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特別掛金賦課処分取消請求事件
事件番号平成26(行ウ)381
事件名特別掛金賦課処分取消請求事件
裁判年月日平成27年12月8日
法廷名東京地方裁判所
判示事項厚生年金保険法(平成25年法律第63号による改正前のもの)に基づき設立された厚生年金基金の規約が,給付に要する費用に充てるため,脱退の申出を行った設立事業所に係る未償却過去勤務債務等の額を,特別掛金として当該設立事業所の事業主から徴収するものとすると定める場合において,当該厚生年金基金の設立事業所の事業主(法人)が吸収合併され適用事業所に該当しなくなった場合の当該設立事業所の上記「脱退の申出を行った設立事業所」該当性
裁判要旨厚生年金保険法(平成25年法律第63号による改正前のもの)に基づき設立された厚生年金基金の規約が,給付に要する費用に充てるため,脱退の申出を行った設立事業所に係る未償却過去勤務債務等の額を,特別掛金として当該設立事業所の事業主から徴収するものとすると定める場合において,当該厚生年金基金の設立事業所の事業主(法人)が吸収合併され適用事業所に該当しなくなった場合の当該設立事業所は上記「脱退の申出を行った設立事業所」に当たらない。
裁判日:西暦2015-12-08
情報公開日2017-10-19 09:21:23
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平成27年12月8日判決言渡
平成26年(行ウ)第381号

特別掛金賦課処分取消請求事件

主1文
被告が平成25年6月24日付けで原告に対してした特別掛金1億1385万5759円の納入告知を取り消す。

2
訴訟費用は被告の負担とする。

第1

実及び理由
請求
主文と同旨

第2

事案の概要
本件は,原告が,株式会社A(以下Aという。
)を吸収合併したことに
伴い,厚生年金保険法(平成25年法律第63号による改正前のもの。以下同じ。
)に基づき設立された厚生年金基金である被告から,B厚生年金基金規約(以下本件規約という。
)附則14条1項に基づき,特別掛金の納入の告
知を受けたことに対し,同納入告知の取消しを求める事案である。
1
関係法令等の定め
本件に関係する厚生年金保険法(以下法又は厚年法という。
)その他
の関係法令及び本件規約(平成25年10月18日付け関東信越厚生局長による関厚発1018第61号による規約の一部変更認可前のもの。以下同じ。)
の定めは,別紙関係法令等の定めに記載のとおりである(甲5,乙5,20)


2
前提事実(証拠等を掲げていない事実は当事者間に争いがない。

(1)

当事者等


被告は,法106条にいう基金である。


原告は,印刷業等を行う株式会社である。


Aは,主に印刷業を行う株式会社であり,神奈川県相模原市α×番14号所在のAの事業所(本店。以下本件事業所という。
)は被告の設立事
業所であったところ,平成25年4月1日付けでAを吸収合併消滅会社,原告を吸収合併存続会社とする吸収合併(以下本件合併という。
)がさ
れた。
(2)

特別掛金の納入の告知に至る経緯等
平成25年3月29日付けで,A名義で被告に対し,以下の各記載のある事業主及び被保険者の同意についてと題する書面(以下本件同意書面という。)が提出された(甲21,乙2)

(ア)

当事業所が被告の設立事業所から削除されることについて,法14
4条1項の規定による事業主として同意します。
(イ)

当事業所が被告の設立事業所から削除されることについて,同事業
所の被保険者に法144条1項の規定による同意を求めたところ,被保険者37名中36名の同意があったことを証明します。
イ(ア)

平成25年4月1日付けで,A名義で被告に対し,本件事業所に係
る全喪届(以下被告宛て全喪届という。
)が提出された(甲20,乙
1)

(イ)

日本年金機構は,平成25年4月15日付けで,Aに宛てて,本件
事業所に使用されていた37名の被保険者について健康保険及び厚生年金保険の資格喪失が確認された旨通知した(甲18)

(ウ)

平成25年5月14日,A名義で日本年金機構に対し,法施行規則
13条の2第1項に基づき本件事業所に係る適用事業所全喪届
(以下
機構宛て全喪届という。
)が提出された(乙6。以下,同項が規定する廃
止,休止その他の事情により適用事業所に該当しなくなったことを適用事業所の全喪又は単に全喪という。。)
(エ)

平成25年5月14日,A名義で被告に対し,本件事業所に使用さ
れていた37名に係る加入員資格喪失届(以下本件資格喪失届という。
)が提出された(甲19,乙4)


平成25年4月1日付けで,A名義で被告に対し,以下の記載のある被
告脱退報告書(以下,
本件脱退報告書といい,本件同意書面,被告宛て
全喪届及び本件資格喪失届と併せて,
本件各書面という。
)が提出され
た(甲22,乙3)

当社は,平成25年4月1日付けで,C株式会社と,同社を吸収合併存続会社,当社を吸収合併消滅会社とする吸収合併を行いました。これにより,当社は,厚生年金保険法上の適用事業所でなくなるとともに,当社の全役職員は貴基金の加入員資格を喪失し,よって,当社は当然に貴基金を脱退しましたので,その旨報告いたします。エ
被告は,平成25年6月24日付けで,原告に対し,本件規約附則14
条に基づき,Aに係る特別掛金1億1385万5759円(以下本件特別掛金という。)を納入するよう告知した(甲4。以下,この納入告知を
本件納入告知という。。

オ(ア)

平成25年9月18日,被告の代議員会が開催され,本件事業所を
被告の設立事務所から削除する旨の本件規約の一部を変更する旨の議決がされた(乙18)

(イ)

被告は,
平成25年10月2日,
関東信越厚生局長に対し,
上記(ア)

のとおり本件規約の一部を変更することについて認可の申請をし(乙19)同局長は,

同月18日,
これを認可した
(関厚発1018第61号。
乙5)

(3)

本件訴えに至る経緯
原告は,平成25年8月19日,社会保険審査会に対し,本件納入告知を取り消すことを求める旨の審査請求をした。


社会保険審査会は,平成26年4月28日付けで,原告の上記アの審査請求を棄却する旨の裁決をした。
ウ3
原告は,平成26年8月11日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。

争点
(1)

被告の設立事業所が吸収合併に伴い適用事業所の全喪となった場合に,被
告は,当該設立事業所の事業主に対し,本件規約附則14条1項(以下本件規定ということがある。に基づき特別掛金を徴収することができるか否)
か。
(2)
4
Aが脱退の申出
(本件規定)を行ったか否か。

争点に関する当事者の主張
(1)

争点(1)(吸収合併の場合に本件規定に基づき特別掛金を徴収することの
可否)について
(被告の主張)

適用事業所の全喪と設立事業所の地位との関係
(ア)

適用事業所の廃止,休止その他の事情が生じた場合,当然に適用事
業所として全喪するのではなく,当該適用事業所の事業主が,法施行規則13条の2第1項の全喪届を提出することにより全喪するのであり,全喪届の提出又は任意適用取消申請(法施行規則13条の2第1項ただし書,14条)に対する大臣認可がされるまでの間は,法7条によりみなし適用事業所として存続する。下記(原告の主張)ア(ア)における原告の主張は,厚年法を正解しない原告独自の主張である。
(イ)

基金の設立事業所となるためには厚生年金保険の適用事業所である
ことが前提であるとしても,厚年法上,適用事業所を全喪すれば当然に設立事業所の地位を喪失することを定めた規定はない。
(ウ)

設立事業所の減少は,法115条1項3号の基金の設立に係る適用事業所の名称及び所在地の変更として規約変更事項に当たり,代議員会の承認決議が必要とされ(法118条1項1号)
,かつ,厚生労働大
臣の認可が効力要件とされており(法115条2項,基金令2条2号),
これらの手続はいわゆる任意脱退の場合と適用事業所の全喪の場合で区別されていない。
上記のように厚年法が設立事業所の減少に代議員会の決議を要求した趣旨は以下のとおりである。すなわち,厚生年金基金が,国の運営する厚生年金保険制度の一部を代行する公益的性格を有するため,
基金には,
一設立事業所の主観的意思ないし事情のみによって,他の加入員の利益が害されたり,他の設立事業所との間に不公平が生じたりしないように調整する責任が課されている。このことを設立事業所の脱退に関していうと,設立事業所の脱退に伴い大量の加入員が減少して基金存続のた①
めの法定人数要件(5000人)を欠くに至る場合には,大臣による改善命令を経て解散命令による解散となり,基金に残される加入員らの上乗せ部分(3階部分)を受給する期待権が一方的に侵害されることになる。また,②基金は,設立事業所の脱退後においても,当該設立事業所の従業員等に対する将来の年金給付義務を負担し続けるのであり,当該設立事業所が特別掛金を納入して脱退する場合であっても,脱退後の資金運用リスクは基金の残存事業所が全て負担しなければならない。これらの場合に,基金は,基金脱退を希望する事業所の利益と基金に残される事業所の加入員及び事業主の利益を調整する必要があり,厚年法は脱退事業所と残存事業所の公平維持の観点から,代議員会が脱退不承認の決議をする余地を認めたのである。
(エ)

厚年法及びその関連法令並びに本件規約上,設立事業所が基金に対
する何らの意思表示もなく法律上当然に基金を脱退することを定めた規定は一切存在しないから,設立事業所が吸収合併された場合に,被告が代議員会による規約変更決議等を経ずに当該設立事業所を本件規約の設立事業所から削除することは,厚年法及び本件規約違反となる。
(オ)

したがって,機構宛て全喪届により適用事業所の全喪を生じた
としても,当然に基金の設立事業所の減少を生じさせるものではなく,厚年法所定の手続が完了するまでは,当該事業所は基金の設立事業所であり続ける。

本件規定の脱退の申出の意義
(ア)

脱退の申出とは,当該事業所の事業活動自体は継続されている

場合において,当該事業主の経営方針等からされる基金の設立事業所でなくなる旨の申出のことであり,具体的には①被告からいわゆる任意脱退して厚生年金保険の適用事業所のみとなる旨の申出,②吸収合併・事業譲渡等に伴い全喪事業所からされる被告脱退の申出である。(イ)

②の場合,当該事業所の事業活動の実態がなくなるわけではなく,
吸収合併先・事業譲渡先においてそのまま継続され,吸収合併先・事業譲渡先において厚生年金保険の適用事業所としての事業実態を保有し続ける点において,①の場合,当該事業所の事業活動の実態には何ら変わりないものの,被告の設立事業所ではなくなることと,その実質において共通する。
①及び②の場合はともに,当該事業所の事業活動の実態には何ら変わりはないものの,被保険者にとっては基金からの厚生年金の上乗せ・加算給付部分が切り捨てられて厚生年金のみとなり,福利厚生の実質切り下げにつながるため,いずれの場合にも法144条1項の手続が必要とされている。
②の場合について,当該設立事業所に係る加入員等に対し基金が将来支給することとなる年金の原資として脱退時点で既に生じている不足額を,基金の残存事業所に押し付けて脱退してもよい理由はなく,この場合のみ,被告が特別掛金の徴収をしない合理的な理由は存在しない。(ウ)

いかなる場合を脱退時特別掛金の賦課事由とするかについては,法
令に反しない範囲で,個々の基金の実情に応じて基金独自の規約を定めることができる。被告は,吸収合併により消滅する事業所からは脱退の申出を受けることにより脱退時特別掛金を賦課しているのである。(エ)

関東信越厚生局健康福祉部年金課からの行政指導文書(甲23)及
び厚生労働省の【参考】当該通知に係る相談事例と題する書面(乙16)において,上記(ア)の②の申出を同①の申出と同等に取り扱うべきことが示されている。厚生労働省は,D協会からの照会に対して,設立事業所が全喪したことによる規約の変更のうち,基金の設立事業所が経営方針による合併や事業譲渡等の場合であって,基金が,当該事業所に対して,特別掛金の納入告知処分を予定している場合について,任意脱退と同様の取扱いとする。旨回答している(乙17の1・2)。
被告の脱退の申出に係る取扱いは,上記厚生労働省の認識に沿う
ものである。
(オ)

したがって,
脱退の申出の意義は上記(ア)のとおりに解される。

(原告の主張)

適用事業所の全喪により設立事業所の地位を喪失すること
(ア)

吸収合併により消滅会社の事業所に使用される被保険者は,全員が
被保険者たる資格を喪失することになり(法14条2号)
,被保険者全員
が被保険者たる地位を失うことにより,当該事業所は全喪して適用事業所に該当しないことになる(法6条1項)
。全喪届の提出は行政庁に対す
る事後報告の意味を有するのみである。
なお,法7条は吸収合併による消滅会社の事業所に適用されず,同条によりみなし適用事業所として存続することはない。
(イ)

厚生年金基金制度における設立事業所の主な役割は,加入員から掛
金を徴収して納付し,
自らの負担分について掛金を負担することにあり,
吸収合併により,設立事業所の加入員が将来を含めて確定的に存在しなくなり,設立事業所が厚年法上の適用事業所でもなくなった場合,設立事業所の主な役割は終了しており,もはやその地位を維持する意味はなくなる。
そもそも,適用事業所であることは,基金の設立事業所に該当することの大前提であること(法117条3項)にも照らせば,吸収合併消滅会社の事業所は,適用事業所に該当しなくなった結果として,基金に対する意思表示を行うことなく当然に,基金の設立事業所としての地位を喪失し,基金を離脱する。
(ウ)

法144条1項は,
基金がその設立事業所を・・・減少させると

いう文言からして,設立事業所からの任意脱退の申出を基金が認めることで初めて脱退の効力が生じるという場面を想定し,その場合の基金の行為規範を定めたものであり,全喪による脱退の場合に,設立事業所の地位が失われる要件として規約変更の認可は必要ない。

本件規定の脱退の申出の意義
(ア)

脱退の申出とは,任意脱退の申出,すなわち,その脱退の申出

を基金が承認することによって初めて脱退の効果が生じるような,基金に対する意思表示をいうと解され,吸収合併により当該設立事業所が適用事業所及び設立事業所の地位を喪失した場合が含まれると解することはできない。
(イ)

申出の文理上の意味は,希望・要求・意見等を進んで言って出

ることであって,単なる報告がこれに当たらないことは文理上明らかであり,一般的な年金実務及び被告内部において任意脱退は適用事業所の全喪による脱退とは全く異なる概念と解されており,脱退の申出という文言から,
任意脱退のみならず,吸収合併・事業譲渡等に
伴い全喪事業所からされる基金脱退の申出まで読み取ることには無理がある。厚生年金基金の特別掛金は,一方的・強制的に賦課徴収されるものであるから,課税要件明確主義(憲法84条)の趣旨に鑑み,特別掛金の要件に関する規定は文言通り解釈されるべきである。
本件規定は,設立事業所が基金から任意脱退する場合に当該設立事業所に対し特別掛金を納付させるように監督官庁から指導がされたことを受けて制定されたものである。その後の本件規定の改正経緯において,合併等が特別掛金の対象になる条項案が廃案とされている。被告が,吸収合併による場合にも特別掛金を課したいのであれば,本件規定を吸収合併による場合も含むように改正すれば足りたはずで,他の基金ではそのような明文の規定を設けているものが多い。
(ウ)
(2)

したがって,
脱退の申出の意義は上記(ア)のとおりに解される。

争点(2)(脱退の申出の有無)について

(被告の主張)
Aは,被告に対し,適用事業所の全喪とは別に基金からの脱退の意味で,機構宛て全喪届とは別に被告宛て全喪届を提出し,法144条1項に従って本件同意書面を提出し,本件規定所定の脱退の申出として本件脱退報告書を提出し,
脱退の申出をしたことを前提として本件資格喪失届を提出した。
以上のとおり,
Aは被告に対し本件各書面を提出し,脱退の申出」
を行った。(原告の主張)被告宛て全喪届は,本件事業所に所属する加入員の全員が加入員の資格を喪失したことを届け出るものであり,本件資格喪失届も含め,合併により当然に発生した事実を事後報告するものにすぎない。本件同意書面は,法144条1項上の手続書類であるが,厚生労働省の通達により同条項の規定内容を超えた手続が定められたため,この通達に従ったものにすぎず,本件同意書面の有無により設立事業所の地位の帰すうが変わるものではない。本件脱退報告書は,その内容のとおり,吸収合併により当然に設立事業所の地位を喪失して脱退したことを事後的に報告したものにすぎない。以上のとおり,本件各書面は,その脱退の申出を基金が承認することによって初めて脱退の効果が生じるような,基金に対する意思表示ではなく,「脱退の申出がされたことはない。第3
1
当裁判所の判断
争点(1)吸収合併の場合に本件規定に基づき特別掛金を徴収することの可否)(
について
(1)

吸収合併の場合における設立事業所の地位の帰すう
適用事業所の全喪と設立事業所の地位との関係
基金は,加入員の老齢について給付を行ない,もって加入員の生活の安定と福祉の向上を図ることを目的とし(法106条),加入員又は加入員であった者の老齢に関し,老齢年金給付の支給等を行うことをその業務とする(法130条)。基金による老齢年金給付は,老齢厚生年金の一部を代行する(法44条の2第1項)とともに,法132条2項が規定するいわゆる上乗せ給付を行うものである。
そして,設立事業所とは,基金が設立された適用事業所をいうものとされているところ(法117条3項),基金は,適用事業所の事業主が設立し(法110条),適用事業所の事業主及びその被保険者をもって組織するものであって(法107条),基金が,厚生年金保険の上乗せ給付を行うものであることからしても,適用事業所であることは設立事業所の地位を有することの前提であると解される。そうすると,設立事業所が,廃止,休止その他の事情により適用事業所に該当しなくなったとき(適用事業所の全喪)には,設立事業所にも該当しなくなる(以下,設立事業所に該当しなくなることを設立事業所の地位を喪失するという。)というべきである。


被告の主張についての検討
(ア)

被告が主張するように,厚年法上,適用事業所を全喪すれば当然に設立事業所の地位を喪失することを定めた規定は存在しないが,適用事業所ではなくなったのに設立事業所として存続することを前提とした規定も見当たらないのであって,厚年法に,適用事業所を全喪すれば設立事業所の地位を喪失することを定めた規定がないことから,当然に,適用事業所を全喪しても設立事業所として存続すると解することはできない。
(イ)

基金の規約を変更するには代議員会の議決が必要とされ(法118
条1項1号),規約に定められた設立事業所(法115条1項3号)の一つを削除するには代議員会の議決が必要である。また,法115条2項及び基金令2条2号によれば,法144条の規定による厚生年金基金の設立に係る適用事業所の増加又は減少に係る場合には,厚生労働大臣の認可も必要である。
この点について,厚生年金基金の設立要件についてと題する厚生
省年金局企業年金課長・厚生省年金局数理課長による通知(平成元年3月29日付け企年発第23号・年数発第4号)は,平成20年12月3日付けで改正されたところ,同改正により,
(1)設立事業所の事業主が死亡したとき(2)法人が破産手続開始の決定により解散したときの
いずれかに該当するに至った場合を除き,設立事業所を減少させる規約の変更については認可の対象であり,当該減少の場合には,法144条に基づき,厚生年金適用事業所の事業主及び被保険者の同意を得ている必要があることという事項が設けられた(以下,上記改正後の上記通知を本件通知という。乙9,16,17の1・2)。
これに伴い,関東信越厚生局健康福祉部年金課は,

平成21年4月から設立事業所の全喪による『届出』の一部が『認可申請』に変わります。

と題する案内文書(以下本件案内文書という。)を作成したところ,これには従来,設立事業所が全喪したことによる規約の変更につきましては,厚生局長あての届出とされていましたが,上記の改正により,

基金の設立事業所が合併や事業譲渡等により全喪することとなった場合については,任意脱退に準じた認可申請が必要となります。

という記載がある(甲23)。(ウ)

本件通知や本件案内文書を前提とすれば,設立事業所の事業主が吸
収合併されたために適用事業所として全喪したことに伴い,設立事業所の地位を喪失した場合,基金の規約から当該設立事業所を削除するためには,代議員会の議決及び厚生労働大臣の認可を要することになる。しかしながら,法118条1項1号は,規約の変更には代議員会の議決を経なければならないとして,規約の変更の手続を定めたものにすぎず,法115条2項が,一定の場合には,厚生労働大臣の認可を受けなければ,規約の変更の効力を生じないと規定したのは,基金が老齢厚生年金の一部を代行するなどの公的な性格を有することに鑑み,基金の運営に係る事項につき厚生労働大臣の監督に服させるべく,規約変更の手続を定めたものである。いずれの規定も,基金の設立事業所が全喪によりその地位を喪失するという場合に,規約の変更がされない限り,設立事業所の地位が喪失されないという趣旨を含むものと解することはできない。
(エ)

被告が前記第2の4(1)
(被告の主張)
ア(ウ)において主張する①及

び②の場合に,基金に残る設立事業所の加入員及び事業主が不利益を被るため,基金が利害調整を図る必要があるとしても,基金は,その規約における特別掛金の徴収要件の定め方によって,利害調整を図ることが可能であるし,上記のとおり,法118条1項1号は,規約変更の手続を定めたものにすぎず,設立事業所が全喪によりその地位を喪失するには代議員会の承認を要するという内容を含むものと解することはできない。
被告は,特別掛金を納入した場合でも,その後の資金運用リスクがある旨主張するが,全喪した適用事業所の事業主は,その後の資金運用に関与する余地がない以上,その資金運用リスクを負担すべきものではなく,残存した設立事業所の事業主及び被保険者(加入員)がこれを負担しても,不相当であるとは解されない。
(オ)

前記第2の4(1)(被告の主張)ア(オ)における被告の主張は,規約
変更の手続が完了するまでは,全喪した適用事業所は基金の設立事業所であり続けるという趣旨に解されるが,そうであれば,被告としては,本件規約の変更手続を完了した後に本件納入告知をすべき筋合いであるが,被告は,前提事実(2)エ及びオのとおり,それ以前に本件納入告知をしており,このような事実経過は上記の被告の主張と矛盾するものである。
(2)

本件規定の脱退の申出の意義
本件規定は,脱退の申出(括弧内略)を行った設立事業所の事業主から特別掛金を徴収する旨規定するところ,申出という用語は,一般に,特定の意思を表示することを表すために用いられるものであって,一定の事柄を知らせる届出やある事実を知らせる報告等とは区別されるものである。本件規定における脱退の申出とは,設立事業所が基金に対し脱退する旨の意思を表示することをいい,申出をするまでは設立事業所の地位にあることを前提としたものであると解される。所定の事由が生じた場合に当然に基金から脱退し,そのことを基金に対して報告したり届け出たりすることを脱退の申出に含まれるということはできず,本件規定は,申出以前に設立事業所の地位を喪失している場合も特別掛金を徴収することを規定したものと解することはできない。
したがって,本件規定の脱退の申出とは,当該申出の時点において設立事業所の地位にある事業所からされるいわゆる任意脱退の申出をいうと解するのが相当である。

本件規定は,
平成11年3月18日付け厚生省収年第1027号認可
(以
下本件認可という。)により付加されたものである(甲8,乙20。なお,本件規定にはその後に改正された部分がある。)。被告が厚生大臣に対し本件認可に係る申請をした際に提出した規約変更理由書には,この規約の変更は,設立事業所の任意脱退により,基金財政の弱体化を阻止する目的をもって,未償却過去勤務債務による特別掛金等について,脱退事業所事業主から所定の額の納付をさせることができる規定を,規約附則に加えることとするものである。と記載されている(甲8)。本件認可当時の本件通知には,
基金から脱退する事業所の掛金の負担
という項目に複数の企業が集まって設立する基金にあっては,事業所が基金から任意脱退する時点において次の(1)~(4)〔略〕のいずれかに該当すると見込まれるような場合には,設立事業所間の公平を図るため当該事業所が負担すべきと考えられる額を算定し,その負担すべきと考えられる額を当該事業所から特別掛金として徴収することを規約に定めること。という記載があり,本件規定もこれに従って付加されたものと認められる(甲7,弁論の全趣旨)。


上記イによれば,
被告自身も,本件認可に係る申請当時,本件規定の
脱退の申出の意義を,上記アと同様,いわゆる任意脱退の申出と解していたというべきである。
本件認可後の本件規定は,

脱退の申し出又は事業の全部又は一部の譲渡(他の設立事業所に譲渡する場合を除く。以下「営業譲渡

という。)の申し出を行った設立事業所」と規定しており(甲6,8),上記イの規約変更理由書に営業譲渡の場合の明示的な言及がないが,
本件規定には
脱退の申し出と営業譲渡の申し出が別に規定されたのであり,脱退の申し出に営業譲渡の場合が含まれるわけではなく,脱退の申し出とはやはり任意脱退の申出を意味すると解さざるを得ない。この点も踏まえると,任意脱退とは,適用事業所として全喪したのではなく,適用事業所として存続するものの,自らの意思で基金から脱退する場合を想定しており,設立事業所の事業主が吸収合併された場合を含むということはできない。
(3)

被告の主張についての検討
前記第2の4(1)(被告の主張)イ(イ)及び(ウ)について
脱退の申出がされた場合以外に,他の設立事業所との公平のため特別掛金を徴収する必要がある場合があるとしても,基金の規約において特別掛金を徴収する場合を規定した上で特別掛金を徴収すべきであることは,被告もその主張の前提としている(被告は,本件規定がなくとも法138条5項に基づき本件特別掛金を徴収することができるなどとは主張していない。)。本件規約に脱退の申出がされた場合以外の規定がない以上,特別掛金徴収の必要性があってもこれを徴収することができないのはやむを得ないことである。
吸収合併・事業譲渡等の場合に法144条1項所定の手続が必要であるとしても,同項は基金がその設立事業所を増加させ,又は減少させると規定しており,同項が,いわゆる任意脱退の場合にも吸収合併・事業譲渡等の場合にも適用されるということをもって,同項と異なる文言である本件規定の脱退の申出の意義を論じることはできない。


前記第2の4(1)(被告の主張)イ(エ)について
(ア)

本件案内文書では,上記(1)イ(イ)のとおり,合併や事業譲渡等に
より全喪することとなった場合は,任意脱退に準じるとされており,任意脱退に含まれるものとはされていないから,本件案内文書の記載は,必ずしも被告の主張に沿うものではない。
(イ)

証拠(乙17の2)には,厚生労働省が,D協会からの照会に対し,平成21年3月19日,設立事業所が全喪したことによる規約の変更のうち,基金の設立事業所が経営方針による合併や事業譲渡等の場合であって,基金が,当該事業所に対して,特別掛金の納入告知処分を予定している場合について,任意脱退と同様の取扱いとする。と回答した旨が記載されている。
上記記載は,合併や事業譲渡等の場合について,基金が,当然に特別掛金の納入告知処分をすることを前提としたものではなく,特別掛金を徴収するかどうかは当該基金次第,すなわち,当該基金の規約の定め次第であるという前提であるようにも解される。そうであるとすると,上記記載も被告の主張に沿うものということはできない。
(4)

まとめ
以上によれば,本件規定の脱退の申出は,当該申出の時点において設
立事業所の地位にある事業所からされるいわゆる任意脱退の申出をいい,設立事業所の事業主である法人が吸収合併され,適用事業所として全喪し,設立事業所の地位を喪失した場合には,本件規定を根拠として特別掛金を徴収することはできないというべきである。
2
争点(2)(脱退の申出の有無)について
(1)

前提事実(1)ウのとおり,本件事業所の事業主であるAは,本件合併によ
り原告に吸収合併され,前提事実(2)イ(ウ)のとおり,日本年金機構に対し機構宛て全喪届が提出されており(なお,同(イ)のとおり,日本年金機構は,本件事業所に使用されていた37名の被保険者について健康保険及び厚生年金保険の資格喪失を確認している。),本件事業所は適用事業所として全喪したものと認められる(被告も,機構宛て全喪届の提出により本件事業所が適用事業所として全喪したことを争うものではない。)。
そうすると,上記1(1)で説示したとおり,設立事業所が適用事業所として全喪した場合,設立事業所の地位を喪失すると解されるのであるから,本件事業所は,適用事業所として全喪したことに伴い,本件規約変更の手続が完了することを待つまでもなく,被告の設立事業所の地位も喪失したというべきである。
(2)

上記(1)によれば,本件事業所が適用事業所として全喪したものの,被告
の設立事業所であり続けることを前提に,本件各書面の提出をもって脱退の申出(本件規定)がされたということはできない。また,上記1のとおりである以上,本件においてAが脱退の申出を行うということを観念することはできず,本件各書面の提出をもって脱退の申出をしたということはできない(なお,本件脱退報告書には,前提事実(2)ウのとおり,本件事業所が,本件合併により当然に被告を脱退した旨の記載があるのみであり,これを脱退の申出というのも困難である。)。
なお,被告が前記第2の4(1)(被告の主張)ア(ア)において主張するように,全喪事由が生じたことにより当然に適用事業所として全喪するのではなく,当該適用事業所の事業主が,法施行規則13条の2第1項の全喪届を提出することにより全喪するものとしても,全喪届は,適用事業所の全喪の手続において日本年金機構に提出されるものであり,被告に対する申出ではなく,上記1のとおり,
脱退の申出とは,当該申出の時点において設立
事業所の地位にある事業所からされるいわゆる任意脱退の申出をいうものであることからすると,全喪届の提出がこれに当たるということはできない。
第4

結論
以上によれば,本件納入告知は違法であり,原告の請求は理由があるからこ
れを認容することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第2部
裁判長裁判官

増田稔
裁判官

村田一広
裁判官

高橋心平
別紙
関係法令等の定め
第1
1
厚生年金保険法
6条(適用事業所)
(1)

1項
次の各号のいずれかに該当する事業所若しくは事務所
(以下単に
事業所

という。)又は船舶を適用事業所とする。
1号

次に掲げる事業の事業所又は事務所であって,常時5人以上の従業員を使用するもの
イないしタ

2号

〔略〕

前号に掲げるもののほか,国,地方公共団体又は法人の事業所又は事務所であって,常時従業員を使用するもの

3号

〔略〕

(2)

2項

(3)

〔略〕

3項
1項の事業所以外の事業所の事業主は,厚生労働大臣の認可を受けて,当
該事業所を適用事業所とすることができる。
(4)
2
4項

〔略〕

7条
前条1項1号又は2号の適用事業所が,それぞれ当該各号に該当しなくなったときは,その事業所について同条3項の認可があったものとみなす。
3
8条
(1)

1項
6条3項の適用事業所の事業主は,厚生労働大臣の認可を受けて,当該事
業所を適用事業所でなくすることができる。
(2)

2項

〔略〕
4
9条(被保険者)
適用事業所に使用される70歳未満の者は,
厚生年金保険の被保険者とする。

5
14条(資格喪失の時期)
9条又は10条1項の規定による被保険者は,次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(〔括弧内略〕)に,被保険者の資格を喪失する。1号

死亡したとき。

2号

その事業所又は船舶に使用されなくなったとき。

3号

8条1項又は11条の認可があったとき。

4及び5号
6
〔略〕

43条(年金額)
(1)

1項
老齢厚生年金の額は,被保険者であった全期間の平均標準報酬額(括弧内
略)の1000分の5.481に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて得た額とする。
(2)
7
2及び3項

〔略〕

44条の2(厚生年金基金に関連する特例)
(1)

1項
被保険者であった期間の全部又は一部が厚生年金基金の加入員であった期
間である者に支給する老齢厚生年金については,
43条1項に規定する額は,
同項に定める額から当該厚生年金基金の加入員であった期間に係る132条2項に規定する額(その額が43条1項に定める額を上回るときは,同項に定める額)を控除した額とする。
(2)
8
2ないし4項

〔略〕

106条(基金の目的)
厚生年金基金(以下基金という。)は,加入員の老齢について給付を行い,もって加入員の生活の安定と福祉の向上を図ることを目的とする。9
107条(組織)
基金は,適用事業所の事業主及びその適用事業所に使用される被保険者をもって組織する。

110条(設立)
(1)

1項
1又は2以上の適用事業所について常時政令で定める数以上の被保険者を
使用する事業主は,当該1又は2以上の適用事業所について,基金を設立することができる。
(2)

2項
適用事業所の事業主は,共同して基金を設立することができる。
〔以下略〕

111条
(1)

1項
適用事業所の事業主は,基金を設立しようとするときは,基金を設立しよ
うとする適用事業所に使用される被保険者の2分の1以上の同意を得て,規約をつくり,厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
(2)
2及び3項

〔略〕

115条(規約)
(1)

1項
基金は,規約をもって次に掲げる事項を定めなければならない。

1及び2号
3号

〔略〕

基金の設立に係る適用事業所の名称及び所在地(〔括弧内略〕)

4ないし9号
10号

〔略〕

掛金及びその負担区分に関する事項

11ないし15号
(2)

〔略〕

2項
前項の規約の変更(政令で定める事項に係るものを除く。)は,厚生労働大臣の認可を受けなければ,その効力を生じない。
(3)
3及び4項

〔略〕

117条(代議員会)
(1)

1項
基金に代議員会を置く。

(2)

2項
代議員会は,代議員をもって組織する。

(3)

3項
代議員の定数は,偶数とし,その半数は,設立事業所(基金が設立された
適用事業所をいう。以下同じ。)の事業主において設立事業所の事業主(その代理人を含む。)及び設立事業所に使用される者のうちから選定し,他の半数は,加入員において互選する。
(4)
4ないし7項

〔略〕

118条
(1)

1項
次に掲げる事項は,代議員会の議決を経なければならない。

1号

規約の変更

2ないし4号
(2)
〔略〕

2ないし4項

〔略〕

122条(加入員)
基金の設立事業所に使用される被保険者は,当該基金の加入員とする。
130条(基金の業務)
(1)

1項
基金は,106条の目的を達成するため,加入員又は加入員であった者の
老齢に関し,年金たる給付(以下老齢年金給付という。)の支給を行うものとする。
(2)
2ないし5項

〔略〕

132条
(1)

1項

〔略〕

(2)

基金が支給する老齢年金給付であって,老齢厚生年金の受給権者に支給
するものの額は,当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となった被保険者であった期間のうち同時に当該基金の加入員であった期間(括弧内略)の平均標準報酬額(括弧内略)の1000分の5.481に相当する額に加入員たる被保険者であった期間に係る被保険者期間の月数を乗じて得た額を超えるものでなければならない。
(3)
3ないし5項

〔略〕

138条(掛金)
(1)

1項
基金は,基金が支給する年金たる給付及び一時金たる給付に関する事業に
要する費用に充てるため,掛金を徴収する。〔以下略〕
(2)

2ないし4項

(3)

〔略〕

5項
基金の設立事業所が減少する場合(設立事業所の事業主が,分割又は事業
の譲渡により他の設立事業所の事業主以外の事業主にその事業の全部又は一部を承継させる場合その他の設立事業所の減少に相当するものとして厚生労働省令で定める事由が生じた場合を含む。)において,当該減少に伴い他の設立事業所に係る掛金が増加することとなるときは,当該基金は,当該増加する額に相当する額として厚生労働省令で定める計算方法のうち規約で定めるものにより算定した額を,当該減少に係る設立事業所の事業主から掛金として一括して徴収するものとする。
(4)
6項

〔略〕

139条(掛金の負担及び納付義務)
(1)

1及び2項

(2)

〔略〕

3項
前条5項及び6項の規定により徴収する掛金については,事業主が負担す
るものとする。ただし,加入員は政令で定める基準に従い規約で定めるところにより,当該掛金の一部を負担することができる。
(3)
4ないし8項

〔略〕

144条(設立事業所の増減)
(1)

1項
基金がその設立事業所を増加させ,又は減少させるには,その増加又は減
少に係る適用事業所の事業主の全部及びその適用事業所に使用される被保険者の2分の1以上の同意を得なければならない。
(2)

2ないし5項

〔略〕

第2

厚生年金保険法施行規則(以下法施行規則という。)

1
13条の2(適用事業所に該当しなくなった場合の届出)
(1)

1項
適用事業所の事業主
(船舶所有者を除く。以下この項において同じ。
)は,

廃止,休止その他の事情により適用事業所に該当しなくなったときは,当該事実があった日から5日以内に,次に掲げる事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければならない。ただし,14条の規定により申請をするときは,この限りではない。
1号

事業主の氏名又は名称及び住所

2号

事業所の名称及び所在地

3号

該当しなくなった年月日及びその事由

(2)

2項
前項の届書には,適用事業所に該当しなくなったことを証する書類を添え
なければならない。
(3)
2
3ないし6項

〔略〕

14条(任意適用取消の申請)
(1)

1項
法8条1項の規定による認可を受けようとする事業主は,厚生年金保険任
意適用取消申請書(括弧内略)を日本年金機構に提出しなければならない。〔以下略〕
(2)
第3

2項

〔略〕

厚生年金基金令(ただし,平成26年政令第73号により廃止される前のもの。以下基金令という。)2条(規約の変更)
法115条2項に規定する政令で定める事項は,次に掲げるとおりとする。1号

〔略〕

2号

法115条1項3号に掲げる事項の変更(法144条の規定による厚生年金基金の設立に係る適用事業所の増加又は減少に係る場合を除く。)
3ないし7号
第4

〔略〕

厚生年金基金規則(ただし,平成26年厚生労働省令第20号により廃止される前のもの。以下基金規則という。)

1
32条の3の2(設立事業所の減少に係る掛金の一括徴収)
法138条5項の厚生労働省令で定める事由は,次のとおりとする。1号

設立事業所の事業主が,分割又は事業の譲渡により他の設立事業所の事業主以外の事業主にその事業の全部又は一部を承継させる場合

2号

前号に規定する場合のほか,規約で定めるところにより,設立事業所に使用される当該基金の加入員の数が減少する場合

2
32条の3の3
(1)

1項
法138条5項の厚生労働省令で定める計算方法は,次のいずれかの方法
とする。
1号

当該減少に係る設立事業所(以下この条において減少設立事業所
という。)が減少しないとしたならば基金が減少設立事業所の事業主から徴収することとなる32条5項に規定する過去勤務債務に係る掛金の額の予想額の現価とする方法

2号

減少設立事業所が減少する日
(以下この条において
減少日
という。

における年金給付等積立金の額が,当該日を令39条の3第2項1号に規定する基準日とみなして同項の規定の例により計算した額を下ることが見込まれる場合において,当該下る額の見込額のうち減少設立事業所に係る分として規約で定めるところにより合理的に計算した額とする方法
3号

前2号の額のうちいずれか大きい額とする方法

4号

その他厚生労働大臣が定めるところにより計算した額とする方法(厚生労働大臣が定める場合に限る。)

(2)
第5
1
2ないし4項〔略〕

本件規約
4条(設立事業所の範囲)
この基金の設立事業所(この基金が設立された厚生年金保険の適用事業所をいう。以下同じ。)となることができる厚生年金保険の適用事業所の範囲は,神奈川県に所在する次の各号に掲げる適用事業所とする。〔以下略〕1及び2号

2
〔略〕

5条(設立事業所の名称及び所在地)
この基金の設立事業所の名称及び所在地は,
別表第1
〔略〕
のとおりとする。

3
附則14条(未償却過去勤務債務等の額の一括納付)
(1)

1項
この基金は,給付に要する費用に充てるため,脱退の申出(基金の分割及
び権利義務の移転による脱退を除く。)を行った設立事業所(以下減少設立事業所という。)に係る未償却過去勤務債務等の額を,減少設立事業所に係る特別掛金として当該減少設立事業所の事業主から徴収するものとする。(2)

2項
この基金は,前項の規定による特別掛金のほか,この基金の設立事業所に
使用される加入員の数が減少する場合において,次の各号のいずれかに掲げる事由に該当した場合において,当該加入員の減少に係る未償却過去勤務債務等の額を,加入員の減少に係る特別掛金として当該加入員が減少した設立事業所(以下加入員減少事業所という。)の事業主から徴収するものとする。
1号

設立事業所の事業主が,会社分割(会社分割後のすべての事業所がこの基金の設立事業所となる場合を除く。)を行い,当該設立事業所の加入員の一部を他の設立事業所以外の事業所に転籍させることにより,この基金の加入員の資格を喪失させた場合

2号

設立事業所の事業主が,事業の全部又は一部の譲渡(他の設立事業所に譲渡する場合を除く。)を行い,当該設立事業所の加入員の全部又は一部を他の設立事業所以外の事業所に転籍させることにより,この基金の加入員の資格を喪失させた場合

(3)

3項
1項に規定する減少設立事業所及び2項に規定する加入員減少事業所(以
下減少設立事業所等という。)の事業主から徴収することとなる特別掛金は,次の各号に掲げる額とする。
1号

未償却過去勤務債務相当額

2号

繰越不足金相当額

3号

資産評価調整額相当額

(4)
4
4項

〔略〕

附則15条(減少設立事業所等に係る特別掛金の額)
前条1項又は2項に定める減少設立事業所等に係る特別掛金の額は,次の各号に掲げる額の合計額とする。
1号

前条3項1号に定める額
次のアに掲げる額とイに掲げる額を合算して得た額


設立事業所でなくなる日(前条2項各号に定める事由に該当し加入員の数が減少する場合は,当該加入員の数が減少する日。以下同じ。)の属する月の前月における減少設立事業所等の加入員(前条2項各号に定める事由に該当し加入員の数が減少する場合は,当該事由により資格喪失する加入員。以下同じ。)に係る報酬標準給与の月額に12を乗じて得た額に,直前の決算基準日(括弧内略)における附則16条2項1号に規定する特別掛金率(括弧内略)と,設立事業所でなくなる日の翌日の属する月の前月末における残余償却年数に応じ別表第10(略)に定める率を乗じて得た額


設立事業所でなくなる日の属する月の前月における減少設立事業所等の加算適用加入員に係る報酬標準給与の月額に12を乗じて得た額に,直前の決算基準日における附則16条2項2号に規定する特別掛金率と,設立事業所でなくなる日の翌日の属する月の前月末における残余償却年数に応じ別表第10に定める率を乗じて得た額

2号

前条3項2号に定める額
設立事業所でなくなる日の直前の決算基準日におけるこの基金の繰越不足金(括弧内略)の額に当該決算基準日におけるこの基金の報酬標準給与の月額の総額に対する減少設立事業所等の加入員に係る報酬標準給与の月額の割合を乗じて得た額

3号

前条3項3号に定める額
設立事業所でなくなる日の直前の決算基準日におけるこの基金の資産評価調整額(括弧内略)に当該決算基準日におけるこの基金の報酬標準給与の月額の総額に対する減少設立事業所等の加入員に係る報酬標準給与の月額の割合を乗じて得た額
以上

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