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不正競争防止法違反
事件番号平成30(ろ)837
事件名不正競争防止法違反
裁判年月日平成31年2月5日
裁判所名・部東京簡易裁判所
裁判日:西暦2019-02-05
情報公開日2020-06-04 22:40:03
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平成31年2月5日宣告
平成30年(ろ)第837号

不正競争防止法違反

被告人株式会社Aを罰金5000万円に,被告人乙を罰金200万円にそれぞれ処する。

被告人乙においてその罰金を完納することができないときは,金1万円を1日に換算した期間その被告人を労役場に留置する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社A(以下被告会社という。
)は,焼結機械部品,含油軸受その
他の粉末冶金製品の製造,研究開発及び販売等の事業を営むもの,被告人乙(以下被告人乙という。
)は,平成27年12月15日から平成30年2月15日まで
の間,被告会社代表取締役社長として同社の業務を統括していたものであるが,被告人乙は,犯行当時の被告会社品質保証部(ただし,平成29年5月1日以降は品
質保証本部品質保証部)新潟品質管理課長丙及び同課長代理(ただし,同年11月以降は同品質保証本部品質保証部部長補佐)
丁らと共謀の上,
同社の業務に関して,
第1

別表1記載のとおり,平成29年1月26日頃から同年12月18日頃までの間,
(略)所在の被告会社本社事務所において,被告会社が商社であるB株式会社(以下Bという。
)を介してC株式会社(以下Cという。
)から受

注して製造・販売した焼結機械部品であるオイルポンプ部品又は可変動弁部品の製品合計25万3362個について,被告会社本社に併設された同社新潟事業所で所定の抜き取り検査を行った結果では,各製品がCとの間で合意した仕様を満たしているとは認められなかったにもかかわらず,その仕様を満たした旨記載した内容虚偽の検査成績表合計47通を作成した上,同年3月15日頃
から平成30年1月8日頃までの間,前記丁において,

1
44回にわたり,前記被告会社本社事務所に設置されたパーソナルコンピュータから前記検査成績表のうち合計44通のPDFファイルを添付した電子メールを,それぞれ直接送信し又はB担当者に送信してこれを転送させる方法により,
(略)所在のC厚木事業所(第二地区)において,Cの従業員に
対して

2
3回にわたり,被告会社営業本部東京支店主任戊をして,
(略)にある同支
店に設置されたパーソナルコンピュータから前記検査成績表のうち残り合計3通の電子メールをそれぞれ直接送信させる方法により,
(略)
所在のC厚木
事業所(第一地区)において,Cの従業員に対して

それぞれ交付し,

第2

別表2記載のとおり,平成29年1月19日頃から同年11月24日頃までの間,
前記被告会社本社事務所において,
被告会社がBを介してD株式会社
(以
下Dという。
)から受注して製造・販売した焼結機械部品であるオイルポン
プ部品合計27万6136個について,前記被告会社新潟事業所で所定の抜き取り検査を行った結果では,
各製品がDとの間で合意した仕様を満たしている

とは認められなかったにもかかわらず,その仕様を満たした旨記載した内容虚偽の検査成績表合計30通を作成した上,同年5月20日頃から同年12月14日頃までの間,30回にわたり,前記丙において,前記被告会社本社事務所に設置されたパーソナルコンピュータから上記各検査成績表のPDFファイルを添付した電子メールをB岡崎営業所の担当者にそれぞれ送信してその印刷物
を(略)所在のD本社事務所に持参させる方法により,同所において,Dの従業員に対して交付し,
第3

別表3記載のとおり,
平成29年6月13日頃から同年9月5日頃までの間,
前記被告会社本社事務所において,
被告会社がBを介してE株式会社
(以下
E

という。から受注して製造・販売した焼結機械部品であるエンジン電装品合計)
1万9752個について,前記被告会社新潟事業所で所定の抜き取り検査を行った結果では,
各製品がEとの間で合意した仕様を満たしているとは認められ
なかったにもかかわらず,その仕様を満たした旨記載した内容虚偽の検査成績表合計2通を作成した上,同年7月27日頃及び同年10月20日頃の2回にわたり,前記丁において,被告会社大阪支店を介して上記各検査成績表をB姫路支社にそれぞれ送付した上,同支社担当者にこれを(略)所在のE姫路製作所に持参させる方法により,同所において,Eの従業員に対して交付し,もって,取引に用いる書類又は通信にその商品の品質について誤認させるような虚偽の表示をした。
(証拠の標目)

(略)

(法令の適用)
被告人乙の判示各所為は判示第1,第2及び第3ごとに包括していずれも刑法60条,不正競争防止法21条2項5号に該当するほか,被告会社の代表者として同社の業務に関して行った行為でもあるから,被告会社には同法22条1項3号,21条2項5号,
刑法60条を適用することとし,
被告人乙について罰金刑を選択し,

以上は同法45条前段の併合罪であるから,被告人両名についてそれぞれ同法48条2項により各罪所定の罰金の多額を合計した金額の範囲内で,被告会社を罰金5000万円に,被告人乙を罰金200万円にそれぞれ処し,被告人乙においてその罰金を完納することができないときは,同法18条により金1万円を1日に換算した期間被告人乙を労役場に留置することとする。

(量刑の理由)
本件は,焼結機械部品メーカーである被告会社が,不正競争防止法に違反して,顧客との取引に用いる書類に,販売する商品の品質について誤認させるような虚偽の表示をした事案である。
被告会社は,起訴されているだけでも,自動車部品メーカー3社から発注を受け
た焼結機械部品のうち,出荷検査としての所定の抜き取り検査によって各メーカーとの間で合意した製品としての仕様を満たしているとは認められないことが明らかとなった不適合品合計54万9250個について,1年近くにわたって,その仕様を満たしている旨記載した内容虚偽の検査成績表合計79通を次々と作成した上,その都度これらの検査成績表を各発注メーカーに対して交付し,いずれも適合品として納入しているのであり,
その販売金額も合計で1億1779万円余に及ぶなど,
本件は,多額の利得を伴う大規模な詐欺的犯罪であり,しかも,被告会社は,過去にも同様の不正行為を長く続けていたのであり,常習的犯行ということもできる。そして,いずれの焼結機械部品も,可変動弁,オイルポンプ又はエンジン電装品といった自動車部品の一部となり,最終的には自動車に組み込まれて,その走行の安全性や機能性を保持する上で不可欠なものであったというのに,不適合品である
焼結機械部品を,あたかも適合品であるかのように偽装し大量に出荷して,自動車部品,更には自動車に組み込ませることにより,自動車の走行の安全性や機能性を著しく害するおそれを広く生じさせているのである。幸いにして,直ちに自動車の走行の安全性に支障を来すような事象こそ生じていないものの,顧客からは,若干の悪影響が出ている可能性は否定できないとも指摘されている。のみならず,本件
を含む一連の不正が発覚したことにより,顧客である自動車部品メーカー,更には最終ユーザーである自動車メーカーの信用を毀損し,ひいては,我が国の製造業全体に対する信用をも失墜させかねない事態を招くとともに,顧客らには,代替部品の調達ないし自動車メーカー等への緊急対応を余儀なくさせ,
状況の進展次第では,
自動車メーカーも含めて製造ラインの停止やリコールに至るリスクをも生じさせる
など,多大の損害と負担をかけている。まして,不適合品が組み込まれた自動車部品の瑕疵に起因して,自動車事故を引き起こすことにでもなれば,人の生命・身体に対する取り返しのつかない結果を招くおそれもあるなど,取引先にとどまらず,社会全体にも大きなリスクを生じさせているのである。したがって,顧客らが被告会社に対する厳正な処分や厳しい責任追及を求めているのは当然である。
このように,被告会社は,自らの企業利益を維持するためには,自動車の安全性をも等閑視し,偽装工作を施してまで当面の取引を維持継続させようとしたものであり,こうした被告会社の姿勢は,企業倫理ないし取引倫理に反するだけでなく,自動車の走行の安全,更には我が国のものづくりに対する信頼をも脅かす悪質極まりない反社会的犯行ともいうべきものである。さらに,被告会社は,顧客らと合意した仕様内容に十分対応する能力がなかったにもかかわらず,あたかも能力があるかのように偽装して顧客らから受注し続けることにより,同業他社との公正な競争を現実に害しているのであり,本件犯行がもたらした結果にも非常に重いものがある。
犯行に至る経緯をみても,被告会社は,過去に焼結機械部品のトップメーカーであった技術力を過信して,設備の更新やメインテナンスを怠った結果,歩留まり率
が下がりコスト増ともなって,
損益の改善が求められる一方,
受注を確保するため,
生産能力ないし工程能力を超える仕様や納期を受け入れながら,自動車メーカー等の製造ラインを止めないよう納期を守ることを最優先にした結果,かなり古くから,
出荷後に出荷検査をする
後追い検査
や後追い検査すらしない
未検査更には,

後追い検査で不適合部品のあることが判明しても,これを隠蔽するため,検査成績
表には適合した旨虚偽内容の検査結果を記載する検査成績表の改ざんを常態化させていた。そして,平成28年8月にその一部の不正行為(以下先行事案という。
)が発覚して,親会社のF株式会社(以下Fという。
)の指導の下に,再
発防止のため,検査部門を独立させる組織改編に加えて,不正のあった部品の全製品をチェックする
全数選別
の導入や検査員の大幅増員などの施策が実施された。

ところが,検査量の顕著な増大に対して検査能力が追いつかなかったばかりか,全数検査を実施したことによって,設備の老朽化等に伴う歩留まり率の悪化が顕在化して,不適合品が頻発するなどした結果,後追い検査が解消できないまま,不適合品の流出が続く事態となって,
再発防止策は完全に破綻することとなった。
そして,
そのことは,同年11月下旬頃に,品質管理の責任者から社長である被告人乙にも
報告されて,このままでは再び検査成績表を改ざんせざるを得ない事態に陥ってしまうと相談された。ところが,被告人乙は,被告会社の社員が既に先行事案の対応で疲弊しているとの認識の下に,このような実態について,Fに報告すれば,同社から,被告会社として対応できないほどの厳しい指示が出るとともに,資金的支援が打ち切られることも予想されて,被告会社の再建が頓挫してしまうだけでなく,外部にまで漏れると,顧客から取引が打ち切られ,あるいは,自動車メーカーの製造ラインが止められて巨額の賠償金を求められるなど,大きなペナルティを課されることにもなって,被告会社を潰すこととなり,会社も役職員も駄目にしかねないと考えた。そこで,被告人乙は,問題を大きくしないまま事態を早期に収束させ,再建策に早く舵を切りたい,そのためには,自助努力により製品をできるだけ改善していき,その中で,不適合品の流出を止めていくしかないとの思いから,当分の
間は,顧客らやFには実態を伏せておいて,不適合品の流出や検査成績表の改ざんを続けることもやむを得ないと判断するに至った。そして,被告人乙は,そのような方針に基づき,部下にはその旨を指示するとともに,その後にFから品質保証や製品改善のため出向してきた取締役をも説得して,上層部を一本化し,本件犯行を1年近くにわたって敢行させたものである。

もとより,被告会社のこのような窮状は,積年の経営者らによる怠慢の積み重ねに起因する宿痾ともいうべきものであり,被告人乙らのみの責任であるとはいえない。
しかしながら,
被告人乙は,
赤字経営に転落した被告会社を再建するため,Fか
ら送り込まれた社長であり,しかも,当時被告会社を所管していたF(の部署)のプレジデントは,被告人乙とは同期入社で特に親しい関係にある被告会社の現代表
者であった。加えて,本件犯行中の平成29年4月にFから品質保証担当として出向してきた常務取締役は,被告会社代表者の元直属の部下であったから,これらの者に早期に被告会社の窮状を腹蔵なく伝えておれば,事態の収拾だけではなく被告会社が抱える問題の根本的解決のため,Fの全面的な支援を受けることもあながち期待できないわけではなかった。もちろん,そのような決断をしたからといって,
Fによる支援が確実になされる保証はなく,また,仮に支援が行われたとしても,事態の収拾や問題の解決には極めて困難を伴うことが予想され,被告人乙の経営責任が厳しく追及されることも必定であるなど,極めて苦渋に満ちた決断であったことは想像に難くない。
しかしながら,
被告会社がその社会的責任を果たすとともに,
被告人乙が社長としての職責を果たすためには,このような決断は,決して避けては通れないものであり,かつ,被告会社の社長である被告人乙にしかできないものであった。ところが,被告人乙は,問題を先送りにしてこれを隠蔽するために,本件のような不正な手段を用いることまでして,顧客との取引を維持継続しながら利益を確保しつつ,本来被るはずの損害も回避しようとして,本件のように公正な競争を害する反社会的犯罪を続けるという,被告会社の経営トップとしてあってはならない決断をしたものである。もとより,被告人乙は,前記のように,恒久的に不
適合品の出荷を継続しようとしたわけではなく,できるだけ被告会社の工程能力を高めて,不適合品の出荷を早期に解消しようと努めていたものではあるが,不適合品の流出を容認したことに変わりはなく,しかも,実際の状況をみても,被告人乙らの懸命の努力にもかかわらず,不適合品の流出が解消される見込みは立たなかったのである。そうすると,被告会社及び被告人乙のいずれについても,本件犯行に
至る経緯や動機に酌量の余地がないばかりか,先行事案が発覚した後においても,社会的責任を放棄したかのように,上層部の指示に基づき組織ぐるみで本件一連の犯行に突き進んだ被告会社の姿勢が極めて悪質であることはもちろん,その経営トップでありながら,組織防衛や自己保身のため被告会社の社会的責任を放棄して本件犯行を指揮し続けた被告人乙の姿勢も悪質なものであって,いずれも厳しい非難
に値する。この点,弁護人は,本件の実態を知って直接関与していたのが上層部のみであることを理由に,会社ぐるみの組織的犯行とはいえない旨主張するが,本件は,被告会社の工程能力の限界から,不適合品が続発する中で,古くから検査成績表の改ざんが常態化していた被告会社において,先行事案発覚後も,大きな改善の見られない実態を隠蔽して,顧客らとの取引を維持継続するために,被告人乙を頂
点とする最高幹部らが指揮し容認しながら管理職員らに実行させた犯行であって,組織ぐるみの犯行であることは明らかである。
そうすると,被告会社の法人としての刑事責任は重く,そのトップとして犯行を指示して容認し続けた被告人乙の刑事責任も,起訴されていない他の共犯者らと比較しても格段に重いというべきである。
他方,被告会社は,Fに対する内部通報により本件犯行が発覚した後,同社の強力な指導を受けて,本件の不適合品の出荷を公表するとともに,同社から送り込まれた現代表者の下,各顧客に対して,報告と説明を行い,顧客からの求めに応じ,被告会社又は顧客において,不適合品が組み込まれた場合の安全性に関する検証を行ったほか,今回の件で顧客らに発生した費用についても,支払済みであるか今後確実に支払う予定である。また,被告会社は,Fからの全面支援を受けて,当面の
対応として,多数の検査員や選別要員をそろえ,不適格品や未検査品の流出防止を徹底して,出荷検査なしには合格証や顧客への送り状が出ないシステムに改修して後追い検査や未検査を一掃するとともに,出荷検査も,検査部門を品質保証部から独立した検査部に移管し,当面は被告会社に加えてFの社員も検査するダブルチェック体制にして,検査の精度を高めている。さらに,網羅的で実効性のある再発防
止策として,経営基盤・風土に関し,経営のリーダーシップの強化,現場の重視とコミュニケーションの推進,人財の底上げと数値に基づく議論等を柱とし,また,本件の直接的原因である物量・納期・品質に関する再発防止策に関しては,生産能力に見合った受注量調整,生産能力の向上,製品の精度の向上,さらに,品質・納期が両立できる品質保証体制の実現等を柱とする12項目を策定し,現代表者の指
揮の下,再発防止策を確実に実行するために構造改革室を,製品の精度を高めるために設備投資や技術力を結集する組織としてものづくり改善室を,現場に寄り添うコミュニケーションの推進のためにご意見箱やコンプライアンス小集団活動をそれぞれ立ち上げたほか,設備投資により製造機械や検査機器の更新を進めたり,受注の可否を検討してから仕様や受注を決定するフロントローディン
グを強化したりするなどして,全社的な構造改革と品質問題に関する社員の意識改革,再発防止に向けた運用の改善等を進めている。そして,過去に不適合品を出荷していた113社のうち,99社については製品の安全性が確認され,14社については当面の使用には問題のないことが確認されている。さらに,被告会社では,本件犯行に関与した被告人乙を含む幹部や管理職に対し,退職,退任,降格といった身分上の処分に加え,報酬返納等の懲戒処分を行うなどして,その責任を明確化している。加えて,本件が広く報道された結果,被告会社及び親会社であるFが社会的に厳しい非難を浴びるとともに,
当然のこととはいえ,
被告会社は,
ISO
(国
際規格)やJIS(日本工業規格)の認証を一時的に停止され,本件事態の収拾に伴い,30億円弱の損失を拡大させており,また,被告人乙も,一連の不祥事の責任を取って,被告会社の代表取締役,次いで取締役を退任した後,顧問職も,マス
コミの批判にさらされて退職せざるを得なくなるなど,いずれも相応の社会的制裁を受けている。
そして,
被告会社代表者は,
顧客はもちろん,
会社の従業員や家族,
更には社会に対しても大変な御迷惑をおかけして誠に申し訳ない,先行事案の段階で全貌の解明に向けてもっと深く踏み込むべきだったと反省の態度を示し,製品の安全性の検証に協力し被告会社との取引も継続してくれている多くの顧客に対する
感謝の気持ちを述べるとともに,本件の複合的な原因を取り除くために,顧客と取り決めた規格どおりに物を造っていなかったという組織風土を時間をかけて改善し,しっかりした製品を造る態勢を構築していくため,応急・恒久の再発防止策を並行して進めて通常業務に定着・浸透させていき,社員にも再発防止の意識と行動を徹底させながら,社員とともに自社の技術やノウハウに誇りを持って着実に前進させ
ていくことによって,再発防止に努めたいと誓っている。また,被告人乙は,本件当時は,目先のことだけを考えたため,結果的に不正の規模を拡大させて,傷口を大きくしてしまった,お客様には,大変な御迷惑と混乱を生じさせ,被告会社の社員にも,会社の看板を汚してしまい,本当に申し訳ない,我が国のものづくりに対する信頼も本当に失わせてしまい,責任を痛感している,全ては自分の責任で
あり,経営者として失格であった,自分の無責任さを非常に恥ずかしく思うなどと述べて,真摯な反省の態度を示している。加えて,被告人乙は,被告会社の社長就任前には,Fで一貫して超硬製品事業一本で勤務し,最後は同社の岐阜製作所長を務めるなど,真面目で勤勉な社会人生活を営んでいたものである。被告人両名に前科はなく,被告人乙には再犯のおそれもない。その他,被告人両名のために酌むべき事情も認められる。
そこで,これら諸事情を総合考慮すると,被告会社については,本件犯情の重さや犯行による悪影響の大きさ,
同種行為を繰り返してきた犯行の常習性等に照らし,
また,被告人乙については,被告会社の経営者としての責任の重大さに照らして,いずれについても,以上みてきたような両名のために酌むべき事情を十分考慮しても,検察官の求刑から減刑すべき事情を特に見出すことはできない。そうすると,
被告会社については罰金5000万円に,被告人乙については罰金200万円にそれぞれ処するのが相当である。
よって,主文のとおり判決する。
平成31年2月5日
東京簡易裁判所刑事第2室

裁判官中谷
雄二郎

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