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特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟
事件番号平成31(ワ)4944
事件名特許権侵害差止等請求事件
裁判年月日令和2年1月30日
裁判所名東京地方裁判所
権利種別特許権
訴訟類型民事訴訟
裁判日:西暦2020-01-30
情報公開日2020-03-23 15:31:13
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令和2年1月30日判決言渡

同日原本交付

平成31年(ワ)第4944号
口頭弁論終結日

裁判所書記官

特許権侵害差止等請求事件

令和元年11月28日
判決原株
同訴訟代理人弁護士

鮫島正洋同梶井啓順同森下同告竹澤被告会告被式社ツインズ梓大格A株式会社COOLKNOTJAPAN

上記2名訴訟代理人弁護士

山内貴博同浜崎翔多主文1
原告の請求をいずれも棄却する。

2
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由

第1
1
請求
被告らは,別紙被告製品目録記載の製品を輸入し,販売し,販売の申し出をしてはならない。

2
被告らは,原告に対し,連帯して,1億3080万円及びこれに対する平成31年3月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。3
被告Aは,特許第5079926号の持分4分の1及び特許第5392519号の持分4分の1をいずれも有していないことを確認する。

4
被告Aは,原告に対し,特許第5079926号及び特許第5392519号に係る特許権につき,それぞれ持分4分の1の移転登録手続をせよ。
5
被告Aは,特許第5079926号及び特許第5392519号に係る特許権につき,それぞれ持分4分の1の権利抹消登録手続をせよ。

第2
1
事案の概要
本件は,発明の名称をチューブ状ひも本体を備えたひもとする特許権(以下本件特許権1本件特許1という。,及びチューブ状ひも本体,)を備えた固定ひもとする特許権(以下本件特許権2本件特許2とい,
い,本件特許権1と併せて本件各特許権という。
)を有する原告が,本件
各特許権の共有特許権者である被告A(以下被告Aという。
)及び同人が
代表取締役を務める被告株式会社COOLKNOTJAPAN(以下被告会社という。)に対し,被告らによる本件特許1に係る発明の実施品である
別紙被告製品目録記載の被告製品(以下被告製品という。
)の製造・販売
行為は特許法73条2項所定の別段の定めに違反するなどして本件特許権1を侵害し,被告らが共同して日本における原告の市場を不当に奪取したことは一般不法行為(民法709条)に当たる旨主張して,被告らに対し,特許法
100条1項に基づき被告製品の輸入・販売等の差止めを,民法709条及び特許法102条2項に基づき損害の一部である1億3080万円(特許権侵害分3080万円,一般不法行為分1億円)及びこれに対する不法行為後の日である平成31年3月10日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,被告Aに対し,本件各特許権の剥奪
について定めた原告と被告Aらの間の共同出願契約に基づき,①本件各特許権の持分4分の1を有しないことの確認,②同持分の原告に対する移転登録手続及び③同持分の権利抹消登録手続(③は②に対する予備的併合)を求める事案である。
2
前提事実(当事者間に争いがないか,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によって容易に認められる事実)



当事者

原告は,
結ばない靴ひもと称される靴ひもを含む生活用品の製造・
販売を業とする株式会社である。


被告会社は,
結ばない靴ひもと称される靴ひもの販売を業とする株
式会社である。




被告Aは,被告会社の代表取締役である。
(争いのない事実)

本件各特許権
原告,被告A,B(以下Bという。
)及びC(以下Cという。
)は,
特許権の登録時点において,次の本件各特許権を共有していた(甲1の1ないし2の2)



本件特許権1
特許番号
発明の名称

平成24年7月4日

登録日

チューブ状ひも本体を備えたひも

出願日

特許第5079926号

平成24年9月7日

本件特許権2
特許番号
発明の名称

チューブ状ひも本体を備えた固定ひも

出願日

平成24年8月8日(特願2012-150880の分割)

登録日
特許第5392519号

平成25年10月25日

なお,いずれの特許公報(甲1の2,2の2)の発明者欄にも,発明者として,原告の代表取締役であるD(以下原告代表者という。,)
被告A,B及びCが記載されている。


原告,被告A,B及びCは,平成24年7月頃,共同して,日本において,本件特許権1の請求項1に記載された発明(以下本件発明1という。)
の技術的範囲に属するキャタピランという名称の靴ひも(以下キャタピランという。)の販売に着手した。

キャタピランは,Cが中国で製造し,Bが中国で梱包し,被告Aが中国で仕入れ,香港で日本への輸出を手配し,原告が輸入して日本で販売するという商流により販売された。
(争いのない事実)


共同出願契約
原告,被告A,B及びCは,平成25年4月15日付で,本件各特許権の
出願及び実施品の販売に関して共同出願契約を締結した(甲7,8,以下,本件共同出願契約という。。原告,被告A,B及びCは,本件共同出願)
契約において,本件各特許権及び同権利に係る特許を受ける権利はいずれも同4者の共有(持分各4分の1)であるとし(本件共同出願契約2条),同
4者は

他の全ての当事者の同意を得なければ,本件特許権を(中略)第三者に譲渡し,或いは本件発明の実施を許諾してはならない。

と(本件共同出願契約8条)
,13条において事前の協議・許可なく,本件の各権利(判決注:本件各特許権)を新たに取得し,又は生産・販売行為を行った場合,本件の各権利は剥奪される。(甲(判決注:原告),乙(判決注:被告A),丙(判決注:B)及び丁(判決注:C)の全員が対象である。と定)

めた(以下,上記13条の定めを本件定めという。。

本件定めは,

特許権が共有に係るときは,各共有者は,契約で別段の定めをした場合を除き,他の共有者の同意を得ないでその特許発明の実施をすることができる。

と規定する特許法73条2項にいう別段の定めに該当する(当事者間に争いがない)




原告の行為
原告は,平成28年4月以降,日本において,独自に本件発明1の技術的範囲に属する靴ひもを製造し,
キャタピラン等の名称で販売している
(甲93,争いのない事実。以下,原告が独自に製造・販売する製品を前記⑶記載のキャタピランと区別して原告製品という。また原告の同行為を原告販売行為という。。原告が,原告販売行為について,被告A,B及)

びCの同意ないし許可を得た事実はない(争いのない事実)



被告らの行為
被告Aは,平成28年12月5日に被告会社を設立し,被告会社は,遅くとも平成29年4月から,日本において本件発明1の技術的範囲に属する靴ひもである被告製品(COOLKNOT)の販売を開始した(甲24,争い
のない事実。以下被告販売行為という。。被告らが,被告販売行為につ)
いて,原告の同意ないし許可を得た事実はない(争いのない事実)。被告販
売行為に対して,B及びCは許可をした(弁論の全趣旨)


別件訴訟及び中間判決

被告Aは,平成28年6月15日,東京地方裁判所に,原告販売行為は本件特許権1(被告Aの共有持分権)を侵害する等と主張し,原告に対し,損害賠償2億2000万円の支払を求めて訴えを提起した(甲3,93。以下別件訴訟という。。



東京地方裁判所は,平成29年3月,被告Aの請求を棄却する旨の判決をしたところ,被告Aは,これを不服として知的財産高等裁判所に控
訴した(甲94)


被告Aは,控訴審において訴えを変更すると共に,本件定めは特許法73条2項の別段の定めに該当し,原告販売行為は本件定めに違反して本件特許権1に係る被告Aの持分権を侵害する旨の主張を追加した
(甲3)

これに対し原告は,平成30年10月15日に反訴を提起し,仮に本件定めが特許法73条2項の別段の定めに該当する場合には,被告Aによる被告販売行為もまた本件定めに違反するから,被告Aは本件特許権1に係る持分権を喪失した旨主張して,本件各特許権に係る被告Aの持分権の移転登録手続等を求めた(甲3,乙2,以下本件反訴という。。



また,原告は,平成30年12月21日付けで,特許庁に対し,本件特許権1の無効を求めて審判を請求した(乙1,以下本件無効審判請求という。。)


知的財産高等裁判所は,平成30年12月26日,以下のような内容の中間判決を言い渡した(甲3,以下本件中間判決という。。


本件定めは特許法73条2項の別段の定めに該当し,原告販売
行為は同別段の定めに違反するから,本件特許権1に係る被告A
の持分権を侵害する。
本件反訴は,相手方である被告Aの同意がなく,また著しく訴訟手続を遅延させるものであるから,不適法である。


原告は,平成31年2月27日に本件訴訟を提起すると共に,令和元年5月9日に本件反訴を取り下げた(甲111)


3
争点


本案前の争点



本案の争点

被告販売行為が本件定めに違反して本件特許権1(原告の共有持分権)を侵害するか否か(争点1)


被告Aが本件各特許権の持分権を喪失し,原告が被告Aに対して同持分権の移転登録手続又は権利抹消登録手続を求めることができるか否か(争点2)


一般不法行為の成否(争点3)
エ4
損害の発生及びその数額(争点4)

争点についての当事者の主張


本案前の争点

(原告の主張)
特許法は,特許権侵害訴訟と特許無効審判が同時に係属する場合において,互いに異なる判断がされ得ることを許容しているから,特許権侵害訴訟における請求・主張と特許無効審判の請求・主張との間には禁反言の法理は適用されない。
したがって,原告による本件訴訟の提起が禁反言の法理により禁止される
ことはない。
(被告らの主張)
原告は,本件特許1は無効であると自認し,本件無効審判請求をして積極的にその無効判断を求めているにもかかわらず,本件訴訟においては本件特許1が有効であることを前提として権利行使をしようとしており,このよう
な原告の矛盾挙動は禁反言の原則に抵触する。
したがって,原告による本件訴訟の提起は信義則に反し,本件訴えはいずれも訴えの利益を欠くものとして却下されるべきである。
⑵争点1(被告販売行為が本件定めに違反して本件特許権1(原告の共有持分権)を侵害するか否か)について

(原告の主張)

被告Aは被告会社の代表取締役であるから,被告会社に被告製品を販売させたこと(被告販売行為)により,特許法73条2項の別段の定めに該当する本件定めに違反した。また,原告代表者は,平成24年3月24日,被告Aに対し,本件各
特許権に係る発明の共同出願を持ちかけ,被告Aはこれを受諾した。これにより,原告代表者は,被告A,B及びCに対し本件各特許権に係る特許を受ける権利の持分を,発明の完成を停止条件として譲渡した。その後,本件各特許権の出願人である原告,被告A,B及びCは,本件各特許権の出願及び実施品の販売に関して本件共同出願契約を締結した。被告Aによる上記違反行為は本件共同出願契約の債務不履行に該当するから,原告は,本訴状の送達をもって,被告Aに対する本件各特許権に
係る特許を受ける権利の持分譲渡を解除する。これにより,被告Aは,被告販売行為の時点において無権利者ということになる。
したがって,被告販売行為は,本件特許権1に係る原告の持分権を侵害する。

被告らは,被告販売行為の時点において原告は無権利者であったと主張するが,原告は現在もなお本件各特許権の登録を維持しており,本件各特許権の共有特許権者である。特許法98条が登録を特許権の移転等の効力発生要件としているのは,当事者間における効力発生と第三者との関係における効力発生を常に一致させ権利関係を明確にするためであるから,登録がなければ権利移転の効力が生じることはない。

(被告の主張)

原告は,原告販売行為により本件定めに違反し,被告会社が本件各特許権の共有特許権者である被告Aから本件発明を実施する許諾を得て被告販売行為を開始した平成29年4月以前に本件各特許権の持分権を喪失していたのであるから,被告販売行為が原告の本件特許権1に係る持
分権を侵害することはない。
これに対し原告は,上記持分権の喪失につき登録がされていない以上,未だ本件各特許権の共有者であると反論するが,移転登録が未了であっても,少なくとも権利移転の当事者間では,権利移転の効果は相対的に発生していると解するのが合理的である。


また,以下のとおり,被告Aは本件定めに違反しておらず,本件各特許権の共有持分権者である。
本件定めは,本件共同出願契約の当事者である原告,被告A,B及びCを対象としたものであるところ,被告製品を販売しているのは被告会社であって被告Aではない。
本件共同出願契約の下では,一旦他の共有者との事前の協議及び許
可なく生産又は販売を行った者は,共同事業者に対する背信行為を行った者として,本件各特許権に係る発明を実施する権限を失い,共有者の協調関係から排除され,離脱させられるというのが契約当事者の意思である。その後の本件各特許権に係る発明の実施である生産又は販売については,残った者の事前の協議及び許可があれば足り,背信
行為を行った者との事前の協議及び許可は不要になる。
原告販売行為により本件定めに違反する行為を行った原告が,被告会社による被告製品の販売について原告との事前の協議及び許可の欠如を主張することは信義則に反する。

原告は,原告の被告Aに対する本件各特許権に係る特許を受ける権利の持分譲渡の解除を主張するが,本件各特許権に係る発明の発明者は被告A,B及びCの3名であるから,そもそも原告から被告Aへの特許を受ける権利の持分譲渡は存在しない。特許を受ける権利の持分譲渡は,被告A,B及びCから原告に対して行われたのである。

⑶争点2(被告Aが本件各特許権の持分権を喪失し,原告が被告Aに対して同持分権の移転登録手続又は権利抹消登録手続を求めることができるか否か)について
(原告の主張)
本件定めは,違反者に対して本件各特許権の剥奪効を有するから,被告A
は,前記⑵で述べた違反行為により,本件各特許権に係る持分各4分の1を有しないこととなった。また被告販売行為は,被告ら,B及びCの共同不法行為であるから,原告は,被告Aに対し,本件定めに基づき,被告Aが有していた上記持分全部につき移転登録手続を求めることができ,少なくとも権利抹消登録手続を求めることができる。
(被告らの主張)
前記⑵で述べたとおり,被告Aは本件定めに違反していないから,本件各特許権に係る持分を有していないことの確認,同持分の原告に対する移転登録手続又は権利抹消登録手続を求める請求にはいずれも理由がない。⑷争点2(一般不法行為の成否)について
(原告の主張)

被告Aは,原告に対し,平成27年9月頃から平成28年2月頃にかけて,①原告が被告Aから購入するキャタピランについての最低購入数量保証や,②原告が販売するキャタピランの生産工場をCの中国工場に限定することなどを相次いで求めた。原告が為替差損や販売管理コストの多額の負担を理由にこれを謝絶すると,③原告が被告Aから購入するキャタピランに多数の不
良品が混在し,追加で多額の検品コストがかかっている状況にもかかわらず,④約200%という常軌を逸した大幅値上げの通告を一方的に受けるに至った。原告は上記①ないし④の行為を被告Aによる取引拒絶と理解し,原告製品の製造・販売を開始した。これに対し,⑤被告Aは原告販売行為を不服として別件訴訟を提起し,⑥被告会社を設立するとともに,原告に対して協議
も許可も求めることなく被告販売行為を開始した。その後,被告らは,⑦原告の日本での営業努力にフリーライドした宣伝活動((a)キャタピランと被告製品が同一製品であるかのような不正な広告表現をしたこと,(b)東京マラソンEXPOにおいて結ばなくてもいい靴ひも,本家本元クールノ,ットが本物だというトークやキャッチコピーを用いて被告製品を販売した
こと)を行うとともに,⑧原告の信用を貶め,原告の既存取引先やユーザーを狙い撃ちにした不公正な営業活動((a)原告の取引先やイベントの会場,テレビ番組において,原告製品は天然ゴムであるラテックスを使用しているからスパンデックスを使用する被告製品に比べて劣化しやすい旨の虚偽の説明を行ったこと,(b)サーチエンジンでキャタピランと検索すると被告会社のウェブサイトがトップに表示されるようにしたこと,(c)原告のインスタグラムのフォロワーを無差別にフォローしたこと,(d)原告の元従業員を雇って原告の営業情報を入手し,原告の取引先を狙い撃ちした営業活動をしていること)を行った。さらに,被告らは,⑨原告及び原告製品の信用を棄損し((a)原告が取引先であるゼビオスポーツに納入した原告製品を買い取って撤去させ,代わりに被告製品を納品し,原告に対して買い取った原告
製品の買い取りを要求し,卸値を大幅に下回る値段で再流通させたこと,(b)株式会社ヤバネスポーツ(以下ヤバネスポーツという。
)を再生債務
者とする民事再生手続において,原告のスポンサーとしての適格性に疑義がある旨の意見書を提出してヤバネスポーツから原告への事業譲渡を阻止しようとしたこと,(c)原告の取引先担当者にあいつらペテン師である,原告

製品は粗悪品等と誹謗中傷したり,テレビ番組で原告が本件各特許権に係る発明の発明者ではなく原告が勝手に日本で原告販売行為を始めたかのような説明をしたりしたこと)
,⑩本件中間判決を利用して不当な営業活動を
行なった(以下,これらの行為を順に行為①
行為②等という。。

行為①ないし⑩は,これを全体としてみると,原告との取引を継続するこ
とでは利益の拡大が難しいと考え,原告を商流から排除して,C及びBとともに原告の開拓した日本市場にフリーライドし,もっぱら原告と原告代表者の社会的評価を低下させ,その利益を奪う意図のもとに企図して行われたものである。
したがって,行為①ないし⑩は,一連の行為として,原告に対する被告ら
の共同不法行為を構成し,被告らは原告に対する不法行為責任を免れない。(被告の主張)
原告の主張する行為①ないし行為⑩は,否認ないし争う。原告は,行為①ないし行為⑩により,原告のいかなる権利又は法律上保護される利益が侵害されたと主張するのか,法的にどのような意味において不法行為を構成するのか具体的に主張していない。また,被告Aの行為は,いずれも同種の製品を販売する競合会社として自由競争の範囲内で行っている行為にすぎず,原告に対する不法行為を構成するものではない。
⑸争点3(損害の発生及びその数額)
(原告の主張)

本件特許権1の侵害に基づく損害
被告販売行為は被告会社の行為であるが,被告会社は被告Aの一人
会社である上,実質的には被告A自身が被告販売行為を行っているのであるから,被告Aも被告会社と連帯して共同不法行為責任を負う。また,被告Aは,被告製品の販売により原告に損害が生じることについて悪意であるから,会社法429条に基づく損害賠償責任を負う。さらに被告会社が被告Aの一人会社であり,被告会社は被告Aが被告
製品を販売するために設立された会社であるから,法人格否認の法理も適用される。
被告製品の販売数量は1年間に10万個を下回らず,被告会社が平成28年12月5日以降に被告製品の販売によって得た利益の額は8400万円([10万個/1年]×2年×1ペア当たりの限界利益42
0円)を下回らない。原告は,被告が得た上記利益の3分の1である2800万円の損害を被った(民法709条,特許法102条2項)。
また,被告会社による本件特許権1の侵害行為と相当因果関係がある弁護士・弁理士費用相当額は280万円を下回らない。

一般不法行為に基づく損害
行為①ないし行為⑤は被告Aの行為であるが,被告Aは被告会社の代表者であり,被告会社は行為①ないし行為⑤について悪意であるから,被告会社も被告Aと連帯して不法行為責任を負う。また,被告Aは被告会社の代表取締役として行為⑥ないし行為⑩を行ったのであるから,被告会社は会社法350条に基づき被告Aと同額の損害賠償責任を負う。

被告らの違法な営業活動による原告の損害は,以下のとおり,合計●(省略)●を下回らない。
原告製品は,平成29年及び平成30年において,被告らによる違法な営業活動の結果として,平成28年と比較すると合計●(省略)●の売上減少が生じ,原告は逸失利益●(省略)●×1ペア当たりの
限界利益420円)の損害を被った。
また,原告は,被告らによる違法な営業活動により,多くの潜在取引先との商談の機会を失い,逸失利益●(省略)●(有限会社シューズミニッシュとの事業提携頓挫による逸失利益●(省略)●,コロンビアスポーツウェアジャパン株式会社との事業提携頓挫による逸失利
益●(省略)●の合計額)の損害を被った。
さらに,被告らは,原告によるヤバネスポーツの買収を妨害する目的で,民事再生手続において意見書を提出したため,ヤバネスポーツの取引先であったアシックスジャパン株式会社と大塚製薬株式会社が原告によるヤバネスポーツ買収後に取引を再開せず,原告は同2社と
の取引による利益●(省略)●を失った。
(被告の主張)
否認ないし争う。
第3
1
当裁判所の判断
本案前の争点について
被告は,原告は本件特許権1につき本件無効審判請求をしている以上,本件特許権1が有効であることを前提に本件訴えを提起することは矛盾挙動に当たり,本件訴えは信義則に違反して不適法である旨主張する。原告は本件特許権1について本件無効審判請求をしている。しかし,そこで原告が本件特許1に無効理由があるとの主張をしているとしても,特許を無効にすべき旨の審決が確定しない限り特許は有効であり(特許法1
25条参照)
,現在,法的に本件特許1は有効なのであるから,本件におい
て,原告が特許が有効に存在することを前提とする主張をしたとしても,矛盾した挙動がされているとは直ちにはいえず,訴えが不適法になるとは認められない。なお,被告は,それが必要と考えるのであれば,特許権侵害に基づく原告の請求に対して本件特許1が無効審判により無効にされる
べき旨を主張することができる(特許法104条の3)

したがって,本件訴えの提起は訴訟上の禁反言に反する矛盾挙動とは評価できず本件訴えは適法である。なお,請求の趣旨第3項に係る訴えは,本件各特許権に係る自己の共有持分権に基づき,被告Aが本件各特許権の共有持分権を有していないことの確認を求めるものと解され,特許法73
条1項等に照らし紛争の抜本的解決のために確認の利益がないとはいえない。
2
争点1(被告販売行為が本件定めに違反して本件特許権1(原告の共有持分権)を侵害するか否か)ついて



前記前提事実⑷ないし⑹のとおり,本件共同出願契約における本件定めが特許法73条2項の別段の定めに該当すること,原告は平成28年4月以降,被告A,B及びCの同意を得ることなく本件発明の技術的範囲に属する原告製品を製造・販売したこと(原告販売行為)
,被告会社は遅く
とも平成29年4月以降,原告の同意を得ることなく本件発明の技術的範
囲に属する被告製品を販売したこと(被告販売行為)は,当事者間に争いがない。


原告は,被告Aは原告の同意を得ることなく被告会社に被告販売行為をさせたことにより別段の定めである本件定めに違反したから,被告販売行為は本件特許権1に係る原告の持分権を侵害する旨主張する。本件定めは,特許法73条2項の別段の定めとして,本件各特許権
の共有者がその特許発明の実施である生産又は販売をすることについて,事前の協議及び許可を要するとして,他の共有者との事前の協議及び許可がなければ本件発明を実施することができないとしてその実施を制限している。そして,本件定めは,これに違反した場合には

本件の各権利は剥奪される。

との効果を定めるところ,本件定めによって,共有者は他の共
有者の実施に対して許可を与え,また許可を与えないことができ,許可を与えない限り他の共有者は本件各特許権に係る発明を実施することができなかったのに対し,上記剥奪に係る定めにより,違反をした共有者は,違反行為後は,少なくとも,他の共有者に対してそのような許可を与えたり,許可を与えないとしたりする根拠を失うと解するのが相当である。そ
して,その結果,違反者以外の共有者は,違反者との事前の協議及び許可を得なくとも,違反者以外の共有者との事前の協議及び許可により本件各特許権を実施できるようになると解される。
被告Aは,平成29年4月から,原告の協議及び許可を得ることなく被告販売行為を行うなどして本件特許権1を実施し,原告は,被告販売行為
に対して原告の協議及び許可がないとしてこれが本件定めに反すると主張する。しかし,原告は平成28年4月以降の原告販売行為により本件定めに違反しており,その結果,前記に述べたところにより,他の共有者の実施に対して許可を与えたり,許可を与えないとしたりする根拠を失い,被告Aは,平成29年4月時点では,原告の協議及び許可を得ることなく本
件特許権1を実施することができたというべきである。したがって,被告販売行為は本件定めに違反するものではなく,その余を判断するまでもなく,それが原告の本件特許権1に係る持分権を侵害することはない。また原告は,被告Aによる本件定めの違反は本件共同出願契約の債務不履行に該当するから,本件共同出願契約によって行われた本件各特許権に係る特許を受ける権利の持分譲渡を解除するとも主張するが,上記のとおり被告Aが本件定めに違反したとはいえないから,原告の上記主張は前提
を欠く。
したがって,被告Aが本件特許権1に係る原告の持分権を侵害する旨の上記原告の主張には理由がない。


これに対し,原告は,被告Aが本件共同出願契約の締結に際して原告代表者に送信したメールにおいて

皆で取り決めをした生産工場,若しくは販売先など以外で独断で使用したと判明した場合のペナルティが必要になると思います。例えば特許権剥奪など。

と記載したこと(甲58の1)を挙げて,本件定めは違反者のペナルティとして設けられたものであり,違反者以外の契約当事者の利益の保護を図る条項として設けられたものではないと主張する。

しかしながら,前記⑵のように解した場合,本件定めに違反をした者は,本件の各権利を剥奪される結果,少なくとも,他の共有者の実施
に対して許可したり,許可しないとしたりすることができる根拠を失うのであり,前記

解釈は本件定めが違反者のペナルティとして定められた

ことと矛盾するものではない。かえって,違反をした者も,権利の剥奪
に関する上記の定めがあるにかかわらず,その後も,他の共有者の実施に対して,例えば許可を与えないとすることができるとするのは不合理である。原告が指摘する上記メールの内容は前記解釈を左右するものではない。したがって,原告の上記主張には理由がない。
3
争点2(被告Aが本件各特許権の持分権を喪失し,原告が被告Aに対して同持分権の移転登録手続又は権利抹消登録手続を求めることができるか否か)について
原告は,被告Aは本件定めに違反したことにより本件各特許権に係る持分権を喪失したとして,被告Aが同持分を有していないことの確認を求めると共に,本件定めに基づき同持分につき原告に対する移転登録手続等を求めるが,前記2のとおり被告Aは被告販売行為によって本件定めに違反したとはいえ
ないから,原告の主張には理由がない。
4
争点3(一般不法行為の成否)ついて


原告は,被告らが行った行為①ないし⑩は,原告との取引を継続することでは利益の拡大が難しいと考え,原告を前記前提事実⑶記載の商流から排除して,C及びBとともに原告の開拓した日本市場にフリーライドし,
もっぱら原告と原告代表者の社会的評価を低下させて,その利益を奪う意図のもとに企図して行われたといえるから,一連の行為として,原告に対する共同不法行為を構成する旨主張する。

しかしながら,行為①ないし⑩の行為が,原告の開拓した日本市場にフリーライドし,もっぱら原告と原告代表者の社会的評価を低下させ,その利益を奪う意図のもとに,一連の行為と企図して行われたものであると認めるに足りる証拠はない。また,個々の行為は,以下に述べるとおりのものであって,それぞれ一定の根拠があるといえるものがほとんどであり,その内容に照らし,行為①ないし⑩の行為が,一連の行為として,原告の
利益を奪う意図等のもとに企図して行われたとは認められない。また,個々の行為についても,以下に述べるとおり,被告らの行為が社会通念上自由競争の範囲を逸脱するような不公正な行為であったとも認められず,また,違法な行為により原告に損害が発生したとは認められない。ア
行為①ないし④について
原告は,被告らが,平成27年9月頃から平成28年2月頃にかけて,原告が被告Aから購入するキャタピランについての最低購入数量保証をすることや,キャタピランの生産工場をCの中国工場に限定することなどを相次いで求め(行為①②)
,キャタピランに多数の不良品が混在し,
追加で多額の検品コストがかかっている状況にもかかわらず,約200%という常軌を逸した大幅値上げの通告を一方的に行った(行為③④)と主張する。
前記前提事実⑶で述べたとおり,キャタピランは,平成24年7月頃より,Cが中国で製造し,Bが中国で梱包し,被告Aが中国で仕入れ,香港で日本への輸出を手配し,原告が輸入して日本で販売するという商流により販売されており,原告は,日本で販売するキャタピランを被告
Aから購入して調達していた(甲11)
。原告の平成27年におけるキ
ャタピランの販売実績は月間平均8万4000本程度であったところ,被告Aは,平成27年9月頃,原告に対し,月間10万本程度の最低購入数量を保証するように求めたこと(甲9の1,9の4,10の3,11,85,86)
,さらに平成28年1月及び2月には,キャタピラン

の購入価格につき従来の1.5倍以上の値上げを求めたこと(甲11,18ないし19の2)
,平成27年10月頃より被告Aが原告に販売し
たキャタピランには度重なる品質不良が見られ,原告は被告Aに対し再三にわたりその改善を求めていたこと(甲11ないし17,66ないし71の2)が認められる。

もっとも,被告Aが上記最低購入数量の保証及び値上げを求めた背景には,原告が平成26年6月頃に日本における月間30万本以上という販売見込みを示し,被告A,C及びBに新たなキャタピランの生産設備を導入させたものの,その後,キャタピランの販売実績が月間平均8万5000本を下回る水準にとどまり,平成27年1月ないし8月の発注
数量が上記設備導入前にも生産可能であった月間5万本さえも大きく下回る水準にとどまったことがあったと認められる(甲3,78,79,乙8,9)
。また,被告Aが値上げの理由とした人件費の高騰について
は,中国の上海(市内)における平成27年の月額法定最低賃金が平成25年の約1.25倍となり,平成28年も増加傾向にあったことから,理由がなかったわけではない(甲3)

以上を総合すると,被告Aによる上記最低購入数量の保証及び値上げ
要求は,度重なる品質不良の事実を考慮しても,原告を前記4者の商流から排除する目的をもって行われたとは認められず,社会通念上自由競争の範囲を逸脱するような不公正な行為であったとも評価できない。イ
行為⑦について
原告は,被告らが,(a)キャタピランと被告製品が同一製品であるかのような不正な広告表現をしたこと,(b)東京マラソンEXPOにおいて結ばなくてもいい靴ひも,本家本元クールノットが本物だとい

うトークやキャッチコピーを用いて被告製品を販売したことにより,被告製品とキャタピランとの誤認混同を生じさせ,原告の日本における営
業努力にフリーライドした宣伝活動を行った旨主張する。
しかしながら,上記(a)については,被告が被告製品の宣伝チラシに

2012年の特許取得,発売開始以来類型250万セット以上が販売されました。

と記載したこと(甲27),上記(b)については,被告会
社が平成30年2月に開催された東京マラソンEXPOにおいて,被告
製品を本家本元,製造元等と表示・説明して宣伝したこと(甲29の3ないし31)がそれぞれ認められるが,前記前提事実⑶及び⑸のとおり,原告及び被告Aらは,平成24年7月から平成28年4月頃までの間,協力して,日本において本件発明1の実施品であるキャタピランを販売していた。そして,被告製品がそのキャタピランと異なる製品で
あると認めるに足りる証拠もなく,また,上記の平成28年4月頃までの関係を考えると,上記宣伝等の行為が原告の営業努力にフリーライドするものとは評価できない。

行為⑧について
原告は,被告らが,(a)原告の取引先やイベントの会場,テレビ番組において,原告製品は天然ゴムであるラテックスを使用しているからスパ
ンデックスを使用する被告製品に比べて劣化しやすい旨の虚偽の説明を行ったこと,(b)サーチエンジンでキャタピランと検索すると被告会社のウェブサイトがトップに表示されるようにしたこと,(c)原告のインスタグラムのフォロワーを無差別にフォローしたこと,(d)原告の元従業員を雇って原告の営業情報を入手し,原告の取引先を狙い撃ちし
た営業活動をしていることにより,原告の信用を貶め,原告の既存取引先やユーザーを狙い撃ちにした不公正な営業活動を行なった旨主張する。上記(a)については,被告従業員が,平成28年12月頃,原告の取引先であるヤバネスポーツの従業員に対し

クールノットはスパンデックスと呼ばれるゴムを使用しているが,キャタピラン(判決注:原告製品)は使用しておらず,伸縮性が弱いため,ゴムがきれやすい。

と説明したこと(甲28)
,被告Aが,前記東京マラソンEXPOにおいて,来
場者に対し,原告製品のゴムは輪ゴムと同じラテックスであるのに対し,被告製品のゴムはスパンデックスであると説明し,
輪ゴムをたんすの上に置いて1年ほったらかしやとどうなるかと発言したこと(甲29
の1,29の2)がそれぞれ認められる。しかし,原告製品が当時天然ゴムであるラテックスを使用していたことは当事者間に争いがなく,スパンデックス(弾性糸)は,一般的にラテックス(天然ゴム)の数倍の引張り強度を持つことからすれば(甲181,182,187,乙14)
,上記各説明が虚偽であるとまではいえない。

上記(b)及び(c)については,原告が主張する事実が認められるとしても,これらが自由競争の範囲を逸脱するような営業活動とは評価できない。
上記(d)については,被告会社が,平成28年12月以降,同年7月に原告を退職したEを雇用したことが認められるが(甲74)
,同人の転
職に当たって被告らが社会的相当性を逸脱するような勧誘行為を行ったと認めるに足りる証拠はない。また,被告会社による原告の営業情報の
入手が社会通念上自由競争の範囲を逸脱するような不公正な行為であると認めるに足りる証拠はない上,被告らが同じ発明の実施品を販売する競合他社である原告の取引先に営業することが自由競争の範囲を逸脱するとも評価できない。

行為⑨について
原告は,被告らが(a)原告が取引先であるゼビオスポーツに納入した原告製品を買い取って撤去させ,代わりに被告製品を納品し,原告に対して買い取った原告製品の買い取りを要求し,卸値を大幅に下回る値段で再流通させたこと,(b)ヤバネスポーツを再生債務者とする民事再生手
続において,原告のスポンサーとしての適格性に疑義がある旨の意見書を提出してヤバネスポーツから原告への事業譲渡を阻止しようとしたこと,(c)原告の取引先担当者にあいつらペテン師である
,原告製品は
粗悪品等と誹謗中傷したり,テレビ番組で原告が本件各特許権に係る発明の発明者ではなく原告が勝手に日本で原告販売行為を始めたかの
ような説明をしたりしたことにより,原告及び原告製品の信用を棄損した旨主張する。
上記(a)については,被告会社が,平成29年7月頃,小売店で陳列・販売されていた原告製品合計1万1210ペア(小売価格907円,税別)を,ベンゼネラル株式会社の依頼により同社から買い取り,同月4
日及び11日,原告に対して1ペア500円(税別)で買い取るように求めたが,原告がこれに直ちに応じなかったため他社に売却したこと,これらの原告製品は,同年8月,1万本一括,1ペア215円(税別)で卸売りに出されたことが認められる(甲33,34,97,129)。
しかし,被告会社が一旦原告に買取を打診していることからしても,被告らが,原告製品の信用を棄損する目的で積極的に原告製品を小売店から回収して安価で再流通させたとまでは認められない。

上記(b)については,被告が民事再生手続において提出した意見書に虚偽の事実を記載したとは認められず(甲100)
,これがヤバネスポー
ツから原告への事業譲渡を不当に阻止する目的で提出されたとまでは認められない。
上記(c)については,被告Aが,平成30年2月23日,前記東京マラ
ソンEXPOにおいて,原告の取引先の担当者であるFに対し,同Fが原告のブースへ行こうとするとあいつら(判決注:原告)ペテン師だからと言って引き留めたこと(甲32),原告従業員が外国人の来場
者から原告製品と被告製品の違いを尋ねられ,原告製品は日本製で被告製品は中国製である旨説明したところ,被告Aがキャタピラン(判決注:原告製品)はニセモノでクールノットがオリジナルであると言ったこと(甲121)
,原告従業員が,平成30年10月中旬頃,原告の
取引先である株式会社佐藤スポーツの担当者に対しツインズ社は勝手に日本で粗悪品(すぐ切れる)を作り利益を上げていると言ったこと(甲103)が認められる。しかしながら,上記外国人の来場者は被告
Aの上記発言にもかかわらず原告製品を購入していること(甲121),
上記株式会社佐藤スポーツの担当者も原告の担当者に問い合わせをして説明を受け,原告との取引関係を継続していること(甲102)からすれば,少なくとも,原告の信用が実際に棄損されたとまでは認められず,また,原告が主張する損害との因果関係も認められない。


行為⑩について
原告は,被告らが,本件中間判決をあたかも終局的かつ確定的なものであり,その効果として原告製品が入手できなくなったり,原告製品以外の原告の製品にも本件中間判決の効果が及んだりするかのようなプレスリリースやSNS配信を行なった旨主張する。
しかしながら,被告会社が行った本件中間判決に係るプレスリリース
には

今回の中間判決に基づいて直ちにツインズ社によるキャタピラン等の製造・販売が差し止められることはありません。,

今回の中間判決では,販売の差止めについて判断されておりません。

と記載されており(甲41・3頁)
,本件中間判決の効果として原告製品が入手でき
なくなる旨の記載は存在しない。また,被告会社は,上記プレスリリー
スにおいて,原告製品以外の原告の製品であるキャタピーエアー及びキャタピースマートにつき,

弊社としましては,特許権侵害の有無を調査し,知的財産高等裁判所が下した判断に基づいて,ツインズ社,卸売業者及び小売業者に対する適切な法的措置を検討しております。

としており,上記各製品に本件中間判決の効果が及ぶとまでは記
載していない。その他,被告会社の上記プレスリリースが,社会通念上自由競争の範囲を逸脱するような不公正な行為とは認められない。⑶

以上のとおりであるから,被告らによる行為①ないし⑩が,原告に対する不法行為に当たるということはできないし,また,違法な行為により損害が発生したとも認められない。

5
結論
以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求には理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官

柴田義
裁判官

安岡美
裁判官

古川善明香子敬
(別紙)
被告製品
商品名:COOLKNOT(クールノット)
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