判例検索β > 令和1年(わ)第92号
窃盗
事件番号令和1(わ)92
事件名窃盗
裁判年月日令和元年12月12日
裁判所名・部名古屋地方裁判所  半田支部
裁判日:西暦2019-12-12
情報公開日2020-06-04 22:30:50
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主文
被告人を懲役4年に処する
未決勾留日数中60日をその刑に算入する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,Aと共謀の上,令和元年5月17日午前2時28分頃,愛知県常滑市(住所省略)B方駐車場において,同所に駐車中の同人所有又は管理の腕時計等2点が積載された同人管理の普通乗用自動車1台(時価合計約1040万円相当)を窃取したものである。
(法令の適用)
1罰条2刑3
未決勾留日数算入

種の選
刑法60条,235条


懲役刑を選択
刑法21条

(量刑の理由)
1
本件犯行は,被害者が自宅で保管している自動車の鍵(スマートキー)から発せられる微弱な電波を,共犯者において,同自宅に近寄って無線送受信機を用いて増幅させ,被告人が自動車の近くで同機器を用いてその電波を受信することにより,鍵を保有することなく自動車のドアを解錠しエンジンを始動させて乗り去る,いわゆるリレーアタックと呼ばれる手口によるものである。かかる犯行態様は,自動車に損傷を加えず,短時間で盗みを可能にする巧妙なものである。また,被告人らが,高級車が駐車してある地点が多数登録されたカーナビゲーションによって,あらかじめ被害車両の場所を把握し,犯行に先立って被害車両の処分先も確保した上,携帯電話機やトランシーバ,GPS信号妨害機等の道具を準備するなど,入念に準備を重ねていること,犯行後速やかに被害車両のナンバープレートを付け替えるなどの罪証隠滅工作をしていること等に照らせば,本件は極めて計画的かつ手慣れた犯行というべきである。そして,被害車両は時価約1000万円の高額な自動車であり,被害車両自体は被害者に還付され,被害者らにおいて相当額の保険金の支払を受けているとはいえ,被害者は被害車両の買い替えを余儀なくされ,同車両内に積載されていた被害品も未発見であるなど,被害者に実害も生じている。このように,本件犯行は全体としてかなり悪質というべきである。
2
次に,本件犯行における被告人の役割についてみると,被告人は,事前にリレーアタックに用いる無線送受信機や上記カーナビゲーション等を準備し,共犯者を犯行に誘った上,被害車両のエンジンを始動させて乗り去るという実行行為そのものを分担し,犯行後は,共犯者に見張りをさせつつ,自身は被害車両のナンバープレートを付け替えるなどの罪証隠滅工作を行っている。そうすると,被告人が本件犯行において果たした役割は共犯者のそれよりも大きく,被告人が本件犯行を主導したものと評価すべきである。

3
このような本件犯行の悪質性や被告人の役割の重大性に照らせば,本件犯行における被告人の刑事責任は重く,被告人は相当期間の実刑を免れない。
4
他方,被告人が罪を認めた上,被害者に対する謝罪の弁を述べ,被害弁償の意向を示していること,被告人には同種服役前科があるもののかなり古いものであることなど被告人にとって酌むべき事情も認められる。

5
そこで,これらの諸事情を総合考慮した上で,被告人に対しては主文の刑を科すのが相当であると判断した。
よって,主文のとおり判決する。

(求刑―懲役5年)
令和元年12月19日
名古屋地方裁判所半田支部

裁判官松田康孝
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