判例検索β > 平成29年(行ウ)第29号
京都スタジアム建設にかかわる違法公金支出差止等請求事件
事件番号平成29(行ウ)29
事件名京都スタジアム建設にかかわる違法公金支出差止等請求事件
裁判年月日令和元年7月16日
裁判所名・部京都地方裁判所  第3民事部
結果棄却
裁判日:西暦2019-07-16
情報公開日2020-06-04 22:34:40
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主文1
原告らの請求をいずれも棄却する。

2
訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由

第1
1
請求
29号事件
被告京都府知事は,京都スタジアム(仮称)整備事業に関して,一切の公金
を支出してはならない。
2
31号事件
被告亀岡市長は,京都スタジアム(仮称)整備事業に関して,一切の公金を支
出してはならない。
第2
1
事案の概要
本件は,亀岡市の住民である原告らが,京都府及び亀岡市が事業主体となって亀岡駅北土地区画整理事業地内に京都スタジアム(仮称)
(以下本件スタジアムという。
)を建設することを内容とする整備事業(以下本件事業とい

う。
)に関して,①

京都府が行った費用便益の算出に誤りがあり,経済的合理

性のない本件事業に公金を支出することは地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に違反する,②

本件事業は天然記念物であるアユモドキの生存を脅

かし,その保存に影響を及ぼす行為等に該当し,本件事業に公金を支出することは文化財保護法125条1項等に違反するなどと主張して,執行機関である
被告京都府知事及び被告亀岡市長に対し,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,各公金支出の差止めを求める住民訴訟である。
2
前提事実(顕著な事実,当事者間に争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
当事者


原告らは,いずれも京都府亀岡市の住民である。

被告京都府知事は,京都府の執行機関である。


被告亀岡市長は,亀岡市の執行機関である。
本件事業の概要
本件事業は,
亀岡駅北側の亀岡市a町地内において,
京都府及び亀岡市が事

業主体となり,
専用球技場である本件スタジアムを建設することを内容とする
事業である。平成26年に京都府が本件事業に係る基本設計を作成し,平成27年6月の府議会で本件事業に関する補正予算が可決された。
本件事業において建設が予定されている本件スタジアムは,
用地面積約3万
3000平方メートル,建築面積約1万5500平方メートル,延床面積約3
万3000平方メートル,階数4階,高さ約28メートル,座席数約2万1610席,鉄筋コンクリート一部鉄骨造の構造となることが計画されている。本件事業のための事業費は,約167億円が見込まれ,京都府がうち約147億円を,亀岡市がうち約20億円を負担することが予定されている。本件事業は,基本設計が作成された当初,本件スタジアムを亀岡市b町c他
に所在する亀岡市都市計画公園用地(以下変更前用地という。
)に建設す
る計画であったが,
アユモドキ等の生息環境保全のため,
京都府及び亀岡市は,
平成28年8月24日,建設位置を亀岡駅北土地区画整理事業用地(以下変更後用地という。)に変更することとした(以下,この用地の変更を用地変更という。。)



監査請求前置
29号事件原告らは,平成29年6月2日,京都府監査委員に対し,本件事業に関し,
本件事業への公金支出は違法であると主張して差止めを求める
住民監査請求をした(弁論併合前の29号事件の甲1。以下,弁論併合前に提出された書証については,
29号事件甲1のようにいう。。


京都府監査委員は,同年7月31日付けで,29号事件原告らに対し,本件監査請求には理由がない旨の監査結果の通知をした(29号事件甲1)。

31号事件原告らは,平成29年6月23日,亀岡市監査委員に対し,本件事業に関し,
本件事業への公金支出は違法であると主張して差止めを求め
る住民監査請求をした(31号事件甲1の1)

亀岡市監査委員は,同年8月21日付けで,31号事件原告らに対し,本件監査請求には理由がない旨の監査結果の通知をした(31号事件甲2)。

本訴提起
29号事件原告らは平成29年8月31日に,31号事件原告らは平成29年9月20日に,それぞれ本件訴えを提起した。
3
争点及び当事者の主張
本件の争点は,京都府及び亀岡市による本件事業に関する各公金支出(以下
本件財務会計行為という。)の適法性であ

本件事業が

必要性,
経済的合理性を欠き,
本件事業への公金支出が地方自治法2条14項,
地方財政法4条1項に違反するか
(争点1)


本件事業が文化財保護法12

5条1項等の法令に違反するか(争点2)である。


地方自治法2条14項,地方財政法4条1項違反の有無(争点1)ア
京都府知事による公金支出関係

(原告らの主張)
本件事業は,以下のとおり,費用に対する便益が上回らないから経済的合理性に欠け,必要性もないから,そのような事業に公金を支出することは,地方公共団体が最小の経費で最大の効果を挙げなければならないとする地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に反し,違法である。本件事業に経済的合理性がないこと
京都府は,本件事業について,国土交通省が作成した大規模公園費用対効果分析手法マニュアル(以下国交省マニュアルという。
)に

基づいて費用便益分析を行い,便益が290億6300万円,費用が188億6000万円又は192億9300万円であり,いずれも費用に対して便益が上回ると算定した。しかし,上記の算定には以下のとおり誤りがあり,正しく計算し直せば本件事業の費用を便益が上回ることはないから,本件事業には経済的合理性がない。
a
そもそも本件スタジアムは国交省マニュアルが対象とする大規模
公園ではないから,これに基づく費用便益分析は誤りである。

b
仮に,国交省マニュアルを用いて費用便益分析を行うとしても,その計算には以下のような誤りがある。
京都府は,本件事業の便益を算定するに当たり,旅行費用法を用いて本件スタジアムの直接利用価値を算定しているが,
本件スタジアム

は,
旅行費用法を用いることが想定されている本来の公園施設と異な
り,直接的な利用価値を算定することが容易であること,後述のような需要の変動リスク要因が存在することからすれば,
旅行費用法を用
いるのは誤りである。
また,京都府は,本件事業の便益の算定に際し,本件スタジアムを
主に使用するプロサッカーチームの戦績と人気が影響する需要の変動リスク要因を考慮せず,
本件スタジアムの利用者が支払うイベント
参加の対価を旅行費用に含めることなく,過大な集客数,利用者数を予測している。本件事業の便益として考慮できるのは,本件スタジアムを新設することにより,
現在プロサッカーチームが利用している西

京極スタジアムのみで試合を開催する場合よりも利用者が増加する部分に限られるべきである。このように,京都府による便益の算定方法には誤りがあり,便益が過大に算定されている。
さらに,京都府は,本件事業の費用の算定に際し,交通渋滞による経済的損失やその対策費用,駐車場整備等の費用,浸水対策費用,ア
ユモドキの保全対策費用,
本件スタジアムの建設位置の変更により生
じた南丹都市計画公園事業のための土地取得費用,
都市計画道路を迂
回するための費用を計上しておらず,費用が過少に算定されている。本件事業に必要性がないこと
京都府の計算によれば,本件スタジアムにおける事業の収支は,収入をはるかに上回る支出が予想される。また,京都府には既に西京極スタジアムが存在しており,Jリーグの試合も問題なく開催できている。したがって,本件事業には必要性がない。
(被告京都府知事の主張)
本件スタジアムは,地方自治法244条1項の公の施設として設置されるものであるところ,公の施設の設置については,収支が赤字であるか黒
字であるかによって必要性,相当性が判断されるものではない。この点を措くとしても,京都府が行った費用便益分析の結果,本件事業は費用に対して便益が上回るから,経済的合理性があり,本件事業を行う必要性もある。したがって,本件事業に公金を支出することは,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に違反しない。

本件事業に経済的合理性があること
京都府による本件事業の費用便益分析には,以下のとおり,誤りはない。これによれば,本件事業の費用を便益が上回るから,本件事業には経済的合理性がある。
a
京都府が国交省マニュアルを用いて費用便益分析を行ったのは,競技場整備事業を対象とするマニュアルが存在しないためである。
都市

公園以外の競技場整備事業においても国交省マニュアルに基づく費用便益分析が行われていること,
変更前用地でも国交省マニュアルに
基づく分析を行っており,これと比較検討できることなどからも,国交省マニュアルを用いて費用便益分析を行うことには合理性がある。b
旅行費用法を用いて本件スタジアムの直接利用価値を算定するこ
とは,国交省マニュアルに沿うものであり,誤りはない。
京都府が便益の算定において予測した集客数,利用者数は,本件と同じくスタジアムを新設した他の事例を参考に,
その新設効果を考慮
したものであり,過大な予測ではない。原告らが指摘するチケット料金等のイベント参加の対価は,施設利用の対価とはいえないから,これを旅行費用に含めるべきではない。また,費用便益分析における便
益は,対象事業について見込まれる便益を算定するものであり,京都府としての増加分を算定するものではないから,
西京極スタジアムの
みで開催する場合よりも利用者が増加する部分に限って便益の算定対象とすべき旨の原告らの主張は,失当である。
本件事業の費用の算定について不合理な点はない。
本件スタジアム

の建設にあたって,
観客用駐車場の新設や周辺の道路整備は予定して
おらず,浸水対策費用,助成費以外のアユモドキの保全対策費用等も不要であるから,これらを費用に含めて算定する必要はない。
本件事業に必要性があること
西京極スタジアムは,開場から既に70年以上経過している上,球技
場も兼ねた陸上競技場であって専用球技場ではない。したがって,京都府が京都府全域からのアクセスを考慮し,専用球技場である本件スタジアムを整備することに必要性がある。

亀岡市による公金支出関係

(原告らの主張)
本件事業は,上記ア(原告らの主張)のとおり,費用に対して便益が上回ることはなく,必要性もない。このことに加えて,亀岡市は,本件事業が同市の財政に重大な影響を与えるにもかかわらず,本件事業の費用便益分析を独自に行っていない。京都府が行った費用便益分析は,本件事業そ
のものの費用対効果を示すものにすぎず,本件事業によって亀岡市にいかなる経済効果がもたらされるのかは明らかにならないから,亀岡市は,同市にとっての本件事業の経済的合理性を判断するため,独自に費用便益分析を行うべきであったにもかかわらず,それを怠った。
したがって,亀岡市が本件事業に公金を支出することは,地方公共団体が最小の経費で最大の効果を挙げなければならないとする地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に反し,違法である。
(被告亀岡市長の主張)
京都府が行った本件事業の費用便益分析は,京都府の財政にとっての費用対効果のみを対象とするものではなく,本件スタジアム建設に係る事業全体を分析したものである。京都府が行った費用便益分析では,費用便益
比が1.51であることに加え,費用対効果以外にも事業の有効性が認められていた。亀岡市は,このような本件事業の費用便益分析の結果や地域振興等の有用性を考慮し,他方,亀岡市が支出する土地取得費も考慮した上で,本件事業に対して公金を支出することとしたものであり,その判断過程に不合理な点はない。亀岡市が独自に本件事業の費用便益分析を行っ
ていないからといって,本件事業への公金支出が違法になる理由はない。そもそも,本件スタジアムは公の施設であって,本件事業は収益を目的とするものではないから,費用便益分析を行うこと自体,必須ではない。文化財保護法125条1項等の違反の有無(争点2)
(原告らの主張)

本件事業は,
以下のとおり,
天然記念物であるアユモドキの生存を脅かし,
その保存に影響を及ぼす行為であり,アユモドキの殺傷に当たるから,文化財保護法125条1項,絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(以下種の保存法という。
)9条,54条2項,京都府絶滅のおそれ
のある野生生物の保全に関する条例(以下本件条例という。
)31条に基

づくアユモドキ保全回復事業計画(以下本件計画という。(以下,これ)
らをまとめて文化財保護法125条1項等という。
)に反する違法なもの
であるから,そのような違法な事業に対する公金の支出は,財務会計上違法である。

アユモドキは天然記念物であり,かつ絶滅危惧種であるところ,京都府における生息地は,当初の本件スタジアムの建設位置である亀岡市都市計
画公園用地における曽我谷川の産卵場やその周辺であり,変更後の亀岡駅北土地区画整理事業用地とも極めて近接している。
本件事業は,多数の杭を地中に打ち込むことから,地下水位や水量に影響を与え,越冬の際にアユモドキが必要とする湧水の量にも影響を及ぼす。また,本件事業は,工事中及び本件スタジアムの供用後に騒音,振動,照
明等を発生させる。これらがアユモドキの生息環境を劣悪にするから,本件事業は,アユモドキの生存を脅かし,その保存に影響を及ぼす行為であり,また,アユモドキの殺傷に当たる。
文化財保護法125条1項は,
史跡名勝天然記念物に関しその現状を変更し,又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは,文化庁長官の許可を受けなければならないと規定している。被告らは,同項の許可を受けることなく,本件事業によって,天然記念物であるアユモドキの生存を脅かし,その保存に影響を及ぼす行為をしようとしており,同項に反する。

種の保存法9条,54条2項によれば,国内希少野生動植物種等の生きている個体は,捕獲,採取,殺傷又は損傷をしてはならず,地方公共団体
がこれらの行為をするときは,環境大臣に協議し,その同意を得なければならないとされている。
それにもかかわらず,被告らは環境大臣と協議せずに,本件事業によって,アユモドキの生息地を破壊し,もって殺傷しようとしており,同項に反する。

京都府は,アユモドキを本件条例に基づく指定希少野生動植物種に指定し,同条例31条に基づいて本件計画を策定している。本件計画では,京都府がアユモドキの生息状況等の把握及び生態等に関する知見を集積すべきこと,生息地における生息環境の維持及び改善をすべきこと,アユモドキが生息できる環境を有する地域を拡大することに努めること,河川や水路,周辺の水田における移動経路を意識し,それぞれの管理主体等の協
力体制を図り,ネットワークを確保することとされている。
それにもかかわらず,被告らは本件計画に反して,本件事業によって,アユモドキの生息状況等の把握及び生態等に関する知見の集積を十分にすることなく,アユモドキの生息地を破壊しようとしているから,禁反言の法理又は公序良俗に違反し,違法である。

(被告らの主張)
本件事業は,以下のとおり,文化財保護法125条1項等に違反するものではなく,本件事業への公金の支出は違法ではない。

本件事業によるアユモドキの生息地に対する影響について,京都府は,専門家の意見を踏まえ,地下水の詳細解析を実施し,実施設計に基づく自然環境への影響の解析,モニタリング計画策定等を行っている。
また,専門家会議の意見によれば,本件スタジアムの建設位置が変更されたことにより,アユモドキ等への直接的な影響は回避され,変更後は,地下水への影響は軽微であり,騒音等によるアユモドキの生息環境への影
響についても,シミュレーション結果に基づいて現状の生活環境が変化することはないとされた。
その他,当初の建設位置での本件スタジアムの建設について白紙撤回を求めていた日本魚類学会やWWF等の団体も,本件スタジアムの建設位置の変更とアユモドキ等に対する総合的な保全対策案をアユモドキ等の保
全の観点から肯定的に評価している。
これらに照らせば,本件事業は,アユモドキの生存を脅かし,その保存に影響を及ぼすものではないから,
史跡名勝天然記念物に関しその現状を変更し,又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときに当たらず,文化庁長官の許可は不要である。よって,本件事業は,文化財保護法125条1項に違反しない。

上記アのとおり,本件事業がアユモドキを殺傷するものとはいえないから,環境大臣との協議及びその同意は不要であり,種の保存法9条,54条2項に違反しない。


本件事業は,
本件計画ないし本件条例の趣旨に反するものではないから,
禁反言の法理又は公序良俗に違反しない。

第3
1
当裁判所の判断
認定事実
後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
本件事業計画の推移

本件事業計画の策定
京都府内の公共スポーツ施設は,昭和63年に開催された京都国体の際に整備が進められ,山城総合運動施設公園等の施設が国体競技会場として新設又は改修されたが,京都国体開催以降は,新たな公共スポーツ施設の整備は行われないままとなっていた。
京都府内のスポーツ団体及び府民によって構成される京都府におけるスポーツ施設のあり方懇話会(以下懇話会という。)は,平成23年1月,①

京都府立の主要なスポーツ施設について,いずれも整備後2

0~40年が経過して老朽化が進行し,改修が必要であること,②
球技

(サッカー,ラグビー,アメリカンフットボール等)について高い需要があるにもかかわらず,国際的な試合や全国的な試合の開催が可能な球技場が京都府内にないことから,これに対応する競技場の新設を検討すべきことを提言した。
京都府は,上記提言を受け,国際試合等の開催可能な専用球技場の新設を含め,公共スポーツ施設の整備を進めることとし,平成23年11月,府内全市町村に対し,用地を府に無償提供することを条件に,専用球技場新設候補地の公募を行ったところ,5市町村(亀岡市,d町,京都市,城陽市,舞鶴市)から応募があった。(甲2)

京都府が設置した専用球技場用地調査委員会は,平成24年2月以降,公開ヒアリングや現地調査を実施するほか,8回にわたり委員会を開催して審議を行い,その審議結果を京都府知事に報告した(乙2)。京都府知事は,同報告を踏まえ,同年12月26日,上記委員会において最も多くの委員から評価を得たこと,京都駅からの時間距離が近いこと,造成費用
等が安価であり初期費用が抑えられること,府内全域からの公共交通機関によるアクセスの便がよいことなどの諸要素を考慮し,亀岡市を球技場新設地として選定した(乙1)。
その後,京都府は,平成25年5月,懇話会の提言を踏まえて球技場整備案(京都スタジアム〔仮称〕の整備に向けて〈案〉)を策定し,同年1
2月には,さらに京都スタジアム(仮称)運営経営専門家会議の意見を踏まえて,整備に向けた基本構想として,京都スタジアム(仮称)を核としたにぎわいと施設運営について(案)を策定した。(甲2)。イ
アユモドキへの影響調査及び用地変更
アユモドキは,京都府亀岡市付近の桂川水系の用水路に個体群が知られる淡水魚であり,文化財保護法に基づく天然記念物,種の保存法に基づく国内希少野生動植物種,本件条例に基づく指定希少野生動植物種に指定されている。京都府は,本件条例31条に基づき,本件計画を策定している(甲11)。

亀岡市内で本件事業を進めることについては,用地選定の段階から,アユモドキの生息状況等に与える影響が懸念されており,京都府においても,亀岡市と連携し,アユモドキの生息環境の改善を図る取組を進めつつ,本件事業を進めるべきこととされていた(甲2)。また,本件事業については,平成25年3月に日本魚類学会から,京都府亀岡市のアユモドキ生息地における大規模開発に関する緊急要請と題する意見書が提出され,変更前用地における本件スタジアム建設がアユモドキの生息に甚大な悪影響を及ぼすことなどについての指摘があった
(乙8)

京都府及び亀岡市は,平成25年5月,共同で亀岡市都市計画公園及び京都スタジアム(仮称)に係る環境保全専門家会議(以下専門家会議という。)を設置し,平成29年5月までの間,本件事業がアユモ
ドキの生息環境に与える影響等について調査を行った(乙12)。その過程で,平成27年6月9日開催の公共事業評価に係る第三者委員会(以下第三者委員会という。)は,専門家会議による影響評価が行われた後に再評価を行うものとし,本件事業を開始することは認めるが,工事着手については,次回の再評価委員会まで許否の判断を行わ
ない旨の意見表明をした。
平成28年4月27日,専門家会議における座長提言として,本件事業による地域の振興,活性化とアユモドキ保全活動の好循環を展開するためには,本件スタジアムの建設位置を変更前用地から同用地に隣接する変更後用地に変更した上,併せて地下水保全等を行うことにより,ア
ユモドキの生息環境への影響を軽微なものとすべきことが提案された(丙1)。これは,アユモドキは曽我谷川流域に生息しているところ,変更後用地は変更前用地から河川を挟んで南に位置し,アユモドキの生息場所からは離れているため(乙10,11),本件事業による直接的な影響が回避されると考えられたことによる(丙1)。

京都府及び亀岡市は,専門家会議の上記提案を受け,平成28年8月24日,用地変更を行うことを表明した。
京都府は,変更後用地における本件事業について,平成29年度京都府公共事業評価調書・京都スタジアム(仮称)整備事業(甲3〔抜粋〕。以下甲3評価調書という。)を作成した。

用地変更後の本件事業によるアユモドキへの影響調査等
用地変更後,研究者から,本件事業による変更後用地の地下水への影響がアユモドキの保護とその越冬環境の形成に影響を与える可能性があり,地下水の保全等が必須事項であるとの指摘があった(甲6)。ま
た,上記のとおり,専門家会議の座長提言において,用地変更後もアユモドキの生息環境保全のために地下水の保全等を継続的に行うことが
提案されていた(丙1)
。なお,日本魚類学会は,変更前用地における本
件スタジアム建設について白紙撤回を求めていたが(乙8)
,用地変更
を肯定的に評価した上,本件事業におけるアユモドキの保全計画の策定と着実な実現を求めると提言した(乙9)

これらを踏まえ,京都府は,用地変更後,本件事業を開始するにあた
って,地下水や河川水,騒音,振動,光(照明)
,アユモドキの生息実態
調査等のモニタリング調査を行い,工事中及び供用後の環境対策についてシミュレーション等を行って検証した。
その上で,
京都府は,
京都スタジアム(仮称)整備事業に係る環境への影響について
(以下環境評価という。
)をとりまとめた。環境評価の内容は,平成29年7月14

日に策定された亀岡市都市計画公園及び京都スタジアム(仮称)の整備計画の策定にあたり考慮すべき基本方針(以下「基本方針という。

Ver.3.1
(乙12)
及び甲3評価調書に反映されており,
これらと同内容
である。
環境評価では,セメントミルクを使用しない無排土鋼管杭埋設工法の
採用,基礎杭の施工時期や施工手順の調整,遮音性を高めた建物の設計等,環境に配慮した設計,構造,施工を条件として環境への影響を予測したところ,地下水流出量,地下水位,地下水の水質,騒音,振動等について環境に変化が生じるような予測数値はみられなかったとして,本件スタジアム建設に伴う地下水の流動・水質,騒音・振動・光(照明)・
日照の変化は,現況の変動の範囲内に留まると予測されることから,アユモドキへの影響は軽微であると結論付けられた。その上で,環境評価
では,上記予測は不確実性を含むものであり,予期しない事態が生じた場合の予防的措置として退避場の設置を行うこと,アユモドキへの影響につきモニタリングを行い,その結果を専門家会議で常時把握し,異常な変化がみられた場合は工事等を中断して対策を検討,実施することとした(乙12の64~65頁)


平成29年5月17日開催の専門家会議において,環境評価の内容が了承された。また,第三者委員会は,前記のとおり,本件スタジアムの工事着手についての判断を留保していたが,同年6月5日,環境評価の内容を踏まえて検討した結果,同工事着手を了解した(乙12)

本件事業の費用便益分析

京都府は,本件事業について費用便益分析を行っているところ(甲3の67頁以下)その方法は,

国交省マニュアルを用いて以下のとおり本件事
業の費用対効果を分析したものである(乙13,14)

まず,旅行費用法に基づき,西京極スタジアムにおける来場者等の居住
地域情報等から,地域別の来場者割合を計算し,本件スタジアムに対する地域別の旅行費用を試算した上で,地域別来場者割合と旅行費用の相関を推計,補正した。次に,その推計結果から,来場者が幾らまでなら費用をかけて本件スタジアムを利用する可能性があるかを推計し,1人当たりの便益を5576円と算定した(乙5)


さらに,上記1人当たりの便益にJリーグ等の各イベントの1試合の予測来場者数,年間試合数を乗じ,それらを合算,補正し,本件事業の便益を290億6300万円と算定した(甲3)
。この際,本件スタジアムにお
けるJリーグ1試合の予測来場者数については,本件スタジアムを主に使用するプロサッカーチームの過去の平均観客数やスタジアムの新設による観客の伸び率等を考慮して,平均1万人と算定した(乙6)

他方,事業費,維持管理・修繕費,アユモドキ保全助成費等を合算し,
利用料収入を控除して,本件事業の費用を192億9300万円と算定し,本件事業の費用便益分析比を1.51と計算した。

亀岡市は,20億円の土地取得費が必要になることを考慮しても,上記費用便益分析比に基づく本件事業の有効性に加え,地域振興等の有効性も期待できることなどを踏まえ
(甲3)本件事業への公金支出を決定した。


2
争点1(京都府の公金支出の地方自治法2条14項,地方財政法4条1項違
反)について


判断枠組み
原告らは,本件事業に対して各公金を支出することは,地方自治法2条1
4項及び地方財政法4条1項に違反すると主張する。
被告京都府知事及び被告亀岡市長は,
それぞれ,
地方公共団体の長として,
財務会計行為
(支出負担行為及び支出命令)
の本来的な権限者であるところ,
特定の事業を行うか否か,当該事業につきいかなる態様で公金を支出するかについては,当該事業の目的,必要性,当該事業に至る経緯,当該事業の内
容に影響を及ぼす社会的,経済的要因その他諸般の事情を総合考慮した地方公共団体の長の合理的な裁量に委ねられており,これら諸般の事情を総合考慮した上でなお,地方公共団体の長の判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものと評価されるときでなければ,地方自治法2条14項及び地方財政法4条1項に反し違法となるものではないと解することが相当である
(最高裁平成23年
(行ヒ)
第452号同25年3月28日第一小法廷判決・
集民243号241頁)。そして,地方公共団体の長の判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により判断が全くの事実の基礎を欠くこととなる場合,又は,事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと,判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかである場合には,その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして,違法になるものと解される。


京都府による公金支出について

本件事業の必要性について
原告らは,京都府には既に西京極スタジアムが存在し,住民はJリーグの試合等のプロスポーツを観戦することができているなどとして,本件事業には必要性がないなどと主張する。

そこで検討するに,本件事業の主たる目的は,前記認定事実⑴アのとおり,長年にわたり公共スポーツ施設の整備が行われておらず老朽化が進んでいること,京都府内には国際試合等が可能な専用球技場が存在しないことなどの事情を踏まえてされた懇話会の提言を受けて,専用球技場について整備を行い,スポーツの振興,公共の福祉の増進を図ることにあると認
められ,この目的に合理性がないとはいえない。原告らの指摘する西京極スタジアムは,開場から既に70年以上経過して老朽化が進んでいる上,専用球技場ではなく,球技場を兼ねた陸上競技場であること,懇話会は,需要の高い専用球技場の新設検討を提言していたこと(前記認定事実⑴ア)などに照らせば,西京極スタジアムが既に存在するとしても,これとは別
に国際的,全国的な試合に対応可能な専用球技場である本件スタジアムを新設する必要性がないとはいえない。よって,原告らの上記主張を採用することはできない。

本件事業の経済的合理性(費用便益分析)について
京都府による本件事業の費用便益分析によれば,本件事業の費用便益分析比は1.51であり,費用に対して便益が上回っている(前記認定事実⑵ア)。
これに対し,原告らは,①

本件スタジアムは国交省マニュアルが計

測の対象とする大規模公園にあたらないから,国交省マニュアルを使用すべきではない,②
旅行費用法に基づいて算定すべきではない,③

便益を過大に算定しており不当である,④

計上すべき費用を計上して

いないなどとして,本件事業の費用便益分析は誤っており,正しく計算すれば費用に対して便益が上回ることはなく,本件事業には経済的合理性がないと主張する。
そこで検討するに,上記①について,京都府による上記費用便益分析は,国交省のマニュアルに従って算定したものであるところ,本件スタジアムのような競技場の整備事業に係る費用便益の評価方法について定めた専用のマニュアルは存在しないこと(乙3)
,これまで球技場の
整備事業にあたり国交省マニュアルに沿って費用便益分析を行った他の自治体も存在すること(乙4)などに照らせば,本件事業の費用便益
分析を国交省マニュアルに従って行うことが不合理であるとはいえないし,それに従って算定した結果が不合理であると評価すべき事情も認められない。
また,上記②について,国交省マニュアルでは旅行費用法を用いて便益を算定しているところ(前記認定事実⑵ア,乙5),本件事業の費用
便益分析を国交省マニュアルに従って行う以上,同マニュアルが用いる旅行費用法を用いて便益を算定することは当然であって,不合理ではない。
上記③については,確かに,京都府は,本件スタジアムにおけるJリーグ1試合の予測来場者数を平均1万人と見積もっているところ(前記
認定事実⑵ア),本件スタジアムを使用することが予定されているプロサッカーチームの過去の平均来場者数は約8000人であり,近年はこれを下回っている(甲17,乙6)。また,来場者数は,当該スタジアムを使用するチームの戦績や人気の変動により左右され得るものであり,不確定な要素がある。しかし,競技場が新設されれば来場者数の増加が見込まれること,京都府のJリーグ1試合の予測来場者数は,過去の平均来場者数とかけ離れた数ではないことなどに照らせば,上記の点を考慮しても,本件事業の便益の算定の基礎とされた予測来場者数が明白に不合理であるとまではいえない。なお,原告らは,本件スタジアムで試合を開催することにより西京極スタジアムで試合を開催する場合より増加する利用者の増加分に限って便益を算定すべきであるとも主
張するが,本件事業の費用便益分析における便益とは,本件事業それ自体に見込まれる便益であって,本件事業主体である京都府にとって増加が見込める便益をいうものではないから,原告らの上記主張は,失当である。また,旅行費用法における旅行費用とは,利用者が負担する移動費用(料金,所要時間)であるから,旅行費用にチケット料金等のイベ
ント参加の対価を含めるべきではなく,これを含めないことが不合理であるとはいえない。その他,旅行費用の算定については,前記認定事実⑵アのとおり,旅行費用法に基づいて算定されており,過大とはいえない。
上記④について,原告らの主張する費用のうち渋滞対策費や駐車場整
備費,浸水対策費,アユモドキ保全対策費等に関しては,本件事業が本件スタジアム周辺の環境にいかなる影響を及ぼし,いかなる費用が生じることになるかは明らかでなく,本件事業の実施により上記諸費用が必要となる蓋然性が高いというような事情を認めるに足りる証拠はない。また,用地変更により生じた南丹都市計画公園事業のための土地取得費
用は,本件事業の費用として計上すべきものとは認められない。したがって,費用便益分析にあたり,これらを費用に計上しないことが明白に不合理であるとはいえない。
なお,原告らは,原告らが独自に行った本件事業の費用便益分析の結果に基づいて,京都府による本件事業の費用便益分析は誤っており,本件事業は費用に対して便益が上回らないなどと主張するが(甲19,20),上記のとおり,京都府が行った費用便益分析が不合理なものとは
認められない以上,原告らが独自に行った費用便益分析の妥当性の有無にかかわらず,本件事業におよそ経済的合理性がないということはできない。
したがって,原告らの上記主張は,いずれも理由がない。

以上によれば,本件事業の実施に関する被告京都府知事の判断が,全く事実の基礎を欠き又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるとはいえず,その他,同判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があると評価すべき事情があるとは認められない。
よって,京都府が本件事業に対して公金を支出することが地方自治法2
条14項及び地方財政法4条1項に違反するとはいえない。
亀岡市による公金支出について

したとおりである。このことに加え,被告亀岡市長は,本件事業により地域振興等の有効性も期待できると判断したものであり,同判断が不合理であるともいえない。


本件事業の経済的合理性については,
前記認定事実⑴ア,
⑵イのとおり,
被告亀岡市長は,本件事業に関して公募に応じて用地提供を申し出て,用地として決定された後,京都府が行った費用便益分析の結果を踏まえた上で本件事業に公金支出することを決めたものであるところ,京都府によるイに判示したとおりである。そ

して,同費用便益分析によれば,亀岡市による用地取得の費用(変更前用地につき14億円,変更後用地につき19億9763万8860円)を踏まえた上で,本件事業の便益が費用を上回るものとされている。このような費用便益分析の結果に照らせば,本件事業におよそ経済的合理性がないとはいえない。
なお,原告らは,亀岡市が独自の費用便益分析を行っておらず,本件事
業への公金支出について経済的合理性を検証できていないなどと主張する。しかし,京都府が行った費用便益分析は,本件事業についての分析であるから,その結果は京都府のみならず,亀岡市にも同様に妥当するというべきである。亀岡市が独自に費用便益分析を行っていないことが,本件事業におよそ経済的合理性がないとはいえない旨の上記判断に影響を及
ぼすものではない。

以上によれば,本件事業の実施に関する被告亀岡市長の判断が,全く事実の基礎を欠き又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるとはいえず,その他,同判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があると評価すべき事情があるとは認められない。

よって,亀岡市が本件事業に対して公金を支出することが地方自治法2条14項及び地方財政法4条1項に違反するとはいえない。
3
争点2(文化財保護法125条1項等違反の有無)について
文化財保護法125条1項等の定め

文化財保護法125条1項は,
史跡名勝天然記念物に関しその現状を変更し,又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは,文化庁長官の許可を受けなければならないと規定している。また,種の保存法9条は

国内希少野生動植物種…の生きている個体は、捕獲、採取、殺傷又は損傷(以下「捕獲等

という。)をしてはならない」と

規定し,同法54条2項は

…地方公共団体は…国内希少野生動植物種…の生きている個体の捕獲等をしようとするとき…は…あらかじめ、環境大臣に協議しなければならない。

と規定している。文化財保護法125条1項違反の有無について
アユモドキは天然記念物であるところ,原告らは,本件事業がアユモドキの現状を変更し,又はその保存に影響を及ぼす行為であるにもかかわらず,文化庁長官の許可を受けず,環境大臣と協議をしていないことが上記の各規定に違反すると主張する。そこで,以下,本件事業がアユモドキの現状を変更し,又はその保存に影響を及ぼす行為に当たるか否かについて検討する。ア
前記認定事実⑴イのとおり,本件事業は,用地変更前の時点において,変更前用地に生息するアユモドキに対して甚大な悪影響を及ぼすおそれがあることが指摘されていたが,京都府は,専門家会議の提言を受け,ま
た,アユモドキの生態や生息環境等に与える影響の有無,程度を評価・検討して,上記提言を受け入れて用地変更を行ったこと,用地変更後,本件事業が周辺の環境に与える影響をシミュレーション等を通じて検証した上,本件事業に伴う地下水の流動・水質,騒音・振動・光(照明)・日照の
変化がアユモドキへ及ぼす影響は軽微である旨結論付けるとともに,予期
しない事態が生じた場合の予防的措置として退避場の設置を行うことや,アユモドキへの影響につきモニタリングを行い,その結果を専門家会議で常時把握し,異常な変化がみられた場合は工事等を中断して対策を検討,実施することなどを記載した環境評価を提出し,専門会議及び第三者委員会はこれを了承して本件工事の着手が認められたこと
(同ウ)以上の事実


が認められる。

これに対し,原告らは,専門家会議の上記判断は,甲3評価調書をその前提としたものであるところ,甲3評価調書と平成30年1月に京都府が提出した実施設計構造図との間には,地下水への影響に係る設計に関して
食い違いがあり,専門家会議の意見には審理不尽があるなどと主張するが,原告らが提出した実施設計段階の資料・図面(甲12ないし15)によっても,本件事業により深刻な地下水への影響があることを認めるに足りず,他に同事実を認めるに足りる証拠はない。

原告らは,また,本件スタジアムの基礎や基礎と基礎を繋ぐ梁が多数地中に作られるため,地中を深く掘り下げ,山留めの地中壁や親杭を施工すること,地下構造部分の施工時または施工後にコンクリートのセメント成
分と土壌とが化学反応を起こし六価クロムが流出することなどから,地下水への影響が懸念されると主張する。
しかし,原告らの上記主張を認めるに足りる証拠はない。かえって,証拠(甲3,乙12,15)によれば,京都府は,本件事業による地下水への影響を最小限にとどめるため,地中梁の工事等を地下水位より高い位置
で行うこと,基礎杭についてもセメントミルクを使用しない無排土鋼管杭埋設工法を採用すること,コンクリートの施工工程において,地下水へ悪影響を及ぼす六価クロムの溶出を防ぐため適正な作業手順に基づいて実施すること,コンクリート工事の一部をプレキャストで行い,現場でのコンクリート打設量を少なくすることなどの措置を講じていることが認め
られる。

したがって,原告らの上記主張は,いずれも採用することができない。その他,本件事業の実施により,アユモドキの現状を変更し,又はその保存に影響を及ぼすことを認めるに足りる証拠はない。



種の保存法9条,54条2項違反等の有無について
本件事業がアユモドキの殺傷に当たる

ということはできないから,本件事業が種の保存法9条,54条2項に違反するとの原告らの主張は,理由がなく,また,本件事業を実施することが本件条例ないし本件計画の趣旨に反するということもできない。
よって,本件事業が文化財保護法等に違反して違法である旨の原告らの主張は,理由がない。
4
まとめ
以上によれば,京都府及び亀岡市による本件事業への各公金支出は適法であって,原告らの本件請求は,いずれも理由がない。

第4
結語
以上の次第で,原告らの請求は理由がないから,これらをいずれも棄却する
こととして,主文のとおり判決する。

京都地方裁判所第3民事部

裁判長裁判官

増森珠美
裁判官

佐藤彩香
裁判官

牛島賢
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