判例検索β > 令和1年(行コ)第202号
事件番号令和1(行コ)202
裁判年月日令和元年12月24日
法廷名東京高等裁判所
裁判日:西暦2019-12-24
情報公開日2020-01-28 14:00:07
戻る / PDF版
主文1
原判決を取り消す。

2
本件を東京地方裁判所に差し戻す。
事実及び理由

第1

控訴の趣旨
主文と同旨

第2
1
事案の概要(略称は,原判決のものを用いる。)
本件は,控訴人らが,被控訴人に対し,納税者基本権及び人格権に基づき,天皇の即位に伴い行われる原判決別表記載の即位の礼及び大嘗祭関係諸儀式等(本件諸儀式等)に係る国費の支出の差止めを求める事案である。原審は,本件訴えはいずれも不適法であり,その不備を補正することができないとして,口頭弁論を経ることなく訴えを却下した。そこで,控訴人らがこれを不服として控訴した。

2
第3
1
控訴人らの控訴理由は,別紙控訴理由書記載のとおりである。
当裁判所の判断
原審は,控訴人らが主張する納税者基本権について,裁判上の救済を受けることができる具体的権利ないし利益として保障されていると解することはできず,本件訴えの実質は,国民一般の地位に基づき,本件諸儀式等に係る国費の支出につき,その違憲・違法を理由として差止めを求めるものであって,民衆訴訟(行政事件訴訟法5条)に該当するものであるが,そのような訴訟を提起することを認める法律の規定は存在しないから,控訴人らの訴えはいずれも不適法でその不備を補正することができないと判断した。
しかしながら,本件訴状には,

本件諸儀式が,原告らの信仰の自由を侵害するおそれがあることは明らかである。

原告らは,その思想と良心に対する強い圧迫感と侵害を感じるものである。

などと記載され,結論として,原告らは,被告に対し,納税者基本権および人格権に基づいて,政教分離原則違反,主権者としての地位(国民主権),その他憲法上の人権その他諸規定違反である本件諸儀式への国費の支出の差止めを求めると記載されているのであるから,控訴人らの差止請求が,納税者基本権のほか人格権に基づくものでもあることは明らかである。このように人格権に基づくことが明記された請求が控訴人らの固有の法律上の利益に基づく請求ではあり得ないとするには無理があり,そうすると,原審は,控訴人らの人格権に基づく請求については何ら判断することなく,補正の余地がないとして控訴人らの訴えを却下したものといわざるを得ない。したがって,原審が,控訴人らの訴えを行政事件訴訟法7条,民事訴訟法140条により口頭弁論を経ないで訴えを却下したことは不適法であり,原判決は,判決の手続が法律に違反したものとして,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法306条により取消しを免れない。
2
以上によれば,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法140条により口頭弁論を経ないで訴えを却下すべきものとした原判決は相当ではないからこれを取り消し,本件を東京地方裁判所に差し戻すこととする。
よって,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第7民事部

裁判長裁判官

足立哲
裁判官

濱口浩
裁判官

森健二
トップに戻る

saiban.in