお,正面から底面へと繋がる角は側面視円弧状に湾曲しており,背面から底面へと繋がる角は略直角である。)。(オ)乙4意匠
証拠(乙4)及び弁論の全趣旨によれば,乙4意匠は,以下のとおりのものと認められる(本件意匠との対比の便宜上,乙4の説明(DESCRIPTION)に関わらず,FIG.2を正面,FIG.3を背面,FIG.4を底面,FIG.5を平面,FIG.6を左側面,
FIG.7を右側面に関する図とし,平面側を上方向,底面側を下方向と見て論ずる。)。すなわち,乙4意匠は,本件意匠と同じく,略扁平直方体状のデータ記憶機(外付け型ハードディスクボックス)に関する意匠であり,本体のほか,背面及び底面の全幅と,正面の中央部分(左右方向全幅に渡り形成された横筋状の部分)及び平面の中央部分(2つの湾曲した矢印模様が円形をなすように配置されている部材の
部分)を除く部分に渡り形成されたプレート,プレートと本体との間に設けられた溝部から構成されている。
しかし,正面は上記横筋状部分により,平面は上記中央部分により,いずれもプレートが分断されており,平面及び正面の全幅に渡り一定の厚みの薄い1枚の板に見える形状の部分が形成されているとはいえず,また,平坦ともいえない。そうで
ある以上,乙4意匠には,本件意匠のプレートに相当する構成はない。さらに,乙4意匠の平面から正面へと繋がる角は側面視円弧状に湾曲しているものの,これのみならず,平面から背面も側面視円弧状に湾曲している(背面から底面及び正面から底面へと繋がる角も,ともに側面視円弧状に湾曲している。)。(カ)乙5意匠

証拠(乙5)及び弁論の全趣旨によれば,乙5意匠は,以下のとおりのものと認められる。

すなわち,乙5意匠は,本件意匠と同じく,略扁平直方体状のデータ記憶機(ハードディスクケース)に関する意匠である。
しかし,乙5意匠において,溝部及びプレートと見ることのできる部分が存在しないことは明らかである。また,平面は略前面に渡って平坦であるものの,正面は,上部の幅方向中央部に,Power/アクセスランプの配置される部分として縦筋状の部分が形成されており,平坦とはいえない。さらに,平面から正面へと繋がる角は,平面から正面にかけて滑らかな円弧状の湾曲を形成するものではなく,正面の上部が平面との接続部に向けて湾曲することで,その部分は側面視円弧状となっているものの,平面の部分はほとんど湾曲しておらず,小さく面取りがされていると
いえる程度である。平面から背面へと繋がる角も,小さく面取りがされているにとどまり,略直角と見られる。
(キ)乙6意匠
証拠(乙6)及び弁論の全趣旨によれば,乙6意匠は,本件意匠と同じく,略扁平直方体状のデータ記憶機(携帯型HDD)に関する意匠であるものの,溝部及
びプレートと見ることのできる部分が存在しないことは明らかである。また,本体部の各辺を繋ぐ角は,いずれも側面視円弧状に湾曲している。
(ク)以上によれば,乙1意匠~乙4意匠は,いずれも,略扁平直方体状である点では本件意匠と共通するものの,本件意匠のプレートに相当する構成を有しない。そうである以上,プレートの存在を前提とする本件意匠の基本的構成
態様(A1)~(C1)のいずれとの関係でも,乙1意匠~乙4意匠を本件意匠に先行する公知意匠ということはできない。この点は,乙5意匠及び乙6意匠を考慮に入れたとしても同様である。
また,乙3意匠は,平面から正面へと繋がる角は略直角であり,平面から背面へと繋がる角は側面視円弧状に湾曲していることから,本件意匠の基本的構成態様
(C3)とは異なる構成態様を備えている。乙5意匠は,上記のとおり,平面から正面へと繋がる角は,正面の上部が平面との接続部に向けて湾曲することで側面視円弧
状となっているものと見られる点で,平面から正面にかけて滑らかな円弧状の湾曲を形成する本件意匠における平面から正面へと繋がる角の構成とは明確に異なる。したがって,乙1意匠~乙6意匠は,本件意匠の要部を検討するに当たり,本件意匠に先行するものとして考慮すべき公知の意匠ということはできない。この点に関する被告の主張は採用できない。

以上を踏まえると,需要者は,本件意匠の構成態様のうち,基本的構成
態様(A3)~(C3)に注目すると考えられるから,これをもって要部と見るのが相当である。

被告の主張について

この点について,被告は,需要者が通気口をデータの長期保存に寄与する構造として重大な関心を持って観察し,デザイン上の特徴として見ること,本件意匠の縦筋にはLEDが設けられ,使用状態において需要者の注意を惹くことなどを指摘して,具体的構成態様(E3)をも本件意匠の要部に含めるべき旨を主張する。しかし,構成態様(E3)に係る開口部及び縦筋は,正面下端よりやや上の位置に形
成されており,位置的にも大きさの点でも,それ自体は必ずしも目立つものではない。とりわけ本件意匠を正面斜め上方(正面の左右斜め上方も含む。)から視認した場合,上記開口部等は更に視認し難くなり,角度によっては視認し得なくなる。また,需要者が通気口の配置及び形状に関心を持つことはあるとしても(甲5,10,22,乙7,10),その程度は定かでない。原告製品,被告製品等の宣伝
広告を見ても,通気口に関して言及するものもあるものの,必ず言及があるわけではない(例えば,原告製品の紹介ページ(甲3)や製品パッケージ(甲21)には,通気口の配置及び形状については言及がない。)ことに鑑みると,むしろその関心の程度は重大とまではいえず,購入及び使用に当たり考慮すべき要素の一つとして関心を持つことがあり得るという程度にとどまると考えられる。

さらに,本件意匠において,上記縦筋にLEDランプを設けることは,そもそもその構成に含まれていない。その点を措くとしても,データ記憶機の正面に電源ラン
プを設けること自体は,本件意匠の意匠登録出願前の公知意匠に見られる構成であり(乙1意匠,乙2意匠,乙5意匠),本件意匠の意匠登録出願前の時点で,既にありふれた構成態様であったといえる。
以上の事情を総合的に考慮すると,具体的構成態様(E3)については,需要者がこれに着目する度合いは限定的と考えるのが相当であり,これをもって本件意匠の要部に含めることは相当でない。この点に関する被告の主張は採用できない。(6)本件意匠と被告意匠の対比

本件意匠の要部について

前記((5)エ)のとおり,本件意匠の要部は基本的構成態様(A3)~(C3)すなわち基本的構成態様の全てであるところ,これらの構成態様と被告意匠の基本的構成態様(a3)~(c3)とは,本件意匠と被告意匠との共通点である。これらの共通点が意匠全体の印象に与える影響は非常に強く,本件意匠と被告意匠とに接した需要者は,両意匠から共通する印象を強く感じるといえる。

その他の共通点について

本件意匠の具体的構成態様(H3)と被告意匠の具体的構成態様(h3)とは,いずれも,意匠に係る物品全体の輪郭に関するものであり,その使用態様に鑑みると,需要者が容易に視認し得るものである。
また,本件意匠の具体的構成態様(I3)と被告意匠の具体的構成態様(i3)は,本件意匠の要部に含まれるプレートの平面から正面へと繋がる角に関するものであり,そ
の使用態様に鑑みると,意匠に係る物品(データ記憶機)を縦置き・横置きいずれとした場合を問わず,需要者が容易に視認し,その注意を惹かれる部分である。したがって,これらの構成態様が共通していることは,本件意匠の要部に係る構成態様が共通していることにより生じる両意匠の印象の共通性を一層強めるものといえる。


本件意匠と被告意匠の差異点について
(ア)本件意匠の具体的構成態様(D3)及び(E3)と被告意匠の具体的構成態様
(d3)及び(e3)
本件意匠の具体的構成態様(D3)及び(E3)と被告意匠の具体的構成態様(d3)及び(e3)とは,いずれも意匠に係る物品(データ記憶機)の正面に設けられた構成である上,本件意匠の要部に含まれるプレートにおける構成であることから,需要者の注意を惹き,その視覚を通じた美感の形成に寄与する部分ではある。しかし,本件意匠の具体的構成態様(D3)と被告意匠の具体的構成態様(d3)に係る差異点については,プレートの末端である正面下端から底面へと繋がる角周辺の形態であるにすぎず,また,本件意匠の具体的構成態様(D3)における湾曲の程度等も,面取りがされている程度の印象しか需要者に与えず,特徴的なものではない。この
ため,この差異点は,データ記憶機を縦置きした場合はもとより,横置きの場合も,本件意匠と被告意匠とで異なる印象を需要者に与えるほどの差異とはいえない。また,本件意匠の具体的構成態様(E3)と被告意匠の具体的構成態様(e3)に係る差異点については,前記((5)オ)のとおり,本件意匠の開口部及び縦筋が設けられた位置は正面下端側であり,位置的にも大きさの点でも,必ずしも目立つものではない。
このため,この差異点は,上記と同じく,縦置き・横置きいずれの場合を問わず,本件意匠と被告意匠とで異なる印象を需要者に与えるほどの差異とはいえない。ともに正面の下端側に存在するこれらの差異点を合わせて考慮したとしても,なお同様である。
これに対し,被告は,本件意匠の具体的構成態様(E3)の開口部及び縦筋は需要者
の注意を惹くなどと主張する。しかし,前記((5)オ)のとおり,需要者がこれに着目する度合いは限定的であり,この構成態様に係る差異点をもって,意匠全体の印象に与える影響が大きいとはいえない。この点に関する被告の主張は採用できない。(イ)本件意匠の具体的構成態様(F3)と被告意匠の具体的構成態様(f3)本件意匠の具体的構成態様(F3)は,意匠に係る物品(データ記憶機)の平
面に設けられた構成であるものの,横筋が設けられている位置は背面に近い側すなわち正面から見た場合の後方側である上に,強い印象を与えるほどの太さもない1
本の直線的な筋にすぎず,特徴的な形状でもない。
このため,本件意匠の具体的構成態様(F3)と被告意匠の具体的構成態様(f3)に係る差異点は,需要者の注意を惹く程度は低く,意匠全体の印象に与える影響は強くない。
(ウ)本件意匠の具体的構成態様(G3)と被告意匠の具体的構成態様(g3)被告意匠の具体的構成態様(g3)においては,斜線状の筋は本体側面の全面に渡って平行に設けられており,需要者の注意を惹き,その視覚を通じた美感の形成に寄与する部分ではある。
もっとも,上記斜線状の筋の一つ一つは細く,多数が規則的に平行に設けられて
おり,当該構成態様の部分を含め被告製品全体が一色で統一されていることとも相まって,強く需要者の注意を惹く形状とまではいえない。
また,当該部分は,正面視及び平面視によっては視認し得ないし,縦置きされた被告製品の平面及び正面を左右の斜め方向から視認した場合,斜線状の筋の細さもあって,視角が小さくなるにつれ視認し難くなるものと思われる。他方,被告製品
が横置きされた場合は,縦置きの場合と比較して当該部分を視認しやすくなるけれども,前記((5)イ)のとおり,この場合の需要者の注意を惹く程度については,縦置きの場合に比してやや低く評価するのが相当である。
そうすると,本件意匠の具体的構成態様(G3)と被告意匠の具体的構成態様(g3)に係る差異点は,なお,意匠全体の印象に与える影響は強くないといえる。
これに対し,被告は,被告意匠の側面につき,ざらざらとした印象を与える,光の反射状態が変化するなどと主張する。しかし,仮にこうした被告の主張を前提としても,このような質感等の差異を生じる場合は限られており,なお意匠全体の印象に与える影響は限定的なものにとどまる。そうである以上,この点に関する被告の主張は採用できない。

(エ)本件意匠の具体的構成態様(J3)と被告意匠の具体的構成態様(j3)被告意匠の具体的構成態様(j3)における通気口は,その形状自体は何ら特徴
的なものではなく,また,溝部に設けられているがゆえに,意匠全体の中ではむしろ目立たない場所に敢えて配置されているものと見られる。実際,正面視及び平面視によってはこれを視認し得ない。本体側面を真横から側面視した場合は視認し得るものの,縦置きの場合,正面の左右方向斜めからは,視角が小さくなるにつれ視認し難くなり,更に斜め上方に視点が移るにつれて,視認し難さは徐々に増すものと思われる。他方,横置きの場合,正面の斜め上方に視角が大きくなるにつれて視認しやすさが増すと思われるものの,そこから左右方向に視点が移るにつれて視認し難さが増すことになる。また,前記(ウ)のとおり,横置きの場合,縦置きの場合に比して,需要者の注意を惹く程度についてやや低く評価するのが相当である。
以上より,本件意匠の具体的構成態様(J3)と被告意匠の具体的構成態様(j3)に係る差異点は,意匠全体の印象に与える影響は強くないといえる。
(オ)本件意匠の具体的構成態様(K3)と被告意匠の具体的構成態様(k3)被告意匠の具体的構成態様(k3)における通気口は,その形状自体は何ら特徴的なものではなく,また,斜線状の筋に沿って形成されているために,意匠全体
の中ではむしろ目立たないことを意図して当該部分に配置されているものと見られる。そもそも,上記通気口が形成されている斜線状の筋に係る構成態様(g3)自体,前記(ウ)のとおり,強く需要者の注意を惹く形状とまではいえないことも踏まえると,本件意匠の具体的構成態様(K3)と被告意匠の具体的構成態様(k3)に係る差異点も,意匠全体の印象に与える影響は弱いといえる。

これに対し,被告は,本件意匠の具体的構成態様(J3)と被告意匠の具体的構成態様(j3)に係る差異点をも含め,データ記憶機の温度上昇の抑制に関心を示す需要者は通気口に関心を示すなどと主張する。しかし,前記((5)オ)のとおり,需要者が通気口に関心を持つことはあるとしても,その程度は購入及び使用に当たり考慮すべき要素の一つとして関心を持つことがあり得るという程度にとどまると考えられるこ
とから,この点に関する被告の主張は採用できない。
(カ)本件意匠の具体的構成態様(L3)と被告意匠の具体的構成態様(l3)
本件意匠の具体的構成態様(L3)と異なり,被告意匠においては,具体的構成態様(l3)として,背面及び底面にプレートが形成されており,これらのプレートと本体との間に溝部が設けられている。もっとも,前記((5)イ)のとおり,縦置き・横置きを問わず背面及び底面を視認する機会は需要者にとって必ずしも多くなく,視認した場合もさほど強く注意を惹かれないと思われる。
また,平面及び正面のプレートと異なり,背面及び底面に形成されているプレートは,いずれも向かい合う本体側面の辺に沿って配置されており,その辺との間に形成される溝部の幅の狭さと相まって,左右側面から視認する場合を除き,被告意匠を視認する者において本体や溝部とは必ずしも明瞭に区別して把握されるものと
はいえない。
したがって,本件意匠の具体的構成態様(L3)と被告意匠の具体的構成態様(l3)に係る差異点も,意匠全体の印象に与える影響は弱いというべきである。エ
以上の事情を総合的に考慮すると,本件意匠と被告意匠と差異点は,そ
れ自体も,また,これらを組み合わせたとしても,そのもたらす印象をもって共通点がもたらす印象を凌駕するということはできない。
したがって,本件意匠と被告意匠とは,需要者の視覚を通じて起こさせる美感によれば,類似するというべきである。
これに対し,被告は縷々主張するけれども,上記個別に言及したもの以外も含め,いずれも採用できない。

(7)小括
以上より,被告による被告製品の製造,販売等の行為は,本件意匠権を侵害するものといえる。そうである以上,原告による被告製品の製造,販売等の差止請求及び被告製品の廃棄請求は,いずれも認められる(なお,被告が被告製品の販売を既に中止しているとしても,本件における被告の応訴態度に鑑みると,依然として
被告による本件意匠権侵害のおそれは認められる。)。
なお,被告は,本件意匠権に基づく原告の被告製品の販売等差止請求につき,権
利の濫用に当たるとも主張するけれども,以上によれば,その主張を採用する余地はない。
2争点2(被告製品のケースの製造,販売による侵害の成否)について(1)直接侵害の成否
原告は,被告による被告製品のケースの製造,譲渡は本件意匠権の直接侵害に当たると主張する。
しかし,本件意匠権は,意匠に係る物品をデータ記憶機とするものであるところ,被告製品のケースはデータ記憶機のケースにすぎないから,データ記憶機と同一又は類似する物品と認めることはできない。

したがって,この点に関する原告の主張は採用できない。
(2)間接侵害の成否
被告製品のケースが被告製品の製造にのみ用いられるものであること及び被告がこれを製造,販売したことは,当事者間に争いがない。
また,前記1によれば,このケースを用いて製造される物(被告製品)の意匠で
ある被告意匠は,本件意匠と類似する。
したがって,被告による被告製品のケースの製造,譲渡については,本件意匠権の間接侵害(意匠法38条1号)が成立する。
3争点3(原告の損害の有無及び額)について
便宜上,まず意匠法39条2項に基づく損害について論ずる。

(1)意匠法39条2項に基づく損害について

被告製品の売上額
(ア)意匠法39条2項所定の侵害行為により侵害者が受けた利益の額は,侵
害者の侵害品の売上高から,侵害者において侵害品を製造,販売することによりその製造,販売に直接関連して追加的に必要となった経費を控除した限界利益の額であり,その主張立証責任は意匠権者側にあるものと解される。
(イ)被告が平成29年6月~令和元年6月の間に被告製品を5万2708台
販売したことは,当事者間に争いがない。
また,証拠(乙15)及び弁論の全趣旨によれば,上記期間における被告製品の合計売上額(税抜)は,合計4億5514万1899円と認められる(内訳は別紙損害一覧表(裁判所の認定)の売上額(税抜)欄のとおり)。
この点,被告は,上記期間における被告製品の合計売上額につき,乙15の1の売単価欄記載の額の合計額であると主張する。
しかし,売単価欄は,その名称から,売却単価を記載したものと理解される。子細に見ても,型番及びJANコードを同じくする製品で,受注数欄記載の受注数が異なるものであっても,売単価欄記載の額は原則として同一である。すな
わち,例えば,型番及びJANコードが同一の伝票番号167017及び167018の各製品を見ると,受注数は前者が1個,後者が2個とされているが,売単価欄記載の額はいずれも8800円とされている(受注数が1個の場合と5個の場合でも,同様に売単価欄記載の額が同額という例もある。伝票番号374934及び374935)。同一型番の製品であっても,伝票番号168810(2万6900円)と169855(2万85
00円)のように,売単価欄記載の額が異なる例はあるものの,2倍以上の開きがある例は見当たらない。
そうすると,乙15の1の売単価欄記載の額は,売却単価を意味するにとどまるものと理解されるのであって,その合計額をもって被告製品の合計売上額と見ることに合理性はない。すなわち,売単価欄記載の額に受注数欄記載の受
注数を乗じた額をもって売上額と理解すべきである。この点に関する被告の主張は採用できない。
(ウ)また,消費税法基本通達5-2-5(例えば,次に掲げる損害賠償金のように,その実質が資産の譲渡等の対価に該当すると認められるものは資産の譲渡等の対価に該当することに留意する。…(2)無体財産権の侵害を受けた場合に加害者から当該無体財産権の権利者が収受する損害賠償金)に鑑みると,意匠法39条2項の利益の額は,消費税(8%。以下同じ)込の売上額をもとに算定すべ
きである。これに反する被告の主張は採用できない。

被告製品に係る経費の額
(ア)被告製品の製造原価(仕入額)
証拠(乙15)及び弁論の全趣旨によれば,被告製品の仕入額は,売上額
の算定の場合と同様に,乙15の1の実原価欄記載の額に受注数欄記載の受注数を乗じたものの合計4億1013万5936円(税抜)と認められる。また,これに消費税を加算することとなる。これに反する被告の主張は採用できない。(イ)被告主張の販売手数料等
被告は,利益の額(意匠法39条2項)算定に当たり控除すべき経費
として,さらに,販売手数料(乙15の1の販売手数料欄記載のもの)を主張する。
しかし,乙15の1の販売手数料欄記載の額は,いずれも売単価欄記載の額の9%程度と見られ,そのような計算方法によること自体,これをもって被告製品の製造,販売に直接関連して追加的に必要になった費用とは考え難いことをう
かがわせる。また,被告が販売手数料の内訳として挙げるものは,システム利用料,出店料,成約手数料,ポイント付与原資,オプション料,広告掲載料,支払システム利用料,広告宣伝メール配信手数料,保険料,口座決済手数料,ポイント費用,代金引換回収費用,月額登録料,カスタマーサポート費用,クレジットカード決済店舗管理費用,トランザクション従量課金費用,キャッシュバックキャンペ
ーン費用,クーポン広告料,クリック単位課金費用等であるところ,証拠(乙22~33)を子細に見ると,定額のもの(例えば,乙23のプラン共通_楽天ペイ利用料,プラン共通_商品一括登録サービス等,乙28の1の請求書の固定費用欄記載の各項目,乙31の出店料,乙33のGOODA情報掲載)が見受けられる。額が変動しているものも,一部に,商品カテゴリのレベル
で売上と手数料率が示されているものがあるものの(乙31),これも含め,被告製品との具体的な関係は証拠上全く不明というほかない。そうである以上,これら
の費用は,いずれも,被告製品の販売に直接関連して追加的に必要となったものとはいえない。
したがって,被告主張に係る販売手数料を利益の額算定に当たって控除すべき経費とすることはできない。この点に関する被告の主張は採用できない。ウ
被告製品についての小計

以上より,被告製品に係る利益の額(税込)は4860万6441円と認められる。

被告製品のケースの売上額

被告製品のケースの販売数量が5万2708個であること,その売却単価が0.801米ドルであることは,当事者間に争いがない。
また,乙38によれば,上記売却単価は税抜価格であると認められるところ,前記ア(ウ)のとおり,利益の額算定に当たっては,消費税込の売上額をもとにすべきである。
為替レートについては,原告は1米ドル=109.61円(令和元年12月13
日のレート)を,被告は108.57円(令和元年11月20日のレート)をそれぞれ主張するところ,被告製品の販売期間の始期(平成29年6月1日)のレートが1米ドル=110.97円,終期(令和元年6月7日)のレートが同108.52円であること(裁判所に顕著な事実)をも踏まえると,原告主張に係る1米ドル=109.61円に基づいて計算するのが相当である。

これによると,被告製品のケースの売上額(税抜)は合計462万7636円となり,これに消費税額を加算することとなる。
$0.801/個*52,708個*―109.61/$=―4,627,636オ
被告製品のケースに係る経費の額

利益の額(意匠法39条2項)の算定に当たり,被告製品のケースの売上額からその仕入額を控除すべきこと,その1個当たりの仕入額が0.8米ドルであることは,当事者間に争いがない。

為替レートについては,当該ケースに係るものとして平成29年5月24日付け~平成31年4月12日付け請求書が提出されていること(乙37)などに鑑みると,売上額と同じく1米ドル=109.61円に基づいて計算するのが相当である。そうすると,被告製品のケースの仕入額(原価)は合計462万1859円と認められる。
$0.8/個*52,708個*¥109.61/$=―4,621,859カ
被告製品のケースについての小計

以上より,被告製品のケースに係る利益の額は37万5987円と認められる。

推定覆滅事由の有無等
(ア)利益の額(意匠法39条2項)とは,原則として,侵害者が得た利
益全額であり,これについて損害の額として推定が及ぶものの,侵害者の側で,侵害者が得た利益の一部又は全部について,意匠権者が受けた損害との相当因果関係が欠けることを主張立証した場合には,その限度で上記推定は覆滅されるものと解される。推定を覆滅させる事情としては,侵害者が得た利益と意匠権者が受けた損害との相当因果関係を阻害する事情,例えば,意匠権者と侵害者の業務態様等の相違(市場の非同一性),市場における競合品の存在,侵害者の営業努力(ブランド力,宣伝広告),侵害品の性能(機能,性能等意匠以外の特徴)等が挙げられる。以下では,このような観点から,推定覆滅の有無及び程度について検討する。
(イ)後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。a
被告製品のパッケージ等

被告製品1(甲22の1,乙16の8,17の1),3(甲22の3)及び4(甲22の4)の各パッケージは,販売会社名,ハードディスク容量等の記載が一部異なるものの,基本的には同一内容の記載がされている。具体的には,右側面(面の特定は甲22に従う。本項において以下同じ。)には,右下に①製品を縦置きした画像が掲載されるとともに,その上部に,テレビ番組録画対応パソコンデータ保存との記載並びに当該製品のハードディスク容量及び録画可能時間の目安を記載したシールが貼付されているものもある。同じく右側面の左側には,上から順に,②対応するOS及びUSB規格等,③大きな字でのつなぐだけで使える/テレビ録画/PCデータ保存(なお,/は改行を意味する。以下同じ。)との説明,④テレビ番組録画機能が対応しているテレビのメーカー及びブランド名が記載されている。他方,左側面には,①の画像が右下に掲載されるとともに,その上部に被告製品のエアフロー設計に関する説明及び製品の画像が置かれている。これらの左側には,上から順に,②と同旨の記載,⑤大きな文字での③と同旨の説明,⑥USB3.0転送速度がUSB2.0の約10倍との説明等が記載されている。さら
に,パッケージの正面には上から順に⑤,①,④が,背面には⑤,①,⑥が,それぞれ記載等されている。
また,被告製品2のパッケージ(甲22の2)の右側面には,右下に①と同様の画像が掲載され,その上部に当該製品のハードディスク容量に関する記載等がある。同じ面の左側には,上から順に,TV録画/PCデータ保存,USB3.0との記
載及び転送速度の速さをUSB2.0と比較したグラフ,テレビ番組録画機能の対応機種及び対応OSが記載されている。さらに,当該記載と製品画像の間に,4K2K対応との記載がある。さらに,被告製品1を紹介する被告のウェブサイトの製品情報(甲5)には,上段左側に③及び②の記載があり,その右側に①と同様の画像が掲載されている。中段には,上から順に,対応OS,対応ゲーム機等の機種名等が記載されると共に,具体的な説明として,USB3.0/UASPモード対応により高速なデータ転送が可能であること,幅広いTV接続に対応,スタンドレス,背面LEDなどTV録画に最適な設計としてスタンドをなくしたことで縦置き・横置きいずれにも対応できることなどが記載されている(甲5)。

被告製品2の紹介ページ(甲7)には,販売価格と共に①と同様の画像が上段に掲載されているほか,商品説明欄につなぐだけで使えるテレビ録画,PCデータ保存,USB3.0接続で高速転送,PC環境連動機能搭載,独自のエアフロー設計を採用と記載されている。被告製品3の紹介ページ(甲10)には,上段に大きく,外付けハードディスクドライブをお手頃価格で/つなぐだけで使えるテレビ録画PCデータ保存,
500GB~6TB/5,450円~,USB3.0/対応,UASPモード/対応といった説明と共に①と同様の画像が掲載されている。その下部には,上から順に,やや大きくPC専門店アプライドだからできる/オリジナルの激安外付けHDDとの記載,それより小さいフォントでUSB3.0接続で高速転送,PC環境連動機能搭載,独自のエアフロー設計を採用との各記載がされ,さらにその下には製
品パッケージの左右側面の画像が置かれている。
被告製品4の紹介ページ(甲15)には,上段左側に①と同様の画像が掲載されると共に,右側には,製品名のほか,500GBUSB3.0/USB2.0PC・家電対応,つなぐだけで使える!テレビ番組の録画のPCデータの保存もといった記載及び販売価格が記載されている。
b
原告製品のパッケージ等

本件意匠の実施品である原告製品(HD-LBU2シリーズ)のパッケージ(甲21の1)には,以下の記載等がある(面の特定は甲21の1に従う。本項において以下同じ。なお,甲21の2,21の3についても,甲21の1に対応させて特定する。)。すなわち,右側面には,右側に縦置きした製品の画像が掲載されるとともに,その画像に重なる円形部分にLG/録画機能対応,画像上部にUSB,下部に対応OSの記載がそれぞれ置かれている。右側面左側には,上から順に,タテヨコ自由自在!!との記載,原告製品を縦置き・横置きした場合のイメージ画像
とともに縦・横両用タイプ及びエアフロー/ファンレス設計(ここでの/は改行を意味しない。)との記載,最下部左側に①ハードディスク容量等,右側に②動作確認済みの家電製品名の記載がされている。他方,左側面には比較的詳細な製品説明が記載されており,タテ置き・ヨコ置き自由自在,省エネルギーで環境と家計にやさしい,データを安全に保存!!各種ソフトウェア満載「BuffaloTools添付」といった項目が設けられている。さらに,正面には,上から順に,USBとの記載,タテヨコ自由自在!!との記載,縦置きした製品の
画像,ハードディスク容量の記載が置かれている。平面には,中央部にUSB2.0&USB1.1,右側にUSB,タテ置き・ヨコ置き両対応,BuffaloTools等の記載がある。他の原告製品(HD-LBFU2シリーズ)のパッケージ(甲21の2)の右側面には,右側に製品の画像が掲載され,その上側には③テレビ&パソコン対応/外付ハードディスク,④USB2.0との記載が,その下側円形部分にはたくさんあるファイルの仕分けにファイル整理の達人!!等の記載がある。右側面左側には,⑤
どちらも使える!!,テレビ/各メーカーのテレビに対応,パソコン/便利なユーティリティー満載等の記載及び①と同様の記載がある。他方,左側面には比較的詳細な製品説明が記載されており,置き方・せつぞく自由自在!!,
ecoマネージャーで消費電力を約1/3に!!,さまざまなファイルの整理を効率的に,ハードディスクの振動を抑える防振設計,各種ソフトウェア満載「BuffaloTools添付」といった項目が設けられている。正面には,上から順に③,④の各記載,横置きの製品の画像,⑤の記載,テレビパソコンの記載及びハ
ードディスク容量の記載がある。平面には,左から順に,③の記載,製品の画像,④の記載等がある。
他の原告製品(HD-LBU3シリーズ)のパッケージ(甲21の3)の右側面右側には,上から順に,⑥USB3.0&2.0対応/外付ハードディスクとの記載,⑦USB3.0/2.0との記載,縦置きの製品の画像,この画像下部に重なる位置に⑧省電力との記載及び対応OSの記載がある。他方,左側には,上から順に,⑨USB2.0接続比/約4.2倍高速転送との記載,横置きの製品の画像,縦置き・横置き両対応との記載及び縦置き・横置きの製品イメージ画像,最下部左側に①と同様の記載,右側に②と同様の記載がある。他方,左側面には比較的詳細な製品
説明が記載されており,USB3.0×「BuffaloToolsで高速転送」,スーパーeco機能で環境と家計にやさしい,ハードディスクの振動を抑える防振設計,タテ置き・ヨコ置き自由自在,便利なソフトウェア満載といった項目が設けられている。正面には,上から順に,⑥,⑦の各記載,製品の画像,⑨の記載があり,その下部左側に⑧の記載,右側に①と同様の記載がある。平面には,中央部分に⑥の記載があり,右側には上から順にBuffaloTools,スーパーeco機能搭載,タテ置き・ヨコ置き両対応の記載等がある。
他の原告製品(HD-LXU3Dシリーズ)のパッケージ(乙17の1)の右側面右側には,上から順に,ハードディスク容量の記載,縦置きした製品の画像,信頼の日本製との記載がある。右側面左側には,上から順に,大きな文字で自動暗号化モード/情報漏えいを強固に防ぐとの記載,それよりも小さな文字で米国政府も採用する/暗号化技術を採用との記載,USB3.0,転送速度USB2.0の約10倍などとの記載がある。原告製品を紹介するウェブページやカタログのうち,まず,HD-LXU3Dシリーズ
の紹介ページ(甲3の1)では,最上段に自動暗号化モードでセキュリティに強い/冷却ファン+エアフロー設計/&防振設計のUSB3.0モデルとの記載が,縦置きされた製品の画像と共に置かれている。その下部の機能紹介部分では,順に,故障予測サービスへの対応,自動暗号化モードの搭載,ハードディスクを長持ちさせるための冷却ファンの装備,ファイル転送効率化ソフトウェアの搭載,省エネ機能,
タテ置き・ヨコ置き両対応であることなどが記載されている。当該シリーズに関する別のウェブページ(乙35)にも,製品の特長として,上記機能紹介部分と同様の機能紹介がされている。
HDX-LSU2/Vシリーズの紹介ページには,最上段に大きな文字で静音+省エネ,長時間録画対応ハードディスク/大容量外付けタイプ等の記載が,縦
置きされた製品の画像と共に置かれている。その下部の機能紹介部分では,順に,ハイビジョン録画で最大約720時間の録画が可能,スーパーecoで環境と家計にやさしい,かんたん接続マニュアル添付,

置き方が選べる。タテ置き・ヨコ置き両対応

などと記載されている(甲3の2)。HDX-LSU2/VCシリーズの紹介ページ(乙10)には,最上段に大きな文字でキレイな画質で長時間録画/コレ1台で4台分の番組が/録画可能との記載が,横置きされた製品の画像と共に置かれている。その下部の機能紹介部分では,順に,ハイビジョン録画で最大約720時間の録画が可能,スーパーecoで環境と家計にやさしいとの記載があるほか,製品を縦置き・横置きしたイメージ画像と共に

置き方が選べる。タテ置き・ヨコ置き両対応

との記載があるとともに,横置きした場合の厚みが指2本分であることが示されている。更にその下部には,
エアフロー設計でしっかり放熱との記載が,製品を縦置き・横置きした場合の給排気方向を示すイメージ図と共に置かれ,続いて,ファンレス設計でしっかり静音,ハードディスクの振動を抑える防振設計とも記載されている。原告製品(HD-LXU3Dシリーズ)のカタログ(乙20)には,自動暗号化でセキュリティに強い,HDDを長持ちさせる冷却用のファンを標準装備との記載
がある。
c
家電量販店でのデータ記憶機の陳列状況について

証拠(乙16の1~16の7,18の1)及び弁論の全趣旨によれば,家電量販店で原告製品や被告製品を含むHDD製品が販売される際には,製品サンプルが置かれると共に,パッケージについては,顧客からパッケージの右側面(前記a,bでの特定に従う。)が明確に見えるように陳列される例が多いことがうかがわれ,また,HDDは『ギガ』単価で選ぶ!との宣伝文句が付されることがあることが認められる。
(ウ)検討
a
まず,前記1のとおり,本件意匠は,意匠登録出願前の公知意匠に
はない特徴的な構成態様(基本的構成態様(A3)~(C3))をその要部として有するものであり,相応な程度の顧客吸引力を有するといってよい。このことは,本件意匠
の実施品である原告製品がグッドデザイン賞を受賞し,造形的には,シンプルであるが一つのコーナーを大きなアールとすることで,このシリーズの特徴となり,バランスのよいデザインとしてまとまっている。また,同社の他のシリーズとのアイデンティを感じさせるデザインである。と評価されていること(乙11)からもうかがわれる。また,前記((イ)a,b)のとおり,被告製品及び原告製品のパッケージ等には,製品自体の画像が掲載されており,これに接した需要者は,自ずと本件意匠の要部に相当する製品の正面及び平面を形成するプレートに着目することになると推察される。
そうである以上,本件意匠は,具体的な製品イメージの形成に直接関わるもので
あり,被告製品の売上に相応に貢献していると見るのが相当である。もっとも,原告製品及び被告製品が属する商品カテゴリであるデータ記憶機(HDD製品)においては,需要者がこれを購入するに当たり,意匠のみならずその機能面,具体的には,用途との関連におけるデータ容量,接続予定の機器との接続可能性,データ転送速度,耐久性や静音性等も,重要な商品選択の要因となる(乙
41~43参照)。このことは,前記((イ)a及びb)認定に係る被告製品や原告製品のパッケージ等の記載内容からもうかがわれ,むしろ,機能面での特徴がこれらの宣伝媒体における中心的な内容となっているといえる。顧客の商品レビュー(甲7,23,乙18の2,18の3)の内容を見ても,製品のデザイン性に言及するものもあるものの,機能に言及するものの方が相当多い。こうした事情に鑑みると,
需要者は,HDDの購入に際し,デザイン性と機能とでは,第一次的には機能を,第二次的にデザイン性を考慮するものと見るのが適当である。
もとより,販売価格も重要な商品選択の要因であることには多言を要しないところ,需要者は,製品購入に当たり,当然,販売価格と自己の求める機能及びデザイン性とのバランスを考慮することとなる。

したがって,被告製品の需要者は,第一次的には製品の機能を,第二次的にデザイン性を,販売価格をも考慮に入れつつ評価し,その購入動機を形成するものと考
えられる。そうすると,被告製品やそのケースに係る被告の利益の全てが,本件意匠と類似する意匠である被告意匠に起因するものということはできない。すなわち,上記事情は,侵害者である被告が得た利益と意匠権者である原告が受けた損害との相当因果関係を阻害する事情として,相当程度考慮すべきである。これに反する原告の主張は採用できない。
b
これに対し,被告は,原告製品と被告製品とでは美感及び印象が全
く異なり,代替可能性がないと主張する。
しかし,前記1のとおり,本件意匠と被告意匠とは類似するものであり,需要者にとって美感及び印象が全く異なるということはできないから,この主張はそもそも前提を欠く。なお,被告は,被告製品には,原告製品と異なり白色のものもあることを指摘するけれども,複数色で商品展開していることの販売実績への影響は具体的に明らかでない。その点を措くとしても,前記のとおり,商品選択におけるデザイン性の考慮は第二次的なものと位置付けられることに鑑みると,仮に影響があるとしても,その程度は限定的なものにとどまると思われる。

また,被告は,競合品ないし代替品となる同種のデータ記憶機が数多く販売されていることを指摘する。
もとより,前記のとおり,第一次的には製品の機能が購入動機の形成要因となることを考えると,機能面で原告製品及び被告製品と競合する他社のHDD製品が市場に存在することは,被告製品の販売がなくなった場合に,必ずしもその売上に相当
する需要の全てが原告製品に向かうものではないことを意味する。そうである以上,この点は推定覆滅事由として考慮する必要がある。もっとも,証拠(乙19)及び弁論の全趣旨によれば,令和元年5月のベンダー販売実績において,原告は34社中1位(販売数量シェア40.76%,販売金額シェア41.03%,平均単価1万0417円)であるのに対し,被告は11位(販売数量シェア0.66%,販売
金額シェア0.62%,平均単価9841円)とされる。これを踏まえると,被告製品に対する需要は,その販売がなくなった場合,むしろ相当程度原告製品に向か
うものと考えるのが適当である。
さらに,被告は,原告製品のうちHD-LXU3Dシリーズについて,その自動暗号化機能の点で被告製品と需要者が異なると指摘する。しかし,当該機能は,HDDであることを前提としたいわば付加的な機能にすぎないから,当該機能の存在ゆえに需要者を異にするということはおよそできない。
c
以上の事情を総合的に考慮すると,本件では,被告製品とそのケー
スに係る被告の利益について,7割の限度で意匠法39条2項による推定が覆滅されるとするのが相当である。これに反する原告及び被告の各主張はいずれも採用できない。

意匠法39条2項及び3項に基づく原告の損害額

以上によれば,意匠法39条2項に基づく原告の損害額は,1469万4717円と認められる(詳細は別紙損害一覧表(裁判所の認定)参照。以下同じ。)。
他方,推定覆滅に係る部分については,同条2項に基づく推定が覆滅されるとはいえ無許諾で実施されたことに違いはない以上,同条3項が適用されると解するのが相当である。後記((2)イ(エ))のとおり,実施料率は5%として算定すべきと考えられることから,当該覆滅部分につき,意匠の実施に対し原告が受けるべき金銭の額(税込)は1737万9277円となる。そうすると,両者を合わせた額は,合計3207万3994円となる。

(2)意匠法39条3項に基づく損害について

被告製品の売上額

前記((1)ア)のとおり,被告製品の売上額(税抜)は4億5514万1899円であり,これに消費税を加算すると4億9155万3250円となる。なお,意匠権実施許諾契約に基づき支払われる実施料も資産の譲渡等の対価に当たることを踏まえると,意匠法39条3項に基づく損害の額の算定に当たっても,消費税を加算して算定するのが相当である。


実施に対し受けるべき金銭の額
(ア)意匠法39条3項の実施に対し受けるべき料率は,当該意匠の実際の実
施許諾契約における実施料率や,それが明らかでない場合には業界における実施料の相場等も考慮に入れつつ,当該意匠自体の価値,当該意匠を当該製品に用いた場合の売上及び利益への貢献や侵害の態様,意匠権者と侵害者との競業関係や意匠権者の営業方針等訴訟に現れた諸事情を総合的に考慮して,合理的な料率を定めるべきである。また,その際,必ずしも当該意匠権についての実施許諾契約における実施料率に基づかなければならない必然性はなく,意匠権侵害をした者に対して事後的に定められるべき,実施に対し受けるべき料率は,むしろ,通常の実施料率に比
べて自ずと高額になるであろうことを考慮すべきである。
(イ)本件意匠に係る実施許諾契約が締結されたことを認めるに足りる証拠はない。
また,証拠(乙45)及び弁論の全趣旨によれば,特許権の技術分類を器械とする項目(対象となる製品・技術例には情報記憶が含まれている。)のロイヤルティ料率アンケート調査結果として,特許の場合のロイヤルティ料率(全体の件数は64件)は,料率4~5%未満及び2~3%未満がそれぞれ23.4%と最も多く,料率3~4%未満が18.8%,料率1~2%未満が14.1%などとなっている。平均値は約3.5%,中央値は約3.3%程度と見られる。意匠権と組み合わせた場合のロイヤルティ料率(全体の件数は25件)は,料率1~2%
未満,2~3%未満,4~5%未満がそれぞれ6社と最も多く,料率3~4%未満が3社,5~6%が2社,~1%未満,6~7%未満がそれぞれ1社であり,平均値は約3.1%,中央値は約2.9%程度と見られる。
(ウ)前記((1)キ(ウ)a)のとおり,被告製品の需要者は,第一次的には製品の機能を,第二次的にデザイン性を,販売価格をも考慮に入れつつ評価し,その購
入動機を形成するものと見られることから,本件意匠ないしこれに類似する被告意匠を用いた場合の売上及び利益への貢献の程度についても,これを踏まえて考察す
る必要がある。他方,原告製品と被告製品はいずれもHDD製品であり,原告と被告とは直接的な競業関係にあるから,仮に原告が被告に対し本件意匠に係る実施許諾契約を締結するならば,その実施料率は高めに設定されるのが通常と思われる。(エ)実施に対し受けるべき料率
上記(イ)及び(ウ)の事情に加え,意匠権侵害に基づく損害賠償請求の場面での仮想実施料率の考察であることを総合的に考慮すると,本件において,意匠権侵害をした者に対して事後的に定められるべき,実施に対し受けるべき料率は5%を下らないというべきである。
(オ)被告の主張について

被告は,被告製品は原告製品を模倣したものではなく,これらが混同されるものでもないこと,原告製品と異なり開口部を備えないことを指摘して,損害の発生はなく,仮に発生したとしても1%を上回らないなどと主張する。しかし,開口部の有無が本件意匠と被告意匠の差異点であることを踏まえても,本件意匠と被告意匠が類似すること(前記1)に鑑みれば,損害が発生していない
ということはできず,また,開口部の有無という差異をもって,実施に対し受けるべき料率を低く見るべき事情になるともいえない。
したがって,この点に関する被告の主張は採用できない。
(カ)意匠法39条3項に基づく原告の損害額
以上によれば,意匠法39条3項に基づき原告が請求し得る受けるべき金銭の額に相当する額すなわち損害額は,2457万7662円と認められる。―491,553,250*0.05=―24,577,662
(3)小括
以上によれば,意匠法39条3項に基づく場合に比して,同条2項に基づく場合(推定覆滅部分につき同条3項を適用した分を含む。)に算定される損害額が高
額となることから,本件においては,3207万3994円をもって原告の損害(逸失利益)と認めるのが相当である。

また,原告は,弁護士及び弁理士に委任して本件訴訟を提起し,追行してきたところ,被告の意匠権侵害の不法行為と相当因果関係のある弁護士・弁理士費用相当損害額は,320万7388円(各月の原告の逸失利益額の1割)と認めるのが相当である。
そうすると,原告の損害額は合計3528万1382円となる(内訳は別紙損害一覧表(裁判所の認定)の原告の損害額欄のとおり)。さらに,遅延損害金の起算日については,原告主張のとおり,月ごとに起算することが相当である。そうすると,遅延損害金の起算日は,別紙損害一覧表(裁判所の認定)の原告の損害額欄記載の各金額につき,これに対応する同起算日欄記載の各日となる。4まとめ
以上より,原告の請求は,主文の限度で理由があるから,その限度で認容し,その余の請求は理由がないから,これを棄却することとする。なお,主文第1項及び第2項については,仮執行の宣言を付すのは相当でないから,これを付さないこと
とする。
大阪地方裁判所第26民事部

裁判長裁判官

杉浦正樹
裁判官野上誠一及び同大門宏一郎は,異動のため署名押印することができない。裁判長裁判官

杉浦正樹

物件目録

1
SHELTER3.5インチ外付け用HDD(third)シリーズのデータ記憶機のうち、以下の型番の製品
1-1

MAL3250EX3-BK

1-2

MAL3320EX3-BK

1-3

MAL3500EX3-BK

1-4

MAL3640EX3-BK

1-5

MAL3750EX3-BK

1-6

MAL31000EX3-BK

1-7

MAL31500EX3-BK

1-8

MAL32000EX3-BK

1-9

MAL33000EX3-BK

1-10

MAL34000EX3-BK

1-11

MAL35000EX3-BK

1-12

MAL36000EX3-BK

1-13

MAL38000EX3-BK

1-14

MAL310000EX3-BK

1-15

MAL312000EX3-BK

1-16

MAL3160EX3-WH

1-17

MAL3200EX3-WH

1-18

MAL3250EX3-WH

1-19

MAL3300EX3-WH

1-20

MAL3320EX3-WH

1-21

MAL3400EX3-WH


1-22
1-23

MAL3640EX3-WH

1-24

MAL3750EX3-WH

1-25

MAL31000EX3-WH

1-26

MAL31500EX3-WH

1-27

MAL32000EX3-WH

1-28

MAL32500EX3-WH

1-29

MAL33000EX3-WH

1-30

MAL34000EX3-WH

1-31

MAL35000EX3-WH

1-32

MAL36000EX3-WH

1-33

MAL38000EX3-WH

1-34

MAL3160EX3-BK

1-35

MAL3200EX3-BK

1-36

MAL3300EX3-BK

1-37
2
MAL3500EX3-WH

MAL3400EX3-BK

ELSONICシリーズの型番をEFBHDD2TBU3とするデータ記憶機(被告が付した型番:MAL32000EX3-BK)

3
Faboxシリーズのデータ記憶機のうち、以下の型番の製品
3-1

FB3500EX3/BK-F
(被告が付した型番:MAL3500EX3-BK)

3-2

FB31000EX3/BK-F
(被告が付した型番:MAL31000EX3-BK)

3-3

FB32000EX3/BK-F
(被告が付した型番:MAL32000EX3-BK)

3-4

FB33000EX3/BK-F

(被告が付した型番:MAL33000EX3-BK)
3-5

FB34000EX3/BK-F
(被告が付した型番:MAL34000EX3-BK)

3-6

FB35000EX3/BK-F
(被告が付した型番:MAL35000EX3-BK)

3-7

FB36000EX3/BK-F
(被告が付した型番:MAL36000EX3-BK)

4
maxzenシリーズの型番をHD-FT050とするデータ記憶機(被告が付した型番:MAL3500EX3-BK)
以上
別 紙
損害一覧表(裁判所の認定)
被告製品
推定覆滅後の
推定覆滅部分に係る
意匠法39条2項に
意匠法39条3項に
基づく損害額(税込)基づく損害額(税込)

原告の逸失利益

弁護士・弁理士
相当損害額

時期

売上額(税抜)

原価(税抜)

利益(税込)

H29.6

―9,208,681

―8,295,666

―986,056

―295,816

―348,088

―643,904

―64,390

H29.7

―6,331,064

―5,695,939

―685,935

―205,780

―239,314

―445,094

―44,509

H29.8

―8,340,342

―7,510,984

―895,707

―268,712

―315,264

―583,976

―58,397

H29.9

―13,517,753

―12,177,804

―1,447,145

―434,143

―510,971

―945,114

―94,511

H29.10

―7,626,656

―6,867,769

―819,598

―245,879

―288,287

―534,166

―53,416

H29.11

―15,644,436

―14,082,302

―1,687,104

―506,131

―591,359

―1,097,490

―109,749

H29.12

―21,691,630

―19,535,247

―2,328,894

―698,668

―819,943

―1,518,611

―151,861

H30.1

―13,615,856

―12,259,011

―1,465,393

―439,617

―514,679

―954,296

―95,429

H30.2

―20,370,802

―18,355,684

―2,176,328

―652,898

―770,016

―1,422,914

―142,291

H30.3

―27,624,552

―24,905,446

―2,936,635

―880,990

―1,044,208

―1,925,198

―192,519

H30.4

―21,694,317

―19,559,388

―2,305,723

―691,716

―820,045

―1,511,761

―151,176

H30.5

―20,128,346

―18,144,709

―2,142,328

―642,698

―760,851

―1,403,549

―140,354

H30.6

―21,231,356

―19,120,826

―2,279,372

―683,811

―802,545

―1,486,356

―148,635

H30.7

―22,571,086

―20,332,641

―2,417,520

―725,256

―853,187

―1,578,443

―157,844

H30.8

―19,107,230

―17,219,313

―2,038,950

―611,685

―722,253

―1,333,938

―133,393

H30.9

―28,697,716

―25,860,820

―3,063,848

―919,154

―1,084,773

―2,003,927

―200,392

H30.10

―21,092,144

―19,005,288

―2,253,804

―676,141

―797,283

―1,473,424

―147,342

H30.11

―24,914,120

―22,447,221

―2,664,251

―799,275

―941,753

―1,741,028

―174,102

H30.12

―31,290,872

―28,203,412

―3,334,457

―1,000,337

―1,182,794

―2,183,131

―218,313

H31.1

―16,034,704

―14,449,517

―1,712,002

―513,600

―606,111

―1,119,711

―111,971

ケース
時期

売上額(税抜)

原価

利益(税込)

推定覆滅後の
意匠法39条2項に
基づく損害額

推定覆滅部分に係る
意匠法39条3項に
基づく損害額

原告の逸失利益

H29.6.1
~R1.6.13

―4,627,636

―4,621,859

―375,987

―112,796

―174,924

―287,720

被告製品及びケースの合計額
推定覆滅後の
推定覆滅部分に係る
意匠法39条2項に
意匠法39条3項に
基づく損害額
基づく損害額
―14,694,717
―17,379,277

原告の逸失利益
―32,073,994

弁護士・弁理士
相当損害額
―28,772

弁護士・弁理士
相当損害額

―3,207,388


本件意匠の図面

【平面図】

【底面図】


【正面図】

【背面図】

【左側面図】

【右側面図】

以上別紙以上
本件意匠の構成の説明図

[説明図1]

[説明図2]
湾曲部


被告製品説明書

1.被告製品1(オリジナル製品)
【正面図】

【背面図】

【平面図】

【底面図】


【右側面図】

【左側面図】

【参考斜視図】

2.被告製品2(ノジマ製品)
【正面図】

【背面図】

【平面図】

【底面図】

【右側面図】

【左側面図】

【参考斜視図】

3.被告製品3(アプライド製品)
【正面図】

【背面図】

【平面図】

【底面図】

【右側面図】

【左側面図】

【参考斜視図】

4.被告製品4(MOASTORE製品)
【正面図】

【背面図】

【平面図】

【底面図】

【右側面図】

【左側面図】

【参考斜視図】

以上別紙以上
被告意匠の構成の説明図

[説明図1]

本体

溝部

プレート

[説明図2]


原告製品説明書

【正面図】

【背面図】

【平面図】

【底面図】


【右側面図】

【左側面図】

【参考斜視図】

以上
別紙

本件意匠の構成態様
原告の主張

被告の主張

本件意匠は,略扁平直方体状のデータ記憶機であって,本
A1体,溝部及びプレート(一定の厚みの薄い1枚の板に見える
形状の部分。以下同じ。)から構成されている。
平面及び正面には,各面の全幅に渡りプレートが形成され
B1ている。また,溝部は,プレートと本体の間に設けられてい
る。

平面及び正面だけには,各面の全幅に渡りプレートが形成
B2されている。また,溝部は,プレートと本体の間に設けられている。

プレートは略全面に渡って平坦であって,プレートの平面か
ら正面へと繫がる角は,側面視円弧状に湾曲している。一
C1
方,プレートの平面から背面に繋がる角は直角に折れ曲
がっている。

基本的
構成態様

A2

プレートは略全面に渡って平坦であって,プレートの平面か
ら正面へと繫がる角は,側面視円弧状に湾曲している。一
C2方,プレートの平面から背面に繋がる角は直角に折れ曲
がっている(ただし,後者は基本的構成態様に含まれな
い。)。

基本的
構成態様

A1に同じ

A3

B3
基本的
構成態様

C3

プレートの正面側は,底面前方端にまで入り込むように形成
されている。

D2

プレートの正面側は,底面前方端にまで入り込むように形成
されており,正面下端は湾曲している。

D3

プレートの正面側の正面視における下端よりもやや上の位
E1置に開口部が設けられ,開口部の上に縦筋が設けられてい
る。

E2

E1に同じ

E3

F1プレートの平面側後方には,横筋が設けられている。

F2

F1に同じ

F3

G1本体側面に筋は設けられていない。

G2

G1に同じ

D1

具体的
構成態様

H1

幅(正面視の横幅):高さ(正面視の高さ):奥行き(側面視の
横幅)のサイズ比は,約3:9:15である。

I1

高さ全体に対して上方約15%が湾曲部として形成されてい
る。

J1

平面のプレートに沿って形成された溝部には,通気口がな
い。

K1本体側面に通気口は設けられていない。
L1

本体側面のプレートと接しない辺(底面,背面と接する辺)に
溝部は設けられていない。

G3
具体的
構成態様

H2

H1に同じ

H3

I2

I1に同じ

I3

J2

J1に同じ

J3

K2

K1に同じ

K3

具体的
構成態様

(L1に相当する構成はB2に含まれる。)

L3

別紙

被告意匠の構成態様
原告の主張

被告の主張

被告意匠は,略扁平直方体状のデータ記憶機であって,本
a1体,溝部及びプレート(一定の厚みの薄い1枚の板に見える
形状の部分。以下同じ。)から構成されている。

基本的
構成態様

a2

平面及び正面には,各面の全幅に渡りプレートが形成され
b1ている。また,溝部は,プレートと本体の間に設けられてい
る。

平面,正面,背面及び底面の全てには,各面の全幅に渡り
b2プレートが形成されている。また,溝部は,プレートと本体の間に設けられ,側面において矩形状の枠を形成している。

プレートは略全面に渡って平坦であって,プレートの平面か
ら正面へと繫がる角は,側面視円弧状に湾曲している。一
c1
方,プレートの平面から背面に繋がる角は直角に折れ曲
がっている。

a1に同じ

a3

基本的
構成態様

b3

基本的
構成態様
c2

c1に同じ

c3

プレートは正面下端まで設けられていて,底面前方端には
入り込んでおらず,正面下端は直角になっている。

d2

d1に同じ

d3

e1プレートの正面側に開口部及び縦筋は設けられていない。

e2

e1に同じ

e3

f1プレートの平面側に横筋は設けられていない。

f2

f1に同じ

f3

g1本体側面には斜線状の筋が平行に設けられている。

g2

g1に同じ

g3

h3

d1

h1
具体的
構成態様

幅(正面視の横幅):高さ(正面視の高さ):奥行き(側面視の
横幅)のサイズ比は,約3:9:15である。

h2

h1に同じ

i1

高さ全体に対して上方約15%が湾曲部として形成されてい
る。

i2

i1に同じ

j1

平面のプレートに沿って形成された溝部には,この溝部の
長手方向に沿って並んだ複数の通気口がある。

j2

j1に同じ

j3

k1

一方の本体側面には,斜線状の筋に沿って形成された複数
の通気口がある。

k2

k1に同じ

k3

l1

本体側面のプレートと接しない辺(底面,背面と接する辺)に
溝部が設けられている。

(l1に相当する構成はb2に含まれる。)

l3

具体的
構成態様

具体的
構成態様

i3

別紙
乙1意匠

株式会社アイ・オー・データ機器製の外付けハードディスク(HDCS-UR2シリーズ)の意匠

以上別紙
乙2意匠

株式会社アイ・オー・データ機器製の外付型DVDドライブ(DVR-UN20GL)の意匠

以上別紙
乙3意匠

ロジテック株式会社製の外付型DVD-RAM±R/RW(DVDスーパーマルチ)ユニット(製品型番LDR-MA18U2)の意匠

以上別紙以上
乙4意匠

米国登録意匠第568,321号に記載のEXTERNALHARDDISKBOXの意匠
別紙
乙5意匠

被告製の3.5インチハードディスクケース(MAL-0935B/S-P,MAL-0935S/SP)の意匠
以上

乙6意匠

中国意匠登録第3406961号に記載のハードディスクの意匠

紙以上

意匠法39条2項に基づく損害一覧表(原告の主張)

被告製品の販売による損害額
損害の発生時期

損害額

遅延損害金の起算日

平成29年

108万4662平成29年6月30日

6月1日~6月30日


平成29年

75万4529円

平成29年7月31日

98万5277円

平成29年8月31日

7月1日~7月31日
平成29年
8月1日~8月31日
平成29年

159万1859平成29年9月30日

9月1日~9月30日


平成29年

90万1558円

平成29年10月31日

10月1日~10月31日
平成29年

185万5815平成29年11月30日

11月1日~11月30日


平成29年

256万1783平成29年12月31日

12月1日~12月31日


平成30年

161万1932平成30年1月31日

1月1日~1月31日


平成30年

239万3960平成30年2月28日

2月1日~2月28日


平成30年

323万0298平成30年3月31日

3月1日~3月31日

円紙
平成30年

253万6296平成30年4月30日

4月1日~4月30日


平成30年

235万6561平成30年5月31日

5月1日~5月31日


平成30年

250万7310平成30年6月30日

6月1日~6月30日


平成30年

265万9273平成30年7月31日

7月1日~7月31日


平成30年

224万2845平成30年8月31日

8月1日~8月31日


平成30年

337万0232平成30年9月30日

9月1日~9月30日


平成30年

247万9185平成30年10月31日

10月1日~10月31日


平成30年

293万0676平成30年11月30日

11月1日~11月30日


平成30年

366万7902平成30年12月31日

12月1日~12月31日


平成31年

188万3202平成31年1月31日

1月1日~1月31日


平成31年

233万5095平成31年2月28日

2月1日~2月28日


平成31年

304万0346平成31年3月31日

3月1日~3月31日


平成31年

203万9004平成31年4月30日

4月1日~4月30日


令和元年

186万8712令和元年5月31日

5月1日~5月31日


令和元年

57万8772円

令和元年6月7日

6月1日~6月7日
(合計5346万7084円)

被告製品のケースの販売による損害額
損害の発生時期
平成29年6月1日~

損害額
41万3587円

遅延損害金の起算日
令和元年6月13日

令和元年6月13日
以上

意匠法39条3項に基づく損害一覧表(原告の主張)

損害の発生時期

損害額

遅延損害金の起算日

平成29年

109万3991平成29年6月30日

6月1日~6月30日


平成29年

75万2130円

平成29年7月31日

99万0832円

平成29年8月31日

7月1日~7月31日
平成29年
8月1日~8月31日
平成29年

160万5909平成29年9月30日

9月1日~9月30日


平成29年

90万6046円

平成29年10月31日

10月1日~10月31日
平成29年

185万8559平成29年11月30日

11月1日~11月30日


平成29年

257万6966平成29年12月31日

12月1日~12月31日


平成30年

161万7564平成30年1月31日

1月1日~1月31日


平成30年

242万0051平成30年2月28日

2月1日~2月28日


平成30年

328万1797平成30年3月31日

3月1日~3月31日


平成30年

257万7285平成30年4月30日


4月1日~4月30日


平成30年

239万1248平成30年5月31日

5月1日~5月31日


平成30年

252万2285平成30年6月30日

6月1日~6月30日


平成30年

268万1445平成30年7月31日

7月1日~7月31日


平成30年

226万9939平成30年8月31日

8月1日~8月31日


平成30年

340万9289平成30年9月30日

9月1日~9月30日


平成30年

250万5746平成30年10月31日

10月1日~10月31日


平成30年

295万9797平成30年11月30日

11月1日~11月30日


平成30年

371万7356平成30年12月31日

12月1日~12月31日


平成31年

190万4923平成31年1月31日

1月1日~1月31日


平成31年

237万8405平成31年2月28日

2月1日~2月28日


平成31年

309万4892平成31年3月31日

3月1日~3月31日


平成31年

207万1392平成31年4月30日

4月1日~4月30日


令和元年

189万4081令和元年5月31日

5月1日~5月31日


令和元年

58万8929円

令和元年6月7日

6月1日~6月7日
(合計5407万0857万円)
以上
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