判例検索β > 平成30年(ネ)第457号
朝鮮高校生就学支援金不支給違憲損害賠償請求控訴事件
事件番号平成30(ネ)457
事件名朝鮮高校生就学支援金不支給違憲損害賠償請求控訴事件
裁判年月日令和元年10月3日
裁判所名・部名古屋高等裁判所  民事第2部
原審裁判所名名古屋地方裁判所
原審事件番号平成25(ワ)267
原審結果棄却
判示事項の要旨私立高等学校等就学支援金を受給できないでいることは,憲法等で保障されている平等権,人格権,学習権等の侵害に当たるなどとして,損害賠償を求めた件につき,認められなかった事例。
裁判日:西暦2019-10-03
情報公開日2019-11-13 10:00:10
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主文1
本件控訴をいずれも棄却する

2
控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実及び理由

第1

控訴の趣旨

1
原判決を取り消す。

2
被控訴人は,控訴人ら各自に対し,55万円及びこれに対する平成26年1月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2

事案の概要(略語は原判決の例による。以下,本判決において同じ。)本件は,学校法人愛知朝鮮学園(愛知朝鮮学園)が,同学園の設置・運営する愛知朝鮮高校について,文部科学大臣に対し,公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律(平成25年法律第90号による改正前のもの。支給法)2条1項5号,公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則(平成22年文部科学省令第13号。平成25年文部科学省令第3号による改正前のもの。本件省令)1条1項2号ハ(本件省令ハ)及び公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則第1条第1項第2号ハの規定に基づく指定に関する規程(平成22年11月5日文部科学大臣決定。本件規程)14条1項に基づき,支給法に定める就学支援金の支給の対象となる支給対象外国人学校として指定することを求める旨の申請(本件申請)をしたところ,文部科学大臣から,平成25年2月20日付けで,①本件省令ハを削除したこと(以下理由①という。),②平成24年度の教員数が本件規程6条に定める必要な教員数に満たないこと(以下理由②という。),③本件規程13条に適合すると認めるに至らなかったこと(以下理由③という。)を理由として,愛知朝鮮高校について支給対象外国人学校としての指定をしない旨の処分(本件不指定処分)を受けたことに関し,本件申請当時愛知朝鮮高校に在籍する生徒であった控訴人らが,本件不指定処分を含む被控訴人の一連の行為(本件一連の行為)は政治外交上の理由により朝鮮高校の生徒を支給法の適用から排除しようとした違法行為であって,これにより就学援助が受けられなかっただけでなく,平等権,人格権,学習権等を侵害され,精神的苦痛を受けたなどと主張して,被控訴人に対し,国家賠償法1条1項に基づき,各自55万円(慰謝料50万円及び弁護士費用5万円)及びこれに対する違法行為の後の日である訴状送達の日の翌日(控訴人番号1~5につき平成25年3月20日,控訴人番号6~10につき平成26年1月7日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
原審は,

本件規程13条は本件省令ハによる指定の実質的要件であり,か

つ,同条にいう法令には教育基本法を含むと解するのが相当である,

件規程の要件適合性については,控訴人らが立証責任を負うと解するのが相当である,

愛知朝鮮高校の学校運営については,教育基本法16条1項に違反
していると合理的に疑うべき事情があったと認められることから,本件規程13条に適合すると認めるに至らないとした文部科学大臣の認定判断に裁量権を逸脱・濫用した違法があるとは認められない,

愛知朝鮮高校が本件規程1

3条に適合すると認めるに至らなかったことが本件不指定処分の理由であることは明らかであり,これに付加して文部科学大臣が拉致問題との関係でも指定は相当でないとの考えを有していたとしても,それによって本件不指定処分が違法になるとはいえない,

本件不指定処分に本件規程15条に違反した違

法があるとは認められない,

本件規程6条の要件適合性にかかわらず,愛知

朝鮮高校に対する本件不指定処分は実体的には適法であり,本件規程6条不適合を理由に本件不指定処分を行うに先立ち,愛知朝鮮学園に対して事実確認・補正義務を負うとはいえず,本件不指定処分に手続的違法があるとは認められない,

本件不指定処分の理由のうち本件規程13条に適合すると認めるに至らなかったとする部分については,行政手続法8条1項本文の要求する理由提示として十分ではないが,理由提示が不十分であったことにより控訴人らの法的保護に値する権利利益が侵害されたとまでは認められない,
分が憲法や国際条約に違反するとは認められない,

本件不指定処

本件省令ハに基づく審査

手続を停止させたことが,行政手続法6条,7条に違反するとは解し得ず,平成22年11月の本件申請から本件不指定処分に至るまで2年3か月余りを要したことが違憲違法であるとはいえない,

本件省令ハの削除の違法性につ

いて判断するまでもなく,これによって控訴人らの就学支援金に関する法的利益その他の権利利益が侵害されたと認めることはできないなどとして,控訴人らの請求をいずれも棄却した。
控訴人らは,原判決を不服として,本件控訴を提起した。なお,控訴人番号1~5は,いずれも当審において,附帯請求の起算日を平成25年3月20日から平成26年1月7日へと変更し,同請求を減縮した。
1
関係法令の定め等
本件の関係法令及び関係する規程の定め並びに支給法に基づく就学支援金の支給制度の概要等は,次のとおり補正するほかは,原判決事実及び理由欄第2の1のとおりであるから,これを引用する。
(原判決の補正)
原判決3頁1行目の約98%の後に(平成20年度学校基本調査)を加える。
原判決3頁8行目の

支給法が制定されたものである。

平成22年3月31日支給法が制定され,同年4月1日施行された。

に改める。原判決6頁20行目末尾の後に,改行の上,次のとおり加える。
エ文部科学省においては,支給法による就学支援金制度に関する事項は,初等中等教育局財務課高校修学支援室(以下「支援室という。)が所管していた。(甲全180,乙107)」
2
前提事実
前提事実(争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により明らかに認められる事実)は,次のとおり補正するほかは,原判決事実及び理由欄第2の2に記載のとおりであるから,これを引用する。
(原判決の補正)
原判決10頁11行目の総理を内閣総理大臣に改める。
原判決10頁13行目の同日の後に,同日から平成25年1月26日までの間を加える。原判決10頁15行目の末尾の後に同手続では,拉致被害者が帰って来ていないので朝鮮学校に就学支援金を支給すべきではないなどの賛成意見がある一方で,生徒の学びとは関係ない拉致問題等の政治的理由によって朝鮮学校を支給対象から外すのは差別であるなどとする反対意見もあった。を加える。
原判決10頁16行目の56の後に,134を,90の後に
,公知の事実をそれぞれ加える。
原判決10頁17行目から同頁18行目にかけての本件省令ハの削除を内容とする本件省令改正を公布しを平成25年文部科学省令第3号により本件省令1条1項2号を改正し,本件省令ハを削除した(以下,この改正を「本件省令改正という。)。本件省令改正は,同年2月20日公布され,公布の日である同日から施行された(附則1条)。下村文部科学大臣は,同日」に改める。
原判決10頁20行目末尾の後になお,改正前の本件省令ハによる指定を受けている各種学校については,本件省令の規定は,当分の間,なおその効力を有する旨の経過措置が定められたが(附則2条),改正前に上記指定を求める旨の申請がされたものについて,従前の例による旨の経過措置は定められなかった。を加える。原判決10頁21行目の不指定通知書の後に

(乙5。以下「本件不指定通知書

という。)」を加える。原判決11頁6行目の5の後に,89を加える。
原判決11頁6行目末尾の後に,改行の上,次のとおり加える。
ウ下村文部科学大臣は,平成25年5月24日の記者会見において,朝鮮高校について本件省令ハによる指定を行わなかったのは,朝鮮学校が朝鮮総連と密接な関係にあり,教育内容,人事,財政にその影響が及んでいることなどから,法令に基づく適正な運営が行われているとの確証が得られなかったためであるなどと述べた。(乙64,197)
原判決11頁10行目及び同頁14行目の各当庁をいずれも名古屋地方裁判所に改める。原判決11頁10行目のその後の後に,原審の審理中にを加える。原判決11頁16行目の当裁判所に顕著を記録上明らかな事実に
改める。
3
争点及び争点に関する当事者の主張
争点及び争点に関する当事者の主張は,次のとおり補正し,後記4及び5のとおり当審における当事者の補充主張を付加するほかは,原判決事実及び理由欄第2の3及び4に記載のとおりであるから,これを引用する。(原判決の補正)
原判決18頁21行目から同頁22行目にかけての子どもの権利条約を児童の権利に関する条約(以下「子どもの権利条約という。)」に改める。
原判決21頁11行目の訴訟終盤を原審の審理の終盤に改める。
原判決30頁13行目の(以下「支援室という。)」を(支援室)に改める。
原判決32頁12行目の本件不指定処分の通知書を本件不指定通知書に改める。原判決47頁1行目の人種差別撤廃条約をあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(以下「人種差別撤廃条約という。)」に改める。原判決48頁25行目の自働執行力を自動執行力に改める。
4
当審における控訴人らの補充主張
本件省令ハの削除と本件不指定処分の効力発生の先後関係
本件不指定通知書には,本件不指定処分の理由として,①本件省令ハを削除したこと(理由①),②平成24年度の教員数が本件規程6条に定める必要な教員数に満たないこと(理由②),③本件規程13条に適合すると認めるに至らなかったこと(理由③)が挙げられている。しかし,本件規程は,本件省令ハの文部科学大臣が定めるところとして,本件省令ハによる指定の基準及び手続等を定めたものであり(本件規程1条),本件省令の下位法令である。
そのため,
本件省令ハの削除を内容とする本件省令改正により,
本件省令ハが既に存在しなくなった場合には,その下位法令である本件規程はその存立の基礎を失う。したがって,理由①と理由②及び③とは,本件不指定処分の理由として論理的に両立せず,どちらか一方しか成り立たない関係にある。
そして,本件省令改正は,平成25年2月20日付けの官報(乙89)に掲載されて公布され,公布された日である同日から施行されたのに対し,本件不指定処分の効力が生じたのは,同日付けの本件不指定通知書が同日発出され,
愛知朝鮮学園に到達した時である同月21日以降である。
そうすると,
本件不指定処分が効力を生じた時には既に本件省令改正により本件規程の根拠規定が削除されていたのであるから,理由②及び③は,存在しない本件規程との適合性をいうものであって法的に無意味であり,その内容の適否を論ずるまでもなく,そもそも本件不指定処分の理由とはなり得ない。したがって,本件不指定処分の違法性の判断に当たっては,理由①の当否のみを判断すれば足り,理由②及び③について判断することは許されないというべきである。
本件省令ハの削除と本件不指定処分の違法性
①本件省令ハの削除と本件不指定処分が同一日付で行われたこと,②本件省令ハを削除する本件省令改正の決裁・供覧文書(乙93)の件名等に‥ハの規定の削除に伴う朝鮮高級学校の不指定についてと記載されていること,③本件不指定処分は,支給法が当然の前提としていた審査会の意見聴取をあえて行わずにされたこと,④下村文部科学大臣が平成24年12月28日の記者会見において,朝鮮学校については拉致問題の進展がないこと,朝鮮総聯と密接な関係にあり,教育内容,人事,財政にその影響が及んでいること等から,現時点での指定には国民の理解が得られず,不指定の方向で手続を進めたい旨を閣僚懇談会で提案して内閣総理大臣の了解を得たことを明らかにし,併せて,本件省令ハを削除する方針を明らかにしたことに照らせば,下村文部科学大臣は,本件省令ハを削除することなしには本件不指定処分を行うことが不可能であるという前提に立っていたと見られる。そうすると,下村文部科学大臣は,政治外交上の理由から本件省令ハを削除し,これに伴い本件不指定処分を行ったものであり,本件規程の適合性に係る処分理由である理由②及び③は,本件省令ハの削除により判断の終期が恣意的に設定された帰結であるから,本件不指定処分は,考慮すべき事項を考慮せず,考慮すべきでない事項を過剰に考慮してされたもの,あるいは,教育の機会均等という支給法の趣旨・目的とは全く異なる不正な目的又は動機に基づきされたものというほかなく,同大臣に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があることは明らかである。
本件省令ハの削除の違法性
本件省令ハの削除は,以前から日本社会に存在していた朝鮮高校生に対する差別感情を助長させる効果を有するものであり,これにより控訴人らは人格権を侵害された。本件省令ハの削除のもたらすこのような効果を下村文部科学大臣は予見し得たのであるから,同大臣が本件省令ハを削除したことについて,被控訴人は国家賠償法上の責任を免れない。
本件規程6条適合性と本件不指定処分の違法性
行政機関は,申請内容が事実関係に即したものになっていなければ,基準の適合性について実態に沿った適切な判断をすることができないのであるから,行政機関が申請を受けて基準への適合性を判断する権限を与えられている以上,その前提として,行政機関は,基準の適合性判断に係る事実関係を十分に調査し,申請書の記載内容に誤りがある場合には,申請者に記載内容の正確性を確認し,内容の補正をさせなければならない職務上の事実確認・補正義務を法令上当然に負うものというべきである。
そして,特に,生徒の募集定員のような評価を伴わない数値等が要件となっている場合,申請者による誤りが生じやすい一方,申請内容と実態との整合性を客観的に確認することは可能であり,行政機関が事実関係を十分に調査した上で,
記載事項の確認を促し実態に即した記載に補正させさえすれば,
客観的かつ確定的な判断をし得るものであり,殊に,平成24年度の愛知朝鮮高校の募集定員に関する同校からの回答は,平成22年度及び同23年度の募集定員と大きく異なっており,誤っている可能性が高いと疑うことは容易であり,申請内容自体が不明確で書類の記載上も不整合が見受けられたことからすれば,文部科学大臣は,愛知朝鮮学園に対し,愛知朝鮮高校の生徒募集要綱の提出を求めたり,メールで再確認するなどして,愛知朝鮮高校の正確な募集定員を確認し,誤りがあればそれを補正させる注意義務を負っていたのに,かかる確認義務・補正義務を怠った。
よって,文部科学大臣がした本件規程6条不適合を理由とする本件不指定処分は違法である。
本件規程13条適合性と本件不指定処分の違法性

支給法2条1項5号及びこれを受けて定められた本件省令ハの高等学校の課程にいう課程とは,学校が提供し生徒が履修すべき体系化された教育そのもの,すなわち学校が提供している教育活動・学習内容(カリキュラム)を指し,学校の組織や運営体制は含まれない。また,学校教育法53条及び54条の規定ぶりからすると,上記各条にいう課程とは,学校が提供し生徒が履修する教育活動の程度や水準,生徒が履修する教育活動(カリキュラム)もしくはその形態(コース)を指すものと解すべきであり,課程を教育課程と区別して,学校の組織及び運営体
制を含むものと解することはできない。そして,このような解釈が正当であることは,平成22年8月30日付け検討会議報告において,各種学校のうち外国人学校についても,「高等学校の課程に類する課程を置くものに該当するかどうかを判断する基準は,専修学校高等課程との均衡を図る観点から,原則として専修学校高等課程に求められている水準を基本とすることが適当である。」(甲全7の2・5頁)と記載されていること等からも裏付けられる。


旭川学力テスト事件の最高裁
1日大法廷判決・刑集30巻5号615頁
(最高裁昭和51年判決)
では,
旧教育基本法10条1項が排斥しているのは,教育が国民の信託にこたえて自主的に行われることをゆがめるような不当な支配である旨判示されているが,これを教育の中立性・不偏不党性を求めるために不当な支配を排除しているものと解することは,教育基本法の解釈における基本的かつ致命的な誤りである。教育基本法16条の見出しは教育行政であるから,同条を教育を行う主体である学校(教職員)に対して中立性・不偏不党性に基づく教育を行うことを命じたものと解釈することはできない。
教育基本法16条1項は教育の自主性原理を定めたものであって,同法が教育の中立性・不偏不党性を求めているのは学問の自由の尊重
(同法2条柱書)という観点に基づくものであることに照らせば,同法16条1項にいう不当な支配の訴えの当事者は,教育を自主的に行う教職員若しくは教育を受ける主体である生徒あるいはその保護者に限定されるというべきであって,教職員,生徒,保護者ではない行政権力が,教職員,生徒,保護者の間で合意が成立している自主的な教育活動について,教育の中立性・不偏不党性からの逸脱を理由とした不当な支配を
認定することは許されないというべきである。
教育基本法16条1項が教育の自主性を保護する趣旨のものであることや,私立学校の自主性の尊重の法理(同法8条),外国人学校の特殊性からすれば,外国人学校とそれを支援する外国ないし在日外国人団体との関係については,その影響が外国人学校の教育現場の自主性を損なうとか,法令違反の行為をさせるなどの問題がない限り,不当な支配には当たらず許容されるべきである。特に,朝鮮学校については,歴史的に朝鮮総聯や北朝鮮と関係が深いことは当然であり,教育基本法16条1項の観点から問題とされるべきことではないことからすれば,具体的な教育内容や朝鮮総聯及び北朝鮮との関係が深いことを根拠として同項にいう不当な支配が及んでいるか否かを判断している原判決は誤りというべきである。本件規程15条違反と本件不指定処分の違法性
審査会は,支給法に淵源を有する正規の合議制審査機関であり,その議事運営方法も明文で定められ,会議体としての結論を示すことが制度上要請されていたのであり,本件規程15条に定める審査会の意見聴取手続が,支給法に由来する制度上の義務であることは明らかである。本件規程15条は,

文部科学大臣は,‥‥意見を聴くものとする。

と規定しており,この意見を聴くものとするという表現は,行政庁に対し一定の行為を義務付けるものと解されていることからしても,本件規程15条は,文部科学大臣に対し,審査会の意見聴取を義務付けていると解さなければならない。したがって,下村文部科学大臣が,審査会を開催することもなく,審査会の最終的な意見の取りまとめをさせることもなく,本件不指定処分をしたことは,本件規程15条に違反し,違法である。
5
当審における被控訴人の補充主張
控訴人ら

本件不指定通知書においては,本件不指定処分の理由として,本件省令ハを削除したこと(理由①),平成24年度の教員数が本件規程6条に定める必要な教員数に満たないこと(理由②),本件規程13条に適合すると認めるに至らなかったこと(理由③)が挙げられている。本件規程は,本件省令ハの文部科学大臣が定めるところとして,本件省令ハによる指定の基準及び手続等を定めたものであり(本件規程1条),本件省令の下位法令であるから,
本件省令ハの削除を内容とする本件省令改正により,
本件省令ハが既に存在しなくなった場合には,その下位法令である本件規程は存立の基礎を失う。したがって,理由①と理由②及び③とは,本件不指定処分の理由として論理的に両立するものではない。しかし,理由①と理由②及び③は,
それぞれが本件不指定処分を理由あらしめるものである。
すなわち,文部科学大臣は,愛知朝鮮高校を含む朝鮮高校について,本件規程13条に適合すると認めるに至らないと判断するとともに,本件省令ハに基づく指定に係る審査の過程において,強制的に立入検査を実施して書類を押収するなどの権限がなく,指定の基準を満たすかどうかの審査に限界があることが明らかになったことなどから,本件省令改正を行うこととし,本件省令ハによる指定の仕組みの下では愛知朝鮮高校を含む朝鮮高校が就学支援金の支給対象外国人学校として指定を受けられなくなることから,平成25年2月20日付けで,愛知朝鮮学園以外の法人については理由①及び③の2つを並記し,愛知朝鮮学園については,本件規程13条に加え,平成24年度は必要な教員数について定めた本件規程6条にも適合しなかったため,理由②も付加して本件不指定処分の通知を行った。このように,本件不指定処分に先立ち,本件規程13条適合性と本件省令改正とが並行して検討されたという経緯にも照らせば,本件省令改正と本件不指定処分とが同一の日付で実施され,本件不指定通知書において理由①と理由②及び③が理由として並記されているのは,正に本件不指定処分に至る検討の過程の忠実な反映というべきであって,何ら問題ではない。イ
前記のとおり,理由①と理由②及び③とは,論理的に両立しない関係にあるが,本件不指定処分の理由としていずれが成り立ち得るかは,本件省令改正の効力発生時期と本件不指定処分の効力発生時期との時間的先後関係により決まる。
本件省令ハの削除,すなわち本件省令改正が掲載された官報は,平成25年2月20日付けのものであるから(乙89),本件省令改正が公布され,対外的効力が生じたのは同日である。また,本件不指定処分に係る本件不指定通知書は平成25年2月20日付けのものであり,
同日発出され,
それ以降(同日又はそれから数日内)に愛知朝鮮学園に到達したものと考えられる。しかし,他方で,本件不指定通知書の決裁は同月15日に終了しており(乙93),下村文部科学大臣は,同月19日,本件不指定処分に係る本件不指定通知書を翌20日に発出することなどを記者会見で表明し,それが記者会見当日に全国紙で報道されている(乙91,193)。また,愛知朝鮮学園に対し,同月19日中に本件不指定通知書と同一内容の書面をファクシミリ送信する旨のファクシミリ送信書のデータが存在する(乙194)。そうすると,同月19日のうちには,愛知朝鮮学園において,本件不指定処分の内容を現実に了知し,又は了知し得る状態に至った可能性がある。このように,本件不指定処分の効力発生時期は,本件不指定通知書の発出及び到達のみを基準とすれば,発出日である平成25年2月20日又はそれから数日内ということができるが,本件不指定処分の通知状況等を全体として通覧した場合には,同月19日に本件不指定処分が効力を生じていたとみる余地もある。したがって,理由①と理由②及び③のいずれが本件不指定処分の理由となるかは一概にはいえない。しかしながら,本件において,本件省令改正と本件不指定処分の各効力発生の時間的先後関係を確定することが不可欠なものとはいえない。理由③に係る本件規程13条に適合すると認めるに至らなかったとの判断結果は,本件不指定処分の効力発生が本件省令改正に先行すると仮定すれば,本件不指定処分の根拠となり得ることには疑いの余地がなく,逆に,本件省令改正が本件不指定処分に先行すると仮定しても,本件省令改正が法律による委任の範囲を超えて違法であると判断される場合には,本件省令ハが存在することを前提とする理由③は,本件不指定処分を理由あらしめるものであり,本件省令改正が委任の範囲内で有効であれば,本件不指定処分はもとより適法である。結局,本件規程13条に適合すると認めるに至らなかったとの文部科学大臣の判断(理由③)が是認されるのであれば,本件省令改正と本件不指定処分との先後関係や,本件省令改正の有効性のいかんにかかわらず,本件不指定処分が違法とされる余地はない。このように,本件不指定処分に至る検討の経緯を踏まえれば,理由③こそが本件不指定処分の主たる理由と位置付けられるべきものである。
本件省令ハの削除と本件不指定処分が同一日付で行われたのは,本件不指定処分に先立ち,本件規程13条適合性と本件省令改正とが並行して検討されたという経緯があるからであり,また,決裁権限を持たない下位の職員が作成した,上司に決裁を仰ぐ際のいわば表紙にすぎない決裁・供覧文書の表題の記載をもって,本件省令ハを削除して不指定とする判断が先行していたなどということはできない。さらに,本件不指定処分が審査会の意見を聴かずにされたとはいえず,むしろ審査会の意見を反映してされたものであることは,審査会の議事要旨(乙37~39)に表れた各委員の意見に照らして明らかである。加えて,下村文部科学大臣は,平成25年5月24日の記者会見において,朝鮮学校の高校無償化に係る不指定処分については,一つには,朝鮮学校は朝鮮総連と密接な関係にあり,教育内容,人事,財政にその影響が及んでいることなどから,法令に基づく学校の適正な運営が行われているとの確証が得られなかったために,不指定処分となったなどと,本件不指定処分が本件規程13条の基準に適合すると認めるに至らなかったことを理由とするものであるとの趣旨の発言をしているのであり(乙64,197),同大臣が本件省令ハを削除することなしには不指定処分を行うことが不可能であるという前提に立っていたと捉えることには無理がある。そもそも,処分時に存在した客観的事情に照らして,本件規程13条を始めとする指定の基準を満たしていないのであれば,判断権者の内心ないし主観を問題にするまでもなく不指定処分をしなければならないし,逆に,処分時に存在した客観的事情に照らして本件規程13条を始めとする指定の基準を満たすのであれば,指定処分をしなければならず,そうであるにもかかわらず不指定処分がされたのであれば,判断権者の内心ないし主観を問題にするまでもなく当該不指定処分は違法となるというべきであるから,本件不指定処分及び本件省令ハの削除に際しての文部科学大臣の主観は,各行為の違法性判断を左右する事情とはなり得ない。そして,愛知朝鮮高校について本件規程13条適合性が認められないことは客観的事情に照らして明らかといえる以上,文部科学大臣がした本件不指定処分について裁量権の範囲の逸脱又は濫用があるとはいえない。

本件省令ハの削除は,朝鮮高校生に対する差別意識に基づいて行われたものであるとか,朝鮮高校生に対する差別感情を助長させる効果を有するものであるとはいえず,これにより控訴人らの人格権が侵害されたともいえないから,下村文部科学大臣が本件省令ハを削除したことについて,被控訴人は国家賠償法上の責任を負わない。

申請書やそれに添付する書類を事実に基づき正しく記載する責務は,申請者が負っているものであって,文部科学大臣が審査の基準に適合しないことが明らかな事項について確認し補正を求める義務は,支給法はおろか,本件省令上も,本件規程上も存在しない。
アに対して
支給法2条1項5号及びこれを受けて定められた本件省令ハの高等学校の課程に類する課程とは,単に学校教育法の定める高等学校の学科を授業として教えているかどうかや,高等学校に求められる教育内容のレベル・水準といったことを指すだけではなく,当該高等学校の教育内容や学校運営が教育基本法の理念及び基本原則に沿ったものであることを含意するものといえる。本件規程13条が,高等学校の課程に類する課程を有するか否かを判断するための基準として,

指定教育施設は,就学支援金の授業料に係る債権の弁済への確実な充当など法令に基づく学校の運営を適正に行わなければならない。

と規定し,これに該当しない場合には高等学校の課程に類する課程の要件を満たさないとするのも,このような理解に基づくものといえる。また,
このことは,
学校教育法66条が

中等教育学校の課程は,これを前期3年の前期課程及び後期3年の後期課程に区分する。

と定めており,同法の解釈として『課程』とは,学校が提供し生徒等が履修すべき体系化された教育そのものを指すものであるとされていること
(乙103)

また,同法128条4号が目的又は課程の種類に応じた教育課程及び編制の大綱と定めて,明らかに課程と教育課程とを使い分けており,高等学校に関する規定である同法52条から54条までの定めを見ても,課程と教育課程とが使い分けられていることからも明らかである。
控訴人らの補充主張

に対して

控訴人らが引用する旭川学力テスト事件の最高裁昭和51年判決が,旧教育基本法10条1項の解釈について,教育が国民から信託されたものであり,したがつて教育は,右の信託にこたえて国民全体に対して直接責任を負うように行われるべく,その間において不当な支配によつてゆがめられることがあつてはならないとして,教育が専ら教育本来の目的に従つて行われるべきことを示したものと考えられる。これによつてみれば,同条項が排斥しているのは,教育が国民の信託にこたえて右の意味において自主的に行われることをゆがめるような「不当な支配であつて,そのような支配と認められる限り,
その主体のいかんは問うところでないと解しなければならない。

と判示しているとおり,教育が国民から信託されたものであり,国民全体に直接責任を負うように行われるべきことからすれば,不当な支配の訴えの当事者を教職員,生徒,保護者に限定すべき理由はない。
また,本件規程13条適合性の解釈問題としてみても,就学支援金は教育関係法令に基づき国費が支出されるものであって,当該教育施設の教育内容が教育基本法の標榜する理念に沿わないおそれや,支給した就学支援金が授業料債権に充当されることなく外部に流用されたりするおそれは,外部機関から人的,物的に不当な支配を受けていることにより生じるといえることから,本件規程13条所定の法令に基づく学校の運営を適正に行っているものといえるためには,外部団体・機関から不当な支配を受けていないことが要求されることは明らかであるところ,客観的に,このような,教育が本来の目的に従って行われることを妨げるような組織的介入等のおそれが認められる場合には,教職員,生徒,保護者からの訴えの有無にかかわらず,就学支援金を支給することができないのは当然である。教育基本法16条1項の不当な支配の訴えの当事者が教職員,生徒,保護者に限定されるとする控訴人らの主張には理由がない。
控訴人らが主張するように,私立各種学校の自主性や学問の自由が尊重されるとしても,その教育や学校運営の在り方が,日本国憲法の基本原理を含む教育基本法の理念ないし基本原則に矛盾・抵触するような場合は,国庫から支出される就学支援金を支給すべきでないことは明らかである。また,そもそも,原判決は,単に愛知朝鮮高校と朝鮮総聯や北朝鮮との関係が深いことを不当な支配が及んでいることの根拠としているのではなく,愛知朝鮮高校と朝鮮総聯や北朝鮮との関係が通常あり得る在日外国人学校と在日民族団体や外国本国との関係とは異なり,教育が本来の目的に従って行われることを妨げるような組織的介入を行うものであり,
そのような介入によって,
同校における教育内容が,教育基本法が標榜する理念に沿わないおそれを生じさせるものであったり,支給した就学支援金が授業料債権に充当されることなく外部に流出するおそれを生じさせるような場合には,もはや愛知朝鮮高校に対し,教育関連法令に基づき,国庫から拠出される給付金を支給すべきでないと判示しているのであり,控訴人らの原判決批判は失当である。控訴人らの補充主張

に対して

支給法は,審査会の意見を聴くことはもとより,審査会を設置すること自体,何ら規定していない。就学支援金の支給対象外国人学校に指定するか否かの検討は,その性質及び内容からしておのずと専門的・技術的検討を伴うものであり,教育行政に通暁する文部科学大臣の専門的・技術的判断に委ねられているところ,審査会の意見は,文部科学大臣の裁量判断の際の考慮要素にすぎず,本件規程15条は,審査会の意見を聴くことが文部科学大臣の判断に資するとの考慮により設けられた規定であり,審査会の意見を聴くことを義務付けていない。
第3
1
当裁判所の判断
当裁判所も,
本件各請求はいずれも理由がなく棄却すべきものと判断するが,
その理由は次のとおりである。
2
認定事実
認定事実は,次のとおり補正するほかは,原判決事実及び理由欄第3の1に記載のとおりであるから,これを引用する。
原判決54頁1行目冒頭から同56頁9行目末尾までを次のとおり改める。ア支給法案に係る国会審議の状況平成22年3月5日の衆議院文部科学委員会における質疑において,川端達夫文部科学大臣(以下「川端文部科学大臣という。)は,支給法案2条1項5号が定める専修学校及び各種学校の中に朝鮮高
校が含まれるのか,予算の積算根拠に朝鮮高校の生徒は含まれているのかという質問(馳議員)に対し,‥‥高等学校の課程に類する課程というものをこの法律の高校の対象として加えるということにしておりますので,高等専修学校,専修学校の高等課程とあわせて,各種学校ではあるけれども,制度上,専修学校から適用除外されている外国人学校の高等課程部門を算定の数字として入れました。‥‥専修学校の高等課程と,各種学校の中の外国人学校の高等課程に該当するものというのを入れて4800名が積算されておりますが,ただ,これは実際に,どのいわゆる外国人学校が対象になるかはこれからの議論でございますので,積算に入れているということが自動的に対象になっているというものではございません。と答弁し,また,拉致,ミサイル,核問題があるから朝鮮高校を外交的に除外するという方針なのかという趣旨の質問(同議員)に対し,(前略)何度も申し上げますように,その学校が高等学校の課程に類する課程であるかどうかということを普遍的,客観的に判断するという立場で決めてまいりたいと思いますので,今御指摘のような問題は判断の対象ではございません。と答弁した(乙2の1・9頁,同10頁)。また,川端文部科学大臣は,支給法案は高等学校の課程に類する課程を置く日本国内の外国人学校の全てに適用することになるのかという趣旨の質問(宮本岳志議員)に対し,(前略)文部科学省令において対象を定める際の客観性を保持するために,高等学校の課程に類する課程として,その位置づけが,学校教育法その他により制度的に担保されているということを規定することと予定をいたしております。そういう意味から,自動的に外国人学校の高等課程に類するものすべてが今の時点で対象になっているということではありません。と答弁した(乙2の1・16頁)。
さらに,川端文部科学大臣は,支給法案で朝鮮高校を除外すべきか否かについて現在どのような状況になっているかという趣旨の質問(松本龍議員)に対し,(前略)どの学校にしろでありますが,専修学校でどういうものが入れるのか,各種学校でどういうものが入れるのかという,要するに,まさに高等学校の課程に類する課程というものをどういう物差しで評価するのかということにすべての議論が集約されるのではないかというふうに思っております。その基準と確認方法についていろいろ検討しているところであります。加えて,この国会の審議も踏まえながら,最終的に省令として決めたいというふうに思っております。と答弁した(乙2の1・20頁)。平成22年3月10日の衆議院文部科学委員会における質疑において,
川端文部科学大臣は,
朝鮮高校に対する対応を質す趣旨の質問
(川
口浩議員)に対し,(前略)今回,「省令で定めるの対象として
は,基本的には,各種学校というのは,高等学校の課程に類する課程とみなせるという制度的担保がありませんので基本的には対象外としたいと思っているのですが,各種学校の中の外国人学校だけは,制度上,専修学校の高等課程になれないということで適用を除外されているので,なれないということの中で置かれているから,実質上,高等学校の課程に類する課程とみなせるかどうかを判断基準をしっかりつくって判断をすることを省令で決めたいというふうにしておりますので,今お問いの部分のいろいろな議論が,この委員会,あるいは御視察,あるいは参考人等々であったと思いますが,私の立場で言えば,客観的にこの学校が高等学校の課程に類する課程を有するというふうに判断するのに,どういう基準,方法でやるかということを今一生懸命検討している」と答弁した(乙2の2・5頁)。
また,川端文部科学大臣は,拉致,ミサイル,核等の外交上の問題を考慮して,就学支援金の支給対象となる各種学校に関する省令に含めるかどうかの判断基準とするのかという趣旨の質問(馳議員)に対し,文部科学省といたしましては,各種学校の対象範囲の議論については,先ほどありましたような民族教育の有無という観点とか,外交上の配慮という観点,国交があるかないかという観点で判断するものではないと答弁した(乙2の2・23頁)。平成22年3月12日の衆議院文部科学委員会における質疑において,松野頼久内閣官房副長官から,(前略)就学支援金の支給対象について,いわゆる高校実質無償化法案は,日本国内に住む高等学校等の段階の生徒が安心して教育を受けることができるようにするものであります。このために,外国人学校の取り扱いに関しましても,外交上の配慮などにより判断するべきものではなく,教育上の観点から客観的に判断するべきものであり,政府としては以下のように考えるものでございます。本法案においては,外国人学校を含む専修学校等及び各種学校に係る就学支援金の支援の対象範囲については,高等学校の課程に類する課程として位置づけられるものを文部科学省令で定めることとしております。これまでの各大臣の発言につきましては,高等学校の課程に類する課程としての位置づけを判断する基準や方法についてはさまざまな論点があることを述べたものでございます。文部科学省令については,国会における審議も踏まえつつ,文部科学大臣の責任において判断するものでございます。との説明がされた(乙
2の3・1頁)。
そして,上記政府見解は文部科学委員会の審議を踏まえたものになっていないとする下村議員の発言に対して,
川端文部科学大臣は,
先ほどの松野官房副長官の御発言は,当然ながらこの審議の経過,そして私の発言も踏まえた政府の統一見解でございます。加えて,総理及び関係閣僚が発言をしてきた経過も,政府として統一的に,これまでの各大臣の発言は,高等学校の課程に類する課程としての位置づけを判断する基準や方法については,さまざまな論点があることを述べたものであるというまさに統一見解を出したところでありまして,最終的に,政府統一見解として,文部科学省令については,国会における審議も踏まえつつ,文部科学大臣の責任において判断するものであるということを改めて政府として確認したところでございます。と述べた(乙2の3・2頁)。
平成22年3月19日の参議院文教科学委員会における質疑において,川端文部科学大臣は,客観的に判断ができる機関を作って検討することには納得するが,早期な結論が出るよう要望する旨の質問(大島九州男議員)に対し,(前略)各種学校はまさに任意,自由な学校でありますので,基本的には対象にならない。ただ,外国人学校だけは制度上専修学校になれない規定になっておりますので,この学校に関してだけは高校の課程に類するものとみなせるかどうかを客観的に判断できるようにして判定すべきだというふうに思っておりまして,国会でもいろんな御議論がありますが,その部分で客観性を担保する仕組みを今議論をしているところでありと答弁した(乙2の4・4頁)。
平成22年3月25日の参議院文教科学委員会における質疑において,川端文部科学大臣は,支給法の成立後に定められることが予定されている支給対象外国人学校の範囲についての省令の内容に関する質問(水岡俊一議員)に対し,(前略)外国人学校については,教育内容等について法令上特段の定めがなく,本国における正規の課程と同等の教育活動や独自の教育課程に基づく自由な教育活動を行っており,我が国の学校制度をそのまま当てはめて判断することは適当ではないと考えられます。このため,外国人学校について高等学校の課程に類する課程であることを制度的に担保するための要件として,一つは,我が国の高等学校に対応する本国の学校と同等の課程であると公的に認められること,二番として,国際的に実績のある評価機関による客観的な認定を受けていることとし,これらの要件を満たすものを支給対象としたいと考えております。さらに,これらの二つの方法以外にも,客観的に我が国の高等学校の課程に類する課程であることが認められる基準や方法について,教育の専門家等による検討の場を設け,関係者の意見も聞きながら検討していきたいと考えています。(中略)いわゆる教育専門家による検討の場で基準と評価方法と判定の仕組みを御議論いただいて,それに基づいて決めるという第三の道をつくろうと考えております。と答弁した(乙2の5・3頁)。平成22年3月30日の参議院文教科学委員会における質疑において,川端文部科学大臣は,朝鮮高校について教育内容を確認する手段があるのかを問う質問(義家議員)に対し,(前略)何らかの評価基準を,文部科学省が決めるという前に,客観的に,制度的,専門的に議論をいただいて,中身をどう判断するのか,申し上げましたように,国交がない,国際の認証機関の認証を受けていないという人たちを何かの基準と方法で判断できるかどうかを検討の場を通じて御議論いただいて,それを踏まえて私たちとしては判断をしたいと答弁した(乙2の6・6頁)。
また,鳩山由紀夫内閣総理大臣は,朝鮮高校が就学支援金の支給対象校となるか否かを問う趣旨の質問(同議員)に対し,(前略)最終的に,これは当然,文部科学大臣が今お話をされたところが結論ではありますが,検討の場を設けるということになったと。その検討の場でしっかりと検討するということでありまして,決して丸投げをするということではなくて,むしろこのようなことをすべて文科省の中で決定をするというよりも,むしろ第三者的な判断というものをしっかりと求めて,そこでより正しい判断というものがなされることが必要ではないかということで検討の場がつくられたと思っております。と答弁した(乙2の6・6頁)。」
原判決56頁10行目のウをイに,同頁24行目の乙2の1,乙2の3を乙2の3・7~8頁にそれぞれ改める。原判決57頁9行目の

検討会議を開催した。

を会議を開催し,「高等学校の課程に類する課程が満たすべき基準,高等学校の課程に類する課程の審査体制,審査方法等,及び高等学校の課程に類する課程を置く外国人学校の指定に関する基準等の各事項について検討した。を加える。」
原判決57頁20行目の関しては,の後に

「情報公開・学校運営に関して,財務諸表を毎年徴収するなど各種学校に課せられた義務に加え,上乗せして求めることが必要な事項もあるのではないか。

(第1回)」を,同頁22行目の(第3回)の後に

,「文部科学省としては,就学支援金の支給を適正に行うために必要な限りにおいて学校運営の適切さを確認する必要があるが,学校運営を全体として見る立場にあるのは所轄庁である都道府県知事である。

(第3回)」をそれぞれ加える。原判決60頁13行目の平成22年11月25日の後に,高木文部科学大臣に対しを加える。原判決62頁9行目から同頁10行目にかけての至ったとしての後に,高木文部科学大臣に対しを加える。
原判決62頁24行目の51の後に,53,54を加える。
原判決63頁1行目の審査会をを教育制度に関する専門家その他の学識経験者で構成される審査会をに改める。原判決65頁7行目の確認を照会に改める。
原判決65頁8行目冒頭から同66頁14行目末尾までを次のとおり改める。
以上の審査会における議論を踏まえ,事務局である支援室は,平成23年11月9日,各朝鮮高校に対し,朝鮮総聯との関係に関する確認事項として,①「教科書内容の変更には,北朝鮮本国の決裁が必要との報道の真偽,②教育内容について朝鮮総聯の指導を受けることの有無,③朝鮮総聯の傘下団体と指摘される在日本朝鮮人教職員同盟(教職同)及び在日本朝鮮青年同盟(朝青)への生徒や教員の自動的加入の有無,同団体の活動への参加の有無,内容等,④朝鮮総聯及び関連団体役職員の学校法人役員への就任の有無,朝鮮学校人事に対する金正日総書記ないし朝鮮総聯の関与の有無,⑤朝鮮総聯のホームページに記載された教育会の構成及び管理運営等に関する事項等について照会し,また,今後の対応方針等に関する確認事項として,⑥授業料その他の学校納付金を値上げする予定の有無,⑦日本と北朝鮮で見解が異なる事柄についての生徒に対する指導の仕方等について照会した。
これに対し,愛知朝鮮高校は,朝鮮総聯との関係の照会事項に関し,文書により,①教科書内容の変更には北朝鮮本国の決裁が必要であるとの報道は事実ではない旨,②教育内容について朝鮮総聯からの指導はない旨,③教職同には教職員本人の意思で任意に加盟している旨,教職同は教員らの資質向上のための教育研究活動や権利拡充活動等を行っている旨,朝青活動は日本学校の生徒会活動に該当するものである旨,朝青は教員の適切な指導の下での課外活動やボランティア活動等を行っている旨,④学校法人の役員については,寄付行為に則り,教職員,保護者,卒業生,同胞学識経験者等から選出しているが,朝鮮高校に子供を送る保護者,卒業生,学識経験者は朝鮮総聯関係者が多く,朝鮮総聯と関係団体の者が役員に選出される場合もある旨,学校人事に対する金正日総書記ないし朝鮮総聯の関与はない旨,⑤朝鮮総聯のホームページの朝鮮学校の管理運営は,朝鮮総聯の協力のもとに,教育会が責任をもって進めている旨の記述は正確ではないため,朝鮮総聯に記述の変更を要求しているとした上で,教育会は日本の学校のPTAに該当するもので,寄付金集めや民族教育の権利擁護等の活動を行っており,教職員や保護者らが任意で入会しており,朝鮮総聯と関係団体の役職者が入会する場合もある旨,教育会は意思決定機関ではなく,予算,決算,人事,教育内容等に関与できない旨の回答をした。また,今後の対応方針等に関する確認事項に関し,⑥授業料その他の学校納付金の値上げ予定はない旨,
⑦日本と見解が異なる事柄については,
国によって様々な解釈,捉え方,考え方があることを踏まえて,日本の認識・立場も教えている旨の回答をした。
(以上につき,乙7,8)
また,支援室は,平成23年11月11日,愛知朝鮮高校に対し,学校の校地・校舎に設定された抵当権に関し,被担保債権となる借入金の使途は何か,抵当権設定の際に理事会,評議員会で意思決定されているか等について照会した。これに対し,愛知朝鮮高校は,抵当権の被担保債権の借入金の使途は愛知朝鮮学園の各学校の運営費であるが,理事会,評議員会で意思決定したか否かについては,当時の書類がないため確認できない旨の回答をした。(乙68)
さらに,支援室は,平成23年12月2日,各朝鮮高校に対し,過去5年間における都道府県及び市町村からの補助金等の交付の有無等について照会した。これに対し,愛知朝鮮高校は,愛知県下の自治体等から補助金等の交付を受けていることに加えて,過去5年間に交付されている補助金について問題を指摘されたことはない旨の回答をした。
(乙30,
31)」
原判決67頁12行目の意見やの後に,朝鮮高校を取り巻く状況は非常に複雑になっておりを加える。原判決67頁16行目の確認を照会に,同頁18行目から同頁1
9行目の
関する確認を行うとともにを
関して照会を行うとともに
に,
同頁22行目の関する確認を行ったを関して照会を行ったに,同頁23行目の確認を照会にそれぞれ改める。
原判決69頁13行目の確認できずの後に,また,朝鮮総聯からの寄付を受けている場合もを加える。原判決70頁16行目の確認を照会に,同頁22行目の全国の
から同頁24行目の「行われた。」までを

同年6月18日付けの新聞記事における「今月5~7日に全国の朝鮮学校長を対象に開かれた講習には,校長69人が出席。許議長が「金正恩指導体系が確立されるよう確実に教育せよ

と指示した。」との報道に関して,同月5日から7日までの間に朝鮮総聯又は他の団体による講習会に高級部の校長その他の教員が参加した事実があるか,教育内容に関して特定の示唆を受けた事実があるか等について照会が行われた。」に,同頁24行目の確認を照会にそれぞれ改める。原判決71頁7行目の確認を照会に改める。

原判決71頁11行目の
講習で
から同頁12行目の
なかったことを
までを校長が全国朝鮮高級学校校長会の主催する全国朝鮮学校校長講習会に参加したが,教育内容に関し特定の示唆を受けることはなかった旨をに改める。

原判決72頁4行目の確認を照会に,同頁9行目のといった確認をについて照会にそれぞれ改める。

原判決72頁16行目末尾の後に(甲全57の11,乙21)を加える。


原判決72頁17行目冒頭から同頁19行目末尾までを次のとおり改める。コ当時,支援室内部においては,審査会における審議の経過や前記各照会に対する回答結果等を踏まえると,朝鮮高校に対する本件省令ハに基づく審査には限界があり,このまま審査会における審議を継続しても朝鮮高校について本件規程13条に適合するとの意見の一致を見ることは困難であるとの見方が強くなっていった。その後,審査会は開催されないまま,平成24年11月16日,衆議院は解散された。(乙107)

原判決72頁22行目末尾の後に(公知の事実)を加える。
原判決72頁24行目の朝鮮高校から同頁25行目の削除するま
でを本件省令ハによる朝鮮高校の指定問題について,審査会における審議の状況や議論の内容等に関する説明を受け,本件省令ハを削除する本件省令改正を行うに改める。原判決73頁8行目の改正及び同頁22行目の省令改正をいずれ
も本件省令改正に改める。
原判決73頁12行目の平成24年12月28日の後に,同日から平成25年1月26日までの間を加える。原判決73頁26行目末尾の後に,改行の上,次のとおり加える。カ下村文部科学大臣は,平成25年2月19日,記者会見において,朝鮮高校は朝鮮総聯の不当な支配に服しており,教育基本法にも抵触しているので,支給対象外国人学校として指定しないことを決め,翌20日付けで本件省令改正を行い,それと同時に不指定処分に係る通知文書を各朝鮮学園宛に発出することを明らかにし,このことは記者会見当日に全国紙(電子版)等で報道された。支援室の担当者は,平成25年2月19日深夜,各朝鮮学園に対し,「明日発送予定の通知文の事前送付についてと題する連絡文書をファクシミリで送信したが(愛知朝鮮学園に対しては,同日午後11時13分),同文書には文部科学大臣の押印がされた翌20日付けの不指定処分に係る通知文書の写しが添付されていた。支援室担当者は,翌20日,本件不指定通知書を愛知朝鮮学園宛に発送し,同文書は,同月21日以降,愛知朝鮮学園に到達した。なお,同月20日,全国朝鮮高級学校校長会,全国朝鮮学校オモニ会連絡会,全国朝鮮高級学校学生連絡会及び学校法人朝鮮学園の代表者らが,文部科学省を訪れ,支援室関係者に対し,抗議と要請をした上,文部科学省内で記者会見を行い,本件省令改正は各種学校の認可を得た外国人学校の中で朝鮮高校だけを無償化制度から排除することを唯一の目的とした極めて差別的な措置であり,本件省令改正を直ちに撤回し,朝鮮高校の生徒への無償化を1日も早く実現することを強く要求する旨述べた。
(以上につき,甲全320,乙91,193ないし195,弁論の全趣旨)」
原判決74頁1行目のカをキに改める。
原判決74頁1行目から同頁2行目にかけての改正省令を公布するとともにを本件省令改正を行うとともにに改める。原判決74頁7行目のキをクに改める。
3
本件省令ハの削除と本件不指定処分の各効力発生の時期
本件省令改正と本件不指定処分は,いずれも平成25年2月20日の同一日付でされたところ,本件省令改正が公布・施行されて対外的効力が生じたのは,本件省令改正が官報に掲載された平成25年2月20日であると認められる(乙89)。他方,本件不指定処分は,文部科学大臣が愛知朝鮮学園に対して行った行政処分であり,行政処分は,相手方に告知すること,すなわち,相手方の了知し得べき状態に置かれることによって初めて相手方に対して効力を生ずるものであるところ(最高裁昭和53年(行ツ)第21号同57年7月15日第一小法廷判決・民集36巻6号1146頁,最高裁平成10年(行ヒ)第43号同11年10月22日第二小法廷判決・民集53巻7号1270頁参照),本件不指定処分は,平成25年2月20日に発出されており,翌21日以降にその相手方である愛知朝鮮学園に到達したものと推認される。
ところで,

①本件不指定処分に係る通知文書

の決裁は,平成25年2月15日に終了していること,②文部科学大臣は,同月19日,本件不指定処分に係る通知文書を翌20日に各朝鮮学園宛に発出することを記者会見で明らかにし,その旨が記者会見当日に全国紙等で報道されたこと,③支援室の担当者は,同月19日深夜,各朝鮮学園に対し,同月20日付けの不指定処分に係る通知文書の写しが添付された連絡文書をファクシミリで送信したこと,④同日には,全国朝鮮高級学校校長会,全国朝鮮学校オモニ会連絡会,全国朝鮮高級学校学生連絡会及び朝鮮学園の代表者らが,文部科学大臣の上記記者会見での発言を前提とした抗議と要請の記者会見を文部科学省内で行ったことが認められる。こうした事実関係に照らし,被控訴人は,本件不指定処分の効力発生時期につき,愛知朝鮮学園への本件不指定通知書の到達時期を基準とすれば,同月20日又はそれから数日内ということができるが,本件不指定処分の通知状況等を全体として通覧した場合には,同月19日とみる余地もあると主張する。
しかしながら,上記事実関係に照らせば,文部科学大臣は,本件不指定通知書(原本又は正本)を愛知朝鮮学園に送付することによって本件不指定処分の通知をする意思であったものと認められ,同月19日の記者会見や同日深夜に送信されたファクシミリは,そのような通知をすることを予め公表するとともに,愛知朝鮮学園に対して予告したものにすぎないとみるのが相当である。
したがって,本件不指定処分の効力が生じたのは,平成25年2月21日以降であると認められる。
以上によれば,本件省令改正(本件省令ハの削除)の効力は,本件不指定処分の効力の生ずる前に生じたものと認められ,愛知朝鮮学園に対して本件不指定処分がされた時点では,本件省令ハは削除され,本件規程はその存立の根拠を失ったものであるから,これを適用する余地はなく,本件規程の効力があることを前提とする理由②及び③は,本件不指定処分の理由として法的に意味をなさず,
理由①のみが法的に意味を有することとなる。
もっとも,
本件不指定処分が内部的に成立した時点(本件不指定通知書の作成時)においては,本件省令ハの削除の効力は生じていなかったから,本件不指定処分の理由として理由①と理由②及び③とを併記したことが不相当であるとはいえない。また,本件省令改正が違法・無効なものであれば,本件規程が適用されることとなり,理由②及び③も,本件不指定処分の理由として法的に意味を有するものとなる。
4
国家賠償請求について
控訴人らは,本件不指定処分を含む本件一連の行為が違法であり,違法な本件一連の行為により就学支援金の支給を受ける権利を侵害されたこと,また,違法な本件一連の行為により平等権,人格権,学習権等を侵害されたことを主張して,精神的苦痛等についての国家賠償を求めている。
しかしながら,本件不指定処分の前,愛知朝鮮高校は本件省令ハによる支給対象校の指定を受けていたものではなく,控訴人らも就学支援金の支給を受けていたものではないから,控訴人らは,本件不指定処分を含む本件一連の行為によって既存の就学支援金の支給を受ける権利等を侵害されたものではなく,控訴人らが本件一連の行為によってその主張する権利利益を侵害されたものと認められるためには,本件不指定処分やその他の本件一連の行為が違法であることを主張するだけでは足りず,少なくとも,本件一連の行為がなければ,愛知朝鮮高校が本件省令ハによる支給対象校の指定を受けられたこと,
すなわち,
同校が同指定を受けるための実体的要件を充足しており,
控訴人らが就学支援金の支給を受けることができたことが認められなければならない。また,同校が同指定を受けられる地位になく,控訴人らが就学支援金の支給を受けられる地位になければ,本件省令ハの削除等により自己の心情ないし民族的感情を害されたとし,不快の念を抱いたとしても,これを被侵害利益として損害賠償を求めることはできないものと解される。そして,
文部科学大臣は,
本件不指定処分の理由として,
理由①
(本件省令ハの削除)
のほか,
理由②
(本件規程6条不適合)及び理由③
(本件規程13条不適合)
を挙げているのであるから,仮に本件省令ハの削除(及びこれを理由とする本件不指定処分)が違法・無効であるとしても,控訴人らはこれを主張するだけでは足りず,少なくとも,本件不指定処分に際して,愛知朝鮮高校が本件規程6条及び13条に適合しないとした文部科学大臣の判断が違法であることを主張立証しなければならない。
本件規程13条適合性について

そこで,まず,愛知朝鮮高校の本件規程13条適合性について検討するに,当裁判所も,①本件規程13条に適合することは本件省令ハによる指定の要件であり,かつ,②同条にいう法令には教育基本法が含まれると解され,③愛知朝鮮高校は本件規程13条に適合すると認めるに至らないとした文部科学大臣の判断は違法でないと判断するが,その理由は,次のとおり補正するほかは,原判決事実及び理由欄第3の2~4に記載のとおりであるから,これを引用する。
(原判決の補正)

原判決75頁25行目の「法令に基づく学校の運営」を「法令に基づく学校の運営を適正に行うこと」に改める。
原判決78頁5行目の

考えられない。

の後にさらに,平成22年5月26日に開催された第1回検討会議において,委員から「情報公開・学校運営に関して,財務諸表を毎年徴収するなど各種学校に課せられた義務に加え,上乗せして求めることが必要な事項もあるのではないかといった意見が,同年7月16日に開催された第3回検討会議において,委員から就学支援金を代理受領する以上は,わが国の法令を遵守することはもちろんのこと,学校運営の体制がきちんとしているかどうかという観点が重要,文部科学省としては,就学支援金の支給を適正に行うために必要な限りにおいて学校運営の適切さを確認する必要ような検討会議における議論の過程からみても,学校の運営面の適正さは,支給法が「高等学校の課程に類する課程を置くものとして求めているというべきである。」を加える。
原判決83頁17行目の(本件から同行の「である。)」までを削る。
原判決85頁15行目の5条を愛知県私立学校経常費補助金交付要綱5条に改める。原判決86頁2行目の本件訴訟の終盤になってを原審の審理の終盤になってに改め,同頁10行目の教育基本法の後に(旧教育基本法)を加える。原判決88頁3行目の

学校を指導する。

」の後に

,「地域の集団的指導機関である支部常任委員会は‥‥専門部署役員,管下の団体責任者,学校長などによって構成される。

」を加える。原判決88頁12行目の愛知朝鮮学園の現在の理事長を平成29年当時の愛知朝鮮学園の理事長に,同頁14行目の
乙8,証人A
を甲全147,179,乙8,証人Aに,同頁21行目の朝鮮総聯が平成3年に作成したを朝鮮総聯中央常任委員会が平成3年2月に発行したにそれぞれ改める。原判決90頁6行目冒頭から同頁7行目末尾までを(以上につき,甲全216ないし249,乙72,132ないし167,証人A)に改める。
原判決92頁17行目の学内を学校内に改める。
原判決92頁18行目の末尾の後に,改行の上,次のとおり加える。43条朝青は,総聯の指導の下,学校単位に組織された在日朝鮮学生少年団の活動を指導・幇助する。中央的な指導は,総聯中央の指導の下に朝青中央が担当し,都道府県単位での指導は総聯本部の指導・幇助の下に朝青本部が担当する。原判決92頁26行目の分科会を分会に改める。
原判決93頁4行目から同頁5行目にかけての
朝鮮総聯責任副議長
を朝鮮総聯中央責任副議長に,同行の総聯教育局長を総聯中央教育局長にそれぞれ改める。原判決94頁25行目から同頁26行目にかけての
予算や事業計画
を予算,借入金及び事業計画に改める。
原判決95頁23行目のあるがの後に(乙33添付の平成16年1月6日付け「債権譲渡のご通知参照)」を加える。原判決96頁5行目の教育内容を教育活動への「不当な支配
の有無」に改める。
原判決97頁7行目のその教育内容から同頁9行目のものとなっているまでをその教育活動についても,朝鮮総聯の意向を色濃く反映した教科書を使用し,朝鮮総聯の傘下団体の指導を受けて,北朝鮮の政治指導者を個人崇拝し,その考えや言葉を絶対視するようなものになっているに改める。⒜」に改める。
原判決101頁19行目の教育内容は,の後に教育活動に対するを加え,同行の判断を判断するに改める。原判決102頁9行目の

(詳細は後記9のとおり。)

を削る。原判決102頁16行目の検討会を検討会議に,同頁17行
目の全体はを全体としてにそれぞれ改め,同行のということ
の後に,どういうことを教育されているかという項目・主題は見るを加える。
原判決102頁22行目のしたがって,の後に教育活動に対するを加える。原判決105頁4行目から同頁5行目にかけての(なお,から同
頁7行目の「ある。)」までを削る。

当審における控訴人らの補充主張
控訴人らは,支給法2条1項5号及びこれを受けて定められた本件省令ハの高等学校の課程に類する課程の課程とは,学校が提供し
生徒が履修すべき体系化された教育そのもの,すなわちカリキュラムやコースを指すというべきであり,かかる解釈は,検討会議報告の記載等により裏付けられている旨主張する。
しかしながら,支給法及びこれを受けて定められた本件省令も教育関係法令の一部である以上,全ての教育関係法令の基本法というべき教育基本法の基本原則や理念を実施するものとして解釈されなければならないし,支給法が教育基本法に基づいて適正な学校運営の行われていない疑いのある学校を国民の租税負担の下で就学支援金の支給対象校とすることを予定しているとは解されないから,高等学校の課程に類する課程を置くものとして就学支援金の支給対象外国人学校として指定されるためには,当該学校の教育活動や学校運営が教育基本法の基本原則や理念に反してはならないというべきである。本件規程の制定過程におけ
ウ,オ)に照らしても,本件規程13条適合性の判断に当たり,当該学校の教育活動や学校運営が教育基本法の基本原則や理念に反するか否かも含めて考慮要素とすることができないと解することはできない。また,学校教育法66条は

中等教育学校の課程は,これを前期3年の前期課程及び後期3年の後期課程に区分する。

と定め,同法125条2項は

専修学校の高等課程においては,(中略)中学校における教育の基礎の上に,心身の発達に応じて前条の教育を行うものとする。

と定めており,これらの規定にいう課程とは,学校が提供し生徒等が履修すべき体系化された教育そのものを指すと解されるところ,同法においても学校運営の適正が求められていることからすれば
(4条3項,
13条参照),上記の体系化された教育は,法令に従って適正に運営されている学校が提供するものであることが前提とされているものというべきであること,同法128条4号が目的又は課程の種類に応じた教育課程及び編制の大綱と定めて,課程と教育課程とを使い分けており,また,高等学校に関する規定である同法52条から54条までの定めを見ても,課程と教育課程とが使い分けられているこ
と,支給法ないし本件省令において,学校教育法におけるのと異なる意味内容のものとして課程の語を用いる合理的理由は見い出せないこと等を勘案すれば,支給法2条1項5号及びこれを受けて定められた本件省令ハの高等学校の課程に類する課程とは,高等学校学習指導要領の教育課程に限らず,教育活動や学校運営を含むものと解するのが相当である。
控訴人らは,控訴人らが主張する解釈の正当性が平成22年8月30日付け検討会議報告の記載
(各種学校のうち外国人学校についても,
高等学校の課程に類する課程を置くものに該当するかどうかを判断する基準は,
専修学校高等課程との均衡を図る観点から,原則として専修学校高等課程に求められている水準を基本とすることが適当である。
甲全7の2・5頁)等によって裏付けられていると主張するが,上記検討会議報告には,上記記載以外にも,各種学校である外国人学校のうち「高等学校の課程に類する課程を置くものに求められる基準は,
専修学校高等課程に求められる水準に加えて,高等学校に求められている教育活動の水準も加味しながら,高等学校の課程に類する課程を置くものとして限定が可能な基準となるよう,策定することが適当である。」(甲全7の2・5頁),

生徒の各種資格取得状況や卒業後の進路などを通じて,教育活動全体として高等学校に類する教育水準が確保されているかどうかを確認することも有効であると考えられる。

(甲全7の2・7頁)等の記載があることに鑑みると,上記検討会議報告の記載は,
高等学校の課程に類する課程
に該当するといえるためには,
当該教育施設の教育水準が一定の程度に達していることも求められることから,当該教育水準を把握するための方法として,生徒の各種資格取得状況や卒業後の進路を見ることが重要であると述べているのみであって,高等学校の課程に類する課程に該当するといえるために,教育水準のみが満たされていれば足りるということまで述べたものではないというべきである。
アは採用することができない。

控訴人らは,教育基本法16条1項は教育の自主性原理を定めたもので,同法が教育の中立性・不偏不党性を求めているのは学問の自由の尊重という観点からであるから,同項にいう不当な支配の訴えの当事者は,教育を自主的に行う教職員若しくは教育を受ける主体である生徒あるいはその保護者に限定されるというべきであって,
教職員,
生徒,保護者ではない行政権力が,教職員,生徒,保護者の間で合意が成立している自主的な教育活動について,
教育の中立性・不偏不党性
からの逸脱を理由とした不当な支配を認定することは許されないと主張する。
しかしながら,教育基本法16条1項は,教育が国民から信託されたものであり,教育が不当な支配によってゆがめられることなく専ら教育本来の目的に従って行われるべきことを定めたものであるから,
同項は,
教育が国民の信託に応えて自主的に行われることをゆがめるような支配を排斥しているものと解されるのであって,かかる自主性をゆがめるような支配と認められる限り,その主体のいかんは問わないと解するのが相当である(最高裁昭和51年判決参照)。
また,本件規程13条適合性の解釈問題としてみても,就学支援金は教育関係法令に基づき国費が支出されるものであって,当該教育施設の教育活動が教育基本法の標榜する理念に沿わないおそれや,支給した就学支援金が授業料債権に充当されることなく外部に流出したりするおそれは,外部機関から人的,物的に不当な支配を受けていることにより生じると考えられることから,本件規程13条の法令に基づく学校の運営が適正に行われているものというためには,外部団体・機関から不当な支配を受けていないことが要求されることは明らかである。そして,客観的に,このような,教育が本来の目的に従って行われることを妨げるような組織的介入等のおそれが認められる場合には,教職員,生徒,保護者からの訴えの有無にかかわらず,就学支援金を支給することができないのは当然というべきである。
したがって,教育基本法16条1項にいう不当な支配の訴えの当
事者は,教職員,生徒,保護者に限定されず,愛知朝鮮高校の学校運営や教育活動が朝鮮総聯の介入により理事会等による自律的な運営が行われず,北朝鮮の政治指導者を個人崇拝し,その考えや言葉を絶対視するような内容のものになっていることは,同項の不当な支配に該当するものというべきである。教育活動がこのような不当な支配を受けているか否かを判断するに当たり,教育内容を参照することは当然に許されるべきであるから,
控訴人らの補充主張

は採用することができない。

よって,愛知朝鮮高校が本件規程13条に適合すると認めるに至らないとした文部科学大臣の判断は相当であって,
違法であるとは認められない。
以上によれば,愛知朝鮮高校は,本件省令ハの削除がなかったとしても,
本件規程13条に適合すると認めるに至らず,本件省令ハによる支給対象校の指定を受けられたものとは認められない。もっとも,控訴人らは,このような就学支援金に係る制度・仕組みないし法令の解釈適用の下でされた本件不指定処分が憲法や国際条約に違反するかのようにも主張するが,控訴人らの主張が採用できないことは,次のとおり補正するほかは,原判決事実及び理由欄第3の9のとおりであるから,これを引用する。そうすると,控訴人らには,本件不指定処分を含む本件一連の行為によって侵害されるべき権利利益が存在するものとは認められないから(本件不指定処分を含む本件一連の行為によって就学支援金の支給を受ける権利等を侵害されたともいえないし,本件省令ハの削除によって心情等を害されたとしても,法律上保護すべき利益を害されたとはいえない。),本件一連の行為が違法であることを理由とする控訴人らの国家賠償請求は,その余の点について検討するまでもなく理由がない。
なお,本件不指定処分の違法をいうその余の点については,控訴人らの請求を理由あらしめるものとはならないが,審理の経過に鑑み,念のため判断を付加すると,次のとおり補正するほかは,原判決事実及び理由欄第3の5~8のとおりであるから,これを引用する。また,その余の本件一連の行為の違法をいう点についても,判断を付加すると,次のとおり補正するほかは,原判決事実及び理由欄第3の11及び12のとおりであるから,これを引用する。
(原判決の補正)

る。

原判決106頁11行目の処分理由通知書を本件不指定通知書
に,同頁12行目の前記4及び同頁14行目から同頁15行目にかけ改める。


原判決108頁17行目の
対象支給対象外国人学校に改める。
をエ
原判決108頁18行目の反対尋問を経ていないから同頁20行目末尾までを同人は検討会議における検討段階については直接関与していたものの,その後の審査会における審議段階には直接関与しておらず,また,その陳述内容は審査会の議事要旨(乙38,39)と相当異なる部分もあり,直ちに採用することはできない。に改める。

原判決109頁5行目の
前記4及び5で認定説示したところによれば
を前記のとおりに改め,同頁9行目の(なおから同頁10行目の
である。)」までを削る。


原判決111頁8行目の57の13ないし19を57の13ないキ原判決112頁13行目から同頁14行目にかけての「不指定通知書を本件不指定通知書に,同行の不指定処分を本件不指定処分
に,同頁22行目の確認を照会にそれぞれ改める。


原判決112頁26行目,同113頁3行目及び同頁20行目の通知書をいずれも本件不指定通知書に改める。

原判決113頁13行目の4及び5及び同頁14行目の(憲法
から同行の「とおり。)」までをいずれも削る。


原判決115頁19行目の学校が見つけるを学校を見つけるに
改める。


原判決118頁23行目の同委員会の勧告から同頁24行目の解し難いからまでを同委員会の勧告は,我が国の就学支援金制度の仕組みや支給法等の関係法令に基づく指定基準等を踏まえてされたものではない上,締約国に対して何らかの法的拘束力を有するとも解し難いからに改める。


原判決118頁25行目の従わないことによってを従わないことがに改める。

原判決120頁1行目の
総理の判断であった総理の判断だった

に改める。


原判決121頁10行目の前記2を前記に改める。


原判決124頁4行目の前記4でから同行末尾までを前記のとおりであり,に改める。
5
結論
以上によれば,本件各請求はいずれも理由がないから棄却すべきところ,これと同旨の原判決は相当であり,本件控訴はいずれも理由がない。よって,本件控訴をいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。名古屋高等裁判所民事第2部
裁判長裁判官

松並重雄
裁判官

飯野里朗
裁判官

剱持亮
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