判例検索β > 平成21年(行ウ)第49号
木曽川水系連絡導水路事業公金支出差止請求事件
事件番号平成21(行ウ)49
事件名木曽川水系連絡導水路事業公金支出差止請求事件
裁判年月日平成26年7月24日
法廷名名古屋地方裁判所
判示事項導水路の建設事業に関し,独立行政法人水資源機構法に基づく都道府県の費用負担金の支出命令ないし支出の差止めを求める住民訴訟において,当該支出命令ないし支出を行うことが財務会計法規上違法であるとはいえないとされた事例
裁判要旨導水路の建設事業に関し,独立行政法人水資源機構法に基づく都道府県の費用負担金の支出命令ないし支出の差止めを求める住民訴訟において,水資源開発促進法4条1項所定の水資源開発基本計画(フルプラン)及びこれに基づいて作成された独立行政法人水資源機構法13条1項所定の事業実施計画が,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したことにより著しく合理性を欠き,そのため予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存し,かつ,客観的にみて当該都道府県がこれを是正又は解消することができる蓋然性が大きいという事情がある場合に限り,これに基づいて発せられる国土交通大臣等の納付通知ないし納入通知も,同様の瑕疵を帯び,都道府県の執行機関が同納付通知等に従って行う上記支出命令等が財務会計法規上違法となるとした上で,本件の事業実施計画やその前提となる本件のフルプランが,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したことにより著しく合理性を欠き,そのため予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するということはできないし,客観的にみて愛知県が上記事業実施計画又は上記フルプランの瑕疵を是正又は解消することができる蓋然性が大きいという事情があるということもできないから,被告らが上記支出命令等を行うことが財務会計法規上違法であるとはいえず,地方自治法242条の2第1項1号に基づき上記支出命令等を差し止めることはできないとした事例
裁判日:西暦2014-07-24
情報公開日2017-10-19 10:31:51
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平成26年7月24日判決言渡
平成21年(行ウ)第49号

木曽川水系連絡導水路事業公金支出差止請求事件

主文1
原告らの請求をいずれも棄却する。

2
訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由

第1
1
請求
被告愛知県知事は,木曽川水系連絡導水路事業に係る費用負担金のうち,流水の正常な機能の維持(異常渇水時の緊急水の補給)に係る愛知県の負担金の支出命令をしてはならない。

2
被告愛知県公営企業管理者企業庁長は,木曽川水系連絡導水路事業に係る費用負担金のうち,愛知県水道用水に係る負担金の支出をしてはならない。
第2
1
事案の概要等
本件は,木曽川水系フルプラン(第4次計画)等に基づく木曽川水系連絡導水路事業(揖斐川上流に建設された徳山ダムに確保される水の一部を木曽川及び長良川に導水するための水路等を建設する事業。以下本件導水路事業という。)に関して,愛知県は,独立行政法人水資源機構法(以下機構法という。)に基づき,①流水の正常な機能の維持に係る費用負担金として,流水の正常な機能の維持と増進をその目的に含む水資源の開発又は利用のための施設(以下特定施設という。)の新築等に要する費用の一部及び特定施設の管理等に要する費用の一部を,②新規利水の供給に係る費用負担金(愛知県の水道用水に係る負担金)として,水資源の開発又は利用のための施設の新築等の業務の実施により生じる施設(以下水資源開発施設という。)の新築及び管理等に要する費用の一部を,それぞれ負担するものとされているところ,同県の住民である原告らが,被告愛知県知事(以下被告知事という。)が上記①の負担金の支出命令をすること及び被告愛知県公営企業管理者企業庁長
-1-

(以下被告企業庁長という。)が上記②の負担金の支出をすること(以下,上記①の負担金の支出命令と上記②の負担金の支出を併せて本件各支出という。)は違法である旨主張して,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,被告知事に対して上記①の負担金の支出命令の差止めを求めるとともに,被告企業庁長に対して上記②の負担金の支出の差止めを求める住民訴訟である。
2
関係法令等の定め

(1)関係法令等の定めは,別紙関係法令等の定めに記載したとおりである。(2)フルプラン,河川整備計画,事業実施計画等について

水資源開発促進法3条1項は,国土交通大臣は,同法1条に規定する地域(産業の開発又は発展及び都市人口の増加に伴い用水を必要とする地域)について広域的な用水対策を緊急に実施する必要があると認めるときは,厚生労働大臣,農林水産大臣,経済産業大臣その他関係行政機関の長に協議し,かつ,関係都道府県知事及び国土審議会の意見を聴いて,当該地域に対する用水の供給を確保するため水資源の総合的な開発及び利用の合理化を促進する必要がある河川の水系を水資源開発水系として指定する。旨規定し,同法4条1項は,国土交通大臣は,水資源開発水系の指定をしたときは,厚生労働大臣,農林水産大臣,経済産業大臣その他関係行政機関の長に協議し,かつ,関係都道府県知事及び国土審議会の意見を聴いて,当該水資源開発水系における水資源の総合的な開発及び利用の合理化の基本となるべき水資源開発基本計画を決定しなければならない。旨規定している。この水資源開発基本計画は,一般にフルプランと呼称されている。


河川法16条1項は,河川管理者は,その管理する河川について,計画高水流量その他当該河川の河川工事及び河川の維持についての基本となるべき方針に関する事項(以下「河川整備基本方針という。)を定めておかなければならない。」旨規定し,同法16条の2第1項は,河川管理者は,-2-河川整備基本方針に沿って計画的に河川の整備を実施すべき区間について,当該河川の整備に関する計画(以下「河川整備計画という。)を定めておかなければならない。」旨規定している。

機構法13条1項前段は,独立行政法人水資源機構(以下「機構という。)は,同法12条1項1号の業務を行おうとするときは,政令で定めるところにより,水資源開発基本計画に基づいて事業実施計画を作成し,関係都道府県知事に協議するとともに,主務大臣の認可を受けなければならない。」旨規定し,同法13条1項後段は,

事業実施計画を変更しようとするときも,同様とする。

旨規定している。
(3)負担金について

機構法21条1項は,国は,特定施設の新築又は改築に要する費用(特定施設の新築又は改築に関する事業が廃止されたときは,その廃止に伴い追加的に必要となる費用を含む。)のうち,洪水調節に係る費用その他政令で定める費用を機構に交付するものとする。旨規定し,同条3項は,

都道府県は,同条1項の規定により国が機構に交付する金額の一部を負担しなければならない。

旨規定している。また,機構法22条1項は,

国は,特定施設の操作,維持,修繕その他の管理に要する費用及び特定施設についての災害復旧工事に要する費用のうち,洪水調節に係る費用その他政令で定める費用を機構に交付するものとする。

旨規定し,同条3項は,

都道府県は,同条1項の規定により国が機構に交付する金額の一部を負担しなければならない。

旨規定している。イ
機構法25条1項は,機構は,水資源開発施設を利用して流水を水道若しくは工業用水道の用に供する者(事業からの撤退をした者を含む。)又は水資源開発施設を利用して流水をかんがいの用に供する者の組織する土地改良区に,政令で定めるところにより,当該水資源開発施設の新築又は改築及び管理並びにこれについての災害復旧工事に要する費用(事業からの撤退を-3-した者にあっては,当該水資源開発施設の新築又は改築に要する費用の一部)を負担させるものとする。旨規定している。(4)事業からの撤退に関する規定について
事業からの撤退については,機構法25条1項において前記(3)イのとおり言及されているほか,独立行政法人水資源機構法施行令(以下機構法施行令という。)30条1項や32条1項で言及されている。機構法施行令30条1項2号ロは,機構法13条1項の事業実施計画の変更の場合であって当該変更前に事業からの撤退をした者がある場合において,当該者の水道等共同施設に係る費用の負担について次項の規定により算出した額を掲げており,同施行令32条1項本文は,水資源開発施設の新築又は改築に関する事業が廃止された場合において,機構法25条2項の規定により流水を水道又は工業用水道の用に供しようとしていた者(当該事業の廃止前に事業からの撤退をした者を除く。)が同項に規定する費用につき負担する負担金の額は,次に掲げる額を合算した額及びその額に対応する29条の利息の額とする。旨規定している。3
前提事実(当事者間に争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実等。
以下,
書証番号は,
特記しない限り枝番を含む。


(1)当事者等

原告らは,いずれも愛知県の住民である。


被告知事は,愛知県の執行機関である。


被告企業庁長は,地方公営企業法7条,愛知県公営企業の設置等に関する条例(昭和55年愛知県条例第3号)4条に基づく地方公営企業の管理者であり,愛知県の執行機関である。愛知県企業庁は,同県における水道事業に係る事務を所掌しており,被告企業庁長は,地方公営企業法9条11号に基づき,
その業務の執行に関し,
出納を行う権限を有している。
(弁
論の全趣旨)

-4-

(2)本件導水路事業の概要

本件導水路事業の目的等
本件導水路事業は,揖斐川上流に建設された徳山ダムに確保される水の一部を木曽川及び長良川に導水するための水路(以下本件導水路という。)等を建設する事業であり,その目的は,(A)流水の正常な機能の維持(異常渇水時の緊急水の補給による河川環境改善のための流量確保)及び(B)新規利水(水道用水及び工業用水)の供給とされている。具体的には,上記(A)の流水の正常な機能の維持とは,本件導水路により,木曽川水系の異常渇水時において,徳山ダムに確保される流水の正常な機能の維持を図るための水を,最大毎秒4.0㎥については長良川を経由して,最大毎秒12.0㎥については直接,木曽川に導水し,木曽成戸地点において木曽川の河川環境の改善のための流量を確保することとされている。
上記(B)の新規利水の供給とは,本件導水路により,徳山ダムに確保される愛知県の水道用水として最大毎秒2.3㎥,名古屋市の水道用水として最大毎秒1.0㎥,名古屋市の工業用水として最大毎秒0.7㎥を導水し,
木曽川における取水を可能とすることとされている。
(乙10,
弁論の全趣旨)


施設の概要
本件導水路事業により新築される施設は,概要次のとおりの上流施設及び下流施設並びに管理設備一式から成る。(乙10,弁論の全趣旨)
(ア)上流施設
a位置
岐阜県揖斐郡α町,同郡β町,本巣市,岐阜市,各務原市,
関市,加茂郡γ町

b構造
取水工,トンネル,サイホン,放水工等

c延長
約43㎞

-5-


通水量

揖斐川から長良川までの間,最大毎秒20.0㎥を通水し,
そのうち最大毎秒4.7㎥を長良川へ,その余の最大毎秒15.
3㎥を木曽川へ通水する。

(イ)下流施設
a位置
岐阜県羽島市,海津市

b構造
取水工,パイプライン,放水工等

c延長
約1㎞


通水量

前記(ア)の通水量のうち,
長良川に通水した最大毎秒4.
7㎥
を,長良川から木曽川へ通水する。


導水計画
徳山ダムにおいて確保される水の一部を,上流施設によって揖斐川から最大毎秒20.
0㎥を取水し,
①上流施設で木曽川に直接導水される最大毎秒15.3㎥については,
流水の正常な機能の維持を図るための水として最大毎秒12.
0㎥,愛知県の水道用水として最大毎秒2.3㎥,名古屋市の水道用水として最大毎秒1.0㎥を導水し,また,②上流施設で長良川に通水される最大毎秒4.7㎥については,流水の正常な機能の維持を図るための水として最大毎秒4.0㎥,名古屋市の工業用水として最大毎秒0.7㎥を,下流施設によって長良川から取水して木曽川に導水する。(乙10,弁論の全趣旨)

工期
平成18年度から平成27年度までの予定(乙6,10,弁論の全趣旨)

事業主体
当初,国土交通省が,平成18年度に本件導水路事業の実施計画調査に着手したが,平成20年9月4日,機構法14条4項,5項の規定により,本件導水路事業に関する権利義務は機構に承継され,以後,機構が本件導水路事業の事業主体となっている。(乙10,弁論の全趣旨)


費用

-6-

本件導水路事業に要する費用の概算額は,約890億円とされている。そのうち,愛知県は,機構法21条,22条,25条により,(A)流水の正常な機能の維持に係る費用として,特定施設の新築等及び管理等に要する費用の一部を,(B)新規利水の供給に係る費用として,愛知県水道用水に係る負担金
(具体的には水資源開発施設の新築及び管理等に要する費用)
の一部を,
それぞれ負担することとされており,前者の負担金については被告知事が支出命令をして一般会計から支出され,後者の負担金については被告企業庁長が特別会計である愛知県水道用水供給事業会計から支出することとなっている。そして,前者の支出命令は,国土交通大臣からの納付通知及び歳入徴収官国土交通省大臣官房会計課長が発行する納入告知書に基づいて行われることとなっており,後者の支出は,機構理事長からの納入の通知(本件導水路事業に係る愛知県の水道用水負担金の額の通知)及び機構収入職が発行する納入請求書に基づいて行われることとなっている(以下,これら納付通知及び納付告知書並びに納入の通知及び納入請求書を併せて本件納付通知等という。)。(乙10,弁論の全趣旨)
(3)本件導水路事業に関する事業実施計画の認可に至る経緯等

木曽川水系フルプランの決定・変更及び木曽川水系河川整備計画の策定等
(ア)木曽川水系は,木曽川,長良川及び揖斐川のいわゆる木曽三川(いずれも一級河川)を幹川とする水系であり,昭和40年6月25日,水資源開発水系に指定され,同月29日,その旨公示された。
なお,上記3幹川を始め,木曽川水系に属する河川は,いずれも一級河川として指定されている。(乙5,8,19,29,54,弁論の全趣旨)(イ)木曽川水系における水資源開発基本計画(以下木曽川水系フルプランという。)については,第1次計画が昭和43年10月15日に決定されたが,昭和48年3月23日にこれを全部変更すること(第2次計画)が決定された。第2次計画においては,徳山ダム建設事業が加えられ,同事業に関
-7-

する事業実施計画は,昭和51年9月28日に認可された。(乙1,2,15)
(ウ)その後,木曽川水系フルプランは,昭和57年3月26日に一部変更,平成5年3月26日に全部変更(第3次計画),平成8年11月22日及び平成9年12月19日に一部変更が決定された。(乙3,11ないし13)(エ)国土交通省土地・水資源局水資源部水資源計画課長(以下水資源計画課長という。)は,平成15年8月7日,愛知県企画振興部長に対し,木曽川水系における水資源開発基本計画需給想定調査について(依頼)を発し,
平成27年度における愛知県の都市用水の需要想定値等に関する調査(以
下本件需給想定調査という。)を依頼した。そこで,同企画振興部長は,本件需給想定調査を実施した上,平成16年3月30日,水資源計画課長に対し,その調査の結果を回答した。同調査結果においては,平成27年度における愛知用水地域(愛知県水道用水供給事業から用水供給を受ける水道事業が給水する市町村のうち,瀬戸市,尾張旭市,豊明市,日進市,δ町,ε町,ζ町,半田市,η町,θ町,ι町,λ町(μ町の一部を含む。),ν町,刈谷市,高浜市,常滑市,東海市,大府市,知多市及び春日井市の一部)の水道用水の需要想定値につき,1日最大取水量は7.88㎥/s(河川取水地点では8.25㎥/s)であるとされた。(乙20,21)
(オ)木曽川水系フルプランは,平成16年6月15日,本件需給想定調査の結果も踏まえた上で,全部変更すること(第4次計画)が決定された(以下,この全部変更後の木曽川水系フルプラン(第4次計画)を本件フルプランという。)。本件フルプランにおいては,水の用途別の需要の見通し及び供給の目標は次のa及びbのとおりとされ,供給の目標を達成するために徳山ダム建設事業及び愛知用水二期事業の施設整備を行うことなどが定められた。(乙4,5,53)

水の用途別の需要の見通し

-8-

平成27年度を目途とする水の用途別の需給の見通しは,計画的な生活・産業基盤の整備,地盤沈下対策としての地下水の転換,合理的な水利用,この水系に係る供給可能量等を考慮し,おおむね次のとおりとする。水道用水について,この水系の流域内の諸地域並びに流域外の岐阜県,愛知県及び三重県の一部の地域において,水道事業がこの水系に依存する水量の見込みは,毎秒約50立方メートルである。
工業用水について,この水系の流域内の諸地域並びに流域外の岐阜県,愛知県及び三重県の一部の地域において,工業用水道事業がこの水系に依存する水量の見込みは,毎秒約19立方メートルである。
農業用水について,この水系の流域内の諸地域並びに流域外の岐阜県,愛知県及び三重県の一部の地域において,この水系に依存する水量の増加は見込まれない。

供給の目標
これらの水の需要に対し,近年の降雨状況等による流況の変化を踏まえつつ,地域の実情に即して安定的な水の利用を可能にすることを供給の目標とする。このため上記施設整備を行う。
なお,これまでに整備した施設等と併せて,この施設整備により平成27年度に供給が可能と見込まれる水道用水及び工業用水の水量は,計画当時の流況を基にすれば毎秒約113立方メートルであるが,近年の20年に2番目の渇水年の流況を基にすれば毎秒約77立方メートルとなる。
(カ)国土交通大臣は,平成19年11月22日,木曽川水系河川整備基本方針(以下本件河川整備基本方針という。)を決定し,国土交通省中部地方整備局長は,平成20年3月28日,木曽川水系河川整備計画(以下本件河川整備計画という。)を策定した。本件河川整備計画においては,本件導水路事業が盛り込まれ,揖斐川と長良川,木曽川を繋ぐ木曽川水系連絡導水路を整備し,徳山ダムに確保された渇水対策容量53,000千㎥のう-9-ち40,000千㎥の水を一部は長良川を経由して木曽川に導水することにより,異常渇水時(平成6年(1994)渇水相当)においても,木曽成戸地点において河川環境の保全のために必要な流量の一部である40㎥/sを確保するとともに,徳山ダムにより開発した愛知県及び名古屋市の都市用水最大4.0㎥/sを導水する。などとされた。(乙7,8,28,29)(キ)本件フルプランは,平成20年6月3日に一部変更が決定され,これにより,本件フルプランの供給の目標を達成するため必要な施設の建設に関する基本的な事項に,徳山ダム建設事業及び愛知用水二期事業と並んで,本件導水路事業が次のとおり加えられた。(乙6)

事業目的

この事業は,木曽川,長良川及び揖斐川を連絡する水路等
を建設することにより,
徳山ダムにおいて確保される水を木
曽川及び長良川に導水し,流水の正常な機能の維持(異常渇
水時の緊急水の補給)を図るとともに,愛知県の水道用水及
び工業用水を供給するものとする。


事業主体

機構
なお,本事業は国土交通大臣より承継する。


河川名


最大導水量

木曽川,長良川及び揖斐川
都市用水毎秒約4立方メートル
(異常渇水時の緊急水の補給時毎秒約20立方メートル)

eイ
予定工期

平成18年度から平成27年度まで

事業実施計画
(ア)機構は,
平成20年8月4日までに,
前記ア(キ)の一部変更後の本件フルプ
ランに基づき,木曽川水系連絡導水路事業に関する事業実施計画(以下本件事業実施計画という。)を作成し,国土交通大臣は,同月22日,これを認可した。(乙10,弁論の全趣旨)
(イ)本件事業実施計画の内容は,事業の目的,施設の位置及び概要,貯水,放
-10-

流,
取水又は導水に関する計画並びに工期については,
前記(2)アないしエの
とおりであり,費用及びその負担方法については,次のa及びbのとおりである。(乙10)

事業に関する費用の概算額
890億円
(なお,上記金額のうち,機構が事業を承継するまでに河川整備事業費等として約22億円が支出されている。)


費用の負担

(a)流水の正常な機能の維持(異常渇水時の緊急水の補給)に係る費用の負担
流水の正常な機能の維持(異常渇水時の緊急水の補給)に係る費用の額は,事業に要する費用の額に1000分の655を乗じて得た額とし,機構は,機構法21条1項及びこれに基づく政令の規定により,国からその費用の額のうち既に国が要した費用の額を控除した残額の交付を受けるものとする。なお,国が交付する金額の一部は,機構法21条3項及び4項の規定に基づく政令の規定により,岐阜県,愛知県及び三重県が負担するものとする。
(b)新規利水の供給に係る費用の負担
新規利水の供給に係る費用の額は,事業に要する費用の額に1000分の345を乗じて得た額とし,機構が支弁するものとする。ただし,機構は,機構法25条1項及びこれに基づく政令の規定により,流水を水道及び工業用水道の用に供する者に次のように負担させるものとする。①水道用水に係る費用の負担については,愛知県は,事業に要する費用の額に1000分の209を乗じて得た額を負担し,名古屋市は,事業に要する費用の額に1000分の91を乗じて得た額を負担する。②工業用水道に係る費用の負担については,名古屋市は,事業に要する費用の額に1000
-11-

分の45を乗じて得た額を負担する。
なお,この事業が完了するまでに物価の著しい変動その他重大な事情の変更がある場合には,上記①・②に掲げる用途別負担等を変更することがある。
(4)被告企業庁長による負担金の支出に関する経過等

機構理事長は,平成21年3月19日,被告企業庁長に対し,本件事業に係る平成20年度の愛知県水道用水負担金の納入請求計画を通知するとともに,
同年度の同県の水道用水負担金の額が5579万円であることを通知し,機構収入職は,同月25日,同金額の納入請求書を発行した。これを受けて,被告企業庁長は,同月31日,上記負担金として同金額を支出,納入した。(乙42)


機構理事長は,平成21年4月16日,被告企業庁長に対し,本件事業に係る平成21年度の愛知県水道用水負担金の納入請求計画を通知するとともに,同年度第1四半期の同県の水道用水負担金の額が2120万6000円であることを通知し,機構収入職は,同日,同金額の納入請求書を発行した。これを受けて,被告企業庁長は,同月27日,上記負担金として同金額を支出,納入した。(乙43)


機構理事長は,平成21年7月9日,被告企業庁長に対し,本件事業に係る平成21年度第2四半期の愛知県の水道用水負担金の額が1881万円であることを通知し,機構収入職は,同日,同金額の納入請求書を発行した。これを受けて,被告企業庁長は,同月27日,上記負担金として同金額を支出,納入した。(乙44)


機構理事長は,平成22年1月20日,被告企業庁長に対し,本件事業に係る平成21年度の愛知県水道用水負担金の納入請求計画の変更を通知するとともに,同年度第4四半期の同県の水道用水負担金の額が4366万9144円であることを通知し,機構収入職は,同日,同金額の納入請求書を発
-12-

行した。これを受けて,被告企業庁長は,同月25日,上記負担金として同金額を支出,納入した。(乙45)

本件導水路に係る施設は,現在,まだ建設中の段階にあり,前記アないしエの負担金の算出の基礎となった費用は,いずれも建設費である。(乙42の1,43の1,44の1,45の1,証人P1,弁論の全趣旨)
(5)住民監査請求及び本件訴訟の提起

原告らは,
①別紙原告目録(1)記載の原告64名
(以下
原告ら①
という。

においては平成21年3月30日,
②別紙原告目録(2)記載の原告19名
(以
下原告ら②という。)においては同年6月2日,③別紙原告目録(3)記載の原告9名(以下原告ら③という。)においては同月10日に,愛知県監査委員に対し,
本件各支出が違法である旨主張して,
住民監査請求をした。
これに対し,愛知県監査委員は,上記①の監査請求については平成21年5月13日,上記②及び③の各監査請求については同年7月29日に,請求人らの主張は,本件導水路事業について,流水正常機能の維持及び新規利水の両面における必要性がないとする独自の見解を述べているものにすぎず,愛知県の費用負担金の支出手続等について,違法又は不当の理由あるいは事実を具体的に摘示しているものとは認められない。また,国により策定された基本計画に基づく本件導水路事業について,愛知県の費用負担金の支出手続等が違法とされるためには,基本計画又は本件導水路事業の実施手続に重大かつ明白な瑕疵が存することが必要であると解されるところ,請求人らは,この点について何ら具体的な摘示をしているものとは認められない。よって,上記住民監査請求は,地方自治法242条の要件を欠き,不適法である。との理由から,却下し,それぞれ原告らに通知した。(甲1,2)

原告らは,平成21年6月11日,当庁に本件訴訟を提起した。(顕著な事実)

4
争点

-13-

(1)本件訴えが適法な監査請求を前置した適法な訴えであるかどうか(本案前の争点)
(2)被告らが本件各支出をすることが違法であるとしてこれらを差し止めることができるかどうか(本案の争点)
5
当事者の主張

(1)争点(1)(監査請求前置要件の充足性の有無)について
【原告らの主張】

原告ら①の監査請求前置について
原告ら①は,監査請求において,本件導水路事業の目的とされる流水正常機能維持及び新規利水の供給が必要性・合理性を欠くものであることについて,具体的事実や理由を示して指摘しており,監査請求における請求の対象の特定にも欠けるところはなかった。
したがって,原告ら①は,適法な監査請求を経たものであり,原告ら①の提起した本件訴えは,適法である。


原告ら②及び原告ら③の監査請求前置について監査請求前置の要件は,
事実審の口頭弁論終結時までに具備すれば足りる。
原告ら②及び原告ら③は,監査請求の結果通知を待たずに本件訴えを提起したが,本件訴訟の係属中である平成21年7月29日に結果通知を受けたから,本件口頭弁論終結時までに監査請求前置の要件を具備している。
【被告らの主張】

原告ら①の監査請求前置について
原告ら①は,平成21年3月30日,監査請求をしたものの,同年5月13日,愛知県監査委員から,違法又は不当な理由あるいは事実を具体的に摘示しているものとは認められないとの理由により,地方自治法242条の要件を欠き不適法との判断がされたものであり,この判断は正当である。したがって,原告ら①は,適法な監査請求を経ていないから,原告適格を
-14-

欠き,原告ら①の提起した本件訴えは,不適法である。イ
原告ら②及び原告ら③の監査請求前置について原告ら②及び原告ら③は,本件訴えが提起された平成21年6月11日までに監査の結果の通知を受けていない。
したがって,
原告ら②及び原告ら③は,
適法な監査請求を経ていないから,
原告適格を欠き,原告ら②及び原告ら③の提起した本件訴えは,不適法である。

(2)争点(2)(本件各支出の違法の有無)について
【原告らの主張】

違法性の判断枠組みについて

(ア)本件各支出は,本件導水路事業における流水の正常な機能の維持(異常渇水時の緊急水の補給)及び新規利水の供給に係る費用の負担として行われるものであるが,後記イ及びウのとおり,その原因となる本件導水路事業の目的(流水の正常な機能の維持及び新規利水の供給)については,その必要性が認められないか又は必要性が確認されていないというべきである。このように,必要性のない目的のために公金を支出することは,著しく合理性を欠いており,地方財政法4条1項(経費の必要最少限度の原則)及び地方自治法2条14項(最少経費による最大効果の原則)に違反する。したがって,本件各支出は,それ自体,財務会計法規に違反する違法なものであるから,同法242条の2第1項1号に基づきその差止めが認められるというべきである。
(イ)仮に,本件各支出そのものに財務会計法規違反があるということができないとしても,本件各支出の原因となっている国土交通大臣等の本件納付通知等が著しく合理性を欠き,そのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存する場合には,被告らが本件納付通知等に従って本件各支出をすることは許されず,違法となる。そして,本件納付通知等は本件事
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業実施計画及び法令(機構法等)の定めに基づいて発せられるものであるから,本件事業実施計画が著しく合理性を欠き,そのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存する場合には,これに基づいて発せられる本件納付通知等も,同様の瑕疵を帯びることになる。本件事業実施計画は,後記イ及びウのとおり,著しく合理性を欠くものであるから,本件納付通知等(本件各支出に対する支出負担行為)も著しく合理性を欠き,そのため予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存することとなる。したがって,本件各支出も,違法なものとして,差止めが認められるというべきである。
(ウ)また,本件各支出のうち,新規利水の供給に係る費用負担金に関するものについては,本件事業実施計画決定後の事情の変化,すなわち現時点までの水需給の実績に基づいて,本件導水路事業が必要かどうかを独自に判断して撤退することが可能であり,愛知県は,本件導水路事業からの撤退を通知しさえすれば,これによって上記支出を免れることになる。そして,愛知県が本件導水路事業から撤退すると,本件事業実施計画は変更又は廃止されるので,本件各支出のうち,流水の正常な機能の維持に係る費用負担金に関するものについても,支出を免れることになる。本件事業実施計画の基礎とされた水の想定需要は,後記ウのとおり,実績と乖離しており,本件口頭弁論終結時には,
本件事業実施計画は,
重要な事実の基礎を欠くに至っているから,
愛知県が本件導水路事業から撤退せず,被告らが本件各支出をすることは,社会通念に照らし著しく合理性を欠き,そのため予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するというべきである。

流水の正常な機能の維持(異常渇水時の緊急水の補給)目的について本件導水路事業は,異常渇水時に本件導水路から緊急水を補給することによって木曽川の流水の正常な機能(河川維持流量)を確保することを目的の1つとしている。本件河川整備基本方針では,ヤマトシジミの生息に必要な流量を
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確保するという観点から,木曽川の下流24.1㎞の木曽成戸地点よりも下流域における河川維持流量を50㎥/sとし,本件事業実施計画の前提となっている本件河川整備計画では,河川維持流量40㎥/sを確保するとしている。しかしながら,この河川維持流量50㎥/s又は40㎥/sは,実際にはヤマトシジミの生息とは何の関係もない科学的根拠を欠くものであるから,本件導水路は,木曽川の流水の正常な機能を維持するという目的に資することのない無意味なものである。したがって,流水の正常な機能の維持という目的のために本件導水路事業を実施する必要性はないし,この点に関する本件事業実施計画は,社会通念に照らし著しく合理性を欠くものであって,予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するというべきである。

新規利水の供給目的について
本件導水路事業は,新規利水の供給をその目的の1つとしている。本件事業実施計画の定める新規利水の供給は,本件フルプランに基づくものであるところ,本件フルプランの基礎とされた本件需給想定調査では,平成27年における愛知用水地域の水道用水の1日最大取水量(需要想定値)は7.88㎥/s(河川取水地点では8.25㎥/s)であるとされており,本件事業実施計画においては,徳山ダムに確保される水道用水がこれに対応するための安定供給水源として必要であるとされている。しかしながら,最大取水量(河川取水地点取水量)を算出するに当たって用いられる1日平均給水量,負荷率(1日平均給水量を1日最大給水量で除した係数)及び1日最大給水量の実績値の推移をみると,本件事業実施計画が前提としているこれらの需要予測値と乖離しているから,本件事業実施計画における1日最大取水量(河川取水地点取水量)の上記需要想定値は,事実の基礎を欠くものである。木曽川水系全体でみても,愛知用水地域に限ってみても,現在の供給水源のみで水需要を賄うに十分な供給能力を満たしているのであって,新規利水の必要性はない。したがって,新規利水の供給という目的のために本件導水路事業を実施する必要性はな
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いし,この点に関する本件事業実施計画は,社会通念に照らし著しく合理性を欠くものであって,予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するというべきである。
【被告らの主張】

違法性の判断枠組みについて

(ア)愛知県は,地方財政法10条の2,17条の2第1項,地方自治法232条1項,機構法21条3項,同条4項,25条1項に基づき,本件導水路事業の流水の正常な機能の維持及び新規利水の供給に係る費用の一部を負担する義務を負っており,このうち本件導水路事業の流水の正常な機能の維持に係る費用については,被告知事が,国土交通大臣からの納付通知及び歳入徴収官国土交通省大臣官房会計課長が発行する納入告知書に従って愛知県の負担分とされた額を支出し,本件導水路事業の新規利水の供給に係る費用については,被告企業庁長が,機構理事長からの納入の通知(本件導水路事業に係る愛知県の水道用水負担金の額の通知)及び機構収入職が発行する納入請求書に従って愛知県の負担分とされた額を支出することとされている。このように,被告らは,本件納付通知等に従って本件各支出をすべき義務を負っているものであって,被告らが本件各支出をすることが,地方財政法4条1項及び地方自治法2条14項に違反するということはできない。
(イ)住民訴訟における違法性の承継に関する判例理論によれば,先行行為の違法性が後行行為である財務会計行為に承継されることが肯定されるためには,先行行為に著しく合理性を欠き,そのため予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存することのみでは足りず,これに加えて,①先行行為が無効であること,又は②後行行為の行為者が,自ら先行行為を解消し,これに従う義務を消滅させることができる権限を有する等の特段の事情が存在することが必要であるとされている。
本件各支出は,
前記(ア)のとおり,
先行行為である国土交通大臣等の本件納付

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通知等に基づいて行われるものであり,国土交通大臣等の本件納付通知等は,先々行為である本件事業実施計画に基づいて行われ,さらに本件事業実施計画は,本件河川整備計画及び本件河川整備基本方針並びに本件フルプランに基礎付けられている。本件事業実施計画や本件河川整備計画,本件河川整備基本方針,本件フルプランといった行政計画の決定については,決定権者に極めて広範な裁量権が認められているところ,本件におけるこれら行政計画の決定について,裁量権の逸脱又は濫用は存しない。したがって,本件各支出の先々行為にも先行行為にも,何ら瑕疵はないから,本件各支出が違法であるということはできない。
(ウ)愛知県が本件導水路事業から撤退するためには,①まず最初に,水資源開発促進法に基づき,国土交通大臣が関係行政機関の長に協議し,かつ,関係県知事及び国土審議会の意見を聴いて閣議決定を経て木曽川水系フルプランの変更がされる必要があり(水資源開発促進法4条1項,2項,5項),②次いで,変更後のフルプランに基づいて機構が事業実施計画を作成し,関係都道府県知事に協議するとともに,主務大臣の認可を受けなければならず(同法13条1項),③その際には,機構は,本件水資源開発施設を利用して流水を水道若しくは工業用水道の用に供しようとする者の意見を聴くとともに,機構法25条の規定による費用の負担について,これらの者の同意を得なければならないのであって(同法13条3項),④本件事業実施計画を廃止しようとする場合も同様の手続が必要とされている(同条6項,7項)。このように,愛知県が本件導水路事業から撤退する旨の申出をしたとしても,本件事業実施計画が変更され,本件水資源開発施設を利用して流水を水道若しくは工業用水道の用に供しようとする者が費用負担について同意し,
主務大臣がこれを認可しない限り,
撤退の効果が発生することはないし,仮に上記各要件がすべて満たされたとしても,主務大臣の認可を受けるまでの間は,愛知県は,本件事業実施計画に記載されている費用及びその負担方法に基づく負担を求められ,その求めに
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応じた支払義務を負うことになる。したがって,愛知県が本件導水路事業から撤退する旨の申出をすれば,費用負担金の支払義務を免れることになるという前提に立った上で,撤退の申出をせずに本件各支出をするのは違法である旨をいう原告らの主張は,失当である。

流水の正常な機能の維持(異常渇水時の緊急水の補給)目的について木曽成戸地点における50㎥/sという河川維持流量は,関係行政機関で構成される木曽三川協議会により昭和40年に決定された木曽三川水資源開発計画等に基づく取扱いとして経験的に行われてきた歴史的経緯を基に設定されたものである。木曽成戸地点下流におけるヤマトシジミの生息に関する調査(平成17年度の塩化イオン濃度の観測とそれに基づく検討)は,上記歴史的経緯を前提とした上で,その取扱いの相当性を科学的に検証するために,木曽成戸地点下流における河川環境の保全に関し,ヤマトシジミの生息を例にとって検討したものであり,ヤマトシジミの生息確保の観点から上記流量設定を行ったかのような原告らの主張は失当である。
そして,今渡地点及び木曽成戸地点における基準流量としての取水及び貯留制限流量は,関係行政機関の合意により定められ,これを前提として現在までの木曽川における利水運用や水資源開発が行われてきたものであり,このように過去から経験的に行われてきた歴史的経緯は,それ自体,河川維持流量の設定の根拠となるというべきである。


新規利水の供給目的について
原告らは,需要想定値について,近年の1日最大取水量の実績値と乖離があることから過大である旨主張するが,住民の生活に支障を来すことのないよう水源を確保することは愛知県の責務であり,水源等の施設を計画するに当たっては,気象や生活様式等の社会的な条件,将来の施設の老朽化といった様々な要素を加味して,安全率を見込んで負荷率や利用量率を設定するため,それを基に算定された需要想定値と実績値との間にある程度の差が生じるのは当然の
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事である。もとより,水資源の供給は,ダムや導水路等の施設が完成し,供給を開始する時点でしか増加させることができないという特性があり,急な需要の増大に対して途中で対応することが不可能であること,将来の当該地域の経済社会の発展にも対応できる長期的展望が必要であることなどを考慮すれば,・
一定の安全率を見込んで需要想定をするほかない。また,1日平均給水量の近年の実績値は,平成27年度想定値の9割程度となっていること,木曽川水系において平成16年から平成25年までに6か年にわたり節水対策が行われていること,愛知県の需要想定値は,専門的な知識を有する有識者らで構成された国土審議会水資源開発分科会及び木曽川部会において,チェックされ,妥当であるとして採用されたものであることを考慮すると,上記需要想定値及び新規利水の供給に関する本件フルプラン及び本件事業実施計画の内容が著しく合理性を欠くということはできない。
第3
1
当裁判所の判断
争点(1)(監査請求前置要件の充足性の有無)について

(1)原告ら①の監査請求前置について
被告らは,原告ら①の監査請求は,違法又は不当な理由あるいは事実を具体的に摘示しているものとは認められないから,地方自治法242条の要件を欠き不適法であり,原告ら①は適法な監査請求を経ていない旨主張する。しかしながら,証拠(甲1,2)によると,原告ら①が提出した監査請求書には,本件導水路事業の目的は,流水正常機能の維持と新規利水の供給とされているところ,流水正常機能の維持については,ヤマトシジミの生息を理由として成戸地点における河川維持流量が50㎥/sとされたが,その生息限界とされた塩素イオン濃度1万1600㎎/Lではヤマトシジミは直ちには斃死しないことなどに照らし,上記維持流量に科学的根拠はないから,流水正常機能の維持のために本件導水路を建設する必要性はない。また,新規利水の供給については,愛知用水地域の平成12年からの需要増加が想定されていたが,-21-需要が既に頭打ちとなっており,安定供給水源としても需要がないから,新規利水の供給のために本件導水路を建設する必要性はない。以上のとおり,本件導水路事業は必要性がないから,本件導水路事業に係る愛知県の費用負担は,根拠を欠く違法なものであって,愛知県は,その負担の義務はなく,負担金を支出すべきではない。旨が記載されていたことが認められる。そうすると,原告ら①の監査請求は,本件導水路事業に係る愛知県の費用負担金の支出という財務会計上の行為を対象とするものであり,原告ら①において当該行為が違法であると考えている理由の要旨も明示されていたことは明らかであるから,
監査請求としての要件に欠けるところはないというべきである。
愛知県監査委員は,原告ら①の監査請求を不適法なものとして却下しているけれども,適法な監査請求が不適法として却下された場合,当該監査請求をした住民は,適法な監査請求を経たものとして直ちに住民訴訟を提起することができるのであって,前記前提事実のとおり,原告ら①は,監査請求の結果通知から30日以内に本件訴えを提起したものであるから,原告ら①の訴えは,適法な監査請求を経ているというべきである。
したがって,被告らの上記主張は,採用することができない。
(2)原告ら②及び原告ら③の監査請求前置について被告らは,原告ら②及び原告ら③は,本件訴えが提起された平成21年6月11日までに監査の結果の通知を受けていなかったから,適法な監査請求を前置していない旨主張する。
しかしながら,一般に,訴訟要件は,本案判決がされるための要件としての性質を有するものであり,訴え提起時にその要件を欠いていたとしても,口頭弁論終結時までにこれを具備するに至れば,その瑕疵は治癒されると解されるのであって,訴訟要件の1つである監査請求前置についても,これと別異に解する理由はない。前記前提事実によると,原告ら②及び原告ら③は,それぞれ監査請求をした後,その結果通知を待たずに本件訴えを提起したが,本件口頭
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弁論終結前である平成21年7月29日頃には,上記各監査請求を却下する旨の通知を受けたというのであるから,本件口頭弁論終結時までに監査請求前置の要件に係る瑕疵は治癒されたというべきである。
したがって,被告らの上記主張は,採用することができない。
(3)小括
以上のとおり,原告らの本件訴えについて,適法な監査請求を前置していない不適法なものであるということはできない。
2
争点(2)(本件各支出の違法の有無)について

(1)違法性の判断枠組み

地方自治法242条の2第1項に規定する住民訴訟は,普通地方公共団体の執行機関又は職員による同法242条1項所定の財務会計上の違法な行為又は怠る事実の予防又は是正を裁判所に請求する権能を住民に与え,もって地方財務行政の適正な運営を確保することを目的とするものである。このような住民訴訟の目的に鑑みると,普通地方公共団体の住民が同法242条の2第1項1号に基づき当該普通地方公共団体の執行機関又は職員の財務会計上の行為の差止めを求めることができるのは,当該財務会計上の行為それ自体が財務会計法規上違法と評価される場合に限られるというべきである。

ところで,水資源の開発又は利用のための施設の建設費等に関する法令の定めを見ると,①国は,流水の正常な機能の維持と増進をその目的に含む水資源の開発又は利用のための施設(特定施設)の新築又は改築に要する費用並びに管理及び災害復旧工事に要する費用のうち,洪水調整に係る費用等を機構に交付し(機構法21条1項,22条1項),都道府県は,国が上記各規定により機構に交付する金額の一部を負担しなければならず(同法21条3項,22条3項),都道府県の上記各負担金の納付の方法については,国土交通大臣が定めるところによるものとされており
(同法施行令22条6項,
25条3項),また,②機構は,水資源の開発又は利用のための施設の新築
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等の業務の実施により生じる施設(水資源開発施設)を利用して流水を水道若しくは工業用水道の用に供する者に,政令で定めるところにより,当該水資源開発施設の新築又は改築及び管理並びに災害復旧工事に要する費用を負担させ(同法25条1項),このうち水資源開発施設の新築又は改築につき負担する負担金(水道等負担金)の支払方法については,当該負担金の全部又は一部につき割賦支払,一時支払又は当該年度支払のうちから,機構が定め(同法施行令31条1項),水資源開発施設の管理につき負担する負担金の支払方法については,
当該年度支払の方法により
(同法施行令37条1項)

災害復旧工事につき負担する負担金の支払方法については,当該負担金の全部又は一部につき割賦支払,一時支払又は当該年度支払のうちから,機構が定め(同条2項),機構は,上記各支払方法その他の事項を定めようとするときは,国務大臣及び主務大臣の認可を受けなければならないものとされており(同法施行令31条4項,37条4項),③これら諸規定を受けて,上記①の負担金については,
国土交通大臣が都道府県に対して納付通知を発し,
上記②の負担金については,機構が水資源開発施設を利用して流水を水道又は工業用水道の用に供する者に対し納入通知を発することとされている。このように,機構法及び同法施行令の規定に基づき,都道府県は,国土交通大臣から発せられた納付通知に従って流水の正常な機能の維持に係る負担金(上記①の負担金)を支払うことを義務付けられ,水資源開発施設を利用して流水を水道等の用に供する者としての都道府県は,機構から発せられた納入通知に従って新規利水の供給に係る負担金(上記②の負担金)を支払うことを義務付けられているのであるから,上記各負担金につき納付通知ないし納入通知を受けた都道府県の執行機関としては,当該通知が著しく合理性を欠き,そのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存する場合には,国土交通大臣等に協議を求めるなどしてその是正又は解消を図るように努めるべきではあるけれども,客観的にみてこのような働きか
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けを真摯に行えばこれを是正又は解消することができる蓋然性が大きいという事情があるのでなければ,最終的には,当該通知に従った財務会計上の措置を執るべき義務を免れるものではないし,また,当該通知に上記のような瑕疵が存するとはいえない場合にも,その内容に従った財務会計上の措置を執るべき義務があり,
これを拒むことは許されないと解するのが相当である。
したがって,上記納付通知ないし納入通知が著しく合理性を欠き,そのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存し,かつ,客観的にみて当該都道府県がこれを是正又は解消することができる蓋然性が大きいという事情があるのでなければ,都道府県の執行機関が上記納付通知ないし納入通知に係る負担金を支出するために財務会計上の行為を行うことをもって,財務会計法規上違法であると評価することはできないから,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,都道府県の執行機関がこのような財務会計上の行為を行うことを差し止めることはできないというべきである。そして,上記各負担金に係る納付通知ないし納入通知は,水資源開発促進法4条1項所定の水資源開発基本計画(フルプラン)に基づいて作成された機構法13条1項所定の事業実施計画に基づき発せられるものであるところ,上記各計画は,その性質上,水資源の開発及び利用,河川環境の状況,水害発生の状況など諸般の事情を総合的に考慮した上で,政策的,技術的な見地から判断することが不可欠なものであるから,その作成や変更については,作成権者である国土交通大臣ないし機構の広範な裁量に委ねられているというべきである。そうすると,上記各計画の作成又は変更が違法となるのは,その基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合,又は,事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと,判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等により,その内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限られるというべきであり,上記各計画が,このように裁量権の範囲を逸脱し又は
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これを濫用したことにより著しく合理性を欠き,そのため予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存し,かつ,客観的にみて当該都道府県がこれを是正又は解消することができる蓋然性が大きいという事情がある場合に限り,これに基づいて発せられる納付通知ないし納入通知も,同様の瑕疵を帯びると解するのが相当である。

前記前提事実のとおり,本件各支出は,前記イの法令に基づいて発せられる納付通知ないし納入通知を受けて行われるものであり,これら納付通知ないし納入通知は,水資源開発促進法4条1項所定の水資源開発基本計画である本件フルプランに基づいて作成された,機構法13条1項所定の事業実施計画である本件事業実施計画に基づき発せられるものである。したがって,本件各支出が財務会計法規上違法であるかどうかを判断するに当たっては,上記各通知の基礎となる本件事業実施計画又は本件フルプランが裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したことにより著しく合理性を欠き,そのため予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存し,かつ,客観的にみて愛知県が本件事業実施計画又は本件フルプランの上記瑕疵を是正又は解消することができる蓋然性が大きいというような事情があるかどうかを検討すべきことになる。


これに対し,原告らは,本件導水路事業の目的である流水の正常な機能の維持(異常渇水時の緊急水の補給)及び新規利水の供給については,その必要性が認められないか又は必要性が確認されていないから,このような目的のために公金を支出することは,それ自体,財務会計上の法規である地方財政法4条1項及び地方自治法2条14項に違反するものとして,違法である旨主張する。
しかしながら,本件各支出は,前示のとおり,法令に基づいて発せられる納付通知ないし納入通知を受けて行われるものであり,これら納付通知ないし納入通知は,本件実施計画及びその前提となる本件フルプランに基づき発
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せられるものであるから,前記ウの見地からの検討を経ずして,本件各支出自体が地方財政法4条1項及び地方自治法2条14項に違反するということはできない。これと異なる趣旨をいう原告らの上記主張は,採用することができない。

また,原告らは,本件各支出のうち,新規利水の供給に係る費用負担金に関するものについては,水需給の実績に基づいて本件導水路事業が必要かどうかを独自に判断して撤退することが可能であり,愛知県が本件導水路事業からの撤退を通知しさえすれば,これによって上記支出を免れることになるし,本件各支出のうち,流水の正常な機能の維持に係る費用負担金に関するものについても,
上記撤退に伴う本件事業実施計画の変更又は廃止によって,
支出を免れることになるから,愛知県が本件導水路事業から撤退せず,被告らが本件各支出をすることは,社会通念に照らし著しく合理性を欠き,そのため予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存する旨主張する。しかしながら,機構法等の定めを見ると,①国は,特定施設の新築又は改築に要する費用並びに管理及び災害復旧工事に要する費用のうち,洪水調整に係る費用等を機構に交付し(機構法21条1項,22条1項),都道府県は,国が上記各規定により機構に交付する金額の一部を負担しなければならず(同法21条3項,22条3項),②機構は,水資源開発施設を利用して流水を水道若しくは工業用水道の用に供する者に,政令で定めるところにより,当該水資源開発施設の新築又は改築及び管理並びに災害復旧工事に要する費用を負担させるものとされ(同法25条1項),③機構が水資源開発基本計画に基づいて作成する事業実施計画には,費用及びその負担方法を記載しなければならないとされているところ(同法13条1項,同法施行令2条7号),④事業実施計画を作成,変更又は廃止しようとするときは,あらかじめ,水資源開発施設を利用して流水を水道又は工業用水道の用に供しようとする者の意見を聴くとともに,水資源開発施設の新築又は改築及び管理並
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びに災害復旧工事に要する費用の負担について上記の者の同意を得なければならず(同法13条3項,7項,25条1項,2項),⑤事業実施計画の作成,変更又は廃止については,関係都道府県知事に協議するとともに,主務大臣の認可を受けなければならず(同法13条1項,6項),⑥主務大臣がこれを認可しようとするときは,あらかじめ国の関係行政機関の長に協議しなければならない(同条2項,6項)ものとされている。
これらの規定に照らすと,水資源開発施設を利用して流水を水道若しくは工業用水道の用に供する者が事業から撤退する場合には,事業実施計画で定められた費用負担の見直しが必要となることから,事業実施計画そのものを機構法所定の手続を経て変更しなければならないのであって,事業から撤退する旨の申出があっても,事業実施計画が上記手続を経てそれに応じた内容に変更され,変更後の事業実施計画につき国土交通大臣の認可を受けない限り,撤退の申出をした者が従前の事業実施計画に定められている費用負担を免れることはないというべきである。
これを本件についてみるに,前記前提事実(3)イ(イ)bのとおり,本件事業実施計画においては,愛知県及び名古屋市が新規利水の供給に係る費用を負担するものとしてそれぞれの負担額が定められ,岐阜県,愛知県及び三重県が流水の正常な機能の維持に係る費用の一部を負担することが定められているのであるから,愛知県が本件導水路事業から撤退するには,本件事業実施計画が愛知県の撤退に応じた内容に変更される必要があり,そのためには,①機構法13条1項所定の関係都道府県知事である岐阜県,愛知県及び三重県の各知事への協議,②同条3項所定の特定利水者(水資源開発施設を利用して流水を水道又は工業用水道の用に供しようとする者)である愛知県企業庁及び名古屋市への意見聴取及び費用負担同意,③同条2項所定の関係行政機関の長である財務大臣,厚生労働大臣,農林水産大臣,経済産業大臣,総務大臣及び環境大臣への協議を要し,さらに,④同条1項所定の主務大臣で
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ある国土交通大臣の認可を得て初めて変更後の事業実施計画が効力を生ずることになる。
ところが,本件において,愛知県が本件導水路事業から撤退する旨の申出をした場合に,機構法13条3項所定の特定利水者として費用負担につき同意を得る必要のある名古屋市の同意や,愛知県の撤退に応じて変更される事業実施計画につき主務大臣である国土交通大臣の認可等が得られる見込みがあることを認めるに足りる証拠はない。そうすると,愛知県が本件導水路事業からの撤退を通知しさえすれば,直ちに本件各支出の義務を免れることができることを前提に,被告らが本件各支出をすることが違法であるとする原告らの上記主張は,その前提を欠くものといわなければならない。したがって,原告らの上記主張は,採用することができない。
(2)認定事実
前記(1)で説示したとおり,
本件各支出が財務会計法規上違法であるかどうか
を判断するに当たっては,納付通知ないし納入通知の基礎となる本件事業実施計画又は本件フルプランが裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したことにより著しく合理性を欠き,そのため予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存し,かつ,客観的にみて愛知県が本件事業実施計画又は本件フルプランの上記瑕疵を是正又は解消することができる蓋然性が大きいというような事情があるかどうかを検討する必要がある。そこで,このような見地に立って本件フルプラン及び本件事業実施計画の策定経緯及び内容等についてみるに,前記前提事実に掲記の証拠及び弁論の全趣旨を総合すると,次の各事実が認められる。

本件事業実施計画の策定に至る経緯等

(ア)木曽川水系フルプラン

内閣総理大臣は,昭和43年10月15日,木曽川水系フルプラン(第1次計画)を決定し,同月18日,これを公示した(昭和43年総理府告
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示第35号)。第1次計画においては,水の用途別の需要の見とおし及び供給の目標及び供給の目標を達成するため必要な施設に関する基本的な事項が定められ,昭和50年度における木曽川水系の供給の目標は毎秒約73㎥とされた。(乙1)

内閣総理大臣は,昭和48年3月23日,木曽川水系フルプラン(第1次計画)の全部変更(第2次計画)を決定し,同月28日,これを公示した(昭和48年総理府告示第9号)。第2次計画においては,水の用途別の需要の見とおし及び供給の目標,供給の目標を達成するため必要な施設の建設に関する基本的な事項及びその他水資源の総合的な開発及び利用の合理化に関する重要事項が定められ,昭和60年度における木曽川水系の供給の目標は毎秒約121㎥とされ,この目標を達成するために徳山ダム建設事業が加えられた。徳山ダム建設事業は,洪水調節及び不特定かんがい等の用に供する機能を有するものであり,岐阜県及び愛知県等の水道用水及び工業用水を確保し,
発電の用にも供するものとされた。
(乙2)


内閣総理大臣は,昭和57年3月26日,木曽川水系フルプラン(第2次計画)の一部変更を決定し,同月30日,これを公示した(昭和57年総理府告示第12号)。(乙11)


内閣総理大臣は,平成5年3月26日,木曽川水系フルプラン(第2次計画)の全部変更(第3次計画)を決定し,同月31日,これを公示した(平成5年総理府告示第7号)。第3次計画においては,水の用途別の需要の見通し及び供給の目標,供給の目標を達成するため必要な施設の建設に関する基本的な事項及びその他水資源の総合的な開発及び利用の合理化に関する重要事項が定められ,平成12年度における木曽川水系の供給の目標は毎秒約34㎥とされた。また,第3次計画では,徳山ダム建設事業の事業目的は,洪水調整及び流水の正常な機能の維持を図る
-30-

とともに,岐阜県及び愛知県等の水道用水及び工業用水を確保し,発電の用にも供するものとする旨改められた。(乙3)

内閣総理大臣は,平成8年11月22日,木曽川水系フルプラン(第3次計画)の一部変更を決定し,同月27日,これを公示した(平成8年総理府告示第34号)上,平成9年12月19日,更にその一部変更を決定し,同月25日,これを公示した(平成9年総理府告示第36号)。平成9年12月19日の一部変更においては,
徳山ダム建設事業の事業目的は,
洪水調整及び流水の正常な機能の維持(異常渇水時の緊急水の補給を含む。)を図るとともに,岐阜県及び愛知県等の水道用水及び工業用水を確保し,発電の用にも供するものとする旨改められた。(乙12,13)

国道交通大臣は,平成15年5月28日,国土審議会に対し,木曽川水系フルプラン(第3次計画)の変更について意見聴取し,これを受けて,国土審議会は,
同年6月23日,
その検討を水資源開発分科会に付託した。
水資源開発分科会には,平成13年から木曽川部会が設置されていたところ,翌24日,木曽川水系フルプラン(第3次計画)の変更の検討は,木曽川部会に付託され,同年7月4日には,第1回木曽川部会が開催され,以来,同部会において審議が重ねられた。(乙53,55)


木曽川水系フルプラン(第3次計画)の変更について検討するため,国土交通省の水資源計画課長は,平成15年8月7日,愛知県企画振興部長に対し,本件需給想定調査を依頼した。これを受けて,愛知県企画振興部長は,本件需給想定調査を実施するとともに,名古屋市の都市用水に係る需給想定調査については同市から回答を得た上で,
平成16年3月30日,
水資源計画課長に対し,調査結果を回答した。同調査結果では,愛知用水地域の平成12年度の実績値及び平成27年度における水道用水の需要想定値は別紙本件需給想定調査における愛知用水地域の水道用水の需給想定値等のとおりとされ,愛知用水地域の平成27年度における1日最大
-31-

取水量は7.88㎥/s,河川取水地点では8.25㎥/sと想定された。また,木曽川フルプラン需要想定エリア内(愛知用水地域を含む。)全体の平成27年度における1日最大取水量は32.19㎥/s,河川取水地点では32.56㎥/sと想定された。(乙20,21)

平成16年4月13日に開催された木曽川部会では,本件需給想定調査を踏まえて木曽川水系フルプランの水需給の見通しや供給施設の安定性等について審議された。その後,同年5月12日に開催された木曽川部会において,木曽川水系フルプラン(第3次計画)の全部変更の案文等について審議され,同月31日に開催された水資源開発分科会では,木曽川部会の審議結果の報告がされた上,上記案文が了承された。(乙22,53,55)


国土交通大臣は,平成16年6月3日,被告知事に対し,木曽川水系フルプラン
(第3次計画)
の全部変更について案文を添付して意見を求めた。
被告知事は,名古屋市の意見を聴いた上で,同月8日,国土交通大臣に対し,上記全部変更について異議ない旨回答した。(乙23,24,53)


国土交通大臣は,平成16年6月15日,閣議決定を経た上で,木曽川水系フルプラン(第3次計画)の全部変更(第4次計画。本件フルプラン)を決定し,同月24日,これを公示した(平成16年国土交通省告示第740号)。本件フルプランにおいては,水の用途別の需要の見通し及び供給の目標,供給の目標を達成するため必要な施設の建設に関する基本的な事項及びその他水資源の総合的な開発及び利用の合理化に関する重要事項が定められ,平成27年度における木曽川水系の供給の目標については,近年の20年に2番目の渇水年の流況を基にすれば毎秒約77㎥と見込まれるとされた。
なお,国土交通省が作成した本件フルプランの説明資料では,都市用水
-32-

の平成27年度における需要想定値について,愛知県の水道用水の1日最大取水量は32.56㎥/s,長野県,岐阜県,愛知県及び三重県の都市用水(水道用水及び工業用水の合計)の1日最大取水量は76.77㎥/sとされ,都市用水の同年度における供給想定値について,徳山ダム,三重用水,長良川河口堰,阿木川ダム,味噌川ダム,木曽川総合用水,愛知用水等の安定供給可能量(ただし,近年の20年に2番目の渇水年において,河川に対してダム等の水資源開発施設による補給を行うことにより,年間を通じて供給が可能となる水量)
の合計は77.
33㎥/sとされた。
(乙4,5,53)

その後,国土交通省は,平成18年度に,本件導水路事業の実施計画調査に着手し,平成20年3月6日に開催された木曽川部会において,本件フルプランの供給の目標を達成するため必要な施設の建設に関する基本的な事項に本件導水路事業を追加する旨の内容を含む一部変更の案文等が審議された。これを踏まえて,同月18日,水資源開発分科会が開催され,
木曽川部会の上記案文について審議された結果,
異議なく了承された。
(乙25,53,弁論の全趣旨)


国土交通大臣は,平成20年3月26日,被告知事に対し,本件フルプランの一部変更について案文を添付して意見を求めた。被告知事は,名古屋市の意見を聴いた上で,同月31日,国土交通大臣に対し,上記一部変更について異議ない旨回答した。(乙26,27,53)


国土交通大臣は,平成20年6月3日,閣議決定を経た上で,本件フルプランの一部変更を決定し,同月17日,これを公示した(平成20年国土交通省告示第752号)。この一部変更においては,供給の目標を達成するため必要な施設の建設に関する基本的な事項に,木曽川導水路事業が前記前提事実(3)ア(キ)aないしeのとおりの内容が加えられた。(乙6,53)

-33-


その後,本件フルプランは,平成21年3月27日に,更に一部変更がされている。(乙53)

(イ)本件河川整備基本方針及び本件河川整備計画

国土交通大臣は,平成18年9月21日,社会資本整備審議会に対し,河川法16条3項に基づき,木曽川水系に係る河川整備基本方針の策定について意見を求めた。これについて,同年10月4日,同審議会から河川分科会に付託され,その後,更に同分科会から河川整備基本方針検討小委員会に付託された。(乙54,58,59)


河川整備基本方針検討小委員会は,学識経験者,都道府県知事及び地域の実情に詳しい者から構成される組織であり,平成19年6月29日,同年7月31日及び同年8月31日に開催され,本件河川整備基本方針の案について審議された。同年7月31日開催の検討小委員会では,参考資料の1つとして国土交通省河川局作成の木曽川水系河川整備基本方針流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する資料(案)(乙46)が配布されて審議された。(乙46,49,50,54,証人P2)c
平成19年10月11日に開催された河川分科会では,河川整備基本方針検討小委員会の審議結果が報告された上,本件河川整備基本方針の案が異議なく了承された。河川分科会は,同日,社会資本整備審議会に対し,付託されていた前記aの件について
適当と認める
と議決した旨報告し,
同審議会は,同月15日,国土交通大臣に対し,河川分科会の結論をもって同審議会の意見とすることが適当との意見を回答した。
(乙30,
54,
68,69)


これを受けて,国土交通大臣は,平成19年11月22日,本件河川整備基本方針を決定し,
その旨公表した。
本件河川整備基本方針においては,
①河川の総合的な保全と利用に関する基本方針として,災害の発生の防止又は軽減,河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持,
-34-

河川環境の整備と保全等について定められ,②河川の整備の基本となるべき事項として,基本高水並びにその河道及び洪水調節施設への配分に関する事項,主要な地点における計画高水流量に関する事項,主要な地点における計画高水位及び計画横断形に係る川幅に関する事項並びに主要な地点における流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する事項について定められた。同事項について,今渡地点における流水の正常な機能を維持するため必要な流量は,かんがい期では概ね150㎥/s,非かんがい期では概ね80㎥/sとされた。(乙28,29)

国土交通大臣から河川整備計画の策定について権限の委任(河川法98条)を受けている国土交通省中部地方整備局長は,河川に関し学識経験を有する者で構成される木曽川水系流域委員会を設置した上,平成19年3月13日から平成20年3月28日まで合計12回にわたり同委員会を開催し,その中で,本件河川整備基本方針に即した木曽川水系に係る河川整備計画の案を作成するに当たって,上記学識経験者の意見を聴いた。また,中部地方整備局長は,愛知県,岐阜県及び三重県の各会場において合計4回にわたり○を開催するとともに,関係市町村の役場,県庁及び県の事務所,国土交通省の事務所及び出張所等合計100か所において本件河川整備計画の原案を縦覧に供し,平成20年1月18日には,愛知県,岐阜県及び三重県の各会場において木曽川水系河川整備計画(原案)公聴会を開催し,関係住民の意見を反映させるための措置を講じた。(乙54,証人P2)


さらに,中部地方整備局長は,平成20年2月6日,被告知事,岐阜県知事,三重県知事及び長野県知事に対し,本件河川整備計画の案について意見聴取をした。これを受けて,被告知事は,同月7日,名古屋市,一宮市,津島市,犬山市,江南市,稲沢市,愛西市,弥富市,ξ町,π町(現
-35-

あま市),σ町(現あま市),τ町及びφ村の各市町村長に対し,上記の案について意見聴取をし,同月18日までに,同各市町村長から,意見なしとの回答を得た。これを受けて,被告知事は,同月20日,中部地方局長に対し,意見はない旨回答し,岐阜県知事,三重県知事及び長野県知事も,同年3月3日までに,同様に回答をした。(乙31ないし34,54,60,61)

そこで,中部地方整備局長は,平成20年3月28日,本件河川整備計画を策定し,その旨公表した。本件河川整備計画においては,①流域及び河川の現状と課題,河川整備計画の目標に関する事項及び河川の整備の実施に関する事項が定められ,②このうち河川整備計画の目標に関する事項の中において,河川水の適正な利用及び流水の正常な機能の維持に関する目標等が定められ,③河川の整備の実施に関する事項の中において,河川工事の目的,種類及び施行の場所並びに当該河川工事の施行により設置される河川管理施設の機能の概要及び河川の維持の目的,種類及び施行の場所が定められた。上記②の河川水の適正な利用及び流水の正常な機能の維持に関する目標では,流水の正常な機能の維持については,動植物の生息・生育等の河川環境を改善するため,木曽川では,木曽成戸地点において1/10規模の渇水時に既設阿木川ダム及び味噌川ダムの不特定補給と合わせて,新丸山ダムにより40㎥/s,異常渇水時(平成6年(1994)渇水相当)にはさらに徳山ダム渇水対策容量の利用により40㎥/sの流量を確保するとともに,水利用の合理化を促進し,維持流量の一部を回復する。とされ,上記③の河川工事の目的,種類及び施行の場所並びに当該河川工事の施行により設置される河川管理施設の機能の概要中の河川水の適正な利用及び流水の正常な機能の維持に関する事項では,河川環境の改善に関し,木曽川水系連絡導水路の建設が挙げられ,揖斐川と長良川,木曽川を繋ぐ木-36-曽川水系連絡導水路を整備し,徳山ダムに確保された渇水対策容量53,000千㎥のうち40,000千㎥の水を一部は長良川を経由して木曽川に導水することにより,異常渇水時(平成6年(1994)渇水相当)においても,木曽成戸地点において河川環境の保全のために必要な流量の一部である40㎥/sを確保するとともに,徳山ダムにより開発した愛知県及び名古屋市の都市用水最大4.0㎥/sを導水する。また,木曽川水系連絡導水路を上流分割ルートで整備することにより,長良川の忠節地点において,1/10規模の渇水時に20㎥/s,異常渇水時(平成6年(1994)渇水相当)にも11㎥/sを確保する。とされた。(乙7,8)(ウ)本件事業実施計画

機構は,
前記(ア)mの一部変更後の本件フルプランに基づき,
本件事業実
施計画の案を作成し,平成20年7月22日,被告企業庁長に対し,①その案を添付して意見を求めるとともに,②本件導水路事業に要する費用のうち愛知県の水道用水に係る費用の負担について同意を求めた。これに対し,被告企業庁長は,同年8月4日,上記①については異議ない旨,上記②については同意する旨回答した。(乙37ないし40)

機構は,平成20年8月4日,前記aの案どおりの本件事業実施計画を作成し,被告知事に協議したところ,被告知事は,同月8日,機構に対し,異議ない旨回答した。(乙35,36)


国土交通大臣は,総務大臣その他の関係行政機関の長と協議して了解を得た上で,平成20年8月22日,本件事業実施計画を認可して,同年9月3日,
これを公示した
(平成20年国土交通省告示第1034号)(乙

10,証人P1,弁論の全趣旨)

dイ
なお,本件導水路事業は,平成20年9月4日,機構に承継された。
河川維持流量の設定に関する経緯等

(ア)昭和35年,木曽三川(木曽川,長良川及び揖斐川)を総合的に把握し,利
-37-

水の対策及び合理的な開発管理を図ることを目的として,木曽三川協議会が関係行政機関によって組織された。以後,同協議会の作業部会等において,木曽三川の水資源開発の基本方針や需給計画に関し検討,協議が重ねられ,昭和40年,同協議会において,木曽三川水資源計画が取りまとめられた。この計画においては,水資源開発の基本方針として,既得の水利権を尊重するとともに,河川環境の悪化を防ぐための取水及び貯留制限流量という趣旨から,基準地点ごとに基準流量をもうけることとされ,木曽川の基準流量は,今渡地点(木曽川河口から約70㎞の地点で,今渡ダムの直下流に位置する。)で100㎥/s,木曽成戸地点(木曽川河口から約25㎞の地点)で50㎥/sと設定された。(甲10ないし13,15,乙8,46,47,49,54,証人P2,弁論の全趣旨)
(イ)その後,木曽成戸地点の直ぐ上流に木曽川大堰が建設され,約30年間にわたり,堰操作によって木曽成戸地点の維持流量(日平均約50㎥/s)が確保され,河口から木曽川大堰までの区間の汽水環境が形成されてきた。(甲25の1,乙47,証人P3)
(ウ)今渡地点は,流水の正常な機能を維持するために必要な流量の管理を安定的かつ確実に行うことが可能であり,木曽川と飛騨川の水力発電所で行っているピーク発電による流況を安定させる地点であって,これにより下流の流況を決定づける地点でもある上,流量観測も実施されていて長期間にわたる資料もあることから,今渡地点において,平成17年5月から平成18年3月まで,25回にわたり,塩素イオン濃度の観測が行われ,その結果を踏まえて,ヤマトシジミが生存できる塩素イオン濃度と河川維持流量との関係が分析,検討された。(乙47)
(エ)国土交通省河川局は,前記(ウ)の観測結果等を踏まえて分析,検討を進め,平成19年7月,木曽川水系河川整備基本方針流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する資料(案)(乙46)をまとめた。この中の流水-38-の正常な機能を維持するため必要な流量の検討では,まず,利水の歴史的経緯として,昭和35年に木曽三川を総合的に把握し,利水の対策および合理的な開発管理を図ることを目的に関係行政機関で組織した木曽三川協議会において,昭和40年に,水資源開発の基本となる木曽三川の基準地点と基準流量を設定した。,

木曽川では,今渡100㎥/sの踏襲と,下流漁業等に配慮した木曽成戸50㎥/sを設定した。

とされた上,流水の正常な機能を維持するため必要な流量の検討資料として,①動植物の生息地又は生育地の状況,②景観(観光),③流水の清潔の保持,④舟運,⑤漁業等の各項目について検討,分析がされていた。このうち,上記①の項目については,河口から木曽川大堰区間においては,感潮域における代表種(シジミ)の生息・産卵に必要な流量を算出すると,木曽川大堰下流で約50㎥/sとなり,今渡地点ではかんがい期150㎥/s,非かんがい期78㎥/sとなる。などとされ,上記②の項目については,散策・水遊び・スポーツ等の河川利用者が多い場所において木曽川の景観について,河川水面幅比の規模で5段階のフォトモンタージュによるアンケートを実施し,回答者の半数が渇水時に許容できる流量を景観(観光)に必要な流量として算出すると,川島大橋で約36㎥/sとなり,今渡地点ではかんがい期140㎥/s,非かんがい期68㎥/sとなる。と,上記③の項目については,『木曽川及び長良川流域別下水道整備総合計画(案)岐阜県・平成13年度』における将来流達負荷量を基に低水時及び渇水時の負荷量を算定し,BOD75%値が水質環境基準の2倍値を評価基準として必要な流量を算定すると,濃尾大橋地点で約15㎥/sとなり,今渡地点ではかんがい期115㎥/s,非かんがい期43㎥/sとなる。と,上記④の項目については,船舶調査結果等から,観光船舶の航路を確保できる必要水深と水面幅に対する必要な流量として算定すると,木曽川大堰~犬山頭首工地点で約46㎥/sとなり,今渡地点ではかんがい期146㎥/s,非かんがい期74㎥/sとなる。とされていた。
-39-

また,国土交通省中部地方整備局が平成19年7月に作成した木曽川水系河川整備基本方針(案)流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する説明資料(案)[木曽川編](乙47)においても,国土交通省河川局作成の上記資料(案)
と同様,
流水の正常な機能を維持するため必要な流量の検討として,①河川区分と主要な地点の設定,②動植物の生息地または生育地からの必要流量,③景観からの必要流量,④流水の清潔の保持からの必要流量,⑤舟運からの必要流量,⑥利水の歴史的経緯の各項目に関する分析結果がまとめられた上,⑦維持流量の設定についての検討結果が記載されていた。このうち,上記②の項目の中の河口から木曽川大堰までの区間(上記①で「A区間と区分設定された区間)における必要流量の設定」に関する箇所では,今渡地点(主要な地点)において塩素イオン濃度の観測を複数回実施し(平成17年5月~平成18年3月において25回観測),塩素イオン濃度と流量の関係式を作成し,ヤマトシジミが生存できる限界の塩素イオン濃度11,600㎎/Lを上回らないのに必要な流量は概ね50㎥/sであることを確認した。また,木曽川大堰より下流区間の現在の汽水環境は,この堰完成後の約30年間における維持流量放流(日平均約50㎥/s)による一連の堰操作により形成されたものである。すなわち,堰からの放流量が50㎥/s以上であれば生息に悪影響を及ぼさない塩素イオン濃度を満足できているものと推察できる。以上より,上記区間における必要流量は50㎥/sとする。などとされ,上記⑥の項目では,昭和35年に木曽三川を総合的に把握し,利水の対策および合理的な開発管理を図ることを目的に関係行政機関で組織した木曽三川協議会において,昭和40年に,水資源開発の基本となる木曽三川の基準地点と基準流量を設定した。,

木曽川では,今渡100㎥/sの踏襲と,下流漁業等に配慮した木曽成戸50㎥/sを設定した。

などとされていた。その上で,上記⑦では,

維持流量は,区間毎に算出した各項目別の必要流量をすべて満足する流量として,その最大値を設定し-40-た。

とした上,河口から木曽川大堰までの区間の維持流量は50㎥/sとされていた。
平成19年7月31日に開催された河川整備基本方針検討小委員会においては,国土交通省河川局作成の前記資料(案)が参考資料の1つとして配布され,木曽川水系の河川整備基本方針に関する検討が行われた。
その際,
事務局から,
正常流量の設定については,昭和40年に下流の漁業に配慮して木曽成戸地点50㎥/sを設定したのであるが,この50㎥/sについて,流量と塩素イオン濃度の関係,ヤマトシジミの斃死が発生しない流量が木曽川大堰の放流量でどれくらいかということを検証した。平成17年のデータで,おおむね50㎥/sくらいのところが,ヤマトシジミの生息の目安になっていることが確認できる。こういう意味で,下流の漁業に配慮した木曽成戸地点50㎥/sという意味が分かるわけである。歴史的な経緯を踏まえて,ここでは木曽成戸地点50㎥/sとしたところから,この50㎥/sに水利権量,支川の流入量等を加えて,基準地点である今渡地点で,かんがい期150㎥/s,非かんがい期78㎥/sと設定した。旨説明された。これに対し,委員から,上記データによる検証は無理があるのではないかとの指摘がされたが,
事務局からは,
データが少ないというのはそのとおりであって,基本的には下流の漁業への影響という歴史的な経緯の中から,今回の正常流量というのは考えたわけであるが,その裏付けとして少しデータを取ってみたということである。との説明がされた。また,委員の中からは,木曽川三川のこの地域では,歴史的にもいろいろな経緯を経て現在の運用が現地で決まっているというようなところがある。そういう意味では,今回の正常流量の設定についても,取水制限又は貯留制限等,もう決められているようなものはあまり動かさないで,それをベースに積み上げてもらいたい。などといった意見が出された。(乙46,47,49)
(オ)国土交通大臣は,平成19年11月22日,河川整備基本方針検討小委員会
-41-

での検討結果を踏まえて,本件河川整備基本方針を決定した。本件河川整備基本方針においては,
前記(エ)の50㎥/sという維持流量を前提に,
支川の流入
量や水流量を勘案した結果,
前記ア(イ)dのとおり,
今渡地点における流水の正
常な機能を維持するため必要な流量は,かんがい期では概ね150㎥/s,非かんがい期では概ね80㎥/sとされた。(乙28,29,証人P2)(カ)これを受けて,国土交通省地方整備局長は,平成20年3月28日,本件河川整備計画を策定した。本件河川整備計画においては,前記ア(イ)gのとおり,流水の正常な機能の維持に関する目標として,木曽川導水路を建設することにより,異常渇水時(平成6年渇水相当)においても,木曽成戸地点において河川環境の保全のために必要な流量の一部である40㎥/sを確保するものとされた。(乙7,8)

水の需給想定等

(ア)平成15年8月7日から平成16年3月30日までの間に行われた本件需給想定調査においては,水道用水の需要想定について,水道施設設計指針に従って,次のような方法が採られた。(乙53,55,証人P1,弁論の全趣旨)a
家庭用水,都市活動用水及び工場用水について,それぞれ有効に使用された水量(漏水等を除いた水量)のうち料金徴収の対象となった水量(有収水量)を求め,その合計として,1日平均有収水量を求める。


1日平均有収水量を有収率で除して,1日平均給水量を求める。ここでいう有収率とは,給水量に占める有収水量の割合を示す係数であり,本件需給想定調査においては,上水道実績から時系列的回帰分析により推計された。

1日平均給水量を負荷率で除して,1日最大給水量を求める。ここで,負荷率とは,給水量の変動を見込むための補正係数で,最大給水量に占める平均給水量の割合を示しており,本件需給想定調査においては,安全度を見込んで,近年10か年のデータとして平成3年から平成12年までの数値のうち,下位3か年の平均値(ただし一般地域,観光都市及びその他地域の加重
-42-

平均)が採用された。

1日最大給水量を利用量率で除して,1日最大取水量を求める。ここで,利用量率とは,導水ロスや浄配水ロスを見込むための補正係数で,取水量に占める給水量の割合を示しており,本件需給想定調査においては,水源開発分については導水ロス5%,浄配水ロス10%として設定された。
(イ)愛知県においては,本件需給想定調査の結果,①愛知用水地域の水道用水の平成27年度における1日平均給水量は48万9900㎥/日,1日最大給水量は61万6600㎥/日,1日最大取水量(河川取水地点)は8.25㎥/s,②愛知県(ただし本件フルプラン地域のみ)の水道用水の同年度における1日平均給水量は197万6200㎥/日,1日最大給水量は256万6500㎥/日,1日最大取水量(河川取水地点)は32.56㎥/sと想定し,平成16年3月30日,国土交通省に回答した。(乙21,53,55,弁論の全趣旨)
(ウ)前記ア(ア)hのとおり,
国土審議会水資源開発分科会木曽川部会において,

件需給想定調査を踏まえて木曽川水系フルプランの水需給の見通しや供給施設の安定性等について審議された後,平成16年5月31日に開催された水資源開発分科会において,木曽川水系フルプラン(第3次計画)の全部変更の案文が了承された。これらの会議では,都市用水の平成27年度における需要想定値について,本件需給想定調査の結果(愛知県の水道用水については前記(イ)の32.56㎥/s)と,国土交通省水資源部が全国的な統計データ等により算出した需要試算値(愛知県の水道用水については30.88㎥/s)との比較検討が行われ,その結果,前者が相当であるとして採用された。国土交通大臣が平成16年6月15日に決定した本件フルプランでは,愛知県の水道用水の1日最大取水量は32.56㎥/sとされ,長野県,岐阜県及び三重県の水道用水を加えると52.
37㎥/s,
更に上記4県の工業用水も含めると76.
77㎥/sとなることを踏まえた上で,平成27年度における木曽川水系の供
-43-

給の目標が約77㎥/sと定められた。(乙4,5,22,53,55,証人P1,弁論の全趣旨)
(エ)なお,平成12年度の水需要の実績値は,①愛知用水地域の水道用水については,1日平均給水量は43万6200㎥/日,1日最大給水量は52万1000㎥/日,1日最大取水量(河川取水地点)は6.79㎥/s,②愛知県(ただし本件フルプラン地域のみ)の水道用水については,1日平均給水量は184万9300㎥/日,1日最大給水量は229万4600㎥/日,1日最大取水量(河川取水地点)は29.11㎥/s,③長野県,岐阜県,愛知県及び三重県の合計(ただし本件フルプラン地域のみ)の水道用水については,1日平均給水量は304万7600㎥/日,1日最大給水量は375万7100㎥/日,1日最大取水量(河川取水地点)は46.93㎥/sであった。また,平成19年度の水需要の実績値は,長野県,岐阜県,愛知県及び三重県の水道用水の1日平均給水量は約298万4000㎥/日,1日最大給水量は約349万7000㎥/日,1日最大取水量(河川取水地点)は41.65㎥/sであった。(甲26,乙21,55,証人P1)

木曽川水系における渇水の発生状況等

(ア)木曽川水系は,渇水の頻発する水系として知られており,近年は,小雨化傾向に加えて年間降水量の変動幅も拡大しており,全国的に見ても渇水の発生頻度が高い。特に,日本各地で渇水が発生した平成6年には,木曽川や揖斐川の本川が干上がり,木曽川上流のダム群が枯渇して深刻な渇水被害が発生し,社会経済活動の停滞をもたらした。この異常渇水時には,木曽川大堰からの放流量はほぼ0㎥/sまで減少し,シジミの斃死等が発生した。さらに,工業用水の不足のため外国から水を緊急的に輸入する事態が生じるとともに,河川水の取水制限を補うために地下水が汲み上げられ,海抜0m地帯を含む広範囲な地域で地盤沈下が起きた。(甲20,29,乙8,70,73の1,証人P3)(イ)木曽川水系では,渇水のため,平成10年から平成20年までの間に14回
-44-

の取水制限(節水)が実施された。このうち,平成16年の愛知用水地域における渇水の際には,牧尾ダムについて同年7月30日から同年8月31日まで節水が実施されたが,その節水分を補填するため,愛知用水の水源である阿木川ダム及び味噌川ダムの有効利用が実施されたことから,実質的な節水対策は水道用水では回避され,工業用水について同月17日から5%の節水対策が実施された。
平成17年の愛知用水地域における渇水の際には,牧尾ダムについて同年5月24日から同年7月15日まで,同年8月6日から同年9月7日まで及び同年11月29日から平成18年2月28日まで,阿木川ダム及び味噌川ダムについては平成17年6月30日から同年7月7日まで,それぞれ節水が実施された。取水制限の強化と併せて上記3ダム等の総合運用等によりダムの枯渇を防ぎ,深刻な渇水被害は回避されたが,水道用水についても,同年6月30日から3%の節水対策が実施された。(乙8,73の1ないし73の5,証人P1)
(ウ)なお,木曽川水系においては,平成24年及び平成25年にも取水制限(節水)が実施された。(乙73の1,73の6,証人P1)
(3)本件各支出の財務会計法規上の違法の有無
そこで,以上の事実関係を前提に,前記(1)で説示した観点から,本件各支出が財務会計法規上違法なものであるかどうかについて検討する。

原告らは,本件導水路事業は異常渇水時に本件導水路から緊急水を補給することによって木曽川の流水の正常な機能(河川維持流量)を確保することを目的の1つとし,本件河川整備基本方針では,ヤマトシジミの生息に必要な流量を確保するという観点から,木曽川の下流24.1㎞の木曽成戸地点よりも下流域における河川維持流量を50㎥/sとし,本件事業実施計画の前提となっている本件河川整備計画では,河川維持流量40㎥/sを確保するとされているところ,これらの数値は科学的根拠を欠くものであるから,流水の正常な機
-45-

能の維持(異常渇水時の緊急水の補給)という目的のために本件導水路事業を実施する必要性はなく,この点に関する本件事業実施計画は,社会通念に照らし著しく合理性を欠くものであり,予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存する旨主張する。
しかしながら,前記(2)で認定した事実によると,①木曽川については,木曽三川を総合的に把握し,利水の対策及び合理的な開発管理を図ることを目的に関係行政機関によって組織された木曽三川協議会における約5年間にわたる協議の結果,昭和40年,既得の水利権を尊重するとともに,河川環境の悪化を防ぐための取水及び貯留制限流量という趣旨から,木曽川の基準流量を今渡地点で100㎥/s,その下流の木曽成戸地点で50㎥/sと設定するものとされたこと,②その後,木曽成戸地点の直ぐ上流に木曽川大堰が建設され,約30年間にわたり,堰操作によって木曽成戸地点の維持流量(日平均約50㎥/s)が確保され,河口から木曽川大堰までの区間の汽水環境が形成されてきたこと,③本件河川整備基本方針は,このような歴史的経緯に加え,a動植物の生息地又は生育地の状況,b景観(観光),c流水の清潔の保持,d舟運,e漁業等の多角的な見地から分析,検討を行った上,河口から木曽川大堰までの区間の維持流量(日平均約50㎥/s)とするとされたものであり,本件河川整備計画も,これを前提にして,流水の正常な機能の維持に関する目標として,木曽川導水路を建設することにより,異常渇水時(平成6年渇水相当)においても,木曽成戸地点において河川環境の保全のために必要な流量の一部である40㎥/sを確保するものとされたこと,④本件河川整備基本方針の策定過程では,上記aの項目につき,平成17年5月から平成18年3月まで25回にわたり,今渡地点における塩素イオン濃度の観測が行われ,感潮域における代表種(シジミ)の生息・産卵に必要な流量が検討されたほか,その他の項目についても,アンケート調査や水質環境基準との関係,観光船舶の航路を確保するために必要な水深及び水面幅についての調査結果等を
-46-

踏まえた分析,検討がされたこと等を指摘することができる。
これら諸点に照らすと,本件河川整備基本方針及び本件河川整備計画において定められた河川維持流量は,木曽三川協議会における協議の結果,既得の水利権を尊重するとともに,河川環境の悪化を防ぐための取水及び貯留制限流量という趣旨から,昭和40年に木曽川の基準流量を今渡地点で100㎥/s,その下流の木曽成戸地点で50㎥/sと設定するものとされ,その後,約30年もの長きにわたり,木曽川大堰の操作によって木曽成戸地点の維持流量(日平均約50㎥/s)が確保され,河口から木曽川大堰までの区間の汽水環境が形成されてきたという歴史的経緯を踏まえ,木曽川における動植物の保護,漁業・舟運や景観(観光)への影響等といった河川環境の保全の観点から,異常渇水時にも木曽川下流の河川流量が著しく低下することのないように定められたものであって,上記各検討項目から求められた必要流量の実証性等については議論の余地があり得るとしても,少なくとも,上記河川維持流量の設定が社会通念に照らして著しく合理性を欠くものであるとまでいうことはできない。この点について,原告らは,ヤマトシジミの生息に必要な流量が50㎥/sである科学的根拠はない旨主張し,これに沿う証人P3の証言を援用するけれども,
前記(2)で認定したとおり,
本件河川整備基本方針及び本件河川整備計画
における河川維持流量は,ヤマトシジミの生息環境を確保するという目的のためだけに設定されたものではなく,木曽川において長年にわたって形成されてきた汽水環境(ヤマトシジミ以外の動植物の生息環境にも影響する。)や既存水利権との調整等といった歴史的経緯や各種産業に与える影響その他諸般の事情をも総合的に考慮した上で定められたものであるから,ヤマトシジミの生息環境について,本件河川整備基本方針や本件河川整備計画の策定時に検討された調査結果とは異なる見解があるからといって,それだけでは,直ちに本件河川整備基本方針及び本件河川整備計画における河川維持流量の設定に係る判断が,河川管理者の有する裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものという
-47-

ことはできない。
したがって,原告らの上記主張は,採用することができない。

次に,原告らは,本件導水路事業は新規利水の供給をその目的の1つとし,本件事業実施計画の定める新規利水は本件フルプランに基づくものであるところ,その基礎となった水道用水の想定需要は,その作成後現時点までの実績事実と乖離しており,平成27年の想定需要が実績事実によって客観的,実証的に基礎付けられないことは明らかであるから,新規利水の供給という目的のために本件導水路事業を実施する必要性はなく,この点に関する本件事業実施計画は,社会通念に照らし著しく合理性を欠くものであり,予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存する旨主張する。
確かに,前記(2)ウ(エ)で認定した平成12年度及び平成19年度の水道用水の実績値や,原告ら訴訟代理人在間正史が検討書(甲24)において整理した別紙愛知用水地域の水道用水の実績値の推移について記載の平成12年度から平成22年度までの水道用水の実績値が,このままの傾向で推移すれば,平成27年度において,
前記(2)ウ(イ),
(ウ)で認定した需要想定値とは相当程度
乖離した数値となることも予想される。
しかしながら,一般に,将来の需要予測については不確実性を伴うため,想定値と実績値との間にある程度の誤差が生じることはやむを得ないところである上,水道は,国民の日常生活に直結しその健康等を守るために欠くことのできない設備であるばかりか,産業の発展のためにも安定した水の供給が求められる一方,水資源開発施設については,その整備に長い時間を要し,水需要が急増したとしても,その時点では整備が間に合わず,水資源開発に必要な施設が完成するまでには相当の期間を要するものであって,この間,需要増に対応した供給をすることができないという状況に陥ることになるから,水資源開発基本計画を策定するに当たっては,長期的な視野に立って将来の当該地域における社会,経済の発展等にも十分対応することができるようにその見通しを立
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てる必要があるといわなければならない。
このような点に加え,
前記(2)で認定
した事実,殊に,①本件フルプランの策定(木曽川水系フルプラン(第3次計画)の変更)に先立って実施された本件需給想定調査では,水道施設設計指針に従い,従前の実績値等を基に,需要想定値が推計されたこと,②本件フルプランにおいては,本件需給想定調査の結果(愛知県の水道用水32.56㎥/s)と,国土交通省水資源部が全国的な統計データ等により算出した需要試算値(愛知県の水道用水30.88㎥/s)との比較検討等も踏まえて,近年の20年に2番目の渇水年の流況を基に平成27年度における木曽川水系の供給の目標を約77㎥とするものとされたこと,③木曽川水系は,全国的に見ても渇水の頻度が高く,特に,日本各地で渇水が発生した平成6年には,木曽川の本川が干上がり,木曽川上流のダム群が枯渇して深刻な渇水被害が発生し,水の緊急輸入を余儀なくされ,取水制限を補うための地下水の汲み上げによって広範な地域で地盤沈下が起きるなど,社会経済活動に深刻な影響をもたらしたこと,④その後も,木曽川では,渇水のため,平成10年から平成20年までの間に14回の取水制限(節水)が実施されており,工業用水のみならず,水道用水について節水対策が採られたこともあったこと等をも併せ考慮すると,原告らが指摘するような水需要の実績値と想定値との間の乖離が見られるからといって,直ちに上記需要想定を前提に策定された本件フルプランが著しく合理性を欠くものであるとまで断ずることはできない。
したがって,原告らの上記主張は,採用することができない。

以上のとおり,本件において,愛知県の負担金に係る納付通知ないし納入通知の基礎となる本件事業実施計画又は本件フルプランが裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したことにより著しく合理性を欠き,そのため予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するということはできない。そして,本件全証拠を精査してみても,本件フルプラン及び本件事業実施計画やこれに基づいてされる納付通知ないし納入通知の手続に違法と目すべき点は見当たらな
-49-

い。
また,
以上の点を暫く措くとしても,
前記(1)イで説示したとおり,
愛知県は,
納付通知ないし納入通知に従って負担金を支払う義務を負っているところ,愛知県は,その基礎となる本件フルプランや本件事業実施計画を是正する権限を有しておらず,本件導水路事業から撤退する旨の申出をしたとしても,機構法13条3項所定の特定利水者として費用負担につき同意を得る必要のある名古屋市の同意や,愛知県の撤退に応じて変更される事業実施計画につき主務大臣である国土交通大臣の認可等が得られる見込みがあるとはいえないことは,前記(1)オで説示したとおりである。
本件全証拠を精査してみても,
愛知県が国や
関係自治体等に事実上の働きかけを真摯に行えば,本件フルプランや本件事業実施計画が見直される蓋然性が大きいというような事情も見当たらないから,本件において,客観的にみて愛知県が本件事業実施計画又は本件フルプランの瑕疵を是正又は解消することができる蓋然性が大きいという事情があるということはできない。
(4)まとめ
以上によると,本件事業実施計画やその前提となる本件フルプランが裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したことにより著しく合理性を欠き,そのため予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するということはできないし,客観的にみて愛知県が本件事業実施計画又は本件フルプランの瑕疵を是正又は解消することができる蓋然性が大きいという事情があるということもできない。したがって,被告らが愛知県の負担金に係る納付通知ないし納入通知を受けて本件各支出を行うことをもって財務会計法規上違法であるということはできないから,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,被告らが本件各支出をすることを差し止めることはできないといわざるを得ない。第4

結論
以上の次第で,原告らの請求はいずれも理由がないから,これを棄却するこ
-50-

ととし,主文のとおり判決する。

名古屋地方裁判所民事第9部

裁判長裁判官

福井章代

裁判官

笹本哲朗

裁判官

平野佑子

-51-

(別紙)
関係法令等の定め

1
水資源開発促進法(昭和36年法律第217号)

1条
この法律は,産業の開発又は発展及び都市人口の増加に伴い用水を必要とする地域に対する水の供給を確保するため,水源の保全かん養と相まって,河川の水系における水資源の総合的な開発及び利用の合理化の促進を図り,もって国民経済の成長と国民生活の向上に寄与することを目的とする。
3条1項
国土交通大臣は,第1条に規定する地域について広域的な用水対策を緊急に実施する必要があると認めるときは,厚生労働大臣,農林水産大臣,経済産業大臣その他関係行政機関の長に協議し,かつ,関係都道府県知事及び国土審議会の意見を聴いて,当該地域に対する用水の供給を確保するため水資源の総合的な開発及び利用の合理化を促進する必要がある河川の水系を水資源開発水系として指定する。3条4項
国土交通大臣は,水資源開発水系の指定をしたときは,これを公示しなければならない。
4条1項
国土交通大臣は,水資源開発水系の指定をしたときは,厚生労働大臣,農林水産大臣,経済産業大臣その他関係行政機関の長に協議し,かつ,関係都道府県知事及び国土審議会の意見を聴いて,当該水資源開発水系における水資源の総合的な開発及び利用の合理化の基本となるべき水資源開発基本計画
(以下
基本計画
という。

を決定しなければならない。
4条2項
国土交通大臣が基本計画の決定をするには,閣議の決定を経なければならない。
-52-

4条3項
基本計画には,治山治水,電源開発及び当該水資源開発水系に係る後進地域の開発について十分の考慮が払われていなければならない。
4条4項
国土交通大臣は,基本計画を決定したときは,これを公示しなければならない。4条5項
前4項の規定は,基本計画を変更しようとするときに準用する。
5条
基本計画には,次の事項を記載しなければならない。
1号

水の用途別の需要の見とおし及び供給の目標

2号

前号の供給の目標を達成するため必要な施設の建設に関する基本的な事項
3号

その他水資源の総合的な開発及び利用の合理化に関する重要事項

12条
基本計画に基づく事業は,当該事業に関する法律(これに基づく命令を含む。)の規定に従い,国,地方公共団体,独立行政法人水資源機構その他の者が実施するものとする。

2
河川法(昭和39年法律第167号)

8条
この法律において河川工事とは,河川の流水によつて生ずる公利を増進し,又は公害を除却し,若しくは軽減するために河川について行なう工事をいう。9条1項
一級河川の管理は,国土交通大臣が行なう。
16条1項
河川管理者は,その管理する河川について,計画高水流量その他当該河川の河川工事及び河川の維持(次条において河川の整備という。)についての基本とな
-53-

るべき方針に関する事項(以下河川整備基本方針という。)を定めておかなければならない。
16条2項
河川整備基本方針は,水害発生の状況,水資源の利用の現況及び開発並びに河川環境の状況を考慮し,かつ,国土形成計画及び環境基本計画との調整を図って,政令で定めるところにより,水系ごとに,その水系に係る河川の総合的管理が確保できるように定められなければならない。
16条3項
国土交通大臣は,河川整備基本方針を定めようとするときは,あらかじめ,社会資本整備審議会の意見を聴かなければならない。
16条5項
河川管理者は,河川整備基本方針を定めたときは,遅滞なく,これを公表しなければならない。
16条の2第1項
河川管理者は,河川整備基本方針に沿って計画的に河川の整備を実施すべき区間について,当該河川の整備に関する計画(以下河川整備計画という。)を定めておかなければならない。
16条の2第2項
河川整備計画は,河川整備基本方針に即し,かつ,公害防止計画が定められている地域に存する河川にあっては当該公害防止計画との調整を図って,政令で定めるところにより,当該河川の総合的な管理が確保できるように定められなければならない。この場合において,河川管理者は,降雨量,地形,地質その他の事情によりしばしば洪水による災害が発生している区域につき,災害の発生を防止し,又は災害を軽減するために必要な措置を講ずるように特に配慮しなければならない。16条の2第3項
河川管理者は,河川整備計画の案を作成しようとする場合において必要があると
-54-

認めるときは,河川に関し学識経験を有する者の意見を聴かなければならない。16条の2第4項
河川管理者は,前項に規定する場合において必要があると認めるときは,公聴会の開催等関係住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。16条の2第5項
河川管理者は,河川整備計画を定めようとするときは,あらかじめ,政令で定めるところにより,関係都道府県知事又は関係市町村長の意見を聴かなければならない。
16条の2第6項
河川管理者は,河川整備計画を定めたときは,遅滞なく,これを公表しなければならない。
98条
この法律に規定する国土交通大臣の権限は,政令で定めるところにより,その一部を地方整備局長又は北海道開発局長に委任することができる。

3
独立行政法人水資源機構法(平成14年法律第182号)

1条
この法律は,独立行政法人水資源機構の名称,目的,業務の範囲等に関する事項を定めることを目的とする。
2条2項
この法律において水資源開発施設とは,独立行政法人水資源機構(以下機構という。)による第12条第1項第1号の業務の実施により生じる施設及び水資源開発公団による附則第6条の規定による廃止前の水資源開発公団法(昭和36年法律第218号。以下旧水公団法という。)第18条第1項第1号の業務の実施により生じた施設で附則第2条第1項の規定により機構が承継したものをいう。

-55-

2条4項
この法律において特定施設とは,洪水(高潮を含む。)防御の機能又は流水の正常な機能の維持と増進をその目的に含む多目的ダム,河口堰,湖沼水位調節施設その他の水資源の開発又は利用のための施設であって政令で定めるものをいう。12条1項
機構は,第4条の目的を達成するため,次の業務を行う。
1号

水資源開発基本計画に基づいて,次に掲げる施設(当該施設のうち発電に
係る部分を除く。以下この号において同じ。)の新築(イに掲げる施設の新築にあっては,水の供給量を増大させないものに限る。)又は改築を行うこと。イ
ダム,河口堰,湖沼水位調節施設,多目的用水路,専用用水路その他の水資
源の開発又は利用のための施設

イに掲げる施設と密接な関連を有する施設

2号~4号

《省略》

13条1項
機構は,前条第1項第1号の業務を行おうとするときは,政令で定めるところにより,水資源開発基本計画に基づいて事業実施計画を作成し,関係都道府県知事に協議するとともに,主務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも,同様とする。
13条2項
主務大臣は,前項の認可をしようとするときは,あらかじめ,国の関係行政機関の長に協議しなければならない。
13条3項
機構は,第1項の規定により事業実施計画を作成し,又は変更しようとするときは,政令で定めるところにより,あらかじめ,当該水資源開発施設を利用して流水を水道若しくは工業用水道の用に供しようとする者(当該事業実施計画の変更に際し,事業からの撤退(当該事業実施計画に係る水資源開発施設を利用して流水を水
-56-

道又は工業用水道の用に供しようとした者が,その後の事情の変化により当該事業実施計画に係る水資源開発施設を利用して流水を水道又は工業用水道の用に供しようとしなくなることをいう。以下同じ。)をする者を含む。)又は当該事業実施計画に係る水資源開発施設を利用して流水をかんがいの用に供しようとする者の組織する土地改良区の意見を聴くとともに,第25条第1項の規定による費用の負担について当該費用の負担をする者の同意を得なければならない。
13条6項
機構は,事業実施計画に基づく事業を廃止しようとするときは,政令で定めるところにより,関係都道府県知事に協議するとともに,主務大臣の認可を受けて,当該事業実施計画を廃止しなければならない。この場合においては,第2項の規定を準用する。
13条7項
機構は,前項の規定により事業実施計画を廃止しようとするときは,政令で定めるところにより,あらかじめ,第3項の規定により意見を聴いた者(当該事業実施計画の廃止前に事業からの撤退をした者を除く。)の意見を聴くとともに,第25条第2項の規定による費用の負担について当該費用の負担をする者の同意を得なければならない。
14条3項
国土交通大臣又は農林水産大臣は,第1項の規定によりその実施を求めた事業(以下この条及び第26条において国の水資源開発事業という。)又は前項の規定によりその実施を求めた事業(以下この条において都道府県の水資源開発事業という。)について,機構がその求めに応じて第12条第1項第1号の業務を行おうとする場合において前条第1項の規定による事業実施計画の認可をしたときは,政令で定
めるところにより,その旨を公示しなければならない。
14条4項
機構は,前項の規定による公示があった日の翌日から,その業務として国の水
-57-

資源開発事業又は都道府県の水資源開発事業を行うものとする。
14条5項
前項の規定により機構が国の水資源開発事業をその業務として行うこととなった時において当該国の水資源開発事業に関し国が有する権利及び義務(当該国の水資源
開発事業に関する特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)附則第66条第18号の規定による廃止前の国営土地改良事業特別会計法(昭和32年法律第71号)
に基づく国営土地改良事業特別会計,
特別会計に関する法律附則第67条第1項
第10号の規定により設置する国営土地改良事業特別会計及び同法附則第231条第2項に規定する食料安定供給特別会計の国営土地改良事業勘定の財政融資資金からの負債を含み,政令で定める権利又は義務を除く。)は,その時において機構が承継する。
21条1項
国は,特定施設の新築又は改築に要する費用(特定施設の新築又は改築に関する事業が廃止されたときは,その廃止に伴い追加的に必要となる費用を含む。)のうち,洪水調節に係る費用その他政令で定める費用を機構に交付するものとする。21条2項
前項の費用の範囲,
同項の交付金の額の算出方法その他同項の交付金に関し必要な
事項は,政令で定める。
21条3項
都道府県は,
第1項の規定により国が機構に交付する金額の一部を負担しなければならない。
21条4項
前項の規定による都道府県の負担の割合その他同項の規定による都道府県の負担金に関し必要な事項は,政令で定める。
22条1項
国は,特定施設の操作,維持,修繕その他の管理に要する費用及び特定施設につい
-58-

ての災害復旧工事に要する費用のうち,洪水調節に係る費用その他政令で定める費用を機構に交付するものとする。
22条2項
前項の費用の範囲,
同項の交付金の額の算出方法その他同項の交付金に関し必要な
事項は,政令で定める。
22条3項
都道府県は,
第1項の規定により国が機構に交付する金額の一部を負担しなければならない。
22条4項
前条第4項の規定は,前項の都道府県の負担金について準用する。25条1項
機構は,
水資源開発施設を利用して流水を水道若しくは工業用水道の用に供する者(事業からの撤退をした者を含む。)又は水資源開発施設(特定施設でその新築又は改築に係る第21条第1項の規定による国の交付金にかんがいに係るものが含まれているもの(以下かんがい特定施設という。)を除く。)を利用して流水をかんがいの用に供する者の組織する土地改良区に,政令で定めるところにより,当該水資源開発施設の新築又は改築及び管理並びにこれについての災害復旧工事に要する費用(事業からの撤退をした者にあっては,当該水資源開発施設の新築又は改築に要する費用の一部)を負担させるものとする。
25条2項
機構は,水資源開発施設(これを利用して流水を水道又は工業用水道の用に供しようとするものに限る。)の新築又は改築に関する事業を廃止するときは,当該水資源開発施設を利用して流水を水道又は工業用水道の用に供しようとしていた者に,政令
で定めるところにより,
事業の廃止までに当該水資源開発施設の新築又は改築に要し
た費用(事業の廃止に伴い追加的に必要となる費用を含む。)を負担させることができる。

-59-

25条3項
機構は,愛知豊川用水施設を利用して流水を発電,水道若しくは工業用水道の用に供する者又は愛知豊川用水施設を利用して流水をかんがいの用に供する者の組織する土地改良区に,政令で定めるところにより,当該施設の管理及びこれについての災害復旧工事に要する費用を負担させるものとする。

4
地方自治法(昭和22年法律第67号)

2条14項
地方公共団体は,その事務を処理するに当っては,住民の福祉の増進に努めるとともに,最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。149条
普通地方公共団体の長は,概ね左に掲げる事務を担当する。
1号

《省略》

2号

予算を調製し,及びこれを執行すること。

3号~9号

《省略》

232条1項
普通地方公共団体は,当該普通地方公共団体の事務を処理するために必要な経費その他法律又はこれに基づく政令により当該普通地方公共団体の負担に属する経費を支弁するものとする。
232条の4第1項
会計管理者は,普通地方公共団体の長の政令で定めるところによる命令がなければ,支出をすることができない。

5
地方財政法(昭和23年法律第109号)

4条1項
地方公共団体の経費は,
その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて,

-60-

これを支出してはならない。
10条の2
地方公共団体が国民経済に適合するように総合的に樹立された計画に従って実施しなければならない法律又は政令で定める土木その他の建設事業に要する次に掲げる経費については,国が,その経費の全部又は一部を負担する。
1号

道路,河川,砂防,海岸,港湾等に係る重要な土木施設の新設及び改良に
要する経費
2号~6号

《省略》

17条の2第1項
国が第10条の2及び第10条の3に規定する事務を自ら行う場合において,地方公共団体が法律又は政令の定めるところによりその経費の一部を負担するときは,当該地方公共団体は,その負担する金額(以下地方公共団体の負担金という。)を国に対して支出するものとする。
17条の2第2項
国の行う河川,道路,砂防,港湾等の土木事業で地方公共団体を利するものに対する当該地方公共団体の負担金の予定額は,当該工事の着手前にあらかじめ当該地方公共団体に通知しなければならない。事業計画の変更等により負担金の予定額に著しい変更があった場合も,同様とする。

6
地方公営企業法(昭和27年法律第292号)

2条1項
この法律は,地方公共団体の経営する企業のうち次に掲げる事業(これらに附帯する事業を含む。以下地方公営企業という。)に適用する。
1号

水道事業(簡易水道事業を除く。)

2号

工業用水道事業

3号~7号

《省略》

-61-

7条
地方公営企業を経営する地方公共団体に,
地方公営企業の業務を執行させるため,
第2条第1項の事業ごとに管理者を置く。ただし,条例で定めるところにより,政令で定める地方公営企業について管理者を置かず,又は2以上の事業を通じて管理者1人を置くことができる。なお,水道事業(簡易水道事業を除く。)及び工業用水道事業を併せて経営する場合又は軌道事業,自動車運送事業及び鉄道事業のうち2以上の事業を併せて経営する場合においては,それぞれ当該併せて経営する事業を通じて管理者1人を置くことを常例とするものとする。
8条1項
管理者は,次に掲げる事項を除くほか,地方公営企業の業務を執行し,当該業務の執行に関し当該地方公共団体を代表する。ただし,法令に特別の定めがある場合は,この限りでない。
1号

予算を調製すること。

2号

地方公共団体の議会の議決を経るべき事件につきその議案を提出するこ
と。
3号

決算を監査委員の審査及び議会の認定に付すること。

4号

地方自治法第14条第3項並びに第228条第2項及び第3項に規定する
過料を科すること。
9条
管理者は,前条の規定に基いて,地方公営企業の業務の執行に関し,おおむね左に掲げる事務を担任する。
1号~10号
11号

《省略》

出納その他の会計事務を行うこと。

12号~15号

《省略》

16条
地方公共団体の長は,当該地方公共団体の住民の福祉に重大な影響がある地方公
-62-

営企業の業務の執行に関しその福祉を確保するため必要があるとき,又は当該管理者以外の地方公共団体の機関の権限に属する事務の執行と当該地方公営企業の業務の執行との間の調整を図るため必要があるときは,当該管理者に対し,当該地方公営企業の業務の執行について必要な指示をすることができる。

7
河川法施行令(昭和40年政令第14号)

10条の2
河川整備基本方針には,次に掲げる事項を定めなければならない。1号

当該水系に係る河川の総合的な保全と利用に関する基本方針

2号

河川の整備の基本となるべき事項


基本高水(洪水防御に関する計画の基本となる洪水をいう。)並びにその河道及び洪水調節ダムへの配分に関する事項


主要な地点における計画高水流量に関する事項


主要な地点における計画高水位及び計画横断形に係る川幅に関する事項

主要な地点における流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する事項
10条の3
河川整備計画には,次に掲げる事項を定めなければならない。
1号

河川整備計画の目標に関する事項

2号

河川の整備の実施に関する事項


河川工事の目的,種類及び施行の場所並びに当該河川工事の施行により設置
される河川管理施設の機能の概要

河川の維持の目的,種類及び施行の場所

10条の4第1項
河川管理者は,河川整備計画を定め,又は変更しようとするときは,あらかじめ,国土交通大臣である場合にあつては関係都道府県知事の意見を,都道府県知事であ
-63-

る場合にあつては関係市町村長の意見を聴かなければならない。
10条の4第2項
前項の場合において,関係都道府県知事が意見を述べようとするときは,あらかじめ,関係市町村長の意見を聴かなければならない。
36条の2
法第60条第1項の政令で定める大規模な工事は,次に掲げる施設に関する工事でこれに要する費用の額が120億円を超えるもの(以下大規模改良工事という。)とする。
1号・2号
3号

《省略》

長さ750メートル以上の導水路,放水路又は捷水路

4号~6号

《省略》

38条1項
国土交通大臣は,その行なう一級河川の管理に要する費用の負担に関し,法第60条第1項又は第63条第1項の規定によりその費用を負担すべき都道府県に対し,それぞれその負担すべき額を納付すべき旨を通知しなければならない。《以下省略》
53条
法及びこの政令に規定する河川管理者である国土交通大臣の権限のうち,次に掲げるもの以外のものは,地方整備局長及び北海道開発局長に委任する。ただし,法第9条第2項又は第5項の規定により,指定区間内の一級河川について,都道府県知事又は指定都市の長が行うこととされる管理については,この限りでない。1号

河川整備基本方針を定め,又は変更すること。

2号

特定水利使用(国土交通省令で定めるものに限る。)に関する法第23条,第24条,第26条第1項,第27条第1項,第34条第1項,第38条,第39条,第40条第2項,第42条第2項,第43条第1項及び第6項,第44条第1項,第47条第1項及び第4項,第55条第1項,第57条第
-64-

1項及び第2項,第58条の4第1項,第58条の6第1項及び第2項,第75条並びに第76条の規定による権限
3号

前号に規定する特定水利使用に関する法第32条第4項,第35条,第36条第1項及び第90条第1項に規定する権限(次項各号に掲げる権限のみに係るものを除く。)

4号

第2条第1項第5号に規定する権限(第2号に規定する特定水利使用に係るものに限る。)

8
独立行政法人水資源機構法施行令(平成15年政令第329号)

1条
独立行政法人水資源機構法(以下法という。)第2条第4項の政令で定める施設は,河川法(昭和39年法律第167号)第8条の規定による河川工事としてその新築又は改築が行われる施設とする。
2条
法第13条第1項の事業実施計画には,当該事業実施計画に係る法第12条第1項第1号の業務に関し,次の事項を記載しなければならない。
1号

事業の名称

2号

事業の目的

3号

施設の位置及び概要

4号

貯水,放流,取水又は導水に関する計画

5号

かんがい排水に係る業務にあっては,その受益地の区域

6号

工期

7号

費用及びその負担方法

8号

その他業務に関する重要事項

18条2項
この章において不要支出額とは,水資源開発施設の新築又は改築に関する事
-65-

業の縮小があった場合において,当該新築又は改築に要する費用の額と,当該事業の縮小後の水資源開発施設が有する効用と同等の効用を有する水資源開発施設の新築又は改築に要する推定の費用の額との差額をいう。
18条3項
この章において投資可能限度額とは,水資源開発施設の新築又は改築に関する事業の目的である各用途について特定多目的ダム法施行令第5条の規定の例により算出した金額又は同令第6条の規定の例により算出した金額のうちいずれか少ない金額から,当該水資源開発施設の効用を全うするため必要な水路,建物,機械その他の施設又は工作物で専ら当該用途に供されるものの新築又は改築に要する費用の額を控除した金額をいう。この場合において,特定施設以外の水資源開発施設にあっては,同条中国土交通大臣とあるのは,独立行政法人水資源機構法第37条第2項に規定する主務大臣と読み替えるものとする。19条
法第21条第1項及び第22条第1項の政令で定める費用は,高潮防御,かんがいその他流水の正常な機能の維持と増進に係る費用とする。
20条
法第21条第1項の費用の範囲は,実施計画調査費,本工事費,附帯工事費,用地費,補償費,機械器具費,事務取扱費及び附属諸費(本工事費,附帯工事費,用地費又は補償費につき支払うべき利息があるときは,当該利息を含む。)とする。21条1項
法第21条第1項の交付金の額は,特定施設の新築又は改築に要する費用で前条に規定するものの額(機構が納める義務がある消費税及び地方消費税に相当する額を除くほか,次に掲げる額が含まれるときは,当該額を控除した額)に,洪水調節,高潮防御,かんがいその他流水の正常な機能の維持と増進のための用途(以下治水関係用途という。)に係る特定多目的ダム方式負担割合を乗じて得た額及びその額に対応する前条の利息の額(法第24条第1項に規定する者が負担すべきもの
-66-

が含まれるときは,その部分を控除した額)とする。
1号

本工事費,附帯工事費,用地費又は補償費に係る前条の利息の額

2号

当該特定施設の新築又は改築に関する事業が縮小された場合における当該事業の縮小に係る不要支出額(前号に掲げる額を除く。)

3号

法第13条第1項の事業実施計画の変更の場合であって当該変更前に事業からの撤退をした者がある場合において,当該者の当該特定施設に係る費用の負担について第30条第2項の規定により算出した額(第1号に掲げる額を除く。)

4号

法第27条の規定により機構が負担させる費用の額

5号

河川法第66条,第67条又は第68条第2項の規定により機構以外の者が負担すべき費用の額

6号

当該特定施設のうち発電に係る部分の新築又は改築を機構に委託した者が負担すべき費用の額

21条5項
特定施設の新築又は改築に関する事業が廃止された場合における法第21条第1項の交付金の額は,前各項の規定にかかわらず,特定施設の新築又は改築に要した費用(当該事業の廃止に伴い追加的に必要となる費用を含む。)で前条に規定するものの額(次に掲げる額が含まれるときは,当該額を控除した額)に,治水関係用途に係る特定多目的ダム方式負担割合を乗じて得た額及びその額に対応する同条の利息の額並びに法第24条第1項に規定する者が負担することとされていた利息の額とする。ただし,これにより算出することが著しく公平を欠くと認められるときは,国土交通大臣が関係行政機関の長と協議して定める方法により算出した額とすることができる。
1号

本工事費,附帯工事費,用地費又は補償費に係る前条の利息の額

2号

当該事業の廃止前に事業からの撤退をした者がある場合において,当該者の当該特定施設に係る費用の負担について第30条第2項の規定により算出
-67-

した額(前号に掲げる額を除く。)
3号

河川法第66条,第67条又は第68条第2項の規定により機構以外の者が負担すべき費用の額

4号

当該特定施設のうち発電に係る部分の新築又は改築を機構に委託した者が負担すべき費用の額

21条7項
法第21条第1項の交付金は,当該特定施設の新築又は改築が完了するまでの間(当該特定施設の新築又は改築に関する事業が廃止されたときは,その廃止に伴う追加的な工事が完了するまでの間)において,毎年度,国土交通大臣の定めるところにより機構に交付するものとする。ただし,当該交付金の額のうち法第24条第1項の規定により同項に規定する者が負担すべき費用の額に相当する金額については,同条第2項の規定による都道府県知事の納付の状況に応じて,別に国土交通大臣が財務大臣に協議して定めるところによる。
22条1項
法第21条第3項の規定により同条第1項の交付金の一部を負担する都道府県は,当該交付金に係る特定施設の新築又は改築で治水関係用途に係るものにより利益を受ける都道府県とする。
22条2項
法第21条第3項の規定により当該都道府県が負担する負担金の額は,当該特定施設に係る同条第1項の交付金の額(法第24条第1項の負担金があるときは,当該負担金の額を控除した額。次項において同じ。)から事務取扱費の額を控除した額に,次の各号に掲げる場合の区分に応じて,当該各号に定める割合を乗じて得た額とする。
1号

前項の都道府県が1である場合

3分の1。ただし,当該都道府県が後進

地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律(昭和36年法律第112号)第2条第1項に規定する適用団体(以下適用団体
-68-

という。)であるときは,次の式により算出した割合(その割合が100分の10未満となるときは,100分の10)とする。
1-2/3×r
この式において,rは,後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律第3条第1項に規定する引上率(以下引上率という。)を表すものとする。
2号

前項の都道府県が2以上である場合

国土交通大臣が当該特定施設の新築

又は改築で治水関係用途に係るものにより当該都道府県の受ける利益の程度を勘案し,かつ,当該都道府県知事の意見を聴いて,当該都道府県につき定める割合に3分の1(当該都道府県が適用団体であるときは,前号ただし書の割合)を乗じて得た割合
22条3項
法第21条第3項の規定による都道府県の負担金が河川法施行令第36条の2各号に掲げる施設に該当する特定施設に係るものである場合において,当該特定施設に係る法第21条第1項の交付金の額が120億円を超えるものであるときは,前項各号中3分の1とあるのは10分の3と,同項第1号中2/3とあるのは7/10として,同項の規定を適用するものとする。
22条6項
法第21条第3項の規定による都道府県の負担金の納付の方法は,国土交通大臣が定めるところによる。
23条1項
法第22条第1項の特定施設の操作,維持,修繕その他の管理に要する費用の範囲は,操作費,維持修繕費,機械器具費,事務取扱費及び附属諸費とし,同項の特定施設についての災害復旧工事に要する費用の範囲は,本工事費,附帯工事費,用地費,補償費,機械器具費,事務取扱費及び附属諸費とする。
23条2項

-69-

前項に規定する特定施設についての災害復旧工事に要する費用には,国土交通大臣が特別の事情があると認める応急工事費,応急工事に使用した材料で復旧工事に使用できるものに要した費用及び仮締切,瀬替えその他復旧工事に必要な仮設工事に要する費用を含むものとする。
24条1項
法第22条第1項の交付金の額は,次の式により算出した額とする。ただし,これにより算出することが著しく公平を欠くと認められるときは,国土交通大臣は,関係行政機関の長に協議して,別に法第22条第1項の交付金の額を定めることができる。
M×Pf/C
この式において,M,C及びPfは,それぞれ次の数値を表すものとする。M
特定施設の操作,維持,修繕その他の管理に要する費用及び特定施設についての災害復旧工事に要する費用で前条に規定するものの額(機構が納める義務がある消費税及び地方消費税に相当する額を除くほか,次に掲げる額が含まれるときは,当該額を控除した額)

1号

次に掲げる固定資産に係る固定資産税又は都市計画税の納付に要する費用(以下ダムに係る固定資産税等の納付に要する費用という。)で当該特定施設に係るものの額


ダム(ダムと一体となってその効用を全うする施設及び工作物を含む。)の用に供する固定資産


堰,湖沼水位調節施設及び水路施設の用に供する土地


ロの施設の操作又は監視の用に供する土地

2号

河川法第66条,第67条又は第68条第2項の規定により機構以外の者が負担すべき費用の額

3号

当該特定施設のうち発電に係る部分の操作,維持,修繕その他の管理又は当該部分についての災害復旧工事を機構に委託した者が負担すべき費用の額
-70-


当該特定施設の新築又は改築に要する費用の額(機構が納める義務がある消費税及び地方消費税に相当する額を除くほか,
次に掲げる額が含まれるときは,
当該額を控除した額)

1号

当該特定施設の新築又は改築に要する費用に係る第20条の利息の額
2号

当該特定施設の新築又は改築に関する事業が縮小された場合における当該事業の縮小に係る不要支出額(前号に掲げる額を除く。)

3号

当該特定施設の新築又は改築に関する事業に事業からの撤退をした者がある場合において,当該者の当該特定施設に係る費用の負担について第30条第2項の規定により算出した額(第1号に掲げる額を除く。)

4号

法第27条の規定により機構が負担させる費用の額

5号

河川法第66条,第67条又は第68条第2項の規定により機構以外の者が負担すべき費用の額

6号

当該特定施設のうち発電に係る部分の新築又は改築を機構に委託した者が負担すべき費用の額

Pf

第21条第1項の規定により算出した法第21条第1項の交付金の額(第20条の利息があるときは,当該利息の額を控除した額)。この場合において,第21条第1項第3号中法第13条第1項の事業実施計画の変更の場合であって当該変更前にとあるのは,当該特定施設の新築又は改築に関する事業にとする。
25条1項
法第22条第3項の規定により同条第1項の交付金の一部を負担する都道府県は,当該特定施設に係る法第21条第1項の交付金の一部を負担する都道府県とする。
25条2項
法第22条第3項の規定により都道府県が負担する負担金の額は,同条第1項の交付金
(当該特定施設の災害復旧工事で公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭

-71-

和26年法律第97号。以下この項及び次条において負担法という。)第2条第1項に規定する災害に係るもの(次条第2号から第6号までに掲げるものを除く。)に要する費用に限る。)の額から事務取扱費の額を控除した額に,次の各号に掲げる場合の区分に応じて,当該各号に定める割合を乗じて得た額とする。1号

前項の都道府県が1である場合

当該都道府県についての負担法第4条第

1項(負担法第4条の2の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定による国の負担率を1から減じた割合
2号

前項の都道府県が2以上である場合

当該特定施設に関し国土交通大臣が

第22条第2項第2号の規定により当該都道府県につき定める割合に当該都道府県についての負担法第4条第1項(負担法第4条の2の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定による国の負担率を1から減じた割合を乗じて得た割合
25条3項
法第22条第3項の規定による都道府県の負担金の納付の方法は,国土交通大臣が定めるところによる。
29条
法第25条第1項の水資源開発施設の新築又は改築に要する費用の範囲は,実施計画調査費,本工事費,附帯工事費,用地費,補償費,機械器具費,事務取扱費及び附属諸費(これらの費用につき支払うべき利息があるときは,当該利息を含む。)とする。
30条1項
法第25条第1項の規定により水資源開発施設を利用して流水を水道又は工業用水道の用に供する者が当該水資源開発施設の新築又は改築につき負担する負担金(以下水道等負担金という。)の額は,次に掲げる額を合算した額にその者に当該水資源開発施設を利用させることにつき課されるべき消費税に相当する額及び当該課されるべき消費税の額を課税標準として課されるべき地方消費税に相当する
-72-

額を加えた額並びにその額に対応する前条の利息の額とする。
1号

水道又は工業用水道の用途に専ら供される施設(以下水道等専用施設という。)に係る費用の額(消費税及び地方消費税に相当する額を除くほか,次に掲げる額が含まれるときは,当該額を控除した額)。この場合において,水道等専用施設を利用して流水を水道又は工業用水道の用に供する者が2以上あるときは,当該費用の額に,当該2以上の者の特定多目的ダム方式負担割合の合計に対するその者の特定多目的ダム方式負担割合の割合を乗じて得た額とする。


水道等専用施設の新築又は改築に関する事業が縮小された場合における当該事業の縮小に係る不要支出額(前条の利息があるときは,当該利息の額を控除した額)


法第13条第1項の事業実施計画の変更の場合であって当該変更前に事業からの撤退をした者がある場合において,当該者の水道等専用施設に係る費用の負担について次項の規定により算出した額


水道等専用施設に係る水資源開発施設が水道又は工業用水道の用途に専ら供されるものである場合において,法第27条の規定により機構が負担させる費用の額

2号

水道又は工業用水道の用途を含む2以上の用途に併せ供される施設(以下水道等共同施設という。)に係る費用の額(消費税及び地方消費税に相当する額を除くほか,
次に掲げる額が含まれるときは,
当該額を控除した額)
に,その者の特定多目的ダム方式負担割合を乗じて得た額


水道等共同施設の新築又は改築に関する事業が縮小された場合における当該事業の縮小に係る不要支出額(前条の利息があるときは,当該利息の額を控除した額)


法第13条第1項の事業実施計画の変更の場合であって当該変更前に事業からの撤退をした者がある場合において,当該者の水道等共同施設に係る費用の
-73-

負担について次項の規定により算出した額

法第27条の規定により機構が負担させる費用の額


河川法第66条,第67条又は第68条第2項の規定により機構以外の者が負担すべき費用の額


水道等共同施設のうち発電に係る部分の新築又は改築を機構に委託した者が負担すべき費用の額

30条2項
水資源開発施設の新築又は改築に関する事業が縮小された場合(水道若しくは工業用水道の用途に係る部分の縮小又は事業からの撤退に伴う場合に限る。)において,水道又は工業用水道の用途に係る部分を縮小した者の水道等負担金の額は,前項の規定にかかわらず,同項の規定により算出した額に,次の各号に掲げる場合の区分に応じて,当該各号に定める額を加えた額とし,法第25条第1項の規定により事業からの撤退をした者が当該水資源開発施設の新築又は改築につき負担する負担金(以下水道等撤退負担金という。)の額は,次の各号に掲げる場合の区分に応じて,当該各号に定める額とする。ただし,これらにより算出することが著しく公平を欠くと認められるときは,主務大臣が関係行政機関の長と協議して定める方法により算出した額とすることができる。
1号

水道若しくは工業用水道の用途に係る部分の縮小又は事業からの撤退のみがあった場合

イ又はロに掲げる額とハに掲げる額とを合算した額及びその

額に対応する前条の利息の額

水道等専用施設の新築又は改築に関する事業が縮小された場合にあっては,当該事業の縮小に係る不要支出額(前条の利息があるときは,当該利息の額を控除した額)。この場合において,当該水道等専用施設に関し水道若しくは工業用水道の用途に係る部分を縮小し又は事業からの撤退をした者が2以上あるときは,当該不要支出額に,当該2以上の者のそれぞれが単独で当該用途に係る部分を縮小し又は事業からの撤退をしたものと仮定した場合における当該不
-74-

要支出額の合計額に対するその者が単独で当該用途に係る部分を縮小し又は事業からの撤退をしたものと仮定した場合における当該不要支出額の割合を乗じて得た額とする。

水道等専用施設の新築又は改築に関する事業が廃止された場合にあっては,当該事業の廃止までに水道等専用施設の新築又は改築に要した費用及び当該事業の廃止に伴い追加的に必要となる費用の額(前条の利息があるときは,当該利息の額を控除した額)。この場合において,当該水道等専用施設に関し事業からの撤退をした者が2以上あるときは,当該費用の額に,当該2以上の者の特定多目的ダム方式負担割合の合計に対するその者の特定多目的ダム方式負担割合の割合を乗じて得た額とする。


水道等共同施設の新築又は改築に関する事業が縮小された場合にあっては,次に掲げる額を合算した額(当該水道等共同施設に関し水道若しくは工業用水道の用途に係る部分を縮小し又は事業からの撤退をした者が2以上あるときは,当該合算した額に,当該2以上の者のそれぞれが単独で当該用途に係る部分を縮小し又は事業からの撤退をしたものと仮定した場合における(1)に掲げる額の合計額に対するその者が単独で当該用途に係る部分を縮小し又は事業からの撤退をしたものと仮定した場合における(1)に掲げる額の割合を乗じて得た額)

(1)当該事業の縮小に係る不要支出額(前条の利息があるときは,当該利息の額を控除した額)
(2)当該水道等共同施設が特定施設である場合において,当該事業の縮小後において,治水関係用途の当該水道等共同施設に係る費用の負担について第21条第1項の規定により算出した額(第20条の利息があるときは,当該利息の額を控除した額)が,当該用途に係る投資可能限度額を超えるときにあっては当該超える額,当該投資可能限度額を超えないときにあっては零
(3)当該事業の縮小後において,流水を水道又は工業用水道の用に供する者の当
-75-

該水道等共同施設に係る費用の負担についての前項第2号に掲げる額に当該者に当該水道等共同施設を利用させることにつき課されるべき消費税に相当する額及び当該課されるべき消費税の額を課税標準として課されるべき地方消費税に相当する額の合計額からその額に含まれる機構が納める義務がある消費税及び地方消費税に相当する額を控除した額を加えた額が,当該者の投資可能限度額(当該者が当該用途に係る部分を縮小したときは,当該者の当該用途に係る部分の縮小がないものと仮定した場合における当該者の投資可能限度額)を超えるときにあっては当該超える額(当該投資可能限度額を超える者が2以上あるときは,当該超える額の合計額),当該投資可能限度額を超えないときにあっては零
(4)当該水道等共同施設が第33条第2項第1号ロのかんがい排水等共同施設(次号において単にかんがい排水等共同施設という。)である場合において,当該事業の縮小後において,かんがい排水(かんがい特定施設に係るものを除く。以下同じ。)の用途の当該水道等共同施設に係る費用の負担について同号ロの規定により算出した額が,当該用途に係る投資可能限度額を超えるときにあっては当該超える額,当該投資可能限度額を超えないときにあっては零2号

水道若しくは工業用水道の用途に係る部分の縮小又は事業からの撤退と併せて治水関係用途に係る部分の縮小又はかんがい排水の用途に係る部分の縮小があった場合

《以下省略》

31条1項
水道等負担金の支払方法は,当該負担金の全部又は一部につき割賦支払,一時支払又は当該年度支払の方法のうちから,水道等撤退負担金の支払方法は,割賦支払又は一時支払の方法のうちから,機構が定めるものとする。
31条2項
機構は,前項の規定により割賦支払の方法によることとするときは,併せて支払期間及びその始期,元利支払の方法並びに利子率を定めなければならない。
-76-

31条3項
機構は,第1項の規定により水道等負担金の一部を割賦支払,一時支払又は当該年度支払の方法によることとするときは,併せて当該方法により支払う部分(一時支払の方法にあっては,当該方法により支払う部分及びその支払時期)を定めなければならない。
31条4項
機構は,前3項の規定により支払方法その他の事項を定めようとするときは,あらかじめ,
水道等負担金又は水道等撤退負担金を負担すべき者と協議するとともに,国土交通大臣及び主務大臣の認可を受けなければならない。これらを変更するときも,同様とする。
32条1項
水資源開発施設の新築又は改築に関する事業が廃止された場合において,法第25条第2項の規定により流水を水道又は工業用水道の用に供しようとしていた者(当該事業の廃止前に事業からの撤退をした者を除く。
以下この条において同じ。

が同項に規定する費用につき負担する負担金の額は,次に掲げる額を合算した額及びその額に対応する第29条の利息の額(法第35条の規定による補助金があるときは,当該補助金でその者に係るものの額を控除した額)とする。ただし,これにより算出することが著しく公平を欠くと認められるときは,主務大臣が関係行政機関の長と協議して定める方法により算出した額とすることができる。1号

水道等専用施設に係る費用の額(当該事業の廃止前に事業からの撤退をした者がある場合には,当該者の当該水道等専用施設に係る費用の負担について第30条第2項の規定により算出した額を控除した額)。この場合において,水道等専用施設を利用して流水を水道又は工業用水道の用に供しようとしていた者が2以上あるときは,当該費用の額に,当該2以上の者の特定多目的ダム方式負担割合の合計に対するその者の特定多目的ダム方式負担割合の割合を乗じて得た額とする。

-77-

2号

水道等共同施設に係る費用の額(次に掲げる費用の額が含まれるときは,当該額を控除した額)に,その者の特定多目的ダム方式負担割合を乗じて得た額


当該事業の廃止前に事業からの撤退をした者がある場合において,当該者の水道等共同施設に係る費用の負担について第30条第2項の規定により算出した額


河川法第66条,第67条又は第68条第2項の規定により機構以外の者が負担すべき費用の額


水道等共同施設のうち発電に係る部分の新築又は改築を機構に委託した者が負担すべき費用の額

35条1項
法第25条第1項の水資源開発施設の管理に要する費用及び同条第3項の愛知豊川用水施設の管理に要する費用の範囲は,操作費,維持修繕費,機械器具費,事務取扱費及び附属諸費(これらの費用につき支払うべき利息があるときは,当該利息を含む。)とし,同条第1項の水資源開発施設についての災害復旧工事に要する費用及び同条第3項の愛知豊川用水施設についての災害復旧工事に要する費用の範囲は,本工事費,附帯工事費,用地費,補償費,機械器具費,事務取扱費及び附属諸費(これらの費用につき支払うべき利息があるときは,当該利息を含む。)とする。36条1項
法第25条第1項の規定により水資源開発施設を利用して流水を水道又は工業用水道の用に供する者が当該水資源開発施設の管理又は災害復旧工事につき負担する負担金の額は,次の式により算出した額にその者のために行う当該水資源開発施設の管理又は災害復旧工事につき課されるべき消費税に相当する額及び当該課されるべき消費税の額を課税標準として課されるべき地方消費税に相当する額を加えた額並びにその額に対応する前条第1項の利息の額とする。ただし,これにより算出することが著しく公平を欠くと認められるときは,主務大臣は,関係行政機関の長に
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協議し,かつ,当該負担金を負担する者の意見を聴いて,別に負担金の額を定めることができる。
M×Pwl/C+T×Pwl/ΣPwi
この式において,M,C,Pwl,T及びPwiは,それぞれ次の数値を表すものとする。

当該水資源開発施設の管理又は災害復旧工事に要する費用で前条に規定する
ものの額(消費税及び地方消費税に相当する額を除くほか,次に掲げる額が含まれるときは,当該額を控除した額)
1号

当該水資源開発施設の管理又は災害復旧工事に要する費用に係る前条第1項の利息の額

2号

ダムに係る固定資産税等の納付に要する費用で当該水資源開発施設に係るものの額

3号

河川法第66条,第67条又は第68条第2項の規定により機構以外の者が負担すべき費用の額


当該水資源開発施設の新築又は改築に要する費用の額(消費税及び地方消費税に相当する額を除くほか,次に掲げる額が含まれるときは,当該額を控除した額)

1号

当該水資源開発施設の新築又は改築に要する費用に係る第29条の利息の額
2号

当該水資源開発施設の新築又は改築に関する事業が縮小された場合における当該事業の縮小に係る不要支出額(前号に掲げる額を除く。)

3号

当該水資源開発施設の新築又は改築に関する事業に事業からの撤退をした者がある場合において,当該者の当該水資源開発施設に係る費用の負担について第30条第2項の規定により算出した額(第1号に掲げる額を除く。)
4号

法第27条の規定により機構が負担させる費用の額

5号

河川法第66条,第67条又は第68条第2項の規定により機構以外の者
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が負担すべき費用の額
Pwl

その者について第30条第1項各号に掲げる額を合算した額。この場合において,同項第1号ロ及び第2号ロ中法第13条第1項の事業実施計画の変更の場合であって当該変更前にとあるのは,当該水資源開発施設の新築又は改築に関する事業にとする。

ダムに係る固定資産税等の納付に要する費用で当該水資源開発施設に係るものの額

Pwi

流水を水道又は工業用水道の用に供する者について第30条第1項各号に掲げる額を合算した額。この場合において,同項第1号ロ及び第2号ロ中
法第13条第1項の事業実施計画の変更の場合であって当該変更前にとあるのは,当該水資源開発施設の新築又は改築に関する事業にとする。

37条1項
前条の規定により水資源開発施設又は愛知豊川用水施設の管理につき負担する負担金の支払方法は,当該年度支払の方法によるものとする。
37条2項
前条の規定により水資源開発施設又は愛知豊川用水施設の災害復旧工事につき負担する負担金の支払方法は,当該負担金の全部又は一部につき,割賦支払,一時支払又は当該年度支払の方法のうちから,機構が定めるものとする。37条3項
機構は,前項の規定により割賦支払の方法によることとするときは,併せて支払期間及びその始期,元利支払の方法並びに利子率を定めなければならない。37条4項
機構は,第2項の規定により当該負担金の一部を割賦支払,一時支払又は当該年度支払の方法によることとするときは,併せて当該方法により支払う部分(一時支払の方法にあっては,当該方法により支払う部分及びその支払時期)を定めなけれ
-80-

ばならない。
37条5項
機構は,前3項の規定により支払方法その他の事項を定めようとするときは,あらかじめ,当該負担金を負担すべき者と協議するとともに,国土交通大臣及び主務大臣の認可を受けなければならない。これらを変更するときも,同様とする。
9
特定多目的ダム法施行令(昭和32年政令第188号)

5条
第2条第1項第2号及び第3条第1項に規定する身替り建設費は,多目的ダムの建設の目的である各用途について,
多目的ダム及び多目的ダムの関連施設に替えて,
多目的ダム及び多目的ダムの関連施設が有する効用と同等の効用を有する施設又は工作物を設置する場合に要する推定の費用の額とする。
6条
第2条第1項第2号及び第3条第1項に規定する妥当投資額は,多目的ダムの建設の目的である各用途について,多目的ダム及び多目的ダムの関連施設が有する効用を金銭に見積ったものから当該用途のため多目的ダム及び多目的ダムの関連施設の運転及び管理等に要する推定の費用の額を控除した金額を,利子率,耐用年数及び当該用途が発電以外のものである場合において,多目的ダムの関連施設に固定資産税が課せられるときは,その固定資産税率を勘案し,多目的ダムの関連施設について国有資産等所在市町村交付金法(昭和31年法律第82号)の規定の適用があるときは,同法第3条第1項の率を勘案し,当該用途が発電である場合において,多目的ダムの関連施設に固定資産税が課せられるときは,その固定資産税率と同項の率とを勘案し,多目的ダムの関連施設について同法の規定の適用があるときは,同項の率の10分の5の率を勘案して,それぞれ,国土交通大臣が関係行政機関の長と協議して定める率で除して得た金額とする。ただし,多目的ダム及び多目的ダムの関連施設の設置の完了前にその設置に要する費用に充てる資金について支払わ
-81-

なければならない利息がある場合においては,その金額を国土交通大臣が関係行政機関の長と協議して定める建設利息の率に1を加えた数でさらに除して得た金額とする。

10

国土審議会令(平成12年政令第298号)

2条1項
審議会に,次の表《抜粋》の上欄に掲げる分科会を置き,これらの分科会の所掌事務は,審議会の所掌事務のうち,それぞれ同表の下欄に掲げる法律の規定により審議会の権限に属させられた事項を処理することとする。

名称

法律の規定

水資源開発分科会水資源開発促進法(昭和36年法律第217号)第3条第1項,第4条第1項(同条第5項において準用する場合を含む。)並び
に第6条第1項及び第2項

2条7項
審議会は,その定めるところにより,分科会の議決をもって審議会の議決とすることができる。

11

社会資本整備審議会令(平成12年政令第299号)

3条1項
委員は,学識経験のある者のうちから,国土交通大臣が任命する。6条1項
審議会に,次の表《抜粋》の上欄に掲げる分科会を置き,これらの分科会の所掌事務は,審議会の所掌事務のうち,それぞれ同表の下欄に掲げるとおりとする。
-82-

名称

所掌事務

河川分科会津波防災地域づくりに関する法律(平成23年法律第123号)第3条第3項(同条第2項第2号,第3号及び第5号に掲げる事項に係る部分に限り,同条第5項において準用する場合を含む。)及び第8条第5項(同条第6項において準用する場合を含む。),河川法(昭和39年法律第167号)
並びに土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の
推進に関する法律(平成12年法律第57号)の規定により審議会の権限に属させられた事項を処理すること。

6条6項
審議会は,その定めるところにより,分科会の議決をもって審議会の議決とすることができる。
7条1項
審議会及び分科会は,その定めるところにより,部会を置くことができる。
12

愛知県公営企業の設置等に関する条例(昭和55年愛知県条例第3号)
1条
県民生活の向上と産業の振興を図るため,次に掲げる事業(以下公営企業という。)を設置する。
1号

水道事業

2号

工業用水道事業

3号

用地造成事業

4条1項
法第7条ただし書の規定に基づき,第1条に掲げる事業を通じて管理者1人を置
-83-

く。
4条2項
前項の管理者の職名は,企業庁長とする。

-84-

(別紙)
本件需給想定調査における愛知用水地域の水道用水の需給想定値等
平成12年

項目

①行政区域内人口
②上水道普及率

平成27年

127万0200人

140万4100人

99.7%

100.0%

③上水道給水人口

126万7000人

140万4100人

④家庭用水有収水量原単位

244.8L/人日

251.34L/人日

⑤家庭用水有収水量

31万0200㎥/日

35万2900㎥/日

⑥都市活動用水有収水量

7万1000㎥/日

8万2400㎥/日

⑦工場用水有収水量

2万2800㎥/日

2万3250㎥/日

⑧1日平均有収水量

40万4100㎥/日

45万8600㎥/日

⑨有収率

92.6%

⑩1日平均給水量
⑪1人1日平均給水量

93.6%

43万6200㎥/日

48万9900㎥/日

⑬1日最大給水量
⑭利用量率

349L/人日

83.7%

⑫負荷率

344L/人日

79.5%

52万1000㎥/日

61万6600㎥/日

99.6%



1日最大取水量

6.26㎥/s
(6.55㎥/s)

6.53㎥/s

7.88㎥/s

(6.79㎥/s)


5.07㎥/s
(5.30㎥/s)

⑮1日平均取水量

90.6%

(8.25㎥/s)

③=①×②

⑤=④×③

⑧=⑤+⑥+⑦
⑪=⑩/③

⑬=⑩/⑫

⑮=⑩/⑭/86.4

-85-

⑩=⑧/⑨

(別紙)
愛知用水地域の水道用水の実績値の推移について

年度

1日平均給水量

1日最大取水量

平成12年

43万5877㎥/日

50万3530㎥/日

平成13年

43万4948㎥/日

50万6027㎥/日

平成14年

43万5362㎥/日

50万3713㎥/日

平成15年

43万3702㎥/日

48万7795㎥/日

平成16年

43万7553㎥/日

50万4120㎥/日

平成17年

43万1349㎥/日

50万1883㎥/日

平成18年

43万0349㎥/日

50万1390㎥/日

平成19年

43万4248㎥/日

49万5221㎥/日

平成20年

43万4749㎥/日

50万9551㎥/日

平成21年

42万6351㎥/日

48万7234㎥/日

平成22年

43万0477㎥/日

49万9134㎥/日

-86-

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