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商標権侵害行為差止等請求控訴事件 商標権 民事訴訟
事件番号令和1(ネ)10049
事件名商標権侵害行為差止等請求控訴事件
裁判年月日令和2年3月19日
裁判所名知的財産高等裁判所
権利種別商標権
訴訟類型民事訴訟
裁判日:西暦2020-03-19
情報公開日2020-06-04 22:24:43
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令和2年3月19日判決言渡
令和元年(ネ)第10049号

商標権侵害行為差止等請求控訴事件

(原審・東京地方裁判所平成28年(ワ)第23327号(第1事件),同第38566号(第2事件))
口頭弁論終結日

令和2年1月28日
判決
控訴人兼被控訴人

FC2,INC.
(以下FC2という。)

訴訟代理人弁護士

高橋淳同壇
訴訟復代理人弁護士


控訴人兼被控訴人

株式会社ドワンゴ

俊川光利彰
(以下ドワンゴという。)

訴訟代理人弁護士

宮川美同波野晴朗同高山大蔵同長岡征斗
補佐人弁理士

右埜大地主1田馬津子文
ドワンゴの本件控訴に基づき,原判決の第2項(第2事件について)を次のとおり変更する。(1)

FC2は,原判決別紙第2事件ウェブサイト目録記載の各ウェブ

サイトに,原判決別紙第2事件標章目録記載の各標章を使用してはならない。
(2)

FC2は,前項のウェブサイトから,前項の標章を削除せよ。

(3)

FC2は,ドワンゴに対し,992万6250円及び別紙計算書

の年月欄に対応する損害額合計欄記載の各金額に対する,
これに対応する支払起算日欄記載の日から支払済みまで年5分
の割合による金員を支払え。
(4)

ドワンゴのその余の請求をいずれも棄却する。

2
FC2の本件控訴を棄却する

3
訴訟費用(控訴費用を含む。)は,第1審及び第2審を通じてこれを8分し,その7をFC2の負担とし,その余をドワンゴの負担とする。

4
この判決は,第1項⑶に限り,仮に執行することができる。
5
FC2のために,この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。
事実及び理由

第1

控訴の趣旨

1
FC2
原判決を次のとおり変更する。


ドワンゴは,原判決別紙第1事件ウェブサイト目録記載の各ウェブサイトに,原判決別紙第1事件標章目録記載の標章を使用してはならない。


ドワンゴは,前項のウェブサイトを表示するためのhtmlファイルのに前項の標章を記載してはならない。



ドワンゴは,FC2に対し,1億円及びこれに対する平成28年9月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2
ドワンゴ
原判決を次のとおり変更する。


FC2は,
原判決別紙第2事件ウェブサイト目録記載の各ウェブサイトに,
原判決別紙第2事件標章目録記載の各標章を使用してはならない。


FC2は,前項のウェブサイトから,前項の標章を削除せよ。



FC2は,ドワンゴに対し,2332万8000円及びこれに対する平成
28年12月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。第2
1
事案の概要(略称は,特に断りのない限り,原判決の例による。

事案の要旨
第1事件は,原判決別紙第1事件商標目録記載1の商標(甲商標)の商標権者であるFC2が,
ドワンゴによる原判決別紙第1事件標章目録記載の標章
(乙
標章)の使用が商標権侵害及び不正競争行為に当たると主張して,ドワンゴに対し,不正競争防止法3条1項に基づき,原判決別紙第1事件ウェブサイト目録記載の各ウェブサイト(乙ウェブサイト)及び乙ウェブサイトのメタタグにおける乙標章の使用の差止めを求めるとともに,民法709条,商標法38条2項,3項及び不正競争防止法5条3項に基づき,1億円(一部請求)及びこれに対する損害賠償請求の対象である不法行為が終了した日である平成28年9月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
第2事件は,原判決別紙第2事件商標目録記載の商標(乙商標)の商標権者であるドワンゴが,
FC2による原判決別紙第2事件標章目録記載の各標章
(甲
標章)の使用が商標権侵害に当たると主張して,FC2に対し,商標法36条に基づき,原判決別紙第2事件ウェブサイト目録記載の各ウェブサイト(甲ウェブサイト)における甲標章の使用の差止め及び削除を求めるとともに,民法709条及び商標法38条2項,3項に基づき,2332万8000円(一部請求)及びこれに対する不法行為の後の日(訴状送達の日の翌日)である平成28年12月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
なお,ドワンゴは,第2事件における損害賠償請求に関し,訴状では,平成25年10月1日から平成28年9月末日までのFC2によるブロマガの配信サービスの購読料に基づく損害として請求したが,平成31年2月7日の原審第20回弁論準備手続期日において,請求の原因を変更し,平成25年10月1日から平成30年6月末日までのFC2によるブロマガの配信サービスの購読料に基づく損害の一部として請求するものとした。
原判決は,第1事件について,損害賠償金656万5554円及び遅延損害金の支払の限度でFC2の請求を認容し,その余のFC2の請求を棄却し,第2事件について,甲ウェブサイトにおける甲標章の使用の差止め,甲ウェブサイトからの甲標章の削除,損害賠償金867万7823円及び遅延損害金の支払の限度でドワンゴの請求を認容し,その余のドワンゴの請求を棄却した。FC2及びドワンゴは,それぞれ,敗訴部分を不服として本件控訴を提起した。
2
前提事実
原判決事実及び理由の第2の2(3頁25行目~6頁23行目)記載のとおりであるから,これを引用する。

3
争点
(1)

第1事件
商標法36条1項に基づく請求について
(ア)

ドワンゴが提供する役務が甲商標の指定役務と同一又は類似である
か(争点1(1)-1)
(イ)

ドワンゴによる乙標章の使用は甲商標の商標権を侵害する態様での
使用か(争点1(1)-2)
(ウ)
(エ)

甲商標の無効の抗弁の成否(争点1(1)-4)

(オ)

商標権の正当な権利行使の抗弁の成否(争点1(1)-5)

(カ)

FC2の損害の発生及び損害額(争点1(1)-6)


先使用権の抗弁の成否(争点1(1)-3)

不正競争防止法2条1項1号に基づく請求について
(ア)

ドワンゴによる乙標章の使用は不正競争防止法2条1項1号の不正
競争に該当するか(争点1(2)-1)
(イ)
(ウ)

FC2の損害の発生及び損害額(争点1(2)-3)

(2)

商標権の正当な権利行使の抗弁の成否(争点1(2)-2)

第2事件


FC2が提供する役務が乙商標の指定役務と同一又は類似であるか(争点2-1)

イウ
乙商標の無効の抗弁の成否(争点2-3)


商標権の正当な権利行使の抗弁の成否(争点2-4)


ドワンゴの損害の発生及び損害額(争点2-5)

第3

先使用権の抗弁の成否(争点2-2)

争点に関する当事者の主張
以下のとおり訂正するほか,原判決事実及び理由の第2の4(7頁22行目~28頁18行目)記載のとおりであるから,これを引用する。
1
争点1(1)-1
(ドワンゴが提供する役務が甲商標の指定役務と同一又は類似
であるか)について


原判決9頁3行目末尾に行を改めて次のとおり加える。

ウドワンゴは,後記のとおり,この点に関する原判決の判断に誤りがある旨主張する。しかしながら,原判決は,「ユーザーブロマガ

サービスは,プレミアム会員がブログを開設することができるとともに,ブログ記事を配信できるサービスであること,ニコニコのウェブサイトにはブロマガの項目があり,ユーザーに対してブログを開設
ブログをはじめるな
どの項目が表示されていること,ブログ記事を作成するとドワンゴサーバーに蓄積され,記事はメール配信しないことも可能であること,プレミアム会員の説明には特典としてブログの開設があることが掲載されていることなどから,ドワンゴサービスはインターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与に類似する旨判断したものであって,同判断に誤りはない。



原判決10頁24行目末尾に行を改めて次のとおり加える。
エこの点に関し原判決は,一般的に,利用者がブログを開設,投稿して他人にそれを閲覧させるためのプラットフォームを提供するサービスは独立した役務といえるとして,ドワンゴの「ユーザーブロマガサービスにおけるブログ開設・作成・投稿機能は独立した役務
(商標上の役務)
として提供されており,かかる機能の提供は,甲商標の指定役務に含まれるインターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与に類似する旨判断した。しかしながら,原判決は,商標法上の役務の考え方やその判断基準,ユーザーブロマガにおけるブログ開設・配信・投稿機能を独立した役務と評価する具体的な判断基準に一切触れていない。
ブログの開設・投稿・閲覧が可能となるサービスは多種多様であり,純粋なサーバーのレンタルのようなサービスもあれば,ドワンゴ提供サービスのようにコンテンツ配信のためにブログの開設・投稿・閲覧の機能を持つサービスもある。これらの各種コンテンツサービスにおけるコンテンツの作成・閲覧機能を独立した役務と評価すべきであるかは,各サービスの内容等に応じて需要者の認識を基準に検討すべき問題である。

2
争点1(1)-2
(ドワンゴによる乙標章の使用は甲商標の商標権を侵害する態
様での使用か)について
原判決13頁15行目末尾に行を改めて次のとおり加える。
ウ原判決の認定に関し原判決は,ウェブ閲覧用ページの「投稿やブログをはじめるのリンクからブログ開設・作成・投稿が可能となるページへのリンクがされていることから,乙標章は,ブログ開設・作成・投稿の提供のために使用されている旨認定した。
しかしながら,リンクは投稿やブログをはじめるのタブに設け
られており,
リンクには
ブロマガ
との標章は使用されていない。
また,
リンク先のブログ開設・作成・投稿機能が提供されているページでもブロマガの標章は使用されていない。リンクは,あくまでウェブサイトへの場所(URL)を分かりやすく示す機能に過ぎず,本件のリンクもブログ開設・作成・投稿機能を提供するウェブサイトへ誘導する機能を有するに過ぎない。
しかも,リンク先のブログ開設・作成・投稿機能を提供するウェブサイトでは,上部のチャンネルを開設のタブにハイライトがされ,これをクリックすると,ニコニコチャンネルの開設ページに到達する。一方,ブロマガの閲覧ページにおいては
ブロマガ
が黒くハイライトされており,
チャンネルを開設部分はハイライトされていない。このことからしても,上記ウェブサイトは,
チャンネルを開設のページの下位に位置付け
られたページであり,
チャンネルを開設
がニコニコのサービスであるニ
コニコチャンネルについてのサイトである。つまり,仮にブログ開設・作成・投稿機能が独立した役務として提供されているとしても,これは,より上位のニコニコのサービスのひとつとして提供されているものであって,配信サービスであるブロマガの標章の下で提供されているものとはいえない。

3
争点1(1)-6(FC2の損害の発生及び損害額)について


原判決17頁4行目末尾に行を改めて次のとおり加える。
エ原判決の認定に関し(ア)商標法38条2項に基づく損害原判決は,ドワンゴのポータル事業全体の利益率を踏まえて,平成25年11月1日から平成28年9月末日までの期間を通じたニコニコの利益率を●●●と認定した上で,ドワンゴが同期間にニコニコの会員から得たプレミアム会員費に,上記利益率及びプレミアム会員のうちブログを開設した者の割合(平均●●●●●)を乗じ,更に●●●●を乗じた金額がFC2の損害額である旨認定した。しかしながら,上記認定には,①ドワンゴのブロマガサービスによる売上げはプレミアム会員費だけではないにもかかわらず,計算の元となる売上げをプレミアム会員費に限定した点,②売上げをプレミアム会員費の合計としているにもかかわらず,利益率だけをポータル事業全体から計算して,一般の管理費や全社的な経費の配賦(甲88,89)まで控除した点,③ブロマガサービスは,プレミアム会員であれば,ブログを開設したければ開設できる状態で提供されているにもかかわらず,実際にブログを開設した者の割合に利益の範囲を限定し,また,ドワンゴの主張(乙226,230)を鵜呑みにして上記割合を認定した点,④プレミアム会員の中にブログを開設していない者がいることや,ブロマガがニコニコにおけるサービスの1つに過ぎないことは,実際にブログを開設した者の割合を乗じることで評価済みであるにもかかわらず,これらの事情を理由に,更に●●●●●を控除することによって,控除をダブルカウントした点,⑤具体的・客観的な根拠無しに●●●●●もの法外な控除をすることによって,商標法38条2項の損害額推定規定を無意味なものとした点に誤りがある。(イ)商標法38条3項に基づく損害原判決は,ニコニコのプレミアム会員費を支払った者のうちの極めて多くの者は,そもそもブログの開設に関する役務を利用していないことなどを考慮すれば,ドワンゴが乙標章を使用したことに対しFC2の受けるべき金銭の額が,原判決の認定に係る商標法38条2項に基づく損害額を超えるものとは認められない旨判断した。しかしながら,役務を提供している以上,使用料は発生するのであるから,実際にブログを開設している者の割合が少ないことは,使用料相当額を減じる理由にならず,仮に控除するとしても,ブログを開設していない者の売上げを控除すれば足りる。商標法38条2項の利益と同条3項の使用料相当額とは,全く別の計算方法で損害額を推定するものであるから,後者の金額を計算すらせずに,前者の金額がこれを超えると判断することはできず,原判決には審理不尽の違法がある。⑵

原判決19頁17行目末尾に行を改めて次のとおり加える。
エ原判決の認定に関するFC2の主張に対し以下のとおり,FC2の主張はいずれも当を得ないものである。(ア)商標法38条2項に基づく損害まず,FC2の主張する前記①の点について,FC2が主張するドワンゴの売上げ,すなわち有料のブロマガ(CHブロマガ)の購読者から受領する収益及びニコニコ全体の売上げのうち,前者は記事コンテンツの購読者から受領する購読料の一部であって,配信サービスに係る対価であり,後者はニコニコアプリなど「ブロマガ標章と無関係なサービスに係るドワンゴの売上げであって,いずれもインターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与とは関係がない。
前記②の点については,決算期によってばらつきはあるものの,FC2の請求に係る期間におけるドワンゴの利益率は●●●前後にとどまっているので,本件損害賠償請求の対象となる全期間を通じて,ドワンゴの利益率を●●●と認定すること自体は不合理でない。
前記③の点については,プレミアム会員費は多様なサービスの対価であり
(乙226)その大多数はおよそブログとは関係ないサービス

(動画視聴関連サービス等)であって,ブログを開設していないプレミアム会員は,ブログ開設・作成・投稿機能を全く利用していない。そのため,かかる会員から収受したプレミアム会員費について,甲商標権の侵害行為により得た利益と評価することはできない。
前記④の点については,原判決は,ドワンゴが得た利益について,ブログ開設者の割合を乗じた上で更に●●●●を乗じたものではなく,上記利益に対し,端的に●●●●を乗じたものに過ぎない。
前記⑤の点については,プレミアム会員のうちのブログ開設者においても,ブログサービス以外の多数のサービスを利用している。そして,入会後のファーストアクション(入会後,最初にブログ関連ページにアクセスした者の割合)ユーザーブロマガにおいて記事コンテン,
ツを投稿した者の割合等を考慮すれば,ブログ開設者においても,ブログサービス自体は重視されていないことが明らかである。また,乙標章はドワンゴ提供サービスを示すものとして周知であって,需要者は,ドワンゴによって提供されるニコニコのサービスとして上記サービスを認識していたものであるから,乙標章を付したことによりFC2が得たと認める利益は,ブログ開設会員の中においても0.05%程度にとどまるものといえる。

4
争点2-4(商標権の正当な権利行使の抗弁の成否)について


原判決25頁23行目末尾に行を改めて次のとおり加える。
なお,FC2が提供するブログサービスは,会員が自分でブログ等を作成して有償で配信することを可能とするシステムを提供するサービスであるところ,FC2が会員に提供しているのはブログ開設・公開の為のサーバースペースとブログ開設・記事作成・管理のためのプログラムであり,会員が作成した記事をサーバーに記録して希望するユーザーに配信するだけであって,ブログと独立して配信サービスが存在するわけではない。このように,FC2が提供するブログサービスは,インターネットにおけるブログのため「のサーバーの記憶領域の貸与そのものであって,記事の配信の部分は当該役務が当然予定しているのであるから,商標権の正当な権利行使の抗弁が認められることは当然である。




原判決26頁9行目末尾に行を改めて次のとおり加える。
なお,仮に,FC2のブロマガサービスにより配信されるコンテンツ自体がブログの記事に類似又は由来するものであったとしても,ブログサービスとは区別された独自のサービスとして提供されている以上,同サービスは「電子出版物の提供に該当するものであり,商標権の正当な権利行使となるものではない。


5
争点2-5(ドワンゴの損害の発生及び損害額)について
原判決26頁11行目冒頭から28頁18行目末尾までを次のとおり改める。(ドワンゴの主張)ア損害の発生ドワンゴは,乙商標をニコニコのブログサービスの表示として使用しており,高い顧客吸引力を有する。そして,FC2による甲標章の使用によって乙商標の出所表示機能が害され,市場においてドワンゴの売上げが減退する関係にあるから,商標法38条2項及び3項の適用がある。イ商標法38条2項に基づく損害(主位的主張)(ア)a平成25年10月1日から平成30年6月末日までのFC2のブログの配信サービスの購読料の合計額は●●●●●●●●●●●●であり,そのうち,FC2がサービスの対価として受領したシステム使用料及びアフィリエイト手数料の合計額は●●●●●●●●●●●●である。bそして,上記金額から決済業者に支払う決済手数料●●●●●●●●●●を控除した●●●●●●●●●●●●(以下「本件システム手数料ということがある。)が,ドワンゴの損害額と推定される。
c
この点に関し原判決は,
FC2が提供するサービスにおいて,
ブロ
グ記事の購入が増えることによって処理するデータも増えてサーバーの負担が大きくなり,保守費用やサーバーに関する費用が上がるという関係がないとはいえないとの理由から,商標法38条2項の利益を算定するに当たり,
本件システム手数料から,
FC2の主張す
る経費(FC2ブログ全体で支払われた開発保守費及びサーバー費用を,FC2ブログの売上げである広告料収入及びFC2ブログ有料会員の会員費と,ブロマガの売上げとで按分した金額(甲96)。
以下ブロマガ負担保守運営費という。
)を控除するのが相当であ
って,ブロマガ負担保守運営費は本件システム手数料よりも多いから,ドワンゴは商標法38条2項に基づき損害の賠償を求めることはできない旨判断した。
しかしながら,ブログ記事の購入が増えることによって処理する
データも増えてサーバーの負担が大きくなり,保守費用やサーバーに関する費用が上がるという関係が,一般論としてはあり得るとしても,本件に関しては,保守費用やサーバーに関する費用が,FC2の提供するブロマガの配信サービスの売上げの増減に影響しないことが明らかであるから(甲96,乙231)
,ブロマガ負担保守運営
費は,上記サービスによる商標権侵害に直接必要な費用とはいえない。
したがって,商標法38条2項に基づく損害額を算定するに当た
り,ブロマガ負担保守運営費を経費として控除すべきではない。
また,同項による損害額の推定を覆滅する事由としてFC2が主
張する事情は,いずれも覆滅事由とはならない。
(イ)

弁護士費用相当額の損害は,前記(ア)bの損害額の20%に相当す
る●●●●●●●●●●を下らない。
(ウ)

前記(ア)及び(イ)によれば,平成25年10月1日から平成30年
6月末日までの期間に係る損害額は合計●●●●●●●●●●●●を下らない。
ドワンゴは,上記損害の一部として,2332万8000円及びこれに対する不法行為の後の日(訴状送達の日の翌日)である平成28年12月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。

商標法38条3項に基づく損害(予備的主張)
(ア)

前記イ(ア)aのとおり,平成25年10月1日から平成30年6月
末日までに,FC2がFC2のブログの配信サービスの対価として受領したシステム使用料及びアフィリエイト手数料の合計額は,●●●●●●●●●●●●である。
そして,乙商標の周知・著名性,高い顧客吸引力及び広告宣伝機能を考慮すれば,乙商標の使用料相当額は使用対価の10%を下らない。したがって,上記金額の10%に相当する●●●●●●●●●●(1円未満切上げ)がドワンゴの損害額である。
(イ)

弁護士費用相当額の損害は,前記(ア)の損害額の20%に相当する
●●●●●●●●●である。
(ウ)

前記(ア)及び(イ)によれば,平成25年10月1日から平成30年
6月末日までの期間に係る損害額は合計●●●●●●●●●●を下らない。
ドワンゴは,上記損害の一部として,2332万8000円及びこれに対する不法行為の後の日(訴状送達の日の翌日)である平成28年12月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
(FC2の主張)

損害の発生について
前記⑽(引用に係る原判決第2の4(10))のFC2の主張のとおり,乙商標の指定役務である電子出版物の提供の電子出版物とは,いわ
ゆる電子書籍を意味するものであって,インターネット上のブログ記事は含まれないから,ドワンゴは,乙商標を使用していない。
したがって,FC2による甲標章の使用によって乙商標の出所表示機能が害されて,市場において,ドワンゴの売上げが減退することにはなり得ず,
損害は発生していないから,
商標法38条2項及び3項の適用はない。


商標法38条2項に基づく損害(主位的主張)について
(ア)

前記(ドワンゴの主張)イ(ア)aの事実は認める。

(イ)

FC2がブログサービスで得た利益(限界利益)を算定するに当た
っては,前記(ドワンゴの主張)イ(ア)aのシステム使用料及びアフィリエイト使用料の合計額から,決済手数料及びブロマガ負担保守運営費を控除する必要がある。
乙231でも,一定の範囲まで売上げの増加によって保守費用やサーバーに関する費用が増加していることが示されている。変動費に当たるために,売上げと完全に正比例の関係に立つことまで要するわけではない。
そして,これらの経費を控除すると,平成25年10月1日から平成30年6月末日までの収支はマイナスである。
(ウ)

また,損害額の算定に際しては,ドワンゴ及びFC2のブログサー
ビスはいずれも電子出版物の提供に該当しないこと,甲標章は,主にFC2ブログのユーザー向けにFC2のブログサービスの説明をする態様で使用されており,ユーザーに対するブログ購入を誘引する形態での使用は少ないこと,甲標章はFC2のブログサービスの表示として高い顧客吸引力があり,他方,乙商標には顧客吸引力はないこと等から,FC2が得た利益のうち99.5%については商標法38条2項による損害額の推定が覆滅される。

商標法38条3項に基づく損害(予備的主張)について
前記イ(イ)及び(ウ)の事情に照らせば,乙商標の使用料率は0.1%を上回ることはない。


第4

当裁判所の判断
当裁判所は,①第1事件について,FC2の請求は,民法709条及び商標
法38条2項に基づき,損害賠償金656万5554円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由がある,②第2事件について,ドワンゴの請求は,商標法36条に基づき,甲ウェブサイトにおける甲標章の使用の差止め及び削除,並びに民法709条及び商標法38条2項に基づき,損害賠償金992万6250円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があるものと判断する。その理由は,以下のとおり訂正するほか,原判決事実及び理由の第3の1ないし14
(28頁20行目~52頁14行目)
記載のとおり
であるから,これを引用する。
1
争点1(1)-1
(ドワンゴが提供する役務が甲商標の指定役務と同一又は類似
であるか)について
原判決35頁1行目末尾に行を改めて次のとおり加える。
さらに,ドワンゴは,原判決は,商標法上の役務の考え方やその判断基準,ユーザーブロマガにおけるブログ開設・配信・投稿機能を独立した役務と評価する具体的な判断基準に一切触れていない点で不当であり,また,各種コンテンツサービスにおけるコンテンツの作成・閲覧機能を独立した役務と評価すべきであるかは,各サービスの内容等に応じて需要者の認識を基準に検討すべき問題である旨主張する。しかしながら,本件の事実関係の下において,「ユーザーブロマガサービスにおけるブログの開設及びブログ記事の作成・投稿機能が,他のサービスなどに付随して提供される業務であって商標法上の役務に含まれないということはできないことは,引用に係る原判決第3の1⑵及び⑶において,既に説示したとおりであるところ,
その説示内容は,
具体的な判断基準等を説示しなくとも,
十分に了解可能なものということができる。また,本件の事実関係の下において,ドワンゴが提供するユーザーブロマガサービスについては,少なくともインターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与に類似した役務が提供されていることは,需要者の認識を基準にしても十分に了解可能であるといえる。
したがって,ドワンゴの上記主張は採用することができない。

2
争点1(1)-2
(ドワンゴによる乙標章の使用は甲商標の商標権を侵害する態
様での使用か)について
原判決37頁3行目末尾に行を改めて次のとおり加える。
⑷これに対しドワンゴは,リンクは「投稿やブログをはじめるの
タブに設けられており,リンクにはブロマガとの標章は使用されていないこと,リンク先のブログ開設・作成・投稿機能が提供されているページでもブロマガの標章は使用されていないこと,リンク先のブログ開設・作成・投稿機能を提供するウェブサイトでは,上部のチャンネルを開設のタブにハイライトがされ,これをクリックすると,ニコニコチャンネルの開設ページに到達することなどを根拠として,乙標章はブログ開設・作成・投稿機能の提供のために使用されているものではない旨主張する。
しかしながら,原判決が指摘するウェブページ上のブロマガの表
示等から,乙標章が役務の出所識別機能を果たす態様で使用されていることは優に肯定し得るのであり,ドワンゴの主張する事実は上記認定を左右するものではない。

3
争点1(1)-6(FC2の損害の発生及び損害額)について


原判決43頁14行目末尾に行を改めて次のとおり加える。
これに対しFC2は,原判決の認定には,①損害額の計算の元となる売上げをプレミアム会員費に限定した点,②利益率をポータル事業全体から計算した点,③プレミアム会員のうち,実際にブログを開設した者の割合に利益の範囲を限定し,また,ドワンゴの主張を鵜呑みにして上記ブログ開設者の割合を認定した点,④損害額を算定するに当たり,プレミアム会員中の実際にブログを開設した者の割合を乗じた上で,更に●●●●●を控除することによって,控除をダブルカウントした点,⑤具体的・客観的な根拠無しに●●●●●もの控除をした点に誤りがある旨主張する。まず,上記①の点について,本件において,ドワンゴによる乙標章の使用が甲商標権の侵害となるのは,ドワンゴの提供するサービスのうち,ユーザーブロマガサービス,すなわち,ブログの開設及びブログ記事の作成,投稿機能を含むサービスに限られるものであって,かかるサービスはプレミアム会員に対する特典として提供されるものであるから,商標法38条2項の損害額の算定の元となる売上げについては,プレミアム会員の会員費とするのが相当である。上記②の点については,前記(引用に係る原判決第3の6⑵イ)認定のとおり,プレミアム会員に提供されるサービスは,ユーザーブロマガサービスのほかにも,ニコニコにおいて提供される多種多様なサービスが含まれるものであって,プレミアム会員の会員費は,これらのサービス全体の対価と評価できるものである。そして,このように一体として提供されているサービスの中で,ユーザーブロマガサービスの利益率が,他のサービスとは異なると認定すべき特段の事情は認められない。したがって,商標法38条2項の損害額の算定の元となる利益を算定するに当たって,ニコニコのポータル事業全体の利益率を用いることは,合理性を有するものといえる。上記③及び⑤の点については,プレミアム会員費のうち,ユーザーブロマガサービスに対する対価を算定する基礎となり得るのは,実際にブログを開設している者に対応する部分(全体の●●●●●)であり,しかも,実際にブログを開設している者の会員費には,他の数多くのサービスを利用する対価が含まれるから,ユーザーブロマガサービスの対価に相当する部分は,更に限定されることを考えれば,原判決が,その割合を●●●●としたことには,十分な合理性が認められる。上記④の点については,原判決は,ドワンゴが得た利益について,ブログ開設者の割合を乗じた上で更に●●●●を乗じたものではなく,上記利益に対して単に●●●●を乗じたものであるから,FC2の主張はその前提を誤るものである。したがって,FC2の上記主張は,いずれも理由がない。⑵

原判決43頁22行目末尾に行を改めて次のとおり加える。
この点に関しFC2は,商標法38条3項に基づく損害額を計算せずに,同条2項に基づく損害額がこれを超えると判断することはできない旨主張する。しかしながら,前述のとおり,ユーザーブロマガサービスの売上額は,プレミアム会員費の●●●●程度と認められるところ,これに乗ずべき実施料率は,侵害プレミアムを考慮したとしても,●●●(2項損害を計算した際の利益率)を上回ることはないと認められるから,結局,商標法38条3項所定の「その登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額は,前記⑵(引用に係る原判決第3の6⑵)で認定した同条2項に係る損害額を上回るものではないと認められる。
したがって,FC2の上記主張は理由がない。

4
争点1(2)-1
(ドワンゴによる乙標章の使用は不正競争防止法2条1項1号
の不正競争に該当するか)について


原判決44頁9行目の(甲19~21)を(甲18,
19,21,22)
に改める。



原判決44頁26行目から45頁1行目の『ネット副業の王様』
と題する書籍を『ネット副業の王道』と題する書籍に改める。

5
争点2-3(乙商標の無効の抗弁の成否)について
原判決49頁19行目冒頭から21行目末尾までを次のとおり改める。前記10(引用に係る原判決第3の10)のとおり,甲標章が需要者の間で広く認識されていたとはいえないから,その余の点を判断するまでもなく,乙商標に商標法4条1項10号及び15号の無効事由があるとは認められず,また,ドワンゴが商標権侵害を主張することが権利の濫用に該当するものとも認められない。
6
争点2-5(ドワンゴの損害の発生及び損害額)について
原判決51頁6行目冒頭から52頁7行目末尾までを次のとおり改める。⑵商標法38条2項に基づく損害ア侵害行為によりFC2が受けた利益の額(ア)売上高証拠(甲95,96)及び弁論の全趣旨によれば,平成25年10月1日から平成30年6月末日までの間に,FC2がブロマガの配信サービスの対価として受領したシステム使用料及びアフィリエイト手数料の合計額から,決済業者に支払う決済手数料を控除した金額(本件システム手数料)は,●●●●●●●●●●●●であると認められる。(イ)控除すべき経費FC2は,ブログ記事の購入が増えることによって処理するデータも増えてサーバーの負担が大きくなり,保守費用やサーバーに関する費用が上がるという関係にあるから,商標法38条2項の「利益を算定するに当たり,本件システム手数料からブロマガ負担保守運営費を控除するのが相当である旨主張する。
しかしながら,FC2は,平成16年4月にFC2ブログのサー
ビスを開始し,その約5年後に,同サービスの一つとしてブロマガサービスを開始したものであるから,FC2ブログのために支払われる開発保守費用及びサーバーに関する費用は,ブロマガサービスを開始する以前からFC2が負担していたものである。また,証拠(甲96,乙231)によれば,平成25年10月1日から平成30年6月末日までの期間のFC2におけるブロマガの配信サービスの売上高の増減と,同期間におけるFC2ブログ全体に支払われた開発保守費用及びサーバーに関する費用の増減との間には,特段の相関関係を認めることはできない。
以上によれば,FC2の主張するブロマガ負担保守運営費が,F
C2におけるブロマガの配信サービスに直接関連して追加的に必要となった経費ということはできないから,これらの費用を前記(ア)の売上高から控除すべき経費とみるのは相当ではない。

推定覆滅事由について
商標法38条2項における推定の覆滅については,侵害者が得た利益と商標権者が受けた損害との相当因果関係を阻害する事情がこれに当たると解される。例えば,商標権者と侵害者の業務態様等に相違が存在すること(市場の非同一性)
,市場における競合品・競合サービス
の存在,侵害者の営業努力(ブランド力,宣伝広告)
,侵害品・侵害サ
ービスの性能(機能,デザイン,サービス内容等商標以外の特徴)などの事情について,推定覆滅の事情として考慮することができるものと解される。
これを本件についてみると,ドワンゴが提供するブロマガの配信サービスとFC2が提供するブロマガの配信サービスとは,いずれもブログ記事を配信するサービスであるという点で共通する。
一方,各サービスの具体的内容は,前記認定のとおりであり(引用に係る原判決第2の2⑶,⑷,同第3の1⑴,9⑴),例えば,FC2
におけるブロマガの配信サービスは,ユーザーが,作成したブログ記事に一定の設定をして投稿することで,購読料を支払ったユーザーのみがブログを閲覧することができる機能があり,ブログ記事の投稿者は,ブログ記事の年月ごとに価格を設定する方法又はブログ記事単体に価格を設定する方法を選択した上で,所定の範囲からその価格を設定するという特徴を有するなど
(引用に係る原判決第3の9⑴)両者

のサービス態様には少なからず相違が存在するものである。
また,
前記のとおり,
ニコニコのCHブロマガのサービス開始日
(平
成24年8月1日)において,FC2が提供するFC2ブログには400万人を超えるユーザーが存在したものであり,FC2がブロマガの名称を付して提供するサービスは,FC2ブログの機能の一つであって,
ブロマガを開設し記事を投稿しようとする者,その記事
を購入しようとする者は,いずれもFC2ブログのためのIDを有することが必要で,このIDにログインした上で,
ブロマガを利用す
るものである(引用に係る原判決第3の9⑴,乙139,148)。そ
うすると,FC2ブログの機能の一つであることを主な理由として,ブロマガの配信の役務を利用した者も多いと認められる。
加えて,
上記のとおり,
FC2におけるブロマガの配信サービスは,
ユーザーがブログ記事に課金設定をして投稿することで,購読料を支払ったユーザーのみが閲覧できるというサービスであることからすると,同サービスの売上げは,ブログ記事の投稿者の知名度や記事の内容の貢献度が高いものと考えられる。
これらの事情からすると,甲標章が,FC2におけるブロマガの配信サービスによる利益の全てに貢献しているとはいえないから,同サービスによる利益の全額をドワンゴの逸失利益と認めるのは相当でなく,同サービスにおいては,商標法38条2項における事実上の推定が一部覆滅されるというべきである。
そして,上記で判示した事情など本件に現れた事情を総合考慮すると,同覆滅がされる程度は,全体の約96%であると認めるのが相当である。

小括
以上によれば,乙商標権の侵害について,商標法38条2項により算定される損害額は,●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●となる。



商標法38条3項に基づく損害
前述のとおり,FC2におけるブロマガの配信サービスによる売上げについては,FC2そのものが持つ顧客誘引力や,ブログ記事の投稿者の知名度や記事の持つ顧客誘引力が非常に大きいと考えられることからすると,上記売上げに乗ずべき実施料率は高いものであるとはいえず,侵害プレミアムを考慮しても3%(原判決が認定した実施料率)を上回るものとは認められない。そして,これによって計算した実施料額は,原判決認定のとおりであって,前記⑵で計算した金額を下回る。したがって,商標法38条3項所定のその登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額は,前記⑵で認定した同条2項に係る損害額を上回るものではないと認められるから,この金額をもってドワンゴの損害額と認めるべきことになる。


まとめ
以上のとおりであるから,
商標法38条2項により算定される損害額に,
弁護士費用を加えた金額がドワンゴの損害額と認められる。
そして,FC2の不法行為と相当因果関係にある弁護士費用は,上記により算定される損害額の約1割である●●●●を下らないと認めるのが相当であるから,ドワンゴの損害額は,●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●である。
また,ドワンゴは,平成25年10月1日から平成30年6月末日までのFC2によるブロマガの配信サービスに基づく損害の一部として,2332万8000円及びこれに対する不法行為の後の日(訴状送達の日の翌日)である平成28年12月13日から支払済みまでの遅延損害金を請求するところ,証拠(甲95,96)によれば,上記期間の各月における本件システム手数料は別紙計算書の本件システム手数料欄記載のとおりであるから,平成28年12月1日から平成30年6月末日までの上記配信サービスに基づく損害については,遅延損害金の起算日を各月の末日とするのが相当である。
そして,平成28年12月から平成30年6月までの各月における本件システム手数料から96%を控除した金額,上記弁護士費用を各月の本件システム手数料で按分した金額及びその合計額は,それぞれ,別紙計算書の損害額弁護士費用及び損害額合計欄記載のとおりである。



7
総括
原判決52頁9行目冒頭から14行目末尾までを次のとおり改める。以上述べたところによれば,第2事件について,ドワンゴはFC2に対し,商標法36条に基づき,甲ウェブサイトにおける甲標章の使用の差止め,甲ウェブサイトからの甲標章の削除並びに民法709条及び商標法38条2項に基づき,損害賠償金992万6250円及び別紙計算書の「年月欄に対応する損害額合計欄記載の各金額に対する,これに対応する支払起算日欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。

8
結論
以上によれば,①FC2の差止請求,1億円及びこれに対する遅延損害金の請求は,656万5554円及びこれに対する平成28年9月30日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却すべきであり,②ドワンゴの差止請求,2332万8000円及びこれに対する遅延損害金の請求は,甲ウェブサイトにおける甲標章の使用の差止め及び削除,992万6250円及び別紙計算書の年月欄に対応する損害額合計欄記載の各金額に対する,これに対応する支払起算日欄記載の日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却すべきところ,これと異なる原判決は一部失当であって,ドワンゴの本件控訴の一部は理由があるから,原判決を上記のとおり変更し,FC2の本件控訴は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。なお,甲標章の使用の差止め及び削除については,仮執行の宣言は相当ではないので,これを付さないこととする。

知的財産高等裁判所第3部

裁判長裁判官
鶴岡稔彦上田卓哉山門
裁判官

裁判官


別紙省略

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