判例検索β > 平成25年(行ウ)第186号
損失補償請求事件
事件番号平成25(行ウ)186
事件名損失補償請求事件
裁判年月日平成27年5月29日
法廷名大阪地方裁判所
判示事項都市公園内に設置された公園施設について都市公園法5条1項の規定による管理許可を継続して取得し売店等を経営していた者がした,当該公園施設の管理不許可処分を受けたことに伴い被った損失の補償を求める請求が,棄却された事例
裁判要旨都市公園内に設置された公園施設について都市公園法5条1項の規定による管理許可を継続して取得し売店等を経営していた者が当該公園施設の管理不許可処分を受けた場合において,当該公園施設の管理許可は,次の~など判示の事情の下においては,最終の管理許可の時点では,期間を定められていたものであって,その期間の終期の経過をもって当然に消滅するから,上記の者は,損失の補償を求めることはできない。
 当該公園施設の管理許可は,いずれも期間が1年又は3年と定められており,市長は,その期間が終了する都度,新たな管理許可をしていた。
 市長は,最終の管理許可の時点では,その期間の終期までで当該公園施設の管理許可を終了させる意思で,管理許可をした。
 都市公園法5条3項は,公園施設について,無限定に長期間管理許可が継続されることは想定していない。
 当該公園施設の管理許可は,原告又は原告代表者の親族に対して,少なくとも42年間継続してされ,原告に対するものに限っても,17年間継続してされており,その間,原告は,当該公園施設において売店又は売店・食堂を経営することによって相当額の利益を上げてきたものであって,売店又は売店・食堂の管理という当該公園施設の管理目的に比して不相当に短期のものであるということはできない。
裁判日:西暦2015-05-29
情報公開日2017-10-17 20:13:20
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主文1
原告の請求を棄却する。

2
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由

第1

請求
被告は,原告に対し,4035万円及びこれに対する平成25年9月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2
1
事案の概要
本件は,都市公園法2条1項1号所定の都市公園である大阪城公園内に設置された公園施設(以下本件公園施設という。)について,大阪市長から同法5条1項の規定による管理の許可を継続して取得し売店等を経営していた原告が,大阪市長に対し,平成25年4月1日から平成26年3月31日までの1年間の管理許可を求める申請をしたところ,大阪市長から不許可処分(以下本件不許可処分という。)を受けたが,本件不許可処分は,期間の定めなくされていた管理の許可の撤回と同視し得るから,被告は,都市公園法28条の適用若しくは類推適用又は国有財産法19条,24条の類推適用により,その撤回に伴い原告が被った使用権喪失に係る損失や営業損失等の付随的損失を補償すべきである旨主張して,被告に対し,損失補償金のうち4035万円及びこれに対する請求の日(訴状送達の日)の翌日である平成25年9月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員の支払を求める事案である。

2
関係法令の定め
(1)

都市公園法等の定め

ア(ア)

都市公園法2条1項は,同法において都市公園とは,次に掲げ

る公園又は緑地で,その設置者である地方公共団体又は国が当該公園又は緑地に設ける公園施設を含むものとする旨定めている。

1号

都市計画施設(都市計画法4条6項に規定する都市計画施設を
いう。)である公園又は緑地で地方公共団体が設置するもの及び
地方公共団体が同条2項に規定する都市計画区域内において設置
する公園又は緑地

2号
(イ)

(省略)

同法2条2項は,この法律において公園施設とは,都市公園の

効用を全うするため当該都市公園に設けられる次の各号に掲げる施設をいう旨定めている。
1~6号
7号

(省略)

売店,駐車場,便所その他の便益施設で政令で定めるもの

8,9号

(省略)

都市公園法施行令5条6項は,都市公園法2条2項7号の政令で定める便益施設は,売店,飲食店(料理店,カフェー,バー,キャバレーその他これらに類するものを除く。),宿泊施設,駐車場,園内移動用施設及び便所並びに荷物預り所,時計台,水飲場,手洗場その他これらに類するものとする旨定めている。

都市公園法2条の3は,都市公園の管理は,地方公共団体の設置に係る都市公園にあっては当該地方公共団体が,国の設置に係る都市公園にあっては国土交通大臣が行う旨定めている。

ウ(ア)

同法5条1項は,同法2条の3の規定により都市公園を管理する者
(以下公園管理者という。)以外の者は,都市公園に公園施設を設け,又は公園施設を管理しようとするときは,条例等で定める事項を記載した申請書を公園管理者に提出してその許可を受けなければならず,許可を受けた事項を変更しようとするときも,
同様とする旨定めている。
(イ)

同法5条2項は,公園管理者は,公園管理者以外の者が設ける公園
施設が次の各号のいずれかに該当する場合に限り,前項の許可をするこ
とができる旨定めている。
1号

当該公園管理者が自ら設け,又は管理することが不適当又は困
難であると認められるもの

2号

当該公園管理者以外の者が設け,又は管理することが当該都市
公園の機能の増進に資すると認められるもの

(ウ)

同条3項は,公園管理者以外の者が公園施設を設け,又は管理する
期間は,10年を超えることができず,これを更新するときの期間についても,同様とする旨定めている。

同法8条は,公園管理者は,同法5条1項等の許可に都市公園の管理のため必要な範囲内で条件を付することができる旨定めている。


同法27条2項は,公園管理者は,都市公園に関する工事のためやむを得ない必要が生じた場合(1号)等においては,同法の規定による許可を受けた者に対し,当該許可を取り消すことができる旨定めている。

同法28条1項は,公園管理者は,同法の規定による許可を受けた者が同法27条2項の規定により処分をされたことによって損失を受けたときは,その者に対し通常受けるべき損失を補償しなければならない旨定めている。

(2)

国有財産法の定め
国有財産法19条は,同法24条等の規定は,同法18条6項の許可により行政財産の使用又は収益をさせる場合等について準用する旨定めている。

イ(ア)

同法24条1項は,普通財産を貸し付けた場合において,その貸付
期間中に国又は公共団体において公共用,公用又は公益事業の用に供するため必要を生じたときは,当該財産を所管する各省各庁の長は,その契約を解除することができる旨定めている。
(イ)

同条2項は,同条1項の規定により契約を解除した場合においては,
借受人は,これによって生じた損失につき当該財産を所管する各省各庁の長に対し,その補償を求めることができる旨定めている。
3
前提事実(顕著な事実,当事者間に争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)
(1)

本件公園施設
本件公園施設は,被告が管理する都市公園である大阪城公園の本丸地区内
に所在する,鉄骨ラーメン造2階建,建築面積433.86㎡(下記第3の1(1)エの改造後の建築面積)の公園施設(都市公園法2条2項7号の便益施設である売店又は売店・食堂)である。(甲10の2,乙1,2,10)(2)

原告に対する従前の管理許可
大阪市長は,原告に対し,平成8年4月1日から平成25年3月31日ま
での間,目的を売店の管理又は売店・食堂の管理とし,期間を以下のとおり1年又は3年として,本件公園施設(平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間は周辺テーブル等25㎡を含む。)の管理を許可し,その間,原告は,本件公園施設において,Aの屋号で売店又は売店・食堂を経営した。(甲4~9,乙2)

平成8年4月1日から平成12年3月31日までの間


同年4月1日から平成21年3月31日までの間

期間各3年


同年4月1日から平成25年3月31日までの間

期間各1年

(3)

期間各1年

本件不許可処分
原告は,大阪市長に対し,同年1月30日付けで,同年4月1日から平成
26年3月31日までの1年間の本件公園施設の管理許可申請をしたところ,大阪市長は,原告に対し,平成25年3月15日付けで上記申請に対して不許可処分(本件不許可処分)をした。(甲2,3)
(4)

本件公園施設の明渡し
原告は,被告に対し,同年5月2日,本件公園施設を明け渡した。(乙2
0)
(5)

本件訴訟提起
原告は,同年9月13日,本件訴訟を提起した。(顕著な事実)

(6)

本件公園施設の解体撤去
被告は,同年12月,本件公園施設の解体撤去を完了した。(乙20)
4
争点及びこれに関する当事者の主張
本件の争点は,本件不許可処分について原告に損失補償をすべき場合に当た
るか及び補償すべき損失の範囲であり,この点に関する当事者の主張は,以下のとおりである。
(原告の主張)
(1)

本件公園施設の原告側(平成8年度以降は原告)に対する管理許可は,
昭和46年4月以降,平成11年度までは1年間,平成12年度から平成20年度までは3年間,平成21年度以降は1年間の期間ごとに更新が継続されてきたこと,原告は,実際には全て被告側の指導により許可申請書を提出しており,ある年には,半年後等,所定の期間が大幅に過ぎてから許可申請書を提出したこともあったこと,許可申請書の表題には更新という不動文字があらかじめ記載されていたこと,原告は,管理許可の期間が最長10年であることも全く知らされていなかったこと(なお,都市公園法5条3項の立法趣旨は,単に長期間の許可を許さないというものではなく,許可申請者が事実関係の変化に適切に対応している場合には,10年間という期間を限定せずに許可の更新を認めるという趣旨である。)に加え,以下のア~エの各事情を併せ考慮すれば,本件不許可処分は,期間の定めなくされた管理許可の撤回と同視することができるのであって,その場合,都市公園法28条の適用若しくは類推適用又は国有財産法19条,24条の類推適用により,被告は原告に対して損失補償をすべきである。なお,仮に,本件不許可処分が期限の定めなくされた使用許可の撤回と同視することができないとして
も,上記の諸事情に照らせば,やはり,上記各規定の適用又は類推適用により,被告は原告に対して損失補償をすべきことに変わりはない。

使用権者の意思
原告は,本件公園施設の管理許可の継続を強く望んでいた。
また,原告は,平成22年4月以降,最終の更新とするとの条件を付けられながら,実際には管理許可の更新を受けていたことから,上記条件が絶対的なものではなく,継続的使用を認めることもあり得ると考えるのは当然であって,このような原告の意思は保護に値するのであり,被告が原告に対して本件公園施設の撤去を要求することは信義則に反するものである。原告は,後記イのとおり,平成16年以降,合計2000万円を超える費用を支出していること等からすれば,平成25年3月31日をもって本件公園施設での営業を終了させることは全く想定していなかったことは明らかである。


使用目的と使用期間等
原告が本件公園施設の管理許可を受けて使用する目的は,大阪城公園の利用者や観光客の利便に資するため,売店・食堂を管理することにある。売店・食堂を管理するためには,建物の建築,店舗内の備品の整備等の資金投下を必要とする。そして,一度建物を建築し,備品をそろえれば足りるものではなく,経年劣化等による補修工事を随時行う必要があり,その投下資金を回収するために必要な相当期間,営業を継続することが必要となる。
本件公園施設については,原告が自らの費用をもって建築して昭和43年頃に被告に対して寄附し(なお,仮に,これが原告の社員名義の寄附であったとしても,
合名会社である原告による寄附と同視すべきである。,

昭和57年11月に被告の許可を得て増築して,その後も便所の改装や屋根の大規模改修等,継続した改修等を行ってその費用も全て原告が負担し
てきた。原告の代表社員であるBは,平成15年頃,SARSの影響で原告の経営が悪化したことを契機として,社長に就任したが,原告は,それ以降,平成16年に厨房内ガス配管改修工事を行い,平成17年に屋根改修工事を2回行った。原告は,その後も,毎年のように,内装工事,改装工事等を実施した。また,原告は,平成16年以降,エアコンを設置し,テーブル・椅子を新調するなど什器備品を整えていた。原告が,平成13年11月以降に本件公園施設の屋根葺替等の屋根・内装工事のため支出した費用やその支出時期は,別紙1のとおり(支出合計1158万2864円)であり,平成16年5月以降に本件公園施設の什器備品の購入及び修理のため支出した費用やその支出時期は,別紙2のとおり(支出合計1191万9881円)であって,これらの費用は同年以降で合計2000万円を超えていた。被告側は,これらの改修・修理工事等について,原告に対し,異議を述べなかった。さらに,原告は,被告に対し,高額の使用料(平成24年度は年間1474万4200円〔3万3800円/㎡〕)を支払ってきた。したがって,上記アのとおり,原告は,平成25年3月31日をもって本件公園施設における営業を終了させることは全く想定していなかったばかりか,客観的に見ても,これらの支出について同日をもって全て資産償却を済ませることができたとは通常考えられない。実際に,税務申告上,平成24年7月決算において,本件公園施設の未償却資産が1736万4998円計上されている。
原告は,大阪城公園を訪問する内外の観光客や修学旅行生に喜んでもらうため,年間数十万食を自家製にて調理しており,そのためには優秀な料理長や営業支配人が必要であるところ,1年ないし3年の有期雇用契約では優秀な人材の獲得は困難であって,大阪市長がこのような本件公園施設の目的を認識して管理許可を行っている以上,1年ないし3年の期間でしか管理許可を認めないことが不合理であることも明らかである。

また,原告が,それまでの営業方針を大きく転換し,台湾,香港,中国各地に出向いて顧客獲得に奔走して,外国人観光客を積極的に誘致し,その結果,年間約5万人の外国人観光客が本件公園施設を利用するようになっていたことを重視すべきである。
都市公園法5条3項の立法趣旨からすれば,大阪市長においては,原告が事実関係の変化に応じた便益施設の管理を行っているか否かを判断すべきであるのに,被告担当者は,原告側のこのような営業努力について,全く関心がなく,そのような判断を全く行っていなかった。

本件不許可処分の理由
大阪市長の述べる本件不許可処分の第一の理由は本件公園施設は平成25年3月31日をもって営業を止め解体するという結論のみであって,何ら理由になっていない。大阪城公園を所有する国の方針は,新たな施設の設置をするのであれば本丸地区や西の丸地区以外に設置を検討すべきであるというものであり,国は,被告に対して本件公園施設を直ちに収去するよう求めているわけではない。本件公園施設は,平成25年4月まで営業を継続し,大阪市民はもとより修学旅行生や外国人観光客等に重宝されていたのであるから,被告の観光政策としても本件公園施設を直ちに収去する公益的理由はなく,現にAの存続を求めて1000人近い署名も集まっている。
そして,大阪市長が紛争になって唐突に持ち出した第二の理由は本件公園施設は雑排水を濠に放流する構造であるため都市公園を汚損するというものであるが,原告は排水設備として汚水ますを設置し,保健所の検査を受けていたのであるから,大阪市長には重要な事実について事実誤認があるし,テレビ報道等,公園施設管理許可の審査基準(甲14)に定めていない事項を考慮することは他事考慮として違法である。その他,原告による本件公園施設の管理について,上記審査基準に違反するところもな
い。
従前,大阪市長は,本件公園施設について使用者を公募することを理由に管理許可の更新はできない旨主張し,平成24年4月付けの本件公園施設に係る公園施設管理許可書の許可条件の10項においてなお,本市では,便益施設の公募に取り組んでおり,本許可施設については平成24年度(平成25年3月31日まで)を許可更新の最終とすると定めている旨主張していたが,被告は,本件公園施設の管理を行う事業者の公募を行っていないのであり,本件不許可処分に公益的理由はない。
また,平成23年4月1日付けの本件公園施設に係る公園施設管理許可書の許可条件の10項においてなお,本市では,便益施設の公募に取り組んでおり,本許可施設については平成23年度(平成24年3月31日まで)を許可更新の最終とすると定めていたにもかかわらず,実際には管理許可の更新をしたことからすれば,このような許可条件の記載はいわゆる例文とみるべきであって,このような記載を根拠に管理許可の更新を拒否することはできない。

過去の行政実例
東京都では上野恩賜公園再整備計画に基づく軽食店の撤去について,損失補償がされている。新潟市では都市公園内に市営プールを建設するための売店の撤去について,長年市民の利用に供してきた実績等を考慮して損失補償がされている。広島市では比治山公園再整備事業に基づく売店の撤去について,損失補償がされている。
このように,過去の行政実例からも明らかなとおり,公園整備事業に伴う飲食店・売店の撤去については,応分の補償がされている。
したがって,被告が原告においてのみ,公園整備事業に伴う飲食店・売店の撤去について全く補償を行わないということは許されない。

(2)

損失補償の範囲


使用権喪失について
本件公園施設については,原告が自らの費用をもって建築して被告に寄附し,その後も原告が大小の修理回収を重ねてその費用も全て原告が負担してきたが,これらについて被告側が異議を述べなかったこと(上記(1)イ)や,原告が民間の賃貸借契約と大差ない使用料(平成24年度は年間1474万4200円)を支払ってきたこと(上記(1)イ)に鑑みると,原告には使用権を保有する実質的理由を有すると認められる特別の事情がある。そして,店舗使用権の評価額は,1年分の店舗使用料が約1500万円であることに照らすと,同額と評価するのが相当であるところ,原告は,うち1000万円の損失の補償を求める。


付随的損失について
(ア)

未償却資産
本件公園施設については,原告が自らの費用をもって建築して被告に
寄附し,その後も原告が大小の修理回収を重ねてその費用も全て原告が負担してきたが,これらについて被告側は異議を述べなかった(上記(1)イ)。税務申告上も,平成24年7月決算において,本件公園施設の未償却資産が1736万4998円計上されている(上記(1)イ)。したがって,原告は,本件不許可処分によって,未償却資産1736万4998円の損失を受けることになり,原告は,うち1000万円の損失の補償を求める。
(イ)

営業損失
原告の本件公園施設での最近5年間の当期利益(税引き後利益)は,
次のとおりである。


平成20年7月決算

1153万6664円



平成21年7月決算

94万7562円


平成22年7月決算

983万9117円



平成23年7月決算

-269万5203円



平成24年7月決算

387万6507円

これを平均すると年間約470万円であり,本件公園施設の耐用年数を考慮すると,あと10年間は営業可能である。
したがって,原告は,本件不許可処分によって,10年間の営業利益を失うことになり,原告は,うち5年分の逸失利益2035万円(470万円に5年のライプニッツ係数4.329を乗じたもの)の損失の補償を求める。

合計請求額
原告は,本件不許可処分に伴う損失補償として,上記ア及びイの合計額である4035万円の支払を求めるものである。

(被告の主張)
(1)

本件公園施設のような公園施設に係る管理許可については,それが期間
の定めのあるものであれば,公園管理者は,その期間満了に伴い使用権が消滅するに当たって,当該管理許可によって使用権を与えられた者に対して損失補償することを要しない。そして,当該管理許可が期間の定めのないものであっても,当該公園施設本来の用途又は目的上の必要を生じたときは,原則として,公園管理者は,許可を撤回するに当たって,当該管理許可によって使用権を与えられた者に対して使用権喪失について損失補償することを要せず,その例外として損失補償することを要するのは,使用権者が管理許可を受けるに当たりその対価の支払をしているが当該公園施設の使用収益により上記対価を償却するに足りないと認められる期間内に当該公園施設に上記の必要を生じたとか,管理許可に際し別段の定めがされている等により,公園施設についての上記の必要にかかわらず使用権者がなお当該使用権を保有する実質的理由を有すると認めるに足りる特別の事情が存する場合に限られる。このことは使用権喪失についてのみならず,営業損失等の付随的損失についても同様に解すべきである。
(2)

本件公園施設の管理許可は,以下のとおり,期間の定めのある管理許可
であり,平成25年3月31日の期間満了によって管理許可は終了したのであって,本件不許可処分は,期間の定めなくされた管理許可の撤回と同視することはできず,都市公園法28条の適用若しくは類推適用又は国有財産法19条,24条の類推適用の基礎はないことから,被告は原告に対して本件不許可処分に伴い損失補償をすることを要しない。

被告の原告側に対する本件公園施設の管理許可は,昭和46年4月1日から平成25年3月31日までの間されていたところ,平成12年4月1日から平成21年3月31日までの間は期間が各3年とされ,それ以外は,すべて期間が1年とされていたものであり,本件公園施設の管理許可が期間の定めのあるものであることは明らかである。期間の更新が継続されてきたのは,管理許可の期間が終了する際に,原告による本件公園施設の管理許可の申請及びそれに対する被告の許可という手続をその都度行ってきたことによるものであり,結果論にすぎない。許可申請書において新規と更新の別があるのは,申請者において自らの申請が新規なのか更新なのかを明らかにさせる必要があるためであり,単に被告の便宜のため設けられた項目であって,申請者に対して許可期間終了後の再度の許可をあらかじめ認める趣旨ではない。


都市公園法5条3項によれば,公園管理者以外の者が公園施設を設け,又は管理する期間は,10年を超えることができないとされているのであって,都市公園法は,そもそも期間の定めのない管理許可を想定していないし,許してもいない。


被告担当者は,原告に対し,平成22年1月27日,被告管理の都市公園における公園施設の管理者を公募するという基本的方針を説明し,本件公園施設の管理許可の更新は平成23年度をもって最終とする旨を記載した平成22年3月29日付け文書を交付した。
その後,公募制導入については,本丸地区以外に候補地を探すための準備等のため,1年延期することになり,被告担当者は,原告に対し,その旨及び本件公園施設の管理許可の更新は平成25年3月31日までで終了する旨を記載した平成23年3月25日付け文書を交付した。

大阪市長が,本件公園施設について最初に原告側に管理許可を与えたのは昭和46年度であることから,管理許可が終了した平成25年3月31日の時点では,40年を超える期間が経過していたのであり,本件公園施設の建築,改修等の費用を原告が負担してきたとしても,十分な使用期間が経過したということができる。


本件不許可処分は,行政処分であり,その行政処分を受ける名宛人である原告の意思如何によって,行政処分の性格が変わるものではないし,その点は措くとしても,原告は自ら1年ごとに許可期間を区切って本件公園施設の管理許可の申請を行っており,平成24年度においても,同年4月1日から平成25年3月31日と明記した上で申請を行い,当該期間に係る管理許可を受けている。


公園施設の管理許可は,都市公園法5条2項各号に該当する場合に限ってされるにすぎないものであり,公園施設の管理許可申請に対して不許可処分をするに当たって,公益的理由は必要ではないし,仮に,公益的理由が必要であったとしても,本件不許可処分には,本件公園施設が雑排水を濠に放流する構造のため,公園管理上,観光拠点,文化財保護という観点から適切でなく,これを解消する必要があり,国(文化庁)も被告に対して本件公園施設を速やかに収去するよう求めている,といった公益的理由がある。
なお,被告担当者は,原告に対し,平成22年1月27日,被告管理の都市公園における公園施設の管理者を公募するという基本的方針は説明したものの(上記(2)ウ),本件公園施設を含む大阪城公園内の売店や食堂等の公園施設の配置計画は改めて検討すると説明しており,本件公園施設について使用者を公募すると説明したことはない(その後,被告内部での検討の結果,本件公園施設を撤去する方針が決定した。)。
(3)

仮に,本件不許可処分が,期間の定めなくされた管理許可の撤回と同視
することができ,都市公園法28条の適用若しくは類推適用又は国有財産法19条,24条の類推適用の基礎があるとしても,以下のとおり,損失補償を必要とする特別の事情はない。

原告は,被告との間で,本件公園施設の管理許可又はその更新に際し,被告が原告に対して管理許可終了後に損失補償すること又は原告が本件公園施設の管理権を継続的に保有することについて別段の定めをしていない。

イ(ア)

原告は,被告に対し,本件公園施設の管理許可又はその更新を受け
るに当たり,使用料以外の対価を支払っていない。公園施設としての売店の使用料については,単に市場価格を反映して定めるのではなく,配置や集客性,交通の便,公園施設としての特殊性等の立地条件を勘案して決定しており,民間の賃貸借契約における賃料と単純に比較することはできない。
(イ)

本件公園施設の寄附については,Cから昭和48年1月5日にされ
たものであって,主体,時期共に原告の主張とは異なるし,被告が都市公園法5条1項に基づく管理許可をする際に,その対価を取得することはなく,当該寄附収受に係る決裁文書においても何ら条件は記載されていないのであって,当該寄附が管理許可の対価でないことは明らかである。
(ウ)

平成2年5月の原告による本件公園施設付近の便所の改修工事の寄附は,美化促進を目的としてされたものであって,管理許可又はその更新の対価ではないことは明らかである。
(エ)

原告の本件公園施設の未償却資産の主張については,被告が所有す
る本件公園施設を原告の資産として計上していること自体が誤りである。
(オ)

原告の主張する平成13年11月以降の本件公園施設の屋根葺替等
の建物改修等については,大阪市長は許可をしていないし,報告も受けていない。そもそも,大阪市長が本件公園施設に関して原告側に許可をした工事は,昭和57年11月11日付けで許可した本件公園施設の一部改造工事のみであるし,
この改造工事も被告が依頼したものではなく,
あくまで原告側が自主的に行ったものであり,
管理許可の対価ではない。
仮に,被告が,原告の主張する上記建物改修等に異議を述べなかったとしても,本件公園施設の改修等は,都市公園法5条1項の許可を受けた事項を変更しようとするときに当たることから,原告は,本件公園施設の改修等に当たり,大阪市長に対して許可申請をして,許可を受けなければならなかったのであり,そのような手続を採らずに,被告側が異議を述べなかったことが,損失補償を必要とする特別の事情を基礎付ける事情とはなり得ない。
(カ)

大阪市長が,本件公園施設について最初に原告側に管理許可を与え
たのは昭和46年度であることから,本件公園施設の管理許可が終了した平成25年3月31日の時点では,40年を超える期間が経過しており,原告が本件公園施設の寄附があったと主張する昭和43年頃からは既に45年もの期間が経過しているのであって,仮に,本件公園施設の建築,改修等の費用の一部及び使用料が損失補償を必要とする特別の事情を基礎付ける対価であるとしても,当該対価を償却するに十分な期間が経過したということができる。

付随的損失に関し,仮に,原告が主張する什器備品の購入の事実があったとしても,このような什器備品は原告がその経営判断によって自由に購入できるものであり,被告が関知すべきものではないし,実際に被告は何ら関与していないことから,上記購入の事実が損失補償を必要とする特別の事情を基礎付ける事情とはなり得ない。

本件は,原告が主張する行政実例の事例と事情ないし前提を明らかに異にするものであり,原告が主張する行政実例があるからといって,本件で損失補償が必要となるわけではない。

(4)
第3

損失額についての原告の主張は争う。

当裁判所の判断

1(1)

本件公園施設のような公園施設につき管理許可によって与えられた使用
権は,それが期間の定めのある場合であれば,期間の満了によって当然に消滅するものと解するよりほかなく,使用権者は公園管理者に対して損失の補償を求めることはできない。そして,上記使用権は,それが期間の定めのない場合であっても,当該公園施設本来の用途又は目的上の必要を生じたときはその時点において原則として消滅すべきものであり,また,権利自体に上記のような制約が内在しているものとして付与されているものとみるのが相当であって,使用権者は公園管理者に対して当該使用権喪失について損失の補償を求めることはできないが,使用権者が管理許可を受けるに当たりその対価の支払をしているが当該公園施設の使用収益により上記対価を償却するに足りないと認められる期間内に当該公園施設に上記の必要を生じたとか,使用許可に際し別段の定めがされている等により,公園施設についての上記の必要にかかわらず使用権者がなお当該使用権を保有する実質的理由を有すると認めるに足りる特別の事情が存する場合には,例外的に,公園管理者に対して当該使用権喪失について損失の補償を求めることができると解すべきである(最高裁昭和49年2月5日第三小法廷判決・民集28巻1号1頁参照)。そして,使用権喪失以外の損失についても同様に,管理許可が期限の定めのない場合,特別の事情が存するときには,損失の補償を求めることができると解すべきである。
したがって,原告が被告に対して損失の補償を求めることができるか否かの検討の前提として,そもそも,原告に対する本件公園施設の管理許可が,期間の定めのない場合であったということができるかについて検討する。(2)

証拠(各項末尾記載の証拠のほか,甲71,乙20,原告代表者,証人
D)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。

Bの祖父であるEは,
昭和26年頃,
大阪城公園内の建物において,

の屋号で売店の経営を始めた。その後,Aの経営は,Bの父であるCへと引き継がれた。原告は,昭和40年9月14日,Cを代表社員として設立された。(甲21の1・2,22,24)


Cは,昭和42年9月30日,本件公園施設(ただし,下記エの改造前の鉄骨ラーメン造2階建,建築面積295.20㎡,延べ面積450.24㎡の無料休憩所〔売店〕。本項,下記ウ及びエにつき同じ。)を建築し,被告に対し,昭和48年12月11日,公園施設の整備,拡充に協力する目的で本件公園施設(当時の価額1919万円)を寄附した。(甲10の2,乙10)


大阪市長は,
Cからの申請に基づき,
その申請内容のとおり,
Cに対し,
遅くとも昭和46年4月1日から昭和55年3月31日までの間,また,Bの母であるFからの申請に基づき,その申請内容のとおり,Fに対し,同年4月1日から昭和58年3月31日までの間,それぞれ1年ごとに期間を区切って本件公園施設の管理の許可を繰り返し,C又はFは,それぞれの期間,本件公園施設において,Aの屋号で売店を経営した。(甲21の2,乙2)


Fは,大阪市長に対し,昭和57年11月10日付けで,本件公園施設の建築面積を138.66㎡増加させること等を内容とする改造に係る上記増加部分の公園施設の管理許可申請(期間昭和57年12月1日から昭和58年3月31日までの間)をし,大阪市長は,原告に対し,昭和57年11月11日付けで,上記申請に対して許可した。Fは,その後,上記改造を行い,
同年頃,
完成した上記増加部分の公園施設を被告に寄附した。
(乙1,2)

大阪市長は,
Fからの申請に基づき,
その申請内容のとおり,
Fに対し,
昭和58年4月1日から平成8年3月31日までの間,1年ごとに期間を区切って本件公園施設の管理の許可を繰り返し,Fは,その期間,本件公園施設において,Aの屋号で売店を経営した。(乙2)


原告は,被告に対し,平成2年5月28日,本件公園施設の裏の便所の改修工事一式
(評価金額389万3400円)
を寄附した。
(甲10の2,
58)


Bは,昭和60年頃,原告に入社し,平成7年頃,原告の代表社員に就任した。その頃,原告の代表社員は,原告のほか,F及び原告の叔父であるGであったが,Gが原告の社長として原告の経営を担っていた。Bは,平成15年頃,原告の社長に就任して原告の経営を担うようになった。

大阪市長は,原告からの申請に基づき,その申請内容のとおり,原告に対し,平成8年4月1日から平成22年3月31日までの間,目的を売店の管理として,1年又は3年ごとに期間を区切って本件公園施設の管理の許可を繰り返し,原告は,その期間,本件公園施設において,Aの屋号で売店を経営した(前記前提事実(2))。


被告は,
同年1月頃,
被告が管理する都市公園における公園施設を管理,
運営する事業者を公募する方針を決定し,被告担当者は,同月27日,Bと面談して,①公募への切替えの方針を決定したこと,②公募は遅くとも平成23年度までに完了すること,③公募の件については改めて書面により通知することを伝えた。

大阪市長は,
原告に対し,
都市公園における便益施設の運営については,
広く運営する事業者を募ることで,昨今の被告を取り巻く厳しい財政状況から市税外収入の確保を図ることが必要となっており,既に平成21年度より他の公園において便益施設を運営する事業者の公募を行っていること,本件公園施設の管理許可の更新については,平成23年度をもって最終とすること等を記載した平成22年3月29日付けの公園内における便益施設の許可更新についてと題する書面を交付した。(乙6)

大阪市長は,原告からの申請に基づき,その申請内容のとおり,原告に対し,同年4月1日付けで,期間を同日から平成23年3月31日まで,目的を売店・食堂の管理として,本件公園施設の管理を許可し,原告は,その期間,本件公園施設において,Aの屋号で売店・食堂を経営した(前記前提事実(2))。なお,上記許可に係る許可書には,公園施設管理許可条件の10項として,なお,本市では,便益施設の公募に取り組んでおり,本許可施設については平成23年度(平成24年3月31日まで)を許可更新の最終とするので,支障となる設備の変更などは行わないこと。また,申請者の所有する動産の撤去など必要な事前準備を行うこと。との記載があった。(甲6)

その後,文化庁が大阪城公園の本丸地区内での新たな売店の設置を認めないとの見解を示したこともあり,被告は本丸地区内以外の場所での売店の設置を改めて計画したものの,その場所の選定や事業者の決定に時間を要することとなった。そのような状況の下,大阪城公園の利用者の利便性を確保する必要性もあったことから,被告担当者は,原告に対し,平成23年2月16日,その経緯を説明した上で,平成23年度をもって最終としていた本件公園施設の管理許可の更新の終了時期を1年延期し,平成24年度末までとする旨伝えた。

大阪市長は,原告に対し,平成23年3月25日付けの公園内における便益施設の許可更新について(変更のお知らせ)と題する書面を交付し,同書面には,上記コの平成22年3月29日付け書面において本件公園施設の管理許可の更新については平成23年度をもって最終とする旨知らせたものの,当面の間の公園利用者の利便性を確保するという観点から期限を1年間延期し,平成25年3月31日までの期間について管理許可の更新を行うこととしたこと等が記載されていた。(乙8)


大阪市長は,原告からの申請に基づき,その申請内容のとおり,原告に対し,同年4月1日付けで,期間を同日から平成24年3月31日まで,目的を売店・食堂の管理として,本件公園施設の管理を許可し,原告は,その期間,本件公園施設において,Aの屋号で売店・食堂を経営した(前記前提事実(2))。なお,上記許可に係る許可書には,公園施設管理許可条件の10項として,なお,本市では,便益施設の公募に取り組んでおり,本許可施設については平成23年度(平成24年3月31日まで)を許可更新の最終とするので,支障となる設備の変更などは行わないこと。また,申請者の所有する動産の撤去など必要な事前準備を行うこと。との記載があった。(甲5,乙15の4)

大阪市長は,原告からの申請に基づき,その申請内容のとおり,原告に対し,平成24年4月1日付けで,期間を同日から平成25年3月31日まで,目的を売店・食堂の管理として,本件公園施設(周辺テーブル等25㎡を含む。以下,本項につき同じ。)の管理を許可し,原告は,その期間,本件公園施設において,Aの屋号で売店・食堂を経営した(前記前提事実(2))。なお,上記許可に係る許可書には,公園施設管理許可条件の10項として,なお,本市では,便益施設の公募に取り組んでおり,本許可施設については平成24年度(平成25年3月31日まで)を許可更新の最終とするので,支障となる設備の変更などは行わないこと。また,申請者の所有する動産の撤去など必要な事前準備を行うこと。との記載があった。(甲4,乙16の11)

被告担当者は,原告との間で,平成24年9月27日から平成25年1月29日までの間,数回にわたって,本件公園施設の管理許可の更新には応じない旨の被告の方針について話合いをしたが,原告は被告の上記方針に納得しなかった。

(3)ア

大阪市長が,C,F又は原告に対し,昭和46年4月1日から平成2
5年3月31日までの間にした本件公園施設の管理許可は,いずれも期間が1年又は3年と定められており,
大阪市長は,
その期間が終了する都度,
新たな管理許可をしていたのであるから,本件公園施設の管理許可は,形式上は,期間の定めがあったものというほかない。
もっとも,
原告の現在の代表社員であるBの祖父のEが,
昭和26年頃,
大阪城公園内の建物において,Aの屋号で売店の経営を始めて以来,Bの親族又は原告は,大阪城公園内の建物又は本件公園施設において,Aの屋号で売店又は売店・食堂の経営を継続してきたこと,本件公園施設の管理許可は,遅くとも昭和46年4月1日から平成25年3月31日までの間,Bの親族又はそれらの者が経営する原告に対して継続的にされてきたこと,平成15年4月1日から平成25年3月31日までの間の本件公園施設の管理許可に係る各許可書の表題部分には(新規・更新)の記載があるところ,全て更新の文字に囲いが付されていること(甲4~9,乙15の4,16の11)等に照らすと,本件公園施設の管理許可は,事実上,Bの親族又は原告に対して継続的にされることが前提となっており,実質的には期間の定めのないものと同視し得る状況にあったものと評価する余地もないではない。

しかしながら,被告担当者は,原告に対し,平成22年1月,本件公園施設の管理許可の更新については,平成23年度をもって最終とすることを伝え,大阪市長は,原告に対し,平成22年3月29日付けで同旨を記載した書面を交付し,同年4月1日付けの本件公園施設の管理許可に係る許可書には,許可の条件として,

なお,本市では,便益施設の公募に取り組んでおり,本許可施設については平成23年度(平成24年3月31日まで)を許可更新の最終とするので,支障となる設備の変更などは行わないこと。

等の記載をしたのであって,大阪市長は,上記許可の時点では,平成24年3月31日までで原告に対する本件公園施設の管理許可を終了させる意思で,管理許可をしたものというべきである。そして,被告は,その後,本件公園施設の管理許可の更新の終了時期を1年延期して平成25年3月31日とする旨の方針変更をし,
被告担当者は,
原告に対し,
平成23年2月16日,その旨説明した上,大阪市長は,原告に対し,同年3月25日付けで同旨を記載した書面を交付し,平成24年4月1日付けの本件公園施設の管理許可に係る許可書には,許可の条件として,なお,本市では,便益施設の公募に取り組んでおり,本許可施設については平成24年度(平成25年3月31日まで)を許可更新の最終とするので,支障となる設備の変更などは行わないこと。等の記載をしたのであって,大阪市長は,上記許可の時点では,平成25年3月31日までで原告に対する本件公園施設の管理許可を終了させる意思で,管理許可をしたものというべきである。
また,都市公園法5条3項は,公園管理者以外の者が公園施設を設け,又は管理する期間は,10年を超えることができず,これを更新するときの期間についても,同様とする旨定めているのであって,公園施設について,無限定に長期間管理許可が継続されることは想定されていないというべきである。
さらに,平成25年3月31日の時点で,Bの親族又は原告に対する本件公園施設の管理許可は,遅くとも昭和46年4月1日から42年間継続してされており,原告に対する本件公園施設の管理許可に限っても,平成8年4月1日から17年間継続してされている。そして,原告の主たる業務は本件公園施設における売店又は売店・食堂の経営であるところ(原告代表者,弁論の全趣旨),原告の営業利益又は営業損失についてみると,平成19年8月1日から平成20年7月31日までの期間は営業利益が1413万5336円,同年8月1日から平成21年7月31日までの期間は営業損失が51万8633円,同年8月1日から平成22年7月31日までの期間は営業利益が1841万2113円,同年8月1日から平成23年7月31日までの期間は営業損失が456万5688円,同年8月1日から平成24年7月31日までの期間は営業損失が98万5140円であり(甲16の3,17の4,18の4,19の4,20の4),単年度では営業損失を計上している年があるものの,平成19年8月1日から平成24年7月31日までの5年間の営業利益の合計は2647万7988円であって,
原告は,
長期的には利益を上げているということができるし,
同日現在の利益剰余金が1億0887万8226円(繰延資産である無料休憩所〔1736万4998円〕を控除した額は9151万3228円)であること(甲20の3)にも照らせば,原告は,本件公園施設において売店又は売店・食堂を経営することによって相当額の利益を上げてきたということができる。このような事情を考慮すれば,Cが本件公園施設を建築して,
被告に対し,
昭和48年,
本件公園施設
(当時の建築面積295.
20㎡・当時の価額1919万円)を寄附したこと,Fが本件公園施設の建築面積を138.66㎡増加させること等を内容とする改造を行い,被告に対し,昭和57年頃,完成した上記増加部分の公園施設を寄附したこと及び原告が,被告に対し,平成2年,本件公園施設の裏の便所の改修工事一式(評価金額389万3400円)を寄附したことを考慮しても,本件公園施設の管理許可が,売店又は売店・食堂の管理という本件公園施設の管理目的に比して不相当に短期のものであるということもできない。なお,この点に関連して,原告は,屋根の大規模改修等,継続した改修等を行ってその費用も全て原告が負担してきたのであり,原告が,平成13年11月以降,本件公園施設の屋根葺替等の屋根・内装工事に支出した費用は合計1158万2864円であり,平成16年5月以降,本件公園施設の什器備品の購入及び修理に支出した費用は合計1191万9881円であって,
これらの費用は同年以降で合計2000万円を超えていた旨,
また,原告の税務申告上,平成24年7月決算において,本件公園施設の未償却資産が1736万4998円計上されている旨主張する。しかし,本件公園施設の工事及び什器備品の購入については,それが都市公園法5条1項にいう,許可を受けた事項を変更しようとするときに当たる場合には,原告は,大阪市長に対して許可申請をして,許可を受けなければならないところ,
原告が上記許可を受けたことを認めるに足りる証拠はなく
(G
が大阪市公園局から上記許可を口頭で受けた旨のBの陳述書の記載〔甲71〕及びこれと同旨のBの代表者尋問における供述は,Gからの伝聞である上,裏付けを欠くものであって,採用することができない。仮に,被告担当者が上記工事等について認識していたとしても,
そのことから直ちに,
同項に規定する変更の許可があったものということはできない。),そのような工事等をしたことを考慮することはできないし,仮に,原告が,同項にいう,許可を受けた事項を変更しようとするときに当たらない工事及び什器備品の購入をしたとしても,本件公園施設の管理許可が継続されてきた上記の期間や利益の状況,原告が主張する上記工事及び什器備品の購入の時期,支出額等に鑑みれば,やはり,本件公園施設の管理許可が,売店又は売店・食堂の管理という本件公園施設の管理目的に比して不相当に短期のものであるということはできない。

以上に指摘した諸事情に照らすと,原告に対する本件公園施設の管理許可は,仮に開始当初は実質的に期間の定めのないものと解する余地があったとしても,遅くとも,平成24年4月1日付けで本件公園施設の管理許可がされた時点では,実質的に期間の定めのなかったものということはできず,期間を1年とされていたものというべきであって(なお,本件不許可処分に公益的理由があったか否かは,上記判断を直ちに左右するものではない。),本件公園施設の管理許可は,その期間の終期である平成25年3月31日の経過をもって期間の満了によって当然に消滅するのであり,本件不許可処分を管理許可の撤回と同視することはできないから,原告は,
公園管理者である被告に対して,損失の補償を求めることはできないというべきである。本件において,この判断を覆すに足りる証拠,事情は認められない。
なお,仮に,平成24年4月1日付けの本件公園施設の管理許可が実質的に期間の定めのないものに当たると解したとしても,前示のような諸事情に照らせば,本件において,原告が上記許可に係る使用権を保有する実質的理由を有すると認めるに足りる特別の事情が存するものとは容易に認め難く,原告が損失の補償を求めることができないとの結論に変わりはない。
2
結論
以上によれば,原告の請求は理由がないのでこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。

大阪地方裁判所第2民事部

裁判長裁判官

西田隆裕
裁判官

斗谷匡志
裁判官山本拓は転補のため署名押印することができない。

裁判長裁判官

西田隆裕
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