判例検索β > 令和1年(わ)第1627号
窃盗
事件番号令和1(わ)1627
事件名窃盗
裁判年月日令和元年11月8日
裁判所名・部名古屋地方裁判所  刑事第5部
裁判日:西暦2019-11-08
情報公開日2020-06-04 22:31:46
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主文
被告人を懲役2年10月に処する
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,A及びBと共謀の上,平成30年11月8日午後2時22分頃,名古屋市a区bc丁目d番e号fビル北側出入口付近において,Bをして,同出入口に向かって歩いていたC(当時78歳)の後方から近づき,Cが手に持っていたDほか1名所有の現金3757万6628円及び実印等2点在中のかばん1個(時価合計約10万円相当)をひったくり窃取した。
(量刑の理由)
本件は,被害額が多額である点,被害者らが金融機関から多額の現金を運搬するとの事前情報に基づき敢行された犯行であって計画性が高い点で悪質である。重大な被害を受け,被害回復の措置を受けていない現金所有者が被告人らに対する厳重処罰を求めるのは当然である。
被告人は,雇主のAから,犯行計画を知らされて本件に加担することになり,Aに指示された前記金融機関所在場所付近に赴いた上,Aの指示に従うなどして,同所付近から本件現場付近まで,知人のBと共に,現金を運搬する被害者らを追跡するなどの役割を分担した挙げ句,本件に及んでいる。被告人の供述するところによれば,本件犯行後,Aから,200万円を分け前とされ,借金返済等の名目で控除された残りの40万円を受け取っている。被告人は,平成30年9月,本件と同種の窃盗罪により懲役1年6月,5年間執行猶予の判決を受け,社会内で更生する機会が与えられたにもかかわらず,同言渡しから2か月足らずのうちに本件に及んでおり,被告人が本件を決意した意思決定は非難に値する。
しかしながら,被告人がAと比べると地位が下で,ひったくりの実行行為を担当していない。また,被告人の分け前が被害額全体に占める割合としては多いとはいえない上,被告人の供述するところによれば,被告人は,Aから高利で借金をしたかたちとされていて,前記40万円も,後日,Aらから,借金返済等の名目で取り上げられて,手元に残らなかった,ということであり,財産的利益を直接的,実質的に享受したとは言い難い。さらに,被告人が,捜査段階の途中から,Aの関与を含め,事実を詳しく供述し,反省の情を示している。これらの被告人にとって酌むべき事情は,量刑上,相応に考慮する必要がある。その他,被告人の母親が被告人の身元引受等を約束しているという事情もあるが,これらの被告人にとって酌むべき事情を踏まえても,被告人の刑事責任は重く,本件の刑期は,本来相当長期間となる。
もっとも,本件が,確定裁判前の余罪であり,被告人は,前記確定裁判に係る別罪により懲役1年8月の実刑判決を受けている。本件が確定裁判に係る別罪と併合して審判された場合と対比して,全体としての刑期が過酷なものとならないように配慮する必要がある。また,前記執行猶予が取り消され,被告人は,懲役1年6月を併せて服役することになっているが,被告人にとって初めての服役である。これらの事情を考慮すると,被告人の刑期を主文の程度にとどめるのが相当であると判断した。
(求刑

懲役4年6月)

(検察官吉川剛史,同庭野永基,国選弁護金丸健夫各出席)
令和元年11月8日
名古屋地方裁判所刑事第5部
裁判官

板津正道
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