事件番号 | 平成28(ワ)23327等 |
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事件名 | 商標権侵害行為差止等請求事件 |
裁判年月日 | 令和元年5月23日 |
法廷名 | 東京地方裁判所 |
裁判日:西暦 | 2019-05-23 |
情報公開日 | 2019-07-16 14:00:33 |
同日原本交付 裁判所書記官 平成28年(ワ)第23327号 商標権侵害行為差止等請求事件(第1事件) 平成28年(ワ)第38566号 商標権侵害差止等請求事件(第2事件) 口頭弁論終結日平成31年3月7日 判決 第1事件原告兼第2事件被告 FC2,INC. (以下FC2という。) 同訴訟代理人弁護士 髙 同訴訟復代理人弁護士 壇 第1事件補佐人弁理士 橋涌淳井謙一木一永三 第1事件被告兼第2事件原告 光鈴俊井直人 株式会社ドワンゴ (以下ドワンゴという。) 同訴訟代理人弁護士 宮波 同訴訟復代理人弁護士 右馬美野晴朗岡田長 同補佐人弁理士 川津子征斗埜大地真人 第1事件被告訴訟復代理人兼第2事件訴訟代理人弁護士 高主文藤 1第1事件について ドワンゴは,FC2に対し,656万5554円及びこれに対する平成28年9月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。FC2のその余の請求をいずれも棄却する。 2第2事件について FC2は,別紙第2事件ウェブサイト目録記載の各ウェブサイトに,別紙第2事件標章目録記載の各標章を使用してはならない。 FC2は,前項のウェブサイトから,前項の標章を削除せよ。 FC2は,ドワンゴに対し,867万7823円及びこれに対する平成28年12月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ドワンゴのその余の請求をいずれも棄却する。 3訴訟費用は,第1事件及び第2事件を通じて,これを7分し,その6をFC2の負担とし,その余をドワンゴの負担とする。 4 に限り,仮に執行することができる。 5FC2のために,この判決に対する控訴のための付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1請求 1第1事件について ドワンゴは,別紙第1事件ウェブサイト目録記載の各ウェブサイトに,別紙第1事件標章目録記載の標章を使用してはならない。 ドワンゴは,前項のウェブサイトを表示するためのhtmlファイルの<省略>に前項の標章を記載してはならない。 ドワンゴは,FC2に対し,1億円及びこれに対する平成28年9月30日 から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2第2事件について FC2は,ドワンゴに対し,2332万8000円及びこれに対する平成28年12月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。第2事案の概要 1事案の要旨 第1事件は,別紙第1事件商標目録記載1の商標(以下甲商標という。)の商標権者であるFC2が,ドワンゴによる別紙第1事件標章目録記載の標章(以下乙標章という。)の使用が商標権侵害及び不正競争行為に当たると主張して,ドワンゴに対し,不正競争防止法3条1項に基づき,別紙第1事件ウェ ブサイト目録記載の各ウェブサイト(以下乙ウェブサイトという。)及び乙ウェブサイトのメタタグにおける乙標章の使用の差止めを求めるとともに,民法709条,商標法38条2項,3項及び不正競争防止法5条3項に基づき,1億円(一部請求)及びこれに対する損害賠償請求の対象である不法行為が終了した日である平成28年9月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合によ る遅延損害金の支払を求める事案である。 第2事件は,別紙第2事件商標目録記載の商標(以下乙商標という。)の商標権者であるドワンゴが,FC2による別紙第2事件標章目録記載の各標章(以下甲標章という。)の使用が商標権侵害に当たると主張して,FC2に対し,商標法36条に基づき,別紙第2事件ウェブサイト目録記載の各ウェブサ イト(以下甲ウェブサイトという。)における甲標章の使用の差止め及び削除を求めるとともに,民法709条及び商標法38条2項,3項に基づき,2332万8000円(一部請求)及びこれに対する不法行為の後の日(訴状送達の日の翌日) である平成28年12月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2前提事実 (当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) 当事者 FC2は, アメリカ合衆国ネバダ州の法律に基づいて設立された外国法人で あり, インターネット上でのブログや動画配信サイトの運営等を主な業務としている。 ドワンゴは,音楽ソフト・映像ソフト及びデジタルデータ等のコンテンツの企画製作,販売,放送,上映及びレンタル等を目的とする株式会社である。当事者の商標権 ア FC2は,甲商標にかかる別紙第1事件商標目録記載1の商標権を有し, 同目録記載2ないし4の各商標権(以下,これらの商標権にかかる商標を同目録の番号に従い,甲-2商標などという。)を有している。 ドワンゴは,平成28年10月21日を登録日として,甲商標に係る商標登録について不使用を理由として商標登録取消審判請求をしたところ(取消2016-300709号),特許庁は,平成30年3月22日,指定役務中,第42類インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与,ウェブログ上の電子掲示板用サーバ記憶領域の貸与及びこれに関する情報の提供,インターネットホームページを閲覧するための電子計算機の貸与,インターネット上で利用者が交流するためのソーシャルネットワーキング用サーバコンピュータの記憶領域の貸与,インターネット等の通信ネットワークおいて利用可能な記憶装置の記憶領域の貸与についての商標登録 を取り消す旨の審決をした。FC2は,平成30年7月23日,上記審決を不服として,審決取消請求訴訟を提起したが(平成30年(行ケ)第10102号),知的財産高等裁判所は,同年12月20日,FC2が使用を主張した甲標章は,甲商標と外観,観念及び称呼のいずれについても同一とはいえず,書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標,平仮名,片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標,外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標(判決注:甲商標)と社会通念上同一と認められる商標ということはできないと判示して,FC2の請求を棄却する旨の判決をし,同判決は確定した。したがって,インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与を含む上記指定役務に係る甲商標の商標権は,取消審判請求の登録日である平成28年10月21日に消滅したものとみなされる。 イ ドワンゴは,乙商標に係る商標権を有する。 FC2の行為 ア FC2は,平成16年4月, FC2ブログとの名称で,ユーザーがウェ ブサイト上にブログを開設し,ウェブページの入力フォームを使用してブログ記事を作成し, ウェブサイト上にブログ記事を投稿するためのプラットフ ォームを提供し,また,他のユーザーもそのブログ記事を閲覧することができるサービス(以下FC2ブログという。 )を開始した。 (甲63) イ FC2は,平成21年1月20日, ブロマガとの名称で,ユーザーがF C2ブログで作成したブログ記事に一定の設定をすることができ,設定がされた場合, 当該記事に対する購読料を支払った者が当該ブログ記事を閲覧す ることができる機能の提供を開始した。FC2は,同日以降,甲ウェブサイト等において,同機能の表示として,甲標章を使用している。 ドワンゴの行為 ア ドワンゴ及び平成27年10月1日にドワンゴに吸収合併された株式会社ニワンゴ(以下,時期を問わず,ドワンゴと株式会社ニワンゴを区別せずに単にドワンゴという。 )は, niconicoとの名称で,インタ ーネット上において, 動画等のコンテンツの配信やその他の各種サービスを 提供している (以下, ドワンゴが提供する上記サービスを併せて ニコニコ ということがある。。 ) ドワンゴは,平成24年8月21日,ニコニコのサービスの一つとして,ブロマガとの名称のサービスを開始し,乙ウェブサイトにおいて,同サービスの表示として,乙標章を使用している(乙標章が表示するサービスの範囲には争いがある。。 ) イ ドワンゴが提供するブロマガとの名称のサービスの概要は次のとおりである。 CHブロマガサービス(平成24年8月21日開始) 企業, 著名人等がドワンゴと契約してチャンネルを開設し動画等のコン テンツを配信するサービスであるニコニコチャンネルにおいて,上記の契約者(以下チャンネルオーナーということがある。 )がメールマガ ジン又は電子書籍形式の記事コンテンツの投稿,配信を行い,ユーザーが記事コンテンツのウェブサイトで閲覧したり,配信を受けたりすることが できるサービス ユーザーブロマガサービス(平成25年1月23日開始) ニコニコに対して会費を支払った会員であるプレミアム会員と呼ばれる会員(以下プレミアム会員という。 )が,ウェブサイト上にブログを 開設し,ウェブページの入力フォームを使用してブログ記事を作成して, ウェブサイト上にブログ記事を投稿するためのプラットフォームを提供し, このブログ記事をメールマガジン又は電子書籍形式の記事コンテンツとして投稿,配信することができ,また,ユーザーが記事コンテンツをウェブサイトで閲覧したり, その配信を受けたりすることができるサービス ウ ドワンゴは,平成24年8月21日以降,乙ウェブサイトのHTMLファイルの記述メタタグに乙標章を使用している。 第1事件について乙標章が甲商標と類似すること及び第2事件について甲 標章が乙商標と類似することは,当事者間に争いがない。 3争点 第1事件 ア 商標法36条1項に基づく請求について ドワンゴが提供する役務が甲商標の指定役務と同一又は類似であるか(争点1 -1) ドワンゴによる乙標章の使用は甲商標の商標権を侵害する態様での使用か(争点1 -2) 先使用権の抗弁の成否(争点1 -3) 甲商標の無効の抗弁の成否(争点1 -4) 商標権の正当な権利行使の抗弁の成否(争点1 -5) 損害の発生及び損害額(争点1 イ 不正競争防止法2条1項1号に基づく請求について ドワンゴによる乙標章の使用は不正競争防止法2条1項1号の不正競 争に該当するか(争点1 -1) 商標権の正当な権利行使の抗弁の成否(争点1 損害の発生及び損害額(争点1 -2) -3) 第2事件 ア FC2が提供する役務が乙商標の指定役務と同一又は類似であるか(争点2-1) イウ 乙商標の無効の抗弁の成否(争点2-3) エ 先使用権の抗弁の成否(争点2-2) 商標権の正当な権利行使の抗弁の成否(争点2-4) オ 損害の発生及び損害額(争点2-5) 4争点に対する当事者の主張 争点1 -1 (ドワンゴが提供する役務が甲商標の指定役務と同一又は類似 であるか)について (FC2の主張) ア ドワンゴが提供するニコニコのブログサービスは,ユーザーがブログを開設し,ブログ記事を作成,投稿して,他のユーザーの閲覧に供し,さらにブログ記事の配信を行うためのプラットフォームを提供するものであり,ユーザーが自らブログ記事を作成,投稿等することがサービスの中核である。ブログ作成者が投稿したブログ記事は,ドワンゴが管理するサーバーの記憶領域に保存された上で,他のユーザーの閲覧に供され,他のユーザーに配信されるから, サーバーの記憶領域への保存という過程はドワンゴのブログ サービスの重要部分である。 そして, 当該過程は甲商標の指定役務である インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与に該当するから,ドワンゴが提供するニコニコのブログサービスはインターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与を含む。イ ドワンゴは, 役務の提供などに付随して提供される業務は役務には含まれ ず, サーバーの記憶領域への保存という過程はドワンゴのブログサービスに付随して提供される業務であるから,商標法上の役務には該当しないと主張する。しかし,独立して取引の対象とならず,指定役務に当然に伴う付随的役務として提供されるものにすぎない業務であればともかく,本来,独立し て取引の対象となる業務について,これを他の業務に付加させることによって商標法上の役務に該当しなくなるとすると,複数のサービスを組み合わせることで, 他者が有する商標権に係る商標と同一又は類似の商標を使用する ことができることになり,商標権による保護を潜脱するものであって不当である。 他の業務に当然に伴う付随的な業務が商標法上の役務の対象とならな い場合があるとしても,それは商標の指定役務において対象業務が付随的役務として当然に予定されているか否かという観点から検討すべきであって,本来,独立で取引の対象となるべき業務が,他の主たる業務に付加され,付随的なものになっていたとしても,役務の該当性を否定する理由にはならない。 そして,ブログ開設及びブログ記事作成,投稿機能(それに伴うサーバーの記憶領域の貸与)は,インターネットブログサービスとして,独立して取引の対象となる業務であるから,ドワンゴのブログサービスにおけるブログ開設及びブログ記事作成,投稿機能部分も商標法上の役務に該当することは明らかである。 (ドワンゴの主張) ア 商標法の役務は,他人のためにする労務又は便益であり,付随的ではなく独立して市場において取引の対象となり得るものをいい, 役務の提供な どに付随して提供される業務は役務には含まれない。 ドワンゴが提供するブログサービスにはユーザーブロマガとCHブロマガの二つのサービスがあるが (前提事実 )ニコニコは従前からコン , テンツ配信サイトとして広く知られていたこと,ニコニコのウェブサイトのトップページでも CHブロマガ の人気ランキングが表示されていること, ニコニコのブログサービスはCHブロマガが先に開始されていること,ブロマガの購読者数はCHブロマガがユーザーブロマガよりも何倍も多いこと,ニコニコのブログサービスは,記事コンテンツ自体の増加(サ ーバーの記憶領域の使用料の増加)ではなく,記事コンテンツの配信数の増加によって収益を得る仕組みとなっていること,ニコニコのブログサービスの広告や報道においても,記事コンテンツの閲覧,配信のためのサービスであることが強調されていること, ブロマガはブログと雑誌を意味する マガジンを組み合わせた造語であること等からすれば,ニコニコのブロ グサービスの中心となるのはCHブロマガであり,購読者に対する記事コンテンツの配信が主たるサービスである。 確かに, ユーザーブロマガ の サービスでは,ブログ開設及びブログ記事作成,投稿機能や,作成したブログをメールマガジン及び電子書籍として,ニコニコのアカウント登録者に配信し, 登録者が配信されたブログ記事を受け取ることができるという機能が あり,その過程では,ブログ作成者が投稿したブログ記事がドワンゴのサーバーの記憶領域に保存される。 しかし, これらは独立したサービスではなく, ブログ記事の配信サービスと分離して取引されておらず,ドワンゴはサーバーの記憶領域の保存過程についてブログ作成者から対価の支払を受けていない。したがって,ニコニコが提供するブログサービスにおける,サーバーの記憶領域の保存過程は他のサービスに付随するものに過ぎず,商標法上の役務に該当しない。インターネットを利用するほぼ全てのサービスが,サー バーの記憶領域への保存過程を伴うから,ドワンゴが提供するサービスが,甲商標の指定役務であるインターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与と同一又は類似すると解釈することは商標実務に混乱を 生じさせる。 イ 甲商標の指定役務である第42類のインターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与は,文字どおり,インターネットにおけるブログのために顧客に対してサーバーの記憶領域を利用させるサービスを意味する。これに対し,ドワンゴが提供するブログサービスは記事コンテンツをメールマガジン又は電子書籍としてユーザーに配信するサービスであって, 主として記事コンテンツを希望するユーザーに向けたサービスであり, インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与が想定するサービスとは全く異なるものである。 ウ ドワンゴのブログサービスは,乙商標の指定役務である第41類の電子出版物の提供に該当するところ, 電子出版物の提供 には類似群コード4 1C02が付されている。これに対し,甲商標の指定役務である第42類のインターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与には類似群コード42X11が付されており, 電子出版物の提供インターとネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与では類似群コードが異なっており,類似であるとは推定されない。 争点1 -2 (ドワンゴによる乙標章の使用は甲商標の商標権を侵害する態 様での使用か)について (FC2の主張) ア ニコニコのウェブページでの表示 ユーザーはニコニコにログインし, ニコニコのウェブページに設けられた 乙標章であるブロマガと表示されたグローバルナビゲーション(ウェブサイト上部に設けられた各種サービスのメニュー表示であり,クリックする とリンク先のウェブページが開くもの)をクリックして,ドワンゴのブログサービスのウェブページを開き,ブログ開設及びブログ記事作成,投稿等を行うから,ドワンゴはブログサービスの商標として乙標章を使用している。これに対し,ドワンゴは,ブログ開設及びブログ記事作成,投稿機能部分には乙標章を商標として使用していないと主張するが,ドワンゴのブログサ ービスはブログ開設及びブログ記事作成,投稿機能並びに配信機能が一体のものになっており,各機能を分離して商標の使用,不使用を区別することはできない。また,乙標章の表示があるウェブページにおいて,ユーザーをブログ開設,作成画面に誘導するリンクを設置しているのであるから,ブログ開設及びブログ記事作成,投稿機能部分にも乙標章が商標として使用されて いるといえること, ブロマガ(β(ユーザー向けver))運営規約ではブ ログ開設及びブログ記事作成,投稿機能についても説明していることから,ブログ開設及びブログ記事作成,投稿機能部分に乙標章を商標として使用している。 イ メタタグでの使用 ドワンゴは,乙標章を,ニコニコのウェブサイトのトップページのHTMLソースコードの記述メタタグに記載している。記述メタタグを記載することにより, インターネットユーザーが検索エンジンに当該単語を入力すれば,当該ウェブサイトやその内容の説明文及び概要がウェブサイトのタイトル 等として表示されるから,記述メタタグに使用する行為も, 役務に関する広告・を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為・・ (商標法2条3項8号)に該当する。 (ドワンゴの主張) ア ニコニコのウェブページでの表示 ドワンゴは,ユーザーによるブログ開設及びブログ記事作成,投稿機能部 分,それに伴うブログ記事のサーバーの記憶領域への蓄積過程において,商標として乙標章を使用していない。 すなわち,乙ウェブサイト中のブログ開設のトップページを開くにはブログを開設やブログをはじめると表示された部分をクリックし,開いたウェブページでブログを開設する。さらにブログ開設後のウェブページで 投稿と表示された部分をクリックすると,ブログ記事作成画面が開き,同画面でブログを作成することができる。 そして, ブログ記事を作成した後, 保存して投稿と記載された部分をクリックすると,投稿が完了し,当該記事コンテンツのウェブ上での閲覧が可能となる。 メール配信する設定で投稿 を選んでいる場合にはウェブ上への公開と同時に購読者にメールでも 配信される。 なお,ブログ開設ページやブログ記事作成ページ等の上部(ヘッダー)には, 動画 静画 生放送 チャンネルなどと並んでブロマガと表 示されたグローバルナビゲーションがあるが,これはブロマガ閲覧用のトップページへのリンクであり,ブログ開設ページやブログ記事作成ページを開 くために使用するものではない。また,上記のこれらのページには投稿した記事はブロマガとして配信!等の記載があるが,これらの記載は,ユーザーが作成したブログ記事がブロマガとして配信されることを説明するものである。さらに,ドワンゴのブログサービスの運営規約を表示すると,ブロマガβ(ユーザー向けver)運営規約 と題する規約が表示されるが, 同規約は記事コンテンツをブロマガとして配信するための規約であり,ブログ開設及びブログ記事作成,投稿機能部分にブロマガの表記は使用されていない。 イ メタタグでの使用 標章をウェブサイトのHTMLファイルの記述メタタグに記載したとしても,かかる標章が需要者に視認されることはないから,メタタグに標章を 記載する行為は商標法上の使用には該当しない。検索サイトのウェブページ上に検索結果の表示として記述メタタグと同一の記載が表示されたとしても, これは検索サイトの提供事業者が記述メタタグの記載を検索結果として表示しているにすぎず,メタタグに標章を記載する行為は検索サイト事業者のシステムに対する情報提供にすぎない。したがって,ドワンゴがウェ ブページのHTMLファイルのメタタグに乙標章を記載する行為は,乙標章を自他識別機能を果たす態様で使用するものでなく, 出所の混同が生じるお それがある使用とはいえないから, 役務に関する広告・・・を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為に該当しない。また,メタタグとして自他識別機能を有しない態様での標章の使用は商標としての 使用には該当しない(商標法26条1項6号) 。 争点1 -3(先使用権の抗弁の成否)について (ドワンゴの主張) ドワンゴは,ブログ記事配信サービスを開始した平成24年8月21日から,同サービスに乙標章を使用しており,甲商標の登録出願日(平成24年9月13日)より前から,不正競争の目的なく継続して乙標章を使用していた。また,ドワンゴは,インターネットを通じた各種娯楽サービスの先駆企業であり,動画等共有・配信サービスであるニコニコは甲商標の登録出願日時点において広く知られていた。そして,ドワンゴは,平成24年夏頃,ニコニコの新たなサービスとしてブログ記事配信サービスを企画し,同年8月21日に CHブロマガサービスを開始した。 CHブロマガサービスは,著名なサ ービスであるニコニコが提供する新たなサービスとして開始前から多くの社会的関心を集め, 新聞やインターネット等で広く取り上げられた。 このように, 乙標章は,甲商標の登録出願日において,ニコニコの高い著名性と相まって,需要者に,ドワンゴのサービスを表示するものとして広く認識されていた。したがって,ドワンゴは乙標章について先使用権(商標法32条1項前段)を有する。 (FC2の主張) FC2は,従前から,インターネットサービスを行う企業として広く知られており,平成21年1月20日, ブロマガの名称を用いて,ユーザーが投稿 したブログ記事の閲覧に課金できるブログサービスを世界で最初に開始し,こ のことは複数のインターネットメディアで宣伝された。また,FC2ブログは多数の書籍で紹介され,さらに,ライブドア株式会社の創業者として著名なA氏も,FC2のブログサービスからブログ記事を配信している。このように,甲標章は,FC2の高い著名性と相まって,需要者に,FC2のサービスを表示するものとして広く認識されていた。 そして, ドワンゴは, 周知性のある甲標章の顧客吸引力等を利用するために, 乙標章の使用を開始したのであるから,ドワンゴによる乙標章の使用は,不正競争の目的によるものである。 また, 乙標章は, 甲商標の登録出願日において, 需要者にドワンゴのブログサービスを表示するものとして広く認識されていたともいえない。 したがって,ドワンゴは乙標章について先使用権を有しない。 争点1 -4(甲商標の無効の抗弁の成否)について (ドワンゴの主張) 仮に,ドワンゴが提供するブログサービスが甲商標の指定役務であるインターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与に該当するのであれば,乙標章は,ドワンゴのブログサービスに係る役務を表示するものとして, 甲商標の出願登録日前から需要者の間で周知であることから, 甲商標は, 商標法4条1項10号の無効理由があり,無効審判により無効とされるべきものであるから,FC2は甲商標に係る商標権を行使することができない。(FC2の主張) 前記 のFC2の主張のとおり,甲標章はFC2のブログサービスに係る役 務を表示するものとして需要者に広く認識されていて乙標章よりも認知度が高く, 乙標章は, ドワンゴのブログサービスに係る役務を表示するものとして, 甲商標の出願登録日前から需要者の間で周知であるとはいえず,また,ドワンゴによる乙標章の使用自体が不正競争行為であるから,甲商標に商標法4条1項10号の無効理由があるとはいえない。 争点1 -5(商標権の正当な権利行使の抗弁の成否)について (ドワンゴの主張) ドワンゴは, 電子出版物の提供を指定役務に含む乙商標に係る商標権を 有しており,後記 のドワンゴの主張のとおり,ドワンゴのブログサービスは 電子出版物の提供に該当するから,ドワンゴは,乙商標に係る商標権に基づく正当な権利行使として乙標章をブログサービスに使用しているのであって,FC2の甲商標に係る商標権を侵害するものではない。 (FC2の主張) 後記 のFC2の主張のとおり,FC2のブログサービスが電子出版物の提供には該当しないのと同じ理由により, ドワンゴのブログサービスは, 電子出版物の提供には該当しないから,ドワンゴが乙商標に係る商標権を有しているとしても,正当な権利行使には該当しない。 また,前記 のFC2の主張のとおり,甲標章は,FC2のサービスに係る 役務を表示するものとして,甲商標の出願登録日前から需要者の間で周知であることから, 乙商標には, 商標法4条1項10号又は15号の無効理由があり, 無効審判により無効とされるべきものであるから,ドワンゴは乙商標に係る商標権を行使することができない。 また,ドワンゴの乙商標の出願登録は,周知であった甲標章にただ乗りするものであり,ドワンゴが商標権侵害を主張することは権利の濫用に該当する(民法1条3項) 。 争点1 -6(損害の発生及び損害額)について (FC2の主張) ア 損害の発生 ドワンゴは,FC2はインターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与の指定役務について甲商標を使用しておらず,甲商標には,FC2の上記指定役務を示す商標として,FC2の業務上の信用力は化体されておらず, 甲商標には顧客吸引力はないから損害は発生しないなどと 主張するが, 商標権者が当該商標権を使用していないことは商標権侵害によ る損害が発生しないことの理由にはならない。 イ 商標法38条2項に基づく損害 ドワンゴが,平成25年11月1日から平成28年9月末日までに,ニコニコ運営によって得た有料会員費(プレミアム会員費)は,●(省略)● であること,プレミアム会員費は,ユーザーのドワンゴのブログサービスに対する対価を含み,その割合は50%を下らないこと,ドワンゴのブログサービスの利益率は35%を下らないことから,各月に受け取ったプレミアム会員費にこれらの割合を乗じ,合計するとドワンゴがニコニコのブログサービスによって得た利益は●(省略)●であり,同額がFC2の損害額と推定 される。 ウ 商標法38条3項に基づく損害 前記イのとおり,ドワンゴが,平成25年11月1日から平成28年9月末日までに, ニコニコ運営によって得た有料会員費 (プレミアム会員費) は, ●(省略)●であること,プレミアム会員費はユーザーのドワンゴのブログサービスに対する対価を含み,そのサービスの割合は50%を下らないこと,甲商標の使用料相当額は使用対価の10%を下らないことから,各月に受け取ったプレミアム会員費にこれらの割合を乗じ,合計するとFC2がドワンゴによる乙標章の使用に対して受けるべき金銭は●(省略)●であり,同額がFC2の損害額と推定される。 (ドワンゴの主張) ア 損害の発生 FC2は,提供するブログサービスのうち,ブログ開設及びブログ記事作成,投稿機能部分についてはFC2ブログの名称を使用してサービスを提供しており,FC2はインターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与の指定役務について甲商標を使用していない。このこと は,前提事実 のとおり,甲商標のうち,インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与を含む指定役務の一部についての不使用取消審判が確定しているからも明らかである。そうすると,甲商標には,FC2の インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与の指定役務を示す商標として,FC2の業務上の信用力は化体されてお らず,甲商標には顧客吸引力はない。他方, り,乙標章はユーザーに広く認知されており,乙標章には高い顧客吸引力がある。甲商標には顧客吸引力はなく,ドワンゴが甲商標と類似する乙標章を使用したとしても,ドワンゴが提供する役務の売上に全く寄与しておらず,また,FC2は甲商標をインターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与の指定役務には使用していないため,ドワンゴによる乙標章の使用によって甲商標の出所表示機能が害されるとはいえず,市場において,FC2のインターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与の指定役務に係る売上が減退するとはいえないのであって,損害は発生しないから,商標法38条2項及び3項の適用はない。 イ 商標法38条2項に基づく損害 ドワンゴが,平成25年11月1日から平成28年9月末日までに,ニコニコ運営によって得た有料会員費(プレミアム会員費)は,●(省略)●であることは認める。 仮に,商標法38条2項による損害額の推定規定の適用があるとしても,損害額の算定に際しては,インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与の指定役務と類似する役務であるユーザーによるブロ グ記事のサーバーへの蓄積機能の提供部分に乙標章を使用することで得た利益のみが算定根拠となる。ニコニコのプレミアム会員は,多様な特典が得られるのであり, ブログを開設できることは多様な特典の中の一つにすぎな いこと,プレミアム会員はブログ開設の有無にかかわらず,定額のプレミアム会員費を支払う必要があること,CHブロマガはプレミアム会員でない者もブログを開設しており,サーバーの記憶領域の使用料を支払っていないこと等から,プレミアム会員費には,サーバーの記憶領域の使用料の対価は含まれておらず, プレミアム会員費は同項の損害額の算定根拠にはならないし, 仮に,同項の算定根拠となるとしても,プレミアム会員費のうちサーバーの記憶領域の使用料が占める割合はごくわずかである。 また, プレミアム会員費における利益率は● (省略) ●であること,(省 ● 略)●であることから,各月に受け取ったプレミアム会員費にこれらの割合を乗じ,合計するとドワンゴがインターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与の指定役務と類似する役務に乙標章を使用することによって得た利益は●(省略)●を上回ることはない。 また, ニコニコのプレミアム会員に提供される特典サービスにおけるブログ開設特典の重要性は低いこと,FC2は甲商標をブログ開設部分に使用しておらず,甲商標には顧客吸引力はなく,他方,乙標章には高い顧客吸引力 があること,ドワンゴは,ブログ記事のサーバー領域への蓄積過程部分に商標として乙標章を使用していないことからして,上記利益のうち99.95%については商標法38条2項による推定が覆滅される。 したがって,仮に商標法38条2項が適用されるとしても,同項の適用によって算出される損害額は0円であり,また,仮に何らかの損害額が算出されるとしても,その額は●(省略)●を上回ることはない。 ウ 商標法38条3項について 仮に,商標法38条3項による損害額の推定規定の適用があるとしても,ドワンゴがインターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与の指定役務と類似する役務に乙標章を使用することによって得た利益は●(省略)●を上回ることはなく,前記イで指摘した事実からすれば,甲商標の使用料率は0.01%を上回ることはない。 したがって,仮に商標法38条3項が適用されるとしても,同項の適用によって算出される損害額は0円であり,また,仮に何らかの損害額が算出されるとしても,その額は●(省略)●を上回ることはない。 争点1 -1 (ドワンゴによる乙標章の使用は不正競争防止法2条1項1号 の不正競争に該当するか)について (FC2の主張) ア FC2は,平成21年1月20日以降,ブログサービスの名称等として甲標章を使用しており,甲標章(ブロマガ)はFC2のブログサービスの営業についての商品等表示に該当する。 そして, 前記 のFC2の主張のとおり, 甲標章はFC2のブログサービスの表示として,広く需要者に認識されてい る。 イ ドワンゴは,甲標章と同一又は類似する乙標章を,ドワンゴが提供するブログサービスの表示として乙ウェブサイトで使用し,また,乙ウェブサイトのHTMLファイルにおいて,記述メタタグに使用している。 ウ FC2が提供するサービスとドワンゴが提供するサービスは同種サービスであり,ドワンゴがブログサービスの表示に乙標章を使用することは,FC2のブログサービスとの混同を生じさせるおそれを有するものである。エ したがって,ドワンゴによる乙標章の使用は不正競争防止法2条1項1号の不正競争に該当する。 (ドワンゴの主張) 否認ないし争う。 ア 甲標章がFC2のブログサービスの表示として使用されていることは認 めるが,甲標章がFC2のブログサービスの表示として,需要者に広く認識されているとはいえない。 イ ドワンゴが,甲標章と同一又は類似する乙標章を,ドワンゴが提供するブログサービスの表示として乙ウェブサイトで使用し,また,乙ウェブサイトのHTMLファイルにおいて記述メタタグに使用していることは認めるが,記述メタタグとして使用することは,前記 のドワンゴの主張のとおり,商 標法上の使用に該当しないのと同様の理由により,不正競争防止法2条1項1号の使用に当たらない。 ウ FC2が提供するサービスとドワンゴが提供するサービスが類似するこ とは認めるが,甲標章がFC2のブログサービスの表示として,需要者に広く認識されているとはいえないから,ドワンゴがブログサービスの表示に乙標章を使用することでFC2のブログサービスとの混同が生じるおそれはない。 争点1 -2(商標権の正当な権利行使の抗弁の成否)について (ドワンゴの主張) 前記 のドワンゴの主張のとおり,ドワンゴは,乙商標に係る商標権に基づ く正当な権利行使として乙標章をブログサービスに使用しているのであって,不正競争行為には該当しない。 (FC2の主張) 前記 のFC2の主張のとおり,ドワンゴが乙商標に係る商標権を有しているとしても,正当な権利行使には該当しない。 争点1 -3(損害の発生及び損害額)について (FC2の主張) ア 不正競争防止法5条2項に基づく損害 前記 のとおり, ドワンゴがニコニコのブログサービスによって得た利益 は●(省略)●であり,同額がFC2の損害額と推定される。 イ 不正競争防止法5条3項1号に基づく損害 前記 のとおり, FC2がドワンゴによる乙標章の使用に対して受けるべ き金銭は●(省略)●であり,同額がFC2の損害額と推定される。(ドワンゴの主張) ア 不正競争防止法5条2項に基づく損害 前記 のドワンゴの主張と同じ理由によって,本件で,不正競争防止法5 条2項の適用はなく,仮に同項が適用されるとしても,同項の適用によって算出される損害額は0円であり,また,仮に何らかの損害額が算出されるとしても,その額は●(省略)●を上回ることはない。 イ 不正競争防止法5条3項1号に基づく損害 前記 のドワンゴの主張と同じ理由によって,本件で,不正競争防止法5 条3項1号の適用はなく,仮に同項が適用されるとしても,同項の適用によって算出される損害額は0円であり,また,仮に何らかの損害額が算出されるとしても,その額は●(省略)●を上回ることはない。 争点2-1 (FC2が提供する役務が乙商標の指定役務と同一又は類似であ るか)について (ドワンゴの主張) ア FC2のブログサービスは, 乙商標の指定役務である 電子出版物の提供 に該当する。 すなわち, 電子出版物の提供とは,電子書籍のみならず,電子雑誌やブ ログ,オンデマンド印刷等の多彩なコンテンツが含まれ,ウェブ閲覧,配信に供されるブログ記事も電子出版物に該当し,FC2が提供するサービスは, 電子出版物の提供に該当する。 FC2のブログサービスでは,作成者が記載したテキストデータがそのままの形式で閲覧可能になるものではなく,FC2のウェブサイトの閲覧用ウ ェブページのフォーマットに合わせ,特有の形式に変換された上で公開されること,公開されたブログ記事は,FC2によってランキングが付され,公表される上,キーワードやジャンルによる検索も可能となること,FC2のブログサービスは,雑誌(マガジン)のようにブログの有料記事を定期購読させるものであることから,単に投稿された記事コンテンツのデータをその ままインターネット上で閲覧に供するだけのサービスではなく,アップロードされたデータを閲覧者が読みやすいフォーマットあるいは定期購読に適したフォーマットに変換し検索の便宜も図った上でFC2が記事コンテンツを配信しているものであって電子出版物の提供に該当する。 なお,FC2のブログサービスにおいて記事コンテンツを閲覧するには, HTML形式でブロマガ更新通知メールに記載された更新内容を閲覧する方式と, 配信された記事URLにアクセスしてウェブページで記事を閲覧 する方式が存在するが,このような技術的な方式の違いにかかわらず,記事コンテンツの閲覧を希望する購読者に対して記事コンテンツを閲覧させるサービスであることには変わりがないから,記事コンテンツを購読者に対し てHTML形式で閲覧させる方式で配信する場合と,ウェブページを通じて閲覧させる方式で配信する場合のいずれもが電子出版物の提供に該当する。 イ FC2は,FC2のブログサービスはインターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与に該当すると主張するが,FC2のブログサービスのうち,ブログ開設及びブログ記事作成,投稿機能部分はFC2ブログの名称で提供されており,記事コンテンツを別途配信する場合には, ブロマガの設定 という設定画面において, 作成した記事コンテンツを ブロマガとして配信する設定を行う必要がある。すなわち,FC2のブログサービスのうち, ブログ開設及びブログ記事作成, 投稿機能部分には FC2ブログの表示が使用され,ブログの配信機能にのみ甲標章が使用されており,ブログの配信機能部分はインターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与に該当しない。また,FC2のブログサービスは,購読者から得る購読料によって収益を上げていること,同サービスの広告や報道においてもブログ記事配信機能が強調されていること, ブロマガ はブログマガジンの略称であることを踏まえると,FC2のブログサービスもドワンゴのブログサービスと同様に,購読者に対するブログ記事の配信が主たるサービスであり, インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与に該当しない。(FC2の主張) 乙商標の指定役務である電子出版物の提供の電子出版物とは,いわゆる電子書籍を意味し,インターネット上のブログ記事は含まれないから,FC2のブログサービスは電子出版物の提供に該当しない。 また,FC2のブログサービスのうち,購読者に対するブログ記事の配信機能に着目したとしても,ブログ記事の配信を行う主体はユーザーであり,FC 2ではなく,FC2はその媒介をしているにすぎない。FC2やドワンゴのブログサービスは,いずれも著名人によるブログ記事の配信を強調しており,需要者からも配信の主体はチャンネルオーナーやユーザーであると認識されているといえる。したがって,ブログ記事の配信が電子出版物の提供に該当するとしても,FC2のブログサービスは電子出版物の提供の媒介であっ て, 電子出版物の提供には該当しない。 争点2-2(先使用権の抗弁の成否)について (FC2の主張) FC2は,平成21年1月20日,甲標章の名称を用いて,ユーザーがブログ記事の閲覧に課金できるブログサービスを世界で最初に開始し,このことは複数のインターネットメディアで宣伝され,FC2のブログサービスは多数の書籍で紹介され,FC2のブログサービスは著名人にも利用されるなどした。また, FC2はインターネットサービス等を行う企業として広く知られている。このように,FC2は,ドワンゴが乙標章を用いてブログサービスの提供を開始した日の3年以上前から,甲標章の名称を用いて,ブログサービスを開始しており,不正競争の目的なく,甲標章の使用を開始し,乙商標の登録出願日時 点で,甲標章は,FC2の高い著名性と相まって,需要者である日本全国のインターネットユーザーの間に,FC2のブログサービスを表示するものとして広く認識されていた。 したがって,FC2は甲標章について先使用権を有する。 (ドワンゴの主張) 乙商標の出願登録日時点において,甲標章がFC2のブログサービスの表示として,需要者に広く認識されているとはいえないから,FC2は甲標章について先使用権を有しない。 争点2-3(乙商標の無効の抗弁の成否)について (FC2の主張) 前記 のFC2の主張のとおり,甲標章は,FC2のブログサービスに係る 役務を表示するものとして,甲商標の出願登録日前から需要者の間で周知であることから, 乙商標には, 商標法4条1項10号又は15号の無効理由があり, 無効審判により無効とされるべきものであるから,ドワンゴは乙商標に係る商標権を行使することができない。 また,ドワンゴの乙商標の出願登録は,周知であった原告標章にただ乗りするものであり, ドワンゴが商標権侵害を主張することは権利の濫用に該当する (民法1条3項) 。 (ドワンゴの主張) 前記 のドワンゴの主張のとおり,乙商標の出願登録日時点において,甲標 章がFC2のブログサービスの表示として,需要者に広く認識されているとはいえないから,乙商標には,商標法4条1項10号又は15号の無効理由があり,無効審判により無効とされるべきものではなく,また,ドワンゴが乙商標にかかる商標権侵害を主張することは権利の濫用にも該当しない。争点2-4(商標権の正当な権利行使の抗弁の成否)について (FC2の主張) FC2は,甲商標及び甲-2ないし4商標に係る各商標権を有しており,FC2が提供するブログサービスは,甲商標の指定役務インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与,甲-2商標の指定役務インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与,甲-3商標 の指定役務 ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供 , 甲-4商標の指定役務 オンラインにおけるブログ作成用コンピュータプログラムの提供にそれぞれ該当するから,FC2は,甲商標に係る商標権に基づき,甲標章をブログサービスに使用しているのであって,ドワンゴの乙商標に係る商標権を侵害するものではない。 ドワンゴは, 甲商標及び甲-2ないし4商標と甲標章はいずれも同一ではな いから商標権の正当な権利行使とはいえないと主張するが,甲商標及び甲-2ないし4商標はいずれもブロマガを文字又は称呼として含む商標であり,可分の関係にあるので実質的に甲標章と同一である。 (ドワンゴの主張) 前記のとおり,FC2やドワンゴが提供するブログサービスは,甲商標や甲 -2商標の指定役務 インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与に含まれず,また,FC2が主張する甲-3,4商標の上記各指定役務のいずれにも含まれていないこと,また,甲商標及び甲-2ないし4商標と甲標章はいずれも同一ではないから,FC2が上記各商標に係る商標権を有しているとしても, FC2によるブログサービスの提供は商標権の正当な権 利行使とはなり得ない。 争点2-5(損害の発生及び損害額)について (ドワンゴの主張) ア 損害の発生 ドワンゴは乙商標をニコニコのブログサービスの表示として使用しており,高い顧客吸引力を有するから,FC2による甲標章の使用によって乙商標の出所表示機能が害されて,市場において,ドワンゴの売上が減退する関 係にあるから,商標法38条2項及び3項の適用はある。 イ 商標法38条2項に基づく損害 平成25年10月1日から平成30年6月末日までのFC2のブログの配信サービスの購読料の合計額は●(省略)●であり,そのうち,FC2がサービスの対価として受領したシステム使用料及びアフィリエイト手数料 の合計額は●(省略)●であり,同額から決済業者に支払う決済手数料を控除した●(省略)●がドワンゴの損害額と推定される。 これに対し,FC2はFC2ブログの開発保守費やサーバー費用を案分することで算出されるブロマガ負担保守運営費も経費として控除すべきであると主張するが,FC2ブログの開発保守費やサーバー費用は売上とは関係 なく,不自然に増加している期間があることからすると,同費用は限界利益であるとはいえず,控除対象とはならない。 また,FC2は,利益のうち99.5%については商標法38条2項による推定が覆滅されると主張するが,原告の主張する事項はいずれも減額事由とはならない。 ウ 商標法38条3項に基づく損害(予備的主張) 前記イのとおり,FC2は,平成25年10月1日から平成30年6月末日までに,FC2がサービスの対価として受領したシステム使用料及びアフィリエイト手数料の合計額は●(省略)●であると主張するところ,乙商標の高い顧客吸引力等に鑑みれば,乙商標の使用料相当額は使用対価の10%を下らないことから,ドワンゴがFC2によって得た利益は●(省略)●で あり,同額がドワンゴの損害額と推定される。 エ 弁護士費用相当額の損害 弁護士費用相当額の損害は,前記イの場合は●(省略)●である。 (FC2の主張) ア 前記 のFC2の主張のとおり,乙商標の指定役務である電子出版物の提供の電子出版物とは,いわゆる電子書籍を意味し,インターネット上のブログ記事は含まれず,ドワンゴは乙商標を使用していないから,FC2による甲標章の使用によって乙商標の出所表示機能が害されて,市場において,ドワンゴの売上が減退することにはなりえず,損害は発生していないから,商標法38条2項及び3項の適用はない。 イ 平成25年10月1日から平成30年6月末日までのFC2のブログの配信サービスの購読料の合計額は●(省略)●であり,そのうち,FC2がサービスの対価として受領したシステム使用料及びアフィリエイトの合計額は●(省略)●である。 ウ 商標法38条2項に基づく損害 FC2がブログサービスで得た利益 (限界利益) を算定するに当たっては, 前記イのシステム使用料及びアフィリエイト使用料から,決裁手数料及びブロマガ負担保守運営費を控除する必要があり,これらの経費を控除すると平成25年10月1日から平成30年6月末日までは●(省略)●のマイナス であり,利益は出ていない。なお,黒字の月だけを積算しても利益は●(省略)●である。 また,損害額の算定に際しては,ドワンゴ及びFC2のブログサービスはいずれも電子出版物の提供に該当しないこと,甲標章は,主にFC2ブログユーザー向けにFC2のブログサービスの説明をする態様で使用されており, ユーザーに対するブログ購入を誘引する形態での使用は少ないこと,甲標章はFC2のブログサービスの表示として高い顧客吸引力があり,他方, 乙商標には顧客吸引力はないこと等から,FC2が得た利益のうち99.5%については商標法38条2項による推定が覆滅される。 エ 商標法38条3項に基づく損害 前記ウの事情に照らせば,乙商標の使用料率は0.01%を上回ることはない。 第3当裁判所の判断 1争点1 -1 (ドワンゴが提供する役務が甲商標の指定役務と同一又は類似で あるか)について 証拠(甲49~53,72~76,乙177~187,206~209。特に関係が深い書証は以下にも掲記する。 )及び弁論の全趣旨並びに当事者間に 争いのない事実を総合すれば,次の事実が認められる。 ア ドワンゴは,インターネット上で,動画等のコンテンツの配信やそのたの各種サービス(ニコニコ)を提供しており,そのうち,平成24年8月に開始したCHブロマガサービスは,チャンネルオーナーと呼ばれる,ドワ ンゴと契約した企業,著名人等が記事コンテンツの投稿,配信を行い,ユーザーが記事コンテンツをウェブサイトで閲覧をしたり,配信を受けたりすることができるサービスであり,平成25年1月に開始したユーザーブロマガサービスは,ドワンゴがインターネット上で提供するサービスについての会費を支払ったプレミアム会員がブログを開設することができるととも に,そのブログ記事を配信することもでき,ユーザーが記事コンテンツをウェブサイトで閲覧をしたり,ブログ記事の配信を受けたりすることができるサービスである。 イ ドワンゴが提供するサービスであるニコニコのウェブサイトのウェブページ最上部には, 動画生放送チャンネルなどの項目が並んで , , 表示されている欄があり,その中にブロマガとの項目があった。 また, ニコニコのウェブサイトのトップページ左側には, サービス と の項目の下に, 動画静画生放送などのサービスの項目が表示さ , , れており,その中にブロマガチャンネルとの項目が表示されてい , た。 (乙183,206) 前記 のウェブページ最上部又はトップページ左側のブロマガの項 目の表示をクリックすると,上部にニコニコチャンネルブロマガと いう表示があるウェブページが開く。ユーザーは,このウェブページで,CHブロマガやユーザーブロマガのブログ記事を閲覧することが できる。 このウェブページの最上部には, ブログを開設 との項目が表示され, 同ページの中段右側には, ブログをはじめるとの項目が大きめに表示 されていた。 (乙206) 前記 のブログを開設との項目又はブログをはじめるとの項目 の表示部分をクリックすると,上部に大きく 「書こう。ブログとメールマガジンがひとつになった[書くニコニコ]」 という記載があり,自分のブログをすぐに持てるシンプルで使いやすい投稿した記事はブロマ,,ガとして配信!などの記載があるウェブページが開く。上記ウェブページの中段及び下段には,今すぐはじめる との記載があり, その記載部分 をクリックすると, 「ご利用のプランを選択して下さい。」 という表示がされ,一般ユーザー向けと企業・団体・商業利用向けとの選択肢が表 示される。 一般ユーザー向けには, 「シンプルに記事を書きたいかたはこちらがオススメです。誰でもすぐに開設できます。」 との記載がある。一般ユーザー向けの項目の表示部分をクリックすると, ブロマガ(β(ユーザー向けver)運営規約 ) と題する運営規約が表示されて同規約下 部の規約に同意するとの部分をクリックし,次に表示されるメールアドレス入力画面,URL登録画面において所定の操作を行うと,ユーザーはブログを開設することができる。 (乙206) 前記 ないし の操作を行ってブログを開設したユーザーが,前記 ニコニコチャンネルのブロマガという表示があるウェブページの上部 右側の投稿との項目をクリックするなどすると,ブログ記事作成ページが開く。 ブログ記事を作成したいユーザーは,前記 のブログ記事作成ページで, 記事タイトルと本文を入力する。 当該ページ上部右側には, 下書き保存 , 保存して投稿 との項目があ り, 保存して投稿 との項目をクリックすると, 作成されたブログ記事の データがアップロードされてドワンゴのサーバーに蓄積され,他のユーザーは当該記事をニコニコのウェブサイトで閲覧することができるようになる。 ユーザーが最初に記事を投稿する際には, メール配信する設定で投稿 するか, メール配信せずに投稿するかを選択する画面が立ち上がる。 メール配信する設定で投稿の項目には, 「記事は公開時にメールで購読者に配信されます。,」 「配信する設定の記事は,公開時にあなたのブロマガを購読している人に配信されます。」 との説明文が表示され,メール配信せずに投稿の項目には, 配信機能自体もOFFにする , メール配信をするつもりがない場合はこちらという説明文が表示される。ユーザーが, メール配信する設定で投稿の項目の表示部分をクリッ クすると,投稿したブログ記事は,当該ユーザーのブログを購読している他のユーザーにメール配信される。 メール配信せずに投稿の項目の表 示部分をクリックすると,投稿したブログ記事が他のユーザーにメール配信されることはない。 ウ ユーザーは,ニコニコの会員でない者も含めて,ブログ開設者がアップロードしたブログ記事をニコニコのウェブサイト上で閲覧することができる (前記イ 。 ニコニコのウェブサイトのブログ記事閲覧ページには, 上 部左側に・・・(ブログ開設者のユーザー名)のブロマガ ,上部右側には ブロマガ (ただし, ロの文字は,四角が表示され,ペンで3行の文章 を書いている様子が描かれている。の表示がされる。 ) そして, その表示の下 に,ブログ開設者が記載した表題とその投稿日時が表示され,その下に本文の文章が表示される。 ニコニコの会員(無料会員,有料会員)は,他のユーザーが開設したブログを購読することができ,購読した場合には,当該ブログ開設者がブログ記事をアップロードすると,このブログ記事のメール配信を受けることができる。 エ ニコニコの有料会員であるプレミアム会員の説明には,その特典として, 動画を視聴するときの特典生放送を楽しむときの特典動画を投稿,,するときの特典その他特典があると説明され,, その他特典として, 「【ブロマガ】ブログの開設。」 があることが記載されている。(乙188)ブロマガ」サービスは,会費を支払った会員が,ニコニコのウェブサイトにブログを開設してブログ記事を作成し,アップロードして他のユーザーにブログ記事をウェブ閲覧させることができるもので, メールを配信するとの設定をし た場合には,当該ブログを購読するとの設定をしている他のユーザーにブログ記事を配信することができるサービスであり,また,ユーザーが,ブログ記事 をウェブで閲覧することができ,ブログを購読した場合には,更新したブログに関する配信を受けることができるサービスであるといえる。 このサービスにおいて,ユーザーが自らのブログ記事を作成してウェブサイトにアップロードした際には,ドワンゴが設置管理するサーバーの記憶領域にブログ記事のデータを保存しており,ドワンゴは,サービス利用者に対し,サービス利用者自身のブログを開設し,ブログ記事を作成し,投稿するために必要となるサーバーの記憶領域を提供しているといえ,ブログの開設及びブログ記事の作成,投稿機能を含むドワンゴのブログサービスは,インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与に類似するといえる。これに対し,ドワンゴは,本件で問題となるブログに関するサービスにおいてサーバーの記憶領域への保存の過程があることは認めつつ,役務の提供に付 随して提供される業務は商標法上の役務には含まれないと解すべきであるところ,ニコニコのブログサービスの中心となるのはCHブロマガであり,ニコニコのブログサービスは購読者に対する記事コンテンツの配信が主たるサービスであること, ブログ記事の作成やウェブサイトでの閲覧機能は独立し たサービスではなく, ブログ記事の配信サービスと分離して取引されていない こと, ドワンゴはサーバーの記憶領域の保存過程について対価の支払を受けていないこと等から,ブログ開設及びブログ記事作成,投稿機能は,他の役務の提供などに付随して提供される業務であって商標法上の役務ではない旨主張する。 ある業務を行うに当たり必然的に伴う役務における標章の使用に対し,その 役務と同一又は類似する役務を指定役務とする商標の商標権者が商標権の侵害を主張することができることが適当でない場合があるとしても,本件についてみると,一般的に,利用者がブログを開設,投稿して他人にそれを閲覧させるためのプラットフォームを提供するサービスは独立した役務といえるところ,前記 エのとおり,ニコニコのウェブサイトでは,会費を支払ったプレミ アム会員であれば享受することができるサービスの一つとして,自らブログを開設し, ウェブサイト上にブログを投稿することができることが明確に表示されている。また,サービスの利用にあたっても,ブログを開設することができることが表示され,それに従い所定の操作を行うことで,ブログが開設され,また,ユーザーがそのブログを閲覧することができる。ドワンゴがCHブロマガのサービスを提供し,また,ニコニコのウェブサイトでは,CHブロマガに関する表示があることは認められるが, CHブロマガは,著名人等の チャンネルオーナーが電子書籍形式の記事コンテンツの配信を行うものであって,このようなCHブロマガと,一般ユーザーによるブログ開設,ブログ記事投稿,配信機能であるユーザーブロマガとでは,サービスの内容が大きく異なる部分がある。また,前記 によれば,ニコニコのウェブサイト のトップページから ユーザーブロマガ を利用することができ, CHブロマガとは別に自らブログを開設等できるユーザーブロマガを利用する者も想定できる。これらに照らせば, ユーザーブロマガがCHブロマガに付 随するサービスとはいえない。また, ユーザーブロマガにおいては,ブログ 記事をウェブでユーザーから閲覧することができるようにするだけでなく,ブ ログ記事をメール配信することができ,それが特徴となっていることが認められる。しかし, ユーザーブロマガにおいて,ユーザーは全員がメール配信す るかしないかを選択することとなっていて,ブログを開設し,ブログ記事を投稿し,閲覧させる役務は,一般にも独立したサービスとして提供されているものである一方, ユーザーブロマガ において, ブログを開設しブログ記事を投 稿する者にとって,メールを配信しないことが例外的な態様であるとまではいえず,メールの配信が不可欠の要素となっているとはいえない。さらに,ニコニコのウェブサイトで提供するサービスについての対価は,ブログ記事を投稿等する機能のみに対する対価として徴収されているものではないものの,そもそも, その対価はニコニコのウェブサイトにおいて提供されている多様なサー ビス全ての対価であり,そこには独立して提供し得る様々なサービスが含まれていて, ブログ記事の配信という特定のサービスのみについての対価ではない。このことを考慮すると, ブログを開設等する機能のみに対する対価が徴収され ていないことが, 直ちにそれに関する役務が商標法上の役務といえないことの 根拠になるとはいえない。そして,対価を支払った会員が受けられるサービスの中には, 上記のように独立したサービスとして提供されるブログ開設及びブログ記事作成,投稿機能も含まれていることなどを考えると,本件の事実関係の下においては,ドワンゴが主張するようにユーザーブロマガサービスにおけるブログの開設及びブログ記事の作成・投稿機能が,他のサービスなどに付随して提供される業務であって商標法上の役務には含まれないということはできないというべきである。 また,ドワンゴは,インターネットを利用するほぼ全てのサービスが,サー バーの記憶領域への保存を伴うから,ドワンゴが提供するサービスが,甲商標の指定役務である インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与と同一又は類似すると解釈することは実務に混乱をきたすと主張する。しかし,インターネットを利用するサービスにサーバーの記憶領域への保存を伴うものが多いとしても,そのサービスには様々なものがあり,それらのサービスの全てにおいてサーバーへの記憶領域への貸与が独立した役務と認められるとは限らず,本件においては,本件で問題となっているサービスについて, ブログのためのサーバーの記憶領域の貸与が商標法上の役務と認められたものであり,ドワンゴの主張は採用することができない。 2争点1 -2 (ドワンゴによる乙標章の使用は甲商標の商標権を侵害する態様 での使用か)について ニコニコのウェブページでの表示について ア ニコニコのウェブページの表示は前記1 のとおりであって,ユーザーは, ニコニコのウェブサイトにおいて,次のとおり,ブログを開設し,ブログ記事を作成して投稿することとなる。 ニコニコのウェブサイトのウェブページ上部のブロマガの項目又はニコニコのウェブサイトのトップページ左側各種サービスの一覧中のブロマガの表示をクリックし, ニコニコチャンネルブロマガ と題する ウェブページを開く。 ニコニコチャンネルブロマガ と題するウェブページ上部右側の ブログを開設の表示又は同ページの中段右側のブログをはじめるとの 表示をクリックし, ブログとメールマガジンがひとつになった「書くニコニコ 」と題するウェブページを開き,同ウェブページで所定の操作を 行うことでブログを開設する。 ニコニコのウェブサイトでブログを開設したユーザーは, ニコニコチャンネルブロマガのウェブページの上部右側の投稿との表示をク リックするか,ニコニコのウェブページの上部左側のチャンネルとの表示をクリックすると開くニコニコチャンネルと題するウェブページの上部右側の 投稿 のタブをクリックしてブログ記事作成ページを開き, 所定の操作を行うことでブログ記事を作成し,投稿する。 イ ニコニコのウェブサイトのブログ記事閲覧ページには, 上部左側に・ ・・(ブログ開設者のユーザー名)のブロマガ ,上部右側にはブロマガの表 示がある。 ウ 上記ア,イによれば,ニコニコのウェブページでは,ブログを開設し,ブログ記事を作成して投稿するために, ブロマガ との項目をクリックし, ま た, ニコニコチャンネルブロマガのウェブページからブログ開設用の ウェブページを開く。 また, そのブログ記事の閲覧用のウェブページでも ブロマガの表示が使用されている。そうすると,乙標章は,ドワンゴが電磁的方法により映像面を介して, ユーザーによるブログ開設及びブログ記事作 成,投稿機能を提供するに当たって,その名称を示す標章として,役務の出所識別機能を果たす態様で映像面に表示されているといえる。 ドワンゴは,ユーザーによるブログ開設やブログ記事作成・投稿機能,それに伴うブログ記事のサーバー領域への蓄積過程において,商標として乙標章を使用していないと主張するが,上記に照らし採用することができない。メタタグでの使用について インターネットの検索エンジンの検索結果において表示されるウェブページの説明は、ウェブサイトの概要等を示す広告であるということができる。したがって, その説明が表示されるようにHTMLファイルにメタタグを記載することは役務に関する広告を内容とする情報を電磁的方法により提供する行為に当たるというべきであり,これに反するドワンゴの主張は採用することができない。 そして,ドワンゴは,乙標章を,ニコニコのウェブサイトのトップページの HTMLソースコードの記述メタタグに記載していることは当事者間に争いがなく,乙標章は,ニコニコのHTMLファイルにメタタグとして記載された結果、検索エンジンの検索結果において、ウェブサイトの内容の説明文ないし概要やホームページタイトルとして表示され、これらがニコニコのウェブサイトにおける,ブログ開設及びブログ記事作成,投稿機能を含む各種サービスの出所等を表示し、インターネットユーザーの目に触れることにより、顧客がニコニコのウェブサイトにアクセスするよう誘引するのであるから、ドワンゴによる乙標章のメタタグとしての使用は役務の出所識別機能を果たす態様で使用されているといえる。 以上によれば, ドワンゴによる乙標章の使用は甲商標の商標権を侵害する態 様での使用であるといえる。 3争点1 -3(先使用権の抗弁の成否)について 証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア ニコニコには,動画等のコンテンツ配信サービス等のサービスがあり,会員登録した者だけが閲覧又は視聴することができるコンテンツも多い。会員登録には,無料の一般会員と,視聴に際して様々な優遇が受けられる有料のプレミアム会員があり,平成21年12月時点での一般会員数は約1500万人,プレミアム会員数は約60万人,一日当たりの平均PV数(ウェブサイトの閲覧回数)は約6339万回,甲商標の登録日である平成24年9月13日時点での一般会員数は約2791万人,プレミアム会員数は175万人,一日当たりの平均PV数は約1億299万回であった。 (乙132) イ ドワンゴは,平成24年4月28日及び29日,千葉県千葉市において, 動画配信サービスであるニコニコ動画に関するイベントのニコニコ超会議を開催し,会場来場者数は9万2384人,インターネット上の来場者数は347万0766人であった。 (乙13) ウ ドワンゴは,平成24年8月21日,ニコニコのサービスの一つとして, CHブロマガを開始した。 CHブロマガのサービス開始は,開始日直 後に発行された新聞(日本経済新聞等)や経済誌で紹介されたほか,新聞社や雑誌出版社が提供するニュースサイトやポータブルサイト等,90件を超えるインターネットニュースで取り上げられた(乙18~109)。 エ 平成24年9月18日時点で, CHブロマガの購読登録者数は1万人 を超えていた。 (甲8) 甲商標の需要者は, インターネット上でブログを開設し, ブログ記事の作成, 投稿等を考えている者といえる。 そして,前記 のとおり,甲商標出願日時点において,ニコニコには300 0万人近くの会員がおり,多くのユーザーが同社のサービスを利用していたといえる。また, CHブロマガのサービス開始について,多数のインターネッ トニュースで取り上げられており, CHブロマガのサービスはニコニコを 日常的に使用していたユーザーやニコニコのサービスに関心を有する需要者の間では相当程度に周知されたことがうかがえる。しかしながら,ニコニコの 会員数が相当に多かったとしても,多数あるニコニコのサービスの一つであるブロマガの表示が同様に周知であるとはいえない。また,ニコニコの会員数が多くとも,一般会員は無料で登録可能であって,会員登録はしているものの,日常的に使用してはいない会員も相当数存在すると考えられる。これらの事情に加え,インターネットやブログに関心を有する者は相当に多く,甲商標の需要者は相当に広い範囲にわたると認められること, CHブロマガのサ ービス開始日 (平成24年8月21日) から甲商標の出願日 (同年9月13日) までの期間は1か月も満たず,サービス開始当初にニュース等で取り上げられたとしても,その後,長年にわたり多数の媒体で繰り返し取り上げられるなどして広く知られるに至ったというような事情はなく甲商標の登録出願日時点において,乙標章が,商標法32条1項にいう需要者の間に広く認識されてい た標章であったと認めるに足りない。 したがって,ドワンゴが主張する先使用権を認めることはできない。4争点1 -4(甲商標の無効の抗弁の成否)について 前記3で述べたところによれば,乙標章が商標法4条1項10号にいう需要者の間に広く認識されていたと標章であったとはいえないから,その余の点を判断するまでもなく, 甲商標に商標法4条1項10号の無効事由があるとは認められ ない。 5争点1 -5(商標権の正当な権利行使の抗弁の成否)について ドワンゴは, 甲商標に係る商標権に基づくFC2の請求に対し, ドワンゴは 電子出版物の提供を指定役務に含む乙商標に係る商標権を有しており,ドワンゴが提供するブログ記事配信サービスは電子出版物の提供に該当し,乙標章は乙商標に係る商標権に基づく正当な権利行使として使用されており,FC2の甲 商標に係る商標権を侵害しない旨主張する。 しかし,本件において,前記のとおり,ドワンゴのユーザーブロマガについては,ユーザーがブログの開設及びブログ記事の作成・投稿をすることができ る機能があり,これは,独立した役務といえると解されるところ,ドワンゴは,前記のとおり,上記役務を提供し,その機能の提供に関して甲標章が使われているといえる。ブログを作成するユーザーに提供されているこの役務は,その内容から電子出版物の提供に該当するとはいえない。ドワンゴの主張は採用することができない。 6争点1 -6(損害の発生及び損害額)について 損害の発生 第1事件について,FC2が損害の発生を主張するのに対し,ドワンゴは,損害の発生を否定する。 しかし,乙標章は,甲商標の指定役務と類似する役務に使用されており,その表示の態様も提供される役務に関係することが明らかで,乙標章の使用により,損害が発生したと認められる。そして,本件において,FC2は,後記9のとおり,ブログを開設し,投稿することができる役務の提供を行っており, ドワンゴの商標権侵害行為がなかったならばFC2が利益を得られたであろうという事情があると認められる。 商標法38条2項に基づく請求 ア ドワンゴが,平成25年11月1日から平成28年9月末日までに,ニコニコの運営によって得た会員費(プレミアム会員費)は,●(省略)●である(当事者間に争いがない。。 ) イ 証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ●(省略)●これに反するFC2の主張は採用することができない。 ドワンゴの事業サポート本部法務部知的財産セクションマネージャーであるBは,ニコニコのプレミアム会員のうち,平成25年11月から平成28年10月までの期間に,●(省略)●プレミアム会員は,前記イのとおり相当多数のサービスを利用することができること, ユーザーブロマガサービスは平成25年1月23日に開始され,ニコニコのサ ービスの中でも後発のサービスであるといえること(前提事実 )から すると,ニコニコのプレミアム会員のうち, ユーザーブロマガサービ スを利用していない会員の割合は相当に及ぶことが推測され,上記割合を不自然であることを認めるに足りる証拠はなく,ニコニコのプレミアム会員のうち,平成25年11月から平成28年10月までの期間に,●(省略)● ウ ドワンゴが,平成25年11月1日から平成28年9月末日までに,ニコニコの会員から得た会員費(プレミアム会員費)は,●(省略)●であり,前記 に照らし,●(省略)●上記の会員費を支払った者のう ち極めて多くの者は,そもそもブログの開設に関する役務を利用していないことに照らせば,ドワンゴが得た上記利益のうち,上記役務に関して乙標章を付したことによる利益といえる部分は相当に限られるとすることが相当である。また,ブログの開設は,ドワンゴによって提供されるニコニコにおける多くのサービスのうちの一つであり,それがニコニコにおけるサービスの一つであることも表示されていて,ブログを開設する需要者もそのことを認識していたと認められる。そして,上記 のようなサービスの一つであることを主な理由として,ドワンゴにより提供されるブログの開設等の役務を利用した者も多いと認められる。これらを考慮すると,乙標章を付したことにより得たといえるFC2の利益は相当程度限定されたものと認めることができ,ニコニコのプレミアム会員に対するブログを開設している者の割合や上記役務がニコニコにおけるサービスの一つであることに照らして,ドワンゴが乙標章を使用したことによって生じたFC2の損害額は,656万5554円●(省略)●であると算定することが相当である。 商標法38条3項に基づく損害 FC2はFC2が受けるべき金銭はニコニコ運営によって得た利益の1 0%を下らないと主張する。 しかしながら,前記 ウのとおり,上記の会員費を支払った者のうちの極め て多くの者は, そもそもブログの開設に関する役務を利用していないことやド ワンゴが乙標章の使用によって得たと認められる利益は ウのとおりで あることなどを考慮すれば,FC2が,ドワンゴが乙標章を使用したことに対し受けるべき金銭の額が 7争点1 -1 (ドワンゴによる乙標章の使用は不正競争防止法2条1項1号の 不正競争に該当するか)について 証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア FC2は,平成16年4月,FC2ブログのサービスを開始した。平成23年6月の1か月間のFC2ブログのアクセス数は4670万回,ドワンゴがCHブロマガサービスを開始した平成24年8月時点でのユーザー数 は473万0319人であった。 (甲64~66) イ FC2は,平成21年1月20日, ブロマガとの名称で,ユーザーが, FC2ブログで作成したブログ記事について,課金設定をして投稿することで, 購読料を支払ったユーザーのみが閲覧することができるサービスを開始した。 ブロマガのサービス開始は,少なくとも, MarkeZine , インターネットコムZDNet,JapanCNET,Japanのインターネットニュースで取り上げられた。(甲19~21) ウ ソシム株式会社が平成21年8月28日に発行したFC2ブログではじめるビジネスサイト構築レッスンブックは,FC2ブログの操作方法 等を解説する書籍であり,同書籍の28,29,30,32,104,12 1,127,143,144,153,162,163,170,199,243,245,246及び273頁には,FC2ブログの画面が掲載されており,同画面中にブロマガ始めませんか?との表示がある。 (甲23) エ 株式会社秀和システムが平成22年2月1日に発行したはじめてのブログで困った!これで解決は,FC2ブログやAmebaブログの操作方法等を解説する書籍であり,同書籍58頁には 「さらにFC2では,記事を有料で読んでもらうためのブロマガ設定も可能です。」 との記載がある。(甲24)オ 株式会社秀和システムが平成22年3月25日に発行したはじめてのFC2ブログは,FC2ブログの操作方法等を解説する書籍であり,同書籍には4頁 (226~229頁) にわたって, FC2ブログのブロマガ設定 (課 金設定) の操作方法やブロマガ設定されたブログ記事の購読方法の説明文がある。 (甲25) カ 株式会社翔泳社が平成22年7月14日に発行したネット副業の王様と題する書籍には,見開き2頁(74,75頁)の右上部にFC2ブログの画面が掲載されており,同画面中にブロマガの表示がある。(甲 26) キ 株式会社翔泳社が平成23年3月10日に発行したWebデザイン・フォーラム10人のプロが教える原則と経験則と題する書籍には,各 社が提供するブログサービスの機能を比較する説明があり,FC2ブログについて記事に課金する「ブロマガも利用可能。 」との記載がある。 (甲27) ク 株式会社秀和システムが平成24年3月10日に発行したはじめてのFC2ブログ最新かんたんブログ作成入門はFC2ブログの操作方法 等を解説する書籍であり,同書籍には4頁(222~225頁)にわたって,FC2ブログのブロマガ設定(課金設定)の操作方法やブロマガ設定されたブログ記事の購読方法の説明文がある。 (甲28) 本件における需要者は,インターネット上でブログを開設し,ブログ記事の作成,投稿及び配信を考えている者であるといえる。 そして,前記 のとおり,ニコニコのCHブロマガのサービス開始日(平 成24年8月1日)において,FC2ブログには400万人を超えるユーザーがおりFC2ブログのユーザー数は相当の数であったと認められるが,そのユーザー数には日常的に使用してはいないユーザーも相当数存在すると考えられるところ,それらのユーザーがFC2ブログの機能の一つであるブロマガを認識しているとは限らない。また,ブロマガのサービス開始を 取り上げたインターネットニュースも4件にとどまり,ブロマガの機能を説明する書籍はあるが,いずれもブロマガは書籍の一部に記載されているにすぎず,FC2ブログの画面表示の中にブロマガの文字が小さく表示されているにすぎない書籍もある(前記 ウ・カ) 。これらからすると,甲標 章がFC2のブログサービスを表示するものとして,需要者の間で広く認識されていると認めることはできない。 したがって,不正競争防止法に基づくFC2の請求には理由がない。 8小活 以上述べたところによれば,第1事件について,FC2はドワンゴに対し,民法709条及び商標法38条2項に基づき,損害賠償金656万5554円及び損害賠償請求の対象である不法行為が終了した日である平成28年9月30日から支払済みまで,年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができ,その余の請求には理由はない。 9争点2-1(FC2が提供する役務が乙商標の指定役務と同一又は類似であるか)について 証拠(乙136,137,139,142,143,145~148)及び 弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア FC2は,ユーザーが,ウェブサイト上にブログを開設し,ウェブページの入力フォームを使用してブログ記事を作成して,ウェブサイト上にブログ記事を投稿するためのプラットフォームを提供するサービスを提供している。インターネットのユーザーは,上記ブログ記事を閲覧することができる。FC2は,そのサービスにFC2ブログとの名称を付している。 イ FC2ブログには,ユーザーが,作成したブログ記事に一定の設定をして投稿することで,購読料を支払ったユーザーのみが閲覧等することができる機能があり,同機能にはブロマガとの名称が付されている。ブログ記事の投稿者は,ブログ記事の年月ごとに価格を設定する方法かブログ記事単体に価格を設定する方法を選択した上で,所定の範囲からその価格を設定する。 ウ 上部にFC2ブログとの記載があるFC2のウェブページには, ブログをはじめるとの表示があるほか,ランキングとして,ブログランキング,ブロマガランキングとの項目が表示されている。 (乙136) エ 上部にFC2ブロマガとの記載があるFC2のウェブページには, 「ブロマガとは?ブログを通じて,有料コンテンツの購入,販売が出来るサービス。」 との記載があり,「購入者限定コンテンツだから,色んな楽しみ方ができます。」 との記載があり,自主制作ムービー限定記事ミュージ,,ックなどの表示があり,限定記事との表示の下には 「購入者限定のブログ記事の販売や購入。例えば,オリジナル小説や漫画,株/FXの情報など。」 と記載されている。また,おすすめブロマガとして,あるブロマガの記事が紹介され, 最新号紹介ページへと記載された表示がある。 (乙1 37) オ FC2ブログマニュアルとの記載があるFC2のウェブページにお いて, ブロマガ®(ブログマガジン)って何?との記載の下には, ブロマガとは,雑誌の「袋とじのようにブログ記事に価格を設定し料金をお支払いいただいた訪問者だけが閲覧できる機能です。 」との記載がある。また, ブロマガ®購入と管理との記載の下には, 「ブロマガの購入手順や購入ブロマガの管理設定について説明します。」 として,キーワードやジャンル,価格帯でお好みのブロマガを探すことができることが記載されている。そしてブロマガの購入手順として,ブロマガ記事の『ブロマガを購入する』をクリックして購入画面に進むこと,月間ブロマガを購入する場合には,購入したい年月のブロマガを選択して, 確認画面へというボタンをクリック し,単体コンテンツを購入する場合には,購入したい記事のこのブロマガの購入手続きへのボタンをクリックすること,FC2IDにログインし ている状態では,決済の画面が開き,ログインしていなければ,メールアドレスを入力する画面となり,登録しているメールアドレスを入力すればログ イン画面に進み,登録していないメールアドレスを入力すればFC2IDが自動で新規取得されて,決済手続きに進むこと,FC2ポイント又 はクレジットカードのいずれかの支払方法を選択し,クレジットカード番号を入力するなどして,決済の手続を行うこと,決済手続が完了すると購入したブロマガ記事を閲覧することができること,購入したブロマガはFC2ID管理画面のトップページの右上のブロマガバックナンバーに表示されること,購入したブロマガの更新通知の方法を選択することができ,テキストメールで受け取ることを選択した場合には,購入したブロマガが更新された場合,ブログ名,記事タイトル,記事URLが記載された通知が届き,HTMLで受け取ることを選択した場合には,ブログ名,記事タイト ル,記事URLと更新された記事本文の内容が記載されたメールが届くことなどが記載されている。 (乙142,143) カ FC2のウェブページにおいて,購入していないブロマガの記事を閲覧すると,記事の冒頭が表示されるとともに, 続きはブロマガを購入して楽しもう!との表示がされ, ブロマガを購入するという記載がされたボタンが 表示される。 (乙151) ア ドワンゴは,FC2が提供するサービスが電子出版物の提供に該当すると主張するのに対し,FC2は,これを否定する。 イ FC2のブロマガのサービスにおいては,ユーザーは,検索などをすることによって,購入したい記事を選択し,FC2に対して所定の支払をしてオリジナル小説や漫画が例に挙げられる限定記事を購入する ことができ,その購入後,FC2のウェブページにおいて,購入した記事を閲覧することができるようになり,また,購入した記事について,その後,FC2からHTML形式のメールの配信を受けることなどができた。上記サービスにおいては,利用者は,FC2のサービスを利用することによって,上記のような態様で,第三者が作成したまとまりのある文書・図画 を閲覧等することができるようになるのであり,同サービスにおいては,電子出版物の提供又は通信ネットワークを利用した電子書籍及び電子定期刊行物の提供に,少なくとも類似した役務が提供されているといえる。そして,前記 のブログ記事の購入に当たり用いられている甲標章の 使用態様によれば, 電磁的方法により行う映像面を介したこの役務の提供に 当たり,映像面に乙商標と類似する甲標章が付されていたと認められる。ウ FC2は, 電子出版物 とは, いわゆる電子書籍を意味してFC2のブログ サービスは電子出版物の提供に該当しないと主張し,また,ブログ記事の配信を行う主体はユーザーであり,FC2ではなく,FC2はその媒介をして いるにすぎないから,ブログ記事の配信が電子出版物の提供に該当するとしても,FC2のブログサービスは電子出版物の提供の媒介であって,電子出版物の提供には該当しないと主張する。 しかし,前記イの態様に照らせば,FC2の上記のブロマガの販売に関するサービスについては,少なくとも,前記役務に類似した役務が提供されている といえる。 10争点2-2(先使用権の抗弁の成否)について FC2のブログサービスにおけるブロマガの表示の周知性を基礎付ける事情は前記 のとおりであり,乙商標の出願日(平成24年9月27日)に おいても,甲標章が需要者の間で広く認識されていると認めることはできないから,FC2が主張する先使用権を認めることはできない。 11争点2-3(乙商標の無効の抗弁の成否)について 前記 のとおり,甲標章が需要者の間で広く認識されていたとはいえないか ら,その余の点を判断するまでもなく,乙商標に商標法4条1項10号の無効事由があるとは認められない。 12争点2-4(商標権の正当な権利行使の抗弁の成否)についてFC2は,甲商標及び甲-2ないし4商標に係る各商標権を有しており,FC2が提供するブログサービスは,甲商標の指定役務インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与,甲-2商標の指定役務インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与,甲-3商標の指 定役務ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供,甲- 4商標の指定役務オンラインにおけるブログ作成用コンピュータプログラムの提供にそれぞれ該当するから,FC2は,甲商標に係る商標権に基づき,甲標章をブログサービスに使用しているのであって,ドワンゴの乙商標に係る商標権を侵害するものではないと主張する。 しかし,FC2がブログサービスを提供しているとしても,前記9のとお り,FC2のブロマガのサービスにおいて,ユーザーは, 限定記事など が例に挙げられる記事を購入することができ,購入後,FC2のウェブページにおいて,購入した記事を閲覧することができるようになり,また,購入した記事について,更新の都度,FC2からHTML形式のメールの配信を受けることなどができたのであり,甲標章はこのような役務に対して付されていたと いうことができるものである。上記の役務は,甲商標の指定役務であるインターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与,甲-2商標の 指定役務であるインターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与,甲-3商標の指定役務であるウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供,甲-4商標の指定役務であるオンラインにおけるブログ作成用コンピュータプログラムの提供のいずれの役務にも該当しないといえるから,FC2は,甲商標及び甲-2ないし4商標に係る商標権に基づく正当な権利行使として甲標章を上記サービスに使用しているとは認められない。 争点2-5(損害の発生及び額) 損害の発生 第2事件について,ドワンゴが損害の発生を主張するのに対し,FC2は,損害の発生を否定する。 しかし,前記のとおり,甲標章は,乙商標の指定役務と類似する役務に使用されており,提供される役務に対し,その役務の出所識別を示すものとして明確に認識することができる態様で使用されているのであり,甲標章の使用によ り,損害が発生したと認められ,FC2の主張は採用することができない。そして,本件において,ドワンゴは, のとおり,有料でブログ記事の 配信等を行っていて,FC2の商標権侵害行為がなかったならばドワンゴが利益を得られたであろうという事情があると認められる。 商標法38条2項に基づく損害 証拠(甲95)及び弁論の全趣旨によれば,平成25年10月1日から平成30年6月末日までのFC2のブログの配信サービスの購読料の合計額は●(省略) ●であり, そのうち,FC2は,システム使用料等として,合計●(省 略)●を受領したと認められる。 また,FC2が提供するサービスにおいて,ブログ記事の購入が増えること によって処理するデータも増えてサーバーの負担が大きくなり,保守費用やサーバーに関する費用が上がるという関係がないとはいえず,商標法38条2項の利益を算定するに当たり,上記システム使用料から,FC2ブログの開発保守費やサーバー費用について案分したことで算出されるブロマガ負担保守運営費を控除するのが相当である。そして,上記システム使用料よりもブロマガ 負担保守運営費が●(省略)●多いから(甲96) ,商標法38条2項に基づき 損害の賠償を求めることはできない。 これに対し,ドワンゴは,FC2ブログの開発保守費やサーバー費用が売上とは関係なく不自然に増加している期間があることを挙げてこれらを案分して得られる額を控除することが相当でない旨主張する。しかし,設備投資を行う時期と関係して上記費用が特定の時期に多く増加することもあり得るのであり, ドワンゴが主張する理由によって当該各費用が控除されるべき費用でないとは直ちにはいえない。 商標法38条3項に基づく損害 前記 のとおり,FC2は,平成25年10月1日から平成30年6月末日 までに,FC2ブログのうちブログの配信サービスに関して,使用料及び手数料として合計●(省略)●を受け取った。 そして,これら使用料及び手数料を基礎とした場合,乙標章の使用に対して受けるべき金員はその3%が相当であると認める。そうすると,損害額は,●(省略)●であると算定される。 弁護士費用相当額 本件における弁護士費用相当額は●(省略)●とするのが相当である。14小活 以上述べたところによれば,第2事件について,ドワンゴはFC2に対し,商標法36条に基づき, 甲ウェブサイトにおける甲標章の使用の差止め, 甲ウェブ サイトからの甲標章の削除並びに民法709条及び商標法38条3項に基づき, 損害賠償金867万7823円及び不法行為の後の日である平成28年12月13日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで,年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができ,その余の請求には理由はない。 15結論 よって,1事件におけるFC2の請求及び第2事件におけるドワンゴの請求第 はいずれも主文の限度で理由があるからその限度で認容し,その余はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官 柴田義明 裁判官 佐藤雅浩 裁判官大下良仁は退官のため署名押印することができない。 裁判長裁判官 柴田義明 (別紙) 第1事件ウェブサイト目録 (URLは省略) のURLにより特定される各インターネットのウェブページ及び同ドメイン名下において存在する全てのインターネットウェブページ 以上 (別紙) 第1事件標章目録 ブロマガ 以上 (別紙) 第1事件商標目録 1登録番号 第5621414号 出願日 平成24年9月13日 登録日 平成25年10月11日 商標 商品及び役務の区分 第42類 指定役務 インターネット等の通信ネットワークにおけるホームページの設計・作成又は保守,インターネット等の通信ネットワークにおけるホームページの設計・作成又は保守に関するコンサルティング,インターネット等の通信ネットワークにおけるホームページの設計・作成又は保守に関する情報の提供,インターネット等の通信ネットワークにおける情報・サイト検索用の検索エンジンの提供,インタ ーネット等の通信ネットワークを利用するためのコンピュータシステムの設計・作成又は保守に関するコンサルティング,インターネット等の通信ネットワークを利用するプログラムの設計・作成又は保守,コンピュータにおけるウィルスの検出・排除及び感染の防止・パスワードに基づくインターネット情報及びオンライン情報の盗用の防止並びにコンピュータにおけるハッカーの侵入の防止等の安 全確保のためのコンピュータプログラムによる監視,インターネットサイトにおけるブログ検索用の検索エンジンの提供,インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与,ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供,ウェブログ上の電子掲示板用サーバの記憶領域の貸与及びこれに関する情報の提供,オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラムの提供又はこれに関する情報の提供,インターネットホームページを閲覧するための電子計算機の貸与,インターネット上で利用者が交流するためのソーシャルネットワーキング用サーバコンピュータの記憶領域の貸与,インターネット上の情報を閲覧するためのコンピュータプログラムの提供,インターネット等の通信ネットワークにおいて利用可能な記憶装置の記憶領域の貸与 2登録番号 第5654405号 出願日 平成25年10月3日 登録日 平成26年3月7日 商標 商品及び役務の区分 第42類 指定役務 インターネットにおけるウェブサイトの作成又は保守及びこれらに関する助言,インターネットにおけるウェブサイト用のサーバの記憶領域の貸与,インターネットウェブサイトの設計・作成及び保守,インターネットウェブサイトを介してのコンピュータプログラムの提供,インターネット上の電子記憶空間(ウェブ空間)の提供又は貸与,インターネット用ウェブページの編集,ウェブサーバ ーの貸与,ウェブサイト(ホームページ)の作成,ウェブサイトにおけるサーバーの記憶領域の貸与,ウェブサイトにおける検索エンジンの提供,ウェブサイトのホスティングに関する助言及び情報の提供,ウェブサイトのホスティング及びこれに関する情報の提供,ウェブサイトの遠隔監視,ウェブサイトの開発,ウェブサイトの開発用のダウンロードできないソフトウエアのオンラインでの一時的な使用の提供,ウェブサイトの開発用ソフトウェアの設計・作成又は保守,ウェブサイトの開発用ソフトウェアの貸与,ウェブサイトの更新,ウェブサイトの作成・保守,ウェブサイトの作成と保守(他人のためのもの) ,ウェブサイトの作成 に関する指導及び助言,ウェブサイトの作成及び設計に関する助言,ウェブサイトの作成又は保守に関するコンサルティング,ウェブサイトの作成又は保守に関する助言及び指導,ウェブサイトの作成又は保守に関する助言又は情報の提供,ウェブサイトの作成又は保守に関する情報の提供及びコンサルティング,ウェブサイトの作成又は保守の媒介又は取次ぎ,ウェブサイトの作成又は保守及びこれ らに関するコンサルティング,ウェブサイトの作成又は保守及びこれらに関する助言,ウェブサイトの作成又は保守及びこれらに関する調査・情報の提供・相談又は指導,ウェブサイトの設計・作成・保守,ウェブサイトの設計に関する助言,ウェブサイトの設計及びホスティング,ウェブサイトの保守及び点検,ウェブサイトを介して行うコンピュータプログラムの提供,ウェブサイト経由から接 続可能なダウンロードできないソフトウェアアプリケーションの一時使用の提供,ウェブサイト用のコンピュータプログラムの提供,ウェブベースのアプリケーションの一時的な使用の提供,ウェブベースのソフトウェアの一時的な使用の提供,ウェブページのアクセス記録を表示処理するためのコンピュータプログラムの提供,ウェブページ上の個人又は企業のスケジュール入力のための電子掲示 板用サーバーの記憶領域の貸与,ウェブポータルサイトのホスティング,ウェブポータルサイトの設計,ウェブログ(ブログ)のホスティング,ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供,ウェブログ上の電子掲示板用サーバの記憶領域の貸与及びこれに関する情報の提供,カスタマイズされたウェブページのプログラムの設計・作成又は保守,カスタマイズされたウェブページの ホスティング,カスタマイズされたウェブページの作成及び保守,クラウドコンピューティングの形態によって行われるコンピュータウェブサイトのホスティング,グローバルコンピュータネットワークのウェブサイトを介する電子計算機のプログラムの設計・作成・又は保守に関する情報の提供,コンピューターサイトのホスティング(ウェブサイト)及びこれに関する助言,コンピュータウェブサイトのホスティング,コンピュータウェブサイトのホスティング及びこれに関する情報の提供,コンピュータサイトのホスティング(ウェブサイト)及びこれに関する助言並びに情報の提供,コンピュータネットワーク上で利用可能なウェブサイトの設計・作成又は保守,コンピュータプログラムおよびウェブサイトの設計・作成又は保守,デザインをウェブページ上に表示等するための電子計算機のプログラムの作成,ホームページ及びウェブサイトの設計及びバージョンアッ プ,ホームページ及びウェブサイトの設計及び構築,ホームページ及びウェブページの設計及び作成,ユーザが定義した情報・個人プロフィール及び個人情報を特徴とするカスタマイズされたウェブページの設計・作成又は保守,委託によるインターネット上のウェブページの作成のためのコンピュータプログラム・ソフトウエアの作成,図書館管理に使用するためのソフトウェアのウェブサイトのホ スティング,双方向式のディスカッションの実施のためのオンラインウェブのホスティング,他人のウェブサイトへのリンクのための電子計算機用プログラムの提供,電子計算機用プログラムの設計・作成または保守(ウェブサイトの作成または保守を含む。,インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域) の貸与,インターネットサイトにおけるブログ(BLOG)検索用の検索エンジ ンの提供,オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラムの提供又はこれに関する情報の提供,ブログのためのサーバの記憶領域の貸与,インターネット上のホームページ検索用エンジンの提供に関する情報の提供,インターネット上の情報を閲覧するためのコンピュータプログラムの提供,インターネット等における第三者に対するオンラインによるユーザーの本人確認・証明の代行,イン ターネット等の通信ネットワークにおいて利用可能な記憶装置の記憶領域の貸与,インターネットホームページを閲覧するための電子計算機の貸与,インターネット等の通信ネットワークにおけるホームページの設計・作成又は保守,インターネット等の通信ネットワークにおける情報・サイト検索用の検索エンジンの提供,インターネット等の通信ネットワークを利用するためのコンピュータシステムの設計・作成又は保守に関するコンサルティング,インターネット等の通信ネットワークを利用するプログラムの設計・作成又は保守,コンピュータにおけるウィルスの検出・排除及び感染の防止・パスワードに基づくインターネット情報及びオンライン情報の盗用の防止並びにコンピュータにおけるハッカーの侵入の防止等の安全確保のためのコンピュータプログラムによる監視 3登録番号 第5770313号 出願日 平成26年10月27日 登録日 平成27年6月12日 商標 商品及び役務の区分 第42類 指定役務 インターネットウェブサイトを介してのコンピュータプログラムの提供,ウェブサイトを介して行うコンピュータプログラムの提供,ウェブサイト用のコンピュータプログラムの提供,ウェブページのアクセス記録を表示処理するためのコンピュータプログラムの提供,ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供,他人のウェブサイトへのリンクのための電子計算機用プログラムの提供,オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラムの提供,インターネット上の情報を閲覧するためのコンピュータプログラムの提供 4登録番号 第5793426号 出願日 平成26年10月27日 登録日 平成27年9月18日 商標 商品及び役務の区分 第42類 指定役務 インターネットにおけるウェブサイトの作成又は保守及びこれらに関する助言,インターネットにおけるウェブサイト用のサーバの記憶領域の貸与,インターネットウェブサイトの設計・作成及び保守,インターネット上の電子記憶空間(ウェブ空間)の提供又は貸与,インターネット用ウェブページの編集,ウェブサーバーの貸与,ウェブサイト(ホームページ)の作成,ウェブサイトにおけるサーバーの記憶領域の貸与,ウェブサイトにおける検索エンジンの提供,ウェブサイトのホスティングに関する助言及び情報の提供,ウェブサイトのホスティング及びこれに関する情報の提供,ウェブサイトの遠隔監視,ウェブサイトの開 発,ウェブサイトの開発用のダウンロードできないソフトウエアのオンラインでの一時的な使用の提供,ウェブサイトの開発用ソフトウェアの設計・作成又は保守,ウェブサイトの開発用ソフトウェアの貸与,ウェブサイトの更新,ウェブサイトの作成・保守,ウェブサイトの作成と保守(他人のためのもの),ウェブサイ トの作成に関する指導及び助言,ウェブサイトの作成及び設計に関する助言,ウ ェブサイトの作成又は保守に関するコンサルティング,ウェブサイトの作成又は保守に関する助言及び指導,ウェブサイトの作成又は保守に関する助言又は情報の提供,ウェブサイトの作成又は保守に関する情報の提供及びコンサルティング,ウェブサイトの作成又は保守の媒介又は取次ぎ,ウェブサイトの作成又は保守及びこれらに関するコンサルティング,ウェブサイトの作成又は保守及びこ れらに関する助言,ウェブサイトの作成又は保守及びこれらに関する調査・情報の提供・相談又は指導,ウェブサイトの設計・作成・保守,ウェブサイトの設計に関する助言,ウェブサイトの設計及びホスティング,ウェブサイトの保守及び点検,ウェブサイト経由から接続可能なダウンロードできないソフトウェアアプリケーションの一時使用の提供,ウェブベースのアプリケーションの一時的な使用の提供,ウェブベースのソフトウェアの一時的な使用の提供,ウェブページ上の個人又は企業のスケジュール入力のための電子掲示板用サーバーの記憶領域の貸与,ウェブポータルサイトのホスティング,ウェブポータルサイトの設計,ウェブログ(ブログ)のホスティング,ウェブログ上の電子掲示板用サーバの記憶領域の貸与及びこれに関する情報の提供,カスタマイズされたウェブペー ジのプログラムの設計・作成又は保守,カスタマイズされたウェブページのホスティング,カスタマイズされたウェブページの作成及び保守,クラウドコンピューティングの形態によって行われるコンピュータウェブサイトのホスティング,グローバルコンピュータネットワークのウェブサイトを介する電子計算機のプログラムの設計・作成・又は保守に関する情報の提供,コンピューターサイトの ホスティング(ウェブサイト)及びこれに関する助言,コンピュータウェブサイトのホスティング,コンピュータウェブサイトのホスティング及びこれに関する情報の提供,コンピュータサイトのホスティング(ウェブサイト)及びこれに関する助言並びに情報の提供,コンピュータネットワーク上で利用可能なウェブサイトの設計・作成又は保守,コンピュータプログラムおよびウェブサイトの設 計・作成又は保守,デザインをウェブページ上に表示等するための電子計算機のプログラムの作成,ホームページ及びウェブサイトの設計及びバージョンアップ,ホームページ及びウェブサイトの設計及び構築,ホームページ及びウェブページの設計及び作成,ユーザが定義した情報・個人プロフィール及び個人情報を特徴とするカスタマイズされたウェブページの設計・作成又は保守,委託による インターネット上のウェブページの作成のためのコンピュータプログラム・ソフトウエアの作成,図書館管理に使用するためのソフトウェアのウェブサイトのホスティング,双方向式のディスカッションの実施のためのオンラインウェブのホスティング,電子計算機用プログラムの設計・作成または保守(ウェブサイトの作成または保守を含む。,インターネットにおけるブログのためのサーバー) の記憶領域の貸与,インターネットサイトにおけるブログ(BLOG)検索用の検索エンジンの提供,オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラムの提供に関する情報の提供,ブログのためのサーバの記憶領域の貸与,インターネット上のホームページ検索用エンジンの提供に関する情報の提供,インターネット等における第三者に対するオンラインによるユーザーの本人確認・証明の代行,インターネット等の通信ネットワークにおいて利用可能な記憶装置の記憶領 域の貸与,インターネットホームページを閲覧するための電子計算機の貸与,インターネット等の通信ネットワークにおけるホームページの設計・作成又は保守,インターネット等の通信ネットワークにおける情報・サイト検索用の検索エンジンの提供,インターネット等の通信ネットワークを利用するためのコンピュータシステムの設計・作成又は保守に関するコンサルティング,インターネット 等の通信ネットワークを利用するプログラムの設計・作成又は保守,コンピュータにおけるウィルスの検出・排除及び感染の防止・パスワードに基づくインターネット情報及びオンライン情報の盗用の防止並びにコンピュータにおけるハッカーの侵入の防止等の安全確保のためのコンピュータプログラムによる監視 (別紙) 第2事件ウェブサイト目録 (URLは省略)(URLは省略)(URLは省略)のURLにより特定される各, , インターネットのウェブページ及び同ドメイン名下において存在する全てのインターネットウェブページ 以上 (別紙) 第2事件標章目録 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 9. 10. 11. 12. 以上 (別紙) 第2事件商標目録 登録番号 登録日 平成25年9月20日 出願日 平成24年9月27日 商 第5617331号 ブロマガ(標準文字) 標 商品及び役務の区分 第9類,第38類,第41類,第42類 指定役務 第9類 画像処理用コンピュータのプログラム, インターネットを利用してダウン ロード可能なコンピュータプログラム,その他のコンピュータプログラム,コンピュータプログラムを記憶させた記録媒体, 電子応用機械器具及びその 部品,電気通信機械器具,レコード,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し、 及び保存することができる画像ファイル, 録画済みビデオディスク及びビデ オテープ, 映写フィルム, スライドフィルム, スライドフィルム用マウント, ダウンロード可能な電子書籍,電子出版物 第38類コンピュータを利用したメッセージ及び映像による通信,電気通信(放送を除く。,ウェブログ上の電子掲示板通信及びこれに関する情報の提供,放) 送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与 第41類技芸スポーツ又は知識の教授, ・ 電子出版物の提供, 図書及び記録の供覧, 図書の貸与, 通信ネットワークを利用した電子書籍及び電子定期刊行物の提 供,書籍の制作,通信ネットワークで提供される電子書籍及び電子定期刊行 物の制作,通信ネットワークを利用した画像・映像の提供及びこれらに関する情報の提供, 映画の上映・制作又は配給, 通信ネットワークを利用した音・ 音声・音楽の提供及びこれらに関する情報の提供,演芸の上演, 演劇の演出 又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。 ) 第42類 通信ネットワークを利用した気象情報の提供,その他の気象情報の提供, デザインの考案, インターネットを利用したデザインの考案に関する情報の 提供,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,機械器具に関する試験又は研究 |