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地位確認等請求、損害賠償請求事件
事件番号平成24(ワ)4343等
事件名地位確認等請求,損害賠償請求事件
裁判年月日平成26年9月18日
法廷名名古屋地方裁判所
裁判日:西暦2014-09-18
情報公開日2017-10-19 10:24:44
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平成26年9月18日判決言渡
平成24年(ワ)第4343号

地位確認等請求事件(甲事件)

平成24年(ワ)第3405号

損害賠償請求事件(乙事件)
主文1
原告が,被告学園に対し,P1大学教授の地位にあることを確認する。
2
被告学園は,原告に対し,16万5916円及びこれに対する平成23年12月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

3
被告学園は,原告に対し,9617円及びこれに対する平成24年1月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

4
被告学園は,原告に対し,1万4784円及びうち4928円に対する平成24年1月24日から,うち4928円に対する同年2月24日から,うち4928円に対する同年3月24日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

5
被告学園は,原告に対し,48万4288円及びうち12万1072円に対する平成24年4月24日から,うち12万1072円に対する同年5月24日から,うち12万1072円に対する同年6月23日から,うち12万1072円に対する同年7月24日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

6
被告学園は,原告に対し,9667円及びこれに対する平成24年4月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

7
被告学園は,原告に対し,9128円及びこれに対する平成24年5月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

8
被告学園は,原告に対し,71万3303円及びこれに対する平成24年6月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

9
被告学園は,原告に対し,58万0928円及びこれに対する平成24年8月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
被告学園は,原告に対し,357万4690円及びうち120万5155円に対する平成24年12月11日から,うち116万4380円に対する平成25年6月29日から,うち120万5155円に対する同年12月11日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

被告学園は,原告に対し,平成24年9月以降本判決確定の日まで毎月23日(23日が休日の場合はその前日)限り58万0928円及びこれに対する各支払日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
被告らは,原告に対し,連帯して330万円及びこれに対する平成24年10月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

原告の被告らに対するその余の甲事件請求及び被告学園の原告に対する乙事件請求をいずれも棄却する。

訴訟費用のうち,甲事件に関するものは,これを3分し,その1を原告の負担とし,その余は被告らの負担とし,乙事件に関するものは,全部被告学園の負担とする。

この判決は,2項ないし12項に限り,仮に執行することができる。事
第1
1実及び
請求
甲事件について
(1)

主文1項と同旨

(2)

主文2項と同旨

(3)

主文3項と同旨

(4)

主文4項と同旨

(5)

主文5項と同旨

(6)

主文6項と同旨

(7)

主文7項と同旨

(8)

主文8項と同旨
理由
(9)

主文9項と同旨

(10)

主文10項と同旨

(11)

主文11項と同旨

(12)

被告らは,原告に対し,連帯して1100万円及びこれに対する平成2
4年10月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。2
乙事件について
原告は,被告学園に対し,1060万円及びこれに対する平成24年8月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2
1
事案の概要
甲事件は,P1大学等を設置している被告学園に平成4年4月にP1大学の常勤講師として採用され,平成9年4月に助教授,平成19年4月に教授となって,文学部国際英語学科に所属していた原告が,被告学園及びその代表者である被告P2を被告として訴訟を提起した事案である。
(1)

第1の1(1)の請求は,原告が,被告学園は,原告に対し平成24年3月
13日に教職員研修室勤務を命じ(以下本件配転命令という。,同年4)
月2日に原告を教職員研修室助手に降任し(以下本件降任処分という。,)
同年7月31日に原告を解雇した(以下本件解雇という。
)が,これら
はいずれも無効であると主張して,被告学園に対し,原告がP1大学教授の地位にあることの確認を求めるものである(以下地位確認請求という。。)
(2)

第1の1(2)の請求は,原告が,被告学園は平成23年度年末手当につい
て原告に関してD評価をして支給したが,これは違法・無効な学長特命による授業改善プログラム(以下本件特命プログラムともいう。
)に従事し
ていたことを理由とするものでこれをもって人事考課を低下させることは許されないとして,被告学園に対し,B評価であった夏期手当との差額16万5916円とこれに対する支給日の翌日である平成23年12月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるものである(以下平成23年度年末手当に関する請求という。。

(3)

第1の1(3)の請求は,原告が,被告学園の原告に対する平成23年12
月14日の懲戒処分(9617円の減給。以下懲戒処分1という。)は
無効であるとして,被告学園に対し,減給分9617円及びこれに対する支給日の翌日である平成24年1月24日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるものである(以下懲戒処分1に関する請求という。。)
(4)

第1の1(4)の請求は,原告が,懲戒処分1がなければ,平成24年1月
には5級33号俸から5級36号俸(その場合の支給額は本俸5級36号の49万1900円,地域手当(本俸の額の100分の12の5万9028円,その他(住居手当・年功加俸)の3万円の合計58万0928円)の定期昇給があるはずのところ,5級35号俸(支給額は合計57万6000円)に抑えられ(その差額は4928円)たとして,被告学園に対し,同年1月から同年3月支給分の不足額合計1万4784円及び各支給日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるものである(以下平成24年1月の定期昇給に関する請求という。。

(5)

第1の1(5)の請求は,原告が,本件降任処分により支給額は合計45万
9856円となったが,本件降任処分は無効であるから本来の支給額58万0928円の支払請求権があるとして,被告学園に対し,平成24年4月から同年7月支給分の不足額合計48万4288円及び各支給日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるものである(以下本件降任処分に関する請求という。。

(6)

第1の1(6)の請求は,原告が,被告学園の原告に対する平成24年3月
9日の懲戒処分(9667円の減給。以下懲戒処分2という。
)は無効
であるとして,被告学園に対し,減給分9667円及びこれに対する支給日の翌日である同年4月24日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるものである(以下懲戒処分2に関する請求という。。

(7)

第1の1(7)の請求は,原告が,被告学園の原告に対する平成24年4月
27日の懲戒処分(9128円の減給。以下懲戒処分3という。
)は無
効であるとして,被告学園に対し,減給分9128円及びこれに対する支給日の翌日である同年5月24日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるものである(以下懲戒処分3に関する請求という。。)
(8)

第1の1(8)の請求は,原告が,平成24年度夏期手当について被告学園
は原告に関しD評価をして勤勉手当をゼロとし,また,定期昇給をさせず,本件降任処分によって本俸の減額をしたため,原告の支給額は42万9856円となったが,本件特命プログラムに従事していたことを理由にD評価をすることは許されず,また,本件配転命令,本件降任処分はいずれも無効であるから,原告は標準的評価を受けた場合と実際に支給された勤勉手当の差額請求権を有するとして,被告学園に対し,本来の支給額114万3159円と上記実際の支給額との差額71万3303円及びこれに対する支給日の翌日である同年6月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるものである(以下平成24年度夏期手当に関する請求という。。)
(9)

第1の1(9)の請求は,原告が,本件降任処分及び本件解雇は無効である
として,被告学園に対し,本来の支給分58万0928円及びこれに対する支給日の翌日である平成24年8月24日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるものである(以下平成24年8月支給分の賃金に関する請求という。。)
(10)

第1の1(10)の請求は,原告が,本件降任処分及び本件解雇は無効であ
るとして,被告学園に対し,平成24年度冬期手当120万5155円,平成25年度夏期手当116万4380円及び平成25年度冬期手当120万5155円の合計357万4690円並びに各支給日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるものである(以下平成24年度冬期手当及び平成25年度夏期・冬期手当に関する請求という。。

(11)

第1の1(11)の請求は,原告が,本件降任処分及び本件解雇は無効であ
るとして,被告学園に対し,平成24年9月支給分以降から本判決確定まで毎月58万0928円の賃金の支払及び各支給日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるものである(以下平成24年9月支給分以降の賃金請求という。。

(12)

第1の1(12)の請求は,原告が,被告学園の本件特命プログラム,本件
配転命令,本件降任処分により原告は人格権を侵害されて著しい苦痛を与えられ続け,本件解雇の翌日に学内メールを使って被告学園の全教職員に対し本件解雇をしたことを配信したことにより名誉を棄損されたとして,被告学園及び被告P2に対し,慰謝料1000万円と弁護士費用100万円の合計1100万円及びこれに対する甲事件の訴状送達の日の翌日である平成24年10月16日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるものである(以下慰謝料等請求という。。

2
乙事件は,被告学園が,原告は原告自身がインターネット上に開設するブログサイトにおいて,被告学園を誹謗中傷,侮辱する記事を掲載し,その記事を一般公衆の閲覧に供することによって被告学園の社会的信用を低下させたとして,民法709条による損害賠償請求権に基づき,原告に対し,1060万円及びこれに対する乙事件の訴状送達の日の翌日である平成24年8月23日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である(以下乙事件請求という。。


3
前提事実(以下,本判決において掲記する書証は,全て甲事件の証拠番号である。

(1)

被告学園は,大正4年に設立されたP3学校を前身とする学校法人であ
り,昭和25年にはP4短期大学を,昭和39年にはP1大学を開設し,P4短期大学はP1大学短期大学部と改称され,平成19年に被告学園は別法人となっていた中学・高校を吸収合併し,法人名をそれまでの学校法人P5から学校法人P6と変更し,現在に至っている。(甲1,2,争い
のない事実)
(2)

原告は,平成4年4月,P1大学(以下被告大学ともいう。
)の常勤

講師として採用され,平成9年4月に助教授,平成19年4月に教授となって被告大学文学部国際英語学科に所属していた。
(争いのない事実)
(3)

被告P2は,被告学園の代表者理事長である。
(争いのない事実)

(4)

平成19年4月16日,P7組合(以下大学組合という。
)が結成さ

れ,原告も組合員として大学組合に加入し,副執行委員長に就任した。(甲
141,原告本人)
(5)

原告は,平成23年度は,以下の科目を担当することになっていた(争
いのない事実)


前期:哲学の方法,哲学,基礎ゼミ1,日本語運用1,思考の方法1,コミュニケーション演習1,日本語表現演習


後期:思想と哲学,基礎ゼミ2,日本語運用2,思考の方法2,文検対策演習2,アジアの中の日本,総合演習(7回分)

(6)

原告は,平成23年6月16日,被告学園の本部から呼び出されて,同
日午後3時10分から午後3時45分まで,
P2学長(理事長)特命による授業改善の面接指導と称するヒアリングが行われ,学長特命による授業改善プログラム(本件特命プログラム)が始まった。
(争いのない事実)
(7)

被告学園は,平成23年12月14日,原告に対し,懲戒処分1をした。
懲戒処分1の理由は,別紙懲戒処分1の処分の理由に記載とおりである。(甲68,69)
(8)

原告は,平成24年1月20日,名古屋地方裁判所に対し,原告を債権
者,被告学園を債務者として,
1債務者は,債権者を学長特命授業改善命令プログラムに従事せよとの命令及びこれらに伴う反省文,始末書の提出の命令をしてはならない。2債務者は,債権者に対し,債務者大学P8学舎2号館513号研究室及び付帯施設を仮に貸与しなければならない。3債務者は,債権者に対し,債権者が使用していた○のパソコンを仮に貸与しなければならない。という内容の不当業務命令差止仮処分申立事件を申し立てた(以下本件仮処分事件という。。
)(甲80)
(9)

被告学園は,平成24年3月9日,原告に対し懲戒処分2を行った。懲
戒処分2の処分の理由は,別紙懲戒処分2の処分の理由に記載のとおりである。
(甲85,86,争いのない事実)
(10)

被告学園は,平成24年3月13日,原告に対し,被告学園法人本部教
職員研修室勤務を命じた(本件配転命令)(甲92,争いのない事実)。
(11)

名古屋地方裁判所は,本件仮処分事件について,平成24年3月13日
付けで,債務者(被告学園)は,債権者(原告)に対し,学長裁定による授業改善特別プログラムに従事せよとの命令及びこれに伴う反省文,始末書の提出命令をしてはならないとの決定をした。なお,被告学園は,同決定に対し,異議申立てをし,その後,同年10月22日,原告が本件仮処分事件を取下げ,被告学園が上記異議申立てを取り下げたことにより,同事件は終了した。
(甲91,弁論の全趣旨)
(12)

被告学園は,平成24年4月2日,同月1日付けで,原告を被告学園法
人本部教職員研修室助手に任命した(本件降任処分)(甲101,争いのな。
い事実)
(13)

原告は,平成24年4月3日,名古屋地方裁判所に対し,債権者を原告,
債務者を被告学園として,本件配転命令の差し止めを求める配置転換命令差止仮処分の申立てをした(以下第2次仮処分事件という。。
)(弁論の全
趣旨)
(14)

被告学園は,平成24年4月27日,原告に対し,懲戒処分3を行った。
懲戒処分3の処分の理由は,別紙懲戒処分3の処分の理由に記載のとおりである。
(甲110,111,争いのない事実)
(15)

被告学園は,平成24年7月26日,乙事件の訴状を名古屋地方裁判所
に提出した。乙事件において被告学園が不法行為に該当すると主張した原告のブログ記事(以下本件ブログという。は,別紙ブログ記事一覧表)
(なお,数字を付した順に従って,
記事○という。のとおりである。

(当裁判所に顕著な事実)
(16)

被告学園は,平成24年7月31日,原告に対し,原告を同日即日解雇
する旨を告知した(本件解雇)(争いのない事実)

(17)

本件解雇に関する平成24年8月24日付け解雇理由書(以下本件解雇理由書という。)には,解雇の理由として,以下の理由が記載されてい
る(甲129)

貴方は,自身が掲載したインターネット上の日記(通称,ブログ)等により,学園の誹謗中傷,信用失墜,名誉毀損行為を繰り返し,また,自らその非を認めなかったこと等により,学園の教職員として不適であるため,就業規則23条第1項第5号に該当するものとして,普通解雇に処したものである。
4
各請求に関する当事者の主張
(1)

地位確認請求について

(原告の主張)
本件配転命令,本件降任処分及び本件解雇は,いずれも無効である。したがって,原告は,被告学園に対し,原告が被告大学教授の地位にあることの確認を求める。
(被告らの主張)
争う。
(2)

平成23年度年末手当に関する請求について

(原告の主張)

平成23年度年末手当は,以下の計算式によって支給額が決められた。年末手当=(本俸+地域手当)×(期末手当掛け率+勤勉手当掛け率)なお,期末手当掛け率は1.42ヶ月,勤勉手当掛け率は0.76676ヶ月(ただし,勤勉手当掛け率は,人事考課によって異なり,同掛け率は,原告が夏期手当を受けていた時の評価(B評価)の数値である。)で
ある。


原告は,平成23年度年末手当に関する人事考課についてD評価を受けたため,勤勉手当支給率は,標準のB査定の6割とされ,平成23年12月8日に支給された勤勉手当は,24万8871円であった。


しかし,原告に対する上記D評価は,本件特命プログラムに従事していたことによるものであるところ,本件特命プログラムは,違法・無効であるから,同評価は違法・無効である。
したがって,平成23年度年末手当については,夏期手当と同様にB評価された場合の金額が支給されるべきである。


上記アの計算を原告に当てはめると,原告の本俸(5級33号俸)は
48万3000円,地域手当は5万7960円であるから,本来支給されるべき平成23年度年末手当のうち,勤勉手当の金額は41万4787円となる。
よって,原告は,被告学園に対し,16万5916円(41万4787円-24万8871円)の請求権を有する。
(被告らの主張)
争う。
(3)

懲戒処分1に関する請求について

(原告の主張)
原告は,懲戒処分1により平成24年1月23日支給分の給与について9617円減給された。
しかし,懲戒処分1は無効である。
したがって,原告は,被告学園に対し,9617円の請求権を有する。(被告らの主張)
争う。
(4)

平成24年1月の定期昇給に関する請求について

(原告の主張)

被告学園では毎年1月が昇給月であるところ,給与規定第12条第1
項及び第1項第1号により,原告については平成24年1月に5級33号俸から5級36号俸へと3号俸の定期昇給があるはずであった。
ところが,懲戒処分1により,給与規定第12条第2項第2号が適用され,定期昇給幅が2号俸のみの昇給に抑えられて5級35号俸となった。イ
しかし,懲戒処分1は無効であるから,原告は得られたはずの昇給に
基づく差額を請求する権利がある。

原告が定期昇給を得られた場合の給与の額は,58万0928円(本
俸5級36号俸(49万1900円)
,地域手当(5万9028円)
,住居
手当・年功加俸(3万円)(以下本来の給与額という。

)である。
これに対し,平成24年1月から3月まで支給された給与は月額57万6000円であった。

したがって,原告は,被告学園に対し,1万4784円(
(58万09
28円-57万6000円)×3か月)の請求権を有する。

(被告らの主張)
争う。
(5)

本件降任処分に関する請求について

(原告の主張)

原告は本件降任処分により平成24年4月支給分から給与は45万9
856円となり,同年7月支給分まで同額の給与の支払を受けた。イ
しかし,本件降任処分は無効であるから,上記支給分については,本
来の給与額が支払われるべきである。

したがって,原告は,被告学園に対し,48万4288円(
(58万0
928円-45万9856円)×4か月)の請求権を有する。

(被告らの主張)
争う。
(6)

懲戒処分2に関する請求について

(原告の主張)
原告は,懲戒処分2により平成24年4月23日支給分の給与について9667円減給された。
しかし,懲戒処分2は無効である。
したがって,原告は,被告学園に対し,9667円の請求権を有する。(被告らの主張)
争う。
(7)

懲戒処分3に関する請求について
原告は,懲戒処分3により平成24年5月23日支給分の給与について
9128円減給された。
しかし,懲戒処分3は無効である。
したがって,原告は,被告学園に対し,9128円の請求権を有する。(被告らの主張)
争う。
(8)

平成24年度夏期手当に関する請求について
(原告の主張)

平成24年度夏期手当は,以下の計算式で支給額が決定された。
(本俸+地域手当)×(夏期手当1.0ヶ月+勤勉手当1.07497ヶ月)


原告は,平成24年度夏期手当について,人事考課においてD評価を
受けたとされて勤勉手当を0円とされ,さらに本件降任処分によって本俸の減額を受けたため,平成24年6月29日に支給された同手当は,42万9856円であった。

しかし,査定対象となった業務は,いずれも違法・無効である本件特
命プログラム,本件配置転換及び本件降任による業務であるから,これをもってD評価とすることは許されないし,昇給停止,本件降任処分は違法・無効であるから,原告は本来の本俸の支給と標準的評価を受けた場合の夏期手当請求権を有するところ,その額は114万3159円((本俸
49万1900円+地域手当5万9028円)×2.07497ヶ月)である。

したがって,原告は,被告学園に対し,71万3303円(114万
3159円-42万9856円)の請求権を有する。
(被告らの主張)
争う。
(9)

平成24年8月支給分の賃金に関する請求について

(原告の主張)

平成24年7月31日の本件解雇は無効である。


したがって,原告は,平成24年8月支給分の賃金請求権を有する。
なお,被告学園の給与規定第3条本文は,
給与の計算期間は,月の初めからその月の終わりまでとすると定め,同第5条1項は

給与の支給日は,毎月23日とする。ただし当日が休日に当たるときは,その前日とする。

と定めているから,原告は,平成24年8月支給分については,全額請求することができる。

昇給停止,本件降任処分は違法・無効であるから,平成24年8月支
給分の給与の額は,本来の給与額である58万0928円となる。エ
したがって,原告は,被告学園に対し,58万0928円の請求権を
有する。
(被告らの主張)
争う。
(10)

平成24年度冬期手当及び平成25年度夏期・冬期手当に関する請求
について
(原告の主張)

本件解雇は無効であるから,原告は,平成24年度冬期手当,平成2
5年度夏期手当及び同冬期手当の請求権を有する。

平成24年度冬期手当は,次の計算式によって支給額が決定された。(本俸+地域手当)×(冬期手当1.0+勤勉手当1.1875)上記基準を当てはめれば,原告に支払われるべき平成24年度冬期手当額は120万5155円(
(本俸49万1900円+地域手当5万90
28円)×2.1875)となる。


平成25年度夏期手当は,次の計算式によって支給額が決定された。(本俸+地域手当)×(夏期手当1.0+勤勉手当1.11349)上記基準を当てはめれば,原告に支払われるべき平成25年度夏期手当額は116万4380円(
(本俸49万1900円+地域手当5万90
28円)×2.11349)となる。


平成25年度冬期手当は,次の計算式によって支給額が決定された。(本俸+地域手当)×(冬期手当1.0+勤勉手当1.1875)上記基準を当てはめれば,原告に支払われるべき平成25年度冬期手当額は120万5155円(
(本俸49万1900円+地域手当5万90
28円)×2.1875)となる。

したがって,原告は,被告学園に対し,357万4690円の請求権
を有する。
(被告らの主張)
争う。
(11)

平成24年9月支給分以降の賃金請求について

(原告の主張)
昇給停止,本件降任処分及び本件解雇は無効であるから,原告は平成24年9月支給分以降も本来の給与額(58万0928円)の賃金請求権を有する。
したがって,原告は,被告学園に対し,平成24年9月以降本判決確定まで,毎月58万0928円の請求権を有する。
(被告らの主張)
争う。
(12)

慰謝料等請求について

(原告の主張)

被告らの不法行為は,1年1か月半という甚だしい長期間にわたり,
教授の本来業務である教育と研究を奪って学者生命に重大な支障を生じさせ,不合理な業務(パソコンを使用させない手作業,検定試験受検,度重なる反省文と始末書提出等)を強い,かつ同僚と引き離し,P9研究室,研修室と称する執務場所によって見世物扱いをし,見せしめ的屈辱を与え,事務職的業務に縛り付け,精神疾患にならないのが不思議と思えるほどの陰湿かつ執拗,継続的なものであった。
これによって,原告が被った損害は極めて甚大であり,その無形の損害は1000万円を下らない。

また,被告らの不法行為と相当因果関係にある弁護士費用は100万
円である。

したがって,原告は,被告らに対し,1100万円の請求権を有する。
(被告らの主張)
争う。
(13)

乙事件請求について

(被告学園の主張)

原告が本件ブログを掲載したことにより,被告学園の社会的信用は著しく傷付けられた。その結果,被告学園は,今後の入学志願者が減少したり,教職員の士気が低下するなどの影響を被ることは必至である。
原告の行為により被告学園が被った損害は,金銭に換算すれば1000万円を下らない。


原告の不法行為と相当因果関係にある弁護士費用は60万円が相当で
ある。

したがって,被告学園は,原告に対し,1060万円の請求権を有す
る。
(原告の主張)

本件ブログが被告学園の社会的評価を毀損するものではなく,本件ブログの各記事は,公共の利害に関するもので,公益を図る目的で行われたもので,その内容は真実かつ相当であるから,不法行為には該当しない。

被告学園の乙事件請求は裁判制度の趣旨目的に照らし相当性を欠き,違法なものであるから請求は棄却されるべきである。

5
本件の主たる争点
(1)

本件特命プログラムが違法か否か

(2)

懲戒処分1が無効であるか否か

(3)

懲戒処分2が無効であるか否か
(4)

本件配転命令が無効か否か

(5)

本件降任処分が無効か否か

(6)

懲戒処分3が無効であるか否か

(7)

本件ブログが不法行為に該当するか否か

(8)

本件解雇が無効か否か

(9)

被告らの不法行為の有無

(10)
6
乙事件請求が違法・不当なものか否か

争点に対する当事者の主張
(1)

争点(1)(本件特命プログラムが違法か否か)について

(被告らの主張)

被告学園が原告に対し本件特命プログラムに従事するよう命じ,同プログラムにおいて行わせた業務は,いずれも合理性のあるもので何ら違法なものではない。


原告の主張について
(ア)

評価の部分を除き,客観的な事実自体は認める。原告の主張は,被
害者意識に満ちており,被告学園の行為をことごとく嫌がらせと解釈しているが,原告の全くの主観に基づく独善的な解釈である。
また,原告は,本件特命プログラムには合理性がないと主張するが,同プログラムによる成果が上がらなかったのは,原告の同プログラムに対する取り組み方に問題があった。原告は,自らの姿勢を棚に上げて一切をプログラムの不合理性のせいにしているが,このような原告の考え方こそが問題であった。
(イ)

原告は,原告の授業に問題がないと主張するが,原告の授業スキル
が低いことは客観的な事実である。
原告は,
学生による授業評価において,他の教員と比較して常に
低い傾向がある。なお,
学生による授業評価は,学生による授業評
価アンケートに基づくものであり,その結果を被告学園がコントロールすることができないものであるから,被告学園の恣意が介入する余地のないものであり,客観性が担保されている。
平成20年度後期から平成23年度前期までの学生による授業評価の平均値につき,原告と他の教員(原告が担当する科目と同じ科目を担当する教員3名と,それ以外の文学部の教員(常勤と非常勤)
,及び全学
の教員)とを比較すると,平均値が3を下回る評価は,原告以外の教員では,P10の平成22年度前期の基礎ゼミ1があるのみである。しかし,原告は,平成20年度後期日本語運用2
,平成21年度前期
思考の方法1日本語・日本文学表現演習1哲学の方法哲,,,学
,平成21年度後期アジアの中の日本基礎ゼミ2

,平成22
年度前期日本語運用1基礎ゼミ1

,平成23年度前期思考の方法1哲学と,この期間の11科目に及んでいる。原告について,
は,平均値3未満の評価のなかったのは,平成22年度後期のみであり,他の年度には必ず3未満の科目がある。また,比較対象として取り上げた教員との比較では,他の教員に原告より下回る評価が付いたのは3か所だけであり,他は全て上回っている。文学部全体,また,全学の教員の平均値と比較しても,原告の平均値は,わずかな例外を除いて,ほとんどの科目で下回っている。このように,原告の授業に対する学生の評価は明らかに低いのである。
(原告の主張)

被告学園が原告に命じた本件特命プログラムは,以下のとおり違法・無効なものである。


本件特命プログラムの業務内容
(ア)

被告大学は,自己点検・自己評価委員会を設け,同委員会は学生に
よる授業評価アンケートを実施し,その授業評価平均値が3.0未満であった場合には(満点は4.0)
,自己点検・自己評価委員会が,授業
改善に向けて,授業観察,授業検討会等を行い,最終結果を出す。これを授業改善プログラムと呼んでいる。
原告は,平成22年度前期の学生授業評価が3.0未満の授業科目基礎ゼミ1
(専門演習科目)と日本語運用1
(全学共通演習科
目)があったため,平成23年度前期,上記2科目について自己点検・自己評価委員会所定の授業改善プログラムを受けた。平成23年6月6日,授業観察結果につき特に問題は見当たらなかったとの結果を得た。原告は,同月18日,上記結果を受けて,授業観察報告書に対する改善計画報告書を作成して提出した。
平成23年6月16日,原告に対し学長特命による授業改善の面接指導と称するヒアリングが行われ,本件特命プログラムが開始した。面接担当者は,P11大学事務局総務課長,P12大学事務局長兼法人本部人事課長,P13学生支援センター長,P14文学部長の4名であった。そして,原告は,冒頭,ヒアリング状況の録音をしてはならないと命じられた上,面接が行われ,面接終了後,
授業改善の面接指導に関わるレポート提出についてを渡され,4項目の課題について,同月24日までにレポートにまとめるよう命じられたが,課題の目的,趣旨,レポートの必要性の趣旨の説明はされなかった。
原告は,平成23年6月24日,求められた4つの課題(①面接内容について,質問と回答をまとめて下さい。②(大学の)組織人としての仕事の取り組み方について。③学科内での担当科目指導以外での自分の貢献度について。④担当授業科目に基づいた研究内容とする具体的計画について)について,レポートを提出した。その後,原告は,同年7月11日,詳細な追加説明書を提出するように求められ,期限までに授業改善の面接指導に関わるレポート追加説明を提出した。
被告大学の教員らには,学長特命の授業改善プログラムとは何であるか知らされていない上,自己点検・評価委員会の活動係属中の時期に上記レポートの提出を求める特命が出されること自体疑義がある。(イ)

被告学園は,平成23年6月27日付け連絡文(通知)を原告

のメールボックスに入れ,研究領域に関する確認の一環として業務指示を行うので同月29日午前10時10分にP9学舎に出頭するよう命じた。原告が出頭すると,P11総務課長から,法人本部会議室において漢字能力検定試験(以下漢字検定ともいう。
)1級の過去問題と同
準1級の過去問題を解くよう命じられた。問題を解く間,P11総務課長,P15人事課係長の2人が交代で原告を1対1で監督し,途中5分の休憩時間以外の1時間50分,缶詰状態にした。
各種検定試験問題を解く業務は,平成23年6月29日に引き続き,原告の担当授業がない同年7月1日午後,同月7日,同月14日,同月21日の各日に行われた。毎回,当日の朝になって,学長名の連絡文がP8学舎内事務室の原告のメールボックスに入れられ,原告はこれに応じて研究室のあるP8学舎からP9学舎に出頭し,到着後に初めて業務を指示されるのが常であった。そして,第2会議室に缶詰状態にされ,指示された検定試験等の過去問題を解くことが続いた。毎回,P11総務課長,P16総務課長補佐,P15人事課係長の3人が交代で監督し,ほぼ1時間おきに許される5分の休憩時間以外,出入りや休憩が許されなかった。
原告が取り組んだ検定試験のうち,日本語教育能力検定試験は,日本語を母語としない外国人を対象に外国語としての日本語を教える能力を問うものであって,原告の担当科目とは関係がない。被告大学では,留学生をごく少数しか受け入れておらず,かつ一定以上の日本語能力を有する者しか受け入れていない。また,漢字能力検定試験の1級及び準1級は日常生活では使わないような特殊な熟語や読み,四字熟語が数多く出題されており,常用的な漢字能力が問われるのは2級までである。1級,準1級の試験合格能力は,原告が所属する国際英語学科の教育目標である世界に通用する英語コミュニケーション能力母語を基盤,とした思考力と必ずしも関連性,必要性があるものではなく,原告の担当授業科目と研究内容の整合性の検証,研究領域に関する確認になるとも理解しにくい。
以上のとおり,原告が取り組んだ検定試験は,いずれも業務との関連性,必要性を認め難いものである。また,原告の日本語技能の向上を目的とするのであれば,実際の検定試験を受験するように指示すれば済むものであるから,模擬試験を連続的に受けさせる理由もない。原告は必要性のない以上の業務により非常な困惑と苦痛を覚えた。
上記のとおり,被告学園は,平成23年6月29日,原告に対し漢字能力検定試験を解くように命じたが,同日の検定試験終了後,同日付け平成23年度の教育研究費予算執行について(通知)と題する学長名文書を原告に交付し,教育研究費の使用を日本語運用能力(当面は漢字検定準1級以上相当)の向上に資するものに限定することを前提に,検定試験合格に向けて直接的に取り組むよう教育研究費予算計画を書き直して,同月30日までに再提出するよう指示した。同命令を受けた原告は,被告学園の命令に抗うときは懲戒処分その他いかなる不利益的報復があるかもしれないと考え,命令に応じて研究テーマを漢籍および漢文仏典ならびに和文仏典などの読解を通じた日本語運用能力向上の方法と変更した計画書を提出した。しかし,被告学園は,漢字検定試験合格に向けて直接的に取り組む計画として修正するようさらなる変更を求めたので,原告は,同年7月1日,
平成23年10月23日の第2回または平成24年1月29日の第3回検定での準1級および1級の合格を当面の成果目標と変更した計画書を提出した。また,被告学園は,平成23年8月1日,教育研究費計画書変更前に納品された書籍に関する原告の教育研究経費の支払申請を認めないとして却下し,同時に,かねて修正変更して提出してあった教育研究計画書の一部を削除するように求めた。
被告学園の上記指示は,原告の研究テーマと活動を徹底的に漢字能力検定試験合格の局面に限定し,他の余地を残さないためである。しかし,漢字能力検定試験合格に向けての直接的な取り組みは,大学教員にとって必須,重要なものではなく,大学教員が行う研究には値しない。また,個々の教員の専門分野を含む諸方面の研究状況を無視して,本人の同意無く,一方的に教育研究課題を漢字能力検定試験合格に限定せよと命じることは教学制度上も労働契約上も重大な問題がある。原告の長年の中核的研究課題は,インド・チベット仏教思想史であり,FD(Faculty

Development)活動に関する

研究への参加等大学での教育方法や日本語関係の研究も行う予定を報告済みだったのに,原告は被告学園の命令によって研究活動と教育のための活動を実質的に禁じられ,教育研究実績を積み重ねる機会を奪われ,さらに大学教員の教育面,研究面での社会的役割を否定され,重大な不利益を受けることになった。
なお,原告は,平成23年10月23日に漢字能力検定試験準1級を受検し合格し,同年11月13日に語彙・読解力検定試験準1級を受検し,これにも合格した。もともと,漢字能力検定試験への合格のために教育研究費が制限されたのであるから,目的を達すれば当該制限は撤廃され,原告を本来の教育と研究に戻らせるべきであるのに,被告学園は,教育研究費予算執行の目的の限定を緩やかにしてくれという原告の要請を無視したままである。
(ウ)

原告は,平成23年7月12日,平成23年度の夏期休業期間中

(授業のない8月1日から9月18日まで)である同年8月8日と,インドでの自費での調査旅行のため,同月22日から同年9月2日までの年次有給休暇の承認願を提出した。これに対し,被告学園は,同年7月20日,原告に対し,後期授業開始までに所定の能力改善を達成するため,同年8月1日から同年9月18日までの夏期一斉休業期間を除く,月曜日,水曜日及び金曜日の午後4時間,業務能力向上のために各種指示業務を遂行するよう命じ,年次有給休暇承認願は取得時季を変更するよう命じ,インドでの調査に行かせないようにした。そこで,原告は,平成23年7月22日,学長宛に各種指示業務の具体的内容,必然性,理由などに関する回答を求める質問状を提出した。
一方,被告学園は,平成23年7月22日付け学長名文書により,原告に対し,
学生による授業評価アンケート結果に基づく授業改善
の一環として,プレゼンテーションによる授業評価を実施する旨の指示をした。しかし,プレゼンテーション対象科目のうち,平成23年度前期の授業改善プログラムの対象となった科目は日本語運用1のみであり,学生評価が低かったはずの基礎ゼミ1は除外され,また,
日本語・日本文学表現演習1は,すでに存在しない国際言語表現学科の科目であり,後期に開講されるアジアの中の日本を除けば,
哲学哲学の方法思考の方法1はすでに前期に完了した科目


である。そこで,原告は,同月23日,被告学園に対し,自己点検・評価委員会では特に問題なしとされたのに今回新たな授業改善策を施すことの整合性やプレゼンテーション方式を選ぶ理由等について回答を求める質問状を提出した。
原告は,平成23年7月28日,上記有給休暇に関する質問状に対する被告学園の回答が得られなかったことから,名古屋東労働基準監督署に相談したところ,監督署内から被告学園宛てに電話がされ,何事かが伝えられた。翌29日,原告のメールボックスに,同月28日付けの学長名の連絡(質問状回答含)が入れられており,それによると,日本語及び日本語複合領域の学問を教える教員として基本的な能力が不足しており,平成23年度後期授業開始までに,緊急かつ総合的に授業力を改善する必要性が高いものと判断し,改善に向けた取り組みとしての特別業務を実施するものとして,8月22日までは7回にわたる漢字検定準1級模擬試験等を,8月24日以降は11回にわたる
日本語検定1級模擬試験等に取り組むよう指示されていた。なお,上記特別業務は,原告の研究室のあるP8学舎ではなく,P9学舎で行われるので,午前に出勤した原告は,昼ころP8学舎からP9学舎に移動し,終了後P9学舎からP8学舎に移動する必要がある。
授業プレゼンテーション命令に付け加えられたこれらのあまりに多数回かつ過密なスケジュールによる特別業務命令,そして必要性や手法に疑義のある各種検定試験の模擬試験に取り組ませる設定は,有給休暇取得拒否の口実としつつ,原告を缶詰状態に置き,夏期休業中原告の研究や自由な活動をさせないようにするものである。
(エ)

平成23年7月29日の哲学のプレゼンテーションには,学長

である被告P2,P17副学長,P14文学部長,P18法人本部長,P13学生支援センター長,P12事務局長,P19参事の7人が評価者として,またP11総務課長が司会進行役として参加した。この日は,午後4時から臨時教授会が行われる予定であったため,プレゼンテーション後の質疑応答はなかった。
原告は,プレゼンテーションと自己点検・評価委員会の評価との整合性を問う内容の平成23年8月1日付けプレゼンテーションに関する質問と,夏期休業期間中の検定試験その他の特別業務命令の正当性を問う同日付けの業務指示に関する質問を学長宛に提出したが,被告学園からの回答はなかった。
平成23年8月4日の哲学の方法のプレゼンテーションには,
学長である被告P2,P17副学長,P14文学部長,P20法人参与(副理事長)
,P11総務課長の5名が参加した。終了後,30分程度
の質疑応答があった。
平成23年8月11日の思考の方法のプレゼンテーションには,
学長である被告P2,P17副学長,P14文学部長,P20法人参与,P13学生支援センター長,P12事務局長,P19参事,P11総務課長の8名が参加した。質疑応答は1時間45分に及んだが,原告がプレゼンテーションに使わなかった新聞(学校法人P21理事長らが業者から利益供与を受けた問題を報じるもの)を準備していたことをP20法人参与が取り上げ,原告において各新聞報道は対応が異なり一紙だけを信じてしまうことの問題を理解させる意義を説明し,プレゼンテーションでは時間的余裕がなくて取り上げられなかったと説明しても納得せず,途中で声を荒げて怒鳴りだすなどしたことから,この問題だけで質疑応答時間の半分ほどを費やした。また,学科会議で決められた授業内容について,参加者はそのことを知らずに異論を出したり,ディベートを授業で取り入れたことにより学生評価が上がったのに,それを知らない参加者からディベートは授業で行うべきでないとして異論が出されるなどした。
平成23年7月29日に授業プレゼンテーション業務が開始されて以降,いずれの場合も文学部長を除いて現在授業を担当していない人物ばかりが,学生のいない場で授業プレゼンテーションを評価したことになる。また,上記8月11日の質疑にみられるように,参加者たちは審査するだけの準備,調査が十分でないとも認められる。授業改善のためという名目は極めて疑わしい。
(オ)

平成23年8月1日から始まった夏期休業期間中の特別業務は,月,
水,金の午後にP9学舎本館第2会議室で行われた。やはり,P11総務課長,P16総務課長補佐,P15人事課係長の3人が交代して1対1で原告を監督し,ほぼ1時間おきに許される5分の休憩時間以外は拘束状態であった。
業務内容は,最初の3時間が漢字能力検定試験準1級問題3回分,最後の1時間がプレゼンテーションに関する手書きの800字以上の作文の作成(反省,反省に基づく概要の再構成,プレゼンテーション終了後の評価コメントのまとめ,コメントに基づく概要の再構成など)である。
検定問題については,解答後の成績が知らされたり,不正解の箇所が知らされたりするようなフィードバックは一切なく,試験問題への解答も作文も即時に提出させられ,原告の手元には写しが残らない。また,いつ,どうすればこの業務から解放されるのか全く説明がなかった。(カ)

原告は,平成23年8月13日午後,自転車を運転中,車にはねら
れて右腓骨遠位端骨折及び右脛骨幹部骨折の傷害を受け,そのまま同年9月14日までP22病院に入院をした。
原告が療養中,
P7組合ニュース76号が平成23年8月25日
に被告学園のファックスに送信され,ほぼ同内容の教職員宛メールが送られたらしく,同月29日,P15人事課係長がその件に原告が関わっているかどうかを問う法人本部文書を病院まで届けに来た。原告は,この件には関与していないと手書き文書で回答した。
P15人事課係長は,平成23年9月2日,病院に再来し,要旨,ファックス等は原告の名誉を毀損しているから,共同して犯人探しを手伝え,プレゼンテーションを喜んで行っていると言えという法人本部文書を届けた。組合ニュース等に関するP15人事課係長の訪問は,その後,同月7日,同月13日にもあり,計4回に及んだ。原告は回答期限までに,同月7日までの法人本部文書に対する手書き文の回答を,同月13日のものに対しては印刷文書を被告学園に郵送した。
しかし,原告が,ファックス送信やメール送信に関与していないことは自ずと明らかであり,被告学園が回答を求める事項は,入院療養中の原告に問わねばならぬほどの緊急性のあるものではない。また,他の教職員には原告に対するような執拗な問い合わせをしていない。被告学園が執拗に回答を求めたのは,原告の様子を探ると同時に休養を要する原告に精神的な圧力を与えようとの害意あるものと受け止めざるを得ない。
原告は,退院後,しばらく実家に身を寄せていたところ,平成23年9月17日,被告学園から速達便が届いた。入院中に原告が携帯電話を持っていたにもかかわらず,携帯電話の番号をP15人事課係長に知らせるのを拒んだことに対する理由を文書回答せよというものであった。勤務日でない日に実家に身を寄せる原告に速達便で届けねばならぬ緊急な内容とは認められず,労働者の実家に働きかけ,親族の不安を煽って,もって労働組合から脱退させる古典的手口を思わせる嫌がらせと受け止めざるを得ない。
(キ)

原告は,P22病院退院後も定期的に受診し,P23整形外科でリ
ハビリ治療を受けていた。傷害部位たる右足への荷重を避けながら,低下した筋力の回復,関節可動域訓練が必要とされ,歩行困難のため松葉杖を必要とし,リハビリ通院を毎日行うこととされていた。
平成23年9月19日から被告大学の後期授業が始まった。原告が,P9学舎とP8学舎での授業を終え,研究室で翌日の授業準備などをしていると,P24事務室長から内線電話で法人本部から伝えたいことがあるので,研究室に待機するようにと伝言があり,午後6時すぎに学部長を通じて,
明日からの授業を全て休講にして,夏期休業期間中に行う予定だった授業改善プログラムの続きに備えるようにという学長の指示が口頭で伝えられた。
翌20日,担任クラスの学生,ゼミ生が休講措置の理由等について原告に質問に来た。休講措置が取られても,教員としては所定回数の授業を行わなければならないし,学生としては所定回数の授業を受けて単位の認定を得る必要がある。休講すれば,別途必ず補講や集中講義で補わなければならない。休講措置は,後に問題を残す措置なのである。また,

P25先生の授業だから履修登録したのに,ずっと休講なら止めます。単位は足りているから。

と他の教員に訴えた学生もいた。被告学園の休講命令は学生達に大きな不安を与え,一部の学生の学習意欲を削いだ。原告としては,学生の質問や不安に答えようがなかった。なお,学部長,学科長もこの休講命令を事前に知らされてなく,国際英語学科内は対処に窮した。
(ク)

P12人事課長(事務局長)は,平成23年9月20日,原告に対
し,業務報告書を作成し,提出するようメールで命令した。業務報告書は,事務職員に,出勤から退勤までの日々の業務内容を具体的に記載し,所感,提案事項,翌日の業務予定を記入し,当日退勤までに,学内メールで提出させるもので,教員には作成が義務づけられていなかったものである(なお,平成23年度5月途中から新任教員にはこれが課せられるようになったが,ベテランの原告に業務報告書を作成させるのは異様である。。

原告は,直ちに書式に従って業務報告書を学内メールで送付したところ,折り返しP12人事課長から紙媒体で提出するよう命じられた。事務職員には学内メールでの提出を義務づけながら,原告にだけ紙媒体での提出を義務づけるのも異様である。原告は,翌週からP9学舎で授業改善プログラムに従事させられたため,やむなく手書きで業務報告書を作成し,退勤前までに学内バス便でP8学舎の学科長宛に提出せざるを得なくなった。被告学園は,業務報告書を必要とする事情について,諸般の事情を勘案して,原告の業務内容を検討・分析する必要が生じたからだというが,原告のスケジュールは本件特命プログラムに追われ,監視を受けている。業務報告書提出命令は,原告の負担を加重するものである。
(ケ)

平成23年9月20日午後5時少し前,原告のP8学舎研究室にP
15人事課係長から内線電話連絡があり,
明日の16時にヒアリングがあるので,それまでにP9学舎に到着するようにと命じられた。しかし,原告は,リハビリに通う必要から,同年10月5日まで水曜日午後は半休を取っていた。また,水曜日には,P26大学への出講があるので,

授業終了後にどれだけ急いで戻っても16時には間に合わない,努力するが確約できない。

と答えた。平成23年9月21日,台風15号の影響で,被告大学は授業が休講となり,原告が非常勤講師を務めるP26大学も授業が休講となった。当時松葉杖なしでは移動できなかった原告は,外出に危険を感じ,被告学園に電話をして,

ヒアリングを翌日以降に延期して欲しい。

と依頼した。しかし,

非常勤先の授業がないのだから16時には間に合うはずだから,必ず出てくるように。

と命令された。同日,午後4時からのヒアリングを担当したのは,P12人事課長とP11総務課長であり,冒頭,録音をとらぬよう命じた。P12人事課長らからの質問は,本件特命プログラムについて,原告がどのような認識をしているかと問い,組合ニュースが被告学園にファックス等された事件についての原告の認識を問うものであった。原告は,本件特命プログラムは,以前提出した質問のとおり納得ができないと答えた。また,組合ニュースファックス事件については,原告の状況に関する事実自体はそのとおりだが,これについての評価は組合の見解なので組合と話し合って欲しいと答えた。しかし,P12人事課長らは,一方的に原告の認識を問うばかりで,原告の疑義には答えようとしなかった。
このヒアリングの中で,P12人事課長らは,前年度に被告学園が秘密裏に学生個人に送付した授業再アンケートは,ターゲットをもっぱら原告一人としたものであって,他の教員に関してはカモフラージュのためであると話した。
この日の勤務時間に関し,平成23年9月28日,法人本部長から,同日はヒアリング以外の時間帯には何ら勤務をしていなかったので,その日を丸ごと有給休暇を取得したことにするか,勤務しなかった時間分を欠勤扱いとして給与を減額するか,どちらかを選んで必要書類を提出せよと指示があり,原告は給与減額を選んだ。
ヒアリングの目的に照らすと,退院後間もなく松葉杖でリハビリ中の者を,学外研修日でしかも半休をとっている時間帯に,あえて呼び出してヒアリングを強行する緊急性,必要性があったとは認め難く,給与減額措置や遅刻措置の相当性も認め難い。
(コ)

原告は,平成23年9月22日午前中,人事課からの電話で,午後
から本件特命プログラムが再開されるので午後1時15分までにP9学舎に出頭するよう命じられた。原告がP9学舎に着くと,そこでP11総務課長が口頭で,当日の業務の内容を指示した。
同日は,本館501教室において,午後1時15分から午後4時15分までは,漢字能力検定試験準1級問題1回分と同1級問題2回分に取り組むよう命じられた。また,午後4時15分から午後5時15分までは,同年8月11日に行った思考の方法1のプレゼンテーションの修正案を作成するように命じられた。しかし,プレゼンテーションを行ったのは,入院を挟んで1か月以上も前のことであり,前もって何の通知もない突然の命令だったので,指定された1時間の間にプレゼンテーション修正案を作成するのは大変なことであった。
また,原告は,翌週から直接P9学舎に出勤するよう命じられ,退勤時間までP9学舎で業務するよう命じられた。この日以来,P8学舎の研究室にはほとんど入ることができなくなった。
原告は,平成23年9月26日,学長名授業休講にかかる指示
により,原告に休講の理由等に関する一切の発言を控えるよう命じた。原告の発言を禁ずべき納得できる説明はなかった。
(サ)

後期における本件特命プログラムは,基本的に当日の業務開始時に
P11総務課長から口頭で業務内容が指示され,原告は,その時に初めて業務内容を知ることになった。
原告が命じられ従事した業務の内容を大きく分類すると,授業プレゼンテーション,授業見学,課題図書の要約作業の3つである。
授業プレゼンテーションは,原則として月曜日の午後2時40分から60分の時間で行われた。被告学園は,プレゼンテーションのビデオ撮影を行うようになったが,原告が自分のプレゼンテーションを録音していたところ,被告学園の許可を得ない限り録音は許さないと命じられ,消去させられた。また,評価者は,当初,P14文学部長を除いて大学の授業担当をしていない人物ばかりであったが,原告の指摘もあって,平成23年11月14日からは,他にも1人又は2人の教員が加わるようになった。なお,同年9月以降,教職員研修室長を兼任しているP1大学高等学校教頭も評価者として加わるようになった。
授業見学については,業務の当日,その日に見学すべき授業(複
数)の連絡がある。当該科目の教室に授業開始前に到着し,最後まで見学して,授業見学レポートをその日のうちに提出することとされている。原告が対象授業の担当者に対して質問することは禁じられていた。上記レポートには,時限・科目名・対象学科学年クラス・教室・担当者を明記の上,10分単位で展開を記録し,感想を述べ,見学した授業を踏まえての自分の授業改善案を記載するよう命じられていた。レポート用紙として,ページ番号が印刷された400字詰め横書き原稿用紙が配布され,それを用いることになっていた。平成23年10月13日までは,授業見学の後,授業見学レポートを書くための時間が確保されたが,翌週の同月17日からは,レポートの作成は,授業見学中に行うよう命じられた。また,同月11日には,授業見学レポートのほかに,それまでに見学した全12コマ分の授業評価シートの記入も命じられ,さらに翌日からは,授業見学レポートと授業評価シートの両方を授業見学当日の退勤時に提出するよう命じられた。なお,授業評価シートとは,全部で19の評価項目について4段階評価で評価するもので,特記事項を記入する欄がある。当初は,その特記事項欄については特別な指示はなかったが,間もなく,指定された3項目分の評価項目については必ず特記事項を優先順に記入するよう命じられた。未だ松葉杖なしに歩行が困難であった原告にとって,各教室を巡るには時間を要し,授業合間の休憩時間が移動で潰れてしまうことがあり,肉体的にも精神的にも責め苦に等しかった。
原告は,課題図書の要約作業として,プレゼンテーション関連図書をその都度渡されて,読むべき範囲を指定され,その要約とその内容を踏まえた自分の授業改善案を400字詰め横書き原稿用紙に指示された枚数以上のレポートにまとめて提出し,同作業が終わるたびに課題図書を返却していた。
(シ)

被告学園は,平成23年10月19日,原告に対し,本件特命プログラムと原告の怪我の療養を考えて,P8学舎の原告の研究室(同学舎2号館513号室)をP9学舎に移動し,あわせて原告が使用していたコンピュータを取り上げる旨を命じた。
研究室移動作業は,被告学園が平成23年10月19日から同月21日までに行い,原告は一切関与させられなかった。同月24日から原告に与えられた研究室は,教員用の研究室ではなく,P9学舎本館1階の企画調整室を半分に区切った部屋で,廊下を挟んで学生支援センター事務室の向かいにある。広さは通常の研究室の3分の2程度で狭く,学生等が入室したときに座る設備はない。また,通常の研究室に設置されている水道設備等もない。外部に通じる窓はなく,暗く,入口扉には大きな透明ガラスがはめてあり,部屋の中で電灯をつけると廊下から内部が丸見えになり,見世物にされた気分を与える状態である。さらに,P9学舎に文系ゼミに必要な関連分野の図書を運ばれたことから,P8学舎で行うゼミ指導に不便を余儀なくされた。
原告がP8学舎の研究室で使用していたコンピュータ(○がインストールされたもの)は,P9学舎に研究室が移動された際に取り上げられ,P9学舎の研究室には,○がインストールされた古いコンピュータが置かれていたが,それも平成23年10月26日には取り上げられた。原告は,学内LANに繋がるコンピュータを使用できないことから,学内メールを受信できなくなり,学内報を見ることもできず,大学WEBへのアクセスもできなくなったのみならず,コンピュータを用いて文書を書いたり保存する作業もできなくなった。
(ス)

原告は,水曜日に他大学へ非常勤講師として出講しており,移動時
間も考慮して,水曜日に名古屋大学中央図書館またはP26大学中央図書館を学外研修の場所として申請し,承認を受けていた。
しかし,上記の通り,原告は,平成23年9月21日及び同月28日に学外研修を無視する強引な呼出しを受け,ヒアリングを受けた。研修日を無視し続ける被告学園の強引な対応が続くことから,原告は,同年10月以降は学外研修を諦めざるを得ない状態に追い込まれた。その後,原告は,被告学園から,名古屋大学での非常勤講師(10時30分から12時まで)とP26大学における非常勤講師(13時30分から15時まで)とその移動の時間を除外した8時から10時まで及び16時30分から22時までの7時間30分を通常勤務時間とし,被告大学の規定上の勤務時間(7時間45分)に足りない15分を名古屋大学中央図書館での学外研修という形に変更して届け出るよう命じられた。被告学園が,水曜日に強引な本件特命プログラムを命じることを控え,あるいは時間をずらして出講先の名古屋大学中央図書館とP26大学中央図書館での学外研修を承認しさえすれば,原告は朝8時からとか夜22時までの勤務を必要としないが,被告学園は,それを許さない。
(セ)

被告学園は,原告に対し,以下のとおり嫌がらせ,いじいめという
べき負荷を与え続けた。
平成23年9月28日,P26大学での授業のため間に合うはずのない午後4時からのP9学舎への出勤を命じた。また,遅れた20分の遅刻届を提出させた。前日の授業見学レポートに欠けた項目があったとして,午後4時20分から午後5時20分まで,加筆,補充させるのではなく,全面書き直しを命じた。
平成23年10月13日,
研究領域に関する確認に関する13回
の業務指示についての自己分析を文書回答するよう命じ,同月16日付け回答を提出させ,同月26日付け回答を提出させ,同月31
日付け研究領域の確認について(再再)への回答を提出させた。
平成23年10月25日,業務報告書に研究室の移動に関し不適切な記述があったとして反省文の提出を命じ,原告の同月28日付け
反省文提出の指示に関する質問に答えず,同年11月2日付け研究室移動に関する反省文を提出させた。平成23年10月31日,授業見学中に法人本部の指示にそむいて授業担当者と話をしたとして(会話の事実はなく,被告学園がそう解釈した)
,所定の原稿用紙を用いた反省文の提出を求め,同年11月2日付け授業見学に関する反省文を提出させた。
平成23年11月2日,被告大学とP8生涯学習センター共催の公開講座で世界の仏教・日本の仏教
(同月11日午後)の講演を予定し
ていた原告に対し,講座1週間前までに公開講座等実施計画書と配布予定資料コピーを提出するよう命じた。同月8日午前中,原告が提出した公開講座等実施計画書を全面的に手書きで書き直すよう命じた。また午後1時15分から午後2時まで,そのプレゼンテーションを命じた。その後,午後2時30分まで質疑応答させた。同月9日午前8時から午前10時まで,再び講義内容を手書きで全面的に書き直すよう命じた。公開講座当日の午前9時から午前9時45分まで,再びプレゼンテーションを命じ,その後,午前10時30分まで質疑応答をさせた。午前10時30分から午前11時まで,質疑応答時の指摘事項を文書にまとめるよう命じた。
平成23年11月4日,自主的に漢字検定受検状況報告書を提出しないのはけしからぬとし,所定の原稿用紙を用いた漢字検定受検状況報告書を提出するよう命じ,同月7日付け漢字検定受検状況報告書を提出させた。
平成23年11月4日,所定の用紙を用いたゼミ報告書の提出を命じ,過去の分は同月11日午後5時までを提出期限とし,今後の分については,翌週水曜日午後5時を提出期限としたが,かつてゼミ1回1回の報告書を提出した例はない。同月29日,提出済みの同月18日実施ゼミの報告書における学生名を匿名から実名に変更して再提出するよう命じた。さらに,同年12月5日,学生出欠者名の明示,指導のねらい,目標を具体的に記載するよう命じた。同月19日,それまでのゼミ報告書が十分でないとして,同月22日午後5時までに同年11月18日以降のゼミ報告書全部の再提出と800字以上の顛末書の提出を命じ,同年12月21日付け「顛末書(ゼミ指導報告書について)を提出させた。平成23年12月5日,同月7日の退勤時までに研究室内の電子レンジや掃除機等の私物を撤去し,同日午前11時までに反省文を提出するよう命じ,同日付け反省文を提出させた。さらに同月23日,同月26日の退勤時までに全ての私物撤去と顛末書の提出を命じ,同日付け顛末書(研究室の整理・整頓について)を提出させた。さらに,同月28日,同日退勤時までに私物を撤去し,反省文を平成24年1月4日の退勤時までに提出するよう命じ,原告に時間外労働を余儀なくさせ,同日付け反省文(研究室の整理・整頓について)を提出させた。
原告が平成23年12月7日午前に提出した授業プレゼンテーション後の質疑応答のまとめのレポートにつき,同日午後,レポートが正確でないので同月9日午後5時20分までに再提出するよう命じ,書き直しレポートを同月8日に提出させたが,同月9日,書き直しレポートが指導助言を正確に反映していないとして,同日午後5時20分までに再提出しろと命じ,手書きの再々レポートを提出させた。
平成23年12月23日,原告が同月16日の教授会終了後即刻P9学舎に戻らなかったことにつき,教授会終了後の原告の動向の分析と反省等を文書で提出するよう命じ,同月27日付け12月16日(金)の動向についてを提出させた。平成23年12月28日,同月27日実施済み授業プレゼンテーションのために事前提出されていた授業改善計画書についての反省文の提出を命じ,平成24年1月4日付けプレゼンテーション授業改善計画書に対する反省文を提出させた。ウ
本件特命プログラムの不合理と原告の苦痛
(ア)

授業プレゼンテーション科目選択と手法等の不合理
原告が行ってきた授業に関しては,学内自己点検・自己評価委員会に
よる授業観察等では特に問題は見当たらないとされていた。ところが,学生評価が悪くない科目についても授業プレゼンテーションが命じられている。すでに廃止になった科目(日本語・日本文学表現演習1)のプレゼンテーションも命じられている。これらの点は合理的な説明がつかず,原告に負担を課すこと自体を目的としているものと考えざるを得ない(なお,被告らは,原告の授業に対する学生の授業評価ばかりを問題にするが,学生授業アンケートは,当然には授業の適切さを評価するものではない。科目自体の性質,学生の学問的素地,情緒的・主観的要素等々によって学生の評価は著しく変化する。大学ではこれだけが授業評価基準とされることはない。。

授業は,教員の知識を伝えるだけでよいものではない。授業とは,学生の反応,理解度を測りながら進める教員と学生達とのコミュニケーションである。授業評価は,実際の授業において教員と学生が実際にどのようなコミュニケーションをしながら授業を進めているかを見て行うべきである。学生を相手にしない一方的な模擬授業ばかりをさせることには疑義がある。また,学生の反応とそれに対する指導の是非を判断すべき演習科目(日本語運用1,思考の方法1)まで,あえてプレゼンテーションさせることの意義は理解不能である。
学長特命プレゼンテーションは,授業を担当していない者や隣接分野での専門性を持たない事務管理系職員を主要多数メンバーとする者の前で行わされる。これが授業改善に資するものかは極めて疑わしい。一つの科目について,第1回授業から始めて,翌週は別の科目の第1回授業という設定でプレゼンテーションが指示されている。このような形で6週間以上も時間を隔ててから第2回授業という設定でプレゼンテーションをさせている。一つの科目について実際の授業のように毎週連続してプレゼンテーションをさせないことの意味は理解できない。不合理で意義が理解できない業務はそれ自体苦痛を与える。上記記載のとおり,被告学園は原告の当然の疑問に一切の説明を拒んできた。(イ)

プレゼンテーション準備と成果が不十分になる仕組みの不合理
プレゼンテーション直前まで授業見学3コマと見学関連レポート作成
が課せられ,濃密なスケジュールが課せられている。また,予定プレゼンテーションの前週の金曜日までに,その概要,資料等を提出するよう命じられているが,原告の勤務時間のほとんどは授業見学やレポート作成の業務で占められており,研究室に居着くことさえ困難であって,プレゼンテーション資料を作成する時間がない。コンピュータを取り上げられて,いっそう作業が困難な状態にさせられている。
現在のプレゼンテーションや資料の準備は主として勤務時間外に自宅で行うしかない。否応なく不便な業務時間外作業を強いられた上に,それを基に不十分などと叱責されるのでは,業務の名を借りたハラスメントというしかない。
プレゼンテーションに際して被告学園が撮影したビデオ記録を原告に示して結果を吟味させようとしない。さらに,原告が記録,録音することを許さない。これではプレゼンテーションを振り返ることもできない。何のためのプレゼンテーション業務なのか不可解である。
(ウ)

授業見学科目と見学方法の不合理
授業見学の対象とされる授業科目や授業担当者を選択する基準に合理
性がない。模範となる学生評価の高い科目を見学させているというわけではない。同じ担当者で同じ学生を対象とした同じ科目の授業を2回見学させることもある。同一担当者の別授業を2回以上見学させることがある一方,見学をしたことのない教員の授業も少なくない。
原告の専門科目や担当科目と近い内容の授業(特にP8学舎で行われることが多い)については,ほとんど見学させない。原告の専門や担当科目と遠く離れた分野の,例えば学生の作業が中心の演習科目や実験科目を見学しても(建築CAD演習等)
,原告の授業改善上の参考になる
点は少ないにもかかわらず,無理矢理に参考にせよと命じている。授業担当教員への質問は禁じられており,授業の狙い等々を理解する余地は封じられている。
合理的意義が理解できない不合理な業務は,ハラスメントに他ならず,理不尽に苦痛を強いるものというしかない。
(エ)

授業見学の頻度が過度である
本件特命プログラムにおいて,被告学園はほとんど毎週11コマ(月
曜日3コマ,火曜日4コマ,木曜日4コマ)の授業見学と授業見学レポートと授業評価シートの作成,提出を命じている。通常の授業改善プログラムでは,評価の悪かった科目と近い分野の授業評価の高い科目を,半期のうちに1回見るだけである。これほど多くの授業見学をさせる合理性は認められない。
授業見学が始まった当初は,授業見学レポート作成のための時間が1時間から2時間ほど与えられた。平成23年10月13日以降は,原則としてレポートを授業見学中に書くよう命じられた。かつ,10分おきに授業展開をまとめる必要があるとされるので,授業見学レポートとして課せられている項目のいくつかは授業見学を終えた後にしか書くことができない。
(オ)

文書作成は研究室でさせない
被告学園は,原告の授業見学レポート,書籍要約等々の作成場所を指定する。それは法人本部会議室と名付けられる事務室の一角であったり,会議室であったり,あるいは使用されていない教室であったりする。研究室で資料を調べたりして文書を作成することは許されない。
本件特命プログラムのためと称して,研究室をあえてP8学舎からP9学舎に移動させたといいながら,あえて研究室を使わせない理由はないはずである。
(カ)

知的活動に専用のコンピュータを使わせない
P8学舎の研究室にあったコンピュータは取り上げられ,P9学舎の
研究室にはコンピュータがない。事務的な書類もわざわざ手書きにしなければならない。研究室内の資料を用いてコンピュータ作業を行なおうとしてもできない。自宅のコンピュータを使うために,わざわざ研究室内の資料を自宅に持ち帰らなければならない。被告学園は,あえて過分な負担を原告に与えている。
(キ)

まとめて作業させず,その都度ごとに報告書を提出させる
標準的な週で,授業見学が週3日命じられ,課題図書要約が毎日命じ
られている。それぞれ毎回,その日の授業見学を踏まえての自分の授業の改善策,課題図書の内容を踏まえての自分の授業の改善策を書くように命じられている。文書量もたとえば原稿用紙1枚以上とか2枚以上というように指定される。
しかし,限られた時間の中でのあまりに頻繁かつ過大な報告書等作成命令は,熟慮,検討の時間を奪っており,不合理である。
また,日によっては,課題図書の範囲が直接的には授業改善と結びつかないことがある。それでもともかく課題図書の内容を踏まえた授業改善案を書かせるのは,適切な改善案に結びつき得ず,無理を強いるものである。このような作業はいたずらに苦痛を与えるためとしかいえない。(ク)

苦痛を倍加,過酷化させる被告学園の対応
上記のとおり,本件特命プログラムには合理性が認められず,不相当
であり,原告に過分な苦痛を与えている。原告はこの業務への疑問を幾度幾度も質問している。しかし,被告学園は,同プログラムの必要性や計画見通し等を説明せず,原告の質問,疑問にも一切答えない。
かたや上記のように些細なことで,いじめ,嫌がらせを続けている。(ケ)

原告の療養に対する嫌がらせ
原告は,退院後もリハビリを必要とし,退院後間もない頃は松葉杖が
なければ移動できず,移動に必要な時間も健康だったころの3倍近くかかる状況であった。1か月の入院で体力も落ちていた。P9学舎の本館から南7号館に移動するのに10分近くを要し,授業休憩時間をもっぱら移動のために費やさざるを得なかった。この時期の授業見学は,肉体的にも精神的にも苦痛を与えるばかりであった。
ところが,被告学園は,原告の授業を休講にすることの理由や,研究室を移動したことの理由に,怪我の療養をあげた。怪我の療養を口実にしながら,過密な授業見学をさせて原告に負荷を与え,苦痛を与え,怪我の回復を遅らせ,その無理によって後遺症が残る危険をも生じさせる。被告学園の害意,いじめには怒りを禁じ得ない。
退院後間もない頃は,原告の研究室はP8学舎にあった。プレゼンテーション準備のため資料等を見るためには難儀を押してP8学舎に行かねばならなかった。被告学園は,原告がP8学舎で資料を見る時間的余裕さえ与えず,学長特命プログラムの実行を命じたのである。
過酷な命令を発して追い立て,あえて原告を準備不十分に追い込み,苦痛を与える行為は,教員いびりといわねばならない。

本件仮処分事件申立て前後の経緯について
(ア)

被告学園は,平成23年12月14日,原告に対し懲戒処分1を
した。懲戒処分を受けた者は,始末書を提出することとされているので,原告は同月21日付けで始末書を提出した。ところが,被告学園は,これにも難癖をつけ,同月23日,
…今後は職務に対する基本姿勢を改めるとの原告の記載をとらえ,具体的にどのように基本姿勢を改めるのかの具体的内容が記載されていませんとして始末書の再提出を求めた。
また,被告学園は,同日,原告に対し,平成24年4月以降は,他大学での非常勤講師,兼職を不許可とすると通告した。
(イ)

本件仮処分事件の申立書及び一連書証は,平成24年1月28日に
被告学園に着便した。
(ウ)

被告学園は,平成24年2月7日午前,原告に対する学長裁定による授業改善プログラム中の授業プレゼンテーション業務を中止するとともに,同プログラムの内容を社会人及び学園組織人としての基礎的研鑽のための研修と称するものに変更した。被告学園は,その理由と内容を,
授業改善を端緒として多くの教育上の諸問題が確認された。それらの改善に向けて授業プレゼンテーション等にて種々の問題点の改善事項を再三指摘したが,それらの指摘を真摯に受け止め,かつ改善しようとする姿勢や意欲が確認できなかった。よって現状においては授業プレゼンテーションを継続するよりもむしろ社会人として,あるいは学園組織人としての基礎的研鑽を重ねたほうが有益であると学長として判断せざるを得ない。とし,以上の前提を踏まえ,法人本部および学長以下の上司がその基礎的研鑽の成果を確認できうるようにするには今後,自身がいったいどのような研修を法人内部で遂行していくことが妥当であるのか自身の考えを取りまとめ,具体的かつ系統的にまとめる。と原告に言い渡した。そして,被告学園は,平成24年2月7日午後,

建学の精神および学園訓を再認識し,本学教員として体現できるようにすること。

との課題を与えた。この業務は,本件特命プログラムの一環とされ,同日から本件配転命令のあった同年3月12日まで休日を除き22日間にわたり継続されたが,授業改善目的とかけ離れており,手書きでの文書作成を強要しては難癖をつけて書き直しを繰り返させるというもので,原告に苦痛を与え続けるものであった。
上記変容は,余りに不合理で過酷なそれまでの授業改善プレゼンテーション,授業見学,課題図書の要約等,度重なる始末書提出命令等の業務についての審理を求める原告の申立てを,新たな基礎的研鑽業務や研修業務を命じることによって無益にさせ,本件仮処分事件の審理を混乱させ,決定を避けようとする試みに他ならなかった。
(エ)

平成24年2月20日,本件仮処分事件の第1回審尋期日が,同年
3月9日に第2回審尋期日が行われて,審尋手続は終結した。なお,第2回審尋期日後,被告学園は,原告に対し,懲戒処分2を言い渡したので,原告は,始末書を同月16日に提出したが,被告学園は,同月19日,始末書の再提出を命じた。
審尋手続の終結により,被告学園の原告に対する不当業務命令差し止めの仮処分決定が出ることを恐れた被告学園は,審尋終結後の平成24年3月12日午前,主張書面(3)を提出し,
学長裁定による授業改善特別プログラムは,抽象的な概念に過ぎず,内容を具体的に特定できない,また単に名目を変えただけで似たような業務命令を発することが許されることになる等と主張して,仮処分決定の発布を阻止しようとした。さらに,被告学園は,同日夕刻,主張書面(4)を提出し,本日,原告を文学部国際英語学科から法人本部教職員研修室へ配置転換するという人事異動を告知したから,発令日(3月13日)以降,この発令に伴い,いわゆる学長裁定による授業改善特別プログラムは終了し,本件仮処分申立事件については,明らかに保全の必要性は無くなったというべきであると主張し,あくまで仮処分決定の阻止を図った。
しかし,名古屋地方裁判所は,平成24年3月13日,

債務者は,債権者に対し,学長裁定による授業改善特別プログラムに従事せよとの命令及びこれに伴う反省文,始末書の提出をしてはならない。

との決定をした。同決定は,
本件プログラムは,その頻度及び拘束時間が著しく過大であり,その内容も,(略)・・・・授業改善との関連性がなく,また,授業プレゼンテーションや課題図書の要約作業の実施方法についても,授業改善としての形式をとっているにしてもその実効性に疑念があるなど合理性に欠けるものであって,債務者の業務命令権を濫用するものと認められ,これへの従事を強いられていることにより日々生じる債権者の精神的苦痛は著しいと認められるから,これを避ける必要性が認められる。と被告学園を断罪した。オ
(2)

以上によれば,本件特命プログラムは,違法,無効というべきである。争点(2)(懲戒処分1が無効であるか否か)について

(被告らの主張)

懲戒処分1の理由は,別紙懲戒処分1の処分の理由に記載のとおりである。
すなわち,原告が,被告学園から貸与されているパソコンに,本来業務と直接関係のないデータを入力・保管している事実が明らかになったためである。なお,被告学園は,原告に対し,平成23年12月7日,ヒアリングを行ったが,その際,被告学園は,原告に対し,具体的なデータをひとつずつ示して確認した。その結果,原告が,これらのファイルを就業時間内に作成・保管していた事実を認めたものである。
原告の行為は,学校法人P6服務規程19条1項8号許可なく職務以外の目的で,学園の施設,設備,車両,器具その他の物品を使用してはならないこと,同17号所属長の承認を得ず,学園の施設内において,業務外のことで,就業時間後に居残りまたは所定の時間外に入場してはならない,及び同21号学園が貸与した電子端末(以下,「パソコンと
いう)を使用する際には,業務遂行上必要な範囲でのみとし,私的に利用してはならないこと」にそれぞれ該当するものであり,就業規則4条,同5条1項,3項に違反し,同32条1項1号及び8号に該当することは明らかである。そこで,被告学園は,同条2項2号を適用し,減給処分としたものである。

原告の主張について
(ア)

原告の主張アについて
原告は,具体的にどのような内容のデータがどのように発見されたの
かについて釈明を求めても,被告学園は十分な説明をしなかったと主張する。
しかし,現に原告の使用していたパソコンに組合ニュースの原稿と原告が録音した音声データが存在していることが確認されたのであるから,それらがどのように発見されたのかについて説明をする必要はない。原告は,他の者がデータを入れた可能性も皆無ではないと主張するが,組合ニュースの原稿や,原告が録音した音声データを被告学園の関係者が入手することは困難であるから,原告以外の者によってデータが入れられたとは考えられない。
また,原告は,これらのデータがパソコンに残存していたのは,USBの誤操作,誤作動によるものと主張するが,パソコン操作に関する一般的な経験から言って,USBの誤操作,誤作動によって意図しないで特定のデータがパソコン内に残存することは考え難い。
なお,原告は,パソコンのチェックは原告を狙い撃ちにし,陥れる目的をもってなされたと主張するが,被告学園が原告のパソコンの不正使用の疑いをもった以上,それを調査すること自体には何らの不当性はない。
その結果,はたして不正使用が明らかになった以上,それを理由に懲戒処分を発令すべきことは,職場秩序を守る観点から必要なことである。
(イ)

原告の主張イについて
被告学園は,原告に対する懲戒処分を発令するに先立ち,必ずヒアリ
ングを行い,原告に弁解,防御の機会を与えている。
原告は,ヒアリングは糾弾的で原告の主張を認めようとしないものであったと主張するが,事実に反する。被告学園は,原告の弁解を聴いているが,その内容が不合理なので懲戒処分を発令したのである。
(ウ)

原告の主張ウについて
原告に対する処遇の全ては,原告の授業スキルが低いことに端を発す
るものであり,事態が複雑化したのは,原告が自らの授業スキルが低いという事実を直視せず,自らに対する一連の業務命令をことごとく嫌がらせと受け止め,素直に従事しなかったことに原因がある。原告が大学組合の副委員長であることと関係のないことである。
(エ)

原告の主張エについて
原告に対する業務命令は,非人間的,反人格的なものではない。また,
原告は,自らに対する業務命令を嫌がらせ目的と捉えており,素直に従事する態度が欠如していた。原告に対する一連の処遇は,このような原告の態度がもたらした必然的な結果である。
(原告の主張)

被告学園の原告に対する平成23年12月14日の懲戒処分1は,被告学園が,本件特命プログラムの継続中,原告の業務用コンピュータを取り上げたが,そのコンピュータ内にあったとするデータを問題とするものである。
被告学園が懲戒処分の理由としてあげている通常業務に関係しない文書とは,何年も前の大学組合の組合ニュース原稿であり,録音を許可していない録音データとは,原告が学長裁定による授業改善プログラムにおける被告学園管理職との平成23年6月16日のやり取りを録音していたものとされる。
しかし,原告は,それらを原告のコンピュータに記録させた明確な記憶はなく,具体的にどのような内容のデータがどのようにして発見されたかについて釈明を求めても,被告学園は十分な説明をしなかった。原告が使用していたコンピュータは取り上げられて原告の手元になく,他の者がデータを入れた可能性,デジタル記録を改ざんする可能性も皆無ではないから,原告を処分しようとするのであれば,被告らは,原告の非違事実について具体的な説明を行うべきである。被告らは,組合ニュースの原稿と音声データが存在していることが確認されたのであるから,それらがどのように発見されたかについて説明する必要はないと主張するが,そもそも平成22年度に購入された原告のパソコン内に購入前に作成されたファイルやデータが入っていること自体がおかしい。原告のパソコンに先立って,P27委員長とP28書記長のパソコンが取り上げられており,録音データは被告学園自身も持っていた。したがって,被告らの主張は説明しない理由とはならない。
また,被告らは,平成23年12月7日のヒアリングで具体的なデータを一つずつ示した,その結果,原告がこれらのファイルを就業時間内に作成・保管していた事実を認めたと主張する。しかし,被告学園は,原告が使っていたパソコンからデータを引き出して示しながら,ヒアリングをしたのではなく,プリントアウトしたものの一部について問いただしただけで,全部を示してはいない。ヒアリングにおいて,原告は,記憶にない,組合関係データがどうしてパソコンの中に入っていたかわからない,あらゆる可能性はある等と答えており,原告が多分ありますという程度で認めたのは,理事長の履歴や副理事長の経歴程度である。ヒアリングの中で原告は,
結果として入っていたわけですから,職務専念義務に違反したんだろうと述べたが,それは,組合ニュース等が入っていたと仮定した場合のことであり,具体的な自らの職務専念義務違反行為があったことを認める意味ではない。この点について被告学園は原告に対し執拗に始末書の提出を求めたが,原告は記憶にない事柄について顛末を書くことは不可能と答えている。原告は,被告学園の強い反組合敵視観を認識しており,貸与されたコンピュータで業務外データを扱わないよう心がけてきた。原告は,しばしばUSBメモリーを使用するので,仮に被告学園が摘示するようなデータがコンピュータ内に残存したとすれば,それはUSBメモリーの取り違えの際に何らかの誤操作,誤作動が生じた結果としか考えられない。また,管理職とのやり取りの録音は,被告学園において毎日口頭で業務を命じ,業務命令書を交付しないことから,やむを得ず録音せざるを得なかったもので,録音行為をもって職務専念義務違反とすることは失当である。

懲戒処分は,使用者が一方的に従業員に不利益を課すものであるから,当然にも適切な告知聴聞の機会が保障されなければならない。
しかしながら,被告学園は,原告の非違事実を根拠と共に示すことをせず,原告の適切な弁解・防御の機会を奪い,またヒアリングは糾弾的で原告の言い分,主張を認めようとしないものであった。これは,適切な告知聴聞手続とはいえない。
したがって,懲戒処分1は,適切な告知聴聞手続違反によって無効,違法である。

被告学園が,教員のコンピュータを取り上げてその内容をチェックすること自体が異様な出来事といわねばならないが,そのような扱いを受けたのは大学組合のP27委員長とP28書記長そして副委員長たる原告だけである。被告学園によるコンピュータチェックは,組合役員を狙い撃ちし,陥れる目的をもってなされたものであり,組合役員故に不利益処分を課すもので,不当労働行為に該当する。
したがって,懲戒処分1は,原告が大学組合の副委員長であることをもってなされた不利益取扱であって,労働組合法7条1号に該当し,違法,無効である。


労働契約法15条は,
・・・当該懲戒が,当該懲戒に係る労働者の行為に性質及び態様その他の事情に照らして,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,当該懲戒は,無効とすると定める。平成23年6月の本件特命プログラム以来,原告が被告学園から受けた業務命令は非人間的,反人格的なものであり,かつ,受けた取り扱いは不合理極まりないものであったが,原告は,特段の落ち度なく,命じられた業務に従事してきた。
また,原告は,約20年にわたる被告学園における業務において,懲戒処分を受けたことがなく,懲戒処分1が始めてのことであった。それにもかかわらず,注意や戒告等ではなく,いきなり重大な減給処分に付している。
非人間的な過酷で不合理な業務命令においても特段の落ち度のなかった原告に対し,被告学園は処分事由に困り,不合理で社会的相当性のない懲戒処分1を発せざるを得なかったのである。
したがって,被告学園の原告に対する懲戒処分1は,懲戒権の濫用であり無効である。
(3)

争点(3)(懲戒処分2が無効であるか否か)について

(被告らの主張)

懲戒処分2の理由は,別紙懲戒処分2の処分の理由に記載のとおりである。
すなわち,被告学園が,原告に対し,再三にわたり研究室から私物を撤去するように命じたにもかかわらず,原告はそれを無視し,研究室内に私物を放置したこと,また,研究室内での組合活動が禁止されているのに,研究室内に多量の組合関係文書を保管していたためである。
被告学園は,原告に対し,平成24年1月31日,ヒアリングを実施したが,その際,原告は業務命令違反の自覚がなく,真摯に反省する態度を示さなかった。
原告の行為は,学校法人P6服務規程19条1項8号許可なく職務以外の目的で,学園の施設,設備,車両,器具その他の物品を使用してはならないことに該当するものであり,就業規則4条,同5条1項に違反し,同32条1項1号及び8号に該当することは明らかである。そこで,被告学園は平成24年3月8日,原告に対し,重ねてヒアリングを実施した上で,就業規則32条2項2号を適用し,減給処分としたものである。

原告の主張について
(ア)

原告の主張イについて
原告は,被告学園が原告の段ボール箱を盗んだと主張するが,もとよ
り被告学園は研究室内に私物を置くことを禁止していたところ,原告が段ボール箱を撤去せずに放置していたため,被告学園が自らの管理下に置いたにすぎない。なお,原告は,被告学園が,組合関係文書が入っていた段ボール箱だけを持って行ったと主張するが,被告学園には段ボール箱の中身は知り得ないことであり,段ボール箱内に組合関係文書が入っていることは,箱を解放して初めて分かったことである。
また,原告は,業務命令に違反した事実はないと主張するが,原告が研究室内に組合関係文書を持ち込んでいたことは,ひっきょう,研究室内において組合活動をしていたことに外ならないのであり,業務命令違反の事実を争うことはできない。
(イ)

原告の主張ウについて
被告学園は,原告に対する懲戒処分を発令するに先立ち,必ずヒアリ
ングを行い,原告に弁解,防御の機会を与えている。
原告は,ヒアリングは糾弾的で原告の主張を認めようとしないものであったと主張するが,事実に反する。被告学園は,原告の弁解を聴いているが,その内容が不合理なので懲戒処分を発令したのである。
(ウ)

原告の主張エについて
原告に対する処遇の全ては,原告の授業スキルが低いことに端を発す
るものであり,事態が複雑化したのは,原告が自らの授業スキルが低いという事実を直視せず,自らに対する一連の業務命令をことごとく嫌がらせと受け止め,素直に従事しなかったことに原因がある。原告が大学組合の副委員長であることとは関係のないことである。
(エ)

原告の主張オについて
原告に対する業務命令は,非人間的,反人格的なものではない。また,
原告は,自らに対する業務命令を嫌がらせ目的と捉えており,素直に従事する態度が欠如していた。原告に対する一連の処遇は,このような原告の態度がもたらした必然的な結果である。
(原告の主張)

懲戒処分2は,本件特命プログラムが継続中で,本件仮処分事件の審理中の平成24年1月31日に,被告学園が,原告の鞄や労働組合関係文書が入っていた段ボール1箱を原告の目を盗んで持ち去ってしまい,原告訴訟代理人らが被告学園に対して段ボール箱の返還を求め,かつその事実を同年2月20日付け主張書面をもって裁判所に説明した直後に行われた。イ
被告学園が懲戒処分2の理由としている段ボール箱は,原告の研究室をP8学舎からP9学舎に移動した際,被告学園によって運び込まれたもので,P9学舎研究室に置くことが了解されていたものである。ところが,平成24年1月31日に被告学園管理層らが原告のP9学舎研究室に入り込み,段ボール箱を検査し始め,2箱の段ボールのうち私物の茶碗等が梱包されていた箱には文句をつけず,組合関係文書が入っていた段ボール箱だけを没収すると言って持ち去ろうとしたのである。原告は,これに抗議をするとともに,
今日持ち帰ると話して,段ボール箱に封を行っ
て足元に置いていたものである。なお,被告らは,被告学園は段ボール箱内に組合関係文書が入っていることは箱を開披して初めて分かったと主張するが,P8学舎の旧研究室内の物品のうち書架に納めきれないものは被告学園の手によって段ボール箱などに入れ,P9学舎の原告研究室に移動したのであり,被告学園はすでにこの時点で段ボール箱の内容物を知っていたのである。
原告が業務命令に違反した事実はなく,組合関係文書を入れた段ボール箱が研究室内においてあったことをもって組合活動を行ったとか施設管理権を侵害したということはできない(業務に支障を来さない態様の職場内組合活動は正当なものとして法認されるのであり,段ボール箱の所持はこれに当たる。。

懲戒処分2は,被告学園において原告の目を盗んで段ボール箱や鞄を持ち去るといういわば犯罪的行為が本件仮処分事件の審尋において糾弾されたため,自らの違法行為を開き直り,腹いせに行ったものである。

懲戒処分は,使用者が一方的に従業員に不利益を課すものであるから,当然にも適切な告知聴聞の機会が保障されなければならない。
しかしながら,被告学園は,原告の非違事実を根拠と共に示すことをせず,原告の適切な弁解・防御の機会を奪い,またヒアリングは糾弾的で原告の言い分,主張を認めようとしないものであった。これは,適切な告知聴聞手続とはいえない。
したがって,懲戒処分2は,適切な告知聴聞手続違反によって無効,違法である。

懲戒処分2は,原告が大学組合の副委員長であることをもってなされた不利益取扱であって,労働組合法7条1号に該当し,違法,無効である。

労働契約法15条は,
・・・当該懲戒が,当該懲戒に係る労働者の行為に性質及び態様その他の事情に照らして,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,当該懲戒は,無効とすると定める。平成23年6月の本件特命プログラム以来,原告が被告学園から受けた業務命令は非人間的,反人格的なものであり,かつ,受けた取り扱いは不合理極まりないものであったが,原告は,特段の落ち度なく,命じられた業務に従事してきた。
また,原告は,約20年にわたる被告学園における業務において,懲戒処分を受けたことがなく,懲戒処分1が始めてのことであった。それにもかかわらず,注意や戒告等ではなく,いきなり重大な減給処分に付している。
非人間的な過酷で不合理な業務命令においても特段の落ち度のなかった原告に対し,被告学園は処分事由に困り,不合理で社会的相当性のない懲戒処分2を発せざるを得なかったのである。
したがって,被告学園の原告に対する懲戒処分2は,懲戒権の濫用であり無効である。

(4)

争点(4)(本件配転命令が無効か否か)について

(被告らの主張)

被告学園の原告に対する本件配転命令は業務上の必要性があって行ったものであり,有効である。


原告の主張アについて
(ア)

原告の主張(ア)について
認める。

(イ)

原告の主張(イ)について
認める。

(ウ)

原告の主張(ウ)について
認める。

(エ)

原告の主張(エ)について
認める。

(オ)

原告主張(オ)について
第1段落及び第2段落は認め,第3段落は争う。

(カ)

原告の主張(カ)について
いずれも認める。


原告の主張イについて
(ア)

原告の主張(ア)について
争う。被告学園の主張は,
単に名目を変えただけで似たような業務命令を発することが許される,と解釈したのでは仮処分を発令する意味がない。そこで,禁止の対象となる業務命令を広く解さざるを得ないこととなるが,そうなると,今度は,禁止される業務命令の対象が広がりすぎて,債務者としては,どのような業務命令が禁止され,どのような業務命令が許容されるのか判断に苦しむ。したがって,このような仮処分は発令されるべきではない。というものである。すなわち,被告学園の主張は,
単に名目を変えただけで似たような業務命令を発することが許されるとの解釈を否定することを論理の出発点としていることは明らかである。原告は,事実に基づくことなく全く独善的な解釈に基づいて主張を展開しているのである。
(イ)

原告の主張(イ)について
否認ないし争う。教職員研修室が隔離部屋であるとかお仕置き部屋で
あるなどというのは全く根拠のない主張である。
(ウ)

原告の主張(ウ)について
否認ないし争う。

(エ)

原告の主張(エ)について
否認ないし争う。原告の本件ブログを読めば,原告は,この間,余裕
をもって過ごしており,むしろ楽しんでさえいる様子が窺われる。事実は逆であり,原告が常に業務命令の趣旨に反する行為を繰り返したため,直属の上司の方が精神的に追い込まれた。
(オ)

原告の主張(オ)について
否認ないし争う。P29の事例は本件と関連性がない。

(カ)

原告の主張(カ)について
争う。

(原告の主張)

経緯について
(ア)

被告学園のP20副理事長は,平成24年3月12日,原告に対し,
教職員研修室への配置転換を口頭で内示し,

内示を了解するか。

と質
した。原告は,配置転換の理由や業務内容を知るため,

人事異動の趣旨は何か。,

異動によって不利益は出ないか。

等と尋ねたが,P20副理事長は答えを拒み,

身分は教員のままだ。,

理事長の判断だ。

と言っただけであった。
原告は,配置転換の理由は業務内容を知らされないため,上記内示を了解するかどうかの即答ができないと言ったが,P20副理事長は,

明日の始業時前にP12人事課長に言え。

と迫った。(イ)

原告は,平成24年3月13日午前8時40分,P12人事課長に
対し,

異議を留めて承諾する。

意向を伝えた。その後,P11総務課長が,教職員研修室長たるP30室長名義の文書を読み上げ,
これまでに行ってきた研修全般を振り返り,自身が研修で習得したこと及び教職員研修室業務の目標と抱負を詳細にまとめることと命じた。そして,同日午後3時30分ころ,被告学園は原告を呼び出し,辞令交付式を行い,本件配転命令を出した。
辞令交付式の終了後,P30教職員研修室長が主となり,P12人事課長とともに,

研修室は法人本部下の組織である。室長不在のときは,法人本部または企画調整室が対応する。具体的な窓口はP12人事課長とP11総務課長である。,

業務は,学園全体の教職員の資質向上にかかる企画,立案,実行,評価,検証すべてを行うことになる。,

大学運営会議にかける以前の資料を扱うこともあるので業務内容の機密保持を遵守すること。

という説明があった。原告が,P30室長に対し,

教員として,研究時間の確保と授業の担当はあるのか。

と尋ねたところ,P30室長は,

あなたは教員の身分のままです。しかし,たとえば自分は中学高校教員の身分であるが,教頭という職のために授業の担当はない。それと同様だ。

と答えた。その他,原告がP30室長らに質問した結果,今回の配転と懲戒処分は無関係であること,本件配転命令は理事長個人ではなく機関決定である旨の説明があったが,決定機関が理事会か常務理事会かなどについての回答は拒否された。
(ウ)

P11総務課長は,平成24年3月14日,原告に対し,
昨日,研修室長から厳命したとおり,研修室業務は法人の内部的な業務であり,様々な検討を重ねる必要があることから,改めて,業務内容にかかる学園の機密情報について,学外はもとより,学内においても開示または漏洩しないよう守秘義務を厳命します。命令に違反した場合は処分の対象となります。ただし3月13日付け文書の異議・保留上の権利を公的に行使する場合に限り開示を認め,その内容については証拠制限の検討の必要から,あらかじめ報告することを命じます。と指示した。(エ)

平成24年3月13日から開始された教職員研修室における業務命
令は,原則として,毎日午前の業務については午前8時45分,午後の業務については午後1時に,扉を閉めた107応接室の中で,P11総務課長が口頭による指示をもって行った。
業務は,月曜日から水曜日までの全日と金曜日の午前中には,法人本部会議室で行わなければならなかった。会議室とは言っても,実態は通路に面し多くの人が出入りするオープンスペースの一角に置かれた一つの机が業務場所である。木曜日全日と金曜日の午後には,原則として,扉を開け放した106応接室で行っていた。本館増築棟内のトイレなどに行く自由はあるが,増築棟から退出するためには,そのたびにP11総務課長の許可を得る必要があった。
(オ)

業務遂行方法は,基本的に従前の本件特命プログラムにおける実施
方法と同様である。
コンピュータによらず手書きでの文書作成,作成文書のコピーの禁止,課題内容にかかわらず時間による文書枚数の指定(原則として1時間につき2枚以上になるような設定)が命じられた。
加えて,授業をもたされず,クラス担任業務ができず,研究時間,研究費が与えられず,学内ネットから遠ざけられ学内情報を得られない等の孤立化処遇は引き続いていた。
(カ)

原告が行った業務は以下のとおりである。
被告学園は,平成24年3月14日,原告に対し,新任教職員に研修することを目的に研修内容(社会人の基本(挨拶の徹底やお辞儀の仕方,名刺交換の方法,上司等に対する接遇方法,ホウレンソウについて等)
)の原稿(6枚以上)を時系列で詳細に作成すること,なお,
参加者数は約30名,時間を60分と想定し,演習を取り入れた内容とすることという課題を与えた。
さらに,被告学園は,同日,原告に対し,
平成25年以降学生募集停止となる国際英語学科の平成27年度までの授業科目の担当について下記に基づき検討のうえ立案すること。国際英語学科○○教員,○○教員,○○教員の3名について検討を行うこと。平成25年から平成27年度まで前期後期それぞれについて担当できる科目を各教員ごとに検証すること。別紙家政学部・短期大学部における受け持ち可能な授業科目についても対象とし,振り分けて検討すること。授業科目時間割の設定については,別紙平成23年度時間割を基準として考えること。(6枚以上)という課題を与えた。上記課題は,現担当授業,学部学科の開講科目の照合を行う必要があるなど,手書きでの業務遂行は困難であり(時間的ロス,訂正作業ロス等)
,原告にいたず
らに苦痛を与えるものであった。そして,上記業務は,本来なら企画調整室が担当する事務作業であって,研修室が行うべき業務とはいえない。なお,
学生募集停止となる国際英語学科の教育職員は,原
告を含む大学組合の組合員が多く,
○○教員の3名は大学組合の
執行委員である。

被告学園は,平成24年3月16日,実施の30分前になって初めて,原告に対し,新任者研修プレゼンテーションを実施するよう命じ,午後1時30分から新任者研修プレゼンテーションを,P30室長,P19法人参事,P12法人参事,P31人事課係長,P11総務課長の面前で行わせた。
また,被告学園は,同日,原告に対し,新任教職員研修用として,参加者数は約30名,時間を60分と想定して,雑誌記事○
(P
32)の論述内容を全面的に取り入れ,その内容を新任教職員に理解させることを目的とし,重要ポイントをすべて解説するという内容の原稿(4枚以上)を作成するという課題を与えた。
さらに,被告学園は,同日行われた卒業式において,原告を職員とともに卒業式会場付近の見張り・警備の業務に当たらせて,教育職員として卒業生に接することがないようにした。

被告学園は,平成24年3月19日,
3月16日(金)に実施した新任者研修を前提としたプレゼンテーションについて,評価者からの指導・助言等を踏まえ,研修案を再作成すること。なお,研修時間,参加者数等は従前の指示のとおりとする。あらためて内容は社会人の基本。(6枚以上)と課題を与え,プレゼンテーション案を最初から全部書き直すよう命じた。


被告学園が平成24年3月16日に原告に与えた課題の記事は,理事会側の立場から1.大学の社会的使命において大学に求められ
る社会的使命を整理し,これを基礎として論が展開され,
2.少子化と評価の時代では,大学の社会的使命と大学評価のあり方に触れ,3.理事会と教授会の関係では,大学の使命をよく理解した理事
会の機能発揮を求め,
4.理事会と教員では,教員関係の改革,
理事会と学長の責任,教育目標の設定等が触れられている。被告学園が命じた課題に対し,原告が作成した解説案には,上記記事における理事会が一部の理事の独断ではなく,すべての理事の責任を
意味すること,理事会の説明責任が重要であることなどを摘示し
た。
これに対し,被告学園は,平成24年3月21日午前8時45分,原告に対し,原告が作成した原稿の全面書き直しを命じた。被告学園は,書き直しに際し,原告に対し,

指示事項に反して自己本位な見解を開陳することにより学園方針を無視するだけではなく,本件業務を通じて学園批判をしている重大な事実を確認しました。,P6学

園においても理事会を最高意思決定機関と位置付け,同会決定事項を,法人本部を通じて各設置校教職員が鋭意遵守することにより,学園運営がなされています。新任者についても,まずそのことを理解させ,理事会決定事項に基づき,それぞれの業務を鋭意遂行させることを目的に,研修内容を再度検討してください。,P6学園においてもこの役割分担論を厳守し,特に新任教員は自身の担当する授業の内容を高め,質を向上させることに専念させるよう,意識付けを行う研修内容を検討してください。また教員がこのような努力をせず,結果として学園における教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有すると認められないと学長が判断した場合は,降格もしくは任用換えも十分あり得ることを明示してください。,あなたの記載内容は学園に対する明らかな批判が見受けられ,同批判を通じて歪んだ自己主張を展開しています。指示内容は同項目全記述について賛同する形で解説することでした。ここでもあなたは指示事項に違反している重大な事実を確認しました。二度とこのようなことのないよう猛省し,自身の立場をわきまえ,指示事項を厳守した上で研修内容を再度検討してくださいなどと指示した。原告が上記記事解説を再作成中の同日午後零時5分,P11総務
課長から,午後1時30分から1時間社会人の基本という標題で,午後2時30分から1時間は私立大学のガバナンスのポイント解説という標題で,プレゼンテーションを実施するよう指示があった。しかし,実際には,同日午後1時30分からは私立大学のガバナンスのポイント解説についての新任者研修プレゼンテーションが,本館4階第2会議室で,P20副理事長,P12事務局長,P30室長,P11総務課長の面前で行われた。原告が行ったプレゼンテーションは,被告学園の常務理事会が上記記事にいう改正私立学校法人法における理事会ではないことや,被告大学における教授会で自由な発言が許されないことを指摘する内容であった。
プレゼンテーション終了後,同日午後3時30分まで助言指導が
行われ,その助言指導を踏まえた書き直しが命じられた。

原告は,平成24年3月22日,全部書き直したプレゼンテーション案に基づく社会人の基本についての新任者研修プレゼンテーションを,午前10時30分から午前11時30分まで,本館4階第2会議室において,P12事務局長,P19法人参事,P11総務課長の面前で行い,終了後,午前11時45分まで助言指導があった。
また,原告は,同日午後1時30分から午後2時10分まで,本館4階第2会議室で,P12事務局長,P19法人参事,P30室長,P11総務課長の面前で,
私立大学のガバナンスに関するプレゼ
ンテーションを行った。その後,同日午後2時35分までの助言指導に従って,前日午後3時30分以降作成した原稿の書き直しが命じられた。
原告は,その日は,翌日の新任者研修のための資料レジュメ作りにパソコンを使用していたので(原告の手書き文字のレジュメでは不都合らしい)
,被告学園に対し,パソコンを用いて再作成をさせて欲し
いと要請したが,全面書き直しをしなくても前日に作成した原稿に加筆修正するだけでよいと言われ,パソコン使用は認められなかった。

原告は,平成24年3月23日,新任研修の職場のマナーについての研修を担当した。しかし,これは前年度まで人事課係長が担当していたものであり,人事課事務職員の業務であった。

原告は,平成24年3月27日及び同月28日は,被告学園から,同月21日のプレゼンテーション記録のDVDを渡された上,DVDを確認しながら,その内容説明の一部始終を個別具体的に書き起こし,その後,内容及びプレゼンテーション上の問題点について取りまとめることを指示された。
貸与されたパソコンでDVDを見ながら,50分間弱の映像から音声のみを手書きで文字に書き起こすには9時間以上を要した。


原告は,平成24年3月29日及び30日は,被告学園から,同月21日の午後1時30分から行った組織人の基本についてのプレゼンテーション書き起こし内容について,同月23日の新任者研修で行った原稿と違う箇所を個別具体的に全て抜き出し,なぜそのような発言をしたのか,それぞれの理由を記載することを指示された。


本件配転命令の違法・無効について
(ア)

脱法行為としての本件配転命令
上記のとおり,被告学園は,単に名目を変えただけで似たような業務
命令を発することが許されるとし,その言葉通り大急ぎで本件配転命令を出した。
すなわち,被告学園は,自らの業務命令の不当,違法を知りつつ,本件配転命令を発することにより,被告学園が原告に命じる業務命令が本件仮処分事件の決定の埒外となるよう画策したのである。
本件配転命令は,単に名目を変えただけで,似たような業務につき本件仮処分事件の決定を免れようとする脱法行為であって,違法,無効である。
(イ)

業務上の必要性の欠如,人選の合理性の欠如等
本件配転命令は,年度途中に突然強行された異例なものである。
教職員研修室の存在は,大学組合の組合員隔離と仕置き場としては知られているが,日常的恒常的な活動や人的組織は必ずしも十分に認知されていない。あえてこの時期にインド・チベット仏教思想史研究で確実な地位を占めている原告を教職員研修室に配置転換する業務上の合理性はなく,人選の合理性もない。
労働者に対して配置転換を命令する場合,その必要性や理由あるいは不利益がある場合はそれをも労働者に示すべきであり,転換後の業務の目的や目標を明示することも必要である。被告学園は,本件配転命令の理由や必要性の説明を拒んで,一方的に強行した。そのため,原告は,業務の目的や目標,配属予定期間等をしっかり把握できないまま苦役ともいえる業務を連日押し付けられている。すなわち,本件配転命令には,手続的不備もある。
(ウ)

労働契約違反
大学教授である原告の本務は教育と研究である(学校教育法92条第
1項及び第6項,学校設置基準昭和31年10月22日文部省令第28号14条)
。この本務は,労働契約上の義務であると同時に権利でもあ
る(東京地方裁判所平成20年10月15日判決,津地方裁判所平成24年3月29日判決)
。本件配転命令は,労働契約上の義務でありかつ
権利でもある教育と研究の機会を奪って,実質的に事務職員と同様の業務を強要しており,原告と被告学園間の労働契約の本旨に反するものとして,違法,無効である。
原告は,被告学園に対し,労働契約上の権利として研究室及び付随施設と研究室用機材を整備する権利を有すると解されるところ(学校設置基準36条2項,盛岡地方裁判所平成14年4月12日判決)
,P9学
舎内に与えられた研究室は,もっぱら原告をして本件特命プログラムに専念させ,その自由を奪うための仮施設にすぎない。本件仮処分事件の決定が,被告学園の不当業務命令を差し止めた以上,P9学舎内の研究室は,不要,無用のものである。原告は,被告学園に対し,原告の所属学部たる文学部のあるP8学舎に原告のため研究室と設備を使用させるよう請求する権利がある。
(エ)

非人間的苦役,著しい苦痛
上記のとおり,被告学園は,原告に対し,本件特命プログラムを命じ,
このプログラムの実施は,開始以来夏期休業中の有給休暇取得をも拒否し,平成23年度後期の原告の担当授業を休講にさせてまで,半年以上にわたって続けられ,その過酷さゆえに,本件仮処分事件の決定で断罪された。
そして,被告学園は,本件特命プログラムを終了したと称して本件配転命令に基づいて,原告を教職員研修室勤務とした。その業務は,手法と内容において本件特命プログラムの業務と変わらず,原告の本来の業務とは異なって事務職員が担当していた業務である。したがって,原告の専門分野を含む教育を不可能ならしめるだけでなく,原告の処遇を見世物化している。その他原告に対するいじめ,嫌がらせの行為は際限がない。
健常な一般人がこの種の非人間的な侮辱,拷問,苦痛にさらされれば,精神疾患等に陥るなど深刻な結果を招く事例が多い。
原告の苦役は,平成23年6月16日の突然の呼出しから始まり1年以上に及んだ。原告の心身は,不合理で耐え難い苦痛を受け続け,限界に達している。原告に対する処遇は,原告の人格権を侵害している。(オ)

不当労働行為
原告は大学組合の副委員長として活動してきた。
本件特命プログラムにおける業務命令及び本件配転命令による原告に
対する被告学園の一連の行為は,原告が大学組合の役員であることをもって,差別的に不利益な取扱いをするものであって,労働組合法第7条第1号に該当するので,公序良俗に反し,違法,無効といわねばならない。
被告学園は,大学組合との団体交渉を拒否し,学内において組合活動を一切禁じる等徹底的な反組合活動を取り続けており,反労組体質を有している。本件特命プログラムの不合理性,過酷さ,執拗さは,特別な狙いと目的を持つものと考える外なく,その狙いは,大学組合を嫌悪し,その弱体化を図るものとしか考えられない。
被告学園は,大学組合組合員で当時唯一公然化していたP29を教職員研修室に閉じ込め,平成20年8月22日付けで解雇するに至ったが,その解雇に至る手口(一般職員との隔離,拘束状態の継続,合理性のない過酷な業務命令,管理職らの前でのプレゼンテーション実施命令,多数の反省文,顛末書の提出命令等々)は,本件と類似,同様である。(カ)
(5)

したがって,本件配転命令は,違法,無効である。

争点(5)(本件降任処分が無効か否か)について

(被告らの主張)

上記争点(1)に対する被告らの主張のとおり,原告の授業スキルは低かったところ,本件降任処分は,原告の授業スキルが低いということが前提となっているものであり,原告が自身のブログにおいて被告学園を誹謗中傷したこと,原告が被告学園が貸与したパソコンでアダルトサイトを閲覧していたこと,原告自身が交通事故後,事故前の記憶に曖昧なところがあることを自認していたことも考慮して行われたものである。


原告の主張について
(ア)

原告の主張アについて
認める。

(イ)

原告の主張イについて
原告の主張(ア)について
認める。

原告の主張(イ)について
認める。


原告の主張(ウ)について
認める。


原告の主張(エ)について
認める。


原告の主張(オ)について
認める。


原告の主張(カ)について
認める。


原告の主張(キ)について
認める。


原告の主張(ク)について
認める。


原告の主張(ケ)について
認める。


原告の主張(コ)について
認める。なお,被告学園は,原告が使用しているパソコンのディスプレイの画面を写真に撮影して原告に確認を求めたところ,原告は事実を認めていた。


原告の主張(サ)について
第1段落及び第2段落は認め,第3段落は争う。


原告の主張(シ)について
認める。


原告の主張(ス)について
認める。

原告の主張(セ)について
原告主張の業務命令を被告学園が下したことは認める。なお,平成24年5月7日に作成させた周知文による連絡は認めなかったのではなく,単に機会がなかっただけである。


原告の主張(ソ)について
原告主張の業務命令を被告学園が下したことは認める。


原告の主張(タ)について
原告主張の業務命令を被告学園が下したことは認める。


原告の主張(チ)について
原告主張の業務命令を被告学園が下したことは認め,学生周知文書は実際には用いられなかったことは否認し(被告学園は,原告が作成した原案をほぼそのままの内容で学生周知用掲示物及び携帯メールとして実際に使用した。,原告に長時間苦痛を与えることを目的とする)
ものであることは争う。


原告の主張(ツ)について
原告主張の業務命令を被告学園が下したことは認める。


原告の主張(テ)について
原告主張の業務命令を被告学園が下したことは認める。


原告の主張(ト)について
原告主張の業務命令を被告学園が下したことは認め,時期変更指示が原告への精神的苦痛を目的としたものであることは争う。

(ウ)

原告の主張ウについて
原告の主張(ア)について
被告学園が原告主張の3点を降任理由として告げたこと,原告がブログに関するヒアリングの際にプライベートについてはノーコメントと答えていたことは認め,その余の主張は争う。b
原告の主張(イ)について
争う。本件降任処分は,平成24年3月1日に改定された教員選考規程の第10条に基づき,平成24年3月28日開催の人事委員会の議を経て理事長によって決定された(この新規定は,学内の教職員のみがインターネット上で閲覧することができる)
。なお,原告は,
平成24年3月13日付けで教職員研修室,すなわち法人本部に配属されているので,学部に所属していない。そのため,原告は,教員資格審査委員会での審査の対象にならない(教員資格審査委員会は,学部長が設置するものであり,学部に所属しない教員はその対象とならない)

また,原告は教授会による決定手続が欠如している旨主張するが,教授会には人事権はなく,人事の決定に教授会の決定は不要である。

原告の主張(ウ)について
争う。


原告の主張(エ)について
争う。

(原告の主張)

本件降任処分について
原告は,本件降任処分が内示された平成24年3月30日午後4時50分から午後5時10分までの間,内示を言い渡したP20副理事長にその理由を質した。これに対し,P20副理事長は,

大学の教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有するとは認められないというふうに学長が判断し,それを受けて人事委員会でそのように決定した。

と答えた。原告がさらに

それに関して資格審査委員会等はどうだったのか。

と聞くと,P20副理事長は,

学内における規程に関しては,その規程に準拠して実行した。

と答えた。その後,原告が

資格審査委員会が開かれたという意味か。

と聞いたところ,P20副理事長は,

資格審査委員会は学校法人P6教員選考規程に根拠があるが,同規程に基づいて,こちらは適正に措置した。

と答え,さらに

資格審査委員会のほか,教員の資格に関しては,学内においては教員選考規程がある。その規程に準拠して措置した。

とも答えた。原告は,さらに降任を審議した委員会の具体的日時や委員会のメンバーなどを尋ねたが,P20副理事長は,

答える必要はない。

と言うばかりであった。そして,原告が,

降格の決定的な理由は何か。

と尋ねると,P20副理事長は,
主たる理由はと言って,(ブログに関する)情報倫
理に関する教員としての自覚の欠如。大学が貸与していたパソコンから,業務に無関係なサイト閲覧の記録が発見され,中にはアダルトサイトもあった。8月事故前の記憶が不確かで,記憶が不確かな人間に教育が務まるとは思えない。という3点をあげた。原告が,現在は教職員研修室に配属になって教育担当から外されていることを指摘すると,P20副理事長は,

組織人として上司の言うことを真摯に聞けないのか。

と言って,それ以上の発言を封じるばかりであった。
原告は,平成24年4月2日,同月1日付けで本件降任処分を受けたが,これにより,以下のとおり重大な不利益を被ることになった。①

給料

1か月約12万1072円の減額



授業・学生指導・研究が本務とされない。



研究費なし。



研究室が共同でしか与えられない。



出講できない。



研修日は与えられない。



教授会への参加資格なし。



学科会議には参加資格あり。だたし本件配転命令によって不可。
その他
本件降任処分後の原告の業務

(ア)

P11総務課長は,平成24年4月2日,原告に対し,
これまでの業務で3月21日(水)の「組織人の基本のプレゼンテーションの書き起こした内容と,3月23日(金)の新任者研修用の原稿との相違点について,その内容が学園批判であったり,主観的であるとの指摘がなされていることより,あなたが作成した理由との整合性がとれない。ついては,学園方針を踏まえた上で整合性をとるためには,どのような考えの上に業務を進めれば良いか,それぞれの理由が是正されるべき考え方を明確に示すこと。5枚以上。
」というものと,
前回に引き続き,組織人の基本について,「私立大学のガバナンスを主とした研修を既に指示した内容にて具体的計画案を作成すること。前回に指摘があったように,あなたの主観的内容を含まず,新任者研修の原稿作成の際に指導・指示・助言された事項を忠実に守り,取り組むこと。8枚以上。」
という業務を命じた。
これらは,毎日その日になって初めて業務命令が出されること,命令は文書を読み上げて行われること,けっして業務命令書が交付されないこと等,業務命令の伝達方法,頁を振った原稿用紙の交付,手書きでの文書作成,名ばかり研修室というコーナーの机での人目につく場所,状態での執務等,業務内容,業務遂行方法に至るまで全て本件降任処分前と同様であって,特段の質的変化はない。そして,この業務命令は平成24年4月11日まで継続された。
(イ)

P11総務課長は,平成24年4月5日午後5時,
パソコンの再貸与について(確認)という文書を読み上げ,
標記のことについて,現在,再貸与を検討していますが,あなたから提出があった1月12日及び1月20日の両顛末書の内容によると,今後においてもあなたに公私のデータの分別ができない状況が危惧されることから,今後も同様の誤認識のもとで使用しないことを確認,確約していただく必要が生じています。上記の理由から,二度とパソコンの目的外使用をしないよう,今後の改善策および誓約について提出し,パソコン貸与について問題がないことを明らかにしたうえで再貸与することとします。ついては,上記の改善策および誓約について平成24年4月6日(金)の退勤時までに提出すること。を命じた。原告は,命じられたとおり平成24年4月6日に誓約を含む改善策を提出した。
(ウ)

P11総務課長は,平成24年4月10日,原告に対し,

全管理職に対してパワハラ防止のための周知文書を改めて作成することとし,本年3月15日の厚生労働省からの提言取りまとめ報告書内容を適宜引用し,本学園の実態に即応させた解説を加えること。

との業務を命じた。なお,

次の点を明示し,管理職への注意喚起を徹底する旨,追記すること。

として,

時に意図的にパワハラを受けたふりをし,その外形を作為的に創出する悪質な教職員が存在する可能性があること。(7

枚以上)とされた。原告は,この日午後5時15分までこの業務のための文書を作成した。
(エ)

P11総務課長は,平成24年4月11日午後1時,原告に対し,
4月10日に原告が作成した全管理職に対するパワハラ防止のための周知文書について,それぞれの内容は甚だ遺憾ではあるが,あなたは業務に託けて,勝手気まま自己主張を開陳しているに過ぎないものである。法人本部は現状において,あなたが法人本部教職員研修室員としての立場を弁えず,上司の命令に従わず,勤務上の義務にそむき,任務を怠っていると判断し,勤務成績が著しく不良であるとみなさざるを得ない。このような内容を繰り返さないよう厳重注意するとともに,今後,改善がなければ,服務規程等違反を適用せざるを得ないことを予告する。と告げた。そして,P11総務課長は,原告の作成文書のうち,

その結果,本学ではパワハラが蔓延している蓋然性の高いことが判明した。,

本学におけるハラスメント委員会には課題が大きいことも判明した。,

パワハラの加害者だとされた数人が退職しても,職場そのものの構造は5年前から大きく改まっていない。,

本学園においても,本年1月31日に,「パワーハラスメントについてのワーキング・グループ案について知らざるを得ないできごとが生じた。本学の1教員が,学長裁定による授業改善特別プログラムによる業務命令差止め仮処分申立を」3月24日付「P33新聞39面に,6段記事が掲,
載された。,
」したがって本学園において,「提言取りまとめに対して
どのような姿勢をとるべきであるかは,おのずと判る。,

事務職員の場合,最近5年間に退職した係長・課長クラスの人物が,近隣大学の事務職員として雇用された例が多い。

ことを問題部分として指摘した。そして,P11総務課長は,原告に対し,上記指摘を踏まえ,指摘部分について,原告が業務に託けてあえてそのような記載をした理由,目的が何であるか,教職員がこの内容をどう受け取ると考えたのか,それぞれの理由を個別具体的に記載した反省文を作成の上,既作成文書(
全管理職に対するパワハラ防止のための周知文書のこと)を再作
成することを命じた。
原告は,この日午後5時15分までかかって,指摘された文言を記載した理由と目的,教職員の受け止め方についての文書作成を行い,できあがった分を提出した。
また,P11総務課長は,同日,原告が同月6日に提出したパソコン再貸与に関する誓約を含む改善策について,本質的な反省をしているとは到底みなせない等として,同月13日までに確認文書を提出するよう命じたので,原告は,これに従った。
(オ)

P11総務課長は,平成24年4月12日,原告に対し,前日の午
後とほぼ同様の指摘をし,反省文と既作成文書の再作成を命じた。原告は,終日,同業務に取り組んだが完成に至らず,作成した分まで提出した。
(カ)

P11総務課長は,平成24年4月13日,原告に対し,同月10
日の午後とほぼ同内容の業務を命じたので,原告は,引き続き文書作成業務を行った。
同日午後5時,原告は,P20副理事長に呼び出され,P12人事課長とP15人事課係長の立会の下で,
P25の業務報告書に書かれている「報告事項の内容は逆パワハラではないか。」と指摘され
た。
(キ)

原告は,平成24年4月16日,部下が上司に対して行うハラスメ
ントに関する事例の資料を与えられ,説明やまとめを作成するよう命じられ,文書を作成した。
(ク)

原告は,平成24年4月17日,
法人本部は現状においてあなたが法人本部教職員研修室員としての立場を弁えず,意図的に上司の命令に従わず,職務上の義務にそむき,任務を怠っていると判断し,勤務成績が著しく不良であるとみなさざるを得ない。このような内容を繰り返さないように厳重注意するとともに,今後改善がなければ服務規程等違反を適用せざるを得ない旨を通告された上,そのような記載をした目的は何であるか,教職員研修室での活動は業務であるとの認識はあるか,教職員研修室員としての自覚はあるのか,組織の方針を踏まえた研究室員としての本分は何であるのかについて,それぞれ個別具体的に記載した文書(7枚以上)を提出するよう命じられた。
その後,原告は,平成24年4月30日まで,P11総務課長から,原告が業務にかこつけて逆パワハラをしていると言われ続け,専らそれについての所感,原因,対応をまとめるよう命じられたり,理由の説明や改善を求められたりした。
(ケ)

P11総務課長は,平成24年4月18日午後5時5分ころ,原告
に対し,法人本部からの指示(

パソコンの再貸与に係る確認(再々指示))を言い渡した。その内容は,

過去の不正使用について,いずれもパソコン演習室の誤操作または誤作動が原因であると,自身に責任はなく他(人や事象)に責任があったかのごとくの返答がなされ,今,組合活動に関する資料を主とする不適切なデータが保管されていたことも認識していたはずであり,業務時間内にインターネットによりアダルトサイトを見ていた事実もあります。とし,

改めて自らの意思として,言い訳の余地なく,今後一切不正使用をしないことを誓約する文書を提出してください。本件に係る回答書を4月20日(金)退勤時までに提出してください。

というものであった。(コ)

原告は,平成24年4月20日,被告学園に対し,パソコンの再「貸与に係る確認(再々指示)への質問」という文書を提出して,被告学園の一方的決め付けを指摘し,被告学園が指摘する事実の裏付け証拠等を示すよう求め,原告が必要な回答ができるように質問した。しかし,被告学園からは何らの返答はなかった。
(サ)

被告学園の法人本部は,平成24年4月26日,関係事務職員宛に
学内メールで5月のP34・環境美化巡回当番表を配布した。なお,メールの宛先は,原告以外は全員がP9学舎に勤務する事務職員である。P34巡回業務は,館内の巡視,見学者案内等を行い,環境美化巡回業務は,学内施設の点検,違法駐車,ゴミの発見・廃棄等を行うものである。
本件降任処分により原告は助手とされたが,助手は教員であって,その本務は

教育研究の円滑な実施に必要な職務に従事する。

ものであるが,被告学園は,原告に対し,事務職員が行う業務を与えている。(シ)

被告学園は,平成24年5月1日,原告に対し,
現在あなたが教職員研修室長その他上司(関係上司という)に対して日常的に行っている劣悪な逆パワーハラスメントの実態を踏まえ,①仕事の妨害,②上司への威圧的・反抗的態度(無声であっても,どのような態度がそれに該当するのか,自身の胸に手を当てて考えてみてください。今回は無声の場合のみ検討してください)に限定する。として,原告が逆パワーハラスメントを行っていると断定した上で,その逆パワーハラスメントを自覚できるような個別具体的研修計画書を書くよう命じた。
(ス)

被告学園は,平成24年5月2日,原告に対し,

現状においては改善の見込みはないと判断せざるを得ない。

とした上で,

これまで行ってきた教職員研究室業務について業務引継ぎ書を作成すること。

を命じた。
(セ)

被告学園は,平成24年5月7日,
教育研究室についてはハラスメント防止を主の目的とし,部屋の外から室内の様子が一目瞭然に見渡せるよう,学園として方針を定め,扉には窓を開けている。しかし一部の教育研究室において,この窓ガラスにシールを貼付あるいはカーテンをするなどにより視覚が遮られていたり,ロッカー等を利用したレイアウトにより死角が生じている状況が確認された。教育研究室扉窓については,一切の貼付等を認めない。として,原告に対し,1.P9,P8両学舎の全教育研究室の状況確認を行い,問題のある研究室については写真撮影をすること。2.1で問題となった研究室の教員に対する法人本部からの指導文案の作成3.本事例を踏まえ,研究室を持つ全教員への周知文書案の作成を行う。ことを命じた上で,財務課職員1名とともにP8学舎及びP9学舎の全研究室を巡回して写真撮影を行わせて,指導文案と周知文案を作成させた。
しかし,指導文案と周知文案は全く用いられることなく,被告学園は,原告に対し,平成24年5月8日から内線電話のみにより教員と連絡をとり,ボイスレコーダーで電話のやり取りを録音し,研究室の環境改善・是正の連絡を行わせた。授業等で研究室を不在にすることの多い教員との連絡を内線電話のみに限定し,電子メールはもちろんのこと,前日に作成させた周知文による連絡も認めなかった。
これに関連する教員との連絡業務は,ひとまず平成24年5月18日をもって終了になったが,その後も同年6月28日,同年7月27日に,財務課職員1名とともにP8学舎及びP9学舎の全研究室を巡回して写真撮影を行う業務が命じられた。
(ソ)

被告学園は,自己点検・自己評価委員会の当初の年間計画にはなか
った学生による授業アンケートの中間実施を学長である被告P2の提案によって試行することとし,平成24年5月14日から原告をその業務に従事させた。
原告は,業務の詳細については総務課職員からの指示に従うよう命じられたが,中間学生による授業評価アンケート作業は,教職員研修室の本来業務でないことは明らかである。そして,原告は,まずタックシールの作成業務が課せられたが,すでに電子データがあり,それをプリンターに打ち出せば済むだけの作業であったのに,あえて手書き作業をするよう求められた。
(タ)

被告学園は,平成24年5月17日,原告に対し,
教育研究室利用規程(案)及び教育研究室への私物の持ち込みについてという文書を交付し,それらに関する想定問答集の作成を命じ,同月23日にも同様の業務を命じた。
しかし,平成24年6月15日の教授会の配付資料には,
教育研究室利用規程は含まれていたが,原告の作成した想定問答集は全く活かされることなく,教授会構成員からの質問に対して学部長は適切な回答をすることがなかった。
(チ)

被告学園は,平成24年5月18日から同月22日まで,原告に対
し,平成23年度前期の授業評価集計結果と考察の精査を指示した。被告学園は,平成24年5月21日,原告に対し,授業評価アンケートの中間実施についての学生周知文書作成を指示し,同月22日には,実施要領の印刷,教員への配布を指示した。しかし,学生周知文書は実際には用いられなかった。
被告学園は,平成24年5月28日から同年6月29日まで,原告に対し,平成24年度前期中間学生による授業評価アンケート結果について,所定のノートパソコンによる入力作業を指示した。しかし,従来,
学生による授業評価アンケート結果は外注に出して入力され
てきており,また,同年7月に実施された本来の平成24年度前期学生による授業評価アンケート業務については,原告は一切関与していない。したがって,
学生による授業評価アンケートの中間実施にか
かる作業は,原告に長時間苦痛を与えることを目的として考え出された臨時のものであることは明らかである。
(ツ)

被告学園は,平成24年5月23日,原告に対し,
3月26日(月)午後に行った国際英語学科のP28教員及びP10教員が平成25年度以降に中高で授業を行うことに関し,実際に授業を実施するための条件として法的根拠(教職員免許法および施行規則。免許更新講習制度を含む)を調査,検証のうえ,とりまとめること。を命じた。被告学園は,平成24年5月24日,原告に対し,

中高,大学それぞれの本年度の時間割を精査のうえ,可能な持ち時間のシミュレーションを各自について行うこと。

を命じた。しかし,中学校,高等学校,大学のいずれの学校の場合も,時間割は年度ごとに変更されており,本年度の時間割を精査することに意味は見出せない。
被告学園は,平成24年5月25日,原告に対し,

授業準備として事前の研修計画をあなたが作成するうえで,該当する教科書,指導案等の資料を検証し,とりまとめること。

を命じた。この作業は,断続的に指示され,同月28日,同年7月2日から同月4日まで,同月25日から同月31日までにも行った。
(テ)

被告学園は,平成24年5月24日,原告に対し,
これまでに行った業務の継続として「組織人の基本について「○
(P32)を主と
した研修の具体的計画案を作成すること」を命じた。これは,同年4月11日以来休止していた作業であり,同年5月2日に教職員研修室業務に関する業務引継ぎ書の作成を命じたことと矛盾するものである。上記業務は,断続的に平成24年5月25日,同年6月27日,同月29日から同年7月25日まで命じられた。そして,同月3日には,勤続5年未満の大学教員を対象とした研修及び勤続5年以上の指定大学教員を対象とした研修の事前プレゼンテーションとして,同日午後1時30分から午後4時30分まで,P9学舎本館第2会議室において,P11総務課長,P12法人参事,P19法人参事,P13法人参事,P35法人参事補の5人の前で,原告はプレゼンテーションを行った。また,同月4日には,勤続5年未満の中高教員を対象とした研修及び勤続5年以上の指定中高教員を対象とした研修の事前プレゼンテーションとして,同日午後1時30分から午後4時30分まで,P9学舎本館第2会議室において,P11総務課長,P12法人参事,P19法人参事,P13法人参事,P35法人参事補,P30教職員研修室長の6人の前で原告はプレゼンテーションを行った。
(ト)

被告学園は,平成24年6月13日,原告に対し,同月16日

(土)の午前9時50分から午後2時まで教育後援会関連の業務を行い,前日の同月15日(金)に半日の振替休日をとるように命じた。
しかし,被告学園は,その前々日の平成24年6月11日,原告に対し,
あなたに現在指示している学生による授業評価アンケートの中間実施についての入力業務等は本学にとって教育の質向上に資する重要なプロジェクトの一端になります。また,この結果を適時教員にフィードバックすることに意義があり,現在まさにその時期を迎えております。・・・上記の通り,重要かつ緊急業務のため,あなたから願い出があった平成24年6月12日一日の年次有給休暇について半日のみ承認することとします。残る半日については同取得時期を変更するよう指示します。として,同年5月29日に願い出た同年6月12日の年次有給休暇のうち半日を認めなかった。その同じ週にパソコン入力業務を半日休ませて同年6月16日に出勤させる業務の必然性の説明は一切なかった。一日の年次有給休暇について半日のみ認めなかった同月12日は,被告学園を債務者として同年4月3日に原告が名古屋地方裁判所に対して申立てを行った配置転換命令差止仮処分申立事件の第2回審尋期日であり,当然,そのことを知っている被告学園による時期変更指示は,原告への精神的苦痛を目的としたものと考えられる。

本件降任処分の不当,違法について
(ア)

降任理由の不存在
本件降任処分は,同処分内示の際に口頭で,
大学の教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有するとは認められないと学長が判断して…とされ,その主たる理由は,①ブログに関する情報倫理に問題がある,②アダルトサイトなどの教育研究にふさわしくないサイトを見た記録があった,③記憶力の低下,の3点とされた。
上記①については,原告は,これまで3回ほどブログについて法人本部から原告が書き込んでいるのかとのヒアリングを受けたことがあったが,原告はプライベートについてはノーコメントと答えていた。私的生活や表現の自由は最大限に尊重されるべきであるところ,名誉毀損でもなく業務秘密の漏洩でもなく,
情報倫理に関する教員としての自覚などといわねばならぬこと自体に,既に降任理由には具体的根拠のないことが明らかである。
上記②については,原告には全く身に覚えがない。原告は,

アダルトサイトを見たというのは全く心当たりがない。私の人格の問題でもあるので,記録が残っているというなら証拠を見せて欲しい。

と求めたが,P20副理事長は,

答える必要はない。

と述べ,説明を拒んだ。上記③については,原告が過去に交通事故後,それ以前の記憶が少し曖昧になっていると発言したことの揚げ足取りにすぎない。これは,被告学園が原告にとって身に覚えのない古い事実についての記憶を問うたときの原告の返事の一部にすぎず,事故後で体調が万全でないときたまたま直ちに記憶が戻らなかったことをもって,
記憶が不確かな人間と決め付けることはできない。また,P20副理事長は,その場で,平成24年3月13日にP30室長から口頭で原告に伝えられた教職員研修室の目的を即答するよう命じ,原告がすぐに思い出せなかった様を揶揄して記憶が不確かな証拠だとしたが,全く突然の質問に即答できなかったことをもって,
記憶が不確かな人現というのは言
いがかりというべきである。
被告学園における教員の資格審査については,
P1大学教員資格審査基準に基づいて行わなければならない。同基準は,

教育上の能力,研究業績又は職務上の実績について審査する。

とした上,さらにそれぞれの評価項目を次のように規定している。
教育上の能力に関する評価項目(1)教育方法の実践例(口頭又は紀要等への発表)および作成した教科書・教材(2)授業のプレゼンテーションによる評価(3)学生による授業評価(4)授業以外の教育能力(学生指導等)による評価研究業績又は職務上の実績の評価項目(1)研究実績(2)職務上の実績
以上の審査基準に照らして,原告には,教授から助手へ降任させるのを相当とする事由はない。指摘された3点の降任理由が教育上の能力を有するとは認められないと判断すべき要素であるとも言い難い。以上のとおり,事実としても,学内規程からしても,降任理由は失当である。
(イ)

手続違反
教員を降任させるには一定の手続が求められ,これに関してはP1大学教員選考規程P1大学教員資格審査委員会規程P1大学教,,員資格審査基準P1大学教員選考に係る申合せ事項P1大学教,,員選考手続の流れ等の学内諸規程が存在する。P1大学教員選考に係る申合せ事項及びP1大学教員選考手続の流れによれば,降任は,①昇任あるいは降任させようとする者がある場合は,学部長は予め理事長,副理事長,法人本部長,学長,副学長による審査書類の精査を受けた上で,常務理事会の承認を得る,②学部長は,候補者の資格審査を教員資格審査委員会に付託する,③教員資格審査員会は,教授5名以上7名以下をもって構成し,候補者を審査し,その結果を学部長に報告する,④学部長は,教授会を招集し,候補者を決定する,⑤学部長,理事長,学長が総合人物評価を行う,という手続を経る必要がある。
しかし,本件降任処分においては,教員資格審査委員会による審査手続及び教授会による決定手続が行われていない。
(ウ)

公序良俗違反
本件降任処分後の原告に対する業務命令は,労働契約に反し,苦役を
強要し,著しく人格権を毀損し,原告が大学組合副委員長であることをもって差別的不利益取扱いをする不当労働行為で公序良俗に反する。本件降任処分の狙いが,本件仮処分事件の決定で無効とされた業務を永続化し,固定化しようとすることにあることは明白である。
(エ)

以上のとおり,本件降任処分は,実体的な降任理由がなく,所定の
降任手続に著しく反し,かつ,公序良俗に反するもので,違法,無効である。
(6)

争点(6)(懲戒処分3が無効であるか否か)について

(被告らの主張)

懲戒処分3の理由は,別紙懲戒処分3の処分の理由に記載のとおりである。
すなわち,原告が,教職員研修室への配置転換以降,業務命令の趣旨に沿う文書を作成せずに自己の見解を開陳する文書を作成するなど,上司の指示に従わず,また,上司に対する威圧的態度を取るなどして上司に多大なる精神的苦痛を与えたことによる。原告の行為は,就業規則4条,5条1項に違反し,同32条1項1号及び8号に該当する。そこで,同条2項2号を適用し,減給処分としたものである。


原告の主張イについて
原告は,原告の具体的な非違行為の記載がないと主張するが,懲戒処分3は,平成24年4月中旬以降の原告の勤務態度を理由とするものである。この時期,原告は,外見的には業務を遂行している風を装いながら,自己の見解を開陳する態度に終始した。具体的な原告の言動は,原告の主張に記載のとおりであって,このような原告の態度は,明らかに業務命令の趣旨に反するものであり,原告の直属の上司は,このような原告の態度にほとほと手を焼いて,ノイローゼ気味になるまで精神的に追い込まれていた。被告学園は,原告に対し,このような文書の作成につき,再三やり直しを命じたが,改善されなかったので,懲戒処分3の発令に至ったものである。ウ
原告の主張ウについて
被告学園は,原告に対する懲戒処分を発令するに先立ち,必ずヒアリングを行い,原告に弁解,防御の機会を与えている。
原告は,ヒアリングは糾弾的で原告の主張を認めようとしないものであったと主張するが,事実に反する。被告学園は,原告の弁解を聴いているが,その内容が不合理なので懲戒処分を発令したのである。


原告の主張エについて
原告に対する処遇の全ては,原告の授業スキルが低いことに端を発するものであり,事態が複雑化したのは,原告が自らの授業スキルが低いという事実を直視せず,自らに対する一連の業務命令をことごとく嫌がらせと受け止め,素直に従事しなかったことに原因がある。原告が大学組合の副委員長であることとは関係のないことである。


原告の主張オについて
原告に対する業務命令は,非人間的,反人格的なものではない。また,原告は,自らに対する業務命令を嫌がらせ目的と捉えており,素直に従事する態度が欠如していた。原告に対する一連の処遇は,このような原告の態度がもたらした必然的な結果である。

(原告の主張)

懲戒処分3は,平成24年4月2日に原告が助手に降任され,同月3日に第2次仮処分事件が申し立てられ,同年5月7日に第1回審尋期日を控えた中で行われた。

被告学園が懲戒処分3の理由とする原告の言動は,具体的な非違行為が特定されてなく,極めて情緒的かつ独断的な気分に基づいたものにすぎない。これをもって,懲戒処分という不利益を与えることは許されない。

懲戒処分は,使用者が一方的に従業員に不利益を課すものであるから,
当然にも適切な告知聴聞の機会が保障されなければならない。
しかしながら,被告学園は,原告の非違事実を根拠と共に示すことをせず,原告の適切な弁解・防御の機会を奪い,またヒアリングは糾弾的で原告の言い分,主張を認めようとしないものであった。これは,適切な告知聴聞手続とはいえない。
したがって,懲戒処分3は,適切な告知聴聞手続違反によって無効,違法である。

懲戒処分3は,原告が大学組合の副委員長であることをもってなされ
た不利益取扱であって,労働組合法7条1号に該当し,違法,無効である。オ
労働契約法15条は,
・・・当該懲戒が,当該懲戒に係る労働者の行為に性質及び態様その他の事情に照らして,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,当該懲戒は,無効とすると定める。平成23年6月の本件特命プログラム以来,原告が被告学園から受けた業務命令は非人間的,反人格的なものであり,かつ,受けた取り扱いは不合理極まりないものであったが,原告は,特段の落ち度なく,命じられた業務に従事してきた。
また,原告は,約20年にわたる被告学園における業務において,懲戒処分を受けたことがなく,懲戒処分1が初めてのことであった。それにもかかわらず,注意や戒告等ではなく,いきなり重大な減給処分に付している。
非人間的な過酷で不合理な業務命令においても特段の落ち度のなかった原告に対し,被告学園は処分事由に困り,不合理で社会的相当性のない懲戒処分3を発せざるを得なかったのである。
したがって,被告学園の原告に対する懲戒処分3は,懲戒権の濫用であり無効である。
(7)

争点(7)(本件ブログが不法行為に該当するか否か)について

(被告らの主張)

全体の標題について
本件ブログにおいて,被告学園の名称は明示されていないが,本件ブログのタイトルは,
○と明記されており,これ自体がP1大学を示
唆する表現である。
また,本件ブログの全体の標題に○との表現が用いられているが,○とは法人名に人名を冠した学園を意味するところ,名古屋市内において,法人名に人名を冠した大学は,被告学園の他には学校法人P36(大学名はP37大学
)があるのみである。
これは,あからさまな暗示であり,
○が被告学園を表示しているこ
とは明らかである。
さらに,原告の元教員であったP38という人物が,本件ブログに関する記事をインターネット上に投稿しているが,そこに○と表現されている。P1大学は,○」と略称されるのが通例であるから,この「○はP1大学を指していることは明らかである。
これらから,本件ブログの記事が,原告の経営するP1大学に関
するものであることは,一般公衆にとっても明らかにされている。

各記事が被告学園の社会的評価を低下させるものであることについて(ア)

記事1について
原告が,授業構成の手直しのために4時間
1対1の監視で1室に閉じ込められた事実が摘示されている。
この事実のみでは,必ずしも被告学園の社会的評価を低下せしめるとはいえないが,原告は,
法人なんたらとかの役職に就いている人たちは邪気を振りまく人たちと表現している。上記事実摘示は,この侮辱的表現と相俟って,あたかも被告学園が不当な意図をもって原告を監禁状態に置いたかのように表現するものであり,被告学園の社会的評価を貶めている。
また,同記事は,被告学園がセンター試験の監督に対し,超過勤務手当を出さない労働基準法違反の行為をしていると摘示しており,この事実も被告学園の名誉毀損に当たる。
(イ)

記事2について
原告に対して第2回のプレゼンテーションが実施されたことについて,
記事2は,

学長(=学園長=理事長)に質問状を出しても,不誠実に無視されるのみ。

と摘示し,このプレゼンテーションには合理的理由がないと断定している。このように表現することにより,同記事は,被告学園が原告に対し,合理的理由なくプレゼンテーションを実施したと摘示するものであって,被告学園の社会的評価を貶めている。
また,副理事長について,

まともな教員とは言い難い。自分が評価されるのは大嫌いだから授業担当から退いた人間

と示している。この部分は,副理事長に対する個人攻撃であるが,被告学園の副理事長を中傷することは,間接的に被告学園の社会的評価を低下させるものであり,被告学園に対する名誉毀損に該当する。
(ウ)

記事3について
記事3は,被告学園が原告を監禁状態に置いたと表現しており,

これ自体が被告学園の社会的評価を貶める事実の摘示である。
(エ)

記事4について
学園からの理不尽な時季変更権により有休が認められなかった

という記事は,被告学園の時季変更権の行使が,あたかも不当な(あるいは違法な)ものであるかのように表現するものであり,被告学園の社会的評価を貶めるものである。
(オ)

記事5について
記事5は,被告学園が資産運用に失敗したと断定している。この

事実摘示自体が被告学園の名誉毀損に該当する。
また,同記事は,それに加えて理事会は説明責任を放棄していると表現しているが,この事実摘示もまた被告学園に対する名誉毀損に該当する。
(カ)

記事6について
記事6は,被告学園が原告に対し,プレゼンテーションの準備をする
よう命じた事実が摘示されている。
この事実摘示のみでは,被告学園の社会的評価を貶めるものではないが,このプレゼンテーションを正当性というか合理性に欠ける
理事会の面子だけのためのものと表現し,さらに

事実はマンガよりも滑稽な某女子大学の実態である。

ということにより,あたかも被告学園が合理的な理由もなく原告にプレゼンテーションを実施させているかのような印象を与える記事となっている。これら表現が一体となって被告学園に対する名誉毀損を構成している。
(キ)

記事7について
記事7は,被告学園を,
労組法を無視した団交拒否,支配介入などの不当労働行為は日常茶飯事,その他の様々な労働法も平気でないがしろにして恥じることのない頑なな存在と断定している。この記事自体が,被告学園に対する名誉毀損に当たる。
(ク)

記事8について
記事8は,
Sさんにつき,被告学園が奇妙な部署に配転した

と摘示している。そして,その配転につき,
年度途中での配転それ自体おかしなものであり,
数少ない教務担当者をその担当から外すなど,まともな大学であったなら,あり得ない人事異動であると評している。また,

某女子大学の崩壊はこのときに始まりつつあった。,

某女子大学がSさんを死なせた

少なくとも某女子大学がSさんの死期,を早めた。

と度はずれた扇情的表現を用いることにより,記事全体で,あたかも被告学園が不当な人事異動を行ったかのように摘示し,被告学園の社会的評価を貶めている。
(ケ)

記事9について
記事9は,被告学園内に人知れず住み着いている「怪人がいる」

と述べ,原告がその犠牲者であると表現している。そして,

せめて犯罪者でないことを祈らざるを得ない。

との表現は,その怪人が犯罪者であると示唆するものである。
これらの表現により,同記事は,被告学園内に犯罪者がいると摘示するものであり,被告学園の名誉を毀損している。
(コ)

記事10について
記事10は,被告学園が原告に命じた授業見学につき,

確かに嫌がらせである。

と断定している。すなわち,被告学園が原告に授業見学を命じたのが,嫌がらせ目的であるとするものであって,被告学園に対する名誉毀損である。
(サ)

記事11について
記事11が摘示する事実は,被告学園が原告の研究室を移転したこと
と,原告に貸与しているパソコンを回収した事実である。
この事実自体は被告学園の社会的評価を低下させるものではない。しかし,同記事は,これらの事実につき,
普通の感覚の日本人だったら,これは恐怖の出来事であると評し,また,P39のマンガ」,「B級学園ドラマどたばたコメディーと譬えられることにより,,
あたかも異常な事態であるかのごとく表現している。このような表現と相俟って,同記事は,被告学園の行為が不当な行為であるかのごとく印象付けるものであって,被告学園の社会的評価を貶めている。
(シ)

記事12について
記事12は,被告学園が原告に命じて漢字能力検定試験の過去問題に
取り組ませた事実に関連して,同試験の実施機関の理事長らが背任容疑で逮捕された事実を指摘した上で,被告学園に関して

何か相通ずるものを感じているかもしれない。

と表現している。それにより,同記事は,あたかも被告学園の理事等に違法行為があるかのように示唆しており,被告学園の名誉を毀損している。
(ス)

記事13について
記事13は,被告学園の校舎が安普請であり,
比較的新しい鉄筋コンクリートの建物の床が
ブカブカであると指摘し,それにつ
き,
よほど建築費を値切ったか
本来使うべき費目に使われずに別のどこかに行ってしまったのかと怪しまれても仕方がないほどであると推論している。このように表現することにより,同記事は,あたかも被告学園において建築費の流用等の不正経理が行われているかのように摘示するものであり,被告学園に対する名誉毀損となる。
(セ)

記事14について
記事14が摘示する事実は,要するに被告学園が原告に貸与している
パソコンを原告が不在の間に回収した事実である。
このような事実自体は,さして被告学園の社会的評価を低下させるものではないが,同記事は,被告学園の運営する大学はインドの安宿よりも危険な場所であるかのように表現することにより,上記事実をことさらに異常な事態であるかのように印象づけようとしており,被告学園の社会的評価を貶めている。
(ソ)

記事15について
記事15が摘示する事実は,被告学園が原告にプレゼンテーションの
資料の提出を命じたところ,原告がそのための時間を勤務時間中に用意するように要請したが,それに対し,被告学園が原告にその必要性を認めなかったことであり,この事実自体は被告学園の社会的評価を低下させるものではない。
しかし,同記事は,被告学園の指示を屁理屈にすらなっていない理屈であると表現し,さらに支離滅裂と評することにより,被告学園の原告に対する指示があたかも不合理なものであるかのように表現する。それにより,被告学園の社会的評価を貶めている。
(タ)

記事16について
記事16は,P40の事件を引き合いに出しながら,

都合の悪いことを指摘した監査法人との契約を切るという体質が某女子大学を起こさせるからだ。

との表現を組み合わせることにより,同記事は,あたかも被告学園が都合の悪いことを指摘した監査法人との契約を切る体質を有する法人であるかのように摘示している。それにより被告学園の名誉を毀損している。

原告の主張ウについて
否認ないし争う。


原告の主張エについて
否認ないし争う。


原告の主張オについて
(ア)

記事1について
4時間
1対1の監視で1室に閉じ込められたという表現は,
原告が4時間にわたり連続して密室内に監禁状態に置かれたことを意味している。ところが,実際には,原告は,その間,途中5分の休憩を3回与えられている。また,業務中,上司の監督下に置かれることは通常のことであって,特段,被告学園が原告を監視下に置いたという事実もない。したがって,原告が4時間
1対1の監視で1室に閉じ込められた事実はない。
また,
法人なんたらとかの役職に就いている人たちを邪気を振りまく人たちと評することは,被告学園の役員らの人格を否定する表現であり,人身攻撃に他ならない。
なお,労働基準法違反の記事につき,原告は,原告の意見と主張する。しかし,記事1は,被告学園が労働基準法違反をしていると断定しているのであり,意見の表明という表現方法ではなく,端的な事実の摘示に他ならない。
(イ)

記事2について
原告は,記事2は,原告の評価論評と主張する。しかし,同記事は,
被告学園が原告に合理的理由がない職務命令を下したという事実を端的に摘示するものである。
仮にこれが原告の評価論評であるなら,同記事中に,原告が合理的理由がないと判断した理由,すなわち,判断の過程が説明されているのでなければ,およそ評価論評として成立していないというべきである。しかし,同記事は,単に合理的理由がないと断定するのみであり,そのように判断した理由について,何らの記載もない。何らの理由も示すことなく,一方的に合理的理由がないと断定する記事は,読者に対し,被告学園に対する悪印象を植え付けるだけの放言にすぎないのであって,およそ正当な評価論評といえるものではない。
また,副理事長を

まともな教員とは言い難い。自分が評価されるのは大嫌いだから授業担当から退いた人間

と記載するのは,副理事長の人格を否定するものであり,この表現は人身攻撃に他ならない。そもそも,副理事長が授業を担当しなくなった理由について,
自分が評価されるのは大嫌いだからというのは,副理事長に対する単なる中傷,人格攻撃にすぎないのであって,真実に基づく記事とはいえない。(ウ)

記事3について
監禁状態という事実がなかったことは,記事1に関する被告らの

主張のとおりである。
なお,原告は,
監禁状態という表現は単なる比喩にすぎないと主
張するが,
監禁状態と明示することは,単なる比喩ではなく,被告
学園が原告を違法に拘束して行動の自由を奪ったという事実の摘示である。
(エ)

記事4について
記事4のうち,事実に基づく部分は,被告学園が原告に時季変更権を
行使したという部分のみである。
記事4は,被告学園が時季変更権を行使したこと自体を摘示することに主眼があるのではなく,その時季変更権が理不尽であることを示す趣旨のものである。したがって,この記事が真実に基づくものであるといえるためには,被告学園の時季変更権の行使が理不尽なものであるということが真実でなくてはならない。原告は,被告学園が原告の質問に答えないから理不尽と評価することは正当,相当であると主張するが,被告学園が原告の質問に答えないからといって,時季変更権の行使が理不尽なものになるものではない。質問に対する回答がないとの理由で,被告学園の時季変更権の行使を理不尽なものと断定する記事を公にすることが許されるなら,安易な思い込みによって他者の行為を理不尽という表現をすることが許されることになるが,それが不当であることはいうまでもない。
(オ)

記事5について
資産運用に失敗したという表現は,単に証券会社との取引によっ

て損失を出したという程度の事態を指すものではない。
失敗という
表現は,被告学園が回復し難い損失を被るか,資金繰りに困難を来すなどして,経営難に陥るという程度の事態を指す。しかし,被告学園は,特定の取引によって損失を出したものの,その経営基盤は盤石であり,およそ経営困難というような状況にはない。被告学園は,
資産運用に失敗したといわれる状況にはないのである。
また,
理事会が説明責任を放棄していると断定している部分は,
被告学園の資産運用に関する事項はもとより団体交渉の場において議題とすべきものではないし,被告学園の理事長は,メール文書にて全学にマスコミ報道に対する説明を行ったが,マスコミ報道の時点では,未だ証券会社との取引による損失は確定していないのであるから,その時点で具体的な財務状況についての説明がないのは,むしろ当然であるから,原告が指摘する事実から理事会が説明責任を放棄していると断定することはできない。
(カ)

記事6について
記事6は,被告学園が原告にプレゼンテーションの準備をするように
命じたことにつき,
理事会の面子だけのためのものと表現している。
原告のブログ記事は,このような被告学園に対する侮辱的表現が多用されていて,一貫して悪意に満ちたものとなっている。すなわち,同記事は,ただ単に被告学園の業務命令に対し,合理性に欠けると批評するというものではなく,被告学園の理事等の役員の人格を否定する人身攻撃に及ぶものであって,およそ事実に基づく正当な評論の域にとどまらないものである。
(キ)

記事7について
原告は,記事7を真実に基づく意見表明と主張する。しかし,時間外
手当については原告と被告学園間の見解の相違があり,また,被告学園の時季変更権の行使は何ら不当なものではない。
原告は,被告学園が団交を拒否したかのように主張するが,実際には被告学園は団体交渉に応じているし,現在も団体交渉は開催されている。
原告が主張する支配介入というのは,単に組合員が勤務時間中に組合活動をしたことに対し,被告学園が抗議したにすぎない。勤務時間中であるから,被告学園が組合員に対し,職務に専念するように求めるのは当然である。
さらに,被告学園が意図的に団体交渉を遅延させた事実はないし,交渉の妥結未了が理由で組合員に対する一時金等の支給が遅れることも何ら不当ではない。
原告の表現は,原告の一方的な見解に基づくものであって,真実に基づくものとは言い難い。
(ク)

記事8について
原告は,記事8を真実に基づく表現と主張する。しかし,被告学園が,
P41を平成19年1月15日に被告学園に出向させたことが,
他大学では一般的にまず行われない人事異動であると主張する根拠は明らかでない。また,P41がガンで死亡したことと,上記人事異動との因果関係も全く明らかではない。P41に対する上記人事異動がP41のガンの原因になったというのは,原告が自認するように原告の想像にすぎない。したがって,同記事は,真実に基づくものとは到底いえない。なお,被告学園が崩壊しつつあるという部分についても,根拠
のある相当なものとはいえない。そもそも,被告学園における教職員の離職率が高くなったという事実自体がない。存在しない事実に基づく意見論評が正当なものではありえない。
(ケ)

記事9について
原告は,記事9は意味不明であるから被告学園の社会的評価を低下さ
せることはないと主張するが,同記事に関する被告らの上記主張のとおり,同記事は被告学園の社会的評価を低下させるものである。
(コ)

記事10について
原告は,原告が授業見学を嫌がらせと受け止めることはやむを得

ないと主張するが,このような受け止め方は,全く原告の主観に基づくものであり,事実に基づくものとは言い難いのであるから,正当なものとは評価できない。
(サ)

記事11について
原告は,研究室の移動とパソコンの回収につき著しい恐怖という。
しかし,被告学園は,単に原告の研究室を移動したにすぎないのであり,研究室を取り上げた事実はない。単なる室の移動を,このように解すること自体が異常である。また,パソコンは,被告学園が貸与しているものである。貸与されたものである以上,当然,回収されることがあり得ることも予想できるのであるから,当然,原告が自ら作成したデータなどはバックアップを取っているものと考えられる。
同記事は,客観的に見れば何ら異常ではないことを,原告の主観的な解釈によって,ことさらに異常な事態であるかのように表現するものであって,事実に基づく正当な表現とは言い難い。
(シ)

記事12について
原告は,記事12について,読者に被告学園の理事らが背任行為を犯
しているとの事実を連想させることにはならないと主張する。
しかし,同記事に関する上記被告らの主張のとおり,同記事を読んだ者は誰でも同記事は被告学園の理事等も背任罪を犯している疑いが濃厚であると言っているものと理解するであろう。(ス)

記事13について
原告は,記事13について,被告学園が校舎の建築費を他に流用して
不正経理をしているとは書いていないと主張する。
しかし,同記事に関する上記被告らの主張のとおり,同記事は,被告学園が建築費を値切った可能性だけではなく,経費を流用した可能性をも指摘するものである。そして,被告学園が建築費を流用した事実はないのであるから,同記事は真実に基づくものとはいえない。
(セ)

記事14について
原告は,記事14は真実に基づくものと主張する。しかし,研究室と
いえども被告学園の管理下にある。被告学園は,原告にパソコンの即時返還を命じても素直に応じるとは考え難いことから,貸与しているパソコンを原告不在のうちに回収した。これをもって,被告学園の管理する学園内が安全な場所ではないなどということはできない。インドの安宿の方が安全であるなどというのは,原告の単なる主観的な思い込みであり,真実に基づくものとはいえない。
(ソ)

記事15について
原告の授業のスキルが低いと評価することと,原告の発言に対し,
ベテラン教員にあるまじき発言と評することの間には,別段,矛盾はない。授業スキルの高低と,原告がベテラン教員であることとは別問題である。したがって,同記事が真実に基づくものであるという原告の主張はこじつけである。
(タ)

記事16について
記事16が被告学園の社会的評価を低下させるものであることは,同記事に関する上記被告らの主張のとおりである。
そして,被告学園が監査法人を1年で2度変更していること等の原告指摘の事実は,被告学園が都合の悪いことを指摘した監査法人との契約を切る体質を有する法人であるというべき根拠にはならない。したがって,同記事は,真実に基づくものとはいえない。
(原告の主張)

全体の標題について
一般人が,常識的判断をもってブログを読むなら,
○に某があ
ることから,
P1大学の意味ではないと解するのがむしろ自然である。
P1大学以外の名古屋関係の○○女子大学と読むことになろう。
名古屋とは広く名古屋市周辺を含む地方一帯を示す用語であり,
必ずしも名古屋市内を意味しない。名古屋一帯には多数の大学が存在しており,
へえ,そんな大学があったのという会話が日常的に交わさ
れる。かつて,名古屋市内と周辺地域には女子大学(多くは短期大学)が多数存在していたいが,近年,共学化,4年制化,校舎の移転等が相次ぎ,一般人には伝統的に女子大学と呼び習わされた大学がどうなっているのか判別が困難になっている。女子大学という用語法は,4年制で正式名称が女子大学とされるものだけでなく,短期大学も含み,沿革的な伝統から女学院や女子大学として認知され,あるいは呼び習わされてきたものを含んで用いられている。例えば,かつてのP42学院であるP43大学は学校法人P44が設置・運営していたが,P45大学,学校法人P46と改称した後も,P43大学,P44学園と呼ぶ方が一般人には親しみやすく分かりやすい。
法人名に人名を冠した学園は数限りなく存在する。そもそも一般人は,大学名は知っていてもそれが学校法人が設置するものであるという基礎知識を持たない者が多いのが現実であるし,実は学校法人名と大学名の不一致は多いから,
○から大学名を特定することはほとんどできないし,
しようとしてもしていない。一般人にとって逆に学校名から法人名を特定することはなおさら難しい。著名な女子大学の沿革を持つ学校法人P36とP37大学,学校法人P47とP48大学,学校法人P49とP50大学等は連想の内であろうが,P51大学短期大学部と人名学園を結びつけられる者がどれだけいるだろう。P52短期大学と学校法人P53,P54大学とP55学園,P56大学とP57学園,P58短期大学と学校法人P59,P60大学とP61学園,P62大学とP63学園等々は,一般人には結びつかない。
P1大学は,長らく学校法人P5が設置する大学であった。学校法人名と大学名を連想し合える関係が長かった。P64高等学校,中学校を設置・運営してきたのが学校法人P6であった。平成19年4月,学校法人P5は学校法人P6を吸収合併し,P6学園と名称を変更した。本件ブログ掲載のときには4年ほどしか経っておらず,
○が社会一般に被告学
園を連想させるとは言い難い。
○と聞いた一般人は,それぞれに名古
屋地方の伝統的女子大学として著名なP36

P44学園,

さらにはそれぞれが知る様々な学園名を想起することになる。
被告学園は,名古屋市内において法人名に人名を冠した大学は,被告学園の他には学校法人P36があるのみであると主張する。しかし,このような主張はブログ自体から出てくるものではない。何らかの資料に当たって,その結果を基にしなければ出てこない。被告学園もそうしたのであろう。一般人は,そもそもそのような調査をしないだろうし,その調査の結果から,本件ブログの○が被告学園であると推論するようなことはしない。

各記事が被告学園の名誉を毀損するものでないことについて
(ア)

記事全体について

被告学園が指摘している原告の名誉毀損行為に当たる表現は,ほとんど全てが意見論評型である。
意見論評型の場合,その背景には,意見を言うことは仮に他人に
とって痛手・痛みを伴うことがあっても,それが人身攻撃に当たる不当なものでない限り,それは表現の自由によって保障される権利であるというフェアコメントの法理があるといわれている。
被告学園が指摘する原告の名誉毀損の表現は,ほとんど全てが意
見論評であり,原告の表現の自由に属する権利として保障されるべきものである。事実の摘示と思われるものも抽象的表現にとどまり,ただちに被告学園の社会的評価の低下につながるものではない。
したがって,被告学園が指摘する原告の表現は,名誉毀損行為に
あたらない。


ある記事の意味内容が他人の社会的評価を低下させるものであるかどうかは,当該記事についての一般の読者の普通の注意と読み方を基準として判断するのが相当である(最高裁判所昭和31年7月20日第二小法廷判決)

被告学園が指摘する原告のブログは,労働組合副委員長である原
告が被告学園内での出来事についての意見,感想を表明したものである。一般読者には,原告が労働組合副委員長であることは不明であるが,被告学園に批判的な見解を持つ,被告学園に勤める教職員であることは推察されるであろう。
したがって,一般の読者が本件ブログを読む場合,被告学園に批
判的な立場に立つ者の意見の表明と捉え,一方当事者からの一方的な発信に過ぎないものと受け止める。その結果,他方当事者である被告学園の社会的評価が直ちに低下することにつながるものとしては受け止めないといえる。そして,そもそも本件ブログは,原告が平成23年6月から被告学園により学長特命プログラムに従事させられ,
教員としての研究や教育及び教務活動を奪われ,組合の仲間との接触もままならない状況に追い込まれた中で,組合の仲間に自分の日々の状況を知らせようとして開設したものである。したがって,組合の仲間にしか分からないような表現を用いていて,外部の者が読んでも,せいぜい勤務先の大学への不満を述べている者がいるという程度の受け止めしかできない内容である。
よって,原告の本件ブログは,被告学園の社会的評価を低下させ
るものではない。
(イ)

各記事は被告学園の名誉を毀損するものではないこと
記事1について
法人なんたらとかの役職に就いている人たちとの記載は,一般
読者からすれば,余りにも抽象的で,具体的にどういう組織を指すのか自体,学校法人を示すのか他の法人を示すのかさえ判断できない。また,
邪気を振りまくは,意味内容を理解しがたい言葉であるし,
どんな邪気かを想像することもできず,その趣旨を理解することができない。
このように,記事1は,意見の対象が漫然として不明瞭である上
に,その趣旨を理解するのが困難で,この程度の抽象的な記載では,某女子大学に対する社会的評価を低下させるものとはいえない。
また,
労働基準法違反とは,評価の結果であって,意見である
が,記事では,
そういえば・・某女子大学と記載されており,文
脈から筆者の勤務する女子大学であるのか他の女子大学であるかは判別が困難になっている。原告は,某女子大学が労働基準法違反の行為をしているとは摘示してないのである。


記事2について
記事2からは,プレゼンテーションの中身はもちろんのこと,それを行うことになった理由や経緯などといった具体的なことは全く不明である。記事2を読んだ一般読者にとっては,筆者が何かしらのプレゼンテーションを行うことについて不満を抱いているらしいという程度にしか伝わらない。業務に関する不満の発露という程度の漠然とした程度の記述では,読者の某女子大学に対する社会的評価を低下させるものとはいえない。
また,記事2のうち,

まともな教員とは言い難い。自分が評価されるのは大嫌いだから授業担当から退いた人間

の部分は,某女子大学の役職者に対する意見又は評論であるが,当該意見は某女子大学の社会的評価を低下させるものではない。すなわち,同記載部分からだけでは,誰から何を評価されているのかが全く不明であるし,一般的に誰しも他人から評価されることを好まないから,評価されることが大嫌いだとしても,そのことだけで社会的評価が低下することにはならない。そもそも,学校法人の副理事長には,学校経営の才覚が必要なのであって,教員としての資質が求められているわけではない。副理事長が教員でなくても,経営者としての社会的評価が低下するものではなく,某女子大学の社会的評価が低下するものではない。

記事3について
原告は,某女子大学によって監禁ないし監禁状態にされたとは表現していない。
すなわち,いうまでもなく監禁と監禁状態とではその意
味は異なるものであるし,監禁されていなくても日常的に監禁状態といった表現はよく使われる。記事3は,同じ内容の「業務
が続く。しかし監禁状態はじわじわと効いてくる。帰宅して夕食をとってから,3時間ほどソファで眠りこけてしまった。
」となっており,
当該文章を素直に読めば,
同じ内容の業務に続けて取り組んでい
る状況を監禁状態に譬えていることは明らかである。

記事4について
記事4のうち,
学園からの理不尽な時季変更権により有休が認められなかったとの部分は,あえて言えば原告の意見ないし評論といえるが,同記載は,某女子大学の社会的評価を何ら低下させるものではない。
すなわち,記事4は,有休を認めて欲しかったのにそれが認められなかったことを理不尽とは表現しているが,理不尽たる理由が具
体的に示されてはおらず,読者が素直に読む限り,筆者が不満を持っていることしか理解できない。この程度の記載では某女子大学の社会的評価を低下させるものとはいえない。


記事5について
原告は,
資産運用に失敗したとは断定していない。
資産運用に失敗している様子と記載しているにすぎない。また,どのような資産運用に失敗したのかも明らかでない。このような漫然とした抽象的表現では,読者がそのような事実があるとの認識を抱くまでには至らず,某女子大学の社会的信用を低下させるものとはいえない。
そして,記事5では,資産運用に失敗している様子などと,いうも聞くと漠然と表現されているにすぎず,何を説明すべきで
あるのか,それが法的責任なのか道義的説明なのかも不明であって,読者としては,理事会が説明義務があるのにこれに反している違法があると理解するには至らない。
この程度の漠然とした抽象的記載では,某女子大学の社会的評価
を低下させるものとはいえない。

記事6について
記事6では,
正当性というか合理性に欠ける(と僕には思われる)理事会の面子だけのためのと記載されており,(と僕には思われる)との記載が入ることにより,プレゼンテーションを行うことは筆者にとって正当性と合理性に欠けると思われるから,それをやる意味は理事会の面子のためなのであろうと筆者が考えたことしか理解できない。
そもそも読者には,記事6におけるプレゼンテーションとは何か
が理解し難いし,理事会の面子とは何かも理解し難い。結局,筆者が業務命令についての不満を述べているという印象を与えるにすぎず,この程度の記載では,某女子大学に対する社会的評価を低下させるものとはいえない。

記事7について
記事7のうち,
労組法を無視した団交拒否,支配介入などの不当労働行為は日常茶飯事,その他の様々な労働法も平気でないがしろにして恥じることのない頑なな存在との部分は,評価の結果であって,意見であるが,この記事には何らの具体的なことは記載されておらず,抽象的,漠然とした表現がなされているにすぎない。通常の読み手は,対立関係にある一方の当事者の側から一方的に発信された意見表明に過ぎないと受け止めることになり,これをもって直ちに某女子大学の社会的評価を低下させるような性質のものとはいえない。


記事8について
記事8は,あえて言えば意見又は評論であるが,そもそも人事異動への批判や疑問を抱いたことを述べるだけでは社会的評価を低下させるものとはいえない。また,
死期を早めたというのもよく用いら
れる死者への哀悼の表現の一つであり,医学的見解ではないものとして受け止められている。このような表現が某女子大学の社会的評価を低下させるものとはいえない。さらに,
崩壊という表現は,その
具体的内容は全く分からず,漠然とした抽象的な表現にすぎないから,某女子大学の社会的評価を低下させるに足りない。

記事9について
記事9において,原告が,某女子大学内に犯罪者がいるなどと示唆していないことは明白である。記事9には,
さて,真偽の程は知らないが,某女子大学にも人知れず住み着いている「怪人がいるという。
」との記載の後に,某女子大学の怪人の噂がもし真実だとし

ても,せいぜい犯罪者でないことを祈らざるを得ない。

との記載で締めくくられている。このように,同記事では,
真偽の程は知らないがとかせめて犯罪者でないことを祈らざるを得ないと表現されているにすぎない。
さらには,被告学園自身もいささか意味不明であるがと主張
するとおり,記事9の内容自体が,全体を通して,
真偽の程は知らない怪人,,といった非現実的世界を描き,論旨不明になっ
ており,一般的読者が同記事を読んで,某女子大学内に犯罪者がいると思うことはない。

記事10について
記事10では,
嫌がらせとの記載は3回出てくる。最初の

もしこれが,僕に対する嫌がらせだとすれば,これを考えた人物は,よほど知的な雰囲気から縁遠いのであろう。

という部分は,筆者があくまで仮定の話をしているにすぎない。2回目は,授業見学についてのレポート作成時間がだんだんと短くされたことに触れた上で,
その意味では確かに「嫌がらせである」との部分であるが,これは,レポート作成の時間を短くされたことについての不満の発露として嫌がらせだと表現しているにすぎず,この程度では嫌がらせ
と断定しているとまではいえない。3回目は,
僕を研究室のあるキャンパスに行かせないための嫌がらせなのであろうとの部分であるが,当該記載の直前にだとすれば
嫌がらせなのであろうと仮
定的に表現されているのである。
以上のとおり,原告は,記事10において,某女子大学が原告に
命じた授業見学を嫌がらせとは断定していない。
かえって,同記事では,
授業見学について楽しいであると
か有益であるとか知的刺激をうけることができたといった筆
者の肯定的な感想が記載されているのであり,
授業見学は嫌がら
せにはなっていないという印象を読者に与える。
したがって,同記事は,授業見学を嫌がらせと断じて某女子大学
の社会的評価を低下させるようなものではない。

記事11について
記事11では,
…慣れてしまった僕には,思うだけになってしまっているとの感想を述べているにすぎないから,某女子大学の社会的評価の低下に結び付くものではない。


記事12について
記事12では,漢字能力検定試験の実施機関の理事長らと某女子大学が背任容疑での逮捕という点で相通ずるものがあるとは一切指
摘していない。
さらに,同記事には,
何か相通ずるものを感じているかもしれ
ないとの憶測的感想の記載があるにすぎず,しかも何に関して相通ずるのかは同記事を読んでも不明瞭,理解不能であり,加えてかもしれないという曖昧な表現がされており,一般的読者にとって,同記事の趣旨を了解すること自体が困難である。
したがって,同記事は,某女子大学の社会的評価を低下させるも
のではない。

記事13について
記事13では,筆者が某女子大学の校舎について,建物の床が
しっかりしていないことを発見し,
建築費を値切ったのか本来使うべき費目に使われずに別のどこかに行ってしまったのかと記載し,(そのように)
怪しまれても仕方がないほどだとの言葉で締めく
くられている。
そうすると,同記事を素直に読めば,筆者は,建物が安普請
であることを皮肉混じりに表現しているものと解され,建築費について某女子大学が不正経理をしている事実を指摘しているものでないことは明らかである。

記事14について
記事14では,
○○○な名古屋の某女子大学と記載されている
にすぎず,
○○○という3文字の部分に危険という2文字を
当てはめることはできない。読者それぞれが自らのイメージで3文字の言葉の当てはめを試みて想像するほかないが,その時読者は危険を当てはめないであろう。

記事15について
記事15では,筆者の要望が聞き入れられず,かえって叱正されてしまったとの記載がなされた上で,その叱正を受けた際に言われたことが,
(筆者にとって)
屁理屈にすらなっていない理屈で
あり,そういうことを言うから筆者にとって支離滅裂な人だとの
記載がなされている。
そうすると,同記事を素直に読めば,筆者が受けた叱正の内
容が支離滅裂であると記載されているにすぎず,某女子大学の指示を支離滅裂と表現しているものではない。
また,このような単なる愚痴や不満の表明といった程度の表現は,某女子大学の社会的評価を低下させるものではない。

記事16について
記事16は,筆者のカメラ歴を述べるものであって,導入部でP40の不祥事によって,○を買う気が失せたことを述べ,筆者の内心の連想的な動きに触れたにすぎないものであるが,P40の上記体質と某女子大学との連想の繋がりは全く不明である。さらに同記事の記述の最後に,括弧書きにより

(実際に某女子大学が,都合の悪いことを指摘した監査法人を切ったことがあるかどうかは知らないが。

と)
のはっきりした注意書きを加えている。
都合の悪いことを指摘した監査法人を切る体質で共通する連想関係があるのではないことが明らかにされ(他の部分での連想関係に依ること,ただしその内容は記述されていない)
,誤解が生じないように注意を喚起しているのであ
る。その注意書きは,某女子大学の都合の悪い監査法人を切るという体質の根拠の否定でもある。一般読者に対し,某女子大学に都合の悪いことを指摘した監査法人との契約を切るという体質があるとの誤解を与えようとするものでないことは明らかである。


本件ブログが公共の利害に関するものであることについて
被告学園は,学校教育法及び私立学校法に基づく学校法人であり,教育という公益(教育基本法第1条参照)を追求する公的存在である。したがって,被告学園における経営や運営,また教育実態や労働実態などに対する意見論評は,人身攻撃に及ぶなど論評としての域を逸脱しない限り,公共の利害に関する事項についての批判,論評を主題とする意見表明というべきである。
被告学園が名誉毀損だと主張する本件ブログの内容は,基本的に被告学園の経営や運営,また教育実態や労働実態に関する意見論評である。公益法人であり,教育機関である大学の実態は,社会的関心事であり,公共の利害に関する事項にあたる。

本件ブログが公益を図る目的であることについて
被告学園が名誉毀損だと主張する本件ブログは,大学組合副委員長である原告が平成23年6月から被告学園によって学長特命プログラムに従事させられ,教員としての研究や教育及び教務活動を奪われ,大学組合の仲間との接触もままならない状況に追い込まれた中で,大学組合の仲間に対し置かれた状況を知らせたりする目的で開設したものである。そして,本件ブログは,平成23年11月14日まで続いたが,その内容は,大学組合やその役員に対する被告学園の攻撃に対し,対抗的に論評することにより,公共性を有する被告学園の問題点を明らかにしようとの目的を含んでいることは明らかである。
したがって,本件ブログが公益を図る目的に出たものであるといえる。

真実性・相当性があることについて
(ア)

記事1について
記事1は,一読して明らかなとおり,4時間ずっと監視下で1室に閉じ込められるのは,それなりにきついという原告の体験,感想を述べたものである。
原告は,平成23年8月3日の午後,4時間にわたり,途中5分
の休憩を3回挟んで,漢字検定準1級試験を解いたり反省点等を書くよう業務命令を受けて,P11総務課長,P16総務課長補佐,P15人事課係長が交代で監視する中で,上記業務を遂行した。これは真実である。また,原告がこの業務遂行についてきつい思いをしたことも真実である。
以上のように,同記事の記述は真実であり,原告の表現は相当で
ある。

記事1のうち,
労働基準法違反とは,事実と法令を基にした評

価の結果であって,意見である。その基礎となった事実は,以下のとおりである。
センター試験は,毎年1月の土日の2日間行われるが,平成23
年は1月15日と16日に行われた。同月15日の監督業務の勤務時間は,午前8時30分から午後零時25分まで及び午後1時5分から午後6時50分までであり,3時間55分及び5時間45分との合計9時間40分であった。休憩時間は,午後零時25分から午後1時5分までであり,40分であった。また,同月16日の監督業務の勤務時間は,午前8時30分から午後零時25分まで及び午後1時5分から午後6時までであり,3時間55分及び4時間55分との合計8時間50分であった。休憩時間は午後零時25分から午後1時5分までであり,40分であった。
労働基準法第32条第1項及び第37条によれば,1日の法定勤
務時間は8時間であり,それを超えた勤務時間に関しては通常の賃金の2割5分以上5割以下の範囲内で割増賃金を支払う必要がある。被告学園は,大学組合との団体交渉で,センター試験の監督業務については,3月に支払う入試手当によって支払済みであると主張していた。しかし,入試手当は,センター試験の日に入試業務を行わなかった教員に対しても同額が支払われる。したがって,その入試手当がセンター試験の監督業務における割増賃金の意味を有するものでないことは明らかであり,割増賃金は支払われていないのである。これは労働基準法に違反している。
また,労働基準法第34条によれば,勤務時間が8時間を超える
場合においては,少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。しかし,被告学園が,センター試験の監督業務において与えた休憩時間は40分であり,労働基準法の基準に満たない。
以上に述べたとおり,原告は,大学組合の調査と団体交渉を経て
確認された真実を基に,超勤手当すら出ない労働基準法違反行為があるとの意見を持ち,これを表明しているのであって,その意見表明は正当である。
(イ)

記事2について


記事2のうち,
合理的理由がないとの記載は,事実に基づく被

告の評価論評である。
被告学園は,原告担当授業科目に学生評価の低い科目があったこ
とを口実として,学長特命授業改善プログラムなるものを設定し,これに従事するよう原告に命じた。原告は,その一環として授業プレゼンテーションを実施したが,当日の授業プレゼンテーションは,2回目のものであった。本来の授業とは学生の反応に注意を払いながらこれに対応して行うものであるが,原告が命じられたプレゼンテーションは学生抜きで行われ,プレゼンテーションを評価する者は文学部長を除いて,現在授業を担当しない者,担当した経験のない者ばかりであった。
原告は,授業プレゼンテーションの合理性に疑問を抱き,学長
(理事長)宛てに,平成23年7月23日,同年8月1日に質問状を出し,これに応答がなかったので,同月8日には質問に対する無回答の確認をも提出した。しかし学長は,これらに対して合理的な回答はもちろん,回答自体しなかった。
原告は,授業プレゼンテーションを行う必要性が見当たらないこ
と,実施方法が適切とはいえないこと,学長が原告の質問に対して授業プレゼンテーションの必要性,合理性について説明しないばかりか一切の回答をしないので不誠実に無視されるのみと解さざるを得
なかったこと等から,本件プレゼンテーションは不合理なものとの評価,意見を持つに至った。
この原告の評価は,後で本件仮処分事件において,
授業プレゼンテーションや課題図書の要約作業の実施方法についても,授業改善としての形式をとっているにしても,その実効性に疑念があるなど合理性に欠けるものであって,債務者の業務命令権を濫用するものと認められるとし,

債務者は,債権者に対し,学長裁定による授業改善特別プログラムに従事せよとの命令及びこれに伴う反省文,始末書の提出命令をしてはならない。

との決定が出されたように,十分な根拠と相当性を有することが確認されている。
よって,真実に基づいて授業プレゼンテーションを不合理とした
原告の評価論評は正当である。

記事2のうち,
まともな教員とは言い難い,自分が評価されるのは大嫌いだから授業担当から退いた人間との表現は,某女子大学の役職者に対する意見又は論評であり,その基礎とした事実は真実である。
すなわち,P20副理事長は,旧姓P65として被告学園の事務
職員だったが,平成13年3月31日に退職した。その後,平成16年4月1日に再び事務職員として赴任したが,平成17年9月1日に短期大学部の専任講師となった。そして,平成18年度には基礎簿記演習実践簿記演習などの授業を担当した。被告大学では,以
前から学生による授業評価アンケートが行われていたが,必ずしも全ての教員,授業が対象ではなかった。しかし,平成19年度から,原告として全ての授業がアンケートの対象となった。すると,P20副理事長は,その年度から短大所属を離れて,授業を担当しなくなった。また,同人は平成18年度には副学園長,平成19年度から平成22年度までは副学長を務めていて,一応大学教員の身分ではあったが,プレゼンテーションが実施された平成23年度の被告大学教員配置一覧には同人の名前が載っておらず,教員とはみなされていない。
P20副理事長が大学教員として授業を行ったのは極めて短期間
であり,学生評価にさらされて授業を行った経験は全くない。どのような授業がどのような学生評価を受けるかを十分熟知しているのか,授業プレゼンテーションを中核になって進め評価を下す適性が十分か等疑問が生じる教員歴といえる。
これらに基づき,授業プレゼンテーションの苦痛にさらされてい
る原告が,上記意見に至ったことは相当である。
(ウ)

記事3について
上記原告の主張のとおり,記事3の同じ内容の「業務が続く。し

かし監禁状態はじわじわと効いてくる。帰宅して夕食をとってから,3時間ほどソファで眠りこけてしまった。
」との表現は,当該文章を素直
に読めば,監視下で同じ内容の業務に続けて取り組んでいる状況を監禁状態に譬えていること,それがじわじわと効いてきて,疲れて眠りこけてしまった自分の体験を述べていることは明らかである。原告が,平成23年8月5日午後,5分間の休憩を除き,P9学舎4階第2会議室において,P11総務課長,P16総務課課長補佐,P15人事課係長が交替で原告を監視する中で,漢字能力検定試験準1級問題を解かせたり,授業プレゼンテーションの改善点を記述させたりする業務に従事したこと,これら業務が何度も繰り返されてきたものであること,その状態がじわじわと原告にダメージを与えたこと,夕食後3時間ほど眠りこけてしまったことは真実である。
原告は,業務遂行状況と自分の疲弊状況を述べているのであって,もしこれが被告学園の社会的評価を低下させる名誉毀損に当たるということになれば,比喩を用いたあらゆる表現,自分の業務遂行状況や自分の疲れを述べることが許されないことになる。
原告の表現は真実に基づくもので,相当である。
(エ)

記事4について
記事4について,一般読者は,原告が有休を認めて欲しかったのにそ
れが認められなかったことを理不尽と表現して不満を述べていると受け取る。
理不尽との表現は,原告の意見ないし論評である。
原告は,夏期休業期間中の平成23年8月8日及び同月22日から同年9月2日までの有給休暇承認願いを提出した。後者の休暇は,自己の研究のためインド視察を計画し手配を進めていたものであった。被告学園はこれを許さず,同年7月20日付けで休暇取得時季を変更するよう指示した。
労働基準法は,有給休暇について使用者は,前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし,請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては,他の時季にこれを与えることができる第39条第5(
項)と定めている。
そこで原告は,平成23年7月22日に学長宛質問状を提出し
て,事業場全体の業務が阻害されるかどうか明らかにするよう求めた。しかし,被告学園からの同月28日付け連絡(質問状回答含)は,原告に特別業務を課す旨を連絡するだけで,原告の質問に答えるものではなかった。そこで,原告は,さらに同月29日に有給休暇取得についてを提出して,申請済み有給休暇承認願を認めるよう相談したが,被告学園はこれを無視した。
原告が上記期間中に学長特命プログラムに従事しないことが,事業場全体の正常な業務を阻害するとは思われない。
原告は,上記を基に,被告学園の行為を理不尽と評価した。大学教員とりわけ研究熱心な原告には研究活動を妨げられることは著しい不利益であり,被告学園が発した休暇時季変更の指示の適法性に疑問があり,被告学園は原告の質問に一切答えないのであるから,
理不尽と評価
することは正当,相当なものと言わざるを得ない。
よって,原告の表現は,真実に基づくものであって,相当である。(オ)

記事5について
記事5は,他大学(○○学院)が先物取引で損失を計上し…資金繰りが悪化し…給与や退職金が支払われていないとのネットニュースがあった例をあげつつ,某女子大学はそうならないかと憂慮,疑問を述べるものである。
大学組合は,団体交渉において,何度か被告学園に

資産運用に失敗したのではないか。

と質したが,被告学園はこれを否定することはなく,否定すべき具体的な根拠も示さなかった。また,平成22年12月8日付けP66新聞に被告学園の58億円含み損に関する記事が掲載され,
高収益が望めるが運用リスクも高いデリバティブ取引でも多額の資金を運用高リスクの金融商品の評価額が…(中略)…差額の約58億円が含み損となっている等々とあった。これは資金運用の失敗と呼ばれる事態である。また58億円という数
字はそれ自体巨額というにふさわしい。さらに,被告学園は,平成22年度まで4月発行の学内報でその年度の予算を教職員に示し,6月号の学内報に前年度の資金収支計算書,消費収支計算書,貸借対照表を載せることで前年度の財務を教職員に示し,9月頃に発行される学報にも前年度の資金収支計算書,消費収支計算書,貸借対照表及び財産目録を載せるとともに被告学園サイトにも学報のPDFファイルをアップロードして,広く社会に公開していた。ところが,上記P66新聞の報道以降,財務報告を含むファイルが被告学園サイトから削除され,さらに,平成23年度には従前の恒例を破って,学内報に予算書も決算書も示されることがなくなった。
当時の原告は,P66新聞の記事を鵜呑みにせず,報道を含めて
被告学園の一連の態度から,
どうも資産運用に失敗している様子
とはっきりしない推定であることがわかるように断った上で,慎
重な記載をしたのである。
よって,原告の上記表現行為は,真実に基づくものであり,相当
なものである。

記事5のうち,
説明責任とは,上記P66新聞の記事に関する
ものであり,
放棄しているという表現は,原告の意見論評であり,
次の事実に基づくものである。
平成22年12月16日に全学メールで被告学園理事長名義学園財務に関するマスコミ報道についてという文書が配信された。その内容は,
平成22年12月8日付P66新聞(朝刊)等に掲載されました,P6学園金融取引含み損について,次のとおり説明します。同掲載記事について,学園当局として,現在内容を確認中ではありますが,一部事実誤認が見受けられることから,関係機関と今後の対応を検討しています。なお,本学園の財務状態は周知のとおり良好であり,本件に関連し,今後の本学園の運営,教育及び研究活動への影響はありません。教職員の皆さんにおかれましては,今後とも学園運営へのご理解,ご協力のほど宜しくお願いします。というものであった。このように,被告学園は財務状況は周知のとおりと述べるが,具体的な財務状況を説明しておらず,デリバティブ取引をしたのか,含み損があるのかすら説明していない。
大学組合との団体交渉において,資産運用に失敗したのではない
かとの大学組合の問い合わせに対して被告学園が具体的な説明をしなかったことは,上記のとおりである。
平成23年6月18日,教育後援会総会において,文学部児童教
育学科所属学生の保護者から,この件について質問が上がったが,会場にいた理事長と副学長は何の説明もしなかった。
被告学園には,財政状況の公開を定めた私立学校法上の義務,団
結権に対応した誠実説明・資料提示義務,在学契約に基づく信義則上の説明義務あるいは道義的責任,公益法人としての社会的な説明責任があると考えられる。
よって,原告の上記表現行為は,真実に基づくものであり,その
意見論評には十分な根拠があり相当なものである。
(カ)

記事6について
本件特命プログラム従事中の原告は,平成23年8月13日,駐車場
から出てくる自動車に衝突されて右脛骨骨折等の傷害を受けて入院,手術を余儀なくされ,なおリハビリ療養中であった。後期授業のため出勤し,後期授業時間割どおり2コマの授業を済ませたところで,突然,被告学園から,翌日からの授業を全て休講にせよと指示された。記事6は,その様子とその時の原告の思いを記載している。そして,原告が行った表現は,以下の事実に基づいており,正当である。
原告担当授業全てについて休講命令が発せられたのは,平成23年度後期になり,既定の後期開講時間割と担当教員によって授業が開始されたばかりの時であり,原告が第1日目の授業を済ませた時点であった。そんな時期の突然の翌日からのすべての授業の休講命令は常軌を逸したものと言わざるを得ない。
平成23年度前期において,原告は授業等通常の教員業務をこなしながら本件特命プログラムに従事し,授業プレゼンテーションも行っていたのであるから,プレゼンテーションのためであるならあえて全ての授業を休講にする必要はない。被告学園はリハビリに励むよう口先では言ったが,被告学園自身がかえってリハビリを要する原告に対し過重な負担となるような措置を取ったことに照らし,それが休講命令の真の理由ともいえない。
そして,そのプレゼンテーションとは,記事2で述べたとおりの実態であって,合理的とは考え難いものであった。そのプレゼンテーションの準備に励ませるために,始まったばかりの原告担当授業全てを突然休講にし,学生の勉学意欲を削ぎ先行き不安(単位取得等)を煽るような措置を取ることに教育上の合理的理由を見いだすことは困難である。この意味でも授業プレゼンテーション(及び休講命令)は不合理と言わざるを得ない。
プレゼンテーションを行うことは,原告にとって正当性と合理性に欠けると思われ,正当な理由を発見することができないのであるから,それをやらせる意味は理事会の面子のためであろうと原告なりに解さざるを得なかった。
本件仮処分事件の決定では,上記のとおり合理性に欠けると判
断されている。
よって,原告が授業プレゼンテーションに合理性がないと評価し,表明したことは正当であり,相当である。
(キ)

記事7について
記事7の表現は,評価の結果であって意見であり,以下の事実に基づ
いている。
上記記事1に関する原告の主張のとおり,被告学園は時間外手当を支払わないし,上記記事4に関する原告の主張のとおり,原告の有給休暇取得承認願に対して被告学園は理不尽な時季変更権を発する等の労働基準法違反事実が認められる。
大学組合は平成19年4月16日に結成されたが,大学組合が被告学園に何度も団体交渉を申し入れたにもかかわらず,平成19年度は愛知県労働委員会による斡旋によってようやく団体交渉が3回(同年7月26日,同年12月2日,平成20年3月12日)開かれたにとどまる。平成20年度から平成22年度までの団体交渉では,被告学園は説明義務を果たさず,自主的な交渉によっては何一つ労使合意は成立したことがなく(労働委員会関与による労使合意を除く)
,常にカラ団交にすぎ
なかった。そして,平成23年度は被告学園は愛知県労働委員会の斡旋を辞退して,団体交渉に応じなかった。
被告学園の法人本部は,平成20年度以降,毎年4月初旬に学校法人P6服務規程について(確認)と題する学内メール(内容は,標記のことについて,過去に学園当局の了解を得ることなく,一部の教員により,学内教職員に対して,P7組合関連資料の配付が行われました。この行為により,学園当局は,日常業務遂行に支障をきたしました。このことを憂慮し,学園当局は,同組合に対して,今後二度と通常勤務時間中にそのような行為をしないよう,抗議をした経過があります。いうまでもなく,学園は,教職員に対し,就業時間中に職務専念義務に違反するような行為は一切認めておりませんし,許可なく,学内で同行為を行うことも一切認めておりません。そこで,皆様には改めて,以下のとおり,服務規律に遵守事項を規定していることを確認させて頂くとともに,規定に反する行為を行った場合,及び違反行為に応じた場合には,厳重に処罰されることがありますので注意してください。というもの。
)を全学に配信して,具体的な事実の根拠を示さずに大学組合を誹謗中傷するとともに,組合活動に対して支配介入をしようとしてきた。平成20年度以降,被告学園は,教職員の一時金(期末・勤勉手
当)について,団体交渉を遅延させつつ,大学組合の頭越しに,全教職員宛て学内メールを配信し,

P7組合に対しては,一方的に支給しないこととしております。

あるいは

P7組合員に対しても,支給の要請に基づき支給することとしております。

と,組合員には所定の時期に一時金を支給しないとして不利益が生ずる旨を告知している。
被告学園は,平成20年12月,名古屋東労働基準監督署から割増賃金未払いの労働基準法違反について是正勧告を受けた。しかし,被告学園は,平成21年3月13日,
休日出勤手当の支給についてと題
するメール(内容は,
標記のことについて,休日出勤の振替休日の指定ならびに勤務時間制度に関しては,1月29日付けで通知しましたが,このほど勤務時間の管理の方針に基づき,平成20年11月に遡及して休日出勤手当を支給することとします。(平成21年3月分給与に合算)ただし,学園が組合員と認識し得る17名の教員に対しては,本件が団体交渉事項であることに鑑み,一方的には支給しないこととします。というもの。)を全専任教員に配信した。これに対し,大学組合が,
平成21年3月16日に開催された団体交渉で,労働基準法第115条に基づく割増賃金の請求権は平成18年度から2年間分であることを指摘し,
なぜ平成20年11月までの3か月分しか遡及しないのかと
質したところ,被告学園はそれ以前は未払いがあると認識していないからなどと答えた。しかし,労働基準監督署へ申告した本人である原告は,平成18年度,平成19年度,平成20年度の出勤簿記録のコピーを入手しており,これに照らすと,出勤簿を管理している被告学園が未払いがあると認識していないと説明することは白々しいものと考えざるを得ない。
被告学園が設置運営するP1大学中学校とP1大学高等学校に勤務する教職員で構成するP67組合は,かつて,被告学園と労使協調関係にあったが,被告学園のあまりの不誠実団交態度(団体交渉期日設定対応の不誠実,財務諸表の不提示等)等に遭い,平成24年4月26日,愛知県労働委員会に対し,不当労働行為救済申立を行った。
被告学園の労働関係法違反は多いが,上記の点からだけでも,原告の表現は,真実に基づくものであり,その意見論評には十分な根拠があり,正当なものである。
(ク)

記事8について
記事8のSさんとは,P41を指している。P41は,昭和6
3年4月1日に助手として被告大学文学部に赴任し,平成14年4月1日に教務補佐員に配置替えとなった。平成15年4月1日には異職種たる事務職員に配置替えとなって給与体系は低下し,P8学舎で大学教務関連の業務を担当していた。平成19年1月15日には,同年4月1日の法人合併前のP6学園に出向し,中高校の事務に従事した。数年にわたって文学部教務委員を務めていた原告と教務事務担当のP41とはいわばチームメイトであった。P41は,大学教務の事務にやりがいを感じ,一生懸命に業務に取り組んでいた。
P41が従事していた大学教務事務は,1月から3月にかけて,
4年生の卒業要件のチェック,期末試験,次年度の時間割作成その他で最も多忙な時期であり,とりわけ学生サービスを最優先課題とする被告大学には,これらを適切に処理するため,経験を積んだ事務職員が必要不可欠であるとともに,当該事務職員に大きな心身の負荷を与える時期である。その時期に,P8学舎の教務担当者を配置転換することは,P8学舎(文学部)における上記諸業務に支障を生じさせるので,他大学では一般的にまず行わない人事異動である。文学部教務委員であった原告は,仕事熱心なP41が教務事務から外れたことにより仕事がやりにくくなり,困惑,不都合を覚えた。
P41の出向先であるP1大学中学校,同高等学校では,土曜休
みは各週とされる(被告大学では毎週土曜は休み)等,P41の労働時間は増加したが,給与は以前と同額で,労働時間増加に対する補償はなかった。
P41は,未経験の中学校,高等学校事務に従事することになっ
たが,学校とはいえ制度も指揮命令関係も人間関係も大学とは異なる新たな職場で未経験な業務に従事させられることがそれ自体大きなストレスとなることは明らかである(労働基準局心理的負荷による精神障害の認定基準及びその別紙業務による心理的負荷評価表等)
。さらには,中・高校もまた学期末と年度替わりを迎えての卒業
関係事務,入学関係事務,進級関係事務,次年度準備事務その他で,非常に多忙な時期であり,これらがP41のストレスを増加させることも明らかである。
そして,P41は,異動1年後の平成20年1月13日にガンで
死亡(満42歳)した。
平成20年に大学組合が行った調査では,被告大学の中途退職者
は多く,寄せられた退職者アンケートにはこのままこの法人で働いていると鬱病などの病気になってしまう不整脈が頻発するようになってしまいました等の声が見られた。大学組合は,職場が健全な状態ではなくなっている現状があると理解した。
生前のP41は快活で,まじめに業務に取り組み,物事を批判的
に捉えることのできる人でもあったから,原告としては,こういう職場状況下での時期外れともいうべき出向によって,P41はやりがいを失ったのではなかったか,過大な負担を受けていたのではなかったかと想像し,急逝したP41を思いやった。
心身がどこか不健康な状態であれば,病気を発症しやすくなり,
回復は困難になり,死期を早めることもあると一般人は理解する。原告もそのような理解を基礎に,若くして逝去したP41に死期を早めたといまだに信じていると哀悼の意を表明しているのである。一般の読者は,同記事に記載されている原告とP41との結び付
きを基礎として,この一文を読むのであり,チェリストの話題を契機に業務上のチームメイトであり,チェロ好き同士の会話を交わしたP41を原告が思い出し,その生前の不遇や労苦を思いやって強い哀悼の意を示しているのだと受け取るのが普通である。一般読者は,人事異動がP41に大きなストレスを与えたであろうことを推測できるし,それが健康にもよくないとも考えるであろう。その人事異動が通常ではなされないものであることも理解するであろうが,当該人事異動命令自体の法的な当不当は別問題であることをわきまえているはずである。
以上のとおり,原告の表現行為は,真実に基づくものであり,十
分な根拠があり,相当なものである。

記事8のうち,
崩壊しつつあるとの表現は,P41への哀悼を

込めたものであるが,被告大学についての原告の意見論評ともいえる。大学教員である原告は,大学とは,良心的な学問研究の府である
と同時に,次代を作り支える学生たちへの教育,指導を充実させるべき公共的使命があると信じ,それを実現するための各構成員の自覚的努力やそれらを保障する諸条件(労働条件,相互協力等)の確保等が必要であると考え,自らの専門分野の研究だけでなく,FD(学生教育の在り方)の学習研究にも取り組んできた。労働組合活動にも取り組んだ。
しかし,近年,被告学園における離職率が高くなったことと,職
場環境が必ずしも風通しのよい健全なものではなくなったこと,教授会が形骸化してきたこと,学生に対するサービスの低下が危惧される等の事実がみられるようになった。
これらの評価を前提として,原告の大学観に照らし,被告大学が
十分に社会的付託に応える教育・研究機関としての機能を果たしにくくなって行くと思われる様子を比喩的に崩壊と表現したのである。よって,原告の意見論評には根拠があり,相当なものである。
(ケ)

記事9について
上記原告の主張のとおり,記事9の内容自体が,全体を通して,
真偽の程は知らない怪人,,といった非現実的世界を描き,論旨

不明になっており,一般的読者が同記事を読んで,某女子大学内に犯罪者がいると思うことはない。
意味不明なものが社会的評価を低下させることはないから,こ
れに対して,真実性・相当性の抗弁を提出することは意味をなさない。(コ)

記事10について
授業見学を嫌がらせと感じるのは被害を受けた原告の受け止め方

であり,意見論評に属する。
被告学園が原告に命じた授業見学は,本件特命プログラムの中の一つである。原告に命じられた授業見学は,不相当に頻度が過大で,右脛骨骨折リハビリ中で再手術が予定される原告に授業間の僅かの時間に遠い教室間の移動をさせて症状を悪化させかねないもので,原告の担当授業や専門科目とは全く異種の授業の見学を含み,短時間で授業見学の感想を書かせて提出させる等,不合理な苦行,苦痛を与えるものであった。これらからすれば,原告が授業見学を嫌がらせと受け止めることはやむを得ない。
そして,本件仮処分事件の決定でも授業見学の不合理さが認められていることは,上記のとおりである。
よって,原告の表現は正当,相当である。
(サ)

記事11について
記事11のうち,
P39のマンガ
B級学園ドラマ
どたばたコメディーとの表現は,原告の意見論評である。
原告に対しては本件特命プログラムへの従事が命じられ,漢字検定模擬試験,授業プレゼンテーション,後期全授業休講命令,授業見学,反省分の提出,始末書の提出等々,不合理で非人間的な業務命令が発せられ続けた。文学部教授である原告は,文学部のあるP8学舎に個人研究室を与えられていたが,平成23年10月17日,被告学園は原告の個人研究室を取り上げ,被告学園本部のあるP9学舎内の一角を原告の研究室とした。しかも移動作業には原告は一切タッチできず,P8学舎の研究用コンピュータも回収されてしまった。このような仕打ちを受けることは,通常の大学人にとって驚愕であり恐怖である。大学教員の研究と教育の最後の砦ともいうべき個人研究室さえ取り上げられ,本務遂行に使用していたコンピュータもが取り上げられ,大学教員として長年の研究・教育を経て蓄積してきた研究室内の諸資料やデータまでもが原告の手元から離れて被告学園の恣意のままにされかねないのであるから,まさに著しい恐怖といえる。
被告学園は,研究室移動の理由として述べたのは,①原告の傷害の療養のため,②授業プレゼンテーション準備のためというものであったが,いずれも矛盾に満ちた不合理な理由であった。そもそも原告の研究室を移動させる正当な理由はなかった。
原告は,P39の

恐怖漫画もギャグ漫画も本質は同じだ。通常ならあり得ないような出来事で恐怖に戦いている人間を別の角度から描くとギャグ漫画になる

という言葉にならってこの事態を眺めようとした。そうして不当な扱いを受けたことを揶揄的に表現(パロディ化)したのが,上記の表現である。
原告の表現は,大学教授である原告の立場から,そのような表現を用いて被告学園の扱いを批判し,あわせて最終回,どういう展開で終わるのか楽しみだと自らの精神を支えようとすることがわかる。よって,原告の表現行為は正当,相当である。
(シ)

記事12について
記事12は,

某女子大学も漢検がお好きらしい。「何か相通ずるも


のを感じているのかもしれない」との,いずれも憶測的感想ないし原告内心に生じた連想を述べたものにすぎない。
日本漢字能力検定協会は,理事長らの私的流用がマスコミで取り上げられる前に,文部科学省から幾度も指導を受けていた。被告学園は本来手を出してはならない高リスク金融商品で資金運用を図ったらしいことが報道され(上記記事5に関する原告の主張)
,労働基準監督署の是
正勧告を受け(上記記事7に関する原告の主張)
,副理事長の所得税法
違反疑惑で国税局の調査を受けており,その他にも上記原告主張の諸事実があり,コンプライアンスに問題があるように見える。読む読者次第で各人各様の連想が成り立つのであって,理事らが背任行為を犯しているとの事実を連想させることになるのではない。
以上のとおり,原告の表現行為は相当である。
(ス)

記事13について
記事13では,筆者が某女子大学の校舎について,建物の床がし

っかりしていないことを発見し,
建築費を値切ったのか本来使うべき費目に使われずに別のどこかに行ってしまったのかと記載し,(そ
のように)
怪しまれても仕方がないほどだとの言葉で締めくくられ
ている。そうすると,この記事を素直に読めば,筆者は床が不安定な状態であることを嘆き,そのひどさを形容しているものだと読める。建築費について某女子大学が不正経理をしている事実を指摘していないことは誰にでも明らかである。
そして,建物の床がしっかりしていない事実は,原告自身の体験に基づく真実である。
よって,原告の表現行為は真実に基づき,相当なものである。
(セ)

記事14について
記事14の

インドの安宿のほうが某女子大学よりも安全である可能性が高いということも起こりうる。

との表現は,評価論評である。この評価論評は,部屋に鍵をかけてあったのに,研究室として与えられた部屋の中に置いてあったものが不在中に断りなしに持ち去られた事実と,インドの安宿は自前の鍵に付け替えれば自分の留守中に誰かが勝手に部屋に入って何かを持ち出す心配がないこととを比較して表現したものである。
ちなみに,被告学園は,本件仮処分事件の申立て後に原告が応接室に置いておいた私物が入った鞄と自宅へ持ち帰る予定であった段ボール箱を,原告を別室に呼び出しておいて,その隙に持ち去ってしまった。鞄は何とかその日のうちに取り返すことができたが,段ボール箱はなかなか返されなかった。インドの安宿より安全だと確かにいえるのだろうか。
よって,原告の表現行為は,真実に基づき相当なものである。
(ソ)

記事15について
記事15は,原告の要請に対しベテラン教員にあるまじき発言と叱正したことを問題にしており,それが屁理屈にすらなっていないとし,そういう理屈を口にすることを支離滅裂と述べている。
上記原告の意見評価は,ブログ記載にあるとおりの事実に基づく。すなわち,プレゼンテーションの資料を作成する時間を保障してほしいという筆者の要望が聞き入れられず,かえってベテラン教員にあるまじき発言だと叱正されてしまったのである。そもそもベテラン教員らしからぬ授業力しかないという口実で特別業務が課せられているのだと思っていたところ,叱正のとおり原告にベテラン教員の能力が備わっているとみなしているのなら特別業務は必要がなかったはずであって,叱正者に自己矛盾がある。したがって,
ベテラン教員であるとして原告の要請を拒否する理屈は,
屁理屈にすらなっていない理屈であり,そういうことを平気で言える人,すなわち原告を叱正した人は支離滅裂な人にみえると評価したのである。
よって,原告の表現行為は,真実に基づいており,相当なものである。
(タ)

記事16について
記事16は,カメラの話題の前振りとして書かれているもので,自己
の内心で生じた連想を表白したものでしかない。
私立学校法人には学校法人会計基準(昭和41年4月1日文部省令18号)が適用され,一般企業会計とは異なる特殊な会計処理が行われる。そのため監査に際しても上記会計基準の理解,熟達が必要不可欠で,これを遂行しうる監査法人がどこにでもあるというわけではない。被告学園の会計監査に関しては,継続的にP68監査法人の監査を受けてきた経過があったが,P20副理事長が被告学園事務職員主事になった平成16年度以降,監査法人を1年限りで2度変更しているという事実がある。また,監査法人が入れ替わりの時期に被告学園の資産運用関連の額が極めて大きくなった事実がある。監査する側とされる側の癒着を避けるために適度な期間制限とインターバルがあってよいが,1年限りというのは少々短い感がある。
しかし,相応の学者としての訓練を経ている原告としては,P40の体質が被告大学の体質と同種でるかどうか不明であり,監査法人の交替が都合の悪いことを指摘したことによるかどうか覚知できていなかったから,
実際に某女子大学が,都合の悪いことを指摘した監査法人を切ったことがあるかどうかは知らないと注意を喚起する文章を付加して,自己内部で生じた連想を述べたに過ぎないことを示すとともに,読者の誤解を避けているのである。
よって,原告の表現行為は,真実に基づき相当なものである。
(8)

争点(8)(本件解雇が無効か否か)について

(被告らの主張)

原告が,原告自身がインターネット上に開設するブログサイトにおいて,本件ブログを掲載し,掲載された記事の内容が,いずれも虚偽もしくは事実を歪曲し,被告学園を誹謗中傷,侮辱する表現であり,被告学園の社会的評価を不当に著しく低下させるものであることは,本件ブログが不法行為に該当するかに関する被告らの主張のとおりである。
そして,原告は,本件ブログを一般公衆の閲覧に供することによって,被告学園の社会的評価を不法に低下させたものであり,このような原告の行為は,原告と被告学園間の信頼関係を著しく破壊するものである。また,被告学園の就業規則32条1項6号学園の体面を汚損したと認められるときに該当するものであることも明らかである。なお,原告の本件ブログの掲載は,平成23年8月3日から同年11月12日までの長期に及び内容も多く多岐にわたる。原告は,これだけ執拗に被告学園の批判を継続して行ったのであるから,信頼関係の破壊の程度は著しく,情状もはなはだ重いといわざるを得ない。
したがって,原告の行為は,就業規則23条1項5号その他特別の事由のある場合に該当する。また,原告の行為は,懲戒解雇事由に該当するものであるが,被告学園は,原告がこれまで長期にわたり継続勤務してきた実績に鑑みて,より軽い普通解雇に処したものである。

よって,本件解雇には十分に合理的理由があり,なんら違法性はない。
(原告の主張)

本件ブログに掲載された記事が,被告学園を誹謗中傷し,信用失墜させ,あるいは名誉を毀損して被告学園の社会的評価を低下させるものではなく,また,その内容が専ら公共の利害にかかるもので,公益を図る目的で行われ,真実であって相当なものであって,不法行為に該当するものではないことは,上記原告主張のとおりである。
したがって,そもそも解雇事由がないから,本件解雇は無効である。

本件解雇理由書には,被告学園就業規則第23条第1項第5号その他特別の事由がある場合に該当することが解雇理由とされている。上記規定の内容は,被告学園就業規則第23条1項第1号ないし第4号が業務に関する事由を摘示するのと対比して極めて特殊であるとともに,規定自体が抽象的かつ包括的であり,いかようにも解釈できるものである。解雇という労働者にとって最も重い処分である解雇の正当事由を示す意味を有さない。労働基準法89条3号は,就業規則に解雇に関する事項を定めることを求めており,これには解雇事由が含まれると解されるところ,解雇事由を列挙した場合は原告として制限列挙と解すべきであって,同項5号のような白紙条項規定をもって解雇を行うことは許されないものといわねばならない。
本件解雇理由書が示すとおり,原告の職務遂行行為や規律違反は問題とされておらず,被告学園が白紙条項による解雇を行うことは許されないところ,なおそれでも解雇をするのであれば,解雇を不可避とすべき原告の行為の特定とそれをもって解雇可能であることの法的根拠を示さなければならない。しかるに,本件解雇理由書にはそれが示されておらず,結局,本件解雇には解雇を正当とする事由・事実はないに帰する。
したがって,本件解雇は無効である。
なお,被告らは,本件ブログの記事が被告学園就業規則第32条第1項第6号の学園の体面を汚損したと認められるときに該当すると主張する。しかし,同条項は懲戒事由を定めたものである。解雇通知書及び本件解雇理由書によれば,上記規定ないし理由は本件解雇の根拠とされていない。懲戒事由と解雇事由を混同する点で,被告らの主張は失当である。ウ
ブログは,時事の紹介,筆者の感想,論評,個人的体験,日記等を書き込む私的なコミュニケーションの具として利用されている。本件ブログも,就業時間,就業場所を離れて,様々な出来事を綴ったものである。開設期間は,平成23年7月30日から同年11月14日までの3か月半であった。
労働者は,労働契約により使用者の指揮命令に従って労務を提供する義務はあるが,人格的な隷属を求められるものではない。労働者は職場を離れれば一個の人間として,活動の自由,表現の自由その他の人権を享有し,職場への批判,不満の表明等も当然に許される。使用者といえども支配権はこれには及ばず,労働者の自由な言動を尊重しなければならず,勤務先に対する正当な意見表明も尊重されなければならない。
被告学園は,平成23年11月14日,本件ブログに関し,
インターネットブログ掲載について(確認・通告)なる文書をもって,掲載を差し控えるよう通告した。これを受けた原告は,翌15日,本件ブログを全て削除し,誰も見ることのできない状態にした。被告学園は,同月22日,原告宛文書をもって,本件ブログが直ちに閉鎖されたことの事実を確認したと伝えた。
本件ブログの削除によって,
誹謗中傷,信用失墜,名誉毀損
(本件
解雇理由書)のおそれは取り除かれ,以後これについての懲戒処分等はなく,本件は一件落着となっていたものである。
ところが,被告学園は,本件ブログ削除から8か月以上も経過した平成24年7月31日になって,突然,本件ブログを蒸し返し,名誉毀損等として解雇事由とした。しかし,本件ブログが,仮に不法行為が成立するものであるとしても,当然に正当な解雇理由となるわけではない。
原告が不合理極まりない被告学園の業務命令にも服して勤務を続けてきたこと,被告学園の通告に従って直ちに本件ブログを閉鎖したこと,その後,本件ブログについて懲戒処分,注意等の対象とされることなく沙汰無しとなったこと等を考えると,本件解雇は,合理性も相当性もない違法,無効なものといわざるを得ない。

被告学園は,大学組合との団体交渉を拒否し,学内組合活動を一切禁じる等徹底的な反組合活動を取り続けており,反労組体質を有している。本件特命プログラムと教職員研修室業務の不合理性,過酷さ,執拗さは,特別な狙いと目的を持つものと考える外なく,その狙いは大学組合を嫌悪し,その弱体化を図るものとしか考えられない。
被告学園は,大学組合組合員で当時唯一公然化していたP29を教職員研修室に閉じ込め,平成20年8月22日付けで解雇するに至ったが,その解雇に至る手口(一般職員との隔離,拘束状態の継続,合理性のない過酷な業務命令,管理職らの前でのプレゼンテーション実施命令,多数の反省文,顛末書の提出命令等々)は,本件と類似である。
被告学園は,平成23年4月13日,大学組合のP27委員長を解雇処分に付した。被告学園は,大学組合の中心メンバーを解雇により学園から排除して組合弱体化を図ろうとする露骨な攻撃である。
本件特命プログラムに関する業務命令,本件配転命令,本件降任処分,そして本件解雇は,いずれも原告が大学組合の役員であることをもって,差別的に,不利益な取扱いをするものである。
したがって,本件解雇は,労働組合法第7条第1号の不当労働行為に該当するので,公序良俗に反し,違法,無効である。

以上のとおり,本件解雇は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当でなく権利の濫用として無効である。

(9)

争点(9)(被告らの不法行為の有無)について

(原告の主張)

被告学園について
(ア)

被告学園は,大学組合の副委員長である原告に対し,学生の授業ア
ンケートを口実に平成23年6月16日から本件特命プログラムを押し付けて教授職業務を取り上げた。それは,研究室という場所と時間及び研究費を奪うものであった。それが,平成24年3月13日の本件仮処分事件の決定によって裁判所の断罪を受けると見るや,同日,原告を教職員研修室勤務に配置転換する本件配転命令を出し,それに対する第2次仮処分事件の申立ての直前の同年4月2日には教授から助手への降任を命じる本件降任処分を出して司法の審査を免れようと画策し,第2次仮処分事件で本件降任処分に対する申立てが追加されると,同仮処分事件における主張を尽くそうともせず,本件解雇という行為に出た。これらの1年以上にわたる被告学園の原告に対する一連の行為は,これまで主張したとおり,原告の授業業務を取り上げて本件特命プログラムに従事させて原告に屈辱や苦痛を与え,あるいは研修室への配置転換を名目として事務職員の業務を押し付け,屈辱と苦痛を倍加させるなど,専ら原告に対して屈辱や苦痛を与えることのみを目的としたものばかりであった。健常な一般人がこの種の非人間的な侮辱,拷問,苦痛にさらされれば精神疾患等に陥る等深刻な結果を招くであろうといえるものであり,原告は大学教員の本務である教育と研究から遠ざけられるとともに,人格権を侵害されて著しい苦痛を与えられ続けたのである。(イ)

被告学園は,原告に対して本件解雇を通告した翌日,学内メールを
使って被告学園の全教職員に対し,以下の内容の文書を発信,配布した。人事に関する連絡事項学校法人P6は,平成24年7月31日付けでP25氏(法人本部教職員研修室)を普通解雇しました。解雇に至った主な理由は,同教員が掲載したインターネット上の日記(通称,ブログ)等により,学園の誹謗中傷,信用失墜,名誉毀損行為を繰り返し,また,自らその非を認めなかったこと等によるものです。同教員については,過去に次のとおり様々な不祥事を積み重ねたことも考慮のうえ,今回処分に至った旨,付言します。学園は,同教員が同教育研究室内設置のパソコンを勤務時間中に長期間かつ継続的に不正使用していた事実を確認したことから,平成23年12月14日付けで同教員を懲戒処分しました。次に,学園は,同教員の業務命令違反及び学園施設管理権侵害の事実を確認したことから,平成24年3月9日付けで同教員を懲戒処分し,さらに,学園は,同教員の職務専念義務違反の事実を確認したことから,平成24年4月27日付けで同教員を懲戒処分しました。すでに述べたとおり,本件懲戒処分は正当な根拠を欠くものであ
り,本件解雇も不当なものである。この被告学園のメール配信行為により,原告の名誉は著しく毀損された。

(ウ)

よって,被告学園は,原告に生じた損害を賠償する責任がある。

被告P2について
被告P2は,理事長兼学長として被告学園の原告に対する一連の命令と処分を主導した。すなわち,被告学園の自己点検・自己評価委員会が是とした原告の授業に対し,それとは別に被告P2は学長として,平成23年6月16日に本件特命プログラムを命じ,平成24年3月13日の教職員研修室への配置転換を命じる本件配転命令を出し,同年4月2日の教授から助手への降任を命じる本件降任処分を出し,また,原告に対する3回の懲戒処分も理事長として出し,本件解雇を行った。
よって,被告P2は,被告学園と連帯して,原告に生じた損害を賠償する責任がある。
(被告らの主張)
否認ないし争う。
(10)

争点(10)(乙事件請求が違法・不当なものか否か)について

(原告の主張)
上記原告の主張のとおり,原告は平成23年6月から本件特命プログラムに従事させられ,それについて,本件仮処分事件において,名古屋地方裁判所は,平成24年3月13日,被告学園に対し,原告に本件特命プログラムに従事せよとの命令及びこれに伴う反省文,始末書の提出命令をしてはならない旨の決定を出した。それにもかかわらず,被告学園は,原告に対し,本件配転命令を出したり,本件降任処分を出したりした。
そして,被告学園は,それらの被告学園の原告に対する攻撃に原告が全く屈しないと見て,乙事件の訴訟を提起した。さらに,乙事件訴訟の提起後,被告学園は,原告に対し,本件解雇を行った。
これらの一連の経過を見ると,被告学園は明らかに大学組合攻撃の一環として大学組合の副委員長である原告を攻撃し続け,その攻撃方法の一つとして乙事件の訴訟を提起したものである。
経済力に勝り,原告を雇用の従属関係のもとに置く被告学園が,名誉毀損の名の下に高額の損害賠償訴訟を提起すれば,それだけで原告に過大な負担を背負わせ,萎縮させることは火を見るよりも明らかである。
近時,
市民の関心を排除するための訴訟戦術だといわれるスラップ訴訟が社会問題とされており,それは,権力や大企業が自分を批判したりするマスコミや学者に対し,名誉毀損の名の下に高額な金額の損害賠償訴訟を提起するものである。
乙事件の訴訟は,労働組合運動を排除するために戦術として被告学園が原告に対して起こした訴訟であり,裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠き,違法・不当なものである。
したがって,被告学園の請求は直ちに棄却されるべきである。
(被告学園の主張)
否認ないし争う。
第3
1
当裁判所の判断
争点(1)(本件特命プログラムが違法か否か)について
(1)

被告らは,原告の授業に対する学生による授業評価の結果は,他の教員
と比較して低かったと主張する(争点(1)に対する被告らの主張イ(イ))ところ,証拠(乙38の1ないし15)によれば,被告らが主張する結果となっていることが認められる。
そして,証拠(乙14)によれば,平成23年6月14日に開催された大学運営会議においては,同月3日に開催された自己点検・自己評価委員会にて決定した学長特命事項の授業改善プログラム対象者2名(うち1名は原告)について,同改善プログラムの合理的推進に向けて,担当授業科目と研究内容の整合性について,学生支援センターに検証を依頼したこと,検証の結果,原告については,平成22年度に指摘を受けた授業科目と研究内容について,特に授業改善プログラムの対象となっている授業科目(日本語運用)において,全学的な質の確保,向上を実現するために,さらに検証を進める必要があるとの報告があったこと,そこで,授業改善プログラムを合理的・効率的に実施するためにも,原告については,授業科目に基づいた研究も合わせて推進するよう学長裁定のもと,授業改善プログラムの面談時に指導・助言を行う旨の説明がなされ,これが確認されたことが認められる。しかし,証拠(甲19の2・3)によれば,平成23年6月6日付けの自己点検・自己評価委員会による授業観察報告書には,基礎ゼミ1に関する原告の授業については,自己点検・自己評価委員会からの改善通知欄には,

今回の授業観察では,特に問題は見当たらなかった。引き続き,さらなる向上に取り組まれたい。,観察者からの参考意見欄には,

授業内容・方法に大きな問題はないように思われる。簡潔な表現が用いられ,学生に分かりやすい基礎的な授業が進行していた。グループでの話し合いの時間もとられ,工夫されているように感じた。,

ごく一部であるが,私語をする学生への指導はもう少しあってもよいように感じた。しかし,総合的に見て適切な授業が行われていた。,

基礎ゼミということで,担当教員は学生が少しでも興味・関心を持つように工夫して授業に望んでいるのは分かるが,専門科目でないことも関係してか,授業に対しての学生の熱意が感じられなかった。

との記載が,日本語運用1に関する原告の授業については,自己点検・自己評価委員会からの改善通知欄には,

今回の授業観察では,特に問題は見当たらなかった。引き続き,さらなる向上に取り組まれたい。,観察

者からの参考意見欄には,

教材の工夫,授業のための準備など,様々な面でよく努力されていると感じた。国際英語学科の学生にとってこの科目の位置づけさえ認識できていれば,問題ないと感じる。,

丁寧な授業展開で,学生はよく理解できるのではないかと思う。最初の20分を復習にあてており,提出物の添削もされており,まじめに授業に取り組む姿勢がうかがわれた。,

机の上の持ち物を整理させたり,教科書を忘れた学生に対する個別の配慮もきちんと行われており,特別な問題はないと考える。,

ただ,学生の興味や関心を高めるための工夫の余地は,まだ幾分かあるように感じた。学生にとっての日常的な題材を取り上げたり,学生相互に議論させたり,添削させたり,発表させたり,学生の主体性がもう少し活かされるとより活性化するのではないか。との記載がある。上記報告書によれば,原告の基礎ゼミ1及び日本語運用1については,自己点検・自己評価委員会において,特に問題はないというのであり,観察者の感想も原告の授業内容・方法について評価できるものであるというのであるのに,上記大学運営会議においては,上記報告書の内容が検討された余地はうかがえない。
(2),上記前提事実のとおり,平成23年6月16日から本件特命プログラムが開始されたところ,本件特命プログラムにおいて,被告学園が原告に対して命じた業務の内容は,上記争点(1)に対する原告の主張のイ及びエに記載のとおりであることは,当事者間に争いがない。
しかし,原告の授業について,上記運営会議において問題とされたのは日本語運用であったところ,上記認定のとおり,被告学園が原告に対して命じた業務の内容は,漢字能力検定試験の問題を解かせるというものである。原告の漢字の読み書きに問題があるというのであればともかく,原告の漢字に関する能力に問題があることが原告の授業の問題としてあげられていたことは全くうかがえないから,漢字能力検定試験の問題を解かせるという業務命令自体にそもそも必要性・合理性があるとは認め難い。
また,上記認定のとおり,被告学園は,原告に対し,プレゼンテーションによる授業評価を実施する旨の指示をしたところ,プレゼンテーション対象科目とされたのは,日本語運用1,日本語・日本文学表現演習1,アジアの中の日本,哲学,哲学の方法,思考の方法1であった。しかし,原告の授業について,上記運営会議において問題とされたのは日本語運用であったのであるから,日本語運用以外の科目についてもプレゼンテーション対象とする必要性・合理性があるとは認め難い。
また,上記認定のとおり,被告学園は,平成23年6月29日,同日付け平成23年度の教育研究費予算執行について(通知)と題する学長名文書を原告に交付し,教育研究費の使用を日本語運用能力(当面は漢字検定準1級以上相当)の向上に資するものに限定することを前提に,検定試験合格に向けて直接的に取り組むよう教育研究費予算計画を書き直して,同月30日までに再提出するよう指示したことが認められる。しかし,そもそも原告の授業において,上記運営会議において問題とされたのは日本語運用であり,自己点検・自己評価委員会で対象とされた授業は,基礎ゼミ1及び日本語運用1であり,その他の授業は対象とされていなかったのであるから,原告に関する教育研究費を日本語運用能力に限定する必要性・合理性は認め難い。
また,上記認定のとおり,被告学園は,平成23年7月20日,原告に対し,後期授業開始までに所定の能力改善を達成するため,同年8月1日から同年9月18日までの夏期一斉休業期間を除く,月曜日,水曜日及び金曜日の午後4時間,業務能力向上のために各種指示業務を遂行するよう命じ,原告から提出された年次有給休暇承認願は取得時季を変更するよう命じたことが認められる。本件特命プログラムにおいて,被告学園が原告に対して命じた業務内容に必要性・合理性が認め難いことは上記のとおりであるところ,その点を措くとしても,原告から提出された有給休暇承認願について時季変更権を行使しなければならないほどの業務上の必要性があったとは認め難い。また,上記認定のとおり,被告学園は,平成23年9月19日,原告に対し,後期の授業を全て休講して,本件特命プログラムを引き続き行うよう命じた。しかし,そもそも原告の授業において,上記運営会議において問題とされたのは日本語運用であり,自己点検・自己評価委員会で対象とされた授業は,基礎ゼミ1及び日本語運用1であり,その他の授業は対象とされていなかったのであるから,原告の授業の全てを休講とする必要性・合理性は認め難い。
また,上記認定のとおり,被告学園は,平成23年9月以降,原告に対し,本件特命プログラムの一つとして,授業見学を命じたところ,証拠(甲141)によれば,その数は延べ114回に及ぶもので,対象とされた授業は,日本語運用の授業と全く関連しない授業(食物栄養・生活環境関係)がほとんどであったことが認められる。このように多数回にわたって,原告の担当する授業科目と関連性のない授業の見学を命じることについて,その必要性・合理性は認め難いというべきである。
さらに,証拠(甲141,乙21)によれば,平成23年9月以降,原告が行った授業に関するプレゼンテーション(合計19回)について,評価者らから,原告の準備不足と内容の問題を指摘されていたことが認められる。しかし,平成23年9月以降,原告が被告学園から命じられて従事・遂行した業務の内容は,上記認定のとおりであり,事前準備の時間が十分あったとは認められないし,資料の収集・検討が十分行える環境にはなかったから,授業プレゼンテーションにおける上記指摘は必ずしも原告の能力不足を裏付けるものとはいえない。
また,上記認定事実及び証拠(甲141)によれば,被告学園は,本件特命プログラムとして,平成23年9月26日から平成24年2月6日までの間,原告に対し,課題図書を交付して読むべき範囲を指定して,課題図書(多くがプレゼンテーション関連のハウツー本)を要約したものを400字詰め原稿用紙に指定枚数以上のレポートにして作成する業務を命じていたところ,交付した本は合計10冊で,作成業務の回数は延べ72回(日)に及ぶものであったことが認められる。しかし,原告の授業プレゼンテーションを向上させるために上記の方法・回数の要約文書作成を命じる必要性・合理性があるとは認め難い。
また,上記認定のとおり,被告学園は,平成24年2月7日,原告に対する学長裁定による授業改善プログラム中の授業プレゼンテーション業務を中止するとともに,同プログラムの内容を社会人及び学園組織人としての基礎的研鑽のための研修と称するものに変更した。そして,被告学園は,原告に対し,プログラムの内容を変更した理由について,授業プレゼンテーション等にて種々の問題点の改善事項を再三指摘したが,それらの指摘を真摯に受け止め,かつ改善しようとする姿勢や意欲が確認できなかったことを説明している。しかし,上記のとおり,被告学園が,原告に対して命じた業務の内容は,いずれも必要性・合理性が認め難いものであって,同プログラムの到達点・終期が見えない中でかかる業務に従事していた原告としては,改善する意欲が低下し,あるいは指導に反発するということはやむを得ないところである。したがって,かかる原告の業務遂行状況を基に社会人及び学園組織人としての基礎的研鑽のための研修が必要であるとした被告学園の判断も相当ではなかったというべきである。したがって,被告学園が本件特命プログラムの内容を変更したことについて合理性は認め難い。さらに,上記認定のとおり,被告学園は,本件特命プログラムへの従事を原告に命じていた期間中,原告に対し多数の顛末書を提出させていることが認められるが,日本語運用の授業改善に関連しない事柄について,上記のように多数の顛末書を提出させることについて,そもそも必要性・合理性は認め難い。
(3)

以上のとおり,被告学園が原告に対して命じた本件特命プログラムにつ
いては,そもそも実施すること自体疑問がある上,本件特命プログラムとして原告に対して命じた業務内容やそれに伴う措置は,いずれも必要性・合理性を認め難いものである。
また,原告の授業に対する学生の評価が他の教員と比較して悪かったことは,上記認定のとおりであるから,被告学園がことさら理由なく原告を本件特命プログラムの対象者としたわけではないとも考えられるが,被告学園が原告に対して命令した本件特命プログラムが過度にかつ執拗なもので,いずれも必要性・合理性を認め難いものであることは上記認定のとおりであって,被告学園が一教員にすぎない原告に対し,このような業務の遂行を命じるというのは不自然であり,後記認定のとおり,不合理な本件配置転換を命じていることも考慮すると,大学組合の副委員長であった原告を嫌悪し,これを攻撃しようとする意図に出たものとしか考えられない。したがって,被告学園の上記行為は,労働組合法7条1号の不当労働行為に該当するというべきである。
(4)

したがって,被告学園が原告に対して命じた本件特命プログラムは,そ
れ自体業務上の必要性・合理性を欠くものであり,不当労働行為にも該当し,業務命令権を濫用するものであって,違法,無効なものというべきである。2
争点(2)(懲戒処分1が無効であるか否か)について
(1)

上記前提事実のとおり,被告学園は,平成23年12月14日,原告に
対し懲戒処分1をしたこと,その理由は,別紙懲戒処分1の処分の理由に記載のとおりであったことが認められる。
(2)

原告が使用していたコンピュータの中に被告らが主張する大学組合関係
のデータが入っていたかについて,原告はこれを争っているところ,被告らの主張・立証によっても同事実があったかについては必ずしも断定は困難である。そして,仮に,被告らが主張する同事実があったとしても,データが入っていたというにとどまるから,職務専念義務違反の程度・態様は軽微なものであり,被告学園の業務に具体的な支障が生じたといえるものではないから,それが減給処分をもって臨むべき懲戒事由に当たらないことは明らかである。
また,被告らが主張する録音を禁止した会話について,原告が許可無く録音した録音データが入っていたについては,原告は,業務命令が文書で交付されないことから録音したと説明しており,不当な目的に出たものではないこと,録音準備に要した時間はごく僅かであり,録音中は業務命令を聞いているのであるから,同行為中は職務専念義務に違反しているわけではないので,結局,この程度の行為をしたことをもって,それが職務専念義務に違反したといえるものではなく,仮に同義務に違反するとみる余地があったとしても,減給処分をもって臨むべき懲戒事由に当たらないことは明らかである。
そして,上記各行為が全体として減給処分をもって臨むべき懲戒事由に該当するに足りる程度に達していないこともこれまた明らかである。(3)

また,被告学園が,減給処分をもって臨むべき懲戒事由にも該当しない
原告の行為について,減給処分1を行ったのは,組合関係文書のデータを問題視していることが窺え,被告学園の大学組合を嫌悪し,これを攻撃する意図に出たものと容易に推認できる。
したがって,減給処分1は,労働組合法7条1号の不当労働行為に該当するというべきである。
(4)

以上のとおり,本件懲戒処分1は,懲戒事由に該当する程度に達してい
るとはいえない行為に対するもので,不当労働行為にも該当するから,懲戒権を濫用するものとして,違法・無効というべきである。
3
争点(3)(懲戒処分2が無効であるか否か)について
(1)

上記前提事実のとおり,被告学園は,平成24年3月9日,原告に対し
懲戒処分2を行ったこと,その理由は別紙懲戒処分2の処分の理由に記載のとおりであると認められる。
(2)

上記懲戒処分2の処分の理由によれば,懲戒処分2は,被告学園が原告
に対し私物撤去及び整理整頓の業務命令を発したことを端緒とするものであると認められる。
しかし,原告が供述するとおり(甲141,原告本人)
,原告が被告大学
内に持ち込むものはいずれも原告所有物であり,図書などの教育・研究に直接関連するものや,研究室内で飲食をすることを前提として持ち込んだ食器類等の物品,個人の趣味にかかる物など様々なものがあるのであって,一般的にみてこれらの持ち込みが被告学園の業務遂行を妨害するとか,被告学園の施設管理権を侵害するものに該当するとはいえない。
そして,証拠(甲141,乙47,原告本人)によれば,被告学園が懲戒処分2の理由とした段ボール箱は,被告学園が原告に関与させることなく原告の研究室をP8学舎からP9学舎へ移動した際,被告学園においてすでにその存在を確認していた物品(組合関係文書など)が梱包されていたのであるから,段ボール箱の内容物が危険物等ではないことは被告学園も認識していたと認められる。また,仮に,被告学園が段ボール箱の内容を確認していなかったとしても,原告がこの開披を拒んだからといって,直ちに危険物等が入っていると疑うべき理由にはならないのであるから,原告の占有権を無視して,これを持ち去るということは許されないというべきである。そして,組合関係文書の所持は,その所持状態が直ちに職務専念義務に違反するものではなく,原告が上記文書を業務時間中に利用して組合活動やその準備行為をしていたことを認めるに足りる証拠はない。そして,原告が組合関係文書を所持していたことから,被告学園の業務に具体的な支障が生じたとか,施設管理に支障を来したという事実についても,これを認めるに足りる証拠はない。
そうすると,上記認定の事実の下では,原告について懲戒事由に該当する職務専念義務違反や施設管理権の侵害等があったとはいえず,仮に何らかの侵害があったとしても,減給処分をもって臨むべき懲戒事由に当たらないことは明らかである。
(3)

また,上記認定の事実の下では,被告学園は,そもそも懲戒事由に該当
しない事由を,原告が大学組合の副委員長であることから,組合を攻撃する意図をもってあえて懲戒処分2を行ったと容易に推測できるから,かかる被告学園の行為は,労働組合法7条1号の不当労働行為に該当するというべきである。
(4)

以上のとおり,本件懲戒処分2は,懲戒事由に該当する程度に達してい
るとはいえない行為に対するもので,不当労働行為にも該当するから,懲戒権を濫用するものとして,違法・無効というべきである。
4
争点(4)(本件配転命令が無効か否か)について
(1)

被告学園が原告に対し本件配転命令を出した際の状況及び本件配転命令
後の原告の業務の内容は,上記争点(4)に対する原告の主張のアのとおりであることは,当事者間に争いがない。
また,上記前提事実及び証拠(甲141)によれば,教職員研究室への配転は,平成24年3月9日に本件仮処分事件の審理が終結した後の同月12日に内示があったこと,そして,本件配転命令の辞令交付は,被告学園に対し原告に本件特命プログラムに従事せよとの命令及びこれに伴う反省文,始末書の提出命令をしてはならない旨を命じた本件仮処分事件の決定が出されたのと同日に行われたこと,それまではある程度認められていたゼミ(演習)指導が本件配転命令後は全く許されなくなったことが認められる。(2)

原告は,被告学園の教職員であり,教授として被告大学文学部国際英語
学科に所属していた者である。そして,大学教授として教育研究に携わる者については,単に自分の研究の追求・進展といった学問的な事柄のみに専念するのではなく,学生に対する教育指導として講義や演習等を行うということも雇用契約上の義務に含まれていると解されるが,講義や演習等は,大学教授とっては自分の研究内容・成果の発表をし,さらなる研究の進展を図る機会でもあるから,講義や演習等を行うということは,雇用契約上の権利でもあると解するのが相当である(もっとも,どのような講義や演習を担当するかは,教授会等が決定する授業計画等において決定されるものであるから,特定の講義や演習を行う具体的権利まで有するものではない。。

そうすると,被告大学文学部国際英語学科に所属する教授である原告を,被告学園法人本部の教職員研修室へ異動させるという内容の本件配転命令を行うについては,十分な業務上の必要性・合理性が存在することが求められるというべきである。
しかしながら,被告らの主張によっても,本件全証拠によっても,業務上の必要性・合理性及び原告を人選したことの合理性について,これを積極的に肯定する事情の存在は窺えない。また,上記認定のとおり,本件特命プログラムは違法・無効であるから,同プログラムに従事中の原告の勤務状況に基づいて,本件配転命令を出したというのであれば,その判断の前提において誤りがあるというべきであるから,業務上の必要性・合理性や原告を人選した理由の合理性を裏付けるものとはいえない。
被告学園は,本件仮処分事件の審理が終結し,その決定が出る前に本件配転命令を出すことを決定していたのであるから,本件配転命令を出す業務上の必要性・合理性及び原告を人選したことの合理性について,十分説明すべきであるにもかかわらず,それが行われていないことからすると,そもそも業務上の必要性・合理性はなかったと考えざるを得ない。
(3)

また,証拠(甲141ないし143)によれば,教職員研修室に配置さ
れた被告学園の教職員は,原告の他には,大学組合のP27委員長,P28書記長,組合員のP29及びP69であり,人選自体が大学組合の組合員を対象としている疑いが強いこと,証拠(甲140)によれば,P27委員長の被告学園に対する懲戒処分無効確認等請求事件において,名古屋地方裁判所は,P27委員長に対する教職員研修室への配転命令は不当労働行為に該当すると判断していることが認められる。
上記事情を考慮すると,被告学園が,本件仮処分事件の決定が出る前に業務上の必要性・合理性に乏しい本件配転命令を出し,また,本件仮処分事件の決定が出された後も本件配転命令を維持し続けるという対応を取るということは,原告が単なる教授ではなく,大学組合の副委員長の地位にもあるということから,本件特命プログラムと同様,組合攻撃としてなされたものと考えるのが自然である。
したがって,本件配転命令は,労働組合法7条1号の不当労働行為に該当するというべきである。
(4)

以上によれば,本件配転命令は,業務上の必要性・合理性を欠くもので,
不当労働行為にも該当するから,人事権を濫用したものとして無効というべきである。
5
争点(5)(本件降任処分が無効か否か)について
(1)

上記前提事実のとおり,被告学園は,平成24年4月2日に同月1日付
けで,原告を被告学園法人本部教職員研修室助手に任命する旨の本件降任処分を行ったことが認められる。
(2)ア

被告らは,本件降任処分をした理由について,原告の授業スキルは低
かったところ,本件降任処分は,原告の授業スキルが低いということが前提となっているものであり,原告が自身のブログにおいて被告学園を誹謗中傷したこと,原告が被告学園が貸与したパソコンでアダルトサイトを閲覧していたこと,原告自身が交通事故後,事故前の記憶に曖昧なところがあることを自認していたことも考慮して行われたものであると主張する。教授とは,
専門分野について,教育上,研究上又は実務上の特に優れた知識,能力及び実績を有する者であって,学生を教授し,その研究を指導し,又は研究に従事する職員であり,助手とは,その所属する組織における教育研究の円滑な実施に必要な業務に従事する職員である(学校教育法92条)
。したがって,大学教授の職にある原告を助手に降任す
るというには,単に授業のスキルが低いというのではなく,教育上,研究上又は実務上の知識,能力及び実績についても,教授に求められている水準に達しているのか否かが検討されなければならない。

上記第3,1認定のとおり,原告の授業に対する学生の評価は,他の教員よりも低かったことは認められるが,その授業について,自己点検・自己評価委員会の報告書において,特に問題はないとされたことも,同認定のとおりである。
そうすると,被告学園が,教授・指導能力が劣っていることを理由に,准教授でもなく,助教でもなく,さらにその下に位置する助手に降格するのであれば,原告の教授・指導能力が助手相当の水準にとどまっていることを,客観的・具体的状況に基づいて明らかにする必要があるというべきである。
しかし,本件特命プログラムに従事していた期間中の原告の業務状況を下に,原告の授業の能力が劣っていると判断することはできないことは,上記認定のとおりである。さらに,本件配転命令後の原告の業務は,授業とは関連しないもので,学生に対する教授,指導の能力を判断するに適しないものであるから,同業務の遂行状況を理由に原告の授業の能力が劣っていると判断することもできない。
また,被告学園が,本件降任処分に際し,原告の教育上,研究上又は実務上の知識,能力及び実績が教授に求められている水準に達しているか否かを具体的に検討したことはうかがえず,本件全証拠をもっても教授として求められている水準に達してなく,助手相当にとどまるとは認められない。
そうすると,本件降任処分は,原告の教育上,研究上又は実務上の知識,能力及び実績並びに教授・指導能力が,助手の水準にとどまっているという前提を欠いているというべきである。


また,被告らは,①原告が自身のブログにおいて被告学園を誹謗中傷したこと,②原告が被告学園が貸与したパソコンでアダルトサイトを閲覧していたこと,③原告自身が交通事故後,事故前の記憶に曖昧なところがあることを自認していたことを本件降任処分の際に考慮した事情として主張している。
上記①については,後記認定のとおり,本件ブログの記事の一部について適切さを欠いている表現があると認められるが,そもそも降任理由とするような事情とはいえない。
また,上記②については,これを認めるに足りる具体的な証拠はない。さらに,上記③については,客観的に原告の記憶・見当識に教授としての職務遂行に支障を来すような障害があることを確認した上でなされているわけではなく,言葉尻を捉えて理由とされているにすぎない(甲141)と認められる。

したがって,本件降任処分は,客観的に降任の理由を欠いているというべきである。

(3)

上記のとおり,教授である原告をいきなり助手に降格するというだけの
合理的な理由を欠いているのに,被告学園が本件降任処分を行ったのは,大学組合の副委員長である原告に対する攻撃として行われたとしか考えられないから,本件降任処分は,労働組合法7条1号の不当労働行為に該当するというべきである。
(4)

さらに,上記認定のとおり,本件配転命令は違法・無効であるから,原
告はいまだ被告大学文学部に所属する教授であるところ,平成24年3月1日に改正施行された被告学園の教員選考規程(乙40)に従った教員資格審査委員会の資格審査手続を経ていないから,手続違反がある。
(5)

以上のとおり,本件降任処分は客観的に降任の理由を欠くものであり,
不当労働行為にも該当し,降任に必要な手続も取られていないから,人事権を濫用したものとして違法・無効というべきである。
6
争点(6)(懲戒処分3が無効であるか否か)について
(1)

上記前提事実のとおり,被告学園は,平成24年4月27日,原告に対
し懲戒処分3をしたこと,懲戒処分3の理由は別紙懲戒処分3の処分の理由に記載のとおりであることが認められる。
(2)

懲戒処分3の理由となった原告の行為は,P30教職員研修室長作成の
平成24年4月11日付けP25室員の業務遂行状況についてと題する書面(乙49)に基づくものであると認められるところ,同書面には,P30教職員研修室長としては原告からイジメ,逆パワハラを受けていて,教職員研修室の業務が破綻する恐れがある旨の記載がある。
しかし,原告は,上記記載の言動については否定する供述をしており(甲141,原告本人)
,上記書面に記載された原告の言動についてもその内容
は抽象的でP30教職員研修室長の受け止め方が客観的にみて納得できるようなものであるとはいえない。
さらに,上記認定のとおり,被告学園の原告に対する本件特命プログラム,本件配転命令及び本件降任処分はいずれも無効であり,また懲戒処分1,2も無効であるという経緯に鑑みると,原告が被告学園からの業務命令や置かれた処遇についての不満を抱いて,その表れとしての言動があったとしても,そもそも被告学園の一連の違法な処分が原因であるから,上記言動を理由として懲戒処分とするのは,信義に反するというべきである。
結局,懲戒処分3については,その前提となる原告の行為が懲戒処分事由に該当する程度のものであるとは認められないというべきである。(3)

被告学園が,原告に対して理由のない懲戒処分を出し続けているのは,
大学組合の副委員長である原告に対する攻撃として行っているとしか考えようがないから,被告学園の同行為は,労働組合法7条1号の不当労働行為に該当するというべきである。
(4)

以上のとおり,懲戒処分3は,懲戒事由に該当する行為の存在が認めら
れず,不当労働行為として行われたものであるから,懲戒権を濫用するものとして違法・無効というべきである。
7
争点(7)(本件ブログが不法行為に該当するか否か)について
(1)

名誉毀損の不法行為に関する免責法理について
記事の掲載が人の社会的評価を低下させるものであるか否かは,一般読者
の普通の注意と読み方とを基準として判断すべきである(最高裁昭和29年(オ)第634号同31年7月20日第二小法廷判決・民集10巻8号1059頁参照)
。また,その際には,記事の掲載の対象となった者と記事を掲載
した者の社会的地位及び両者の関係並びに記事の内容との関連性等も考慮するのが相当である。
そして,事実を摘示しての名誉毀損にあっては,その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合に,摘示された事実がその重要な部分について真実であることの証明があったときには,右行為には違法性がなく,仮に右事実が真実であることの証明がないときにも,行為者において右事実を真実と信ずるについて相当の理由があれば,その故意又は過失は否定される(最高裁昭和37年(オ)第815号同41年6月23日第一小法廷判決・民集20巻5号1118頁,最高裁昭和56年(オ)第25号同58年10月20日第一小法廷判決・裁判集民事140号177頁参照)

一方,ある事実を基礎としての意見ないし論評の表明による名誉毀損にあっては,その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合に,右意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があったときには,人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない限り,右行為は違法性を欠くものというべきである(最高裁昭和55年(オ)第1188号同62年4月24日第二小法廷判決・民集41巻3号490頁,最高裁昭和60年(オ)第1274号平成元年12月21日第一小法廷判決・民集43巻12号2252頁参照)
。そして,仮に,右意見ないし論評の前提としている事実
が真実であることの証明がないときにも,事実を摘示しての名誉毀損における場合と対比すると,行為者において右事実を真実と信ずるについて相当の理由があれば,その故意又は過失は否定されると解するのが相当である(最高裁平成6年(オ)第978号同9年9月9日第三小法廷判決・民集51巻8号3804頁参照)

以下,上記免責法理を前提に,本件ブログが不法行為に該当するか否かについて判断する。
(2)

原告が,原告が開設したインターネット上のブログにおいて,本件ブロ
グを掲載したことは,当事者間に争いがない。
(3)

被告らは,本件ブログのタイトルは,
○と明記されており,これ自体

がP1大学を示唆する表現で,本件ブログの全体の標題に○との表現が用いられているが,
○とは法人名に人名を冠した学園を意味すると
ころ,名古屋市内において,法人名に人名を冠した大学は,被告学園の他には学校法人P36
(大学名はP37大学
)があるのみであるから,こ
れは,あからさまな暗示であり,
○が原告を表示していることは明らか
であると主張する。
しかし,
○との標記からは,名古屋か名古屋周辺にある某女子大学を
指していると解するのが自然であって,同標記から直ちに被告大学のことを指していると判断することはできない。また,名古屋又は名古屋周辺で生活する一般人であれば,上記の標記から直ちに被告大学を指していると判断することができると認めるに足りる具体的な証拠はない(被告らが主張する例ではその裏付けとするに足りない。。

もっとも,被告学園が経営する教育機関の学生・生徒(保護者を含む),
卒業生及び教職員,被告学園と交流のある者,あるいは被告学園と業務上の取引がある者の中には,上記標記から被告大学を指していると判断する者が一定程度存在する可能性は否定できない。
そこで,以下,本件ブログが不法行為に該当するものであるかについて,念のために検討する。
(4)ア

記事1について
記事1の内容は,別紙ブログ記事一覧表の1に記載のとおりである。被告らは,同記事のうち,
4時間ずっと1対1の監視で1室に閉じこめられるという部分と超過勤務手当すら出ない労働基準法違反だとの部分が,被告学園の社会的評価を低下させる表現であると主張する。しかし,同記事を読んだ読者(同記事が被告大学に関するものであると判断できる者である。以下同じ。
)にとっては,同記事の筆者は被告大学
に勤務する者であること,仕事に対する不満を記載していることを容易に読み取れるもので,上記記載から直ちに被告学園の社会的評価を低下させるとは認め難い。
したがって,被告らの主張は理由がない。

記事2について
記事2の内容は,別紙ブログ記事一覧表の2に記載のとおりである。被告らは,同記事のうち,

学長(=学園長=理事長)に質問状を出しても,不誠実に無視されるのみ。「合理的理由がない

との部分,及び,」
副理事長について,

まともな教員とは言い難い。自分が評価されるのは大嫌いだから授業担当から退いた人間

との部分が,被告学園の社会的評価を低下させる表現であると主張する。
被告らが主張する名誉毀損部分のうち,前者については,被告大学の従業員が業務上の処遇についての不満をこぼしていると受け止めるにとどまり,これによって被告大学の社会的評価を低下させるとは認め難い。これに対し,被告学園の副理事長についてまともな教員とは言い難いというのは,あからさまな人格攻撃であり,被告学園の社会的評価を低下させる表現であるというべきである(この点について原告はるる弁解するが採用できない。。


記事3について
記事3の内容は,別紙ブログ記事一覧表の3に記載のとおりである。被告らは,同記事のうち,
監禁状態はじわじわ効いてくるという部
分が,被告学園の社会的評価を低下させる表現であると主張する。しかし,同記事を読んだ読者としては,記事1,2と同様,被告大学の従業員が業務上の処遇についての不満をこぼしていると受け止めるにとどまり,これによって被告大学の社会的評価を低下させるとは認め難い。したがって,被告らの主張は理由がない。


記事4について
記事4の内容は,別紙ブログ記事一覧表の4に記載のとおりである。被告らは,同記事のうち,
学園からの理不尽な時季変更権により有休が認められなかったという部分が,被告学園の社会的評価を低下させる表現であると主張する。
しかし,同記事を読んだ読者としては,記事1ないし3と同様,被告大学の従業員が勤務先の業務命令に対する不満をこぼしていると受け止めるにとどまり,これによって被告大学の社会的評価を低下させるとは認め難い。
したがって,被告らの主張は理由がない。


記事5について
記事5の内容は,別紙ブログ記事一覧表の5に記載のとおりである。被告らは,同記事は職場が資産運用に失敗したと断定して,被告学園の名誉を毀損していると主張するとともに,
理事会は説明責任を放棄しているとの部分も被告学園に対する名誉毀損に該当すると主張する。同記事は資産運用に失敗している様子だからだと表現しており,
被告らが主張するような断定をしているわけではないが,

含み損××億円などという噂も聞く。

と記載しているのであるから,これを読んだ読者としては,被告学園が資産運用に失敗して多額の含み損を抱えている可能性が高いと受け止めるから,被告学園の財務状況に対する信用を低下させるものといえる。
これに対し,説明責任の放棄は,それ自体直ちに法人の社会的評価を低下させる違法な表現であるとはいえない。
したがって,被告らの主張は上記の限度で理由がある。

記事6について
記事6の内容は,別紙ブログ記事一覧表の6に記載のとおりである。被告らは,同記事のうち,プレゼンテーションを正当性というか合理性に欠ける理事会の面子だけのためのものと表現し,さらに

事実はマンガよりも滑稽な某女子大学の実態である。

ということにより,あたかも被告学園が合理的な理由もなく原告にプレゼンテーションを実施させているかのような印象を与える記事となっていて,これら表現が一体となって被告学園に対する名誉毀損を構成していると主張する。
同記事は,これを読んだ読者は,記事1ないし4と異なり,被告大学の従業員が業務や処遇に対する不満を述べているにとどまらず,被告大学が理事会の面子のため合理性のない業務命令を出していると受け止め(なお,原告自身,同記事において

これから書くことを事実だと知ったら,某女子大学の評判が著しく落ちるのは確実だからだ。

と記載している。,)
被告大学に対する評価を低下させると認められる。
したがって,同記事の上記表現は,被告学園の社会的評価を低下させるものと認められる(なお,原告はるる弁解するが採用できない。。)


記事7について
記事7の内容は,別紙ブログ記事一覧表の7に記載のとおりである。被告らは,同記事のうち,
労組法を無視した団交拒否,支配介入などの不当労働行為は日常茶飯事,その他の様々な労働法も平気でないがしろにして恥じることのない頑なな存在との部分が,被告学園に対する名誉毀損に当たると主張する。
労組法を無視した団交拒否,支配介入などの不当労働行為という
表現は,それ自体で一般的に使用者である法人の社会的評価を低下させる表現であるから,同記事を読んだ読者は,その他の表現部分もあいまって被告大学ないし被告学園に対する評価を低下させると認められる。したがって,同記事の上記表現は,被告学園の社会的評価を低下させるものと認められる(なお,原告らはるる弁解するが採用できない。。)

記事8について
記事8の内容は,別紙ブログ記事一覧表の8に記載のとおりである。被告らは,同記事は,
Sさんにつき,被告学園が奇妙な部署に配転し,その配転につき,年度途中での配転それ自体おかしなもので
あり,
数少ない教務担当者をその担当から外すなど,まともな大学であったなら,あり得ない人事異動であると評し,また,

某女子大学の崩壊はこのときに始まりつつあった。,

某女子大学がSさんを死なせた,

少なくとも某女子大学がSさんの死期を早めた。

と度はずれた扇情的表現を用いることにより,記事全体で,あたかも被告学園が不当な人事異動を行ったかのように摘示し,被告学園の社会的評価を貶めていると主張する。
同記事の全体を読んだ読者は,被告大学がまともであればあり得ない人事異動をSさんに対して行い,それが原因でSさんが亡くなったと筆者が考えていると受け止めるのが通常であって,これにより被告大学に対する評価を低下させると認められる(なお,原告はるる弁解するが採用できない。。

したがって,同記事の上記表現は,被告学園の社会的評価を低下させるものと認められる。

記事9について
記事9の内容は,別紙ブログ記事一覧表の9に記載のとおりである。被告らは,同記事は,被告学園内に人知れず住み着いている「怪人がいる」と述べ,原告がその犠牲者であると表現し,そして,

せめて犯罪者でないことを祈らざるを得ない。

との表現は,その怪人が犯罪者であると示唆するものであって,これらの表現により,同記事は,被告学園内に犯罪者がいると摘示するものであり,被告学園の名誉を毀損していると主張する。
しかし,同記事は,これを読んだ読者としては,結局のところ,筆者が何を書いているのか,何を訴えようとしているのか掴みかねるものであって,趣旨不明と受け止めるのが通常であると認められる。
したがって,被告らの主張は理由がない。


記事10について
記事10の内容は,別紙ブログ記事一覧表の10に記載のとおりである。被告らは,同記事のうち,被告学園が原告に命じた授業見学につき,

確かに嫌がらせである。

との部分が,被告学園が原告に授業見学を命じたのが,嫌がらせ目的であるとするものであって,被告学園に対する名誉毀損に該当すると主張する。
しかし,同記事を読んだ読者は,筆者が処遇に対する不満を述べながらも,これを命じた使用者側を皮肉っていると受け止めるにすぎず,これをもって被告大学の社会的評価を低下させるとは認められない。
したがって,被告らの主張は理由がない。


記事11について
記事11の内容は,別紙ブログ記事一覧表の11に記載のとおりである。被告らは,同記事のうち,被告学園が原告の研究室を移転したことと,原告に貸与しているパソコンを回収した事実自体は被告学園の社会的評価を低下させるものではないが,これらの事実につき,
普通の感覚の日本人だったら,これは恐怖の出来事であると評し,また,P39のマンガB級学園ドラマどたばたコメディーと譬えられることにより,


あたかも異常な事態であるかのごとく表現していることによって,被告学園の行為が不当な行為であるかのごとく印象付けるものであって,被告学園の社会的評価を貶めていると主張する。
しかし,同記事を読んだ読者は,筆者が処遇などについて不満を述ながら,同処遇を行う被告大学を嘆きつつも皮肉っていると受け止めるものの,被告大学に対する評価を低下させるとまでは認め難い。
したがって,被告らの主張は理由がない。

記事12について
記事12の内容は,別紙ブログ記事一覧表の12に記載のとおりである。被告らは,同記事は,被告学園が原告に命じて漢字検定の過去問題に取り組ませた事実に関連して,漢字検定の実施機関の理事長らが背任容疑で逮捕された事実を指摘した上で,被告学園に関して

何か相通ずるものを感じているかもしれない。

と表現することにより,あたかも被告学園の理事等に違法行為があるかのように示唆しており,被告学園の名誉を毀損していると主張する。
しかし,同記事を読んだ読者としては,筆者は漢字検定の過去問題に取り組ませている被告大学のやり方を皮肉っていると受け止めるだけで,被告らが主張するような印象を抱くとは認められない。
したがって,被告らの主張は理由がない。


記事13について
記事13の内容は,別紙ブログ記事一覧表の13に記載のとおりである。被告らは,同記事は,被告学園の校舎が安普請であり,
比較的新しい鉄筋コンクリートの建物の床が
ブカブカであると指摘し,それ
につき,
よほど建築費を値切ったか
本来使うべき費目に使われずに別のどこかに行ってしまったのかと怪しまれても仕方がないほどであると推論することにより,あたかも被告学園において建築費の流用等の不正経理が行われているかのように摘示するものであり,被告学園に対する名誉毀損となると主張する。
しかし,同記事を読んだ読者としては,筆者は被告大学の建物が安普請であるとして,これを皮肉っていると受け止めるだけで,被告らが主張するような印象を受けるとは認められない。
したがって,被告らの主張は理由がない。

記事14について
記事14の内容は,別紙ブログ記事一覧表の14に記載のとおりである。被告らは,同記事14が摘示する被告学園が原告に貸与しているパソコンを原告が不在の間に回収したという事実は,被告学園の社会的評価を低下させるものではないが,同記事は,被告学園の運営する大学はインドの安宿よりも危険な場所であるかのように表現することにより,上記事実をことさらに異常な事態であるかのように印象づけようとしており,被告学園の社会的評価を貶めていると主張する。
しかし,同記事を読んだ読者は,パソコンを回収した被告大学のやり方についてインドの安宿を引き合いに出して皮肉っていると受け止めるだけで,被告らが主張するような印象を抱くとは認められない。
したがって,被告らの主張は理由がない。


記事15について
記事15の内容は,別紙ブログ記事一覧表の15に記載のとおりである。被告らは,同記事は,被告学園が原告にプレゼンテーションの資料の提出を命じたところ,原告がそのための時間を勤務時間中に用意するように要請したが,それに対し,被告学園が原告にその必要性を認めなかったことについて,
屁理屈にすらなっていない理屈であると表現し,さらに
支離滅裂と評することにより,被告学園の原告に対する指示があたかも不合理なものであるかのように表現し,被告学園の社会的評価を貶めていると主張する。
しかし,同記事を読んだ読者は,筆者が被告大学の指示が一貫していないことを支離滅裂として皮肉っていると受け止めるだけで,これによって被告大学の評価を低下させるとは認められない。
したがって,被告らの主張は理由がない。

記事16について
記事16の内容は,別紙ブログ記事一覧表の16に記載のとおりである。被告らは,同記事は,P40の事件を引き合いに出しながら,

都合の悪いことを指摘した監査法人との契約を切るという体質が某女子大学を起こさせるからだ。

との表現を組み合わせることにより,あたかも被告学園が都合の悪いことを指摘した監査法人との契約を切る体質を有する法人であるかのように摘示し,被告学園の名誉を毀損していると主張する。しかし,同記事を読んだ読者は,同記事は筆者が○の購入を止めた理由が記載されているということは理解できるものの,P40と被告大学の体質が何故一緒なのかは理解することはできず,趣旨不明として受け止めるにとどまり,それ以上に被告大学について評価を低下させるとは認め難い。
したがって,被告らの主張は理由がない。

(5)ア

上記(4)のとおり,本件ブログのうち,記事2,5ないし8は,被告学
園の社会的評価を低下させるものであるが,その余は被告学園の社会低評価を低下させるものとは認められない。

そして,記事2については,同記事の内容によれば,被告大学における原告の処遇や原告への対応を批難する目的で記載されたものと認められるから,公共の利害に関するもので公益を図る目的によりなされたものであるといえる。
もっとも,副理事長がまともな教員とは言い難いことについて,
原告は,P20副理事長の経歴を取り上げて,同人が大学教員として授業を行ったのは極めて短期間で,学生評価にさらされて授業を行った経験は全くないこと等から上記評価を行ったのは相当であると主張するが,原告が主張する経歴を検討しても,原告が主張するような評価をするのが相当であるとは認められず,そのように評価したことに相応の理由があるとも認め難い。
上記表現は,被告学園がP2一族によって支配されているという原告及び大学組合の意識に基づき,被告学園の原告に対する上記認定の一連の違法・無効な業務命令が行われていることに対する怒りが相俟って,原告が不必要に個人攻撃として行ったものと認めるのが相当である。
もっとも,記事2は,上記認定の被告学園による原告に対する一連の違法・無効な処分が行われる中で掲載されたもので,原告が被告学園から受けた処遇に対するものとして行われたもので,本件ブログ全体の位置付けも考慮すると,被告学園の社会的評価を毀損する違法なものとして取り上げるほどの悪質なものであると認めることはできない。
したがって,記事2は未だ不法行為に該当するとは認められない。

記事5のうち,資産運用の失敗に関する部分は,その内容によれば,公共の利害に関するもので公益を図る目的によりなされたものと認められる。そして,証拠(甲141)によれば,被告学園が資産運用に失敗して58億円という多額の損失を出したと認められるから,同記事の内容は真実であると認められる。
そうすると,同記事は不法行為に該当するとはいえない。

記事6については,同記事の内容によれば,被告大学における原告の処遇や原告への対応を批難する目的で記載されたものと認められるから,公共の利害に関するもので公益を図る目的によりなされたものであるといえる。
そして,本件特命プログラムに関する被告学園の原告に対する業務命令が,不当労働行為にも該当し,違法・無効であることは,上記認定のとおりであるから,理事会の面子だけで行われているという表現部分も概ね正当な評価であるといえる。
したがって,記事6は不法行為に該当する違法なものであるとはいえない。


記事7については,同記事の内容によれば,被告大学における原告の処遇や原告への対応を批難する目的で記載されたものと認められるから,公共の利害に関するもので公益を図る目的によりなされたものであるといえる。
そして,証拠(甲141)によれば,被告学園は,大学組合を嫌悪しており,原告が主張するような不誠実な団交拒否や支配介入に該当するような行為を行っているものと認められる。
したがって,記事7は不法行為に該当する違法なものであるとはいえない。


記事8については,原告が主張する事情をもってSさんの異動が違法なものであると認めることはできず,そのように考えたことに相応の理由があるとはいえない。また,原告が主張する事情をもって,Sさんの異動と同人の死亡との間に相当因果関係があるともいえない。
そうすると,記事8は過度に理由なく被告学園を批難するものであるといわざるを得ない。
もっとも,記事8を読んでSさんの死亡と人事異動との間に因果関係があるとまともに受け止める読者はいないと考えられる。そして,同記事は,原告に対する違法・無効な本件特命プログラムを取り上げた本件ブログの中では,やや特異な記事であるから,Sさんに対する原告の想いを記載したという原告の主張も理解できるところである。したがって,記事8のみを取り上げて,被告学園の社会的評価を毀損する違法な表現と扱うのは相当ではなく,本件ブログ全体の位置付け等も考慮すると,記事8は,未だ不法行為に該当する違法なものであると認めることはできないというべきである。
(6)

以上のとおり,本件ブログが被告大学ないし被告学園に関するものであ
ると一般的に判断されるものではないし,仮にそのように判断する者が相当いるとしても,不法行為に該当する違法なものであるとは認められない。8
争点(8)(本件解雇が無効か否か)について
(1)

被告学園は,原告が本件ブログを一般公衆の閲覧に供することによって,
被告学園の社会的評価を不法に低下させた行為は,原告と被告学園間の信頼関係を著しく破壊するもので,また,被告学園の就業規則32条1項6号学園の体面を汚損したと認められるときに該当するものであることを理由に本件解雇をしたと主張する。
しかし,上記第3の7認定のとおり,本件ブログが被告学園に対する不法行為に該当するものであると認めることはできない。
なお,上記第3の7認定のとおり,本件ブログの一部には真実性を欠き,表現に正当性を欠くものがあるが,その内容を考慮すると被告学園の社会的評価に与える影響は微々たるものにとどまると考えられるから,解雇をもって臨むべきものでないことは明らかである。
(2)

また,被告学園は,平成24年1月20日に原告が本件仮処分事件の申
立てを行った以降,同年3月9日には懲戒処分2を,同月13日には本件配転命令を,同年4月1日付けで本件降任処分を,同月27日に懲戒処分3をというように短期間のうちに連続して原告に対する処分を行っているところ,上記一連の処分がいずれも理由のないもので,不当労働行為に該当することは,上記認定のとおりである。そうすると,同年7月31日の本件解雇も本件ブログを理由としつつも,大学組合に対する攻撃としてあえて行われたものと容易に推測される。
したがって,本件解雇は労働組合法7条1号の不当労働行為に該当するというべきである。
(3)

以上のとおり,本件解雇は客観的に合理的な理由を欠くもので,社会通
念上相当であると認められず,その権利を濫用したものとして無効というべきである。
9
争点(9)(被告らの不法行為の有無)
(1)

上記第3の1ないし6及び8認定のとおり,本件特命プログラム,懲戒
処分1,懲戒処分2,本件配転命令,本件降任処分,懲戒処分3及び本件解雇は,いずれも違法・無効なものである。
また,上記各処分が,いずれも不当労働行為に該当する違法なものであることは,上記認定のとおりである。
被告学園は,上記各処分がいずれも処分の理由を欠くものであり,また不当労働行為に該当するものであるということは,上記各処分を違法・無効とする上記認定事実に照らすと,そのことを認識してたと考えられるし,仮に一部について処分に理由があると考えていたものがあるとしても,その判断には重大な誤りがあるというべきである。
そして,本件特命プログラムは,業務上の必要性・合理性を欠く多数の業務を命じるものであるし,その期間中において,不当な時季変更権の行使や,研究費の使用制限を行うとともに,理由のない休講命令を発するなど,大学教授である原告の学問的研究活動に対する多大な侵害行為であって,原告の人格権を著しく侵害するものである。
また,本件配転命令も業務上の必要性・合理性を欠くものであって,本件特命プログラムと同様,大学教授である原告の学問的研究活動に対する侵害行為であって,原告の人格権を著しく侵害するものである。
そして,本件降任処分は,全く理由なく原告を教授から助手に降任するというものであるから,これにより原告は,名誉・自尊心を大きく損なわれたものと認められる。
さらに,本件解雇は,上記各処分により人格権を大きく侵害され,精神的に多大な損害を受けていた原告に対し,不当な仕打ちとしてなされたもので,財産的・精神的にも多大な苦痛を与えたと認められる。
したがって,減給処分である懲戒処分1ないし3を含む上記各処分は,いずれも不法行為に該当する違法な行為であるというべきである。
よって,被告学園の上記各処分はいずれも不法行為に該当する。
(2)

被告P2は,上記各処分についていずれも理事長として関与しており,
本件特命プログラムでは原告の授業プレゼンテーションに立ち会って評価を行うなどその関わりの程度も大きいと認められる。
したがって,被告P2は,原告に対する本件特命プログラム,懲戒処分1,懲戒処分2,本件配転命令,本件降任処分,懲戒処分3及び本件解雇は,いずれも違法・無効なものであり,不当労働行為に該当するということは,十分認識していたと考えられるし,仮に一部については相当な処分と認識していたものがあったとしても,その判断には重大な誤りがあるというべきである。
そして,上記各処分がいずれも不法行為に該当する違法な行為であることは,上記(1)のとおりである。
したがって,被告P2についても不法行為の成立が認められる。
(3)

被告学園と被告P2の不法行為は,共同して行われたものと認められるから,原告に対し,連帯して損害賠償責任を負うことになる。
争点(10)(乙事件請求が違法・不当なものか否か)について
上記第3の7認定のとおり,本件ブログが被告学園に対する不法行為を構成するものとは認められないから,争点(10)については,判断する必要はない。
各請求についての判断
(1)

地位確認請求について
上記認定のとおり,被告大学教授の地位にある原告に対する本件配転命令,
本件降任処分及び本件解雇はいずれも無効である。
そして,上記認定のとおり,被告学園は,原告は教授として必要な授業能力等を欠いているとして,本件配転命令及び本件降任処分を行っていることを考慮すると,今後の紛争の解決を図るために原告が被告大学教授の地位にあることの確認を求める原告の請求には,確認の利益があるというべきである。
したがって,原告の被告学園に対する地位確認請求は理由があるから認容すべきものである。
(2)

平成23年度年末手当に関する請求について
証拠(甲141)及び弁論の全趣旨によれば,平成23年度年末手当の支給額の計算方法は,
年末手当=(本俸+地域手当)×(期末手当掛け率1.42ヶ月+勤勉手当掛け率0.76676)であったこと,当時,原告の本俸(5級33号)は48万3000円,地域手当は5万7960円であったこと,原告は,平成23年度年末手当に関する人事考課についてD評価を受けたため,勤勉手当支給率は,標準のB査定の6割とされ,平成23年12月8日に支給された勤勉手当は,24万8871円であったこと,原告に対する上記D評価は,本件特命プログラムに従事していたことによるものであることが認められる。


しかし,上記認定のとおり,本件特命プログラムは,違法・無効であるから,原告が本件特命プログラムに従事していたことを理由に人事考課に際し原告の評価を低下させることは,違法・無効である。
したがって,平成23年度年末手当については,夏期手当と同様にB評価された場合の金額が支給されるべきである。

上記アの計算を原告に当てはめると,本来支給されるべき平成23年
度年末手当のうち,勤勉手当の金額は41万4787円となる。
よって,原告は,被告学園に対し,16万5916円(41万4787円-24万8871円)の請求権を有する。

したがって,原告の被告学園に対する16万5916円及びこれに対
する平成23年12月9日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求は,理由があるから認容すべきものである。(3)

懲戒処分1に関する請求について
上記前提事実及び証拠(甲141)によれば,原告は,懲戒処分1によ
り平成24年1月23日支給分の給与について9617円減給されたことが認められる。
しかし,上記認定のとおり,懲戒処分1は無効である。
したがって,原告の被告学園に対する9617円及びこれに対する平成24年1月24日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求は,理由があるから認容すべきものである。
(4)

平成24年1月の定期昇給に関する請求について


証拠(甲136,141)及び弁論の全趣旨によれば,被告学園では
毎年1月が昇給月であるところ,給与規定第12条第1項及び第1項第1号により,原告については平成24年1月に5級33号俸から5級36号俸へと3号俸の定期昇給があるはずであったこと,原告が定期昇給を得られた場合の給与の額は,本来の給与額58万0928円(本俸5級36号俸(49万1900円)
,地域手当(5万9028円)
,住居手当・年功加
俸(3万円)
)となること,ところが,原告は,懲戒処分1により,給与
規定第12条第2項第2号が適用され,定期昇給幅が2号俸のみの昇給に抑えられて5級35号俸となったこと,そのため,平成24年1月から3月まで支給された給与は月額57万6000円であった(支給日は,いずれも23日)ことが認められる。

しかし,上記認定のとおり,懲戒処分1は無効である。そうすると,
原告については,5級36号俸への定期昇給があったはずであるから,原告は,被告学園に対し,平成24年1月から3月までの給与について,本来の給与額を請求することができる。
そして,その差額は,上記認定によると1万4784円(
(58万09
28円-57万6000円)×3か月)となる。

したがって,原告の被告学園に対する1万4784円及びうち492
8円に対する平成24年1月24日から,うち4928円に対する同年2月24日から,うち4928円に対する同年3月24日から各支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求は,理由があるから認容すべきものである。
(5)

本件降任処分に関する請求について


上記前提事実,証拠(甲102,103,141)及び弁論の全趣旨
によれば,原告は本件降任処分により平成24年4月支給分から給与は45万9856円となり,同年7月支給分まで同額の給与の支払を受けたこと,給与の支払日は,同年4月分が同月23日,同年5月分が同月23日,同年6月分が同月22日,同年7月分が同月23日であったことが認められる。

しかし,上記認定のとおり,本件降任処分は無効であるから,上記支
給分については,本来の給与額が支払われるべきである。
そして,その差額は,上記認定によると48万4288円(
(58万0
928円-45万9856円)×4か月)となる。

したがって,原告の被告学園に対する48万4288円及びうち12
万1072円に対する平成24年4月24日から,うち12万1072円に対する同年5月24日から,うち12万1072円に対する同年6月23日から,うち12万1072円に対する同年7月24日から各支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求は,理由があるから認容すべきものである。
(6)

懲戒処分2に関する請求について
上記前提事実,証拠(甲141)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,
懲戒処分2により平成24年4月23日支給分の給与について9667円減給されたことが認められる。
しかし,上記認定のとおり,懲戒処分2は無効である。
したがって,原告の被告学園に対する9667円及びこれに対する平成24年4月24日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求は,理由があるから認容すべきものである。
(7)

懲戒処分3に関する請求について
上記前提事実,証拠(甲141)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,
懲戒処分3により平成24年5月23日支給分の給与について9128円減給されたことが認められる。
しかし,上記認定のとおり,懲戒処分3は無効である。
したがって,原告の被告学園に対する9128円及びこれに対する平成24年5月24日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求は,理由があるから認容すべきものである。
(8)

平成24年度夏期手当に関する請求について


証拠(甲141)及び弁論の全趣旨によれば,平成24年度夏期手当
の支給額の計算式は,(本俸+地域手当)×(夏期手当1.0ヶ月+勤勉手当1.07497ヶ月)であったこと,原告は,平成24年度夏期手当について,人事考課においてD評価を受けたこと,査定対象となった業務は,本件特命プログラム,本件配置転換及び本件降任による業務であったこと,原告は,D評価とされたため勤勉手当を0円とされ,さらに本件降任処分によって本俸の減額を受けたため,平成24年6月29日に支給された同手当は,42万9856円であったことが認められる。

しかし,平成24年度夏期手当の査定対象となった本件特命プログラ
ム,本件配置転換及び本件降任による業務は,上記認定のとおりいずれも違法・無効である。
したがって,原告に対しD評価とした人事考課も違法・無効であるから,上記計算式(夏期手当1.0ヶ月+勤勉手当1.07497ヶ月)に従った額が支給されるべきことになる。
また,上記認定のとおり,昇給停止,本件降任処分は違法・無効であるから,本俸と地域手当は,本来の給与額(本俸49万1900円+地域手当5万9028円)によることになる。
そうすると,原告に対し支給されるべき平成24年度夏期手当の額は,114万3159円となるから,原告は,被告学園に対し,71万3303円(114万3159円-42万9856円)の請求権を有する。ウ
したがって,原告の被告学園に対する71万3303円及びこれに対
する平成24年6月30日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求は,理由があるから認容すべきものである。(9)

平成24年8月支給分の賃金に関する請求について


上記前提事実,証拠(甲136,141)及び弁論の全趣旨によれば,
被告学園は平成24年7月31日に本件解雇を行ったこと,被告学園の給与規定第3条本文は,
給与の計算期間は,月の初めからその月の終わりまでとすると定め,同第5条1項は

給与の支給日は,毎月23日とする。ただし当日が休日に当たるときは,その前日とする。

と定めていることが認められる。

しかし,上記認定のとおり,本件解雇は無効である。
そして,上記認定によれば,原告は,平成24年8月支給分については,全額請求することができるところ,上記認定のとおり,昇給停止,本件降任処分は違法・無効であるから,平成24年8月支給分の給与の額は,本来の給与額である58万0928円となる。


したがって,原告の被告学園に対する58万0928円及びこれに対
する平成24年8月24日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求は,理由があるから認容すべきものである。(10)

平成24年度冬期手当及び平成25年度夏期・冬期手当に関する請求に
ついて

上記認定のとおり,本件解雇は無効であるから,原告は,平成24年
度冬期手当,平成25年度夏期手当及び同冬期手当の請求権を有することになる。

証拠(甲141)及び弁論の全趣旨によれば,平成24年度冬期手当
の支給額の計算式は,(本俸+地域手当)×(冬期手当1.0+勤勉手当1.1875)であり,支給日は,平成24年12月10日であったことが認められる。
上記基準を当てはめれば,原告に支払われるべき平成24年度冬期手当額は120万5155円(
(本俸49万1900円+地域手当5万902
8円)×2.1875)となる。

証拠(甲141)及び弁論の全趣旨によれば,平成25年度夏期手当
の支給額の計算式は,(本俸+地域手当)×(夏期手当1.0+勤勉手当1.11349)であり,支給日は,平成25年6月28日であったことが認められる。
上記基準を当てはめれば,原告に支払われるべき平成25年度夏期手当額は116万4380円(
(本俸49万1900円+地域手当5万902
8円)×2.11349)となる。

証拠(甲141)及び弁論の全趣旨によれば,平成25年度冬期手当
の支給額の計算式は,(本俸+地域手当)×(冬期手当1.0+勤勉手当1.1875)であり,支給日は,平成25年12月10日であったことが認められる。
上記基準を当てはめれば,原告に支払われるべき平成25年度冬期手当額は120万5155円(
(本俸49万1900円+地域手当5万902
8円)×2.1875)となる。

したがって,原告の被告学園に対する357万4690円及びうち1
20万5155円に対する平成24年12月11日から,うち116万4380円に対する平成25年6月29日から,うち120万5155円に対する同年12月11日から各支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求は,理由があるから認容すべきものである。(11)

平成24年9月支給分以降の賃金請求について
上記認定のとおり,昇給停止,本件降任処分及び本件解雇は無効である
から,原告は平成24年9月支給分以降も本来の給与額(58万0928円)の賃金請求権を有する。
したがって,原告の被告学園に対する平成24年9月以降本判決確定の日まで毎月23日(23日が休日の場合はその前日)限り58万0928円及びこれに対する各支払日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求は,理由があるから認容すべきものである。(12)

慰謝料等請求について


被告学園が原告に対して本件特命プログラムを命じ,その間に行った
各種の業務命令,本件配転命令,本件降任処分及び本件解雇並びに懲戒処分1ないし3は,いずれも不法行為に該当し,これにより原告が被った損害が多大なものであったことは,上記認定のとおりである。
上記認定事実を含む上記において認定した本件特命プログラムの開始から本件解雇の間に被告らが原告に対して行った言動及び本件解雇を被告学園の教職員にメールで配信したことなど本件に現れた一切の事情を考慮すると,被告らの不法行為によって原告が被った精神的苦痛を慰謝するための慰謝料は300万円とするのが相当である。

また,被告らの不法行為と相当因果関係にある弁護士費用は30万円
とするのが相当である。

したがって,原告の被告らに対する慰謝料等請求は,330万円及び
これに対する平成24年10月16日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があるから認容し,その余はいずれも理由がないから棄却すべきものである。
(13)

乙事件請求について
上記認定のとおり,本件ブログが被告学園に対する不法行為に該当する
とは認められない。
したがって,被告学園の原告に対する乙事件請求は,理由がないから棄却すべきものである。
まとめ
以上のとおり,原告の被告学園に対する地位確認請求,平成23年度年末手当に関する請求,懲戒処分1に関する請求,平成24年1月の定期昇給に関する請求,本件降任処分に関する請求,懲戒処分2に関する請求,懲戒処分3に関する請求,平成24年度夏期手当に関する請求,平成24年8月支給分の賃金に関する請求,平成24年度冬期手当及び平成25年度夏期・冬期手当に関する請求並びに平成24年9月支給分以降の賃金請求は,いずれも理由があるから認容し,原告の被告らに対する慰謝料等請求は,330万円及びこれに対する平成24年10月16日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があるから認容し,その余は理由がないからいずれも棄却し,被告学園の原告に対する乙事件請求は理由がないから棄却すべきものである。
第4

結論
よって,主文のとおり判決する。

名古屋地方裁判所民事第1部

裁判官田邊浩典
(別紙)
懲戒処分1の処分の理由

学園があなたに貸与していたパソコンについて,法人本部が同パソコン保管データを調査した結果,多数の通常業務に何等関係しない文書の保管記録及び,録音することの許可をしていない録音データが確認されました。また,保管文書の多くについては,勤務時間中に保管等がされていたことも確認されました。特に外部には公表していない機密性の高い人事情報について,業務外行為により集約したファイルを,勤務時間中に保管等をしたことについて,明らかなる施設管理権侵害及び職務専念義務違反行為であることが確認されました。
この事実を基に,平成23年12月6日に,法人本部があなたに対して一部内容についてヒアリングを行った結果,あなたは,業務に関係のない文書及び録音データについて,学園が貸与したパソコンに保管等をした事実を認め,勤務時間中の同行為について,

結果として入っていたわけですから,職務専念義務に違反したのだろうと思う。

と回答し,施設管理権侵害及び職務専念義務に違反した事実についても認めました。平成23年12月12日に実施した懲戒委員会のヒアリングにおいても,法人本部のヒアリングで述べた事実に相違ないことが確認されました。あなたは,学園が貸与したパソコンを不正に使用したうえ,業務命令に違反し,かつ,勤務時間中の業務外行為により,職務専念義務に違反しました。あなたは,学校法人P6服務規程第19条第1項第8号許可なく職務以外の目的で,学園の施設,設備,車輌,器具その他の物品を使用してはならないことのほか,第17号所属長の承認を得ず,学園の施設内において,業務外のことで,就業時間後に居残りまたは所定の時間外に入場してはならないこと及び,第21号学園が貸与した電子端末(以下「パソコンという。
)を使用する際には,業
務遂行上必要な範囲でのみとし,私的に利用してはならないこと」に違反し,また,学校法人P6就業規則第4条,第5条第1項及び同条第3項の義務,命令に違反したことにより,学校法人P6就業規則第32条第1項第1号及び第8号に該当するため,同条第2項第2号を適用し,減給とします。
(別紙)
懲戒処分2の処分の理由

学長は,貴方に対し,平成23年10月27日,12月5日,12月23日に貴方に貸与している研究室内における私物撤去及び整理整頓を業務命令した。しかし,貴方は,明確な理由も無く,同業務命令に違反し,同私物を研究室内に放置し続けたため,同年12月28日に学長から貴方に対し,同年12月末日までに,同私物を撤去するよう再度,業務命令した。
翌年1月下旬に至っても,同私物は撤去されておらず,不適切な状態が続いていたため,平成24年1月31日,法人本部は,貴方の立会いのもと,研究室内の同私物の撤去状況を確認したところ,甚だ遺憾ながら,上記,業務命令に違反した事実を確認した。さらに,同私物の入っていると思われる複数の段ボールのうち1箱について,貴方は,法人本部による同内容物の確認を独断的判断により頑なに拒否し続けることにより,法人本部の任務遂行を妨害するとともに,同日それ以降の勤務に専念しなかった。
法人本部は,同段ボールについて,危険物もしくは不法所持品等が入っていることにより,学園に不測の損害が生じかねないとの危惧及び同段ボール箱は学園の所有物であることから,一旦学園内に留め置き,内容物を確認することを余儀なくされた。
その後,法人本部が当該段ボール箱内の危険物等の有無を確認した結果,教育研究に何ら関連しない,貴方が関与している組合関連書類を含む多数の私物を発見するに至った。
学園は以前より全学的に研究室内での組合活動を禁止しており,このことは貴方も十分に認識していたにもかかわらず,このような事態が発生したことは,学園にとって由々しき問題であるとして,平成24年3月2日,理事長から,研究室での組合活動の事実及び認識を確認するとしたが,貴方は,正当に応答することなく,一方的に私物の返還を要求するのみであった。
以上の経緯から,平成24年3月8日,懲戒委員会のヒアリングを実施し,上記経緯を含め事実を確認した結果,貴方は学長の業務命令に違反した認識,並びに学園の施設管理権を侵害した認識も無く,改善の認識も何ら確認できなかった。以上より,貴方は,学園から貸与された研究室に多数の私物を漫然と保管し,整理を怠り,学長の度々の同研究室の整理整頓指示,私物即時撤去の業務命令に違反したうえ,学園の施設管理権を侵害した。
貴方は,学校法人P6服務規程第19条第1項第8号許可なく服務以外の目的で,学園の施設,設備,車輌,器具その他の物品を使用してはならないことのほか,学校法人P6就業規則第4条,第5条第1項の義務,命令に違反したことにより,学校法人P6就業規則第32条第1項第1号及び第8号に該当するため,同条第2項第2号を適用し,減給とする。
(別紙)
懲戒処分3の処分の理由

貴方は,平成24年4月19日(木)の業務報告書2.報告事項において,

本日は,できるだけ意識的に努力して,自分としては苦手な組織人としての立場で文書作成を行ったつもりである。

と記載した。本記載内容からも明白のように,貴方は,教職員研修室に配置転換以降,教職員研修室長その他関係上司からの日々の業務指示に対し,その指示を正当に捉えず,自己都合に曲解したうえ,到底業務とは評価できない活動を漫然と継続し,関係上司が再三に亘り業務内容の改善指導をしても,本質的に何ら改善をしなかった。
このような状況において,教職員研修室は,法人本部から負託された本来推進すべき業務の大幅な遅延を余儀無くされた。
貴方は,本来,組織人として当然遵守すべき学園方針を無視し,関係上司が指示した業務を正当に推進せず,併せて関係上司に対して威圧的・反抗的言動をすることを通じて,関係上司に甚大な精神的苦痛を被らせた。
貴方の行為は,学校法人P6就業規則第4条(教職員の義務)

教職員は,学園,の教育目標を達成するため職務に専念し,職場の秩序を守り,その職責を全うする義務を有する。,及び,同規則第5条(服務規律)第1項,

教職員は服務にあたっては学園の使命をよく理解し,担当の職務に専念し,上司の職務上の命令には忠実に従い,同僚相敬愛し,互に協力して職責の遂行に努めなければならない。

の規定に違反するものである。
上記により,学校法人P6就業規則第32条第1項第1号及び第8号に該当するため,同条第2項第2号を適用し,減給とする。
(別紙)
ブログ記事一覧表
(全体の標題)


1
掲載日

2011.08.03

標題

夏期休業中の特命業務第2日

記事

漢検準1級問題3回分,
8月1日に書かされた反省と改善点に基づく授業構成手直し80
0字以上。
法人なんたらとかの役職に就いている人たちと違って
邪気を振りまく人たちではないとは分かっていても,
4時間ずっと1対1の監視で1室に閉じこめられるのは
それなりにきつい。
そういえば,某女子大学でのセンター試験の監督は
超過勤務手当すら出ない労働基準法違反だ。

2
掲載日

2011.08.04

標題

第2回プレゼンテーション

記事

先週の金曜日に続き,今日は第2回プレゼンテーション。
そもそも,何でこの科目のプレゼンテーションを今更やるのか
学長(=学園長=理事長)に質問状を出しても,不誠実に無視されるのみ。
そりゃあ,合理的理由がないから答えられないわな。
それはともかく,先回の評価者のうち純粋な事務職は3人減った。その代わりに,副理事長が出てきた。
しかし彼とてまともな教員とは言い難い。
自分が評価されるのは大嫌いだから
授業担当から退いた人間なのだから。
結局,一族支配学園における茶番劇であることは
内部の人間には明らかである。
3
掲載日

2011.08.05

標題

夏期休業中の特命業務第3日

記事

同じ内容の業務が続く。
しかし監禁状態はじわじわと効いてくる。

4
掲載日

2011.08.07

標題

高松から帰宅

記事

今日の午前の部は,権利闘争に関する報告のセッション,
午後の部は,メンタルヘルスに関する報告のセッション
に参加した。
明日の部も参加する予定だったが,
学園からの理不尽な時季変更権により有休が認められなかったので5時過ぎに高松を出た。

5
掲載日

2011.09.08

標題

期待と不安の出発

記事

(円高と関連している株価の値動きも気になることだ。
理事会は説明責任を放棄しているが,
どうも職場が資産運用に失敗している様子だからだ。
含み損××億円などという噂も聞く。

08年のリーマン・ショックをきっかけに,先物取引などで数十億円の損失を計上し,資金繰りが悪化している。

と背景を説明しつつ,○○学院が経営する短大の給与や退職金などが支払われていない
という記事が,先日,ネットニュースに流れていた。
某女子大学は大丈夫か?)
6
掲載日

2011.09.19

標題

勤労は義務と同時に権利

記事

僕の知り合い以外のこのブログの読者に
僕が勤務している某女子大学の名前が知られていないことだけが救いである。
これから書くことを事実だと知ったら,
某女子大学の評判が著しく落ちるのは確実だからだ。
勤務時間も終わりに近づいた頃,
法人本部から連絡があるので待機するようにという連絡があった。実際には最初の指示よりも遅れて,学長からの伝言という形で,学部長から連絡があった。
それによると,明日から僕は担当授業すべてを休講にして,
リハビリと(これは僕には取って付けた建前にしか思えない)
入院によって中断されていたプレゼンテーションの準備に励めと
いうのだ。
正当性というか合理性に欠ける(と僕には思われる)理事会の面子だけのためのプレゼンテーションを,
高い授業料を払っている学生のための授業よりも優先しろという訳である。
にわかには信じられないかも知れないが,
事実はマンガよりも滑稽な某女子大学の実態である。

7
掲載日
標題

2011.09.24
私淑の楽しみ
記事

僕らの相手もまた(某女子大学内は治外法権とでも思っているのか),
労組法を無視した団交拒否,支配介入などの不当労働行為は日常茶飯事,
その他の様々な労働法も平気でないがしろにして恥じることのない頑なな存在なのだから。

8
掲載日

2011.10.01

標題

サザエさんをさがして

記事

その後,Sさんは1月の半ばだというのに,奇妙な部署に配転された。年度途中での配転それ自体おかしなものであったのに,
ましてや数少ない教務担当者をその担当から外すなど,
まともな大学であったら,あり得ない人事異動だった。
今思えば,某女子大学の崩壊はこのときに始まりつつあった。
Sさんは配転のほぼ1年後,亡くなられた。
某女子大学がSさんを死なせたというのが言いすぎだとすれば,
少なくとも某女子大学がSさんの死期を早めた。
僕はいまだにそう信じている。

9
掲載日

2011.10.02

標題

オペラ座の怪人

記事

さて,真偽の程は知らないが,某女子大学にも人知れず住み着いている怪人がいるという。
警備員とは別に,真夜中に出入りする影を見た人がいるとか,いないとか。
単なる噂だと思うが,
僕がその怪人に思いを寄せられるヒロインである可能性がまずな
いとすれば,
僕の役回りは,その怪人の犠牲者しかあり得ない。
だとしたら,
某女子大学の怪人の噂がもし真実だとしても,せめ
て犯罪者でないことを祈らざるを得ない。
掲載日

2011.10.13

標題

やっぱり人間万事塞翁が馬

記事

業務の一つは授業見学だ。
もちろん,授業見学それ自体は楽しい。
授業の技術を参考にさせてもらうという意味でも有益だし,
そもそも他領域の話を聞ける機会が某女子大学では少ない。
実は,赴任する前には他の教員の授業を聞かせてもらいたいなどと内心考えていたが,
いざ赴任してみると,どうもそういうことのできる雰囲気の職場でないことが分かった。
それが今日までの3週間に16コマ分も知的刺激を受けることができたのである。
もし,これが僕に対する嫌がらせだとすれば,
これを考えた人物は,よほど知的な雰囲気から縁遠いのであろう。もっとも,今までは2コマ分の授業見学に対して1時間半のレポート作成時間,
3コマ分の授業見学に対して2時間半のレポート作成時間だったが,本日に至っては,4コマ分の授業見学に対して1時間のレポート作成時間しか与えられなかったので
その意味では確かに嫌がらせである。
それに授業見学だけなら,
研究室のあるキャンパスの授業を見学させれば目的は果たせるはずなので
目的がそこにないことは明らかだ。
だとすれば,やはり僕を研究室のあるキャンパスに行かせないための嫌がらせなのであろう。
掲載日

2011.10.19

標題

B級学園ドラマ

記事

さて,今,某女子大学で僕の身の回りに起こっていることも
まるでP39の漫画のようである。
毎回毎回,唖然とするような,通常ならあり得ない出来事が起こっている。
今日は10時少し前に,
僕の元々の研究室を,法人本部のあるキャンパスに移す,と言い渡された。
しかも僕はその作業に一切タッチできず,学園が全作業を行う,と言うのだ。
僕の許可を求めるとか求めないとかではない。
一方的に宣言されてしまったのだ。
しかも研究室内のコンピュータも回収するとまで言われた。
もちろん,僕は何も許可を出していない。
そもそも,どういう理由で勝手にコンピュータを回収するのか,合理的な説明はされていない。
普通の感覚の日本人だったら,これは恐怖の出来事だろう。
某女子大学に慣れてしまった僕には,
唖然としつつも,

ああ,またか。ここまで来たか

と思うだけになってしまっている。
B級学園ドラマのシナリオライターは次に何を考えているのか?
もしこのB級学園ドラマがスリラーものであったならば,僕が主役だったかもしれないが,
どう見ても,これはどたばたコメディーだ。
僕は単なる狂言回しに過ぎない。
ドラマの主役が誰なのかによって,結末がずいぶんと変わる。
このB級学園ドラマの最終回,どういう展開で終わるのかが楽しみだ。掲載日

2011.10.22

標題

漢字検定

記事

2年前の4月に,当時の理事長・副理事長親子が
法人の利益を私的利用していたと報道され
理事職から辞任せざるを得なくなり,
さらに5月には背任容疑で逮捕される事件が起こってから,
漢字検定の人気と権威はずいぶんと失墜した。
だが今でも一定の支持を受けている。
某女子大学も漢検がお好きらしい。
なにせ僕に
6月29日から9月22日まで通算9回,延べ25時間も
過去問題に取り組ませたほどだ。
何か相通ずるものを感じているのかもしれない。

掲載日

2011.10.23

標題

漢検受検報告(速報)

記事

ところで僕は最近,授業見学のために某女子大学内のあちこちの校舎を移動している。
今まで入ったことのなかった教室に足を踏み入れることもしばしばだ。そしてその安普請ぶりに驚いてしまう。
どうして比較的新しい鉄筋コンクリートの建物の床が
こんなにもブカブカなのか?
よほど建築費を値切ったか
本来使うべき費目に使われずに別のどこかに行ってしまったのか
と怪しまれても仕方がないほどだ。
掲載日

2011.10.26

標題

インドの安宿礼讃

記事

インドの安宿のほうが某女子大学よりも安全である可能性が高いということも起こりうる。
なにせ某女子大学では
僕のいないうちに研究室の中のもの一切が持ち運ばれてしまい,
僕がその研究室に入ろうとした日には
錠が取り替えられていて,事務室で受け取った鍵では中に入れなかった。
ここまでが先週の話だ。
今週の月曜日,
新しい研究室の机の上には,
使い慣れた○ではなく
○の入った,かなり古いノート・パソコンが置いてあった。
その日のうちに少しだけ触ってみたが,
遅いし使い心地が悪かった。
火曜日の朝,プリンターが使えないことについて少し苦情を言った。昼休みに新しい研究室に戻ってきたら
机の上に,別のデスクトップ・パソコンが置いてあった。
僕は部屋の鍵をポケットに入れたまま授業見学に行っていたのに,である。
今日,水曜日。
朝はたしか,昨日のデスクトップ・パソコンが置いてあった。
途中,10時から16時過ぎまで他大学の非常勤に出かけて,
戻ってきたら,パソコンが消えていた。
そして僕の業務再開時刻である16時半に応接室に呼ばれて,
パソコンを取り上げた旨の連絡があった。
そして,業務に必要なファイルがあって手に入れたいのなら文書で願い出ろ,ときた。
インドの安宿よりも○○○な
名古屋の誇る某女子大学であった。
(誇っていないか。

掲載日

2011.10.31

標題

バカボンのパパなのだ

記事

勤務時間のほとんどすべてが特別業務で一杯なのに,
金曜日の昼までにプレゼンの資料を提出するように
などという指示をしてきたのが先週の金曜日だ。
だから,
プレゼンの準備つまり資料を作成するための
時間を勤務時間中に用意してくれ,という要請をした。
そしたら今日,ベテラン教員にあるまじき発言だと叱正(?)されてしまった。
僕がベテランかどうかは別問題としても,
ベテランになったら,チチンプイで,あっというまに資料が作成できると思っているのだろうか?
また,ベテラン教員らしからぬ授業力しかないという名目で
特別業務が課せられているのだと思っていたが,
ベテラン教員の能力が備わっているとみなしているのなら
なぜ特別業務に携わらなければならないのか?
そんな屁理屈にすらなっていない理屈(?)を
平然と
口にすることができる能力は,通常の人間にはなかろう。
僕が支離滅裂な人と結論づける所以だ。
掲載日

2011.11.12

標題



記事

P70の事件は,個人レベルの事件としての額の大きさに驚きだが,会社レベルの事件であるにしても,P40の事件の額にも驚かされる。P40に対して何となく好感をいだいていて
そのうちにミラーレス1眼レフの○を買いたいと思っていたが,
今回の事件ですっかりその気が失せた。
都合の悪いことを指摘した監査法人との契約を切るという体質が
某女子大学を起こさせるからだ。
(実際に某女子大学が,都合の悪いことを指摘した監査法人を切ったことがあるかどうかは知らないが。

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