判例検索β > 平成29年(行コ)第50号
裁決取消請求控訴事件
事件番号平成29(行コ)50
事件名裁決取消請求控訴事件
裁判年月日平成30年4月13日
裁判所名・部名古屋高等裁判所  民事第1部
原審裁判所名岐阜地方裁判所
原審事件番号平成26(行ウ)8
判示事項の要旨岐阜県知事は,Aに対し,岐阜県中津川市内の土地(以下「本件計画地」という。)において,産業廃棄物の焼却施設及び焼成施設を設置することの許可をしたが,その後,同設置許可処分を取り消したところ,Aから同取消処分の取消しを求める審査請求を受けた環境大臣は,同取消処分を取り消す裁決をした。本件は,本件計画地の所在する岐阜県中津川市に居住する住民である控訴人らが,国に対し,上記裁決が違法であるとしてその取消しを求めた件につき,控訴人らの請求を却下又は棄却した原判決が是認された事案である。
裁判日:西暦2018-04-13
情報公開日2019-02-02 12:51:18
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平成30年4月13日判決言渡
平成29年(行コ)第50号

同日原本領収

裁判所書記官

裁決取消請求控訴事件(原審・岐阜地方裁判所平成

26年(行ウ)第8号)
口頭弁論終結日

平成29年12月26日
判主1決文
控訴人147の2及び控訴人166の2の本件控訴をいずれも却
下する。

2
その余の控訴人らの本件控訴をいずれも棄却する

3
原判決中,控訴人147の1及び控訴人166の1の請求に関す
る部分を取り消す。

4
本件訴訟のうち控訴人166の1の請求に関する部分は,平成2
8年4月3日同控訴人の死亡により終了した。

5
本件訴訟のうち控訴人147の1の請求に関する部分は,平成2
8年8月31日同控訴人の死亡により終了した。

6
控訴費用は,控訴人らの負担とする。

第1

実及び理由
控訴の趣旨

1
原判決を取り消す。

2
環境大臣が平成25年12月25日付けで行った,岐阜県知事が平成22年7月30日付けで行った株式会社Aに対する産業廃棄物処理施設設置許可の取消処分を取り消す旨の裁決(環境産廃第1312254号)を取り消す。
第2
1
事案の概要
株式会社A(以下Aという。)は,平成21年3月12日,岐阜県知事に対し,岐阜県中津川市a’b’番地c’及び同番地d’(以下本件計画地という。)において,産業廃棄物の焼却施設及び焼成施設(以下本件施設という。)を設置することの許可申請(以下本件許可申請という。)をし,岐阜県知事は,同年11月30日,本件許可申請に基づき,本件施設の設置許可(以下本件設置許可処分という。)をした。
その後,岐阜県知事は,平成22年7月30日付けで,Aに対し,本件設置許可処分の取消処分(以下本件取消処分という。)をし,Aは,環境大臣に対し,本件取消処分の取消しを求める審査請求(以下本件審査請求という。)をした。環境大臣は,平成25年12月25日,本件審査請求について,本件取消処分を取り消す旨の裁決(以下本件裁決という。)をした。本件は,本件計画地の所在する岐阜県中津川市に居住する住民である控訴人らが,国に対し,本件裁決が違法であるとしてその取消しを求める事案である。2
原審は,①本件計画地から半径2㎞以上離れた場所に居住する一部の控訴人ら(以下本件2㎞圏外控訴人らという。)は,本件の原告適格を欠いており,②本件許可申請が廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下廃棄物処理法という。)15条の2第1項2号ないし4号に該当するとの理由で本件取消処分をした岐阜県知事の判断は誤りであり,本件取消処分は理由がないから,本件取消処分を取り消した本件裁決が違法であるとは認められず,本件裁決に審理不尽の違法があったとも認められないとして,本件2㎞圏外控訴人らの請求を却下し,その余の控訴人らの請求をいずれも棄却した。
そこで,控訴人らがいずれも控訴した(なお,控訴人147の1及び控訴人166の1は,いずれも原審係属中に死亡した。)。

3
関係法令等の定め,前提事実,争点及び争点に対する当事者の主張は,次のとおり補正し,4のとおり控訴人らの当審における補充主張を加えるほかは,原判決の事実及び理由中の第2事案の概要の2ないし5に記載する
とおりであるから,これを引用する(ただし,本件2キロ圏外原告らを本件2km圏外控訴人らと読み替える。)。
原判決2頁2行目の法令等の定めの後に(本件設置許可処分時のもの)を加え,同7行目の175を173と改め,同10行目末尾に,次のとおり加える。
控訴人166の1は,平成28年4月3日に死亡し,控訴人147の1は,同年8月31日に死亡した。当裁判所は,平成29年8月15日,控訴人166の1の本件訴訟手続を控訴人166の2が,控訴人147の1の本件訴訟手続を控訴人147の2がそれぞれ受継する旨の決定をした(なお,控訴人147の1について他に受継決定を受けた者は,いずれも訴えの取下書を提出した。以下では,単に「控訴人147や控訴人166という場合,いずれも枝番号を全て含むものとし,控訴人147及び控訴人166を除くその余の控訴人らを控訴人らというものとする。)。」
同3頁4行目の廃タイヤ処理業を自動車タイヤの焼却を中心とする産業廃棄物の中間処理業と改め,同7行目の処理施設を焼却施設と改める。
同頁13行目の廃プラスチックを廃プラスチック類と改め,その他をその他のと改める。同4頁11行目冒頭から13行目の

添付されていた。

までを廃棄物処理法15条3項は,産業廃棄物処理施設の設置許可申請書に,当該産業廃棄物処理施設を設置することが周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査(以下「環境影響調査という。)の結果を記載した書類(以下環境影響調査報告書という。)を添付しなければならないと定めているところ,本件許可申請書には,上記の環境影響調査報告書に該当する産業廃棄物処理施設の設置に係る生活環境影響調査書と題する書面(以下本件環境影響調査報告書という。)が添付されていた。」と改める。同5頁2行目の同年を平成21年と改め,同頁16行目の「という。」をといい,後記のとおり,控訴人40が署名押印した承諾書に加え,B承諾書1,C承諾書1,D承諾書及びE承諾書を併せて「本件各承諾書という。」と改める。
同頁21行目から22行目の本件設置許可を本件許可申請と改め
る。
同6頁14行目から15行目の乙24の1を乙24の2と改め,
同16行目のFをDと改める。
同8頁19行目の,によりを上記a及びbによりと改め,2

3行目の周知義務を行ったを周知義務を果たしたと改める。
同9頁10行目の不正なを不正のと改め,同22行目の当該施設から24行目のされているなどまでを廃棄物処理法15条3項によって,環境影響調査報告書を添付しなければならないとされているなどと改める。
同11頁15行目の代々着地濃度を最大着地濃度と改める。
4
控訴人らの当審における補充主張
争点

について

本件2㎞圏外控訴人らは,その生活状況に照らし,本件設置許可処分による現実的かつ具体的な被害可能性を主張するものである。Aの従前からの廃タイヤの管理状況に鑑みれば,本件環境影響調査報告書が設定する前提条件等も,現実に照らして適切なものとはいえず,本件環境影響調査報告書において,本件施設からの直線距離によって画一的にその対象範囲を決することには何ら合理性がない。以下のとおり被害の程度が具体的であることに照らせば,本件2㎞圏外控訴人らは,本件取消処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者に該当し,原告適格が当然に認められるべきである。

大気質について,本件施設の処理能力(煙突高20m)は,環境影響調査(廃棄物処理法15条3項,同施行規則11条の2)を適切で合理的に行われるものとするために,環境省が環境影響調査に関する技術的な事項を科学的知見に基づいて取りまとめて公表している廃棄物処理施設生活環境影響調査指針(乙53。以下環境影響調査指針という。)の調査対象地域設定例の煙突実体高20mの欄の時間当たり処理能力の4倍近くとなっているから,本件環境影響調査報告書において,調査対象地域を2㎞とする必要はない。また,周辺の地形や風向風速等によって,排ガス等が集中してある地点に到達することがあることも知られている。したがって,原告適格の判断は,本件施設からの距離という画一的基準ではなく,周辺地域の自然環境や周辺住民の生活実態等に照らして,より具体的,実質的に行われるべきである。
本件計画地は,その複雑な地形から,季節及び時間帯によって風向が様々に変化し,実際に,本件2㎞圏外控訴人らも,Aが焼却した廃タイヤの排煙の飛散や悪臭を経験していた。本件施設は,稼働時間が1日24時間,稼働日数が年間300日を予定していることに照らすと,ほぼ毎日24時間焼却による粉塵等や悪臭を発生させるものである。

Aの現状のずさんな廃タイヤ等の管理状況に鑑みて,本件施設が稼働した場合,Aが,本件環境影響調査報告書が設定する条件のとおりに全ての産業廃棄物を屋内にて適切に保管し,管理及び処理できるとは到底考えられないから,汚染された水が本件施設外に流出することが現実的に予想される。また,本件施設がe’川を谷とした比較的急峻な高台の上に建設されることから,本件施設周辺の雨水がe’川へ向けて流れ落ち,本件施設からの汚染水がe’川に流入し,下流にて合流するf’川にも有害物質等が流れ出て,ひいては本件2㎞圏外控訴人らも食料とする川魚や農作物などに有害物質が含まれ,風評による被害が生じる具体的な可能性がある。また,本件環境影響調査報告書の公害防止計画についても,本件施設の排水がほとんどないという報告は非現実的であって,排水による水質汚濁,地下水汚染に対する防止計画にも不備があるから,現状では水質汚染のおそれが非常に高い。本件施設の周辺では,住民による地下水利用及び下流域での利水がされており,被控訴人は,本件施設からの排水による地下水への影響について,より慎重な調査検討をすべきであった。

Aの本件許可申請書添付書類には,本件施設を運転管理する者についての知識経験に関する裏付け資料が全くない。また,廃棄物処理法施行規則11条の2第5号は,周辺地域の生活環境に及ぼす影響について何ら項目を制限していないから,産業廃棄物処理施設の設置により交通事故被害が増大する可能性を考慮することを排除していない。そして,ただでさえ道路状況が良好とはいえない県道g’号線に,本件施設の設置に伴い,昼夜を問わず大型車両が往復することになれば,地元住民の交通を害するだけでなく,住民らの生命身体の安全に直接かつ重大な影響を及ぼすものである。
争点


について

従前の適正処理条例22条1項の周知義務
従前の適正処理条例は,安全で安心な産業廃棄物処理施設の設置を推進するために,紛争を未然に防止するために地域住民との合意形成が重要であることから,事業者が,許可申請前の早期の段階で関係住民に対して事業計画について周知を行う義務を定めたものである。したがって,直接条例上に明文規定がないとしても,従前の適正処理条例制定の過程からは,事業者が産業廃棄物処理施設の設置等の計画を早い段階で住民に周知させ,合意形成を目指して努力することが想定されていたことは明らかである。このように解しても,従前の適正処理条例22条は,産業廃棄物処理施設設置業者に対し,関係住民との間に合意形成する義務まで課しているわけではなく,法の趣旨を超えた過剰な規制となるわけではない。
従前の適正処理条例22条は,適正配慮要件についてより正確な審査を行うために,周辺住民からの意見を積極的に求めようとする姿勢が強調された環境省通達平成10年5月7日生衛発780号の趣旨を徹底するために定められているから,同条により,許可申請書提出前の早期の段階で,関係住民に対し,生活環境保全の見地から意見書が提出できる程度の周知が求められるというべきである。

Aの周知義務の履行について
Cの報告書(乙48)には,平成19年4月28日のe’町内会常会において,Gが本件承諾書ひな形1を回覧した旨の記載があるが,e’町内会常会の進行次第としてはほぼ終了した後のことであり,回覧されたとしても全員が見たとはいえず,e’町内会常会におけるGの説明が,

今までのタイヤ焼却施設は,悪臭・煙などで迷惑をかけてきたが,新施設は大幅に改善されるので承諾してもらいたい。

ということにとどまり,新施設である本件施設が産業廃棄物中間処理施設だということや,処理する内容について一切の説明がなかったことも,明確に書かれている。そして,これらは原審におけるBの証言ともよく合致するから,Gは,e’町内会常会において,本件承諾書ひな形1に記載された施設の設置を計画している旨の説明をしたとはいえない。
また,本件各承諾書に署名押印した者らは,ほとんど皆,Gと幼いころからの知り合いという緊密な人間関係にあったから,Gに署名押印を求められた書面にどう記載されているかよりも,Gがそれをどのように説明しているかが情報として重要な意味を持っていた。本件承諾書ひな形1及び2には,多種類の廃棄物を処理する多目的の産業廃棄物処理施設の設置を承諾する旨の文言が記載されているが,記載されている内容は,廃棄物処理施設に詳しくない者には一見してどのような施設か理解できるものではない。このような地域の特質や,Gとの人間関係に照らして,本件承諾書ひな形1及び2に署名押印した者らは,本件承諾書ひな形1及び2の内容を理解することなく,Gに言われるまま署名押印し,本件各承諾書を作成したものである。
このように,Gは,本件施設の計画内容について,計画内容の周知といえるような説明をしていないし,本件承諾書ひな形1及び2に署名押印した者らは,その記載内容を理解し,記載された施設の設置を承諾して署名押印し,本件各承諾書を作成したものでもない。
本件において,Aは,e’町内会常会においてもその他の場においても,本件施設の計画内容についての説明を一切していないのであるから,関係住民が生活環境保全の見地からの意見書を提出できる程度の内容を伴った周知は全くなされておらず,利害関係人が廃棄物処理法上の意見書の提出を行う契機になるような説明があったとはいえない。したがって,Aが周知義務を履行したとはいえない。
また,Aが,e’町内会常会で何らかの説明をしたとしても,本件計画地から2㎞圏内に居住しているe’町内会に加入していない住民に対しては,そもそも周知をしたことにはならない。
争点

について

Aは,本件許可申請の手続において,住民に対する説明状況を岐阜県に報告するに当たり,当初から虚偽の報告内容に合致する偽装資料を提出して,意図的に岐阜県を欺いていた。Aは,B承諾書1及びC承諾書1の作成時期並びにB承諾書2及びC承諾書2の作成の真正について,虚偽の報告をしていたものであり,これらの文書については,状況からGが作成提出に全く関わっていないとはおよそ考えられない。Aは,ありのままを報告すると周知義務の履行が認められないことを自覚していたからこそ,虚偽の報告をしたのである。
争点

について

Aの本件許可申請が,適正配慮要件を満たしていないため,本来許可されないものであったにもかかわらず,岐阜県から本件設置許可処分がされたのは,Aの虚偽の回答により岐阜県が周知義務の履行の状況を誤認し,周辺環境への配慮として考慮すべき要素について錯誤に陥ったことによるものである。Aは,本来許可を得られないはずの者であったにもかかわらず,B承諾書1及びC承諾書1の作成時期並びにB承諾書2及びC承諾書2の作成の真正について虚偽の報告をするなど,意図的な虚偽の回答や,それを裏付ける資料を岐阜県に提出し,これによって岐阜県が錯誤に陥り,本件設置許可処分がされたのであるから,Aが不正の手段により本件設置許可処分を受けた者に該当することは明らかである。
争点

について

おそれがある者に該当するかどうかについては,設置許可を受けた者の資質,社会的信用性等の観点から,将来,その業務に関して不正又は不誠実な行為をすることが,相当程度の蓋然性をもって予想される者といえるかどうかを,健全な社会通念や社会常識に照らして判断すべきである。Aは,本件許可申請に関し,周知義務の履行として住民に対して本件施設の内容を説明すべきであるにもかかわらず,これを行わず,地域住民に対する説明をしていないにもかかわらず,これをしたかのように偽造されたC承諾書1及び2を,e’町内会長であったCから詐取的に取得し,周知義務の履行としての住民説明の状況について,岐阜県に対して,偽装資料を用いて虚偽の報告をし,岐阜県の判断を誤らせた上,本件設置許可処分後,住民への説明状況について,岐阜県から再確認の報告を求められたのに対し,変造文書を提出して虚偽報告の上塗りをし,報告書の疑義に対する岐阜県からの質問に対しても,不自然不合理な回答に終始して,自らの虚偽報告を正そうとしなかった。本件許可申請において,このように地元住民や法令の規範に対する不誠実な姿勢を示している事業者に,本件施設の管理運営を適切に行うことは期待できない。
このような状況に鑑みれば,Aが将来,本件施設の業務に関して不正又は不誠実な行為をすることは,高度の蓋然性をもって予想されるといえ,Aは,おそれのある者に当たるというべきである。
争点

について

本件審査請求においては,本件許可申請に一見Aの説明を裏付けるかのような承諾書があるが,その作成経緯や承諾書が示そうとしている住民への説明がされていたかどうかが問題とされていた。それにもかかわらず,本件裁決は,上記の点について実質的な審理をしないまま,本件各承諾書の存在自体から結論を導くような事実認定をしており,審理不尽の違法がある。第3
1
当裁判所の判断
当裁判所は,①本件訴訟のうち控訴人147の1及び控訴人166の1の請求については,本件裁決の取消しを求める法律上の利益が,同控訴人らの健康又は生活環境の保全等という一身専属的なものであり,相続の対象となるものとはいえないから,原審において同控訴人らの死亡により終了したものであり,したがって,控訴人147の1を承継したとされる控訴人147の2の控訴及び控訴人166の1を承継したとされる控訴人166の2の控訴は不適法であるから,いずれも却下することが相当であり,②本件2㎞圏外控訴人らの請求は,原告適格を欠くことからいずれも却下することが相当であり,③それ以外の控訴人らの請求は,本件許可申請が適正配慮要件を欠くものとは認められず,不正な手段により本件設置許可処分を受けたとき(廃棄物処理法15条の3第1項3号)に該当するとは認められず,Aがおそれがある者(同法7条5項4号ト)に該当すると認めることもできず,本件取消処分を取り消した本件裁決に違法な点は認められず,本件裁決に審理不尽の違法があるとも認められないから,いずれも棄却することが相当であると判断する。
その理由は,次のとおり補正し,2のとおり控訴人147及び控訴人166に関する判断を,3のとおり控訴人らの当審における補充主張に対する判断を加えるほかは,原判決の事実及び理由中の第3当裁判所の判断の1
ないし7に記載するとおりであるから,これを引用する(ただし,本件2キロ圏外原告らを本件2㎞圏外控訴人らと読み替える。)。原判決24頁21行目冒頭から23行目の「という。)」までを環境影響調査報告書と改め,同25行目の上記の書類を環境影響調査報告書と改める。同25頁3行目から4行目の関する事項を関し環境省令で定める事項と改め,同頁6行目の聴取すべきを聴取しなければならないと改める。
同頁8行目の種類から同9行目の処理する産業廃棄物までを種類及び規模並びに処理する産業廃棄物と改める。同頁16行目の環境省がから19行目の「という。)」までを環境影響調査指針と改め,同頁21行目の正常を性状と改め,同頁23行目から24行目の当該施設の設置がを環境影響調査の調査事項がと改める。
同25頁24行目,同27頁末行,28頁5行目及び同頁7行目の選定をいずれも設定と改め,同頁22行目の設定を設置と改める。
同29頁20行目から21行目の本件2キロ圏外原告らを除くを控訴人147,控訴人166及び本件2㎞圏外控訴人らをいずれも除くと改め,同30頁6行目の二,三十世帯を22から23世帯と改める。同36頁9行目冒頭から37頁13行目末尾までを,次のとおり改める。この点,廃棄物処理法15条の2第1項2号の定める適正配慮要件は,産業廃棄物処理施設の設置に関する計画が,当該施設に係る周辺地域の生活環境の保全について適正な配慮がなされたものであるとの要件に適合していると認めるときでなければ,当該施設の設置許可をしてはならないというものであり,上記の適正配慮要件を満たすものであるかどうかは,廃棄物処理法に定められた申請書及び環境影響調査報告書の提出(同法15条2項及び3項),申請書及び環境影響調査報告書等の告示・縦覧(同条4項),利害関係を有する者や関係市町村長の意見の聴取(同条5項及び6項)の手続によって判断されるというべきであり,上記意見の聴取についても,地域の生活環境保全に適正に配慮された施設の確保という適正配慮要件の目的に鑑み,環境保全上の意見を聴取することを意味するものと解される。したがって,廃棄物処理法が,産業廃棄物処理施設の設置許可申請者に対し,関係地域の住民に対する説明会の開催等により設置許可申請の内容を周知することを直接義務付けていると認めることはできない。これに対し,従前の適正処理条例22条1項は,産業廃棄物処理施設の設置許可申請者に対し,関係地域の住民に対する説明会の開催等により,当該施設の設置等に係る計画内容の周知を図らなければならないとするが,上記のとおり,廃棄物処理法が,設置許可申請者に対し,上記説明会の開催等により設置許可申請の内容を周知することを直接義務付けていないことに照らせば,設置許可申請者が計画内容についてどのような周知を行っているかが,利害関係を有する者や関係市町村長の意見の聴取(同法15条5項及び6項)の手続によって間接的に考慮されることがあり得るとしても,設置許可申請者が従前の適正処理条例22条1項の定める周知義務を履行することが,廃棄物処理法15条1項の設置許可のための直接の要件であると認めることはできず,設置許可申請者が上記周知義務を履行しない場合に,当該設置許可申請が直ちに廃棄物処理法上の適正配慮要件を欠くものになるとは認めることができない。したがって,Aが従前の適正処理条例22条1項に定める周知義務を履行していないことを理由として,周辺地域の生活環境の保全について適正な配慮がなされたものとは認められないとする本件取消処分は,上記の点において法令の解釈及び適用を誤るものであるから,本件取消処分を取り消した本件裁決が違法なものとは認められない。なお,従前の適正処理条例22条1項は,産業廃棄物処理施設の設置許可申請者に対し,関係地域の住民に対する当該施設の設置等に係る計画内容の周知を図ることを義務付けるものと解されるが,周知を図るための具体的な方法を限定するものではなく,また,環境影響調査報告書の住民に対する提示や,利害関係者が意見書の提出が可能であることについての住民に対する教示等を義務付けるものでもない。したがって,上記アの事実関係を考慮しても,本件におけるAの行為が従前の適正処理条例22条1項に違反しているかどうかは明らかではないというべきであり,同項違反をいう控訴人らの主張は,採用することができない。同39頁7行目の乙28の前に甲5,を加える。
同40頁10行目のされているの後に(乙44の2)を加える。
同41頁18行目の廃棄物処理法法を廃棄物処理法と改め,不正な手段を不正の手段と改める。同42頁初行の2「2から8行目末尾までを,次のとおり改める。
イ(補正後)記載のとおり,設置許可申請者が従前の適正処理条例2
2条1項の定める周知義務を履行することが,廃棄物処理法15条1項の設置許可の直接の要件であるとは認められず,上記2

ア(補正後)のとおり,

Aが本件許可申請の内容につき,e’町内会常会において一定の説明をしているものと認められることに照らせば,Aが,本来設置許可処分を得られないはずの者であるとは認めることができず,上記の虚偽回答によることで初めて本件設置許可処分を得たものと認めることはできない。
したがって,Aが,不正の手段により本件設置許可処分を受けたとは認めることができず,Aが岐阜県に対し,地元への事業説明について虚偽の報告をすることにより周知義務を履行したと誤信させ,適正配慮要件を充足するという誤った判断をさせたことを理由として,Aが不正の手段により本件許可を受けたと認定する本件取消処分は,上記の点において法令の解釈及び適用を誤るものであって,本件取消処分を取り消した本件裁決が違法なものとは認められない。」
同43頁22行目の上記2イから25行目末尾までを,次のとおり
改める。
上記2ア及びイ(補正後)において認定説示するとおり,Aが本件許可申請の内容につき,e’町内会常会において一定の説明をしているものと認められ,従前の適正処理条例22条1項に違反しているかどうかは明らかではないこと,本件各承諾書の作成者であるB,C,控訴人40,D及びEが,本件承諾書ひな形1又は2に署名押印した際に,その内容を理解していなかったと認めるに足りる事情がないことに照らせば,上記ア②は,その前提を欠くものである。また,上記ア①についても,従前の適正処理条例22条1項の周知義務を履行することが,廃棄物処理法15条1項の設置許可の直接の要件であるとは認められないから,Aが上記の周知義務を履行していないと認められるとしても,そのことによって,その能力や資質から,およそ産業廃棄物処理施設の適切な運営・管理を行うことができないことが一般的に肯定される者に該当すると客観的,定型的に判断できる場合に当たるということはできない。したがって,仮にAに上記ア①の事由があるとしても,そのことを理由に,Aがおそれがある者に該当すると認めることはできない。同44頁5行目の本件許可申請から同9行目の「いえる。」までを,次のとおり改める。
本件設置許可処分に対する地元住民の反対の声が強いことを受けて,従前の適正処理条例22条1項の周知義務の履行状況を確認するためのものであったと考えられるところ,上記2イ(補正後)のとおり,従前の適正処理条例22条1項の周知義務を産業廃棄物処理施設の設置許可申請者において履行することが,廃棄物処理法15条1項の設置許可の直接の要件であるとは認められないことに照らせば,この点に関するAの報告に虚偽があったことが,直ちに本件許可申請の許否の判断に影響を与えるものとはいえない。同頁22行目冒頭から同23行目末尾までを,次のとおり改める。したがって,Aが,廃棄物処理法7条5項4号トの「おそれがある者に該当するとは認めることができず,Aが従前の適正処理条例22条1項の周知義務を果たしておらず,同周知義務の履行状況について誠意をもって又は責任ある回答をしないことを理由として,おそれがある者に該当すると認定する本件取消処分は,上記の点において法令の解釈及び適用を誤るものであるから,本件取消処分を取り消した本件裁決が違法なものとは認められない。」
2
控訴人147及び控訴人166に関する判断
記録によれば,控訴人166の1及び147の1は,本件訴訟が原審に係属中である平成28年4月3日及び同年8月31日にそれぞれ死亡したことが明らかである。控訴人166の1及び控訴人147の1の有していた本件裁決の取消しを求める法律上の利益は,原審及び当審における審理によれば,同控訴人らの健康又は生活環境の保全等という一身専属的なものであり,相続の対象となるものとはいえないから,本件訴訟のうち同控訴人らに関する部分は,その死亡により終了したものというべきである(最高裁判所平成9年1月28日第三小法廷判決・民集51巻1号250頁参照)。
したがって,控訴人166の1を承継したとする控訴人166の2の控訴及び控訴人147の1を承継したとする控訴人147の2の控訴は,いずれも不適法なものとして却下することが相当である。

3
控訴人らの当審における補充主張に対する判断
争点

(本件2㎞圏外控訴人らの原告適格)について

本件2㎞圏外控訴人らは,Aの従前からの廃タイヤの管理状況や,本件2㎞圏外控訴人らの生活状況等に照らし,本件設置許可処分により現実的かつ具体的な被害を受ける可能性があり,本件環境影響調査報告書において,本件施設からの直線距離によって画一的にその対象範囲を決することには何ら合理性がないから,本件2㎞圏外控訴人らも,本件取消処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者に該当し,原告適格が当然に認められるべきである旨主張する。ア
この点,廃棄物処理法は,公衆衛生の向上を図るなどの公益的見地から産業廃棄物等処分業を規制するとともに,産業廃棄物処理施設からの有害な物質の排出に起因する大気や土壌の汚染,水質の汚濁,悪臭等によって健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある個々の住民に対して,そのような被害を受けないという利益を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むと解される。したがって,本件施設が設置されることにより,健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は,本件裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消訴訟における原告適格を有するものということができる(原判決第3の1

ウ及びエ(補正後))。

そして,本件施設の周辺に居住する住民が,上記のような健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者に当たるか否かは,当該住民の居住する地域が上記の著しい被害を直接的に受けるものと想定される地域であるか否かによって判断すべきものと解され,産業廃棄物処理施設からの上記被害がその周辺の一定範囲の地域に広がり得る性質のものであることや,産業廃棄物処理施設の設置許可申請書の添付書類として提出され審査の対象となる環境影響調査報告書に記載されるべき調査の項目と内容,調査の対象とされる地域の選定の基準等(廃棄物処理法施行規則11条の2,環境影響調査指針参照)に照らせば,一般に,環境影響調査報告書において調査の対象とされる地域は,当該施設の種類や規模等の具体的な諸条件に照らして,その設置により生活環境に影響が及ぶおそれのある地域であると認めることができる(最高裁判所平成26年7月29日第三小法廷判決・民集68巻6号620頁参照)。
これを本件について検討すると,本件環境影響調査報告書においては,環境影響調査の対象とされる地域が,最大で,大気汚染の調査項目に関し,本件計画地から2㎞の範囲とされているから,上記地域内に居住する者については,原告適格を有するということができ,他方で,上記地域外に居住する者については,特別の事情のない限り,生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者とは認められず,本件裁決の取消訴訟における原告適格を有するとは認められないというべきである(原判決第3の1

オ及びカ(補正後))。

控訴人らは,本件2㎞圏外控訴人らについても,原告適格を認めるべき特別の事情がある旨主張する。
しかし,大気質については,環境影響調査指針により,プルーム式等の大気拡散式から推定される最大着地濃度出現距離を考慮して設定するとされ,設定に当たっては,地域の気象特性,行政区域,地形・土地利用の状況も勘案するとされており,環境影響調査指針の調査対象地域設定例においても,最大着地濃度出現予想距離の概ね2倍を見込んで設定したとされている。そして,本件環境影響調査報告書において,最大着地濃度出現予測地点の距離は,約500mであるとされているところ,本件計画地周辺の地形・土地利用の状況も勘案して調査対象地域と設定されているのは,その4倍である2㎞を半径とする地域であって,控訴人らの主張を考慮しても,本件環境影響調査報告書が設定する調査対象地域が過少なものとは認められない。また,過去に本件2㎞圏外控訴人らが経験したというGが焼却した廃タイヤの排煙の飛散や悪臭についても,本件施設とGが過去に使用していた廃タイヤ焼却施設とが異なるものであることに照らし,上記廃タイヤ焼却施設の悪臭が届く範囲を調査対象地域とすべきであったと認めることはできない。
また,水質に関しても,本件取消処分は,Aに対する産業廃棄物の焼却施設及び焼成施設の設置許可を取り消す処分であるから,本件訴訟の原告適格を検討する際には,本件施設において産業廃棄物の焼却及び焼成に伴って発生する排水の有無が問題になるのであって,控訴人らが主張する積載保管施設及び破砕施設からの排水については,本件訴訟の原告適格と直接関連するものとは認めるに足りない。そして,本件環境影響調査報告書において,控訴人らが主張するような,Aが想定外の事情によって保管場所に産業廃棄物を保管することができない等の廃棄物処理法施行規則8条2号に違反する保管方法を取った場合や,本件許可申請の内容と異なる保管方法を取った場合等についてまで,本件施設の設置による水質への影響を検討しなければならないものとは認められず,控訴人らの上記主張も,本件訴訟の原告適格を左右するものとは認められない。
その他の控訴人らの主張も,本件環境影響調査報告書中の,Aの作成した公害防止計画の内容が疑問であると指摘するにとどまり,本件環境影響調査報告書の調査項目が過少であることを裏付けるものと認めるには足りず,本件訴訟の原告適格に影響を与えるものとは認められない。そして,控訴人らは,環境影響調査報告書に記載すべき事項を規定した廃棄物処理法施行規則11条の2第5号は,周辺地域の生活環境に及ぼす影響について何ら項目を制限しておらず,産業廃棄物処理施設の設置により交通事故被害が増大する可能性を考慮することを排除していないと主張するが,同条第1号が,環境影響調査報告書に記載すべき調査項目を,大気質,騒音,振動,悪臭,水質又は地下水に限定していることに照らせば,同条5号は,それを前提に調査結果を分析した結果を記載することを定めるものというべきであって,廃棄物処理法の趣旨及び目的を併せて考慮しても,控訴人らの主張する交通事故被害が増大する可能性を理由に,本件訴訟について,本件2㎞圏外控訴人らの原告適格を認めることはできない。
したがって,本件2㎞圏外控訴人らについて,本件訴訟の原告適格を認めるべき特別の事情があるとは認められず,控訴人らの上記主張は,いずれも採用することができない。
争点

(岐阜県知事の,本件許可申請が適正配慮要件を充足しないとの判
断の適否)について
控訴人ら(以下においては,控訴人147,控訴人166及び本件2㎞圏外控訴人らをいずれも除いた控訴人らをいうものとする。)は,従前の適正処理条例22条1項は,産業廃棄物処理施設の設置許可を受けようとする者等に対し,許可申請書提出前の早期の段階で,関係住民に対し,生活環境保全の見地から意見書が提出できる程度の周知をする義務を課すものであり,関係住民との間に合意形成する義務まで課しているわけではないから,法の趣旨を超えた過剰な規制となるわけではない,本件において,Aが,上記の周知義務を果たしたとはいえない旨主張する。

しかし,廃棄物処理法が,産業廃棄物処理施設の設置許可申請者に対し,関係地域の住民に対する説明会の開催等により,設置許可申請の内容を周知することを義務付けていると認めることはできず,設置許可申請者が従前の適正処理条例22条1項の定める周知義務を履行することが,廃棄物処理法15条1項の設置許可のための要件であるとは認められないことは,原判決が第3の2

イ(補正後)において認定説示するとおりである。

そうすると,仮に,控訴人らが主張するように,Aの行為が,従前の適正処理条例22条1項の定める周知義務を履行したものとは認められないとしても,Aが上記の周知義務を履行していないことを理由に,本件設置許可申請が周辺地域の生活環境の保全について適正な配慮がなされたものとは認められないとして,本件設置許可処分を取り消す本件取消処分は,法令の解釈及び適用を誤るものである(原判決第3の2

イ(補正後))。

したがって,本件許可申請が従前の適正処理条例22条1項の定める周知義務を履行していないことを理由に,廃棄物処理法15条の2第1項2号の適正配慮要件を充足しないとする控訴人らの上記主張も,同様の理由により,採用することができない。

なお,従前の適正処理条例22条1項は,産業廃棄物処理施設の設置許可申請者に対し,関係地域の住民に対する当該施設の設置等に係る計画内容の周知を図ることを義務付けるものと解されるが,周知を図るための具体的な方法を限定するものではなく,環境影響調査報告書の住民に対する提示や,利害関係者が意見書の提出が可能であることについての住民に対する教示等を義務付けるものとはいえない(原判決第3の2

イ(補正

後))。
そして,控訴人らの主張を考慮しても,平成19年4月28日のe’町内会常会において,Gが本件承諾書ひな形1を回覧したこと,本件許可申請の申請書の告示及び縦覧について,Gが平成21年8月28日のe’町内会常会において説明したと認められること,控訴人40,B,C,D及びEが,Gの求めに応じて,e’町内会長又は墓地管理責任者として本件承諾書ひな形1又は2に署名押印し,本件各承諾書が作成されたことが認められる(原判決第3の2


)。

これらの事実関係に照らせば,Gが本件許可申請に関し,e’町内会常会等において一定の説明をしたものと認められ,従前の適正処理条例22条1項が設置許可申請者に対して義務付ける内容(周知義務)が,計画内容の周知を図ることにとどまっていることに照らせば,Aが上記の条例上の周知義務に違反しているかどうかは,明らかでないというべきである。

したがって,Aが従前の適正処理条例22条1項の定める周知義務を履行していないことを理由に,廃棄物処理法15条の2第1項2号の適正配慮要件を充足しないとする控訴人らの上記主張は,採用することができない。
争点

(Aが,関係住民への周知及び承諾書の取得状況について岐阜県に
虚偽の報告をしたか)及び争点

(岐阜県知事の,Aが不正の手段により

本件設置許可を受けた(廃棄物処理法15条の3第1項3号)との判断の適否)について
控訴人らは,Aが,B承諾書1及びC承諾書1の作成時期並びにB承諾書2及びC承諾書2の作成の真正等について,岐阜県に対して虚偽の報告をしていたのであり,岐阜県は,Aの虚偽の回答により,周知義務の履行の状況を誤認し,適正配慮要件について錯誤に陥ったために本件設置許可処分を行ったのであるから,Aは,不正の手段により本件設置許可処分を受けた者に該当する旨主張する。

しかし,廃棄物処理法15条の3第1項3号の不正の手段とは,同法14条5項第2号に規定する欠格要件に該当するにもかかわらず,又は実際には経理的基礎を有していないにもかかわらず,設置許可申請書や添付書類(登記事項証明書,資金調達方法を記載した書類等)に虚偽の記載をする,許可の審査に関する行政からの照会,検査等に対し虚偽の回答をする,又は暴行脅迫その他の不正な行為により,行政による許可要件や欠格要件の該当性に関する判断を誤らせるような行為をいうものと解される(乙7,11)。
そして,廃棄物処理法が,産業廃棄物処理施設の設置許可申請者に対し,関係地域の住民に対する説明会の開催等により,設置許可申請の内容を周知することを義務付けていると認めることはできず,設置許可申請者が従前の適正処理条例22条1項の定める周知義務を履行することが,廃棄物処理法15条1項の設置許可のための要件であるとは認められないことは,原判決が第3の2

イ(補正後)において認定説示するとおりである。

本件において,Aが岐阜県に事実と異なる報告を行ったのは,原判決第3の3(補正後)のとおり,e’町内会常会及びh’班常会における説明状況,B承諾書1及びC承諾書1の作成時期並びにB承諾書2及びC承諾書2の作成の真正についてであるところ,これらの報告は,従前の適正処理条例22条1項の定める周知義務に関するものであるということができる。そして,これらの報告は,Aに対する不信感を地域住民や岐阜県に抱かせるものであるということはできるが,上記のとおり,設置許可申請者が従前の適正処理条例22条1項の定める周知義務を履行することが,そもそも廃棄物処理法15条1項の設置許可のための要件であるとは認められないことに鑑みれば,周知義務に関するAの上記報告が,行政による許可要件や欠格要件の該当性に関する判断を誤らせるような行為と認めることはできず,Aが,不正の手段により本件設置許可処分を受けた者に該当すると認めることはできない。
控訴人らの上記主張は,採用することができない。
争点

(岐阜県知事の,Aがおそれがある者(廃棄物処理法7条5項4号
ト)に該当するとの判断の適否)について
控訴人らは,Aが,本件許可申請に関し,周知義務の履行として住民に対して本件施設の内容を説明すべきであるにもかかわらず,これを行わず,説明をしたかのように偽造されたC承諾書1及び2を取得し,住民に対する説明状況について岐阜県の判断を誤らせ,本件設置許可処分後にも岐阜県から説明状況について報告を求められたのに対し,変造文書を提出して不自然不合理な回答に終始して,自らの虚偽報告を正そうとしないなど,地元住民や法令規範に対する不誠実な姿勢を示しているから,おそれがある者に当たる旨主張する。
しかし,廃棄物処理法7条5項4号トのおそれがある者とは,同号イからヘまで及び同法14条5項2号ロからヘまでのいずれにも該当しないが,設置許可を受けた者の資質,社会的信用性等の観点から,将来,その業務に関して不正又は不誠実な行為をすることが,相当程度の蓋然性をもって予想されるものをいうと解されるところ,廃棄物処理法14条5項2号ロからヘまでの各規定が暴力団員等を排除する規定であること,同法7条5項4号イからヘまでの各規定が成年被後見人や特定の罪を犯し有罪判決を受けるなどした者の欠格事由を規定するものであることに鑑みると,これと同列に規定された同法7条5項4号トのおそれがある者についても,同程度の事由の存在を前提とするものであると解され,行政処分の指針(平成17年8月12日環廃産発第050812003号。乙7)の第2の2

③イからヘまでにお

いて例示されている内容も,同様の趣旨であると解される。
この点,本件において,おそれがある者に該当することの根拠として控訴人らが主張する事実は,Aが従前の適正処理条例22条1項の周知義務を履行しておらず,周知義務の履行状況に関して虚偽の報告をしたというものであるところ,そもそも上記の周知義務を履行することが,廃棄物処理法15条1項の設置許可のための要件であるとは認められないことは,原判決が第3の2

イ(補正後)において認定説示するとおりである。加えて,Aが虚
偽の報告をするに至った経緯やその内容を併せて考慮すれば,控訴人らが主張する事実が,廃棄物処理法14条5項2号ロからヘまで,同法7条5項4号イからヘまでの各規定に記載されている内容や,上記行政処分の指針の第2の2

③イからヘまでにおいて例示されている内容と同程度の悪質性
を有しているとは認めるに足りない(原判決第3の5

及び

(補正後))。

したがって,Aが廃棄物処理法7条5項4号トのおそれがある者に該当すると認めるには足りず,控訴人らの上記主張は,採用することができない。争点

(本件裁決の手続違反)について

控訴人らは,本件審査請求においては,本件許可申請に一見Aの説明を裏付けるかのような承諾書があるが,その作成経緯や承諾書が示そうとしている住民への説明がされていたかどうかについて実質的な審理をしないまま,承諾書の存在自体から結論を導くような事実認定をしており,審理不尽の違法がある旨主張する。
しかし,本件審査請求は,住民責任者が承諾書に署名押印した事実があることから,Aが,地元住民に対して誠意なく事業の説明をしなかったとは判断しがたく,おそれがある者には当たらない,適正配慮要件を根拠として住民への周知義務を課すことは妥当でない,住民責任者の承諾書は,法に定める許可申請書の添付資料ではない等として,本件裁決をしたものであり,控訴人らの主張するように,承諾書の存在自体から結論を導くようなものとは認められず,審理不尽の違法があるとは認めることができない。
控訴人らの上記主張は,採用することができない。
第4

結論
よって,主文のとおり判決する。

名古屋高等裁判所民事第1部

裁判長裁判官

永野圧彦
裁判官

田邊浩典
裁判官

大久保香織
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