判例検索β > 平成26年(行ウ)第615号
損害賠償等請求事件
事件番号平成26(行ウ)615
事件名損害賠償等請求事件
裁判年月日令和元年6月25日
裁判所名・部東京地方裁判所
裁判日:西暦2019-06-25
情報公開日2019-09-13 10:00:53
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令和元年6月25日判決言渡
平成26年(行ウ)第615号
口頭弁論終結日

同日原本領収

裁判所書記官

損害賠償等請求事件

平成31年1月31日
判主1決文
本件各訴えのうち別紙1訴え却下部分目録記載の部分をいずれも却下する。

2
原告のその余の請求を棄却する。

3
訴訟費用は,原告の負担とする。

第1
1実及び理由
請求
公安調査庁長官が平成26年12月1日に公安審査委員会に対してした更新の請求の際にした,原告が無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(以下団体規制法という。)5条1項3号にいう

当該無差別大量殺人行為が行われた時に当該団体の役員(団体の意思決定に関与し得る者であって,当該団体の事務に従事するものをいう。であった者が当該団体の役員である


との認定を取り消す。
2
公安審査委員会が平成26年12月8日に官報において公示した
ア(中略)は,両サリン事件当時,(中略)イに次ぐ「正大師の位階にあり,当時のa
が敷いていた省庁制度において,(中略)法皇官房大臣として,本団体の重要な業務を統括し,本団体の意思決定に関与し得る立場の役員であったと認められる。そして,現在も,(中略)ア(中略)も,本団体の内部組織であるbの幹部構成員等と連絡を取りながら,bの活動方針等の重要事項の意思決定に関与しており,(中略)ア(中略)は,現在も,本団体の役員であ
ると認められる」との公安調査庁長官の更新の処分の請求に係る告示を取り消す。
3
被告は,原告に対し,1000万円及びこれに対する平成27年1月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2

事案の概要
公安調査庁長官は,平成26年12月1日,公安審査委員会に対し,団体規
制法12条1項後段及び5条4項の規定に基づき,公安調査庁長官の観察に付する処分(以下,団体規制法5条1項の規定に基づく処分を観察処分といい,同条4項の規定に基づく処分を観察更新処分という。
)の期間の更新の
請求(以下本件更新請求という。
)をしたところ,その際,観察更新処分の
理由となる事実の一つである同条1項3号該当性について,(前略)ア(中略)は,両サリン事件当時,(中略)イに次ぐ「正大師の位階にあり,当時のaが敷いていた省庁制度において,(中略)法皇官房大臣として,本団体の重要な業務を統括し,本団体の意思決定に関与し得る立場の役員であったと認められる。そして,現在も,(中略)ア(中略)も,本団体の内部組織であるbの幹部構成員等と連絡を取りながら,bの活動方針等の重要事項の
意思決定に関与しており,(中略)ア(中略)は,現在も,本団体の役員であると認められる。」
(以下本件認定という。
)とした。また,公安調査庁長
官は,同日,本件認定を含む本件更新請求をしたことについて,報道機関に公表(以下本件公表という。
)した。そして,公安審査委員会は,同月8日,
本件更新請求があった旨を同日付けの官報において公示した
(以下
本件公示

という。
)際,更新の理由となる事実の一部として,本件認定も公示した。本件は,本件認定及び本件公示がいずれも処分(行政事件訴訟法3条2項)に該当することを前提に,本件認定が事実を誤認した違法なものであるとして,
原告が,
被告に対し,
本件認定及び本件公示の各取消しを求める(以下,
本件各訴えのうち本件認定及び本件公示の各取消しを求める部分を本件行政訴訟部分という。)とともに,公安調査庁長官が本件認定及び本件公表をしたことが,いずれも,原告との関係で,国家賠償法1条1項にいう違法な公権力の行使に該当し,原告がそれらの行為により多大な精神的苦痛を受けたとして,同項に基づき,慰謝料として各500万円(合計1000万円)及びこれに対する本件各訴えに係る訴状が被告に送達された日(平成27年1月13日)の翌日である同月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(以下,本件各訴えのうち国家賠償法に基づく損
害賠償を求める部分を本件国賠訴訟部分という。)事案である。
1
関係法令の定め
別紙2関係法令の定めのとおりである(同別紙で定める略称等は,以下においても用いることとする。)。

2
前提となる事実関係(以下前提事実という。なお,証拠等の掲記のない事実は,当事者の間に争いがないか,又は当裁判所に顕著な事実である。)
(1)

当事者等

原告は,イことウ(以下ウという。ただし,証拠の内容を引用等する際には,イ,イ,イ等と記載することがある。)とエ(旧

氏名オ。以下,改名の前後を問わずオといい,証拠の内容を引用等する際には,オ,イの妻,母等と記載することがある。また,
いわゆるホーリーネーム(aにおける宗教名のこと。以下同じ。)は,である。なお,以下において,証拠の内容を引用する際,特に断りなく,ホーリーネームで当該者の氏名を記載することがある。との間の三女)
(昭

和58年4月生)であり(以下,証拠の内容を引用等する際には,原告のことをア,ア,三女等と記載することがある。),ウを教祖・
創始者とするaにおいて,ウから,(以下,単にということ

がある。)とのホーリーネームを付けられた。なお,ウとオとの間には,原告の他に5人の子(女性3名,男性2名。なお,男性2名は,いずれも原告よりも後に出生した者である。)がある。

ウは,遅くとも昭和63年10月頃,原告を自己の後継者として定め,それを公言するようになっていた(ただし,その後に,後継者としての地位に変動があったか否かについては,当事者の間に争いがある。)。ウは,同年12月頃,原告が大乗のヨーガ(自他との区別を滅した解脱者になるためのヨーガ。以下同じ。)を成就(解脱とほぼ同義。以下同じ。)した旨を認定したが,これは,ウが大乗のヨーガを成就したと認定した最初の
事例であった。なお,オが,大乗のヨーガを成就したとウから認定を受けたとされるのは,平成3年7月のことである。

原告は,おおむね,昭和63年頃以降平成8年11月頃までは,山梨県内にあったaの関連施設に,同月下旬以降平成10年9月までは,福島県いわき市内に,同年秋頃以降平成18年3月22日までは,東京都八王子
市内に,同日以降は,埼玉県内に,それぞれ居住して生活をしていた(甲59,乙155)。
(2)

団体規制法に基づく観察処分がされるに至る経緯等

ウは,主神をシヴァ神として崇拝し,創始者であるイの説く教義を根本とし,全ての生き物を輪廻の苦しみから救済して絶対自由・絶対幸福・絶対歓喜の世界(マハー・ニルヴァーナ,涅槃の境地)に導くことを最終目的として,シヴァ神の化身であるイに対する絶対的な浄信と帰依を培った上,自己の解脱(成就)・悟りに到達する道である小乗(ヒナヤーナ)を修めるとともに,衆生の救済を主眼とする道である大乗(マハーヤーナ)及び衆生救済に至る最速の道である秘密金剛乗(タントラ・ヴァジラヤーナ)の各修行を実践することをその要旨とする小乗仏教等の複数の宗教の教義を混交した教えをとりまとめ,昭和59年2月頃以降,cとの名称の団体で活動を開始し,昭和62年7月頃には,上記の教えをaと称してそれを広めて実現する活動(日本シャンバラ化計画)を続け,ウ
を教祖・創始者とするaの教義を広め,これを実現することを目的とし,ウが主宰し,ウ及びaの教義に従う者によって構成される団体(以下本団体ということがある。)が形成された。その後,本団体は,全国各地に拠点となる施設を開設するなどした後,平成元年8月29日,宗教法人法上の宗教法人となり(宗教法人aの設立),法人格を取得した。宗教法人aにおいては,位階(ステージともいう。以下同じ。)の制度があり,平成6年7月頃には,正大師,正悟師,菩師長,
愛師長補,菩師,愛師,師等の位階が設けられていた。
また,ウは,自己を最終解脱者である尊師として,上記の位階の頂点にあるものとした上で,位階が下位にある者は,位階が上位にある者の指示に服従するよう求めていた(ただし,これが絶対的な服従を求めるもの
であったか否かは,当事者の間に争いがある。)。なお,位階が同じ場合には,その位階に早く達した者の方が,後に当該位階に達した者よりも位階が上にあるものとして取り扱われていた。
また,ウは,平成7年3月17日付けで,

皇子のステージをサマナの全ステージの上に置くものとする。

とのイ通達(以下本件通知
という。)を発出した(乙149)。

ウは,平成6年6月頃,宗教法人aに,国の行政機構と類似した法皇官房,大蔵省,建設省,治療省等と名付けられた部門からなる省庁制とされる組織(なお,法皇官房とされる部門に
ついては,当初は,内閣官房と称されていた。以下,改称の前後を問わ
ず,法皇官房というが,証拠の内容を引用等する際には,内閣官房と記載することがある。)を構築し,それぞれの部門の長には,正大師,正悟師等の宗教法人aにおける高位の位階にある者が就いた。各省庁とされる部門の長は,当該部門に属する者の人事,担当業務に関する決定権等を付与され,担当業務に主体的に関与することが可能な
地位及び権限を有していた(ただし,法皇官房についても同様であったか否かについては,当事者の間に争いがある。)。
法皇官房は,イニシエーション(aにおける特定の儀式のこと。以下同じ。)の実施,他の部門(省庁)への連絡,信徒のとりまとめ等の業務を担当する部門であり,法皇官房の長である法皇官房大臣(法皇官房長官とも呼称されており,呼称については当事者の間に争いがある。以下,法皇官房の長を法皇官房大臣という。)には,法皇官房が発足した当初から,原告が就いていた(乙16)。

ウは,平成6年6月27日,カ(以下カということがある。)らと共謀の上,
長野県松本市内の市民らを殺害しようと企て,
同市内において,
噴霧車を用いて猛毒であるサリンを散布し,8名を殺害するとともに,多
数の者を負傷させた(いわゆる松本サリン事件。以下同じ。)。
ウは,平成7年3月20日,カらと共謀の上,東京都内の地下鉄(3路線)を現に走行中の電車に乗っていた者らを殺害しようと企て,同電車内でサリンを散布し,
12名を殺害するとともに,
多数の者を負傷させた
(い
わゆる地下鉄サリン事件。以下同じ。また,松本サリン事件と併せ総称す
るときは,両サリン事件という。)。
地下鉄サリン事件が発生した当時,ウに次ぐ位階である正大師の位階にあったのは,平成2年12月に正大師の位階にあるものとウから認定されたとされる原告及び平成3年7月に正大師の位階にあるものとウから認定されたとされるオを含めて5名(原告,オ,カ,キ(以下キという
ことがある。なお,ホーリーネームは,である。)及びク)のみ(なお,以下において,個人の位階を摘示するときは,全て地下鉄サリン事件当時のものである。)であった。なお,上記の当時,ウとオとの間の子のうち宗教法人aにおける位階を有していたのは,原告のみであった。

宗教法人aは,平成7年5月11日,キを本部長とする緊急対策本部を設置し,省庁という用語を廃止したり,ウから委任を受けて一切の法律問題の対応をしたりすることとしたが,
同月16日にウが逮捕された
(乙
74)。
宗教法人aが設置した緊急対策本部は,同月20日,宗教法人aの最高意思決定機関を同日の時点で身柄を拘束されていない成人の正大師3名(オ,キ及びク)並びに正悟師6名から構成される正大師/正悟師会議とし,オを宗教法人aの代表代行とすること等を決めたが,同年6月21日,宗教法人aに係る規則上の最高意思決定機関である責任役員会の構成員の代務者としてケ(以下ケということがある。なお,本団体における位階は,正悟師である。)ら9名を選任し,最高意思決定機関の構成員を実質的に変更した(乙75)。

その後,オが,同月26日,キが,同年10月7日,それぞれ逮捕されて宗教法人aの意思決定に参加できなくなり,さらに,宗教法人aは,同年12月19日,宗教法人法81条の規定による解散命令の確定により法人格を喪失して清算手続に移行した。
オ(ア)公安調査庁長官は,平成8年1月,本団体に係る破防法11条の請
求(破防法7条に基づく解散の指定の処分の請求)をするに先立ち,弁明の期日を開いた。ウは,同年5月28日,本団体の代表及び教祖としての立場を退く旨の意思を表明し,本団体は,同年6月21日,ウとオとの間の男子2名を教祖とし,
原告を座長としてケ,(以下


ということがある。),サ(以下サということがある。)ら6名の
正悟師の位階にある者を加えた長老部と称する組織(以下長老部という。)を本団体の意思決定機関とすることとし,原告も,長老部が廃止されるまでの間,長老部として開催された会議に参加していた。
(イ)原告は,平成8年8月24日から同年10月下旬にかけて,原告ら
がその内容を決定した観念崩壊セミナーと称する行事(以下観念崩壊セミナーという。)を本団体として開催することに同意し,本団体の構成員を観念崩壊セミナーに参加させることにも同意した。観念崩壊セミナーにおける取組みにおいては,断食,長時間の蓮華座(足の組み方の一つ)等の過酷な内容のものも含まれ,参加者の中には,負傷者等も出た。
(ウ)公安調査庁長官は,平成8年7月11日,公安審査委員会に対し,破防法11条に基づき,破防法7条の処分の請求をしたが,公安審査委員会は,平成9年1月31日,上記の請求を棄却する旨の決定をした。
カ(ア)東京地方裁判所は,平成9年3月24日,キに対し,偽証等の罪に
より,懲役3年に処する旨の有罪を言い渡す判決の宣告をし,同判決は,平成10年8月26日,確定した。キは,同判決に基づく懲役刑の執行を受け,平成11年12月29日,刑事収容施設から釈放された(乙73)。
(イ)団体規制法は,平成11年12月7日に公布され,同月27日から
施行されたところ,公安調査庁長官は,同日,公安審査委員会に対し,団体規制法12条1項前段の規定に基づく請求(観察処分の請求)をした。
公安審査委員会は,平成12年1月20日,団体規制法16条の規定に基づき,本団体から,公開による意見聴取をした上で,同月28
日,本団体に対し,団体規制法22条1項3号の規定に基づき,3年間の観察処分(以下本件観察処分という。)をし,同年2月1日,団体規制法24条3項の規定に基づき,本件観察処分をした旨及びその理由を官報に公示した。(以上,乙2)
(ウ)本団体は,本件観察処分に先立つ,平成12年1月18日,本団体
の名称をdとすること,教組を置かないこと,長老部を廃止し,
キを中心とし,ケら6名の正悟師も加えて構成される正悟師・正大師会合を集団合議制の執行部として設けること等を内容とする事件に関する総合的見解表明及び抜本的教団改革の概要を公表し,同年2月4日付けで,宗教団体・dを発足させた(乙76)。
(エ)原告は,平成12年1月21日午前3時頃から同日午前5時50分頃までの間,ウとオとの間の二女(以下二女という。なお,証拠
の内容を引用する際には,次女と記載することもある。)及び4
名の者とともに,正当な理由がないのに,茨城県内にある本団体の施設に立ち入った後,ウとオとの間の長男(以下長男という。)と
ともに,同施設から出た。

原告は,同年2月19日,茨城県警察鉾田警察署に出頭し,住居侵入の被疑事実により逮捕された。その後,水戸地方検察庁検察官から上記の住居侵入に係る被疑事件の送致を受けた水戸家庭裁判所は,同年4月4日,上記の事件につき,保護観察所の保護観察に付する旨の保護処分をし,その頃,同保護処分は,確定した。(以上,甲52)
(オ)原告は,平成12年6月頃,キから,本団体のロシアにおける信者の一人がウを奪還する目的でテロを起こす計画(なお,同計画は未遂に終わっている。この未遂に終わった計画を含む一連の事実関係を,以下,シ事件という。)の中止を呼びかけるビデオ撮影に応じてほしい旨の連絡を受けてそれを応諾し,その頃,ビデオカメラの前で,

の立場で,

として

の考えとして,事件を起こすことはあってはならない旨の

話をした(甲59,乙127)。
(3)

本件観察処分後の経緯等

公安調査庁長官は,平成14年12月2日,公安審査委員会に対し,団体規制法12条1項後段の規定に基づく請求(観察更新処分の請求。
以下観察更新請求という。)をした。公安審査委員会は,平成15年1月8日,本団体から,口頭による意見の敷えんを受けた上,同月23日,本団体に対し,団体規制法26条6項が準用する団体規制法22条1項3号の規定に基づき,3年間の観察更新処分をし,同月29日,団体規制法26条6項が準用する団体規制法24条3項の規定に基づき,観察更新処分をした旨及びその理由を官報に公示した。(以上,乙3)

dは,その名称を,平成15年2月6日付けでeに,平成2
0年5月20日付けでbに,それぞれ,変更した。


原告は,平成15年夏頃,オとともにeの構成員と会ったり,単独でeの施設を訪れたりしたほか,キをeの運営から外すか否かを検討する
会議にも参加した(甲59)。キは,平成15年10月,eの運営から外れ,その後は,ケら5名の正悟師で構成される正悟師会合という名称の合議体(以下正悟師会合という。)が,eの意思決定をすることとなった。

公安調査庁長官は,平成17年11月25日,公安審査委員会に対し,観察更新請求をした。公安審査委員会は,平成18年1月10日,本団体から,口頭による意見の陳述を受けた上,同月23日,本団体に対し,団体規制法26条6項が準用する団体規制法22条1項3号の規定に基づき,3年間の観察更新処分をし,同月30日,団体規制法26条6項が準用する団体規制法24条3項の規定に基づき,観察更新処分をした
旨及びその理由を官報に公示した。(以上,乙4)

eにおいては,平成18年7月,正悟師会合が機能しなくなっていたことから,新たに合同会議と称する合議体(以下合同会議とい
う。)が設置されてeの事実上の意思決定機関となった(乙110)。その後,キ及び本団体の構成員の一部は,平成19年3月,eから脱
退し,同年5月7日付けで,fとの名称による組織(以下fと
いう。)を設立した(乙24,25。以下,平成12年1月18日から後でf設立前の本団体を指すときは,名称変更の前後を問わず,eということがあり,f設立後の本団体の内部組織を特定するときは,名称変更の前後を問わず,b,fなどということがある。)。
bは,平成19年12月14日,合同会議を正式な意思決定機関とする旨を公表した(乙110)。

ス(以下スという。なお,本団体における位階は,愛師長補で,
ホーリーネームは,㋜である。)は,平成20年3月26日,原告に対し,正大師との書き出しで,先日の教団に対する私(スのこと。以下,この項において同じ。)の見解は正大師(原告のこと。以下,この項において同じ。)ご指摘の通りで,軽率だったと反省しております。教団に関する心情表現には感情が乗り,少し誤解を招いてしまったように感じています。そのため私が教団(サンガ)を否定し,自らは別の立場において突き放しているように受け止められてしまったように感じました。もし,そのような受け止め方をされたとすれば,それは少し違います。お伝えしたかった真意は教団否定や批判を目的としたものではなく,「このように困った状態になっているという客観的事実として知った現状をふまえ,正大師だからこそ話せた私の率直な印象でした。私はこれまで教団やサマナ(本団体の施設で生活しながら修行をしている信者のこと。以下同じ。)に対しどのように考えどのように対峙してき
たのか,正大師はよくご存じだと思っておりますが,これまでにおいて私自身の言葉足らずや説明不足も多々あったと思います。私はそれ故に誤解を招いたと感じていますが,それは私の思いこみであって正大師ご自身は,また違ったお考えで話されておられるかも知れません。(中略)最近,教団の師(㋝(本団体の構成員で,菩師長補の位階にあるセ(以
下セということがある。ホーリーネームは㋝)のこと),㋞(本団体の構成員で,愛師の位階にあるソ(以下ソという。ホーリーネームは㋞)のこと),㋟(本団体の構成員で,菩師の位階にあるタ(以下タという。ホーリーネームは㋟)のこと),㋠(本団体の構成員で,菩師の位階にあるチ(以下チということがある。ホーリーネームは,㋠)のこと))と会って話しました。一つの方向で話をまとめているようです。(中略)やっと動こうとしているようで評価したいと思っています。(中略)同様に,やはり気になったのは先日からの相談事などは教団内部でほとんど議論が進んでいないことです。㋞(ソ)さんはこれまで誰と話してきているのでしょうか,二人の師はそのようなことは全く知らないようでした。教団全体の意思でもって争わなければならない
問題は,少なくとも代表者が確定しなくては難しいと思われます。今はその代表者を決める段階なので,もう少し時間がかかりそうです。以上いくつかの問題に関して私なりの考えを述べさせていただきました。未熟であるが故に多くの考え違いがあると思っています。どうか考えの誤りをご指摘いただいて,ご指導下さるようよろしくお願いいたします。
㋜師」などと記載された文書(以下本件文書という。)を送付した(乙11,94)。

公安調査庁長官は,平成20年12月1日,公安審査委員会に対し,観察更新請求をした。公安審査委員会は,平成21年1月13日,本団体から,口頭による意見の陳述を受けた上,同月23日,本団体に対し,
団体規制法26条6項が準用する団体規制法22条1項3号の規定に基づき,3年間の観察更新処分をし,同月30日,団体規制法26条6項が準用する団体規制法24条3項の規定に基づき,観察更新処分をした旨及びその理由を官報に公示した。(以上,乙5)

公安調査庁長官は,平成23年11月28日,公安審査委員会に対し,観察更新請求をした。公安審査委員会は,平成24年1月10日,本団体から,口頭による意見の陳述を受けた上,同月23日,本団体に対し,団体規制法26条6項が準用する団体規制法22条1項3号の規定に基づき,3年間の観察更新処分をし,同月30日,団体規制法26条6項が準用する団体規制法24条3項の規定に基づき,観察更新処分をした旨及びその理由を官報に公示した。(以上,乙6)

原告は,二女及び長男と連名で,本団体の構成員に対し,平成26年1月19日,別紙3のとおりの手紙(以下本件手紙1という。)を,同年2月13日,別紙4のとおりの手紙(以下本件手紙2といい,本件手紙1と総称するときは,本件各手紙という。)を,それぞれ送付した(乙11,18)。本件各手紙は,同年頃に開催されたbの会
合(以下八潮説明会という。)において,その概要が紹介された(乙17の1・2)。
(4)

本件更新請求等

公安調査庁長官は,平成26年12月1日,公安審査委員会に対し,観察更新請求(本件更新請求)をし,その際,本件認定をした。公安調
査庁長官は,同日,本件認定を含む本件更新請求をしたことについて,報道機関に公表(本件公表)した。

公安審査委員会は,平成26年12月8日,本件更新請求があった旨を同日付けの官報において公示した(本件公示)際,更新の理由となる事実の一部として,本件認定も公示した(乙1)


公安審査委員会は,平成27年1月14日,本団体から,口頭による意見の陳述を受けた上,同月23日,本団体に対し,団体規制法26条6項が準用する団体規制法22条1項3号の規定に基づき,3年間の観察更新処分をし,同月30日,団体規制法26条6項が準用する団体規制法24条3項の規定に基づき,観察更新処分をした旨及びその理由を
官報に公示したところ,上記の理由においては,本件認定に係る部分は,アについて論ずるまでもなくとされて何らの判断も示されず,本件認定は,上記の観察更新処分の理由の一部を構成していない(乙7)。(5)

本件各訴えの提起等
原告は,平成26年12月9日,東京地方裁判所に対し,本件各訴えを提
起した。なお,本件各訴えは,当初は,本件行政訴訟部分のうち本件認定の取消しを求める部分及び本件国賠訴訟部分に係る各請求から構成されていたが,原告は,平成27年8月3日,行政事件訴訟法19条2項の規定に基づき,民事訴訟法143条の規定の例により,本件行政訴訟部分のうち本件公示の取消しを求める部分に係る請求を追加的に併合する旨の申立てをした。3
争点

(1)

本案前の争点-本件行政訴訟部分の適法性(本件認定及び本件公示の処分性・争点1)

(2)

本案の争点-公安調査庁長官がした本件認定及び本件公表の違法性(争点
2)
(3)
4
本案の争点-原告に生じた損害及び損害額(争点3)
争点に関する当事者の主張の要点
別紙5のとおりである(同別紙で定める略称等は,以下においても用いるこ
ととする。)。
第3

当裁判所の判断

1
争点1(本案前の争点-本件行政訴訟部分の適法性(本件認定及び本件公示の処分性))について

(1)

取消訴訟の対象となる行政庁の行為について
行政事件訴訟法3条2項は,
同法において,
処分の取消しの訴えとは,
行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(同条3項の裁決に当たるものを除く。以下処分という。)の取消しを求める訴訟をいう旨を規定す
るところ,ここでいう処分とは,公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち,その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいうと解される(最高裁昭和39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁参照)。したがって,処分の取消しの訴えの対象である行政庁の行為は,上記の意味における処分に該当するものでなければならず,これに該当しないものの取消しを求める訴えは,取消訴訟としては不適法なものというべきである。
(2)

本件認定の処分性について

本件認定は,公安調査庁長官が,本件更新請求をするに当たり,更新の理由となる事実の一部として,一定の事実を認定した行為を指すものと解されるところ,上記の行為は,公安調査庁長官が本件更新請求をした当時に有している事実に関する認識を明らかにするにとどまるものであるから,
その性質上,当該行為により直接原告の権利義務を形成し又はその範囲を確定する効果を有するとはいえないことが明らかである。
したがって,本件認定は,前記(1)に判示した意味における処分には該当しないものというべきである。

原告は,①行政機関の内部的行為が対外的に直ちに実質的な影響力を持ち,後続の正規の処分を待っていては実害の救済を全うし難いような特別の事情がある場合には,例外的に出訴が許されるべきである,②行政庁の行為がそれ自体は直接法的効果を伴わないものであっても,その威嚇的な効果等の事実上の影響により当事者又は第三者に実質的な危害を及ぼすも
のであるときは,訴訟の対象性を否定すべきではないなどと主張し,本件認定を取り消すことを求める旨の訴えが適法である旨主張する。
しかし,原告が上記に主張する効果,不利益等は,いずれも事実上のものである(このことは,上記の原告の主張自体からも明らかである。)にとどまり,本件認定が前記(1)に判示した意味における処分に該当す
ることを基礎付ける事情とはいえない上,他に,本件認定が前記(1)に判示した意味における処分に該当することを基礎付ける法令上の根拠も見当たらない。
したがって,原告の主張は,採用することができない。
(3)

本件公示の処分性について

本件公示は,公安審査委員会がした本件認定を含む本件更新請求の理由となるべき事実を官報に公告することによって公示した行為を指すものと
解されるところ,上記の行為は,団体規制法26条4項,5項,17条2項の規定に基づき,公安調査庁長官がした本件更新請求における更新の理由となるべき事実を本団体に通知する行為(事実行為)であるから,その性質上,当該行為により直接原告の権利義務を形成し又はその範囲を確定する効果を有するとはいえないことが明らかである。

したがって,本件公示は,前記(1)に判示した意味における処分には該当しないものというべきである。

原告は,①本件公示がされた段階で原告にこれを争う機会を付与しなければ,原告に生じた名誉侵害を救済することができない,②本件公示の内
容は,原告の具体的な権利若しくは義務又は法律上の利益に重大な関わりを持っているから,告示そのものを争わせなければその権利救済を全からしめることができないような特殊例外的な場合に当たる,③本件公示は,原告に対しても向けられているものと解すべきであり,特定人に対する個別的処分として抗告訴訟の対象となる旨主張する。

しかし,原告が上記に主張する本件公示の効果,不利益等は,いずれも事実上のものであるにとどまる上,本件公示が,その性質上,原告を名宛人とするものとは認め難いから,原告の主張するところは,本件公示が前記(1)に判示した意味における処分に該当することを基礎付ける事情とはいえない。そして,他に,本件公示が前記(1)に判示した意味におけ
る処分に該当することを基礎付ける法令上の根拠(なお,団体規制法には,公安審査委員会がした公示についての不服申立ての手続は定められていない。)も見当たらない。
したがって,原告の主張は,採用することができない。
(4)

まとめ
以上によれば,本件行政訴訟部分は,いずれも,処分(行政事件訴訟法3条2項)に該当しない行政庁の行為の取消しを求めるものであって,そ
の余の点について判断するまでもなく,取消訴訟の訴訟要件を欠く訴えであり,不適法なものとして,却下を免れないというべきである。
2
争点2
(本案の争点-公安調査庁長官がした本件認定及び本件公表の違法性)の判断の枠組み等について
原告は,公安調査庁長官がした本件認定及び本件公表がいずれも国家賠償法
上違法なものである旨主張するから,まず,同法1条1項にいう違法の意味を検討し(後記3),その後に,本件認定の前提となる団体規制法5条1項3号が規定する要件等を検討し(後記4),その後に,当該要件について,本件の事案に沿って更に詳細に検討を加える(後記5から7まで)こととする。3
(1)

国家賠償法1条1項にいう違法の意味について
国家賠償法1条1項は,国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背して当該国民に損害を加えたときに,国又は公共団体がこれを賠償する責任を負う旨規定するところ(最高裁昭和60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号15
12頁等参照)
,公権力の行使に当たる公務員の行為に同項にいう違法があ
ったとの評価を受けるためには,当該公務員が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該行為をしたと認め得るような事情が存することが必要であると解するのが相当である(最高裁平成5年3月11日第一小法廷判決・民集47巻4号2863頁,最高裁平成11年1月21日第一
小法廷判決・裁判集民事191号127頁参照)

そうすると,本件認定については,公安調査庁長官が,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と原告を団体規制法5条1項3号にいう当該団体の役員である旨の事実を認定した上で本件更新請求をしたと認め得るような事情が存することが必要であり,本件公表については,公安調査庁長官が,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と本件認定を報道機関に公表したと認め得るような事情が存することが必要であると
いうべきである。これに反する原告の主張は,採用することができない。そして,上記のような枠組みを前提とすると,公安調査庁長官が,本件認定又は本件公表をした当時,公安調査庁長官が収集していた又は容易に収集し得た証拠の記載等に基づき,公安調査庁長官が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と本件認定又は本件公表をしたか否かを判断すべ
きものと解すべきである。
(2)

なお,
原告は,
公安調査庁長官が,
本件認定及び本件公表をするに先立ち,
原告に意見を述べる機会を与えなかったとして,本件認定及び本件公表に係る原告に対する手続的保障がなかったことが国家賠償法1条1項にいう違法を基礎付ける事情となる旨主張するが,団体規制法を始めとする関連法
令において,公安調査庁長官が,観察更新請求の基礎となる事実を認定する場合又は観察更新請求をしたこと及びその理由を官報において公示する場合に,それらの行為をするに先立って関係者に意見を述べさせる機会を与えなければならない旨の定めは見当たらないから,前記(1)に判示した点を超えて公安調査庁長官に何らかの法令上の義務が課されていたとは解し難い。
したがって,原告の主張は,採用することができない。
4
(1)

団体規制法5条1項3号の要件等について
団体規制法5条1項3号の規定と同号が定める要件について
団体規制法5条1項柱書きは,公安審査委員会が観察処分を行うことがで
きるための要件を,その団体の役職員又は構成員が当該団体の活動として無差別大量殺人行為を行った団体が,同項各号に掲げる事項のいずれかに該当し,その活動状況を継続して明らかにする必要があると認められる場合と規定し,同項3号は,当該無差別大量殺人行為が行われた時に当該団体の役員であった者の全部又は一部が当該団体の役員であることと規定する。そうすると,ある者が,団体規制法5条1項3号にいう当該団体の役員に該当するというためには,①団体の役職員又は構成員が当該団体の活動と
して無差別大量殺人行為を行った団体と,観察処分の対象となる団体が同一であること,②同号にいう当該団体の役員に該当するとされる者が,上記①の無差別大量殺人行為が行われた時に観察処分の対象となる団体の役員であったこと及び③上記②の者が,観察処分の請求がされた当時,観察処分の対象となる団体の役員であることの全ての要件を満たす必要があるものと
解すべきであり,これは,観察更新処分における場合についても,同様に解すべきものというべきである。
したがって,本件においては,

団体の役職員又は構成員が当該団体の活

動として無差別大量殺人行為を行った団体として観察処分を受けた団体と,観察更新処分の対象となる団体が同一であること,Ⓑ原告が,上記
の無差

別大量殺人行為(両サリン事件)が行われた当時に観察更新処分の対象となる団体の役員であったこと及びⒸ原告が,本件更新請求がされた当時,上記の観察更新処分の対象となる団体の役員であることの全ての要件を満たす必要があるものと解するのが相当である。
(2)

団体規制法5条1項3号にいう役員の意味について
団体規制法5条1項3号は役員について,団体の意思決定に関与し得る者であって,当該団体の事務に従事するものをいう旨の定義を置いているところ,原告は,ある団体が同項に該当するというためには,当該団体が再び無差別大量殺人行為の準備行為を開始するとの具体的危険性を要求する趣
旨のものと解すべきであるとし,同項3号の役員については,単にそれらの者が当該団体において役員としての地位を有しているだけでは足りず,無差別大量殺人の準備行為に着手し得る権限ないし影響力を伴った地位を有することが必要であると解すべきである旨主張する。
しかし,団体規制法5条1項には,破防法5条1項柱書きのような厳格な要件を規定した文言は見当たらず,団体規制法の規制対象団体について,無差別大量殺人行為を行う蓋然性や,破防法にいうような厳格な要件の充足が
必要であるとは解し難いから,団体規制法5条1項が,無差別大量殺人行為に及ぶ現在の具体的危険性が存することを,同項を適用するための要件としているとは解することができないというべきである。また,これに加え,同項3号が意思決定に関与し得る者と規定していることにも照らすと,同号にいう役員が無差別大量殺人の準備行為に着手し得る権限ないし影響
力を伴った地位を有することが必要であるとも解し難い。
したがって,原告の主張は,その前提を異にするものであって,採用することができない。
5
(1)

本団体について
観察処分を受けた団体と観察更新処分の対象となる団体との同一性の判断基準等
団体規制法5条4項にいう第1項の処分を受けた団体と同条1項にいう観察処分の対象となった当該団体の同一性の判断基準について,団体規制法に明確な定めはないものの,団体規制法4条2項の定めによれば,団
体規制法の団体とは,結合性や継続性等の人的関係・組織構成よりも,当該団体が特定の共同目的を有していることに着目し,その点に特色がある概念であるということができるから,上記の同一性の判断基準としては,団体規制法5条4項にいう第1項の処分を受けた団体と同条1項にいう観察処分の対象となった当該団体の双方の団体において,①構成員個人の
意思とは離れて当該団体としての行動をする際の指針となり得る特定の共同の目的に同一性があるかどうかが最も重要であり,②団体の結合性や継続性といった人的関係・組織構成についても,構成員や役職員が上記双方の団体間で一致していなければならないということではなく,各構成員が,上記共同の目的を達成するための意思決定に従うなどの共同の目的に沿った行動をするという点において人的結合性や組織としての継続性が認められ,この点に上記の双方の団体間に同一性があるかどうかを考慮して,上記の同一性を
判断すべきものと解するのが相当である。
(2)

本件観察処分を受けた団体と本件更新請求における被請求団体である本団体との同一性についてア
本件において提出された証拠の記載
本件における証拠には,次のような記載のあるものが含まれていることが認められる。
(ア)官報
a
平成12年2月1日付け官報(乙2)に掲載されている公安審査委員会告示第2号

(a)第4の1(3)

被請求団体の教義

(前略)aの教義は,原始密教,チベット密教,小乗仏教,大乗仏教,秘密金剛乗等の教義を混交したウの説く教えを取りまとめたものであり,その要旨は「主神をシヴァ神として崇拝し,創始者であるウの説く教えを根本とし,(中略)シヴァ神の化身であるウに対する絶対的な浄信と帰依を培った上,自己の解脱・悟りに到達する道である小乗(ヒナヤーナ)を修めるとともに,衆生の救済を主眼とする道である大乗(マハーヤーナ),及び衆生救済に至る最速の道である秘密金剛乗(タントラ・ヴァジラヤーナ)の各修行を実践するというものである。
ウは,その中でも,衆生救済への最速の道であるタントラ・ヴァ
ジラヤーナを最も重視し,これに関する説法の中で,悪業を積んでいる魂は早く命を絶つべきであるとするアクショーブヤの法則や真理の実践を行う者にとっては結果が第一であり,結果のためには手段を選ばないとするアモーガシッディの法則など五仏の法則の重要性を強調し,タントラ・ヴァジラヤーナを実
践すれば必ず最終解脱できる旨説くとともに,

例えばグルがそれを殺せという時は・・相手はもう死ぬ時期にきている。そして,弟子に殺させることによって,その相手をポアさせるというね,一番いい時期に殺させるわけだね。

(昭和62年1月4日丹沢集中セミナーでの説法),わたしたちは,すべての魂を・・救済したいと考える。・・しかし,時がない場合,それをセレクトし,必要のない魂を抜いてしまうこともやむなしと考える智慧あるもの,あるいは徳のある魂があったとしてもそれはおかしくはない。(平成5年4月18日杉並道場での説法)等と説き,教祖であり最終解脱者であるウの指示があれば殺人を行うことも正当化され,
死者の魂はポアないしポワされて高次の精神世界に転生す
るなどとしている。(後略)」
(b)第4の1(4)
ア被請求団体の政治上の主義被請求団体が政治上の主義を有するに至った経緯被請求団体は,(中略)その教義の実践として衆生の救済を行うことを目的とし,その教義に沿った理想郷の建設を目指す中で,平成元年ころ,最終的にはウを独裁者とする祭政一致の専制国家体制を樹立するという政治上の主義を有するに至った。イ政治上の主義の先鋭化被請求団体にあっては,この政治上の主義を推進するため,ウを含む構成員合計25名が平成2年2月施行の衆議院議員総選挙に立候補したが,全員が大差で落選した。(中略)ウ武装化の状況(中略)(オ)まとめ(前略)同2年ころには,かかる国家体制を樹立するためには,武力によって我が国の現行国家体制を破壊する必要があり,また,被請求団体に反対する者は殺害するほかはないとして,積極的に武装化を推進するなどしていたことが認められる。そして,後述のとおり,被請求団体は,かかる政治上の主義を推進する目的で,団体の活動として平成6年6月から同7年3月にかけて「松本サリン事件及び地下鉄サリン事件の両事件を敢行
した。」
(c)第4の2

被請求団体が法第4条第2項の団体に該当するこ


1で検討したように,被請求団体は,ウを教祖・創始者として結成され,ウの説くaの教義を広め,これを実現することを共同目的とし,その目的を達成するための多数人の継続的結合体であると認められ,法第4条第2項前段に規定する「団体に該当する。」b
平成21年1月30日付け官報(乙5)に掲載されている公安審査委員会告示第1号のうち第4の1被請求団体の現況

当委員会は,平成15年1月23日付けで期間更新決定(中略)を受けた,(中略)被請求団体を,平成18年1月23日付けで,3年間,公安調査庁長官の観察に付する処分の期間を更新する旨の決定(以下「第二回の期間更新決定という。)をし(中略)た。被請求団体は,第二回の期間更新決定時には,宗教団体eの名

称を用いる集団(以下eという。)を中心として活動していたと
ころ,平成20年5月20日,eは,その名称をbに変更し
た。
また,第二回の期間更新決定後である平成19年3月8日,キ(中略)を中心とする一部の構成員がeから脱退した旨を表明し,同
年5月7日,fの名称を用いる集団(以下fという。)の設
立を表明した。(中略)これらの事実を総合すると,fは,ウに

対して帰依し,
ウの説くaの教義に従う者によって,
観察処分を免れ,
ウの意思を実現することを目的として組織されたものであると認められ,その後の活動状況等を考慮しても,fは,依然として,ウ及
び同人の説くaの教義を共通の基盤としつつ,被請求団体の重要な一部を構成しているものと認められる。」

c
平成24年1月30日付け官報(乙6)に掲載されている公安審査委員会告示第1号のうち第4の1被請求団体の現況

当委員会は,平成15年1月23日付けの期間更新決定(中略)及び平成18年1月23日付けの期間更新決定(中略)を受けた(中略)被請求団体を,平成21年1月23日付けで,3年間,公安調査庁長官の観察に付する処分の期間を更新する旨の決定(以下「第三回の期間更新決定という。)をし(中略)た。被請求団体は,第三回の期間更新決定時には,bの名称を用い
る集団(以下bという。)とfの名称を用いる集団(以下f

という。)を中心として活動していたところ,第三回の期間更新決定後も,bは,その基本的性質に変化はなく,(中略)ウ(中略)
に対する絶対的帰依を明示的に強調して活動している。
一方,fについては,ウに対して帰依し,ウの説くaの教義に
従う者によって,観察処分を免れ,ウの意思を実現することを目的と
して組織されたものであり,ウ及び同人の説くaの教義を共通の基盤としつつ,被請求団体の重要な一部を構成しているものと,当委員会が第三回の期間更新決定において認定したところである。fは,
同決定後も,引き続き,表面上はウやaとの関係を否定しつつも,実質的にはウや同人の説くaの教義に絶対的に帰依することを説き,また,aにおいて認められた,修行体系や(中略)構想を維持していると認められるほか,b及びfの双方から構成員として報告さ

れている者が複数存在するなど,第三回の期間更新決定時と基本的性質に変化はなく,依然として,被請求団体の重要な一部を構成しているものと認められる。」
(イ)判決書
a
東京地方裁判所民事第2部が平成23年12月8日に言い渡した平成21年(行ウ)第341号事件の判決に係る判決書(乙26。以下本件判決書という。)のうち第3章第5の2(2)ア(ウ)の部分(本件判決書184ないし185頁)
(前略)本件観察処分を受けた団体は,(中略)ウを教祖・創始者とするaの教義を広め,これを実現することを共同の目的としていたものであって,その構成員もこの共同の目的を達成し,これに沿った行動をする結合性を有した「結合体であったといえる。他方,(中略)原告ら集団(以下原告ら集団という。)の構成
員が信仰している教義内容や原告ら集団の活動状況をみると,原告ら
集団の構成員においても,依然としてウを教祖・創始者とするaの教義を広め,これを実現するという特定の共同目的を有していると認められ,これらの原告ら集団は,上記教義やウの意思を推量して,上記特定の共同目的に沿って,団体としての意思決定をし,活動していると認められるから,上記共同の目的は構成員個人の意思とは離れ
て原告ら集団としての行動をする際の指針となっていると認められる。また,これら原告ら集団の構成員らが有しているウへの帰依心や同構成員らが原告ら集団の方針に従って活動していることにも鑑みれば,同構成員らは互いに上記共同の目的を達成するためにこれに沿った行動をとり得る関係にあるといえる。
そうすると,原告ら集団は,
(中略)団体規制法4条2項にいう共同目的を有し,これを達成するための結合体としての基本的な
結合関係は保たれており,団体規制法にいう団体に該当すると認
められるし,原告を含む本団体と本件観察処分を受けた団体の間には同一性が認められる。」
b
東京高等裁判所第22民事部が平成25年1月16日に言い渡した平成24年(行コ)第36号事件(原審・東京地方裁判所平成21年
(行ウ)第341号事件)の判決に係る判決書(乙130)のうち第3の2の柱書きの部分(同判決書10頁)
原判決を次のとおり補正するほかは,原判決の「第3章所の判断の(中略)第5当裁判本件更新決定の要件の有無等に関する判断について(後略)に記載のとおりであるから,これを引用する。



検討
(ア)前記アに記載した証拠の記載を前提とすると,公安調査庁長官が,前記アの各証拠の記載を前提として,
本件観察処分を受けた団体について,
次のような事実があると認識及び認定したものと推認することができる。
a
aの教義は,衆生救済を最終目的としそれを最速で達成するためには,たとえ自己は悪業を積むことになっても他者に対して善業となるならば,それを最高の実践課題として実践するという点に特色があるタントラ・ヴァジラヤーナ(具体的規範として,悪業を積んでいる魂は早く命を絶つべきであるとか,結果のためには手段を選ばないとす
る五仏の法則がある。)を最上位の教えとして位置付け,シヴァ神の化身であるウに対する絶対的帰依を培い,ウと心を合一させることにあるということができる。
b
aは,その教義における理想郷として,ウが独裁者として統治する祭政一致の専制国家体制を樹立するとの政治上の主義を有するようになり,これを実現するため,ウら構成員が,平成2年2月に施行された衆議院議員総選挙に立候補したものの,全員が落選したことから,
ウは,上記の政治上の主義を武力によって実現し,敵対勢力の排除及び現行国家体制の破壊を行うための手段として,サリンを生成するなどの武装化を推進し,両サリン事件を引き起こした。
c
前記a及びbによれば,本件観察処分を受けた団体は,前記bの政治上の主義と密接不可分なaの教義を広め,これを実現することを共
同の目的としていたということができ,その構成員もこの共同の目的を達成するために,aという団体の構成員として,結合していたということができる。
(イ)前記アに記載した証拠の記載を前提とすると,公安調査庁長官が,前記アの各証拠の記載を前提として,本件更新請求の対象とした団体について,次のような事実があると認識及び認定したものと推認することができる。
a
bは,ウに対する絶対的帰依を明示的に強調して活動している。

b
fは,ウに対して帰依し,ウの説くaの教義に従う者によって,観察処分を免れ,ウの意思を実現することを目的として組織されたもの
であり,表面上は,ウやaとの関係を否定しつつも,実質的にはウやウの説くaの教義に絶対的に帰依することを説き,また,aにおいて認められた修行体系とほぼ同様の修行体系を維持している。
c
前記a及びbによれば,bもfも,ウを教祖・創始者とするaの教義を広め,これを実現するという特定の共同目的を有していると認められ,これらの集団は,ウの意思の捉え方に相違があるものの,同一の上記の特定の共同目的を保持し,その達成のために役職員及び構成員が活動している継続的結合体であって,b及びfは,本団体の内部組織であり,本団体は依然として団体としての同一性を保持している。
(ウ)前記(ア)及び(イ)に加え,前提事実(3)キ及びクのとおり,公安審査委員会が,2度にわたり,本件観察処分を受けた団体と公安調査庁長官が観察更新請求をした団体が同一である旨の認定をしたこと及び前提事実(3)キについては,
裁判所も公安審査委員会の認定を是認したこと
(乙2
6,130)を併せ考慮すれば,公安調査庁長官が,本件更新請求にお
いて,b及びfが,団体規制法4条2項にいう共同目的を有し,これを達成するための結合体としての基本的な結合関係も保たれていて,それらが団体規制法にいう団体に該当し,かつ,本団体と
本件観察処分を受けた団体の間には同一性が認められる旨の事実を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と
当該事実を認定したとまでは認め難い。
(エ)原告は,①キは,平成11年末に刑務所から出所した後,絶対者であるウが指示して作らせた体制を覆し,ウを信仰対象とするのではなく,複数いる経典の解釈者の一人として位置付けることによって信仰対象すら変更したeを設立し,ウが指示したはずの教祖は置かれず,長老部も
廃止されたから,e又はbと宗教法人aとは断絶している,②fは,ホームページを見る限り,
aの教義とは関係のない団体であるなどとして,
宗教法人aとe又はb,更にはfは,全く別の団体であり,本団体は実在しない旨主張する。
しかし,公安調査庁長官が,前記(ア)及び(イ)のとおりの本件更新請求
をするに当たって収集した証拠の記載等を前提とすると,
前記(ウ)のよう
な認定をしたことに相応の根拠と合理性があったものと認めるのが相当であるから,
原告の主張するところをもっても直ちに,
前記(ウ)の判断を
覆すには足りない。
したがって,原告の主張は,採用することができない。
(3)

まとめ
前記(2)のとおり,
公安調査庁長官が,
本件更新請求において,
b及びfが,

団体規制法4条2項にいう共同目的を有し,これを達成するための結合体としての基本的な結合関係も保たれていて,それらが団体規制法にいう団体に該当し,かつ,本団体と本件観察処分を受けた団体の間には同一性が認められる旨の事実を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該事実を認定したとまでは認め難いもの
である。
したがって,本件観察処分を受けた団体と本件更新請求における被請求団体である本団体が同一であるとの事実が実際に存在していたか否かを検討するまでもなく,公安調査庁長官が,本件観察処分を受けた団体と本件更新請求における被請求団体である本団体が同一である旨の事実を認定し
たことについても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該事実を認定したとまでは認め難いというべきである。
6
(1)
原告が両サリン事件当時に役員であったとされることについて
当事者の間に争いのない事実
原告が両サリン事件当時に役員であったとされることを裏付ける事情として被告が指摘する事実のうち,①原告が,両サリン事件当時,宗教法人aにおいて,
ウに次ぐ高い位階である正大師の位階にあったこと,
②原告が,
オよりも早く正大師の位階にあるものとウから認定されたこと,③位階が同じ場合には,その位階に早く達した者の方が,後に当該位階に達した者より
も位階が上にあるものとして取り扱われたこと,
④本件通知が存在すること,
⑤ウが,かつて,原告を後継者とする旨の発言をしていたこと,⑥原告が,両サリン事件当時,宗教法人aの部門の1つである法皇官房の長とされる法皇官房大臣の地位に就いていたこと,⑦宗教法人aの省庁とされる部門の長
(大臣)
が,
当該部門において相応の権限を有していたこと,
⑧原告が,
ウ及び宗教法人aの各部門の長で構成される大臣会議の場にいたこと,⑨ウが,
平成8年6月に長男及び次男を本団体の教祖としたこと及び⑩ウが,
原告を長老部の座長に任命したことの各事実は,いずれも当事者の間に争いがない。
(2)

本件において提出された証拠の記載
前記(1)の当事者の間に争いのない事実を除く事実について,
本件において

被告が提出した証拠にある記載は,次のとおりである。

原告が本団体において実質的にウに次ぐ地位にあったとされること(ア)本団体において位階が上位の者の命に位階が下位の者が従う上命下服が浸透していたとされること
a
ウがしたとされる説法の一部
(a)昭和63年1月のもの(乙43)

(前略)いいか,下克上だけはするなよ。きちんとリーダーの言う意思を実現して(中略)そしてグルの意思というもの,リーダーの意思というものを確実に表現し,ね,そして功徳を積んでください。(後略)


(b)昭和63年4月20日のもの(乙43)

(前略)そしてここはポイントだぞ。このジュニアーナ・ヨーガの成就者は,いいか,決定権を持つ。つまりこのジュニアーナ・ヨーガの成就者には逆らうことはできない。(後略)

(c)昭和64年1月2日のもの(乙43)

(前略)もし君たちがだよ,わたしに至る途中の過程の大師を否定するとしたならば,君たちは結果的にはわたしも否定することになるよね。どうだそれは。(後略)

(d)平成元年12月9日のもの(乙43)

(前略)大師の指導に逆らわないように,わたしの言葉としてそれを受け止め全力でやるようにしなさい。いいね。(後略)

(e)平成2年8月13日のもの(乙43)
(前略)シャモンが実際に大師の指示に従わなかった例,あるいは大師が実際にマハームドラー以上の指示に従わなかった例,こういうのが連続で出てきてると。いかにこれは日頃身を捨てる,自己を捨てるということを訓練していない証拠である。(中略)こういう全体的な動きの場合は,だれの指示に従わなきゃなんないと思うか。自分の考えか,それともマハームドラーの成就者の指示か,どうだ。(中略)こういう原則的なことが理解できていない。(後略)(f)平成2年12月29日のもの(乙44)
(前略)グルの弟子たちに対して,絶対的な清らかな信を持ち帰依をすると。これはそのサマナのお手伝いをする。あるいはそのサマナが法を語ってるとき,それをグルと見,その法を実践するということである。(後略)(g)平成3年3月8日のもの(乙44)
(前略)四つの預流支とは何かと。まずこれは三宝に対する帰依である。では,三宝とは何かと。これはシヴァ大神の化身である,あるいは諸々の仏陀のすべての智慧を集積した象徴であるグル,グルに対して帰依をすることである。そして,第二番目は,そのグルの教えに対して帰依をすることである。中略)(向煩悩滅尽多学男や,向煩悩滅尽多学女,これはどういうことかというと,煩悩滅尽に向かっている,真理を多く知り実践している男性や女性の出家修行者に対して帰依をするということである。これはaでいったら,師,あるいは正悟師,正大師ということになるだろう。これらの者に対する帰依というのは何かというと,奉仕をし,布施をし,教えを受けるということである。(後略)(h)平成5年2月4日のもの(乙44)

わたしたちが真理へ到達するとき最も必要なもの,それは一般に三宝であるといわれている。その三宝とは,グルあるいは真理勝者,そして真理,そして真理を実践する先輩方である。(後略)

b
コの供述等-コの著書における記載

(前略)上には唯々諾々と従う。それが帰依であり,教団内で求められる秩序関係なのです。(乙45・15枚目)


(前略)最後には三女がこう言い放ちました。「上の人の言うこと聞くのが帰依でしょ。(後略)(後略)(乙45・21枚目)


c
本件判決書(乙26)のうち第3章当裁判所の判断第5本件更新決定の要件の有無等に関する判断について(争点7ないし争点12)1本件更新決定の要件の有無等に関して認定した事実(1)
aの沿革・組織・活動実態等アaの沿革,組織規模及び運営態勢等(イ)の部分(本件判決書128頁)aは,これらの構成員に対し,(中略)「ステージという独特
の位階(中略)を与え,この位階制度により,ウを頂点として位階の高い者が位階の低い者を支配・管理する上命下服の組織構造を有して
いた。(後略)」
(イ)ウの血を引く子女がオを含む他の構成員よりも上位にあるとされること
a
本団体の構成員又は元構成員の供述等
(a)コの著書における記載(乙45)
(前略)イの子どもは,すべての出家者の上のステージに置かれていました。その下にキらの正大師,さらに下には私を含めた正悟師と続きます。こうなったらどんなに頑張っても血筋には勝てないというわけです。(後略)(乙45・15枚目)

(前略)三女がこう言い放ちました。「(前略)皇子(イの子ども)はどのサマナよりもステージが上だよね。私のほうが上だよね。後


略)(乙45・21枚目)

(b)コの供述等(乙47・6枚目)
(前略)オとに間には,間違いなく力関係があります。オが何かの会合の時,ああだこうだと発言したところ,当時,20歳位のがオに対し,あなたは黙っていなさいと怒鳴り,オが黙ったままの状態になるということがありました。つまり教団では,母娘であってもイの血を分けた者には勝てないということです。(c)ツ(以下ツという。なお,本団体における位階は,菩師である。)の供述等(乙46・27枚目)

(前略)教団の決まり事として,イの妻や子供の方がキさんよりステージが高いというのがありました。(中略)普通の正大師とアさんなどとは,クルタの色分けもされていました。(中略)恐らく,末端のサマナに,子供は違うんだとアピールしていたんだと思います。イ自身も,子供は血を引いているからステージが高いんだということをしょっちゅう言っていました。(後略)(d)本団体の構成員の供述等(乙55・6枚目)
(前略)平成8年当時,サマナは皆と言ってもよいくらいに,イ逮捕後の組織内序列として,同格で長男(中略)と次男(中略)を筆頭に,次に四女(中略),その次に三女・ア,そして,同格で妻・オと長女(中略)と次女(中略)の順で形式的には認識していたものの,実質的には,(中略)三女・アを,(中略)絶対的な存在と捉えていた。(後略)(e)本団体の構成員の供述等(乙78・3枚目)
三女は,1994年頃,周りのサマナから「イ教祖の後継者
高い魂と言われてました。また,私も含め他のサマナは,キな
どの他の正大師よりも,
三女が一番上という認識を持っていました。

三女が,
高い魂
正大師の中でも一番上であることは,当然の
ことであり,珍しくありませんでした。
(後略)

(f)八潮説明会におけるテの発言(乙17の1・102枚目)

(前略)イの血を受けてらっしゃる方々は,私は特別だと思ってたんですけど,その中で(中略)正大師と(中略)は3名ですよね。で,正大師はそもそも紫のクルタじゃないし


(g)トによるインターネット上の記事(乙126・10枚目)
(前略)イの子女は皆「皇子(こうし)とされ,イより皇子をすべてのステージの上に置くと通達されたため,イに次いで神格化されていた存在でした。
(後略)


b
クルタの色について
(a)本団体が発行した機関誌
(平成7年9月25日付け)
の記載等
(乙
150・4及び5枚目)
(前略)aで青緑のクルタを着ている人は「正大師ワインレッ

ドのクルタなら正悟師クルタの色や称号はステージを示し
ている(後略)

なお,同機関誌には,右上から左下にかけて順に,青緑色の衣服
を着用したク,オ,キ及びカの写真並びにワインレッド色の衣服を着用したナ(本団体における位階は,正悟師である。
)ほか2名の写

真が掲載された頁が含まれている。
(b)本団体が発行した機関誌(平成11年3月20日付け)に掲載されている写真(乙150・8ないし10枚目)
同機関誌には,長男及び次男が青紫色の衣服を着用した写真が掲
載されている。
(c)本団体が発行した機関誌
(平成11年5月20日付け)
の記載
(乙
150・12ないし15枚目)

五月三日,(中略)正大師が登場され,(中略)祭典の始まりです。(中略)今回の祭典のメインプログラムは,(中略)正大師と,四人の正悟師方による歌のエンパワーメントでしょう。(後略)

なお,同機関誌には,中央に青紫色の衣服を着用した原告及びそ
の左右に2名ずつワインレッドの衣服を着用した者(合計4名)の
5名がマイクを手に歌っている写真が掲載された頁が含まれている。(d)ツの供述等(乙46・27枚目)

(前略)普通の正大師とアさんなどとは,クルタの色分けもされていました。普通の正大師が着るクルタの色は緑でしたが,アさんは紫のクルタを着ていました。(後略)


(e)平成17年頃のニの発言(乙68・6及び7枚目)
(前略)皇子方には,その,特別な青紫のクルタというものを,まあ,与えられて,(中略)この青紫というのは,イが赤紫に変わる前に着ておられた,そういう90年代のクルタなんです。これは特別な色というか,非常に重要な色で(中略)青紫の霊的な意味です。これを皇子の方々に与えられて,皇子の方はこれを着ることが認められた。(後略)c
本団体が公安調査庁長官に対してした報告(乙151)
eが平成12年3月2日に公安調査庁長官に対して提出した第1回報告書と題する文書には,※位階の表記についてとして,位階
の正式名称が皇子であるものについて,
皇子と表記する旨の表
を含む文書及びイ氏の子女と周りの人々でdに未入会の者(後略)との表題の下で,ウとオの間の子の全員の氏名と脱会時の位階が
皇子である旨が記載された表が含まれている。
なお,eは,その後も,平成14年8月15日までの間,11回にわたって,公安調査庁長官に対し,表題を少しずつ変えつつも,ウと
オとの間の子の全員(ただし,平成12年11月15日以降にされた報告書においては,全て長女が除かれている。
)の氏名と脱会時の位階が皇子である旨が記載された同様の表を添付した報告書を提出している。
(ウ)原告の地位が本団体において実質的には四女,長男及び次男よりも上位にあったとされること
a
本団体の構成員の供述等(乙55・6枚目)
(前略)イを含むa幹部が平成7年,地下鉄サリン事件等の一連の事件により逮捕された後,特に,その直後のa内におけるイ三女・アの位置付けは,私を含めサマナの共通認識として,イに代わる絶対的なものでした。(中略)平成8年当時,サマナは皆と言ってもよいくらいに,イ逮捕後の組織内序列として,同格で長男(中略)と次男(中略)を筆頭に,次に四女(中略),その次に三女・ア,(中略)の順で形式的には認識していたものの,実質的には,長男(中略)と次男(中略)が幼少であったこと,四女(中略)が性格的に弱かったことなどから,三女・アを,長男(中略),次男(中略),四女(中略)より上,絶対的な存在と捉えていた。正直,私は,三女・アについては,ほかのご子息と比して,その目つきも違うし,カリスマ性を感じていました。(後略)b
本団体の構成員であったヌ(以下ヌという。なお,本団体にお
ける位階は,菩師長補である。
)の供述等(乙56・9及び10枚目)
(前略)「観念崩壊セミナーにおける
このセミナーの開催当時,

の関与について,私は,

が教団全体としてイに次ぐステージに位

置する正大師であったと認識していました。
(中略)私を含め,多くの
信者は,

が教団の中で修行内容を決定することができるステージを

持つ者であり,

が一番高いところに位置すると認識していました。

(後略)

c
本団体の構成員の供述等(乙67・3枚目)
地下鉄サリン事件当時,ことアは教団内で正大師のステージであり,イの三女でもあったことから,同じ正大師の中でも他のク,キ,カらより,一段上の存在とされ,イに次ぐナンバー2の位置付けでした。(中略)は,イの子供の中でも,長女,二女よりもステージが高く,イの後継者と見られていました。(後略)d
トによるインターネット上の記事(乙126・10枚目)
(前略)この状態で,皆のよりどころとなれるのはイが「後継者
としていたイの三女(

正大師)しかいないと考えました。
(中略)特

に三女は昔からイより後継者と言われ,さまざまな神秘力を発揮
すると宣伝されており,
信者の間で神格化されていた存在でした。
(中
略)しばらくして三女が皆の前に姿を現すこととなり,皆は大いに活気付きました。
(中略)皆イが認めていただけあって,やはり三女はすごいと喜び安心し,三女自身も持ち前の女王性・カリスマ性を発
揮して強く皆を指導していった(後略)

e
ウが平成8年6月5日に本団体の代理人弁護士と接見した際に述べたとされるもの(乙152・8枚目)
(前略)教団からもう一度イを教祖にかつぐ動きを起こすように動いてほしい※降りたが適用されたら自分が出なければ教団が壊滅させられるf
ウが平成8年7月12日に本団体の代理人弁護士と接見した際に述べたとされるもの(乙152・14枚目)

(前略)わたしの指示で動くか動かないかが決まるということだろうが,そのためにわたしは2歳と3歳の子供を教祖にした。教祖が2歳と3歳の子供だから純粋な信仰団体でしかないということになる。


(エ)原告がウの家族に対する支援者からの献金を受領して管理していたとされること
a
四女の供述等-四女の著書における記載(乙57・30及び31枚目)
(前略)今もなお,甲家の周りには20人近くにのぼる側近たちが存在します。(中略)現在,表向きは脱会して会社員や自営業などをして無関係を装ってはいますが,稼いだお金を献金して経済的に甲家を支え続けています。(後略)b
四女の供述等-四女が作成した陳述書における記載(乙147)
(a)6,姉アの普段の生活のうち(2)姉アの生活費について
と題する部分(乙147・21及び22枚目)
姉アは,中略)(新築マンションに住んでいます。2年ほど前に,姉アが,脱会信者から得たお金で,購入したと聞いています。(中略)実質的には姉アの所有物です。私が家族との生活に疑問を持って家を出たのは,家族が信者たちからの献金によって生活していることが大きかったと思います。(中略)そんなお金を姉アが稼げるのでしょうか。(中略)さんは脱会していても信仰心のある信者です。(中略)さんはプログラマーをしていて収入がいいので,姉アのために,それくらいのマンションを購入する資金は提供できるのでしょう。(中略)さんは,姉アのお付きの信者です。(中略)さんは,名目上教団を脱会していますが,今も信仰を捨てていません。(中略)姉アにとても忠実で,姉アがインターネットでダイエット商品を買うときも,姉アの言いなりでお金を払ってあげていました。(中略)姉アを含めた甲家の家計は,(中略)さんを経由して献金される(中略)さんの収入によって支えられています。(中略)さんも,姉アのお付きの信者で,(中略)経済的管理をしていました。(中略)さんが稼ぐ月200万円もの収入から,かなりの額が,給料として(中略)さんに支払われ,それが,姉アを含めた甲家の収入に回されるという形がとられていました。その話は,姉アから直接聞きました。(後略)(b)8,お付きの信者たちによる莫大な献金と題する部分(乙1
47・24及び25枚目)
(前略)脱会はしたけど信仰心を捨ててはいない信者たちは,稼ぎの全額を姉アらに献金しています。姉アに献金している現場を何度も見たことがあります。いずれも手渡しで献金しているので,何か証拠が残ることはありませんし,税金もかかっていないはずです。(中略)2005年に,私が,(中略)さんから聞いたところによると,上記のプログラミングチームと,ネットオークションチームは,姉アに対し,年間2000万円もの献金をしていたそうです。中略)(この2000万円の献金とは別に,(中略)さんが(中略)さんを介して月200万円,(中略)さんが月25万円,(中略)さんが月27万円を献金していますので,姉アに対し年間で払われているお金は,莫大な金額になります。信者らが,姉アに対し,献金されたお金は,茨城県にある母(オのこと。以下同じ。)が住んでいる家の2階にある神や仏の像がある部屋に保管されていました。(後略)c
四女の裁判所における証言(乙59・7ないし10枚目。
「」より前
の()部分は,代理人による質問であり,
「」の部分が四女による証言
である。

(前略)
(アさんは生活費をどのように賄っていたのですか。

献金によって賄っていました。

(だれからの献金ですか。

)(前略)さんたち,形式的に脱会した信者たちからです。

(信者の皆さんは,自分の収入からどのように献金を行っていたのですか。

収入の全額を献金して,生活費などは反対に経費として,)姉からもらっていました。

(アさんが経費として渡していたということね。「はい。)
(アさんが,具体的に献金について,側近の信者に指示をすることはあったのですか。その月の収入が少ない信者とかに怒ったりとか,)

冷たい態度を取ったりしていました。

(信者は,お金をどのようにしてアさんに渡すのですか。

現金で)手渡ししていました。


(集めたお金はどこに保管するのですか。(中略)

にある修法室というところです。

(あなたが(中略)お金を持っていったことはありますか。

あり)ます。

(それはだれの指示ですか。

2番目の姉か3番目の姉の指示で)す。

(どういうふうに持っていったのですか。

現金の札束を銀行の封)筒に入れたものを紙袋にまとめて入れてあるものを,そのままか,自分のかばんに入れたりして持っていきました。

(何回ぐらい持っていったことがありますか。

大体10回程度だ)ったと思います。

(中略)
(紙袋の中に銀行の封筒が入っているとおっしゃいましたけれども,本当に銀行の封筒なのですか。ちゃんと確認しましたか。

はい。三)井住友の緑色の封筒とかが入っていました。

(中略)

(銀行の封筒の厚さは,
おおよそ何センチぐらいありましたか。一

番厚いもので5センチぐらいだったと思います。

(中略)
(修法室はどんな部屋なのですか。

aの最高神として祭られてい)るシヴァ神の像とか,父のいすとか,父の大きな写真とかが飾ってある部屋です。

(龍ヶ崎のおうちからお金をどこかに運んだことはありますか。

あります。
(それはだれの指示なのですか。

それも2番目の姉か3番目の姉)の指示です。


(このときは,どういうふうに持っていったのですか。

そのとき)は,何かその持って行くものの形状を言われて,その銀行の封筒だったら封筒に何か書いてあったりとかして,何とかと書いてあるやつを持ってきて,みたいなそういう感じで言われて,持っていきました。

(持っていったのはどこですか。

持っていったのは3番目の姉が)いた(中略)のマンションとかです。

(では,銀行の封筒の表に,何か書いてあったことがありますか。)

鉛筆で数字とかが書かれていました。

(具体的に何か数字は覚えていますか。

437というのが印象に)残っています。


(437というのはどういう意味なのですか。

437万円入って)いるという意味だと2番目の姉が言っていました。

(中略)

(封筒に書いてあった数字で,ほかに覚えている数字はあります
か。

二百幾つとか,四十幾つとか,二十幾つとか書いてありました。

(後略)
d
八潮説明会におけるニの発言
(乙128・16,
17及び24枚目。
ただし,人名は,本判決における略称に合わせて変えている。

(前略)あの,オと次男が。まあ,具体的には一つは,あのー,その,ま,原告の警備をしている,ある男性の,まあサマナって言っていいのか,人が個人事業をやっているんですね,やってるらしいんですね。その事業の元でオも,こう,まあ,生活及びその,長男及び次男,大学生でいらっしゃいますから,まあ,その,学費とか全部,まあ,仕事をされてるみたいなんですけども,それも,なんか,打ち切られたみたいなんですよ。(中略)だから,こう,その,生計を立てる収入源とかですね,まあ,それが一つ。まあ,それでかなり,生活的にちょっと,こう,困窮し始めているっていう話しが一つ。(後略)
(オ)本団体の構成員が原告の発言を命令として受け取っていたとされること
a
本団体の構成員であったヌの供述等(乙56・10及び11枚目)(前略)が述べたことについては,教団の上層部は,それを承諾するしかなく,(中略)この修行については,教団上層部ですら,中止を求めることや,口を挟むことなどはできないものでした(後略)b
法皇官房に所属していた本団体の元構成員の供述等(乙71・3及び4枚目)
(前略)三女は,高い魂の存在,救世主なわけですから,三女の何気ない発言も,私を含め他のサマナには,「何かしらの意味があるのだろうと考えさせられました。また,自分にとって非常に辛いことや自分を否定される発言であっても,
ありがたいと思うだけで,発言
の真意を三女に確認することなどできませんでした。
(中略)
三女の発
言は,本人が意図しているか否かにかかわらず,受け手には,命令と受け取られました。
(後略)


原告が法皇官房大臣の権限を行使していたこと
(ア)原告が両サリン事件当時に宗教法人aの構成員の位階の認定に関与をするなどの業務に携わっていた及び宗教法人aの人事に関する提言をしたとされること
a
ウの発言とされるもの(なお,ウの発言の前後にある()内の記載は,編集部とされる者による発言等の記載がある部分である。

(a)(前略)現代の子供と違った,一次元高い子供達と考えた方がいいと思うね。(中略)知識に関しては,今生での知識がないから,そこを攻められると弱いけれども,それ以外は大丈夫なんじゃないかね。知識に関係しないこと,一つのことを論理的に考えることというのはね。大師方も,かなり答えられない質問をされているみたいだからね。(乙10・11枚目)(b)(前略)の動きをよく見ていると,相手のカルマに応じて彼女が行動しているんだということに気付き出したんだね。(中略)がいじって修行が一気に進んだとか,あるいは彼女がいたがために,修行の引っ掛かりが取れたとかね,そういうことがいろいろと出てきたんだよね。(後略)(そうですね。成就のための手伝いをしているわけですから,
(中略)
大乗のヨーガですね。

(乙10・12枚目)
(c)(
(前略)の今後果たすべき役割は何なのでしょうか。やっぱ)り,ここ五年,十年というものは,富士の道場にいて,成就させるときのマハー・ムドラー的な手伝いをしてくれるんじゃないかね。例えば,引っ掛かっているエネルギーをはずすとか。成就する,しないを選別するとかね。(乙10・14枚目)(d)(前略)ところで,私の三女(中略)はアストラル世界に出入りしているんだね。まだ五歳だというのに,特別な子だよ。(中略)自分の力で成長していく子なんだ。あの年齢で,大師にマハー・ムドラー(その人の心を一度具現化させることによって指導する方法)をかけたりもしている。(中略)三女の場合,(中略)生まれながらにして精神レベルが高いのである。(後略)(乙166・13及び14枚目)
(e)(前略)わたしは,(中略)の智慧というものは,相当に優れているなと思うね。(中略)彼女は,もうすでに六歳にして,(中略)少なくとも親子という枠組みを離れた判断をする力はあるだろうと。そして,いろんなシッシャからいろんな問題点が上がってきて,(中略)の答えを聞くと,わたしの言っている説法をそのまま実践していると。(中略)もう二歳の子供に対してマハームドラーをかけてるわけだね。(後略)(乙168・5及び6枚目)
b
宗教法人aが発行した書籍における記載
(a)(前略)の誕生である。わずか五歳にして,大乗のヨーガという高いステージに到達したこの清らかな魂は,成就者を輩出させるために多大な貢献をしている。彼女の,個々の状態に見合ったカルマ落としやシャクティーパットでのエネルギー移入などにより,ステージを上げた修行者は多い。(後略)(乙167・10枚目)(b)

(前略)もう一つのポイントはだね。やっぱり,あれが成就の采配を振るっているんじゃないかと私は思っています。とのウの発

言が記載されている下部に掲載されている写真には,原告が,成就の証とされる帯を成就者とされる者に授与している様子が写し出されている。
(乙169・5枚目)
(c)(例えば,
(中略)は,サマナの修行を進めるために,いろいろ
なマハー・ムドラーをサマナにかけたり,またはエンパワーメント(エネルギー移入)シャクティーパットをよくしますよね。

それで
修行者のカルマを結構しょうことがあると思うんだけれども,そういうときは,の状態というのもやっぱり悪くなるんですよね。は

い。
(そういうときは,イはどう

に接しますか。例えば,教学さ)せたり,修行させたり,瞑想させたり,「ヴァジラヤーナの帰依をしてカルマを取ってくれます。

(乙170・8枚目。
()部分が,クによる質問であり,
「」部分が,
原告による回答部分であるとされている。

(d)

※(中略)は大変快くインタビューに応じてくださいました。一言一言しっかりと語ってくださった言葉の中に,父であるイに対する敬愛の念が感じられました。(後略)(乙170・10枚目)


(e)(前略)ネさんは無償のお布施を始められましたが,そのきっかけは,イの三女で既に大乗のヨーガを成就されている(中略)の一言だったのです。(中略)といろいろやりとりがあって,そのときに『お金に執着しているんでしょう。駄目だからね。一日三千円お布施!』って言われたんですよ(中略)確かに(中略)の言葉どおり,まとまったお金が入ったことで餓鬼のカルマが出て,お金に執着していた部分があったのかもしれない-ネさんはそう思い,今ではその餓鬼のカルマを落とすために(中略)がおっしゃってくれたのだと,心から感謝していらっしゃるのです。(後略)(乙171・9枚目)
(f)ウが修法したとされる飴を原告が持っている写真が前記(c)の記載の右下に掲載されている(乙170・8枚目)
。また,ウが修法し
たとされる飴を原告が信者に配布している写真が掲載されている宗教法人aが発行した書籍がある(乙173・9枚目)

(g)正大師からのメッセージとして,
信徒・サマナの皆さん,今はふるいにかけられている時期だと考えられたらいかがでしょうか。だからこそ,修行,瞑想,グル,シヴァ大神,すべての真理勝者方に対する帰依を,今こそ培いましょう。そのふるいに残れるかどうかは,皆さんの努力しだいです。それでは皆さん,がんばりましょう。(一九九五年五月十六日INS放送より)(乙174・4
枚目)
c
ノの公判廷における供述要旨(乙16)

(前略)省庁制導入により,私は内閣官房次官に任命された。任命の際,「お前は,内閣官房次官だ。と言われた(中略)長官にをよろしく補佐してやってくれ


が,次官にハとイの次女(中略)が就任

した。内閣官房は,省庁制が導入されて数ヶ月後,法皇官房と名称が変更された。
(後略)


d
ツの供述等(乙46)
(前略)1994年(中略)7月になり,富士の総本部にある第2サティアンで,イから何か液体の入ったワイングラスを渡され,飲みました。幻覚が見えました。その後,イの自宅へ呼ばれ,体験を話すと,よしと言われました。第6サティアン2階に移動すると,5~6人の人がおり,イの三女であるアさんから,師になりましたと言われました。いわゆる,イニシエーション成就です。(後略)e
本団体の構成員の供述等(乙67・3及び4枚目)
(前略)はイの子供の中でも,長女,二女よりもステージが高く,イの後継者と見られていました。また,は,教団組織としては法皇官房トップの立場にいましたが,年齢的にはまだ小学校高学年の子供であったので,実質的には,イのブレーン的存在であったノが法皇官房を動かしていました。(中略)また,具体的な事例は覚えていませんが,は,「ある信徒が頑張っているから重用すべきといった人事的なことについて発言していたと記憶しています。
(後略)

f
本団体の元構成員の供述等(乙71・4枚目)
(前略)法皇官房においても,例えば,三女が,修行について発言すれば,本人に確認などせず,彼女の意思をおもんばかり,「これは修行の課題として全省庁に伝達すべきだと他省庁に伝達していました。
(後略)


g
本団体の構成員の供述等(乙72・3枚目)
(前略)アさんは,aの省庁制時代,まだ中学生くらいだったと記憶していますが,法皇官房の大臣でした。法皇官房は,全ての省庁にかかわる部署で,修行のテーマを決めて実行させたり,修行システムを考案するなどしていました。アさんは,大臣会議に参加し,修行のテーマなどを決める権限を有していましたが,次官のノさんやハさんのサポートを受けていました。(後略)h
原告のブログにおける記載(乙162・7枚目)
父がいた当時,わたしはかなり内向的で,本当に思ったことは口に出せませんでした。またうまくしゃべることもできなかったため,他の人との意思疎通に困ることがよくありました。わたしの発音が悪く,言葉を聞き取ってもらえないのです。(後略)(イ)原告がウから直接指示を受けていた又は法皇官房に所属する構成員から業務の報告を受けていたとされること
a
本団体の構成員の供述等(乙67・4枚目)
(前略)ノら法皇官房幹部は,日常的にイ及び同人の家族が住んでいた第6サティアン地下1階の住居に赴き,法皇官房の運営などについて話し合っていましたが,それにはたいていイの家族が同席していました。私や他の法皇官房メンバーも,同地下に出入りしていたので,しばしば話し合いの様子を見たことがあります。その際,がイの前で話し合いに割って入って発言することもありました。しかし,イがをとがめることはありませんでした。(中略)は,イからステージが高く洞察力があり神の啓示を受けているとされていたので,が発した言葉にイが意味付けをして,教団活動に反映されることもありました。b
本団体の元構成員の供述等(乙71・4枚目)
(前略)法皇官房では,特に初期の頃,イから「皇子を支えるようにと言われていました。イは,指示を次官(中略)に伝えることもありましたし,
大臣の三女に直接伝えることもありました。
もちろん,
次官(中略)は,指示を三女に報告していましたし,指示の結果も報告していました。しかし,法皇官房発足後しばらくすると,三女の法皇官房への関わりは薄くなっていきました。省庁の大臣会議や次官会
議は,存在しました。
(中略)大臣会議には,イも参加していました。
当時,三女と長女は,イの目として,イと常に行動を共にしていました。ですから,大臣会議には,三女も参加していたはずです。

(3)

前記(2)に掲げた証拠における記載の一般的な信用性等について原告は,被告が指摘する供述証拠の一部に供述者が匿名であるものが含まれていることを指摘し,そのような供述証拠はおよそ信用性がない旨主張する。
しかし,被告が提出する供述証拠は,その体裁に照らし,個人を識別し得る情報に限って,事後的に塗りつぶしを施したものと認められ,その体
裁自体から,ねつ造がうかがわれるものとはいえないほか,本件全証拠によっても,それらの供述等の内容自体が明らかに虚偽のものであることをうかがわせる事情等は見当たらない(原告がるる指摘するとおり,供述の一部に,客観的な事実とのそご,供述相互間の矛盾又は不合理な点が存すること自体は否定し難いものの,それらのものの内容に照らすと,原告が指摘するような事情が当該供述等の核心部分についての信用性を根本的に揺るがすものとまでは認め難い。
)上,複数の供述が大筋で一致してお

り,相互にその信用性を高め合っていると評価し得ることや,当事者の間に争いのない事実又は客観的な証拠によって裏付けられた事実と整合している部分もあることにも照らすと,供述者が匿名とされていることにより原告がその信用性を直接弾劾することが困難であることを踏まえたとしても,公安調査庁長官が,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすこと
なく漫然と,それらの供述証拠を信用することができるものと判断し,かつ,これらのものを本件認定の基礎とすることができる証拠として使用したことになるとまでは認め難い。
したがって,原告の主張は,採用することができない。

原告は,公安調査庁の職員が供述者に対して金品を提供して公安調査庁に都合の良い供述を得るための利益誘導をしてきたから,公安調査庁が収集した供述証拠は,金品を提供することによって得られた信頼性が全く認められないものである旨主張する。
しかし,仮に,本件において証拠として提出された供述証拠の一部又は
全部について,公安調査庁の職員が供述者に対して金品を提供した事実が存することを前提としたとしても,当該事実のみから直ちに,当該供述証拠がおよそ信用することができないものであると推認することはできず,当該供述証拠の信用性を低下させる1つの事情になるにとどまる。そして,本件においては,被告が提出した供述証拠の内容が,必ずしも被告の主張
に沿うものばかりではなく,原告の主張に沿うものも複数含まれている(例えば,前記(2)イ(イ)bのとおり,匿名の供述者の供述には,しかし,法皇官房発足後しばらくすると,三女の法皇官房への関わりは薄くなっていきましたという被告の主張とは必ずしも整合しない供述が録取されている。
)上,前記アのとおり,その体裁自体から,ねつ造がうかがわれるものとはいえないほか,それらの供述等の内容自体が明らかに虚偽のものであることをうかがわせる事情等も見当たらないことに照らすと,公安調
査庁長官が,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と,それらの供述証拠を信用することができるものと判断し,かつ,これらのものを本件認定の基礎とすることができる証拠として使用したことになるとまでは認め難い。
したがって,原告の主張は,採用することができない。


原告は,被告が提出した供述証拠には,推測で述べられた根拠のない供述又は伝聞情報について述べられた不確かなものが多く含まれ,原告と敵対的な関係にある者の供述も含まれており,信用性がない旨主張する。被告が提出した供述証拠について,原告が上記に指摘する事情が存するものが含まれていること自体はそのとおりであって,当該供述証拠を安易
に信用すべきではないという限度で,当該供述証拠の信用性を低下させる事情を内在するものであり,その信用性には一定の限界があるとはいえるものの,前記ア及びイと同様の理由により,原告が上記に指摘する点をもって直ちに,公安調査庁長官が,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と,それらの供述証拠を信用することができるものと判断し,
かつ,これらのものを本件認定の基礎とすることができる証拠として使用したことになるとまでは認め難い。
したがって,原告の主張は,採用することができない。

原告は,原告に関するウの発言及び宗教法人aが発行した書籍の記載について,これらは全て宗教的なプロパガンダにすぎず,原告が,真に,ウの発言や書籍に記載のあるような行為をする能力を有していたことを意味しないのであって,子供がそのような行為を真に行い得ると考える者もいないはずである旨主張する。
しかし,仮に,原告に関するウの発言及び宗教法人aが発行した書籍の記載が,いずれも宗教的なプロパガンダであって,真実の原告の能力とは必ずしも一致しないものであることを前提としたとしても,例えば,原告
の言動とされるものが本団体の構成員に強い影響力を及ぼし得るものであったこと,また,原告が少なくとも年齢相応の能力を有していたことを推認し得る1つの事情であるということはできるから,原告が上記に指摘する点をもって直ちに,公安調査庁長官が,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と,それらの発言又は記載を信用することができ
るものと判断し,かつ,これらのものを本件認定の基礎とすることができる証拠として使用したことになるとまでは認め難い。
したがって,原告の主張は,採用することができない。
(4)
検討

本団体において位階が上位の者の命に位階が下位の者が従う上命下服が浸透していたとされることについて
被告は,本団体において位階が上位の者の命に位階が下位の者が従う上命下服が浸透していた旨主張し,それを裏付ける証拠として,ウがしたとされる説法の一部等を挙げる。本件においては,前記(2)ア(ア)のとおり,
被告が提出した証拠のうち被告の主張に沿うものとして,ウがしたとされる説法の一部,本団体の元構成員の供述等及び本件判決書の一部の各記載があるところ,これらの証拠の記載の内容自体に加え,本件判決書のような公安調査庁以外の公的機関が認定した事実も含まれていることにも照らすと,公安調査庁長官が,本団体において位階が上位の者の命に位階が
下位の者が従う上命下服が浸透していた旨の事実を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該事実を認定したとまでは認め難い。
原告は,上位者の指示に従うようにという趣旨の説法が何度もされていること自体,上位者の指示に従わない事例が多々あったことを裏付けている,コの供述等自体からも,原告が尊重されていないことがうかがわれるなどとして,本団体において上命下服が浸透していたとはいえない旨主張
するが,仮に,原告が上記に主張する事情が存在することを前提としたとしても,
それらの事情の内容に照らすと,
それらの事情によっては直ちに,
公安調査庁長官が,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該事実を認定したことがうかがわれるとはいえないから,上記の認定及び判断を覆すには足りない。


ウの血を引く子女がオを含む他の構成員よりも上位にあるとされることについて
(ア)被告は,ウの血を引く子女がオを含む他の構成員よりも上位にある旨主張し,それを裏付ける証拠として,本団体の構成員の供述等,本団体
が発行した機関誌の記載等及び本団体が公安調査庁長官に対してした報告の各記載を挙げる。本件においては,前記(2)ア(イ)のとおり,被告が提出した証拠のうち被告の主張に沿うものとして,本団体の構成員の供述等の一部,本団体が発行した機関誌の一部及び本団体が公安調査庁長官に対してした報告の一部の各記載があるところ,これらの証拠の記載
の内容に加え,Ⓐ原告がオよりも早く正大師の位階にあるものとウから認定されたこと,Ⓑ本団体においては,位階が同じ場合には,その位階に早く達した者の方が,後に当該位階に達した者よりも位階が上にあるものとして取り扱われていたこと,Ⓒ本件通知が存在すること等の当事者の間に争いのない事実も前提とすると,公安調査庁長官が,ウの血を
引く子女がオを含む他の構成員よりも上位にある旨の事実を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該事実を認定したとまでは認め難い。
(イ)a原告は,本件通知は守られていなかった,皇子は位階を表すものではなく単にウの子女であることを示す呼称であるにすぎない,eが原告を皇子として報告していたことは何も知らなかったなどと主張し,ウの血を引く子女が他の構成員よりも上位にあるとはいえない旨主張
するが,これらの事情は,その内容に照らし,前記(ア)に指摘した証拠等の信用性を直ちに消滅させたり,公安調査庁長官がした認定を直ちに覆滅したりするものとまではいえず,仮に,原告が上記に主張する事情が存在することを前提としたとしても,それらの事情によって直ちに,公安調査庁長官が,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすこ
となく漫然とウの血を引く子女がオを含む他の構成員よりも上位にある旨の事実を認定したことがうかがわれるということにはならないから,それらの事情は,前記(ア)の認定及び判断を覆すには足りない。b
原告は,オが,ウの妻であり,年齢的にも他の構成員よりも上であったために他の全ての構成員よりも抜きん出た存在であった,ウが逮捕された後に代表代行の地位に就いたなどとして,原告がオよりも上位にあったとはいえない旨主張し,これに沿う証拠もある。
しかし,
前記(ア)に述べたところに加え,
当事者の間に争いのない事
実が被告の主張するところを裏付ける事実に含まれ,これに沿う複数
の供述等及び書籍の記載等が存するという証拠構造にあることや,両サリン事件以降,
その当時に本団体において最高の位階にあった者が,
本団体の代表者等に必ずしも就いているわけではないこと(前提事実(2)エ参照)にも照らすと,仮に,原告が上記に主張する事情が存在することを前提としたとしても,それらの事情によって直ちに,公安調
査庁長官が,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然とウの血を引く子女がオを含む他の構成員よりも上位にある旨の事実を認定したことがうかがわれるということにはならないから,それらの事情は,前記(ア)の認定及び判断を覆すには足りない。
c
原告は,クルタの色について,原告が着用するクルタの色は,時期によって異なっており,長女及び二女が白色のクルタを着用していたこともあったから,クルタの色は,ウの血を引く子女がオを含む他の
構成員よりも上位にあることを裏付ける旨の被告の主張を裏付けるものとはいえない旨主張する。
しかし,原告の主張するところを前提としたとしても,長女及び二女は,いずれも,宗教法人aにおける位階を有しておらず,原告のみが,正大師の位階にあったこと(前提事実(2)ウ)を前提とすると,被
告の主張するところが客観的事実と完全に矛盾し,およそあり得ないものとまではいえないから,公安調査庁長官が,被告が指摘する証拠の記載(前記(2)ア(イ)b)を本件認定の基礎としたとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と,それらの発言又は記載を信用することができるものと判断し,かつ,これらのものを本
件認定の基礎とすることができる証拠として使用したことになるとまでは認め難い。
したがって,原告の主張は,採用することができない。

原告の地位が本団体において実質的には四女,長男及び次男よりも上位にあったとされることについて
(ア)被告は,原告の地位が,本団体において実質的には,四女,長男及び次男よりも上位にあった旨主張し,それを裏付ける証拠として,本団体の構成員の供述等及びウがしたとされる発言を挙げる。
本件においては,
前記(2)ア(ウ)及び(エ)のとおり,
被告が提出した証拠のうち被告の主張に

沿うものとして,本団体の構成員の供述等及びウがしたとされる発言の一部の各記載があるところ,これらの証拠の記載の内容に加え,Ⓐウがかつて原告を後継者とする旨の発言をしていたこと,Ⓑ原告が法皇官房の長の地位に就いていたこと,Ⓒウが,原告を長老部の座長に任命したこと等の当事者の間に争いのない事実も前提とすると,公安調査庁長官が,原告の地位が本団体において実質的には四女,長男及び次男よりも上位にあった旨の事実を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該事実を認定したとまでは認め難い。(イ)原告は,ウが平成8年6月に長男及び次男を教祖に就けたことから,原告がウの包括的な後継者であるとはいえなくなった,長女も宗教法人aにおける重要な部門の長に就いていた,ウが原告よりも四女の方が霊
性が高い旨の発言をしたなどとして,
被告の主張が誤っている旨主張し,
これに沿う事実(当事者の間に争いのない事実)及び証拠もある。しかし,前記(ア)に判示したところに加え,Ⓐ公安調査庁長官が,長女がその長の地位にあった部門と原告がその長の地位にあった法皇官房との比較において,法皇官房の方がより重要であると解したとしても,公
安調査庁長官において把握することができたとうかがわれるそれらの部門の業務内容とされるものの記載(乙13)に照らすと,それが明らかに不合理,不自然であるとまでは解し難いこと,Ⓑ上記のウの発言とされるもの以外には,本団体が,四女について,前記(2)における原告と同様又はそれを上回るような内容の記載のある書籍を公刊したり,構成員
の発言を紹介したりしたことをうかがわせる証拠が見当たらず,本団体において四女が原告よりも上位にあることに沿う本団体の構成員又は元構成員の供述等も見当たらないことも併せ考慮すると,原告が上記に主張する事情によって直ちに,公安調査庁長官が,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と原告の地位が本団体において実質的に
は四女,長男及び次男よりも上位にあった旨の事実を認定したことがうかがわれるということにはならないから,
それらの事情は,
前記(ア)の認
定及び判断を覆すには足りない。

本団体の構成員が原告の発言を命令として受け取っていたとされることについて
(ア)被告は,本団体の構成員が原告の発言を命令として受け取っていた旨
主張し,それを裏付ける証拠として,本団体の元構成員の供述等を挙げる。本件においては,前記(2)ア(オ)のとおり,被告が提出した証拠のうち被告の主張に沿うものとして,本団体の元構成員の供述等の一部の記載があるところ,これらの証拠の記載の内容に加え,これまでに判示してきたところにも照らすと,公安調査庁長官が,本団体の構成員が原告
の発言を命令として受け取っていた旨の事実を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該事実を認定したとまでは認め難い。
(イ)原告は,構成員のクに対する態度と原告に対する態度との間には格段の違いがあった,正悟師の位階にある者は原告を子供扱いしていたなど
として,被告の主張が誤りである旨主張する。
しかし,これまでに判示してきたところに加え,本件の証拠関係の下においては,原告の発言が本団体においておよそ無視されていたとか,原告の意向に沿って動いた又は動こうとした者が本団体においては皆無であったとかいうことをうかがわせる事情が見当たらないこと(なお,
両サリン事件よりも後の事情ではあるが,観念崩壊セミナーの開催やその内容について,原告の意向が少なくともある程度は反映されていたことは,原告自身も認めるところである。
)にも照らすと,仮に,原告が上
記に主張する事情に沿う事情があったことを前提としたとしても,それらの事情によって直ちに,公安調査庁長官が,職務上通常尽くすべき注
意義務を尽くすことなく漫然と本団体の構成員が原告の発言を命令として受け取っていた旨の事実を認定したことがうかがわれるということにはならないから,
それらの事情は,
前記(ア)の認定及び判断を覆すには足
りない。

原告が両サリン事件当時に宗教法人aの構成員の位階の認定に関与をするなどの業務に携わっていた及び宗教法人aの人事に関する提言をしたと
されることについて
(ア)被告は,原告が,両サリン事件当時に,宗教法人aの構成員の位階の認定に関与をするなどの業務に携わったり,宗教法人aの人事に関する提言をしたりした旨主張し,それを裏付ける証拠として,ウがしたとされる発言,
書籍の記載,
本団体の構成員又は元構成員の供述等を挙げる。

本件においては,前記(2)イ(ア)のとおり,被告が提出した証拠のうち被告の主張に沿うものとして,ウがしたとされる発言の一部,宗教法人aが発行した書籍の記載の一部,本団体の構成員又は元構成員の供述等の一部の各記載があるところ,これらの証拠の記載の内容に加え,Ⓐ原告が法皇官房の長の地位に就いていたこと,Ⓑ省庁とされる部門の長
(大臣)が当該部門において相応の権限を有していたこと等の当事者の間に争いのない事実も前提とすると,公安調査庁長官が,原告が,両サリン事件当時に,宗教法人aの構成員の位階の認定に関与をするなどの業務に携わったり,宗教法人aの人事に関する提言をしたりした旨の事実を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことな
く漫然と当該事実を認定したとまでは認め難い。
(イ)原告は,両サリン事件当時,小学校に通学していなかったため,文字も知らずに本もまともに読めなかった上,滑舌が悪く,しゃべれないことに劣等感を抱いていた状態であったから,様々な物事を理解し,本団体の様々な事務や業務を遂行する能力を有していなかった旨主張し,こ
れに沿う証拠(なお,前記(2)イ(ア)hも参照)もある。
しかし,原告の滑舌が悪かったとされることについては,原告のブログにそれに沿う記載がある(前記(2)イ(ア)h)が,それを裏付けるような公安調査庁長官が従前収集した又は容易に収集し得たと思われる原告自身の供述等を除く証拠又は事情は見当たらない上,原告の著書(甲59)が公刊されたのは,本件各訴えが提起された後のことであり,弁論の全趣旨によれば,原告の音声とされるもの(甲68,69)及び原告が記載した日記とされるもの(甲70)は,本件各訴えに係る審理の過程において初めて,原告が対外的に明らかにしたものであると認められるから,公安調査庁長官が,本件認定に先立って収集した又は容易に収集し得たと思われる証拠を前提とする限り,
原告が,
両サリン事件当時,

原告が主張するような能力の状態であったことをうかがわせる証拠又は事情は見当たらなかったものということができる。
その上で,
これまでに判示したところに加え,
前記(ア)に記載した証拠
における記載の内容(前記(2)イ(ア))も併せ考慮すれば,仮に,原告が上記に主張する事情に沿う事情があったことを前提としたとしても,そ
れらの事情によって直ちに,公安調査庁長官が,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と原告が両サリン事件当時に宗教法人aの構成員の位階の認定に関与をするなどの業務に携わったり宗教法人aの人事に関する提言をしたりした旨の事実を認定したことがうかがわれるということにはならないから,
それらの事情は,
前記(ア)の認定及び判

断を覆すには足りない。
(ウ)原告は,Ⓐ法皇官房の業務として携わったのは,長袖Tシャツを決めたこととウの誘導や介助くらいである,Ⓑ両サリン事件当時は,法皇官房が何をしている部門か知らなかった,Ⓒ法皇官房は,実質的にウに直属し,
原告を通すことなく,
直接ウと話し合って物事を決めていたから,

原告は何もすることができなかった,Ⓓ法皇官房次官のノを任命したのも,人事権を行使していたのもウ自身であり,法皇官房の業務内容もウが重きを置いていたもので,ウを差し置いて原告が何かを決める権限も理由もなかった,師になりました

と告げた事実があったとしても,
それは文字通り子供の使いとしての行為にすぎないなどとして,被告の主張が誤っている旨主張し,これに沿う証拠もある。
しかし,仮に,上記に原告の主張する各事情が存在することを前提としたとしても,原告が法皇官房の業務に携わったことがあり,これを法皇官房の長としての権限の行使と解することも可能である(上記Ⓐ及びⒺ)から,仮に,そのことの意味を詳細に理解していなかったとしても(上記Ⓑ)その余の権限をノらが実際に行使していたとしても

(上記Ⓒ

及びⒹ)
,前記(ア)に記載した証拠における記載の内容と明らかに矛盾しているとまでは認め難いというべきである。
そうすると,これまでに判示してきたところも併せ考慮すると,原告が上記に主張する各事情によって直ちに,公安調査庁長官が,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と原告が両サリン事件当時
に宗教法人aの構成員の位階の認定に関与をするなどの業務に携わったり宗教法人aの人事に関する提言をしたりした旨の事実を認定したことがうかがわれるということにはならないから,
それらの事情は,
前記(ア)
の認定及び判断を覆すには足りない。
(エ)原告は,公安調査庁長官が,平成11年12月22日,原告は,地下
鉄サリン事件当時12歳であり,実質的な役員としての任務を果たしていたとは認め難い旨の報告を受けており,公安調査庁自身,原告が両サリン事件当時に本団体の役員ではない旨を認定していた旨主張し,これに沿う証拠もある。
しかし,公安調査庁長官が,平成11年12月22日当時及び本件更
新請求当時において,いずれも同じ資料を基に事実を認定したことはうかがわれず,むしろ,異なる資料を基に事実を認定したものとうかがわれるから,上記のとおり,公安調査庁長官が,平成11年12月22日当時,原告が両サリン事件当時に本団体の役員ではないと認定していたとしても,そのことが,本件更新請求の当時に上記と異なる認定をしたことの違法性を基礎付けるものとは認め難い。
したがって,上記の事情は,前記(ア)の認定及び判断を左右しない。

原告がウから直接指示を受けていた又は法皇官房に所属する構成員から業務の報告を受けていたとされることについて
(ア)被告は,原告がウから直接指示を受けていた又は法皇官房に所属する構成員から業務の報告を受けていた旨主張し,それを裏付ける証拠とし
て,
本団体の元構成員の供述等を挙げる。
本件においては,
前記(2)イ(イ)
のとおり,被告が提出した証拠のうち被告の主張に沿うものとして,本団体の構成員の供述等の一部の記載があるところ,これらの証拠の記載の内容に加え,Ⓐ原告が法皇官房の長の地位に就いていたこと,Ⓑ省庁とされる部門の長(大臣)が当該部門において相応の権限を有して
いたこと,Ⓒ原告が,
大臣会議の場にいたこと等の当事者の間に争い
のない事実も前提とすると,公安調査庁長官が,原告がウから直接指示を受けていた又は法皇官房に所属する構成員から業務の報告を受けていた旨の認定をしたとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該事実を認定したとまでは認め難い。

(イ)原告は,目の不自由なウのためにウの誘導や介助をしていたにとどまる,
大臣会議の場に原告がいたとしても,それは,ウの介助のために
その場に居合わせたにすぎず,会議に参加していたわけではないなどと主張し,これに沿う証拠もある。
しかし,
前記(ア)に判示したところに加え,
原告に関するウの発言とさ

れるもの及び宗教団体aが発行した書籍の記載等,本団体における原告の公式の取扱い等のこれまでに述べたところや,原告の主張が評価の違い(会議の場に居合わせたのか,会議に参加していたのか)にとどまるともいえることも踏まえると,それらの事情によって直ちに,公安調査庁長官が,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と原告が両サリン事件当時にウから直接指示を受けていた又は法皇官房に所属する構成員から業務の報告を受けていた旨の事実を認定したことがうか
がわれるということにはならないから,
それらの事情は,
前記(ア)の認定
及び判断を覆すには足りない。
(5)

まとめ
前記(4)のとおり,
公安調査庁長官が,
①本団体において位階が上位の者の

命に位階が下位の者が従う上命下服が浸透していた,②ウの血を引く子女がオを含む他の構成員よりも上位にある,③原告の地位が本団体において実質的には四女,長男及び次男よりも上位にあった,④本団体の構成員が原告の発言を命令として受け取っていた,⑤原告が,両サリン事件当時に,宗教法人aの構成員の位階の認定に関与をするなどの業務に携わったり,宗教法人
aの人事に関する提言をしたりした,⑥原告がウから直接指示を受けていた又は法皇官房に所属する構成員から業務の報告を受けていた旨の各事実を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該事実を認定したとまでは認め難いものである。
これに加え,前提事実及びその余の当事者の間に争いのない事実も踏まえ
ると,公安調査庁長官が,原告が,両サリン事件当時,本団体の意思決定に関与し得た者であり,かつ,本団体の事務に従事していた旨の事実を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該事実を認定したものとまでは認め難いということができる。
したがって,原告が,両サリン事件当時,本団体の意思決定に関与し得た
者であり,かつ,本団体の事務に従事していたとの事実が実際に存在していたか否かを検討するまでもなく,公安調査庁長官が,原告が,両サリン事件当時,団体規制法にいう団体の意思決定に関与し得た者であって,当該団体の事務に従事していた者である,すなわち,
当該団体の役員
(団体規
制法5条1項3号)
に該当した者である旨の事実を認定したことについても,
職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該事実を認定したものとまでは認め難いというべきである。

7
原告が本件更新請求当時に役員であったとされることについて

(1)

当事者の間に争いのない事実
原告が本件更新請求当時に役員であったとされることを裏付ける事情として,被告が指摘する事実のうち,①原告が,観念崩壊セミナーの開催及びその内容の決定に関与したこと,②原告が,ウが乗り移ったと称する構成
員が所属していた本団体の施設に赴いたこと,③eにおいて,平成14年,師の位階にあるものと認定された者が出たこと,④キが,平成15年頃,本団体の運営から外れたこと,⑤コ,ケ,サら5名の正悟師から構成される正悟師会合が,上記④の後,本団体の意思決定機関となったこと,⑥四女が,本団体の運営に関与しようとしたが,オだけではなく原告もこれに反対し,
最終的には,四女が本団体の運営に関与することは,実現しなかったこと,⑦コ,ケ及びヒが,順次本団体の運営から離れたこと及び⑧原告,二女及び長男が,連名で,本団体の構成員に対し,本件各手紙を送付したことの各事実は,
当事者の間に争いがなく,
以上のもののほか,
⑨原告が,
シ事件の際,
正大師という立場において,計画の断念を呼びかける旨のビデオ撮影に応
じたことについても,当事者の間に争いがない。
(2)

本件において提出された証拠の記載
前記(1)の当事者の間に争いのない事実を除く事実について,
本件において
被告が提出した証拠にある記載は,次のとおりである。


観念崩壊セミナーについて
(ア)本団体の構成員の供述等(乙55・4ないし7枚目)
(前略)「観念崩壊セミナーとは,
(中略)三女・アを中心に,
(中
略)トら師クラスのサマナが話し合った結果,平成8年初夏頃から同年初冬頃までの間,
(中略)組織の引き締めを目的とし,複数回に渡って開
催されたものです。
(中略)
観念崩壊セミナーの修行内容は,私の知
る限り様々なものがありました。
(中略)修行内容は,初期の頃はまだ,
肉体的に負担の掛かるものは少なかったですが,しばらく回数を重ねると段々エスカレートし,
(中略)過酷を極めたものとなりました。
(中略)
三女・アの位置付けは,私を含めサマナの共通認識として,イに代わる絶対的なものでした。
(中略)
観念崩壊セミナーについては,
(中略)

絶対的な存在の三女・アに対し,
(中略)トは,

今,大変なときだから,教団をまとめてください。何かやってください。

などと提言し,三女・アがこういった師クラスのサマナらの提言を採用した結果,開催されることになったのです。
観念崩壊セミナー
の修行内容についても,
三女・
アが師クラスの提言を受けて採用したものだと思われますが,
(中略)

行の指示は,三女・アが直接,対象者一人一人を呼び出し,個別に課題となる修行を与える形で行われ,例えば,私の(中略)という修行については,私が三女・アに呼び出されて,三女から直接,課せられた修行です。さらに,三女・アは課題となる修行を与えるだけでなく,その修行状況を視察したり,ときには,例えば,夜中の寒い中,水を掛け続け
られて死にかける者が出た修行では,三女・ア自身が水を掛けるなど,直接指導する場合もありました。
(中略)少なくとも,当時のaで三女・
アの許可なく何かを行うなどということはあり得ませんでしたので,三女・アが観念崩壊セミナーにおいて,形式的な関与にとどまるといったことは絶対になかったと思います。
(後略)


(イ)ヌの供述等(乙56・6,7及び9ないし11枚目)
(前略)教団の修行においては,霊的な能力が優れていることが一番重要視されており,その能力が一番高かったが主催するセミナーであるということで,私たち信者は,躊躇することなく,このセミナーへの参加を決めました。(中略)師を対象としたセミナーでは,(中略)まともな修行でした。(中略)一方,パソコン会社の信者を対象としたセミナーでは,参加した信者は,教団の指導者の指示で,立位礼拝,呼吸法,野外水掛,断水断食,強制摂食,野外放置などの修行を強いられる形で実施されました(中略)参加者の中には,足の感覚が麻痺し歩行支障を来すなどの肉体的に異常を来す者も見られました。中略)(サリン事件後,イが逮捕されて不在となった時点において,私も含め,多くの信者は,が教団の中で修行内容を決定することができるステージを持つ者であり,が一番高いところに位置すると認識していました。なお,私は,がこのセミナーにおいて,直接,この修行の場を訪れて修行内容を伝えることはなかったと記憶しています。中略)(しかし,私たち参加者は,が,このセミナーの内容を全て掌握しており,それの主催者として全責任を負っていると認識していました。ただし,は,その当時は12,3歳の子供であり,大人の社会のように修行の目的や内容を企画・提案し,その内容を検討して決定するといった手順を踏むことはありませんでした。(中略)このセミナーの開催についても,が,修行をやりましょうと考えて決まったものでしたし,その修行内容についても,が全て単なる思い付きで決めたものでした。(後略)(ウ)本団体の構成員の供述等(乙66・4及び5枚目)
1996年の秋に,aによる「観念崩壊セミナーという,出家信
徒を対象にした大々的な修行が行われました。
(中略)
この大々的な修行
は三女さんの発案だということでした。そのことは,出家信徒は皆知っ
ていたと思います。
(中略)三女さんは子供でしたが,あちらの世界では
実年齢は関係ありません。未成年であること,成人していないなどということは問題ではなく,霊性が重要です。
(中略)参加者は施設2階のか
なり広い部屋に整列し,参加者と向かい合うように三女さんと(中略)師の指導者4,5人ぐらいが並んでいました。
(中略)修行は,まず,一
人ずつ自分の苦手な修行を与えられて,それを指導員が監督,指導しました。三女さんは,私たちが修行している場所に来て様子を見て回られました。
(後略)

(エ)本団体の構成員の供述等(乙78・4枚目)
(前略)1996年当時,三女は,「観念崩壊セミナーと称する過酷な修行をサマナに行わせ,教団を宗教的に固めていくことに必死でし
た。三女は,このセミナーの目的について,イ教祖の後継者の地位を,自分自身から猊下に移すため,
猊下に対するサマナの信,帰依を固めていこうと言っていました。当時,猊下は,まだ3才ほどで幼かったため,サマナは,帰依の対象として猊下を見ることに抵抗がありました。(中略)このセミナーの開催について,
(中略)反対する声もありました

が,三女は,

反対されてもやる。皆がばらばらになることだけは避けなければならない

と言って聞く耳を持ちませんでした。(中略)三女自身
も最初から最後まで指導者として参加しましたが,参加者に直接指示するのは,三女ではなく取り巻きのサマナが行っていました。
(後略)

(オ)トによるfのホームページ上の記載(乙126・13枚目)
はじまりは,ある意味子どもの思いつから始まったようなもので,三女の(中略)思いに,一般の「自己啓発セミナーの体験者の経験が合わさって,
効果がありそうなのでと試しに企画されたセミナーでした。
(中略)
私が監督としてかかわった初期の頃は,
解脱のために観念を崩壊するということで,まずは,監督自らがそのようにしなければなら
ないという三女の指示に基づき,皆の前で例えば次のようなことを行いました。
(中略)私も一緒になって行った突っ込みと呼ばれたもので
は,
(中略)三女が許可を出すまで続けるということを行いました。
(中
略)数日経ったとき,その矛先が(中略)監督の1人である私に向けられ,三女の指示のもと,三女と他の監督たちから,罵声・軽蔑・無視されるなどのことが行われ,
お前はどうしようもないヤツだ
ということ
で,監督から排除されることになりました。
(中略)このセミナーで三女

は出家信者たちから,恐怖を伴う神格化をされました。セミナーの課題は三女が出し,その課題をこなせたかどうかの判定も三女の独断です。三女がOKしなければ苦痛と恐怖の伴う尋常でない修行と呼ばれるものを続けなければなりません。
三女に気に入られなければならないのです。
三女を
三女のグルとしての力量を知った
マハームドラーをかけて後輩弟子を導くことのできるステージと言って賞賛し,さらに神格化する人がたくさん出ました。一方,脱会させないために行ったセミナーであったはずなのに,三女に恐怖してそのまま脱会した人もたくさん出る結果となりました。
(後略)


ウが乗り移ったと称する構成員を排除したことについて
(ア)本団体の構成員の供述等
a
本団体の構成員の供述等(乙79・5及び6枚目)
(前略)事の起こりは,福岡支部所属の在家信徒の中に,「イが乗り移ったと言い出した者がおり,(中略)信徒がイニシエーションを

施したり,師がその信徒に対して懺悔したりするような,信じられない流れが出来上がってしまったことから始まります。
(中略)
支部では
一番古株の師である㋫ことフすら,すっかりその信徒の信奉者になっていたということです。これに対して教団は,正大師を先頭に,
(中
略)サ(中略)など,大勢の正悟師クラスを大挙派遣し,粛正に乗り
出したといいます(中略)支部の看板を掲げて公然と反旗をひるがえされたのは,今回が初めてのことではなかったかと思われます。福岡支部に乗り込んだ

正大師は,

ここは動物的空間になっている。入っただけでおかしくなる

と言い,荷物を取りに入るのも許さず,すぐに閉鎖させたそうです。そして問題の信徒をその場で破門にして,㋫他数人の幹部サマナが,完全に影響されているということで,極限修行に入れるからと,連れ帰ったと聞いています。
(後略)


b
本団体の構成員の供述等(乙80・2ないし5枚目)
(前略)1月4日に,空路福岡入りした正大師など本部側が(中略)サマナであるヘ(中略)などを批判した。1月5日,本部側は,(中略)サマナを4台の車に乗せ,大阪方面に集中修行という名目で連れていき,軟禁状態にしている。(中略)1月5日午前,福岡市内で借りた2台のレンタカー(中略),乗用車1台(福岡53な●●●●)(中略)に分譲し,福岡支部を出て行った。車両4台には,正大師など本部側と福岡支部のフ支部長(中略)及び広島道場のサマナヘ(中略)など45人が乗り込んだ。(中略)また,連れ出された(中略)サマナの内,私どもが確認しているのは,正大師が居住している福島県いわき市(中略)に(中略)4人(中略)である。(後略)(イ)公安調査官が作成した調査書の記載(乙177・2ないし4枚目)(前略)平成9年1月6日午後2時ころから平成9年1月7日午後2時ころまでの間,(中略)a幹部が居住する福島県いわき市(中略)所在の家屋付近に赴き,同家屋への信徒及び車両の出入り状況等について,下記のとおり調査した。(中略)平成9年1月7日〇午前2時43分ころ,自動車登録番号「福岡53る●●●●に(中略)ヘ,(中略)フ(中
略)の8人が乗車し入る。〇

午前8時08分ころ,自動車(中略)に

ア,
(中略)
,セ(中略)の7人が乗車し入る。
(後略)


お供物を変更したことについて
(ア)本団体が作成したお供物工場からのお知らせと題する文書(平成11年7月21日付け)の記載(乙82)
(前略)規定量とは,(中略)1週間に1度の「旧パン,メイト1個ずつと緑の錠剤1袋です。(中略)他のお供物を規定量で1週間分とっ
ていなくても,緑の錠剤は毎日規定量とってください。
(後略)

(イ)本団体の構成員の供述等(乙81・3及び4枚目)

平成16年頃,元出家信徒(中略)から「三女の指示で,粉末食品『スピルリナ』を固めた『緑の錠剤』をお供物に加えたと聞いたことがあります。
(中略)は,三女から指示を受けた時期について話しません
でしたが,
緑の錠剤
が配られるようになったのは平成14年頃だった
ので,
この頃に指示を受けていたと思います。
お供物は,
教団にとって,

エネルギーを注入するためのイニシエーションであり,種類はもちろん材料や製造方法まで,地下鉄サリン事件以前にイが決めたものです。このため,
仮に出家信徒の健康管理という合理的な理由があったとしても,
お供物班の上長や正悟師の判断で,宗教的意義が強いお供物の内容を変更することはできません。こうした判断ができるとすれば,イ本人か,
後継者とされた長男・二男あるいは三女だけです。
(中略)三女が長男ら
の後見人のような立場にいたことを鑑みると,
(中略)
三女の指示でお供
物に変更が加えられたのは間違いないと思います。
(中略)は,
(中略)
脱会するまでのほとんどの期間,
お供物作りに携わっていました。中略)

イから信頼されていなければ,イニシエーションであるお供物の製造に
従事し続けることはありませんし,事件後もお供物を担当し続けていた(中略)は,イだけでなく三女からも信頼されていたはずです。
(中略)
両者が,直接会っていたかどうかは分かりませんが,少なくともお互いの連絡先は確認していたことは間違いありません。


師の位階にある旨の認定に関与したことについて
(ア)コの供述等(乙47・4枚目)

(前略)出家信徒・ホが成就したときには,が黒塗りの車で世田谷区南烏山の教団施設に乗り込んできて,本当に成就したのかどうか確認しに来たことがありました。(後略)

(イ)本団体の構成員の供述等(乙100・3及び4枚目)
(前略)そもそも成就認定は,イ教祖の専権事項であったものの,当時のキが,一般サマナの修行意欲を高めるためには成就者を出す必要があると判断し,それをイ開祖の三女であるアにも話をして,この2人の正大師が実質的に成就認定を行う,ということで始まったものである。詳しくは分からないが,形としては最終解脱者の了承を得なければならないとして,猊下方,つまりイ教祖の息子さんたちに,事前の了承は得ていたのではないかと思う。(中略)マの成就は,キと三女の完全な合意があり,当時の正悟師も納得した形で認定された。三女はもともと霊性が高く,幹部の中でも,霊性だけで言えば,キよりも高いとされていた。つまりマの場合は,キが心の成熟度やその他総合的な面,三女が霊性に関する体験をそれぞれ分析・検討し,2人の合意で認定する,という,組織としては理想的な状態であった。(中略)キと三女の意見の食い違いは,次のホから始まった。(中略)三女は,その体験について異論があったそうで,まだ早いのではないかという意見だったそうである。結局,それをキが押し切り,自らホーリーネームまで授けた。(後略)オ
キ外しについて
(ア)コの供述等
a
コの著書における記載(乙45・14ないし16枚目及び18ないし21枚目)

(前略)2003年の6月上旬,私は突然甲家の三女に呼び出されました。(中略)「正大師(中略)のやっていることがおかしいの。彼の言うことを聞かないで,陰で私に協力して

要するに彼女の主張は,キの教団運営を批判するものでした。教祖である父をないがしろにして,キ自身が教祖になろうとしている,という内容です。
(中略)

私が陰から教団に指示をするから,あなたはそれに従って。他の正悟師や師も従うって言っているから大丈夫。正大師の言うことは聞かないで。でも指示は私が出しているっていうのは,正大師にも秘密よ

(中略)要するに,3人とも表立っては教団に口出しできないの
で,裏から指示をするというわけでした。
(中略)甲家3人と正悟師5
人が会した2003年6月26日の秘密会議でのことでした。
(中
略)三女は渋々席を立ち,1時間ほどキと電話で話をしたあとに,私たちにこう告げました。これから

正大師とここにいる全員で話をすることになったから。彼には修行に入ってもらうことにする。みんなでそう言ってね

(中略)
キも交えた会議は教団のマイクロバスで行う
ことになりました。中略)

会議が始まったのは日付が変わった27日。
(中略)8対1でキを攻める議論が始まり,まずオが彼を攻撃しました。
(中略)最後には三女がこう言い放ちました。

上の人の言うこと聞くのが帰依でしょ。皇子(イの子供)はどのサマナよりもステージが上だよね。私の方が上だよね

結局,この後キは修行に入ることになりました。こうして甲家による裏支配の始まりです。
(後略)

b
コの供述等(乙102・11ないし13枚目)
(前略)私は,平成15年6月15日から16日にかけて沖縄道場に出張した際,三女のアから「会いたい旨の電話をもらいました。(中略)
三女から,

キがやっているイ外しの教団運営方針はおかしいので,従わないで欲しい。今後は,秘密裏に自分が指揮するので,正悟師のメンバーで協力してもらえないか

という内容の話を聞きまし
た。
(中略)その後,6月26日か27日の夕方には,
(中略)正悟師
全員が,オ,次女,三女に呼び出されて(中略)集まりました。
(中略)
三女がその場からキに電話することになりました。三女は,キに対して今の教団の運営方針は間違っているなどと抗議していましたが
埒があかず,会合した正悟師全員とご家族が直接キに会って糾弾
しようという流れになりました。
(中略)その結果,キは三女の意見に
従うこととなり,当面修行に入って教団運営からは一時的に手を引くことになりました。
(後略)

(イ)ツの供述等(乙46・11,12,15,18枚目,20ないし22枚目及び24ないし26枚目)
(前略)私は(中略),2003年の6月下旬ころ(中略)サさんから,東京都内のカラオケボックスに呼ばれたことがありました。(中略)私(中略)の3人が席に着くと,アさんが,これから話すことは誰にも言わないでください。最後は,墓場まで持って行ってくださいと話し出しました。(中略)アさんは(中略)パソコン画面を見ながら,イの意向ですが,イが逮捕された時に弁護士を通じて,キ色を消せとのお達しがあると言っていました。中略)(当時,対外的にはオさんやご家族の方は,教団とは関係ないみたいなスタンスをとっていました。しかし,(中略)実際は実権を握っていたんだと思います。中略)(別れ際に,アさんから,電話番号を教えるからということで携帯電話の番号を教えてもらいました。私の携帯電話の番号も教えました。(中略)アさんから電話がある度に,必然的にキさんの様子を報告するようになりました。(中略)キさんは2003年秋に軟禁状態に入るのですが,アさんへの電話報告は,キさんが軟禁状態に入る前まで続きました。それ以降,アさんから電話が掛かってくることはありませんでした。(中略)2003年の夏ころにケさんから聞いた話ですが,烏山にいたキさんのところに直接,アさんが来たらしいのです。その時に,あなたはおかしい。魔境だから修行に入りなさいとアさんがキさんに直接言ったということをケさんから聞きました。(後略)(ウ)四女の供述等
a
四女の著書における記載(乙57・9及び10枚目)
(前略)母は出所して戻ってくるなりキさんの排斥を画策し始めました。母が出所して間もなく,すでに一人暮らしを始めていた三女が母と次女,そして私をスキーに誘いました。その帰りの車の中で,母と姉たちはキさんを排斥し教団の実権を握るための謀議をしていたのです。(中略)翌年の夏ごろには,キさんの路線に対する不満が顕在化し,彼は事実上失脚しました。甲家が裏で指示を出し始めたということもありましたが,キさんの過激な改革に不満を抱いていた信者もかなりいたようです。(後略)b
四女の裁判所における証言(乙59・4及び5枚目。
「」より前の()
部分は,
代理人による質問であり,」

の部分が四女による証言である。)(前略)(オさんは,キさんのことをアさんに対して,どのように言っていましたか。「あの男を信用してはいけない。あなたはだまされ)ていると言いました。

(その後,アさんは,どういう行動を取りましたか。

教団の信者)に電話をかけて,キさんの言うことを聞かないようにという指示を出しました。


(前略)
アさんが信者に対して電話をかける様子が書いてあります。

これは,どうしてあなたはこのことを知っているのですか。

実際に)目の前で,その当時の(中略)マンションで,実際にしているのを見たからです。(後略)

c
四女が作成した陳述書における記載(乙147・15ないし17枚目)
(前略)母は,キさんを信じてはいけないと姉アを説得し(中略)たのです。その結果,キさんと姉アの接点くらいしか教団との接触がなかったのが,反キのための活動を始めることになりました。(中略)姉アは,迷っていました。(中略)姉アは,自分と同じ正大師である母にしきりに聞いていました。その後,姉アは迷いながらも決断し,天に誓いを立て,祈りを捧げるのでした。「自分がこれからやることは相手を傷つけることですが,どうか自分が過ちを犯したときに返ってきますように……と。(中略)姉アは,携帯電話を教団用に契約して,
信者たちを説得していました。私も何度か電話をしているところを見たことがあります。かけている相手は,チさんやセさんといった教団
信者でした。電話をするとき,姉アは怒鳴ったりして怖かったです。例えばセさんに電話をかけて,彼が出るや否やお前,何しているのか分かっているのか!と叫び,(中略)ドアを1枚か2枚隔てたとこ
ろから姉アの怒鳴る声が聞こえてきました(中略)
。その後,(中略)

㋝(中略)は99%裏切らないだろう。あれだけ怒っても大丈夫だったから

と姉アは言っていました。(後略)

(エ)本団体の構成員が作成したfのホームページ上の記事の記載(乙92・21ないし23枚目)

(前略)2003年の6月の下旬のことです。(中略)携帯電話が鳴りました。その電話に出てみると,聞き慣れない声で,「お姉さん,誰だかわかる?

と言われました。(中略)
もしかして,正大師ですか?
といったところ,
忘れてしまうなんて,お姉さんひどいね
と言われ
(中
略)ました。

正大師(中略)は,私の個人的な話(中略)について,

お姉さんは,イとの縁を傷つけた。このままだと地獄に墜ちるから,このマントラを唱えた方が良い

と言われました。それは,脅しと同じような感じでした。その後,
シャクティーパットの影響で,キ代表の調子が悪い,おかしいという話になり,キ代表を修行に入れたいと言
うに話になりました。そして,そのために協力して欲しいことがある,ということでした。できれば,直接会って話をしたいということでしたので,
指定された場所に向かいました。
(中略)正大師と再会しました。
(中略)
2時間くらいだったでしょうか,
話を聞きました。
その内容は,
ひたすらキ代表の悪口(と思えた)でした。
(中略)彼女は,
(中略)私
を次の場所に連れて行きました。
(中略)そして,三女が,キ代表の問題
点をいくつか話をし,最後に

今日,ここで話をしたことは,決して誰にも言わないように。(後略)

ときつく言われたのです。(中略)三女か
ら何度も携帯に電話が入りましたが,一度も出ませんでした。
(中略)サ

氏が電話を私に持ってきて,
出るように言われたので,
出てみたところ,
三女からでした。三女は,私に,
なぜ電話にでなかったかを聞き(中
略)ました。
(中略)この2003年の6月の後,10月に至って,キ代
表は,完全に修行に籠もる,すなわち,教団の活動から離れることになりました(離されました)(後略)



(オ)本団体の構成員の伝聞供述等(乙101・3及び4枚目)
(前略)ケさんは(中略)正大師ことアさんと久し振りに会ったそうです。この時は,オさんはおらず,3人だけで会ったそうです。大師は,「正大師がおかしい。お父さんに取って代わって,教団を自分のものにしようとしている。正止めなければいけない。正大師の体制を覆さなければいけない。正大師を修行に入れたいとキさん排除に向
けた協力を要請してきました。それを聞いたケさんは,
(中略)特に疑問
を挟むことなく,協力することに同意していたそうです。
(中略)A派と
M派の衝突が表面化したのは,キさんがイからの脱却を標榜して,全国の道場をM派にしようと動き回っていた2003年6月頃であったと聞いています。A派側は,

正大師が中心になって,オさん(中略)及び

5人の正悟師が集まり,キさん排除のための話し合いを何度か行ったそうです。中略)

会合ではご家族が具体的な指示や命令をするのではなく,
正大師は許せないね止めなければいけないねという示唆のよ


うな話をしたそうです。
(中略)
会合では最上位の
が,

正大師が中心でした

正大師は宗教性は高いものの,勉強嫌いのせいか,うまく意思を

表現することができず,政治的なことにはちゃらんぽらんなところがあ
ったため,オさんが会合の座長としての

正大師を立てるような形で補

佐して,
企画や水面下での交渉事などの実務面を担当していたそうです。
正大師がカリスマ性の高い大将で,オさんが作戦参謀といったところでしょう。このことについては,正大師も,

正大師は捕まっている時からずっとお父さんを亡き者にしようとしていた。でも,どうすることもできず,お母さんが出所してくるのを待っていた

などと述べており,饒舌なキさんに対抗するには自分の力だけでは足りないことを自覚していたそうです。
(後略)

(カ)本団体の構成員の供述等(乙118・2枚目)

(前略)平成14年にオさんが出所すると,状況が一転する。もともとキと余り合わなかった彼女が,その後,キの打ち出した「イ教祖隠し

という方針に反対し,娘である三女や次女(中略)と結託して,先ずキを追いやるのである。
(後略)


キ外しの後の関与について
(ア)コの供述等
a
コの著書における記載
(乙45・21ないし23枚目及び29枚目)
(前略)甲家が裏から糸を引く無責任な体制が行き詰まるまでに,さほど時間はかかりませんでした。(中略)サがブチ切れたのは,キの修行入りから1ヵ月ほど経った頃でした。(中略)「正大師が責任を持つって言うから協力したんだ。陰に隠れて全然責任取らないじゃん!!(中略)甲家の指示でやったことも,一般信者からの不満の矛先は正悟師です。それに対して甲家は全く責任を取りません。
(中略)
いざ三女を目の前にした会議が始まると,サは借りてきた猫のように黙ったままなのです。
(中略)
仕方なく私が代わりに問題点を切り出し
ます。

やはりご家族の指示というのが秘密で出せないところで,正悟師としてもサマナを納得させられない問題があります。あるいは結局誰が責任を取るのかということになってきます

すると三女は,語気を強めて反論しました。そんなこと言ったって今の私たちの状況じゃ表に出られないよね!仕方ないよね!!
(中略)
三女に威圧されたま
ま,問題が解決されないまま,会議は終わりました。しかしサは(中略)しばらくして私に電話をかけてきました。
もう俺,何が何だかわけがわからなくなってきたよ
(中略)心配した私は,三女に電話して
この状況を伝えました。三女はサを直接励ますといって電話を切りました。
(中略)実務的な話に介入するのはほとんどオでしたが,たまに
三女も口出ししてきました。頻度が少ない分,こちらのほうがやっかいなこともありました。
あんた一体何やってんのよー!!
は!?

あなた権力にとらわれているのよ。いい加減にしなさいよ

な,何のことでしょうか?いきなり電話をかけてきて,理由も言わず怒鳴ることもしばしばでした。
(中略)しかし私などはまだマシなほうで,
三女からあなた,そんなんじゃ無間地獄行きだねと宣告されたサ
マナもいたようです。
(後略)


b
コの供述等(乙102・13ないし27枚目)
(前略)7月4日,府中市内の公共施設に「ご家族と正悟師5人
が集まって会議を開きました。この会議は,キ抜きで,その後の教団運営の方針について個別の案件にまで踏み込んで話し合われたもので
す。
(中略)この日の会議では,まず,修行に入ったキの近況が確認されました。
(中略)こうした報告を聞いていた三女やオは,
(中略)な
どとキを批判していました。
(中略)その後の話で,

どうもキは,正大師秘書室の(中略)を通じて指示を出しているのではないか。中略)(

という話になり,今後は正大師秘書室に三女の指示を徹底させることとし,私がその担当になりました。また,役員会の通達などに関しても,オか三女のどちらかに通して事前承認を取るようにした方が良いという指示が,三女の方からありました。三女の方からは,私に対して,

キはコがしっかり押さえるしかない。正大師秘書室の師には,はっきりと『正大師からの指示だ』と言うこと

を念押しされました。
(中略)また,三女が,
(中略)(前略)今回のキもおかしくなってい

と発言し,煩悩に悪魔が入り込む。
帰依があったら入れないので,長老会議のメンバーが協力して帰依で対抗するしかないと強調していました。
(中略)ご家族は,教団運営についても細かく口を挟んで来
ており,三女からはサマナに厳しくしだした方が,教団が安定して来た。我々は,出家教団を維持できるだけの光を放たなければならない。無心の帰依,無償の布施が出来るようにすることで,今の出家者の甘さをなんとかし,在家信徒にも厳しく修行させるという話がありました。三女は,イに対する帰依を維持することについて,

私たち自身が確信を持てなくなっているんじゃないか。意識レベルを引き上げられる人を引き上げねばならない

として,師の意識レベルをどれ
だけ引き上げられるかを試すのに,光音天で師の修行を行うことを提案しました。そこで決まったのが,8月の夏期集中セミナーが終わってから師の修行を行うということでした。
(中略)
この師の修行に関し
ては,三女から私の指示と言わないでやれと言われていました。
また,
飴のイニシエーションも,この時からやることが決まったも

のです。これは,今でも財施などで成績を上げたサマナに施されているイニシエーションで,普通の甘露飴を三女が修法したものを授けるものです。
(中略)また,この当時は,キの指示で成就修行に取り組ん
でいた(中略)などがいましたが,
(中略)サマナの意識レベルが下が
っているので教団内の浄化が済むまでは成就者は出せないことを説明するために,
三女自らが成就者候補に会う案も出されました。
三女は,
自分が会いに行くと,秘密にしておくことは難しいんじゃないか
などと言っていましたが,
(中略)実際に三女が(中略)にまで行き,
成就修行を行っていたサマナらに会って,今は成就より下積みの修行に励むべきだと説得したそうです。三女らは,こうしてキが選んだ信者の成就は阻むものの,その一方では成就できるシステムがないと
みんな頑張らないこともあり,師の修行などで意識レベルを引き上げて正月には成就者を出したいと言っていました。
(中略)
ご家族
は,我々正悟師に指導する姿勢でおり,この日の会議でも(中略)三女からは,

自分たちが救済する側と思っちゃ駄目だ。救済の駒に過ぎないと考えなさい

と言われました。(中略)また,
ご家族は,間

近に迫っていた夏期集中セミナーや,そこで取り扱うイニシエーションのことなどについても積極的に発言していました。まず,正悟師から現状説明として,

キの正大師説法会がないと資金的にも苦しい。年間の道場収入が,約4000万円ぎりぎりになっている

という報告がなされたのに対し,
ご家族からは,
8月の集中セミナーでは,キの説法会を他の何かと変えよう
という意見が出されました。中略)

ご家族
の方から,
ヨーガ行法のセミナーにし10万円から20万円集めれば良いのではという意見が出され,夏のセミナーは来世を確定させるための瞑想セミナーとして参加費を10万円,特別な飴のイニシエーションを30万円で行い,法輪祝福やタン,甘露水な
どを授けることなどを決めました。
(中略)
過去に30万円で行ったこ
とがある狂気の集中修行のような極限成就修行を,今回は8
月9日から17日の予定で30万円を取って行うことや,セミナーで行う特別修法甘露水のイニシエーションにしても,10万円,30万円,50万円の三段階に価格を設定し,50万円の人は,そのうちの20万円を無償の布施とすることが決まりました。これは,お布施も極限でやらないと成就しないというご家族の意見で,こつこつ続
けさせることで,冬の成就修行に向けて頑張るためのステップにするという考え方によります。
(中略)以上が7月4日に行われた,キ抜き
のご家族と正悟師5人の会議内容です(中略)
。7月18日は,一
応の修行期間の終了となり,三女が(中略)の施設までキの状態をチ
ェックしに来ました。施設前には警察や公安調査庁の監視の目があるので,目隠しのフィルムが貼ってある車でシャッター付きのガレージに乗り付け,
外からは見えないようにして
(中略)
に入って来ました。
キと三女が部屋の中で話をし,私が玄関口で見張りに立ち,人が入らないようにしていました。二人の話し合いは長い間続き,一時,水を
飲みに部屋から出て来た時には,双方が怒って興奮している状態で,会談決裂という雰囲気がありありと伺えました。結局,この日の会談の結論として,三女は

キには修行が足りないので教団運営は任せられない。自分がやる

とキに言い渡しました。このことは,会談終了後,私も三女から聞きました。こうした経緯で,その後も正悟師に対
して,
陰からオや三女が指示を出す体制が続くこととなりました。
(中
略)平成15年7月28日ころ,師以上が(中略)施設に集まった会合で,ようやく折り合いのついた内容について,キが幹部クラスの師70人余りを前に謝罪表明しました。この際もキがかなり抵抗しており,謝罪内容で足りない部分については,予め三女から指示されてい
た私が演壇に立ったキの横から(中略)メモを2回ほど渡しました。(中略)記憶が明確ではありませんが,この謝罪会合の最後の方で,三女が幹部の師全員の前に姿を見せたと思います。
(中略)
8月中旬か
ら9月にかけては,師クラスの修行を8月に1回,9月に1回行いました。これは,7月4日のご家族と正悟師5人の会議で,三女か
ら幹部クラスの師の修行が足りないので,全員を八潮に集めて一週間修行するようにと指示されていたものです。8月の修行では,(中

略)私の判断で二班に分けて私が修行監督することにしましたが,三女の考えと違っていたことから,9月に再度師全員を集めて行いました。修行内容についても,三女から『夢見のヨーガ』をやらせたいという指示がありました。
(中略)
具体的な行法とそれに対する指導説
明の仕方まで詳細に指示連絡があり,
そのとおり実施しました。
また,

個人個人がどういう体験をしたかまで,三女に報告しました。一回目の修行の終わりに,三女が特別に修法した食べ物を八潮まで持って来て,修行で頑張った師に配りました。三女は,二回目の修行の際にも来る予定にしていたようですが,この時は公安調査庁が動きを察知しているとの情報があり,当日になって取り止めています。こうした些
末なことも織り交ぜながら,三女を中心としたご家族の教団運営
への関与は,陰の部分で強まって行きました。
(後略)

c
コの供述等(乙103・3及び4枚目)
(前略)2003年当時,教団の組織運営に対するイのご家族の介入によって正大師・キが組織運営から遠ざけられたことから,組織運営の方針は,正悟師たちで話し合った後,ご家族に話し合いの結果をメールで送信し,1週間経っても返信がなければご家族から了解を得たと判断するというやり方で決定していました。(中略)この二つの文書は,2003年9月25日から10月2日にかけて,私がご家族とやりとりしたメールを印刷したものです。(後略)なお,供述等の本文の後ろに,資料1及び資料2として,次のような内容の文書(メールをプリントアウトしたもの。ただし,文書中の略称等は,コの供述等するところに従い,本判決の略称を用いて書き換えているほか,
>については,文字数の関係で,忠実に再現し切
れていないところがある。

(a)資料1とされるメール
(9月25日午前3時59分にコが送信したとされるもの)
原告様オ様二女様サ正悟師含む5人の正悟師会議で,今後シャクティーパットの代金を振り替えに当てるものも含めて,どのようなものを信徒にイニシエーションなりで与えて布施を募るかということが検討されました。1●シャクティーパットの代わりとして・ストゥーパイのご法髪をちょっとでも(中略)・超サットヴァ甘露水1年分(量は検討)・小型PSI(中略)伝授2●今後の年末年始セミナーの企画について・GDV(サがロシアから買ってきた生体エネルギーを測定するもの,原告様ご存じ)測定による鑑定書(中略)3●直近10,11月にある連休を利用したミニセミナーについて(中略)3番目についてだけは,もう期日が近いので,もし問題がありました今日中くらいに返信頂きたいのですが。(後略)(同日午前10時36分にオがコに対して返信したとされるも
の)

(前略)>・GDV((中略)原告様ご存じ)測定による鑑定書(中略)?わたしは知らないので,原告さまご判断を。(後略)


(同日午後8時9分に原告がコに対して返信したとされるもの)

(前略)>・ストゥーパイのご法髪をちょっとでも(中略)御宝髪はまだ残っているのですか?>・超サットヴァ甘露水1年分(量は検討)>・小型PSI(中略)伝授出すんですか?イから伝授されたものではないのですか?(中略)>・GDV((中略)原告様ご存じ)測定による鑑定書(中略)これはどれくらい信憑性があるのですか?やったこともデーターを見たこともないのでよく分かりません。>3●直近10,11月にある連休を利用したミニセミナーについて(中略)オ達に任せます。
(同月26日午後9時31分に原告がコに返信したとされるも
の)
(前略)>>御宝髪はまだ残っているのですか?(中略)>私のとっておきのを出します^^;;出し惜しみして下さいね。大事に大事に使いましょう。(中略)>>出すんですか?イから伝授されたものではないのですか?(中略)>あ,超小型です。(中略)>超サットヴァはどうでしょうか?そうなんですか。それなら問題ないですね。でも,それについては疑問なのですが,イの脳波を変えているんですよね??それで少し心配しています。でも今更ですね。これは。はい。超サットヴァは良く分からないのです。どこまでどうヴァイブレーションがはいるのか。マントラならマントラの全体が入りますが,脳波となるとどうなのでしょう。でもこれも公然とやられているので,今更ですね……。(中略)>>これはどれくらい信憑性があるのですか?やったこともデーターを見たこともないのでよく分かりません。(中略)>サ曰くには,原告様も試されたとか・・・。ご記憶無いです>か?試した記憶が無いです。これって最近のですよね。ただそういうのがあるというのを知っていたのでその話しをしたことがあります。それで勘違いされてしまったのかな。中略)(はどうなりそうですか。相当悩んでいるのですね(T^T)。
(b)資料2とされるメール
(平成15年10月2日午後10時36分にコがオに対して送信
したとされるもの)
(前略)但し以下のような直訴が来ていますので,一応上げさせてください。(中略)師に居てもらった方が,いいと思うのですが,正大師に頼んで頂けないでしょうか?(中略)本当は,正大師でも,コ正悟師でもこの症状を理解していれば,はじめから,このワークには付けないと思うのです。(中略)このメールを正大師に送って頂いても構いませんので,(中略)師を,(中略)にいて頂けるように,許可をとって頂けないでしょうか。(後略)
(イ)ツの供述等(乙46・28枚目)

(前略)2004年ころ,(中略)当時の教団運営は,表向きは5人の正悟師が取り仕切っていましたが,裏では違っていました。オさんとアさんが取り仕切っていたようです。(後略)

(ウ)四女の供述等
a
四女の著書における記載(乙57・10及び11枚目)
(前略)キさんは失脚したものの,今度は母と三女の諍いが絶えませんでした。表向きは教団を脱退したことになっている母でしたが,実際は積極的に教団運営に関わり,父の作った教団を潰したくないようでした。一方の三女は教団など潰れてもかまわないので,ついてこられる信者だけでやっていければいいという考えでした。(中略)三女は(中略)信者たちを100人ほど抱え,世間にばれないように活動していくつもりだったようです(中略)名をとる母と実をとる三女の。狭間で私と弟たちは,(中略)振り回されるばかりでした。(中略)私は知り合いの信者に母や姉たちに抱いた違和感やズレについて,愚痴をこぼしたことがありました。(中略)母の権力は三女の存在によって成り立っています。私が姉のことを悪く言っているということが母の耳に入れば,母は権力を守るためにどんな手段を使ってくるかわかりません。(後略)b
四女の裁判所における証言(乙59・5,6及び11枚目。
「」より
前の()部分は,代理人による質問であり,
「」の部分が四女による証
言である。

(前略)アさんが派閥のことを話しているのを聞いたことはありま(
すか。

あります。)


(それは何と言っていたのですか。キ派にいる信者は,キさんと)特別仲が良いか,あるいは,自分に特別な恨みがある信者だから仕方がないけど,中間派にいる信者は,自分と仲の良かった人もいるから,中間派が一番許せないというようなことを言っていました。(アさんは,キさんに反対するグループのことを何と言っていたのですか。

A派と言っていました。)


(中略)(前略)キさんがA派のAは


のAだ。命名した張本人が

言うのだから間違いないですと電話で話したことが書いてあるのですけれども,これを聞いて,あなたはどのように思いましたか。

私自)身が経験したことと一致していたので,そうなんだろうなと思いました。

(中略)
(ウの死刑が確定しても,なお,アさんがミ弁護士に事件を
依頼していることを知って,あなたはどのように思いましたか。

父)が死刑になったら,姉が本当のトップになることになるので,もしかしたら姉は,父の命よりも教団の権力の方が大事なんじゃないかという思いが一瞬,頭をよぎるほど信じられませんでした。(後略)


(エ)本団体の構成員の伝聞供述等(乙101・5枚目)
(前略)キさんが長期修行に入り教団運営に関与しなくなってからは,名目上は週1回の「正悟師会議が最高意思決定機関になったのですが,
実際には正悟師会議での決定事項を

正大師及びオさんにお伺いを

して,了解を得るという手続きが必要になったそうです。コさんが正悟師会議の議事録を作って,

正大師及びオさんにメールを送っていたと

聞いています。そして,いつしか教団で何をするにも,ご家族の了解がなければできなくなり,ご家族の裏支配体制が自然にでき上がったということでした。つまり,いつの間にかご家族が教団運営の最高意思決定機関になっていということです。対外的にはご家族は教団運営に関与していないことになっているのが暗黙の了解でしたので,誰も表立って口外したことはないと思われますが,教団内の一般サマナの大半は何故か
この事実を知っているようでした。

(オ)本団体の構成員の供述等(乙118・3枚目)

(前略)キを長期修行へ入れてしまった。この後,正悟師による運営が形式的に始まる。形式的というのは,実質的な権限は「ご家族

が握り,
正悟師は常にその存在を意識しなければならなくなったからである。
正悟師の担当に余り変更はなかったが,人事をはじめとする各部署に対するご家族の意向が師を通じて反映され始めていた。
(後略)


四女が本団体の運営に関わろうとした際にこれを排除したとされることについて

(ア)コの供述等-コの著書における記載(乙45・39及び40枚目)(前略)キらの一派と原理派である教団本体の分裂は,私が出所した2005年末の時点でほぼ決定的でした。(中略)しかしその原理派の一角を崩す動きが起こりました。甲家四女の家出です。(中略)家出した四女が教団に連絡をしてきたのです。四女は,「ご家族と神聖視されていた
甲家の内幕をひとつ,ふたつ明らかにすると,話を聞いた信者たちの中には(中略)目を覚ます者もいたほどです。ケ正悟師もそのひとりで,甲家の陰支配に疑問を呈するようになります。
(後略)

(イ)四女の供述等
a
四女の著書における記載(乙57・11ないし15枚目)

(前略)06年2月,家を出てほどなく,キさんと会う機会がありました。(中略)本題の口火を切ったのはキさんでした。(中略)キさんから「一緒に新しい宗教を立ち上げましょう

と提案された時,私は彼の理論とaでいう私の霊性を融合させれば,それなりの宗教ができるのではないか,
と考えキさんを手伝うのも悪くないと思いました。
しかし,
(中略)私はキさんに協力するのをやめたのです。キさんと会
ってからしばらくして,正悟師たちの会議がありました。
(中略)教団

には長老会議という意思決定機関があり,教団の運営方針を決める最高機関でした。
(中略)三女が座長を務めていましたが,議決で揉める
と行方をくらませてしまったりして,長老会議は全く機能していなかったのです。そこで四人の正悟師は,私が座長になれば母とキさんの争いも収まるのではないかと提案しました。
(中略)
彼らの切実そうな

願いに流されて私は座長を務めることを承諾してしまいました。
(中
略)その話はすぐに母と姉たちの知るところとなり,計画を耳にした母と三女は黙っていませんでした。争いはさらに激化し,わずか2日ですべては白紙に戻りました。私はたった2日間だけ実質的に教団運営に関わったわけですが,それを新しい派閥争いにしたくありません
でした。母や三女は信者に私が統合失調症だとか魔境(aの概念でいわゆる霊障のようなもの)になったとか吹聴しましたが,私は何も言い返さず黙っていました。そのうちに私の意見に賛同していた信者も離れていったのです。
(後略)

b
四女の裁判所における証言(乙59・10枚目。
「」より前の()部
分は,代理人による質問であり,
「」の部分が四女による証言である。

(前略)(前略)あなたが2006年2月ごろに家出をしてケやコ(
さんのところに行った(中略)の(中略)は事実なのですか。

事実)です。(後略)


c
四女が作成した陳述書における記載(乙147・23枚目)
(前略)2006年2月ごろ,私は,(中略)カラオケボックスで,(中略)姉アと会いました。そのとき私は,姉アに教団か弟たちの世話かどちらかをして,どちらかは私にしばらく任せるようにという提案をするつもりでした。しかし,姉アは「教団とは関わってないよと言うのです。
私が,
だって,A派って,のAが由来なんでしょう
と聞くと,姉アはA派?ニさんのAじゃないのとか言って,とぼ
けていました。
(中略)私は,キさんから直接A派の名前の由来を聞い
ていたし,姉アが,信者に対して,命令的口調で,いろんな指示を出していたことや,教団の会議に出席していたのも知っていたので,姉アが言っていることは,明らかに嘘と分かりました。
(中略)最後の別

れ際に私は私はキさんたちとやっていくからと言いました。姉ア
は姉の私よりキさんを信じるなんてこの子は……と苦笑していた
(中略)のです。
(後略)

(ウ)本団体の構成員が作成したfのホームページ上の記事の記載(乙92・27枚目)

(前略)2006年の3月頃には,甲家の四女が,家出をしたという情報が入ってきました。四女は,オさんや三女のやり方に反発をし,家出をしたようで,反代表派(反キ派)よりも,代表派(キ派)の方に理解があったようです。(後略)(エ)本団体の構成員の供述等(乙108・3及び4枚目。ただし,文中に
四女の名前が出てくるところは四女と置き換えている。

2006年,A派とM派の軋轢が深まり,両派の関係が修復不可能な状態になる中,イの四女は,「なんで宗教団体で戦っているのとか,教団が戦場になっちゃったなどと,当時の教団の状況に疑問を呈するなどして,教団に干渉するとともに,三女が次男をいじめていると家
族の不和を訴えたといいます。それで,教団の行く末を案じていたケさんとコさんは,四女の霊性の高さや(中略)ステージの高さを実感して,バラバラになっている教団をまとめることができるのはこの人しかいないと確信するようになり,教団を立て直すために四女の教団入りを後押しするようになったそうです。
それで,
四女に師と面談してもらい,
四女の教団入りに対する支持を呼びかけたところ,師の多くは一度は支持したそうです。これに対して,オさんは,
本当は四女が弟をいじめていたのに,それをちゃんのせいにしている四女は子どもとしての,義務を果たさなかったなどと述べて,三女と一緒になって,四女が教団に干渉するのを断たせるとともに,家族から放逐するようになったそうです。なお,
ちゃんとは三女(中略)のことです。このとき,オ

さん及び三女は,長男に,

四女は狂っている。長男及び次男は四女の考えとは違うよ

というようなことを言わせ,その音声を多くの師に聞かせたそうです。それで,四女を支持していた師のうち(中略)を除く師は翻意し,四女の教団入りは阻止されてしまったそうです。

(オ)本団体の構成員の供述等(乙114・3枚目)

今年の2月初め頃から,A派の首謀者の一人であったケに大きな変化が現れました。これまで,キやM派に対して執拗に批判を繰り返していたケが,2月に入りぱったりと批判を止めてしまいました。変化の理由については,様々な要因があるようですが,ケより位階の高い人物からの助言によるところが大きいようです。(後略)
(カ)ケが週刊誌の記者に対して述べたとされる内容を掲載した週刊誌の記事(乙187・4枚目)
(前略)06年,事態は意外な方向へ転がる。イの四女が(中略)家から飛び出してきて,教団施設で暮らすようになったのである。ある日,「突然連絡があって,三女が長男に暴力をふるっている”と彼女が言うの“です。それで相談に乗っているうちに彼女と通じるものがあると気がついたんです。イの子供たちの中でも四女は(中略)それだけ霊性が高いと言ってもいい。キさんとの泥沼の抗争を収めるためには,2人より霊性の高い四女に教団に入ってもらうしかない。私はそう思ったのです(中略)一時は教団のほとんどの正悟師が四女の支持に回り,キ氏も四女の取り込みに動いたことがあったほどだった。ところが,四女の影響力が大きくなってきたことを一番警戒したのが,イの妻と三女だった。
イの奥さんが電話をかけてきて“彼女の言うこと信じるの!?”と詰め寄られたこともありました(後略)


複数の正悟師を本団体の運営から排除したとされることについて
(ア)コについて

a
コの供述等-コの著書における記載(乙45・33,34及び37枚目)
(前略)2005年12月26日,執行猶予の判決で教団に戻った私を迎えたのは,ケ正悟師とス(中略)でした。スは(中略)教団幹部の中で,唯一正面切って甲家とコンタクトできる人物なのです。(中略)その彼に聞いてみました。(中略)「私がどうしたらいいか,聞いてほしいんだけど捕まっていたわけですから,しばらく修行していたらいいんじゃないですか?(中略)
でもあなたが正大師(イ三女)と会う機会があって,私のことについて聞く機会があるなら聞いてみてほしいんだけど

わかりました。聞いてみます


(中略)一日
ほど経ってスから伝言がありました。三女に確認したという私の処遇
は,やはり修行という名の軟禁でした。
(後略)

b
本団体の構成員の供述等(乙109・2及び3枚目)
(前略)コは,(中略)釈放された後,(中略)今後の教団運営等について意見交換を行ったが,事件が教団に及ぼす影響やA派・M派の対立関係に関する同人の身の処し方などに関して厳しく追及され,中(略)長期修行に入ることとなった。本件に関して,コは,(中略)(前「略)八潮で会談した際のケの強硬姿勢の背景には,お母さん(イの妻オ)を始めとするイの家族の意向を強く感じた。(後略)と語っており,当面,実務面からも外された形となる見込みである。
(後略)

(イ)ケについて
a
コの供述等-コの著書における記載(乙45・40及び41枚目)(前略)ケ正悟師も(中略),甲家の陰支配に疑問を呈するようになります。その結果として甲家からも疎まれ,徐々に教団内で窓際の立場に追いやられていきます。(中略)四女の話に目を覚ましたケ正悟師は,もはや甲家からはイエスマンとはみなされなくなりました。オはケ正悟師に次のような言葉を残して,連絡を絶つようになったようです。「あなたは私たちを大事にしなかった(後略)

b
本団体の構成員の供述等(乙114・3枚目)

(前略)ケは,オから修行に入るように言われたようで,教団内の対立に嫌気がさしていたケは素直に修行に入り,代わりにサがA派の代表格になりました。


c
本団体の構成員の供述等(乙115・3及び4枚目。ただし,文中に四女の名前が出てくるところは四女と置き換えている。

(前略)席上,四女(中略)の家出に端を発したケ問題((前略)ケが四女から母や三女から受けた非道の実態を聞き,それまでの(中略)キ魔境説を翻して路線転換の意思を表明した事案)への対応が話し合われ,ケには当面,各道場を回って説法を行ったりする所謂「道場回りを禁止する処分が下された模様です。中略)

経理部門などは,
ケ問題が起きる前からご家族が実務担当者に直接指示を出していたようですから,ケの去就は全く影響しないと思います。
(中略)一方,水

面下では,ご家族(
(前略)オ及び三女・正大師ア)からの意向が強く
働いた模様で,ケに代わる看板正悟師としてサを据えることが伝えられたようです。
(中略)既にA派の中では,四女の問題に関するサ名義
の文書が回されているようです。
(中略)この文書は,一読しただけで
サの書いたものではないと分かるものでした。
(中略)
ご家族の指示を
受けたスらが裏で動いている構図に変わりはないようです。

d
ケが週刊誌の記者に対して述べたとされる内容を掲載した週刊誌の記事(乙187・4枚目)
(前略)四女の影響力が大きくなってきたことを一番警戒したのが,イの妻と三女だった。(中略)その結果,イ一族が選んだのは四女を支持するケ氏を放逐することだった。権限を剥奪されたケ氏は,説法会の仕事も回ってこなくなり,(中略)本部から遠ざけられる。(後略)
(ウ)ヒについて
a
本団体の構成員の供述等(乙116・2及び3枚目)
(前略)ヒは,2004年の夏ころ,テレビ朝日からのインタビュー依頼を受け,これをオさんや三女にメールで相談したところ,反対されてしまったそうだ。(中略)結局,そのインタビューに関しては,ニ君がオさんや三女にその必要性を説き,出演の許可を貰うことになったが,ヒは,そのころからオさんや三女離れが進み,オさんと教義に関してぶつかったことが原因でその会合から手を引くようになり,更に2005年に職安法で逮捕される前後から教団運営からも手を引いてしまった。(後略)
b
本団体の構成員の供述等(乙118・3枚目)

(前略)キを長期修行へ入れてしまった。この後,正悟師による運営が形式的に始まる。形式的というのは,実質的な権限は「ご家族

が握り,正悟師は常にその存在を意識しなければならなくなったから
である。
(中略)例えば,平成16年にヒが担当していたメディアの上
長にはソがご家族によって起用され,何かにつけてご家族の
代弁的発言を繰り返すようになり,結局,彼はこの担当を降りてしまった。
(中略)平成14年から同17年ころまで,ヒは,前述のメディ
アのほか,社会融和,慈愛,パールヴァティーの担当を兼務していたが,先ず社会融和の担当を外れ,次にメディアを外れ,慈愛及びパールヴァティーのみを担当することとなった。その状況で平成17年に
彼は職安法事件で逮捕されてしまった。そして,釈放された翌18年には,責任者として不適格とされ,
(中略)結局,無担当となり,やが
て教団運営自体から離れてしまったのである。
(後略)

c
ヒの供述等(乙119・3枚目)
私は,平成19年7月に教団「宗教団体eを脱会しましたが,



脱会の大きな理由は,オさん(中略)と教義のことなどで対立し,オさんから疎んじられたことで,教団の役職を外され,居場所がなくなっていったことです。
(後略)

d
本団体の構成員の供述等(乙120・4枚目。文中のヒは,ヒ
のことである。


(前略)ヒさんは,南伝仏教の翻訳をしていた時,教義の表記の問題でオさんと意見が割れて,お互いに一歩も譲らなかったといいます。その時,ヒさんは,オさんと一緒にやっていくのは無理だと判断したそうです。この衝突が原因で,ヒさんはオさんに決定的に嫌われてしまい,後に脱会せざるを得なかったと,ヒさんから聞きました。後略)(

前記クの後の関与について
(ア)各種文書の記載
a
本件文書の記載(乙94・4及び5枚目)
前提事実(3)カのとおりである。

b
本件文書と同時に警察が押収した文書の記載(乙94・5及び6枚目。なお,この項において出てくるA正大師は,原告のことであ
り,
Aは,弁論の全趣旨によれば,ムであると認められる。

この文書には,概ね,①Aとされる出所した元出家信者が,本団体に戻る希望を有していること,②原告が20回近くAに対して差入れをしたこと,③Aが,出所したら,ウに対して差入れをするとともに原告に挨拶することを考えていること,
④Aがスに対し,
先日の伝言は伝えてくれましたか?と聞いてきたので,スがAに対し,メールでお送りしています。しかし,ご返事を頂けるかどうかは私の方では分かりません。因みに,これまで誰方に限らず『A正大師に質問等をしているのですが,ご返事を頂けません』と嘆かれている話は良く耳にしています。と答えたこと,⑤Aがウの処刑を阻止するという
希望を実現するための活動に関し原告等の承諾を得ようと考えているようであること,⑥スは,Aからは,書面を原告に渡しておいて意見を聞き,特に返事がなければ承認されたという考えではどうかと聞かれているが,そのような方法を執るべきではないと考えていること,
⑦スは,
上記⑥のように考える理由として,
何故なら内容によってはいくらA正大師であられても俄に判断できないことも多くあると思う。それを特に返事がなかったから了解されたと考えるのは無謀というもので,それをもってA正大師の承認を得たとすることは単なる責任転嫁にならないだろうか?そのようなやり方はA正大師にも大変なご負担をお掛けすることになるとしていること,⑧スも,原告にご意見を伺うことはありますが,仮に許可つまり重要なものは事前の説明は必要ですが,責任を転嫁するのではなく内容チェックのためのもので,許可の有無にかかわらず責任は全て自分のものとして対処すべきと認識していること及び⑨スがAに対して上記⑥から⑧までの趣旨を
説明したところ,Aがじっと考えていたようであったことが記載されている。
c
公安調査官が平成26年にした立入検査の際に入手した文書(乙159)
公安調査官は,平成26年6月16日,本団体の施設に対する立入検査をしたところ,別紙6のとおりの文書があることを確認した。同文書には,原告と二女が中央の円内にあり,その左に長男と三女派
との記載があり,
三女派との記載の下には,スが原告の側近である
旨の記載がある。また,中央の円の右側には,オ及び次男を原告及び二女が排斥したという趣旨の矢印と排斥との文字が記載されてい
るほか,中央の円の真下には,チ及びタを始めとした数名の者の氏が三女と継続的に直接やり取りをしている人という趣旨で記載され

ている。
d
警察が押収したメが平成24年9月10日付けで作成した実父宛ての手紙の記載(乙160・5枚目)

(前略)を外部交通者の友人から親族へと関係を変更して,その空いた枠に,第一希望として(中略)氏,第二希望として(中略)を新たに申請予定。厳しくなっているようですので,「承諾書

(前略)氏(
が私との交流に必要で(中略)規律を乱さず心情の安定に努める(中略)等の誓約)を添付してです。アさんに手配して貰って,届き次第提出します。
(後略)

なお,上記の第一希望とされた者は,eが,平成12年3月2

日から平成18年2月15日までの間,本団体の構成員として,公安調査庁長官に報告していた者である。
e
警察が押収したメが平成25年9月頃に作成した手紙の記載(乙160・6枚目。ただし,文中に次男の名前が出てくるところは次男
と置き換えている。

(前略)次男さんに「ヴァジラ・ダラへの道のグルのエピソード
と私の体験談と投稿を抜粋して,少しずつ送ってください。
(中略)ア
さんの批判をグルや神々からの叱咤として受け止めて,アさんに感謝して・・・アさんが神々,グルの代わりに厳しくしてくださったのでしょうね。
(後略)

(イ)関係者の供述等
a
八潮説明会におけるニの発言(乙17の1・16枚目。乙128・19枚目も同じ。

(前略)正悟師が,「年末に連絡を取ってた時はそんなこと何も言わなかったぞと。ま,年末に連絡来たのは,三女の方々と,年末に,まあの,信徒の方が年末にこう亡くなられるということがあったみた
いで,そのまあ,転生祭,その関係で,メールによる連絡をまあ取られたということがあった(後略)

b
四女が作成した陳述書における記載
(乙147・24枚目。
ただし,
文中に四女の名前が出てくるところは四女と置き換えている。

(前略)2007年の6月頃,私が拘置所でばったり会った信者何人かに脱会を勧めたところ,姉アの言葉として,各信者に通達が出されていることなどのいくつかのことを教えてくれました。通達の内容は「四女が家族と離れて信者に脱会を勧めている。このことについて正大師にお伺いしたところ,従うべきなのは家族の主流であって,たとえ私(正大師)が離れることがあったとしてもついてきてはいけないとのことでしたというもので(中略)した。(後略)

c
平成26年9月17日の本団体の構成員の警察官に対する供述等
(乙160・2枚目)
dの内部で起きている騒動については,dの現在の最上位幹部であるサが,中堅幹部である女性信者2名を除名にしたというものである。(中略)サが,勝手に他の信者を除名にできるものではなく,そこには(中略)オ(中略)の指示があった。(中略)二男(中略)を次期教祖にしたいウの妻やサと,それに待ったをかけたウの三女で意見が対立し,三女寄りの意見であった中堅幹部の女性に対して,ウの妻が除名の指示をした(後略)d
平成25年12月4日の本団体の構成員の警察官に対する供述等
(乙160・3及び4枚目。なお,文中に出てくるモは,本団体
の構成員が起こした各種の犯罪に関与し,死刑に処する旨の確定判決を受け,その執行を受けたモのことである。

東京拘置所に行くと,(中略)三女(中略)によく会います。特に三女の人とは向こうから話しかけてくれることがあり,悩み事等,よく話したりします。(中略)メさんやモ(中略)さんが,三女の人に私と仲良くするように言ってくれたらしいです。イさんの家族に会うために,サマナ(中略)がわざわざ東京拘置所に来て,出待ちみたいなことをしたり,イさんの家族に会うだけで,泣き出したりするサマナもいます。(中略)三女は東京拘置所に月1,2回来ていて,私は偶然会う程度。・・・三女はすごいですよ。絶対的な存在なんです。教団のみんなが言うことを聞く。わざわざ会いに来るサマナもいる。直接,教団の事に口出ししているかどうかは分からないけど,影響力は絶対にある。(ウ)警察官がした所持品検査の結果(乙160・4枚目)

埼玉県警所属の警察官は,平成26年10月6日,本団体の構成員を器物損壊被疑事件の被疑者として逮捕した際に実施した所持品検査において,同構成員が,ラミネート加工された原告の写真2枚を所持していたことを把握した。

次男が本団体の運営に関わろうとした際にこれを排除したとされることについて
(ア)本件各手紙
a
本件手紙1(別紙3)
別紙3記載のとおりである。

b
本件手紙2(別紙4)
別紙4記載のとおりである。

(イ)八潮説明会におけるニの発言とされるもの(乙17の1・14及び16ないし19枚目。乙17の2・7ないし10枚目及び乙128・19及び20枚目も同じ。

(前略)1月4日から6日,ちょうど道場のセミナーが行われている最中,まあ6日が最終日ですけど,その間に,(中略)三女の方が,㋠師の手引で,案内で,えーこのセミナーに関わった多数の道場の師とこう面会する,ということがこの間にありました。(中略)1人,もしくは2人,そういう順次,呼び出されたという形で,(中略)そういう密会が設定されて,(中略)面談を重ねていったということがありました。(中略)次男の方が,えー今後,???教団に戻ろうとしても,えー受け入れないで欲しい。というお願いを,道場の師の方,まあ要するに合同会議のメンバーで,今の教団の運営に直接関わっている人たちですね,に対して要請をしたと,いうことだったんですね。(中略)教団の(中略)活動の動きに関連して,教団は最近(中略)叩かれていると,そういう状況の中で,教団がこう信徒が増えてるというまあ話があるみたいだけど,そういうことは今はしないようがいいと。教団拡大は良くないんだという話も,(中略)そういう問題にされてる教団に,次男が戻ることはよくないと,そういう話(中略)が,(中略)かなり大半の道場の師の方に対して,この三女の方が話し????いうことがありました。(中略)こういう話を,三女の方と面会した,男性の師3人が,えー,正悟師に報告したわけですね。(中略)師の方が,えー三女の方????として,「あなたたちは,弟が,次男が教祖として立ったとして,その方をグルとして仰げるんですか。あなた方のグルはいったい誰なんですかということを,まあ三女にまあ言われたんだと。
(中略)更に,

弟は精神的におかしくなってると。言われてる人が教祖として立ったとして,その方から,あなた方はイニシエーション受けられますか

と,まあそういう問いかけもされたという話をまあ,正悟師に(中略)翌1月10日(中略)の合同会議(中略)の終わる間際に,㋠師が,前に登場してきて,三女の方からちょっと皆さんにお伝えしたいメッセージがありますということで,ま,予定になかったそういうメッセージの読み上げ(中略)が急
きょ行われた。
行われることになったわけですね。
その内容というのが,
(中略)この事件の発端は,母親が次男を教団に戻そうとしたことにありますと。で

えー次男もすっかりもう戻る気になってしまっている。

(中略)その動きをマスコミがいち早く嗅ぎつけて,母親と次男のことについて聞いてきたと。中略)

正悟師に話が行くような事態になる前に。
えー,この話を終わらせたかった(中略)と。
(中略)四女の二の舞いは
避けたいので,中略)

教団側で軽挙妄動などないようにお願いしますと。
(中略)そういう趣旨のメッセージ,ま,これが読み上げられたんですね。
(中略)この合同会議の後にですね,やはり㋠師の手引で,三女の方がこの一部の師の方と,やはりこう面会をしたと。
(中略)1月15日で

すね,正悟師から,えー合同会議に参加した師上流士宛に,メールが送られました。
(中略)その内容というのは,
(中略)三女の方の行為は,
外から見れば,教団運営にこう直接的に干渉している風に見られても仕方がない行為であると。まあそんなことをさせたことは,要するに,ご家族を無用なこう社会的な危険にさらすことになってしまったのではな
いかと。
(中略)1月22日,翌週ですけども,次女の方,三女の方,長
男の方,三人の方のこの連名のこの一斉の文書,簡易書留ですけども,これが,
(中略)合同会議の師おそらく全員と,あと正悟師ですね,宛に
送られた。(中略)2月14日,今度はまた次女の方三女の方長男の方連名の一斉文書,簡易書留の2通目(中略)の文書が,2月13日付けで届きました。
(後略)

(ウ)サが寄稿したとされる文章の記載(乙125・7枚目)

(前略)今年1月,2月の計2回,全師,上流士宛に,三女から届いた手紙の内容は,(中略)たとえ(中略)猊下を当局に売ってでも,自分が前面には決して立たず,裏で権力を握り,影響力を維持したいという(中略)ものでした。その手紙の中には,「私たちは,教団に対して支配力を及ぼしていませんし,今後及ぼすつもりもありません。と書かれて
いますが,これは,過去においては嘘としか言いようがないですし,現時点においては,それに反して今現在も,三女は,一部の教団関係者と関わりを保持し(中略)ています。
(後略)

(エ)公安調査官の調査の結果(乙158)
公安調査官は,平成26年2月17日,原告が,京都市内の飲食店に
おいて,チ及びタと面談していたことを把握し,その様子を報告書にまとめている。

原告が管理しているとされる信徒からの献金をオ及び次男に渡さなくなったとされることについて-八潮説明会におけるニの発言(乙17の1・
87枚目。乙128・24枚目も同じ。ただし,人名は,本判決における略称に合わせて変えている。

(前略)その,お二人が,教団に戻ろうとしている(中略)そういう動きがある事を前提に,その,お姉さんたちのこの,側近の人たちっていうんですかね,ま,警備の人たちですね(中略)その人たちから,非常にこう,プレッシャーを受けていると,あの,オと次男が。まあ,具体的には一つは,あのー,その,ま,原告の警備をしている,ある男性の,まあサマナって言っていいのか,人が個人事業をやっているんですね,やってるらしいんですね。その事業の元でオも,こう,まあ,生活及びその,長男及び次男,大学生でいらっしゃいますから,まあ,その,学費とか全部,まあ,仕事をされてるみたいなんですけども,それも,なんか,打ち切られたみたいなんですよ。その理由ってのが,えーと,その二人が教団に戻ろうとしてると,そういう連絡が,いきなり,この,その事業をしている警備の人から,オの側にあったらしいですね。で,いったいそれ何のことなんですかと,何を根拠にそんなこと言っているんですかってう,そんな事実ありませんていう返事をすると,いや,姉たち,お姉さんたちから聞いていますよって。いうことを言って,言ってきたらしいんですね。(中略)だから,こう,その,生計を立てる収入源とかですね,まあ,それが一つ。まあ,それでかなり,生活的にちょっと,こう,困窮し始めているっていう話しが一つ。(後略)シ
その他の事情について
(ア)本団体が発行した機関誌(平成10年9月20日付け)のうち正大師からサマナの皆さんへと題する記事の記載(乙180・5,7及び8枚目)
(前略)です。(中略)大きな道場が失われ,一カ所に集うこともなく,離ればなれの生活になってから,どれくらいの時が流れたでしょう。(中略)修行がしにくい中,法則で身・口・意を統御できていますか?わたしはサマナの皆さんを見ていると悲しくなり,思うのです。どうかもっとグルを見てほしいと。グルに集中してほしいと。自己の苦悩に没入せず,グルの救済活動に意識を向けてほしいと。(中略)イはおっしゃっています。(中略)その意味をもう一度考えてください。わたしたちがグルを求めなければならないのです。中略)(皆さん,グルを見ましょう!グルに集中しましょう!(中略)最後にもう一度。皆さん決して忘れないでください。出家できたというこの大きな功徳を,偉大なグルに巡り合えたこの大きな喜びを。(中略)いつかグルと合一しようではありませんか。(イ)本団体が発行した機関誌(平成11年5月20日付け)のうち名古屋で「説法と歌と合奏の祭典」と題する記事の記載(乙150・12及

び13枚目。乙181・5及び6枚目も同じ。

(前略)正大師が登場され,a三唱-いよいよ祭典の始まりです。冒頭からいきなり,信徒さんに対して思い掛けないプレゼントがありました。正大師から,(中略)信徒の皆さん一人一人に,コース名を刻んだ新製のバッジが授与されたのです。正大師直々の授与ということで,バッジを手にして座席に戻る信徒さんの中には,うれしさのあまり,思わず笑みがこぼれる方もたくさんいらっしゃいました。今回の祭典のメインプログラムは,(中略)正大師と,四人の正悟師方による歌のエンパワーメントでしょう。(中略)正大師・正悟師方の発される力強くて透明なヴァイブレーションが,会場の隅々にまで行き渡り,その場にいたすべての人がエンパワーメントされたのです。(中略)プログラム最後は,正大師正悟師方含めて会場全員総立ちでの大合唱-。・正大師を中心に,みんなの心が救済に向けて一つになった,素晴らしい祭典の締めくくりとなりました。(後略)(3)

検討
以下,被告が指摘する事情の順に検討を加える。なお,供述証拠の信用性等については,前記6(3)と同様である。

観念崩壊セミナーについて
被告は,原告が観念崩壊セミナーを主導的に開催した旨主張し,それを
裏付ける証拠として,被告の主張に沿う複数の供述等を挙げる。本件においては,前記(2)アのとおり,本団体の構成員又は元構成員による複数の供述等があるところ,前記(2)アにおいて摘示したこれらの証拠に記載された内容に加え,原告自身,原告が観念崩壊セミナーの開催及びその内容の決定に関与したこと自体は認めていることにも照らすと,公安調査庁長官が,原告が観念崩壊セミナーを主導的に開催した旨の事実を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該事実
を認定したとまでは認め難い。
原告は,トらが,ウがいなくなった後に全ての責任をかぶってくれる存在としての原告を都合の良いところだけ利用し,その責任を全て原告に負わせているにすぎない,仮に,原告が分からないことは分からないというべきであったとしても,当時の原告は自分の名前も書けない程度の能力し
か有しておらず,何が分からないか理解することを求めること自体が酷であるなどと主張し,原告の供述等にこれに沿う部分があるが,本件の証拠関係の下においては,トらが原告が主張するような行動を取っていたとまでは認めるに足りず,また,観念崩壊セミナーの開催やその内容の決定に影響を及ぼすことと原告の能力がいかほどのものであるかということと
は,直接的に関連しない(このことは,上記のとおり,原告自身が観念崩壊セミナーの開催及びその内容の決定に関与したことを認めていることからも明らかである。
)から,原告が上記に指摘する事情によっては直ち
に,公安調査庁長官が,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と原告が観念崩壊セミナーを主導的に開催した旨の事実を認定した
ことがうかがわれるということにはならないのであって,上記の認定及び判断を覆すには足りない。

ウが乗り移ったと称する構成員を排除したことについて
(ア)被告は,原告が,ウが乗り移ったと称する構成員が出現した際,本団
体の引き締めを図るため,同構成員を本団体から排除するとともに,これに同調したその他の構成員に対して指導を行った旨主張し,それを裏付ける証拠として,被告の主張に沿う複数の供述等のほか,原告の当時の住居にウが乗り移ったと称する構成員に同調した構成員が入っていった事実を挙げる。本件においては,前記(2)イ(ア)のとおり,本団体の構成員による複数の供述等に加え,前記(2)イ(イ)のとおり,これを裏付ける事実が記載された証拠もあるところ,
前記(2)イにおいて摘示したこれ
らの証拠に記載された内容を前提とすると,
公安調査庁長官が,
原告が,
ウが乗り移ったと称する構成員を排除することに関与し,当該構成員に同調した者が原告の指導を受けた可能性があるとの限度において,ウが乗り移ったと称する構成員を排除した旨の事実を認定したとしても,職
務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該事実を認定したとまでは認め難い。
(イ)被告は,前記(ア)のとおり,原告が,ウが乗り移ったと称する構成員が出現した際に同構成員を本団体から排除し,他の構成員に対して指導をしたとの事実が存する旨主張する。

しかし,公安調査庁長官は,本件認定において,被告が上記に主張するような詳細な事実関係を認定していないから,被告が上記に主張するところは,公安調査庁長官が本件認定をする前提として認識したとされる本件認定の間接事実となるべき事実関係を指摘するものにすぎないのであって,公安調査庁長官が,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くす
ことなく漫然と本件認定をしたか否かという認定及び判断とは,直接的な関連を有しておらず,その意味において,その主張の適否が前記(ア)の認定及び判断に直ちに影響を及ぼすものとはいえない。
この点をひとまずおき,被告の上記の主張の適否を検討するに,前記(ア)に判示したところに加え,前記6(3)のとおり,被告が提出した証拠
の信用性について一定の限界があり,そのことは,その性質上,公安調査庁長官においても当然に認識し得る事情であるということができることも踏まえると,本件の証拠関係の下においては,公安調査庁長官は,前記(2)イに摘示した証拠の記載からは,前記(ア)において認定した限度を超えて,原告が主体的に関わったとまで認定することは困難であることも,当然に認識し得たものというべきである。
したがって,
被告の主張は,
上記の限度で,
採用することができない。


お供物を変更したことについて
(ア)被告は,原告が,遅くとも平成11年頃までには,粉末食品を固めた錠剤をお供物に加えるよう指示した旨主張し,それを裏付ける証拠として,被告の主張に沿う本団体の構成員の供述等を挙げる。本件において
は,前記(2)ウのとおり,本団体の構成員による供述等のほか,実際に当該錠剤がお供物に加えられていることを示す文書の記載もあるところ,前記(2)ウにおいて摘示したこれらの証拠に記載された内容に照らすと,公安調査庁長官が,原告がお供物を変更するよう指示した旨の事実を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然
と当該事実を認定したとまでは認め難い。
(イ)原告は,粉末職員を固めた錠剤がお供物に加えられた事実があるとしても,それを指示したのは,お供物に関する業務を担当していた長女であり,原告ではない旨主張し,これに沿う原告の供述等もある。
前記(2)ウのとおり,
本件において被告が提出した証拠の記載を前提と

しても,一方の証拠においては,
平成14年頃だったので,この頃に指示を受けていたと思いますとの記載がある(前記(2)ウ(イ))が,他方の証拠の作成日が平成11年7月21日であること
(同(ア))
からすると,
証拠の相互間に整合しない点がある上,原告が平成11年当時に16歳であったことも踏まえると,
前記(2)ウの本件において被告が提出した証

拠の記載自体から,原告が遅くとも平成11年頃までに指示したものではない可能性があることはうかがわれる。
もっとも,①本団体において上命下服が浸透していたとされること,②原告が本団体において実質的にウに次ぐ地位にあったとされること,③本団体の構成員が原告の発言を命令として受け取っていたとされること等の原告の本団体における地位,本団体における影響力等に関する事実関係については,
前記6(4)のとおり,
公安調査庁長官がそれらの事実

を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然とそれらの事実を認定したとまでは認め難いと評価することができることに加え,原告が上記に主張する事実は,それを裏付ける的確な客観的な証拠はなく,また,当該事実が,公安調査庁長官が本件認定をした当時に既に公知のものであったとか,公安調査庁長官が当該事実を知
っていたとかいうことをうかがわせる事情を認めるに足りる証拠も見当たらないことにも照らすと,原告が上記に主張するところを踏まえたとしても,
公安調査庁長官が,
前記(2)ウのとおりの本件において被告が提
出した証拠の記載等をもって,原告がお供物を変更するよう指示した旨の認定をしたとしても,そのことをもって直ちに,職務上通常尽くすべ
き注意義務を尽くすことなく漫然と原告がお供物を変更するよう指示した旨の事実を認定したことがうかがわれるということにはならないから,前記(ア)の認定及び判断を覆すには足りない。

師の位階にある旨の認定に関与したことについて
被告は,原告が,平成14年頃,マ及びホが師の位階にある旨の認定に関与した旨主張し,それを裏付ける証拠として,被告の主張に沿う複数の供述等を挙げる。本件においては,前記(2)エのとおり,本団体の構成員又は元構成員による複数の供述等があるところ,前記(2)エにおいて摘示したこれらの証拠に記載された内容に照らすと,公安調査庁長官が,マ及
びホが師の位階にある旨の認定に原告が関与した旨の事実を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該事実を認定したとまでは認め難い。
原告は,マ及びホが師の位階にある旨の認定に原告が関与した事実はなく,
これをしたのはキである旨主張し,
これに沿う原告の供述等もあるが,
原告が主張するところは,それを裏付ける的確な客観的な証拠はなく,上記に指摘した証拠等の信用性を直ちに消滅させるものとも認められない
から,原告の主張するところをもって直ちに,公安調査庁長官が,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然とマ及びホが師の位階にある旨の認定に原告が関与した旨の事実を認定したことがうかがわれるということにはならないのであって,上記の認定及び判断を覆すには足りない。


キ外しについて
(ア)被告は,原告が,平成15年6月頃,キを本団体の運営から排除するため,本団体の幹部構成員の説得に当たったり,自己が本団体においてウに次ぐ地位にあることを利用してキに本団体の運営から退くように強
く迫ったりした旨主張し,それを裏付ける証拠として,被告の主張に沿う複数の供述等を挙げる。本件においては,前記(2)オのとおり,四女,本団体の構成員又は本団体の元構成員による複数の供述等があるところ,前記(2)オにおいて摘示したこれらの証拠に記載された内容に加え,前記
ウ(イ)と同様,
公安調査庁長官が原告の本団体における地位,
本団体にお

ける影響力等に関する事実(①本団体において上命下服が浸透していたとされること,②原告が本団体において実質的にウに次ぐ地位にあったとされること,③本団体の構成員が原告の発言を命令として受け取っていたとされること等)を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然とそれらの事実を認定したとまでは認め難い
と評価することができることにも照らすと,
公安調査庁長官が,
原告が,
平成15年6月頃,キを本団体の運営から排除するため,本団体の幹部構成員の説得に当たったり,自己が本団体においてウに次ぐ地位にあることを利用してキに本団体の運営から退くように強く迫ったりした旨の事実を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該事実を認定したとまでは認め難い。
(イ)原告は,本団体の幹部構成員の説得に当たったりするなどしてキ外しをした事実はなく,本団体の運営に関わったこともない,仮に,被告の主張を前提としたとしても,キ外しを主導したのはオであって,原告ではないことが明らかである旨主張し,これに沿う原告の供述等もある。本件においては,被告が提出した証拠においても,キ外しにオが積極
的に関与したことがうかがわれる記載が散見されるものの(乙45・14,17,18及び20枚目,乙46・16及び17枚目,乙57・9枚目,乙59・4枚目,乙100・4枚目,乙101・3及び4枚目,乙118・2枚目,乙147・15,17枚目,乙187・3及び4枚目)
,上記の各証拠には,前記(2)オのとおり,原告がキ外しに積極的に
関与した旨の記載(他方で,上記の各証拠には,原告が従属的な関与にとどまっていた旨の記載は見当たらない。
)もあり,かつ,オが積極的に
キ外しに関与した事実と原告がキ外しに積極的に関与した事実とが相互に矛盾するものではなく,
併存し得る事実関係であることにも照らすと,
仮に,キ外しを主導したのがオであることを前提としたとしても,その
ことをもって直ちに,公安調査庁長官が,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と原告が平成15年6月頃にキを本団体の運営から排除するために本団体の幹部構成員の説得に当たったり自己が本団体においてウに次ぐ地位にあることを利用してキに本団体の運営から退くように強く迫ったりした旨の事実を認定したことがうかがわれるとい
うことにはならないから,前記(ア)の認定及び判断を覆すには足りない。また,原告が主張するその余の事情は,それを裏付ける的確な客観的な証拠はなく,
前記(ア)に指摘した証拠等の信用性を直ちに消滅させるも
のとも認められないから,原告の主張するところをもって直ちに,公安調査庁長官が,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と上記の事実を認定したことがうかがわれるということにはならないのであって,やはり,前記(ア)の認定及び判断を覆すには足りない。

キ外しの後の関与について
(ア)被告は,原告が,キが本団体の運営から外れた後,本団体の具体的な運営に関与して様々な指示を出したり,キに近い構成員を牽制したりしていた旨主張し,それを裏付ける証拠として,被告の主張に沿う複数の
供述等を挙げる。本件においては,前記(2)カのとおり,四女,本団体の構成員又は本団体の元構成員による複数の供述等があるほか,コの供述等については,それに沿う内容が記載されているメールも添付されているところ,
前記(2)カにおいて摘示したこれらの証拠に記載された内容に
加え,前記オ(ア)と同様,公安調査庁長官が原告の本団体における地位,
本団体における影響力等に関する事実を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然とそれらの事実を認定したとまでは認め難いと評価することができることにも照らすと,公安調査庁長官が,原告が,キが本団体の運営から外れた後,本団体の具体的な運営に関与して様々な指示を出したり,キに近い構成員を牽制したりして
いた旨の事実を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該事実を認定したとまでは認め難い。
(イ)原告は,被告が主張するような事実は全く存在しない,本団体の運営に関与しているという意識もなかった旨主張し,原告の供述等にこれに沿う部分があるが,原告が主張するところは,それを裏付ける的確な客
観的な証拠はなく,上記に指摘した証拠等の信用性を直ちに消滅させるものとも認められないから,原告の主張するところをもって直ちに,公安調査庁長官が,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と原告がキが本団体の運営から外れた後に本団体の具体的な運営に関与して様々な指示を出したりキに近い構成員を牽制したりしていた旨の事実を認定したことがうかがわれるということにはならないのであって,前記(ア)の認定及び判断を覆すには足りない。

また,原告は,本団体の運営に関与し,細かい指示を出していたのはオであり,オが原告の名前だけを利用して好きなことをしていた旨も主張し,
これに沿う証拠もあるが,
前記オ(イ)及び上記に判示したところと
同様の理由により,原告の主張するところをもって直ちに,公安調査庁長官が,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と上記の
事実を認定したことがうかがわれるということにはならないから,やはり,前記(ア)の認定及び判断を覆すには足りない。

四女が本団体の運営に関わろうとした際にこれを排除したとされることについて

(ア)被告は,原告が,オとともに,長男及び次男の権威を利用し,本団体の幹部構成員を説得するなどして,四女が本団体の運営に関与することを阻止し,
本団体における地位及び影響力を維持しようとした旨主張し,
それを裏付ける証拠として,被告の主張に沿う複数の供述等を挙げる。本件においては,前記(2)キのとおり,四女,本団体の構成員又は本団体
の元構成員による複数の供述等があるところ,
前記(2)キにおいて摘示し
たこれらの証拠に記載された内容に加え,四女が本団体の運営に関与することに反対したこと自体は原告も認めていること及び前記オ(ア)と同様,公安調査庁長官が原告の本団体における地位,本団体における影響力等に関する事実を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務
を尽くすことなく漫然とそれらの事実を認定したとまでは認め難いと評価することができることにも照らすと,公安調査庁長官が,原告が,オとともに,本団体の幹部構成員を説得するなどして,四女が本団体の運営に関与することを阻止し,本団体における地位及び影響力を維持しようとしたとの限度において,四女が本団体の運営に関わろうとした際に原告がこれを排除したとされる旨の事実を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該事実を認定したとまでは認め難い。
(イ)被告は,前記(ア)のとおり,原告が,長男及び次男の権威を利用した旨主張するが,
前記イ(イ)と同様の理由により,
その主張の適否が前記(ア)
の認定及び判断に直ちに影響を及ぼすものとはいえない。

この点をひとまずおき,被告の上記の主張の適否を検討するに,前記(ア)に判示したところに加え,前記6(3)のとおり,被告が提出した証拠の信用性について一定の限界があり,そのことは,その性質上,公安調査庁長官においても当然に認識し得る事情であるということができることも踏まえると,本件の証拠関係の下においては,公安調査庁長官は,
前記(2)キに摘示した証拠の記載からは,前記(ア)において認定した限度を超えて,原告が長男及び次男の権威を利用したとまで認定することは困難であることも,当然に認識し得たものというべきである。
したがって,
被告の主張は,
上記の限度で,
採用することができない。
(ウ)原告は,四女が本団体の運営に関与することに反対したこと自体は認
めつつも,それは,家族として本団体に関わろうとすることに反対したに過ぎず,本団体における地位及び影響力を維持しようとしたことはない,オと一緒になって本団体の幹部構成員を説得した事実はない旨主張し,
原告の供述等にこれに沿う部分があるが,
原告が主張するところは,
それを裏付ける的確な客観的な証拠はなく,
前記(ア)に指摘した証拠等の

信用性を直ちに消滅させるものとも認められないから,原告の主張するところをもって直ちに,公安調査庁長官が,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と原告がオとともに本団体の幹部構成員を説得するなどして四女が本団体の運営に関与することを阻止し本団体における地位及び影響力を維持しようとした旨の事実を認定したことがうかがわれるということにはならないのであって,
前記(ア)の認定及び判断を
覆すには足りない。


複数の正悟師を本団体の運営から排除したとされることについて
(ア)被告は,原告が,オとともに,複数の正悟師を本団体の運営から排除した旨主張し,それを裏付ける証拠として,被告の主張に沿う複数の供述等を挙げる。本件においては,前記(2)クのとおり,本団体の構成員又
は元構成員による複数の供述等があるところ,
前記(2)クにおいて摘示し
たこれらの証拠に記載された内容に加え,
前記オ(ア)と同様,
公安調査庁
長官が原告の本団体における地位,本団体における影響力等に関する事実を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然とそれらの事実を認定したとまでは認め難いと評価することがで
きることにも照らすと,公安調査庁長官が,複数の正悟師を本団体の運営から排除したことに原告も関与したとの限度において,原告が複数の正悟師を本団体の運営から排除した旨の事実を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該事実を認定したとまでは認め難い。

(イ)被告は,原告が,オとともに,複数の正悟師を本団体の運営から排除した旨主張するが,
前記イ(イ)と同様の理由により,
その主張の適否が前
記(ア)の認定及び判断に直ちに影響を及ぼすものとはいえない。この点をひとまずおき,被告の上記の主張の適否を検討するに,前記(ア)に判示したところに加え,前記6(3)のとおり,被告が提出した証拠
の信用性について一定の限界があり,そのことは,その性質上,公安調査庁長官においても当然に認識し得る事情であるということができることも踏まえると,本件の証拠関係の下においては,公安調査庁長官は,前記(2)クに摘示した証拠の記載からは,前記(ア)において認定した限度を超えて,原告が複数の正悟師を本団体の運営から排除したことに主体的に関わったとまで認定することは困難であることも,当然に認識し得たものというべきである。

したがって,
被告の主張は,
上記の限度で,
採用することができない。
(ウ)原告は,複数の正悟師を本団体の運営から排除したのはオであって,原告がそのようなことをした事実はない旨主張し,原告の供述等にこれに沿う部分がある。
本件においては,被告が提出した証拠においても,オが複数の正悟師
を本団体の運営から排除したことに主導的に関与したことがうかがわれる記載が散見されるものの(乙45・41枚目,乙109・3枚目,乙114・3枚目,乙116・3枚目,乙119・3及び4枚目,乙120・4枚目)
,前記オ(イ)に判示したところと同様の理由により,そのこ
とをもって直ちに,公安調査庁長官が,職務上通常尽くすべき注意義務
を尽くすことなく漫然と複数の正悟師を本団体の運営から排除したことに原告も関与した旨の事実を認定したことがうかがわれるということにはならないから,前記(ア)の認定及び判断を覆すには足りない。ケ
前記クの後の関与について
(ア)被告は,原告が,複数の正悟師を本団体の運営から排除した後も,本団体の幹部構成員を通じるなどして本団体の運営に継続的に携わっていた旨主張し,それを裏付ける証拠として,本件文書に加え,被告の主張に沿う本団体の構成員の供述等を挙げる。
本件においては,
前記(2)ケの
とおり,複数の文書の記載,本団体の構成員による複数の供述等及び警
察官による捜索差押の結果があるところ,
前記(2)ケにおいて摘示したこ
れらの証拠に記載された内容に加え,
前記オ(ア)と同様,
公安調査庁長官
が原告の本団体における地位,本団体における影響力等に関する事実を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然とそれらの事実を認定したとまでは認め難いと評価することができることにも照らすと,公安調査庁長官が,これらの証拠の記載等を踏まえて,原告が,複数の正悟師が本団体の運営から離脱した後も,本団体の幹部構成員を通じるなどして,本団体の運営に継続的に携わっていた旨の事実を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該事実を認定したとまでは認め難い。
(イ)原告は,スやサからメールが来たことはあるかもしれないが,それを
読んだ記憶がない,スに対して仮に何らかの意見を述べたことがあったとしてもそれは単なる参考意見でしかない,サからのメールはオと共有していたアドレスに対するものである,被告が主張するような事実に関与していたのは全てオであるなどと主張し,これに沿う証拠もある。しかし,仮に,オが積極的にサやスとの間でメールをやり取りするな
どして,本団体の運営に継続的に携わっていたとの事実を前提としたとしても,当該事実と原告もこれに関与している事実とが相互に矛盾するものではなく,併存し得る事実関係である上,原告が指摘する証拠(甲62)においても,オが原告に対して本団体の運営に関する様々な情報を継続的に提供したり,ソが原告に対して本団体の運営に関して同意を
求めたりしていること(甲62のメール17ないし21,23ないし29及び31)がうかがわれ,原告がおよそ本団体とは関係していないという原告の主張とは必ずしも整合しない状況が存するとうかがわれることにも照らすと,仮に,本団体の運営に主導的に関与しているのがオであることを前提としたとしても,そのことをもって直ちに,公安調査庁
長官が,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と原告が複数の正悟師が本団体の運営から離脱した後も本団体の幹部構成員を通じるなどして本団体の運営に継続的に携わっていた旨の事実を認定したことがうかがわれるということにはならないから,
前記(ア)の認定及び判
断を覆すには足りない。

次男が本団体の運営に関わろうとした際にこれを排除したとされることについて
(ア)被告は,原告が,次男が本団体の運営に関わることを阻止することにより,自己の本団体における地位及び影響力を維持しようとした旨主張し,それを裏付ける証拠として,本件各手紙に加え,被告の主張に沿う本団体の構成員による発言等を挙げる。
本件においては,
前記(2)コのと

おり,本件各手紙の記載,本団体の構成員による発言等があるところ,前記(2)コにおいて摘示したこれらの証拠に記載された内容及び次男が本団体の運営に関与することに反対したこと自体は原告も認めていることに加え,
前記オ(ア)と同様,
公安調査庁長官が原告の本団体における地
位,本団体における影響力等に関する事実を認定したとしても,職務上
通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然とそれらの事実を認定したとまでは認め難いと評価することができることにも照らすと,公安調査庁長官が,原告が,自己又は本団体の利益を図る目的で,次男が本団体の運営に関わることを阻止したとの限度において,次男が本団体の運営に関わろうとした際にこれを排除した旨の事実を認定したとしても,
職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該事実を認定したものとまでは認め難いというべきである。
(イ)被告は,原告が,自己の本団体における地位及び影響力を維持しようとして次男が本団体の運営に関与することに反対した旨主張するが,前記イ(イ)と同様の理由により,その主張の適否が前記(ア)の認定及び判断
に直ちに影響を及ぼすものとはいえない。
この点をひとまずおき,被告の上記の主張の適否を検討するに,前記(ア)に判示したところ,特に,本件において被告が提出した証拠には,原告が自己の本団体における地位及び影響力を維持しようとする目的を有していたことをうかがわせる個別的な事情に関する具体的な記載が見当たらないこと(乙125)に加え,前記6(3)のとおり,被告が提出した証拠の信用性について一定の限界があり,そのことは,その性質上,公安調査庁長官においても当然に認識し得る事情であるということができることも踏まえると,本件の証拠関係の下においては,公安調査庁長官は,前記(2)コに摘示した証拠の記載からは,前記(ア)において認定した限度を超えて,原告が自己の本団体における地位及び影響力を維持しよ
うとする目的を有していたと断定的に認定することは困難であることも,当然に認識し得たものというべきである。
したがって,
被告の主張は,
上記の限度で,
採用することができない。
(ウ)原告は,次男がその当時未成年であった上,心身ともに治療を要する状態であったことから,家族として次男を心配する気持ちにより,次男
が本団体の運営に関与することに反対したにすぎない旨主張し,これに沿う証拠もある。
しかし,原告が自己又は本団体の利益を図る目的を有することと,原告が上記に主張する動機を有することとは,相互に矛盾するものではなく,併存し得る事実関係である上,これまでに判示してきたところを前
提とすると,公安調査庁長官が,原告が,自己又は本団体の利益を図る目的で,次男が本団体の運営に関わることを阻止した旨の事実を認定したとしても,それが職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該事実を認定したものとまでは認め難いということができる。したがって,仮に,原告の主張するところを前提としたとしても,そ
のことをもって直ちに,公安調査庁長官が,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と原告が自己又は本団体の利益を図る目的で次男が本団体の運営に関わることを阻止した旨の事実を認定したとうかがわれるということにはならないから,
前記(ア)の認定及び判断を覆すに
は足りない。

原告が管理しているとされる信徒からの献金をオ及び次男に渡さなくなったとされることについて
被告は,原告が,次男が本団体の運営に関与するか否かについての問題が発生した後に,自らが管理しているとされる信徒からの献金をオ及び次男に渡さなくなった旨主張し,それを裏付ける証拠として,被告の主張に沿う本団体の構成員の発言を挙げる。本件においては,前記(2)サのとお
り,本団体の構成員による発言があるところ,前記(2)サにおいて摘示した当該発言の内容及び当該証拠が発言そのものを録音した結果であって伝聞性が比較的低いという当該証拠の性質に加え,公安調査庁長官が,原告がウの家族に対する支援者からの献金を受領して管理していた旨の事実を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく
漫然と当該事実を認定したとは認め難いこと(前記6(2)ア(エ)参照)にも照らすと,公安調査庁長官が,原告が,次男が本団体の運営に関与するか否かについての問題が発生した後に,自らが管理しているとされる信徒からの献金をオ及び次男に渡さなくなった旨の事実を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該事実を認定し
たとまでは認め難い。
原告は,原告がウの家族に対する支援者からの献金を受領して管理していた事実はなく,仮にこの点をひとまずおくとしても,当該事実と本団体とは何らの関係もない旨主張し,これに沿う原告の供述等もあるが,原告が主張するところは,それを裏付ける的確な客観的な証拠はなく,上記に
指摘した証拠等の信用性を直ちに消滅させるものとも認められない上,原告がウの家族に対する支援者からの献金を受領して管理していたとされる事実と原告が本団体の運営に影響力を及ぼしていたとされる事実との間には,何らの関連性もないとまでは評価し難いから,原告の主張するところをもって直ちに,公安調査庁長官が,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と原告が次男が本団体の運営に関与するか否かについての問題が発生した後に自らが管理しているとされる信徒からの献
金をオ及び次男に渡さなくなった旨の事実を認定したことがうかがわれるということにはならないのであって,上記の認定及び判断を覆すには足りない。
(4)
まとめ
前記(3)のとおり,公安調査庁長官が,原告が,①観念崩壊セミナーを主導的に開催した,②ウが乗り移ったと称する構成員を排除することに関与し,当該構成員に同調した者が原告の指導を受けた可能性がある,③お供物を変更するよう指示した,④マ及びホが師の位階にある旨の認定に関与した,⑤キを本団体の運営から排除するため,本団体の幹部構成員の説得に当たった
り,自己が本団体においてウに次ぐ地位にあることを利用してキに本団体の運営から退くように強く迫ったりした,⑥キが本団体の運営から外れた後,本団体の具体的な運営に関与して様々な指示を出したり,キに近い構成員を牽制したりしていた,⑦オとともに,本団体の幹部構成員を説得するなどして,四女が本団体の運営に関与することを阻止し,本団体における地位及び
影響力を維持しようとした,⑧複数の正悟師を本団体の運営から排除したことに関与した,⑨複数の正悟師が本団体の運営から離脱した後も,本団体の幹部構成員を通じるなどして,本団体の運営に継続的に携わっていた,⑩自己又は本団体の利益を図る目的で,次男が本団体の運営に関わることを阻止した及び⑪次男が本団体の運営に関与するか否かについての問題が発生した
後に,自らが管理しているとされる信徒からの献金をオ及び次男に渡さなくなった旨の各事実を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該事実を認定したとまでは認め難いものである。これに加え,
当事者の間に争いのない事実及び前記(2)シに摘示した証拠の
記載も踏まえると,公安調査庁長官が,原告が,少なくとも平成8年頃から平成26年初め頃までの期間にわたり,様々な場面で,宗教的な内容,意思決定機関の構成員等の本団体の運営の根幹に係る内容を含む本団体の運営に
ついて,継続的に関与してその結果にも影響を及ぼしていたとの事実を認定したとしても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該事実を認定したものとまでは認め難いということができる。
したがって,①原告が,本件更新請求の当時,本団体の意思決定に関与し得る者であり,かつ,本団体の事務に従事していたとの事実が実際に存在し
ていたか否かの点,②原告が,長女の下から長男を奪還して最終解脱者とされる長男の権威も利用することにより,実質的にウに次ぐ地位にあることを維持し,本団体の運営に優越的に携わろうと考え,平成12年1月21日,二女及び支援者4名とともに,茨城県内の施設に赴いて長女に対し,長男の引渡しを要求したもののこれを拒否されたため,長女の支援者と思われる者
に暴行を加えて長男を連れ去った旨の被告の主張(別紙5の2(被告の主張の要点)(2)オ(エ))の適否の点を検討するまでもなく,公安調査庁長官が,原告が,本件更新請求の当時においても,団体規制法にいう団体の意思決定に関与し得る者であって,当該団体の事務に従事する者である,すなわち,
当該団体の役員
(団体規制法5条1項3号)に該当する者である旨の

事実を認定したことについても,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該事実を認定したものとまでは認め難いというべきである。8
(1)
本件国賠訴訟部分についてのまとめ
本件認定について
これまでに検討したところを前提とすると,公安調査庁長官が,本件更新請求をした当時,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と本件認定をしたものとは認められないから,公安調査庁長官がした本件認定が国家賠償法1条1項にいう違法なものであるとは認められない。
(2)

本件公表について
本件公表は,公安調査庁長官が,本件更新請求をした際にされたものであるところ,前記(1)のとおり,本件認定が国家賠償法1条1項にいう違法
なものとはいえず,かつ,観察更新請求については,その内容が官報に公示されることが法令上当然に予定されているものであり(団体規制法26条4項,5項,17条2項)
,実際に,本件更新請求についても,本件更新請求が
された1週間後には本件認定も含めてその内容が官報に公示されたこと(前提事実(4)イ)にも照らすと,公安調査庁長官が,本件公表をした当時,職務
上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と報道機関に対して本件認定をした事実を公表した(本件公表をした)とは認め難いから,公安調査庁長官がした本件公表が,国家賠償法1条1項にいう違法なものであるとは認められない。
(3)

まとめ
したがって,その余の点について判断するまでもなく,本件国賠訴訟部分は,理由がない。

9
結論
以上の次第で,本件各訴えのうち本件行政訴訟部分はいずれも不適法である
から,これらをいずれも却下し,本件各訴えのうち本件国賠訴訟部分は,理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第38部

裁判官

福渡裕貴
裁判官

獅子野裕介
裁判長裁判官朝倉佳秀は,転官のため,署名押印をすることができない。
裁判官

福渡裕貴
当事者の表示及び別紙3,4,6については記載を省略
別紙1
訴え却下部分目録

1
公安調査庁長官が平成26年12月1日に公安審査委員会に対してした更新の請求の際にした,原告が無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法
律5条1項3号にいう

当該無差別大量殺人行為が行われた時に当該団体の役員(団体の意思決定に関与し得る者であって,当該団体の事務に従事するものをいう。)であった者が当該団体の役員である

との認定の取消しを求める部分(請求の趣旨第1項に係る部分)
2
公安審査委員会が平成26年12月8日に官報において公示した
ア(中略)は,両サリン事件当時,(中略)イに次ぐ「正大師の位階にあり,当時のaが敷いていた省庁制度において,(中略)法皇官房大臣として,本団体の重要な業務を統括し,本団体の意思決定に関与し得る立場の役員であったと認められる。そして,現在も,(中略)ア(中略)も,本団体の内部組織である
bの幹部構成員等と連絡を取りながら,bの活動方針等の重要事項の意思決定に関与しており,(中略)ア(中略)は,現在も,本団体の役員であると認められる」との公安調査庁長官の更新の処分の請求に係る告示の取消しを求める部分(請求の趣旨第2項に係る部分)

以上
別紙2
関係法令の定め

1
団体規制法の定め

(1)

4条(定義)2項の定め
団体規制法4条2項は,団体規制法において団体とは,特定の共同目的を達成するための多数人の継続的結合体又はその連合体をいうが(本文),ある団体の支部,分会その他の下部組織も,この要件に該当する場合には,これに対して,この法律による規制を行うことができるものとする(ただし書)旨
を定めている。
(2)

5条(観察処分)の定め
5条1項の定め
団体規制法5条1項柱書きは,公安審査委員会は,その団体の役職員又は構成員が当該団体の活動として無差別大量殺人行為(破壊活動防止法4条1項2号ヘに掲げる暴力主義的破壊活動であって,不特定かつ多数の者を殺害
し,
又はその実行に着手してこれを遂げないもの
(中略)
のこと。
以下同じ。

を行った団体が,次の各号に掲げる事項のいずれかに該当し,その活動状況を継続して明らかにする必要があると認められる場合には,
当該団体に対し,
3年を超えない期間を定めて,公安調査庁長官の観察に付する処分を行うことができる旨を定めている。

(ア)3号

当該無差別大量殺人行為が行われた時に当該団体の役員(団体の

意思決定に関与し得る者であって,
当該団体の事務に従事するものをいう。
以下同じ。)であった者の全部又は一部が当該団体の役員であること。(イ)その余の号

(略)

5条4項の定め
団体規制法5条4項は,公安審査委員会は,同条1項の処分を受けた団体が同項各号に掲げる事項のいずれかに該当する場合であって,引き続き当該団体の活動状況を継続して明らかにする必要があると認められるときは,その期間を更新することができる旨を定めている。
(3)

団体規制法12条(処分の請求)1項の定め
団体規制法12条1項は,団体規制法5条1項及び8条の処分は,公安調
査庁長官の請求があった場合にのみ行い(前段),団体規制法5条4項の処分についても,同様とする(後段)旨を定めている。
(4)

団体規制法15条(処分の請求の方式)1項の定め
団体規制法15条1項柱書きは,団体規制法12条1項前段の処分の請求
は,次に掲げる事項その他公安審査委員会規則で定める事項を記載した請求書(以下処分請求書という。)を公安審査委員会に提出して行わなければならない旨を定めている。
1号
2号

請求に係る処分の内容及び根拠となる法令の条項
請求の原因となる事実

(5)

団体規制法16条(意見聴取)本文の定め
団体規制法16条本文は,公安審査委員会は,団体規制法12条1項前段の
処分の請求があったときは,公開による意見聴取を行わなければならない旨を定めている。
(6)

団体規制法17条(意見聴取の通知の方式)の定め
団体規制法17条1項の定め
団体規制法17条1項柱書きは,公安審査委員会は,団体規制法16条の意見聴取を行うに当たっては,あらかじめ,意見聴取を行う期日及び場所を定め,その期日の7日前までに,当該団体に対し,次に掲げる事項を通知しなければならない旨を定めている。

1号

公安調査庁長官の請求に係る処分の内容及び根拠となる法令の条項
2号

請求の原因となる事実
3号

(略)

団体規制法17条2項の定め
団体規制法17条2項は,同条1項の通知は,官報で公示して行う(前段)が,この場合においては,公示した日から7日を経過した時に,当該通知が当該団体に到達したものとみなす(後段)旨を定めている。

(7)

団体規制法22条(公安審査委員会の決定)1項の定め
団体規制法22条1項柱書きは,公安審査委員会は,公安調査庁長官が提出
した処分請求書及び証拠書類等並びに当該団体の意見及び当該団体が提出した証拠書類等につき審査を遂げた上,次の区分に従い決定をしなければならない旨を定めている。
1号及び2号
3号
(8)

(略)

処分の請求が理由があるときは,その処分を行う決定

団体規制法26条(観察処分の期間の更新の手続)の定め
団体規制法26条1項の定め
団体規制法26条1項は,公安調査庁長官は,団体規制法12条1項後段
の処分の請求をするときは,更新の理由となる事実その他公安審査委員会規則で定める事項を記載した請求書を公安審査委員会に提出して行わなければならない旨を定めている。

団体規制法26条3項の定め
団体規制法26条3項は,公安審査委員会は,同条1項の請求があったと
きは,当該団体に対し,意見陳述の機会を付与しなければならず(前段),この場合において,意見陳述は,陳述書及び証拠書類等を提出して行うものとする(後段)旨を定めている。

団体規制法26条4項の定め
団体規制法26条4項柱書きは,公安審査委員会は,同条3項の陳述書の提出期限の7日前までに,当該団体に対し,次に掲げる事項を通知しなければならない旨を定めている。
1号

更新が予定される処分の内容及び更新の根拠となる法令の条項

2号

更新の理由となる事実

3号

(略)


団体規制法26条5項の定め
団体規制法26条5項は,
団体規制法17条2項及び3項並びに18条の
規定は,期間の更新に対する意見陳述について準用し(前段),この場合において,団体規制法17条2項中前項とあり,及び団体規制法18条1項中前条第一項とあるのは第二十六条第四項と,同項中同条第二項後段とあるのは第二十六条第五項において準用する第十七条第二項後段と読み替えるものとする(後段)旨を定めている。オ
団体規制法26条6項の定め
団体規制法26条6項は,
団体規制法22条1項及び23条から25条ま
での規定は,
公安審査委員会が行う期間の更新の決定について準用し
(前段)

この場合において,団体規制法23条中前条第一項の決定とあり,並び
に団体規制法24条1項及び3項並びに25条中
第二十二条第一項の決定
とあるのは,
第二十六条第六項において準用する第二十二条第一項の決定
と読み替えるものとする(後段)旨を定めている。
2
破壊活動防止法(以下破防法という。)の定め

(1)

破防法4条(定義)1項の定め
破防法4条1項柱書きは,この法律で暴力主義的破壊活動とは,次に掲
げる行為をいう旨を定めている。
1号
2号
(略)
政治上の主義若しくは施策を推進し,支持し,又はこれに反対する目的
をもって,次に掲げる行為の一をなすこと。
イからホまで

(略)

刑法199条(殺人)に規定する行為

トからヌまで
(2)

(略)

破防法5条(団体活動の制限)1項柱書き本文の定め
破防法5条1項柱書き本文は,公安審査委員会は,団体の活動として暴力主
義的破壊活動を行った団体に対して,当該団体が継続又は反覆して将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があるときは,次に掲げる処分を行うことができる旨を定めている。
1号から3号まで

(3)

(略)

破防法7条(解散の指定)柱書きの定め
破防法7条柱書きは,公安審査委員会は,次に掲げる団体が継続又は反覆し
て将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があり,かつ,破防法5条1項の処分によっては,そのおそれを有効に除去することができないと認められるときは,当該団体に対して,解散の指定を行うことができる旨を定めている。
1号から3号まで
(4)

(略)

破防法11条(処分の請求)の定め
破防法11条は,破防法5条1項及び7条の処分は,公安調査庁長官の請求
があった場合にのみ行う旨を定めている。
(5)

破防法22条(公安審査委員会の決定)5項の定め
破防法22条5項柱書きは,公安審査委員会は,同条1項の規定による審査
の結果に基づいて,事件につき,次の区別に従い,決定をしなければならない旨を定めている。
1号
(略)

2号

処分の請求が理由がないときは,これを棄却する決定

3号(略)

以上
別紙5
争点に関する当事者の主張の要点

1
争点1(本案前の争点-本件行政訴訟部分の適法性(本件認定及び本件公示の処分性)
事案に鑑み,被告の主張の要点から先に記載する。
(被告の主張の要点)

(1)

行政事件訴訟法3条2項は,処分の取消しの訴えについて,行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為の取消しを求める訴訟をいうものと定義し
ているから,原告が取消しを求める行政庁の行為が上記にいう処分に該当しない場合には,当該処分の取消しの訴えは,訴訟要件を欠き,不適法なものとなる。
上記にいう処分とは,公権力の主体たる国又は公共団体が法令の規定に基づいて行う行為のうち,その行為によって直接国民の権利義務を形成し,又
はその範囲を確定することが法律上認められているものをいい(最高裁昭和39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁),行政庁の公権力の行使にかかわる行為であっても,国民の法律上の地位又は権利義務関係に何ら直接的な影響を及ぼすことのないものは,処分の取消しの訴えの対象となる処分には該当せず,行政機関相互間における行為は,その行為が,国
民に対する直接の関係において,その権利義務を形成し,又はその範囲を確定する効果を伴うものでない限りは,抗告訴訟の対象とならない(最高裁昭和34年1月29日第一小法廷判決・民集13巻1号32頁(以下最高裁昭和34年判決という。),最高裁昭和53年12月8日第二小法廷判決・民集32巻9号1617頁(以下最高裁昭和53年判決という。))。

(2)ア

本件認定は,公安調査庁長官が公安審査委員会に対して本団体の観察更新処分の請求をするに当たり,更新の理由となる事実として認定し,上記の請求に係る請求書に記載した行為であり,本件認定自体が直接国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものとはいえず,行政組織内の内部的行為にすぎないから,行政事件訴訟法3条2項にいう処分には該当しない。
イ(ア)原告は,本件認定によって,対外的にこの認定が新聞報道等により広く世間に広まり,事実として認知されてしまい,実態として役員などではないにもかかわらずそのような認定を受けることは,原告に対する名誉毀損となり,この不利益は,公安審査委員会の決定を待っていては救済を得ることができないなどとして,本件認定によって原告に対して対外的に
直ちに実質的な影響力が及ぶとの理解を前提に,本件認定が取消しの訴えの対象となる処分に該当する旨主張する。
しかし,原告が主張する不利益は,いずれも原告の名誉,信用等に対する事実上の影響力にすぎず,原告の権利義務関係に何ら直接的な影響を及ぼすものではないから,本件認定が取消しの訴えの対象である処分に
該当するということはできない。本件認定は,前記アのとおり,更新の理由となる事実を認定したという事実行為にすぎず,当然のことながら,本件認定によって原告が本団体の役員となるものではない。また,公安審査委員会は,公安調査庁長官から観察更新処分の請求を受けた場合に,公安調査庁長官とは独立した立場においてその要件該当性を判断するもので
あって,本件認定の内容に何ら拘束されないから,本件認定について,公定力又はこれに類似した対世的な通用力を観念することはできない。さらに,団体規制法は,公安調査庁長官による事実認定行為はもちろん,観察更新処分の請求自体についても,これを抗告訴訟の対象としていない。したがって,団体規制法が本件認定を抗告訴訟の対象としていないこと
は明らかであって,本件認定は行政事件訴訟法3条2項にいう処分には該当しないから,原告の主張は,失当である。
(イ)原告は,本件認定に威嚇的な効果等も事実上影響することは明らかであるとして,本件認定が行政事件訴訟法3条2項にいう処分に該当する旨主張する。
しかし,原告が指摘するところは,同法9条1項にいう法律上の利益である訴えの利益又は原告適格に影響することはあっても,取消訴訟の対
象である処分に該当するか否かには直接関係しない。
したがって,原告の主張は,失当である。
(3)ア

本件公示は,公安審査委員会が,団体規制法26条4項,5項,17条2項の規定に基づき,公安調査庁長官による本件更新請求における更新の理由となる事実を本団体に通知する事実行為にすぎず,直接国民の権利義務を形
成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものではない。したがって,本件公示は,行政事件訴訟法3条2項にいう処分には該当しない。

取消訴訟は,処分があったことを知った日から6か月を経過したときは,提起することができない(行政事件訴訟法14条1項本文)ところ,本件公
示がされたのが平成26年12月8日であり,原告が本件公示の取消しを求める請求の追加的併合を申し立てたのが,平成27年8月3日であるから,上記の追加的併合の申立ては,出訴期間を経過した後にされたものである。(4)
以上のとおり,本件行政訴訟部分は,不適法なものである。

(原告の主張の要点)
(1)ア(ア)行政機関の内部的行為が対外的に直ちに実質的な影響力を持ち,後続の正規の処分を待っていては実害の救済を全うし難いような特別の事情がある場合には,例外的に出訴が認められる場合があると解される。本件においても,本件認定によって,原告は,社会的には教団の幹部と
なってしまっており,本件認定が対外的には実質的な影響力を持ち,新聞報道等によって広く世間に広まって事実として認知されてしまうところ,これは原告に対する名誉毀損であり,この不利益は公安審査委員会の処分を待っていては,既成事実と化してしまい,実害の救済を得ることが難しいから,本件においては,公安審査委員会の処分を待っていては実害の救済を全うし難い特別の事情があるということができる。このことは,①公安審査委員会がした観察更新処分においては,本件認定の当否は全く触れるところがなく(乙7),本件認定自体を争うことが必要であること,②本件認定をそのままにしておけば,本団体,b及びfの危険性が
本件更新請求の中で認定されることにより,原告も団体規制法にいう危険性を有することになってしまい,原告の名誉を侵害することが明らかであ
ること,③原告が立入検査等の団体規制法上必要な調査を受ける可能性があること,④原告が公安審査委員会の決定に先立って意見を述べる機会を付与されていないこと,⑤原告がbと対立関係にある以上,b又は本団体が,原告が団体規制法5条1項3号にいう役員に該当しないことを主張して何らかの法的手段を執ることが期待できないことからも裏付けら
れる。
(イ)行政庁の行為がそれ自体は直接法的効果を伴わないものであっても,その威嚇的な効果等の事実上の影響により当事者又は第三者に実質的な危害を及ぼすものであるときは,先験的に訴訟の対象性を否定すべきではないところ,原告が本団体の役員であるとの認定が仮に直接的効果を伴わない
ものであっても威嚇的な効果等も事実上影響することが明らかであり,本件認定が原告の名誉を著しく害しており,本団体の役員ではないにもかかわらず,役員であると事実上思われてしまうという不利益が生ずるから,本件認定には処分性があるといえる。
イ(ア)最高裁昭和34年判決,最高裁昭和53年判決においては,行政組織の
内部的行為という用語は用いられておらず,上記の判例が被告の主張に沿う旨の指摘は誤りである。また,被告が主張する行政組織と判例にいう行政機関との関係並びに内部的行為の意味及び判例にいう行政機関相互間における行為との関係も不明である。このように,用語の使い方もままならずに訴えの却下を主張するのは,失当である。また,被告が主張する行政組織内の内部的行為という概念は,行政組織も
内部的行為も,いずれも曖昧な概念であって,その定義いかんによっては,全ての行政処分又は行政行為が行政訴訟の対象から外れることにもなりかねず,判例においても用いられていない概念によって行政事件訴訟法3条2項にいう処分に該当しないとすることは,誤りである。
最高裁昭和34年判決,最高裁昭和53年判決には,多くの批判が寄せ
られており,いかなる場合に判例がいう行政機関相互の行為に該当するのかを具体的に検討することが必要であって,本件においては,公安調査庁長官及び公安審査委員会がどういう法的性格を有するか,本件認定の法的性質,本件公示の位置付け等の問題を具体的に解決しない限り,本件認定が行政事件訴訟法3条2項にいう処分に該当しないということは
できない。
公安調査庁と公安審査委員会は,いずれも行政機関ではあるが,その仕組みも役割も異なるから,仕組みも役割も異なる行政機関を単純に相互の関係と言い切ってしまうことは適切ではないし,それぞれの行政機関が当該行政機関外に出す意思表示が全く意味を持たず,行政機関相互のいわゆ
る内部の問題であるということもできない。そして,仮に,行政機関相互の関係と捉えたとしても,それ故に行政処分ではなく取消訴訟の対象とはならないという論理必然性もない。
(イ)被告は,行政組織内の内部的行為は,その行為が直接国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものでない
場合,行政事件訴訟法3条2項にいう処分に当たらない旨主張する。しかし,本件認定は,認定の結果を外部に表示しており,行政組織内の内部行為とはいえない。また,本件公表により,本件認定は,対外的に直ちに実質的な影響力を持ち,最終的な公安審査委員会の決定を待っていては実害の救済を全うすることができないという特別の事情があるといえる。さらに,本件認定は,原告の名誉に対する不利益処分であるにもかかわらず,意見を述べる機会もなかったから,これを争わせるべきであり,そのような立場に沿う裁判例も存する。
したがって,被告の主張は,失当である。
(2)ア(ア)観察更新処分の請求が告示されることにより,請求の対象となった団体には,団体規制法26条3項に規定する意見陳述の機会が付与されるとい
う法律効果が生ずるところ,本団体の役員であるとの本件認定を受けた原告には意見陳述の機会が付与されないから,原告に対し,本件公示がされた段階で,原告の本件認定又は本件公示を争う機会を付与しなければ,原告に生じた名誉侵害を救済することができず,意見陳述の機会が付与されないままに団体の役員であると認定されることにもなる。また,本件公示
は,公安調査庁長官が,原告が正大師の位階にあり,法皇官房大臣であったとの事実を認定し,外部に対して意思表示をしているとともに,原告がbの幹部構成員等と連絡を取りながら,bの活動方針等の重要事
項の意思決定に関与しており,現在も本団体の役員であると認められたとの意思を原告に表示しているから,本件公示は,その内容が国民の具体的
な権利若しくは義務又は法律上の利益に重大な関わりを持ち,かつ,その影響が単に行政組織の内部関係にとどまらず外部にも及び,国民の具体的な権利若しくは義務又は法律上の利益に変動を来し,告示そのものを争わせなければその権利救済を全からしめることができないような特殊例外的な場合に当たるというべきである。

(イ)本件公示は,不特定多数に対して向けられたものではあるが,実質的には本団体に対して向けられており,その適用要件を満たすかどうかの対象として原告が指摘されているから,原告に対しても向けられたものと解すべきであり,特定人に対する個別的処分として,抗告訴訟の対象となるということができる。仮に,それが認定されることになれば,原告の住居は立入検査の対象となり,
これを拒否すれば刑事罰の対象となるから,
正に,
原告に対する不利益処分であるといえる。


判例(最高裁昭和61年2月24日第二小法廷判決・民集40巻1号69頁)は,訴えの変更は,変更後の新請求については新たな訴えの提起にほかならないから,上記の訴えにつき出訴期間の制限がある場合には,行政事件訴訟法20条のような特別の規定のない限り,上記の出訴期間の遵守の有無は,変更前後の請求の間に訴訟物の同一性が認められるとき,又は両者の間
に存する関係から,変更後の新請求に係る訴えを当初の訴えの提起の時に提起されたものと同視し,出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情があるときを除き,上記の訴えの変更の時を基準としてこれを決しなければならないとしているところ,本件においても,原告は,当初の訴えの提起の当時においても,公安調査庁長官の処分に対する不服の表明
にとどまらず,将来行われるべき公安審査委員会による当該内容を有する告示に対する不服を表明する意思を含む主張をしていたから,実質的には,公安調査庁長官の認定処分に対する取消訴訟提起の時に既に告示も取消訴訟の対象とする旨の意思が表明されていたものと解することができ,上記の判例の判示するところによれば,本件公示の取消しの訴えは,出訴期間を経過し
た後に提起されたものということはできないのであり,これに反する被告の主張は,失当である。
(3)
2
以上のとおり,本件行政訴訟部分は,適法なものである。
争点2(本案の争点-公安調査庁長官がした本件認定及び本件公表の違法性)事案に鑑み,被告の主張の要点から先に記載する。

(被告の主張の要点)
(1)

国家賠償法1条1項にいう違法の意味

国家賠償法1条1項にいう違法とは,国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背することをいうところ(最高裁昭和60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号1512頁,最高裁平成17年9月14日大法廷判決・民集59巻
7号2087頁),その違法性を判断するに当たっては,当該公務員が,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく,漫然と当該行為をしたと認め得るような事情がある場合に限り,違法の評価を受けるものと解するのが相当である(最高裁平成5年3月11日第一小法廷判決・民集47巻4号2863頁,最高裁平成11年1月21日第一小法廷判決・裁判集民事191
号127頁)。

本件認定については,仮に,公安調査庁長官が本件更新請求において公安審査委員会に対して提出した文書に真実とは異なる事実が摘示されていたとしても,そのことから直ちに,国家賠償法1条1項にいう違法があった
との評価を受けるものではなく,公安調査庁長官が資料を収集し,これに基づいて観察更新請求の理由となった事実を認定し,判断する上において,職務上尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と観察更新請求をしたと認め得るような事情がある場合に限り,国家賠償法1条1項にいう違法があるとの評価を受けるものと認めるのが相当である。

また,公務員による報道機関に対する公表行為については,不必要又は不相当に他人の信用や経済的利益を侵害した場合に初めて違法と評価されるべきであるから,本件公表については,仮に,公安調査庁長官が報道機関に対して公表した事実に真実とは異なるものが摘示され,信用毀損や経済的利益の侵害の結果が生じたとしても,そのことから直ちに,国家賠償法1条1項
にいう違法があったとの評価を受けるものではなく,公安調査庁長官が,職務上尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と真実とは異なる事実を公表したと認め得るような事情がある場合に限り,国家賠償法1条1項にいう違法があるとの評価を受けるものと認めるのが相当である。
(2)

本件認定が国家賠償法1条1項にいう違法なものとはいえないこと次のとおり,原告が本団体の役員に該当すると認定することができる上,公
安調査庁長官は,公安調査官らが収集した具体的な証拠に基づいて,原告が本団体の役員であると判断し,その旨の認定をしたものであり,本件認定において,職務上尽くすべき注意義務を尽くしたといえるから,本件認定が,国家賠償法1条1項の適用上違法と評価されることはない。
なお,公安調査庁長官が,本件更新請求において,初めて原告を本団体の役
員であるとして観察更新請求をしたのは,次のような経緯によるものである。すなわち,公安調査庁長官は,本件観察処分の請求時である平成11年12月の時点では,
原告の本団体への関与の実態に関する証拠を有しておらず,
かつ,
本件観察処分の請求時における原告の本団体への関与の実態も解明することができていなかったことから,同年当時の証拠関係を前提とすると,原告につい
ては,年齢の点もあって,実質的な役員としての任務を果たしていたとは認め難いとの判断をしていた(甲92)。もっとも,その後の公安調査官の調査により,次第に両サリン事件後の原告の本団体への関与の実態について明らかとなったが,両サリン事件当時の原告の本団体への関与の実態を解明することができず,
原告を本団体の役員であるとの認定をすることを控えることが続いた。
更にその後,公安調査官の調査により,両サリン事件当時,原告が,法皇官房の責任者としてどのように本団体へ関与していたのかという実態が解明され,かつ,両サリン事件直後に開催された観念崩壊セミナーについて,原告が,これを主導して開催し,かつ,観念崩壊セミナーにおいて原告自らが修行の指導に当たっていたことなどの関与の実態も解明された。そして,本件更新請求に
先立つ公安調査官の調査により,原告が,平成25年末頃においても本団体の祭事の実施に携わっていた上,その頃から平成26年にかけてウとオとの間の次男(以下次男という。ただし,証拠の内容の引用をする際には二男と表記することがある。)がbに復帰することに反対し,自らの意向に従うようbの幹部構成員らに圧力を加えるなどしている事実も明らかとなったことから,本件更新請求において,原告を本団体の役員であると認定するに至ったものである。このように,平成11年当時と本件更新請求当時とでは,証拠関係が異なるものであり,その間に不合理な矛盾はない。
ア(ア)団体規制法5条1項3号にいう
団体の意思決定に関与し得る者
とは,
団体の意思決定に実質的に関与し得る者をいい,必ずしも形式的な地位として役員とされている必要はない。また,同号にいう当該団体の事務に従事するものとは,当該団体の活動に必要な各種の事務に携わることを意味する。
本団体については,団体としての運営に携わる本団体の幹部,事務統括者等といった人事又は団体の運営方針の決定に実質的に関与し得る立場にある者はもとより,いかなる者をaの教義の修得者として認定するか否
か,誰をウの後継者とするか,ウの影響力を前面に出すか否かなどといった事項の決定に実質的に関与し得る立場にある者も,同号にいう団体の意思決定に関与し得る者に該当するといえる。また,団体の活動資金の獲得,資産管理に関する事務,役職員の人事管理に関する事務等の組織の運営に関する事務についてはもちろんのこと,構成員におけるaの教義に
基づく修行の達成度合いを見極めるなどのaの教義を広めてこれを実現することに直結する事務又は本団体の教祖若しくは帰依の対象等を決定することに関与することも同号にいう当該団体の事務に従事するものに該当するといえる。
(イ)原告は,本件観察処分の取消訴訟についての第一審判決が,団体規制法
5条1項各号について,当該団体が再び無差別大量殺人行為の準備行為を開始するとの具体的危険性を要求する趣旨の規定であると解釈し,同項3号の役員について,単に当該団体において役員としての地位を有しているだけでは足りず,再びウの指示により,又はその指示とは無関係に無差別大量殺人行為の準備行為に着手し得る権限又は影響力を伴った地位を有することが必要であると解すべきである旨の判示をしたことを挙げ,同号の役員は,無差別大量殺人行為に結びつく具体的危険性を備えていることをも要件としていると解すべきである旨主張する。
しかし,無差別大量殺人行為の特質の一つは,秘密裏に計画及び準備されて実行に移されるため,犯行の事前把握が極めて困難であって,外部から,当該団体が再び無差別大量殺人行為に及ぶという危険を具体的に把握
又は確認することができたときには,既に当該団体内部においては,相当程度の準備が完了し,無差別大量殺人行為に容易に着手することができる状態にあるものと考えられ,この段階において観察処分に付し,その活動状況を明らかにするために必要な措置を講じたとしても,無差別大量殺人行為の再発を未然に防止し,国民の生活の平穏を含む公共の安全の確保を
図るという団体規制法の目的が達成されないことは明らかである。また,本件観察処分についてされた観察更新処分の取消訴訟についての累次の下級審判決が,いずれも,団体規制法5条1項各号について,無差別大量殺人行為に結びつく具体的危険性の存在をも要件としているとは解釈できない旨を明確に判示し,本件観察処分の取消訴訟についての第一審判決
の解釈を明確に否定している。
したがって,原告の主張は,失当である。
イ(ア)本団体の教義は,衆生を最速で救済し最終解脱に導くには,教祖であるウをイ又はグル(指導者又は尊師という意味。以下同じ。)と尊
称して,ウに絶対的に帰依する必要があり,そのためには五仏の法則
(アクショーブヤの法則(悪業を積んでいる魂は早く命を絶つべきであるとされるもの),アモーガシッディの法則(真理の実践を行う者にとっては結果が第一であり,結果のためには手段を選ばないとされるもの)等)の規範に従い,目的のためには手段を選ばず,殺人を行うこともマハームドラーの修行(ウが弟子の一人一人の煩悩の特質を見抜いて特別な課題及び試練を与え,それを弟子に取り組ませることによって,自己の意思を捨て,絶対的な存在であるウと全く同じものの考えや見方をさせることとされる修行。なお,マハームドラーの修行(ジュニアーナ・ヨーガともいわれる。以下同じ。)を成就したと,ウから認定を受けると,正悟師の位階にあるものと認定されることになる。以下同じ。)として正当化されるというものである。

(イ)ウは,昭和62年7月頃,ウ以外の本団体の構成員について,教団教義を信奉しウの承認を受けた者である信徒と,信徒のうち信徒を正しく指導することができるとウが承認した者である
大師
に二分化し,
位階
(ス
テージ)制度を創始した。そして,ウは,自らが最終解脱者としてその頂点にあるものとした上で,上位の位階にある者の指示には従うよう本団体
の構成員に上命下服を求めており,現在に至るまで,本団体内においては上命下服を求める位階
(ステージ)
制度が当然なものとして浸透している。
(ウ)aウは,ウの子女の位階については,他の構成員よりも上位としていたところ,昭和63年頃には,原告を後継者に指名した上,同年12月頃には,原告を本団体の構成員の中で最も早く大乗のヨーガを成就したものと認定し,本団体の幹部を紹介した本団体が作成した書籍(乙9)に
おいても,原告については,

正大師と表記されて紹介されているが,

原告の姉2名については,それぞれのホーリーネームが単に記載されているのみであって,原告の位階は,原告の姉2名よりも上位にあるものとされていた。
b
ウは,平成5年1月1日付けの説法において,ウとオとの間の四女(以下四女という。)について,
正大師(原告)より霊性が高い旨を

述べたり,遅くとも平成6年12月頃,長男及び次男がいずれも最終解脱者であると認定した旨の発言をしたり,平成8年6月21日,ケを通じて,長男及び次男を本団体の教祖とする旨の意思表示をしたりしている。
しかし,他方で,ウは,①原告を法皇官房大臣に任命する一方で,ウ
とオとの間の長女(以下長女という。)を特別重要な役割を持たない部門(流通監視省とされる部門)の責任者に任命したほかは,他の子女(二女,四女,長男及び次男)の誰も本団体の部門の責任者に任命せず,②平成8年6月に本団体の意思決定機関として長老部を発足させるよう指示した際,その座長に原告を任命し,③本団体に危険性がな
い旨を仮装して破防法7条に基づく処分を免れるため,長男及び次男を本団体の教祖としている。
c
オは,原告が大乗のヨーガを成就したと認定されてから約2年7か月後である平成3年7月,ウから,大乗のヨーガを成就したと認定されて正大師の位階を与えられ,原告と形式的には同格となったが,本団体に
おいては,ウの子女がその他の構成員よりも位階が上位にあるものとされており,本団体の複数の構成員らも,原告がオよりも上位にある旨の認識を述べている。
d
前記aからcまでのとおり,原告の本団体における地位は,形式的には,四女,長男及び次男に次ぐものとされたものの,実質的には,ウに
次ぐ地位にあるものとして扱われ,
オより上位にあるものとされていた。

団体規制法にいう団体とは,

特定の共同目的を達成するための多数人の継続的結合体又はその連合体をいう。

とされているところ(団体規制法4条2項本文),本団体における特定の共同目的は,ウを教祖及び創
始者とするaの教義を広め,これを実現することである。
本団体のうちbは,各修行を実践してウの意思を実現することが重要であって,それがウに対する真の帰依であるとの観点から,ウを前面に出した活動がウの意思にかなうとして,ウに対する絶対的帰依を明示的に強調して活動している。他方,fは,従来の活動形態を変更してでもウの意思を実現することこそがウに対する真の帰依であるとの信念に基づき,ウが,かねて教団の維持及び発展のためにウの影響力を隠した別団体を組織して役割分担をしながら活動することを求めていたことに鑑み,ウの意思の実現のためには別団体を組織することによってウの意思の実現の障害となる観察処分又は観察更新処分を免れることが必要であるとの認識から,真実は,ウに絶対的に帰依し,その教義を広め,ウの意思を実現することを目的としながら,
外形上,ウの影響力を払拭したかのように装う工作を殊更に展開している。このように,b又はfの名称を用いて活動する本団体の内部組織は,ウの意思の捉え方や目的実現のための活動方針の違いから,必ずしも活動形態は一様ではないものの,いずれも,ウの説く教義を根本とし,ウに対する絶対的な帰依を培いつつ,
それぞれが構成員の勧誘活動を行って布教に取り組み,

最終目的であるウが説く衆生救済の実現に向けた活動を行っているものと認められる。また,本団体には,人権救済基金と称する組織等,かつて宗教法人a又はeに所属して活動していた者で構成され,現在は本団体の中心的な内部組織であるb又はfと形式的に一定の距離を置いて活動する内部組織も存在し,これらの組織の活動形態は,b又はfとは若干の差異があ
るが,これらの組織は,b又はfから独立した組織とは認められず,b又はfと同様,ウを絶対的な帰依の対象としてウが確立した修行を継続し,ウの説く教義を広めてこれを実現することを目的として活動しているものと認められる。
なお,公安審査委員会も,本団体については,b及びfを中心的な内部組
織とする一つの団体と捉えた上で,本団体について,平成21年1月23日に3回目の観察更新処分を,平成24年1月23日に4回目の観察更新処分をそれぞれしている。
エ(ア)原告は,平成2年12月,ウから,ウに次ぐ位階である正大師の位階にある旨の認定を受けたところ,平成7年3月当時において,本団体の構成員のうち正大師の位階にあったのは,原告を含め5名のみであった。また,本団体においては,平成6年6月頃,省庁制とされる組織が構築され,それぞれの部門の長には,正大師,正悟師等のaにおける高位の位階にある者が就き,各省庁とされる部門の長は,当該部門に属する者の人事,担当業務に関する決定権等を付与され,担当業務に主体的に関与することが可能な地位及び権限を有していたところ,原告は,
イニシエーションの実施,他の部門(省庁)への連絡,信徒のとりまとめ等の業務を担当する部門である法皇官房の長である法皇官房大臣に就き,法皇官房の業務を統括する権限を与えられていた。そして,原告は,実質的にウに次ぐ地位にあることを前提に,その発言は,構成員に命令として受け取られ,ウ及び他の部門の責任者で構成される大臣会議
とされる会議に参加し,法皇官房の業務について,ウから直接指示を受けたり,法皇官房に所属する者から業務の報告を受けたりしていただけでなく,構成員の位階の認定に関与したり,人事に関してウに提言したりすることもしていた。
このように,原告は,本団体において正大師という高い位階を有し,
ウの下,本団体を運営するために設置された機構の責任者にも就任していたから,無差別大量殺人行為(両サリン事件)が行われた時に本団体の意思決定に関与し得る立場にあり,本団体の事務に従事するものであったことは明らかであり,本団体の役員であったと認められる。
(イ)a原告は,両サリン事件当時,小学校にも通学していない11歳であ
り,法皇官房の責任者として行っていたことは,ウの介助と本団体の構成員のために購入する長袖Tシャツを選定したことぐらいであって,重要な業務を統括する又は意思決定をすることに関する経験も能力もなく,実際に法皇官房の業務を統括したり,意思決定に関与したりすることはなかった旨主張する。
しかし,原告がしていたことは,前記(ア)のとおりであり,原告の主張はその前提を異にするものである。

b
原告は,ト(以下トということがある。なお,本団体における位
階は,愛師である。)が,fのウェブサイト上に,三女(原告)のためとか他の信者のためというよりも,自己存在価値を高めるために三女を利用している状態だといえますとの記述をしたとして,原告がトらによって利用された道具にすぎず,観念崩壊セミナーも,トに勧められ
て行ったもので,実質的にはトが主導して行ったものであるから,原告が本団体の役員であるという実態はなかった旨主張する。
しかし,トは,原告がウに次ぐ後継者であることを前提として,トの心的状態を上記のように記述したのであり,原告がウに次ぐ後継者であることを否定しておらず,むしろ,ウに次ぐ地位にある原告の指示に盲
従することによって,ト自身の存在価値を高めていた旨を記述したものであるといえる。また,fのホームページには,トを含む観念崩壊セミナーに参加した者4名の体験談が掲載されているが,
これらの者は全員,
観念崩壊セミナーにおいて,原告が自ら構成員の修行を指導していたとしている。さらに,サも,本団体が管理するいわゆる電子掲示板におい
て,原告が観念崩壊セミナーを主導した旨の指摘をしている。
以上によれば,原告の主張は,理由がなく,失当である。

次のとおり,原告は,本団体の組織運営に関する意思決定に直接関与し得る者であり,現在も,本団体の事務に従事する本団体の役員であると認めら
れる。
(ア)原告は,平成8年夏頃から初冬頃までの間,山梨県内にある本団体が管理していた施設において,公安調査庁長官がした破防法7条に基づく解散の指定の処分の請求に動揺する本団体の構成員を引き締めるため,観念崩壊セミナーを開催する必要があると判断してこれを開催することを決め,観念崩壊セミナーの企画立案及び修行の指導もするなど,観念崩壊セミナーを主導的に開催した。
(イ)原告は,平成8年から平成9年にかけて,本団体が管理していた福岡県内の施設において,ウが乗り移ったと称する構成員が出現した際,本団体の引き締めを図るため,同構成員を本団体から排除するとともに,これに同調したその他の構成員に対して指導も行った。

(ウ)原告は,遅くとも平成11年頃までには,お供物(本団体において,ウが唱えるマントラ(真言という呪文のようなもの。以下同じ。)を電気信号に変換したデータが流されているとされる電気コードを巻いた枠内に食品等を一定期間保管する旨の儀式(修法と称する儀式。以下同じ。)を施した食品のことである。修法が施された食品がお供物と呼ばれていた
か否かについては,当事者の間に争いはあるが,以下においては,修法が施された食品をお供物と呼称することとする。)を変更し,粉末食品を固めた錠剤をお供物に加えるよう指示した。
(エ)原告は,平成11年から平成12年にかけて,長女と対立し,長女が茨城県内にある本団体の施設に長男とともに移ったところ,長男を奪還して
最終解脱者とされる長男の権威も利用することにより,実質的にウに次ぐ地位にあることを維持し,本団体の運営に優越的に携わろうと考え,平成12年1月21日,二女及び支援者4名とともに,上記の茨城県内の施設に赴いて長女に対し,長男の引渡しを要求したもののこれを拒否されたため,長女の支援者と思われる者に暴行を加えて長男を連れ去った。なお,
原告は,同年2月19日,住居侵入罪の被疑事実により逮捕され,同年4月4日,住居侵入の非行事実により,保護観察処分を受けた。
(オ)原告は,平成14年頃,マ(以下マということがある。)及びホ(以下ホということがある。)が,師の位階を成就した旨の認定に関与した。師は,本団体において構成員を指導することができる本団体の幹部の地位であり,従来,師の位階を成就した旨の認定をすることは,ウの専権事項とされていたものである。
(カ)原告は,オが,平成14年10月以降,本団体の運営について,ウを前面に出してウに対する絶対的な帰依を強調すべきであるとして,ウ及びその家族の関与を隠蔽して本団体に対するウの影響力が払拭されたかのように装う工作(以下イ隠しということがある。)を推進していたキのや
り方に真っ向から反対し,
原告も,
前記(オ)のホの師の位階を成就した旨の
認定を巡ってキと確執を生じていたことから,オと共同歩調をとり,平成15年6月頃,キを本団体の運営から排除するため,本団体の幹部構成員の説得に当たったり,自己が本団体においてウに次ぐ地位にあることを利用してキに本団体の運営から退くように強く迫ったり,キを軟禁状態にお
いて行動を監視したりするなどの積極的な行動をし,キを本団体の運営から排除すること(以下キ外しということがある。)を主導した。
(キ)a原告は,平成15年7月頃,①活動資金の獲得に成果を上げた構成員に対して飴のイニシエーションと称する普通の甘露飴に原告が修法を施したものを授ける儀式をすること,②参加費を徴収してヨーガ行法
のセミナーを開催し,その中で,法輪のイニシエーションとされるイニシエーション,お供物の一種であるタンとされるもの,甘露水(修法を施した水。以下同じ。)等を授けること,③参加費を徴収して修行を集中的に取り組む行事を開催すること及び④高額の金銭を徴収してより長時間修法を施した甘露水を授与する儀式を開催することを
指示した。
また,原告は,平成15年9月25日から同年10月2日にかけて,コとメールのやり取りをし,年末年始のセミナーの企画について指示するなどした。
b
原告は,平成15年8月から同年9月にかけて,コら本団体の運営を担当していた正悟師に対し,師クラスの幹部構成員に対して厳しい修行
を課すように指示し,修行の内容を具体的に指示したり,その結果の報告を受けたりするなどした。
また,原告は,平成15年頃,コら本団体の運営を担当していた正悟師に対してキに近い構成員の行為を牽制するよう指示したり,キが位階を与えようとしていた構成員に対して位階を受けることを断念するよう
説得したり,コら本団体の運営を担当していた正悟師に対して他の者に対して位階を与えたい旨の意思を示したりしていた。
(ク)キは,平成16年11月頃,再び,本団体の運営に関与するようになり,イ隠しを推進しようとしたため,本団体内部で,イ隠しに賛同する構成員(キのホーリーネーム(

)の頭文字をとってM派,キ派,代表派などと

呼ばれていた。以下同じ。)とイ隠しに反対する構成員(イ隠しに反対する急先鋒であった原告のホーリーネーム(

)の頭文字をとってA派と呼

ばれていた。以下同じ。)との間で対立が生ずる状態となったところ,これを収拾するために原告よりも霊性が高いとされた四女(前記イ(ウ)b参照)を本団体に入れて,本団体の事務を統括する立場にする又はその運営に関わる幹部とする動きが生じ,ケ等の一部の幹部構成員の支持も得た。原告及びオは,長男及び次男が四女が本団体の運営に関与することに反対している旨を述べた録音を用意して長男及び次男の権威を利用し,本団体の幹部構成員を説得するなどして,四女が本団体の運営に関与することを阻止し,本団体における地位及び影響力を維持しようとした。

(ケ)a原告及びオは,平成16年7月頃,マスコミ取材の対応や本団体の教義に関してヒ(以下ヒということがある。なお,本団体における位階は正悟師である。)と対立したことから,平成17年6月頃,ヒを正悟師会合の構成員から除外した。
b
原告及びオは,平成17年12月頃,コを本団体の運営から外すようスを通じて指示し,コを正悟師会合の構成員から除外した。

c
原告及びオは,ケが前記(ク)において四女が本団体の運営に関与することに賛成したことを理由として,平成18年3月頃,ケを正悟師会合の構成員から除外した。

(コ)原告は,複数の正悟師を本団体の運営から排除した後も,次のとおり,本団体の幹部構成員を通じるなどして,本団体の運営に継続的に携わっていた。
a原告は,平成20年3月頃,スから,本件文書の送付を受け,本団体の運営に関して意見を求められるなど,本団体の運営に関与していた。b
原告は,平成21年7月頃,スを通じて本団体への復帰を希望していたム(以下ムということがある。なお,本団体における位階は,正悟師である。)について,その復帰を認めない意向をムに伝え,現在に
至るまで,ムは,本団体に復帰することができないままとなっている。c
原告は,平成25年末に死亡した構成員の転生祭(ウ又は正悟師
以上の位階にある者の力によって死者の魂を高い世界に引き上げ,転生先を確定させる儀式のこと。以下同じ。)の実施に関し,サと連絡を取
りあっていた。
(サ)原告は,次のとおり,次男が本団体の運営に関わることを阻止することにより,自己の本団体における地位及び影響力を維持しようとした。aオは,平成25年10月以降,次男をbの活動にかかわらせようとする動きを始めたところ,原告は,これに反対し,同年末から平成26年
1月にかけて,bの幹部構成員であるチを通じて,bの意思決定機関である合同会議を構成する幹部構成員と面談したり,bの幹部構成員であるチに対して本件各手紙を出したりして,次男を本団体に復帰させることに反対である旨の自身の意思を伝達し,次男の復帰が行われないよう働きかけ,実際に,合同会議の席上において,本件各手紙が,bの幹部構成員であるチによって読み上げられている。
b
原告は,長年にわたって,本団体の元構成員から献金される多額の金員を管理し,オ,長男及び次男の生活費等にもそれが充てられていたところ,平成26年頃,自己の意向に反する行動をとるようになったオ及び次男に対し,上記の金員を交付しないようになった。


次のとおり,原告は,本団体の組織運営に関する意思決定に直接関与し得る者であり,現在も,本団体の事務に従事する本団体の役員であるとの被告の主張に対する原告の反論は,理由がない。
(ア)a原告は,被告が提出した証拠のうち供述証拠について,①供述者の氏名等が黒塗りにされて秘匿されており,供述者が真実存在するのかさえ確認することができない,②供述を録取した公安調査官の所属も黒塗り
にされて秘匿されているなどとして,それらの証拠は信用性がない旨主張する。
しかし,供述者の氏名等の供述者を識別し得る情報を秘匿するのは,供述者の生命,身体,財産等の安全を保護するためのやむを得ない措置であり,供述を録取した公安調査官の所属を秘匿するのも同一の趣旨に
出たものである。また,本団体は,構成員や団体の管理下にある施設又は資産の一部を殊更報告書に記載しないなど不正確な報告を繰り返したり,団体の活動に関する不動産の賃貸借契約,海外への構成員の派遣等についての意思決定の内容を報告しないなど,報告の義務の懈怠を繰り返したりしているほか,本団体の構成員が,公安調査官が来訪を告げて
から十数分以上経ってようやく出入口の開扉に応じたり,公安調査官の質問に対して

答える義務はありません。

などと述べたり,公安調査官の質問を無視したり,検査対象となるパソコンの電源を切ったり,団体施設において作成した検査対象となる会計帳簿のデータを当該施設外に移動して意図的に消去して立入検査時における検査を不可能にしたりするなどの立入検査の実効性を損なわせる行為を繰り返しており,教団報告の聴取及び立入検査だけでは,到底,その活動状況を明らかにでき
ないのが現状である。
結局,
本団体の活動状況を明らかにするためには,
団体内部の構成員と信頼関係を築いた上で,当該構成員から活動状況を聴取するほかなく,このような調査手法が本団体の真の活動状況を明らかにするための最も重要かつ効果的な手法となっている。このような団体内部の協力者等の氏名等が明らかとなった場合には,本団体が更なる
情報提供を遮断するためにその者に対して圧力を加えるおそれがあり,実際に,本団体は,組織的に公安調査官に情報提供を行う団体内部の構成員のあぶり出しに努めるとともに,公安調査官に情報提供をしないよう構成員に厳命しているところであるから,本団体にこのような団体内部の協力者等の氏名が把握されることとなれば,本団体の真の活動状況
を明らかにすることは到底できなくなる。
したがって,供述者の氏名等を秘匿することは,団体規制法に基づいて本団体の真の活動状況を明らかにするために必要不可欠でやむを得ない措置であって,氏名等が秘匿されている一事をもって直ちに,被告が提出した供述証拠全般の信用性が減殺されるものではない。

b
原告は,被告が提出した証拠のうち供述証拠について,①上記の供述証拠には,伝聞情報や推測が含まれている,②公安調査官が供述者に対して多額の金品を提供しているなどとして,それらの証拠は信用性がない旨主張する。

しかし,公安調査官の主な調査手法は,団体内部の協力者等からの供述を録取することもあり,これら協力者等からの供述はおのずと伝聞情報となるのであって,伝聞情報であるという一事をもって直ちに,被告が提出した供述証拠全般の信用性が減殺されるものではない。また,公安調査官には,直接強制力を伴う調査権は認められておらず,団体内部の協力者等から任意に情報収集を行うなどのいわゆる人的情報収集が必要不可欠であるところ,発言者に対する金品の提供については,公安調査官の調査に協力した者に対して実費の弁償に加えて社会通念上相当と認められる範囲内で謝礼又は報酬を提供する場合があるにすぎず,仮に,
金品の提供がされたとしても,その一事をもって直ちに,被告が提出した供述証拠全般の信用性が減殺されるものではない。

(イ)原告は,皇子は,単に,ウの子女であることを示す呼称にすぎず,宗教上の段階を示す位階ではなく,実際に,原告を含むウの子女の位階も,皇子であることを理由に他の構成員よりも上位とされていたものではない,本団体が位階の正式名称として皇子を挙げ,それに原告も含めて
いたことについては原告は何も知らされていないなどと主張する。
しかし,①ウは,平成7年3月17日付けで,皇子のステージをサマナの全ステージの上に置くものとする旨の本件通知を発出したこと,②原告,長男及び次男は,いずれも青紫色のクルタ(師以上の位階にある者が身につけられる衣服であって,位階に応じて色が異なるものである。以下同じ。)を身につけていたのに対し,ウの子女ではないク,キ及びオは,
いずれも青緑色のクルタを着用していたこと,③本団体が,平成12年3月に公安調査庁長官に対してした報告において,位階の正式名称欄に皇子,正悟師等と記載され,正式な位階として皇子が存在す
ることが明確にされ,原告を含むウの子女について,いずれも皇子として報告され,同様の報告が平成14年8月まで続いていたことに照らす
と,原告を含むウの子女の位階が他の構成員よりも上位とされていたことが明らかである。また,これに沿う被告が提出した供述証拠(乙45ないし47)が信用することができることも明らかである。
したがって,原告の主張は,失当である。
(ウ)a原告は,両サリン事件当時,11歳であったところ,①両サリン事件当時の原告の学力が低かったこと,②両サリン事件当時は周囲の構成員に支配されていたにすぎないことを指摘し,両サリン事件当時,本団体の役員としての能力を欠いていた旨主張する。
しかし,原告は,(あ)平成元年頃,五,六歳であったが,ウによって高く評価されるだけの論理的思考力や知力を有しているとされ,かつ,ウによって,本団体の構成員の成就の選別,本団体の構成員に対する指
導,本団体の構成員からの疑問への回答という本団体における事務を遂行することができるだけの能力を有するとされていたこと(乙10,166ないし169),(い)平成3年頃,七,八歳であったが,本団体の構成員に対する指導や回答を実際に行い,本団体の構成員に対してエネルギーを注入するとされる本団体の儀式(エンパワーメント及びシャク
ティーパットとそれぞれ呼称されるもの)及び本団体の構成員からの布施(献金)の徴収という本団体の事務に携わっており,それらを遂行する能力を有していたこと(乙170ないし173),(う)法皇官房大臣の地位にあった平成6年当時,本団体の構成員の成就に関与し,平成7年から平成8年にかけては,本団体の構成員らに修行等を促す指導をす
るとともに,本団体の構成員らを精神的に励ましていただけではなく,本団体においてウへの帰依を前面に出すという本団体の方針の決定にも関与し,破防法11条の請求(同法7条に基づく解散の指定の処分の請求)に係る手続においても,書面を提出するなどしており,本団体の存続のために重要な事務を行うとともに,その意思決定に実質的に関
与していたこと(甲23,67,乙46,53,55,56,78,174ないし176)に照らすと,原告が,両サリン事件当時,本団体の意思決定に関与し得る能力及びその事務に携わる能力を有していたことが優に認められる上,原告の陳述書(乙176)や原告の著書(甲59)の内容からしても,当時の原告の学力が著しく低いものであったとは考えられず,幼い頃からウの後継者候補としてウからの絶対的な庇護を受け,両サリン事件以降も他の本団体の構成員よりも上
位に位置付けられていた原告を他の本団体の構成員らが意のままに支配して操っていたとするのは余りにも不合理であって,両サリン事件当時に原告が他人から支配されて従属していたともうかがわれないから,原告の主張は,極めて不合理である。
したがって,原告の主張は,失当である。

b
原告は,①法皇官房大臣の地位はお飾りであり,ウ又は構成員が原告の発言を利用していたにすぎなかったこと,
②観念崩壊セミナーは,
トが企画立案し,師の位階にある者が中心となって指導したものであること,③異端と認めた本団体の構成員の排除を主導したのは,原告では
なくサであること,④緑の錠剤をお供物に加えるよう指示したのは原告ではないことを指摘し,両サリン事件当時,原告は本団体の運営には関与していなかった旨主張する。
しかし,上記の原告の主張は,次のとおり,失当である。
(a)前記a(あ)から(う)までの各事実に加え,原告は,(え)平成11年
までの間は,従前と同様に重大な教義上の問題に対応したり,本団体の構成員の現状に合わせて指導を行ったり,aの教義に沿った儀式を行うなどの事務を継続的に行っていたことが認められるところ,その間,原告の本団体内における地位や位階が実質的に変更された事情が見当たらないこと(乙79,80,176ないし181),(お)平成
12年以降においても,実際には,従前と同様の運営上の事柄について継続して関与していたこと(乙94,103,128,160,182,183)に照らすと,原告は,両サリン事件当時及びその直後にとどまらず,
その前後を通じ,
本団体としての教義の修得者の認定,
ウに影響が及ぶような重要な教義上の問題への対応,活動資金獲得等の本団体における意思決定に一貫して関与してきたと認められる。(b)原告は,法皇官房大臣の地位はお飾りであり,ウ又は構成員が原告の発言を利用していたにすぎない旨主張する。
しかし,原告が,本団体において,幼少期からウの意向によりウの後継者とされ,最も早く大乗のヨーガの成就を認定されて正大師の位階を受け,原告の発言がウや神々の発言と同じであると権威付けられ
てきたのであって,かつ,このことが本団体の構成員らにも良く浸透し,本団体の構成員らも原告に対して畏敬の念をもって接していたと認められることからすると,原告は,本団体における自らの立場や自らの言動が本団体の構成員らに与える影響を自覚又は認識していなかったとはおよそ考えられない。また,原告の主張を前提とすると,原
告が,構成員らの修行を促進するためにしたaの教義上の行為又は儀式について,本団体内の第三者が逐一原告にこれらの行為又は儀式をするように指示し,かつ,他の構成員らに違和感を感じさせないように振る舞いや発言内容を細かく指導していたことになるが,そのような事情や原告を徹底的にコントロールすることができる者の存在をう
かがわせる証拠もない。
したがって,原告の主張は,不合理である。
(c)原告は,観念崩壊セミナーは,トが企画立案し,師の位階にある者が中心となって指導したものである旨主張する。
しかし,
前記a(あ)から(う)まで及び前記b(a)(え)及び(お)の各事
実における原告の当時の言動や,原告が本団体においてウに次ぐ地位にあったことと,原告が能力的にトに利用されただけである旨の原告の主張は矛盾しているといえる。このことは,原告が,お知らせを出したらと述べたことを基にトが平成8年3月頃に金剛菩薩フォーラムという機関誌を発行した際,ケが原告の意向と合致していない旨を述べて同機関誌が同年7月に廃刊となった旨を主張しており,本団体においては,原告の意思が格別に尊重されていたと認められること(なお,このことは,スが,平成21年7月,原告の了解を得ていないムの考えを戒めていること(乙94)からも裏付けられる。)からも明らかである。
また,原告も,トから観念崩壊セミナーの必要性を説かれたこと,
観念崩壊セミナーの監督者からその修行の手法について説明を受けたこと自体は認めていることからすれば,トを含む他の本団体の構成員が原告に観念崩壊セミナーの開催及びその内容について理由及び趣旨を把握させようと努めていたといえる上,原告自身も認めるとおり,原告の希望で,観念崩壊セミナーの監督者になった者がいたり,修行
の内容が決められることもあったりしたことからすれば,原告が観念崩壊セミナーについて一定の決定権を持っていたことが認められるから,観念崩壊セミナーの開催及び内容の決定においては,トの意思ではなく原告の意思が重要な意味を持っていたことが明らかである。なお,原告の主張に沿うと思われる部分のあるブログ(甲23,5
4)は,他の部分においては,観念崩壊セミナーが原告の意向によるものであると考えて矛盾のない記載や被告の主張に沿う記載(乙184)もあり,ブログの本来の文意と原告の主張は沿っていないから,この点も,原告の主張を裏付けるものとはいえない。
したがって,原告の了解を得ないままトらの勝手な考えで観念崩壊
セミナーが開催されたり,その内容が決定されたりしたとは認められず,原告がこれを主導したものと評価することができるから,原告の主張は,失当である。
(d)原告は,異端と認めた本団体の構成員の排除を主導したのは,原告ではなくサである旨主張する。
しかし,原告は,本団体において実質的にウに次ぐ地位にあり,本団体においてウに影響を及ぼすような重要な問題が生じた場合には原告が継続的に関与してきたことからすれば,ウが乗り移ったと称する本団体の構成員を排除した(前記オ(イ))際も,サからの指示命令を受ける立場にはなく,サより上位で問題の処理に当たる立場にあったものといえ,このことは,原告が,上記の構成員が所属していた施設の
責任者を自己の住居に連れ帰って修行をさせたこと(乙80,176ないし179)からも裏付けられる。また,原告は,サが観念崩壊セミナーを止めさせてやる旨の発言をしていた旨も主張するところ,結果的には,サの意向にもかかわらず,観念崩壊セミナーは実施されており,トよりも位階の高いサですら観念崩壊セミナーを中止にするこ
とができなかったことになるのであり,その当時,サが原告の意思に逆らうことができなかったことを裏付けるものといえる。
したがって,原告がサの指示に従って異端と認めた本団体の構成員の排除をしたにすぎない旨の原告の主張は,失当である。
(e)原告は,緑の錠剤をお供物に加えるよう指示したのは原告ではない
旨主張し,被告の主張に沿う供述証拠(乙81)の信用性を争う。しかし,原告は,本団体におけるお供物の重要性について,aにおいては,神々への供養がとても重要視され,構成員が口にする食べ物は,
神々へ捧げられたお供物であったところ,
お供物は全て手作りで,
一定の宗教的儀式を経て構成員に配布されていた旨やお供物班の人事
はウが決めたため,ウが逮捕された後は人員をできるだけ変更しないようにしていた旨を主張し,また,原告がお供物班の業務に関与していることがうかがわれるメールを証拠
(甲62)
として提出しており,
原告自身が認めるところによっても,本団体において重要な問題とされるお供物を変更することができるのがウ,原告,長男又は次男に限られる旨の本団体の構成員の供述等(乙81)と整合している。また,前記(a)のとおり,
原告が本団体において,
教義上の重要な問題に実際

に関与していたこととも上記の供述等は,整合している。
したがって,
上記の供述等は十分に信用することができるのであり,
原告の主張は,失当である。
(エ)a原告は,平成12年以降,本団体に入会したことはなく,本団体の意思決定に関与したこともない旨主張するが,これは,本団体及び自らが
社会的批判を受けることを回避するため,形式上本団体に入会しないとしているにすぎず,実際には,前記オのとおりであるから,原告の主張は失当である。
b
原告は,当初ウから後継者に指名されていたこと及び弟妹出生後も原告の地位が実質的にウに次ぐものであったことの各事実を否認し,本団
体における原告の地位が実質的にはウに次ぐものである旨の被告の主張も争う。
しかし,
前記イ(ウ)a及びbの事実によれば,
原告が当初ウから後継者
に指名されていたことに異論を挟む余地はなく,弟妹出生後も原告の地位が実質的にウに次ぐものであったことも優に認められるから,原告の
主張は,客観的事実又は証拠上容易に認められる事実に反し,失当である。
c
原告は,ウの家族に対する支援者からの献金を原告が主として受領し,管理していたことを否認し,これに沿う被告が提出した供述証拠の
信用性も争う。
しかし,上記の事実に沿う四女の供述等は,①前記オ(エ),②原告が平成18年3月22日以降埼玉県内に居住していること,③原告らウの家族を支援する者がいずれもその頃,本団体の構成員として報告されなくなったものの,数人ずつに分かれて共同生活を送っていること,④b内部には原告の意向をb内部に及ぼすべく行動する構成員が存在し,bへの所属形態にかかわらず原告を強く信頼する構成員も存在すること(この事実は,(a)前記オ(コ),(b)同(サ)a,(c)本団体の構成員であるテ(以下テという。)がサよりも原告を信用しているなどの発言をしたこと,(d)チが原告の意向を受けて行動している事実を自認したこと,(e)bが管理する施設で発見された相関図/合同会議資料(乙159)
には,四女が指摘した者と原告が継続的に直接やり取りしている旨の記載があること,
(f)原告を批判するサのブログを公に非難して原告を擁護
する者があること,(g)本団体の一部の構成員が原告を賞賛する内容の文章を本団体が構成員に対して配信しているメールマガジンに載せていること,(h)メ(以下メという。メは,両サリン事件を含む本団体
の構成員が起こした各種の犯罪に関与し,死刑に処する旨の確定判決を受け,その執行を受けた者である。なお,本団体における位階は,正悟師である。)が原告を通じて本団体の構成員との外部交通の手続を依頼し,
また,
原告の言動を支持する手紙を書いていること及び(i)原告の写
真を所持する構成員がいたことから裏付けられる。)といった他の証拠
から明らかに認められる事実関係と非常に良く符合しており,信頼性が高い。
また,本団体の現在の幹部構成員であるニ(以下ニということが
ある。)は,平成26年6月14日,八潮説明会(なお,八潮説明会は,次男が本団体に復帰するか否かの問題をめぐる原告とオとの対立につい
て話合いをした会議の場であると思われる。)において,ウの家族が,原告の支援者から,長年にわたって生活資金等の援助を受けていた旨の発言をしたところ,当該発言のうち,平成12年頃からウの家族の支援をしてきた者がいるという部分は,上記①から③までと良く符合し,オ及び次男の住居が当該支援者から借りている住居であるという部分は,当該住居の所有者が本団体の関係者であることと符合しているから,ニの上記の発言は,関係各証拠から明らかに認められる事実関係と符合し
ており,十分に信用することができるのであり,原告の支援者が個人事業を営み,当該支援者がオに対する生活や学費についての支援を打ち切ったとの事実を認めることができる。
そして,
いずれも信用することができる四女の供述等及びニの発言は,
原告が支援者からの献金を主に受領して管理していたとする点において
相互に整合しており,これらの証拠によって被告の主張は裏付けられているということができる。
d
原告は,皇子が位階を表すものではなく,オが,ウが逮捕された
後に代表代行の地位に就いて宗教法人aの運営を取り仕切っていた時期
もあったから,本団体における原告の地位がオより上位であったとはいえない旨主張し,本団体における原告の地位が,オより上位であった旨の供述証拠の信用性を争う。
しかし,原告は,オよりも早く大乗のヨーガを成就した旨の認定を受けたから,オよりも本団体における地位が上位であるといえる。また,
ウの子女の位階をサマナの全ての位階の上に置く旨の本件通知がある上,ウの子女は,オを含む他の構成員とは異なる色のクルタを着用しており,当該色の違いが,ウの子女と他の構成員との地位の違いを表していたのであり,そのことを他の構成員も十分に認識し,それを裏付ける発言をしている複数の者(ニ及びテ)があるから,本団体における原告
の地位がオより上位であることは,優に認められる。
そして,皇子が位階を表すものであることは,上記のとおりであ
り,オが代表代行の地位にあったのは,ウが逮捕された平成7年5月からオが逮捕された同年6月までの約1か月間と極めて短期間であり,かつ,その間も最高意思決定機関は正大師/正悟師会議とされる合議体であっただけではなく,
同月頃には,
本団体におけるオの役割が,
しばらく瞑想修行の指導等内務が主となるとされたこと(乙75)にも鑑みると,オが代表代行の地位にあったとしても,そのことをもってオが本団体において実質的に原告よりも上位にあったことを裏付けるとはいえない。
さらに,コや本団体の構成員の供述等も,上記の事実関係と良く整合
しているから,これらを信用することができるのであり,その信用性を争う原告の主張は,全く理由がない。
したがって,原告の主張は,失当である。
(オ)原告は,①マ及びホが師の位階を成就した旨の認定をしたのは,キのみであり,原告はこれに関与していないこと,②キ外しは,オが主導したも
のであり,その後も,原告は,本団体の運営についてはほとんど理解しておらず,意見を述べたことはあるが口を出したことはないこと,③四女が本団体の運営に関与しようとしたことに反対したことは事実であるが,その目的は,家族として四女の身を案じてのことであり,社会的に狂気の集団とされている団体に関わることを反対しただけであって,本団体におけ
る原告の地位及び影響力を維持するためではなかったこと,④ヒ,コ及びケを本団体の運営から排斥したのはオであって原告ではないこと,⑤次男が本団体の運営に関与することに反対したのは事実であるが,
その目的は,
社会的に狂気の集団とされている団体に関わることを反対しただけであって,本団体における原告の地位及び影響力を維持するためではなかったこ
とを指摘し,原告は,本件更新請求の当時,本団体の運営には関与していなかった旨主張する。
しかし,上記の原告の主張は,次のとおり,失当である。
a
原告は,マ及びホが師の位階を成就した旨の認定をしたのは,キのみであり,原告はこれに関与していない旨主張する。
しかし,原告は,ウの意思に基づき,幼少期から,本団体の構成員が成就する際,一定の行為を行っていたと認められ(乙10,46,16
9),原告自身の認めるところによっても,ウ不在の状態で,従来ウが行っていた成就の認定を行うに際し,キと原告との間で,上記の成就について電話等を通じて話す機会があったものと認められる
(乙100)

これに加え,原告が,ウの子女であり,かつ,実質的にウに次ぐ地位にあってキよりも上位にあり,
本団体において,
本団体の教義の維持存続,

実現又は拡大に関わる行為に継続的に携わり,特に,構成員の教義修得の認定や地位の認定に関与していたこと(乙46,79,80,94,103,128,174,178ないし180,182)を併せ考慮すれば,
キが,
原告に対してあえてマ及びホの成就について電話をした
(こ
れは,原告も認める事実である。)のは,原告に対してその意思を確認
する趣旨であったと認めるのが合理的である。
したがって,キが一方的に成就させたことを原告に伝えただけであって原告が全くこれに関与しておらず,意見も述べていないというのは不合理であるから,原告の主張は,失当である。
b
原告は,キ外しは,オが主導したものであり,その後も,原告は,本団体の運営についてはほとんど理解しておらず,意見を述べたことはあるが口を出したことはない旨主張するが,次のとおり,失当である。(a)原告は,自ら主体的に,本団体の構成員らに対し,ウへの真摯な帰依を一貫して説き(乙46,79,80,174,178ないし18
0),本団体の構成員らの間においても,本団体においてウに関する問題が生じた場合には,原告が問題の解決を図るために行動するとの認識が浸透しており,
実際に,
原告もそのように行動してきたこと
(甲
59,乙79,80,122,174,178,179)が認められる。例えば,キが,イ隠しの一環として,帰依の対象をウからキに変える旨の提案をしたとされる際,オではなく原告に対してその旨が伝えられており(甲59,乙122),重要な事態の対応方針の判断を,最初に原告に対して求められていたことがうかがわれるほか,本団体の資金獲得活動についてやり取りされたメール(乙103)においても,
原告とオが,
話し合ったり意見をすりあわせたりする形跡はなく,
むしろ,オが原告に判断を委ね,原告がオに判断を任せる部分がある
から,原告が,オとは独立して主体的に本団体の重要な問題に関わっていたことも認められる。
したがって,イ隠しを推進し,キが実質的に本団体の教祖となる旨の提案をしたキに対し,原告が,単にオに従属して,オに言われるがままにキを本団体の運営から排斥したというのは,不自然かつ不合理
であって,原告が自らの意思に従って主体的にキの方針に反対し,キ外しにも積極的に関与したと認められる。
(b)原告は,ウの著作をキの著作とする旨のキの方針に反対したのであり,イ隠しに反対したわけではない旨主張する。
しかし,原告は,ウに深く帰依し,ウを崇拝の対象としていた上,
aの宗教性がキのものになることに納得がいかずに反対をした旨を自ら認めているから,aの宗教上又は修行上の指導者又は師を,ウからキに変更することについても当然納得していなかったはずであって,ウの著作をキの著作とすることのみに反対し,イ隠しに反対しないのは一貫性がない。

(c)原告は,キ外しに係る事情を知らず,これに関わってもいないだけではなく,そもそも,本団体の運営に関わろうとしたこともない旨主張し,これに沿う平成25年4月10日付けのメール(甲62・メール29)がある旨も指摘する。
しかし,原告が指摘するメールの文面は,同メールが送信された時点よりも10年以上前に生じたキ外しの頃のラ(以下ラという。
なお,本団体における位階は,菩師長補である。)の具体的な立場及
び役割についてのものであり,キ外しを主導していた原告が,複数の協力者のうちの一人であるラの具体的な立場を詳細に把握し,記憶していなかったとしても特段不自然ではないから,被告の主張と矛盾する内容のものとはいえない。しかも,同メールを素直に読むと,オは,ラがbから離脱することを認める権限が原告にあることを前提に,原
告に対し,ラが離脱することを避けていただきたいとして,ラを
離脱させないようにお願いをして,説得する内容とも解せるから,同メールは,本団体の構成員がbから離脱するか否かという本団体における構成員の地位の認定という運営に関する事項に,原告がオとともに関与していたことを示すものともいえ,原告の主張とは整合しない
ものともいうことができる。
なお,原告が提出するメール(甲61,62)には,原告が,本団体の幹部構成員と継続的に関係を有し,公安調査庁長官による調査への対応策等本団体の運営に関与していることを前提に,本団体の運営方針をめぐってキと対立していた旨や,オが原告との正しい情報の共
有,情報交換がより一層重要として,原告と共同歩調をとることが重要であると考えている旨が記載されたものがあり,被告の主張に沿うものが含まれている。
c
原告は,四女が本団体の運営に関与しようとしたことに反対したことは事実であるが,その目的は,家族として四女の身を案じてのことであり,社会的に狂気の集団とされている団体に関わることを反対しただけであって,本団体における原告の地位及び影響力を維持するためではなく,ヒ,コ及びケを本団体の運営から排斥したのはオであって原告ではない旨主張するが,次のとおり,失当である。
(a)原告は,本団体において,本団体の教義の維持存続,実現又は拡大に関わる行為に継続的に携わり,特に,構成員の教義修得の認定や地位の認定に関与していたこと(乙46,79,80,94,103,128,174,178ないし180,182)からすれば,四女が本団体の運営に関与しようとした平成18年頃の前後を通じて,ウの子女であり実質的にウに次ぐ地位にある者として,教義上の重要な問
題について事細かに本団体の幹部構成員に指示を出していたと認められる。そして,四女が,平成18年1月頃,オとの同居を解消したこと(この事実は,原告も争っていない。)からすれば,原告及びオと四女との間においては,本団体に対するウの家族の関わり方について直接話合いにより考えをまとめることができない状況にあったといえ
る。さらに,キ及びその支持者がeを脱退したのが平成19年3月8日であることからすると,四女がオとの同居を解消した当時においては,e内にキ及びその支持者がおり,本団体内部においてその運営方針を巡って対立があった上,四女が本団体の運営に関与することに複数の正悟師の位階にある者が賛成していたにもかかわらず,原告が反
対の意思表示をした直後に,四女が本団体の運営に関与することに賛成していたケが本団体の運営から外されているのである。
そうすると,原告が,四女が本団体の運営に関与しようとしたことに複数の正悟師の位階にある者が賛同しているにもかかわらず,あえてこれに反対したのは,ウによって原告よりも霊性が高いとされた四
女が,正悟師の位階にある者の賛同を得つつ,原告とは異なる独自の考えの下で本団体の運営に関与することになれば,これまで原告の指示に従っていた本団体の幹部構成員も四女の指示に従う体制が構築されかねない状況にあり,実質的にウに次ぐ地位に基づいて原告が裏から指示を出すという本団体の運営体制の変更を余儀なくされ,ひいてはウの家族に対する支援者からの献金を主として原告が受領して管理していることにも影響が及び得ることから,上記の体制が変更される可能性を排除することにあったと認めるのが合理的である。
したがって,四女が本団体の運営に関与することに反対した原告の目的は,原告の本団体における地位及び影響力を維持するためであったと認められ,これに反する原告の主張は,不自然である。

(b)原告は,四女を心配して四女が本団体の運営に関わることに反対した旨主張しつつ,四女が本団体の運営から排除されたのは,四女が未成年であり,ぐ犯により逮捕又は補導されるのを恐れた本団体から排除されたためである旨も主張する。
しかし,原告は,自身の著作(甲59)においては,四女が本団体
の構成員を放り出した旨を記載し,陳述書(甲67)においても,四女が教団の掌握に失敗した,教団を離れて新しい体制を作ろうとしたがそれも失敗した旨を記載するにとどまっており,原告が四女の身を案じて本団体の運営に関与することに反対した旨の記載は見当たらず,まして,本団体が四女の逮捕を恐れた旨の記載も見当たらないか
ら,原告の主張は,原告自身の供述等とも整合していない。
(c)原告は,ヒ,コ及びケを本団体の運営から排斥したのはオであって原告ではない旨主張する。
しかし,原告は,本団体の運営に関与していた正悟師の位階にある者に対し,それらの者が会議によって検討した事項について指示を出
し(乙103),ヒ,コ及びケが本団体の運営から外れた後も,ス又はサに対して原告が指示を出す体制が維持されていたといえること(乙94,128,182)からすると,正悟師の位階にある者を本団体の運営から外すという重大な決定をするに当たって原告が何らの関与もしていないのは不自然かつ不合理である。
また,
前記b(a)のと
おり,原告とオは,それぞれが独立しつつ共に本団体の運営に関与していた上,原告が,平成12年以降,本団体に対する社会的な批判を
回避して本団体を存続させるため,ウの家族が表向き本団体に関わっていないと仮装することを重視していたと認められる
(乙18,
94,
182,185)から,オがヒ,コ及びケを本団体の運営から排斥することに関わっていたと認められるからといって,直ちにそれに原告が関わっていないとまでは認められない。

なお,原告が提出するメール(甲61,62)には,オが,原告と相談し,原告からの伝言をサに伝える趣旨のもの,オが原告に希望を伝えて伺いを立てる趣旨のもの,原告がbの内部の動向や運営に係る報告を受ける趣旨のもの及び原告がbの運営について本団体の構成員から伺いを受けていることを示す趣旨のものが含まれており,
原告が,

継続的に,オとともにbの運営に関与していたことを端的に示しているといえる。
d
原告は,次男が本団体の運営に関与することに反対したのは事実であるが,その目的は,社会的に狂気の集団とされている団体に関わること
を反対しただけであって,本団体における原告の地位及び影響力を維持するためではなかった旨主張するが,次のとおり,失当である。
(a)原告は,本団体において,本団体の教義の維持存続,実現又は拡大に関わる行為に継続的に携わり,特に,構成員の教義修得の認定や地位の認定に関与していたこと(乙46,79,80,94,103,
128,174,178ないし180,182)からすれば,次男が本団体の運営に関与することに反対する頃までの間,継続的に,重要な宗教的な問題について事細かに本団体の幹部構成員に対して指示を出していたものと認められる。また,原告は,平成12年以降,本団体に対する社会的な批判を回避して本団体を存続させるため,ウの家族が表向き本団体に関わっていないと仮装することを重視していたと認められる(乙18,94,182,185)から,本団体の幹部構成員と直接に会う方法はできる限り避け,電話やメールを用いたり,第三者を介したりするなどして裏から指示を出す方法によって,原告の本団体における地位及び影響力を行使することとして(乙94,100,103,128,182),飽くまでその実態が公安調査庁,
報道機関等に露呈しないように腐心していたものと認められる。
そうすると,原告は,かつてウから教祖の一人と表明されていた次男がbの運営に関わることとなった場合,オと同居していた次男が,表だって運営に関与する可能性も考えられるだけではなく,次男が運営に関与していることが公安調査庁,報道機関等に知られれば,直ち
に広く報道されることも当然に予想されるものであって,次男による運営の体制が本団体に対する社会的な批判を高めて(その中には,原告らが裏から本団体に関与していたことを推知され,それに対する社会的非難が生ずることも含む。)本団体の存続を危うくし,aの教義とその実践の維持に悪影響を及ぼす可能性があると考えたものと認め
られる。原告は,ウの家族が本団体の運営に関与していることは,できる限り秘匿したい事項であると考えていたことから,次男が本団体の運営に関与しようとした際には,本団体に対する脅威としてこれを積極的に排斥しようとし,原告が裏から指示する体制を維持することを図ったものと考えられるのであり,次男が本団体の運営に関与する
ことに反対したのは,飽くまでも本団体の運営の体制を巡る争いによるものであると認められる。
したがって,原告が本団体における地位及び影響力を保持しつつ,表向きはこれを秘匿して社会からの批判をかわすという体制をそのまま維持するため,次男が本団体の運営に関与することを阻止しようとしたものと認められる。
(b)原告は,原告が教団内に本当に地位や権力を有しており,ウに次ぐ絶対者であるならば,原告が教団に戻らない理由はなく,教団に戻れば教団に関わっていないことを仮装する必要もない旨主張する。
しかし,
前記(a)のとおり,
原告が表面的には本団体の運営に関与し
ていないかのように仮装することは,本団体に対する社会的な批判を
軽減して本団体の存続を図るという理由があることが明らかである。(c)原告は,そもそも教組を置かない旨を公表したbと次男は関係がなく,新たに教組を置くならともかく,教組に復帰は不可能である旨主張する。
しかし,本件手紙2(別紙4)には,昨年の10月以降,Yさん(オ)による弟の教団復帰が推し進められましたとの記載があり,原告らの認識としても,次男が本団体に復帰しようとしているとの認識であったといえるから,原告の主張は,原告の当時の認識とそごするものである。
(d)原告は,被告が指摘する証拠(乙125,128)相互間に矛盾が
ある旨主張する。
しかし,ニの発言(乙128)は,合同会議による運営について,表向きのbの運営機関である合同会議が,長老部のメンバーの意見なしには正当性がなく,実際には,教義上の決定権を有する長老部のメンバーであるサの意見を聞きながら運営されていたことを説明するも
のであり,原告の関与を否定するものではなく,かえって長老部の座長である原告の意見のお伺いを立てていたとしても,
何ら矛盾がない。
さらに,ニは,ウによって長老部が本団体の運営組織とされ,原告が長老部の座長とされたことを説明した上で,合同会議に正当性が認められるとすれば,
正悟師以上の位階にある長老部のメンバーの方々が,
合同会議の存在に同意し,承諾していたということ以外にはない旨も発言しており,下位機関である合同会議に対して原告を含む長老部メ
ンバーによる権限の分配があったことをうかがわせている。そして,このような下位機関に対する権限の分配と,重要な個別の問題について上位者である原告があえて関与することとは矛盾せず,サのブログ(乙125)の記載が短く単純な文章であって,重要な問題における原告の個別的な関与について述べたものとも理解し得るから,上記の
二つの証拠(乙125,128)に矛盾があるとはいえない。
(カ)原告は,次男が本団体に復帰する問題について,飽くまで家族として心配しているにすぎず,b内で悪魔等と呼ばれて敵視されている原告が,その運営や意思決定に関与することができない旨主張する。
しかし,原告は,前記オのとおり,自らの地位及び影響力を維持すべく
キ外しをするなど,本団体の実務を統括する者又はその運営に関わる幹部の決定に関与し続け,自らの意に沿うようにしてきたものであって,本団体の意思決定に関与し続けてきたものといえ,次男が本団体に復帰することを阻止しようとするのも,原告が本団体における従前の地位及び影響力を維持したいとの動機に基づき,本団体の教祖又は帰依の対象の決定に関
与しているといえ,本団体の意思決定に関与しているといえる。
したがって,原告の主張は,理由がない。
(3)

本件公表が国家賠償法1条1項にいう違法なものとはいえないこと前記(2)のとおり,
本件認定について国家賠償法上の違法があるとは認められ

ず,かつ,次のとおり,本件公表には必要性が認められ,不相当に原告の利益を侵害するものではない上,本件公表をした公安調査庁長官が,職務上尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と本件公表をしたと認め得るような事情もないから,本件公表が,国家賠償法1条1項の適用上違法と評価されることはない。

本件更新請求は,無差別大量殺人行為を行った本団体の活動状況を明らかにするため,公安調査庁長官が団体規制法12条1項の規定に基づいてした
ものであって,国民の生活の平穏を含む公共の安全の確保に寄与する(団体規制法1条参照)高度の公益性を有するものである。そして,本件公表は,本件更新請求を国民に対して広く公表する行為であり,
そのこと自体からも,
本件公表が高度の公益性が認められる必要性の高い行為であるといえる。しかも,原告が本団体の役員に該当すると認定することができることは,本団
体が団体規制法5条1項3号に該当する事情があると認められることを意味し,観察更新処分をする根拠の一つとなるから,本件公表の際に,原告を本団体の役員と認定した事実を含めて公表する必要性は高い。
したがって,本件公表が専ら公益を図る目的でされたことは明らかであって,不必要にされたものとはいえない。


本件公表は,原告が本団体の役員であると認められることについて,原告が本団体の構成員と面談したり,本団体の構成員に対して手紙を送付したりして自身の意向を伝達していたこと等の具体的な根拠を挙げて公表したものである。また,観察更新請求における更新の理由となる事実は,官報により
公示されることが予定されているから(団体規制法26条4項,5項,17条2項),本件公表において,原告が本団体の役員であると認定した事実を公表することは,正に観察更新処分の理由となる事実を公表しているにすぎない。
したがって,本件公表により,不必要又は不相当に原告の信用や経済的利
益が侵害されたものとはいえず,本件公表の態様も相当なものである。(原告の主張の要点)
(1)

国家賠償法1条1項にいう違法について

被告は,国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員がした職務上の法的義務に違背したといえるか否かを判断するに当たっては,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく,漫然と当該行為をしたと認め得るような事情がある場合に限り,違法の評価を受けるものと解するのが相当である旨
主張し,これに沿う判例(前掲最高裁平成5年3月11日第一小法廷判決)があることは事実であるが,
当該判例の読み方には異論もあるところであり,
被告が主張するような解釈が定着しているとまではいえない。

被告は,公務員による報道機関に対する公表行為については,不必要又は不相当に他人の信用や経済的利益を侵害した場合に初めて国家賠償法1条1項にいう違法なものであると評価される旨主張し,判例(前掲最高裁平成5年3月11日第一小法廷判決)に準じ,又はその該当する場合を絞り込むために不必要又は不相当という文言を付け加えているが,上記の判例で問題となっているのは行政処分であり,公表行為という事実行為の場合に
おいても,上記の判例の基準が当然に適用又は類推されるわけではない。そもそも,行政機関の事実の公表行為を正当化する法令等の法規範は存在しないから,法律による行政又は法治主義の見地からは,行政機関による事実の公表行為は,許されないともいい得る。また,原告は,被侵害利益を名誉又は名誉感情としているから,真実性又は真実相当性の法理が適用される
とも解し得るが,同法理は,表現の自由と名誉権を調整する趣旨であり,行政機関の公表行為には当てはめられない。そこで,行政機関が事実を公表することにより個人の名誉権又はプライバシー権が制約される以上,専ら公益を図る目的であれば守秘義務が免除される正当な理由があるとはいえず,公表行為は原則として匿名主義を採用し,それ以外に個人又は企業を特定する
ことができる場合には,公表に関する法的根拠や事前手続が必要であると解すべきである。
(2)

団体規制法5条1項の解釈について

本件観察処分の取消訴訟の第一審判決は,団体規制法5条1項各号について,当該団体が再び無差別大量殺人行為の準備行為を開始するとの具体的危険性を要求する趣旨のものと解すべきであるとし,同項3号の役員については,単にそれらの者が当該団体において役員としての地位を有しているだけ
では足りず,再びウの指示により,又はその指示とは無関係に無差別大量殺人の準備行為に着手し得る権限ないし影響力を伴った地位を有することが必要であるとしているから,これに反する被告の主張は,失当である。イ
被告は,無差別大量殺人行為の特質の一つは,秘密裏に計画及び準備されて実行に移されるため,犯行の事前把握が極めて困難であるとして,具体的
危険性を不要であるとするかのような主張をする。
しかし,計画性のある犯罪行為は,ほとんど全ての場合に秘密裏に計画及び準備されることは公知の事実であるから,秘密裏に計画及び準備されることをもって被告の主張を正当化することはできない。
(3)

被告がいう本団体について

公安調査庁長官は,平成17年11月25日にした観察更新請求までは,団体規制法上の被請求団体を宗教法人aと同一性のある団体であるeとして運用してきたが,平成20年12月1日にした観察更新請求以後は,eが分裂して誕生したb及びfについて,これらの団体を団体規制法上の団体とし
て取り扱うのではなく,組織として取り扱うことにより,それらがあたかも既に本団体内部に存在するかのような取扱いをして,団体の分裂によって観察更新処分の適用外となる事態を回避し,b及びfの上位概念としてだけ,物理的な実体のない虚構の存在である本団体を登場させて被請求団体の指す範囲を拡大させたものである。また,公安調査庁長官が平成2
9年11月27日にした観察更新請求においては,gとされる集団も本団体に含まれるものとされて内部組織という言葉もなくなり,集団と呼称されるようになったことからも,本団体が実態のない架空のものであることが裏付けられる。しかも,公安調査庁長官は,本団体の代表役員は,ウである旨主張しているようであるが,ウは,平成20年頃には,心神喪失の状態にあり,誰とも面会することができていないのであって,物理的な実体のない団体を代表することも原理的に不可能である。

公安審査委員会が平成18年1月23日にした観察更新処分までは,原告は,eの長老部の一員であったとされており,本団体の一員とはされていなかったが,本件更新請求においては,eの長老部の一員にすぎなかった原告が,本団体の役員とされている。これは,公安調査庁長官において,原告が,b又はfの役員又は幹部である実体がなく,むしろ,これら
の団体から敵視されていたり,これらの団体と全く交流がなかったりしたことを認識したため,原告をこれらの団体の役員と位置付けることができず,物理的な実体のない架空の団体である本団体の役員とするしかなかったからであると推認される。
公安調査庁長官が,そのようなことをしたのは,ウの行為能力又は精神能
力に問題があり,本団体の代表者たり得ないことを認識したことから,現在も本団体の一部の個人に好かれており,ウの後継者といわれていたウの子である原告をもってウに代え,原告を本団体に戻す又は本団体のトップに据えることにより,
本団体の危険性を社会にアピールし,
本団体の危険性を強調することができると考えたからであると推測すること
ができる。
以上からすると,原告が本団体の役員であるとの被告の主張は,主張自体失当である。

被告は,宗教法人aとe又はb,更にはfを混同させて主張している。キは,平成11年末に刑務所から出所した後,絶対者であるウが指示して作らせた体制を覆し,ウを信仰対象とするのではなく,複数いる経典の解釈者の一人として位置付けることによって信仰対象すら変更したeを設立し,ウが指示したはずの教祖は置かれず,長老部も廃止されたから,e又はbと宗教法人aとは断絶している。また,fは,ホームページを見る限り,aの教義とは関係のない団体である。このように,宗教法人aとe又はb,更にはfは,全く別の団体である。


被告が主張するaの教義は,故意に証拠をゆがめたり,証拠を誤導したりした結果のものであり,誤りである。また,どのような組織においても上位者の一般的な指示に従うのは当然であるが,上位者が絶対であったという事実はなく,上位者の指示に従うようにという趣旨の説法が何度もされている
こと(乙43等)自体,上位者の指示に従わない事例が多々あったことを裏付けているし,被告が自己の主張の裏付けとするコの供述等(乙45)の記載からも,コよりも高位の位階にあった原告が絶対的な地位にあったとはいえないことや原告が尊重されていないことがうかがわれる。
原告らウの子は,本件通知があったものの,これが守られることはなく,
ウがいるときは子供として扱われ,ウが身柄を拘束された後は,大人に利用されてないがしろにされてきた。また,eにおいては,皇子はサマナの上位に置かれていない。そして,そもそも,皇子は,位階を表すものではなく,単に,ウの子女であることを示す呼称であるにすぎず,各人の位階もそれぞれ異なっていた。クルタの色については,原告が平成11年当時に青紫色ク
ルタを着用していたことは事実であるが,平成7年当時は,緑色のクルタを着用(なお,長女及び二女は,白色のクルタを着用していた。)していたのであって,時期によってその色が異なるだけであり,被告の主張は,都合の良い時期を選んで主張しているだけにすぎない。
なお,原告は,eが,位階の正式名称として皇子を挙げ,原告を含むウの
子女について皇子として報告していたことは,何も知らなかった。原告は,eのホームページにウの子女のことが掲載されていたため,キに対し,掲載を止めるよう頼んだところ,ホームページへの掲載はなくなったため,違法な報告をするのを止めたものであると思っていたが,実際には,eは,原告に無断で,原告に関する報告を続けていたことになる。そして,ウの子女は誰もeには入会していなかったから,eには,皇子という存在自体がなかったものである。

(4)

原告が両サリン事件の当時に本団体の役員であったとはいえないことア
原告が両サリン事件当時特殊な生育歴の下にあった11歳であったこと(ア)原告は,小学校に行けなかったため,通常の教科を学ぶ機会はなく,両サリン事件当時も,文字を知らずに本もまともに読めなかった。原告が,
両サリン事件当時,様々な物事を理解し,本団体の様々な事務や業務を遂行することができなかったのは,原告の日記(甲70)からも,明らかである。
原告は,小学校に行かずに一日中遊んでいたため,9歳になっても文字を読むことができず,ウの指示で,その頃から国語の勉強を始め,少しず
つ文字を読めるようになり,宗教法人aの本にふりがなを振ってもらったものを数冊読んだが,それを理解することはできなかった。
オを含む大人は,原告を教義的に支配した。原告が勉強をせずに遊んでいると,動物のカルマが強くて,あんたバカなのよと軽蔑され,勉強ができずに隠すと嘘をついたら動物になるわよと言われ,ウの書籍や
説法を読まないのは,教学不足とそしられたが,原告には,日本語だけではなく,教義的にも反論できるだけの知識はなかった。
なお,原告は,公安審査委員会に対し,破防法の適用に反対する趣旨の陳述書(乙176)を提出したことはあるが,これは,大人が例文を作成し,それをそのまま写して書くようにいわれて作成した作文にすぎない
し,正確に書き写せずに間違えている箇所もあって,その当時の原告に13歳という年齢相応の学力があったとは到底認められない。
(イ)原告は,幼少時から滑舌が悪く,多くの大人は原告が何を言っているのか理解することができず,原告の姉が通訳することもあったほか,原告が声を吹き込んだビデオの口まねをされてからかわれたことも多々あり,10歳になっても滑舌の悪さには悩まされ,しゃべれないことに劣等感を抱いていた。

(ウ)ウが逮捕された後,宗教団体aの代表代行の地位に就いたのは,オであって原告ではなかったことも,その当時,原告には,宗教法人aの運営に携わる能力がなかったことを示している。
(エ)a被告は,ウが,原告に論理的思考力や知力がある旨の評価をした,本団体の構成員の成就の選別,本団体の構成員に対する指導,本団体の構
成員からの疑問への回答という本団体における事務を遂行することができるだけの能力を有すると評価した旨主張するが,これらは,全て宗教的なプロパガンダにすぎず,実際にそのような能力があったこととは別問題であるから,被告の主張は,失当である。原告の著書(甲59)も,後から理解したものをかみ砕いて第三者にも分かるように記載したもの
にすぎず,当時の理解力や判断力を示すものではない。また,原告は,学力が低く,知識も不足していたから適切な判断をすることができなかった旨を主張しているのであり,理解力や判断力が一切なかった旨を主張しているわけではない。
b
被告は,原告がエンパワーメント及びシャクティーパットをしたなどと主張するが,原告は,それらの宗教的行為の作法を知らず,子供のまねごととしてそのような行為をしたにすぎない。それを宗教的なプロパガンダにより意味付けをしているだけであり,子供がそのような行為を真に行い得ると考える者はいないはずである。


原告が正大師の位階にあること等について
(ア)被告は,原告がウの包括的な後継者であるかのような主張をする。ウは,原告を後継者と考えている旨の発言をしているが,それは,ウの包括的な後継者という意味ではない。他方,ウの教義を受け継ぐという意味であれば,ウの弟子の全員がそれに当てはまる。そして,ウは,平成8年6月,宗教団体aの教祖を辞し,長男及び次男を教祖とする旨の意思を示したが,仮に,原告がウの包括的な後継者であれば,当時3歳(長男)及び2歳(次男)の者が教祖になるはずがない。遅くともこの時点で,原告がウの包括的な後継者であるという説は公式に払拭されたものというべきである。
また,宗教法人aにおけるウのいわゆる一番弟子は,クであり,ウが四
女の方が原告よりも霊性が高い旨を述べる(乙51)など家庭内で最も高い評価を得ていたのは四女であったから,原告が,弟妹の出生後も,本団体における地位が実質的にウに次ぐものであった旨の被告の主張は,客観的に事実に反するものである。
なお,被告は,長女が責任者に任命された部門(流通監視省とされ
る部門)について,特別重要な役割を果たすものとはいえない旨主張するが,
当該部門は,
aにおいて重要視されていた神々へ捧げられたお供物
(構
成員の食べ物)について,全て手作りによる製造から一定の宗教儀式を経て構成員に配布されるに至るまでのプロセスを管理していた部門であって,宗教的見地からも,構成員の食事の製造及び流通を担っていたという
見地からも,重要な役割を果たしていたから,被告の主張は誤りである。(イ)被告は,
原告が両サリン事件の当時に本団体の役員であった理由として,
原告が,その当時に正大師の位階にあったことを挙げるが,原告が正大師の位階を受けた(これは真実である。)のは,原告が5歳の時であるから,正大師の位階にあることを理由とするのであれば,原告が5歳の時から本
団体の役員であったことを主張していることになる。
なお,宗教法人aにおける位階は,宗教的にどのレベルまで達したのかを示すものであり,宗教法人aにおける権限と同じではない。例えば,eの広報部長であったニは,宗教法人aにおいては,何らの位階も有していなかったし,eの法務部長であったリも,上記の当時には師よりも更に下の位階しか有していなかったが,それぞれeにおいて重要な地位に就いていた。
(ウ)原告は,次のとおり,本団体において他の正大師と同様にその地位にふさわしい扱いを受けたことはなく,その地位にふさわしい行動をすることもなかったのであり,現実は,トが,本団体を差配しようとして原告を利用すべく,当時正大師の位階にあった原告について,正大師はすばらしいと喧伝した結果にすぎない。このことは,トが,原告のためとか他の信者のためというよりも,自己存在価値を高めるために原告を利用している状態だといえる旨自ら振り返っていることからも裏付けられる。a
トが宣伝し始める前は,原告を

正大師と呼ぶことを求める宗教法人

aのいわゆる通達が出たものの,宗教法人aにおいて高い位階を有していた者は,正大師を付けることなくホーリーネームのみで原告を呼
ぶこともあったし,正大師を付けて原告を呼ぶ者も,同じく正大師の位階にあったクに対するように,原告に対して敬意を払って接することはほとんどなく,クに対する態度と原告に対する態度との間には格段の違いがあった。
なお,大乗のヨーガを成就したというのは,ウに次ぐ宗教的状態であ
ったということができるが,そのことにより必然的に宗教法人aの内部において地位や権力を伴うものではなく,
原告は,
一人の部下もおらず,
何らの権力もなかった。
b
トは,平成8年3月,金剛菩薩フォーラムなる機関誌のようなも
のを作成し,その1号から8号までは,冒頭に

正大師からのメッセー

ジとされるものを掲載し,11号から廃刊になるまでは,
正大師を誌

上対談に登場させたり,

正大師を賞賛する体験談や漫画を載せたりし

ていたが,原告が金剛菩薩フォーラムなる機関誌のようなものを作るよう指示したことはない。実際には,原告は,
金剛菩薩フォーラム
なる機関誌のようなものを作成するよう指示をする能力も知識もなかったから,全てはトが考案して作成したものであり,原告は名前を利用さ
れただけである。なお,ケ,サ等の正悟師の位階にある者は,金剛菩薩フォーラムなる機関誌のようなものを作成することに批判的であったため,3か月余りで休刊となり,同年7月末には廃刊となっている。トによれば,原告は,金剛菩薩フォーラムなる機関誌のようなも
のを作成するに先立ち,お知らせを出したらいいと述べたことにな
っているが,トは,

正大師の意向ということで,勝手に金剛菩薩フォーラムなる機関誌のようなものを作成したものであり,原告が認識していたお知らせは,トの主導の下で,金剛菩薩フォーラムな
る機関誌のようなものになってしまったものである。
また,

正大師からのメッセージとされるものも,トが原告にコメン

トをしつこく求め,原告が言ったことをうまく編集した結果のようであるが,原告の発言が本当にあったのか,当該メッセージとされるものを原告が本当に発したのかは不明である。
さらに,トは,金剛菩薩フォーラムなる機関誌のようなものの1
1号を発刊するに当たり,あたかも原告の指示であるかのように装い,
金剛菩薩フォーラムなる機関誌のようなものを使って勉強会を積極的に行うようにというお話がありましたというト自身の指示を出すこともしている。
c
トは,平成7年末頃以降,ト自身が宗教法人aの活性化に必要であると考えていることを原告の名前を使って実行し,正悟師の位階にある者と様々なあつれきを生じさせていた。
トは,平成8年7月末,金剛菩薩フォーラムなる機関誌のような
ものが廃刊になった後,破防法の適用を受ける前にサマナと会ってサマナを元気づけたいと考えていた原告に対し,
セミナーの開催を持ちかけ,
観念崩壊セミナーが開催されることとなった。観念崩壊セミナーは,正大師の名前の下に招集されたが,トが,観念崩壊セミナーの内容や監
督者の人選を自ら主導して決定した。そして,トやトが選んだ観念崩壊セミナーの監督者が,観念崩壊セミナーが実施されている中で,

正大

師は素晴らしいなどと原告の権威を高める発言をしたことから,サマナが,原告を正大師として認識するようになり,原告に対して敬語を用いて接するようになった。

(エ)正悟師の位階にある者は,一般のサマナとは異なり,原告を子供扱いすることを続けていた。原告は,eの長老部の座長であった(ただし,座長には権限はなく,他のメンバーとの違いは名称以外には何もなかった。)ところ,会議で取り上げられる事案の多くは,困難で複雑なものであり,学力も社会経験もない原告が議論をとりまとめたり,意見を述べたりする
ことは不可能であったが,長老部のメンバーである正悟師の位階にある者らは,自分たちの思い通りにならないと原告を責めるだけで,原告の言に耳を傾けることはなかった。このことからも,原告がウに次ぐ地位になかったことがうかがわれる。
正悟師の位階にある者は,子供である原告が大人である正悟師の位階に
ある者と同格のメンバーとされたことに不満を持っていたのか,わがままで世間知らずな手の焼ける教祖の娘として原告に接していたが,他方で,本件通知を持ち出してこれを利用し,皇子なのだからとして原告が正悟師の位階にある者よりも上にあると主張することによって,原告に責任を負わせたり,原告の行動を制約したりしていた。


原告が法皇官房大臣の地位にあったことについて
(ア)原告は,両サリン事件当時,法皇官房大臣(実際には,法皇官房長官である。以下も同様である。)の地位にあったことは事実であるが,原告は,その当時,小学校にも通学していない11歳の者であり,重要な業務を統括したり,意思決定に関与したりする経験も能力もなく,実際に業務を統括したり意思決定に関与したりすることはなかった。
(イ)宗教法人aにおける法皇官房とされる部門は,イニシエーションという宗教儀式をする部門であったようだが,原告は,その当時,そのことを知らなかった。ウは,原告に対し,法皇官房大臣の地位に就くよう命じた際,法皇官房はウのことを一番に考える部署であり,原告はその長であ
るので,ウの世話をしっかり頼む旨を述べたことから,原告は,そのような認識を持つにとどまっていた。原告は,従前から,目の不自由なウのため,様々な介助をしていたが,法皇官房大臣の地位に就いた後も,それと同様のことをしていれば良いとの認識であり,現実にも,ウの誘導や介助をしていたにとどまったから,宗教法人aの各部門の長が集まって開かれ
た会議に原告が出席していたことがあったとしても,ウの介助のためにその場に居合わせたにすぎず,会議に参加していたわけではない。
法皇官房大臣としては,文房具類の購入申請の書類に印鑑を押捺する業務も存在したが,原告は小学校にも通学していない11歳の者であったため,購入申請が何か,購入申請が適切かがわからず,印鑑を押捺すること
が怖くてそれをすることもできず逃げ回っていたため,結局,印鑑を押捺する業務に携わることはなかった。
原告が法皇官房大臣として実際に携わった業務は,信者全員のために購入する長袖Tシャツを決めたことくらいであり,原告は,ある信者から,サンプルとその値段を見せられながら選択を求められたが,その善し悪し
が分からなかったことから,一番安いものが良い旨を回答したところ,結局,原告が回答したとおりのものが購入されて配布されたことがあった。なお,原告が,成就した者に対し,師になりましたと告げた事実があったとしても,成就したか否かを認定するのはウの専権であり,法皇官房の業務ではないから,それは,文字通り,子供の使いとしての行為であったにすぎず,成就の判定がされた後のメッセンジャーとしての行為であって,成就の判定に関与したものではない。
このように,原告は,法皇官房大臣の地位にあったが,それは自らの意思で就任したわけではなく,教祖であるウの子であるが故に選任されたにすぎないし,そもそも,小学校に通学もしていない11歳の者が宗教法人aの運営に関わったり,誰かを指図して仕事をさせたりすることができる
わけがない。
(ウ)宗教法人aにおける他の省庁とされる部門は,その大臣(長官)が人事権等の権力を有していたが,法皇官房に所属する人は,実質的にウに直属し,法皇官房大臣を通すことなく,直接ウと話し合って物事を決めていた。原告は,形式的に部下に当たる構成員から,

あなたは何もできない。だからあなたが選ばれたのだ。あなたはお飾りとして座っているだけでいい。

などと言われたこともあった。実際にも,原告は,小学生レベルの文字は辛うじて読めたが,書くことができる文字は平仮名,片仮名又はローマ字の区別がつかないレベルであったから,何もすることができなかった。

法皇官房の人事も,ウが決めており,原告の苦手な人がいたにもかかわらず,ウが当該人物を法皇官房から外すことはなかったし,法皇官房次官とされるノ(以下ノという。なお,本団体における位階は,正悟師である。)を任命したのも,原告ではなく,ウ自身である。また,法皇官房の業務である修行法やイニシエーションに関する事項も,ウが重きを置い
ていたものであり,法皇官房大臣には,ウを差し置いて修行法やイニシエーションを決める権限はなく,それらを決める理由もなかった。
法皇官房次官であったノは,かつて原告に何かを説明し,何かを一緒にしようとしていたことがあるが,原告にはノが何を話しているのか分からず,ノの手がボールペンをぐるぐる回してノートに穴を空けていくのを眺めているだけであった。原告が,それ以来,ノから話をされた記憶はない。(エ)公安調査庁長官は,本件観察処分に係る観察処分の請求をする直前であ
る平成11年12月22日,
原告は,
地下鉄サリン事件当時12歳であり,
実質的な役員としての任務を果たしていたとは認め難い旨が記載された報告書(甲92)を認識していたのであり,原告が団体規制法5条1項3号の要件を充足しないと認定していたものである。そして,公安調査庁長官は,同年から平成23年の観察更新請求に至るまで,原告を団体規制法5
条1項3号にいう役員に該当する旨を認定したこともない。
したがって,公安調査庁長官は,本件認定をするに先立ち,上記の報告書の存在及び内容を当然に認識すべきであり,かつ,平成11年から平成23年までの間,原告が団体規制法5条1項3号にいう役員に該当するか否かを十分に調査することができたにもかかわらず,漫然とそれを怠
って本件更新請求において本件認定をしたから,その違法性は極めて大きいというべきである。
(5)

原告が現在も本団体の役員であるとはいえないこと
原告が,自ら本団体の運営に関わろうとしたことはなく,現在,bの活動方
針等の重要事項の意思決定に関与しているという事実も存在しない。ア
観念崩壊セミナーについて
(ア)平成7年5月にウが,同年10月にキが,それぞれ逮捕されたため,本団体に残る正大師は,原告のみとなった。本団体には,正大師の次に高位の位階である正悟師の位階にある者が数名残っていたが,誰一人として責
任を持って本団体の運営に当たろうとする者はなかった。
愛師の位階にあったトは,本団体で権力を得ることが難しかったため,保護者を失い,学力もなく自分で思考する力もない一方で,正大師の肩書きを持つ原告に目を付け,自分がやりたいことをウの名前を使って原告に勧めるようになった。そして,前記(4)イ(ウ)bのとおり,金剛菩薩フォーラムなる機関誌のようなものを発行するとともに,原告の神格化を図ったが,正悟師であるケからは,原告の真意は,現在の形の新聞のようなものではなく短いお知らせ的なものではないのかという趣旨の,サからは,破戒しているサマナのリストを正悟師に提出するのが先で,正悟師が一人一人ケアするのが大切であるという趣旨の,
それぞれ指摘を受け,
金剛菩薩フォーラムは廃刊となった。

トは,金剛菩薩フォーラムが廃刊となった後,前記(4)イ(ウ)cのとおり,原告に対してセミナーの開催を持ちかけたところ,原告の理解は,破防法とアニメの世界に登場する波動砲(一連の著名なアニメーション作品である宇宙戦艦ヤマトシリーズに登場する宇宙船である宇宙戦艦ヤマトの艦首に設けられた発射口から発射される光線又は同光線を発射す
るための装置のこと。同シリーズにおいては,同光線は,絶大なエネルギーと破壊力を有するものとされている。)を混同し,一発で教団が跡形もなく消える,自分たちが壊滅的にされてしまう波動砲のようなものが破防法であるとの認識にとどまっており,原告は,トから,セミナーを開催することが必要であると言われれば,それを素直に受け止めた。

原告は,
前記(4)イ(ウ)cのとおり,
観念崩壊セミナーを具体的に企画し,
監督する者の人選及び参加者の募集をしたのも,トであると認識しているし,観念崩壊セミナーという名称も,原告とトが話をしていつの間にか決まっていたと記憶している。ここでいう観念は,一般的な意味における観念とは異なり,苦しみの原因という程度の意味である。原告は,
観念崩壊セミナーに自己啓発セミナーの手法を取り入れたのは,トであると記憶しているが,その余のメニューは,観念崩壊セミナーの監督者や参加者が思いついたままのものを思いついたままに取り入れられたと記憶している。
観念崩壊セミナーの問題は,責任者が不在であったことに尽きており,観念という枕詞が付きさえすれば,何をしても良いかのように勘違いした監督者もいたようである。大人は,結局,原告が全て責任を取ってくれると考えたのか,やりたいことだけをやり,自己の責任からは目を背けた。(イ)原告は,観念崩壊セミナーが開催された頃から,過剰な称賛や神格化を受けたために自己の辛さや苦しみを表に出すことができなくなり,称賛を受けられるよう演じ続けないと捨てられる旨の不安にさいなまれるように
なった。そして,ウの名前を出されたり,教義を盾にとられたりすると大人の述べることに反論することができず,それに消極的に同意すると,それが積極的な指示として一人歩きするようになった。
トらは,ウがいなくなった後に全ての責任をかぶってくれる存在としての原告を都合の良いところだけ利用し,二女がそれをとがめても,話をす
り替えるなどされるにとどまった。そして,トは,原告を利用することができなくなると,原告から離れていった。トは,観念崩壊セミナーで負傷者を出したことにも直接的に関与しているにもかかわらず,全ての責任を原告に負わせている。
(ウ)観念崩壊セミナーは,多くのサマナにとっては成功であったようで,当
時の本団体のメディア部門には,観念崩壊セミナーへの感謝又は素晴らしさを述べた体験談が多数寄せられていたし,
原告に礼を言う者も多かった。
もっとも,原告は,観念崩壊セミナーで負傷者が出たことに苦しみ,自責の念を持ったし,観念崩壊セミナーで監督をしていた者の一部も,原告の責任を追及した。さらに,原告の力を削ぎたいキや正悟師の位階にある者
も,観念崩壊セミナーを引き合いに出して原告を責めており,観念崩壊セミナーを自己に都合の良いように利用している。
原告は,分からないことは分からないというべきであったし,理解できないことは説明してもらうべきであったかもしれないが,その当時,自分の名前すら書けなかった原告に,何が分からないかを理解しろということは酷である。

bの運営に関わっているのはオであること
(ア)オは,ウの妻であり,年齢的にも他の構成員よりも上であったため,他の全ての構成員よりも抜きん出た存在であったところ,オ自身もそれを自覚していた。オは,平成7年当時,ウが逮捕された後に,代表代行の地位に就いて表立って本団体の運営に関与した(この点から,原告がオよりも
上位にあった旨の主張が失当であることが裏付けられる。)ところ,間もなく逮捕されたことから,目立って権力を握る危険性を痛感したのか,自らに責任が及ばないように細心の注意を払い,キと対抗する際,ウの名前だけではなく原告を始めとするウとオとの間の子らの名前を利用した。このことは,被告が自己の主張の裏付けとするコの供述等(乙45)からも
優に裏付けられる。
(イ)二女は,キが,平成11年末に刑務所から出所してすぐに,二女に対して送付したウの意思であった救済を実現するためには,ウに亡くなってもらった方が良い,ウにしがみつくのは情にすぎないなどと訴える内容のメールを読み,キに対する不信感を抱いていたところ,原告は,二女に対し,
キも大変なのだから批判してはいけないなどと述べて二女をたしなめていた。
キは,その後も,社会融和を前面に押し出し,救済やウの意思を利用することで,ウの著作や説法をコピーし又は都合の良いように改ざんした上で,キ自らが説いた教え,キが書いた本という体裁を取り,自らを教祖に
するため着々と準備を進め,平成15年1月には,ウに代えてキを教祖とすることについて意見を聞きたい旨の重大な提案をするとともに,ウの写真を全部破棄することなどを求めるに至った。
オは,ウの著作をキがコピー又は改ざんした著作物の回収をめぐり,最初はキと友好的に接していたが最終的に決裂し,自らがキを排除するために本団体に積極的に関わるようにもなった。オは,本団体の正悟師の位階にある者に会うときには原告に同行するよう命じ,原告も,正悟師の位階にある者に会うときにはキがウの著作をコピーしたことなどを訴えた。これは,原告が進んでしたことではなく,オの意見に反対すると,父であるウに対して冷酷である旨をオに言われ,オ自身がやるべき旨を述べると,オを不幸に陥れる娘として扱われる上,オが,オの意思に原告が従わない
と,
何時間でも原告の耳元で叫び続けたり,
他のきょうだいを怒鳴ったり,
暴力を振るったりするため,オの命令に従わざるを得ず,原告が自分の意思で行動していると思い込まされてしまった結果である。
なお,オは,平成25年4月10日,原告に対し,黒塗り部分(A)さんは,M騒動(キ外しのこと)の頃の秘密を知っているので,下向(本団体から離脱すること。以下同じ。)させるのは危険すぎ,絶対に避けていただきたいです。彼女は,M(キのこと。キのホーリーネームの頭文字に由来している。以下同じ。)に抵抗するサマナの組織的活動の全容を知る立場にありました。この活動のおかげで,Mはもとより,M派の師やsg(正悟師のこと)が上長としてM教化をはかろうとしても,サマナレベルでの団結で守り抜けた部署が多かったのです。黒塗り部分(A)さんは今のところは口が堅いし,㋞(ソのこと。以下同じ。)も師の目線でしかみていないこともあって,そこまでは知りません。ところが,前回,黒塗り部分(A)さんに会ったときは,病気も悪化し,恨みを抱いたまま下向の準備を終わらせているような状態で,「これはまずいとぞっとしました。元々の性
格はありますが,それでも人が変わってしまってました。㋞は,(黒塗り部分)さんを責任者&防壁代わりにして接触を断ち,(黒塗り部分(A)さんはこのネグレクトで急激に狂うというレベルに達してしまったという印象),さらに部署異動もさせようとしていましたし,今も“放出”を希望しているはずです。」と記載されたメール(甲62のメール29)を送信してきたところ,これを読むと,原告が,キ外しの秘密を知らないこと,キに抵抗するサマナの組織的活動を知らないことが明らかであり,キ外し
に関する事情を何ら知らなかったことが分かる。
(ウ)オは,原告が必要な間は原告を連れ回して利用し,原告が不要になると原告の名前だけを利用するようになり,常に安全な立場にいて自分の好きなことをしていたが,他方で,原告に対しては,直接返事はするな,本団体の人と連絡を取れば本団体と関わっていると思われる,政治が分からな
いから黙っていろなどと言って,原告が口を開くことも禁じたため,原告の名前だけが一人歩きし,オに対する恨みや怒りをそらし,責任をかぶせるためにも利用された。
(エ)原告は,平成25年4月,オを守ることに限界を感じ,オの腹心の部下であるソに対し,原告がオと同意見ではない旨を伝えたところ,オは,心
身の調子が悪く,長期にわたる治療を要する状態にある次男に白羽の矢を立て,同年10月19日,セに対し,次男が本団体に戻るときは手を貸してほしい旨の依頼をした。

原告が現在も本団体の役員であることを裏付ける事情である旨被告が指摘する事実について
(ア)被告は,原告が,平成8年から平成9年にかけて,本団体が管理していた福岡県内の施設において,
ウが乗り移ったと称する構成員が出現した際,
本団体の引き締めを図るため,同構成員を本団体から排除するとともに,これに同調したその他の構成員に対して指導も行った旨主張するが,上記
の事態の収拾を主導したのは,サであって,原告ではない。このことは,サ自身が電子掲示板に投稿した文章(甲76)からも明らかである。原告も,上記の施設に赴いたことは事実であるが,それを決定したのは,サであり,当該問題の中心的な者が原告を連れてくるよう求めたことに,サが応じた結果である。
(イ)被告は,原告が,遅くとも平成11年頃までには,お供物を変更し,粉末食品を固めた錠剤をお供物に加えるよう指示した旨主張する。
しかし,上記の錠剤は,修法が施されていたかもしれないが,宗教法人aにおいては,修法を施した食品がお供物と呼ばれることはなかったし,原告が,粉末食品を固めた錠剤をお供物に加えるよう指示した事実もない。お供物を担当する部署にいたのは,長女であり,長女は,平成7年以
降も,お供物を変更してきたことがあるところ,被告が指摘する錠剤をお供物に取り入れたのも長女である。
(ウ)被告は,原告が,平成11年から平成12年にかけて,長女と対立し,長女が茨城県内にある本団体の施設に長男とともに移ったところ,長男を奪還して最終解脱者とされる長男の権威も利用することにより,実質的に
ウに次ぐ地位にあることを維持し,本団体の運営に優越的に携わろうと考え,平成12年1月21日,二女及び支援者4名とともに,上記の茨城県内の施設に赴いて長女に対し,長男の引渡しを要求したもののこれを拒否されたため,長女の支援者と思われる者に暴行を加えて長男を連れ去った旨主張する。

①長女が茨城県内の建物に長男とともに移ったこと,②原告及び二女が,
平成12年1月21日に上記の建物に赴いたこと及び③同日,その場に,4名の者がいたことはいずれも事実であるが,その余の事実は,全て否認する。被告が茨城県内の本団体の施設とする建物は,原告らの祖父が賃貸していた建物であって,本団体の施設ではないし,長女の支援者と思われ
る者に暴行を加えた事実及び長男を連れ去った事実は,いずれも,審判では認定されていない。また,本団体の運営に携わっていたのは,オであって原告ではないし,
実質的にウに次ぐ地位にあることという点は,
四女が,
原告よりも四女の方が宗教的な位階が高いことを認識していたことを前提とする陳述書(乙57)を作成したことと矛盾する。なお,原告は,平成12年1月21日に上記の茨城県内の建物に赴いたことが住居侵入の非行事実に当たるとして,保護観察処分を受けたことは事実であるが,そのことと原告が本団体と関わらなくなったこととは何らの関係もない。(エ)被告は,原告が,平成14年頃,マ及びホが,師の位階を成就した旨の認定に関与した旨主張するが,上記の認定をしたのは,キであり,原告はそれに携わっていない。キが,原告に対し,一方的に,マ及びホを成就さ
せる旨を話しただけである。原告は,成就の条件とされていた霊的な体験をしたことがないため,当該体験を分析することはできない。
なお,被告は,原告が,ホの成就をめぐってキと確執を生じていた旨も主張するが,成就の認定が宗教上極めて重要な意味を持ち,かつてはウが行っていたものであるところ,仮に,原告がウの後継者であったのであれ
ば,原告が成就の全ての面を判断すべきことになるが,キが関与していたことは,原告がウの後継者であることと矛盾するし,キが原告の意見を押し切ってホの成就を認定したとすれば,原告の意見に絶対性があるとされることと矛盾する。
(オ)被告は,原告が,オと共同歩調をとり,平成15年6月頃,キを本団体
の運営から排除するため,本団体の幹部構成員の説得に当たったり,自己が本団体においてウに次ぐ地位にあることを利用してキに本団体の運営から退くように強く迫ったり,キを軟禁状態において行動を監視したりするなどの積極的な行動をし,キ外しを主導した旨主張する。
しかし,原告は,実質的にウに次ぐ地位にはなかったし,本団体の幹部
構成員の説得に当たったり,キを軟禁状態において行動を監視したりする(原告が,同月頃,キと会ったこと自体は事実であるが,オから,そうするよううるさく言われたためにその指示に従っただけである。)などしてキ外しをした事実もなく,本団体の運営に関わったこともない。オの行動は不知であるが,被告の主張を前提としても,キ外しを主導したのはオであって,原告ではないことは明らかである。
(カ)被告は,原告が,平成15年8月から同年9月にかけて,コら本団体の運営を担当していた正悟師に対し,師クラスの幹部構成員に対して厳しい修行を課すように指示し,修行の内容を具体的に指示したり,その結果の報告を受けたりするなどしたほか,同年頃,コら本団体の運営を担当していた正悟師に対してキに近い構成員の行為を牽制するよう指示したり,キ
が位階を与えようとしていた構成員に対して位階を受けることを断念するよう説得したり,コら本団体の運営を担当していた正悟師に対して他の者に対して位階を与えたい旨の意思を示したりしていた旨主張するが,被告が主張するような事実は,全く存在していない。
(キ)被告は,原告が,平成15年7月頃,①活動資金の獲得に成果を上げた
構成員に対して飴のイニシエーションと称する普通の甘露飴に原告が修法を施したものを授ける儀式をすること,②参加費を徴収してヨーガ行法のセミナーを開催し,その中で,法輪のイニシエーションとされるイニシエーション,お供物の一種であるタンとされるもの,甘露水等を授けること,③参加費を徴収して修行を集中的に取り組む行事を開催
すること及び④高額の金銭を徴収してより長時間修法を施した甘露水を授与する儀式を開催することを指示したほか,同年9月25日から同年10月2日にかけて,コとメールのやり取りをし,年末年始のセミナーの企画について指示するなどした旨主張する。
しかし,原告が飴のイニシエーションをした事実,本団体の運営の方針
について個別の案件にまで踏み込んで本団体の幹部と話し合った事実,イニシエーションにおける資金獲得活動について事細かに指示を出した事実は,いずれも存在しない。
また,原告がコとメールのやり取りをしたことはあっても,それにより本団体の運営に関与しているという意識はなく,意見を求められているという認識にとどまっていた。意見を求められて意見を述べることもあったが,自分が理解できる簡単なことにとどまり,本団体の運営についてほとんど理解できなかったことから,よく分からない旨を返信したことも多く,原告が意見を述べたことは本団体の運営に口出しをしているものではない。本団体の運営について細かい指示を出していたのはオである。(ク)被告は,原告及びオが,長男及び次男が四女が本団体の運営に関与する
ことに反対している旨を述べた録音を用意して長男及び次男の権威を利用し,本団体の幹部構成員を説得するなどして,四女が本団体の運営に関与することを阻止し,本団体における地位及び影響力を維持しようとした旨主張する。
原告が,四女が本団体の運営に関与することに反対したことは事実であ
るが,これは,家族として,四女が,社会的に狂気の教団といわれた団体に関わろうとすることを反対したという当然のことをしたにすぎず,本団体における地位及び影響力を維持しようとしたなどというのは,被告の憶測にすぎない。また,原告が,オと一緒になって,長男及び次男が四女が本団体の運営に関与することに反対している旨を述べた録音を用意
して本団体の幹部構成員を説得した事実もない。なお,原告は,四女は,本団体のトップに立とうとしたが,未成年だったためぐ犯で逮捕,補導されるのを恐れた本団体から排除されたと聞いている。
(ケ)被告は,原告及びオが,ヒ,コ及びケを正悟師会合の構成員から除外した旨主張するが,原告がそのようなことをした事実はない。いずれもオが
したことである。
(コ)被告は,原告が本団体の運営に関与している証拠として,本件文書を挙げるところ,スは,原告に対して本件文書を送付したのかもしれないが,原告は,本件文書を読んだ記憶がない。一方的に本件文書が送付されてきているとしても,そのことをもって直ちに,原告が本団体の運営に関与しているとはいえない。原告は,スから,本団体の運営に関して意見を求められた認識はない。

本件文書が含まれる証拠(乙94)の他の文書には,質問等をしているのですが,ご返事を頂けませんと記載があること及び原告からの返信等が警察に押収されていないことが,原告が本件文書等を読んでいないことを裏付けているし,上記の文書に教団内部へは厳秘でお願いしますと記載されていることからは,上記の証拠に含まれる文書等が個人的な意
見を述べたにすぎないことが,許可の有無にかかわらず責任は全て自分のものとして対処すべきと記載されていることからは,原告が仮に何らかの意見を述べたとしても,それが参考意見でしかないことが,それぞれ裏付けられる。なお,原告は,スを通じてムの復帰に関し,本団体に対して自己の意向を伝えた事実はなく,ムの復帰を拒んだのは,オである。
(サ)被告は,原告が,平成25年末に死亡した構成員の転生祭の実施に関し,サと連絡を取りあっていた旨主張するが,そのような事実はない。本団体の構成員が亡くなったときに,サからメールが来ることはあったものの,原告がそれを見たことはほとんどなく,そのことを,オから,とがめられたこともある。サがメールを送ったのは,原告とオが共有していた
アドレスに対してである。また,人の死亡に関するメールを読むことと本団体の運営や事務に関与することとは,関連性がない。

本件各手紙を送付したこと等について
(ア)原告は,平成25年秋頃,一部の人間が次男をbと関わらせようとして
いるという話(オが,bの経理の責任者であるセに対し,次男をbに戻すときに力を貸してほしい旨を依頼した等)を耳にするようになったことから,
チに相談し,
姉として次男をbに戻そうという動きを止められないか,
次男を教団に関わらせないようにできないかと考えた。
チは,
原告に対し,
bの共同幹事の一人であるルや他の幹部にも会ってほしい旨を告げたため,原告は,それらの者にも会い,次男を教団に関わらせないようにしてほしい旨の依頼をした。さらに,原告は,平成26年1月及び同年2月の
2度にわたり,二女及び長男と3名の連名で,bの幹部とされる者の全員に対し,次男を本団体に関わらせないようにしてほしい旨を記載した本件各手紙を送付した。本件各手紙を平易に読めば,原告が次男を心配しているだけであるのは明らかである。なお,原告は,チに相談したことはあるが,原告がチを通じて原告の意思を本団体の構成員に伝えたことはなく,
チが自らの意思で原告の書いた文章(これは,合同会議に宛てたものではない。)を読み上げたにすぎない。
原告がしたこれらの行為は,
全て家族として次男が本団体に関わったり,
本団体に戻ったりすることに反対であることから,そのような事態にならないようにしてほしいとお願いしただけであるにすぎない。

なお,本件各手紙を知ったサは,自己が次男を利用しようとしていたためか,激しく怒り,電子掲示板上で,原告が悪魔であって気が狂っている旨をbの会員に広めるよう指示した。
(イ)被告は,原告が,次男をbの活動に関わらせようとする動きに反対したことをもって,原告が本団体の運営に関わっていた旨主張する。

原告が,次男をbの活動に関わらせようとする動きに反対したのは事実であるが,これは,次男がその当時未成年であり,心身共に治療を必要とする状態であったことに加え,原告自身が本団体において名前を利用されて苦しい思いをしてきた経験からも,次男が本団体に巻き込まれることが心配であったことから,家族として当然のことをしたにすぎない。

その他の事実について
(ア)原告は,平成25年秋頃以降,bの幹部とされる者と会った際,そのうちの何人かの者に対し,教勢拡大をしない方が良い,入信活動を控えた方が良いのでは,個人的にはbの拡大活動は迷惑しているなどと述べたことはある。
これは,原告は,成長する過程において,bが存在することで多くの者が不幸になっているのではないかと考えるようになり,
特に,
bが弱者
(病
人,老人)に対する配慮をしないことについて,失望していたため,他者を救済する名目で教勢を拡大するのは単に利権を増やそうとしているのではないかと考え,aやbに人生を捧げた現在の構成員を大切にするのが
良いと考えていたからであり,また,原告らウの家族が,bと一体であるかのように報道されている状況下で教勢を拡大すると,bだけではなく原告らウの家族もいわれなき批判にさらされるため,原告は,bが世間に対して配慮することなく拡大しようとすることが迷惑であるとの意識を有していたからである。

これらのことが,bの活動方針等の重要事項の意思決定に関与していると評価されるのであれば,両サリン事件の被害者及びその遺族,政治家,マスコミ関係者,その他多数の人々も,bの重要事項の意思決定に関与していることになると評価されるべきである。
(イ)原告は,平成26年9月頃から現在に至るまで,b内で悪魔と呼ばれて
敵視されているから,そのような存在の原告が,bの重要事項の意思決定に関与することは不可能であるし,原告の意見がbに受け入れられるわけもない。他方,オは,bから敵視されることはないから,bにおいては,原告よりもオの方が上位であることが明らかである。
(ウ)被告は,ウの家族に対する支援者からの献金を原告が受領し,管理して
いることが,原告が本団体の組織運営に直接関与し得ることを裏付ける旨主張するが,そもそも,ウの家族に対する支援者からの献金を原告が受領し,
管理している事実は存在しないし,
そのことをひとまずおくとしても,
それは,ウの家族の内部の問題であるから,本団体は何らの関係もない。なお,オは,月額40万円を絵画使用料の名目で,bから受け取っているから,経済的に困窮することはあり得ない。
(6)

本件認定及び本件公表がいずれも国家賠償法1条1項にいう違法なもの
であること

国家賠償法1条1項にいう違法について,被告が主張するいわゆる職務行為基準説を採ることを前提としたとしても,公安調査庁長官は,本件認定及び本件公表をするに先立ち,資料を収集しなければならないことになる
が,当該資料は,適正な手続の下で収集されたものでなければならず,かつ,当該資料の内容が信用することのできるものでなければならないというべきである。
にもかかわらず,被告は,原告が本団体の役員である事実についての客観的資料を収集することなく,専ら関係者の供述を集め,それに基づいて本件
認定及び本件公表をして本件更新請求をしたにすぎないところ,上記の供述は,公安調査庁が利益を供与した者からのもの又はそれらの者の著作物にすぎない。また,公安調査庁長官がした本件認定に先立ち,原告は意見を述べることができず,本件認定についての手続的保障を与えられていない。また,本件更新請求について公安審査委員会がした観察更新処分の理由に
おいては,原告が本団体の役員であることを理由として本団体が団体規制法5条1項3号の要件を満たすか否かは論ずるまでもないものとされているから,公安調査庁長官は,原告が本団体の役員であるか否かを論ずる必要がないにもかかわらず,これを論じて公表したものであり,本件公表は,国家公務員法100条が規定する守秘義務に違反する違法行為である。そして,公
安調査庁長官は,現在の本団体の状況を前提とすると公安審査委員会が観察更新処分をすることが危ぶまれるため,従前から世間的に有名である原告に目を付け,ウと原告が同様であることを世間に売り出す目的で,本件公表をしたものと推認されるから,本件公表をしたことについて,高度の公益性も認められず,公表行為が原状回復の困難なものであることに照らすと,本件公表をする必要性も認められない。しかも,原告は,前記(4)及び(5)のとおり,団体規制法5条1項3号にいう役員には該当せず,本件公表の内容が真実であることが否定されているだけではなく,公安調査庁長官は,平成11年の段階で,原告が同号にいう役員ではないことを既に認識していたのであり,自ら真実ではないことを明らかにしつつ,真実と信じていたから免責すべきであるというのは,全く理屈が通らないものである。
したがって,公安調査庁長官は,職務上尽くすべき注意義務を尽くさず,漫然と本件認定及び本件公表をした上で本件更新請求を行ったものであるから,国家賠償法1条1項にいう違法な行為をしたものというべきである。イ(ア)本件認定の根拠には,供述者の氏名が不明な調書,推測で述べられた根拠のない供述又は伝聞情報について述べられた不確かなものが多く含ま
れ,その言動等にほとんど信用性のない四女の供述,原告に責任を押し付けて自己の責任を回避してきた者の供述及び原告のせいでbから除名されたと逆恨みするコの供述にも依拠しているから,本件認定は,何ら客観的な裏付けのないものにすぎない。しかも,上記の供述について,その証拠相互の関係も含めて供述者の利害関係等の供述の特質にも何ら配慮してい
ない。
また,被告が提出した証拠には,その主体がオのみであるものが多く含まれており,原告が関与していることを示す証拠とはいえないことを公安調査庁長官も認識していることをうかがわせるところ,このような証拠を提出するのは,公安調査庁長官も,オが主導したことを認識しながら,オ
が関与しているから原告も関与しているだろうという情緒的な悪印象を醸し出すためであるにすぎないと推測される。
このように,公安調査庁長官は,基本的な事実関係を調査していないものと評価せざるを得ない。
(イ)コ及び四女を始めとして被告が作り上げたストーリーに協力する者がいるのは,公安調査庁が調査協力費を用いて都合の良い供述を得るための利益誘導をしてきたからである。
原告は,キ及びコから,コが公安調査庁に対してe又はbの情報を提供する見返りに多額の金員を得ていた旨を聞いている。また,四女は,平成18年2月13日,オに対し,eの情報を公安調査庁に売って10万円を得た旨のメールを送信している。
本団体の構成員であるレも,
原告に対し,

情報を提供する見返りに公安調査庁から金品をもらっていた旨を述べ,原告もそのようにするよう勧められたことがある。以上の他にも,原告が知るだけでも10人を下らない数の本団体の構成員が,公安調査庁から金品の提供を受けている。
つまり,公安調査庁が収集した供述証拠は,金品を提供することによっ
て得られた信頼性が全く認められないものである。被告は,得られた供述の矛盾点や事実に反する点を調査せず,数を頼みとするかのように証拠を提出している。
(ウ)a被告が提出する証拠の中には,供述者が不明なものが多く含まれているが,供述の主体が不明であると本当に文書の作成者が当該主体から供
述を聞いたことすら疑わしいので,その信用性を肯定することはできない。さらに,黒塗り部分が含まれる文書は,当該黒塗りが恣意的に行われる危険があり,当該文書の信用性を失わせるから,事実認定の証拠として用いることができない。また,原告のことを
において,オのことはオのホーリーネーム(

と記載している証拠

)で記載せずに氏名で記

載し,正悟師の位階にある者についてもホーリーネームではなく,氏名で記載しているところ,原告をホーリーネームで呼ぶのであれば,他の者もホーリーネームで呼ぶはずであるから,供述者の供述どおりに記載しているのか疑わしい。原告のこともその氏名で呼んでいたにもかかわらず,

と記載しているとすれば,原告が宗教的に関与しているかのよ

うな雰囲気を醸し出すだけのためにそうしたものと推測され,そのような調書は信用性が欠如しているものといえる。

b
被告は,供述者の氏名等の供述者を識別し得る情報を秘匿するのは,供述者の生命,身体,財産等の安全を保護するためのやむを得ない措置である旨主張する。
しかし,被告は,証拠においては供述者を黒塗りしつつ,準備書面で当該証拠の供述者を明らかにしたり,ある証拠において黒塗りとした供
述者の他の供述においては,
供述者をそのまま明かしたりしているから,
供述者の氏名等を黒塗りとしているのは,被告が上記に主張するような理由によるものではなく,供述の矛盾等が発覚するのを防ぐ目的であると推認される。また,供述者が黒塗りとされていることにより,当該供述の信用性を尋問において弾劾することもできないのであり,公安調査
庁がいくら信用性があると強弁しても,それだけで信用性が存することになるわけではない。
c
被告は,本団体が,不正確な報告や報告の義務の懈怠を繰り返しているほか,本団体の構成員が,立入検査の実効性を損なわせる行為を繰り
返しており,教団報告の聴取及び立入検査だけでは,到底,その活動状況を明らかにできないのが現状であり,本団体の活動状況を明らかにするためには,団体内部の構成員と信頼関係を築いた上で,当該構成員から活動状況を聴取する手法が本団体の真の活動状況を明らかにするための最も重要かつ効果的な手法となっているところ,団体内部の協力者等
の氏名等が明らかとなった場合には,本団体が更なる情報提供を遮断するためにその者に対して圧力を加えるおそれがあり,
実際に,
本団体は,
組織的に公安調査官に情報提供を行う団体内部の構成員のあぶり出しに努めるとともに,公安調査官に情報提供をしないよう構成員に厳命しているところであるから,本団体にこのような団体内部の協力者等の氏名が把握されることとなれば,本団体の真の活動状況を明らかにすることは到底できなくなる旨主張する。

しかし,団体規制法には,立入検査の拒否罪が規定されており,刑罰権を背景とした実質的な強制捜査が可能であるし,
被告が主張するのは,
本団体内部に国のスパイがいるということであるから,それは主権者である国民の自己統治の見地からその氏名等を明らかにすべきである。そして,反対尋問を経ておらず,伝聞の過程を検証することができない情
報に信用性がないのは,当然である。
d
被告は,発言者に対する金品の提供については,公安調査官の調査に協力した者に対して実費の弁償に加えて社会通念上相当と認められる範囲内で謝礼又は報酬を提供する場合があるにすぎず,仮に,金品の提供がされたとしても,その一事をもって直ちに,被告が提出した供述証拠
全般の信用性が減殺されるものではない旨主張する。
しかし,本件においては,社会通念上相当な範囲を逸脱した金品の供与があったことが疑われる上(甲28,31ないし33,35,36),事実の解明のために金を配るというのは,金が事実を作ることになり,供述の過程がゆがめられることになる。仮に,数千円単位の金品の供与
であったとしても,本団体の構成員は基本的に金を持っておらず,数千円単位のものであっても魅力的なものであるから,そのような金品の供与の結果得られた供述に証拠能力がないことは明白であり,仮に,証拠能力があるとしても,反対尋問の機会が与えられるべきである。

被告は,原告がbの運営に関与していることを示す証拠として,①本件各手紙,②八潮説明会,③サ作成のメールマガジン及び④オとニが会ったことを挙げるところ,
オとニが会ったことは原告とは関係がなく,
本件各手紙は,
二女及び長男と連名で作成したものであり,八潮説明会及び上記のメールマガジンは,原告を悪魔として攻撃するbの虚偽の主張に基づくものであるから,いずれも確定した事実とはいえない。

被告が提出する証拠は,前記ウ以外には,いずれも平成5年から平成19年までのものであり,平成19年から平成25年までの出来事についての証拠もあるはずにもかかわらずそれが提出されないということ自体が,原告がbの運営に関与していないことを示すものである。また,過去の事実に関する証拠が大量にあるにもかかわらず,本件更新請求以前の観察更新請求においては,原告が本団体の役員と認定されることはなかったから,被告は,前
記ウに指摘した各証拠によって,原告が本団体の役員であると認定したものといえることになるが,当該各証拠には,前記ウのとおり,様々な問題がある。
3
争点3(原告に生じた損害及び損害額)
(原告の主張の要点)
公安調査庁長官は,何らの根拠もなく本件認定をし,さらに,本件公表をしたことにより,原告の社会的評価を低下させた。仮に,原告の社会的評価の低下がないとしても,公安調査庁長官は,本件認定及び本件公表により,原告の名誉感情を著しく害し,原告に精神的苦痛を生じさせた。原告は,本件認定及び本件公
表により,おう吐を繰り返したり,眠ることができなくなったりしている。これらの精神的苦痛を慰謝するに足りる金額は,
本件認定につき500万円を,
本件公表につき500万円を,それぞれ下らない。
(被告の主張の要点)
原告の主張は,否認又は争う。
以上
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