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文書提出命令等に対する許可抗告事件
事件番号令和1(許)11
事件名文書提出命令等に対する許可抗告事件
裁判年月日令和2年3月24日
法廷名最高裁判所第三小法廷
裁判種別決定
結果棄却
原審裁判所名札幌高等裁判所
原審事件番号平成30(ウ)49
原審裁判年月日平成31年3月29日
判示事項鑑定のために必要な処分としてされた死体の解剖の写真に係る情報が記録された電磁的記録媒体が民訴法220条3号所定のいわゆる法律関係文書に該当するとされた事例
裁判日:西暦2020-03-24
情報公開日2020-03-27 18:00:05
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令和元年(許)第11号
令和2年3月24日

文書提出命令等に対する許可抗告事件

第三小法廷決定

主文
本件抗告を棄却する
抗告費用は抗告人の負担とする。
理1由
本件の本案訴訟(札幌高等裁判所平成30年(ネ)第59号損害賠償請求事
件)は,相手方が,北海道旅客鉄道株式会社の開設する病院の看護師の過失により相手方の父であるAが転倒して頭部を床面に強打したために死亡したなどと主張して,同社に対し,使用者責任に基づく損害賠償を求めるものである。本件は,相手方が,上記の転倒によりAが死亡したこと等を立証するために必要であるとして,Aの死体について地方公共団体である抗告人に所属する司法警察職員から鑑定の嘱託を受けた者が当該鑑定のために必要な処分として裁判官の許可を受けてした当該死体の解剖の写真に係る情報が記録された電磁的記録媒体であって抗告人が所持するもの(以下本件準文書という。)について,民訴法220条3号所定の挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき(以下,同号のこの部分を民訴法220条3号後段といい,この場合に係る文書を法律関係文書という。)に該当するなどと主張して,文書提出命令の申立てをした事案である。
2
抗告代理人山川義仁ほかの抗告理由のうち民訴法220条3号後段の解釈適
用に関する点について
(1)

所論は,本件準文書について法律関係文書に該当するとした原審の判断に
は,法令解釈の誤り及び判例違反がある旨をいうものである。
(2)

民事訴訟において死者の死因が争われる場合,当該死者の死体の解剖がさ
れていれば,その結果等が記載された文書は重要な証拠となり得る。しかしながら,検察官,検察事務官又は司法警察職員から鑑定の嘱託を受けた者が当該鑑定のために必要な処分として裁判官の許可を受けてする死体の解剖(以下司法解剖という。)の結果等が記載された鑑定書等の文書については,文書提出命令の申立てがされたとしても,民訴法220条4号ホ所定の刑事事件に係る訴訟に関する書類に該当すると解され(最高裁令和元年(許)第12号同2年3月24日第三小法廷決定参照),同号に基づく提出義務があるとはいえない。もっとも,上記文書が法律関係文書に該当すれば,これが刑訴法47条所定の訴訟に関する書類に該当するとしても,その保管者による提出の拒否が当該保管者の有する裁量権の範囲を逸脱し又は濫用するものである場合には,裁判所は,その提出を命ずることができる(最高裁平成15年(許)第40号同16年5月25日第三小法廷決定・民集58巻5号1135頁参照)。
文書提出命令の申立てに係る文書が法律関係文書に該当するか否かについては,民訴法220条3号後段の文言及び沿革に照らし,当該文書の記載内容やその作成の経緯及び目的等を斟酌して判断すべきであるところ,本件準文書は,抗告人に所属する司法警察職員から鑑定の嘱託を受けた者によるAの死体についての司法解剖(以下本件司法解剖という。)の写真を内容とするものである。死体の解剖に原則としてその遺族の承諾が必要とされる(死体解剖保存法7条)ことや,司法解剖をする場合に解剖すべき死体について直系の親族等があるときはこれに通知しなければならないとされる(刑訴法225条1項,168条1項,刑訴規則132条において準用する同規則101条)ことなどに照らしても,相手方は,その父であるAの死体が礼を失する態様によるなどして不当に傷付けられないことについて法的な利益を有するというべきである。司法解剖については遺族の承諾は不要とされており(死体解剖保存法7条3号,2条1項4号),本件司法解剖も,Aの遺族の承諾の有無とは無関係に刑訴法所定の手続にのっとって行われたものであるものの,これによるAの死体に対する侵襲の範囲や態様によっては,相手方の上記利益が侵害され得るものといえる。そして,上記写真は,本件司法解剖の経過や結果を正確に記録するために撮影されたものであり,犯罪捜査のための資料になるとともに,本件司法解剖によるAの死体に対する侵襲の範囲や態様を明らかにすることによってこれが適正に行われたことを示す資料にもなるものであると解され,本件司法解剖による相手方の上記利益の侵害の有無等に係る法律関係を明らかにする面もあるということができる。
以上からすれば,本件準文書は,抗告人と相手方との間において,法律関係文書に該当するというべきである。
(3)

これと同旨の原審の判断は,正当として是認することができる。所論引用
の判例は,事案を異にし,本件に適切でない。論旨は採用することができない。3
その余の抗告理由について

所論の点に関する原審の措置については,本件の経緯に照らし,所論の違法があるとはいえない。所論引用の判例は,事案を異にし,本件に適切でない。論旨は採用することができない。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官
宮崎裕子


裁判官

道晴

裁判官

戸倉三郎

宇賀克也)
裁判官


景一

裁判官

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