判例検索β > 令和1年(わ)第656号
現住建造物等放火未遂被告事件
事件番号令和1(わ)656
事件名現住建造物等放火未遂被告事件
裁判年月日令和元年12月23日
法廷名札幌地方裁判所
裁判日:西暦2019-12-23
情報公開日2020-01-28 16:00:10
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令和元年12月23日宣告
令和元年(わ)第656号

現住建造物等放火未遂被告事件
判決主文
被告人を懲役3年に処する
この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,知人であるAとの関係に不満を募らせ,令和元年5月25日午後3時30分頃から同日午後3時43分頃までの間に,Bほか6名が現に住居に使用し,かつ,Aら4名が現にいる札幌市a区bc条d丁目e番f号所在の共同住宅C(木・鉄筋コンクリート造亜鉛メッキ鋼板葺3階建,延べ床面積約322.38平方メートル)g号室B方(以下B方という。)玄関前において,共同住宅の一部を焼損するおそれがあることを認識しながら,持っていた書類及びパック燃料1個にそれぞれチャッカマン型ライターで点火した上,それらをB方玄関ドア郵便差入口に差し入れて火を放ったが,B方の来客が消火したため,玄関ドアの一部を焦がしたにとどまった。
(証拠の標目)
(略)
(法令の適用)
罰刑条種の選
刑法112条,108条


有期懲役刑

法律上の減軽

刑法43条本文,68条3号

刑の執行猶予

刑法25条1項

訴訟費用の不負担

刑訴法181条1項ただし書(量刑の理由)
本件の犯行態様は,火を点けた書類の束及びパック燃料を玄関ドアの郵便差入口の中に差し入れたというものであるが,火が広く燃え広がるまで意図されたものではなかった。また,住人が恐怖を感じたというのももっともではあるが,その生命や身体への現実的な危険が生じる前に消火されている。
本件の動機は理解しづらいところがあるが,被告人は,知人からの外出の誘いを断ることができないことなどから,強い困惑やストレスを抱え,それを解消する方法として,その自宅玄関ドアに放火することを思い至ったと述べる。その背景には,被告人が,自閉スペクトラム症の影響で,周囲との関係で困惑やストレスを抱え,それに適切に対処できずにいる中で放火という方法に思い至り,それに執着し,実行したという面もあるから,これらの一連の経緯において被告人を責めきれない部分もある。
そうすると,本件は,前科のない単独犯による現住建造物等放火未遂という同種事案の中で,重い部類には位置付けられず,刑の執行を猶予することが適当である。そして,被告人については,その障害を踏まえると,実刑を科すよりも社会内で福祉による支援を受けつつ更生に努めさせることの意義も認められ,被告人の両親や福祉関係者の支援のもと,自力での更生も期待できるから,主文の結論に至った。(検察官

志村康之,横田英剛,弁護人

玉川まき(主任),仲世古善樹

席)
(求刑

懲役3年)

令和元年12月23日
札幌地方裁判所刑事第1部

裁判長裁判官

島戸純
各出

裁判官

平手健太郎
裁判官大木峻は差支えのため署名押印できない。

裁判長裁判官

島戸純
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