判例検索β > 平成30特年(わ)第211号
法人税法違反、消費税法違反、地方税法違反
事件番号平成30特(わ)211
事件名法人税法違反,消費税法違反,地方税法違反
裁判年月日平成30年9月20日
裁判所名・部東京地方裁判所
裁判日:西暦2018-09-20
情報公開日2018-11-28 16:00:23
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平成30年9月20日宣告
平成30年特(わ)第211号,法人税法違反,消費税法違反,地方税法違反被告事件
東京地方裁判所刑事第8部(裁判長裁判官前田巌,裁判官関洋太,裁判官岸田朋美)
主文
被告会社を罰金6000万円に処する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社(平成22年6月28日から平成24年10月24日までの間の本店所在地は東京都港区〔以下略〕,同月25日から平成27年8月31日までの間の本店所在地は東京都千代田区〔以下略〕)はプロセッサ開発・製造・販売及びスーパーコンピューターの開発等の事業を営む株式会社であるが,被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していた分離前の相被告人Aが,被告会社の業務に関し
第1
1
架空外注費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上
平成22年1月27日から同年12月31日までの事業年度における実
際所得金額が2548万8362円(別紙1-1添付省略)であったにもかかわらず,平成23年2月28日,東京都港区〔以下略〕所轄B税務署において,同税務署長に対し,所得金額が298万8362円で,これに対する法人税額が53万6700円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し,そのまま法定納期限を徒過させ,もって不正の行為により,同事業年度における正規の法人税額668万5300円と前記申告税額との差額614万8600円(別紙2添付省略)を免れ
2
平成23年1月1日から同年12月31日までの事業年度における実際
所得金額が1億7860万9307円(別紙1-2添付省略)であったにもかかわらず,平成24年2月28日,前記B税務署において,同税務署長に対し,財務省令で定める電子情報処理組織を使用して行う方法により,所得金額が104万4158円で,これに対する法人税額が18万7500円である旨の虚偽の法人税確定申告をし,そのまま法定納期限を徒過させ,もって不正の行為により,同事業年度における正規の法人税額5262万2300円と前記申告税額との差額5243万4800円(別紙2添付省略)を免れ
3
平成24年1月1日から同年12月31日までの事業年度における実際
所得金額が1億7794万3966円(別紙1-3添付省略)であったにもかかわらず,平成25年2月28日,東京都千代田区〔以下略〕(当時)所轄C税務署において,同税務署長に対し,財務省令で定める電子情報処理組織を使用して行う方法により,所得金額が109万9539円で,これに対する法人税額が19万7400円である旨の虚偽の法人税確定申告をし,そのまま法定納期限を徒過させ,もって不正の行為により,同事業年度における正規の法人税額5242万2500円と前記申告税額との差額5222万5100円(別紙2添付省略)を免れ
4
平成25年1月1日から同年12月31日までの事業年度における実際
所得金額が2億5750万9256円(別紙1-4添付省略)であったにもかかわらず,平成26年2月28日,前記C税務署において,同税務署長に対し,財務省令で定める電子情報処理組織を使用して行う方法により,所得金額が153万5769円で,これに対する法人税額が38万9800円である旨の虚偽の法人税確定申告をし,そのまま法定納期限を徒過させ,もって不正の行為により,同事業年度における正規の法人税額6566万3200円と前記申告税額との差額6527万3400円(別紙2添付省略)を免れ
5
平成26年1月1日から同年12月31日までの事業年度における実際
所得金額が2億1840万6902円(別紙1-5添付省略)であったにもかかわらず,平成27年3月2日,前記C税務署において,同税務署長に対し,財務省令で定める電子情報処理組織を使用して行う方法により,所得金額が309万2440円で,これに対する法人税額が78万6100円である旨の虚偽の法人税確定申告をし,そのまま法定納期限を徒過させ,もって不正の行為により,同事業年度における正規の法人税額5569万1100円と前記申告税額との差額5490万5000円(別紙2添付省略)を免れ
第2
1
架空課税仕入れを計上する方法により
平成23年1月1日から同年12月31日までの課税期間における実際
の消費税の課税標準額が2億3600万円で,これに対する消費税額が944万円であり,これから控除されるべき消費税額が208万1754円(別紙3-1添付省略)で,納付すべき消費税額が735万8200円であり,納付すべき地方消費税の譲渡割額が183万9500円であったにもかかわらず,平成24年2月28日,前記B税務署において,同税務署長に対し,財務省令で定める電子情報処理組織を用いて行う方法により,消費税の課税標準額が2億3600万円で,これに対する消費税額が944万円であり,これから控除されるべき消費税額が919万7620円で,納付すべき消費税額が24万2300円であり,納付すべき地方消費税の譲渡割額が6万500円である旨の虚偽の消費税及び地方消費税確定申告をし,そのまま法定納期限を徒過させ,もって不正の行為により,同課税期間の正規の納付すべき消費税額と前記申告に係る納付すべき消費税額との差額711万5900円及び同課税期間の正規の納付すべき地方消費税の譲渡割額と前記申告に係る納付すべき地方消費税の譲渡割額との差額177万9000円(別紙4-1添付省略)を免れ
2
平成24年1月1日から同年12月31日までの課税期間における実際
の消費税の課税標準額が3億2266万円で,これに対する消費税額が1290万6400円であり,これから控除されるべき消費税額が313万2898円(別紙3-2添付省略)で,納付すべき消費税額が977万3500円であり,納付すべき地方消費税の譲渡割額が244万3300円であったにもかかわらず,平成25年2月28日,前記C税務署において,同税務署長に対し,財務省令で定める電子情報処理組織を用いて行う方法により,消費税の課税標準額が3億2266万円で,これに対する消費税額が1290万6400円であり,これから控除されるべき消費税額が1149万2898円で,納付すべき消費税額が141万3500円であり,納付すべき地方消費税の譲渡割額が35万3300円である旨の虚偽の消費税及び地方消費税確定申告をし,そのまま法定納期限を徒過させ,もって不正の行為により,同課税期間の正規の納付すべき消費税額と前記申告に係る納付すべき消費税額との差額836万円及び同課税期間の正規の納付すべき地方消費税の譲渡割額と前記申告に係る納付すべき地方消費税の譲渡割額との差額209万円(別紙4-2添付省略)を免れ
3
平成25年1月1日から同年12月31日までの課税期間における実際
の消費税の課税標準額が1億3332万円で,これに対する消費税額が533万2800円であり,これから控除されるべき消費税額が589万1622円(別紙3-3添付省略)で,消費税の控除不足還付税額が55万8822円,中間納付還付税額が70万6700円,地方消費税額の還付譲渡割額が13万9705円,中間納付還付譲渡割額が17万6600円であったにもかかわらず,平成26年2月28日,前記C税務署において,同税務署長に対し,財務省令で定める電子情報処理組織を用いて行う方法により,消費税の課税標準額が1億3332万円で,これに対する消費税額が533万2800円であり,これから控除されるべき消費税額が1720万7812円で,消費税の控除不足還付税額が1187万5012円,中間納付還付税額が70万6700円,地方消費税の還付譲渡割額が296万8753円,中間納付還付譲渡割額が17万6600円である旨の虚偽の消費税及び地方消費税確定申告をし,よって,同税務署長をして,前記消費税の控除不足還付税額1187万5012円,中間納付還付税額70万6700円,地方消費税の還付譲渡割額296万8753円及び中間納付還付譲渡割額17万6600円を被告会社に還付することを決定させた上,平成26年10月29日,東京都港区〔以下略〕D銀行E支店に開設された被告会社名義の普通預金口座に還付加算金21万3100円を含めた合計1594万165円を振込入金させ,もって不正の行為により,前記課税期間の正規の消費税の控除不足還付税額と前記申告に係る消費税の控除不足還付税額との差額合計1131万6190円及び正規の地方消費税の還付譲渡割額と前記申告に係る地方消費税の還付譲渡割額との差額合計282万9048円(別紙4-3添付省略)の還付を受け
4
平成26年1月1日から同年12月31日までの課税期間における実際
の消費税の課税標準額が5億1608万4000円で,これに対する消費税額が3152万5258円であり,これから控除されるべき消費税額が1996万8725円(別紙3-4,3-5添付省略)で,納付すべき消費税額が1155万6500円であり,納付すべき地方消費税の譲渡割額が320万1000円であったにもかかわらず,平成27年3月2日,前記C税務署において,同税務署長に対し,財務省令で定める電子情報処理組織を用いて行う方法により,消費税の課税標準額が5億1608万4000円で,これに対する消費税額が3152万5258円であり,これから控除されるべき消費税額が3051万2032円で,納付すべき消費税額が101万3200円であり,納付すべき地方消費税の譲渡割額が56万5200円である旨の虚偽の消費税及び地方消費税確定申告をし,そのまま法定納期限を徒過させ,もって不正の行為により,同課税期間の正規の納付すべき消費税額と前記申告に係る納付すべき消費税額との差額1054万3300円及び同課税期間の正規の納付すべき地方消費税の譲渡割額と前記申告に係る納付すべき地方消費税の譲渡割額との差額263万5800円(別紙4-4添付省略)を免れた。
(法令の適用)


法人税法違反第1の1の所為

平成26年法律第10号による改正前の法人税法
159条1項,平成23年法律第82号による改
正前の法人税法163条1項

第1の2ないし5の各所為
いずれも平成26年法律第10号による改正前の
法人税法159条1項,法人税法163条1項
消費税法違反
第2の1,2,4の各所為
いずれも消費税法64条1項1号,67条1項
第2の3の所為

消費税法64条1項2号,67条1項

地方税法違反
第2の1,2,4の各所為
いずれも地方税法72条の95第1項1号,6項
第2の3の所為

地方税法72条の95第1項2号,6項

科刑上一罪の処理
判示第2の1ないし4

いずれも刑法54条1項前段,10条(それぞれ1
罪として犯情の重い消費税法違反の罪の刑で処断)

併合罪の処理

刑法45条前段,48条2項(各罪の罰金の多額を
合計)

(量刑の理由)
本件は,プロセッサ開発・製造・販売及びスーパーコンピューターの開発等の事業を営む被告会社の創業者で代表取締役であったAが,被告会社の業務に関し,設立初年度から5事業年度にわたり,架空外注費を計上するなどの方法により合計約8億4800万円の所得を秘匿し,法人税合計約2億3000万円を免れた法人税法違反(判示第1・期限内虚偽過少申告ほ脱犯)のほか,うち4課税期間につき,上記架空外注費計上分を課税仕入れとして計上する方法により消費税及び地方消費税(以下消費税等という。)を過少申告し,消費税等合計約3200万円を免れ(判示第2の1,2,4・虚偽過少申告ほ脱犯)又は消費税等約1400万円の還付を受けた(同3・不正受還付犯)消費税法違反及び地方税法違反の事案である。
法人税法違反については,ほ脱所得金額及びほ脱税額は上記のとおりであり,この種事案の中でも高額である上,ほ脱率も約99.1%と極めて高率であり,これに随伴する消費税法違反及び地方税法違反も,いずれも相当な額にのぼる。総じて脱税規模は大きく,
各租税債権を侵害した結果には重いものがある。
また,
その手口は,
Aが実質的に支配し,
かつ,
多額の繰越欠損金を有する会社に対し,
被告会社が若干の黒字となるように多額の架空経費及び架空課税仕入れを計上して法人税及び消費税等を免れるなどするものであるが,事業年度を経るごとに計画的で巧妙となり,かつ,被告会社の売上の増加に伴ってほ脱所得金額も増加するなど,犯行は年を経るごとに悪質性を増しており,その常習性及び納税意識の乏しさも顕著である。本件各犯行はいずれもAが発案し,その主導の下,経理担当者に指示するなどして行われたものであり,内部統制が機能せず,Aによる私物化を防げなかった被告会社の責任は重い。
一方で,被告会社は本件にかかる本税のほか概算の延滞税及び重加算税を完納したこと,被告会社代表者が,会社の内部統制機能について,今後は外部から監査役を招くなどして抜本的に見直していく旨述べたこと等をも勘案し,主文掲記の罰金に処するのが相当であると判断した。
(求刑:罰金8400万円)
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