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損害賠償請求事件
事件番号平成30(ワ)2058
事件名損害賠償請求事件
裁判年月日令和元年10月4日
法廷名大阪地方裁判所
裁判日:西暦2019-10-04
情報公開日2019-10-31 12:00:07
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主1文
被告は,原告Aに対し,1265万円及びこれに対する平成20年11月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2
被告は,原告Bに対し,1265万円及びこれに対する平成27年2月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

3
訴訟費用は被告の負担とする。

4
この判決は,被告に送達された日から14日を経過したときは,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。
事実

及び理由
第1請求
主文第1,2項と同旨
第2事案の概要
本件は,過去に石綿製品の製造,加工等を行う工場又は作業場(石綿工場)において作業に従事していた原告らが,石綿含有建材の使用についての規制権限を有していた被告の公務員による石綿の粉じん規制が不十分であったために,石綿工場での作業により,石綿関連疾患(肺がん)にり患したと主張して,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償金及びこれに対する損害発生の日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1前提事実
以下の事実は当事者間に争いがない。
(1)

原告Aについて
石綿工場における作業従事歴
原告Aは,昭和34年4月から昭和35年8月までの間,石綿含有保温材等を製造するC株式会社の石綿工場において就労し,同工場内で主に石綿を含有する材料を用いた乾燥及び製造の作業に従事したことにより石綿
粉じんにばく露した。上記作業は,局所排気装置を設置すべき工場建屋内で行われていた。

肺がんり患の診断
原告Aは,平成20年11月26日に徳島大学病院で受けた肺がん手術の際に採取された肺組織の検査により,肺がんの確定診断を受けた。

労災認定
鳴門労働基準監督署長は,平成21年7月9日,原告Aの肺がんに係る療養補償給付及び休業補償給付を支給する旨の決定をした。

(2)

原告Bについて
石綿工場における作業従事歴
原告Bは,昭和33年3月21日から昭和41年2月21日までの間,石綿含有製品等を製造するD株式会社の石綿工場において就労し,同工場内で石綿製品であるパッキンの製造作業に従事したことにより石綿粉じんにばく露した。上記作業は,局所排気装置を設置すべき工場建屋内で行われていた。


肺がんり患の診断
原告Bは,平成27年2月17日,近畿中央胸部疾患センターにおいて,
石綿肺所見(Ⅰ型以上)(じん肺管理区分・管理2以上)と胸膜プラークが認められ,石綿による肺がんとの診断を受けた。


労災認定
岸和田労働基準監督署長は,平成27年6月9日,原告Bの肺がんに係る休業補償給付を支給する旨の決定をした。

(3)

被告の責任及び損害額
被告は,要旨次の内容による最高裁平成26年(受)第771号同10月9日第一小法廷判決・民集68巻8号799頁(以下平成26年最判という。)を踏まえ,本件訴訟において,被告の原告らに対する国家賠

償法1条1項に基づく責任及び損害額(原告らそれぞれにつき,慰謝料1150万円,弁護士費用115万円の合計1265万円)を争っていない(ただし,遅延損害金の起算点には争いがある。。

平成26年最判は,大阪府泉南地域に存在した石綿(アスベスト)製品の製造,加工等を行う工場又は作業場(以下石綿工場と総称する。)に
おいて,石綿製品の製造作業等に従事したことにより,石綿肺,肺がん,中皮腫等の石綿関連疾患にり患したと主張する者又はその承継人らが,国に対し,国が石綿関連疾患の発生又はその増悪を防止するために労働基準法(昭和47年法律第57号による改正前のもの。以下旧労基法という。
)及び労働安全衛生法に基づく規制権限を行使しなかったことが違法であるなどと主張して,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた事案において,労働大臣は,労働省労働基準局長が都道府県労働基準局長宛ての職業病予防のための労働環境の改善等の促進についてと題する通達を発した昭和33年5月26日には,旧労基法に基づく省令制定権限を行使して,罰則をもって石綿工場に局所排気装置を設置することを義務付けるべきであったのであり,特定化学物質等障害予防規則(昭和46年労働省令第11号)が制定された昭和46年4月28日まで,労働大臣が旧労基法に基づく上記省令制定権限を行使しなかったことは,旧労基法の趣旨,目的や,その権限の性質等に照らし,著しく合理性を欠くものであって,国家賠償法1条1項の適用上違法であるというべきであると判示した。

平成26年最判の原審である大阪高裁平成25年12月25日判決(以下大阪高裁判決という。
)は,じん肺の所見がある旨の最初の行政上の
決定を受けた時に,少なくとも損害の一端が発生したものということができるとした上で,石綿肺を含むじん肺は,肺内に粉じんが存在する限り進行するが,それは肺内の粉じんの量に対応する進行という特異な進行性の
疾患であって,どの程度の速度でどの程度進行するかは患者によって多様でありあらかじめ予測することができないという疾病の特質に鑑み,管理2,管理3,管理4と順次行政上の決定を受けた場合には,当初の損害が量的に拡大したと解することはできず,それぞれの管理区分ごとに質的に異なる損害が発生したものと解すべきであり,また,石綿関連疾患によって死亡した場合には,管理2ないし管理4に相当する病状に基づく損害とは質的に異なる別個の損害が発生したと解すべきであるとし,当該事件については,最も重い行政上の決定に相当する病状に基づく損害又は石綿関連疾患による死亡による損害について損害賠償を求めて提訴していることは明らかであるから,これらの損害が発生するのは最も重い行政上の決定を受けた時又は石綿関連疾患により死亡した時と解すべきであるとして,遅延損害金の起算日は,最も重い行政上の決定を受けた時又は石綿関連疾患により死亡した時と解するのが相当であると判示した。
2争点
本件において,被告の責任及び損害額には争いがなく,争点は,本件各請求についての遅延損害金の起算点,すなわち損害の発生時期である。(1)

原告らの主張
不法行為に基づく損害賠償債務は,損害の発生と同時に何らの催告を要せず遅滞に陥るから,損害の発生時と遅延損害金の起算点は同一である。原告らが肺がんにり患したことによる損害は,同疾患にり患した時に発生するから,同時点を遅延損害金の起算点と解すべきである。そして,肺がんにり患した事実は,医療機関の病理検査によって確定診断がされるものであり,労災認定がなければ認められないというものではない。したがって,本件各請求についての遅延損害金の起算点は,医療機関による肺がんの確定診断日とするのが相当である。


被告は,大阪高裁判決が,石綿肺を発症した患者に関する判示の中で,
患者が最も重い行政上の決定を受けた日又は当該患者が石綿関連疾患により死亡した日を遅延損害金の起算点と解すべきと判示したことから,同判示が肺がんを含めた石綿関連疾患全般について妥当する旨主張する。しかし,上記判示は,石綿肺を含むじん肺が特異な進行性の疾患であり診断が難しく,じん肺にり患した事実やその損害の質はこれらに関する行政上の決定がなければ通常は認め難いという特質に鑑みて,じん肺にり患した者の損害賠償請求に係る遅延損害金の起算点を確定診断日に代えて行政上の決定(管理区分決定)を受けた時と判断したものと解するのが相当であるところ,前記アのとおり,肺がんり患の事実は通常は医療機関の行う病理検査により確定的に診断することができるから,じん肺に関する判示は肺がんにり患した場合の損害に関して妥当するものではない。また,被告は,大阪高裁判決が,びまん性胸膜肥厚にり患した患者らについて行政上の決定があった日を遅延損害金の起算点と判断していることや除斥期間の起算点についての判示からすると,同判決は,石綿関連疾患については最も重い行政上の決定日又は死亡日を遅延損害金の起算点として統一的に理解し,その旨判示していると主張する。
しかし,同判決は,びまん性胸膜肥厚にり患した患者らについて,行政上の決定があった日よりも前に,医療機関による肺がんの確定診断がされた事実を認定することができなかったというものにすぎない。また,除斥期間に関する判示については,被告が指摘する判示部分は,肺がんや中皮腫についても長い潜伏期間を経て発症する点で石綿肺と同様であることを述べたものにすぎない。
したがって,被告の主張はいずれも失当である。

原告らの主張は,大阪高裁判決が肺がんにり患した患者の損害に対する遅延損害金の起算点を肺がんの確定診断日と判断していることにより裏付けられる。

これに対し被告は,同判決が肺がんにり患した患者につき遅延損害金の起算点を肺がんの確定診断日と判断したのは労災認定がされた日が証拠上明らかではなかったためと主張するが,同判決の事案において,日付の特定は困難であるものの,労災認定がされた時期を認定することはできるところ,同判決は,同時期よりも10か月以上早い時点である肺がんの確定診断日が遅延損害金の起算点であると判断しているのであって,労災認定がされた日が証拠上明らかではなかったためではない。
(2)

被告の主張
最高裁平成元年(オ)第1667号同6年2月22日第三小法廷判決・民集48巻2号441頁(以下平成6年最判という。
)は,石綿肺を含
むじん肺に係る遅延損害金の起算点について,行政上の決定時を基準としているところ,後記ウのとおり,行政上の決定がなければ損害の発生を認定できないという点で,石綿関連疾患としての肺がんとじん肺は異ならないから,肺がんり患に係る本件各請求についての遅延損害金の起算点は,原告らにつきそれぞれ労災認定がされた日と解するのが相当である。大阪高裁判決は,平成6年最判を踏まえ,肺がんを含む全ての石綿関連疾患について,最も重い行政上の決定を受けた時又は石綿関連疾患により死亡した時にその損害が発生したと統一的にとらえるべきことを判示したものと解すべきである。
また,大阪高裁判決においては,肺がんと同様にじん肺管理区分決定とは無関係に慰謝料額が定められた疾患であるびまん性胸膜肥厚についても,最も重い行政上の決定日又は死亡日を損害発生時として,同日を遅延損害金の起算点とする判断をしている。
さらに,石綿関連疾患に係る損害の発生時は,遅延損害金の起算点であると同時に除斥期間の起算点でもあるところ,同判決は,
身体に蓄積した場合に初めて人の健康を害することとなる物質による損害や,一定の潜伏期間が経過した後に初めて症状が現れる損害のように,当該不法行為により発生する損害の性質上,加害行為が終了してから相当の期間が経過した後に損害が発生する場合の除斥期間の起算点は,当該損害の全部又は一部が発生した時が相当であるとした最高裁平成16年4月27日第三小法廷判決・裁判集民事214号119頁(以下平成16年最判という。)
を引用した上で,石綿肺と肺がんとは長い潜伏期間を経て発症する点で同様であるから,石綿関連疾患においては,損害の発生時が不法行為の損害賠償請求権の除斥期間の起算点となる旨判示し,肺がんについての損害の発生時は他の石綿関連疾患と同様であることを明示的に判断している。

原告らは,大阪高裁判決において,肺がんにり患した1名の患者について,肺がんの確定診断を受けた日を遅延損害金の起算点と認定されていることを指摘するが,同人については,労災認定がされた日が証拠上明らかでなかったために,例外的に,肺がんの確定診断を受けた日を遅延損害金の起算点としたものと考えられ,上記判決が,肺がんについては,その遅延損害金の起算点を確定診断日とする旨を一般論として判示したものであるとは解されない。また,平成26年最判の第一審である大阪地裁平成24年3月28日判決においては,肺がんのり患を損害として認定された1名の患者について,肺がんに係る労災認定がされた日を遅延損害金の起算点と認定しており,被告の主張と整合的である。


石綿に由来する肺がんと一般の肺がんは,臨床像や画像上の特徴において差異はなく,また,肺がんの要因は,喫煙を初めとして多々存在する上,医師による肺がんの診断は,労災認定要件についての検討を経たものではなく,飽くまで一般の肺がんを含めた広義の肺がんの発症を認めるものにとどまるから,患者が肺がんの確定診断を受けたとしても,それだけでは直ちに石綿に由来する肺がんであるか否かが医学的に明らかになるも
のではない。したがって,肺がんについては,行政上の決定(労災認定)がなければ,訴訟においても損害の発生を認定できないというべきである。
第3当裁判所の判断
1認定事実
後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。(1)

石綿による肺がんは,臨床像において,一般の肺がんとの間に差はない
が,胸膜や肺病変において,画像上の特徴を有する。すなわち,石綿による肺がんにり患した者の肺野には,円形無気肺,葉間胸膜プラーク,結節状の線維化などによる結節像,腫瘤像が認められやすい。通常,肺がんは円形ないし結節状であるが,プラークや線維化によるものは,半円形,楔状,棒状であることが多い。
(乙4)
(2)

労災補償について規定した労働基準法施行規則35条,別表第1の2第7
号8は,
石綿にさらされる業務による肺がんを業務上の疾病として掲げて
おり,厚生労働省労働基準局長による石綿による疾病の認定基準について(平成24年3月29日付基発0329第2号)は,上記業務上の疾病の認定基準を次のとおりに定めている。
①じん肺法に定める胸部エックス線写真の像が第1型以上である石綿肺の所見が得られていること,②胸部エックス線検査,胸部CT検査等により,胸膜プラークが認められ,かつ,石綿ばく露作業への従事期間が10年以上あること,③乾燥肺重量1g当たり5000本以上の石綿小体等の所見が得られ,かつ,石綿ばく露作業への従事期間が1年以上あること,④次のA又はBのいずれかの所見が得られ,かつ,石綿ばく露作業の従事期間が1年以上あること(A

胸部正面エックス線写真により胸膜プラークと判断できる

明らかな陰影が認められ,かつ,胸部CT画像により当該陰影が胸膜プラー
クとして確認されるもの,B

胸部CT画像で胸膜プラークを認め,左右い

ずれか一側の胸部CT画像上,胸膜プラークが最も広範囲に描出されたスライスで,その広がりが胸壁内側の1/4以上のもの)等のいずれかを満たす必要があるものとされている。上記にいう胸膜プラークと判断できる明らかな陰影とは,(a)両側又は片側の横隔膜に,太い線状又は斑状の石灰化陰影が認められ,肋横角の消失を伴わないもの,(b)両側側胸壁の第6から第10肋骨内側に,石灰化の有無を問わず非対称性の限局性胸膜肥厚陰影が認められ,肋横角の消失を伴わないもののいずれかに該当する場合をいう。(乙5)
(3)

原告Aが平成20年11月26日に肺がんの確定診断を受けたことは,当
事者間に争いがない。
原告Aに係る医師の診断書において,X線検査やCT検査を経た上で胸膜プラークに係る情報欄に両側胸膜に散在性に胸膜肥厚および石灰化を認めるとの記載がなされ,また患者の石綿ばく露歴と発症(死亡)との因果関係に関する意見欄で,胸膜プラークも両側に散在性に認めるとの
記載がされている。
(甲B4)
(4)

原告Bが平成27年2月17日医療機関により石綿による肺がんと診断さ
れたことは,当事者間に争いがない。
原告Bに係る医師の診断書において,
石綿が原因であることの根拠欄に
胸部単純エックス線検査及び胸部CT検査による所見にチェックが付された上で所見・検査結果欄では胸膜プラークや肺線維化所見に
チェックが付されている。
(甲F5)
2遅延損害金の起算点について
(1)

不法行為に基づく損害賠償請求権は,損害の発生と同時に何らの催告を要
することなく遅滞に陥る(最高裁昭和34年(オ)第117号同37年9月4日第三小法廷判決・民集16巻9号1834頁)

本件各請求は,石綿粉じんのばく露により肺がんにり患したことに伴う損害の賠償を請求するものであるから,肺がんにり患した時点で損害が発生し,この時点を遅延損害金の起算点と認めるのが相当である。
そして,1の認定事実によれば,胸膜や肺病変において,石綿による肺がんは画像上の特徴を有するから,検査を経て画像を精査した医療機関において石綿による肺がんにり患した旨の確定診断がされれば,その旨の認定ができるものと認められ,当該診断時点に将来生ずるべき全損害が発生しているものとみることができる。したがって,同損害の遅延損害金の起算点は,医療機関による肺がんの確定診断日と解すべきである。
(2)

原告Aが平成20年11月26日に肺がんの確定診断を受けたこと,原告
Bが平成27年2月17日石綿による肺がんと診断されたことは,当事者間に争いがない。
これに対し,被告は,医師による肺がんの診断は,労災認定要件についての検討を経たものではなく,飽くまでも一般の肺がんを含めた広義の肺がんの発症を認めるものにとどまる旨主張する。
しかし,各医師は診断に際し,X線検査やCT検査を行った上で原告らの肺野の状態からり患の事実の有無を判断しているところ,認定事実1(3)及び(4)のとおり当該診断で胸膜プラーク等に着目していることからも,診断における検討はその実質において認定事実1(2)の認定要件の充足性の検討を包含していると解することができ,上記診断がされたことをもって,原告らが石綿粉じんのばく露により肺がんにり患したことを認めることができる。また,原告Bについては,明示的な確定診断がされているものではないが,原告Aに関する医師の診断書と原告Bに関する医師の診断書は,上記のとおり,いずれもX線検査やCT検査に診断が記載されたものであり,判断手法
において質的な違いがあるとはいえない。したがって,原告Bに対する医師の診断日は,確定診断日と同視することが相当と認められる。
したがって,被告の上記主張は採用できない。
(3)

被告は,平成6年最判,平成16年最判及び大阪高裁判決を参照した上
で,肺がんを含めた全ての石綿関連疾患について,その損害が最も重い行政上の決定日又は石綿関連疾患による死亡日に発生し,同日が遅延損害金の起算点になると主張する。
しかし,上記各判決は,同一の不法行為による同一利益の侵害に基づいて生じた損害は,全て1個の損害賠償債務の一部を構成することを前提に(最高裁昭和43年(オ)第943号同48年4月5日第一小法廷判決・民集27巻3号419頁参照)
,石綿肺の病変の特質を説示した上で,石綿肺という
極めて特異な進行性の疾患につき,それぞれの管理区分ごとに質的に異なる損害が発生したものと解すべきであり,また,石綿関連疾患によって死亡した場合には,管理2ないし管理4に相当する病状に基づく損害とは質的に異なる別個の損害が発生したと解すべきであると判断したものであることは明らかである。そして,石綿による肺がんが石綿肺と同様な特異な進行性の疾患であって,進行段階に応じて質的に異なる損害が発生すると認めるに足る証拠はないし,石綿による肺がんであることの確定診断又はこれと同視できる診断がされれば,遅くともその時点から,肺がんによって治療を要する状態になったことにより,損害が発生したと認定することができ,その後,行政上の決定がされるまで損害が発生していないと解すべき合理的理由はない。
したがって,被告の上記主張は採用できない。
3結論
以上によれば,原告らの請求は理由があるから認容し,仮執行宣言については本判決送達日から14日間の猶予期間を定めるとともに,担保を条件とする
仮執行免脱宣言については相当でないからこれを付さないこととし,主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第12民事部

裁判長裁判官


裁判官


裁判官

佐井良介由藤希子壮一郎
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