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覚せい剤取締法違反、関税法違反被告事件
事件番号令和1(わ)333
事件名覚せい剤取締法違反,関税法違反被告事件
裁判年月日令和元年9月20日
法廷名札幌地方裁判所
裁判日:西暦2019-09-20
情報公開日2019-10-11 14:00:10
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令和元年9月20日宣告
令和元年(わ)第333号

覚せい剤取締法違反,関税法違反被告事件
主文
被告人を懲役9年及び罰金300万円に処する
未決勾留日数中80日をその懲役刑に算入する。
その罰金を完納することができないときは,金1万円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
札幌地方検察庁で保管中の覚せい剤8袋(同庁令和元年領第447号符号1-1,2-1,3-1,4-1,5-1,6-1,7-1,8-1)を没収する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,氏名不詳者らと共謀の上,営利の目的で,みだりに,平成31年4月15日頃(現地時間)
,カナダ所在のAサービスセンターにおいて,覚せい剤
である塩酸フェニルメチルアミノプロパンの白色結晶合計約1997.8グラム(札幌地方検察庁令和元年領第447号符号1-1,2-1,3-1,4-1,5-1,6-1,7-1,8-1はその鑑定残量)を隠し入れた郵便物1個を,札幌市所在の民泊施設の一室に宛てて発送し,同国所在のB空港関係作業員らをして,同日頃(現地時間)
,同郵便物を同空港から出発して積み替え地であるアメリカ合
衆国所在のC空港に到着する航空機に搭載させ,更に同空港から出発して千葉県a市所在のD空港に到着する航空機に搭載させ,同月17日,同航空機に搭載された同郵便物を同空港に到着させた上,同空港作業員に,これを航空機外に搬出させて日本国内に持ち込み,もって覚せい剤を本邦に輸入するとともに,同日,同郵便物を,東京都江東区所在のF保税蔵置場に搬入させ,同月18日,同所において,東京税関職員による検査を受けさせ,もって関税法上の輸入してはならない貨物である覚せい剤を輸入しようとしたが,同職員に発見されたため,その目的を遂げなかった。
(証拠の標目)省略
(法令の適用)
被告人の判示所為のうち,覚せい剤の営利目的輸入の点は刑法60条,覚せい剤取締法41条2項,1項に,輸入してはならない貨物の輸入の未遂の点は刑法60条,関税法109条3項,1項,69条の11第1項1号にそれぞれ該当するところ,これは1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるから,刑法54条1項前段,10条により1罪として重い覚せい剤取締法違反の罪の刑(ただし,罰金刑の多額は関税法違反の罪の刑のそれによる。
)で処断することとし,情状により所定刑中
有期懲役刑及び罰金刑を選択し,その所定刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役9年及び罰金300万円に処し,刑法21条を適用して未決勾留日数中80日をその懲役刑に算入し,その罰金を完納することができないときは,同法18条により金1万円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置し,札幌地方検察庁で保管中の覚せい剤(同庁令和元年領第447号符号1-1,2-1,3-1,4-1,5-1,6-1,7-1,8-1)は,いずれも判示の覚せい剤取締法違反の罪に係る覚せい剤で犯人の所持するものであり,かつ,判示の関税法違反の罪に係る貨物であるから,覚せい剤取締法41条の8第1項本文及び関税法118条1項本文によりこれらを没収し,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。
(量刑の理由)
本件で運び込まれた覚せい剤の量は約2キロと多量である。また,本件犯行は,組織的かつ計画的なものであって,覚せい剤の害悪が日本国内に拡散する現実的危険は大きかった。覚せい剤密輸の事案として悪質な犯行である。被告人についてみると,共犯者からの指示に従う従属的な立場にあったとはいえ,覚せい剤の在中する郵便物を受け取るという必要不可欠な役割を担った。加えて,被告人は,郵便物に違法薬物が含まれている可能性を相当強く認識しながら,報酬欲しさに安易に犯行への誘いに応じた。その動機や経緯に酌むべき点はない。
これらの犯情を踏まえ,同程度の量の覚せい剤営利目的輸入において受取役を担ったという同種事案と対比すると,被告人の刑事責任は少なくとも典型的事例と同程度の重さはある。覚せい剤密輸事犯に対する一般予防の観点が軽視できないことも併せみれば,被告人は強い非難に値する。
他方で,被告人が本件犯行の事実自体を認めていること,母親が社会復帰後の被告人を監督する旨上申していることなどの事情もある。
以上の諸事情を考慮して,主文のとおり刑の量定をした。
(求刑・懲役10年及び罰金300万円,覚せい剤8袋の没収)
令和元年9月20日
札幌地方裁判所刑事第3部

裁判長裁判官

駒田秀和
裁判官

山下智史
裁判官

牧野一成
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