判例検索β > 平成29年(わ)第1366号
不正作出支払用カード電磁的記録供用、窃盗
事件番号平成29(わ)1366
事件名不正作出支払用カード電磁的記録供用,窃盗
裁判年月日令和元年11月8日
裁判所名・部福岡地方裁判所  第4刑事部
裁判日:西暦2019-11-08
情報公開日2020-01-16 16:00:38
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主文理由
被告人は無罪

第1

本件公訴事実の要旨

被告人は,A,B及び氏名不詳者らと共謀の上,南アフリカ共和国所在のRバンク発行の会員番号●●●●●●●●●●●●●●●●等のデビットカードを構成する人の財産上の事務処理の用に供する電磁的記録を不正に作出して構成された不正電磁的記録カード46枚を使用して現金を窃取しようと考え,別表1記載のとおり,更にC,D,E,F,G,Hらとそれぞれ共謀の上,平成28年5月15日午前6時11分頃から同日午前8時39分頃までの間,783回にわたり,福岡市博多区ab丁目c番d号のSコンビニエンスストアほか71か所において,人の財産上の事務処理を誤らせる目的で,前記カード46枚を前記各所設置の現金自動預払機に挿入して前記カード46枚の電磁的記録を読み取らせて同機を作動させ,同カード46枚の電磁的記録を人の財産上の事務処理の用に供するとともに,同機から株式会社T代表取締役Iほか1名管理に係る現金合計7830万円を引き出して窃取した。
第2
1
争点等
本件において,Aが,偽造デビッドカードを用いてATMから現金を盗むと
いう組織的な引き出し窃盗である本件犯行を画策し,Jをして同カード約100枚を持たせて福岡市に向かわせ,BはこれをJから受け取り,別表1共犯者欄記載の実行犯らに同カードを配付し,同実行犯らは,それぞれ,同犯行日時欄記載の日時に,同犯行場所欄記載の場所において同カードを用いてATMから現金を引き出して窃取したことについては争いがなく,
これらの事実は関係証拠により認められる。
2
本件の主たる争点は,被告人とA及びBらとの間で,本件犯行について共謀
が成立していたかである。
検察官は,①Aが,被告人を本件犯行に関与させる旨の発言等をしていたこと,②本件犯行の2日前の平成28年5月13日に,Aが福岡で本件犯行についてBらに説明した際,被告人もその場にいたことから,被告人も本件犯行の謀議に加わっていたと推認されること,③BがJから偽造カードを受領するに当たり,被告人がAとBの間に入って連絡を取っていたと推認されること,
④被告人がKに指示して,
Bらから窃取金等を受領させていること,⑤被告人が,回収した窃取金から190数万円を受領していること,⑥本件発覚後,被告人の関与を前提とする言動を被告人や共犯者がとっていたことを総合考慮すると,被告人とAやBらとの間の共謀の成立が認められる,と主張している。
第3

当裁判所の判断

1
前提事実

関係各証拠によれば,以下の事実が認められる(以下の月日の記載はいずれも平成28年である。。



Aは,氏名不詳者ら(Aは,L及びMであると供述している。
)から,偽造

デビッドカードを用いてATMから現金を盗むという組織的な引き出し窃盗を持ちかけられ,九州地方における本件犯行に及ぶこととし,不正電磁的記録カード(以下本件不正カードという。
)100枚を入手し,Jに同カード100枚を持たせ
て福岡市に向かわせた。


Bは,5月14日夜,Jが宿泊した福岡市内eのUホテル前において,A
から指示を受けたJから本件不正カード100枚を受け取った。Bは,その後,直接又は間接に別表1共犯者欄記載の実行犯らに本件不正カードを配付し,実行犯らは,それぞれ,同犯行日時欄記載の日時に,同犯行場所欄記載の場所において本件不正カードを用いてATMから現金を引き出して窃取した。


Bは,翌15日,引き出された窃取金を直接又は間接に各実行犯らから回
収した。


Bは,同日,fにあるファミリーレストランV付近でKに前記窃取金を交
付した。Kは,同日夜,Aの指示を受けて被告人と連絡を取り,自動車を運転して福岡市内g団地付近バス停に行き,
被告人に190数万円を渡した。
その後,
Kは,
Jが宿泊していたホテルに行ってその残りの現金を渡し,現金を携えたJを福岡空港まで送った。Jは福岡空港から航空機に搭乗してこれを東京に持ち帰り,Aに渡した。
2
検察官の主張①について


検察官は,Aが,同人が九州の兄貴と称する人物を本件犯行に関与させる
旨の発言等をしており,当該人物は被告人であると認められることを共謀成立の間接事実として主張する。


この点に関し,Aが率いるグループに属し,過去に違法行為等に関与した
ことがあるというNは,本件犯行の話が具体的になった3月ないし4月頃,Aが,

九州の兄貴も人が用意できるから九州にも話を振ろうと思う。

と言い,Aから

九州の兄貴に幾らつければ失礼じゃないのか。と相談を受けた旨供述する。

また,
同グループに属し,別件のATMからの現金引き出し事件に関与したOは,3月ないし4月頃,Aが

兄貴にももうけさせてあげんば。

と言い,九州の兄貴に人を集めてもらうという趣旨のことを言っていた旨供述する。
N及びOは,いずれも被告人と面識はなく同人との利害関係はうかがわれない。また,Aがしたとされる発言の時期や内容にも類似性があり,その限りにおいては相応の信用性が認められる。
しかしながら,N及びOは本件犯行に直接関与した者ではなく,Aによる九州の兄貴に関する発言内容は,前記のとおり,九州の兄貴に持ち掛けようと思うという趣旨にとどまり,Aが,その後実際に九州の兄貴に働きかけを行ったのか否か,どのような働きかけをしたのかについては判然とせず,Aの前記発言をもって本件犯行に関し被告人とAが共謀に及んだ事実を推認するに足りない。なお,Aは,被告人以外の第三者との会話の中で,被告人のことを九州の兄貴と表現したことがあることは認めているが,他方で,これは,周囲に対しあたかも自分には後ろ盾があるかのように振る舞うためであった旨供述している。Aは,過去に被告人と同じ暴力団に属し,その当時被告人の下位の立場にあり,その後両名が暴力団を脱退した後も被告人にトラブルの解決を依頼するなどの付き合いを継続しており,後記のとおり,被告人からたびたび借金をしたりしていたことを考慮すると,被告人に有利な証言をする可能性があり,その信用性については慎重な検討が必要であるが,Aは本件犯行までにも,複数の者が関与する様々な違法行為に関わってきたというのであり,また,Nは,Aをして知能犯としては甘いと評した上,Aから持ち掛けられた犯罪行為の中にはリスクが高いなどの理由から断ったこともあったというのであって,Aと,Nら同じグループ内の者との間において駆け引きがあったとしても不自然ではなく,Aの前記供述を排斥することはできない。加えて,N及びOの各供述にかかる九州の兄貴に関するエピソードは断片的であって,その真偽の裏付けはない。したがって,Aが九州の兄貴と表現したとしても,虚実織り交ぜて発言した可能性は否定できない。


検察官は,さらに,Oが,本件犯行後,Aから九州の兄貴に電話をして注
意喚起するよう指示され,その旨電話で伝えたことからして,Aが九州の兄貴に出し子を集める話を持ち掛け,九州の兄貴がそのような関与をしたことが推認されると主張する。しかしながら,Oは被告人との間で面識もなく,前記の電話も短い会話にとどまっており,また,Oの供述によっても,公衆電話からAの指示する番号に宛てて電話をかけた,その電話番号は覚えていない,というのであって,電話の相手が被告人であったとの裏付けはない。
したがって,以上の点を併せ検討しても,Aが被告人に対して出し子を集める話を持ち掛けるなどして本件犯行につき共謀を遂げたとの事実を推認することはできない。
3
検察官の主張②について


検察官は,
5月13日夜,
AがW警察署付近のガソリンスタンドにおいて,

B,
H及びFといった本件実行犯らと合流し,
本件犯行についてBらに説明した際,
被告人もその場にいたことからすれば,本件犯行に関する謀議がなされ,これに被告人が加わっていたものと推認される旨主張する。
しかしながら,被告人がBを含む本件実行犯らのうちの数名やAと合流したとの事実をもって,その場で本件犯行の謀議がなされたとまで推認するには足りない。その経緯として,被告人やBらの共通の知人であるPが同日,W警察署に呼び出されたことを知り,
同人を心配して前記ガソリンスタンドに行ったとする点において,B,H及び被告人の各供述は一致しており,これらの供述にかかる経緯で合流した可能性が否定できない。なお,AとBが本件犯行について話をした場所や状況等に関する両名の供述は相違する部分が多く,Bのこの点に関する供述は捜査段階のものから変遷していることがうかがわれるものの,ガソリンスタンド又はその後博多駅付近に移動の途中ないし移動後に話をし,この間,被告人はその近くにいたことはなかったとする点において両名の供述は共通しており,その供述を覆すに足る証拠はない。


この点に関し検察官は,被告人らが,深夜PのためにW警察署付近に参集
しなければならない必要性,緊急性はなく,被告人,B,A及びHの供述には信用性がない旨主張する。しかしながら,共通の知人が警察署に連れて行かれたとの情報に接してとりあえず当該警察署付近に行き,明確な目的や手順等を打ち合わせることもなく,ただなりゆきを見守るために集まることもないとはいえない。以上によれば,5月13日に,Aが福岡で本件犯行についてBらに説明した際,被告人もその場にいたことは,被告人とAらとの間の共謀の成立を積極的に推認させる事情とはいえない。
4
検察官の主張③について


検察官は,JがAの指示に従い,Bに本件不正カードを交付した前後に,
A・被告人間,被告人・B間に通話履歴はあるが,A・B間の通話履歴がないことから,BがJから本件不正カードを受領するに当たり,被告人がAとBの間に入って連絡を取っていたと推認されると主張する。


Jは,本件不正カードをBに交付した経緯につき,5月14日午後7時前後頃,Uホテルにチェックインした後,㋐Aから電話で本件不正カードの枚数を確認するよう指示され,100枚あることを確認の上,㋑Aにその結果を電話で伝えた,その後,㋒Aから,ホテルの下にいる男に渡してくれと電話で指示され,指示通りに渡した,
その後㋓Aから電話で

お疲れさん。などと言われた,

と供述する。
そして,捜査機関が被告人や共犯者が使用していたものとして把握した携帯電話機による通話履歴のうち,同日午後7時23分頃から50分頃の間のJ,A,被告人及びBとの間のものは別表2のとおりであり,前記㋑が番号1に,㋒が番号7に,㋓が番号9にそれぞれ対応しているとみることもでき,そうすると,検察官主張のとおり,この間にA・被告人間,被告人・B間に通話履歴はある(番号2ないし6等)が,A・B間の通話履歴はない。
しかしながら,Bは,本件当時使用していた契約者D名義の携帯電話機(別表2におけるBの通話履歴はこの携帯電話機によるものである。
)のほかにもいわゆる
飛ばしの携帯電話機を2台使用しており,飛ばしの携帯電話機は本件犯行後電池とチップを抜いて捨てた,カードの受け取りに当たってはAからその場所などを指示された旨供述しており,Aは,押収された携帯電話機のほかにも複数台の携帯電話機を所持しており,押収されたもの以外は本件犯行後廃棄した,BにUホテルに来るように言ったのは自分である旨供述する。B及びAは,様々な違法行為に関与していたというのであって,そのために飛ばしの携帯電話機を複数所持していたとしても不自然であるとは言えず,逮捕時等にも他人名義の携帯電話機を複数所持していたことに鑑みれば,
別表2の各通話履歴以外に通話があった可能性は否定できず,
A及びBの前記各供述を虚偽であるとして排斥することはできない。そして,被告人・A間,被告人・B間の通話に関し,AがBと連絡がとれないことに関し被告人に問い合わせ,これを受けた被告人がBにその旨伝えるなどしたものであるとの被告人供述もまた排斥することができない。
したがって,別表2の通話履歴の内容から本件犯行における被告人の関与や被告人とAらとの間の共謀の成立を推認することはできない。
5
検察官の主張④について


検察官は,Kの供述や通話履歴から,被告人がKに指示して,Bから窃取
金等を受領させていることが認定でき,これらの事実から共謀が推認される旨主張する。


Kは,Bから現金を受け取った前後の経緯につき次のとおり供述する。5
月15日午後6時頃,Aから,空港までAの会社の人を送ってほしい,その前にその人に渡してもらいたい物がある,それを受け取って迎えに行ってくれと電話で依頼された上,

今から言う番号の人に連絡して指示を受けてほしいと言われ,


の番号に電話をかけた。
Aから連絡をとるように言われたと告げると,
相手は,の
f
ファミリーレストランV辺りでお金を持ってくる人と落ち合ってお金をもらってくれんかね,
と言った。
午後7時前頃にfのファミリーレストランV裏に着いたので,
先ほどの番号に電話したところ,相手は,自動車の色と種類を指定して

そこで待っとって。

と言った。その後その自動車が来て,やくざ風の人が近づき現金入りボストンバッグを後部座席に置き,もう一人の人物からカードを渡された。
カー

ドのことは聞いていなかったので,
Aに電話をかけてカードがあると報告し,
また,
枚数を数えたところ当初は1枚足りない状態であったので通話状態のままやくざ風の人に携帯電話機を渡して通話を替わり,同人とAが会話した。

Aに電

話をかけ,お金を預かりました,どうしたらいいですかと言うと,Aは,さっき電話で話した方にもう1回かけてその方に190数万円を渡してほしい旨言われた。これに対し,
Aは,
KにfのファミリーレストランVを指示したのは自分であり,
その際,押収された携帯電話機以外のものを使った旨供述し,BもfのファミリーレストランVで現金を渡すよう指示したのはAである旨供述する。また,被告人はKに前記のような指示をしたことを否定し,Aから預かった金をファミリーレストランXに持ってくるよう伝える内容の電話であった旨供述する。
そこでKの前記供述を検討するに,同日午後6時23分頃から午後7時53分頃までの間の捜査機関が把握しているK,A,被告人及びBとの間の通話履歴は別表が番号8

番号9

それぞれ対応しているとみることもでき,Aから番号を教えら

れ,その番号にかけたという経緯は通話履歴ともよく整合している。しかしながら,番号1に先立つ午後6時18分にもAからKへの通話があり,被告人からKへの番号3及び番号6の通話やAからKへの番号7の通話も存するところ,Kの供述には

Kから

電話をかけたとの供述は,Aから発信したとの通話履歴(番号9)から認められる事実関係にも反するなど,必ずしも十分な説明がなされているとは言えない。さらに,被告人が本件犯行の内容を知ってKに指示してBから窃取金等を受領させたとすると,被告人はKをしてfのファミリーレストランV周辺に移動させ,Bと合流させて窃取金等を受け取らせた上,次はg付近に移動させ,窃取金の中から被告人に190数万円を交付させるなど,Kをして福岡市内を転々とさせたことになる。Kは,もともとJの宿泊するeのUホテルに行って同人に窃取金を渡して福岡空港に送る役目を担っていたのであり,現にJが搭乗予定の便にようやく間に合ったというほど切迫した状況にあったことからすれば,BとK両名に指示して,窃取金授受の際にその中から被告人の取り分を取り分けてBをして被告人のもとに持ってこさせたり,被告人を含めて三人で合流したり,Jが宿泊するUホテルやその周辺で合流したりすることが合理的であったということもでき,前記指示内容は,本件犯行内容を知る者の指示としては不自然な点があることは否定できない。したがって,Kの前記証言の信用性については疑問が残る。そして,Kが前記のとおり福岡市内を転々とする指示を受けるに至った経緯としては,AやBが被告人に本件犯行を秘して行動し,一方でAが被告人に対する借金返済のためKをして被告人に連絡をとらせ,その場所等を打ち合わせさせる限度で被告人を関与させたとみることも十分に可能である。
以上のとおり,被告人がKに指示して窃取金を受け取らせたとの事実についてはなお,合理的な疑いを入れる余地がある。
6
検察官の主張⑤について


検察官は,被告人が,回収された窃取金から190数万円を受領している
ことから本件犯行に関与したことが推認される旨主張する。


しかしながら,A及び被告人の各供述は,Aが,被告人から,洋服の仕入
れ資金に充てるため短期の借入として300万円を借りたこと,その後100万円を返済したが200万円の残りがあり,ずるずると返済を延ばしていたこと,5月13日や14日にもその返済についての話をしており,前記190数万円はその借金の返済であったとする点について一致しており,Aがたびたび被告人から借金をし,約束どおりに返済できずにいたことについてはB及びHも供述するところである。
この点について検察官は,Aは,本件犯行による窃取金総額を約1億円と見込んでいたのであるから,200万円の返済資金に充てるためには窃取金総額の2パーセントの取り分があれば足りるのに,Aがその上位の共犯者に対して了解を得たという取り分は2.5パーセントであったから,Aの前記供述は信用できない旨主張する。しかしながら,窃取金額は予想に過ぎず,また,共犯者間において自己の取り分を多めに交渉することも十分に考えられる。さらに,検察官は,Aは,銀行口座に入金するなどのより簡便な手段をとらず,手渡しに固執していたから,犯罪に起因する現金であることは容易に想定できるにもかかわらず,被告人は何らこの点について問い質していないことからして,犯罪に由来するものであることを認識していたと主張する。しかしながら,被告人供述によると,Aからの返済は現金の手渡しによることが多く,前記190数万円の受領についても特に疑問には思わなかったというのであり,その供述が不自然であるとまではいえない。以上のとおり,本件犯行直後に被告人が190数万円を受領している事実をもって,被告人において,それが本件犯行による窃取金の一部であることを認識していたこと,
ひいては本件犯行による報酬であると認識したことを推認するに足りない。7
検察官の主張⑥について


検察官は,本件発覚後,本件共犯者であるA,B及びHが,いずれも被告
人に相談していたことからして,本件犯行に被告人が関与したことが推認されると主張する。しかしながら,A,B及びHは,いずれも被告人が本件犯行に関与したことを否定する供述をしており,事後の相談をしたことをもって被告人が犯行に関与したことを推認するに足りない。また,検察官は,Qの捜査段階供述によれば,㈠Hが,本件犯行後,Aが被告人に話を持ってきたなどと話したこと,㈡被告人がHやQに対し,

俺は捕まらんけん,Bが全部動いてるけん。状況証拠しかない。

と話したことが認められ,これらは被告人が本件犯行に関与したことを推認させる旨主張する。


しかしながら,㈠については,被告人の関与を否定するHの供述が存する
ところ,被告人との間で金銭をめぐるトラブルがあったことがうかがわれるQの供述の信用性を認めるに足りない。㈡については,Hが当該発言を否定する供述をしているほか,仮に当該発言があったとしても,その内容は,被告人が関与していないことを前提とするものともみられることからすれば,検察官の主張はいずれも採用できない。
第4

結論

以上によれば,検察官の主張する事実は,いずれも被告人とAらとの共謀の成立を推認させるものとはいえず,
ほかに共謀の成立を積極的に推認させる事情はない。
そうすると,被告人がAらとの間において本件犯行につき共謀が成立したと認定するには合理的な疑いが残る。
したがって,本件公訴事実については犯罪の証明がなかったことになるから,刑事訴訟法336条により,被告人に対し無罪の言渡しをする。
(求刑-懲役10年
令和元年11月8日
福岡地方裁判所第4刑事部

裁判官

中田幹人
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