判例検索β > 平成31年(わ)第1103号
入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反、公契約関係競売入札妨害、贈賄
事件番号平成31(わ)1103
事件名入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反,公契約関係競売入札妨害,贈賄
裁判年月日令和元年9月5日
裁判所名・部大阪地方裁判所  第6刑事部
裁判日:西暦2019-09-05
情報公開日2019-10-25 18:00:08
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主文
被告人を懲役2年に処する
この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。
理由
【罪となるべき事実】
被告人は,電気工事の施工,請負等を業とするA株式会社の経営に実質的に関与し,営業,入札業務等を統括していたもの,B及びCは,いずれも大阪市建設局企画部(平成28年度以前は管理部)工務課の職員として,大阪市が発注する電気工事の設計,積算等の職務に従事していたものであるが
第1

Bと共謀の上,別表1(掲載省略)記載のとおり,平成26年12月4日から平成30年9月14日までの間に開札が行われた大阪市発注の電気工事合計29件の各制限付一般競争入札に先立ち,被告人が,各入札における秘密事項であって,最低制限価格帯算出の根拠となる各直接工事費等の教示をBに依頼し,Bにおいて,前記職務に従事する者として適正に入札等に関する職務を行う義務があるのに,その職務に反し,平成26年12月1日頃から平成30年9月12日頃までの間,15回にわたり,大阪市a区bc丁目d番e号所在の飲食店Dなどにおいて,前記各直接工事費等を被告人に教示するなどし,もって偽計を用いるとともに入札等に関する秘密を教示することにより,公の入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をし,

第2
1
Bに対し,
平成28年8月8日から平成29年6月6日までの間に開札が行われた大阪市発注の電気工事合計10件の各制限付一般競争入札につき,Bが職務上知ることができた入札に関する秘密事項である直接工事費等を被告人に教示して職務上不正な行為をしたことに対する謝礼の趣旨のもとに,別表2(掲載省略)記載のとおり,平成28年7月29日頃から平成29年5月30日頃までの間,6回にわたり,前記飲食店Dにおいて,現金合計75万円を供与し,
2
大阪市発注の電気工事の制限付一般競争入札につき,有利かつ便宜な取り計らいを受けたことに対する謝礼及び今後も同様の取り計らいを受けたいとの趣旨のもとに,別表3(掲載省略)記載のとおり,平成28年4月22日頃から平成30年10月30日頃までの間,15回にわたり,大阪市f区gh丁目i番j号所在の飲食店Eなどにおいて,現金合計295万円及び普通乗用自動車1台(販売価格410万円)を供与するとともに,旅行代金(合計62万9620円相当)の支払をして財産上の利益を供与し,もってBの職務に関し賄賂を供与し,

第3

Cと共謀の上,別表4(掲載省略)記載のとおり,平成29年11月9日から平成30年3月6日までの間に開札が行われた大阪市発注の電気工事等合計3件の各制限付一般競争入札に先立ち,被告人が,各入札における秘密事項であって,最低制限価格帯算出の根拠となる各直接工事費の教示をCに依頼し,Cにおいて,前記職務に従事する者として適正に入札等に関する職務を行う義務があるのに,その職務に反し,平成29年10月26日から平成30年2月23日までの間,3回にわたり,大阪市内又はその周辺において,前記各直接工事費を被告人に教示するなどし,もって偽計を用いるとともに入札等に関する秘密を教示することにより,公の入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をした。

【法令の適用】


判示第1の所為につき,別表1(掲載省略)の番号ごとに
官製談合防止法違反の点

いずれも刑法65条1項,60条,官製談合
止法8条

公契約関係競売入札妨害の点
判示第2の1の所為

いずれも刑法60条,96条の6第1項
別表2(掲載省略)の番号ごとにいずれも刑法
198条

判示第2の2の所為

別表3(掲載省略)の番号ごとにいずれも刑法
198条

判示第3の所為につき,別表4(掲載省略)の番号ごとに
官製談合防止法違反の点

いずれも刑法65条1項,60条,官製談合
止法8条

公契約関係競売入札妨害の点

いずれも刑法60条,96条の6第1項

科刑上一罪の処理
判示第1及び第3

刑法54条1項前段,10条(それぞれ1個の
行為が2個の罪名に触れる場合であるから,そ
れぞれ1罪として,重い官製談合防止法違反の
罪の刑で処断。ただし,罰金刑の任意的併科に
ついては,公契約関係競売入札妨害の罪の刑の
それによる。)

刑種の選択
併合罪の処理

いずれも懲役刑を選択
刑法45条前段,47条本文,10条(刑及び
犯情の最も重い判示第3の別表4(掲載省略)
の番号3の罪の刑に法定の加重)

刑の全部の執行猶予

刑法25条1項

【量刑の理由】
被告人は,飲食接待を重ねるなどして関係を築いた大阪市職員から,同市発注の電気工事等合計32件について,その入札に先立ち,秘密事項である最低制限価格帯の算出根拠となる直接工事費等の教示を受けたが,これを基に,19件の入札において被告人が経営に実質的に関与していた会社(以下本件会社という。)又はその協力業者が工事を落札したのであって,入札の公正を大いに害したものである。不正な情報提供や関係継続の見返りとして供与した賄賂の総額は金品等の合計で842万円余にも上り,職務の公正やこれに対する社会の信頼を損なった程度も
また大きい。市職員の要求を踏まえ,被告人が自動車の購入や旅行の手配等に応じた面もあるが,継続的な不正行為を繰り返すようになった発端は,被告人からの働き掛けにあり,上記工事の落札により本件会社が多額の利益を上げたと認められることなどからすると,被告人は,自社の利潤を追求し,積極的に一連の犯行に及んだといわざるを得ない。
なお,弁護人は,本件以前から同市発注の工事入札においては一定の業者に受注が集中するなど,公平な競争が確保されていない状況があったなどと指摘するが,そうであるとしても,入札の公正等をないがしろにしてよい理由にならないことは無論である。
他方,被告人が捜査の当初から罪を認めて深く反省しており,その供述が事案の解明に相当程度寄与したとうかがわれること,被告人にみるべき前科がないこと,本件会社については,公共工事の指名停止処分を受けるなど一定の社会的制裁を被ったものである上,顧問契約を締結した税理士による監督が期待できることなどの事情も認められるので,常習的で悪質な犯行ではあるが,被告人の社会内における更生を期待して,主文のとおり刑を定めた上,その全部の執行を猶予するのが相当であると判断した。
(求刑

懲役2年)

令和元年9月5日
大阪地方裁判所第6刑事部

裁判長裁判官


裁判官

沖寄淳敦子
裁判官

中村公大
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